JP2021054409A - 中間シャフト - Google Patents
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Abstract
Description
尚、本明細書及び特許請求の範囲で、特に断る場合を除き、軸方向及び径方向とは、中間シャフトに関する軸方向及び径方向を言う。
本発明は、この様な事情に鑑みて、インナシャフトに設けられた括れ部などの脆弱部が破断した場合にも、中間シャフトによるトルク伝達が不能になる事を防止できる構造を実現すべく発明したものである。
このうちのインナシャフトは、例えば全体が中実軸状に構成され、軸方向中間部に、このインナシャフトの他の部分に比べて例えば断面積が十分に小さくなる等した、括れ部などの脆弱部を有している。
又、前記アウタチューブは、例えば全体が中空筒状に構成され、軸方向一端側部分に前記インナシャフトの軸方向他端側部分が相対回転不能に挿入(内嵌)される。
前記保護チューブは、例えば全体が中空筒状に構成されており、前記脆弱部を跨いだ状態で、前記インナシャフトのうちでこの脆弱部の軸方向両側に隣接する部分(脆弱部を挟んだ軸方向両側部分)に対し、トルク伝達可能に、且つ、定常状態において、例えば圧入や楕円嵌合等により軸方向に関する相対変位を不能にがたつきなく外嵌されている。
前記1対の第1ストッパは、軸方向に関して前記脆弱部の両側に設けられており、前記アウタチューブから前記保護チューブに対し軸方向一端側に向いた力が加わった場合を除き、前記インナシャフトと前記保護チューブとの軸方向に関する相対変位を制限する(相対変位量をゼロに若しくは僅かに抑える)。
本発明の中間シャフトは、前記インナシャフトの軸方向他端側部分と前記アウタチューブの軸方向一端側部分とを、軸方向に関する相対変位を可能に係合させている。
前記インナシャフトは、前記脆弱部の軸方向両側に隣接する部分の外周面に、それぞれ凹溝を有している。
前記保護チューブは、軸方向に関して前記凹溝と整合する部分に、内外両周面に開口した切り欠きを有している。
本発明の第1態様の中間シャフトでは、前記1対の第1ストッパのそれぞれは、前記保護チューブに対し弾力を利用して取り付けられ、前記切り欠きを通じて前記凹溝に対して一部を係合させた、止め輪である。
本発明の第2態様の中間シャフトでは、前記1対の第1ストッパのそれぞれは、前記切り欠きから露出した前記凹溝に対し弾力を利用して取り付けられ、前記切り欠きに対して一部を係合させた、止め輪である。
又、前記第1ストッパは、前記インナシャフトと前記アウタチューブとの軸方向に関する相対変位に基づき、このアウタチューブから前記保護チューブに対し軸方向一端側に向いた力が加わった場合には、少なくとも前記他方の部材から離脱する、又は、前記インナシャフトと前記保護チューブとの間で裂断(破断)する事で、前記保護チューブが前記インナシャフトに対し軸方向一端側に相対変位する事を許容する構成を採用できる。
例えば前記第1ストッパとして、略U字形若しくは略V字形などの止め輪や棒状(軸状)の止めピンを採用する事ができる。
前記第1ストッパとして、略U字形の止め輪を使用した場合には、この止め輪を、前記保護チューブの軸方向両端部である、インナシャフトのうちで脆弱部の軸方向両側に隣接する部分に外嵌した部分に形成した切り欠きに係止した状態で、前記止め輪の一部を、前記インナシャフトのうちで脆弱部の軸方向両側に隣接する部分の外周面に形成した凹部に対し、前記インナシャフトと前記保護チューブとの軸方向に関する相対変位を不能に隙間なく(がたつきなく)係合又は軸方向に関する僅かな相対変位を可能に緩く係合させる構造を採用する事ができる。
反対に、前記止め輪を、前記インナシャフトのうちで脆弱部の軸方向両側に隣接する部分の外周面に形成した凹部に係止した状態で、前記止め輪の一部を、前記保護チューブの軸方向両端部に形成した切り欠きに対し、前記インナシャフトと前記保護チューブとの軸方向に関する相対変位を不能に隙間なく係合又は軸方向に関する僅かな相対変位を可能に緩く係合させる構造を採用する事もできる。
本発明を実施する場合には、前記凹溝を、前記インナシャフトの円周方向に伸長したものとすることができる。この場合には、前記凹溝を、前記インナシャフトの外周面に全周に亙り設けることもできる。
本発明を実施する場合には、前記保護チューブを、前記切り欠きを複数有するものとすることができる。この場合には、前記保護チューブを、軸方向両側部のそれぞれに、前記切り欠きを有するものとすることもできる。また、前記保護チューブを、軸方向両側部のそれぞれに、前記切り欠きを複数ずつ有するものとすることもできる。さらに、前記保護チューブを、軸方向両側部のそれぞれに、前記切り欠きを2つずつ有するものとすることもできる。
本発明を実施する場合には、前記第1ストッパを、複数の挟持部を有しており、前記複数の挟持部により弾性的に挟持することで取り付けられたものとすることができる。この場合には、前記挟持部を、前記凹溝又は前記切り欠きに対する係合に利用することもできる。また、前記複数の挟持部のそれぞれを、前記凹溝又は前記切り欠きに対する係合に利用するものとすることもできる。また、前記挟持部を、直線状に伸長した直線部からなるものとすることもできる。また、前記複数の挟持部のそれぞれを、直線状に伸長した直線部からなるものとすることもできる。また、前記第1ストッパを、前記直線部である1対の腕部と、前記1対の腕部の基端部同士を連続させた連続部とからなるものとすることもできる。また、前記1対の腕部を、互いに平行に配置することもできる。また、前記連続部を、円弧状に湾曲した湾曲部とすることもできる。また、前記第1ストッパを、金属線製とすることもできる。さらに、前記凹溝を、凹円弧状の断面形状を有するものとし、前記第1ストッパを、円形の断面形状を有するものとすることもできる。
この様な第2ストッパは、例えば、前記インナシャフトとは別体とし、このインナシャフトに対して固定する事ができる他、このインナシャフトと一体に設ける事もできる。
前記第2ストッパを前記インナシャフトと別体に設ける場合、この第2ストッパの形状並びにその固定構造及び固定位置は、特に問わない。
例えば、前記第2ストッパとして、円環状又は欠円環状の止め輪を使用し、インナシャフトの外周面に対し少なくとも軸方向一端側への相対変位を不能に固定する構造を採用する事ができる。又は、第2ストッパとして、棒状(軸状)の止めピンを使用し、インナシャフトの外周面に開口する状態で形成した取付孔内に、該止めピンの軸方向端部(一端部又は両端部)を外部に突出させた状態で挿入する構造を採用する事もできる。
又、前記第2ストッパは、定常状態で、前記保護チューブよりも軸方向一端側に固定する事もできるし、軸方向に関して前記保護チューブと整合する位置に固定する事もできる。
更に、前記第2ストッパを前記インナシャフトと一体に設ける場合には、例えば、このインナシャフトの外周面のうち、雄セレーション溝が設けられた部分と設けられていない部分(下径のままの部分)との境界を、前記第2ストッパとする事ができる他、前記インナシャフトの外周面に段付加工を施す事により形成した段差面を、前記第2ストッパとする事もできる。
前記中間シャフトに対し所定値以上の大きさの圧縮力、つまり、衝突事故の際に、インナシャフトとアウタチューブとのうち、下方に配置された部材が突き上げられる事に伴う圧縮力が加わった場合のみ、前記インナシャフトの軸方向他端側部分と前記アウタチューブの軸方向一端側部分との軸方向に関する相対変位が可能になる様な構成を採用する事もできる。
この場合には例えば、前記インナシャフトと前記アウタチューブとの嵌合部を構成する、このインナシャフトの外周面の軸方向一部及びこのアウタチューブの内周面の軸方向一部に、断面非円形状の塑性変形部をそれぞれ設ける事ができる。
この様な塑性変形部を設けるには、例えば、前記アウタチューブの軸方向一端部に前記インナシャフトの軸方向他端部を僅かに挿入した後、前記アウタチューブの軸方向一端部を工具により径方向外側から押し潰し、このアウタチューブの軸方向一端部内周面及び前記インナシャフトの軸方向他端部外周面を、例えば断面楕円形状に塑性変形させる。その後、前記アウタチューブと前記インナシャフトとを前記中間シャフトの全長を縮める様に軸方向に相対変位させて、前記アウタチューブの塑性変形部と前記インナシャフトの塑性変形部とを軸方向に離隔して配置する。
尚、この様にして形成される前記アウタチューブと前記インナシャフトとの嵌合部のうち、塑性変形部の形状が楕円形であるものは、例えば特許文献2、3に記載され広く知られており、一般的に楕円嵌合部と呼ばれる。
本発明の実施の形態の第1例に就いて、図1〜8を参照しつつ説明する。本例の中間シャフト3aは、前記図12に示した構造と同様に、自動車用操舵装置を構成し、ステアリングシャフト2の動きをステアリングギヤに伝達するもので、衝撃エネルギを吸収しつつ、軸方向中間部で折れ曲がる、エネルギ吸収式の中間シャフトである。従って、本例の中間シャフト3aは、衝突事故の前後でその形状が変化する為、先ず、衝突事故の未発生時の定常状態に関して、図1〜4を参照しつつ説明し、その後、衝突事故発生後の状態に関して、図6〜8を参照しつつ説明する。インナシャフト6に設けた括れ部7が破断した場合に就いての説明は、図5を参照しつつ行う。
即ち、括れ部7の軸方向他端側(図5の右側)に隣接する部分と保護チューブ14との間の固定手段23bによる嵌め合い力が低下した事に基づき、括れ部7に破断が生じた場合、二分されたインナシャフト6のうちの下方側半部6aはそれ単独で下方に落下する傾向になる。但し、本例の場合には、図5の(B)に示した様に、この状態で、軸方向他端側の第1止め輪19bが軸方向他端側の係合凹溝13bに対して係合する為、インナシャフト6の下方側半部6aが保護チューブ14の内側から脱落するのを防止できる。これに対し、括れ部7の軸方向一端側(図5の左側)に隣接する部分と保護チューブ14との間の固定手段23aによる嵌め合い力が低下した事に基づき、括れ部7に破断が生じた場合には、二分されたインナシャフト6のうちの下方側半部6aは、保護チューブ14と共に下方に落下する傾向になる。但し、本例の場合には、同図の(C)に示した様に、この状態で、軸方向一端側の第1止め輪19aが軸方向一端側の係合凹溝13aに対して係合する為、インナシャフト6のうちの上方側半部6bが保護チューブ14の内側から脱落するのを防止できる。
本発明の実施の形態の第2例に就いて、図9を参照しつつ説明する。本例の中間シャフト3bの特徴は、1対の第1止め輪19a、19bの係止構造が、前記実施の形態の第1例の構造とは異なる点にある。即ち、本例の場合には、保護チューブ14の軸方向両端部に、前記実施の形態の第1例の係止切り欠き16a、16bよりも深さ寸法及び軸方向に関する幅寸法が大きくなった1対の係合切り欠き24a、24bを形成している。又、インナシャフト6の軸方向中間部で、且つ、括れ部7の軸方向両側部分に、前記実施の形態の第1例の係合凹溝13a、13bよりも深さ寸法及び軸方向に関する幅寸法が小さくなった1対の係止凹溝25a、25bを形成している。
その他の構成及び作用効果に就いては、前記実施の形態の第1例の場合と同様である。
本発明の実施の形態の第3例に就いて、図10を参照しつつ説明する。本例の場合には、インナシャフト6の軸方向中間部の円周方向一部に、径方向内方に凹んだ凹部26を形成している。これにより、インナシャフト6の軸方向中間部で、軸方向に関して凹部26と整合する部分に、他の部分よりも断面積が小さくなった、特許請求の範囲に記載した脆弱部に相当する、小断面積部27を設けている。
その他の構成及び作用効果に就いては、前記実施の形態の第1例の場合と同様である。
本発明の実施の形態の第4例に就いて、図11を参照しつつ説明する。本例の場合には、インナシャフト6の軸方向中間部に、直径方向に貫通する複数(図示の例では4つ)の貫通孔28、28を形成している。これにより、インナシャフト6の軸方向中間部で、貫通孔28、28が設けられた部分に、他の部分よりも曲げ剛性が低くなった、特許請求の範囲に記載した脆弱部に相当する、低剛性部29を設けている。
その他の構成及び作用効果に就いては、前記実施の形態の第1例の場合と同様である。
2 ステアリングシャフト
3、3a、3b 中間シャフト
4a、4b 自在継手
5 ステアリングコラム
6 インナシャフト
6a 下方側半部
6b 上方側半部
7 括れ部
8 アウタチューブ
8a 軸方向一端縁部
9 雌セレーション溝
10 雄セレーション溝
11 ヨーク
12 ヨーク
13a、13b 係合凹溝
14 保護チューブ
14a 軸方向他端縁部
15 雌セレーション溝
16a、16b 係止切り欠き
17 切り欠き
18 連続部
19a、19b 第1止め輪
20 腕部
21 湾曲部
22 第2止め輪
23a、23b 固定手段
24a、24b 係合切り欠き
25a、25b 係止凹溝
26 凹部
27 小断面積部
28 貫通孔
29 低剛性部
Claims (18)
- 軸方向中間部に脆弱部を有するインナシャフトと、
軸方向一端側部分にこのインナシャフトの軸方向他端側部分が相対回転不能に挿入されるアウタチューブと、
前記脆弱部を跨いだ状態で、前記インナシャフトのうちでこの脆弱部の軸方向両側に隣接する部分に対し、トルク伝達可能に、且つ、定常状態において軸方向に関する相対変位を不能に外嵌された保護チューブと、
軸方向に関して前記脆弱部の両側に設けられ、前記アウタチューブから前記保護チューブに対し軸方向一端側に向いた力が加わった場合を除き、前記インナシャフトと前記保護チューブとの軸方向に関する相対変位を制限する1対の第1ストッパと、を備え、
前記インナシャフトの軸方向他端側部分と前記アウタチューブの軸方向一端側部分とが、軸方向に関する相対変位を可能に係合しており、
前記インナシャフトは、前記脆弱部の軸方向両側に隣接する部分の外周面に、それぞれ凹溝を有しており、
前記保護チューブは、軸方向に関して前記凹溝と整合する部分に、内外両周面に開口した切り欠きを有しており、
前記1対の第1ストッパのそれぞれは、前記保護チューブに対し弾力を利用して取り付けられ、前記切り欠きを通じて前記凹溝に対して一部を係合させた、止め輪である、
中間シャフト。 - 軸方向中間部に脆弱部を有するインナシャフトと、
軸方向一端側部分にこのインナシャフトの軸方向他端側部分が相対回転不能に挿入されるアウタチューブと、
前記脆弱部を跨いだ状態で、前記インナシャフトのうちでこの脆弱部の軸方向両側に隣接する部分に対し、トルク伝達可能に、且つ、定常状態において軸方向に関する相対変位を不能に外嵌された保護チューブと、
軸方向に関して前記脆弱部の両側に設けられ、前記アウタチューブから前記保護チューブに対し軸方向一端側に向いた力が加わった場合を除き、前記インナシャフトと前記保護チューブとの軸方向に関する相対変位を制限する1対の第1ストッパと、を備え、
前記インナシャフトの軸方向他端側部分と前記アウタチューブの軸方向一端側部分とが、軸方向に関する相対変位を可能に係合しており、
前記インナシャフトは、前記脆弱部の軸方向両側に隣接する部分の外周面に、それぞれ凹溝を有しており、
前記保護チューブは、軸方向に関して前記凹溝と整合する部分に、内外両周面に開口した切り欠きを有しており、
前記1対の第1ストッパのそれぞれは、前記切り欠きから露出した前記凹溝に対し弾力を利用して取り付けられ、前記切り欠きに対して一部を係合させた、止め輪である、
中間シャフト。 - 前記凹溝は、前記インナシャフトの円周方向に伸長している、請求項1又は請求項2に記載した中間シャフト。
- 前記凹溝は、前記インナシャフトの外周面に全周に亙り設けられている、請求項3に記載した中間シャフト。
- 前記保護チューブは、前記切り欠きを複数有している、請求項1〜4のうちのいずれか1項に記載した中間シャフト。
- 前記保護チューブは、軸方向両側部のそれぞれに、前記切り欠きを有している、請求項5に記載した中間シャフト。
- 前記保護チューブは、軸方向両側部のそれぞれに、前記切り欠きを複数ずつ有している、請求項6に記載した中間シャフト。
- 前記保護チューブは、軸方向両側部のそれぞれに、前記切り欠きを2つずつ有している、請求項7に記載した中間シャフト。
- 前記第1ストッパは、複数の挟持部を有しており、前記複数の挟持部により弾性的に挟持することで取り付けられている、請求項1〜8のうちのいずれか1項に記載した中間シャフト。
- 前記第1ストッパは、前記挟持部を、前記凹溝又は前記切り欠きに対する係合に利用している、請求項9に記載した中間シャフト。
- 前記第1ストッパは、前記複数の挟持部のそれぞれを、前記凹溝又は前記切り欠きに対する係合に利用している、請求項9に記載した中間シャフト。
- 前記挟持部は、直線状に伸長した直線部からなる、請求項9〜11のうちのいずれか1項に記載した中間シャフト。
- 前記複数の挟持部のそれぞれは、直線状に伸長した直線部からなる、請求項9〜11のうちのいずれか1項に記載した中間シャフト。
- 前記第1ストッパは、前記直線部である1対の腕部と、前記1対の腕部の基端部同士を連続させた連続部とからなる、請求項13に記載した中間シャフト。
- 前記1対の腕部は、互いに平行に配置されている、請求項14に記載した中間シャフト。
- 前記連続部は、円弧状に湾曲した湾曲部である、請求項14又は請求項15に記載した中間シャフト。
- 前記第1ストッパは、金属線製である、請求項1〜16のうちのいずれか1項に記載した中間シャフト。
- 前記凹溝は、凹円弧状の断面形状を有し、前記第1ストッパは、円形の断面形状を有する、請求項17に記載した中間シャフト。
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