JP6508512B2 - ステアリング装置 - Google Patents
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Description
相手ロック部材の脚部は、破断板に連結されている。破断板は、互いに平行な一対の弱体化線を有しており、これらの弱体化線の間に破断接合板が区画されている。相手ロック部材は、車両衝突時には、調節ユニットと相対的に摺動する。その際、相手ロック部材が引っ張られることにより、破断接合板は、車両衝突時のエネルギーを散逸しながら弱体化線に沿って破断する。
請求項3記載の発明は、一端(3A)に操舵部材(11)が連結され、軸方向(X)に伸縮可能なステアリングシャフト(3)と、前記操舵部材側(X1)で前記ステアリングシャフトを保持するアッパージャケット(22)と、前記操舵部材とは反対側(X2)で前記ステアリングシャフトを保持するロアージャケット(23)とを有し、前記ロアージャケットに対する前記アッパージャケットの前記軸方向への移動によって前記ステアリングシャフトとともに前記軸方向に伸縮可能なコラムジャケット(4)と、車体(2)に固定され、前記ロアージャケットを支持するブラケット(6)と、前記ステアリングシャフトおよびコラムジャケットの伸縮調整のために操作される操作部材(41)と、前記アッパージャケットに固定され、前記軸方向に沿って並ぶ複数の被係合歯(78)を有する被係合部材(50)と、前記被係合歯と噛み合い可能な係合歯(67)を有し、伸縮調整された前記ステアリングシャフトおよびコラムジャケットを固定するために前記被係合歯と前記係合歯とが噛み合う噛合位置と、伸縮調整のために前記被係合歯と前記係合歯との噛み合いが解除される解除位置とに前記操作部材の操作に応じて移動する係合部材(54)であって、全体形状がU字状となるように前記操舵部材側から前記反対側に向かう切り込みを有し、前記切り込みにおける底部よりも前記操舵部材側の部分が平坦部として形成されている係合部材と、前記底部に嵌め込まれる筒状に形成された離脱部材(53)と、両端が前記ロアージャケットに固定された状態で前記離脱部材の中空部分(53A)に挿通され、前記係合部材が前記噛合位置および前記解除位置に移動できるように前記離脱部材を介して前記係合部材を支持する支持軸(52)とを含み、前記離脱部材は、前記操舵部材側に脆弱部または破断部を有し、前記係合部材および前記離脱部材は、前記支持軸が前記底部から前記平坦部を通って前記切り込みの外へ抜け出ることで、前記支持軸に対して前記アッパージャケットとともに前記反対側へ移動可能であり、前記係合部材および前記離脱部材が前記アッパージャケットとともに前記反対側へ移動するに際し、前記脆弱部または前記破断部は、前記支持軸から負荷を受けて破断しまたは拡開することを特徴とする、ステアリング装置(1)である。
請求項5記載の発明は、前記破断部は、前記離脱部材における周上1箇所を切断してなることを特徴とする、請求項3記載のステアリング装置である。
アッパージャケットには、軸方向に沿って並ぶ複数の被係合歯を有する被係合部材が固定されている。ロアージャケットには、支持軸が固定されている。支持軸は、筒状の離脱部材の中空部分に挿通されている。被係合歯と噛み合い可能な係合歯を有する係合部材は、全体形状がU字状となるように操舵部材側から操舵部材側とは反対側に向かう切り込みを有する。切り込みにおける底部よりも操舵部材側の部分が平坦部として形成されている。離脱部材は、切り込みの底部に嵌め込まれている。支持軸は、離脱部材を介して、係合部材を移動可能に支持している。操作部材の操作に応じて係合部材を移動させることによって被係合歯と係合歯とを噛み合わせると、伸縮調整されたステアリングシャフトおよびコラムジャケットが固定される。
請求項3記載の発明によれば、ステアリング装置では、コラムジャケットが、操舵部材側のアッパージャケットおよび操舵部材とは反対側のロアージャケットを有している。アッパージャケットがロアージャケットに対して相対移動することによって、コラムジャケットがステアリングシャフトとともに伸縮する。
離脱部材において操舵部材側には、脆弱部または破断部が設けられている。したがって、車両衝突時には、係合部材が操舵部材とは反対側へ移動することによって、脆弱部または破断部は、支持軸から負荷を受けて破断しまたは拡開する。そのため、支持軸が、離脱部材から外れ、切り込みにおいて、底部から、平坦部へ相対移動することによって、アッパージャケットは、車体から離脱する。これにより、離脱荷重が発生する。この構成であれば、操舵部材側の1箇所に設けられた脆弱部で離脱部材を破断させることや、操舵部材側に設けられた1箇所の破断部のみが大きくなるようにすることができる。そのため、離脱部材において複数の箇所が破断したり、離脱部材において複数の箇所に設けられた破断部が大きくなる場合に比べて、離脱荷重がばらつきにくい。よって、離脱荷重の安定化を図ることができる。
請求項5記載の発明によれば、破断部は、離脱部材における周上1箇所を切断してなる。そのため、切り込みの大きさを調整することによって、離脱荷重を自由に調整することができる。
図1は、本発明の一実施形態に係るステアリング装置1の概略側面図である。
図1において、紙面左側が、ステアリング装置1が取り付けられる車体2の前側であり、紙面右側が車体2の後側であり、紙面上側が車体2の上側であり、紙面下側が車体2の下側である。
ステアリングシャフト3では、後端である一端3Aに操舵部材11が連結されている。ステアリングシャフト3において前端である他端3Bが、自在継手12、インターミディエイトシャフト13および自在継手14を順に介して、転舵機構15のピニオン軸16に連結されている。
ステアリングシャフト3は、車体2の前後方向に延びている。以下では、ステアリングシャフト3が延びる方向を軸方向Xとする。軸方向Xは、他端3Bが一端3Aよりも低くなるように水平方向に対して傾斜している。軸方向Xにおいて操舵部材11側である後側には、符号「X1」を付し、軸方向Xにおいて操舵部材11とは反対側である前側には、符号「X2」を付す。
なお、図1以外の各図において図1の軸方向X、後側X1、前側X2、左右方向Y、右側Y1、左側Y2、上下方向Z、上側Z1および下側Z2に対応する方向には、図1と同じ符号を付している。
アッパーシャフト20における後端20Aが、ステアリングシャフト3の一端3Aであり、アッパーシャフト20の後端20Aに操舵部材11が連結されている。
ロアーシャフト21は、スプライン嵌合やセレーション嵌合によってアッパーシャフト20に嵌合されることでアッパーシャフト20の前端に連結されている。そのため、アッパーシャフト20とロアーシャフト21とは、一体回転可能であるとともに、軸方向Xに沿って相対移動可能である。ロアーシャフト21に対するアッパーシャフト20の軸方向Xへの移動によって、ステアリングシャフト3は、軸方向Xに伸縮可能である。
アッパージャケット22は、ロアージャケット23よりも後側X1に位置している。アッパージャケット22は、ロアージャケット23に対して内嵌されている。詳しくは、アッパージャケット22の前端22Aがロアージャケット23の後端23Aに対して後側X1から挿入されている。この状態で、アッパージャケット22は、ロアージャケット23に対する軸方向Xへの移動が可能である。この移動によって、コラムジャケット4の全体は、軸方向Xに沿って伸縮可能である。
ロアーブラケット5は、ロアージャケット23の前側X2の部分を支持し、ステアリング装置1を車体2に連結している。ロアーブラケット5は、ロアージャケット23に固定された一対の可動ブラケット5Aと、車体2に固定された固定ブラケット5Bと、左右方向Yに延びる中心軸5Cとを含んでいる。
図2は、図1のII−II線に沿うステアリング装置1の断面図である。
図2を参照して、アッパーブラケット6は、下向きに開放する溝形であり、軸方向Xから見て上下が逆になった略U字状をなすように、コラムジャケット4を挟んで左右対称に形成されている。詳述すると、アッパーブラケット6は、左右方向Yに薄くコラムジャケット4を挟んで対向する一対の側板30と、一対の側板30のそれぞれの上端部に連結された上下方向Zに薄い連結板31とを一体的に備えている。
一対の支持部34のそれぞれには、左右方向Yから見て同じ位置に、左右方向Yに支持部34を貫通する軸挿通孔35が形成されている。一対の支持部34の軸挿通孔35は、左右方向Yから見て、アッパーブラケット6の一対の側板30のチルト溝32の一部と重なっている。
位置調整機構7は、操舵部材11(図1参照)のチルト調整およびテレスコ調整を可能にしたり、チルト調整やテレスコ調整を終えた操舵部材11の位置をロックしたりするための機構である。
回転軸40は、左右方向Yに延びる棒状である。回転軸40は、左右方向Yから見て軸挿通孔35とチルト溝32とが重なる部分に挿通される。回転軸40は、アッパーブラケット6の一対の側板30によって支持されている。回転軸40は、ステアリングシャフト3よりも下側Z2に位置している。
回転軸40の左端部には、回転軸40の他の部分よりも大径な頭部40Aが設けられており、回転軸40の外周面の右端部には、ねじ溝40Bが設けられている。
回転軸40の左端部は、カム42およびカムフォロワ43に挿通されている。操作部材41の基端部41Aと左側Y2の側板30との間には、カム42およびカムフォロワ43が、左側Y2からこの順に並んでいる。カム42は、回転軸40に対して一体回転可能であるのに対して、カムフォロワ43は、回転軸40に対して相対回転可能かつ左右方向Yに移動可能である。
回転軸40は、アッパーブラケット6の各チルト溝32内で、前述したチルト方向に移動可能である。運転者がチルト調整のために操舵部材11を上下方向Zに移動させると、コラムジャケット4全体が、アッパーブラケット6に対し相対的にチルトする。操舵部材11のチルト調整は、回転軸40がチルト溝32内で移動可能な範囲で行われる。
また、ロアージャケット23の一対の支持部34が側板30によって挟持されることによって、一対の支持部34の間隔が狭まる。これにより、ロアージャケット23の内周部が狭くなって、ロアージャケット23は、ロアージャケット23内のアッパージャケット22に圧接する。その結果、アッパージャケット22とロアージャケット23との間に摩擦力が生じる。アッパージャケット22とロアージャケット23との間の摩擦によって、アッパージャケット22の位置がロックされ、操舵部材11がテレスコ調整後の位置でロックされ、軸方向Xに移動できなくなる。
ロック状態のステアリング装置1において、操作部材41を先程とは逆方向へ回動させると、カム42がカムフォロワ43に対して回転し、カムフォロワ43は、回転軸40の軸方向に沿って左側Y2に移動する。すると、カム突起48同士が乗り上げなくなるので、カムフォロワ43と介在部材45との間における一対の側板30に対する締め付けが解除される。これにより、各側板30と支持部34との間の摩擦力や、ロアージャケット23とアッパージャケット22との間の摩擦力が無くなるので、操舵部材11が軸方向Xおよびチルト方向に移動できるようになる。このように、操作部材41を操作することによって、操舵部材11のテレスコ調整やチルト調整が再び可能となる。言い換えると、操作部材41は、テレスコ調整やチルト調整のために操作される。
次に、ロック機構8について説明する。図3は、ロック機構8の分解斜視図である。図3では、説明の便宜上、アッパージャケット22を二点鎖線で表している。図4は、図1のIV−IV線に沿うステアリング装置1の断面図である。図5は、図4のV−V線に沿うステアリング装置1の階段断面図である。図5では、説明の便宜上、ステアリングシャフト3の図示を省略しており(後述する図7、図8および図12においても同様)、後述する付勢部材55および係合歯67については、断面部分にハッチングを付さずに図示している。
被係合部材50は、アッパージャケット22の外周面22Bの下側部分において、ロアージャケット23のスリット33に露出される部分に配置されている(図2および図4参照)。被係合部材50は、アッパージャケット22に溶接などで固定されている。そのため、被係合部材50は、アッパージャケット22と共にロアージャケット23に対して軸方向Xに相対移動可能である(図5参照)。
図2を参照して、カム51は、ロアージャケット23のスリット33内に配置されていて、円筒部51Aには、回転軸40において一対の支持部34の間でスリット33内に露出された部分が挿通されている。円筒部51Aと回転軸40とは、スプライン嵌合などによって嵌合している。そのため、カム51は、操作部材41の操作に応じて回転軸40と一体回転可能である。
図3を参照して、離脱部材53は、たとえば樹脂製であり、左右方向Yに延びる円筒状である。離脱部材53は、左右方向Yに延びる中空部分53Aを有する。図4を参照して、離脱部材53は、ロアージャケット23のスリット33内に配置されている。中空部分53Aには、支持軸52において一対の支持部34の間でスリット33内に露出された部分が挿通されている。
係合部材54の本体部65は、左側Y2から見て、略正方形状である。本体部65の上下方向Zにおける中央部よりも上側Z1には、左右方向Yに本体部65を貫通する第1穴68および第2穴69が軸方向Xに並んで形成されている。
図6を参照して、第2穴69の上下方向Zにおける幅L1は、第1穴68の直径D1よりも小さい。第1穴68と第2穴69との境界70における空間70Aの上下方向Zにおける幅L2は、第2穴69の上下方向Zにおける幅L1と等しい。
係合部材54の係合歯67は、軸方向Xに薄い板状である。係合歯67は、本体部65の後側X1かつ上側Z1の端部から上側Z1へ延びている。
係合部材54の第1穴68には、離脱部材53が挿通されている。離脱部材53の直径は、第1穴68の直径D1(図6参照)とほぼ等しい。そのため、離脱部材53は、第1穴68に対して相対回転しないように第1穴68に嵌り込んでいる。この状態で、左右方向Yにおける離脱部材53の両端は、係合部材54よりも外側へはみ出している(図4参照)。
図6を参照して、空間70Aの上下方向Zにおける幅L2は、支持軸52の直径(第1穴の直径D1に相当)よりも大きく、離脱部材53の直径D2よりも小さい。そのため、空間70Aは、軸方向Xから見て、離脱部材53よりも小さく、支持軸52よりも大きい。
ロック状態において、係合部材54の係合歯67は、被係合部材50におけるいずれかの穴57に下側Z2から嵌まって係合している。この状態で、係合歯67は、軸方向Xの両側から被係合部材50の一対の仕切部58によって挟まれている。係合歯67が穴57に嵌ることによって、当該穴57と当該穴57に軸方向Xの両側から隣接する一対の仕切部58とが、係合歯67と噛み合う被係合歯78を構成する。係合歯67は、各穴57に嵌ることができるので、被係合歯78は、軸方向Xに沿って複数並んでいる。
図7を参照して、操作部材41(図2参照)を操作しステアリング装置1を解除状態にすると、カム51が左側Y2から見て反時計回りに回転軸40と一体的に回転する。これにより、カム51では、今まで前側X2を向いていたカム部51Bが下側Z2を向く。カム51の回動に伴い、カム部51Bが係合部材54の当接部66を下側Z2へ押し下げる。そのため、係合部材54全体は、付勢部材55の付勢力に抗して、左側Y2から見て周方向Cの時計回りに回転する。これにより、係合歯67は、被係合部材50の被係合歯78から下側Z2へ離間する。
前述したように、解除状態では、アッパージャケット22とロアージャケット23との間の摩擦力も無くなっている。そのため、解除状態では、アッパージャケット22の軸方向Xにおける位置のロックが完全に解除されているので、操舵部材11のテレスコ調整が可能である。
テレスコ調整の際、操舵部材11(図1参照)を前側X2へ向けて移動させると、アッパージャケット22は、ロアージャケット23に対して前側X2へ移動するので、最終的には、係合部材54の係合歯67と、被係合部材50のストッパ50Cとが当接する。テレスコ調整の際、逆に、操舵部材11を後側X1へ向けて移動させると、アッパージャケット22は、ロアージャケット23に対して後側X1へ移動するので、最終的には、アッパージャケット22の上部のピン37と、ロアージャケット23においてピン37が挿通された長孔36の後側X1の周縁部とが当接する。これにより、テレスコ調整の際のコラムジャケット4の伸縮量が規制される。
詳しくは、図5も参照して、操作部材41(図2参照)を操作しステアリング装置1を解除状態からロック状態にすると、カム51が左側Y2から見て時計回りに回転軸40と一体的に回転する。これにより、カム51では、今まで下側Z2を向いていたカム部51Bが前側X2かつ下側Z2を向く。カム51の回動に伴い、付勢部材55の付勢力によって上側Z1へ付勢されている係合部材54全体は、左側Y2から見て周方向Cの反時計回りに回転する。これにより、係合歯67と被係合部材50の被係合歯78とが噛み合う。
次に、車両衝突時のロック機構8の動作について説明する。以下では、説明の便宜上、車両衝突によって離脱部材53が離脱した状態を示した図8も参照する。
図5を参照して、ロック状態において被係合部材50の被係合歯78と係合部材54の係合歯67とが噛み合っている場合、二次衝突時の衝撃は、アッパーシャフト20を保持するアッパージャケット22と被係合部材50とを介して、係合歯67から係合部材54に伝達される。これにより、係合部材54は、アッパージャケット22とともに前側X2へ移動しようとする。一方、前述したように、支持軸52は、ロアージャケット23に固定されている。また、離脱部材53は、支持軸52を介してロアージャケット23に支持されている。そのため、支持軸52および離脱部材53の軸方向Xにおける位置は、二次衝突時において固定されている。したがって、係合部材54は、アッパージャケット22とともに離脱部材53に対して前側X2へ相対移動しようとする。
前述したように、境界70における第1穴68および第2穴69の周縁部には、一対の削り部材72が設けられている。したがって、アッパージャケット22の離脱に伴って離脱部材53が第1穴68から第2穴69へ移る際、離脱部材53の外周面53Bの上下の両端部は、一対の削り部材72によって削り取られる。これにより、離脱荷重が発生する。離脱部材53において一対の削り部材72によって削られた部分53Cは、第1穴68の上下方向Zの両端部に残留する。部分53Cは、離脱部材53の外周面53Bにおいて、軸方向Xから見て削り部材72と重なる位置にあり、かつ削り部材72の稜線72Aよりも上下方向Zにおいて両外側に位置する部分である。
また、前述したように、第1穴68と第2穴69との境界70における空間70Aは、軸方向Xから見て、離脱部材53よりも小さく、支持軸52よりも大きい。そのため、アッパージャケット22が車体2から離脱する際、削り部材72は、離脱部材53のみを確実に削ることができるし、離脱部材53は、確実に第1穴68から第2穴69へ移ることができる。
また、第1穴68と第2穴69との境界70における空間70Aの幅L2や離脱部材53の直径を調整することで、離脱荷重の調整を容易に行うことができる。
図9は、図5に本発明の第1変形例を適用し、要部を拡大した図である。図9において、上記に説明した部材と同様の部材には、同一の参照符号を付し、その説明を省略する(後述する図10〜図13において同じ)。
図9を参照して、第1変形例の離脱部材53は、筒状に形成されている。第1変形例の離脱部材53には、本実施形態の離脱部材53とは異なり、脆弱部80が後側X1に設けられている。また、第1変形例の係合部材54には、削り部材72が設けられておらず、二次衝突時に離脱部材53を第1穴68内に保持するための保持部材81が一体に設けられている。
前述したように、ロック状態では、被係合部材50の被係合歯78は、係合部材54の係合歯67と噛み合っている。そのため、二次衝突時の衝撃は、アッパーシャフト20を保持するアッパージャケット22と被係合部材50とを介して、係合歯67から係合部材54に伝達される。また、前述したように、離脱部材53は、保持部材81によって第1穴68に保持されている。そのため、係合部材54は、アッパージャケット22とともに離脱部材53を伴って前側X2へ移動しようとする。一方、前述したように、支持軸52は、ロアージャケット23に固定されている。そのため、支持軸52の軸方向Xにおける位置は、二次衝突時において固定されている。
次に、本発明の第2変形例について説明する。
図11は、図6に本発明の第2変形例を適用した図である。
脆弱部85は、破断部86と一対の端部87とを含む。
破断部86は、離脱部材53において周上1箇所が切断された切り欠きによって形成されている。破断部86は、離脱部材53の周方向における一対の端部87によって上下方向Zから挟まれている。離脱部材53は、破断部86を後側X1に向けた状態で第1穴68に嵌め込まれている。
各突起88は、支持軸52に後側X1から当接する。これにより、支持軸52に対する離脱部材53のがたつきが抑制される。
二次衝突時には、第1変形例と同様に、係合部材54は、アッパージャケット22とともに離脱部材53を伴って前側X2へ相対移動しようとする。また、支持軸52の軸方向Xにおける位置は、二次衝突時において固定されている。
第2変形例の構成であれば、支持軸52が第2穴69へ相対移動する際、後側X1に設けられた1箇所の破断部86のみが大きくなるようにすることができる。そのため、左右方向Yにおいて間隔を隔てた複数の箇所に設けられた破断部が大きくなる場合に比べて、離脱荷重がばらつきにくい。よって、離脱荷重の安定化を図ることができる。
次に、本発明の第3変形例について説明する。
図12は、図6に本発明の第3変形例を適用した図である。
図12を参照して、第3変形例の離脱部材53は、一枚の板状を丸めることによって筒状に形成したものである。詳しくは、左側Y2から見て略C字状である第3変形例の離脱部材53には、第2変形例の脆弱部85の代わりに、後側X1に脆弱部90が設けられている。
破断部91は、離脱部材53において周上1箇所が切断された切り欠きによって形成されている。破断部91は、離脱部材53の周方向における一対の端部92によって上下方向Zから挟まれている。離脱部材53は、破断部91を後側X1に向けた状態で第1穴68に嵌め込まれている。一対の端部92同士は、当接しておらず、上下方向Zに間隔を隔てている。
次に、本発明の第4変形例について説明する。
図13は、図6に本発明の第4変形例を適用した図である。
図13を参照して、第4変形例の離脱部材53の脆弱部80は、第1変形例の溝82および薄肉部83と、溝95とによって形成されている。
このように、脆弱部80は、軸方向Xの両側から形成された溝82および溝95を含む。そのため、離脱部材53の径方向における薄肉部83の厚みは一層薄くなっている。これにより、脆弱部80は、二次衝突時の衝撃によって、一層安定して破断する。したがって、一層安定した離脱荷重を発生させることができる。
この発明は、以上に説明した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載の範囲内において種々の変更が可能である。
また、支持軸52は、金属製に限らず、樹脂製であってもよい。いずれにせよ、支持軸52は、二次衝突時の衝撃によって破断しない程度の強度を有していればよい。
また、係合部材54の第2穴69は、後側X1が開放されていない軸方向Xに延びる長穴であってもよい。二次衝突時にアッパージャケット22が車体2から離脱すると、支持軸52および離脱部材53は、第2穴69の範囲で軸方向Xに移動する。
また、ステアリング装置1は、操舵部材11の操舵が補助されないマニュアルタイプのステアリング装置に限らず、電動モータによって操舵部材11の操舵が補助されるコラムアシストタイプの電動パワーステアリング装置(C−EPS)でもよい。
Claims (5)
- 一端に操舵部材が連結され、軸方向に伸縮可能なステアリングシャフトと、
前記操舵部材側で前記ステアリングシャフトを保持するアッパージャケットと、前記操舵部材とは反対側で前記ステアリングシャフトを保持するロアージャケットとを有し、前記ロアージャケットに対する前記アッパージャケットの前記軸方向への移動によって前記ステアリングシャフトとともに前記軸方向に伸縮可能なコラムジャケットと、
車体に固定され、前記ロアージャケットを支持するブラケットと、
前記ステアリングシャフトおよびコラムジャケットの伸縮調整のために操作される操作部材と、
前記アッパージャケットに固定され、前記軸方向に沿って並ぶ複数の被係合歯を有する被係合部材と、
前記被係合歯と噛み合い可能な係合歯を有し、伸縮調整された前記ステアリングシャフトおよびコラムジャケットを固定するために前記被係合歯と前記係合歯とが噛み合う噛合位置と、伸縮調整のために前記被係合歯と前記係合歯との噛み合いが解除される解除位置とに前記操作部材の操作に応じて移動する係合部材であって、全体形状がU字状となるように前記操舵部材側から前記反対側に向かう切り込みを有し、前記切り込みにおける底部よりも前記操舵部材側の部分が平坦部として形成されている係合部材と、
前記底部に嵌め込まれる筒状の離脱部材と、
両端が前記ロアージャケットに固定された状態で前記離脱部材の中空部分に挿通され、前記係合部材が前記噛合位置および前記解除位置に移動できるように前記離脱部材を介して前記係合部材を支持する支持軸とを含み、
前記係合部材は、前記離脱部材が前記底部から前記平坦部を通って前記切り込みの外へ抜け出ることで、車両衝突時に前記アッパージャケットとともに前記反対側へ前記離脱部材に対して移動可能であり、
前記係合部材において前記底部と前記平坦部との境界に設けられ、車両衝突時に前記アッパージャケットとともに前記係合部材が前記離脱部材に対して前記反対側へ相対移動する際に前記離脱部材の外周面を削る削り部材をさらに含むことを特徴とする、ステアリング装置。 - 前記底部と前記平坦部との境界における空間は、前記軸方向から見て、前記離脱部材よりも小さく、前記支持軸よりも大きいことを特徴とする、請求項1記載のステアリング装置。
- 一端に操舵部材が連結され、軸方向に伸縮可能なステアリングシャフトと、
前記操舵部材側で前記ステアリングシャフトを保持するアッパージャケットと、前記操舵部材とは反対側で前記ステアリングシャフトを保持するロアージャケットとを有し、前記ロアージャケットに対する前記アッパージャケットの前記軸方向への移動によって前記ステアリングシャフトとともに前記軸方向に伸縮可能なコラムジャケットと、
車体に固定され、前記ロアージャケットを支持するブラケットと、
前記ステアリングシャフトおよびコラムジャケットの伸縮調整のために操作される操作部材と、
前記アッパージャケットに固定され、前記軸方向に沿って並ぶ複数の被係合歯を有する被係合部材と、
前記被係合歯と噛み合い可能な係合歯を有し、伸縮調整された前記ステアリングシャフトおよびコラムジャケットを固定するために前記被係合歯と前記係合歯とが噛み合う噛合位置と、伸縮調整のために前記被係合歯と前記係合歯との噛み合いが解除される解除位置とに前記操作部材の操作に応じて移動する係合部材であって、全体形状がU字状となるように前記操舵部材側から前記反対側に向かう切り込みを有し、前記切り込みにおける底部よりも前記操舵部材側の部分が平坦部として形成されている係合部材と、
前記底部に嵌め込まれる筒状に形成された離脱部材と、
両端が前記ロアージャケットに固定された状態で前記離脱部材の中空部分に挿通され、前記係合部材が前記噛合位置および前記解除位置に移動できるように前記離脱部材を介して前記係合部材を支持する支持軸とを含み、
前記離脱部材は、前記操舵部材側に脆弱部または破断部を有し、
前記係合部材および前記離脱部材は、前記支持軸が前記底部から前記平坦部を通って前記切り込みの外へ抜け出ることで、前記支持軸に対して前記アッパージャケットとともに前記反対側へ移動可能であり、
前記係合部材および前記離脱部材が前記アッパージャケットとともに前記反対側へ移動するに際し、前記脆弱部または前記破断部は、前記支持軸から負荷を受けて破断しまたは拡開することを特徴とする、ステアリング装置。 - 前記脆弱部は、前記離脱部材における前記操舵部材側の端部に形成された溝を含むことを特徴とする、請求項3記載のステアリング装置。
- 前記破断部は、前記離脱部材における周上1箇所を切断してなることを特徴とする、請求項3記載のステアリング装置。
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