JP2016097782A - 衝撃吸収構造およびステアリング装置 - Google Patents

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Atsumune Hase
篤宗 長谷
雅芳 作田
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Abstract

【課題】車両衝突時の衝撃を安定して吸収できる衝撃吸収構造および当該衝撃吸収構造を含むステアリング装置を提供すること。【解決手段】ステアリング装置1に用いられる衝撃吸収構造70は、軸方向Xに移動可能なアッパージャケット22に固定される第1固定部73と、車両衝突時には車体側に固定された状態にある第2固定部74と、第1固定部73と第2固定部74との間で軸方向Xに沿って延び、前端部87Aが前側X2へ開放された溝87とを含む。前端部87Aには、前側X2へ向かうにつれて溝87を次第に深くする傾斜部が設けられている。車両衝突時には、アッパージャケット22と一体移動する第1固定部73が第2固定部74に対して相対移動することによって、第1固定部73と第2固定部74との間が、前端部87Aを起点として溝87に沿って引き裂かれる。【選択図】図4

Description

この発明は、車両衝突時の衝撃を吸収するための衝撃吸収構造、および当該衝撃吸収構造を含むステアリング装置に関する。
下記特許文献1に記載のステアリングコラムでは、ステアリングホイールに取り付けられたステアリングシャフトが、調節ユニットによって支持されている。調節ユニットは、ステアリングコラムを自動車のシャーシに固定する支持ユニットによって支持されている。操作レバーによって開閉される締付け機構の開放状態では、ステアリングシャフトの軸方向にステアリングコラムを位置調節することができる。
支持ユニットの側板には、締付けボルトが保持されている。締付けボルト上には、ロック部材が配置されている。調節ユニットの側壁には、相手ロック部材が保持されている。締付け機構の閉鎖時には、ロック部材は相手ロック部材に押し付けられる。これにより、ロック部材と相手ロック部材がかみ合う。
相手ロック部材の脚部は、破断板に連結されている。破断板は、一対の弱体化線を有しており、これらの弱体化線の間に破断接合板が区画されている。相手ロック部材は、車両衝突時には、調節ユニットと相対的に摺動する。その際、相手ロック部材が引っ張られることにより、破断接合板は、車両衝突時のエネルギーを散逸しながら弱体化線に沿って破断する。
特表2011−516323号公報
特許文献1のステアリングコラムでは、車両衝突時には、ロック部材が相手ロック部材と噛み合った状態において、ステアリングホイール、ステアリングシャフト、支持ユニットおよび締付けボルトを介してロック部材に伝達された衝撃が、相手ロック部材に連結された破断板に伝達される。破断板への衝撃の加わり方によっては、弱体化線に沿って破断接合板が速やかに破断しなかったり、弱体化線で破断せずに破断板自体が変形したりする虞がある。つまり、破断板への衝撃の加わり方によっては、一律に破断板が弱体化線に沿って速やかに破断できないことによって、車両衝突時の衝撃を安定して吸収できない虞がある。
この発明は、かかる背景のもとでなされたものであり、車両衝突時の衝撃を安定して吸収できる衝撃吸収構造および当該衝撃吸収構造を含むステアリング装置を提供することを目的とする。
請求項1記載の発明は、操舵部材(11)が連結されたステアリングシャフト(3)を保持して前記ステアリングシャフトの軸方向(X)に移動可能なアッパージャケット(22)を有するステアリング装置(1)に用いられ、車両衝突時の衝撃を吸収するための衝撃吸収構造(70,98)であって、前記アッパージャケットに固定される第1固定部(73,99)と、車両衝突時には車体(2)側に固定された状態にある第2固定部(74,100)と、前記第1固定部と前記第2固定部との間で前記軸方向に沿って延び、前記軸方向における一方側(X1,X2)の端部(87A,104A)が前記一方側へ開放された溝(87,104)とを含み、車両衝突時には、前記アッパージャケットと一体移動する前記第1固定部が前記第2固定部に対して相対移動することによって、前記第1固定部と前記第2固定部との間が、前記一方側の端部を起点として前記溝に沿って引き裂かれ、前記一方側の端部には、前記一方側へ向かうにつれて前記溝を次第に深くする傾斜部(95)が設けられていることを特徴とする、衝撃吸収構造である。
請求項2記載の発明は、前記第2固定部には、前記第2固定部の強度を調整するための調整部(108,110)が設けられていることを特徴とする、請求項1記載の衝撃吸収構造である。
請求項3記載の発明は、前記溝において前記一方側の端部以外の部分(87B,104B)では、不均一な肉厚を構成していることを特徴とする、請求項1または2記載の衝撃吸収構造である。
請求項4記載の発明は、一端(3A)に操舵部材(11)が連結され、軸方向(X)に伸縮可能なステアリングシャフト(3)と、前記操舵部材側(X1)のアッパージャケット(22)と、前記操舵部材とは反対側(X2)のロアージャケット(23)とを有し、前記ステアリングシャフトを保持し、前記ロアージャケットに対する前記アッパージャケットの前記軸方向への移動によって前記ステアリングシャフトとともに前記軸方向に伸縮可能なコラムジャケット(4)と、前記ロアージャケットを支持し、車体(2)に固定されたブラケット(6)と、前記アッパージャケットの前記軸方向への移動をロックしたり、前記アッパージャケットのロックを解除したりするロック・解除機構(8)と、車両衝突時に、前記アッパージャケットを前記軸方向へ離脱させる離脱機構(10)と、請求項1〜3のいずれかに記載の衝撃吸収構造(70,98)とを含むことを特徴とする、ステアリング装置(1)である。
請求項5記載の発明は、前記衝撃吸収構造は、前記アッパージャケットと一体に設けられていることを特徴とする、請求項4記載のステアリング装置である。
請求項6記載の発明は、前記衝撃吸収構造は、前記アッパージャケットとは別体であることを特徴とする、請求項4記載のステアリング装置である。
なお、上記において、括弧内の数字等は、後述する実施形態における対応構成要素の参照符号を表すものであるが、これらの参照符号により特許請求の範囲を限定する趣旨ではない。
請求項1記載の発明によれば、ステアリング装置に用いられる衝撃吸収構造では、アッパージャケットに固定される第1固定部と車体側に固定される第2固定部との間で、ステアリングシャフトの軸方向に沿って溝が延びている。軸方向における一方側の溝の端部は、一方側へ開放されている。
車両衝突時には、第1固定部は、アッパージャケットと一体移動する。これにより、第1固定部は、車体側に固定された状態の第2固定部に対して軸方向へ相対移動する。そのため、衝撃吸収構造では、第2固定部が変形し、その際、第1固定部と第2固定部との間が、一方側の端部を起点として溝に沿って引き裂かれる。これにより、車両衝突時の衝撃が吸収される。
溝の一方側の端部には、当該一方側へ向かうにつれて溝を次第に深くする傾斜部が設けられている。そのため、溝における衝撃吸収構造の強度は、傾斜部において最も低くなっている。したがって、車両衝突時には、衝撃吸収構造は、常に一方側の端部を起点として溝に沿って引き裂かれる。これにより、車両衝突時の衝撃を安定して吸収できる。
請求項2記載の発明によれば、第2固定部には、第2固定部の強度を調整するための調整部が設けられている。そのため、第2固定部の強度を調整することで、車両衝突時の第2固定部の変形度合を調整することができる。これにより、車両衝突時に衝撃吸収構造が吸収する衝撃の大きさを調整することができる。
請求項3記載の発明によれば、衝撃吸収構造は、溝において一方側の端部の部分では、不均一な肉厚を構成する。そのため、溝の深さを調整することにより、溝における衝撃吸収構造の強度、ひいては衝撃吸収構造が吸収する車両衝突時の衝撃の量を調整することができる。
請求項4記載の発明によれば、請求項1〜3のいずれかに記載の衝撃吸収機構を含むステアリング装置では、車両衝突時の衝撃を安定して吸収できる。
請求項5記載の発明によれば、衝撃吸収構造は、アッパージャケットと一体に設けられていることから、車両衝突時の衝撃を吸収させるために別部品を設ける必要がないため、部品点数の削減により、コストの増大を抑制できる。
請求項6記載の発明によれば、衝撃吸収構造は、アッパージャケットとは別体であることから、衝撃吸収構造の材質や板厚を自由に選択できる。これにより、衝撃吸収構造の設計の自由度が向上される。
図1は、本発明の一実施形態に係るステアリング装置1の概略構成を示す側面図である。 図2は、ステアリング装置1の斜視図である。 図3は、図1におけるIII−III線に沿った断面図である。 図4は、ロック・解除機構8および衝撃吸収機構9の周辺の分解斜視図である。 図5(a)は、図4におけるVa−Va線に沿った断面図であり、図5(b)は、図4におけるVb−Vb線に沿った断面図である。 図6は、図3におけるVI−VI線に沿った階段断面図である。 図7は、図6において車両衝突後の状態を示した図である。 図8は、本発明の第1変形例の衝撃吸収構造98の周辺の斜視図である。 図9は、本発明の第2変形例の衝撃吸収構造70の周辺の斜視図である。 図10は、本発明の第3変形例の衝撃吸収構造70の周辺の斜視図である。
以下では、本発明の実施形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るステアリング装置1の概略構成を示す側面図である。図1において、紙面左側が、ステアリング装置1が取り付けられる車体2の前側であり、紙面右側が車体2の後側であり、紙面上側が車体2の上側であり、紙面下側が車体2の下側である。図2は、ステアリング装置1の斜視図である。
図1を参照して、ステアリング装置1は、ステアリングシャフト3と、コラムジャケット4と、ロアーブラケット5と、アッパーブラケット6(ブラケット)と、位置調整機構7と、ロック・解除機構8と、衝撃吸収機構9と、離脱機構10とを主に含んでいる。
ステアリングシャフト3では、後端である一端3Aに操舵部材11が連結されている。ステアリングシャフト3において前端である他端3Bが、自在継手12、インターミディエイトシャフト13および自在継手14を順に介して、転舵機構15のピニオン軸16に連結されている。
転舵機構15は、ラックアンドピニオン機構などで構成されている。転舵機構15は、ステアリングシャフト3の回転が伝達されたことに応じて、図示しないタイヤなどの転舵輪を転舵させる。
ステアリングシャフト3は、車体2の前後方向に延びている。以下では、ステアリングシャフト3が延びる方向を軸方向Xとする。軸方向Xは、他端3Bが一端3Aよりも低くなるように水平方向に対して傾斜している。軸方向Xにおいて操舵部材11側である後側には、符号「X1」を付し、軸方向Xにおいて操舵部材11とは反対側である前側には、符号「X2」を付す。
軸方向Xに対して直交する方向のうち、図1において紙面と垂直な方向を左右方向Yといい、図1において略上下に延びる方向を上下方向Zという。左右方向Yにおいて、図1の紙面の奥側は、右側Y1であり、紙面の手前側は、左側Y2である。上下方向Zにおいて、上側には、符号「Z1」を付し、下側には、符号「Z2」を付す。
なお、図1以外の各図において図1の軸方向X、後側X1、前側X2、左右方向Y、右側Y1、左側Y2、上下方向Z、上側Z1および下側Z2に対応する方向には、図1と同じ符号を付している。
ステアリングシャフト3は、少なくとも一部が円筒状のアッパーシャフト20と円柱状のロアーシャフト21とを有している。アッパーシャフト20は、ロアーシャフト21よりも後側X1で同軸状に配置されている。
アッパーシャフト20における後端20Aが、ステアリングシャフト3の一端3Aであり、アッパーシャフト20の後端20Aに操舵部材11が連結されている。
ロアーシャフト21における前端21Aが、ステアリングシャフト3の他端3Bである。ロアーシャフト21の後端は、アッパーシャフト20の前端20Bに前側X2から挿入されている。
ロアーシャフト21は、スプライン嵌合やセレーション嵌合によってアッパーシャフト20に嵌合されることでアッパーシャフト20の前端20Bに連結されている。そのため、アッパーシャフト20とロアーシャフト21とは、一体回転可能であるとともに、軸方向Xに沿って相対移動可能である。ロアーシャフト21に対するアッパーシャフト20の軸方向Xへの移動によって、ステアリングシャフト3は、軸方向Xに伸縮可能である。
コラムジャケット4は、全体として、軸方向Xへ延びる中空体である。コラムジャケット4は、ステアリングシャフト3を収容することによってステアリングシャフト3を保持している。コラムジャケット4は、軸方向Xに延びるアッパージャケット22およびロアージャケット23を有している。
アッパージャケット22は、ロアージャケット23よりも後側X1に位置している。アッパージャケット22は、ロアージャケット23に対して内嵌されている。詳しくは、アッパージャケット22の前端22Aがロアージャケット23の後端23Aに対して後側X1から挿入されている。この状態で、アッパージャケット22は、ロアージャケット23に対する軸方向Xへの移動が可能である。この移動によって、コラムジャケット4の全体は、軸方向Xに沿って伸縮可能である。
コラムジャケット4は、軸受24および軸受25によってステアリングシャフト3に連結されていることから、コラムジャケット4は、ステアリングシャフト3を回転自在に支持している。
詳しくは、アッパージャケット22の後端は、軸受24によってアッパーシャフト20に連結されている。これにより、アッパージャケット22は、アッパーシャフト20を回転自在に支持している。また、ロアージャケット23の前端は、軸受25によってロアーシャフト21に連結されている。これにより、ロアージャケット23は、ロアーシャフト21を回転自在に支持している。そのため、アッパーシャフト20およびアッパージャケット22のまとまりは、ロアーシャフト21およびロアージャケット23のまとまりに対して、軸方向Xに移動可能である。これにより、コラムジャケット4は、ステアリングシャフト3とともに伸縮可能である。
ここでのステアリングシャフト3およびコラムジャケット4の伸縮を「テレスコ」と呼び、この伸縮調整、つまり、テレスコによる操舵部材11の軸方向Xでの位置調整をテレスコ調整と呼ぶ。
ロアーブラケット5は、ロアージャケット23の前側X2の部分を支持し、ステアリング装置1を車体2に連結している。
ロアーブラケット5は、ロアージャケット23に固定された一対の可動ブラケット5A(図2も参照)と、車体2に固定された固定ブラケット5Bと、左右方向Yに延びる中心軸5Cとを含んでいる。
可動ブラケット5Aは、固定ブラケット5Bによって、中心軸5Cを介して回動可能に支持されている。そのため、コラムジャケット4全体は、ステアリングシャフト3を伴って、中心軸5Cを中心に上下に回動することができる。ここでの回動を「チルト」と呼び、中心軸5Cを中心とした略上下方向をチルト方向と呼ぶ。また、チルトによる操舵部材11の向き調整をチルト調整と呼ぶ。
アッパーブラケット6は、ロアージャケット23の後側X1の部分を支持し、ステアリング装置1を車体2に連結している。
図2を参照して、アッパーブラケット6は、下向きに開放する溝形であり、軸方向Xから見て上下が逆になった略U字状をなすように、コラムジャケット4を挟んで左右対称に形成されている。詳述すると、アッパーブラケット6は、左右方向Yに薄くコラムジャケット4を挟んで対向する一対の側板30と、一対の側板30のそれぞれの上端部に連結された上下方向Zに薄い連結板31とを一体的に備えている。
一対の側板30において、左右方向Yから見て同じ位置には、チルト溝32が形成されている。チルト溝32は、上下方向Z、厳密には、中心軸5C(図1参照)を中心とした周方向であるチルト方向に延びている。連結板31は、たとえば一対の側板30よりも左右方向Yにおいて両外側へ延びた部分を有しており、当該部分に挿通される図示しないボルトなどによって、アッパーブラケット6全体が車体2(図1参照)に固定されている。
ロアージャケット23の上側Z1の部分には、軸方向Xの全域に延びて上下方向Zにロアージャケット23を貫通するスリット33が形成されている。また、ロアージャケット23の後端23Aには、左右方向Yからスリット33を区画しつつ上側Z1に延びる一対の支持部34が一体的に設けられている。各支持部34は、軸方向Xおよび上下方向Zに広がる略直方体である。
図3は、図1におけるIII−III線に沿った断面図である。
図3を参照して、一対の支持部34のそれぞれには、左右方向Yに支持部34を貫通する軸挿通孔35が形成されている。一対の支持部34の軸挿通孔35は、左右方向Yから見て同じ位置にある。一対の支持部34の軸挿通孔35は、左右方向Yから見て、アッパーブラケット6の一対の側板30のチルト溝32の一部と重なっている。
位置調整機構7は、操舵部材11(図1参照)のチルト調整およびテレスコ調整を可能にしたり、チルト調整やテレスコ調整を終えた操舵部材11の位置をロックしたりするための機構である。
位置調整機構7は、回転軸40と、操作部材41と、リング状のカム42およびカムフォロワ43と、ナット44と、リング状の介在部材45と、針状ころ軸受46と、スラストワッシャ47とを含む。
回転軸40は、金属製であり、左右方向Yに延びる棒状である。回転軸40は、左右方向Yから見て軸挿通孔35とチルト溝32とが重なる部分に挿通される。回転軸40は、アッパーブラケット6の一対の側板30によって支持されている。回転軸40は、ステアリングシャフト3よりも上側Z1に位置している。
回転軸40の一端である左端部は、左側Y2の側板30よりも左側Y2に位置している。回転軸40の他端である右端部は、アッパーブラケット6の右側Y1の側板30よりも右側Y1に位置している。
回転軸40の左端部には、回転軸40の他の部分よりも大径な頭部40Aが設けられており、回転軸40の外周面の右端部には、ねじ溝40Bが設けられている。
操作部材41は、たとえば把持可能なレバーである。操作部材41は、回転軸40の頭部40A付近に取り付けられている。操作部材41の長手方向一端側の基端部41Aは、頭部の右側Y1に隣接して回転軸40に固定されている。回転軸40は、操作部材41の操作に応じて回転する。
回転軸40の左端部は、カム42およびカムフォロワ43に挿通されている。操作部材41の基端部41Aと左側Y2の側板30との間には、カム42およびカムフォロワ43が、左側Y2からこの順に並んでいる。
カム42は、回転軸40に対して一体回転可能であるのに対して、カムフォロワ43は、回転軸40に対して相対回転可能かつ左右方向Yに移動可能である。ただし、カムフォロワ43において左側Y2の側板30のチルト溝32に挿通される部分には、二面幅が形成されているので、カムフォロワ43の空転がチルト溝32によって防止されている。
回転軸40のねじ溝40Bには、ナット44が取り付けられている。ナット44と右側の側板30との間には、介在部材45、針状ころ軸受46およびスラストワッシャ47が、左側Y2からこの順に並んでいる。回転軸40は、介在部材45、針状ころ軸受46およびスラストワッシャ47のそれぞれに対して挿通されている。
回転軸40は、アッパーブラケット6の各チルト溝32内で、前述したチルト方向に移動可能である。運転者がチルト調整のために操舵部材11を上下方向Zに移動させると、アッパーブラケット6に対し相対的に、コラムジャケット4全体が前述したようにチルトする。操舵部材11のチルト調整は、回転軸40がチルト溝32内で移動可能な範囲で行われる。
運転者などの使用者がテレスコ調整やチルト調整をした後に、操作部材41を回動させると、カム42が回転し、カム42およびカムフォロワ43に形成されたカム突起48が互いに乗り上げる。これにより、カムフォロワ43は、回転軸40の軸方向に沿って右側Y1に移動し、左側Y2の側板30に押し付けられる。カムフォロワ43による押し付けによって、一対の側板30は、カムフォロワ43と介在部材45との間で左右方向Yの両側から締め付けられる。
これにより、一対の側板30が左右方向Yの両側からロアージャケット23の支持部34を挟持することで各側板30と支持部34との間に摩擦力が生じる。当該摩擦力によって、コラムジャケット4の位置がロックされ、操舵部材11は、チルト調整後の位置でロックされ、チルト方向に移動できなくなる。
また、ロアージャケット23の一対の支持部34が側板30によって挟持されることによって、一対の支持部34の間隔が狭まる。これにより、ロアージャケット23の内周部が狭くなって、ロアージャケット23は、ロアージャケット23内のアッパージャケット22に圧接する。その結果、アッパージャケット22とロアージャケット23との間に摩擦力が生じる。アッパージャケット22とロアージャケット23との間の摩擦によって、アッパージャケット22の位置がロックされ、操舵部材11がテレスコ調整後の位置でロックされ、軸方向Xに移動できなくなる。
このように、チルト方向および軸方向Xにおいて操舵部材11の位置が固定されているときのステアリング装置1の状態を「ロック状態」と呼ぶ。
ロック状態のステアリング装置1において、操作部材41を先程とは逆方向へ回動させると、カム42がカムフォロワ43に対して回転し、カムフォロワ43は、回転軸40の軸方向に沿って左側Y2に移動する。すると、カムフォロワ43と介在部材45との間における一対の側板30に対する締め付けが解除される。各側板30と支持部34との間の摩擦力や、ロアージャケット23とアッパージャケット22との間の摩擦力が無くなるので、操舵部材11が軸方向Xおよびチルト方向に移動できるようになる。これにより、操舵部材11のテレスコ調整やチルト調整が再び可能となる。
このように、チルト方向および軸方向Xにおいて操舵部材11の位置の固定が解除されているときのステアリング装置1の状態を「解除状態」と呼ぶ。
ロック・解除機構8は、ロアージャケット23に対するアッパージャケット22の軸方向Xにおける位置をロックしたり、アッパージャケット22のロックを解除したりするための機構である。ロック・解除機構8は、ロック部材52と、伝達部材53と、ロックプレート54とを含む。
図4は、ロック・解除機構8および衝撃吸収機構9の周辺の分解斜視図である。
図4を参照して、ロック部材52は、円筒部55と、ロック部56とを一体的に有する。円筒部55は、左右方向Yに円筒部55を貫通する円形状の挿通孔55Aを有している。ロック部56は、左右方向Yから見て略菱形状であり、円筒部55の右側Y1に隣接している。挿通孔55Aは、左右方向Yにロック部56も貫通している(図3参照)。
ロック部56の下側Z2の面56Aは、下側Z2に凸湾曲している。面56Aには、左右方向Yから見て、下側Z2へ向かうに従って細くなる略三角形状の係合歯57が複数設けられている。複数の係合歯57は、左右方向Yに延びており、左右方向Yから見て、面56Aに沿って互いに隣接して並んでいる。
図3を参照して、ロック部材52は、ロアージャケット23のスリット33内に配置されている。ロック部材52の円筒部55の挿通孔55Aには、回転軸40においてスリット33内に位置する部分が挿通されている。ロック部材52は、回転軸40を介してアッパーブラケット6によって支持されている。ロック部材52は、回転軸40に対して相対回転可能である。
伝達部材53は、操作部材41の操作に応じて、回転軸40の回転をロック部材52に伝達する。伝達部材53として、レバーやばね等を組み合わせた任意の構成を用いることができる。これにより、ロック部材52は、回転軸40を中心に回転する。なお、ロック部材52は、回転軸40と一体回転可能である場合には、伝達部材53を省略できる。
図4を参照して、ロックプレート54は、軸方向Xに長手で上下方向Zに薄い板状である。詳しくは、ロックプレート54は、軸方向Xに沿って延びる第1部60と、第1部60よりも前側X2に位置し軸方向Xに沿って延びる第2部61と、第1部60の前端部と第2部61の後端部とを連結する連結部62とを一体的に含む。第1部60の下面60Aは、アッパージャケット22の外周面22Bに沿うように上側Z1に凹湾曲している。
ロックプレート54の連結部62は、第1部60の前端部から第2部61の後端部へ向けて上側Z1かつ前側X2に延びている。連結部62は、ロックプレート54の略中央よりも前側X2に位置している。
ロックプレート54の第2部61には、上下方向Zに第2部61を貫通する第1貫通孔63が形成されている。ロックプレート54の第1部60の後端部には、上下方向Zに第1部60を貫通する第1ピン孔64が形成されている。
ロックプレート54には、上側Z1へ向けて突出する略三角形状の被係合歯65が複数設けられている。複数の被係合歯65は、左右方向Yに延びており、軸方向Xに互いに隣接して並んでいる。
ロックプレート54は、後述するように第1ピン孔64でアッパージャケット22側に固定された状態で、左右方向Yにおいて、ロアージャケット23のスリット33内に配置されている(図3参照)。複数の被係合歯65は、複数の係合歯57と上下方向Zに略対向している。
衝撃吸収機構9は、車両衝突時の衝撃を吸収するためにステアリング装置1に用いられる機構である。衝撃吸収機構9は、衝撃吸収構造70と、前述したロックプレート54と、固定ピン71とを含む。
衝撃吸収構造70は、アッパージャケット22と一体に設けられている。具体的には、衝撃吸収構造70は、アッパージャケット22の前端22Aの上側Z1の周壁である。衝撃吸収構造70は、左右方向Yにおいて、ロアージャケット23のスリット33内に配置されている(図3参照)。
アッパージャケット22の前端22Aにおいて衝撃吸収構造70以外の部分を他部分70Aと呼ぶことにする。他部分70Aは、アッパージャケット22の周方向の両側から衝撃吸収構造70を挟んでいる。他部分70Aは、後側X1からも衝撃吸収構造70に隣接している。
衝撃吸収構造70は、第1固定部73と第2固定部74とを含む。
第1固定部73は、上下方向Zに薄い板状である。第1固定部73は、図4の二点鎖線で示したように、上側Z1から見て略U字状である。詳しくは、第1固定部73は、左右方向Yに互いに間隔を隔てて軸方向Xに延びる一対の側部77と、側部77の後端部同士を連結し、アッパージャケット22の周方向に沿って延びる連結部78とを一体的に含む。一対の側部77および連結部78は、上下方向Zに薄い板状である。
第1固定部73では、右側Y1の側部77の右端部と、左側Y2の側部77の左端部と、連結部78の後端部とは、それぞれ、アッパージャケット22の前端22Aの他部分70Aに滑らかに連結されている。これにより、第1固定部73は、アッパージャケット22に固定されている。
第1固定部73の連結部78の左右方向Yにおける略中央には、上下方向Zに連結部78を貫通する第2ピン孔80が形成されている。第2ピン孔80は、上下方向Zから見て、第1ピン孔64よりも小さい。
第2固定部74は、第1固定部73の一対の側部77の間で軸方向Xに延びる板状である。具体的には、第2固定部74は、軸方向Xに沿って延びる第1部82と、第1部82よりも前側X2に位置し軸方向Xに沿って延びる第2部83と、第1部82の前端部と第2部83の後端部とを連結する連結部84とを一体的に含む。連結部84は、第1部82の前端部から第2部83の後端部へ向けて上側Z1かつ前側X2に延びている。連結部84は、第2固定部74の略中央よりも前側X2に位置している。第1部82の上面は、アッパージャケット22の周方向に沿って上側Z1に凸湾曲している。
第2固定部74の第1部82の後端部は、第1固定部73の連結部78と連結されて一体化している。そのため、第2固定部74の第1部82の後端部は、第1固定部73の連結部78を介してアッパージャケット22に固定されている。
第2固定部74の第2部83には、上下方向Zに第2固定部74を貫通する第2貫通孔85が形成されている。
アッパージャケット22の前端22Aでは、第2固定部74の第2部83が一段浮き上がっているので、第2部83の下側Z2かつ第1固定部73の側部77同士の間の部分に、開口86が形成されている。開口86は、前側X2からアッパージャケット22の前端22Aを切り欠いているため、前側X2に開放されている。
衝撃吸収構造70には、プレス加工または鋳造などにより一対の溝87が形成されている。一対の溝87は、第1固定部73の一対の側部77と第2固定部74の第1部82との間で軸方向Xに延びている。一対の溝87の軸方向Xにおける長さには、符号「L」を付す。
図5(a)は、図4におけるVa−Va線に沿った断面図であり、図5(b)は、図4におけるVb−Vb線に沿った断面図である。
図5(a)を参照して、各溝87は、軸方向Xから見て、略V字状である。そのため、各溝87の壁面は、下側Z2に向かうに従って互いに接近する一対の傾斜面90を有する。一対の傾斜面90の下側Z2の端部同士は、連結されており、溝87の底部91を形成している。本実施形態では、底部91は、軸方向Xに延びる稜線であるが、左右方向Yに所定の幅を有してもよい。
図5(b)を参照して、各溝87の一方側の端部である前端部87Aは、一方側である前側X2に向かうに従って下側Z2に徐々に深くなっている。各溝87の前端部87Aは、前側X2へ開放されており、開口86に連通している(図3も参照)。
図5(a)を参照して、衝撃吸収構造70において各溝87の底部91よりも下側Z2の部分を破断部92と呼ぶことにする。破断部92は、衝撃吸収構造70において、第1固定部73の一対の側部77と第2固定部74の第1部82との境界であり、溝87における衝撃吸収構造70の肉厚を構成する部分である。破断部92は、衝撃吸収構造70において溝87以外の部分よりも上下方向Zに薄い。
図5(b)を参照して、破断部92の前側X2の端部には、前側X2へ向かうに従って溝87を次第に深くするように上下方向Zに薄くなる傾斜部95が設けられている。傾斜部95において溝87内に露出された部分は、前側X2へ向かうに従って軸方向Xに対して下側Z2へ傾斜しており、溝87の前端部87Aの底部91を構成している。
以上により、衝撃吸収構造70の強度は、各溝87の破断部92において低く、特に、傾斜部95において最も低くなっている。
また、溝87において前端部87A以外の部分87Bでは、破断部92は、均一な肉厚を構成していてもよし、不均一な肉厚を構成していてもよい。溝87の部分87Bにおける破断部92の肉厚が軸方向Xに沿って不均一な場合は、図5(b)に破線で示すように、溝87の部分87Bの破断部92には、複数の窪み92Aが、軸方向Xに沿って間隔を隔てて形成されている。
図6は、図3におけるVI−VI線に沿った階段断面図である。図6では、説明の便宜上、ステアリングシャフト3の図示と、ロック・解除機構8の一部の図示とを省略している(後述する図7においても同様)。
図6を参照して、ロックプレート54は、衝撃吸収構造70に対して上側Z1から重なっている(図3も参照)。
具体的には、ロックプレート54の第1部60は、衝撃吸収構造70の第2固定部74の第1部82と衝撃吸収構造70の第1固定部73の連結部78との両方に対して上側Z1から重なっている。ロックプレート54の連結部62は、第2固定部74の連結部78に対して後側X1かつ上側Z1から重なっている。ロックプレート54の第2部61は、第2固定部74の第2部83に対して上側Z1から重なっている。この状態で、第2ピン孔80は、上側Z1から見て、第1ピン孔64の内側に位置している。また、第2貫通孔85は、上下方向Zから見て、第1貫通孔63と重なっている。
固定ピン71は、上下方向Zに延びる円柱状の軸部71Aと、軸部71Aよりも大径な円柱状の頭部71Bとを一体的に含む(図4参照)。頭部71Bは、軸部71Aの上端部に固定されている。
固定ピン71の軸部71Aは、第1貫通孔63および第2貫通孔85に跨って挿通されている。軸部71Aは、圧入などによって第1貫通孔63および第2貫通孔85内に固定されている。軸部71Aの下端部は、第2貫通孔85から第2部83よりも下側Z2にはみ出ている。頭部71Bの下面は、ロックプレート54の第2部61の上面に接触している。これによりロックプレート54の第2部61は、固定ピン71によって第2固定部74の第2部83に固定されている。
離脱機構10は、車両衝突時にアッパージャケット22を車体2から離脱させるための機構である。離脱機構10は、樹脂ピン97と、前述したロックプレート54の第1ピン孔64の周縁部と、前述した衝撃吸収構造70の連結部78の第2ピン孔80の周縁部とによって構成される。
図4を参照して、樹脂ピン97は、上下方向Zに延びる円柱状の軸部97Aと、軸部97Aよりも大径な円柱状の頭部97Bとを一体的に含む。頭部97Bは、軸部97Aの上端部に固定されている。
図6を参照して、樹脂ピン97は、ロックプレート54の第1部60の第1ピン孔64と第1固定部73の連結部78の第2ピン孔80とに跨って挿通されている。具体的には、軸部97Aは、第2ピン孔80に挿通されている。頭部97Bは、第1ピン孔64に挿通されている。頭部97Bの下面は、第2ピン孔80の周縁部に接触している。ロックプレート54の第1部60は、樹脂ピン97によって、衝撃吸収構造70の第1固定部73の連結部78に固定されている。
このように、ロックプレート54は、固定ピン71および樹脂ピン97によって、衝撃吸収構造70に固定され、さらに、衝撃吸収構造70を介してアッパージャケット22に固定されている。
ステアリング装置1の状態が前述したロック状態であるときは、図6において実線で示すように、ロック部材52の係合歯57は、ロックプレート54の被係合歯65と噛み合っている。また、前述したように、ロックプレート54は、アッパージャケット22に固定されており、ロック部材52は、回転軸40を介してアッパーブラケット6に固定されている。そのため、ロック状態では、ロアージャケット23に対するアッパージャケット22の相対移動が規制されている。よって、ロック状態では、ロアージャケット23とアッパージャケット22との間の摩擦力と、係合歯57と被係合歯65との噛み合いとによって、アッパージャケット22の軸方向Xにおける位置のロックがさらに強固にされる。
操作部材41(図3参照)を操作しステアリング装置1を解除状態にすると、図6の二点鎖線で示すように、ロック部材52が回転し、ロック部材52の複数の係合歯57は、ロックプレート54の複数の被係合歯65から上側Z1かつ後側X1へ離間する。これにより、複数の係合歯57と複数の被係合歯65との噛み合いが解除される。また、前述したように、解除状態では、アッパージャケット22とロアージャケット23との間の摩擦力も無くなっている。そのため、解除状態では、アッパージャケット22の軸方向Xにおける位置のロックが完全に解除されているので、操舵部材11のテレスコ調整が可能である。
前述したように、衝撃吸収構造70は、アッパージャケット22と一体に設けられている。そのため、操舵部材11のテレスコ調整の際には、衝撃吸収構造70の第1固定部73および第2固定部74は、アッパージャケット22と一体移動する。
また、前述したように、ロックプレート54は、固定ピン71および樹脂ピン97によって、衝撃吸収構造70に固定されている。そのため、操舵部材11のテレスコ調整の際、ロックプレート54は、衝撃吸収構造70とともにアッパージャケット22と一体移動する。
次に、車両衝突時の衝撃吸収機構9の動作について説明する。以下では、説明の便宜上、車両衝突後の衝撃吸収構造70の状態を示した図7も参照する。
図1を参照して、車両衝突の際、運転者が操舵部材11に衝突するいわゆる二次衝突が発生する。通常ではステアリング装置1がロック状態であるので、二次衝突による衝撃は、アッパーシャフト20を介して操舵部材11からアッパージャケット22へ伝達される。これにより、アッパージャケット22が前側X2へ移動しようとする。
図6を参照して、二次衝突時には、アッパージャケット22と一体に設けられた衝撃吸収構造70の第1固定部73は、前側X2へアッパージャケット22と一体移動しようとする。ここで、前述したように、ロック状態では、ロックプレート54の被係合歯65は、ロック部材52の係合歯57と噛み合っている。そのため、二次衝突時には、ロックプレート54は、ロック部材52、回転軸40およびロアージャケット23を介して車体2(図1参照)側に固定されている。
図7を参照して、二次衝突時の衝撃によって衝撃吸収構造70の第1固定部73が前側X2へ向けて移動しようとする際、樹脂ピン97は、第1ピン孔64の周縁部と第2ピン孔80の周縁部とによって、軸部97Aと頭部97Bとの境界において破断される。これにより、第1固定部73の第2ピン孔80に挿通された樹脂ピン97の軸部97Aは、ロックプレート54の第1ピン孔64に挿通された樹脂ピン97の頭部97Bに対して前側X2へ移動する。そのため、アッパージャケット22が前側X2へ離脱する。アッパージャケット22が前側X2へ離脱することによって、アッパージャケット22は、ロアージャケット23に対して摺動する。離脱機構10によるアッパージャケット22の離脱と、ロアージャケット23に対するアッパージャケット22の摺動とにより、二次衝突の衝撃エネルギーの一部が吸収(EA:Energy Absorption)される。
さらに、図6を参照して、前述したように、衝撃吸収機構9の第2固定部74は、固定ピン71によってロックプレート54の第2部61に引き続き固定されている。そのため、二次衝突時には、第2固定部74は、ロアージャケット23を介して車体2(図1参照)側に固定されており、軸方向Xにおける位置が固定されている。したがって、二次衝突時にアッパージャケット22が前側X2へ離脱した後、第1固定部73が第2固定部74に対して前側X2へ相対移動する。
第2固定部74に対する第1固定部73の前側X2への相対移動に伴って、各溝87の前端にある傾斜部95に応力が集中し、その結果、傾斜部95を起点として、破断部92が溝87に沿って引き裂かれる。第2固定部74およびロックプレート54は、軸方向Xにおける位置が固定されているので、破断部92が引き裂かれるのに伴い上側Z1へ浮き上がるように変形する。このように、二次衝突時において衝撃吸収構造70では、破断部92が溝87に沿って引き裂かれながら、第2固定部74の第1部82とロックプレート54の第1部60とが変形される。
第1固定部73が軸方向Xにおける溝87の長さLに相当する距離を前側X2へ移動する間、破断部92の引き裂きと、第2固定部74の第1部82およびロックプレート54の第1部60の変形と、ロアージャケット23に対するアッパージャケット22の摺動とによってEAが行われる。これにより、残存している二次衝突時の衝撃エネルギーが吸収される。
後側X1の端部まで破断部92が引き裂かれると、これ以上衝撃吸収構造70が引き裂かれなくなるため、アッパージャケット22の前側X2への移動が停止する。このとき、第2固定部74およびロックプレート54の変形も停止する。
二次衝突の衝撃は、常に軸方向Xに加えられるわけではなく、軸方向Xに対して斜めの方向に加えられることもある。しかし、前述したように衝撃吸収構造70の強度は、傾斜部95において最も低くなっている。したがって、二次衝突時には、衝撃吸収構造70は、常に傾斜部95を起点として溝87に沿って引き裂かれる。これにより、二次衝突時の衝撃を安定して吸収できる。
また、溝87の形状や、アッパージャケット22の板厚を調整することで二次衝突時に衝撃吸収構造70が吸収する衝撃エネルギーを調整することができる。
しかし、本実施形態の衝撃吸収構造70は、アッパージャケット22と一体に設けられているため、第1固定部73および第2固定部74をロックプレート54の下側Z2に配置できる。そのため、衝撃吸収構造70の配置(レイアウト)は、コンパクトであり、回転軸40およびその他の部品による制限を受けにくい。
また、本実施形態の衝撃吸収構造70は、アッパージャケット22と一体に設けられていることから、二次衝突時の衝撃エネルギーを吸収させるために別部品を設ける必要がないため、コストの増大を抑制できる。また、アッパージャケット22に当該別部品を組み付ける必要がないため、ステアリング装置1の組み立て工数やステアリング装置1の質量を低減できる。
また、衝撃吸収構造70をアッパージャケット22と一体に設けることで、他の部品のためのスペースを広く取れるし、ステアリング装置1全体の設計の自由度が向上される。
また、アッパージャケット22は、車両用のステアリング装置の大半に用いられるため、衝撃吸収構造70をアッパージャケット22と一体に設けることで、衝撃吸収構造70を様々な車種に適用することができる。
また、溝87の部分87Bにおける破断部92が不均一な肉厚を構成する場合、溝87の深さを調整することができる。これにより、溝87における衝撃吸収構造70の強度、ひいては衝撃吸収構造70が吸収する二次衝突時の衝撃の量を調整することができる。
次に、本発明の第1変形例について説明する。
図8は、本発明の第1変形例の衝撃吸収構造98の周辺の斜視図である。図8において、上記に説明した部材と同様の部材には、同一の参照符号を付し、その説明を省略する(後述する図9および図10において同じ)。
図8を参照して、第1変形例の衝撃吸収構造98は、本実施形態の衝撃吸収構造70(図3参照)とは異なり、アッパージャケット22とは別体である。そのため、アッパージャケット22の前端22Aには、開口86が設けられていない。
衝撃吸収構造98は、第1固定部99と、第2固定部100とを含む。
第1固定部99は、上下方向Zに薄い板状である。第1固定部99は、上側Z1から見て略U字状である。詳しくは、第1固定部99は、左右方向Yに互いに間隔を隔てて軸方向Xに延びる一対の側部102と、一対の側部102の後端部同士を連結し、アッパージャケット22の周方向に沿って延びる連結部103とを一体的に含む。一対の側部102および連結部103は、上下方向Zに薄い板状である。
衝撃吸収構造98は、アッパージャケット22の前端22Aの上側Z1の部分に上側Z1から重なっている。一対の側部102および連結部103の下面は、溶接等によって、アッパージャケット22の外周面22Bに連結されている。これにより、第1固定部99がアッパージャケット22に固定されている。
連結部103の左右方向Yにおける略中央には、上下方向Zに連結部78を貫通する第2ピン孔80が形成されている。
第2固定部100は、第1固定部99の一対の側部102の間で軸方向Xに延びる板状である。第2固定部100は、本実施形態の第2固定部74と同様に、第1部82と、第2部83と、連結部84とを含む。そのため、第2固定部100は、車両衝突の二次衝突時には、車体2側に固定された状態にある。
衝撃吸収構造98には、プレス加工または鋳造などにより一対の溝104が形成されている。一対の溝104は、第2固定部100の第1部82と、第1固定部99の一対の側部102との間で軸方向Xに延びている。一対の溝104の一方側の端部である前端部104Aは、一方側である前側X2に向かうに従って下側Z2に徐々に深くなっている。各溝104の前端部104Aは、前側X2へ開放されており、第2固定部100の第2部83とアッパージャケット22の前端22Aの上側Z1の部分との間の空間105に連通している。各溝104の具体的形状は、本実施形態の溝87と同様である(図5(a)および図5(b)参照)。また、衝撃吸収構造98の車両衝突時の動作に関しては、衝撃吸収構造70と同様である。
衝撃吸収構造98は、アッパージャケット22とは別体であることから、衝撃吸収構造98の材質や板厚を自由に選択できる。これにより、衝撃吸収構造98の設計の自由度が向上される。
また、溝104において前端部104A以外の部分104Bでは、破断部92は、均一な肉厚を構成していてもよし、不均一な肉厚を構成していてもよい。溝104の部分104Bにおける破断部92が不均一な肉厚を構成する場合、溝104の深さを調整することができる。これにより、溝104における衝撃吸収構造98の強度、ひいては衝撃吸収構造98が吸収する二次衝突時の衝撃の量を調整することができる。
次に、本発明の第2変形例について説明する。
図9は、本発明の第2変形例の衝撃吸収構造70の周辺の斜視図である。
図9を参照して、第2変形例の衝撃吸収構造70では、本実施形態の衝撃吸収構造70とは異なり、第2固定部74の第1部82に、調整部としての孔108が設けられている。孔108は、第1部82を上下方向Zに貫通しており、軸方向Xに延びている。そのため、孔108の大きさや形状を調整することによって、第1部82の強度を調整することができる。第1部82の強度を調整することで、二次衝突時の第1部82の変形度合を調整することができる。これにより、二次衝突時に衝撃吸収構造70が吸収する衝撃の大きさを調整することができる。また、孔108は、第1部82に複数設けられていてもよい。
次に、本発明の第3変形例について説明する。
図10は、本発明の第3変形例の衝撃吸収構造70の周辺の斜視図である。
図10を参照して、第3変形例の衝撃吸収構造70では、本実施形態の衝撃吸収構造70とは異なり、第2固定部74の第1部82に、調整部としての一対のリブ110が左右方向Yに間隔を隔てて設けられている。一対のリブ110は、第1部82の上面から上側Z1に向けて突出しており、軸方向Xに延びている。第3変形例では、ロックプレート54(図4参照)は、一対のリブ110の間に配置される。リブ110の大きさや形状を調整することによって、第1部82の強度を調整することができる。第1部82の強度を調整することで、二次衝突時の第1部82の変形度合を調整することができる。これにより、二次衝突時に衝撃吸収構造70が吸収する衝撃の大きさを調整することができる。また、リブ110は、第1部82に1つだけ設けられていてもよい。
この発明は、以上に説明した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲記載の範囲内において種々の変更が可能である。
たとえば、本実施形態のステアリング装置1は、操作部材41の基端部41Aがアッパージャケット22よりも上側Z1に配置された、いわゆるレバー上置きタイプのステアリング装置である。ロック・解除機構8は、本実施形態とは異なり、操作部材41の基端部41Aがアッパージャケット22よりも下側Z2に配置された、いわゆるレバー下置きタイプのステアリング装置にも適用することができる。
また、ステアリング装置1は、操舵部材11の操舵が補助されないマニュアルタイプのステアリング装置に限らず、電動モータによって操舵部材11の操舵が補助されるコラムアシストタイプの電動パワーステアリング装置(C−EPS)であってもよい。
また、衝撃吸収構造70は、本実施形態とは異なり、アッパーブラケット6の連結板31(図2参照)と車体2(図1参照)とを連結するカプセル(図示せず)を有するカプセルタイプのステアリング装置1にも適用可能である。カプセルタイプのステアリング装置では、アッパージャケット22にロアージャケット23が挿入されている。この場合、衝撃吸収機構9は、カプセルとアッパージャケット22とに跨って設けられている。具体的には、第2固定部74は、車体2側であるカプセル側に固定されており、第1固定部73は、アッパージャケット22に固定されている。
また、カプセルタイプのステアリング装置では、離脱機構10は、本実施形態とは異なり、上述のカプセルによって構成されており、二次衝突時に、アッパーブラケット6が当該カプセルから離脱することで二次衝突時の衝撃エネルギーの一部が吸収される。
また、本実施形態とは異なり、溝87または溝104が後側X1に開放される構成であってもよい。この場合、破断部92の一方側である後側X1の端部には、後側X1へ向かうにつれて溝87または溝104を次第に深くする傾斜部95が設けられている。要は、二次衝突時にアッパーブラケット6が離脱する際に溝87や104において応力が集中する部分に、傾斜部95が設けられればよい。
また、衝撃吸収構造70では、本実施形態のように軸方向Xに延びる溝87とは別に、前述のチルト方向に沿って延びる溝87が追加で設けられた構成であってもよい。この場合、アッパーブラケット6に対するコラムジャケット4のチルト方向への相対移動によって二次衝突時の衝撃エネルギーが吸収される。
また、衝撃吸収機構9の固定ピン71の軸部71Aの下端部には、例えば、頭部71Bと同径の円柱状の蓋が取り付けられていてもよい。当該蓋は、軸部71Aが、第1貫通孔63および第2貫通孔85に挿通された後に軸部71Aに取り付けられる。これにより、車両衝突時に、第1貫通孔63および第2貫通孔85から固定ピン71が抜けにくくなる。
1…ステアリング装置、2…車体、3…ステアリングシャフト、3A…一端、4…コラムジャケット、6…アッパーブラケット、8…ロック・解除機構、10…離脱機構、11…操舵部材、22…アッパージャケット、23…ロアージャケット、70…衝撃吸収構造、73…第1固定部、74…第2固定部、87…溝、87A…前端部、87B…部分、95…傾斜部、98…衝撃吸収構造、99…第1固定部、100…第2固定部、104…溝、104A…前端部、104B…部分、108…孔、110…リブ、X…軸方向、X1…後側、X2…前側

Claims (6)

  1. 操舵部材が連結されたステアリングシャフトを保持して前記ステアリングシャフトの軸方向に移動可能なアッパージャケットを有するステアリング装置に用いられ、車両衝突時の衝撃を吸収するための衝撃吸収構造であって、
    前記アッパージャケットに固定される第1固定部と、
    車両衝突時には車体側に固定された状態にある第2固定部と、
    前記第1固定部と前記第2固定部との間で前記軸方向に沿って延び、前記軸方向における一方側の端部が前記一方側へ開放された溝とを含み、
    車両衝突時には、前記アッパージャケットと一体移動する前記第1固定部が前記第2固定部に対して相対移動することによって、前記第1固定部と前記第2固定部との間が、前記一方側の端部を起点として前記溝に沿って引き裂かれ、
    前記一方側の端部には、前記一方側へ向かうにつれて前記溝を次第に深くする傾斜部が設けられていることを特徴とする、衝撃吸収構造。
  2. 前記第2固定部には、前記第2固定部の強度を調整するための調整部が設けられていることを特徴とする、請求項1記載の衝撃吸収構造。
  3. 前記溝において前記一方側の端部以外の部分では、不均一な肉厚を構成していることを特徴とする、請求項1または2記載の衝撃吸収構造。
  4. 一端に操舵部材が連結され、軸方向に伸縮可能なステアリングシャフトと、
    前記操舵部材側のアッパージャケットと、前記操舵部材とは反対側のロアージャケットとを有し、前記ステアリングシャフトを保持し、前記ロアージャケットに対する前記アッパージャケットの前記軸方向への移動によって前記ステアリングシャフトとともに前記軸方向に伸縮可能なコラムジャケットと、
    前記ロアージャケットを支持し、車体に固定されたブラケットと、
    前記アッパージャケットの前記軸方向への移動をロックしたり、前記アッパージャケットのロックを解除したりするロック・解除機構と、
    車両衝突時に、前記アッパージャケットを前記軸方向へ離脱させる離脱機構と、
    請求項1〜3のいずれかに記載の衝撃吸収構造とを含むことを特徴とする、ステアリング装置。
  5. 前記衝撃吸収構造は、前記アッパージャケットと一体に設けられていることを特徴とする、請求項4記載のステアリング装置。
  6. 前記衝撃吸収構造は、前記アッパージャケットとは別体であることを特徴とする、請求項4記載のステアリング装置。
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