JP2008238846A - 車両用ステアリング装置 - Google Patents

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健一郎 青木
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Abstract

【課題】 コラムチューブを軸方向に移動させるために十分な移動開始荷重を得ることができる車両用ステアリング装置を提供すること。
【解決手段】 第1コラムチューブ21に取り付けられた補助ブラケット40には長孔44が形成されている。長孔44は第1コラムチューブ21の軸方向に対して傾斜した傾斜孔部44bを有し、この傾斜孔部44bにガイドピン51が配設されている。ステアリング装置1に車両後方側から第1コラムチューブ21の軸方向に対して傾斜した方向に衝撃力が加えられたときに、傾斜孔部44bとガイドピン51との係合部分において軸直角方向衝撃力Fbが第1コラムチューブ21の軸方向に作用する力(第1反力FR1)に変換される。よって、軸方向衝撃力Faに加えて反力FR1も移動開始荷重として作用するため、十分な移動開始荷重を確保することができる。
【選択図】 図3

Description

本発明は、運転者による操舵ハンドルの操作に応じた操舵出力を車輪に伝達する車両用ステアリング装置に関する。
車両用ステアリング装置は、運転者による操舵ハンドルの操作に応じた操舵出力を転舵機構を介して車輪に伝達するものである。車両用ステアリング装置は一般に、操舵ハンドルに連結されて操舵ハンドルの操舵操作により回転するステアリングシャフトと、筒状に形成されて上記ステアリングシャフトを回転可能且つ軸方向相対移動不能に支持するコラムチューブを備える。このような車両用ステアリング装置は、例えば車両後方側(操舵ハンドル側)から衝撃力が付与された場合に、ステアリングシャフトおよびコラムチューブが車両前方側に軸方向移動する移動機構を備えているものがある。
コラムチューブの上記軸方向移動を実現するために、コラムチューブを軸方向に分割し、一方が他方に相対的に軸方向移動する構造が採用され得る。このような分割構造を採用するステアリング装置は、上記衝撃力によって操舵ハンドルに近い側(アッパ側)のコラムチューブが操舵ハンドルから遠い側(ロア側)のコラムチューブに向かって軸方向移動することにより操舵ハンドルが車両前方に移動する。そして、この移動ストローク中に上記衝撃力がエネルギー吸収プレートなどの衝撃吸収機構の作用により吸収される。
ステアリングシャフトとコラムチューブを備える車両用ステアリング装置は、操舵ハンドルを運転者に対して適した配置とするために通常は車両進行方向に対して上下に傾いた状態で車両に配備される。すなわち、車両用ステアリング装置は、操舵ハンドルに連結される端側がその反対の端側よりも高い位置となるように上下に傾いて配置されている。このため、車両後方側(操舵ハンドル側)から車両の進行方向に平行な方向から衝撃力が車両用ステアリング装置に加えられた場合には、この衝撃力の加えられる方向は車両用ステアリング装置の軸方向とは一致しない。よって、衝撃力は、車両用ステアリング装置の軸方向成分の力(軸方向衝撃力)と、軸に直角な方向成分の力(軸直角方向衝撃力)とに分解することができる。分解した力のうち軸方向衝撃力はコラムチューブを軸方向移動するための力として作用する。一方、軸直角方向衝撃力はコラムチューブの軸方向に対して直角方向に作用するためにコラムチューブの軸方向移動には寄与しない。そればかりか、この軸直角方向衝撃力は、分割されたコラムチューブの連結部分におけるこじりを誘発するおそれがある。
特許文献1には、一方のコラムチューブが他方のコラムチューブに向かって軸方向移動するときに、固定側(ロア側)のコラムチューブに取り付けられたガイドピンが、移動側(アッパ側)のコラムチューブに取り付けられた補助ブラケットに形成されたガイド孔を移動するように構成された車両用ステアリング装置が記載されている。上記ガイド孔はコラムチューブの軸方向に平行な方向に延びて形成されているので、上記ガイドピンが上記ガイド孔に沿って移動することによって移動側(アッパ側)のコラムチューブはその移動方向がコラムチューブの軸方向に沿うように案内される。このため特許文献1に記載の車両用ステアリング装置は、移動時におけるこじりの発生を効果的に防止し得る。
特開2003−261037号公報
しかしながら、特許文献1に記載の車両用ステアリング装置であってもコラムチューブを移動するための力は車両後方側(操舵ハンドル側)から水平に作用する衝撃力のうちコラムチューブの軸方向に作用する分力である軸方向衝撃力のみとなる。したがって、衝撃力の作用方向がコラムチューブの軸方向から大きく傾斜しているような場合には、上記軸方向衝撃力が相対的に小さくなり、コラムチューブを軸方向に移動開始するため力である移動開始荷重を十分に得ることができないという問題がある。
本発明は、上記問題に対処するためになされたもので、コラムチューブを軸方向に移動させるために十分な移動開始荷重を得ることができる車両用ステアリング装置を提供することを目的とする。
上記課題を達成するために、本発明は、操舵ハンドルに連結されて操舵ハンドルの操舵操作により回転するステアリングシャフトと、前記ステアリングシャフトを覆うように筒状に形成され、前記ステアリングシャフトを回転可能且つ軸方向移動不能に支持する第1コラムチューブと、前記ステアリングシャフトを覆うように筒状に形成されるとともに、前記第1コラムチューブと軸方向に一部重複する重複部を有するように同軸配置され、且つ前記第1コラムチューブが相対移動可能となるように前記第1コラムチューブに連結した第2コラムチューブと、前記第2コラムチューブを車体側部材に固定する固定ブラケットと、前記第1コラムチューブおよび前記第2コラムチューブのいずれか一方に取り付けられ、前記第1コラムチューブの移動をガイドするためのガイド通路が形成された補助ブラケットと、前記第1コラムチューブおよび前記第2コラムチューブのいずれか他方に取り付けられ、前記ガイド通路に沿って移動可能となるように前記ガイド通路内に配されるガイド部材と、を備えた車両用ステアリング装置であって、前記ガイド通路は、内部に配された前記ガイド部材との係合により、前記車両用ステアリング装置に対して操舵ハンドル側から前記第1コラムチューブの軸方向に対して傾斜した方向に力が加えられたときに、加えられた力のうち前記第1コラムチューブの軸方向に直角な方向成分の力を前記第1コラムチューブの軸方向に平行な方向に作用する力に変換するように、前記第1コラムチューブの軸方向に対して傾斜した傾斜部位を有するものとしたことにある。
上記発明によれば、車両用ステアリング装置に車両後方側(操舵ハンドル側)から衝撃力などが第1コラムチューブの軸方向に対して傾斜した方向に加えられた場合には、この衝撃力のうち軸方向衝撃力(第1コラムチューブの軸方向に平行な方向成分の力)は第1コラムチューブを軸方向に移動させるための移動開始荷重として働く。一方、軸直角方向衝撃力(第1コラムチューブの軸方向に直角な方向成分の力)は、第1コラムチューブあるいは第2コラムチューブに取り付けられた補助ブラケットに形成されたガイド通路とその中に配されたガイド部材との係合部分に作用する。ここで、上記ガイド通路は第1コラムチューブの軸方向に対して傾斜した傾斜部分を有し、この傾斜部分にてガイド部材と係合している。よって、軸直角方向衝撃力またはその反力は上記係合部分にて第1コラムチューブの軸方向に平行な方向に作用する力と垂直な方向に作用する力とに分解される。つまり、軸直角方向衝撃力は上記係合部分にて少なくともその一部が第1コラムチューブの軸方向に平行な方向に作用する力に変換される。このように変換された力は軸方向衝撃力と同様に第1コラムチューブの移動開始荷重として働く。したがって、本発明の車両用ステアリング装置は、軸方向衝撃力に加えて軸直角方向衝撃力の一部の力も移動開始荷重として作用させることが可能となり、第1コラムチューブを軸方向へ移動させるための十分な移動開始荷重を得ることができる。
また、本発明の車両用ステアリング装置は、前記第1コラムチューブを車体側部材に固定するとともに前記第1コラムチューブの軸方向に所定の荷重が加えられたときに上記固定を解除する離脱用ブラケットをさらに備えるものであってもよい。この離脱用ブラケットはいわゆるブレークアウエイブラケットと呼ばれるもので、このブレークアウエイブラケットによる第1コラムチューブと車体側部材との固定が解除されることにより第1コラムチューブは移動可能となる。したがって、離脱用ブラケットが設けられている車両用ステアリング装置にあっては、第1コラムチューブを移動するために上記ブレークアウエイブラケットによる車体とコラムチューブとの固定を解除する力(これを離脱荷重と呼ぶ)が必要となる。この離脱荷重が第1コラムチューブを軸方向へ移動させるための移動開始荷重となる。
離脱用ブラケットによる第1コラムチューブと車体側部材との固定は、一般的に第1コラムチューブの軸方向に作用する力によって離脱ブラケットと車体側部材との固定部分をせん断破壊することにより解除される。したがって、このような離脱用ブラケットを有する車両用ステアリング装置に本発明を適用すれば、車両用ステアリング装置に作用する衝撃力のうちの軸方向衝撃力のみならず軸直角方向衝撃力をも離脱荷重として利用することができるので、十分に移動開始荷重としての離脱荷重を確保し得る車両用ステアリング装置とすることができる。
上記ステアリングシャフトは、操舵ハンドルに連結され、操舵ハンドルの操舵操作により回転して操舵ハンドルの操舵操作量(例えば回動操作量)を転舵装置などに伝達するためのものである。このステアリングシャフトは、操舵ハンドル側から加えられた衝撃力によって移動するように構成されている。このときステアリングシャフトの全体が軸方向に移動してもよいし、あるいはステアリングシャフトを操舵ハンドル側に連結した第1シャフトと転舵機構側(あるいはインターミディエイトシャフト側)に連結した第2シャフトとに分割した分割構造とし、第1シャフトが第2シャフトに対して軸方向移動可能となるように構成してもよい。
上記第1コラムチューブは、ステアリングシャフトのうちの少なくとも操舵ハンドル側から加えられた衝撃力によって移動する部分を回転可能且つ軸方向移動不能に支持していればよい。また第1コラムチューブは、第2コラムチューブよりも操舵ハンドルに近い側に配置するコラムチューブ、つまりアッパ側のコラムチューブであるのがよい。
上記第2コラムチューブは第1コラムチューブよりも操舵ハンドルから遠い側に配置するコラムチューブ、つまりロア側のコラムチューブであるのがよい。また、第2コラムチューブは、第1コラムチューブと軸方向に一部重複する重複部を有するように第1コラムチューブと同軸的に配置されており、第1コラムチューブとともにステアリングシャフトを覆うように配置される。また、第1コラムチューブは第2コラムチューブに対して移動可能とされる。この場合、第1コラムチューブと第2コラムチューブとが上記重複部にて固定されており、所定の軸方向荷重が加えられたときに上記固定が解除されて初めて第1コラムチューブが第2コラムチューブに対して軸方向移動可能となるような構成でもよいし、もともと第1コラムチューブと第2コラムチューブとが軸方向に相対移動可能に構成されていてもよい。なお、上記重複部は、車両用ステアリング装置の搭載性の問題や全体重量の問題から、短く設計するのがよい。本発明においては上記重複部を短く設計しても、ガイド通路とガイド部材との係合により第1コラムチューブが第2コラムチューブに対して大きくこじれることがない。
上記離脱用ブラケットは、第1コラムチューブと離脱用ブラケットとの固定部分が離脱することにより上記固定を解除してもよいし、離脱用ブラケットと車体側部材との固定部分が離脱することにより上記固定を解除してもよい。また、上記固定を解除した場合であって第1コラムチューブが移動しているときに、上記移動に対する抵抗を付与することによって車両用ステアリング装置に加えられた衝撃力を吸収する衝撃吸収構造を採用しているものであってもよい。
上記固定ブラケットは、第2コラムチューブの軸方向移動を防止し得るように第2コラムチューブを車体側部材に固定するものであればよい。したがって、この固定ブラケットを中心に第2コラムチューブが傾動することによって車両用ステアリング装置がチルト作動を行うことができるような固定ブラケットを使用してもよい。
上記ガイド通路は、内部に配置されたガイド部材がガイド通路に沿って移動することにより第1コラムチューブの移動方向がガイドされるように構成されていればよく、長尺状の有底溝でもよいし、長孔でもよい。また、上記ガイド通路は、上記傾斜部位に加え、この傾斜部位に連続して形成されるとともに、第1コラムチューブの軸方向に略平行な平行部位を有するものであるとよい。これによれば、上記傾斜部位にて第1コラムチューブの軸方向に直角な方向成分の力が平行な方向の力に変換され、第1コラムチューブが十分な移動開始荷重を得て移動を開始し、その後に上記平行部位内をガイド部材が移動することにより第1コラムチューブの移動方向が第2コラムチューブの軸方向に沿うように第1コラムチューブがガイドされる。よって、第1コラムチューブの移動時に第1コラムチューブが第2コラムチューブに対して大きく傾斜してこじれが発生することを抑制することができる。また、上記平行部位は、厳密に第1コラムチューブの軸方向に平行でなくてもよい。例えば第1コラムチューブが第2コラムチューブに対して僅かに傾いた状態である場合に、上記平行部位は第2コラムチューブに平行となる程度に第1コラムチューブの軸方向に対して傾斜していてもよい。
上記ガイド部材は、上述のようにガイド通路内を移動するとともに、上記ガイド部材または上記ガイド通路に移動方向と異なる方向から力が加えられた場合には、上記ガイド通路の通路壁と係合するものであるとよい。このガイド部材は、第1コラムチューブあるいは第2コラムチューブに直接取り付けられていてもよいし、また取付部材などを介して取り付けられていてもよい。
上記傾斜部位では上述のようにガイド部材との係合により、車両用ステアリング装置に第1コラムチューブの軸方向に対して傾斜した方向から力が加えられた場合に、第1コラムチューブの軸方向に直角な方向成分の力の一部が第1コラムチューブの軸方向に平行な方向に作用する力に変換される。上記傾斜部位は、変換された力が第1コラムチューブから第2コラムチューブに向かう方向に作用する力となるように傾斜しているのがよい。傾斜部位が第1コラムチューブの軸方向に対してどちらに傾斜しているかは、ガイド通路およびガイド部材に作用する力の方向や、第1コラムチューブにガイド通路側が設けられているかガイド部材側が設けられているかにより異なるため一概には定義することはできないが、ガイド通路あるいはガイド部材のうち、力を作用する側が力を作用される側に対して上記係合によって第1コラムチューブから第2コラムチューブ側に向かう方向であって第1コラムチューブの軸方向に沿った方向に移動するような力を受けるように、傾斜部位が傾斜しているのがよい。
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態に係る車両用ステアリング装置について図面を用いて説明する。図1は、本実施形態のステアリング装置が車両に取り付けられた状態を示す図である。この車両用ステアリング装置(以下、単にステアリング装置と呼ぶ)1は、インストルメントパネルリインフォースメントIRに設けられるステアリングサポート部材SSに支持される。インストルメントパネルリインフォースメントIRやステアリングサポート部材SSは、車体側に固定的に配置している車体側部材である。また、ステアリング装置1は、車両後方側に位置する部分がインストルメントパネルIPから車両後方側に突出する状態とされる。その突出する後端部には操舵ハンドルHが取り付けられており、ステアリング装置1は操舵ハンドルHを操舵可能に保持するものとなっている。図からわかるように、ステアリング装置1は、車両の進行方向(車両後方側から車両前方側に向かう方向:x軸方向)に対して操舵ハンドルH側が上方向となるように傾斜して配置されている。ステアリング装置1のインストルメントパネルIPから突出する部分は、コラムカバーCCによって覆われ、また、下部は、ロアカバーLCによってカバーされる。ステアリング装置1の前端部(車両前方側端部)は、図示を省略するインターミディエイトシャフトを介して車室外に設けられる転舵装置に接続される。
図2は、本実施形態に係るステアリング装置1の側面図である。なお、図1、図2ならびに後述する各図において、車両の前進方向である水平方向はx軸方向として、鉛直方向はy軸方向として示す。図1および図2に示すようにステアリング装置1は、ステアリングシャフト10とコラムチューブ20とを有する。ステアリングシャフト10は一端が操舵ハンドルHに同軸的に連結されており、操舵ハンドルHの操舵操作(回動操作)に伴って回転する。また、ステアリングシャフト10の他端は図示を省略する上記インターミディエイトシャフトに自在継手を介して連結される。
このステアリングシャフト10は、本実施形態では第1シャフト11と第2シャフト12の2つに分割可能に構成されている。第1シャフト11は操舵ハンドルに同軸的に且つ一体回転可能に連結され、第2シャフト12は図示しないインターミディエイトシャフトに連結される。第1シャフト11および第2シャフト12はコラムチューブ20内で一体回転可能に嵌合固定された状態となっている。この場合、両シャフト11,12の軸方向に相対荷重が付与されていない場合あるいは一定の荷重以下の荷重が付与されている場合には両シャフト11,12の固定は解除されずに軸方向の相対移動は不能とされ、上記一定の荷重よりも大きい荷重が付与された場合には上記固定が解除されて軸方向の相対移動が可能となるように、両シャフト11,12が嵌合されている。もっとも、後述の第3実施形態のようにテレスコピック作動を可能とする構成にあっては、例えばスプライン嵌合により両シャフト11,12は一体回転可能且つ軸方向相対移動が常に可能となるような状態で連結される。
コラムチューブ20も第1コラムチューブ21と第2コラムチューブ22とに分割されている。第1コラムチューブ21と第2コラムチューブ22はともに筒状に形成されている。第1コラムチューブ21は第1シャフト11の外周を覆うように配置されており、ベアリングなどの軸受けを介して第1シャフト11を回転可能且つ軸方向移動不能に支持している。第2コラムチューブ22は第2シャフト12の外周を覆うように配置されており、ベアリングなどの軸受けを介して第2シャフト12を回転可能且つ軸方向移動不能に支持している。また、図2に示すように、第1コラムチューブ21の内径は第2コラムチューブ22の外径よりも大きくされている。そして、第2コラムチューブ22の一方端22aが第1コラムチューブ21の一方端21a側から第1コラムチューブ21内に挿入されており、この挿入によって第2コラムチューブ22は第1コラムチューブ21と軸方向に亘って径方向に一部重複した重複部Wを形成するように同軸配置され、且つ第1コラムチューブ21が軸方向に相対移動可能となるように第1コラムチューブ21に連結される。重複部Wには例えば樹脂材料で形成されたライナが介在している。
図1に示すように、ステアリングサポート部材SSには離脱用ブラケットとしての第1ブラケット31および固定ブラケットとしての第2ブラケット32が固定されている。第1ブラケット31は第1コラムチューブ21の両側方に延びて第1コラムチューブ21を挟むように配置している。第1ブラケット31は、ステアリングサポート部材SSに固定された固定部31aと、この固定部31aから第1コラムチューブ21の両側方に延びて形成された一対の平板部31bとを備えている。第1ブラケット31は後述するように第1コラムチューブ21をステアリングサポート部材SSに固定するとともに、第1コラムチューブ21に所定の軸方向荷重が加えられたときに固定部31aとステアリングサポート部材SSとの固定部分が剪断破壊されて、第1コラムチューブ21とステアリングサポート部材SSとの固定が解除されるようになっている。すなわち、この第1ブラケット31はいわゆるブレークアウエイブラケットとして機能する。
また、第1コラムチューブ21にはコラム側ブラケット23が取り付けられている。このコラム側ブラケット23は第1ブラケット31と第1コラムチューブ21との間に介在し、第1ブラケット31と第1コラムチューブ21とを連結するための中間部材としての働きをする。
第1ブラケット31の平板部31bには図に示すように第1コラムチューブ21の軸方向に対して略鉛直であって若干時計回り方向に傾いたチルト用長孔31cが形成されている。また、コラム側ブラケット23の側面には図示しない円孔が貫通して形成されている。そして、このチルト用長孔31cおよび上記円孔にピン部材24が挿通している。これによりピン部材24は第1ブラケット31およびコラム側ブラケット23を第1コラムチューブ21の側方から貫通する。ピン部材24は、図示しない締結部材によって締め付けられることにより第1ブラケット31の平板部31bを第1コラムチューブ21の両側から挟み込む。このため第1ブラケット31がコラム側ブラケット23を挟み込んで挟着力を発生し、この挟着力によって第1コラムチューブ21がコラム側ブラケット23を介して第1ブラケット31に固定される。このようにして第1コラムチューブ21が第1ブラケット31に固定されることにより、第1コラムチューブ21は第1ブラケット31を介してステアリングサポート部材SSに固定される。一方、この挟着力が解除された場合には第1コラムチューブ21は第1ブラケット31との固定が解除され、第1コラムチューブ21は第1ブラケット31に対して移動可能となる。上記挟着力の付与および解除は、図示しないレバー部材により行われる。
第2コラムチューブ22は図2に示すように左端上方付近に第2ブラケット32を取り付けるための支持部22bが形成されている。この支持部22bには貫通孔22cが形成されている。一方、第2ブラケット32は図1に示すように一端側がステアリングサポート部材SSに固定されているとともに、他端には貫通孔32aが形成されている。そして、支持部22bの貫通孔22cと第2ブラケット32の貫通孔32aとが同軸的になるように両者を配置した状態で、図示しないチルトピンが両貫通孔22c、32aに挿通されている。したがって、ステアリング装置1は両貫通孔22c、32aを挿通するチルトピンを中心に揺動可能にステアリングサポート部材SSに固定されていることになる。そして、運転者が図示しないレバー部材の操作により第1ブラケット31とコラム側ブラケット23との間の挟着力を解除し、挟着力が解除された状態で運転者が操舵ハンドルHを上下方向に傾動させることによりチルト作動が達成される。このときピン部材24がチルト用長孔31c内を移動することにより円滑なチルト作動が行われる。
第1コラムチューブ21の図示左端(一方端21a)の下方側には一対の補助ブラケット40が平行に配置した状態で取り付けられている。この補助ブラケット40は、図2に示すように、第1コラムチューブ21の左方下側から鉛直下方に延びた第1部分41と、上記第1部分41の図示下端から第1コラムチューブ21の軸方向に平行で且つ第2コラムチューブ22側に向かう方向に延びた第2部分42と、第2部分42の先端に形成され第2部分42から図示下方に傾斜するように折れ曲がった第3部分43を有しており、このような形状の一対の補助ブラケット40が図から見た方向に重なるように平行配置している。また、第2部分42および第3部分43には長孔44が形成されている。この長孔44は、図に示すようにステアリング装置1の側方に貫通し、第2部分42に沿って第1コラムチューブ21の軸方向に平行な方向に延びて形成された水平孔部44aと、上記水平孔部44aに連続して形成されるとともに、第3部分43に沿って第1コラムチューブ21の軸方向から所定角度だけ傾斜した方向に延びて形成された傾斜孔部44bとを有する。本実施形態では傾斜孔部44bの傾斜方向は、車両後方側から車両前方側に向かって第1コラムチューブ21の軸方向に対して下方に進むように傾斜している。長孔44は、第1コラムチューブ21が軸方向移動するためのガイド通路として機能する。また、傾斜孔部44bが本発明の傾斜部位に相当し、水平孔部44aが本発明の平行部位に相当する。
また、第2コラムチューブ22の下方には取付部材50が取り付けられている。この取付部材50は一対の補助ブラケット40の第3部分43の間に挟まれるように配置しているとともに、その両側方にガイドピン51が穿設されている。ガイドピン51は図に示すように補助ブラケット40に形成された長孔44の傾斜孔部44b内に移動可能となるように配されており、この傾斜孔部44bの周縁部分と係合した状態とされている。ガイドピン51が本発明のガイド部材に相当する。
このような構成のステアリング装置1において、車両後方側(操舵ハンドル側)から衝撃力が操舵ハンドルHに作用すると、この衝撃力によってステアリングサポート部材SSと第1ブラケット31との固定が解除され、第1コラムチューブ21が第2コラムチューブ22に向かって移動し、また第1シャフト11が第2シャフト12に向かって移動する。この移動により操舵ハンドルHが車両前方側に移動する。この移動過程中に図示しない衝撃吸収構造により衝撃力が吸収される。
図3は、本実施形態のステアリング装置1において、衝撃力が車両後方側から作用したときの初期状態を示す側面図(図3(a))および、第1コラムチューブ21が上記衝撃力によって移動して最終的な位置まで移動したときの状態を示す側面図(図3(b))である。上述のようにステアリング装置1は車両の進行方向(水平方向)に対して操舵ハンドル側が上方向となるように傾斜して配置されており(図1参照)、このような配置構造を採っているステアリング装置1に車両後方側から水平方向に衝撃力Fが付与された場合には、衝撃力Fは図3に示すようにステアリング装置1に対して操舵ハンドル側から第1コラムチューブ21の軸方向に対して斜め上方向に傾斜した方向に作用することになる。この衝撃力Fは第1コラムチューブ21の軸方向に平行な方向の力である軸方向衝撃力Faと、上記軸方向に直角な方向の力である軸直角方向衝撃力Fbとに分解することができる。
軸方向衝撃力Faは第1コラムチューブ21の軸方向に平行な方向に作用する力であるので、第1コラムチューブ21をステアリングサポート部材SSから離脱させるための離脱荷重(移動開始荷重)として第1ブラケット31に作用する。一方、軸直角方向衝撃力Fbは、操舵ハンドル側の部分に対して図3において上方向に作用し、これにより第1コラムチューブ21は第2コラムチューブ22との重複部Wを中心に図示反時計回りに回転しようとする。このため第1コラムチューブ21の操舵ハンドルに近い側(重複部Wよりも操舵ハンドル側)は図示矢印Aで示すように上方向に持ち上げられる方向に力を受け、一方補助ブラケット40(重複部Wよりも第2コラムチューブ22側)は図の矢印Bに示すように押し下げられる方向に力を受ける。補助ブラケット40を押し下げる力は補助ブラケット40の長孔44に挿通しているガイドピン51に伝達され、補助ブラケット40はこのガイドピン51からの反力FRを受ける。
ここで、ガイドピン51は傾斜孔部44bの周縁部分と係合しているので、ガイドピン51から受ける反力FRはこの傾斜孔部44bの周縁部分から傾斜孔部44bの軸方向に対して直角方向に作用する。傾斜孔部44bはその軸方向が第1コラムチューブ21の軸方向に対して傾斜しているため、反力FRはさらに第1コラムチューブ21の軸方向に作用する第1反力FR1と、第1反力FR1に直交する方向に作用する第2反力FR2に分解することができる。分解された力のうち第1反力FR1の作用方向は図3からわかるように軸方向衝撃力Faと同一の方向である。つまり、軸直角方向衝撃力Fbから受ける反力FRはガイドピン51と傾斜孔部44bとの係合によってその一部が第1コラムチューブ21の軸方向と平行方向に作用する力である第1反力FR1に変換される。そして、この第1反力FR1も、軸方向衝撃力Faと同様に第1ブラケット31をステアリングサポート部材SSから離脱するときの離脱荷重(移動開始荷重)として第1ブラケット31に作用する。
このように、本実施形態のステアリング装置1は、軸方向衝撃力Faに加えて第1反力FR1が離脱荷重(移動開始荷重)として働いて第1ブラケット31のステアリングサポート部材SSからの離脱を助成するため、第1ブラケット31には大きな力が作用し、この作用力が所定の設定荷重を超えるとステアリングサポート部材SSと固定部31aとの固定部分が剪断破壊され、第1コラムチューブ21がステアリングサポート部材SSから離脱する。
こうして第1ブラケット31がステアリングサポート部材SSから離脱すると、上記軸方向衝撃力Faにより第1コラムチューブ21が第2コラムチューブ22に沿って移動する。このときガイドピン51が長孔44の傾斜孔部44bから水平孔部44aに移行し、この水平孔部44a内をガイドピン51が移動することにより第1コラムチューブ21の進行方向がガイドされる。よって、第1コラムチューブ21が軸直角方向衝撃力Fbの影響によって第2コラムチューブ22の軸方向に対して大きく傾斜することが防止され、これによりこじれの発生を防止または抑制することができる。なお、本実施形態においてガイドピン51が傾斜孔部44bを進行する過程で第1コラムチューブ21が第2コラムチューブ22に対して若干傾くので、その後第1コラムチューブ21は上記傾きを保った状態で第2コラムチューブ22に対して移動していく。しかし、この傾きは図に示すように微小であって、重複部W内に配される樹脂ライナの変形により吸収される。このため第1コラムチューブ21は実質的にこじりによる抵抗を生じることなく移動することができる。
そして、ガイドピン51が長孔44の水平孔部44aの後端部にまで到達した段階で第1コラムチューブ21の移動が停止する。この状態が図3(b)に示す状態である。このような第1コラムチューブ21の移動過程において、エネルギー吸収プレートなどの衝撃吸収機構などによって第1コラムチューブ21が第2コラムチューブ22に沿って移動する際における移動抵抗を与えることにより、車両後方側から作用する衝撃力が吸収される。
図4は、補助ブラケット40の長孔44の形状を第1コラムチューブ21の軸方向に平行な形状にした場合、つまり長孔44の形状を本実施形態における水平孔部44aのみの形状とした場合のステアリング装置Cを示す側面図である。このステアリング装置Cは本実施形態のステアリング装置1に対する比較例としてのステアリング装置であり、ステアリング装置1と同一部分については同一符号で図示する。図5は、比較例に係るステアリング装置Cに車両後方側から衝撃力が加えられて第1コラムチューブ21が移動する際における初期状態(図5(a)および最終状態(図5(b))を示す側面図である。図5(a)からわかるように、ステアリング装置Cに車両後方側から車両の進行方向に向かう衝撃力Fが加えられた場合、この衝撃力Fはステアリング装置Cに対して斜め上方作用する。
衝撃力Fは軸方向衝撃力Faと軸直角方向衝撃力Fbとに分解することができる。そして、軸直角方向衝撃力Fbによって重複部Wを中心に反時計回り方向に回転するような回転力が第1コラムチューブ21に作用する。この回転力により第1コラムチューブ21の操舵ハンドルに近い側は図の矢印Cに示すように押し上げられる方向に力を受け、一方補助ブラケット40は図の矢印Dに示すように押し下げられる方向に力を受ける。補助ブラケット40に作用する力は補助ブラケット40の長孔44に挿通しているガイドピン51に伝達され、補助ブラケット40はこのガイドピン51からの反力FRを受ける。ここまでの作用は上記第1実施形態に係るステアリング装置1の場合と同じである。
しかし、比較例のステアリング装置Cにおいてはガイドピン51が係合している長孔44が第1コラムチューブ21の軸方向に水平に延びているので、ガイドピン51から受ける反力FRの作用方向が第1コラムチューブ21の軸方向と直角な方向となり、反力FRは第1コラムチューブ21の軸方向の成分を含まない。このため比較例のステアリング装置Cにおいては軸直角方向衝撃力Fbが第1コラムチューブ21の軸方向に作用する力に変換されることはない。したがって、比較例のステアリング装置Cは第1ブラケット31の離脱荷重を軸方向衝撃力Faのみで賄わなければならない。
本実施形態のステアリング装置1と比較例のステアリング装置Cとを比較すると、本実施形態のステアリング装置1は軸直角方向衝撃力Fbの一部(第1反力FR1)が第1ブラケット31の離脱荷重に寄与するが、比較例のステアリング装置Cは軸直角方向衝撃力Fbが離脱荷重に寄与することはない。よって、本実施形態のステアリング装置1と比較例のステアリング装置Cに同一の大きさの衝撃力が同一方向から作用した場合には、本実施形態のステアリング装置1において第1ブラケット31の離脱に寄与する力は比較例のステアリング装置Cにおいて第1ブラケット31の離脱に寄与する力より大きくなる。つまり、離脱荷重を同一とすれば、本実施形態のステアリング装置1においては小さな衝撃力で第1ブラケット31が離脱することになる。
図6は、本実施形態のステアリング装置1および比較例のステアリング装置Cにおいて、第1コラムチューブ21に作用する衝撃力(荷重)の大きさを、第1コラムチューブ21の移動量(ストローク量)を横軸として示したグラフである。グラフ中、ピーク値を示す荷重が離脱荷重に該当する。図6からわかるように、比較例のステアリング装置Cでは実質的に大きな衝撃荷重を第1コラムチューブに作用させなければ離脱荷重に到達しないが、本実施形態のステアリング装置1は軸直角方向衝撃力の一部も離脱荷重に寄与し得るため実質的に小さな衝撃荷重を作用させるのみで離脱荷重に到達する。
第1ブラケット31の離脱荷重は第1シャフト11および第1コラムチューブ21の移動が実質的に開始するときの荷重(移動開始荷重)であって、これが極端に大きいと第1コラムチューブ21の移動が阻止されるかあるいは移動による衝撃力の吸収効率が悪化する。特に、ステアリング装置Cのような構造では、軸直角方向衝撃力は第1ブラケット31の離脱を妨げる力として働くために離脱荷重に達するための衝撃力が大きくなる。つまり、第1ブラケット31を離脱させるための実質的な荷重も大きくなる。これに対して本実施形態のステアリング装置1は軸直角方向衝撃力を離脱荷重に寄与する力に変換してしまうので、第1ブラケット31の離脱の妨げとなる軸直角方向衝撃力も小さくなる。よって、第1ブラケット31を離脱させるための実質的な荷重が過度に大きくなることはない。このため離脱後の第1コラムチューブ21の移動過程にて衝撃吸収機構などによって効率的に衝撃力を吸収することができる。
以上のように、本実施形態のステアリング装置1は、第1コラムチューブ21に取り付けられた補助ブラケット40を有しており、この補助ブラケット40にはガイド通路としての長孔44が形成されている。さらに、長孔44は第1コラムチューブ21の軸方向に対して傾斜した傾斜孔部44bを有しており、この傾斜孔部44bにガイドピン51が配設されている。そして、ステアリング装置1に操舵ハンドル側(車両後方側)から第1コラムチューブ21の軸方向に対して傾斜した方向に衝撃力Fが加えられたときに、傾斜孔部44bとガイドピン51との係合部分において軸直角方向衝撃力Fbが第1コラムチューブ21の軸方向に平行な方向に作用する力(第1反力FR1)に変換される。したがって、ステアリング装置1には上記衝撃力のうちの軸方向衝撃力Faに加えてこのように変換された反力FR1も離脱荷重(移動開始荷重)として作用するために、十分な離脱荷重(移動開始荷重)を確保することができる。また、第1ブラケット31の離脱の妨げとなる軸直角方向衝撃力を第1ブラケット31の離脱を促進する力に変換するので、軸直角方向衝撃力による第1ブラケット31の離脱の妨げとなる力を減少することができる。よって、第1ブラケット31を離脱させための実質的な荷重が過度に大きくなることはなく、その後の第1コラムチューブ21の移動過程にて衝撃吸収機構などによって効率的に衝撃力を吸収することができる。
また、重複部Wの長さが短い場合であってもガイドピン51が長孔44内を移動することによって第1コラムチューブ21の移動がガイドされるので、こじれによる大きな移動抵抗力を発生することなく第1コラムチューブ21を移動させることができる。さらに、重複部Wを短くしつつ第1コラムチューブ21の安定的な移動を達成することで、ステアリング装置1の全長を短くすることができ、狭いスペースにもステアリング装置1を搭載することができる。さらに、重複部Wを短くすることによりコラムチューブ20が二重になる部分の長さが減るので、ステアリング装置1の質量を軽くすることができる。
(変形例1)
図7は、本実施形態の変形例を示すステアリング装置1aの側面図である。このステアリング装置1aは上記第1実施形態のステアリング装置1と同様に第1コラムチューブ21に取り付けられた補助ブラケット40を有しており、この補助ブラケット40には水平孔部44aおよび傾斜孔部44bを持つ長孔44が形成されている。しかし、水平孔部44aの軸方向は第1コラムチューブ21の軸方向と完全に一致してはおらず、傾斜孔部44bとの連結部分から車両後方側に向かって第1コラムチューブ21の軸方向から僅かに下方側に傾斜している。したがって、長孔44は、図に示すように傾斜孔部44bと水平孔部44aとで「へ」の字状の孔形状を呈するように形成されている。その他の構成については上記第1実施形態のステアリング装置1の各構成と同一であるので、同一部分については同一符号で示してその具体的説明は省略する。
図8は、本例のステアリング装置1aに車両後方側から衝撃力が加えられて第1コラムチューブ21が移動する際における初期状態(a)および最終状態(b)を示す側面図である。図8(a)に示すように、第1コラムチューブ21に衝撃力Fが斜め上方(第1コラムチューブ21の軸方向から傾斜した方向)から作用すると、この衝撃力Fは軸方向衝撃力Faおよび軸直角方向衝撃力Fbに分解でき、分解した力のうち軸方向衝撃力Faが離脱荷重に寄与する。また、軸直角方向衝撃力Fbの一部がガイドピン51と長孔44の傾斜孔部44bとの係合部位にて第1反力FR1に変換され、この第1反力FR1も離脱荷重に寄与する。
第1反力FR1が発生している間は、ガイドピン51が傾斜孔部44bを車両前方側から車両後方側に向かって移動するが、傾斜孔部44bの軸方向と第1コラムチューブ21の軸方向とは一致していないために、ガイドピン51が傾斜孔部44b内を移動するにつれて第2コラムチューブ22に対して第1コラムチューブ21が傾いていく。したがって、ガイドピン51が傾斜孔部44bをほぼ駆け上がった図8(a)に示すような状態では、第1コラムチューブ21は第2コラムチューブ22に対して車両後方側から車両前方側に向かって下方側にわずかに傾斜する。
この場合において、本例では長孔44の水平孔部44aが第1コラムチューブ21に対して傾いており、且つこの傾斜方向は、第1コラムチューブ21が第2コラムチューブ22に対して傾斜している方向とは反対方向である。したがって、図8(a)に示す状態では水平孔部44aは第2コラムチューブ22に対してはほぼ平行となる。このため図8(a)に示す状態から衝撃力によりさらに第1コラムチューブ21が第2コラムチューブ22に向かって移動する場合、第2コラムチューブ22の軸方向と平行とされた長孔44の水平孔部44aに沿ってガイドピン51が移動することにより、第1コラムチューブ21は第2コラムチューブ22に対して平行に移動する。よって、第1コラムチューブの移動中は、第1コラムチューブ21の内壁と第2コラムチューブ22の外壁との干渉量がほぼ一定とされ、上記移動中における上記壁面間の摩擦力をほぼ一定とすることができる。
(変形例2)
図9の(a)〜(d)は、本実施形態の別の変形例を示すステアリング装置1bの様々な状態における側面図である。このステアリング装置1bも変形例1に係るステアリング装置1aと同様に第1コラムチューブ21に取り付けられた補助ブラケット40を有している。この補助ブラケット40には水平孔部44aおよび傾斜孔部44bを有する長孔44が形成されているが、本例における水平孔部44aは上記第1実施形態および変形例1に係るステアリング装置に形成された水平孔部44aよりも幅広に形成されている。また、幅広の水平孔部44aと傾斜孔部44bとの連結部分における長孔44の周縁には、図に示すように山部44cが形成される。その他の構成については上記第1実施形態と同様であるので、同一部分には同一符号で示してその具体的説明を省略する。
図9(a)は、ステアリング装置1bの通常の状態を示す側面図である。図9(b)は、図9(a)に示す状態において、操舵ハンドル側(車両後方側)から車両の進行方向に衝撃力Fがステアリング装置1bに加えられた場合の初期状態を示す側面図である。この衝撃力Fは図9(b)に示すように第1コラムチューブ21にとっては斜め上方に作用する。したがって、衝撃力Fは軸方向衝撃力Faおよび軸直角方向衝撃力Fbに分解することができる。分解された力のうち、軸方向衝撃力Faが離脱荷重に寄与する。また、軸直角方向衝撃力Fbの一部がガイドピン51と長孔44の傾斜孔部44bとの係合部位にて第1反力FR1に変換され、この第1反力FR1も離脱荷重に寄与する。
図9(b)の状態において、傾斜孔部44bに配されたガイドピン51は山部44cを乗り越えるように傾斜孔部44bを移動する。この移動に伴って第1コラムチューブ21が第2コラムチューブ22に対してわずかに傾斜する。山部44cを乗り越えたガイドピン51は図9(c)に示すように水平孔部44aの下辺に係合する。ガイドピン51が水平孔部44aの下辺に係合すると、第1コラムチューブ21が第2コラムチューブ22の軸方向に対して傾いた状態が矯正されて、第1コラムチューブ21の軸方向が再び第2コラムチューブ22の軸方向と一致する。そして、このように軸方向が一致した状態で第1コラムチューブ21がさらに移動して、最終的に図9(d)に示すような状態となる。
このように、本例においては、第1コラムチューブ21の傾きを矯正することができるため、第1コラムチューブ21が第2コラムチューブ22に対して移動しているときに両者の接触によって所定以上の摩擦力が発生することはない。
(変形例3)
図10の(a)〜(d)は、本実施形態のさらに別の変形例を示すステアリング装置1cの様々な状態における側面図である。このステアリング装置1cも変形例1および2に係るステアリング装置1aや1bと同様に第1コラムチューブ21に取り付けられた補助ブラケット40を有している。この補助ブラケット40には長孔44が形成されている。本例において長孔44は、水平孔部44aと、傾斜孔部44bと、連結孔部44dとを有する。連結孔部44dは水平孔部44aと傾斜孔部44bとの間に形成されていて、水平孔部44aと傾斜孔部44bとを連結する部分である。本例では水平孔部44aが第1実施形態における水平孔部44aよりも下側に形成されているために、連結孔部44dは傾斜孔部44bと逆方向に傾斜しており、このため長孔44は全体的にみて図示左側の部分が蛇行しているような形状に形成される。その他の構成については上記第1実施形態と同様であるので、同一部分には同一符号で示してその具体的説明を省略する。
図10(a)は、ステアリング装置1cの通常の状態を示す側面図である。図10(b)は、図10(a)に示す状態において、操舵ハンドル側(車両後方側)から車両の進行方向に衝撃力Fがステアリング装置1cに加えられた場合の初期状態を示す側面図である。この衝撃力は図10(b)に示すように第1コラムチューブ21にとっては斜め上方に作用する。したがって、衝撃力Fは軸方向衝撃力Faおよび軸直角方向衝撃力Fbに分解できる。分解された力のうち、軸方向衝撃力Faは離脱荷重に寄与する。また、軸直角方向衝撃力Fbの一部がガイドピン51と長孔44の傾斜孔部44bとの係合部位にて第1反力FR1に変換され、この第1反力FR1も離脱荷重に寄与する。
図10(b)の状態において、衝撃力によって傾斜孔部44bに配されたガイドピン51が傾斜孔部44bを移動する際に、第1コラムチューブ21が第2コラムチューブ22に対して僅かに傾くが、ガイドピン51が傾斜孔部44bから連結孔部44dに移行し、さらに水平孔部44aに移るときに上記の傾きが矯正されて、図10(c)に示すように第1コラムチューブ21が第2コラムチューブ22と平行になる。そして、このように軸方向が一致した状態で第1コラムチューブ21がさらに移動して、最終的に図10(d)に示すような状態となる。
このように、本例においても上記変形例2と同様に、第1コラムチューブ21の傾きを矯正することができるため、第1コラムチューブ21が第2コラムチューブ22に対して移動しているときに両者の接触によって大きな摩擦力が発生することはない。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について説明する。図11は、本実施形態に係るステアリング装置2の側面図である。なお、本実施形態のステアリング装置2において、上記第1実施形態で示したステアリング装置1と共通する部分については共通の符号で示してその具体的説明を省略し、差異点を中心に説明する。
本実施形態のステアリング装置2も第1実施形態のステアリング装置1と同様に、第1コラムチューブ21と第2コラムチューブ22とを有する。ただし、本実施形態のステアリング装置2においては第1コラムチューブ21の外径が第2コラムチューブ22の内径よりも小さくされており、上記第1実施形態のステアリング装置1とは逆に第1コラムチューブ21が第2コラムチューブ22内に挿入されており、この挿入によって第2コラムチューブ22は第1コラムチューブ21と軸方向に亘って径方向に一部重複した重複部Wを形成するように同軸配置している。また、本実施形態のステアリング装置2においては、一対の補助ブラケット40が第2コラムチューブ22に取り付けられ、取付部材50が第1コラムチューブ21に取り付けられている。
一対の補助ブラケット40は、第2コラムチューブ22の右端側の上部から鉛直上方に延びた第1部分41と、上記第1部分41の図示上端から第2コラムチューブ22の軸方向に平行で且つ第1コラムチューブ21に向かう方向に延びた第2部分42と、第2部分42の先端に形成され第2部分42から図示下方に傾斜するように折れ曲がった第3部分43を有している。また、一対の補助ブラケット40は、図の方向から見て重なるように平行に配置した状態で第2コラムチューブ22に取り付けられている。第2部分42および第3部分43には長孔44が形成されている。この長孔44は、図に示すように第2部分42に沿って第1コラムチューブ21の軸方向に延びて形成された水平孔部44aと、上記水平孔部44aに連続して形成されるとともに、第3部分43に沿って第1コラムチューブ21の軸方向から所定角度だけ傾斜した方向に延びて形成された傾斜孔部44bとを有する。本実施形態では傾斜孔部44bの傾斜方向は、車両前方側から車両後方側に向かって第1コラムチューブ22の軸方向に対して下方に進むように傾斜している。
また、取付部材50は一対の補助ブラケット40の第3部分43で挟まれる位置となるように第1コラムチューブ21の上方に取り付けられている。取付部材50の両側方にはガイドピン51が穿設されている。このガイドピン51は図に示すように補助ブラケット40に形成された長孔44内に配されている。さらに、図からわかるように通常の状態においてはガイドピン51が長孔44の傾斜孔部44bに配置し、この傾斜孔部44bの周縁部分と係合している。
また、第2コラムチューブ22にはコラム側ブラケット23が取り付けられており、このコラム側ブラケット23を挟着するように第1ブラケット31が配されている。この第1ブラケット31はステアリングサポート部材に強固に固定されて固定ブラケットとして機能する。コラム側ブラケット23および第1ブラケット31の取付態様および構造については、コラム側ブラケット23が第2コラムチューブ22に取り付けられていること、および、第1ブラケット31がステアリングサポート部材に強固に固定されていて固定ブラケットとして機能すること(つまりブレークアウエイブラケットではない)以外は上記第1実施形態にて示した構造と同一であるので、その具体的説明は省略する。また、その他の構成についても上記第1実施形態と同一であるので、同一部分については同一符号で示し、その具体的説明は省略する。なお、上記第1実施形態のステアリング装置1においては第1ブラケット31がブレークアウエイブラケットに相当する構成であったが、本実施形態のステアリング装置2においてはブレークアウエイブラケットに相当する構成は存在しない。したがって、第1コラムチューブ21は、第2コラムチューブ22との連結およびガイドピン51と長孔44との係合によって支持されている状態となっている。
このような構成のステアリング装置2において、車両後方側(操舵ハンドル側)から衝撃力が操舵ハンドルに作用すると、この衝撃力によって第1コラムチューブ21が第2コラムチューブ22に向かって移動し、また第1シャフト11が第2シャフト12に向かって移動する。この移動により操舵ハンドルが車両前方に移動する。第1コラムチューブ21の移動過程中に図示しない衝撃吸収機構により衝撃力が吸収される。
図12は、本実施形態のステアリング装置2において、衝撃力が車両後方側から作用したときの初期状態を示す側面図(図12(a))および、第1コラムチューブ21が最終位置まで移動した最終状態を示す側面図(図12(b))である。第1実施形態と同様に本実施形態のステアリング装置2も車両の進行方向(水平方向)に対して操舵ハンドル側が上方向となるように傾斜して配置されているので、車両後方側から車両の進行方向の衝撃力が付与された場合には、この衝撃力Fは図12(a)に示すようにステアリング装置2に対して斜め上方向に作用する。この衝撃力Fは第1コラムチューブ21の軸方向に平行な方向の衝撃力である軸方向衝撃力Faと、上記軸方向に直角な方向の衝撃力である軸直角方向衝撃力Fbとに分解することができる。
軸方向衝撃力Faは、第1コラムチューブ21の軸方向移動を開始するための力(移動開始荷重)として直接作用する。一方、軸直角方向衝撃力Fbは、操舵ハンドル側の部分に図12において上方向に作用するため、第1コラムチューブ21は第2コラムチューブ22との重複部Wを中心に図示反時計回りに回転しようとする力を受ける。この力によって取付部材50は図の矢印Eに示すように押し上げられる方向に力を受ける。この力は取付部材50に形成されたガイドピン51から補助ブラケット40の長孔44に伝達され、取付部材50はこのガイドピン51と長孔44との係合部分から反力FRを受ける。
ここで、ガイドピン51は長孔44の傾斜孔部44bにて長孔44と係合しているので、この係合部位から受ける反力FRの方向は、傾斜孔部44bの軸方向に対して直角方向であり、この方向に作用する反力FRはさらに第1コラムチューブ21の軸方向に作用する第1反力FR1と、第1反力FR1に直交する方向に作用する第2反力FR2に分解することができる。第1反力FR1の作用方向は図からわかるように軸方向衝撃力Faと同一の方向である。つまり、第1反力FR1も、軸方向衝撃力Faと同様に第1コラムチューブ21の軸方向への移動を開始させるための移動開始荷重として取付部材50に作用する。
このように、本実施形態のステアリング装置2においては、軸方向衝撃力Faに加えて第1反力FR1も第1コラムチューブ21の移動開始荷重として働くので、移動開始荷重が大きくなる。よって、第1コラムチューブ21は大きな移動開始荷重を受けてこじることなくスムーズに軸方向移動を開始する。
こうして第1コラムチューブ21の軸方向移動が開始すると、ガイドピン51が長孔44の傾斜孔部44bから水平孔部44aに移行する。この水平孔部44a内をガイドピン51が移動することにより第1コラムチューブ21の進行方向がガイドされる。よって、第1コラムチューブ21が軸直角方向衝撃力Fbの影響によって第2コラムチューブ22の軸方向に対して大きく傾斜することが防止され、かかる傾斜によるこじれの発生を防止または抑制することができる。
そして、ガイドピン51が長孔44の後端部にまで到達した段階で第1コラムチューブ21の移動が停止する。この状態が図12(b)に示す状態である。このような第1コラムチューブ21の移動過程において、エネルギー吸収プレートなどの衝撃吸収機構により第1コラムチューブ21が第2コラムチューブ22に沿って移動するときの移動抵抗を与えることにより、車両後方側から作用する衝撃力は第1コラムチューブ21の移動過程で吸収される。
以上のように、本実施形態のステアリング装置2においても、車両後方側から第1コラムチューブ21の軸方向に対して傾斜した方向に衝撃力が加えられたときに、傾斜孔部44bとガイドピン51との係合部分において軸直角方向衝撃力Fbが軸方向の力(第1反力FR1)に変換される。したがって、軸方向衝撃力Faに加えてこのように変換された力も第1コラムチューブ21の軸方向への移動を開始させるための力(移動開始荷重)として作用するために、十分な移動開始荷重を確保することができる。
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について説明する。本実施形態のステアリング装置は、本発明の構成を採用しつつ、テレスコピック作動が可能となるステアリング装置の構成例である。
本実施形態のステアリング装置3は、第1コラムチューブ21に固定されるコラム側ブラケット23に軸方向溝を設けた点、および、補助ブラケット40が第1コラムチューブ21には取り付けられておらず、上記コラム側ブラケット23に設けられた上記軸方向溝に進退可能に取り付けられている点を主な特徴点とし、その他の構成は上記第1実施形態に係るステアリング装置1に類似する。よって、第1実施形態に係るステアリング装置1と同一な構成部分については同一符号で示してその具体的説明は省略し、以下、相違点を中心に説明する。
図13は、本実施形態に係るステアリング装置3を4つの状態にて示した側面図であり、図13(a)は通常の状態、図13(b)はチルト作動時の状態、図13(c)はテレスコピック作動時の状態、図13(d)は車両後方側からの衝撃力により第1コラムチューブ側が移動した場合の状態、をそれぞれ示す。また、図14に、第1ブラケット、コラム側ブラケットおよび補助ブラケットの分解斜視図(a)および組立図(b)を示す。
図13(a)および図14に示すように、本実施形態のステアリング装置3は、第1コラムチューブ21に取り付けられたコラム側ブラケット23および、補助ブラケット40を備えている。この補助ブラケット40は本実施形態ではコラム側ブラケット23に取り付けられている。コラム側ブラケット23は図14に示すように、その両側面にガイド溝23aが形成されている。ガイド溝23aはその溝幅が補助ブラケット40の幅よりも僅かに大きくされている。そして、ガイド溝23a内に補助ブラケット40が差し込まれることにより補助ブラケット40がコラム側ブラケット23に取り付けられる。なお、図示は省略するが、コラム側ブラケット23の上方には、第1コラムチューブ21が固定されている。
補助ブラケット40は、本実施形態では先端が折れ曲がった長尺角棒状に形成されており、図14に示すように基端部位40aと本体部位40bとを有している。図からわかるように基端部位40aは本体部位40bよりも薄く形成されている。この基端部位40aがコラム側ブラケット23のガイド溝23a内に挿入される。また、本体部位40bは、基端部位40aから平行に延びた水平部と、水平部の先端に形成され水平部から図示下方に傾斜するように折れ曲がった傾斜部を有している。また、水平部および傾斜部には長孔44が形成されている。この長孔44は、図に示すように水平部に沿って形成された水平孔部44aと、上記水平孔部44aに連続して形成されるとともに、傾斜部に沿って形成された傾斜孔部44bとを有する。本実施形態では、図13(a)に示すように補助ブラケット40をステアリング装置3に取り付けた場合に、水平孔部44aが第1コラムチューブ21の軸方向と平行になり、傾斜孔部44bが車両後方側から車両前方側に向かって第1コラムチューブ21の軸方向に対して下方に進むように傾斜するように、長孔44が形成される。
コラム側ブラケット23のガイド溝23aには第1テレスコ用長孔23bが形成されている。この第1テレスコ用長孔23bはガイド溝23aの底面に形成され、軸方向に所定の長さを有している。また、補助ブラケット40の基端部位40aには第2テレスコ用長孔40cが形成されている。この第2テレスコ用長孔40cは基端部位40aの軸方向に平行に所定の長さを持って形成されている。そして、ガイド溝23a内に補助ブラケット40の基端部位40aが差し込まれたときに、第1テレスコ用長孔23bと第2テレスコ用長孔40cが重なるようにされる。
第1ブラケット31は、コラム側ブラケット23のガイド溝23aに補助ブラケット40の基端部位40aが差し込まれた状態において、コラム側ブラケット23の両側面に平板部31bが当接するように取り付けられている。第1ブラケット31の平板部31bにはチルト用長孔31cが形成されている。そして、チルト用長孔31c、第1および第2テレスコ用長孔23b、40cがそれぞれ重なるように各ブラケット23,40,31が配設され、この状態においてピン部材24がチルト用長孔31c、第1,第2テレスコ用長孔23b、40cを貫通するように挿通される(図13(a)参照)。このピン部材24を締結部材によって締め付けることにより、すべてのブラケット23,40,31が一体的に固定される。なお、本実施形態において、第1ブラケット31は、コラム側ブラケット23の両側に配される一対の平板部31bを連結する底板部31dを有しており、上記ピン部材24と締結部材による締結力で平板部31bが撓むことによりコラム側ブラケット23に挟着力を伝えるように構成されているが、この底板部31dを省略して一対の固定部31aおよび平板部31bをそれぞれ別部材として構成し、上記締結力で一対の平板部31bがコラム側ブラケット23を両側から挟み込むようにして挟着力を伝えるように構成してもよい。
また、ガイド溝23aの軸直角方向の高さは補助ブラケット40の基端部位40aの高さよりも低くなるようにし、基端部位40aがガイド溝23aに嵌め込まれた状態で基端部位40aがガイド溝23aの高さ方向に(つまり側方から)はみ出すように設計しておくとよい。このように設計することにより、ピン部材24による締結力が補助ブラケット40を介してコラム側ブラケット23に確実に伝達されるために、確実にすべてのブラケット23,40,31を一体的に締結固定することができる。
また、第1コラムチューブ21は第2コラムチューブ22に対して軸方向移動が容易になされるようにされている。同様に、第1シャフト11は、第2シャフト12と一体回転可能且つ軸方向相対移動可能となるように、例えばスプライン嵌合などによって第2シャフト12と連結している。
また、本実施形態のステアリング装置3においても、上記第1実施形態と同様に第2コラムチューブ22に取り付けられた取付部材50に形成されたガイドピン51が補助ブラケット40の長孔44内の傾斜孔部44bに配置している。その他の構成は、上記第1実施形態と同様であるので、同一部分については同一符号で示してその具体的説明を省略する。
このような構成のステアリング装置3をチルト作動させるときは、上記ピン部材24と締結部材による締結力を弱めて各ブラケット23,40,31の相対移動が可能となるようにし、運転者が操舵ハンドルを上下方向に動かす。これにより図13(b)に示すようにステアリング装置3の全体が揺動中心である貫通孔22cを中心として傾動する。このとき第1ブラケット31のみは動かず、その他の補助ブラケット40およびコラム側ブラケット23はチルト作動に伴って傾動する。チルト作動時にはピン部材24が第1ブラケット31に形成されたチルト用長孔31c内を移動する。
また、テレスコピック作動させるときは、上記ピン部材24と締結部材による締結力を弱めて各ブラケット23,40,31の相対移動が可能となるようにし、運転者が操舵ハンドルを前後方向に動かす。これにより図13(c)に示すように第1コラムチューブ21、第1シャフト11が第2コラムチューブ22、第2シャフト12に対して前後方向に移動する。このようなテレスコピック作動時においては、第1ブラケット31はステアリングサポート部材に固定されているために動かない。また、補助ブラケット40もガイドピン51と傾斜孔部44b内における長孔44との係合により動かない。よって、テレスコピック作動時はコラム側ブラケット23のみが第1コラムチューブ21の前後動に従って移動する。このときコラム側ブラケット23のガイド溝23a内を補助ブラケット40が摺動することにより、コラム側ブラケット23が補助ブラケット40に相対移動する。
また、車両後方側から第1コラムチューブ21の軸方向に対して傾斜した方向に衝撃力が加えられた場合には、第1ブラケット31がステアリングサポート部材から離脱し、各ブラケット23,40,31が第1コラムチューブ21と一体となって第2コラムチューブ22に対して移動し、図13(d)に示すように最終移動位置にて停止する。この場合、第1実施形態と同様に、傾斜孔部44bとガイドピン51との係合部分において軸直角方向衝撃力が軸方向の力に変換される。したがって、軸方向衝撃力に加えてこのように変換された力も離脱荷重(移動開始荷重)として作用するために、十分な離脱荷重(移動開始荷重)を確保することができる。
第1実施形態に係るステアリング装置が車両に取り付けられた状態を示す図である。 第1実施形態に係るステアリング装置の側面図である。 第1実施形態に係るステアリング装置に衝撃力が加えられて第1コラムチューブが移動する際における(a)初期状態および(b)最終状態を示す側面図である。 比較例に係るステアリング装置の側面図である。 比較例に係るステアリング装置に衝撃力が加えられて第1コラムチューブが移動する際における(a)初期状態および(b)最終状態を示す側面図である。 第1実施形態に係るステアリング装置と比較例に係るステアリング装置とで、第1コラムチューブの移動量(ストローク量)と離脱荷重の大きさを比較したグラフである。 第1実施形態の変形例1におけるステアリング装置の側面図である。 変形例1のステアリング装置に衝撃力が加えられて第1コラムチューブが移動する際における(a)初期状態および(b)最終状態を示す側面図である。 第1実施形態の変形例2におけるステアリング装置の様々な状態における側面図である。 第1実施形態の変形例3におけるステアリング装置の様々な状態における側面図である。 第2実施形態に係るステアリング装置の側面図である。 第2実施形態に係るステアリング装置に衝撃力が加えられて第1コラムチューブが移動する際における(a)初期状態および(b)最終状態を示す側面図である。 第3実施形態に係るステアリング装置の様々な状態時における側面図であり、(a)が通常時、(b)がチルト作動時、(c)がテレスコピック作動時、(d)が衝撃力により第1コラムチューブ側が移動した時の状態をそれぞれ示す。 第3実施形態に係るステアリング装置のコラム側ブラケット、補助ブラケットおよび第1ブラケットの分解斜視図(a)および組立図(b)である。
符号の説明
1,1a,1b,1c,2,3…ステアリング装置、10…ステアリングシャフト、11…第1シャフト、12…第2シャフト、20…コラムチューブ、21…第1コラムチューブ、22…第2コラムチューブ、23…コラム側ブラケット、23a…ガイド溝、24…ピン部材、31…第1ブラケット(離脱用ブラケット、固定ブラケット)、31a…固定部、31b…平板部、32…第2ブラケット(固定ブラケット)、40…補助ブラケット、41…第1部分、42…第2部分、43…第3部分、44…長孔(ガイド通路)、44a…水平孔部(平行部位)、44b…傾斜孔部(傾斜部位)、44c…山部、44d…連結孔部、50…取付部材、51…ガイドピン(ガイド部材)、F…衝撃力、Fa…軸方向衝撃力、Fb…軸直角方向衝撃力、FR…反力、FR1…第1反力、FR2…第2反力

Claims (3)

  1. 操舵ハンドルに連結されて操舵ハンドルの操舵操作により回転するステアリングシャフトと、
    前記ステアリングシャフトを覆うように筒状に形成され、前記ステアリングシャフトを回転可能且つ軸方向移動不能に支持する第1コラムチューブと、
    前記ステアリングシャフトを覆うように筒状に形成されるとともに、前記第1コラムチューブと軸方向に一部重複する重複部を有するように同軸配置され、且つ前記第1コラムチューブが相対移動可能となるように前記第1コラムチューブに連結した第2コラムチューブと、
    前記第2コラムチューブを車体側部材に固定する固定ブラケットと、
    前記第1コラムチューブおよび前記第2コラムチューブのいずれか一方に取り付けられ、前記第1コラムチューブの移動をガイドするためのガイド通路が形成された補助ブラケットと、
    前記第1コラムチューブおよび前記第2コラムチューブのいずれか他方に取り付けられ、前記ガイド通路に沿って移動可能となるように前記ガイド通路内に配されるガイド部材と、を備えた車両用ステアリング装置であって、
    前記ガイド通路は、内部に配された前記ガイド部材との係合により、前記車両用ステアリング装置に対して操舵ハンドル側から前記第1コラムチューブの軸方向に対して傾斜した方向に力が加えられたときに、加えられた力のうち前記第1コラムチューブの軸方向に直角な方向成分の力を前記第1コラムチューブの軸方向に平行な方向に作用する力に変換するように、前記第1コラムチューブの軸方向に対して傾斜した傾斜部位を有することを特徴とする、車両用ステアリング装置。
  2. 請求項1に記載の車両用ステアリング装置において、
    前記第1コラムチューブを車体側部材に固定するとともに前記第1コラムチューブの軸方向に所定の荷重が加えられたときに上記固定を解除する離脱用ブラケットをさらに備えることを特徴とする、車両用ステアリング装置。
  3. 請求項1または2に記載の車両用ステアリング装置において、
    前記ガイド通路は、前記傾斜部位に連続して形成されるとともに、前記第1コラムチューブの軸方向に略平行な平行部位をさらに有することを特徴とする、車両用ステアリング装置。
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