JP2021046259A - 青果物の鮮度保持用収納袋 - Google Patents

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Abstract

【課題】過酷な環境下においても、青果物へのストレスを低減して長期間に亘って良好な鮮度保持機能を奏する青果物の鮮度保持用収納袋を提供する。【解決手段】青果物の鮮度保持用収納袋P1は、振動エネルギー付与が付与された二軸延伸防曇OPPフィルムを、自動製袋機用いて、長手方向に沿って二つ折りした後に、所定の間隔で溶断することによって形成された二方袋であり、側方の熱シール部分から約10.0mm内側の部分に、4.0mmφの円形の透過孔(パンチ孔)が穿設されている。そして、青果物の鮮度保持用収納袋P1は、青果物を収納させた状態で、温度が25℃以上で、かつ湿度が65%以上の状態にて保管した場合の1時間経過後の内部の湿度が80%以上であり、かつ内部の湿度が100%になるまでの時間が24時間以上になっている。【選択図】図5

Description

本発明は、合成樹脂フィルムによって形成された青果物の鮮度保持用の収納袋に関するものである。
葉菜類、果菜類、根菜類、フルーツ、菌茸類等の各種の青果物を収納するための収納袋として、合成樹脂製のフィルムによって形成された二方袋、三方袋、合掌袋、パウチ、ガゼット袋等の収納袋が知られている。また、そのような合成樹脂製のフィルムからなる収納袋は、2枚の合成樹脂フィルムを重ねて(あるいは単一の合成樹脂フィルムを折り畳んで)外周をヒートシール(熱接着)することによって形成されることが多い。そのため、ヒートシールの容易性(比較的に低い温度でヒートシールできること)の観点から、ポリオレフィン樹脂製のフィルムによって形成された収納袋が広く用いられている(特許文献1)。
また、マンゴー類の鮮度保持用の包装袋においては、包装袋内の湿度を95%以上とすることが好ましいという技術が開示されている(特許文献2)。
確かに、鮮度保持用包装袋内湿度を高めることは、鮮度保持効果を高める方法として有効である。しかし、本発明者等の検討結果において、包装袋内の湿度が100%を超えると青果物へのストレスの増大や、水滴の発生、付着による青果物の傷み等が増大することを確認している。該特許文献2においては、包装袋内の湿度は、包装後24時間から開封直前まで1時間毎に記録した平均値で表示されており、実施例においては99〜100%となっている。従って、湿度が100%を超えた状態が含まれていることは明らかであると想定される。さらに、該技術における包装袋の保存温度は23℃と低く、かつ包装体は、マンゴーを密封後に内部を窒素ガスで置換するものであり、まだ改善の余地が残されていると考えられる。
特開2004−284654号公報 特開2010−18332号公報
青果物の流通・保管に於いて、環境を低温とすることで、鮮度保持期間を長くすることが出来ることは知られているが、実際の流通保管に於いては、流通保管工程のすべてを低温に維持することは難しく、特に、季節が夏の場合は、高温、多湿状態に晒されることで、鮮度が低下してしまうことがある。
本発明者等は、上記課題を解決する方法について鋭意検討し、これを改善する手段として、過酷な環境下において、袋内の湿度を一定期間以上、青果物へのストレス低減に好適な状態に保つことが、鮮度保持期間延長に繋がること見出し、本発明の確立に至った。
本発明の内、請求項1に記載された発明は、合成樹脂フイルムによって形成された青果物の鮮度保持用収納袋であって、青果物を収納させた状態で、温度が25℃以上で、かつ湿度が60%以上の状態にて保管した場合の1時間経過後の内部の湿度が75%以上であり、かつ内部の湿度が100%になるまでの時間が30時間以上であることを特徴とするものである。
請求項2に記載された発明は、請求項1に記載された発明において、収納された青果物中の水分子を活性化し、収納された青果物からの水分蒸散を抑制するための活性化処理がされた合成樹脂フイルムを用いて構成されてなることを特徴とするものである。
請求項3に記載された発明は、請求項1または2に記載された発明において、前記合成樹脂フイルムに対する活性化処理が、構成材料である合成樹脂フイルムに近赤外発光蛍光剤を配合及び/または近赤外発光蛍光剤が配合された組成物を全面または部分的に積層及び/または被覆することを特徴とする
ものである。
請求項4に記載された発明は、請求項1〜3のいずれかに記載された発明において、前記合成樹脂フイルムに対する活性化処理が、合成樹脂フイルムを金属板と接触させた状態あるいは金属板で囲った状態で、その金属板に対して予め設定した周期および大きさの振動エネルギーを付与するものであることを特徴とするものである。
請求項5に記載された発明は、請求項1〜4のいずれかに記載された発明において、少なくとも左右のいずれかの端縁が熱シールされており、その熱シール部分の最大厚みが、熱シール部分の幅の55%以上100%未満であるとともに、熱シールされた端縁から50mmの距離の範囲内に、気体を透過させるための少なくとも1つの透過孔が穿設されていることを特徴とするものである。
請求項6に記載された発明は、請求項1〜5のいずれかに記載された発明において、前記透過孔が、0.007mm以上80mm以下の面積を有するものであることを特徴とするものである
請求項7に記載された発明は、請求項5または6に記載された発明において、前記透過孔を透過する気体の量を制限するための透過制御布が、透過孔を覆うように取り付けられていることを特徴とするものである。
本発明に係る青果物の鮮度保持用収納袋は、袋内部における青果物の代謝を効率良く促し水分及び養分の循環を良くし青果物を健康な状態に保ち、かつ野菜中の水分子を活性化することで、野菜からの水蒸散を抑制し、青果物の健康に好ましくない袋内部の湿度が100%超えるまでの時間を長くできるため、鮮度保持効果に優れており、枝豆やブロッコリー等の過湿状態でカビが成長し易く変色が起こり易い青果物の収納にも適している。従って、袋内部の湿度が高湿度になり易い青果物を収納した収納袋を、湿度が高く、かつ温度が高い環境下で保存する場合でも、その青果物の鮮度保持期間を長くすることが可能となる。
それ故、青果物の流通・保管に於いて、例えば、夏期等において高温、多湿状態に晒される場合が発生しても高度な鮮度保持効果を確保できることになる。
収納袋の熱シール部分の水平断面を拡大して示す説明図である。 包装用資材の処理装置を示す説明図(斜視図)である。 金属筐体の金属パネル(金属板)の断面の様子を示す説明図である。 エネルギー源(振動エネルギー発生装置)の電気回路を示す説明図である。 実施例で作製された収納袋を示す説明図(正面図)である。 分光蛍光光度計を用いて測定した近赤外蛍光色素混合シートの蛍光特性の3次元測定結果を示すグラフである。 分光蛍光光度計を用いて測定した近赤外蛍光色素非混合シートの蛍光特性の3次元測定結果を示すグラフである。
<青果物の鮮度保持用収納袋内の湿度>
本発明に係る合成樹脂フイルムによって形成された青果物の鮮度保持用収納袋(以下、単に、収納袋という)は、該収納袋に青果物を収納した状態で、温度が25℃以上で、かつ湿度が60%以上の状態にて保管した場合の1時間経過後の収納袋内の湿度が75%以上であり、かつ収納袋内の湿度が100%になるまでの時間が30時間以上であることが必要である。また、本発明に係る収納袋は、上記した1時間経過後の収納袋内の湿度が80%以上であるとより好ましい。さらに、本発明に係る収納袋は、収納袋を上記した状態(温度が25℃以上で、かつ湿度が60%以上の状態)で保管した場合の収納袋内の湿度が100%になるまでの時間が32時間以上であるとより好ましい。上記した特性を満たすことで、上記収納袋内部の蒸れを低減することができ、青果物の鮮度保持期間を長くすることができる。また、上記した1時間経過後の収納袋内の湿度が75%未満であると、上記収納袋内部の湿度が低くなり過ぎ、収納する青果物が乾燥してしまい、商品価値を失ってしまうため、好ましくない。
<収納袋内の湿度特性の達成方法>
本発明において、収納袋内の湿度特性を上記範囲に満たす方法は限定されないが、例えば、収納袋に青果物を収納した場合に、収納された青果物中の水分子が活性化され、青果物の代謝を効率良く促し水分及び養分の循環を良くし青果物を健康な状態に保ち、青果物からの水分蒸散が抑制されるようにすることが好ましい。例えば、収納袋を形成する合成樹脂フイルムに対して上記機能を向上させるための活性化処理をすることが好ましい実施態様である。
<合成樹脂フイルムの活性化方法>
本発明における上記活性化方法は限定されないが、収納袋を形成する合成樹脂フイルムに近赤外発光蛍光剤を配合及び/または近赤外発光蛍光剤が配合された組成物を全面または部分的に積層及び/または被覆することが好ましい実施態様である。近赤外発光蛍光剤を配合及び/または近赤外発光蛍光剤が配合された組成物を全面または部分的に積層及び/または被覆した合成樹脂フイルムからなる収納袋では、合成樹脂フイルムから発せられた近赤外光が、収納した青果物を刺激し、その抵抗反応として、気孔を閉じたり、活性酸素を生成することで、蒸散が抑えられ、袋内の湿度の上昇を抑制しているものと考えられる。
ここで用いられる近赤外発光蛍光剤は、特に限定をされるものではないが、平成29年度戦略的基盤技術高度化・連携支援事業 戦略的基盤技術高度化支援事業として採用された「蛍光発光する蓄熱基材による温室栽培植物の生育促進と大幅省エネを実現する高機能園芸システムの開発」に関しての研究開発成果報告書(平成30年5月)の中に記載のホウ素錯体系蛍光色素、スクアリリウム系近赤外蛍光色素等を例示することができる。また、その他の近赤外発光蛍光剤としは、特許第6345676号に記載のアルミン酸ストロンチウムにEu2+(2価のユウロピウム)、Cr3+(3価のクロム)及びNd3+(3価のネオジム)を共添加した近赤外応力発光・残光材料等を用いることが好ましい。
また、本発明においては、例えば、収納袋を形成する合成樹脂フイルムに対して振動エネルギー等のエネルギーを付与する方法が好ましい実施態様である。
<合成樹脂フイルムに振動エネルギ−を付与する方法>
本発明において、合成樹脂フイルムに振動エネルギ−を付与する方法(以下、振動エネルギーを付与する方法と称する)は、合成樹脂フイルムを金属板と接触させた状態あるいは金属板で囲った状態で、その金属板に対して予め設定した周期および大きさの振動エネルギーを付与するものであると好ましい。
金属板で囲われた状態とする方法として、中空の箱状、金属板を筒状やドーム状に組み付けた金属筐体を利用しても良い。
さらに、そのような金属筐体を利用する場合には、当該金属筐体は、単体の金属板を中空の箱状、金属板を筒状やドーム状に組み付けたものでも良いし、2枚の金属板を所定の距離を隔てて平行に配置させて中空部分を形成した二重の金属板(すなわち、金属板のセット)を中空の箱状、金属板を筒状やドーム状に組み付けたもの等を用いることも可能である。そのように、二重の金属板を組み付けた金属筐体を用いることによって、処理後の包装用資材による食品の鮮度保持機能を飛躍的に高めることが可能になる。加えて、上記した二重の金属板を組み付けた金属筐体を用いる場合には、導電性の支持部材によって外側の金属板(以下、外殻という)と外側の金属板(以下、外殻という)とを所定の距離を隔てて平行に保持するのが好ましい。
さらに、上記の振動エネルギーが、電気および/または磁気によってもたらされるものであることが好ましい。
さらに、上記の振動エネルギーが、0.5〜2.0mHのインダクタンスのコイルと0.2〜1.0μFの静電容量のコンデンサとからなる第一LC回路と、0.5〜2.0mHのインダクタンスのコイルと1.5〜7.0μFの静電容量のコンデンサとからなる第二LC回路とを、5〜50Vの直流電圧に対して、それぞれ並列に配置させた二基並列型LC回路から出力される直流変動電圧であるとより好ましい。
さらに、上記の金属板が、鉄、ステンレス合金、アルミニウムの内のいずれか一つからなるものであることがより好ましい。
さらに、上記の金属板が、表面をアルマイト処理したアルミニウムからなるものであることがより好ましい。
さらに、振動エネルギーを付与する金属板は、金属からなる単一体でも良いが、半導体パウダーを充填した樹脂からなる樹脂パネルを内面(包装用資材側の面)に貼り付けた金属板を用いると、包装用資材による食品の鮮度保持機能を効果的に高めることが可能になるので好ましい。
また、そのように樹脂パネルを内面に貼り付けた金属板を用いる場合には、樹脂パネルの主原料とする樹脂の種類は、特に限定されないが、ABS樹脂を主原料とする樹脂パネルを用いると、より高い鮮度保持機能を包装用資材に効果的に付与することが可能になるので好ましい。さらに、貼り付ける樹脂パネルの厚さは、特に限定されないが、1mm以上3mm以下に調整すると、金属板から包装用資材へ伝達される振動エネルギーの量が低減しない上、樹脂パネルが、長期間にわたって金属板に振動エネルギーを加え続けた場合でも損傷しにくいものとなるので好ましい。
一方、半導体パウダーの種類も特に限定されないが、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム等の金属酸化物、ケイ酸マグネシウム等のケイ酸塩化合物を単独であるいは2種以上を混合して用いると、より高い鮮度保持機能を包装用資材に効果的に付与することが可能になるので好ましい。また、金属酸化物やケイ酸塩化合物を、2種以上組合わせて用いると、処理後の包装用資材による食品の鮮度保持機能が一段と良好なものとなるので、より好ましい。なお、金属酸化物やケイ酸塩化合物は、精製された鉱物ではなく、天然鉱物として用いることも可能である。
また、樹脂パネルを形成する樹脂に、半導体パウダーとともに金属パウダーを充填すると、より高い鮮度保持機能を包装用資材に効果的に付与することが可能になるので好ましい。さらに、樹脂パネルを形成する樹脂に半導体パウダーや金属パウダーを充填する場合には、それらの粒子径を10〜100μmに調整すると、処理後の包装用資材による食品の鮮度保持機能を一段と高めることが可能になるので好ましく、30〜50μmに調整すると、特に好ましい。加えて、樹脂パネルを形成する樹脂に半導体パウダーや金属パウダーを充填する場合には、半導体パウダーや金属パウダーの総充填量を2〜20重量%に調整すると、振動エネルギー付与による効果が増大するので好ましく、3〜7重量%に調整すると、特に好ましい。
さらに、金属板に対して予め設定した周期および大きさの振動エネルギーを付与する際に、金属板に、周波数1,000〜2,000Hzの変動磁場を加えるとより好ましい。
<合成樹脂フイルムに振動エネルギ−を付与する処理の回数>
合成樹脂フイルムに振動エネルギ−を付与する金属板からの振動処理は、複数回行うことが、効果が向上することから、より好ましい。
振動エネルギーが伝えられた合成樹脂フイルムは、上記、近赤外光と同様に収納した青果物を刺激し、その抵抗反応として、気孔を閉じたり、活性酸素を生成することで、蒸散が抑えられ、袋内の湿度の上昇を抑制しているものと考えられる。
<合成樹脂フイルム>
本発明に係る収納袋を形成するための合成樹脂フィルムとしては、ポリオレフィンフィルム、ポリエステルフィルム等のヒートシールまたは溶断シールが可能な汎用の合成樹脂フィルムを好適に用いることができるが、それらの中でも、二軸延伸ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルムあるいはポリ乳酸フィルムを用いると、収納袋の透明性が高くなり、青果物を収納した場合に内部を見易くなるので好ましい。
また、合成樹脂フィルムは、単一層からなるもので良いし、基材層の上に熱融着層等を積層した多層構造を有するものでも良いが、合成樹脂フィルムとして、基材層である二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの上に、溶融押出ししたポリエチレンを熱融着層として積層させることによって形成された積層フィルムを用いることもできる。
また、形成材料である合成樹脂フィルムの厚さは、特に限定されないが、5〜75μmの範囲であると好ましく、20〜50μmの範囲であるとより好ましい。合成樹脂フィルムの厚さが5μmを下回ると、フィルムの“腰”がなくなってしまい、青果物を収納する際に、袋を開にくくなるため、収納作業に時間がかかる上、収納後の商品にボリューム感がなく扱いにくくなるので好ましくない。反対に、合成樹脂フィルムの厚さが75μmを上回ると、フィルムの剛性が高くなりすぎて、青果物を収納しにくくなったり、収納した後の密封作業がしにくくなったりするので好ましくない。
そのような防曇剤としては、多価アルコールの脂肪酸エステル類、高級脂肪酸のアミン類、高級脂肪酸のアマイド類、ショ糖脂肪酸エステル類、高級脂肪酸のアミンやアマイドのエチレンオキサイド付加物等の非イオン系の界面活性剤を挙げることができる。そして、それらの防曇剤の中でも、ポリオキシエチレンアルキルアミン型、ポリオキシエチレンアルキルアミン脂肪酸エステル型、脂肪酸グリセリンエステル型を併用するのが好ましい。また、ポリビニルアルコール等の水溶性樹脂をコーティング剤として用いても良い。
加えて、合成樹脂フィルムを形成する樹脂には、必要に応じて各層の特性を阻害しない範囲で、熱安定剤、酸化防止剤、光安定剤、滑剤、核剤、難燃剤、顔料、染料、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化マグネシウム、マイカ、タルク、クレー、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、抗菌剤、自然分解性を付与する添加剤等を添加することができる。さらに、熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマー、ゴム類、炭化水素樹脂、石油樹脂等を合成樹脂フィルムの特性を害さない範囲で配合しても良く、収納する青果物体内の水分の状態を制御するための特殊な処理を合成樹脂フィルムに施しても良い。
<収納袋の構造>
本発明に係る収納袋の形状は、特に限定されず、左右および下部をヒートシールしてなる三方袋や、二つ折りされた合成樹脂フィルムの左右をヒートシールしてなる二方袋、パウチ等の各種の形状にすることが可能である。
また、本発明に係る収納袋は、少なくとも左右のいずれかの端縁(すなわち、左右いずれかの端縁あるいは左右両側の端縁)が所定の形状に熱シール(溶断シール)されていることが必要である。図1は、本発明に係る収納袋の熱シール部分の水平断面を示したものであるが、具体的には、熱シール部分(図1におけるM)の厚み(図1におけるa)が熱シール部分の幅(図1)におけるb)に対して55%以上100%未満となるように調整する必要がある。熱シール部分の幅に対する熱シール部分の厚みが55%未満であると、熱シール部分の内側の(表裏2枚の)合成樹脂フィルムの拘束力が小さくなり、(表裏2枚の)合成樹脂フィルムが開き易くなってしまうので好ましくなく、逆に熱シール部分の幅に対する熱シール部分の厚みが100%を上回ると、熱シール部分の内側の(表裏2枚の)合成樹脂フィルムの拘束力が大きくなり、(表裏2枚の)合成樹脂フィルムが開きにくくなってしまうので好ましくない上に、さらに熱シール部分の幅に対する熱シール部分の厚みが大きくなりすぎると、熱シール部分の内側の(表裏2枚の)合成樹脂フィルムに熱歪みが生じてしまい、却って(表裏2枚の)合成樹脂フィルムが隙間なく当接しにくくなるので好ましくない。熱シール部分の幅に対する熱シール部分の厚みは、58%以上90%未満であるとより好ましく、60%以上85%未満であると特に好ましい。
<熱シール部分の形状を調整する方法>
上記の如く熱シール部分の形状を調整する方法は、特に限定されないが、その一つとして、収納袋の左右の端縁を溶断シールする際の溶断シール装置における刃先(溶断刃)の温度、刃先の角度、溶断シールの速度を調整する方法を挙げることができる。具体的には、刃先(溶断刃)の温度を300℃以上450℃未満の範囲内に調整し、刃先の角度を60°以上130°未満の範囲内に調整するとともに、溶断シールの速度を60個/分以上200個/分未満の範囲内に調整するのが好ましい。
<透過孔の穿設>
本発明においては、前記収納袋において、少なくとも左右のいずれかの端縁が熱シールされており、その熱シール部分の最大厚みが、熱シール部分の幅の55%以上100%未満であるとともに、熱シールされた端縁から50mmの距離の範囲内に、水蒸気やCO2等の気体の出入りを促す透過孔が穿設されていることが好ましい。
<透過孔の穿設の効果>
上記の水蒸気やCO等の気体の出入りを促す透過孔を穿設することによって、(透過孔が比較的に大径のものであっても)水蒸気やCOの透過量を微調整することができる上、大径の透過孔を介して短時間で保存環境に適応させることが可能になっているために、収納袋内の湿度範囲を上記した好ましい範囲に制御できる時間を延長することができ、良好な青果物の鮮度保持効果を奏することができる。
<透過孔の大きさ>
本発明においては、上記の如く所定の形状に熱シールされた部分から所定の距離(50mm)内の部分に穿設する透過孔の大きさは、特に限定されないが、1個当たりの面積が0.007mm以上80mm以下であると、水蒸気やCOの透過量を調整し易く青果物の鮮度保持効果が一段と良好なものとなるので好ましい。また、透過孔の個数も、特に限定されないが、合計の面積が0.016mm以上160mm以下であると、水蒸気やCOの透過量の調整が一層容易となり、青果物の鮮度保持効果がきわめて良好なものとなるので特に好ましい。さらに、熱シール部分の最大厚みが合成樹脂フィルムの厚みの2倍以上12倍未満になるように熱シール部分の形状を調整すると、熱シール部分の内側の(表裏2枚の)合成樹脂フィルムの開きにくさ(開き易さ)が適度なものとなり、水蒸気やCOの透過量の調整が一段と容易なものとなるのできわめて好ましい。
<透過孔を穿設する位置>
なお、透過孔を穿設する位置は、熱シールされた部分から所定の距離(50mm)内であれば、特に限定されないが、40mm以内であると、表裏2枚の合成樹脂フィルムの開き具合との相乗効果が得られ易くなり、水蒸気やCOの透過量をより調整し易くなるので好ましく、30mm以内であるとより好ましく、0mmであると(すなわち、熱シール部分に透過孔が穿設されていると)特に好ましい。
<透過孔の形状>
一方、透過孔の形状は、特に限定されず、円形、楕円形、矩形等の各種の形状にすることができる。加えて、熱シールされた部分から所定の距離(50mm)内の部分であれば、袋本体に穿設する透過孔の位置も、特に限定されないが、袋本体の上端際(ヒートシール部分やジッパー等の密封手段から概ね50mm以内)、あるいは袋本体の下端際(ヒートシール部分から概ね50mm以内)に透過孔を設けると、青果物を収納して積層した場合でも、透過孔が塞がれにくく、安定した鮮度保持効果を発現できるので好ましい。
また、本発明に係る収納袋に使用される合成樹脂フィルムの厚みや柔軟性、強度等も特に限定されないが、合成樹脂フィルムの厚みを15μm以上45μm未満に調整するとともに、合成樹脂フィルムの熱シール部分に対して直交する方向(すなわち、収納袋の幅方向)の引張弾性率を3,000kg/N以上4,500MPa未満に調整すると、熱シール部分の内側の(表裏2枚の)合成樹脂フィルムの開き具合を調整し易くなり、水蒸気やCOの透過量の調整がより容易になる上、袋外からの異物混入を防ぐことができるので好ましい。
<透過制御布の設置>
本発明においては、上記した透過孔を透過する気体の量を制限するための透過制御布が透過孔を覆うように袋本体に取り付けられていることが好ましい。該対応により収納袋の水蒸気やCOの透過量をより調整し易くなるので好ましい。
<透過制御布の種類>
本発明における透過制御布の種類は、特に限定されず、各種の織布や不織布を用いることができるが、透過制御布として不織布を用いると、透過孔を透過する気体(水蒸気等)の量の調整が容易なものとなるので好ましい。ここでいう不織布とは、繊維を織らずに絡み合わせたシート状体のことであり、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレート等のポリエステル等の合成樹脂製の繊維を絡み合わせたものの他に、紙製の繊維を絡み合わせたものやフェルト等も含まれる。
また、上記した不織布の中でも、縦ウェブと横ウェブとが直交するように重ね合わせた不織布(たとえば、ポリオレフィン製のフィルムを割繊して延伸した後に直交状に重ね合わせたもの)や、紙製の繊維を絡み合わせた不織布を透過制御布として用いると、透過孔を透過する気体の量の調整が一段と容易なものとなるので特に好ましい。特に、縦ウェブと横ウェブとが直交するように重ね合わせたポリオレフィン製の不織布(たとえば、JX ANCI(株)製 CLAF(登録商標) SP(T)等)を用いると、不織布を介して収納袋内への水の出入れや収納袋内からの短時間での気体の放出が可能となるため、収納袋の利便性が向上する。加えて、透過制御布として不織布を用いる場合には、不織布を、厚み100μm以上300μm以下で目付25g/m 以上35g/m以下のものとすると、透過孔を介した気体の透過量の調整がきわめて容易なものとなるので好ましい。
<透過制御布の形状>
本発明における透過制御布の形状は、特に限定されず、透過孔の形状に合わせて、円形、楕円形、矩形等の各種の形状にすることができる。さらに、透過制御布の大きさも、特に限定されず、透過孔の大きさに合わせて、適宜調整することができる。加えて、透過孔を円形にする一方、透過制御布を、外周縁際を透過孔の周囲に周状に固着させる態様で袋本体に取り付けるとともに、その透過制御布の周状の固着部分と透過孔の外周との間に、透過制御布と袋本体とが固着し合っていない非固着部を設けると、透過孔を透過する気体の量の調整がより容易なものとなるので好ましい。なお、そのように円形の透過孔の周囲に、円形の透過制御布を、外周縁際を透過孔の周囲に周状に固着させる態様で袋本体に取り付ける場合には、非固着部の幅を0.1mm以上7.0mm以下に調整すると、透過孔を透過する気体の量の調整がきわめて容易なものとなるので特に好ましい。
<透過制御布の厚み>
本発明においては、上記した透過制御布が、厚み100μm以上300μm以下で、目付25g/m以上35g/m以下の不織布であることが好ましい。該対応により収納袋の水蒸気やCOの透過量をより調整し易くなるので好ましい。
<透過制御布の固着方法>
本発明においては、上記した透過制御布が、外周縁際を前記透過孔の周囲に周状に固着させた状態で袋本体に取り付けられているとともに、その透過制御布の周状の固着部分と上記した透過孔の外周との間に、透過制御布と袋本体とが固着し合っていない非固着部が設けられていることが好ましい。
透過制御布を袋本体に固着させる方法は、特に限定されず、熱融着(ヒートシール)、粘着剤、接着剤による接着等の方法を好適に用いることができるが、透過制御布を袋本体に熱融着させる方法を用いると、収納袋の製造が一段と容易なものとなるので好ましい。
<透過制御布設置の効果>
本発明においては、透過制御布の設置は、上記した包装袋内の湿度特性の低下を抑制した形で、袋外からの異物混入を防ぐことができるので好ましい実施態様である。
<収納袋のサイズ>
また、本発明に係る収納袋は、各種の青果物(特に、枝豆やブロッコリー等の袋内が過湿状態となったときにカビが成長し易く、呼吸が激しく行われて変色し易いもの)を収納可能なものであり、具体的には、収納袋サイズ幅100mm〜250mm×高さ200mm〜380mmの袋に、しいたけ等の菌茸類やサトイモ、ジャガイモ、サツマイモ等の根菜類を収納することが好ましく、収納袋サイズ幅100mm〜250mm×高さ150mm〜300mmの袋に、エダマメ等の豆類を収納するのが好ましく、収納袋サイズ幅130mm〜230mm×高さ250mm〜340mmの袋に、キュウリ、ナス、トマト等の果菜類やブロッコリー、カリフラワー等の花菜類を収納するのが好ましく、収納袋サイズ幅100mm〜250mm×高さ300mm〜750mmの袋に、ホウレンソウ、ルッコラ、パクチー等の葉菜類を収納するのが好ましく、収納袋サイズ幅90mm〜260mm×高さ150mm〜380mmの袋に、レモン、バナナ等の果物類を収納するのが好ましい。この様に収納袋サイズと収納物を組み合わせることで、収納袋内の空隙が最適となり、袋内の湿度の上昇を抑制できるものと考えられる。さらに、鮮度保持性を良好なものとするために、収納袋の内面が防曇性を有していることが好ましい。防曇性を付与する方法は、特に限定されるものではないが、収納袋を形成する合成樹脂原料中に予め防曇剤を含有させても良いし、収納袋の内面となるフィルム面に、防曇剤をコーティングしても良い。ここで用いる防曇剤としては、非イオン系の界面活性剤を挙げることができ、防曇性と併せて帯電防止性を発揮するものを用いるのが好ましい。
以下、実施例・比較例によって本発明に係る収納袋について詳細に説明するが、本発明の収納袋は、かかる実施例の態様に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜変更することが可能である。また、実施例および比較例における特性の評価方法は以下の通りである。
<熱シール部分の形状>
実施例・比較例で得られた収納袋の左端縁の溶断シール部分(熱シール部分)の幅および厚みを株式会社ハイロックス社製デジタルマイクロスコープKH−7700(レンズMXG2500REZ Low−Range 150倍)によって測定した。
<引張弾性率>
実施例・比較例において収納袋の製造に用いた合成樹脂フィルムを裁断して、長さ150mm×幅15mm×厚さ0.5mmのストリップ状のサンプルを作成した。そして、温度23℃、相対湿度50%の条件下で、JIS K−7127に準拠し、島津株式会社製オートグラフAG−100E型を使用し、サンプルを100mmの距離を隔てたチャック間に掴み、引張速度200mm/分で引っ張り、引張比例限度内における引張応力とそれに対応するひずみの比を引張弾性率として算出した。
<収納袋内湿度>
実施例・比較例で得られた収納袋内に、収納する青果物と一緒に、ユニ電子株式会社製ワイヤレス温湿度センサUNI−01−B002 Logttaを入れて、収納袋内の湿度を測定した。
<鮮度保持特性(枝豆)>
実施例・比較例で得られた収納袋(幅150mm×高さ250mmのもの)に、約250gの枝豆を詰めた後に、その収納袋の上部をヒートシールすることによって収納袋を密封した。そして、その枝豆を収納した収納袋を、以下の温湿度・期間の条件下で保管した。しかる後、収納された枝豆の状態を観察し鮮度保持効果の判定を行った。
・保管条件
30℃×80%RHの雰囲気下で144時間(6日間)保管
<鮮度保持特性(ルッコラ)>
実施例・比較例で得られた収納袋(幅180mm×高さ380mmのもの)に、約100gのルッコラを詰めた後に、その収納袋の上部をヒートシールすることによって収納袋を密封した。そして、そのルッコラを収納した収納袋を、以下の温湿度・期間の条件下で保管した。しかる後、収納されたルッコラの状態を観察し鮮度保持効果の判定を行った。
・保管条件
25℃×65%RHの雰囲気下で46時間(2日間)保管
<鮮度保持特性(パクチー)>
実施例・比較例で得られた収納袋(幅120mm×高さ500mmのもの)に、約45gのパクチ―を詰めた後に、その収納袋の上部をヒートシールすることによって収納袋を密封した。そして、そのパクチ―を収納した収納袋を、以下の温湿度・期間の条件下で保管した。しかる後、収納されたパクチ―の状態を観察し鮮度保持効果の判定を行った。
・保管条件
25℃×65%RHの雰囲気下で72時間(3日間)保管
<鮮度保持特性(サトイモ)>
実施例・比較例で得られた収納袋(幅200mm×高さ300mmのもの)に、約700gのサトイモを詰めた後に、その収納袋の上部を絞り、絞った部分をテープ留め(バッグシール)することによって収納袋を密封した。そして、そのサトイモを収納した収納袋を、以下の温湿度・期間の条件下で保管した。しかる後、収納されたサトイモの状態を観察し鮮度保持効果の判定を行った。
・保管条件
25℃×65%RHの雰囲気下で120時間(5日間)保管
<鮮度保持特性(サツマイモ)>
実施例・比較例で得られた収納袋(幅150mm×高さ370mmのもの)に、約400g(2本)のサツマイモを詰めた後に、その収納袋の上部をヒートシールすることによって収納袋を密封した。そして、そのサツマイモを収納した収納袋を、以下の温湿度・期間の条件下で保管した。しかる後、収納されたサツマイモの状態を観察し鮮度保持効果の判定を行った。
・保管条件
25℃×65%RHの雰囲気下で84時間(3.5日間)保管
<鮮度保持特性(ホウレンソウ)>
実施例・比較例で得られた収納袋(幅225mm×高さ330mmのもの)に、約200gのホウレンソウを詰めた後に、その収納袋の上部をヒートシールすることによって収納袋を密封した。そして、そのホウレンソウを収納した収納袋を、以下の温湿度・期間の条件下で保管した(なお、実施例9においては、後述するように近赤外蛍光色素を混合して作成したシートをホウレンソウを収納した収納袋に貼着した)。しかる後、収納されたホウレンソウの状態を観察し鮮度保持効果の判定を行った。
・保管条件
25℃×60%RHの雰囲気下で72時間(3日間)保管
<鮮度保持特性(シメジ)>
実施例・比較例で得られた収納袋(幅200mm×高200mmのもの)に、約190gのシメジを詰めた後に、その収納袋の上部をヒートシールすることによって収納袋を密封した。そして、そのシメジを収納した収納袋を実施例記載の方法に準じて、以下の温湿度・期間の条件下で保管した。しかる後、収納されたシメジの状態を観察し鮮度保持効果の判定を行った。
・保管条件
25℃×60%RHの雰囲気下で144時間(6日間)保管
[実施例1]
<振動エネルギー付与装置>
図2は、実施例で用いた振動エネルギー付与装置(鮮度保持機能を付与するための処理装置)を示したものである。処理装置1bは、金属筐体88、コンベア11、エネルギー源(振動エネルギー発生装置)3等によって構成されている。金属筐体88は、骨組みとなる金属(アルマイト処理をしたアルミニウム)製のフレーム材881,881・・に、パネル材(二重の金属板)882,882,882を嵌込むことによって、長手方向に沿って縦長な直方体(幅×奥行×高さ=1808mm×2108mm×1850mm)の筒状に形成されている。当該金属筐体88は、左右の鉛直状のパネル材(二重の金属板)882,882の間に、包装用資材21を搬送するコンベア11を挟み込んだ状態になっている。
図3は、パネル材(二重の金属板)882の構造を示したものであり、パネル材882は、金属(アルミニウム)製で板状の外殻8821と、金属(アルミニウム)製で板状の内殻8822とが、所定の間隔を開けて平行に配置されている。そして、内殻8822の内側(外殻8821と対峙した側と反対側)には、所定の大きさ(10cm×10cm)の正方形状に裁断された厚さ約5.0mmの樹脂パネル8823,8823・・が、規則正しく貼り付けられている(図3参照)。それらの樹脂パネル8823,8823・・は、半導体パウダー(酸化亜鉛)88232を5質量%の割合で充填したABS樹脂88231によって形成されている。
また、各パネル材882,882・・は、ケーブル824を介してエネルギー源3と接続されている。すなわち、ケーブル824の芯線が、外殻8821に形成された孔8825を非接触で通過して内殻8822と電気的に接続された状態になっている。
図4は、エネルギー源3の電気回路を示したものである。エネルギー源3は、二基並列型のLC回路であり、直流電圧31、コイル32とコンデンサ33とからなる第一LC回路39、コイル35とコンデンサ36とからなる第二LC回路40、整流ダイオード(発光ダイオード)37、コイル(受動素子)38、取り出された電圧(直流変動電圧)を各パネル材882,882・・に伝えるためのケーブル34等によって構成されており、直流電圧31に対して、整流ダイオード37およびコイル38が、直列に接続されており、第一LC回路39および第二LC回路40が、それぞれ並列に接続されている。また、エネルギー源3(二基並列型LC回路)には、制御装置(図示せず)が接続されており、当該制御装置によって、直流電圧31の電圧値、コイル38のインダクタ(抵抗値)、第一LC回路39のコイル32のインダクタ(抵抗値)およびコンデンサ33の静電容量、第二LC回路40コイル35のインダクタ(抵抗値)とコンデンサ36の静電容量を調整することができるようになっている。
<合成樹脂フイルムへの振動エネルギー付与方法>
上記した振動エネルギー付与処理装置(処理装置1b)を用いて、コンベア11上に載置した二軸延伸防曇OPPフィルム(東洋紡(株)製 P5562 厚み20μm)を、金属筐体88内に送り込み、その状態で、エネルギー源3から、第一LC回路39のインダクタンスを1mH、キャパシタンスを0.53μF(共振周波数6.91kHz)とし、第二LC回路40のインダクタンスを1mH、キャパシタンスを2.7μF(共振周波数3.06kHz)として得られた振動エネルギーを、1分間に亘って金属筐体88の各パネル材882,882・・に付与した。しかる後、金属筐体88内から二軸延伸防曇OPPフィルムを取り出すという一連の操作を2回繰り返し実施した。
<収納袋の製造法>
上記方法で振動エネルギー付与が付与された二軸延伸防曇OPPフィルムを、トタニ技研工業株式会社製高速サイドウェルド自動製袋機HK65Vを用いて、長手方向に沿って二つ折りした後に、下記の条件にて、所定の間隔で溶断(ヒートシールおよび裁断)することによって(すなわち、ヒートシール後に裁断することによって)、所定の大きさ(包装をする青果物の容量に合わせた上記条件に記載の大きさ)を有する二方袋(二つ折りした振動エネルギ−付与処理したフィルムの左右をヒートシールしたもの)を作製した。
<溶断条件>
・刃先の温度:420℃
・刃先の角度:120°
・溶断速度:120個/分(1ショット当たりの時間:0.4秒)
そして、その二方袋(袋本体)の熱シール部分から約10.0mm内側の部分に、4.0mmφの円形の透過孔(パンチ孔)を穿設することによって(透過孔の中心が熱シール部分から10mm内側になるように穿設することによって)、実施例1の収納袋を得た。さらに、得られた収納袋の左側の熱シール部分の幅および厚みを上記した方法によって測定した。加えて、収納袋の製造に用いたOPPフィルムの長手方向の引張弾性率(すなわち、上記した方法で測定した収納袋における幅方向の引張弾性率は3,300Mpaであった。
図5は、実施例1の収納袋を示したものである。収納袋Pは、OPPフィルムによって形成された正面視矩形状の二方袋であり、左右の両端縁が溶断シールされている。そして、左側の溶断シール部分(熱シール分)から10mm内側の部分に、4.0mmφの円形の1個の透過孔Hが穿設されている(透過孔Hの面積=約12.56mm
上記収納袋を用いて、前記した方法で枝豆を収納して評価した枝豆の鮮度保持評価結果を表1に示す。
[実施例2]
実施例1の方法において、上記透過孔(パンチ孔)を塞ぐように、紙製で16mmφの円形の不織布(日本製紙パピリア(株)製 ヒートロンGS−30 目付け=30g/m2)を二方袋の上に載置し、180℃に加熱したドーナッツ状(内径4.1mmで外径16.0mm)の熱板を利用し、当該熱板の外周と不織布の外周とが一致するように熱板を不織布に押し付けることによって、不織布を表側のOPPフィルムにヒートシールするように変更した以外は、実施例1と同様にして枝豆を収納して評価した枝豆の鮮度保持評価結果を表1に示す。
[比較例1]
実施例1の方法において、上記振動エネルギー付与処理を行わなかった以外は、実施例1と同様にして枝豆を収納して評価した枝豆の鮮度保持評価結果を表1に示す。
[実施例3]
実施例1の方法において、青果物をルッコラに変更し、透過孔を設けなかった以外は実施例1と同様の方法で作製した袋を用いて、上記した条件で保存した場合のルッコラの鮮度保持評価結果を表1に示す。
[比較例2]
実施例3の方法において、上記振動エネルギー付与処理を行わなかった以外は、実施例3と同様にしてルッコラを収納して評価したルッコラの鮮度保持評価結果を表1に示す。
[実施例4]
実施例1の方法において、青果物をパクチーに変更し、上記した条件で保存した場合のパクチーの鮮度保持評価結果を表1に示す。
[比較例3]
実施例4の方法において、上記振動エネルギー付与処理を行わなかった以外は、実施例5と同様にしてパクチーを収納して評価したパクチーの鮮度保持評価結果を表1に示す。
[実施例5]
実施例1の方法において、青果物をサトイモに変更し、上記した条件で保存した場合のサトイモの鮮度保持評価結果を表1に示す。
[比較例4]
実施例5の方法において、上記振動エネルギー付与処理と透過孔(パンチ孔)の形成を行わなかった以外は、実施例5と同様にしてサトイモを収納して評価したサトイモの鮮度保持評価結果を表1に示す。
[実施例6]
実施例1の方法において、収納袋の製造に用いるフィルムを、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムからなるベースフィルムの上にポリエステル樹脂を溶融押し出ししてなる総厚さ27μmのラミネートフィルム(中本パックス(株)製 HS−PET)に変更するとともに、上記振動エネルギー付与処理及び透過孔(パンチ孔)の穿設を行なわなかった以外は、実施例1と同様にして枝豆を収納して評価した枝豆の鮮度保持評価結果を表1に示す。
[実施例7]
実施例6の方法において、収納袋の製造に用いるフィルムを25μmの二軸延伸ポリ乳酸フィルム(三菱ケミカル(株)製 エコロージュSG106)に変更した以外は、実施例6と同様にして枝豆を収納して評価した枝豆の鮮度保持評価結果を表1に示す。
[実施例8]
実施例1の方法において、上記振動エネルギー付与処理を行なわなかった以外は、実施例1と同様にしてサツマイモを収納して評価したサツマイモの鮮度保持評価結果を表1に示す。
[比較例5]
実施例8の方法において、透過孔(パンチ孔)の大きさを6mmφに変更し、一袋あたりの穿設個数を4個に変更した以外は、実施例8と同様にしてサツマイモを収納して評価したサツマイモの鮮度保持評価結果を表1に示す。
[実施例9]
比較例5の方法において、ホウ素系錯体系蛍光色素からなる近赤外蛍光色素を混合して作成したシート(合成樹脂を主原料とする厚さ500μm程度のもの)を、ホウレンソウ収納袋の片面に貼り、ホウレンソウ収納後、貼り合わせたシート面側を上にして、太陽光下で10分間放置の後、所定の温湿度環境下で所定時間保管後のホウレンソウの状態を評価した。その結果を表1に示す。また、本試験で使用した近赤外蛍光色素混合シートの蛍光特性に関してF−7000形分光蛍光光度計(株式会社 日立ハイテクサイエンス製)を用いて測定した3次元測定結果を図6に示し、比較として、近赤外蛍光色素を混合しなかったシート(後述する比較例6で用いたシート)の測定結果を図7に示す。
[比較例6]
実施例9の方法において、近赤外蛍光色素を混合していないシートをホウレンソウ収納袋の片面に貼った以外は、実施例9と同様にしてホウレンソウを収納して評価した結果を表1に示す。
[実施例10]
比較例2および比較例4と同様に上記振動エネルギー付与処理を施さず、かつ、透過孔(パンチ孔)を形成していない収納袋を用いてシメジを収納し、特許第6345676号に記載のアルミン酸ストロンチウムにEu2+(2価のユウロピウム)、Cr3+(3価のクロム)及びNd3+(3価のネオジム)を共添加してなる近赤外応力発光・残光材料をコートしたシート(合成樹脂(エポキシ樹脂)を主原料とする厚さ200μm程度のもの)を作成し、そのシートをシメジ収納袋の片面に貼り、三共電気社製 UV−B紫外線ランプ(8W GL8E)の点灯下で、2時間放置して、蓄光発光状態とした。その後、このシメジ収納袋を、貼り合わせたシートが下側に位置するような状態で保持した。そして、そのように保持することでシメジの自重による応力発光状態とし、その状態を保持したまま、所定の温湿度環境下で所定時間保管後のシメジの状態を評価した。その結果を表1に示す。
[比較例7]
実施例10の方法において、近赤外応力発光・残光材料をコートしたシートを用いることなく、かつ、蓄光発光、応力発光を行わなかった以外は、実施例10と同様にしてシメジを収納して評価した結果を表1に示す。
Figure 2021046259
表1から、本発明の必要要件を満たすことにより、初めて高度な鮮度保持効果が発現できることが分かる。
本発明に係る収納袋は、上記の如く優れた効果を奏するものであるため、特に、枝豆やルッコラ、パクチー等のベビーリーフ、ホウレンソウ、サトイモ、サツマイモ等のカビの発生しやすい根菜類等に代表される青果物の鮮度保持用の収納袋として好適に用いることができる。
M・・熱シール部分
1b・・振動エネルギー付与処理装置(処理装置)
・・収納袋
H・・透過孔
本発明の内、請求項1に記載された発明は、合成樹脂フイルムによって形成された青果物の鮮度保持用収納袋であって、青果物を収納させた状態で、温度が25℃で、かつ湿度が60%の状態にて保管した場合の1時間経過後の内部の湿度が75%以上であり、かつ内部の湿度が100%になるまでの時間が30時間以上であり、かつ、前記合成樹脂フィルムが、二軸延伸ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルムあるいはポリ乳酸フィルムであって5〜75μmの厚さを有しているとともに、左右の端縁が熱シールされており、かつ、それらの各熱シール部分の最大厚みが、熱シール部分の幅の55%以上100%未満であり、かつ、熱シールされた端縁から50mmの距離の範囲内に、気体を透過させるための少なくとも1つの透過孔が穿設されており、それらの透過孔の合計の面積が0.016mm 以上160mm 以下であることを特徴とするものである。
請求項2に記載された発明は、請求項1に記載された発明において、前記透過孔が、0.007mm以上80mm以下の面積を有するものであることを特徴とするものである
請求項3に記載された発明は、請求項1または2に記載された発明において、前記透過孔を透過する気体の量を制限するための透過制御布が、透過孔を覆うように取り付けられていることを特徴とするものである。

Claims (7)

  1. 合成樹脂フイルムによって形成された青果物の鮮度保持用収納袋であって、
    青果物を収納させた状態で、温度が25℃以上で、かつ湿度が60%以上の状態にて保管した場合の1時間経過後の内部の湿度が75%以上であり、かつ内部の湿度が100%になるまでの時間が30時間以上であることを特徴とする青果物の鮮度保持用収納袋。
  2. 収納された青果物中の水分子を活性化し、収納された青果物からの水分蒸散を抑制するための活性化処理がされた合成樹脂フイルムを用いて構成されてなることを特徴とする請求項1に記載の青果物の鮮度保持用収納袋。
  3. 前記青果物の合成樹脂フイルムに近赤外発光蛍光剤を配合及び/または近赤外発光蛍光剤が配合された組成物を全面または部分的に積層及び/または被覆することを特徴とする請求項1,または2に記載の青果物の鮮度保持用収納袋。
  4. 前記合成樹脂フイルムに対する活性化処理が、
    合成樹脂フイルムを金属板と接触させた状態あるいは金属板で囲った状態で、その金属板に対して予め設定した周期および大きさの振動エネルギーを付与するものであることを特徴とする請求項1,または2に記載の青果物の鮮度保持用収納袋。
  5. 少なくとも左右のいずれかの端縁が熱シールされており、
    その熱シール部分の最大厚みが、熱シール部分の幅の55%以上100%未満であるとともに、
    熱シールされた端縁から50mmの距離の範囲内に、気体を透過させるための少なくとも1つの透過孔が穿設されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の青果物の鮮度保持用収納袋。
  6. 前記透過孔が、0.007mm以上80mm以下の面積を有するものであることを特徴とする請求項5に記載の青果物の鮮度保持用収納袋。
  7. 前記透過孔を透過する気体の量を制限するための透過制御布が、透過孔を覆うように取り付けられていることを特徴とする請求項5、または6に記載の青果物の鮮度保持用収納袋。
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