JP6696034B1 - 青果物鮮度保持包装容器、青果物入り包装体および青果物の鮮度保持方法 - Google Patents
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Abstract
Description
そこで、通気性が調整された包装材料により青果物を包装することで、青果物の鮮度劣化を抑える検討が、これまで行われてきている。
特許文献1によれば、このような気体透過度が制御された包装材を用いて青果物を包装することで、青果物の鮮度を維持しやすいとされている。
また、そのようにして通気性が調整された樹脂フィルムを用いて青果物鮮度保持包装容器を製造すること、さらには、その青果物鮮度保持包装容器を用いて青果物を包装することが考えられる。
一つの観点として、(i)ヒートシールにより十分に強い強度で開口部を閉じることができ、かつ、(ii)容器を開封する際には、ヒートシール部を容易に剥離して開封できる青果物鮮度保持包装容器が、実用上好ましい。
また、別の観点として、青果物鮮度保持包装容器の開口部に、チャック(ジッパー)を取り付けることがある。通常、チャック(ジッパー)は、熱融着により青果物鮮度保持包装容器に取り付けるところ、チャック(ジッパー)の部分が取れにくいことが求められる。
これら、包装容器としての実用上の特性の観点で、特許文献1に記載の包装材には改良の余地があった。
樹脂フィルムにより構成された青果物鮮度保持包装容器であって、
前記樹脂フィルムには、直径1〜10mmの孔が設けられ、
前記樹脂フィルムには、前記孔を覆うように通気性素材が取り付けられており、
前記樹脂フィルムの、X線回折法により求められる微結晶サイズは2.5〜3.5nmであり、
前記樹脂フィルムは、延伸ポリプロピレンを含む、青果物鮮度保持包装容器
が提供される。
上記の青果物鮮度保持包装容器により青果物を包装した、青果物入り包装体
が提供される。
上記の青果物鮮度保持包装容器を用いて青果物を包装する、青果物の鮮度保持方法
が提供される。
図面はあくまで説明用のものである。図面中の各部材の形状や寸法比などは、必ずしも現実の物品と対応しない。
本明細書中、数値範囲の説明における「X〜Y」との表記は、特に断らない限り、X以上Y以下のことを表す。例えば、「1〜5質量%」とは「1質量%以上5質量%以下」を意味する。
本明細書における「(メタ)アクリル」との表記は、アクリルとメタクリルの両方を包含する概念を表す。「(メタ)アクリレート」等の類似の表記についても同様である。
図1は、本実施形態の青果物鮮度保持包装容器の一例(以下「容器1」とも表記する)を模式的に示した図である。
容器1は、樹脂フィルム3により構成されている。
樹脂フィルム3には、直径1〜10mmの孔5が設けられている。
樹脂フィルム3には、孔5を覆うように通気性素材7が取り付けられている。「孔5を覆うように」とは、容器1の外表面側から孔5および通気性素材7の周辺を見たとき、孔5全体が通気性素材7と重なっていることを意味する。
樹脂フィルム3の、X線回折法により求められる微結晶サイズは、2.5〜3.5nm、好ましくは2.8〜3.3nmである。
D=0.94λ/(βcosθ)
D:微結晶サイズ
λ:測定に用いられたX線の波長(Cu−Kα線であれば1.54Å)
β:測定面ピークの半値幅(単位:rad)
θ:測定面のブラッグ角(単位:rad)
樹脂フィルム3中の樹脂の微結晶サイズが3.5nm以下であることにより、ヒートシールの際の熱に対して、樹脂が「素早く」応答して融解すると推測される。このため、十分なヒートシール性が得られたり、十分な強度でチャック(ジッパー)を取り付けたりすることができるものと推測される。
また、樹脂フィルム3中の樹脂の微結晶サイズが2.5nm以上であることにより、通常行われるヒートシールの温度や時間の範囲内で、樹脂が「溶け過ぎる」ことがなく、樹脂の過度な融解およびその後の固着が抑えられると推測される。このため、ヒートシールした部分を適度な力で剥離しやすくなっていると推測される。
念のため述べておくと、上記推測内容により本発明は限定的に解釈されない。
もちろん、微結晶サイズを2.5〜3.5nmとする方法は、本明細書に記載の方法のみに限定されない。樹脂フィルム3の製造にあたっては、公知の方法を適宜用いることができる。
樹脂フィルム3の材質などは特に限定されない。微結晶サイズが2.5〜3.5nmであり、かつ、青果物の包装が可能な樹脂フィルムを適宜用いることができる。
樹脂フィルム3は、延伸されたものであっても、未延伸のものであってもよい。微結晶サイズの最適化の観点では、延伸処理されていることが好ましい。
樹脂フィルム3は、樹脂を1種のみ含んでもよいし、2種以上の樹脂を含んでもよい。
延伸ポリプロピレンの「延伸」は、通常は2軸延伸である。延伸倍率は特に限定されないが、例えば、MD方向、TD方向、それぞれ2〜5倍程度とすることができる。
防曇剤の具体例としては、グリセリンラウレート、ジグリセリンラウレート、デカグリセリンラウレート、グリセリンモノステアレート、ソルビタンステアレート等が挙げられる。
接触角の調整は、防曇剤や結露防止剤などの添加剤により行われてもよいし、樹脂フィルム3の表面に何らかの処理を施すことにより行われてもよいし、これらの両方であってもよい。簡便性や効果の確実性の点では、樹脂フィルム3は、好ましくは防曇性を含む。
X線回折法により配向度を求める場合、通常、X線は樹脂フィルム3のTD方向(Transverse Direction:横軸方向)から入射させる。
樹脂フィルム3は、単層であっても、2層以上の多層であってもよい。多層フィルムを得る方法としては、ドライラミネーション、押出ラミネーション、共押出、塗布などの公知の方法を適宜用いることができる。
(1)原料のポリプロピレンを200〜230℃で溶融させる。
(2)溶融したポリプロピレンをダイから押し出して、続けて、ロール延伸機を用いて、10秒程度かけて、MD方向およびTD方向に、それぞれ、2〜5倍程度延伸させる。
このとき、ロール延伸機のロールの温度は、例えば65〜95℃、好ましくは75〜95℃程度に設定する。
(3)延伸されたフィルムを、20℃程度に設定された冷却ロールに接触させて冷却する。冷却の時間は例えば1〜2秒程度である。
(4)冷却されたフィルムを、室温の巻き取りロールで巻き取る。
孔5の直径は、前述のとおり1〜10mmであり、より好ましくは2〜8mmである。孔5の直径を調整することにより、青果物の種類に応じた適切な通気性を得やすい。
孔5の形状が略円状とはみなせない場合には、孔5の開孔面積と同じ面積を有する真円の直径(円相当径)を、孔5の直径とすることができる。
(孔5の形状は、例えば矩形等であってもよい。ただし、製造適性の点からは、孔5の形状は略円状であることが好ましい。)
樹脂フィルム3に孔5が複数設けられている場合、通気性の調整の観点からは、複数の孔5のすべてが通気性素材7で覆われていることが好ましい。また、複数の孔5のすべての直径が1〜10mmであることが好ましい。
通気性素材7は、通常は容器1の外表面側に存在している(製造のしやすさ等が理由である)。通気性素材7は、容器1の内表面側にあってもよい。
加えて、樹脂フィルム3の微結晶サイズが2.5〜3.5nmであることにより、樹脂フィルム3−通気性素材7の間の接着力を十分大きくすることができる。そして、容器1の使用時に通気性素材7が脱離しにくくなるメリットを得ることができる。
天然繊維としては、セルロースやケラチンを含む繊維などを挙げることができる。合成繊維としては、ポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィン、ポリウレタン等を挙げることができる。もちろん、これら以外の繊維も排除されない。
紙、織布または不織布の製造方法は特に限定されない。例えば不織布については、フラッシュ紡糸法、メルトブロー法、スパンボンド法、スパンレース法など、公知の製法で得られた不織布を用いることができる。織布についても、その織り方は特に限定されない。
通気性素材7が紙、織布または不織布である場合、通気性素材7は、例えば、繊維状の熱可塑性樹脂を含むことができる(紙、織布または不織布を構成する繊維の一部または全部が、繊維状の熱可塑性樹脂であることができる)。あるいは、紙、織布または不織布中の繊維の「すき間」に、熱可塑性樹脂が存在していてもよい。
食品用のフィルターに用いられる紙、織布または不織布の市販品としては、日本製紙パピリア株式会社の「ヒートパック」「ヒートロン」シリーズなどを挙げることができる。
容器1の形態や大きさは、青果物を包装可能である限り特に限定されない。容器1の形状は、典型的には袋状、より具体的には四角形(長方形、正方形等)の袋状である。
あくまで一例であるが、容器1の大きさは、一般消費者向けの青果物の包装用途では、100mm×100mm〜250mm×350mm程度の大きさとすることができる。
(1)まず、対向させた2枚の樹脂フィルムぞれぞれの内側に、雄チャックテープと雌チャックテープとを、熱融着により取り付ける。雄チャックテープと雌チャックテープは、通常、熱可塑性樹脂製である。
(2)その後、樹脂フィルムの四辺をヒートシールおよび/または溶断して、所望の大きさの容器1(袋)を得る。
チャック(ジッパー)付きの容器の製造方法については、例えば、特開2000−226042号公報、特開2011−200507号公報、特許第4787833号公報などを参考にすることができる。チャック(ジッパー)を容器1の開口部付近に取り付けること自体に特別なことは無く、公知の技術を適宜適用すればよい。
本実施形態においては、樹脂フィルム3の微結晶サイズが適当である。このことにより、雄チャックテープや雌チャックテープと樹脂フィルム3とを、十分に強く融着することができる。
容器1の製造方法は特に限定されない。
袋状の容器1を製造する場合、製袋の方法は特に限定されない。公知の製袋方法(ヒートシールや溶断などの方法)を適宜適用することができる。
孔5は、例えば前述のように、打ち抜き装置や熱針により設けることができる。
通気性素材7は、例えば前述のように、ヒートシール法(熱接着)や接着剤を用いる方法などにより樹脂フィルム3に取り付けることができる。
チャック(ジッパー)が設けられた容器1を製造する方法については、前述のとおりである。
本実施形態の青果物鮮度保持包装容器(例えば上記の容器1)により青果物を包装(好ましくは密封)することで、青果物入り包装体を製造することができる。また、本実施形態の青果物鮮度保持包装容器(例えば上記の容器1)を用いて青果物を包装することで、青果物の鮮度を保持する(青果物の劣化を抑制する)ことができる。
開口部の閉じ方は、熱シールではなく、粘着テープ、輪ゴム、ひも等であってもよい。また、容器1それ自身が開口部を閉じるための手段(例えばチャック)を備える場合は、その手段により開口部を閉じてもよい。要は、開口部を通じての気体の出入りが十分に制限される閉じ方であればどのような閉じ方であってもよい。
青果物は、カットされた状態のもの、いわゆるカット野菜やカットフルーツなどであってもよい。
以下、参考形態の例を付記する。
1.
樹脂フィルムにより構成された青果物鮮度保持包装容器であって、
前記樹脂フィルムには、直径1〜10mmの孔が設けられ、
前記樹脂フィルムには、前記孔を覆うように通気性素材が取り付けられており、
前記樹脂フィルムの、X線回折法により求められる微結晶サイズは2.5〜3.5nmである、青果物鮮度保持包装容器。
2.
1.に記載の青果物鮮度保持包装容器であって、
前記樹脂フィルムの、X線回折法により求められる配向度は70〜85%である、青果物鮮度保持包装容器。
3.
1.または2.に記載の青果物鮮度保持包装容器であって、
前記樹脂フィルムは防曇剤を含み、
前記樹脂フィルムの、容器の内表面の水に対する接触角は3〜60°である、青果物鮮度保持包装容器。
4.
1.〜3.のいずれか1つに記載の青果物鮮度保持包装容器であって、
前記通気性素材は、熱接着により前記樹脂フィルムに取り付けられている、青果物鮮度保持包装容器。
5.
1.〜4.のいずれか1つに記載の青果物鮮度保持包装容器であって、
前記通気性素材は、紙、織布または不織布である、青果物鮮度保持包装容器。
6.
1.〜5.のいずれか1つに記載の青果物鮮度保持包装容器であって、
容器の外表面の面積に対する前記孔の面積の比率が、0.005〜0.03%である、青果物鮮度保持包装容器。
7.
1.〜6.のいずれか1つに記載の青果物鮮度保持包装容器であって、
前記樹脂フィルムは、延伸ポリプロピレンおよび直鎖状低密度ポリエチレンからなる群より選ばれる少なくともいずれかを含む、青果物鮮度保持包装容器。
8.
1.〜7.のいずれか1つに記載の青果物鮮度保持包装容器により青果物を包装した、青果物入り包装体。
9.
1.〜7.のいずれか1つに記載の青果物鮮度保持包装容器を用いて青果物を包装する、青果物の鮮度保持方法。
(フィルム1の製造)
市販のポリプロピレン樹脂を、200℃で溶融し、ジグリセリンラウレートとデカグリセリンラウレートを質量比98:2の比率で混合した防曇剤を、濃度7質量%となるように加えた。これをダイから押し出して、続けて、ロール延伸機を用いて、10秒かけて、MD方向に3倍、TD方向に3倍延伸した。このとき、ロール延伸機のロールの温度は90℃に設定した。
延伸により得られたフィルムを、20℃に設定されたロールで2秒冷却し、その後、室温の(特に温度調整していない)ロールで巻き取った。
市販のポリプロピレン樹脂を、200℃で溶融し、ジグリセリンラウレートとデカグリセリンラウレートを質量比98:2の比率で混合した防曇剤を、濃度7質量%となるように加えた。これをダイから押し出して、続けて、ロール延伸機を用いて、10秒かけて、MD方向に3倍、TD方向に3倍延伸させた。このとき、ロール延伸機のロールの温度は80℃に設定した。
延伸により得られたフィルムを、20℃に設定されたロールで2秒冷却し、その後、室温の(特に温度調整していない)ロールで巻き取った。
市販のポリプロピレン樹脂を、200℃で溶融し、ジグリセリンラウレートとデカグリセリンラウレートを質量比98:2の比率で混合した防曇剤を、濃度7質量%となるように加えた。これをダイから押し出して、続けて、ロール延伸機を用いて、10秒かけて、MD方向に3倍、TD方向に3倍延伸させた。このとき、ロール延伸機のロールの温度は70℃に設定した。
延伸により得られたフィルムを、20℃に設定されたロールで2秒冷却し、その後、室温の(特に温度調整していない)ロールで巻き取った。
市販のポリプロピレン樹脂を、200℃で溶融し、ジグリセリンラウレートとデカグリセリンラウレートを質量比98:2の比率で混合した防曇剤を、濃度7質量%となるように加えた。これをダイから押し出して、続けて、ロール延伸機を用いて、20秒かけて、MD方向に3倍、TD方向に3倍延伸させた。このとき、ロール延伸機のロールの温度は100℃に設定した。
延伸により得られたフィルムを、20℃に設定されたロールで2秒冷却し、その後、室温の(特に温度調整していない)ロールで巻き取った。
微結晶サイズおよび配向度を求めるための数式は、前述のとおりである。測定面は、ポリプロピレンの(111)面とした。装置の設定、測定用試料の準備、および、X線を入射させる方向については以下に記載した。
測定条件の詳細は以下のとおりである。
[装置の設定]
・管電圧、管電流:40kV、40mA
・管球:Cu
・ビームサイズ:2mm×8mm
・照射時間:10min
・測定モード:拡張測定
・カメラ距離:96.93cm
[測定用試料]
・微結晶サイズ測定:フィルムを10mm×10mmの大きさに切り、装置のオートサンプルチェンジャーに、MD方向を合わせて4枚重ねて固定した。これにX線をND方向から当てた。
・配向度測定:フィルムを2mm×10mmの大きさに切り、装置のオートサンプルチェンジャーに、MD方向を合わせて8枚重ねて立てて固定した。これにX線をTD方向から当てた。
TRSCO社製ポリプロピレン不織布、品番:955−0559、目付:30g/m2 、厚み:0.25mmを準備した。
以下手順により、各実施例および各比較例の青果物鮮度保持容器を製造した。
(1)フィルムおよび通気性素材の準備
準備したフィルムを、表1に記載されたサイズに切ったものを2枚準備した。また、通気性素材(円形状、直径15mm)を、以下(2)で穿孔する孔の数だけ準備した。
(2)穿孔
(1)で準備した2枚のフィルムのうち、1枚に、打ち抜き装置を用いて孔を設けた。孔の直径は4mm、孔数は1個とした。
(3)通気性素材の取り付け
フィルムの孔部分に、ヒートシールにより通気性素材を取り付けた。具体的には、(i)まず、フィルムの孔の上に通気性素材を置き、(ii)次に、その通気性素材の上から、孔の直径および通気性素材のサイズに応じた円形状の熱板(120℃)を押し当てた。これにより、樹脂フィルムにおける孔の周縁部全体を、通気性素材と固着させた。
(4)製袋
2枚のフィルム(孔および通気性素材を有するものと、有しないもの)を、四隅が一致するように重ねた。そして、インパルスシーラーを用いて、三方(両サイドおよび底)にヒートシール加工を施した。インパルスシーラーとしては、富士インパルス社製、FI−400Y−10PKを用いた。ヒートシール加工は、160℃、シール時間1秒の条件で行った。これにより10mm幅の熱シール部分を形成した。
製袋においては、通気性素材が袋の外側になるようにした。
以下の評価のために、十分な数の袋を製造した。
(ヒートシール強度(剥離強度))
以下要領でヒートシール強度を測定した。
・測定環境:23℃、50%RH
・サンプルの準備:各フィルムから幅15mmの切片を2枚切り出し、160℃で、幅方向と平行に5mm幅のヒートシールをした。
・測定:オリエンテック社製テンシロン万能試験機RTC−1210を用い、つかみの間隔を70mmにし、180°方向に速度300mm/minで引っ張った。そして、ヒートシール部が剥がれた時の最大強度を求めた。測定は3回行い、3回の平均値をヒートシール強度とした。
まず、各実施例および比較例の容器(袋)に、100ccの窒素ガスを封入し、開口部をヒートシールして、窒素ガス入りの袋を作製した。ヒートシールの条件は各袋で全て同じとした。
その後、窒素ガス入りの膨らんだ袋を、評価者に手で押してもらい、簡単に開封してしまうかどうかを評価した。
窒素ガス入りの袋は、各実施例および比較例において10袋ずつ作製し、評価者10名に評価してもらった。簡単に開封したと答えた人が2人未満の場合は〇(良好)、2人以上の場合は×(不良)とした。
まず、160℃、1秒の条件、容器(袋)の開口部をヒートシールして閉じた。
ヒートシール後に、評価者10名にヒートシールで閉じた部分を手で開封してもらった。開封しやすいと答えた人が9人以上の場合は〇(良好)、9人未満の場合は×(不良)とした。
上記<青果物鮮度保持容器の製造>において、(4)製袋の前に、最終的な袋における開口部に当たる部分の近くに、雄チャックテープと雌チャックテープとを、熱融着により取り付ける工程を加えた。これにより、チャック(ジッパー)が設けられた袋を作製した(各実施例および比較例、20袋ずつ)。
チャック(ジッパー)を閉じた袋を、20人の評価者に開封してもらった。そして、
・問題なくスムーズに開封できたものを合格品、
・開封の際、取り付けたチャックテープが取れてしまったか、または、チャックテープと袋との間の熱融着が過度であったために開口部のしなやかさが失われ、開封しづらかったものを不合格品
とした。
最終的な評価として、合格品が18袋以上の場合を〇(良好)、18袋未満の場合を×(不良)とした。
まず、枝豆200gを袋に入れて、開口部をヒートシールして閉じたものを、各実施例・比較例で20袋ずつ準備した。
準備した20袋を、400mm×250mm×300mmの大きさの段ボールに入れて段ボールを閉じた。そして、5分間上下に揺さぶった。揺さぶり方については、上下方向にそれぞれ10cm、1往復1秒とした。
その後、各袋を確認し、通気性素材が剥がれていないものをOK品、剥がれた部分があるものをNG品とした。OK品が18袋以上の場合〇(良好)、18袋未満の場合を×(不良)とした。
比較例1においては、微結晶サイズが小さすぎたため、ヒートシールの際に樹脂が「溶け過ぎて」、ヒートシール部の口の開けやすさが悪くなったと考えられる。
比較例2においては、微結晶サイズが大きすぎたため、ヒートシールや熱融着の際に樹脂が十分に溶けず、十分な強度でのヒートシール/熱融着ができなかったものと考えられる。
各実施例の青果物鮮度保持容器に、新鮮なエダマメ200gを入れ、そして開口部をヒートシールすることで密封した。これを20℃、50%RHの環境下で5日間保管した。
保管後のエダマメの変色(黄化)、トロケ(水浮き、すなわち、腐敗の進行による水分の滲出)および臭気について、商品として販売可能なレベルにあるか否かを、10人の評価者により評価した。
各評価においては、10人中6人以上が「商品として販売可能なレベルにある」と評価した。つまり、各実施例の青果物鮮度保持容器は、「青果物鮮度保持」容器として十分な性能を有することが確認された。
3 樹脂フィルム
5 孔
7 通気性素材
Claims (8)
- 樹脂フィルムにより構成された青果物鮮度保持包装容器であって、
前記樹脂フィルムには、直径1〜10mmの孔が設けられ、
前記樹脂フィルムには、前記孔を覆うように通気性素材が取り付けられており、
前記樹脂フィルムの、X線回折法により求められる微結晶サイズは2.5〜3.5nmであり、
前記樹脂フィルムは、延伸ポリプロピレンを含む、青果物鮮度保持包装容器。 - 請求項1に記載の青果物鮮度保持包装容器であって、
前記樹脂フィルムの、X線回折法により求められる配向度は70〜85%である、青果物鮮度保持包装容器。 - 請求項1または2に記載の青果物鮮度保持包装容器であって、
前記樹脂フィルムは防曇剤を含み、
前記樹脂フィルムの、容器の内表面の水に対する接触角は3〜60°である、青果物鮮度保持包装容器。 - 請求項1〜3のいずれか1項に記載の青果物鮮度保持包装容器であって、
前記通気性素材は、熱接着により前記樹脂フィルムに取り付けられている、青果物鮮度保持包装容器。 - 請求項1〜4のいずれか1項に記載の青果物鮮度保持包装容器であって、
前記通気性素材は、紙、織布または不織布である、青果物鮮度保持包装容器。 - 請求項1〜5のいずれか1項に記載の青果物鮮度保持包装容器であって、
容器の外表面の面積に対する前記孔の面積の比率が、0.005〜0.03%である、青果物鮮度保持包装容器。 - 請求項1〜6のいずれか1項に記載の青果物鮮度保持包装容器により青果物を包装した、青果物入り包装体。
- 請求項1〜6のいずれか1項に記載の青果物鮮度保持包装容器を用いて青果物を包装する、青果物の鮮度保持方法。
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