JP2016037312A - 結露抑制包装袋 - Google Patents

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Abstract

【課題】防曇性と結露防止性を向上させた結露抑制包装袋を提供する。【解決手段】青果物包装袋は、基材層1と、最内層となる防曇層3と、を有する青果物包装袋用多層フィルム10からなり、防曇層3の厚みが、3μm以上、30μm以下であり、青果物包装袋用多層フィルム10は、基材層1と、防曇層3との共押出により形成されてなる。【選択図】図1

Description

本発明は、結露抑制包装袋に関する。
包装袋に、内容物を収容し保管した場合、内容物の水分により包装袋の内部に曇りや結露が生じることある。例えば、青果物用の包装袋としては、特許文献1に記載のものがある。特許文献1には、細孔を有する熱可塑性樹脂多孔膜層を用いた多層フィルムが記載され、当該多層フィルムの表面に防曇性を付与することが開示されている。
また、防曇性樹脂シートとしては、特許文献2に、防曇成分としてポリグリセリン脂肪酸エステルとジグリセリン脂肪酸エステルとの混合物を、樹脂シート表面に塗布したことが開示されている。さらに、特許文献3には、防曇性を有する多層構造の農業用フィルムが記載され、結露防止のために、多層フィルムの中間層または内層に防曇剤を混合することが開示されている。
特開2005−144830号公報 特開2003−105112号公報 特開平10−315397号公報
しかしながら、特許文献1に記載されるような従来の包装用フィルムにおける防曇性とは、青果物の呼吸などにより発生した水分をフィルム表面で膜状に広げることで、単に水分を目立たなくするものであった。すなわち、フィルム表面に付着した水分による凹凸を低減させることで、光の乱反射が発生するのを抑制するものであった。そのため、青果物の包装袋内でさらに水分が発生した場合、膜状に広がりきれなくなった水分が水滴となり、結露するという問題があった。また、特許文献2に記載されるような防曇成分を塗布した樹脂シートでは、充分な防曇効果を得ることができなかった。
また、特許文献3に記載されるような農業用フィルムを包装体に用いた場合、硬度が高く包装袋に適さないものであった。
本発明は、防曇、結露防止機能が良好な結露抑制包装袋を提供するものである。
本発明者らは、上記課題を達成するために鋭意研究を重ねた結果、共押出により形成された積層体を用い、包装袋の内側となる第二の層の厚みを特定の範囲とすることにより、防曇性に加え、包装袋内の過剰な水分を包装袋外部に放出する水蒸気透過性を有することができるようになり、その結果、結露防止機能を向上させられることを見出し、本発明を完成させた。
本発明によれば、
少なくとも第一の層と、最内層となる第二の層と、を有する積層体からなり、
前記第二の層の厚みが、3μm以上、30μm以下であり、
前記積層体は、前記第一の層と、前記第二の層との共押出により形成されてなる結露抑制包装袋が提供される。
本発明によれば、防曇、結露防止機能が良好な結露抑制包装袋を提供できる。
本発明の青果物包装袋用多層フィルムを示す断面図である。 本発明の青果物包装袋の製造方法の一例を示す模式図である。
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。なお、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
また、本実施形態では、結露抑制包装袋の内容物を、青果物とした場合について説明するが、内容物は青果物に限られない。
図1は、本発明の青果物包装袋用多層フィルム10を示す断面図である。図1に示すように、青果物包装袋用多層フィルム(積層体)10は、基材層1(第一の層)、中間層2、防曇層3(第二の層)がこの順に積層している。
基材層1は、親水性を有し、青果物自身から蒸散する水蒸気、及び青果物に付着した水分を外部に放出する機能を有する。また、青果物包装袋用多層フィルム10の強度を保ち、溶断シール性に優れる。基材層1は、水蒸気を外部に放出する観点から、青果物包装袋用多層フィルム10の最外層であることが好ましい。
基材層1は、青果物を視認でき、良好な意匠性を得る観点から、透明な樹脂フィルム層であることが好ましい。
基材層1は、ポリアミド系樹脂を含有していることが好ましい。ポリアミド系樹脂としては、ナイロンが好ましい。ナイロンは、ナイロン6、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン66、ナイロン6・10、ナイロン6・12、ナイロン6・T、ナイロン6・I、ナイロン9T、ナイロンM5T、ポリメタキシリレンアジパミド(MXDナイロン)、等の単独又は二種以上組み合わせが好ましく、ナイロン6、ナイロン11、ナイロン12、及びナイロン66の単独又は二種以上組み合わせがより好ましく、ナイロン6及びナイロン66の単独又は二種の組み合わせがさらに好ましい。
基材層1の固形分当たりポリアミド系樹脂の含有量は、50質量%以上が好ましく、70質量%以上が好ましく、98質量%以上であることがさらに好ましい。
基材層1は、必要に応じて、ポリアミド系樹脂以外の樹脂を含有することが出来る。ポリアミド系樹脂以外の樹脂としては、特に限定されない。例えば、ポリプロピレン、低密度ポリエチレン、リニヤー低密度ポリエチレン、中・高密度ポリエチレン、エチレン・酢酸ビニル共重合体、ポリスチレン、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、エチレン・ビニルアルコール共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、セロハン、ポリアクリロニトリル、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、ポリ乳酸、共重合ポリエステル等)、ボリカーボネート等、またはこれらを組合せて用いてもよい。これらの樹脂のうち、ポリアミド系樹脂との相溶性が高い樹脂が好ましい。
基材層1は、必要に応じて、無機系フィラーを含有することが出来る。無機系フィラーとしては、特に限定されない。例えば、ゼオライト、セピオライト、珪藻土、シリカ、シリカゲル、アロブェン、イモゴライト、モンモリロナイト、アタパルジャイト、或いはゾノトライトのような鉱物(無機質結晶体)等を用いてもよい。
基材層1は、必要に応じて、熱安定剤、滑剤、防曇剤、耐衝撃改良剤、加工助剤、静電防止剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、耐侯劣化防止剤、充填剤、顔料、等の添加剤を樹脂フィルムの性能を損なわない範囲で含有することができる。
基材層1の厚みは、5μm以上が好ましく、10μm以上がより好ましく、一方、40μm以下が好ましく、30μm以下がより好ましい。基材層1の厚みを5μm以上とすることで、青果物包装袋100の見栄えを良好にし、適度な強度が得られる。また、基材層1の厚みを40μm以下とすることにより、適度な柔軟性が得られる。
中間層2は、必要に応じて、基材層1と防曇層3との間に設けることができる。これにより、基材層1と防曇層3との密着性をより向上できる。
中間層2は、変性ポリエチレン、変性ポリプロピレン、変性エチレン・酢酸ビニル共重合体、変性ポリエステル等のいわゆる接着性樹脂を含むことが出来る。より効果的な防曇効果を得る観点から、接着性樹脂が好ましく、変性ポリエステル、変性ポリエチレン、変性ポリプロピレンがより好ましい。
中間層2の厚みは、1μm以上が好ましく、30μm以上がより好ましく、一方、10μm以下が好ましく、5μm以下がより好ましい。中間層2の厚みを1μm以上とすることで、基材層1と防曇層3との密着性を向上させることができるが、高水蒸気透過性を得る観点から、中間層2はない方が好ましい。
防曇層3は、青果物包装袋用多層フィルム10を用いて製造した青果物包装袋100の最内層であり、青果物(被包装体)に当接する。防曇層3は、防曇機能を有する。
ここで、防曇とは、青果物の呼吸により発生した水分を、防曇層3表面で膜状に広げることで、水分を目立たなくする機能をいう。これにより、防曇層3表面に付着した水分による凹凸を低減させることで、光の乱反射が発生するのを抑制できる。
防曇層3は、基材となる樹脂と防曇剤である界面活性剤とを含有している。
基材となる樹脂は、防曇層3が白濁のない透明なフィルムと成る様に、防曇剤との親和性、相溶性に優れた樹脂が好ましい。また、青果物包装袋用多層フィルム10から高速溶断によって青果物包装袋100を製造する際に、安定して充分な溶断シール強度を得つつ、相溶領域が形成されやすくするために、基材層1との相溶性の高い樹脂が好ましい。
防曇層3の基材となる樹脂の含有量は、防曇層3の固体分当たり、60質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましく、80質量%以上がさらに好ましく、一方、98.5質量%以下が好ましく、97.5質量%以下がより好ましく、96質量%以下であることがさらに好ましい。樹脂の含有量を60質量%以上とすることにより、基材層1と防曇層3との適度な相溶性が得られ、基材層1と防曇層3との密着性を良好にできる。
防曇層3の基材となる樹脂としては、ビニルアルコール系樹脂が好ましい。ビニルアルコール系樹脂としては、脂肪酸ビニルエステル系重合体(単独又は共重合体)のケン化物、例えば、ポリビニルアルコール(完全ケン化ポリビニルアルコール、部分ケン化ポリビニルアルコール)、部分アセタール化ポリビニルアルコール、エチレン・ビニルアルコール共重合樹脂、ビニルアルコール−エチレンスルホン酸共重合樹脂、ビニルアルコール−マレイン酸共重合樹脂等が挙げられる。これらのビニルアルコール系樹脂は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらのうち、エチレン・ビニルアルコール共重合樹脂がより好ましい。
エチレン・ビニルアルコール共重合樹脂は、防曇剤と混合しても白濁することなく透明に均一に混合できる、基材層1のナイロンと密着し強固に積層できる、青果物包装袋100の製造に際して溶断シール性が高い等の優れた性能を有している。特に必要がなければ、防曇層3の基材となる樹脂は、エチレン・ビニルアルコール共重合樹脂を単独で用いることが好ましい。
また、エチレン・ビニルアルコール共重合樹脂としては、特に限定されないが、好ましくは、エチレンコンテント29mol%以上48mol%以下であり、より好ましくは、エチレンコンテント44mol%以上48mol%以下である。エチレン・ビニルアルコール共重合樹脂のエチレンコンテントが高いほど融点が低く、ヒートシールし易くなり、包装した内容物に含まれる水分の減少抑制しやすくなる。
防曇層3は、必要に応じてエチレン・ビニルアルコール共重合樹脂以外の樹脂を含有することが出来る。この様な樹脂としては、熱可塑性樹脂を挙げることが出来る。例えば、上記ビニルアルコール系樹脂、アクリル系樹脂、エステル系樹脂、オレフィン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリアミド系樹脂及びこれらの組合せが挙げられ、これらの中でも、上記ビニルアルコール系樹脂等のエチレン・ビニルアルコール共重合樹脂との相溶性が高い樹脂が好ましい。
防曇剤は、非イオン性界面活性剤であることが好ましい。非イオン性界面活性剤は、青果物包装袋用多層フィルム10の防曇性を高める機能を有する。上記樹脂と均一に混合される。
非イオン性界面活性剤は、十分な防曇効果を得る観点から、防曇層3の固形分当たり1.0質量%以上が好ましく、1.5質量%以上がより好ましく、2.0質量%以上がさらに好ましく、一方、フィルムの良好な透明性、及びべたつきを抑制する観点から、5.0質量%以下が好ましく、4.0質量%以下がより好ましく、3.5質量%以下がさらに好ましい。
非イオン性界面活性剤としては、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリエチレングリコールソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル、アルキルジエタノールアミン、アルキルジエタノールアミド等の単独あるいは併用系が挙げられる。これらの中でも、ポリグリセリン脂肪酸エステルが好ましい。
ポリグリセリン脂肪酸エステルは、その構成脂肪酸の70質量%以上が炭素数12〜18、好ましくは炭素数12〜16の飽和及び/又は不飽和脂肪酸、より好ましくは飽和脂肪酸である。また、重縮合度(重縮合度に分布がある場合は最も多い成分の重縮合度)が4〜20、且つモノエステルが50モル%以上のものが好ましい。
具体的な構成脂肪酸としてはラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラギジン酸、オレイン酸、エライジン酸、リシノレイン酸、2−ブチルオクタン酸、2−ヒドロキンデカン酸等が挙げられる。さらに具体的には、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸の単独又は2種以上を全構成脂肪酸の70質量%以上含有するものが好ましく、残りはカプリン酸やカプリル酸等の炭素数10以下および/又はステアリン酸やアラキジン酸等の炭素数18以上の飽和脂肪酸を、或いはミリストレイン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸等の不飽和脂肪酸を含んでいてもよい。
ポリグリセリン脂肪酸エステルの具体例としては、ジグリセリンモノオレート、ジグリセリンモノラウレート、ジグリセリンモノステアレート、ジグリセリンモノパルミテート、ジグリセリンモノベヘネート、ジグリセリンセスキオレート、ジグリセリンセスキラウレート、ジグリセリンセスキステアレート、ジグリセリンセスキパルミテート、ジグリセリンセスキベヘネート、ジグリセリンジオレート、ジグリセリンジラウレート、ジグリセリンジステアレート、ジグリセリンジパルミテート、ジグリセリンジベヘネート、トリグリセリンオレート、トリグリセリンラウレート、テトラグリセリンオレート、テトラグリセリンステアレート、ヘキサグリセリンラウレート、ヘキサグリセリンオレート、デガグリセリンオレート、デカグリセリンラウレート等が挙げられる。これらのうち、デカグリセリンラウレートは、防曇性が高く樹脂との相溶性も高いので好ましい。
防曇層3に用いられる非イオン性界面活性剤は、ポリグリセリン脂肪酸エステル以外の上記非イオン性界面活性剤と併用することができる。これらの非イオン性界面活性剤を具体例としては、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールオレイン酸エステル、ポリエチレングリコールラウリン酸エステル、ポリエチレングリコールステアリン酸エステル、ポリオキシエチレングリセリンラウリン酸エステル、ポリオキシエチレングリセリンオレイン酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンオレイン酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンラウリン酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンステアリン酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンステアリルエーテル等が挙げられる。
防曇層3は、フィルムのブロッキング防止、或いはその水蒸気透過度及び水の接触角を調整するために、ゼオライト、セピオライト、珪藻土、シリカ、シリカゲル、アロブェン、イモゴライト、モンモリロナイト、アタパルジャイト、或いはゾノトライトのような鉱物等を、防曇層3の性能を損なわない範囲で含有してもよい。
防曇層3は、必要に応じて、熱安定剤、滑剤、上記以外の防曇剤、耐衝撃改良剤、加工助剤、静電防止剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、耐侯劣化防止剤、無機粒子、充填剤及び顔料等の添加剤を、防曇層3の性能を損なわない範囲で含有してもよい。
防曇層3の厚みは、3μm以上であり、10μm以上が好ましく、14μm以上がより好ましく、一方、30μm以下であり、25μm以下がより好ましい。防曇層3の厚みを3μm以上とすることにより、青果物包装袋用多層フィルム10で製造した青果物包装袋100の強度を保持できるとともに防曇効果を長期に亘り得ることができ、30μm以下とすることにより、青果物自身から蒸散する水蒸気の透過性を良好にし、結露を抑制できる。
青果物包装袋用多層フィルム10は、1.5kg/15mm以上の溶断シール強度を有する。1.5kg/15mm以上とすることで、青果物を包装する際に溶断部が破れることを抑制でき、溶断刃へのフィルム片の付着を抑制できる。溶断シール強度の測定は、防曇層3が内側となるように内寸130×180mmの青果物包装袋100を作製し、溶断シールした部分が試料長さ方向に垂直方向となるように、幅(TD方向)15mm、長さ(MD方向)100mmの試験片を切り出し、温度20℃、湿度65%の雰囲気下で、株式会社オリエンテック製のTENSILON RTC−1250を用いて、試験片の長さ方向の両端部を掴み、引張速度200mm/分で溶断シールした部分が破断するまで測定を行うことで測定する。
青果物包装袋用多層フィルム10の水蒸気透過度は、25g/m・日以上180g/m・日以下が好ましく、30g/m・日以上100g/m・日以下がより好ましく、30g/m・日以上80g/m・日以下がさらに好ましい。25g/m・日以上とすることで、青果物自身から蒸散する水蒸気が蓄積することによって包装袋の内部表面で結露することを抑制できる。一方、180g/m・日以下とすることで、青果物包装袋100の外部の環境の影響を低減し、青果物自身からの水分の蒸散を抑制しつつ、青果物包装袋100の内部に外部から水分が入り込むのを抑制できる。これにより、青果物包装袋100内の青果物の乾燥を防ぎ、良好な防曇性、及び結露防止効果を得ることができる。
なお、水蒸気透過度は、JIS Z 0208(40℃、90%RH)に準拠して測定する。
青果物包装袋用多層フィルム10の厚さは、15μm以上が好ましく、20μm以上がより好ましく、一方、40μm以下が好ましく、30μm以下がより好ましい。青果物包装袋用多層フィルム10の厚さを15μm以上とすることにより、青果物包装袋100において良好な強度が得られ、40μm以下とすることにより、適度な柔軟性が得られる。
青果物包装袋用多層フィルム10の透明度は、2%以上10%以下のヘイズであることが好ましく、3%以上8%以下のヘイズであることがより好ましい。ヘイズを2%以上10%以下の範囲とすることにより、青果物包装袋100とした際に透明性が得られ、包装袋の中身(青果物など)を充分に見分けることができ、良好な外観が得られる。
なお、ヘイズとは、拡散光透過率を全光線透過率で除した値であり、JIS K7105に準拠して測定する。
青果物包装袋用多層フィルム10の防曇層3の表面の水接触角(°)は、0°以上55°以下が好ましく、0°以上40°以下がより好ましく、0°以上30°以下がさらに好ましい。水接触角とは、表面の水ぬれ性の指標であり、その値が小さいほど表面は水に濡れやすく、高いほど水をはじく性質となる。水接触角の測定方法としては、市販の接触角計(例えば、協和界面科学株式会社製、DROPMASTER−501)を使用し、防曇層3の測定面に精製水2μLを着滴して7秒後の水接触角を測定する、液滴法にて測定する。
青果物包装袋用多層フィルム10は、上記のような材料、厚み等の特性を有する基材層1、中間層2、防曇層3を共押出により積層させることによって得られる。従来の押出ラミネート法、ドライラミネート法、コート法等は、基材層と防曇層が良好に密着しない傾向があり、充分な結露防止効果がえられなかった。また、押出ラミネート法、ドライラミネート法、コート法等は、積層するための工程が増えるといった問題があった。これに対し、青果物包装袋用多層フィルム10は、共押出法を用いることにより、多層フィルムの製造工程が少ないためコスト的メリットがあるうえ、基材層1と防曇層3との密着性が高くなるとともに、塗布法などと比べて防曇層3の厚みを厚くすることができる。これにより、青果物包装袋100の強度を向上でき、かつ防曇効果を長期に亘り得ることできる。また、青果物包装袋用多層フィルム10に柔軟性を持たせることができるため、青果物包装袋100に収容した青果物に対し、袋による傷が付きにくくなる。
ここで、共押出によって得られた青果物包装袋用多層フィルム10は、例えば、接着剤(アンカーコート剤)が使用されていない、溶剤が使用されていない、延伸フィルム層と未延伸フィルム層との組み合わせがされていない、印刷層が表面層に形成される等の観点から確認することができる。
また、青果物包装袋100の製造方法は、特に限定されないが、青果物包装袋用多層フィルム10の防曇層3が内側となるようにして、青果物包装袋用多層フィルム10同士を重ね合わせ、二方シール袋、三方シール袋、四方シール袋、スタンディングパウチ等任意の形状とすることができる。または、青果物包装袋用多層フィルム10同士を重ね合わせ、溶断することにより、袋体を形成することができる(サイドシール袋)。さらに、青果物包装袋用多層フィルムを筒状にしてピロー袋にすることもできる。
以下、溶断により袋体を形成する(サイドシール袋)場合について、詳述する。
基材層1と中間層2と防曇層3との共押出としては、Tダイ法(一軸延伸、二軸延伸、未延伸)あるいはインフレーション法により製造する方法が挙げられる。
次に、図2(a)に示すように、1枚の青果物包装袋用多層フィルム10を用意し、袋底となる部分で折り返して、防曇層3が内側となるようにして、青果物包装袋用多層フィルム10同士を重ね合わせる。続いて、図2(b)、(c)に示すように、青果物包装袋用多層フィルム10の融点以上に加熱した溶断刃50を用い、2枚の青果物包装袋用多層フィルム10を溶かしながら、同時に切断する。これにより、図2(d)に示すように、青果物包装袋用多層フィルム10の切断面同士が熱融着され接合部11が形成される。かかる溶断を繰り返すことで、図2(e)に示すような2辺が接合部11により接合され、袋底1辺が折り返された青果物包装袋100が得られる。
ここで、溶断とは、一対の青果物包装袋用多層フィルム10同士を重ね合わせ、該青果物包装袋用多層フィルム10をその融点以上に加熱しながら切断することで、青果物包装袋用多層フィルム10同士を熱融着させながら切断することをいう。
青果物包装袋100は、青果物を保存して結露を防止することができる。すなわち、青果物包装袋100は、内部に入れた青果物自身の呼吸による水蒸気によって生じる青果物包装袋100の内面の曇りを抑制するとともに、長期間保存しても、結露の発生を抑制できるものである。この理由としては、青果物包装袋100の内面に付着した水分が、青果物包装袋用多層フィルム10の防曇層3により膜状に広がるとともに、さらに水分が発生した場合であっても、青果物包装袋用多層フィルム10の基材層1から水分を外部に放出することができるため、結露の発生を抑制できると考えられる。
また、従来、青果物などを収容する包装袋に、微細孔などを設けて水分を外部に放出するための通気性を得ようとした場合、微細孔以外の部分が結露したり、透明性が低下したり、酸素透過性が高くなりすぎ、青果物など含水物の保存性が低下したりする場合があった。これに対し、青果物包装袋100によれば、微細孔及び/または切り込みを有さなくても、防曇性、結露防止性が得られ、青果物の鮮度を保持できる。
本実施形態の青果物包装袋100の内容物である青果物とは、野菜、果物、山菜、菌茸、切り花を含む。より詳細には、ダイコン、ニンジン、ゴボウ、タケノコ、サツマイモ、タマネギ、ショウガ、サトイモ、ナガイモなどの土物類、アスパラガス、キャベツ、レタス、ホウレンソウ、白菜、カリフラワー、ブロッコリーなどの葉茎菜類、トマト、ナス、カボチャ、ピーマン、キュウリなどの果菜類、りんご、梨、さくらんぼ、桃、梅、オレンジ、グレープフルーツ、ミカン、柿、いちじく、いちご、キウイフルーツ、葡萄、ブルーべリーなどの果物、わらび、ゼンマイ、などの山菜、シイタケ、エリンギ、ブナシメジ、本シメジ、エノキ茸、舞茸などの菌茸類、菊、バラ、ユリ、サカキ(葉)などの切り花が挙げられる。
青果物包装袋100は、呼吸を行う青果物に対し、青果物包装袋用多層フィルム10のガス透過性を高度に制御しつつ、防曇、結露防止機能に優れたものである。
青果物包装袋100は、防曇性及び結露防止機能に優れるばかりでなく、安全性、衛生性、透明性、適度な剛性、表面硬度、耐衝撃性、防湿性、酸素バリア性、密封性に優れ、青果物の外観、品質保持性、生産性、コスト面、等においても非常に優れている。
以上、図面を参照して本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
上記実施形態では、結露抑制包装袋の内容物として、青果物の例について説明したが、内容物は水分を含有・付着する物であればよい。すなわち、青果物のように自身の呼吸に伴って水分を放出するものに限られない。
青果物以外の水分を含有する物としては、肉、魚、洋菓子、及びパン等の加工食品、干し柿等乾燥させたが完全には水分がなくなっていないもの、包装袋に入れた際に内容物が含有する水分によって結露が発生するものでもよい。また、食品以外のものであってもよく、木材、衣類、医薬品、工業用材料であってもよい。
また、水分を付着するものとしては、冷凍、冷蔵で冷やされているために表面に結露が発生したもの、洗浄や包装前の結露により表面が濡れた状態のものでもよい。
結露しやすさの観点から、内容物としては、青果物が好ましい。
また、上記実施形態では、青果物包装袋用多層フィルム10が中間層2を有する例について説明したが、より効果的な防曇機能を得る観点から、基材層1と防曇層3の二層構造が好ましい。
また、上記実施形態では、基材層1の片側に防曇層3が積層された例について説明したが、防曇層3は、基材層1の両側に積層してもよい。
以下に実施例により本発明をさらに詳細に説明する。但し、本発明は以下の実施例により何ら制限されるものではない。なお、以下の実施例、比較例に記載されている%及び部は、質量%及び質量部を表わす。
<青果物包装袋用の多層フィルムの作成>
以下の実施例、比較例で示される原料を用いて、各層を同時に押し出す共押出法で多層フィルムを製造した。ダイは、マルチマニホールドダイを使用した。ダイスを通過した各層の融解物を、冷却ロール(温度30℃)に誘導して冷却した。その後、この多層フィルムを、最終的に巻取ロール(3インチ紙管)に巻き取った。
得られた多層フィルムは、いずれも透明(ヘイズ10%以下:JIS K7105準拠)であった。
(実施例1)
基材層の原料として、100重量部のナイロン6樹脂(宇部興産株式会社製のUBEナイロン1030B2)と3重量部のアンチブロッキング剤マスターバッチ(宇部興産株式会社製、UBEナイロン1015FD−M)をドライブレンドしたものを用いた。
防曇層の原料としては、100重量部のエチレンコンテント38mol%のエチレン・ビニルアルコール共重合樹脂(日本合成化学工業株式会社製のソアノールET3803RB)と3重量部のアンチブロッキング剤マスターバッチ(宇部興産株式会社製のUBEナイロン1015FD−M)とをドライブレンドしたものに、非イオン性界面活性剤として、(ジグリセリンモノオレート(理研ビタミン株式会社製ポエムDO−100V):ポリオキシエチレンアルキルエーテル(理研ビタミン株式会社製リケマールB−205):1−ドデカノール=100:98:2)3.5%となるように添加した。
上記原料を用いて総厚み36μm、最内層(防曇層)の厚み26μmの多層フィルムを製造した。この多層フィルムの防曇性、結露防止性、及び密着性を評価し、その結果を表1に示す。
(実施例2)
基材層の原料として、100重量部のナイロン6樹脂(宇部興産株式会社製のUBEナイロン1030B2)と3重量部のアンチブロッキング剤マスターバッチ(宇部興産株式会社製、UBEナイロン1015FD−M)をドライブレンドしたものを用いた。
防曇層の原料としては、100重量部のエチレンコンテント44mol%のエチレン・ビニルアルコール共重合樹脂(株式会社クラレ社製のエバールE105B)と3重量部のアンチブロッキング剤マスターバッチ(宇部興産株式会社製のUBEナイロン1015FD−M)とをドライブレンドしたものに、非イオン性界面活性剤として、(ジグリセリンモノオレート(理研ビタミン株式会社製ポエムDO−100V):ポリオキシエチレンアルキルエーテル(理研ビタミン株式会社製リケマールB−205):1−ドデカノール=100:98:2)3.5%となるように添加した。
上記原料を用いて総厚み34μm、最内層(防曇層)の厚み20μmの多層フィルムを製造した。この多層フィルムの防曇性、結露防止性、及び密着性を評価し、その結果を表1に示す。
(実施例3)
基材層の原料として、100重量部のナイロン6樹脂(宇部興産株式会社製のUBEナイロン1030B2)と3重量部のアンチブロッキング剤マスターバッチ(宇部興産株式会社製、UBEナイロン1015FD−M)をドライブレンドしたものを用いた。
防曇層の原料としては、100重量部のエチレンコンテント44mol%のエチレン・ビニルアルコール共重合樹脂(株式会社クラレ社製のエバールE105B)と3重量部のアンチブロッキング剤マスターバッチ(宇部興産株式会社製のUBEナイロン1015FD−M)とをドライブレンドしたものに、非イオン性界面活性剤として、(ジグリセリンモノオレート(理研ビタミン株式会社製ポエムDO−100V):ポリオキシエチレンアルキルエーテル(理研ビタミン株式会社製リケマールB−205):1−ドデカノール=100:98:2)3.5%となるように添加した。
上記原料を用いて総厚み34μm、最内層(防曇層)の厚み14μmの多層フィルムを製造した。この多層フィルムの防曇性、結露防止性、及び密着性を評価し、その結果を表1に示す。
(実施例4)
基材層の原料として、100重量部のナイロン6樹脂(宇部興産株式会社製のUBEナイロン1030B2)と3重量部のアンチブロッキング剤マスターバッチ(宇部興産株式会社製、UBEナイロン1015FD−M)をドライブレンドしたものを用いた。
防曇層の原料としては、100重量部のエチレンコンテント48mol%のエチレン・ビニルアルコール共重合樹脂(株式会社クラレ社製のエバールG156B)と3重量部のアンチブロッキング剤マスターバッチ(宇部興産株式会社製のUBEナイロン1015FD−M)とをドライブレンドしたものに、非イオン性界面活性剤として、(ジグリセリンモノオレート(理研ビタミン株式会社製ポエムDO−100V):ポリオキシエチレンアルキルエーテル(理研ビタミン株式会社製リケマールB−205):1−ドデカノール=100:98:2)3.5%となるように添加した。
上記原料を用いて総厚み34μm、最内層(防曇層)の厚み5μmの多層フィルムを製造した。この多層フィルムの防曇性、結露防止性、及び密着性を評価し、その結果を表1に示す。
(実施例5)
基材層の原料として、100重量部のナイロン6樹脂(宇部興産株式会社製のUBEナイロン1030B2)と3重量部のアンチブロッキング剤マスターバッチ(宇部興産株式会社製、UBEナイロン1015FD−M)をドライブレンドしたものを用いた。
防曇層の原料としては、100重量部のエチレンコンテント44mol%のエチレン・ビニルアルコール共重合樹脂(株式会社クラレ社製のエバールE105B)と3重量部のアンチブロッキング剤マスターバッチ(宇部興産株式会社製のUBEナイロン1015FD−M)とをドライブレンドしたものに、非イオン性界面活性剤として、(ジグリセリンモノオレート(理研ビタミン株式会社製ポエムDO−100V):ポリオキシエチレンアルキルエーテル(理研ビタミン株式会社製リケマールB−205):1−ドデカノール=100:98:2)2.4%となるように添加した。
上記原料を用いて総厚み34μm、最内層(防曇層)の厚み20μmの多層フィルムを製造した。この多層フィルムの防曇性、結露防止性、及び密着性を評価し、その結果を表1に示す。
(実施例6)
基材層の原料として、100重量部のナイロン6樹脂(宇部興産株式会社製のUBEナイロン1030B2)と3重量部のアンチブロッキング剤マスターバッチ(宇部興産株式会社製、UBEナイロン1015FD−M)をドライブレンドしたものを用いた。
防曇層の原料としては、100重量部のエチレンコンテント44mol%のエチレン・ビニルアルコール共重合樹脂(株式会社クラレ社製のエバールE105B)と3重量部のアンチブロッキング剤マスターバッチ(宇部興産株式会社製のUBEナイロン1015FD−M)とをドライブレンドしたものに、非イオン性界面活性剤として、(ジグリセリンモノオレート(理研ビタミン株式会社製ポエムDO−100V):ポリオキシエチレンアルキルエーテル(理研ビタミン株式会社製リケマールB−205):1−ドデカノール=100:98:2)1.6%となるように添加した。
上記原料を用いて総厚み34μm、最内層(防曇層)の厚み20μmの多層フィルムを製造した。この多層フィルムの防曇性、結露防止性、及び密着性を評価し、その結果を表1に示す。
(実施例7)
基材層の原料として、100重量部のナイロン6樹脂(宇部興産株式会社製のUBEナイロン1030B2)と3重量部のアンチブロッキング剤マスターバッチ(宇部興産株式会社製、UBEナイロン1015FD−M)をドライブレンドしたものを用いた。
防曇層の原料としては、100重量部のエチレンコンテント44mol%のエチレン・ビニルアルコール共重合樹脂(株式会社クラレ社製のエバールE105B)と3重量部のアンチブロッキング剤マスターバッチ(宇部興産株式会社製のUBEナイロン1015FD−M)とをドライブレンドしたものに、非イオン性界面活性剤として、(ジグリセリンモノオレート(理研ビタミン株式会社製ポエムDO−100V):デカグリセリンステアレート(理研ビタミン株式会社製ポエムJ−0081HV):ポリオキシエチレンアルキルエーテル(理研ビタミン株式会社製リケマールB−205):1−ドデカノール=90:10:98:2)2.4%となるように添加した。
上記原料を用いて総厚み30μm、最内層(防曇層)の厚み20μmの多層フィルムを製造した。この多層フィルムの防曇性、結露防止性、及び密着性を評価し、その結果を表1に示す。
(実施例8)
基材層の原料として、100重量部のナイロン6樹脂(宇部興産株式会社製のUBEナイロン1030B2)と3重量部のアンチブロッキング剤マスターバッチ(宇部興産株式会社製、UBEナイロン1015FD−M)をドライブレンドしたものを用いた。
防曇層の原料としては、100重量部のエチレンコンテント44mol%のエチレン・ビニルアルコール共重合樹脂(株式会社クラレ社製のエバールE105B)と3重量部のアンチブロッキング剤マスターバッチ(宇部興産株式会社製のUBEナイロン1015FD−M)とをドライブレンドしたものに、非イオン性界面活性剤として、(ジグリセリンモノオレート(理研ビタミン株式会社製ポエムDO−100V):デカグリセリンオレート(理研ビタミン株式会社製ポエムJ−0381V):ポリオキシエチレンアルキルエーテル(理研ビタミン株式会社製リケマールB−205):1−ドデカノール=95:5:98:2)2.4%となるように添加した。
上記原料を用いて総厚み30μm、最内層(防曇層)の厚み20μmの多層フィルムを製造した。この多層フィルムの防曇性、結露防止性、及び密着性を評価し、その結果を表1に示す。
(実施例9)
基材層の原料として、100重量部のナイロン6樹脂(宇部興産株式会社製のUBEナイロン1030B2)と3重量部のアンチブロッキング剤マスターバッチ(宇部興産株式会社製、UBEナイロン1015FD−M)をドライブレンドしたものを用いた。
防曇層の原料としては、100重量部のエチレンコンテント44mol%のエチレン・ビニルアルコール共重合樹脂(株式会社クラレ社製のエバールE105B)と3重量部のアンチブロッキング剤マスターバッチ(宇部興産株式会社製のUBEナイロン1015FD−M)とをドライブレンドしたものに、非イオン性界面活性剤として、(ジグリセリンモノオレート(理研ビタミン株式会社製ポエムDO−100V):デカグリセリンラウレート(理研ビタミン株式会社製ポエムL−021):ポリオキシエチレンアルキルエーテル(理研ビタミン株式会社製リケマールB−205):1−ドデカノール=60:40:98:2)2.4%となるように添加した。
上記原料を用いて総厚み30μm、最内層(防曇層)の厚み20μmの多層フィルムを製造した。この多層フィルムの防曇性、結露防止性、及び密着性を評価し、その結果を表1に示す。
(比較例1)
基材層の原料として、100重量部のナイロン6樹脂(宇部興産株式会社製のUBEナイロン1030B2)と3重量部のアンチブロッキング剤マスターバッチ(宇部興産株式会社製、UBEナイロン1015FD−M)をドライブレンドしたものを用いた。
防曇層の原料としては、100重量部のエチレンコンテント48mol%のエチレン・ビニルアルコール共重合樹脂(株式会社クラレ社製のエバールG156B)と3重量部のアンチブロッキング剤マスターバッチ(宇部興産株式会社製のUBEナイロン1015FD−M)とをドライブレンドしたものに、非イオン性界面活性剤として、(ジグリセリンモノオレート(理研ビタミン株式会社製ポエムDO−100V):ポリオキシエチレンアルキルエーテル(理研ビタミン株式会社製リケマールB−205):1−ドデカノール=100:98:2)1.0%となるように添加した。
上記原料を用いて総厚み50μm、最内層(防曇層)の厚み35μmの多層フィルムを製造した。この多層フィルムの防曇性、結露防止性、及び密着性を評価し、その結果を表1に示す。
(比較例2)
基材層の原料として、100重量部のナイロン6樹脂(宇部興産株式会社製のUBEナイロン1030B2)と3重量部のアンチブロッキング剤マスターバッチ(宇部興産株式会社製、UBEナイロン1015FD−M)をドライブレンドしたものを用いた。
防曇層の原料としては、100重量部のエチレンコンテント38mol%のエチレン・ビニルアルコール共重合樹脂(日本合成化学工業株式会社製のソアノールET3803RB)と3重量部のアンチブロッキング剤マスターバッチ(宇部興産株式会社製のUBEナイロン1015FD−M)とをドライブレンドしたものに、非イオン性界面活性剤として、(ジグリセリンモノオレート(理研ビタミン株式会社製ポエムDO−100V):ポリオキシエチレンアルキルエーテル(理研ビタミン株式会社製リケマールB−205):1−ドデカノール=100:98:2)1.0%となるように添加した。
上記原料を用いて総厚み34μm、最内層(防曇層)の厚み1μmの多層フィルムを製造した。この多層フィルムの防曇性、結露防止性、及び密着性を評価し、その結果を表1に示す。
(比較例3)
基材層の原料として、100重量部のナイロン6樹脂(宇部興産株式会社製のUBEナイロン1030B2)と3重量部のアンチブロッキング剤マスターバッチ(宇部興産株式会社製、UBEナイロン1015FD−M)をドライブレンドしたものを用いた。
防曇層の原料としては、100重量部の低密度ポリエチレン(宇部丸善ポリエチレン株式会社製、F222)と20重量部の防曇剤マスターバッチ(理研ビタミン株式会社製EAR−5、添加材濃度12%)をドライブレンドしたものを用いた。
上記原料を用いて総厚み50μm、最内層(防曇層)の厚み40μmの多層フィルムを製造した。この多層フィルムの防曇性、結露防止性、及び密着性を評価し、その結果を表1に示す。
<評価方法>
・防曇性
40℃の湯を100ml入れた300mlトールビーカーの開口部を完全に覆うようにして、多層フィルムを被せて輪ゴムでビーカーに固定した。多層フィルムは、防曇性測定面(防曇層側)がビーカー内側となるようにした。この多層フィルムを被せたビーカーを速やかに10℃の冷蔵庫に入れて5分後に、多層フィルムのビーカー内側面に付着した水の状態を多層フィルムの防曇層側から目視で確認し、以下の基準を用いて評価した。
4:水は、膜状になっており、多層フィルムの反対側が容易に見通せる。
3:水は、ほぼ膜状だが、一部粒状になっている。多層フィルムの反対側はほぼ見通せる。
2:水は、ほぼ粒状に付着。多層フィルムの反対側がやや見え難い。
1:水は、全面粒状或いは霧状に付着している。多層フィルムの反対側がかなり見え難い。
※防曇性は、評価3以上を合格とした。
・結露防止性
得られた多層フィルムの防曇層が内側になるようにして、内寸130×180mmの包装袋を作成し、針で突き刺し穴2個をあけた。常温(20〜35℃)下で、この包装袋に生シイタケ約100gを入れて包装袋開口部をヒートシールで密封して包装体を得た。この包装体を10℃、71%RHで保管し、10分後、1日後、3日後、及び5日後に包装袋内の結露状態を包装袋の外側から目視で観察し、下記の基準を用いて評価した。
なお、包装体は、包装袋に内容物を入れて包装したものを意味する。
5:包装袋内面に水分が付着していない。
4:包装袋内面に付着した水が膜状になっている。
3:包装袋内面に一部に粒状の水が付着している(内容物がほぼはっきり見える)。
2:包装袋内面に粒状の水が目立つ。
1:包装袋内全面に粒状の水が多く付着している(内容物が見え難い)。
※結露防止性は、全ての評価で3以上を維持していた場合を合格とした。
また、包装体保管時の質量変化を測定し、下記の基準を用いて評価した。
2:1日当たりの包装体の目減りが1.5%未満
1:1日当たりの包装体の目減りが1.5%以上
・密着性
(1)得られた多層フィルム(積層体)を幅15mm、長さ80mmに切り出し、
(2)幅15mm、長さ80mmのテープ(電気化学工業株式会社製の#822 布粘着テープ)を準備し、積層体の最内層側(防曇層)に、貼り合せ部分が幅15mm、長さ10mmとなるようにテープを貼りつけてゴムローラーで圧着して圧着部を形成した試験片を10個準備し、
(3)積層体とテープの圧着部以外をマスキングし、
(4)圧着部を中央にして積層体とテープを180°に開き、つかみの間隔を50mm以上とし、積層体の直角方向端部とテープの直角方向端部を展開長さ140mmとして引張試験機に取付け、
(5)引張試験機のつかみ間の相対移動速度を200±20mm/分で試験片を引張り、デラミネーション(層間剥離)の有無を確認した。
デラミネーションが0個の場合を○、デラミネーションが1個以上の場合を×とした。
・多層フィルムの厚み
多層フィルムの厚みは、連続厚み測定機フィルムテスターS−2270(株式会社フジワーク社製)で測定した。試験片の幅は、50mm、測定時のフィルムの送り速度は、1.5m/分とした。
・多層フィルムの防曇層の厚み
多層フィルムの防曇層の厚みは、多層フィルムの断面を観察して、防曇層の厚みを測定した。または、多層フィルムの断面を観察して、多層フィルム全体に対する防曇層の比率から、防曇層の厚みを算出した。
なお、基材を厚み25μmの二軸延伸ナイロンフィルム(ユニチカ株式会社製エンブレムONBC)に実施例、比較例で得られた防曇層の原料を用いて、押出ラミネート法により多層フィルムを形成したが、基材層と防曇層が充分に密着せず、接着層が必要であった。そのため、良好な結露抑制効果が得られなかった。
Figure 2016037312
1 基材層
2 中間層
3 防曇層
10 青果物包装袋用多層フィルム
11 接合部
50 溶断刃
100 青果物包装袋

Claims (7)

  1. 第一の層と、最内層となる第二の層と、を有する積層体からなり、
    前記第二の層の厚みが、3μm以上、30μm以下であり、
    前記積層体は、前記第一の層と、前記第二の層との共押出により形成されてなる結露抑制包装袋。
  2. 請求項1に記載の結露抑制包装袋において、
    前記第二の層が、防曇性を有し、非イオン界面活性剤を含む結露抑制包装袋。
  3. 請求項1または2に記載の結露抑制包装袋において、
    前記第一の層が、ポリアミド系樹脂を含む結露抑制包装袋。
  4. 請求項1乃至3いずれか一項に記載の結露抑制包装袋において、
    前記第二の層が、ビニルアルコール系樹脂を含む結露抑制包装袋。
  5. 請求項1乃至4いずれか一項に記載の結露抑制包装袋において、
    前記積層体が透明である結露抑制包装袋。
  6. 請求項1乃至5いずれか一項に記載の結露抑制包装袋において、
    被包装物が青果物である結露抑制包装袋。
  7. 請求項1乃至6いずれか一項に記載の結露抑制包装袋を用いて被包装物を保存し、結露を防止する結露抑制包装袋の使用方法。
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