JP2014141076A - 鮮度保持フィルムおよび袋 - Google Patents

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Abstract

【課題】高い抗菌性を有することで、野菜、肉、魚のような生鮮物を包装する際に生じる腐敗臭、悪臭を抑え鮮度を保持し、抗菌成分が内容物に移行し人体に入ることのないように考慮した鮮度保持フィルムを提供することにある。
【解決手段】本発明の鮮度保持フィルムは、裏層/中間層/表層の少なくとも三層からなる熱可塑性樹脂多層フィルムの中間層に、塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、塩化カリウムからなる群より選ばれる少なくとも一種の無機塩と、アルキルジエタノールアミンおよび/またはグリセリンの脂肪酸エステルを防曇剤として含むことを特徴とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、スーパーマーケット、コンビニエンスストアーなどの店舗で販売される野菜、果物といった青果物や花卉、精肉および鮮魚などの動物性食材の鮮度を保持するに好適な鮮度保持フィルムに関する。
従来、スーパーマーケット、コンビニエンスストアー、青果店、精肉店、鮮魚店、花屋の店舗で販売される野菜、果物といった青果物や、精肉および鮮魚などの動物性食材からなる生鮮食品および花卉などは個包装にし、同一規格のポリプロピレンフィルムまたはポリエチレンフィルムからなる袋に入れて販売されている。またこれら袋の一部には鮮度保持機能を有するフィルムからなる袋も使われている。
これら生鮮食品は、経時により変色、萎えなどの劣化、腐敗が進行し易く、外観上消費者が買い控え、また食品の安全上から、野菜、果物といった青果物や花卉では、萎え、脱水、褐変、腐敗の変化が生ずる前に、また動物性食材に関しては、ドリップ、褐変、腐敗臭、などの変化が生ずる前に廃棄している。この廃棄率が、スーパーマーケット、コンビニエンスストアー、などの収益性に大きく影響を与えることから、販売店では、個包装した生鮮食品および花卉などの低温維持に努め、鮮度保持に気を使っている。
しかしながら、青果物、花卉など植物類と鮮魚、精肉などの動物性食材とでは、腐敗への進行機構が異なることから、夫々に応じた対応が必要となっている。
一般に青果物と言われる葉菜野類、茎野菜、根菜類や果実類は、採取後、個包装された時点でも生きていて呼吸を行っている。この為、この呼吸をコントロールし、青果物を眠らせる様に、酸素を逃がし、二酸化炭素を留めて、二酸化炭素の雰囲気濃度が高めになる様な機能を有するフィルムを用い、袋などで完全密封する方法が用いられている。
例えば、特許文献1では、フィルムに断面積0.07cm2以下の中空管を設けることにより、簡易にMA(Modified Atomosphere)効果による鮮度保持を可能とする包装体が開示されている。また特許文献2では、フィルム自体に貫通孔は設けず、多数の微細な未貫通孔を500個/cm2以上の密度で一様に設けることにより、酸素ガスおよび水蒸気の透過量を増大させて鮮度保持可能としたフィルムが提案されている。さらに、特許文献3では、1個以上の開口部を有する基材フィルムと酸素透過度の10000cc/m2・day・atm以上のフィルムを多層化して1000〜500000cc/m2・day・atmの酸素透過度を有することで、十分な通気性とCA(Controlled Atmosphere)効果を持つ鮮度保持フィルムからなる包装体が開示されている。
しかしながら、これら青果物の呼吸をコントロールする発明では、密封包装による問題点が有る。即ち、呼吸によって生ずる水分や青果物への付着水が結露して、個包装の内部に残り、ドリップとなり、この水分に接した部分が褐変したり、雑菌繁殖の温床になり易く好ましくない。このため、呼吸をコントロールしながら結露を解消する手段が検討されている。例えば特許文献4に見られる様に、呼吸をコントロールするフィルムへの孔開けの孔径を大きくしかつ数を増して通気を促進することにより、結露やドリップを防止する発明が提案されている。
しかしながら、特許文献1〜4に記載の方法は、包装する青果物の呼吸量によってフィルム設計を行わなければならないため、包装する野菜や果物の種類、量によって細孔径、個数を個々に調整、変更する必要があり甚だ煩雑であり、個包装内に発生しるドリップには無防備である。
一方、精肉、鮮魚といった動物性食材に付いては、屠殺、採取後は、生体活動が停止し、タンパク質の分解によるグルタミン酸の生成、筋肉中のアデノシン三燐酸の分解によるイノシン酸の生成など、いわゆる「うまみ成分」への変換が生じた段階、即ち、熟成後でないと食材には適さない。
しかしながら、熟成による「うまみ成分」への変換は、動物性食材の腐敗と一体で進行する。このため、腐敗による細胞壁の破壊に伴い、栄養素を含む液体が食材から流出し、ドリップとなって個包装内に溜まり、このドリップに雑菌が繁殖し、更に腐敗を加速度的に進行させることとなる。
このためこれら動物性食材の鮮度保持の手段として、例えば特許文献5では、10%以下の無機系塩化物を含有させたドリップ吸収体に食材からのドリップを吸収させることにより、鮮度を維持し、「うまみ成分」が損なわれることを防ぐ発明が提案されている。また、特許文献6では、滑剤または界面活性剤と、有機系または無機系抗菌剤を担持体に含有させ、フィルムやラミネート体の表面層に配合した抗菌性フィルムでの包装が開示されている。
しかしながら、特許文献5に記載のドリップ吸収体を包装体に設けたとしても、ドリップ吸収体の設置が必要であり包装体の外観や使い勝手等の低下が懸念される。
また、特許文献6に記載の発明では十分な抗菌性能を有するもののフィルムに抗菌剤を含有させた担持体を配合していることから、透明性に問題が有り、またハンドリング性向上に滑剤を添加しているものの、表面の擦れで、抗菌剤を含む担持体が剥がれ落ち、食品に移行し内容物の風味を変えたり、さらには人体に抗菌成分が取り込まれる恐れがあり、好ましいとは言えない。
一方、これらの方法とは別に、青果物や動物性食材を対象に、無機セラミック材料やミネラル成分を用い、遠赤外線の発生やマイナスイオンの効果で、食材等の鮮度を維持する発明も提案されている。例えば特許文献7には、炭酸リチウム、苦灰石、角閃石を微粉砕して樹脂に練り込みシート、ネット、等を作り、鮮度保持効果を謳った鮮度保持材が提案されている。また、特許文献8には、抗菌性ゼオライト、ミネラル分を練り込んだシート、不織布からなる鮮度保持包装材が提案されている。
しかしながら、特許文献7に記載の発明では、鮮度保持成分として炭酸リチウム等を含有しているため、透明性の低下等外観が低下することに加え、鮮度保持材の取扱い時に前記鮮度保持成分が欠落して被包装物である食品等に混入する可能性があった。また、特許文献8に記載の発明では、長石等の水溶出物の水溶液に包装材となるシートを含浸させているため、鮮度保持の有効成分が表面から水分により流れ落ちてしまうことがあり安定した鮮度保持性を確保することが困難であった。
また、青果物や動物性食材の鮮度保持を目的に、無機成分、特ににがり成分の抗菌性についても種々研究がなされており、特許文献9には塩化カリウムまたは、塩化マグネシウムとカテキン類を含んだ殺菌剤として、緑茶集出物にKCl、MgCl2、NaClを添加することによるセレウス菌に対する抗菌性が示されている。特許文献10には、にがりを有効成分とする表皮ブドウ球菌と黄色ブドウ球菌のバランス調整剤として用い、にがり水にブドウ球菌分散液を混合して、それを培養した後の生菌数が抑制されることについて示されている。また、特許文献11にはキノコ、植物エキスを配合したにがり水を用い、培養後の生菌数が抑制されることについて示されている。さらに、特許文献12には糖類とカルシウム、マグネシウムを反応させた水酸化カルシウムサッカラートを含む抗菌剤、鮮度保持処理剤として用い、各種細菌に対する発育阻止効果が開示されている。
ここでの特許文献9〜12に記載されている発明において、にがり成分は高い抗菌性を示しているものの、抗菌剤として菌に作用するには溶解してイオンになり、菌に浸入していく必要があるため、例えば食品包装用のフィルムの中にそのまま練り込んでも溶解しイオン化しない限り菌に作用して抗菌性や鮮度保持性を奏し得ない。さらに、表面層に抗菌剤として塗布したりすれば、内容物である食品に抗菌成分が移行し、内容物の風味を変えてしまったり、人体に抗菌成分が取り込まれるおそれがあり、好ましくない。
従って、青果物及び動物性食材の個々の包装について、煩雑とならず、被包装物である青果物や動物性食材等への安全性が確保され、優れた抗菌性およびそれに起因する鮮度保持性を有する汎用性の包装フィルムが求められていた。
特開2000−004780号公報 特開平07−047559号公報 特開平06−022686号公報 特開2010−228806号公報 特許第3024480号公報 特許第3104200号公報 特開2004−129516号公報 特開平10−271981号公報 特開2010−259404号公報 特許第4608198号公報 特許第4949678号公報 特開2001−226209号公報
本発明の目的は、高い抗菌性を有することで、野菜、果物といった青果物や花卉、精肉、鮮魚などの動物性食材を包装するに際し、経時における腐敗を安定的に抑制し、食材等の被包装物に関しては抗菌成分が移行し人体に取り入れられることのない鮮度保持フィルムを提供することにある。
本発明は、裏層/中間層/表層の少なくとも三層からなる熱可塑性樹脂多層フィルムの中間層に、塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、塩化カリウムからなる群より選ばれる少なくとも一種の無機塩と、グリセリンの脂肪酸エステルおよび/またはアルキルジエタノールアミンを防曇剤として含むことを特徴とする鮮度保持フィルムを提供するものである。
本発明の鮮度保持フィルムは、無機塩由来の金属イオンとグリセリンの脂肪酸エステルおよび/またはアルキルジエタノールアミンとの相乗効果により、高い抗菌性を有するので、結果として被包装物である野菜、果物といった青果物や花卉、精肉、鮮魚などの動物性食材を、より長く鮮度保持できる。
また、本発明の鮮度保持フィルムからなる袋を用いることで、結露及びドリップにより生ずる水分に寄生する雑菌の繁殖を抑えるため、被包装物である生鮮食品の劣化を抑制することができると共に、結露及びドリップによる水分を変敗させないことから、腐敗臭の発生も抑制することができる。
さらには、本発明の鮮度保持フィルムからなる袋の一部に孔を設けたり、上部を開放しておけば、嫌気性菌が発生しないので被包装材に腐敗臭がこもらない様にすることも可能である。
<熱可塑性樹脂>
本発明に係る熱可塑性樹脂多層フィルムを構成する熱可塑性樹脂としては、種々公知の熱可塑性樹脂、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル・1−ペンテン、1−オクテン等のα−オレフィンの単独若しくは共重合体、より具体的には、高圧法低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン(所謂LLDPE)、高密度ポリエチレンなどのエチレン系重合体、プロピレン単独重合体、プロピレン・α‐オレフィンランダム共重合体、プロピレンブロック共重合体などのプロピレン系重合体、ポリ1−ブテン、ポリ4−メチル・1−ペンテンなどのポリオレフィン、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等)、ポリアミド(ナイロン−6、ナイロン−66、ポリメタキシレンアジパミド等)、ポリ塩化ビニル、ポリイミド、エチレン・酢酸ビニル共重合体もしくはその鹸化物、ポリビニルアルコール、ポリアクリロニトリル、ポリカーボネート、ポリスチレン、アイオノマー、更にはポリ乳酸、ポリブチレンサクシネート、等の生分解性樹脂、或いはこれらの混合物等を例示することができる。
これらのうちで、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド等が、延伸性、剛性、透明性に優れるので好ましく、特にポリエチレン、ポリプロピレンに代表されるポリオレフィンが軽量でフィルム加工性に優れるため好ましく、剛性、耐熱性の観点からポリプロピレン系重合体が特に好ましい。
本発明に係る熱可塑性樹脂には、本発明の効果を損なわない範囲で耐熱安定剤、耐候安定剤、紫外線吸収剤、滑剤、スリップ剤、核剤、ブロッキング防止剤、帯電防止剤、防曇剤、顔料、染料等の通常熱可塑性樹脂に添加される各種添加剤の他、タルク、珪藻土、などの各種フィラー類を本発明の目的を損なわない範囲で添加しておいてもよい。
ここで、耐熱安定剤(酸化防止剤)としては、例えば、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシトルエン、テトラキス[メチレン(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ)ヒドロシンナメート]メタン、n−オクタデシル−3−(4'−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオネート、2,2'−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)等のフェノール系酸化防止剤、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系酸化防止剤、2(2'−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、置換ベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール系酸化防止剤、2−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート、エチル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート、フェニルサルチレート、4−t−ブチルフェニルサリチレート等が挙げられる。
帯電防止剤としては、例えば、アルキルアミンおよびその誘導体、高級アルコール、ピリジン誘導体、硫酸化油、石鹸類、オレフィンの硫酸エステル塩類、アルキル硫酸エステル類、脂肪酸エチルスルフォン酸塩、アルキルスルフォン酸塩、アルキルナタレンスルフォン酸塩、アルキルベンゼンスルフォン酸塩、ナフタレンスルフォン酸塩、琥珀酸エステルスルフォン酸塩、リン酸エステル塩、多価アルコールの部分的脂肪酸エステル、脂肪アルコールのエチレンオキサイド付加物、脂肪酸のエチレンオキサイド付加物、脂肪アミノまたは脂肪酸アミドのエチレンオキサイド付加物、アルキルフェノールのエチレンオキサイド付加物、アルキルナフトールのエチレンオキサイド付加物、多価アルコールの部分的脂肪酸エステルのエチレンオキサイド付加物、ポリエチレングリコール等が挙げられる。
滑剤としては、例えば、ステアリン酸、ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、高級アルコール、流動パラフィン等が挙げられる。
紫外線吸収剤としては、例えば、エチレン−2−シアノ−3,3'−ジフェニルアクリレート、2−(2'−ヒドロキシ−5'−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−3'−t−ブチル−5'−メチルフェニル)5−クロロベンゾトリアゾール、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2、2'−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4オクトキシベンゾフェノン等が挙げられる。
<プロピレン系重合体>
本発明に係るプロピレン系重合体としては、一般にポリプロピレンの名称で製造・販売されているプロピレンの単独重合体(ホモプロピレンとも呼ばれている)、プロピレン・α‐オレフィンランダム共重合体(ランダムプロピレンとも呼ばれている)、プロピレン単独重合体と低結晶性、あるいは非晶性のプロピレン・エチレンランダム共重合体の組成物(ブロックPPとも呼ばれている)などのプロピレンを主成分とする結晶性の重合体である。
これらプロピレン系重合体は、1種あるいは2種以上の組成物、例えば分子量が異なるプロピレンの単独重合体の組成物、プロピレン単独重合体とプロピレンとエチレン、あるいは炭素数4から10のα―オレフィンとのランダム共重合体との組成物であってもよい。
本発明に係るプロピレン系重合体は、通常、密度が0.890〜0.930g/cm3、MFR(ASTM D1238 荷重2160g、温度230℃)が0.5〜60g/10分、好ましくは0.5〜10g/10分、更に好ましくは1〜5g/10分の範囲にある。
本発明に係る熱可塑性樹脂多層フィルムの中間層を構成する熱可塑性樹脂としては、融点(Tm)が155〜170℃の範囲にあるプロピレンの単独重合体、若しくはプロピレンと少量、具体的には1モル%以下のα‐オレフィンとの共重合体が、得られる熱可塑性樹脂多層フィルムの剛性、耐熱性に優れるので好ましい。
本発明に係る熱可塑性樹脂多層フィルムの裏層及び表層を構成する熱可塑性樹脂は、中間層を構成する融点(Tm)が155〜170℃の範囲にあるプロピレン系重合体と同様の融点を有するプロピレン系重合体であってもよいが、融点(Tm)が、125℃以上〜155℃未満、好ましくは130〜145℃の範囲にあるプロピレン・α‐オレフィンランダム共重合体が、ヒートシール性に優れる熱可塑性樹脂多層フィルムが得られるので好ましい。
<無機塩>
本発明に係る熱可塑性樹脂多層フィルムの中間層に添加される無機塩は、塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、塩化カリウムからなる群より選ばれる少なくとも一種の無機塩である。本発明に係る無機塩は、上記塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、塩化カリウムを夫々単独で含んでもよいが、前記無機塩のうちの二種、あるいは三種、あるいは四種全てを含んでいてもよい。これらの無機物はそれ自体に抗菌性はないが、無機塩に由来する金属イオンとグリセリンの脂肪酸エステルおよび/またはアルキルジエタノールアミンの極性を発現する水酸基またはアミノ基と結びつくことにより、相乗的に親水性を付与し、グリセリンの脂肪酸エステルおよび/またはアルキルジエタノールアミンが菌の細胞膜へ吸着し溶菌作用による細胞膜機能阻害により抗菌性およびその結果としての鮮度保持性を向上させるものと考えられる。
<グリセリンの脂肪酸エステル>
本発明においてグリセリンの脂肪酸エステルとは、グリセリンと炭素数が8以上で18程度以下、具体的には、例えば、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、12−ヒドロキシステアリン酸、などの高級脂肪酸とのモノエステル(モノグセライド)、ジエステル(ジグリセライド)、トリエステル(トリグリセライド)、あるいはそれらの混合物、若しくはジグリセリン、トリグリセリンなどのポリグリセリンと高級脂肪酸のエステルである。 これらグリセリンの脂肪酸エステルとしては、具体的には、グリセリンモノカプリレート、グリセリンカプレート、グリセリンモノラウレート、グリセリンモノステアレート、グリセリンモノパルミテート、グリセリンモノ12−ヒドロキシステアレート、グリセリンモノオレート、などのグリセリンのモノエステル(モノグリセライド)が挙げられる。
また、グリセリンモノ・ジステアレート、グリセリンモノ・ジパルミテート、グリセリンモノ・ジベヘネート、グリセリンモノ・ジオレートなどのグリセリンのモノエステル(モノグリセライド)とジエステル(ジグリセライド)との混合物も可能であり、更に、ジグリセリンモノラウレート、ジグリセリンモノミリステート、ジグリセリンモノステアレート、ジグリセリンモノオレードなどのジグリセリンの脂肪酸エステルも用いることができる。また、テトラグリセリン
ステアレート、デカグリセリン ラウレート、デカグリセリンステアレート、デカグリセリン オレート、ポリグリセリン カプレート、ポリグリセリン ポリリシノレートなどのポリグリセリンの脂肪酸エステルなども挙げることが出来る。これらグリセリンの脂肪酸エステルは二種以上の混合物であってもよい。アルキルジエタノールアミンをフィルム表面層にブリードさせる機能を有することから、グリセリンモノラウレート、ジグリセリンモノラウレート、グリセリンモノミスチレート、ジグリセリンモノミスチレート、グリセリンモノパルミチレート、ジグリセリンモノパルミチレート、グリセリンモノステアレート、ジグリセリンモノステアレートが好ましく、成形中の揮発が小さく成形機を汚染しないことからグリセリンジパルミテート、グリセリンモノステアレートが好ましい。
<アルキルジエタノールアミン>
本発明においてアルキルジエタノールアミンとは、ステアリルジエタノールアミン(C18DEA)、パルミチルジエタノールアミン(C16DEA)、ミリスチルジエタノールアミン(C14DEA)、ラウリルジエタノールアミン(C12DEA)のいずれか1以上からなる単独化合物または単独化合物の混合物をいう。ステアリルジエタノールアミン(C18DEA)およびパルミチルジエタノールアミン(C16DEA)は、ミスチルジエタノールアミン(C14DEA)やラウリルジエタノールアミン(C12DEA)に比べて融点が比較的高いことから、熱可塑性樹脂からなるフィルムを溶融成形する際、特にフィルムが延伸フィルムである場合に熱固定を行うテンター等において比較的揮発しにくい。さらに、ステアリルジエタノールアミン(C18DEA)およびパルミチルジエタノールアミン(C16DEA)は、抗菌性、および鮮度保持性に優れ、包装用フィルムに用いた場合にそれに接触する被包装物への移行が比較的遅く安全性に優れており、加えてその性能を持続することが可能である。

(アルキルジエタノールアミン) (長鎖アルキル基の部分の炭素数) (融点)
ステアリルジエタノールアミン 18個 51℃
パルミチルジエタノールアミン 16個
28℃
ミリスチルジエタノールアミン 14個
22〜23℃
ラウリルジエタノールアミン 12個
常温で液体
<防曇剤>
本発明においては防曇剤とは、グリセリンの脂肪酸エステルおよび/またはアルキルジエタノールアミンから構成される。防曇剤には抗菌性および鮮度保持性の向上の観点からグリセリンの脂肪酸エステルを含有させることが好ましい。尚、本発明に係る防曇剤には、本発明の効果を損なわない範囲でグリセリンの脂肪酸エステルやアルキルジエタノールアミン以外の食品包装用フィルムに使用されている防曇剤、例えば高級脂肪族アルコール類、高級脂肪族アミン類、高級脂肪酸エステル類、等またはそれらの混合物を一部含有していてもよい。
<鮮度保持フィルム>
本発明の鮮度保持フィルムは、裏層/中間層/表層の少なくとも三層からなる熱可塑性樹脂多層フィルムの中間層に、塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、塩化カリウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の無機塩と、アルキルジエタノールアミンおよび/またはグリセリンの脂肪酸エステルを含む。本発明の鮮度保持フィルムは少なくとも三層からなる熱可塑性樹脂多層フィルムからなり、中間層のアルキルジエタノールアミンおよび/またはグリセリンの脂肪酸エステルを縦延伸工程ではブリードすることなく成形機を汚さずにかつ横延伸〜ヒートセットの工程で表面にブリードして抗菌性を発現する観点からその厚みの比率として、好ましくは裏層/中間層/表層=3/94/3〜10/80/10であり、より望ましくは4/92/4〜8/84/4の範囲を規定する。
本発明の鮮度保持フィルムは、通常、全厚が15〜50μm、望ましくは20〜40μmの範囲にあり、中間層並びに裏層及び表層の層比が上記範囲にあると、ヒートシール性及び剛性、耐熱性のバランスに優れる鮮度保持フィルムとすることができる。ここで、全厚が15μm以下では、剛性が不足し、袋とした時の形状維持が難しく、ハンドリング性に問題が有り、また突き刺し強度も弱く好ましくない。一方、全厚が50μm以上では、剛性、強度とも強いものの一般食品包装材としては過剰物性となり生産性、コストから好ましくない。従って、本発明の好ましい全厚として15〜50μmであり、実用上の望ましい範囲としては20〜40μmである。
本発明では厚みの比率として裏層/中間層/表層=3/94/3〜10/80/10を規定する。ここで、前記層構成比で裏層、表層が最も少ない3/94/3の場合、全厚みの下限が15μmの時は0.45μmで、これ以下では相対的に中間層に対する表層や裏層が薄くなり、十分なヒートシール強度が得られないおそれがある。一方層構成比で、裏層あるいは表層が最も大きい裏層/中間層/表層=10/80/10の場合、全厚みの上限50μmにおいては裏層および表層が5.0μmとなり、裏層および表層の厚みが5.0μmを超えると中間層から無機塩をグリセリンの脂肪酸エステルおよび/またはアルキルジエタノールアミンの働きで、フィルム表層へ適正濃度でブリードアウトさせて安定した抗菌性を維持できない恐れがあり好ましくない。従って、本発明の鮮度保持フィルムの厚みの比率として裏層/中間層/表層=3/94/3〜10/80/10が好ましく、4/92/4〜8/84/4の範囲がより好ましい。
本発明の鮮度保持フィルムは、中間層の無機塩の含有量が、10〜1000ppmであることが好ましく、20〜200ppmであることがより好ましい。中間層の無機塩の含有量が10ppm未満では抗菌性が低減してしまい、一方1000ppmを超えると金属イオンの形態より金属塩として裏層や表層の表面に供給される量が多くなり抗菌性の大幅な向上は認められなくなるからである。 無機塩の含有量が上記範囲にあると、抗菌効果があり、且つ、透明性に優れ、中間層から裏層あるいは表層に無機塩から金属イオンの状態で裏層および表層の表面に移行していくため、被包装物に味覚などの影響を及ぼさない。即ち、中間層に含まれるグリセリンの脂肪酸エステル及び/またはアルキルアミンからなる防曇剤の一部が表面へブリードアウトする際に、中間層に含まれる無機塩から微量のナトリウムイオン、マグネシウムイオン、などを伴って継続して供給され、抗菌性が安定して発揮される。
また、グリセリンの脂肪酸エステル及び/またはアルキルアミンからなる防曇剤の含有量が、優れた抗菌性、防曇性、透明性に優れ、被包装物の味覚にも影響を及ぼす恐れもないことから好ましくは1000〜20000ppm、より好ましくは5000〜10000ppmの範囲にある。防曇剤としてのグリセリンの脂肪酸エステル及び/またはアルキルアミンの含有量が1000ppm未満では防曇性が不足し、包装フィルムとした時、内容物の水分で曇り好ましくなく、一方、20000ppmを越えると中間層から裏層および表層に防曇剤が移行する量が多くなり、フィルム製造時に、生産設備を汚染し好ましくない。
このように、本発明の鮮度保持フィルムは中間層に無機塩と防曇剤としてのグリセリンの脂肪酸エステル及び/またはアルキルジエタノールアミンを含むことで、無機塩と防曇剤の相乗的作用により被包装物である生鮮食品から出た栄養素を含んだ液体の腐敗を抗菌効果で抑制することで包装体内部雰囲気の雑菌繁殖を抑え、青果物や動物性食材の鮮度をより長く保つことができる。
<鮮度保持フィルムの製造方法>
本発明の鮮度保持フィルムは、種々公知の製造方法、具体的には、中間層用の押出機、並びに裏層用及び表層用の押出機の先端に少なくとも三層以上の多層ダイを備えた多層フィルム成形機を用いて、製造することができる。中間層に前記無機塩とグリセリンの脂肪酸エステル及び/またはアルキルジエタノールアミンを含む防曇剤を所望の量で含む前記熱可塑性樹脂を、裏層及び表層の前記熱可塑性樹脂を投入し、前記多層フィルム成形機共押出を用いて三層或いは多層フィルムを製造することができる。
本発明の鮮度保持フィルムは少なくとも一方向に延伸されたフィルムから構成されていてもよいし、鮮度保持フィルム自体が少なくとも一方向に延伸されていてもよい。また、鮮度保持フィルムとして二軸延伸フィルムを得る場合には、前記方法で得られた共押出多層フィルムを逐次、あるいは同時二軸延伸することにより容易に製造することも可能である。本発明の鮮度保持フィルムとして二軸延伸フィルムを得る場合には、通常、縦方向に5〜8倍延伸し、続いて横方向にテンター機構を用いて8〜10倍延伸し、フィルムの厚さを最終的に20〜40μmとする方法、あるいは、縦方向及び横方向に夫々5〜10倍(面倍率で25〜100倍)延伸することにより製造することができる。
また、本発明の鮮度保持フィルムの中間層に用いる前記無機塩と防曇剤としてのグリセリンの脂肪酸エステル及び/またはアルキルジエタノールアミンを所望の量で含む前記熱可塑性樹脂は、予め、前記無機塩とグリセリンの脂肪酸エステル及び/またはアルキルジエタノールアミンを含む防曇剤を多量に含む組成物を各々、あるいは無機塩とグリセリンの脂肪酸エステル及び/またはアルキルジエタノールアミンを含む防曇剤を多量に含む(マスターバッチ)を用意して置き、最終的に前記無機塩をグリセリンの脂肪酸エステル及び/またはアルキルアミンの量が所望の範囲になるように、マスターバッチと熱可塑性樹脂と混合して、中間層を形成する押出機に投入してもよい。
<袋>
本発明の袋は、前記鮮度保持フィルムからなる袋であり、前記鮮度保持フィルムの裏層を内面に二つに折畳んで、両端をヒートシール、溶断シールなどにより袋状とする方法、二枚の鮮度保持フィルムの裏面を内面になるように重ね合わせて三方をヒートシール、溶断シールなどにより袋状とする方法などにより製造することができる。また、本発明の袋はJISZ2801に準じた抗菌試験を大腸菌(Escherichia coli)を用いて行った際に、フィルム表面の状態を保つためにアルコール等による拭き取りは行わないで、24時間経過後の菌の個数が初期の個数は好ましくは1/1000以下の鮮度保持フィルムから構成されることが好ましい。このことは本発明の鮮度保持フィルムが極めて優れた抗菌性を有することを示しており、防曇剤と無機塩由来の金属イオンによってかかる優れた抗菌性を付与することができる。また、これら本発明の鮮度保持フィルムや袋は、優れた抗菌性を有するため、必要により袋を製造する前にフィルム表層に印刷しておくことも可能である。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明する。以下の記載において「部」は「質量部」、「%」は「質量%」を示す。
実験1
(1)プロピレン系重合体
(1−1)中間層
プロピレン単独重合体:融点(Tm)=160℃、MFR=3g/10分(株式会社プライムポリマー社製)
(1−2)裏層及び表層
プロピレン・エチレンランダム共重合体:融点(Tm)=138℃、MFR=7g/10分(株式会社プライムポリマー社製)
(2)無機塩
和光純薬工業株式会社製の試薬を各々下記の所定濃度で精製水に溶解し、前記プロピレン単独重合体にまぶし、乾かした上で、ペレット化し、無機塩の量1000ppmの濃度になるようにマスターバッチを得た。
塩化ナトリウム :3%
塩化マグネシウム:3%
塩化カルシウム :2%
塩化カリウム :2%
(3)防曇剤(グリセリンの脂肪酸エステル及び/またはアルキルジエタノールアミン);
ステアリルジエタノールアミンモノステアレート(C18DEA−MS):3.0%
ステアリルジエタノールアミン(C18DEA):3.5%
ステアリルモノグリセライド(C18MG):3.5%
以上の試薬(何れも理研ビタミン株式会社製(製品名リケマールシリーズ))を各々所定濃度で精製水に溶解し、前記プロピレン単独重合体まぶし、乾かした上で、ペレット化し、グリセリンの脂肪酸エステル及び/またはアルキルジエタノールアミンを含む防曇剤の量が10%の濃度になるようにマスターバッチを得た
(4)多層延伸フィルムの成形
中間層を実施例1、比較例1及び比較例2に記載のように処方し、裏層/中間層/表層の三層フィルムを二軸延伸機で連続成形し、三層からなる多層延伸フィルムを製造した。 鮮度保持フィルムの延伸温度は縦延伸:100℃、横延伸:140℃であった。
尚、セット温度は、180℃、セット時間は10秒であった。
〔実施例1〕
前記の方法で、中間層に塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、塩化カリウムをそれぞれ30ppm、30ppm、20ppm、20ppm、ステアリルジエタノールアミンモノステアレート(C18DEA−MS):3000ppm、ステアリルジエタノールアミン(C18DEA):3000ppm、ステアリルモノグリセライド(C18MG):4000ppmを配合した層比5/90/5、全層の総厚さが40μmの三層フィルムからなる多層延伸フィルム即ち本発明の鮮度保持フィルムを得た。
〔比較例1〕
中間層にステアリルジエタノールアミンモノステアレート(C18DEA−MS):3000ppm、ステアリルジエタノールアミン(C18DEA):3000ppm、ステアリルモノグリセライド(C18MG):4000ppm配合した層比5/90/5、全層の総厚さが40μmの三層フィルムからなる多層延伸フィルムを得た。
〔比較例2〕
実施例1で用いた中間層に替えて、無機塩及びグリセリンの脂肪酸エステル及び/またはアルキルジエタノールアミンを含まないプロピレン単独重合体を用いる以外は実施例1と同様に行い、層比5/90/5、全層の総厚さが40μmの三層フィルムからなる多層延伸フィルムを得た。
実施例及び比較例で得られた多層延伸フィルムの物性を以下の方法で測定した。
(1)抗菌試験
JISZ2801に準じた抗菌試験を大腸菌(Escherichia coli)を用いて行った。但し、多層延伸フィルムの表面の状態を保つためにアルコールによる拭き取りは行わなかった。
1/500普通ブイヨン培地に大腸菌(Escherichia coli)を規定数量入れて4cm角のフィルム表面に滴下してPEフィルムと挟み込み、35℃、24時間経過した後に鮮度保持フィルム表面を洗浄し、普通ブイヨン培地を回収し、普通寒天培地を用いて菌数を測定した。即ち、顕微鏡下で菌を1つ1つ数えるのは困難なため、コロニーを測定しそれを生菌数CFU(colony forming unit)とした。
また、PEフィルム同士に挟み込んだサンプルをControlとして、実験結果と比較した。結果はn=3の平均値を示した。尚、抗菌性試験の単位:CFU/枚 顕微鏡下で菌を1つ1つ数えるのは困難なため、コロニーを測定しそれを生菌数とした。
また、抗菌性の評価は下記の基準に従って行った。
・十分:試験後の菌数がControlに比べて1/10000以下
・不十分:試験後の菌数がControlに比べて1/100以下かつ1/10000より大きい
・なし:試験後の菌数がControlに比べて1/100より大きい
(2)透明性
日本電色工業社製ヘイズメーター300Aを用いて、ヘイズ値(HZ:%)及び平行光線透過率(PT:%)を測定した。測定値は5回の平均値である。
(3)表面固有抵抗
シシド静電気株式会社製 スタチックオネストメータ タイプH−0110を用いて測定した。
(4)引張り試験
鮮度保持フィルムから縦方向(MD)及び横方向(TD)に短冊状フィルム片(長さ:150mm、幅:15mm)を切出し、引張り試験機(オリエンテック社製テンシロン万能試験機RTC-1225)を用い、チャック間距離:100mm、クロスヘッドスピード:300mm/分(但し、ヤング率の測定は5mm/分)の条件で引張試験を行い、破断強度(MPa)、破断伸度(%)、ヤング率(MPa)を求めた。なお、伸度(%)はチャック間距離の変化とした。測定値は5回の平均値である。以上の結果を表1に示す。
(表1)
表1から明らかなように中間層に無機塩とグリセリンの脂肪酸エステル及び/またはアルキルジエタノールアミンを含む多層延伸フィルム(本発明の鮮度保持フィルム)である実施例1は24時間後の菌の個数が初期値に比べて1/1000以下となっており十分な抗菌性を示した。また、他の物性にはほとんど変化なく、抗菌性を付与しすることで他の物性が低下することはないことがわかる。
実験2
(1)多層延伸フィルム2
(1−1)中間層
プロピレン単独重合体:融点(Tm)=160℃、MFR=3g/10分(株式会社プライムポリマー社製)。
(1−2)裏層及び表層
プロピレン・エチレンランダム共重合体:融点(Tm)=138℃、MFR=7g/10分(株式会社プライムポリマー社製)。
裏層/中間層/表層の三層フィルムを二軸延伸機で層比1/8/1で連続成形し、二軸延伸後ヒートセットし、さらに表面にコロナ処理することにより製造した。
前記三層フィルムの延伸温度は縦延伸:100℃、横延伸:180℃であった。ヒートセット温度は、180℃条件下、セット時間は10秒であった。 また、コロナ処理は濡れ張力が38dynとなるように表層および裏層の表面に行った。
試薬を精製水/IPA(イソプロピルアルコール)=20/20溶液で70℃に加温して溶解の後に、上記フィルムのコロナ面に表2の固形分量(表面量)になるように、ステアリルジエタノールアミンモノステアレート(C18DEA−MS)、ステアリルジエタノールアミン(C18DEA)をそれぞれ混合し、コートバーを用いて前記三層フィルムの表面にコートし、100℃の温風で1分間加熱して乾燥させて多層延伸フィルム2を得た。
(表2)
表2から明らかなように、ステアリルジエタノールアミン(C18DEA)単体を塗布した比較例4に比べて、ステアリルジエタノールアミン(C18DEA)に加えてNaCl、KClを所定の表面量となるように塗布した実施例2、3は抗菌性が向上している。また、ステアリルジエタノールアミンモノステアレート(C18DEA−MS)単体を塗布した比較例5に比べて、ステアリルジエタノールアミンモノステアレート(C18DEA−MS)に加えてNaClを所定の表面量となるように塗布した実施例4は抗菌性が向上している。
本発明の鮮度保持フィルムを用いることにより、スーパーマーケット、コンビニエンスストアー、青果店等で販売される野菜、果物の様な青果物や、精肉、鮮魚のような動物性食材といった生鮮食品の鮮度を保持することが可能となる。具体的には、本発明の機能を有するフィルムで包装したり、袋に加工して用いることで、高い抗菌性能を活用でき、青果物や花卉では、食感や水々しさを維持でき、動物性食材では、ドリップの発生を低減できると共に腐敗を遅延させ、鮮度を保つことができる。また、本発明の鮮度保持フィルムは、抗菌成分が直接内容物に移行し人体に入ることはないように考慮されていることから、広く食品用包装袋にも用いることができる。

Claims (8)

  1. 裏層/中間層/表層の少なくとも三層からなる熱可塑性樹脂多層フィルムの中間層に、塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、塩化カリウムからなる群より選ばれる少なくとも一種の無機塩と、アルキルジエタノールアミンおよび/またはグリセリンの脂肪酸エステルを防曇剤として含むことを特徴とする鮮度保持フィルム。
  2. 全厚みが15〜50μmで、裏層/中間層/表層の層比が、3/94/3〜10/80/10(厚みの比)の範囲にある請求項1に記載の鮮度保持フィルム。
  3. 前記熱可塑性樹脂多層フィルムを構成する熱可塑性樹脂が、プロピレン系重合体である請求項1または2に記載の鮮度保持フィルム。
  4. 前記中間層に含まれる無機塩の量が10〜1000ppm、及び防曇剤を1000〜20000ppm含んでなる請求項1〜3の何れか1項に記載の鮮度保持フィルム。
  5. 前記熱可塑性樹脂多層フィルムが、二軸延伸多層フィルムである請求項1〜4の何れか1項に記載の鮮度保持フィルム。
  6. 請求項1〜5の何れかに記載の鮮度保持フィルムからなる袋。
  7. JISZ2801に準じた抗菌試験を大腸菌(Escherichia coli)を用いて行った際に、フィルム表面の状態を保つためにアルコールによる拭き取りは行わないで、24時間経過後の菌の個数が1/1000以下であることを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の鮮度保持フィルム。
  8. JISZ2801に準じた抗菌試験を大腸菌(Escherichia coli)を用いて行った際に、フィルム表面の状態を保つためにアルコールによるふき取りは行わないで、24時間経過後の菌の個数が1/1000以下であることを特徴とする請求項6に記載の袋。
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