JP6762433B2 - 抗菌性材料及び鮮度保持用材料 - Google Patents

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Description

本発明は、抗菌性材料及び鮮度保持用材料に関する。
カット野菜、精肉、鮮魚及び加工食品等の生鮮食品、並びに、加工製品など鮮度が求められる商品は、プラスチックフィルムからなる袋等に入れられて流通している。これらの生鮮食品及び加工製品は、食品が腐敗して雑菌が増殖すると、悪臭が発生して、味覚が落ち、また衛生上の問題を生じるので、その商品価値が低下する。
ここで雑菌は精肉、鮮魚及び加工食品の各本体よりもドリップでより多く増殖するとされている(例えば非特許文献1参照)。
そのため、ドリップ中の雑菌増殖を抑制することは包装体内部の雰囲気を清浄に保ち、ひいては被包装物であるカット野菜、精肉、鮮魚本体及び加工食品の鮮度を保つこととなる。
更に近年、キャベツ、レタス等を2mm〜50mm程度にカットして、100ppm〜200ppmの次亜塩素酸水溶液に5分〜30分浸し、一般細菌を殺菌した後にフィルムで包装することで得られるカット野菜包装が、スーパーマーケット等で販売されたり、チェーンレストランで調理の手間を省くために利用されたりしている。
特許文献1には、プロタミンを抗菌剤として用いた抗菌性物材及びその加工品が開示されている。
特許文献2には、(A)ε−ポリリジン及び/またはその塩、(B)pH緩衝能を有する電解質、及び(C)アミノ酸が配合された抗菌剤組成物が開示されている。
[特許文献1]特開平8−231327号公報
[特許文献2]特開2004−67586号公報
[非特許文献1]冷蔵生食用生鮮魚肉の魚肉細菌数とドリップ細菌数の相関性(福田翼、菱川直将、田原由美子、古下学、芝恒夫、共著)
特許文献1のようにプロタミンを抗菌剤として用いる場合、プロタミンは水浸漬に弱く、例えば、プロタミンが付与された抗菌性物材が生鮮食品及び加工製品から発生する水分などと接触したときに、プロタミンが水中に溶解してしまうおそれがある。
一方、特許文献2のようなポリリジンを含む抗菌剤組成物を基材に付与した場合、ポリリジンは防曇性が悪く、基材における抗菌剤組成物が付与された表面が曇りやすいという問題がある。
本発明の一形態は、上記のような事情に鑑みてなされたものであり、抗菌性に優れ、耐水性と防曇性とが両立された抗菌性材料及び鮮度保持用材料を提供することを目的とする。
前記課題を解決するための手段には、以下の態様が含まれる。
<1> 基材と、グアニジンに由来する構造を有する分子Aと、グルコサミン及びリジンからなる群から選ばれる少なくとも一種の分子に由来する構造を有する分子Bと、を含む表面部と、を備え、前記表面部は前記基材の少なくとも一部と接しており、かつ、前記分子Aと前記分子Bとの質量比(分子A:分子B)が8:2〜4:6である、抗菌性材料。
<2> 前記分子Aがプロタミンの塩を含む、<1>に記載の抗菌性材料。
<3> 前記分子Bがポリリジンを含む、<1>又は<2>に記載の抗菌性材料。
<4> 前記表面部が、更に防曇剤を含み、前記分子A及び前記分子Bの合計と前記防曇剤との質量比(分子A及び分子Bの合計:防曇剤)が、11:4〜4:11である、<1>〜<3>のいずれか一つに記載の抗菌性材料。
<5> 前記防曇剤が、ノニオン系又はカチオン系の防曇剤である、<4>に記載の抗菌性材料。
<6> 前記防曇剤が、ジグリセリン脂肪酸エステル及びショ糖脂肪酸エステルの少なくとも一方を含む、<4>又は<5>に記載の抗菌性材料。
<7> 前記表面部における前記分子A及び前記分子Bの合計量が0.2mg/m〜300mg/mである、<1>〜<6>のいずれか一つに記載の抗菌性材料。
<8> 前記基材の表面処理度が35ダイン以上である、<1>〜<7>のいずれか一つに記載の抗菌性材料。
<9> 前記基材が、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリアミド、及びポリエチレンテレフタレートからなる群から選ばれる少なくとも1種の高分子を含むフィルムである、<1>〜<8>のいずれか一つに記載の抗菌性材料。
<10> 前記表面部の全固形分に対して、前記分子Aの含有量及び前記分子Bの含有量がそれぞれ5質量%以上である、<1>〜<9>のいずれか一つに記載の抗菌性材料。
<11> <1>〜<10>のいずれか一つに記載の抗菌性材料を備える、鮮度保持用材料。
<12> 物品の梱包に用いられる、<11>に記載の鮮度保持用材料。
<13> 前記表面部が、前記物品との対向面である、<12>に記載の鮮度保持用材料。
本発明の一形態によれば、抗菌性に優れ、耐水性と防曇性とが両立された抗菌性材料及び鮮度保持用材料を提供することができる。
実施例1における防曇性評価時の写真である。
以下、本発明の具体的な実施形態について詳細に説明するが、本発明は、以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の目的の範囲内において、適宜変更を加えて実施することができる。
本開示において、「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
本開示中に段階的に記載されている数値範囲において、一つの数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本開示中に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
また、本開示において、「フィルム」は、一般的に「フィルム」と呼ばれているもの(例えば厚さ100μm以下のもの)だけでなく、一般的に「シート」と呼ばれているもの(例えば厚さ100μm以上のもの)をも包含する概念である。
また、「工程」との語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であっても、その工程の所期の目的が達成されれば、本用語に含まれる。
〔抗菌性材料〕
本実施形態の抗菌性材料は、基材と、グアニジンに由来する構造を有する分子Aと、グルコサミン及びリジンからなる群から選ばれる少なくとも一種の分子に由来する構造を有する分子Bと、を含む表面部と、を備え、前記表面部は前記基材の少なくとも一部と接しており、かつ、前記分子Aと前記分子Bとの質量比(分子A:分子B)が8:2〜4:6である。
本発明者は、分子Aが存在し、分子Bが存在しない態様にて水浸漬によりほぼ完全に分子Aが除去される条件下であっても、水浸漬に弱い分子Aを分子Bと共存させることにより、水浸漬後に分子Aを残存可能であることを見出した。作用機序は明確ではないが、分子Aと分子Bとの相互作用により、分子Aが水中に溶解することが抑制されるため、本実施形態の抗菌性材料は耐水性に優れると推定される。また、親水性に優れる分子Aを含むことにより、表面部に水分が付着したときに濡れ性に優れるため、本実施形態の抗菌性材料は防曇性に優れると推定される。更に、本実施形態の抗菌性材料では、分子Aと分子Bとの質量比(分子A:分子B)が8:2以下であることにより、分子Aの量が多すぎず、耐水性がより良好となる傾向にある。また、分子Aと分子Bとの質量比(分子A:分子B)が4:6以上であることにより、分子Bの量が多すぎず、防曇性がより良好となる傾向になる。更に、本実施形態の抗菌性材料は、表面部が前述の分子A及び前述の分子Bを含むことにより抗菌性に優れている。
<表面部>
本実施形態の抗菌性材料は、グアニジンに由来する構造を有する分子Aと、グルコサミン及びリジンからなる群から選ばれる少なくとも一種の分子に由来する構造を有する分子Bと、を含む。更に、表面部において、分子Aと分子Bとの質量比(分子A:分子B)が8:2〜4:6である。また、表面部は、後述する基材の少なくとも一部と接しており、好ましくは、基材の少なくとも一部の面と接している。
なお、本実施形態の抗菌性材料が後述する抗菌性不織布の場合の表面部とは、抗菌性不織布の表面から0.3μm以内の領域をいう。
(分子A)
分子Aは、グアニジンに由来する構造を有する。グアニジンに由来する構造としては、特に限定されず、例えば、下記式(G−1)により表される構造であることが好ましい。

式(G−1)中、R〜Rはそれぞれ独立に、水素原子又は置換基を表し、波線部は他の構造との結合部位を表す。
式(G−1)に含まれるR〜Rは、抗菌性の観点から、それぞれ独立に水素原子又はアルキル基であることが好ましく、いずれもが水素原子であることがより好ましい。上記アルキル基としては、炭素数1〜10のアルキル基が好ましく、炭素数1〜4のアルキル基であることがより好ましく、メチル基であることが更に好ましい。
分子Aは、アミノ酸であることが好ましく、アルギニンに由来する構造を有するアミノ酸であることがより好ましく、アルギニンに由来する構成単位を含むペプチドであることが更に好ましい。上記アルギニンは、公知の置換基を有するアルギニンであってもよいが、無置換のアルギニンであることが好ましい。
上記アルギニンに由来する構造、及び、上記アルギニンに由来する構成単位には、グアニジンに由来する構造が含まれる。
本開示において、アミノ酸とは、1分子内にアミノ基(−NH)とカルボキシ基(−COOH)とを有する化合物をいう。
本開示において、ペプチドとは、2個〜100個のアミノ酸分子がペプチド結合により連結してなる化合物をいう。
分子Aは、プロタミン及びプロタミンの塩の少なくとも一方(以下、「プロタミン等」とも称する。)を含むことが好ましく、プロタミンの塩を含むことがより好ましい。また、分子Aは、プロタミン及びプロタミンの塩の少なくとも一方であってもよく、好ましくはプロタミンの塩であってもよい。
プロタミン等としては特に制限はなく、魚類、鳥類、哺乳類等の精巣に存在する核タンパクを、DNAとタンパクに加水分解して得られる塩基性タンパク質、及びこれらの塩が挙げられる。プロタミンの塩としては、例えば、塩酸塩、硫酸塩、リン酸塩等の無機塩;例えば、酢酸塩、プロピオン酸等の有機塩が挙げられる。
これらのプロタミン等の使用方法としては特に制限はなく、用途に応じて選択することが好ましい。プロタミン等は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。またプロタミン等は市販品であってもよい。
プロタミン等の重量平均分子量(Mw)は、表面部からの流出を抑制する観点から、それぞれ独立に、500以上が好ましく、1,000以上がより好ましく、4,000以上が更に好ましく、5,000超えが特に好ましい。プロタミン等の重量平均分子量(Mw)は、基材に対するプロタミン等を含む塗布液の塗布性を向上させる観点から、それぞれ独立に、100,000以下が好ましく、50,000以下がより好ましく、15,000以下が更に好ましい。
プロタミン等について、分子量及び分子量分布の測定は、GPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)法を用いて以下の条件で行う。
装置 :ビルドアップGPCシステム(東ソー株式会社)(デガッサー/SD−8022、ポンプ/DP−8020、オートサンプラー/AS−8021、カラムヒーター/CO−8020、示差屈折計/RI−8020)
移動相:0.1mol/L NaNO水溶液
カラム:TSKgel G3000PWXL−CP(7.8mmID×30cm) 2本(東ソー株式会社)
流速 :1.0mL/分
試料 :移動相溶剤を用いて4mg/mL濃度の試料溶液を作成し、100μL注入
検出器:RI(示差屈折計)、polarity=(+)
温度 :40℃
分子量校正:標準ポリエチレンオキサイド(PEO)(アジレント・テクノロジー株式会社)
(分子B)
分子Bは、グルコサミン及びリジンからなる群から選ばれる少なくとも一種の分子に由来する構造を有する。グルコサミンに由来する構造を有する分子Bとしては、キトサン及びキトサンの塩が挙げられる。また、リジンに由来する構造を有する分子Bとしては、ポリリジン及びポリリジンの塩が挙げられる。
分子Bとしては、キトサン、キトサンの塩、ポリリジン及びポリリジンの塩からなる群から選ばれる少なくとも一種の分子を含むことが好ましく、キトサン及びポリリジンの少なくとも一方を含むことがより好ましく、ポリリジンを含むことが更に好ましい。また、分子Bとしては、キトサン、キトサンの塩、ポリリジン及びポリリジンの塩からなる群から選ばれる少なくとも一種の分子であってもよく、好ましくはキトサン及びポリリジンの少なくとも一方であってもよく、より好ましくはポリリジンであってもよい。
以下、キトサン及びキトサンの塩の少なくとも一方を「キトサン等」と称し、ポリリジン及びポリリジンの塩の少なくとも一方を「ポリリジン等」とも称する。
キトサン等としては特に制限はなく、例えば、カニ、エビ等の甲殻類の外骨格から得られるキチン(ポリ−β1−4−N−アセチルグルコサミン)を、濃アルカリ中での煮沸処理等により脱アセチル化して得られるもの、及びこれらの塩が挙げられる。
キトサン等は1種単独で用いてもよく、2種を併用してもよい。またキトサン等は市販品であってもよい。
ポリリジン等としては特に制限はなく、例えば、発酵法により製造されるε−ポリリジン(ε−ポリ−L−リジン)、化学合成により製造されるα−ポリリジン(α−ポリ−L−リジン、α−ポリ−D−リジン)及びこれらの塩が挙げられる。
これらのポリリジン等は、用途に応じて選択することが好ましい。ポリリジン等は1種単独で用いてもよく、2種を併用してもよい。またポリリジン等は市販品であってもよい。
ポリリジン等及びキトサン等の重量平均分子量(Mw)は、表面部からの流出を抑制する観点から、それぞれ独立に、500以上が好ましく、1,000以上がより好ましく、4,000以上が更に好ましく、5,000超えが特に好ましい。また、ポリリジン等及びキトサン等の重量平均分子量(Mw)は、基材に対するポリリジン、キトサン等を含む塗布液の塗布性を向上させる観点から、それぞれ独立に、100,000以下が好ましく、50,000以下がより好ましく、15,000以下が更に好ましい。
ポリリジン等及びキトサン等について、分子量及び分子量分布の測定は、GPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)法を用いて以下の条件で行う。
装置 :ビルドアップGPCシステム(東ソー株式会社)(デガッサー/SD−8022、ポンプ/DP−8020、オートサンプラー/AS−8021、カラムヒーター/CO−8020、示差屈折計/RI−8020)
移動相:0.1mol/L NaNO水溶液
カラム:TSKgel G3000PWXL−CP(7.8mmID×30cm) 2本(東ソー株式会社)
流速 :1.0mL/分
試料 :移動相溶剤を用いて4mg/mL濃度の試料溶液を作成し、100μL注入
検出器:RI(示差屈折計)、polarity=(+)
温度 :40℃
分子量校正:標準ポリエチレンオキサイド(PEO)(アジレント・テクノロジー株式会社)
表面部において、分子A:分子Bが8:2〜4:6であればよく、耐水性及び防曇性の観点から、6:4〜4:6であることが好ましい。
表面部における分子A及び分子Bの合計量は、抗菌性を高め、かつ操作性をより良好にする観点から、0.2mg/m〜300mg/mであることが好ましく、0.2mg/m〜200mg/mであることがより好ましく、0.6mg/m〜150mg/mであることが更に好ましく、0.9mg/m〜50mg/mであることが特に好ましく、1.0mg/m〜30mg/mであることが一層好ましい。
「表面部における分子A及び分子Bの合計量(以下、「分子A及び分子Bの表面量」とも称する)は、面積1mあたりの量に換算した場合の分子A及び分子Bの表面量を意味する。したがって、必ずしも表面部の面積が1m以上である構成に限定されない。
分子A及び分子Bの表面量を0.2mg/m以上とすることで、抗菌剤としての機能が発現されやすくなる。
分子A及び分子Bの表面量を300mg/m以下とすることで、べたつきが抑制される。これにより、操作性が向上する。
このような本実施形態の抗菌性材料を、例えば、物品の梱包に用いる、容器形状等への成形に用いる、又は容器形状等の成形体として用いることにより、物品(梱包される物品又は成形体に収納される物品)及び成形体が清浄に保たれ、特に物品が食品の場合はその食品の鮮度が保持される。また、分子A及び分子Bは、比較的安全な抗菌剤であるとされているため安全性も確保されると期待される。
例えば、生鮮食品が梱包されたパッケージでは、パッケージ内面に生鮮食品から出たドリップが付着しやすい。野菜の場合は、断面から溶出されるドリップに加えて、呼吸に伴う蒸散によって生じた水分の凝集による結露が発生する。鮮魚、精肉の場合は、断面から溶出されるドリップの割合が大きいが、特に冷凍状態から解凍したときには冷凍時に水分膨張による細胞壁の破壊が起きるので上記ドリップの量は多くなる。
このドリップは多くの栄養を含むが生鮮食品本体のように細胞壁で保護されていないので菌が増殖しやすい。すなわち、ドリップはパッケージ内部で最も腐敗しやすいと考えられる。
したがって、本実施形態の抗菌性材料によれば、前述のような生鮮食品を梱包するパッケージに用いた場合にも、パッケージ内面で接触しているドリップ中の菌の増殖を抑制する効果を有する。
本実施形態に係る抗菌性材料の「分子A及び分子Bの表面量」は、表面洗浄法により抗菌性材料から測定することができる。
−表面洗浄法−
抗菌性材料の分子A及び分子Bを含む表面部(例えば塗布膜の表面)を、水などで抽出した後、その抽出液を公知のLC(液体クロマトグラフィー)を用いて分析することで、抽出液中に含まれる分子A及び分子Bを定量することができる。この定量値から抗菌性材料の「分子A及び分子Bの表面量」(mg/m)を算出することができる。
本実施形態に係る抗菌性材料の「分子A及び分子Bの表面量」は、全反射減衰法による赤外分光法(ATR−IR法)により抗菌性材料から測定してもよい。
−全反射減衰法による赤外分光法(ATR−IR法)−
抗菌性材料の一部を切り出し、測定用サンプルを準備する。測定用サンプルについて、ATR−IR法により、分子A及び分子Bに由来するピーク強度をそれぞれ測定する。
分子Aの表面量及び分子Bの表面量と、上記ピーク強度とは相関があるため、上述の蛍光X線分析と同様に、塗布液の濃度、量等を変えて基材上に様々な分子A濃度及び分子B濃度の塗布膜を形成したときの、上記ピーク強度を予め測定しておくことで、そのピーク強度から、分子A及び分子Bの表面量(mg/m)を算出することができる。
(防曇剤)
表面部は、防曇性をより高める点から、更に防曇剤を含んでいてもよい。このとき、分子A及び分子Bの合計と防曇剤との質量比(分子A及び分子Bの合計:防曇剤)は、11:4〜4:11であることが好ましい。
防曇剤としては、特に限定されず、ノニオン系、カチオン系、アニオン系、両性系の防曇剤が挙げられ、例えば、ノニオン系、カチオン系、アニオン系、両性系の界面活性剤が挙げられる。防曇剤は、中でもノニオン系及びカチオン系の防曇剤が好ましく、ノニオン系の防曇剤がより好ましい。
防曇剤としては、グリセリン脂肪酸エステルモノグリセライド、グリセリン脂肪酸エステル有機酸モノグリセライド、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル等が挙げられる。防曇剤は、より具体的には、ジグリセリン脂肪酸エステル及びショ糖脂肪酸エステルの少なくとも一方を含むことが好ましく、ジグリセリン脂肪酸エステル及びショ糖脂肪酸エステルの少なくとも一方であることがより好ましい。防曇剤は市販品であってもよい。
(その他の成分)
表面部は、本発明の目的を損なわない範囲内において、分子A、分子B及び防曇剤以外のその他の成分を含んでいてもよい。
その他の成分としては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキサイド、モノ又はジグリセライド、ポリビニルアルコール(PVA)等の水溶性高分子;分子A及び分子B以外の抗菌剤;が挙げられる。
その他の成分は、1種類単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
本実施形態の抗菌性材料において、表面部の全固形分に対して、分子Aの含有量は5質量%以上であることが好ましく、15質量%〜80質量%であることがより好ましく、25質量%〜50質量%であることが更に好ましい。
また、表面部の全固形分に対して、分子Bの含有量は5質量%以上であることが好ましく、15質量%〜80質量%であることがより好ましく、25質量%〜50質量%であることが更に好ましい。
また、本実施形態の抗菌性材料において、表面部の全固形分に対して、分子A及び分子Bの含有量の合計は、25質量%以上であることが好ましく、30質量%〜70質量%であることがより好ましく、40質量%〜60質量%であることが更に好ましい。
なお、抗菌性を高める観点から、表面部は、結着成分(添着成分)を実質含まないことが好ましい。実質含まないとは、表面部の固形分中における結着成分の含有量が好ましくは1質量%以下、より好ましくは0.5質量%以下、更に好ましくは0.1質量%以下を意味する。結着成分としては、エチレン酢酸ビニル共重合体、エチレン(メタ)アクリル酸共重合体、エチレンビニルアルコール共重合体等が挙げられる。
<基材>
本実施形態の抗菌性材料は、基材を備える。基材の少なくとも一部は前述の表面部と接しており、基材の少なくとも一部の面は前述の表面部と接していることが好ましい。基材は高分子を含むことが好ましい。
(高分子)
高分子としては特に制限はなく、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリエチレンテレフタレート(以下、「PET」とも称する)、エチレンプロピレン共重合体等のポリオレフィン、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、セロハン、レーヨン、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリアミド、ポリアクリル、ポリスルホン、ポリエーテル、ポリウレタン、セルロースが挙げられる。中でも、高分子としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリアミド、及びポリエチレンテレフタレートが好ましい。これらの高分子は、1種類単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
−ポリエチレン−
ポリエチレンとしては、例えば、従来公知の手法で製造されている、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、高圧法低密度ポリエチレンを使用することができる。
−ポリプロピレン−
ポリプロピレンとしては、例えば、アイソタクティックポリプロピレン、シンジオタクティックポリプロピレンが挙げられる。アイソタクティックポリプロピレンは、ホモポリプロピレンであっても、プロピレン・炭素数2〜20のα−オレフィン(ただしプロピレンを除く)ランダム共重合体であっても、プロピレンブロック共重合体であってもよい。
−ポリメチルペンテン−
ポリメチルペンテンとしては、例えば、4−メチル−1−ペンテンの単独重合体;4−メチル−1−ペンテンから導かれる構成単位と、炭素原子数2〜20のα−オレフィン(但し、4−メチル−1−ペンテンを除く。)から導かれる構成単位と、を有する共重合体;が挙げられる。
−ポリアミド−
ポリアミドとしては、ジカルボン酸とジアミンとを縮合重合したポリアミド、ラクタムを開環重合したポリアミド等が挙げられる。
−ポリエチレンテレフタレート(PET)−
ポリエチレンテレフタレート(PET)としては、テレフタル酸又はそのエステル誘導体を含む芳香族ジカルボン酸と、エチレングリコールを含むジオールとから得られるポリエチレンテレフタレートが挙げられる。
PETとしては、容器形状等への成形性の観点から、非晶性ポリエチレンテレフタレート(A−PET)が好ましい。
(その他の成分)
基材は、本発明の目的を損なわない範囲内において、高分子以外のその他の成分を含んでいてもよい。
その他の成分としては、例えば、分散剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、紫外線吸収剤、滑剤、スリップ剤、核剤、ブロッキング防止剤、帯電防止剤、防曇剤、顔料、染料が挙げられる。
その他の成分は、1種類単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
その他の成分の含有量は、抗菌性材料の総量100質量%に対し、20質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることがより好ましく、5質量%以下であることが更に好ましい。
基材は、表面部の耐水性を高める観点から、表面部と接している部分に表面処理がなされていることが好ましい。表面処理としては、基材と表面部との接着性を高めることが可能な処理であれば特に限定されず、例えば、コロナ処理、イトロ処理、オゾン処理、紫外線処理、薬品処理、高周波処理、グロー放電処理、プラズマ処理、レーザー処理等が挙げられる。
基材の表面処理度は、基材への表面部の固定性を高める観点から、35ダイン以上であることが好ましく、36ダイン以上であることがより好ましく、38ダイン以上であることが更に好ましい。また、基材の表面処理度は、40ダイン以下であってもよい。
本実施形態の抗菌性材料において、基材は、前述の高分子、好ましくは、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリアミド、及びポリエチレンテレフタレートからなる群から選ばれる少なくとも1種の高分子を含むフィルムであってもよい。
また、本実施形態の抗菌性材料において、基材は、前述の高分子、好ましくは、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリアミド、及びポリエチレンテレフタレートからなる群から選ばれる少なくとも1種の高分子を含む容器形状の成形体であってもよい。
基材が容器形状の成形体である場合、基材はポリエチレンテレフタレート(PET)を含むことがより好ましい。
〔好ましい形態〕
本実施形態の抗菌性材料の好ましい形態として、具体的には、基材として高分子フィルム(以下、「基材フィルム」とも称する)を用いた抗菌性フィルム、基材として成形体を用いた抗菌性成形体、基材として不織布を用いた抗菌性不織布が挙げられる。
<抗菌性フィルム>
抗菌性フィルムとしては、例えば、包装用フィルム、包装用ラミネートフィルム、成形用フィルムが挙げられる。なお、抗菌性フィルムは、無延伸フィルム、一軸又は二軸延伸フィルムであってもよく、単層であっても、複数層(多層)で構成されていてもよい。
抗菌性フィルムとしては、基材が基材フィルムであることが好ましい。
基材フィルム(基材)に含まれる高分子としては、前述で例示した高分子が挙げられ、中でもポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリアミド、及びポリエチレンテレフタレートからなる群から選ばれる少なくとも1種の高分子が好ましい。
抗菌性フィルムが包装用フィルムである場合には、基材フィルムは、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリアミド、及びポリエチレンテレフタレート(PET)からなる群から選ばれる少なくとも1種の高分子を含むことが好ましい。
抗菌性フィルムが成形用フィルムである場合には、基材フィルムは、容器形状等への成形性の観点から、ポリエチレンテレフタレート(PET)を含むことが好ましい。
これらの高分子は、1種類単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
抗菌性フィルムが包装用フィルムの場合、包装用フィルムの厚さは、好ましくは15μm〜200μm、より好ましくは20μm〜120μm、更に好ましくは25μm〜100μmである。
抗菌性フィルムが包装用ラミネートフィルムの場合、包装用ラミネートフィルムの態様としては、例えば、基材フィルムAと、基材フィルムAの上に配置されたシール層と、シール層の上に配置された分子A及び分子Bを含む表面部と、を備える態様が挙げられる。この態様の場合、基材フィルムA及びシール層が基材(基材フィルム)に該当する。
基材フィルムAの厚さの比率は、抗菌性フィルム全体の厚さに対して、好ましくは10%〜80%、より好ましくは20%〜50%である。
シール層の厚さは、好ましくは10μm〜100μm、より好ましくは20μm〜80μm、更に好ましくは25μm〜70μmである。
上記態様の場合、シール層の上に分子A及び分子Bを含む表面部が配置されるため、かかる表面部が、物品(好ましくは生鮮食品)との対向面となることが好ましい。
抗菌性フィルムが成形用フィルムである場合、成形用フィルムの厚さは、成形体の用途に応じて選択することが好ましい。
特に、成形用フィルムが真空成形用フィルムである場合、真空成形用フィルムの厚さは、好ましくは50μm〜800μm、より好ましくは100μm〜700μm、更に好ましくは200μm〜600μmである。この場合、真空成形用フィルムの基材フィルムとしては、後述する(2)の態様の基材フィルム(PETを含むフィルム(好ましくはPETフィルム))が好ましい。
上記態様の場合、表面部が、容器成形後に容器の内面となることが好ましい。すなわち、表面部が、物品(好ましくは生鮮食品)との対向面となることが好ましい。
抗菌性フィルムが容器成形用フィルムである場合の基材フィルムの好ましい態様としては、例えば以下の(1)〜(3)の態様が挙げられる。
(1)基材フィルムがポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド及びポリメチルペンテンからなる群から選ばれる少なくとも1種の高分子を含み、基材フィルム側にPETを含むフィルム(好ましくはPETフィルム)を貼り合わせた態様。
上記(1)の態様では、PETを含むフィルム(好ましくはPETフィルム)を貼り合わせたことにより、容器形状等への成形性に特に優れる。
(2)基材フィルムがPETを含む(好ましくはPETフィルムである)態様。
上記(2)の態様の基材フィルムでは、容器形状等への成形性に特に優れ、中でも真空(圧空)成形による容器形状への成形性に優れる。
なお、上記(2)の態様の基材フィルムを備える成形用フィルムは、基材フィルムとしてのPETを含むフィルム(好ましくはPETフィルム)に、分子A及び分子Bを含む塗布液を直接塗布することで得られる。
(3)基材フィルムが、表面部の側から順に、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド及びポリメチルペンテンからなる群から選ばれる少なくとも1種の高分子を含むフィルムと、PETを含むフィルム(好ましくはPETフィルム)とが積層された多層フィルムである態様。
上記(3)の態様の基材フィルムでは、容器形状等への成形性に特に優れる。
<抗菌性成形体>
抗菌性成形体としては特に制限はなく、例えば、容器形状の成形体;ロボット、自動車などの部品形状の成形体;が挙げられる。
抗菌性成形体としては、基材が成形体(容器形状の成形体、部品形状の成形体等)であることが好ましい。
成形体(基材)に含まれる高分子としては、前述で例示した高分子が挙げられ、中でもポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリアミド、及びポリエチレンテレフタレートからなる群から選ばれる少なくとも1種の高分子が好ましく、ポリエチレンテレフタレートがより好ましい。
例えば、容器形状の成形体は、前述の成形用フィルムを容器形状の成形体に成形することにより得ることができる。容器形状の成形体を成形するための成形用フィルムとしては、上記(2)の態様の基材フィルムを備える成形用フィルムが好ましい。
また、容器形状の成形体は、成形用フィルムの基材フィルムを容器形状に成形した後に、分子A及び分子Bを含む塗布液を容器形状に成形した基材フィルム(成形体)の上に塗布することによっても得ることができる。なお、抗菌性成形体の基材は市販品であってもよい。
<抗菌性不織布>
抗菌性不織布としては特に制限はなく、例えば、ドリップシートとして用いられる抗菌性不織布(ドリップシート用不織布)、マスク、エアフィルター等として用いられる抗菌性不織布が挙げられる。なお、抗菌性不織布は、単層であっても、複数層(多層)で構成されていてもよい。
抗菌性不織布としては、基材が不織布であり、基材(不織布)が繊維で構成される高分子を含むことが好ましい。
不織布に含まれる高分子としては、前述で例示した高分子と同様のものが挙げられる。
抗菌性不織布がドリップシート用不織布の場合、ドリップシート用不織布の厚さは、好ましくは50μm〜800μm、より好ましくは100μm〜700μm、更に好ましくは200μm〜600μmである。
上記態様の場合、例えば生鮮食品が梱包されたパッケージでは、生鮮食品から出たドリップがパッケージ中を移動しやすいため、パッケージのどの内面も生鮮食品との対向面となり得る。このため、分子A及び分子Bを含む表面部は、ドリップシート用不織布のどの面に形成されていてもよい。
〔抗菌性材料の用途〕
本実施形態の抗菌性材料は、例えば、テープ、粘着テープ、マスキングテープ、マスキングフィルム、仮着性フィルム、プラスチック封筒、イージーオープン包装袋、自動包装フィルム、ショッピングバック、スタンディングバック、透明包装箱、建材、貼合用フィルム、農業用フィルム、鮮度保持用材料(食品包装資材、野菜包装資材、果物包装資材、精肉包装資材、魚介類等の水産物包装資材、加工食品包装資材などの包装資材;草花包装資材;食品、野菜(カット野菜等)、果物、精肉、水産物、加工食品などの容器;そば、ラーメン、弁当等の容器)、電子部品包装資材、機械部品包装資材、穀物包装資材、医療用フィルム、医療用テープ、細胞培養用パック等として幅広く利用される。
特に抗菌性材料が抗菌性不織布の場合、フィルター(空調、自動車、家電等)、食品用トレーマット、マスク、座席用シートカバー、テーブルクロス、カーペット等にも利用することができる。
本実施形態の抗菌性材料は、抗菌性が高いため、例えば生鮮食品(野菜、果物、精肉、鮮魚、加工食品等)、草花、及び加工製品の鮮度を保持するための抗菌性材料(例えば、抗菌性フィルム、抗菌性成形体、抗菌性不織布)として好適に用いることができる。これにより、生鮮食品及び加工製品の鮮度を保つことができる。
〔鮮度保持用材料〕
本実施形態の鮮度保持用材料は、本実施形態の抗菌性材料を備える。
すなわち、本実施形態の鮮度保持用材料は、本実施形態の抗菌性材料(例えば、抗菌性フィルム、抗菌性成形体、抗菌性不織布)を用いて得られる鮮度保持用材料である。これにより、抗菌性が高くかつ操作性が良好な鮮度保持用材料が得られる。
上記実施形態の鮮度保持用材料は、物品の梱包に用いられることが好ましい。
特に本実施形態の鮮度保持用材料は、抗菌性が高い抗菌性材料を備えるため、例えば生鮮食品(野菜、果物、精肉、鮮魚、加工食品等)、草花及び加工製品の鮮度を保持するための包装資材(例えば包装袋)、容器として好適に用いることができる。
包装資材としての包装袋は、例えば抗菌性材料(例えば抗菌性フィルム)の抗菌作用を有する面(分子A及び分子Bを含む表面部)同士が対向するように、上記抗菌性材料を折り曲げ、又は抗菌性材料を少なくとも2つ以上重ね合わせた後、公知の方法により所定の部分を熱融着(ヒートシール)することで得ることができる。
本実施形態の鮮度保持用材料において、表面部は、物品との対向面であることが好ましい。これにより、物品の表面が清浄に保たれ、特に物品が食品の場合はその鮮度が保持される。
〔抗菌性材料の製造方法〕
本実施形態の抗菌性材料の製造方法は特に限定されず、分子Aと分子Bとを含む塗布液を基材の上に塗布することにより、前述の表面部を形成する工程(以下、「塗布膜形成工程」とも称する)を含むことが好ましい。
これにより、抗菌性に優れ、耐水性と防曇性とが両立された抗菌性材料を製造することができる。なお、表面部及び基材の詳細については、前述の抗菌性材料における表面部及び基材と同様であるため、その説明を省略する。
また、塗布液は、分子A及び分子Bとともに、防曇剤及び必要に応じてその他の成分を含んでいてもよい。
<塗布膜形成工程>
塗布膜形成工程において、分子A及び分子Bの合計量は、0.2mg/m〜300mg/mであることが好ましく、0.2mg/m〜200mg/mであることがより好ましく、0.6mg/m〜150mg/mであることが更に好ましく、0.9mg/m〜50mg/mであることが特に好ましく、1.0mg/m〜30mg/mであることが一層好ましい。
基材の上への塗布液の塗布は、上記分子A及び分子Bの合計量となるように調整して行うことが好ましい。
塗布液の塗布方法は特に制限はなく、例えば、スピンコート法、バーコート法、スプレー法、ローラー法、ディップ法、インクジェット法等の公知の方法を適用することができる。
基材の製造方法としては特に制限はなく、基材の形態がフィルム(無延伸フィルム、一軸又は二軸延伸フィルム)の場合、例えば、基材を構成する材料(高分子を含む材料)を製膜機により押出製膜する方法;基材が多層フィルムで構成される場合、例えば基材を構成する各層の材料(高分子を含む材料)を多層製膜機により共押出製膜する方法;が挙げられる。
基材の形態が成形体(例えば容器形状の成形体)の場合、基材としてのフィルム(基材フィルム)を公知の方法で成形することにより基材としての成形体を製造することができる。
基材の形態が不織布の場合、例えば、1種又は2種以上の上記高分子を含む繊維を用いて、エアスルー法、スパンボンド法、ニードルパンチ法、メルトブローン法、カード法、熱融着法、水流交絡法、溶剤接着法等の公知の方法により基材としての不織布を製造することができる。
上記基材(フィルム、成形体、不織布)は、いずれも市販品を用いてもよい。
なお、基材の表面は前述の表面処理がなされていてもよい。
塗布液は、溶媒と、水と、を含む、又は、溶媒を含みかつ水を含まないことが好ましい。
ここで、水を含まないとは、溶媒及び水の全質量に対する水の含有量が0質量%だけでなく、実質含まない場合を包含する。具体的に、実質含まないとは、溶媒及び水の全質量に対する水の含有量が1質量%未満であることを意味する。
塗布液中に含まれる溶媒の比誘電率(20℃)、沸点、及び蒸発潜熱の好ましい範囲は以下の通りである。
溶媒の比誘電率(20℃)は、塗布液中でのプロタミン等の溶解性を向上させる観点から、好ましくは4〜55、より好ましくは10〜50、更に好ましくは15〜48である。
溶媒の沸点は、室温での揮発を抑制する観点から、好ましくは30℃以上、より好ましくは35℃以上、更に好ましくは40℃以上である。
溶媒の沸点の上限値は、塗布液の塗布性及び塗布膜の乾燥時間を確保する観点から、好ましくは300℃、より好ましくは200℃、更に好ましくは150℃である。
したがって、溶媒の沸点は、好ましくは30℃以上300℃以下、より好ましくは35℃以上200℃以下、更に好ましくは40℃以上150℃以下である。
また、塗布膜の乾燥時間を短くするために、溶媒の揮発性の向上を志向する場合には、溶媒の沸点は、好ましくは30℃以上90℃以下、より好ましくは35℃以上85℃以下、更に好ましくは40℃以上80℃以下である。
すなわち、塗布液は、更に、20℃での比誘電率が4〜55であり、かつ沸点が30℃〜300℃の範囲を満たす少なくとも1種の溶媒と、水と、を含む、又は、溶媒を含みかつ水を含まないことが好ましい。
比誘電率(20℃)が4〜55、かつ沸点が30℃〜300℃の範囲を満たす溶媒(水以外の溶媒)としては、例えば、メタノール、エタノール、ノルマルプロパノール(n−プロパノール)、イソプロパノール、アリルアルコール、1−ブタノール、2−ブタノール、シクロペンタノール、1−ヘキサノール、3−ヘキサノール、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、グリセリン、アセトン、エチルメチルケトン、アセトニトリル、アクリロニトリル、ジエチルエーテル、酢酸エチル、エチレンジアミン、ジメチルスルホキシド(DMSO)が挙げられる。
中でも、エタノール、メタノール、イソプロパノール、ノルマルプロパノール、及びグリセリンからなる群から選ばれる少なくとも1種のアルコールが好ましい。
塗布液中における溶媒と水との質量比(溶媒/水)は、好ましくは100/0〜30/70、より好ましくは97/3〜30/70、更に好ましくは85/15〜30/70である。
また、溶媒及び水の全質量に対する水の含有量が3質量%以上である場合、塗布液中に分子A及び分子B、特にプロタミン等及びポリリジン等を溶解しやすくなる。また、基材を加熱処理(好ましくは温度50℃〜120℃で加熱処理)する際に、水が残りにくくなり、基材上への塗布液の塗布性が向上する。
塗布液中における分子Aの含有量及び分子Bの含有量は、それぞれ独立に、抗菌性材料の操作性を向上させる観点から、塗布液全質量に対して0.01質量%〜15質量%であることが好ましく、0.01質量%〜10質量%であることがより好ましく、0.01質量%〜6.5質量%であることが更に好ましく、0.01質量%〜5質量%であることが特に好ましく、0.02質量%〜1質量%であることが一層好ましい。
塗布液が防曇剤を含む場合、塗布液中における防曇剤の含有量は、防曇性を向上させる観点から、塗布液全質量に対して0.01質量%〜15質量%であることが好ましく、0.01質量%〜10質量%であることがより好ましく、0.01質量%〜6.5質量%であることが更に好ましく、0.01質量%〜5質量%であることが特に好ましく、0.02質量%〜1質量%であることが一層好ましい。
<乾燥工程>
本実施形態の抗菌性材料の製造方法は、少なくとも表面部(塗布膜)を温度50℃〜120℃で乾燥させる工程(以下、「乾燥工程」とも称する)を含むことが好ましい。
乾燥工程における塗布膜の乾燥温度としては、50℃〜80℃がより好ましく、50℃〜60℃が更に好ましい。
なお、乾燥時間、乾燥雰囲気、乾燥が行なわれる圧力は、塗布液の組成、塗布量等に応じて適宜選択することができる。
塗布膜の乾燥方法としては、塗布液中に含まれる溶媒の揮発を促進させる方法であれば特に制限はなく、例えば、塗布膜に熱を加える方法、塗布膜に温風を吹き付ける方法、これらを組み合わせた方法が挙げられる。中でも、塗布面での塗布液のはじきを抑制する観点から塗布膜に温風を吹き付ける方法が好ましい。
塗布膜に熱を加える方法は、炉、ホットプレート、真空加熱器等を用いる方法であれば特に制限されない。
塗布膜に温風を吹き付ける方法は、気体を加熱できる装置を用いる方法であれば特に制限されない。
塗布膜に温風を吹き付ける方法の場合、温風の温度の好ましい範囲は、上記乾燥温度の好ましい範囲と同様である。
<表面処理工程>
本実施形態の抗菌性材料の製造方法は、塗布液を塗布する前の基材に対して表面処理を行う工程(以下、「表面処理工程」とも称する)を更に含むことが好ましい。なお、表面処理は、基材の表面全体に対して行ってもよいし、基材の少なくとも一部に対して行ってもよい。
基材に対する表面処理方法としては特に制限はなく、コロナ処理、イトロ処理、オゾン処理、紫外線処理、薬品処理、高周波処理、グロー放電処理、プラズマ処理、レーザー処理などの表面活性化処理が挙げられる。中でも、表面における分子Bの塗れ性を上げることで分布のムラを低減し、かつ分子Bの脱落を防止する観点から、コロナ処理が好ましい。
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその主旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
[実施例1〜8、比較例1、2]
<プロタミンの塩>
以下の実施例及び比較例では、抗菌剤として以下のプロタミンの塩を用いた。なお、プロタミンの塩の重量平均分子量は、既述の方法で測定した。
プロタミンの塩:プロタミン塩酸塩、マルハニチロ株式会社、プロタミン含有量(全体に対するプロタミンの塩の含有量)88.3質量%、強熱残分11.4質量%、重量平均分子量5800
<ポリリジン>
以下の実施例及び比較例では、抗菌剤として以下のポリリジンを用いた。なお、ポリリジンの重量平均分子量は、既述の方法で測定した。
ポリリジンとして、ガードキープGK−900G(ポリリジン22.5質量%、グリセリン10質量%を含む水溶液、JNC株式会社)から、以下の方法により抽出精製したものを使用した。
まず、ガードキープGK−900G 1.93kgを3Lのフラスコに入れて減圧蒸留した。得られた粘稠液体745gに、室温でイソプロパノール2.5Lを加え一晩撹拌し、析出した白色粉末を減圧濾過したのち、イソプロパノールで洗浄(0.8L×3回)、減圧乾燥(80℃、4kPa、24時間)により、ポリリジンの白色粉末394gを得た。
<防曇剤>
以下の実施例及び比較例では、以下に示す防曇剤1〜3を用いた。
防曇剤1:リケマールA(シュガーエステル、理研ビタミン株式会社)
防曇剤2:ポエム DL−100(ジグリセリンモノラウレート、理研ビタミン株式会社)
防曇剤3:ポエム DO−100V(ジグリセリンモノオレート、理研ビタミン株式会社)
(多層延伸ポリプロピレン系フィルムの製造)
プロピレン単独重合体(融点(Tm):160℃、MFR:3g/10分(株式会社プライムポリマー 商品名:F300SP))及びランダムポリプロピレン(融点(Tm):138℃、MFR:7g/10分(株式会社プライムポリマー 商品名:F327)を準備した。厚み比(プロピレン単独重合体:ランダムポリプロピレン)が9:1になるようにプロピレン単独重合体及びプロピレン共重合体を積層し、二軸延伸機を用いて、積層体に対し、縦5倍、横10倍の二軸延伸を施すことにより、多層延伸ポリプロピレン系フィルム(以下、「多層OPPフィルム」とも称する)を製造した。なお、多層OPPフィルムの延伸温度は、縦延伸:100℃、横延伸:180℃、ヒートセット温度は180℃、セット時間は10秒であった。
多層OPPフィルムの厚さは30μmであった。
更に、多層OPPフィルムのプロピレン共重合体の層側の表面に濡れ調(濡れ指数)38dyn(ダイン)となるようにコロナ処理を行った。濡れ指数の測定は、JIS K 6768(1999)に準じて和光純薬工業株式会社の濡れ張力試験用混合液(NO.38.0)が塗れるか塗れないかにより確認した。
(塗布液の塗布)
前述のプロタミンの塩、前述のポリリジンの白色粉末及び前述の防曇剤をメタノール(和光純薬工業株式会社 和光一級)80質量部及び水20質量部の混合液に溶解し、プロタミンの塩、ポリリジン及び防曇剤の含有比率(質量比率)が表1に示す値となる塗布液を調製した。
次に、多層OPPフィルム(基材)のコロナ処理面に、コートバーを用いてハンドコート(コート法)にて、塗布液を塗布速度0.3(mL/(m・sec))で塗布して塗布膜を形成した。次に、塗布膜に、風速40m/分、120℃の温風を20秒吹き付けて塗布液を乾燥させた。これにより、多層OPPフィルム上に塗布膜を形成した。
なお、コートバーには、プロタミンの塩、ポリリジン及び防曇剤の合計の塗布量が表1に示す値となるように予め調整した量の塗布液を載せた。
以上のようにして、多層OPPフィルムと、多層OPPフィルム上に配置された表面部とを備える鮮度保持用フィルム(抗菌性材料)を得た。得られた鮮度保持用フィルムを用いて以下の評価を行った。
以下、表1に実施例1〜8及び比較例1、2の鮮度保持用フィルムにおけるプロタミンの塩、ポリリジン及び防曇剤1〜3の含有比率を示す。なお、表1では、プロタミンの塩、ポリリジン及び防曇剤1〜3の合計量を15としたときの各成分の含有比率を指す。
以下、実施例1〜8及び比較例1、2の鮮度保持用フィルムについて、ヒートシール性評価、防曇性評価、耐水性評価を行った。結果を表2に示す。
なお、表2中、「−」は実験データ無しを意味する。
<ヒートシール性評価>
実施例1〜8及び比較例1、2の鮮度保持用フィルムについて、以下のようにしてヒートシール性を評価した。
まず鮮度保持用フィルムを、短冊状に切断したものを2枚試験片として準備する。次に、準備した2枚の試験片を、表面部同士が対向するように重ね合わせた後、ヒートシール試験機(熱傾斜ヒートシールテスター TP−701−G、テスター産業株式会社)を用いて、温度(ヒートシール温度、上部のみ)135℃、140℃又は145℃、シール幅10mm、シール圧力0.1MPa、及びシール時間0.5秒の条件で、熱融着(ヒートシール)した。
次に、試験機から、熱融着したフィルムを取り出し、幅15mmに切断した。この幅15mmの熱融着したフィルムを、シール強度試験機(フォースゲージFPG、日本電産ランポ株式会社)を用いて、引張速度30mm/min、及び温度23℃の条件で、熱融着したフィルムのヒートシール面に対して90°の方向に引っ張り、剥離させ、剥離強度の最大値を測定した。そして、この最大値をヒートシール強度(単位:N/15mm)とした。
結果を表2に示す。
<防曇性評価>
実施例1〜8及び比較例1、2の鮮度保持用フィルムについて、以下のようにして防曇性を評価した。まず、ポリプロン製の容器(150mm×70mm×30mm)中に25℃の水50mLを加え、鮮度保持用フィルムの防曇性を評価する側の面(表面部側)を内側にして容器を密閉した。その後、冷蔵庫中に5℃で2時間放置後、評価を行った。
なお、評価結果が3以上であれば、防曇性は良好である。
結果を表2に示す。
また、防曇性の評価結果が5であった防曇性評価時の写真(実施例1)を図1に示す。図1に示すように、容器を密閉する鮮度保持用フィルムの表面部における水滴の広がりが良好で、水滴部分が観測されなかった。
−評価基準−
1:直径が2mm未満の細かい水滴が全面に付着して、不透明である
2:直径が2mm〜3mmに発達した水滴が、全面に付着して透明である
3:直径が5mm程度の水滴が付着するが、かなり透明感がある
4:水滴が広がり良好だが、わずかに水滴部分が観測される
5:水滴の広がりが良好で、全面(15cm×10cm)で均一に濡れる
<耐水性評価>
実施例1〜8及び比較例1、2の鮮度保持用フィルムについて、以下のようにして耐水性評価(水浸漬によるコート残存率の評価)を行った。
まず、鮮度保持用フィルムのコート面を20℃〜25℃の精製水(和光純薬工業株式会社)中に浸漬させた。1時間放置後、フィルムを水中からゆっくり引き揚げて、1時間吊るして乾燥させ、フィルム上に残った水滴はキムワイプ(登録商標、日本製紙クレシア株式会社、キムワイプワイパーS−200)を軽く押し当て、フィルム上から水滴を無くし、水浸漬したフィルムを作成した。
次に、ATR−IR(日本分光株式会社、IRT−5200 KRS結晶使用)にて、フィルム表面の赤外スペクトルを測定し、水浸漬前後のプロタミン固有の吸光度(1650cm−1)比から、コート残存率を計算した。
結果を表2に示す。
表2に示すように、実施例1〜実施例8では防曇性及び耐水性の両立が可能であった。
[実施例9]
前述のプロタミンの塩、ポリリジン及び防曇剤2(ポエム DL−100)の含有比率(質量比率)が4:4:7となる塗布液を調製した。調製した塗布液をコート量が8mg/mとなるように多層OPPフィルム(基材)のコロナ処理面に塗布し、前述の実施例と同様にして多層OPPフィルムと、多層OPPフィルム上に配置された表面部とを備える鮮度保持用フィルム(抗菌性材料)を得た。
実施例9にて得られた鮮度保持用フィルムについて、前述の<耐水性評価>と同様にして水浸漬したフィルムを作成し、次いで、ATR−IR(日本分光株式会社、IRT−5200 KRS結晶使用)にて、フィルム表面の赤外スペクトルを測定した。このとき、プロタミン及びポリリジンの両方のピークを確認し、水浸漬に弱いプロタミンが残存していることを確認した。
[実施例10]
前述のプロタミンの塩、ポリリジン及び防曇剤2(ポエム DL−100)の含有比率(質量比率)が5:4:7となる塗布液を調製した。調製した塗布液をコート量が2.2mg/mとなるように多層OPPフィルム(基材)のコロナ処理面に塗布し、前述の実施例と同様にして多層OPPフィルムと、多層OPPフィルム上に配置された表面部とを備える鮮度保持用フィルム(抗菌性材料)を得た。
[比較例3]
前述のプロタミンの塩、ポリリジン及び防曇剤2(ポエム DL−100)の含有比率(質量比率)が1:0:1となる塗布液を調製した。調製した塗布液をコート量が2.5mg/mとなるように多層OPPフィルム(基材)のコロナ処理面に塗布し、前述の実施例と同様にして多層OPPフィルムと、多層OPPフィルム上に配置された表面部とを備える鮮度保持用フィルム(抗菌性材料)を得た。
実施例10及び比較例3の鮮度保持用フィルムについて、外観評価、前述のヒートシール性評価、前述の防曇性評価、並びに抗菌性及び耐水性評価を行った。結果を表3に示す。なお、温度(ヒートシール温度、上部のみ)が130℃についてもヒートシール性を評価したこと以外は、前述のヒートシール性評価と同様である。
<外観評価>
実施例10及び比較例3の鮮度保持用フィルムについて、表面部の外観を確認し、表面部にスジが観察されず、外観が良好であった場合をAとし、表面部にスジが観察され、外観が不良であった場合をBとした。
<抗菌性及び耐水性評価>
実施例10及び比較例3の鮮度保持用フィルムについて、以下のようにして抗菌性及び耐水性評価(水浸漬処理前及び水浸漬後の抗菌性評価)を行った。
まず、実施例10及び比較例3で得た鮮度保持用フィルムについて、JIS Z2801(2012)に準拠して、大腸菌(Escherichia coli)を用いて抗菌性試験を行った。鮮度保持用フィルムの表面の状態を保つためにアルコールによるふき取りは行わなかった。
1/500普通ブイヨン培地に、初期菌数として1.1E+5[CFU(colony forming unit)/g]に相当する規定数量の大腸菌(Escherichia coli、菌株名;NBRC−3972)の菌液を添加して、大腸菌を含むブイヨン培地(試験菌液)を調製した。
試験菌液を4cm角の鮮度保持用フィルムの表面に滴下し、別途準備したポリエチレンフィルムを試験菌液の上にかぶせた後、35℃で24時間培養を行い、評価サンプルを作製した。
(水浸漬前の抗菌性評価)
培養後の評価サンプルの表面を10mLのSCDLP液体培地で洗浄し、試験菌液を含む洗浄液を回収した。SCDLP液体培地は以下の方法で調製したものを用いた。
精製水1000mLに対してカゼインペプトン17.0g、大豆ペプトン3.0g、塩化ナトリウム5.0g、りん酸水素二カリウム2.5g、グルコース2.5g及びレシチン1.0gを加え、混合溶解した後、非イオン界面活性剤7.0gを加えて溶解させた。pH6.8〜pH7.2(25℃)になるように水酸化ナトリウム溶液又は塩酸溶液でpH調整し、高圧蒸気殺菌した。
回収した洗浄液を、普通寒天培地上に塗抹し、35℃で24時間培養して、普通寒天培地上に形成された大腸菌のコロニーの数(以下、「評価サンプルのコロニーの数」とも称する)をカウントした。
すなわち、顕微鏡下で大腸菌の菌数をカウントすることは困難なため、普通寒天培地上に形成された大腸菌のコロニーの数を目視によりカウントして、試験フィルム1枚あたりのコロニーの数を、大腸菌の生菌数(単位[CFU/枚])とした。
測定は3回ずつ行い、3回の平均値を評価に用いた。評価基準は以下の通りである。結果を表3に示す。
なお、AE+Xとは、A×10のX乗を表しており、1.1E+5とは、1.1×10を意味しており、E+Xとは、1.0×10のX乗を表しており、E+3とは、1.0×10を意味している。
(水浸漬後の抗菌性評価(耐水性))
実施例10及び比較例3の鮮度保持用フィルムのコート面を20℃〜25℃の精製水(和光純薬工業株式会社)中に浸漬させた。1時間放置後、フィルムを水中からゆっくり引き揚げて、1時間吊るして乾燥させ、フィルム上に残った水滴はキムワイプ(登録商標、日本製紙クレシア株式会社、キムワイプワイパーS−200)を軽く押し当て、フィルム上から水滴を無くし、水浸漬したフィルムを作成した。
次に、水浸漬したフィルムについて、前述の「水浸漬前の抗菌性評価」と同様の手順で抗菌性評価を行った。結果を表3に示す。
表3に示すように、実施例10は外観及び防曇性が良好であり、かつ、水浸漬後にて抗菌性が低下しにくく、耐水性も良好であった。
2017年8月29日に出願された日本国特許出願2017−164590の開示はその全体が参照により本明細書に取り込まれる。
本明細書に記載された全ての文献、特許出願、及び技術規格は、個々の文献、特許出願、及び技術規格が参照により取り込まれることが具体的かつ個々に記された場合と同程度に、本明細書中に参照により取り込まれる。

Claims (10)

  1. 基材と、
    グアニジンに由来する構造を有する分子Aと、グルコサミン及びリジンからなる群から選ばれる少なくとも一種の分子に由来する構造を有する分子Bと、を含む表面部と、
    を備え、
    前記表面部は前記基材の少なくとも一部と接しており、かつ、前記分子Aと前記分子Bとの質量比(分子A:分子B)が8:2〜4:6であり、
    前記分子Aがプロタミンの塩を含み、
    前記基材が、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリアミド、及びポリエチレンテレフタレートからなる群から選ばれる少なくとも1種の高分子を含むフィルムであり、
    前記表面部が、更に防曇剤を含み、
    前記分子A及び前記分子Bの合計と前記防曇剤との質量比(分子A及び分子Bの合計:防曇剤)が、11:4〜4:11である、抗菌性材料。
  2. 前記分子Bがポリリジンを含む、請求項1に記載の抗菌性材料。
  3. 前記防曇剤が、ノニオン系又はカチオン系の防曇剤である、請求項1又は請求項2に記載の抗菌性材料。
  4. 前記防曇剤が、ジグリセリン脂肪酸エステル及びショ糖脂肪酸エステルの少なくとも一方を含む、請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の抗菌性材料。
  5. 前記表面部における前記分子A及び前記分子Bの合計量が0.2mg/m〜300mg/mである、請求項1〜請求項のいずれか一項に記載の抗菌性材料。
  6. 前記基材の表面処理度が35ダイン以上である、請求項1〜請求項のいずれか一項に記載の抗菌性材料。
  7. 前記表面部の全固形分に対して、前記分子Aの含有量及び前記分子Bの含有量がそれぞれ5質量%以上である、請求項1〜請求項のいずれか一項に記載の抗菌性材料。
  8. 請求項1〜請求項のいずれか一項に記載の抗菌性材料を備える、鮮度保持用材料。
  9. 物品の梱包に用いられる、請求項に記載の鮮度保持用材料。
  10. 前記表面部が、前記物品との対向面である、請求項に記載の鮮度保持用材料。
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