JP2020200842A5 - - Google Patents

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センター側逃げ部111は、後述するプレッシャー側突出歯120の物理的干渉を防止するための部分であり、センター側嵌合部108を構成するスプライン歯の一つが省略されて曲面で構成されている。より具体的には、センター側逃げ部111は、プレッシャー側突出歯120が位置するセンター側嵌合部108上の一つのスプライン歯が省略されるとともに、この省略されたスプライン歯に対して周方向の両側にそれぞれ隣接する2つの歯底と面一に直接繋がった凹凸のない平らな円弧面で構成されている。したがって、センター側逃げ部111は、3つのプレッシャー側突出歯120に対応してセンタークラッチ105の周方向に沿って均等配置で形成されている。この場合、センター側逃げ部111は、前記した3つのセンター側突出歯110の各間に均等な間隔で形成されている。
シャフト112は、中空状に形成された軸体であり、一方(図示右側)の端部側が円筒状の軸受102aを介して入力ギア102およびクラッチハウジング101を回転自在に支持するとともに、前記スプライン嵌合するセンタークラッチ105をナット112aを介して固定的に支持する。このシャフト112における他方(図示左側)の端部は、二輪自動車における図示しない変速機に連結されている。すなわち、シャフト112は、本発明における従動軸に相当する。
このようなクラッチON状態においては、センタークラッチ105におけるプレート保持部105cに形成されたセンター側突出歯110は、図5に示すように、プレッシャークラッチ113におけるプレッシャー側嵌合部117に形成されたプレッシャー側逃げ部121上に位置して互いに重なっている。また、プレッシャークラッチ113におけるプレート保持部113bに形成されたプレッシャー側突出歯120は、センタークラッチ105におけるセンター側嵌合部108に形成されたセンター側逃げ部111上に位置して互いに重なっている。このため、センター側嵌合部108とプレッシャー側嵌合部117との境界部分に存在するフリクションプレート103および/またはクラッチプレート104は、センター側突出歯110およびプレッシャー側突出歯120によってプレート保持部105c,113bからそれぞれ脱落することはない。
そして、このクラッチOFF状態においては、図8に示すように、センタークラッチ105におけるプレート保持部105cに形成されたセンター側突出歯110は、プレッシャークラッチ113におけるプレッシャー側嵌合部117に形成されたプレッシャー側逃げ部121上に重ならない離隔した位置でかつセンター側嵌合部108のセンター側端面108aとプレッシャー側嵌合部117のプレッシャー側端面117aとの間の離隔した隙間上に位置する。このため、センター側嵌合部108とプレッシャー側嵌合部117との境界部分に存在していたフリクションプレート103および/またはクラッチプレート104は、センター側突出歯110によってプレート保持部105c,113bから脱落することはない。
また、プレッシャークラッチ113におけるプレート保持部113bに形成されたプレッシャー側突出歯120は、センタークラッチ105におけるセンター側嵌合部108に形成されたセンター側逃げ部111上に重ならない離隔した位置でかつプレッシャー側嵌合部117のプレッシャー側端面117aとセンター側嵌合部108のセンター側端面108aとの間の離隔した隙間上に位置する。このため、プレッシャー側嵌合部117とセンター側嵌合部108との境界部分に存在していたフリクションプレート103および/またはクラッチプレート104は、プレッシャー側突出歯120によってプレート保持部105c,113bから脱落することはない。
なお、図6は、クラッチOFF状態において、フリクションプレート103およびクラッチプレート104がセンタークラッチ105側に最大の枚数で偏った場合の状態を示している。また、図7は、クラッチOFF状態において、フリクションプレート103およびクラッチプレート104がプレッシャークラッチ113側に最大の枚数で偏った場合の状態を示している。すなわち、本発明に係るクラッチ装置100は、クラッチOFF時において、フリクションプレート103およびクラッチプレート104がセンタークラッチ105側またはプレッシャークラッチ113側に偏ってしまった場合においてもプレート保持部105c,113bから脱落することはない。
この後、クラッチ装置100は、再び、車両の運転者によるクラッチ操作レバーの操作によってクラッチON状態に移行した場合であっても、センター側突出歯110がプレッシャー側嵌合部117に物理的に干渉することがないとともに、センター側嵌合部108とプレッシャー側嵌合部117との境界部分に存在していたフリクションプレート103および/またはクラッチプレート104はセンター側突出歯110およびプレッシャー側突出歯120によってプレート保持部105c,113bから脱落することはない。
また、上記実施形態においては、センター側突出歯110およびプレッシャー側突出歯120は、センター側嵌合部108およびプレッシャー側嵌合部117の各周方向に沿って均等配置で3つ設けた。しかし、センター側突出歯110およびプレッシャー側突出歯120は、センター側嵌合部108およびプレッシャー側嵌合部117に少なくとも1つずつ設けられていればよく、2つ、3つまたは4つ以上設けられていてもよい。また、センター側突出歯110とプレッシャー側突出歯120とは、必ずしも交互に設ける必要もないとともに周方向に沿って均等な間隔で設ける必要もない。
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