JP2020074983A - 歯ブラシ - Google Patents

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Abstract

【課題】ヘッド部を薄くしてネック部を細くした場合でも、ブラシ本体の全体でネック部の撓みを抑制することができ、ハンドル部の優れた把持性と良好な口腔内の操作性とを両立した歯ブラシを提供する。【解決手段】ハンドル部3と、ハンドル部3の先端から延長されたネック部4と、ネック部4の先端に設けられたヘッド部5とを含むブラシ本体2を備え、ヘッド部5の植毛面5aに複数の毛束が植設された歯ブラシ1であって、ブラシ本体2が、ヘッド部5からハンドル部3に向かってネック部4の厚みが連続的に増加する形状を有し、且つ、ヘッド部5における厚みD1が、2〜4mmであり、ネック部4における最小厚みD2が、3〜4.5mmであり、ハンドル部3における最大厚みD3が、13〜16mmである。【選択図】図1

Description

本発明は、歯ブラシに関する。
例えば、う蝕や歯周病の予防には、歯ブラシを使用したブラッシングによる口腔内のプラーク除去が重要である。また、プラークの除去効果を高めるために、歯ブラシのヘッド部を薄く、ネック部を細くすることが行われている。これにより、通常の歯ブラシでは届きにくい奥歯の奥(奥歯の咽喉側)まで用毛を届かせることができる。
ところで、ポリアセタール樹脂やポリブチレンテレフタレート樹脂のような強度の高い樹脂でヘッド部を構成することで、このヘッド部を薄くしてネック部も細くした場合でも、ヘッド部の十分な植毛強度及びネック部の耐折強度が得られる歯ブラシが提案されている(例えば、特許文献1,2を参照。)。また、ブラシ本体が強度の高い樹脂で構成されているため、ブラシ本体を正面視(植毛面に対して垂直な方向)及び側面視(植毛面に対して平行な方向)の両方から見たときに、ヘッド部の先端からハンドル部の後端までストレート形状に成形することができる。
一方、上記樹脂よりも強度の低いポリプロピレン樹脂で構成した歯ブラシの場合、ストレート形状としながら、ヘッド部を薄くしてネック部も細くすると、歯磨時にネック部が撓んでしまい、植毛部がヘッド部の背面側(すなわち、歯や歯肉から離れる方向)に変位してしまう。その結果、ハンドル部に加えた力が植毛部に伝達されにくくなり、ハンドル部の操作性が低下する課題があった。
このため、ブラシ本体を側面視において湾曲させた形状(S字形状)とすることで、ヘッド部からネック部までの間(ブラシ本体の一部)でネック部の撓みを相殺した歯ブラシが提案されている(例えば、特許文献3を参照。)。
ところで、近年では、握力が弱いなどの理由で細いハンドルを把持することが困難な使用者のために、掌全体で把持しやすく軽い力でパームグリップができるように、ハンドル部を太くした歯ブラシが提案されている(例えば、特許文献4を参照。)。このような歯ブラシでは、側面視においてヘッド部の先端からハンドル部の後端までストレート形状とすることで、歯磨時に的確にヘッド部を操作することができる(例えば、特許文献4を参照。)。
しかしながら、このような歯ブラシでは、口腔内の操作性を向上させるため、ハンドル部の太いストレート形状を保ったまま、単純にヘッド部を薄くしてネック部を細くすると、ハンドル部とネック部との剛性の差が大きくなり、使用時の応力がハンドル部とネック部との境界領域に集中しやすくなる。その結果、ネック部が撓み過ぎて背面側(歯や歯肉から離れる方向)へと変位することで、ハンドル部に加えた力が植毛部に伝達されにくくなり、口腔内の操作性が低下するといった課題があった。
特に、太いハンドル部を把持した際は、ハンドル部と掌との間の隙間が少なくなることで、掌全体でハンドル部を把持できるため(すなわち、軽い力でパームグリップで把持できるハンドル形状であるため)、ハンドル部が細い場合よりも、歯磨時にヘッド部に負荷を加えやすくなり、上述した応力集中の課題が顕著となる。すなわち、このような課題は、薄いヘッド部及び細いネック部による口腔内の操作性と、把持性に優れたストレート形状の太いハンドル部とを両立させた歯ブラシに特有のものである。
特開2011−4852号公報 特開2013−118944号公報 国際公開第2017/155039号 特開2006−202号公報
本発明は、このような従来の事情に鑑みて提案されたものであり、ヘッド部を薄くしてネック部を細くした場合でも、ブラシ本体の全体でネック部の撓みを抑制することができ、ハンドル部の優れた把持性と良好な口腔内の操作性とを両立した歯ブラシを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明は以下の手段を提供する。
すなわち、請求項1に係る発明は、ハンドル部と、前記ハンドル部の先端から延長されたネック部と、前記ネック部の先端に設けられたヘッド部とを含むブラシ本体を備え、前記ヘッド部の植毛面に複数の毛束が植設された歯ブラシであって、前記ブラシ本体が、前記ヘッド部から前記ハンドル部に向かって前記ネック部の厚みが連続的に増加する形状を有し、且つ、前記ヘッド部における厚みD1が、2〜4mmであり、前記ネック部における最小厚みD2が、3〜4.5mmであり、前記ハンドル部における最大厚みD3が、13〜16mmであることを特徴とする歯ブラシである。
また、請求項2に係る発明は、前記ブラシ本体を側面視したときに、前記植毛面に連続した第1の略直線領域S1と、前記第1の略直線領域S1から第1の変曲点P1を介して前記ブラシ本体の植毛面側に曲率中心を有する第1の曲線領域E1と、前記第1の曲線領域E1から第2の変曲点を介して前記ブラシ本体の背面側に曲率中心を有する第2の曲線領域E2とを有することを特徴とする請求項1に記載の歯ブラシである。
また、請求項3に係る発明は、前記第1の曲線領域E1の曲率半径R1が、前記第2の曲線領域E2の曲率半径R2よりも小さいことを特徴とする請求項1又は2に記載の歯ブラシである。
また、請求項4に係る発明は、前記第1の変曲点P1と前記第2の変曲点P2との間の距離が、10〜45mmであることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の歯ブラシである。
また、請求項5に係る発明は、前記第2の変曲点P2と前記最大厚みD3となる位置との間の距離が、45〜65mmであることを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の歯ブラシである。
また、請求項6に係る発明は、前記ヘッド部と前記ネック部との境界Oと、前記最大厚みD3となる位置との間の距離が、70〜110mmであることを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載の歯ブラシである。
また、請求項7に係る発明は、前記ブラシ本体を側面視したときに、前記ヘッド部の背面に連続した第2の略直線領域S2と、前記第2の略直線領域S2から第3の変曲点P3を介して湾曲する第3の曲線領域E3を有することを特徴とする請求項1〜6に記載の歯ブラシである。
また、請求項8に係る発明は、前記第3の変曲点P3が、前記第1の変曲点P1よりも前記ハンドル部側に位置することを特徴とする請求項7に記載の歯ブラシである。
また、請求項9に係る発明は、前記第3の曲線領域E3の曲率半径R3が、前記第1の曲線領域E1の曲率半径R1よりも大きいことを特徴とする請求項7又は8に記載の歯ブラシである。
また、請求項10に係る発明は、前記第3の曲線領域E3が、前記ブラシ本体の植毛面側に曲率中心を有することを特徴とする請求項7〜9の何れか一項に記載の歯ブラシである。
また、請求項11に係る発明は、前記ブラシ本体を側面視したときに、前記植毛面の延長ラインが前記ハンドル部の全長に亘って前記ブラシ本体と重なる位置にあることを特徴とする請求項1〜10の何れか一項に記載の歯ブラシである。
また、請求項12に係る発明は、前記ブラシ本体を構成する樹脂の曲げ弾性率が、1000MPa以上、2800MPa以下であることを特徴とする請求項1〜11の何れか一項に記載の歯ブラシである。
また、請求項13に係る発明は、前記ブラシ本体を構成する樹脂が、ポリプロピレン樹脂であることを特徴とする請求項1〜12の何れか一項に記載の歯ブラシである。
また、請求項14に係る発明は、前記ハンドル部の表面を被覆する被覆材を有し、前記被覆材が、前記ブラシ本体を構成する樹脂よりも軟質の樹脂からなることを特徴とする請求項1〜13の何れか一項に記載の歯ブラシである。
また、請求項15に係る発明は、前記被覆材がエラストマー樹脂又はシリコーン樹脂からなることを特徴とする請求項14に記載の歯ブラシである。
以上のように、本発明によれば、ヘッド部を薄くしてネック部を細くした場合でも、ブラシ本体の全体でネック部の撓みを抑制することができ、ハンドル部の優れた把持性と良好な口腔内の操作性とを両立した歯ブラシを提供することが可能である。
本発明の実施形態に係る歯ブラシの構成を示す側面図である。 図1に示す歯ブラシを植毛面側から見た正面図である。 図1中に示す線分A−Aによる歯ブラシの断面図である。 図1中に示す線分B−Bによる歯ブラシの断面図である。 図1中に示す線分C−Cによる歯ブラシの断面図である。
以下、本発明を適用した歯ブラシについて、図面を参照して詳細に説明する。
なお、以下の説明で用いる図面は、特徴をわかりやすくするために、便宜上特徴となる部分を模式的に示している場合があり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らないものとする。また、場合によって毛束の図示を省略し、毛束が植設される植毛穴のみを図示するものとする。
また、以下の説明では、後述するヘッド部5の植毛面5aが設けられた側を歯ブラシ1の正面側とし、ヘッド部5の植毛面5aが臨む側とは反対側を歯ブラシ1の背面側とする。加えて、植毛面5aと平行且つブラシ本体2の長さ方向に直交する方向を歯ブラシ1の幅方向とし、植毛面5aに直交する方向を歯ブラシ1の厚さ方向(側面側)として説明する。
先ず、本発明の一実施形態として、例えば図1〜図5に示す歯ブラシ1について説明する。
なお、図1は、歯ブラシ1の構成を示す側面図である。
図2は、歯ブラシ1を植毛面5a側から見た正面図である。
図3は、図1中に示す線分A−Aによる歯ブラシ1の断面図である。
図4は、図1中に示す線分B−Bによる歯ブラシ1の断面図である。
図5は、図1中に示す線分C−Cによる歯ブラシ1の断面図である。
本実施形態の歯ブラシ1は、全体として長尺状に形成された樹脂成形体からなるブラシ本体2を備えている。
ブラシ本体2は、ハンドル部3と、ハンドル部3の先端から延長されたネック部4と、ネック部4の先端に設けられたヘッド部5とを有している。歯ブラシ1では、ヘッド部5の植毛面5aに植設された複数の毛束(図示せず。)により口腔内を清掃することが可能となっている。
ブラシ本体2を構成する樹脂には、例えば、ポリプロピレン(PP)樹脂や、ポリアセタール(POM)樹脂、ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂などを用いることが好ましい。その中でも、本発明における応力分散性と強度面でバランスの良いPP樹脂を用いることが好ましい。
また、ブラシ本体2を構成する樹脂の曲げ弾性率(JIS K 7171)は、1000〜2800MPaであることが好ましく、1200〜2500MPaであることがより好ましく、1500〜2000MPaであることが更に好ましい。
(ヘッド部)
ヘッド部5は、複数の毛束により口腔内を刷掃する部分であり、略直方体状を為すと共に、角部が丸みを帯びた形状を有している。また、ヘッド部5の植毛面5aと、それとは反対側の背面とは、互いに平坦な面を形成している。
ヘッド部5は、平面視において4つの頂部が曲線で隅切りされた略四角形の平板状の形状を有している。本実施形態において、ヘッド部5とネック部4との境界Oは、ヘッド部5の平面視形状における、ネック部4よりの隅切を形成する曲線の終点、すなわち、隅切を形成する曲線の曲がり方向が変化する位置である。したがって、ヘッド部5とネック部4との境界Oは、平面視でのヘッド部5におけるネック部4よりの隅切部分の幅が狭くなる両縁を形成する曲線又は直線から、幅が広がる曲線若しくは直線、又は幅が同じ直線に変化する位置である。
なお、ヘッド部5は、口腔内を刷掃し易い形状や大きさであればよく、その形状について特に限定されるものではなく、例えば、その基端側から先端側に向かって漸次幅が狭くなる形状としてもよい。また、ヘッド部5は、その基端側から先端側に向かって漸次厚みが薄くなるテーパー形状であってもよく、ヘッド部5の背面側の中央部が盛り上がった丸みのある形状であってもよい。
ヘッド部5の植毛面5aには、同一径の植毛穴6が格子状に複数並んで配置されている。毛束は、複数本の刷毛(フィラメント)を束ねて二つ折りにし、その間に平線と呼ばれる金属製の抜止め具(図示せず)を挟んで植毛穴6に打ち込むことによって、各植毛穴6に植設されている。なお、図2では、毛束の図示を省略し、植毛穴6のみを図示している。
なお、植毛穴6は、格子状に複数並んで配置された構成に限らず、千鳥状に複数並んで配置された構成とすることも可能である。また、植毛穴6の内径は、植毛される毛束の本数と相関があるので、毛束の硬さや使用感に影響するが、植毛する際に用いる毛束の太さや毛丈によって使用感はある程度調整可能ではあるが、一般に、1.0〜3.0mmの範囲が好ましい。
毛束は、その刷毛の材質について特に限定されないものの、例えば、ポリアミド(例:6−12ナイロン、6−10ナイロン)、ポリエステル(例:ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート)、ポリオレフィン(例:ポリプロピレン)、エラストマー(例:オレフィン系、スチレン系)などの合成樹脂材料を挙げることができる。また、これらの樹脂材料を複数組み合わせて用いてもよく、例えば芯鞘構造などのように、芯部と鞘部で異なる樹脂材料を用いることもできる。
刷毛の横断面形状は、通常は円形であるが、そのような形状に限定されるものではなく、例えば、楕円形、三角形、四角形、六角形、星形、三つ葉のクローバー形、四つ葉のクローバー形など任意の形状とすることができる。
毛束の毛丈は、ヘッド部5の植毛面5aから、大人用で8mm〜13mm、子供用で6mm〜9mmとすることが好ましい。刷毛の太さ(最大径)は、口腔内の使用性や使用感の点から、0.12mm〜0.26mmであることが好ましい。また、使用感や、刷掃感、清掃効果、耐久性など考慮して、太さの異なる複数本の刷毛を任意に組み合わせて用いてもよい。
毛束の植毛方法としては、上述した刷毛の毛束を二つ折りにし、その間に平線を挟んで植毛穴6に植設する平線植毛法以外にも、毛束の下端をヘッド部5となる溶融樹脂中に圧入して固定する熱融着法や、毛束の下端を加熱して溶融塊を形成した後に、金型のキャビティ内に溶融樹脂を充填してヘッド部5と一体に成形するインモールド法などを用いることができる。
ヘッド部5における厚みD1は、2〜4mmであることが好ましく、2.5〜3.5mmであることがより好ましい。なお、ヘッド部5とネック部4との境界Oからヘッド部5の先端側に向かって漸次厚みが薄くなるテーパー形状の場合、厚みD1は、ヘッド部5の全体の厚みの平均値として定義する。
これにより、ヘッド部5の厚みを薄くして、口腔内における操作性を向上させることができ、奥歯の奥(奥歯の咽喉側)まで毛束(刷毛)を届かせることができる。また、後述するネック部4の最小厚みD2とヘッド部5の厚みD1との関係は、口腔内挿入性の点からD1≦D2であることが好ましい。
また、ヘッド部5の長さは、口腔内の挿入性の点から、10〜40mmであることが好ましい。ヘッド部5の幅W1は、大きすぎると口腔内での操作性が低下し、小さすぎると植毛される毛束の数が少なくなりすぎて清掃力が損なわれやすくなるため、5〜16mmであることが好ましい。
(ネック部)
ネック部4は、ハンドル部3とヘッド部5との間を連結する部分である。本実施形態では、正面視及び側面視におけるネック部4とハンドル部3との外形形状は、境界Oからハンドル部3側に向けて略直線又は緩やかな曲線が複数繋がった形状である。また、ネック部4とハンドル部3との境界が不明確な形状であるが、口腔内挿入性の点から、本発明におけるネック部4の長さは、正面視において境界Oを基点としてハンドル部3側方向に50mm以内と定義する。
ネック部4の最小厚みD2を長手方向(ネック部4からハンドル部3の後端側)に一定の長さで維持する場合、この一定の長さで維持する領域は、境界Oからハンドル部3側に25mmを超えないことが好ましく、20mmを超えないことがより好ましく、10mmを超えないことが更に好ましい。また、ネック部4の最小厚みD2は、3〜4.5mmであることが好ましく、3.5〜4.5mmであることがより好ましい。
これにより、側面視でヘッド部5からハンドル部3に向かってネック部4の厚みを連続的に増加することができ、口腔内に挿入した際に口唇の開きが大きくならず、口腔内における操作性を確保することができる。加えて、歯磨時にネック部4に加わる応力集中の位置がヘッド部5側に設けられるため、後述するハンドル部3方向に応力を分散させる距離を十分に確保でき、ネック部4の撓み過ぎを抑制することができる。
ネック部4の最小幅W2を長手方向(ネック部4からハンドル部3の後端側に一定の長さで維持する場合、この一定の長さで維持する領域は、境界Oからハンドル部3側に25mmを超えないことが好ましく、20mmを超えないことがより好ましく、10mmを超えないことが更に好ましい。また、ネック部4の最小幅W2は、3〜4.5mmであることが好ましく、3.5〜4.5mmであることがより好ましい。これにより、口腔内に挿入した際に口唇の開きが大きくならず、口腔内における操作性を確保することができる。
(ハンドル部)
ハンドル部3は、使用者が把持する部分であり、長尺柱状に形成されている。また、上述したネック部4とハンドル部3との境界が不明確な形状であるが、このハンドル部3を把持して使用するのに十分な長さを確保するため、正面視における境界Oからハンドル部3の後端までの長さを100〜200mmとすることが好ましい。
本実施形態において、ハンドル部3は、ブラシ本体2を側面視したときに、その先端側(ネック部4側)から後端側に向かって厚みが連続的に増加し、最大厚みD3に至った後に、その後端側に向かうに従い厚みが減少する形状を有している。
なお、ハンドル部3において、最大厚みD3となる箇所が複数存在する場合は、最もネック部4側に位置する箇所をハンドル部3の最大厚みD3となる箇所と一義的に定義するものとする。
ハンドル部3における最大厚みD3は、13〜16mmであることが好ましく、13.5〜15.5mmであることがより好ましい。また、ハンドル部3における最大幅W3が13〜16mmであることが好ましく、14.5〜16mmであることがより好ましい。これにより、ハンドル部3の把持性を良好なものとし、パームグリップなどによる優れた操作性を得ることができる。
また、本実施形態の歯ブラシ1では、3.5≦D3/D1≦7の関係を満足することが好ましく、3.5≦D3/D1≦6.5の関係を満足することがより好ましい。これにより、ハンドル部3の把持性に優れると共に、厚みの薄いヘッド部5による良好な口腔内の操作性を得ることができる。
本実施形態の歯ブラシ1では、3≦D3/D2≦5の関係を満足することが好ましく、3.5≦D3/D2≦5の関係を満足することがより好ましい。これにより、ネック部4を細くしてもネック部4が撓み過ぎずに、良好な口腔内の操作性と把持のし易さとの両立を図ることができる。
本実施形態の歯ブラシ1は、後述するブラシ本体2の側面視における正面側と背面側の特徴的な形状によって、細いネック部4と太いハンドル部3との組み合わせであっても、ネック部4への応力集中を回避し、ヘッド部5からハンドル部3までのブラシ本体2の全体を撓ませることで、ネック部4の撓みを抑制することができる。
また、本実施形態の歯ブラシ1では、最大厚みD3を含み、且つ、正面視における境界Oからハンドル部3の後端までの長さにおける少なくとも70%以上において、ハンドル部3の厚みをハンドル部3の幅で除した値(以下、アスペクト比という。)が0.8〜1.2の範囲にあることが好ましく、0.9〜1.1の範囲であることがより好ましい。これにより、ハンドル部3の厚み方向のみ又は幅方向のみの偏った方向への撓みを抑制することができる。
(ブラシ本体の正面側の形状)
本実施形態の歯ブラシ1は、ブラシ本体2を側面視したときに、ブラシ本体2の正面側において、ネック部4の先端側からハンドル部3側に向けて、ヘッド部5の植毛面5aに連続した第1の略直線領域S1と、第1の略直線領域S1から第1の変曲点P1を介してブラシ本体2の植毛面5a側に曲率中心を有する第1の曲線領域E1と、第1の曲線領域E1から第2の変曲点P2を介してブラシ本体2の背面側に曲率中心を有する第2の曲線領域E2とを有している。
(ブラシ本体の背面側の形状)
本実施形態の歯ブラシ1は、ブラシ本体2を側面視したときに、ブラシ本体2の背面側において、ネック部4の先端側からハンドル部3側に向けて、ヘッド部5の背面に連続した第2の略直線領域S2と、第2の略直線領域S2から第3の変曲点P3を介してブラシ本体2の植毛面5a側に曲率中心を有する第3の曲線領域E3と、第3の曲線領域E3から第4の変曲点P4を介してブラシ本体2の植毛面5a側に曲率中心を有する第4の曲線領域E4とを有している。
なお、ここで言う「略直線」とは、ブラシ本体2を側面視したときに、植毛面5aに沿った軸線方向(長軸方向)の延長ラインLに対して平行な直線又は3°以内で交わる直線であることを言う。
また、本実施形態の歯ブラシ1では、第1の変曲点P1がネック部4に位置し、その後端側に第2の変曲点P2を有している。ブラシ本体2の正面視において、第1の変曲点P1と第2の変曲点P2との間の距離は、10〜45mmであることが好ましく、25〜40mmであることがより好ましい。これにより、ヘッド部5からハンドル部3に向かってネック部4の厚みが連続的に増加する形状において、ヘッド部5とハンドル部3との間の表面をネック部4を介して滑らかな曲線で連続的に繋げることができる。また、ネック部4を全長に亘ってより細くした形状とすることができる。
一般的なヘッド部及びネック部の寸法で、ストレート形状の太いハンドル部を有する歯ブラシの場合、奥歯の奥への毛束を届かせて口腔内操作性の向上を目的に、単純にヘッド部を薄くしてネック部も細くすると、第1の略直線領域S1と第1の曲線領域E1の厚みが薄くなる。
その結果、歯磨時のヘッド部の負荷によって、第1の変曲点P1の応力集中が過度になり、第1の曲線領域E1と第2の曲線領域E2への応力分散が不十分となる。また、ハンドル部が太いほど、応力集中がネック部領域内に留まり易くなるため、この傾向が顕著となる。そして、ネック部が撓み過ぎて、植毛部がヘッド部の背面側(即ち、歯や歯肉から離れる方向)に変位してしまうことで、ハンドル部に加えた力が植毛部に伝達されにくくなり、ハンドル部の操作性が低下することになる。
そこで、本発明者らは、ヘッド部5を薄くしてネック部4を細くした場合でも、ハンドル部3の優れた把持性及び良好な口腔内操作性を得るためには、ネック部4における第1の変曲点P1の応力集中を「ブラシ本体2の全体」で分散できることが有効であることを見出した。具体的には、ハンドル部3側へ応力を分散させるため、上述した曲線領域の曲率半径の大きさ及び変曲点の位置関係が重要な要因であることを見出した。
本実施形態の歯ブラシ1では、薄いヘッド部5、細いネック部4及びストレート形状の太いハンドル部3を有するため、歯磨時にヘッド部5に負荷がかかると、先ず、正面側の第1の略直線領域S1を介して第1の変曲点P1に応力が集中する。第1の変曲点P1は、背面側の第2の略直線領域S2内に対向する位置にある。このため、第2の略直線領域S2では、この第1の変曲点P1において背面方向に受けた応力を分散しようと正面方向へ抗力(反発力)が働く。
本発明者等は、この作用を活かして「ブラシ本体2の全体」で応力分散させるために、以下の施策(1)〜(3)が有効であることを見出した。
(施策(1):ヘッド部→S1→P1→S2→E1による応力分散)
第1の変曲点P1で背面方向の応力集中が働いた場合、第1の変曲点P1と対向する領域が略直線形状(第2の略直線領域S2)であると、第2の略直線領域S2では、正面側に抗力が働く。そして、この抗力は第2の略直線領域S2と対向する正面側の第1の曲線領域E1に伝わる。
また、正面側で第1の変曲点P1を介してブラシ本体2の植毛面5a側に曲率中心を有する第1の曲線領域E1を設けると、第1の変曲点P1で背面方向の応力集中が働いた場合、その曲形状の性質から、正面側に抗力が働きやすい性質がある。加えて、第1の曲線領域E1の曲率半径が大きいほど、抗力が分散して伝わりやすくなる。
本発明では、このような性質を組み合わせることで、ブラシ本体2の全体で応力分散ができることを見出した。すなわち、第1の変曲点P1で背面方向の応力が働いた場合に、第2の略直線領域S2による正面方向の抗力が、より働きやすくなり、且つ、ハンドル部3の方向へ伝わり、応力分散ができることを見出した。
(施策(2):ヘッド部→S1→P1→S2→P3→E3による応力分散)
上記施策(1)の繰り返しになるが、第1の変曲点P1で背面方向の応力集中が働いた場合、第1の変曲点P1と対向する領域が略直線形状(第2の略直線領域S2)であると、第2の略直線領域S2では、正面側に抗力が働く。また、第1の変曲点P1で受けた背面方向の応力は、ハンドル部3の方向(第3の曲線領域E3)に伝わる。
また、背面側で第3の変曲点P3を介してブラシ本体2の植毛面5a側に曲率中心を有する第3の曲線領域E3を設けると、第3の変曲点P3に背面方向の応力が伝わった場合、その曲形状の性質から、第3の曲線領域E3では、正面側に抗力が働きやすくなる。加えて、第3の曲線領域E3の曲率半径が大きいほど、抗力が分散して伝わりやすくなる。
本発明では、このような性質を組み合わせることで、ブラシ本体2の全体で応力分散ができることを見出した。すなわち、第1の変曲点P1で背面方向の応力集中が働いた場合に、第2の略直線領域S2による正面方向の抗力が、より働きやすくなり、且つ、ハンドル部3の方向へ伝わり、応力分散ができることを見出した。
(施策(3):ヘッド部→S1→P1→S2→E1・E3→E2による応力分散)
ブラシ本体2の側面視において、第2の変曲点P2は、第3の曲線領域E3内に対向する位置にある。また、第1の曲線領域E1と第3の曲線領域E3とが、ブラシ本体2の植毛面5a側に曲率中心を有する形状から、第2の変曲点P2における抗力方向は正面側となる。
ここで、正面側で第2の変曲点P2を介してブラシ本体2の背面側に曲率中心を有する第2の曲線領域E2を設けると、第2の変曲点P2で正面方向の抗力が働いた場合、その曲形状の性質から、背面側に抗力が働きやすい性質がある。加えて、第2の曲線領域E2の曲率半径が大きいほど、抗力が分散して伝わりやすくなる。
本発明では、このような性質を組み合わせることで、ブラシ本体2の全体で応力分散ができることを見出した。すなわち、第2の変曲点P2で正面方向の抗力が働いた場合に、第2の曲線領域E2による背面方向の抗力が、より働きやすくなり、且つ、ハンドル部3の方向へ伝わり、応力分散ができることを見出した。加えて、第2の曲線領域E2では、第3の曲線領域E3からの正面方向の効力も伝わるので、働く抗力が正面側と背面側で打ち消し合い、より応力を分散できることも期待できる。
本実施形態の歯ブラシ1では、上記施策(1)〜(3)に基づくブラシ本体2の側面視における正面側と背面側の特徴的な形状によって、ネック部4への応力集中を回避し、ヘッド部5からハンドル部3までのブラシ本体2の全体で応力を分散させ、ネック部4の撓みを抑制することができる。
(第1の変曲点P1の位置、境界Oから第1の変曲点P1までの距離)
本実施形態の歯ブラシ1では、第1の変曲点P1がネック部4に位置している。上述したネック部4の定義のとおり、本発明におけるネック部4の長さは、正面視において境界Oを基点としてハンドル部3側方向に50mm以内と定義している。また、正面視における境界Oから第1の変曲点P1までの距離は、30mm以内の位置にあることが好ましく、25mm以内にあることがより好ましく、20mm以内にあることが更に好ましい。
(第2の変曲点P2の位置)
本実施形態の歯ブラシ1では、第2の変曲点P2が第1の変曲点P1よりもハンドル部3側に位置している。第2の変曲点P2は、ネック部4にあってもよいし、ハンドル部3にあってもよい。
(第1の変曲点P1と第2の変曲点P2との間の距離(第1の曲線領域E1))
ブラシ本体2の正面視において、第1の変曲点P1と第2の変曲点P2との間の距離は、10〜45mmであることが好ましく、25〜40mmであることがより好ましい。これにより、第1の変曲点P1にかかる応力集中を第1の曲線領域E1と第2の曲線領域E2を介してハンドル部3側へと分散させるのに十分な距離を確保できる。
(曲率半径R1,R2の関係)
本実施形態の歯ブラシ1では、第1の曲線領域E1の曲率半径R1が、第2の曲線領域E2の曲率半径R2よりも小さいことが好ましい。また、第1の曲線領域E1の曲率半径R1は、50〜300mmであることが好ましく、100〜200mmであることがより好ましい。一方、第2の曲線領域E2の曲率半径R2は、150〜600mmであることが好ましく、200〜400mmであることがより好ましい。
これにより、ネック部4からハンドル部3側に向けて、表面を滑らかな曲線で構成できる。その結果、ネック部4の第1の変曲点P1の応力集中を第1の曲線領域E1へ伝えられる。次いで、第2の変曲点P2を介してブラシ本体2の背面側に曲率中心を有する第2の曲線領域E2へ伝えられることで、ハンドル部3側への応力集中を分散でき、ネック部4が撓み過ぎず、良好な口腔内の操作性を確保することができる。また、ハンドル部3を太くした場合でも、このハンドル部3の良好な把持性を得ることができる。
(第2の曲線領域E2:第2の変曲点P2からハンドル部の後端までの特定領域)
第2の曲線領域E2は、側面視において第2の変曲点P2からハンドル部3の最後端部までの長さの70%以上で構成されていることが好ましい。これにより、ハンドル部3を太くした場合でも、このハンドル部3の良好な把持性を得ることができる。また、ハンドル部3の表面を滑らかな曲線で構成することで、第1の曲線領域E1を介した応力集中を、第2の曲線領域E2へ分散させることができる。
なお、第2の曲線領域E2をハンドル部3の全長における少なくとも70%以上としたのは、ハンドル部3の正面側から突出された指当て部7のようなハンドル部3の表面とは不連続な領域を設けることを許容するためである。
また、側面視において第2の変曲点P2からハンドル部3の最後端部までの長さの中で、例えばR200とR300が繋がって曲線を形成されている、すなわち、複数のRで繋がっている曲線の場合でも、1つのRの繋がりと定義する。
(第2の変曲点P2と最大厚みD3となる位置との間の距離)
また、ブラシ本体2の正面視において、第2の変曲点P2とハンドル部3の最大厚みD3となる位置との間の距離は、45〜65mmであることが好ましく、50〜60mmであることがより好ましい。これにより、第1の曲線領域E1を介したネック部4の応力集中を回避し、第2の曲線領域E2へと応力を分散させるのに十分な距離を確保することができる。
(境界Oと最大厚みD3となる位置との間の距離)
また、ヘッド部5とネック部4との境界Oと、ハンドル部3の最大厚みD3となる位置との間の距離は、60〜110mmであることが好ましく、70〜110mmであることがより好ましい。これにより、ヘッド部5を薄く、ネック部4を細くし、ハンドル部3を厚くしても、ハンドル部3の表面を滑らかな曲線で構成することができ、ネック部4への応力集中がハンドル部3の後端側へと分散し、ネック部4のたわみ過ぎを抑制することができる。
(第3の変曲点P3の位置関係)
第1の変曲点P1の応力集中を第2の略直線領域S2を介して、第3の変曲点P3へ伝えて、受けた応力集中を第3の曲線領域E3へ分散できる点から、第3の変曲点P3は第1の変曲点P1よりもハンドル側に存在することが好ましい。
また、第2の略直線領域S2による正面方向の抗力を第1の曲線領域E1に伝え、更に第1の曲線領域E1から第2の曲線領域E2へと伝えることで、応力をさらに分散できる点から、第3の変曲点P3は第2の変曲点P2よりもネック部側に存在することが好ましい。
(曲率半径R3,R1の関係)
第3の曲線領域E3の曲率半径R3は、第1の曲線領域E1の曲率半径R1よりも大きいことが好ましい。また、第3の曲線領域E3の曲率半径R3は、100〜1000mmであることが好ましく、100〜500mmであることがより好ましい。これにより、ネック部4の第1の変曲点P1の応力集中は、第2の略直線領域S2を介して、第3の変曲点P3へと伝わり、受けた応力集中を第3の曲線領域E3へと分散でき、ネック部4の撓み過ぎを抑制すると共に、口腔内の操作性を確保することができる。
(第3の曲線領域E3)
また、本実施形態の歯ブラシ1では、ブラシ本体2の側面視において、第3の変曲点P3からハンドル部3の最後端部までの長さの少なくとも30%以上が、第3の曲線領域E3により構成され、且つ、ネック部4とハンドル部3を跨いだ位置にあることが好ましい。
これにより、歯磨時のネック部4の第1の変曲点P1の応力集中が第2の略直線領域S2を介して、第3の変曲点P3へと伝わり、第3の曲線領域E3の曲形状の性質から、正面側に抗力が働きやすい性質を利用して、第2の略直線領域S2による正面方向の抗力が働きやすくなり、第1の変曲点P1における応力集中を分散しやすくできる。その結果、ネック部4の撓み過ぎを抑制すると共に、口腔内の操作性を確保できる。
(曲率半径R3,R2の関係)
第3の曲線領域E3の曲率半径R3は、第2の曲線領域E2の曲率半径R2よりも小さいことが好ましい。これにより、第2の略直線領域S2による正面方向の抗力と第1の曲線領域E1による正面方向の抗力と第3の曲線領域Eの正面方向の抗力とを、第1の曲線領域E1から第2の曲線領域E2へと伝えて、応力を更に分散できる。
(曲率半径R4,R2の関係)
第4の曲線領域E4の曲率半径R4は、第2の曲線領域E2の曲率半径R2よりも大きいことが好ましい。また、第4の曲線領域E4の曲率半径R4は、500mm以上であることが好ましく、1000mm以上であることがより好ましい。
これにより、第3の曲線領域E3に伝わった応力集中が第4の変曲点P4へと伝わり、受けた応力集中を第4の曲線領域E4へと分散でき、ネック部4の撓み過ぎを抑制すると共に、操作性を確保することができる。また、本実施形態において、第4の曲線領域E4は、ブラシ本体2の植毛面5a側に曲率中心を有しているため、ハンドル部3を把持した際に、このハンドル部3と掌との間の隙間を少なくして掌全体で把持でき、把持性が向上する。
(第4の曲線領域E4)
ブラシ本体2の側面視において、第4の変曲点P4からハンドル部3の最後端部までの長さの少なくとも50%以上が、第4の曲線領域E4により構成されていることが好ましい。
これにより、第3の曲線領域E3に伝わった応力集中が第4の変曲点P4へと伝わり、受けた応力集中を第4の曲線領域E4へと分散でき、ネック部4の撓み過ぎを抑制すると共に、操作性を確保することができる。
(第4の曲線領域E4の湾曲方向)
第4の曲線領域E4の曲率半径R4は、ブラシ本体2の植毛面5a側に曲率中心を有しているが、ヘッド部5の背面側に有していてもよい。ヘッド部5の背面側に有していると、第4の曲線領域E4に沿ってハンドル部3が把持された際に、このハンドル部3の回転が規制されるため、把持方向を位置決めできる。その結果、歯磨時にハンドル部3が回転することなく、口腔内操作性が向上する。
上述したブラシ本体2の側面視における特徴的な形状については、ブラシ本体2を構成する樹脂(一次樹脂)のみで構成される場合で説明していたが、ブラシ本体2の全長に亘って表面を被覆する被覆材8が設けられた構成の場合は、上述した特徴的な形状はブラシ本体2のアウトラインと一義的に定義する。
被覆材8で被覆する場合、ブラシ本体2に一次樹脂による段差部9を設けていることが好ましい。段差部9を設けることで、被覆材8で被覆する際にハンドル部3の表面と面一とすることができ、外観と触感が良好となる。また、2色成形での製造性の点でも好ましい。
被覆材8としては、例えば、ポリオレフィン系エラストマー、スチレン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー等のエラストマー樹脂、又はシリコーン樹脂等を用いることができる。
段差部9は、ネック部4側よりもハンドル部3側が1〜3mmで、一段低くなるように形成されていることが好ましい。また、段差部9の最小厚みは、強度の点から3mm以上あることが好ましい。
段差部9を有する場合、ハンドル部3又はネック部4における厚み方向と幅方向の寸法が短くなることで樹脂量が減り、強度が低下する。そのため、一段低くなるように形成された段差部9は、ネック部4側からハンドル部3側へと、曲率半径が0.5〜1.5となる範囲で連結していることが好ましい。これにより、歯磨時にヘッド部5かかる応力が段差部に伝わっても、段差部9への応力集中が緩和できる。
被覆材8は、段差部9から表面を覆うことで、ハンドル部3とネック部4との間で連続した面を形成していることが好ましい。これにより、口腔内の清掃時に、被覆材8の弾性力によってハンドル部3とネック部4との境界(段差部9)に生じる応力集中を緩和することができる。
被覆材8は、ネック部4からハンドル部3の全面を覆うように形成されていてもよいし、全周を包むように覆っていてもよい。応力集中を緩和することができる点から、ネック部4からハンドル部3の全周を包むように覆っている態様が好ましい。
また、ハンドル部3の表面積における少なくとも50%以上が被覆材8により被覆されていることが好ましい。また、被覆材8の厚みは、0.5〜3.5mmであることが好ましい。
被覆材8が周囲を覆うように被覆される態様では、ブラシ本体2を構成する樹脂(一次樹脂)は、被覆された部位での断面において中心位置にあってもよいし、偏在した位置にあってもよい。また、応力集中を緩和することができる点から、被覆材8の中心位置にあることが好ましい。
さらに、ブラシ本体2からなる樹脂の断面積をA1、当該部位における被覆材8の断面積をA2としたときに、A2/(A1+A2)の比は、0.45〜0.75であることが好ましい。これにより、歯ブラシ1では、ハンドル部3を把持する際のグリップ感を高めることができる。
また、ハンドル部3の最大厚みD3となる位置では、A2/(A1+A2)の比が、0.45〜0.75であることが好ましく、0.6〜0.75であることがより好ましい。これにより、歯ブラシ1では、ハンドル部3を把持する際のグリップ感を高めることができる。また、応力集中を緩和することができる。
さらに、ハンドル部3の長手方向における中心位置では、A2/(A1+A2)の比が、0.45〜0.75であることが好ましく、0.6〜0.75であることがより好ましい。これにより、歯ブラシ1では、ハンドル部3を把持する際のグリップ感を高めることができる。
段差部9では、A2/(A1+A2)の比が、0.45〜0.75であることが好ましく、0.45〜0.55であることがより好ましい。これにより、応力集中を緩和することができる。
また、本実施形態の歯ブラシ1では、ブラシ本体2を側面視したときに、植毛面5aの延長ラインLがハンドル部3の全長に亘ってブラシ本体2と重なる位置にあることが好ましい。これにより、応力集中をハンドル部3の後端側へと分散させることができる。すなわち、植毛面5aの延長ラインLがハンドル部3の全長に亘ってブラシ本体2と重なる位置にないようなS字状のハンドル形状では、太いハンドル部3の場合は、ネック部4へ応力集中がより起きやすくなる。しかしながら、上述した重なる位置、すなわち直線状であることで、ネック部4への応力集中をハンドル部3の後端側へと分散させることができる。
以上のように、本実施形態の歯ブラシ1では、ヘッド部5を薄くしてネック部4を細くした場合でも、ブラシ本体2の全体でネック部の撓みを抑制している。これにより、ハンドル部3の優れた把持性及び良好な口腔内の操作性を両立した歯ブラシ1を提供することが可能である。
なお、本発明は、上記実施形態のものに必ずしも限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、上記実施形態では、上述した手磨き用の歯ブラシ1に本発明を適用した場合を例示しているが、ハンドル部3を含む本体部に対して、ネック部4及びヘッド部5を含む取替ブラシが着脱自在に取り付けられる電動歯ブラシに本発明を適用することも可能である。
以下、実施例により本発明の効果をより明らかなものとする。なお、本発明は、以下の実施例に限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することができる。
(実施例1〜8、比較例1〜2)
本実施例では、下記表1に示す仕様に従って、実施例1〜8及び比較例1〜2の歯ブラシを作製した。具体的には、PP樹脂を射出成形してブラシ本体を作製した。このとき、植毛穴の配列は、ヘッド部の先端からハンドル体に向って3穴×1列、4穴×5列、3穴×1列とした。また、ヘッド部の幅を10mmとし、長さを25mmとした。その後、PBT製フィラメントからなるテーパー用毛(7.5mil)の毛束を、平線式植毛によりヘッド部の植毛穴に植設して歯ブラシを作製した。なお、実施例8の歯ブラシについては、ブラシ本体を射出成形した後に、段差部からハンドル部の後端までの表面を軟質部材で被覆した。以下、各歯ブラシの仕様をまとめたものを下記表1〜表4に示す。
Figure 2020074983
Figure 2020074983
Figure 2020074983
Figure 2020074983
(把持性の評価方法)
実施例1〜8及び比較例1〜2の各歯ブラシについて、歯磨時における「歯ブラシの把持性」の評価を行った。その評価結果をまとめたものを上記表4に示す。
歯ブラシの把持性については、専門化パネル10人が各歯ブラシを使用し、下記の評価基準にて評価を行った。また、専門化パネル10人の平均点が4.5点以上を「◎」とし、平均点3.5点以上4.5点未満を「○」とし、平均点2.5点以上3.5点未満を「△」とし、平均点2.5点未満を「×」として評価を行った。したがって、点数が高いほど、歯ブラシの把持性が優れている。
<評価基準>
5点:非常に良い。
4点:やや良い。
3点:良い。
2点:やや良くない。
1点:良くない。
(口腔内操作性の評価方法)
また、実施例1〜8及び比較例1〜2の各歯ブラシについて、歯磨時における「歯ブラシの口腔内操作性(口の中での動かし易さ、ネック部の撓み過ぎの無さ)」の評価を行った。その評価結果をまとめたものを上記表4に示す。
歯ブラシの操作性については、専門化パネル10人が各歯ブラシを使用し、下記の評価基準にて評価を行った。また、専門化パネル10人の平均点が4.5点以上を「◎」とし、平均点3.5点以上4.5点未満を「○」とし、平均点2.5点以上3.5点未満を「△」とし、平均点2.5点未満を「×」として評価を行った。したがって、点数が高いほど、口腔内操作性が優れている。
<評価基準>
5点:非常に良い。
4点:やや良い。
3点:どちらともいえない。
2点:やや良くない。
1点:良くない。
表4に示すように、実施例1〜8の歯ブラシは、比較例1〜2の歯ブラシに比べて、歯磨時における「歯ブラシの把持性」及び「歯ブラシの口腔内操作性」について、高い評価結果が得られた。
1…歯ブラシ 2…ブラシ本体 3…ハンドル部 4…ネック部 5…ヘッド部 5a…植毛面 6…植毛穴 7…指当て部 8…被覆材 9…段差部 O…境界 S1…第1の略直線領域 S2…第2の略直線領域 E1…第1の曲線領域 E2…第2の曲線領域 E3…第3の曲線領域 E4…第4の曲線領域 P1…第1の変曲点 P2…第2の変曲点 P3…第3の変曲点 P4…第4の変曲点 L…延長ライン

Claims (15)

  1. ハンドル部と、
    前記ハンドル部の先端から延長されたネック部と、
    前記ネック部の先端に設けられたヘッド部とを含むブラシ本体を備え、
    前記ヘッド部の植毛面に複数の毛束が植設された歯ブラシであって、
    前記ブラシ本体は、前記ヘッド部から前記ハンドル部に向かって前記ネック部の厚みが連続的に増加する形状を有し、
    且つ、
    前記ヘッド部における厚みD1が、2〜4mmであり、
    前記ネック部における最小厚みD2が、3〜4.5mmであり、
    前記ハンドル部における最大厚みD3が、13〜16mmであることを特徴とする歯ブラシ。
  2. 前記ブラシ本体を側面視したときに、
    前記植毛面に連続した第1の略直線領域S1と、
    前記第1の略直線領域S1から第1の変曲点P1を介して前記ブラシ本体の植毛面側に曲率中心を有する第1の曲線領域E1と、
    前記第1の曲線領域E1から第2の変曲点P2を介して前記ブラシ本体の背面側に曲率中心を有する第2の曲線領域E2とを有することを特徴とする請求項1に記載の歯ブラシ。
  3. 前記第1の曲線領域E1の曲率半径R1が、前記第2の曲線領域E2の曲率半径R2よりも小さいことを特徴とする請求項1又は2に記載の歯ブラシ。
  4. 前記第1の変曲点P1と前記第2の変曲点P2との間の距離が、10〜45mmであることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の歯ブラシ。
  5. 前記第2の変曲点P2と前記最大厚みD3となる位置との間の距離が、45〜65mmであることを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の歯ブラシ。
  6. 前記ヘッド部と前記ネック部との境界Oと、前記最大厚みD3となる位置との間の距離が、70〜110mmであることを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載の歯ブラシ。
  7. 前記ブラシ本体を側面視したときに、
    前記ヘッド部の背面に連続した第2の略直線領域S2と、
    前記第2の略直線領域S2から第3の変曲点P3を介して湾曲する第3の曲線領域E3を有することを特徴とする請求項1〜6の何れか一項に記載の歯ブラシ。
  8. 前記第3の変曲点P3が、前記第1の変曲点P1よりも前記ハンドル部側に位置することを特徴とする請求項7に記載の歯ブラシ。
  9. 前記第3の曲線領域E3の曲率半径R3が、前記第1の曲線領域E1の曲率半径R1よりも大きいことを特徴とする請求項7又は8に記載の歯ブラシ。
  10. 前記第3の曲線領域E3は、前記ブラシ本体の植毛面側に曲率中心を有することを特徴とする請求項7〜9の何れか一項に記載の歯ブラシ。
  11. 前記ブラシ本体を側面視したときに、前記植毛面の延長ラインが前記ハンドル部の全長に亘って前記ブラシ本体と重なる位置にあることを特徴とする請求項1〜10の何れか一項に記載の歯ブラシ。
  12. 前記ブラシ本体を構成する樹脂の曲げ弾性率が、1000MPa以上、2800MPa以下であることを特徴とする請求項1〜11の何れか一項に記載の歯ブラシ。
  13. 前記ブラシ本体を構成する樹脂が、ポリプロピレン樹脂であることを特徴とする請求項1〜12の何れか一項に記載の歯ブラシ。
  14. 前記ハンドル部の表面を被覆する被覆材を有し、
    前記被覆材は、前記ブラシ本体を構成する樹脂よりも軟質の樹脂からなることを特徴とする請求項1〜13の何れか一項に記載の歯ブラシ。
  15. 前記被覆材がエラストマー樹脂又はシリコーン樹脂からなることを特徴とする請求項14に記載の歯ブラシ。
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