JP2013034718A - 歯ブラシ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明の歯ブラシは、植毛面に複数の植毛穴12aが形成されたヘッド部10と、ヘッド部10の基端側から延設されたネック部20と、ネック部20の基端側から延設されたハンドル部とを備え、用毛の毛束が植毛穴12aに植毛され、ヘッド部10の裏面13には、その基端から先端側に向かって延びる補強凸条40が、植毛穴12aに重ならない位置に複数設けられている。
【選択図】図3
Description
そこで、特許文献2では、ヘッド部の植毛面の基端側に凸部を設けて、ヘッド部を補強すると共にネック部の直径を確保することが提案されている。しかし、植毛面に凸部が設けられていると、凸部が障害物になって、低コストな、平線を用いた植毛法(以下、「平線式植毛法」という。)を適用することが困難になった。
また、特許文献3では、ヘッド部の裏面の基端側に凸部を1つ設けて、ヘッド部を補強すると共にネック部の直径を確保することが提案されている。しかし、特許文献3に記載の歯ブラシでは、射出成形後に収縮してヘッド部の凸部の形状が設計通りの寸法にならないことがあった。
[1]植毛面に複数の植毛穴が形成されたヘッド部と、該ヘッド部の基端側から延設されたネック部と、該ネック部の基端側から延設されたハンドル部とを備え、用毛の毛束が前記植毛穴に植毛された歯ブラシであって、前記ヘッド部の裏面には、その基端から先端側に向かって延びる補強凸条が、前記植毛穴に重ならない位置に複数設けられていることを特徴とする歯ブラシ。
[2]ヘッド部の厚さが3mm以下である、[1]に記載の歯ブラシ。
[3]前記補強凸条は、植毛領域の、基端側から先端側に向かう60%以下の領域に配置されている、[1]または[2]に記載の歯ブラシ。
[4]前記補強凸条は、ヘッド部の短手方向に沿って切断した際の断面形状が略半楕円形である、[1]〜[3]のいずれか1項に記載の歯ブラシ。
図1〜5に、本実施形態の歯ブラシを示す。本実施形態の歯ブラシ1は、毛束11が植毛されたヘッド部10と、ヘッド部10の基端側から延設されたネック部20と、ネック部20の基端側から延設されたハンドル部30(以下、ヘッド部10とネック部20とハンドル部30とを合わせてハンドル体という。)とを備える。
ハンドル体の材質としては、ポリプロピレン樹脂(PP)、ポリアセタール樹脂(POM)、ポリスチレン樹脂(PS)、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)、ポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT)、アクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂(ABS)、ポレアリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリロニトリルスチレン樹脂(AS)などが挙げられる。これらの中でも、強度が高く、ヘッド部を薄肉化しやすい点では、ポリアセタール樹脂が好ましい。
上記の樹脂は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、ハンドル体は、把持性を向上させるため、例えばエラストマーなどの柔軟な樹脂が部分的又は全体に被覆されていてもよい。
図3に示すように、ヘッド部10の裏面13(植毛面12と反対側の面)には、その基端側から先端側に向かって延びる補強凸条40が設けられている。
本実施形態における補強凸条40は、4本の凸条であり、それらはいずれも植毛穴12aに重ならない位置に配置されている。また、4本の補強凸条40は互いに平行に等間隔で設けられ、そのうち外側の2つはヘッド部10の側縁に沿うように配置されている。
また、図4に示すように、本実施形態における補強凸条40は、各々、ヘッド部10の短手方向に沿って切断した際の断面形状が略半楕円形となっている。また、補強凸条40は、ヘッド部10の先端側に向かうにつれて低くなるような形状にされている。
補強凸条40の高さは0.1〜1.0mmであることが好ましく、0.3〜0.8mmであることがより好ましい。補強凸条40の高さが前記下限値以上であれば、充分にヘッド部10を補強でき、前記上限値以下であれば、口腔内での為害性をより低下させることができる。
また、用毛は、芯部と該芯部の外側に設けられた少なくとも1層以上の鞘部とを有する多重芯構造であってもよい。
毛束11を構成する用毛は、全てが同じ太さであってもよいし、2種以上の異なる太さの用毛が組み合わされてもよい。
平線は、植毛穴12aの中心部を通り、且つ、植毛穴12aを跨ぐように植毛穴12aに打設されている。平線の材質としては、例えば、真鍮やステンレスなどの金属を挙げることができ、その他にも硬質プラスチックや生分解性プラスチックなどを挙げることができる。
平線の長さや幅、厚みは、毛束11や植毛穴12aに合わせて任意に調整すればよいが、通常、平線の長さは植毛穴12aの直径よりも大きく、平線の幅は植毛穴12aの深さよりも小さくされる。また、平線の厚みを調節することによって、毛束11を植毛穴12a内に確実に固定して空隙を少なくすることができる。また、平線は、植毛穴12aからの抜けを防ぐため、植毛穴12aの両側からはみ出した部分の長さの合計が0.3〜0.6mmであることが好ましい。
植毛穴12aの開口面積は1.6mm2以下であることが好ましく、1.4mm2以下であることがより好ましい。植毛穴12aの開口面積が1.6mm2以下であれば、毛束11が細くなるため、撓み性が向上して使用感がより良好になる。
また、植毛穴12aの直径は生産可能な最小径以上であることが好ましく、毛束11の過度な撓みや疎毛感を抑制する点では、1.0mm以上であることがより好ましい。
また、歯ブラシ1においては、補強凸条40がヘッド部10の裏面13に設けられ、植毛面12に設けられていないから、平線式植毛法による製造適性が高い。
また、植毛穴12aの裏側には、成形後に収縮して肉厚が薄くなる「ヒケ」と呼ばれる現象が生じやすいが、補強凸条40は植毛穴12aに重ならないようにヘッド部10に設けられているため、補強凸条40についてはヒケの影響を受けにくい。そのため、ヘッド部10の寸法を設計通りにしやすい。
また、本実施形態の歯ブラシ1では、補強凸条40の、ヘッド部10の短手方向に沿って切断した際の断面形状が略半楕円形であるため、口腔内での為害性が低く、より良好な使用感が得られる。
また、補強凸条は、ヘッド部の短手方向に沿って切断した際の断面形状が略半楕円形でなくてもよく、略半円形状、三角形状、四角形状等であってもよい。
ヘッド部(厚さ2.5mm)の裏面に補強凸条が設けられ、ヘッド部にネック部(太さ3.5mm)が延設された歯ブラシを作製した。本例の補強凸条は、植毛穴に重ならないように設けた4本の凸条であり、そのうち外側の2本がヘッド部の側縁に沿って設けられたものとした。また、補強凸条を、植毛領域の、基端側から先端側に向かう40%の領域に配置させた。
補強凸条を、ヘッド部の側縁に沿って、植毛穴に重ならないように設けた2本の凸条としたこと以外は実施例1と同様にして歯ブラシを作製した。
補強凸条を、ヘッド部の幅方向の中央付近に、植毛穴に重ならないように設けた2本の凸条としたこと以外は実施例1と同様にして歯ブラシを作製した。
補強凸条を、植毛領域の90%の領域に配置したこと以外は実施例3と同様にして歯ブラシを作製した。
補強凸条を、植毛穴に重なる1本の凸条としたこと以外は実施例1と同様にして歯ブラシを作製した。
補強凸条を設けずにヘッド部の厚みが2.5mm、ネック部の太さが3.5mmの歯ブラシを作製した。
補強凸条を、ヘッド部の幅方向の中央付近に、植毛穴に重なるように設けた2本の補強凸条としたこと以外は実施例3と同様にして歯ブラシを作製した。
10人のテスターが各例の歯ブラシを使用して、歯ブラシの口腔内での操作性を官能評価にて評価した。評価は1点〜7点の7段階とし、点数が高い程、良好な操作性とした。そして、10人のテスターの点数を平均することにより、各歯ブラシについての点数をそれぞれ算出し、以下の基準で評価した。
◎:5.5点以上
○:4.5点以上〜5.5点未満
△:4.0点以上〜4.5点未満
×:4.0点未満
各例の歯ブラシの毛束を切断し、ヘッド部の植毛面を平滑にしたサンプルを用意した。このサンプルのヘッド部基端をクランプで把持して、サンプルをデジタル衝撃試験機(DG−1型、株式会社東洋精機製作所製)に固定し、植毛面を0.5Jで加重し、ヘッド部が破断したときの吸収エネルギー(J)を測定(n=10)した。そして、以下の基準でヘッド部強度を評価した。
◎:0.3J以上
○:0.2J以上0.3J未満
△:0.1J以上0.2J未満
×:0.1J未満
各例のサンプルのハンドル部基端をクランプで把持して固定し、植毛面側から100Nで加重し、ネック部が破断したときの破断強度(N)を測定(n=10)した。そして、以下の基準でヘッド部強度を評価した。
◎:100N以上
○:70N以上100N未満
△:40N以上70N未満
×:40N未満
射出成形機から取り出した直後のハンドル体の寸法L0を計測し、成形後1日経過した後のハンドル体の寸法L1を計測し、[(L0−L1)/L0]×100(%)の式より収縮率を求め、以下の基準で成形収縮防止性を評価した。
◎:0〜0.5%未満
○:0.5%以上1.0%未満
△:1.0%以上1.5%未満
×:1.5%以上
ナイロンからなる刷毛(用毛:8mil、長さ:9.0mm、平切り)の毛束を二つ折りにし、その折り返し部分に平線(幅:1.3mm、長さ:2.1mm、厚さ:0.25mm)を挟み、ヘッド部に形成した植毛穴に挿入して毛束を植毛した。その際のヘッド部のワレ発生率を測定し、以下の基準で生産性を評価した。
◎:ワレが発生しない(ワレ発生率10ppm未満)
○:ワレがほぼ発生しない(ワレ発生率10ppm以上50ppm未満)
△:ワレがやや発生する(ワレ発生率50ppm以上100ppm未満)
×:ワレが発生(ワレ発生率100ppm以上)
上記の各評価より判定される総合評価は以下の通りである。
◎:◎が2つ以上で他は○
○:◎が1つ以下で他は○
△:×がなく、いずれか1つが△
×:いずれか1つが×
これに対し、植毛穴に重なっている1本の補強凸条がヘッド部の裏面に設けられた比較例1の歯ブラシでは、成形収縮防止性および生産性が低かった。
ヘッド部に補強凸条が設けられていない比較例2の歯ブラシでは、ヘッド部およびネック部の強度が不充分であり、また、生産性も低かった。
補強凸条が、植毛穴に重なっている比較例3の歯ブラシでは、成形収縮防止性および生産性が低かった。
10 ヘッド部
11 毛束
12 植毛面
12a 植毛穴
12b 植毛領域
20 ネック部
30 ハンドル部
40 補強凸条
41 凸部
Claims (4)
- 植毛面に複数の植毛穴が形成されたヘッド部と、該ヘッド部の基端側から延設されたネック部と、該ネック部の基端側から延設されたハンドル部とを備え、用毛の毛束が前記植毛穴に植毛された歯ブラシであって、
前記ヘッド部の裏面には、その基端側から先端側に向かって延びる補強凸条が、前記植毛穴に重ならない位置に複数設けられていることを特徴とする歯ブラシ。 - ヘッド部の厚さが3mm以下である、請求項1に記載の歯ブラシ。
- 前記補強凸条は、植毛領域の、基端側から先端側に向かう60%以下の領域に配置されている、請求項1または2に記載の歯ブラシ。
- 前記補強凸条は、ヘッド部の短手方向に沿って切断した際の断面形状が略半楕円形である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の歯ブラシ。
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