JP2020055337A - タイヤ - Google Patents

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Abstract

【課題】ビード部の構造を簡略化した場合でも、十分な操縦安定性を確保し得るタイヤを提供する。【解決手段】空気入りタイヤのビード部60は、タイヤ幅方向内側に設けられる内側ビードコア210と、タイヤ幅方向外側に設けられる外側ビードコア220と、内側ビードコア210または外側ビードコア220の少なくとも一方のタイヤ径方向外側において、カーカス40に沿ってカーカスのタイヤ幅方向外側に設けられるビードフィラーシート400とを有する。カーカス40は、内側ビードコア210と外側ビードコア220との間に介在する。【選択図】図2

Description

本発明は、ビード部の構造を簡略化したタイヤに関する。
環境保護の要求が高まるに連れて、タイヤについても、さらなる軽量化が求められている。タイヤの軽量化手法の一つとして、ビードフィラー(スティフナーとも呼ばれる)を省略した構造が知られている(特許文献1参照)。
特開2008−149778号公報
しかしながら、ビードフィラーを省略すると、次のような問題がある。具体的には、車両が高速で走行レーンを変更(レーンチェンジ)すると、特に、リムフランジ付近のビード部の倒れ込みが大きくなる。
この結果、ステアリング操作に対する車両の追従性の遅れ、車両のロール増大、及びレーン変更後の揺り戻しが生じ、操縦安定性を損ねる。
そこで、本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、ビード部の構造を簡略化した場合でも、十分な操縦安定性を確保し得るタイヤの提供を目的とする。
本発明の一態様は、路面に接するトレッド部(トレッド部20)と、前記トレッド部に連なり、前記トレッド部のタイヤ径方向内側に位置するタイヤサイド部(タイヤサイド部30)と、前記タイヤサイド部に連なり、前記タイヤサイド部のタイヤ径方向内側に位置するビード部(ビード部60)と、前記タイヤの骨格を形成するカーカス(カーカス40)とを含むタイヤ(空気入りタイヤ10)であって、前記ビード部は、タイヤ幅方向内側に設けられる内側ビードコア(内側ビードコア210)と、タイヤ幅方向外側に設けられる外側ビードコア(外側ビードコア220)と、前記内側ビードコアまたは前記外側ビードコアの少なくとも一方のタイヤ径方向外側において、前記カーカスに沿って前記カーカスのタイヤ幅方向外側に設けられるビードフィラーシート(ビードフィラーシート400)とを有し、前記カーカスは、前記内側ビードコアと前記外側ビードコアとの間に介在する。
上述したタイヤによれば、ビード部の構造を簡略化した場合でも、十分な操縦安定性を確保し得る。
図1は、空気入りタイヤ10のタイヤ幅方向及びタイヤ径方向に沿った断面図である。 図2は、リムホイール100及びビード部60の拡大断面図である。 図3は、ビードフィラーレスタイヤの操縦安定性の評価試験結果を示すグラフである。 図4は、本発明の他の実施形態に係るリムホイール及びビード部の拡大断面図である。 図5は、本発明の他の実施形態に係るリムホイール及びビード部の拡大断面図である。 図6は、本発明の他の実施形態に係る空気入りタイヤのタイヤ幅方向及びタイヤ径方向に沿った断面図である。 図7は、本発明の他の実施形態に係るリムホイール及びビード部の拡大断面図である。 図8は、本発明の他の実施形態に係る空気入りタイヤのタイヤ幅方向及びタイヤ径方向に沿った断面図である。
以下、実施形態を図面に基づいて説明する。なお、同一の機能や構成には、同一または類似の符号を付して、その説明を適宜省略する。
(1)タイヤの全体概略構成
図1は、本実施形態に係る空気入りタイヤ10の一部断面図である。具体的には、図1は、空気入りタイヤ10のタイヤ幅方向及びタイヤ径方向に沿った断面図である。なお、図1は、タイヤ赤道線CLを基準とした一方側のみを示す。また、図1では、断面ハッチングの図示は省略されている(以下同)。
図1に示すように、空気入りタイヤ10は、トレッド部20、タイヤサイド部30、カーカス40、ベルト層50及びビード部60を備える。
トレッド部20は、路面(不図示)に接する部分である。トレッド部20には、空気入りタイヤ10の使用環境や装着される車両の種別に応じたパターン(不図示)が形成される。
タイヤサイド部30は、トレッド部20に連なり、トレッド部20のタイヤ径方向内側に位置する。タイヤサイド部30は、トレッド部20のタイヤ幅方向外側端からビード部60の上端までの領域である。タイヤサイド部30は、サイドウォールなどと呼ばれることもある。
カーカス40は、空気入りタイヤ10の骨格を形成する。カーカス40は、タイヤ径方向に沿って放射状に配置されたカーカスコード(不図示)を有するラジアル構造である。但し、ラジアル構造に限定されず、カーカスコードがタイヤ径方向に交錯するように配置されたバイアス構造でも構わない。
ベルト層50は、トレッド部20のタイヤ径方向内側に設けられる。ベルト層50は、コードが交錯する一対の交錯ベルトと、交錯ベルトのタイヤ径方向外側に設けられる補強ベルトとを含む。補強ベルトは、キャップ&レイヤーなどとも呼ばれることもある。なお、ベルト層50は、キャップ&レイヤーとは異なる形状の補強ベルトを含んでもよい。
ビード部60は、タイヤサイド部30に連なり、タイヤサイド部30のタイヤ径方向内側に位置する。ビード部60は、円環状であり、ビード部60には、カーカス40が入り込んでいる。
このように、空気入りタイヤ10は、概ね一般的な乗用自動車(ミニバン、SUV(Sport Utility Vehicle)を含む)に装着されるタイヤと同様の構造を有する。詳細については後述するが、空気入りタイヤ10では、ビード部60にビードフィラーが設けられていない。ビードフィラーは、スティフナーとも呼ばれ、他の部分のゴムよりも硬質なゴムなどの部材で形成される。ビードフィラーは、一般的に、ビード部60の剛性を向上させる目的で設けられる。
空気入りタイヤ10は、上述したように、乗用自動車向けであり、特に、以下の仕様を満たすことが好ましい。
・タイヤ幅: 135mm以上、195mm以下
・リム径: 12インチ以上、15インチ以下
・偏平率: 65%以上、80以%下
・ロードインデックス: 91以下
・エアボリューム: 30〜65リットル
より具体的には、空気入りタイヤ10は、表1に示すようなタイヤサイズであることが好ましい。但し、当該サイズに限定されず、上述した仕様を満たすのであれば、他のタイヤサイズであっても構わない。
Figure 2020055337
空気入りタイヤ10は、リムホイール100に組み付けられる。具体的には、ビード部60は、リムホイール100の径方向外側端に形成されるリムフランジ110(図1において不図示、図2参照)に係止される。
なお、空気入りタイヤ10は、リムホイール100に組み付けられることによって形成された内部空間に空気が充填されるタイヤであるが、当該内部空間に充填される気体は、空気に限らず、窒素ガスなどの不活性ガスでもよい。
(2)ビード部60の構成
次に、ビード部60の具体的構成について説明する。図2は、リムホイール100及びビード部60の拡大断面図である。具体的には、図2は、リムホイール100及びビード部60のタイヤ幅方向及びタイヤ径方向に沿った断面図である。
図2に示すように、ビード部60は、ビードコア205と、ビードフィラーシート400とを有する。
ビードコア205は、タイヤ周方向に延びる円環(リング)状の部材であり、金属(スチール)のコードによって形成される。
ビード部60、具体的には、ビードコア205は、タイヤ幅方向内側に設けられる内側ビードコア210と、タイヤ幅方向外側に設けられる外側ビードコア220によって構成される。
内側ビードコア210は、カーカス40よりもタイヤ幅方向内側に設けられ、外側ビードコア220は、カーカス40よりもタイヤ幅方向外側に設けられる。
内側ビードコア210は、複数のコードが撚られ、断面形状が円形である2つのリング状部材によって構成される。当該2つのリング状部材は、タイヤ径方向に沿って設けられる。
同様に、外側ビードコア220も複数のコードが撚られ、断面形状が円形である2つのリング状部材によって構成される。当該2つのリング状部材も、タイヤ径方向に沿って設けられる。
カーカス40は、内側ビードコア210と外側ビードコア220との間に介在する。本実施形態では、カーカス40のタイヤ径方向内側端40aは、内側ビードコア210のタイヤ径方向内側端210a、及び外側ビードコア220のタイヤ径方向内側端220aまで延びる。
内側ビードコア210と外側ビードコア220とは、このようにタイヤ径方向内側端210a及びタイヤ径方向内側端220aまで延びるカーカス40を挟み込んでいる。具体的には、内側ビードコア210は、カーカス40のタイヤ幅方向外側面と接触し、外側ビードコア220は、カーカス40のタイヤ幅方向内側面と接触する。
ビードフィラーシート400は、ビードコア205のタイヤ径方向外側において、カーカス40に沿ってカーカス40のタイヤ幅方向外側に設けられる。
なお、ビードフィラーシート400のタイヤ径方向外側端401は、タイヤ径方向において、タイヤ幅方向に沿った幅が最大となる空気入りタイヤ10の最大幅位置Wmax(図1参照)よりタイヤ径方向内側に位置すればよい。また、ビードフィラーシート400のタイヤ径方向内側端403は、タイヤ径方向において、ビードコア205のタイヤ径方向内側かつタイヤ幅方向外側の端部よりもタイヤ径方向外側に位置すればよい。
すなわち、ビードフィラーシート400は、タイヤ径方向において、ビードコア205の端部と、空気入りタイヤ10の最大幅位置Wmaxとの間に設けられることが好ましい。
本実施形態では、ビードフィラーシート400は、タイヤ径方向において、リムフランジ110と対向する位置と、タイヤ幅方向に沿った幅が最大となる最大幅位置Wmax(図1参照)との間に設けられる。
タイヤ径方向及びタイヤ幅方向に沿った断面において、トレッド部20におけるタイヤ赤道線CL上の位置を点A(図1参照)とし、タイヤ径方向において、点Aから、ビード部60のタイヤ径方向内側端60aまでの長さをT(図1参照)とした場合、タイヤ径方向におけるビードフィラーシート400の長さ、すなわち、ビードフィラーシート400のタイヤ径方向外側端401からタイヤ径方向内側端403までのビードフィラーシート400に沿った長さは、0.1T以上、0.5T以下であることが好ましい。
タイヤ径方向及びタイヤ幅方向に沿った断面において、ビードフィラーシート400の厚さは0.2mm以上、2.5mm以下であることが好ましい。また、ビードフィラーシート400は、50%モジュラス(M50)が3MPa以上、15MPa以下であることが好ましい。
リムライン65は、ビード部60がリムホイール100に正しく装着されているかを確認するために、タイヤ周方向に沿って形成される凸部である。本実施形態では、リムライン65は、リムフランジ110のタイヤ径方向外側端よりも6mm程度、タイヤ径方向外側に設けられている。
(3)作用・効果
次に、空気入りタイヤ10の作用及び効果について説明する。具体的には、空気入りタイヤ10のようにビード部60にビードフィラーが設けられていないタイヤ(ビードフィラーレスタイヤ)の操縦安定性について説明した上で、本実施形態に係る空気入りタイヤ10の作用及び効果について説明する。
(3.1)ビードフィラーレスタイヤの操縦安定性
図3は、ビードフィラーレスタイヤの操縦安定性の評価試験結果を示すグラフである。具体的には、図3は、ビードフィラーが設けられている一般的な空気入りタイヤ(従来例)、及びビードフィラーレスタイヤ(比較例)の評価試験結果を示す。
なお、図3に示すビードフィラーレスタイヤ(比較例)は、上述した本実施形態に係る空気入りタイヤ10とは異なり、ビードフィラーが設けられていない点を除き、従来例に係る空気入りタイヤタイヤと同様の構成である。
評価試験の条件などは、以下のとおりである。
・装着車両: 前輪駆動方式のミニバン
・積載条件: 車両総重量相当(定員乗車、最大積載量の荷物)
・試験方法: シングルレーンチェンジ(シビア)
シングルレーンチェンジ(シビア)とは、以下の条件を満たす。
・進入速度: 100km/h
・横G: 0.5〜0.6
・車線変更数: 1車線
・車線変更時間: 2秒
図3では、従来例及び比較例のそれぞれについて、車両のステアリングホイールの操舵角と、車両に発生したヨー角とが示されている。
まず、レーンチェンジ前半のヨー角に注目すると、比較例では、従来例よりもヨー角の立ち上がりが遅れている(図中の(1))。なお、従来例及び比較例において同様の操舵角が与えられている。
次に、レーンチェンジが進行し、車両が一定のヨー角に到達すると、ドライバーは、ステアリングホイールを戻す動作に入る(図中の(2))。ここで、比較例では、当該ステアリングホイールの操作、つまり、操舵角に対する車両の回頭性が遅れるため、当該操舵角での保持時間が長くなっている。すなわち、比較例では、車両が一定のヨー角に到達するまで、従来例よりも長い距離(時間)を要する。
レーンチェンジの後半では、変更後のレーンに留まるために、レーンチェンジ方向と逆方向への操舵(カウンターステア)角が与えられているが、比較例では、上述したように、車両が一定のヨー角に到達するまで、従来例よりも長い距離(時間)を要するため、カウンターステアの角度も大きくなっている(図中の(3))。この結果、比較例では、車両のロール量が大きくなり、車両の揺り戻しも大きくなる。
図3に示す試験結果を考慮すると、ビードフィラーを省略することによってタイヤの軽量化を図る場合、操縦安定性を維持するためには、レーンチェンジ前半での車両の回頭性を向上させることが重要である。そして、シミュレーションも含めて検討した結果、特に、リムフランジ110付近のビード部60の倒れ込み(剖出)を抑制することによって、操縦安定性を維持し得ることが判明した。
(3.2)空気入りタイヤ10の作用・効果
上述した実施形態によれば、以下の作用効果が得られる。具体的には、空気入りタイヤ10では、ビード部60のビードコア205は、内側ビードコア210と外側ビードコア220とによって構成される。また、カーカス40は、内側ビードコア210と外側ビードコア220との間に介在する。つまり、カーカス40は、一般的なタイヤのようにビードコア205を介して折り返されておらず、ビード部60にはビードフィラーも設けられていない。このため、ビード部60のゲージを薄くし得る。
また、空気入りタイヤ10では、ビードフィラーシート400が、カーカス40に沿ってカーカス40のタイヤ幅方向外側に設けられる。このため、ビードフィラーシート400がビード部60に負荷される荷重を支え、ビード部60の倒れ込みを抑制し得る。つまり、空気入りタイヤ10が装着された車両の操縦安定性を確保し得る。
すなわち、空気入りタイヤ10によれば、ビード部60の構造を簡略化した場合でも、十分な操縦安定性を確保し得る。
さらに、ビードコア205を介してカーカス40を折り返す必要がないため、製造工程が簡略化できるとともに、折り返した部分にエア溜まりが形成されることも回避し得る。また、カーカス(カーカスライン)の設計上の自由度を向上し得る。
本実施形態では、カーカス40のタイヤ径方向内側端40aは、内側ビードコア210のタイヤ径方向内側端210aまたは外側ビードコア220のタイヤ径方向内側端220aで延びる。特に、内側ビードコア210と外側ビードコア220とは、カーカス40を挟み込んでいる。
このため、カーカス40を内側ビードコア210と外側ビードコア220との間に確実に介在させることができ、ビード部60の剛性を向上し得る。これにより、車両の操縦安定性のさらなる向上に寄与し得る。
本実施形態では、ビードフィラーシート400は、タイヤ径方向において、リムフランジ110と対向する位置と、タイヤ幅方向に沿った幅が最大となる最大幅位置Wmax(図1参照)との間に設けられる。このため、ビードフィラーシート400がビード部60に負荷される荷重を確実に支え、ビード部60の倒れ込みをさらに効果的に抑制し得る。
(4)その他の実施形態
以上、実施例に沿って本発明の内容を説明したが、本発明はこれらの記載に限定されるものではなく、種々の変形及び改良が可能であることは、当業者には自明である。
例えば、上述した空気入りタイヤ10は、次のように変更してもよい。図4は、変更例に係る空気入りタイヤ10Aのビード部60の拡大断面図である。
図4に示すように、空気入りタイヤ10Aでは、内側ビードコア210と外側ビードコア220Aとによって、ビードコア205Aが構成される。外側ビードコア220Aは、3つのリング状部材によって構成される。
つまり、ビードコア205Aのように、内側ビードコアと外側ビードコアとは、必ずしも同一形状(対称形状)でなくてもよい。具体的には、内側ビードコアを構成するリング状部材の数と、外側ビードコアを構成するリング状部材の数とは異なっていてもよい。また、内側ビードコア及び外側ビードコアを構成するリング状部材の数は、図示した数に限定されない。
図5は、他の変更例に係る空気入りタイヤ10Bのビード部60の拡大断面図である。図5に示すように、空気入りタイヤ10Bは、内側ビードコア210と、外側ビードコア220Bとによって、ビードコア205Bが構成される。外側ビードコア220Bは、内側ビードコア210よりもタイヤ径方向外側に設けられる。
つまり、ビードコア205Bのように、内側ビードコアと外側ビードコアとは、タイヤ径方向において必ずしも同じ位置に設けられていなくてもよい。空気入りタイヤ10Bでは、カーカス40のタイヤ径方向内側端40aは、外側ビードコア220Bよりもタイヤ径方向内側に位置する。
また、カーカス40のタイヤ径方向内側端40aは、内側ビードコア及び外側ビードコアのタイヤ径方向内側端よりも、タイヤ径方向内側に位置してもよいし、内側ビードコアまたは外側ビードコアの何れか一方のタイヤ径方向内側端よりもタイヤ径方向内側に位置してもよい。或いは、カーカス40のタイヤ径方向内側端40aは、内側ビードコアまたは外側ビードコアの少なくとも何れ一方のタイヤ径方向内側端よりもタイヤ径方向外側に位置してもよい。
また、ビードフィラーシート400は、内側ビードコアまたは外側ビードコアの少なくとも一方のタイヤ径方向外側において、カーカス40に沿ってカーカスのタイヤ幅方向外側に設けられていればよい。つまり、ビードフィラーシート400は、タイヤ径方向において、何れかのビードコアと重複して設けられても構わない。
また、図2に示すように、ビード部60は、リムフランジ110と接触する外側表面部61を有し、外側表面部61の曲率半径Rは、30mm以上、300mm以下であってもよい。なお、曲率半径Rは、50mm以上、200mm以下であることがより好ましい。
曲率半径Rとは、タイヤ幅方向及びタイヤ径方向に沿ったビード部60の断面において、ビード部60よりもタイヤ幅方向外側に位置する中心を基準として外側表面部61の位置を通過する円弧の半径である。曲率半径Rは、外側表面部61のタイヤ径方向外側端61aの位置を基準とする。つまり、リムフランジ110と接触するビード部60のタイヤ外側表面のうち、最もタイヤ径方向外側の位置を意味する。また、曲率半径Rは、リムホイール100に組み付けられておらず、荷重が負荷されていない空気入りタイヤ10の形状を基準とする。
タイヤ径方向外側端61aの位置におけるゴムゲージ、具体的には、タイヤ径方向外側端61aから折り返し部42のタイヤ幅方向外側端(ビードフィラーシート400を含む)までの厚さは、3.5mm以上、9.5mmであることが好ましい。
なお、外側表面部61が複数の曲率半径を有する場合、つまり、外側表面部61が、曲率が異なる複数の部分によって構成されている場合、曲率半径Rは、それぞれの曲率を有する部分の長さに応じた当該複数の曲率半径の平均として表現できる。
また、図6に示すように、空気入りタイヤ10Xにおいて、点Aは、トレッド部20におけるタイヤ赤道線CL上の位置である。点Bは、タイヤ最大幅位置である。タイヤ最大幅位置とは、タイヤ幅方向に沿った幅が最大となる空気入りタイヤ10の最大幅位置である。L1は、点Aを通るタイヤ幅方向と平行な仮想直線である。L2は、点Bを通るタイヤ幅方向と平行な仮想直線である。L3は、仮想直線L1と仮想直線をL2との中間を通るタイヤ幅方向と平行な仮想直線である。点Cは、仮想直線L3とカーカス40との交点である。詳しくは、点Cは、タイヤ径方向外側のカーカス40上に位置する。L4は、点Cを通るタイヤ径方向と平行な仮想直線である。L5は、点Cにおいてカーカス40に接する仮想直線である。本実施形態において、仮想直線L4と仮想直線L5とのなす角度θ1は、30度〜70度である。但し、角度θ1は、これに限定されない。角度θ1は、40〜65度であってもよい。
さらに、図7に示すように、点Dは、外側表面部61のタイヤ径方向外側端の位置である。詳しくは、点Dは、外側表面部61がリムフランジ110との接触状態から離れる、空気入りタイヤ10の外側表面上に位置する離反点である。L6は、点Dを通り、外側表面部61に直角に交わる仮想垂線である。点Eは、仮想垂線L6と折り返し部42との交点である。L7は、点Eにおいて折り返し部42に接する仮想直線である。本実施形態において、BLは、リムホイール100のリム径位置を通るタイヤ幅方向と平行な直線(ビードベースライン)である。本実施形態において、仮想直線L7と、ビードベースラインBLとのなす角度θ2は、50〜80度である。但し、角度θ2は、これに限定されない。角度θ2は、60〜78度であってもよく、65〜75度であってもよい。
また、図8に示すように、空気入りタイヤ10Yにおいて、タイヤゲージ厚などが設定されてもよい。図8に示す点Jは、ベルト層50のうち、もっともタイヤ径方向外側に設けられたベルト50cのタイヤ幅方向外側の端部である。L10は、点Jを通るタイヤ径方向と平行な仮想直線である。点Nは、仮想直線L1と仮想直線をL2との交点である。Xは、点Aから点Nまでの距離である。Yは、点Nから点Jまでの距離である。L11は、点Jを通り、タイヤ外側表面に直角に交わる仮想垂線である。点Kは、仮想垂線L11とタイヤ外側表面との交点である。点Jから点Kまでの距離Uは、2〜10mmである。但し、距離Uはこれに限定されない。距離Uは、2.5〜9mmであってもよく、3〜8mmであってもよい。また、距離Yと距離Xとの比Y/Xは、0.03〜0.25である。但し、比Y/Xはこれに限定されない。比Y/Xは、0.05〜0.20であってもよい。上記の要件を満たす空気入りタイヤ10は、ビード部60の構造を簡略化した場合でも、十分な操縦安定性を確保し得る。
上記のように、本発明の実施形態を記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
10,10A,10B,10X,10Y 空気入りタイヤ
20 トレッド部
30 タイヤサイド部
40 カーカス
40a タイヤ径方向内側端
41 本体部
42 折り返し部
50 ベルト層
50a〜c ベルト
60 ビード部
60a タイヤ径方向内側端
61 外側表面部
61a タイヤ径方向外側端
65 リムライン
100 リムホイール
110 リムフランジ
205,205A,205B ビードコア
210 内側ビードコア
210a タイヤ径方向内側端
220,220A,220B 外側ビードコア
220a タイヤ径方向内側端
400 ビードフィラーシート
401 タイヤ径方向外側端
403 タイヤ径方向内側端

Claims (4)

  1. 路面に接するトレッド部と、
    前記トレッド部に連なり、前記トレッド部のタイヤ径方向内側に位置するタイヤサイド部と、
    前記タイヤサイド部に連なり、前記タイヤサイド部のタイヤ径方向内側に位置するビード部と、
    前記タイヤの骨格を形成するカーカスと
    を含むタイヤであって、
    前記ビード部は、
    タイヤ幅方向内側に設けられる内側ビードコアと、
    タイヤ幅方向外側に設けられる外側ビードコアと、
    前記内側ビードコアまたは前記外側ビードコアの少なくとも一方のタイヤ径方向外側において、前記カーカスに沿って前記カーカスのタイヤ幅方向外側に設けられるビードフィラーシートと
    を有し、
    前記カーカスは、前記内側ビードコアと前記外側ビードコアとの間に介在するタイヤ。
  2. 前記カーカスのタイヤ径方向内側端は、前記内側ビードコアまたは前記外側ビードコアのタイヤ径方向内側端まで延びる請求項1に記載のタイヤ。
  3. 前記内側ビードコアと前記外側ビードコアとは、前記カーカスを挟み込んでいる請求項1または2に記載のタイヤ。
  4. 前記ビードフィラーシートは、タイヤ径方向において、前記タイヤに組み付けられるリムホイールのリムフランジと対向する位置と、タイヤ幅方向に沿った幅が最大となる前記タイヤの最大幅位置との間に設けられる請求項1乃至3の何れか一項に記載のタイヤ。
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