<化粧シート>
以下、図1〜図6に基づいて、本発明に係る化粧シートの実施形態について説明する。なお、図1〜図6において、同一の部分又は部材は、同一の符号で示されている。
図1〜図3は、第1実施形態に係る化粧シート10Aに関する。図1は、化粧シート10Aの平面図(化粧シート10Aを第1主面S1側から観察した場合の平面図)であり、図2は、図1中の符号R1で表される領域の拡大図であり、図3は、図2のI−I線断面図である。
図4〜図6は、第2実施形態に係る化粧シート10Bに関する。図4は、化粧シート10Bの平面図(化粧シート10Bを第1主面S1側から観察した場合の平面図)であり、図5は、図4中の符号R2で表される領域の拡大図であり、図6は、図5のII−II線断面図である。
以下、化粧シート10A及び10Bの共通点については、化粧シート10A及び10Bに関する説明を合わせて行う。その際、「化粧シート10A,10B」、「光透過部6A,6B」、「第1部分61A,61B」、「第2部分62A,62B」、「第3部分63A,63B」、「第4部分64A,64B」、「第5部分65A,65B」等の表現を使用する。これらの表現は、化粧シート10Aに関しては「化粧シート10A」、「光透過部6A」、「第1部分61A」、「第2部分62A」、「第3部分63A」、「第4部分64A」、「第5部分65A」等を、化粧シート10Bに関しては「化粧シート10B」、「光透過部6B」、「第1部分61B」、「第2部分62B」、「第3部分63B」、「第4部分64B」、「第5部分65B」等を意味する。
図1〜図6に示すように、化粧シート10A,10Bは、互いに直交する長手方向X、短手方向Y及び厚さ方向Zを有する。なお、化粧シート10A,10Bを構成する層の厚さ方向は、化粧シート10A,10Bの厚さ方向Zと一致する。
図1〜図6に示すように、化粧シート10A,10Bは、第1主面S1と、第1主面S1の反対側に位置する第2主面S2とを有する。第1主面S1及び第2主面S2は、長手方向X及び短手方向Yに延在する平面である。
図1〜図6に示すように、化粧シート10A,10Bは、第1主面S1側の外部から視認可能な第1装飾層1と、第1装飾層1の第2主面S2側に設けられた着色隠蔽層2と、着色隠蔽層2の第2主面S2側に設けられた第2装飾層4と、第2装飾層4の第2主面S2側又は着色隠蔽層2と第2装飾層4との間に設けられた光拡散層5と、第1装飾層1及び着色隠蔽層2を通過して化粧シート10A,10Bの厚さ方向Zに延在する複数の光透過部6A,6Bとを備える。化粧シート10Aにおいて、光拡散層5は、第2装飾層4の第2主面S2側に設けられており、化粧シート10Bにおいて、光拡散層5は、着色隠蔽層2と第2装飾層4との間に設けられている。
図3及び図6に示すように、それぞれの光透過部6A,6Bは、第1装飾層1を通過する第1部分61A,61Bと、着色隠蔽層2を通過する第2部分62A,62Bと、第2装飾層4の一部により形成される第4部分64A,64Bと、光拡散層5の一部により形成される第5部分65A,65Bとを有する。それぞれの光透過部6A,6Bにおいて、第1部分61A,61Bの少なくとも一部と、第2部分62A,62Bの少なくとも一部と、第4部分64A,64Bの少なくとも一部と、第5部分65A,65Bの少なくとも一部とは、平面視において重なっている。これにより、光は、それぞれの光透過部6A,6Bを透過することができる。
図3及び図6に示すように、化粧シート10A,10Bは、光遮蔽層3をさらに備える。化粧シート10Aにおいて(すなわち、光拡散層5が第2装飾層4の第2主面S2側に設けられている実施形態において)、光遮蔽層3は、着色隠蔽層2と第2装飾層4との間に設けられている。化粧シート10Bにおいて(すなわち、光拡散層5が着色隠蔽層2と第2装飾層4との間に設けられている実施形態において)、光遮蔽層3は、着色隠蔽層2と光拡散層5との間に設けられている。光遮蔽層3は、必要に応じて設けられる層である。したがって、本発明には、光遮蔽層3が省略された実施形態も包含される。例えば、着色隠蔽層2が十分な光遮蔽性能を有する場合には、着色隠蔽層2が光遮蔽層3の役割を果たすことができるので、光遮蔽層3を省略することができる。
光遮蔽層3が設けられている実施形態において、それぞれの光透過部6A,6Bは、第1装飾層1、着色隠蔽層2及び光遮蔽層3を通過して化粧シート10A,10Bの厚さ方向Zに延在し、光遮蔽層3を通過する第3部分63A,63Bをさらに有する。光遮蔽層3が設けられている実施形態では、それぞれの光透過部6A,6Bにおいて、第1部分61A,61Bの少なくとも一部と、第2部分62A,62Bの少なくとも一部と、第3部分63A,63Bの少なくとも一部と、第4部分64A,64Bの少なくとも一部と、第5部分65A,65Bの少なくとも一部とが、平面視において重なっている。これにより、光は、それぞれの光透過部6A,6Bを透過することができる。
図3及び図6に示すように、第1装飾層1は、それぞれの光透過部6A,6Bが通過する部分において不連続となっており、これらの不連続部分は、第1装飾層1を構成していない。
図3及び図6に示すように、着色隠蔽層2は、それぞれの光透過部6A,6Bが通過する部分において不連続となっており、これらの不連続部分は、着色隠蔽層2を構成していない。
図3及び図6に示すように、光遮蔽層3は、それぞれの光透過部6A,6Bが通過する部分において不連続となっており、これらの不連続部分は、光遮蔽層3を構成していない。
図3及び図6に示すように、化粧シート10A,10Bは、第1主面S1を形成する第1光透過層7と、第2主面S2を形成する第2光透過層8とをさらに備える。第1光透過層7及び第2光透過層8は、必要に応じて設けられる層である。したがって、本発明には、第1光透過層7及び第2光透過層8のうち一方又は両方が省略された実施形態も包含される。
化粧シート10A,10Bは、第2主面S2に光が照射されると、第2主面S2に照射された光が、それぞれの光透過部6A,6Bを透過して第1主面S1から出射されるように構成されている。なお、第2主面S2に照射された光がそれぞれの光透過部6A,6Bを透過する際、第2主面S2に照射された光の一部(例えば、特定の波長の光)は、それぞれの光透過部6A,6Bの構成部分(例えば、それぞれの光透過部6A,6Bのうち、第2装飾層4の一部により形成される部分)により吸収され得るので、第2主面S2に照射された光の全てが第1主面S1から出射されるわけではない。
化粧シート10A,10Bにおいて、第1主面S1に光が照射されていない場合には、第1主面S1側の外部から第1装飾層1の色又は絵柄は視認可能でないが、第1主面S1に光が照射されている場合には、第1主面S1側の外部から第1装飾層1の色又は絵柄は視認可能である。第1主面S1に照射される光は、例えば、太陽光、照明光(例えば、白色光、単色光等)等である。第1主面S1に照射される光の光源は、例えば、LED(発光ダイオード)、電球、蛍光灯、面発光体(有機ELシート)等である。
化粧シート10A,10Bにおいて、第2主面S2に光が照射されていない場合には、第1主面S1側の外部から第2装飾層4の色又は絵柄は視認可能でないが、第2主面S2に光が照射されている場合には、第1主面S1側の外部から第2装飾層4の色又は絵柄は視認可能である。第1主面S1に光が照射されておらず、かつ、第2主面S2に光が照射されている場合(例えば、第1主面S1に照射される光が太陽光であり、第2主面S2に照射される光が照明光であり、化粧シート10A、10Bが夜間に使用される場合)、第2主面S2に照射された光により、第2装飾層4の色又は絵柄は視認可能となるが、第1装飾層の色又は絵柄は視認できなくなる。第2主面S2に照射される光は、例えば、照明光(例えば、白色光、単色光等)である。第2主面S2に照射される光の光源は、例えば、LED(発光ダイオード)、電球、蛍光灯、面発光体(有機ELシート)等である。
化粧シート10A,10Bの全光線透過率は、好ましくは16%以上40%以下、さらに好ましくは25%以上40%以下、さらに一層好ましくは30%以上35%以下である。化粧シート10A,10Bの全光線透過率は、第2主面S2に照射された光の総量に対する、光透過部6A,6Bを透過して第1主面S1から出射された光の総量の割合であり、第1主面S1の面積に対する、光透過部6A,6Bが有する第1部分61A,61Bの平面視形状の合計面積の割合と、光透過部6A,6Bの全光線透過率の平均値(光透過部6A,6Bの全光線透過率の合計値/光透過部6A,6Bの総数)とを掛けた値に相当する。全光線透過率は、JIS K 7361−1:1997に準拠して測定される。
化粧シート10A,10Bは、三次元成形可能であることが好ましい。これにより、化粧シート10A,10Bを三次元成形用加飾シートとして使用することができる。「三次元成形」には、湾曲、折曲等により化粧シート10A,10Bを三次元成形体(立体的形状を有する成形体)に成形することに加えて、延伸等により化粧シート10A,10Bを二次元成形体(シート形状を有する成形体)に成形することも包含される。化粧シート10A,10Bの伸び率は、通常50%以上、好ましくは100%以上、さらに好ましくは200%以上である。なお、化粧シート10A,10Bの伸び率は、次の通り測定される。予め化粧シート10Aにマス目パターンを描き込み、成形後にマス目パターンの変形量を計測する。1マス(四角形)の各辺について、伸び率(%)=((成形後の1マスの1辺の長さ−成形前の1マスの1辺の長さ)/成形前の1マスの1辺の長さ)×100に基づいて、各辺の伸び率を算出する。4辺の伸び率の平均値を化粧シート10A,10Bの伸び率とする。
化粧シート10A,10Bの厚さは、化粧シート10A,10Bに求められる特性(例えば、三次元成形性)等を考慮して適宜調整することができる。化粧シート10A,10Bの厚さは、通常100μm以上600μm以下、好ましくは120μm以上500μm以下、さらに好ましくは400μm以上500μm以下である。
[第1装飾層]
第1装飾層1は、化粧シート10A,10Bに装飾性を付与する。第1装飾層1は、光透過性を有する。第1及び第2実施形態において、第1装飾層1は、第1装飾層1の第1主面S1側に設けられた第1光透過層7を通じて、第1主面S1側の外部から視認可能となっている。第1装飾層1が、第1主面S1側の外部から視認可能である状態を維持しながら、第1及び第2実施形態に変更を加えることができる。例えば、第1装飾層1は、第1光透過層7を通じることなく、又は、第1光透過層7以外の光透過層を通じて、第1主面S1側の外部から視認可能であってもよい。
第1装飾層1は、例えば、着色層、絵柄層又はこれらの組み合わせである。
着色層は、化粧シート10A,10Bに所望の色を付与する。着色層は、例えば、着色ベタ層である。着色層の色は、通常、不透明色であるが、着色層の第2主面S2側に位置する部材又は部分の色又は模様を活かす場合には、透明色であってもよい。
絵柄層は、化粧シート10A,10Bに所望の模様を付与する。絵柄層を構成する模様としては、例えば、年輪断面の春材領域及び秋材領域、導管部等から構成される木目模様、レザー(皮シボ)模様、大理石、花崗岩、砂岩等の石材表面の石目模様、砂目模様、タイル貼模様、煉瓦積模様、布目模様、幾何学図形、文字、記号、抽象模様等が挙げられる。
第1装飾層1は、バインダー樹脂と、バインダー樹脂中に分散した着色剤とを含有する。第1装飾層1は、バインダー樹脂中に分散した着色剤により、所望の装飾性を発揮する。
第1装飾層1に含有されるバインダー樹脂は、樹脂の光透過性、樹脂の伸び率、着色剤の分散性等を考慮して適宜選択することができる。バインダー樹脂としては、例えば、塩素系樹脂、ウレタン樹脂、アクリルウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ブチラール樹脂、ポリスチレン樹脂、ニトロセルロース樹脂(硝化綿)、酢酸セルロース樹脂等が挙げられる。塩素系樹脂としては、例えば、ポリ塩化ビニル、塩素化ポリエチレン、ポリ塩化ビニリデン、エチレン−塩化ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−(メタ)アクリル共重合体等のポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ塩化プロピレン、塩素化ポリプロピレン等が挙げられる。なお、「(メタ)アクリル」は、アクリル又はメタクリルを意味する(以下同様)。バインダー樹脂は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
第1装飾層1に含有される着色剤は、第1装飾層1に求められる装飾性等を考慮して適宜選択することができる。着色剤としては、例えば、カーボンブラック、鉄黒、チタン白、アンチモン白、黄鉛、チタン黄、弁柄、カドミウム赤、群青、コバルトブルー等の無機顔料;キナクリドンレッド、イソインドリノンイエロー、フタロシアニンブルー等の有機顔料等が挙げられる。着色剤は、1種類を単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
第1装飾層1は、例えば、印刷層である。なお、第1装飾層1が印刷層である場合、印刷層の網点間の空隙は、光透過部6A,6Bを構成しない(すなわち、印刷層の網点間の空隙は、第1装飾層1の一部である)。印刷法としては、例えば、グラビア印刷法、オフセット印刷法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、静電印刷法、インクジェット印刷法等が挙げられ、これらのうちインクジェット印刷法が好ましい。絵柄層を構成する模様は、通常の黄色、赤色、青色及び黒色のプロセスカラーによる多色印刷によって形成することができる他、模様を構成する個々の色の版を用意して行う特色による多色印刷等によっても形成することができる。
第1装飾層1の形成に使用されるインキ組成物(塗工液)は、例えば、溶剤と、着色剤、バインダー樹脂等の固形分との混合物である。インキ組成物は、その他の固形分として、安定剤、可塑剤、触媒、硬化剤等を含んでもよい。溶剤は最終的に揮発するため、第1装飾層1は、主として、着色剤、バインダー樹脂等の固形分により形成される。
インキ組成物に含まれる溶剤は、着色剤の分散性、バインダー樹脂の溶解性等を考慮して適宜選択することができる。溶剤としては、例えば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の石油系有機溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸−2−メトキシエチル、酢酸−2−エトキシエチル等のエステル系有機溶剤;メチルアルコール、エチルアルコール、ノルマルプロピルアルコール、イソプロピルアルコール、イソブチルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール等のアルコール系有機溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系有機溶剤;ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル系有機溶剤;ジクロロメタン、四塩化炭素、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン等の塩素系有機溶剤;水等の無機溶剤等が挙げられる。溶剤は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
第1装飾層1の厚さは、第1装飾層1に求められる装飾性、化粧シート10A,10Bに求められる特性(例えば、三次元成形性)等を考慮して適宜調整することができる。第1装飾層1の厚さは、通常1μm以上20μm以下、好ましくは2μm以上10μm以下、さらに好ましくは2μm以上5μm以下である。
[着色隠蔽層]
着色隠蔽層2は、第1装飾層1の第2主面S2側に設けられている。着色隠蔽層2が、第1装飾層1の第2主面S2側に設けられている限り、第1装飾層1と着色隠蔽層2との間には、その他の1又は複数の層が介在していてもよいし、介在していなくてもよい。第1及び第2実施形態において、第1装飾層1と着色隠蔽層2との間には、何の層も介在していない。
着色隠蔽層2は、光遮蔽層3の第1主面S1側に設けられている。着色隠蔽層2が、光遮蔽層3の第1主面S1側に設けられている限り、着色隠蔽層2と光遮蔽層3との間には、その他の1又は複数の層が介在していてもよいし、介在していなくてもよい。第1及び第2実施形態において、着色隠蔽層2と光遮蔽層3との間には、何の層も介在していない。
平面視において、第1装飾層1の少なくとも一部は、着色隠蔽層2の少なくとも一部と重なっている。なお、第1装飾層1及び着色隠蔽層2は、それぞれの光透過部6A,6Bが通過する部分において不連続となっており、これらの不連続部分は、第1装飾層1及び着色隠蔽層2を構成していないので、第1装飾層1及び着色隠蔽層2の重なりは、これらの不連続部分以外の部分(層が連続している部分)の重なりで判断される。
平面視において、第1装飾層1の少なくとも一部が、着色隠蔽層2の少なくとも一部と重なっている実施形態において、着色隠蔽層2は、着色隠蔽層2の第2主面S2側に位置する部材又は部分の色を隠蔽し、当該部材又は部分の色が、第1主面S1側の外部から視認される第1装飾層1の色又は絵柄に悪影響を及ぼすことを防止することができる。このような着色隠蔽層2の効果は、第1装飾層1のうち、平面視において着色隠蔽層2と重なる部分の割合が大きくなるほど向上する。一方、着色隠蔽層2が、平面視において第1装飾層1と重ならない部分を有すると、着色隠蔽層2が、第1主面S1側の外部から視認される化粧シート10A,10Bの外観に悪影響を及ぼすおそれがある。したがって、平面視において、第1装飾層1の少なくとも一部が、着色隠蔽層2の全体と重なっていることが好ましい。平面視において、第1装飾層1の少なくとも一部が、着色隠蔽層2の全体と重なっている実施形態には、平面視において、第1装飾層1の一部が、着色隠蔽層2の全体と重なっている実施形態、及び、平面視において、第1装飾層1の全体が、着色隠蔽層2の全体と重なっている実施形態が包含される。第1及び第2実施形態では、平面視において、第1装飾層1の一部が、着色隠蔽層2の全体と重なっている。
平面視において、第1装飾層1の少なくとも一部が、着色隠蔽層2の全体と重なっている実施形態では、平面視において、それぞれの光透過部6A,6Bの第1部分61A,61Bが、着色隠蔽層2と重なっていない。すなわち、平面視において、第1装飾層1の少なくとも一部が、着色隠蔽層2の全体と重なっている実施形態では、平面視において、第1部分61A,61Bの全体が第2部分62A,62Bの少なくとも一部と重なるように、それぞれの光透過部6A,6Bが形成されている。これにより、着色隠蔽層2が、それぞれの光透過部6A,6Bの第1部分61A,61Bを通じて、第1主面S1側の外部から視認されることを効果的に防止することができる。平面視において、第1部分61A,61Bの全体が第2部分62A,62Bの少なくとも一部と重なっている実施形態には、平面視において、第1部分61A,61Bの全体が第2部分62A,62Bの一部と重なっている実施形態、及び、平面視において、第1部分61A,61Bの全体が第2部分62A,62Bの全体と重なっている実施形態が包含される。第1及び第2実施形態では、平面視において、第1部分61A,61Bの全体が第2部分62A,62Bの全体と重なっている。
着色隠蔽層2は、例えば、着色ベタ層である。着色ベタ層は、例えば、白色ベタ層である。第1装飾層1が暗色系の色調である場合、着色隠蔽層2として、暗色ベタ層を使用することができる。なお、「暗色」とは、その色調が低明度の有彩色又は無彩色であることを意味する。例えば、黒色、濃い灰色等の無彩色、及び、紺色、茶褐色、黄褐色、深緑色、濃紫色、臙脂色等の有彩色が暗色に該当する。また、第1装飾層1が金属調の意匠である場合、着色隠蔽層2として、シルバーベタ層又はシルバーに着色したメタリックベタ層を使用することができる。着色隠蔽層2の色は、通常、不透明色である。
着色隠蔽層2は、バインダー樹脂と、バインダー樹脂中に分散した着色剤とを含有する。着色隠蔽層2は、バインダー樹脂中に分散した着色剤により、所望の隠蔽性を発揮するととともに、第1装飾層1に色調を付与する役割を果たす。
着色隠蔽層2に含有されるバインダー樹脂は、樹脂の光透過性、樹脂の伸び率、着色剤の分散性等を考慮して適宜選択することができる。バインダー樹脂に関する説明は上記と同様であるので省略する。バインダー樹脂は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
着色隠蔽層2に含有される着色剤は、着色隠蔽層2に求められる隠蔽性等を考慮して適宜選択することができる。着色剤に関する説明は上記と同様であるので省略する。着色剤は、1種類を単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
着色隠蔽層2は、例えば、印刷層である。なお、着色隠蔽層2が印刷層である場合、印刷層の網点間の空隙は、光透過部6A,6Bを構成しない(すなわち、印刷層の網点間の空隙は、着色隠蔽層2の一部である)。印刷法に関する説明は上記と同様であるので省略する。着色隠蔽層2の形成に使用されるインキ組成物(塗工液)は、例えば、溶剤と、着色剤、バインダー樹脂等の固形分との混合物である。インキ組成物は、その他の成分として、安定剤、可塑剤、触媒、硬化剤等を含んでもよい。溶剤に関する説明は上記と同様であるので省略する。溶剤は最終的に揮発するため、着色隠蔽層2は、主として、着色剤、バインダー樹脂等の固形分により形成される。
着色隠蔽層2の厚さは、着色隠蔽層2に求められる隠蔽性、化粧シート10A,10Bに求められる特性(例えば、三次元成形性)等を考慮して適宜調整することができる。着色隠蔽層2の厚さは、通常2μm以上20μm以下、好ましくは4μm以上10μm以下、さらに好ましくは5μm以上10μm以下である。
[光遮蔽層]
光遮蔽層3は、着色隠蔽層2の第2主面S2側に設けられている。光遮蔽層3が着色隠蔽層2の第2主面S2側に設けられている限り、着色隠蔽層2と光遮蔽層3との間には、その他の1又は複数の層が介在していてもよいし、介在していなくてもよい。第1及び第2実施形態において、着色隠蔽層2と光遮蔽層3との間には、何の層も介在していない。
平面視において、光遮蔽層3の少なくとも一部は、第1装飾層1の少なくとも一部と重なっている。なお、第1装飾層1及び光遮蔽層3は、それぞれの光透過部6A,6Bが通過する部分において不連続となっており、これらの不連続部分は、第1装飾層1及び光遮蔽層3を構成していないので、第1装飾層1及び光遮蔽層3の重なりは、これらの不連続部分以外の部分(層が連続している部分)の重なりで判断される。
平面視において、光遮蔽層3の少なくとも一部が、第1装飾層1の少なくとも一部と重なっている実施形態において、光遮蔽層3は、化粧シート10A,10Bの第2主面S2に照射された光のうち光遮蔽層3に到達した光を遮断し、当該光が、第1装飾層1を透過して化粧シート10A,10Bの第1主面S1から出射されることを防止することができる。すなわち、光遮蔽層3は、化粧シート10A,10Bの第2主面S2に光が照射されている場合に第1主面S1側の外部から視認される第2装飾層4の色又は絵柄に対して、第1装飾層1の色又は絵柄が悪影響を及ぼすことを防止することができる。このような光遮蔽層3の効果は、第1装飾層1のうち、平面視において光遮蔽層3と重なる部分の割合が大きくなるほど向上する。したがって、化粧シート10A,10Bの第2主面S2に光が照射されている場合に第1主面S1側の外部から視認される第2装飾層4の色又は絵柄の品質低下を防止する観点からは、平面視において、光遮蔽層3の少なくとも一部が、第1装飾層1の全体と重なっていることが好ましい。平面視において、光遮蔽層3の少なくとも一部が、第1装飾層1の全体と重なっている実施形態には、平面視において、光遮蔽層3の一部が、第1装飾層1の全体と重なっている実施形態、及び、平面視において、光遮蔽層3の全体が、第1装飾層1の全体と重なっている実施形態が包含される。第1及び第2実施形態では、平面視において、光遮蔽層3の一部が、第1装飾層1の全体と重なっている。
平面視において、光遮蔽層3の少なくとも一部が、第1装飾層1の全体と重なっている実施形態では、平面視において、それぞれの光透過部6A,6Bの第3部分63A,63Bが、第1装飾層1と重なっていない。すなわち、平面視において、光遮蔽層3の少なくとも一部が、第1装飾層1の全体と重なっている実施形態では、平面視において、第3部分63A,63Bの全体が第1部分61A,61Bの少なくとも一部と重なるように、それぞれの光透過部6A,6Bが形成されている。これにより、化粧シート10A,10Bの第2主面S2に光が照射されている場合に第1主面S1側の外部から視認される第2装飾層4の色又は絵柄に対して、第1装飾層1の色又は絵柄が悪影響を及ぼすことを効果的に防止することができる。平面視において、第3部分63A,63Bの全体が第1部分61A,61Bの少なくとも一部と重なっている実施形態には、平面視において、第3部分63A,63Bの全体が第1部分61A,61Bの一部と重なっている実施形態、及び、平面視において、第3部分63A,63Bの全体が第1部分61A,61Bの全体と重なっている実施形態が包含される。第1及び第2実施形態では、平面視において、第3部分63A,63Bの全体が第1部分61A,61Bの一部と重なっている。
平面視において、光遮蔽層3の少なくとも一部は、着色隠蔽層2の少なくとも一部と重なっている。なお、着色隠蔽層2及び光遮蔽層3は、それぞれの光透過部6A,6Bが通過する部分において不連続となっており、これらの不連続部分は、着色隠蔽層2及び光遮蔽層3を構成していないので、着色隠蔽層2及び光遮蔽層3の重なりは、これらの不連続部分以外の部分(層が連続している部分)の重なりで判断される。
平面視において、光遮蔽層3の少なくとも一部が、着色隠蔽層2の少なくとも一部と重なっている実施形態において、光遮蔽層3は、化粧シート10A,10Bの第2主面S2に照射された光のうち光遮蔽層3に到達した光を遮断し、当該光が、着色隠蔽層2を透過して化粧シート10A,10Bの第1主面S1から出射されることを防止することができる。すなわち、光遮蔽層3は、化粧シート10A,10Bの第2主面S2に光が照射されている場合に第1主面S1側の外部から視認される第2装飾層4の色又は絵柄の品質が、着色隠蔽層2の影響を受けて低下することを防止することができる。このような光遮蔽層3の効果は、着色隠蔽層2のうち、平面視において光遮蔽層3と重なる部分の割合が大きくなるほど向上する。したがって、平面視において、光遮蔽層3の少なくとも一部が、着色隠蔽層2の全体と重なっていることが好ましい。平面視において、光遮蔽層3の少なくとも一部が、着色隠蔽層2の全体と重なっている実施形態には、平面視において、光遮蔽層3の一部が、着色隠蔽層2の全体と重なっている実施形態、及び、平面視において、光遮蔽層3の全体が、着色隠蔽層2の全体と重なっている実施形態が包含される。第1及び第2実施形態では、平面視において、光遮蔽層3の一部が、着色隠蔽層2の全体と重なっている。
平面視において、光遮蔽層3の少なくとも一部が、着色隠蔽層2の全体と重なっている実施形態では、平面視において、それぞれの光透過部6A,6Bの第3部分63A,63Bが、着色隠蔽層2と重なっていない。すなわち、平面視において、光遮蔽層3の少なくとも一部が、着色隠蔽層2の全体と重なっている実施形態では、平面視において、第3部分63A,63Bの全体が第2部分62A,62Bの少なくとも一部と重なるように、それぞれの光透過部6A,6Bが形成されている。これにより、化粧シート10A,10Bの第2主面S2に光が照射されている場合に第1主面S1側の外部から視認される第2装飾層4の色又は絵柄の品質が、着色隠蔽層2の影響を受けて低下することを効果的に防止することができる。平面視において、第3部分63A,63Bの全体が第2部分62A,62Bの少なくとも一部と重なっている実施形態には、平面視において、第3部分63A,63Bの全体が第2部分62A,62Bの一部と重なっている実施形態、及び、平面視において、第3部分63A,63Bの全体が第2部分62A,62Bの全体と重なっている実施形態が包含される。第1及び第2実施形態では、平面視において、第3部分63A,63Bの全体が第2部分62A,62Bの一部と重なっている。
光遮蔽層3は、光の透過を防止する機能を有するものであればよい。光遮蔽層3は、例えば、着色ベタ層、シルバーベタ層である。着色ベタ層は、例えば、暗色ベタ層である。暗色ベタ層は、例えば、黒色ベタ層である。光遮蔽層3の色は、通常、不透明色であり、光の透過を防止する機能を有する。なお、「暗色」とは、その色調が低明度の有彩色又は無彩色であることを意味する。例えば、黒色、濃い灰色等の無彩色、及び、紺色、茶褐色、黄褐色、深緑色、濃紫色、臙脂色等の有彩色が暗色に該当する。
光遮蔽層3は、バインダー樹脂と、バインダー樹脂中に分散した着色剤とを含有する。光遮蔽層3は、バインダー樹脂中に分散した着色剤により、所望の光隠蔽性を発揮する。
光遮蔽層3に含有されるバインダー樹脂は、樹脂の光透過性、樹脂の伸び率、着色剤の分散性等を考慮して適宜選択することができる。バインダー樹脂に関する説明は上記と同様であるので省略する。バインダー樹脂は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
光遮蔽層3に含有される着色剤は、光遮蔽層3に求められる光隠蔽性等を考慮して適宜選択することができる。着色剤に関する説明は上記と同様であるので省略する。着色剤は、1種類を単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
光遮蔽層3は、例えば、印刷層である。なお、光遮蔽層3が印刷層である場合、印刷層の網点間の空隙は、光透過部6A,6Bを構成しない(すなわち、印刷層の網点間の空隙は、光遮蔽層3の一部である)。印刷法に関する説明は上記と同様であるので省略する。光遮蔽層3の形成に使用されるインキ組成物(塗工液)は、例えば、溶剤と、着色剤、バインダー樹脂等の固形分との混合物である。インキ組成物は、その他の成分として、安定剤、可塑剤、触媒、硬化剤等を含んでもよい。溶剤に関する説明は上記と同様であるので省略する。溶剤は最終的に揮発するため、光遮蔽層3は、主として、着色剤、バインダー樹脂等の固形分により形成される。
光遮蔽層3の厚さは、光遮蔽層3に求められる光隠蔽性、化粧シート10A,10Bに求められる特性(例えば、三次元成形性)等を考慮して適宜調整することができる。光遮蔽層3の厚さは、通常2μm以上20μm以下、好ましくは5μm以上20μm以下、さらに好ましくは5μm以上15μm以下である。
[第2装飾層]
第2装飾層4は、第2主面S2に光が照射されている場合に化粧シート10A,10Bに装飾性を付与する。第2装飾層4は、光透過性を有する。
第2装飾層4は、光遮蔽層3の第2主面S2側に設けられている。第2装飾層4が光遮蔽層3の第2主面S2側に設けられている限り、第2装飾層4と光遮蔽層3との間には、その他の1又は複数の層が介在していてもよいし、介在していなくてもよい。第1及び第2実施形態において、第2装飾層4と光遮蔽層3との間には、何の層も介在していない。
第2装飾層4の一部は、それぞれの光透過部6A,6Bの一部を形成している。平面視において、それぞれの光透過部6A,6Bの第1部分61A,61B、第2部分62A,62B及び第3部分63A,63Bは、第2装飾層4の一部と重なっている。したがって、化粧シート10A,10Bの第2主面S2に照射された光は、第2装飾層4の一部(平面視において、それぞれの光透過部6A,6Bの第1部分61A,61B、第2部分62A,62B及び第3部分63A,63Bと重なっている部分)を透過して、化粧シート10A,10Bの第1主面S1から出射される。これにより、第2装飾層4の一部(平面視において、それぞれの光透過部6A,6Bの第1部分61A,61B、第2部分62A,62B及び第3部分63A,63Bと重なっている部分)は、化粧シート10A,10Bの第2主面S2に光が照射されていない場合には、第1主面S1側の外部から視認可能でないが、化粧シート10A,10Bの第2主面S2に光が照射されている場合には、それぞれの光透過部6A,6Bの第1部分61A,61B、第2部分62A,62B及び第3部分63A,63Bを通じて、第1主面S1側の外部から視認可能である。このような第2装飾層4の効果は、それぞれの光透過部6A,6Bの第1部分61A,61B、第2部分62A,62B及び第3部分63A,63Bのうち、平面視において第2装飾層4と重なる部分の割合が大きくなるほど向上する。したがって、平面視において、第2装飾層4の一部が、それぞれの光透過部6A,6Bの第1部分61A,第2部分62A及び第3部分63Aのうち、最もサイズが小さい部分(第1及び第2実施形態では第3部分63A,63B)の全体と重なっていることが好ましい。第1及び第2実施形態では、平面視において、第2装飾層4の一部が、それぞれの光透過部6A,6Bの第1部分61A,第2部分62A及び第3部分63Aのうち、最もサイズが小さい部分(第1及び第2実施形態では第3部分63A,63B)の全体と重なっている。
第1及び第2実施形態において、第2装飾層4は、連続した1つの層である。但し、第2装飾層4の一部がそれぞれの光透過部6A,6Bの一部を形成し得る限り、第2装飾層4は、不連続な部分を有する1つの層で構成されていてもよいし、不連続な複数の層で構成されていてもよい。
第2装飾層4は、例えば、着色層、絵柄層又はこれらの組み合わせである。着色層及び絵柄層に関する説明は上記と同様であるので省略する。
第2装飾層4は、バインダー樹脂と、バインダー樹脂中に分散した着色剤とを含有する。第2装飾層4は、バインダー樹脂中に分散した着色剤により、所望の装飾性を発揮する。
第2装飾層4に含有されるバインダー樹脂は、樹脂の光透過性、樹脂の伸び率、着色剤の分散性等を考慮して適宜選択することができる。バインダー樹脂に関する説明は上記と同様であるので省略する。バインダー樹脂は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
第2装飾層4に含有される着色剤は、第2装飾層4に求められる装飾性等を考慮して適宜選択することができる。着色剤に関する説明は上記と同様であるので省略する。着色剤は、1種類を単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
第2装飾層4は、例えば、印刷層である。なお、第2装飾層4が印刷層である場合、光透過部6A,6Bの一部を形成する第2装飾層4の一部に関しては、印刷層の網点間の空隙は光透過部6A,6Bを構成するが、第2装飾層4のその他の部分に関しては、印刷層の網点間の空隙は光透過部6A,6Bを構成しない。印刷法に関する説明は上記と同様であるので省略する。第2装飾層4の形成に使用されるインキ組成物(塗工液)は、例えば、溶剤と、着色剤、バインダー樹脂等の固形分との混合物である。インキ組成物は、その他の成分として、安定剤、可塑剤、触媒、硬化剤等を含んでもよい。溶剤に関する説明は上記と同様であるので省略する。溶剤は最終的に揮発するため、第2装飾層4は、主として、着色剤、バインダー樹脂等の固形分により形成される。
第2装飾層4の厚さは、第2装飾層4に求められる装飾性、化粧シート10A,10Bに求められる特性(例えば、三次元成形性)等を考慮して適宜調整することができる。第2装飾層4の厚さは、通常1μm以上20μm以下、好ましくは2μm以上10μm以下、さらに好ましくは2μm以上5μm以下である。
[光拡散層]
光拡散層5は、第2装飾層4の第2主面S2側又は着色隠蔽層2と第2装飾層4との間に設けられている。光遮蔽層3が設けられている実施形態において、光拡散層5は、光遮蔽層3と第2装飾層4との間に設けられている。第1実施形態において、光拡散層5は、第2装飾層4の第2主面S2側に設けられており、第2実施形態において、光拡散層5は、光遮蔽層3と第2装飾層4との間に設けられている。第1実施形態において、光拡散層5が第2装飾層4の第2主面S2側に設けられている限り、第2装飾層4と光拡散層5との間には、その他の1又は複数の層が介在していてもよいし、介在していなくてもよい。第2実施形態において、光拡散層5が、光遮蔽層3と第2装飾層4との間に設けられている限り、光遮蔽層3と光拡散層5との間及び第2装飾層4と光拡散層5との間には、その他の1又は複数の層が介在していてもよいし、介在していなくてもよい。
光拡散層5は、光透過性を有する。光拡散層5の全光線透過率は、通常40%以上80%以下、好ましくは50%以上80%以下、さらに好ましくは60%以上70%以下である。なお、全光線透過率は、JIS K 7361−1:1997に準拠して測定される。
光拡散層5の一部は、それぞれの光透過部6A,6Bの一部を形成している。平面視において、それぞれの光透過部6A,6Bの第1部分61A,61B、第2部分62A,62B及び第3部分63A,63Bは、光拡散層5の一部と重なっている。したがって、化粧シート10A,10Bの第2主面S2に照射された光は、それぞれの光透過部6A,6Bを透過する際、光拡散層5で拡散されて、化粧シート10A,10Bの第1主面S1から出射される。これにより、第1主面S1側の外部から第2装飾層4を視認可能な視野角を広げることができる。すなわち、第1主面S1側の外部から化粧シート10A,10Bを観察する観察者は、光拡散層5の光拡散性に応じた視野角の範囲で第2装飾層4を視認することができる。また、化粧シート10A,10Bの第1主面S1に照射された光が、それぞれの光透過部6A,6Bを透過する際、光拡散層5で拡散されることにより、光拡散層5の第2主面S2側に位置する部材又は部分の色を隠蔽し、当該部材又は部分の色が、第1主面S1側の外部から視認される第1装飾層1の色又は絵柄に悪影響を及ぼすことを防止することができる。このような光拡散層5の効果は、それぞれの光透過部6A,6Bの第1部分61A,61B、第2部分62A,62B及び第3部分63A,63Bのうち、平面視において光拡散層5と重なる部分の割合が大きくなるほど向上する。したがって、平面視において、光拡散層5の一部が、それぞれの光透過部6A,6Bの第1部分61A,61B、第2部分62A,62B及び第3部分63A,63Bのうち、最もサイズが小さい部分(第1及び第2実施形態では第3部分63A,63B)の全体と重なっていることが好ましい。第1及び第2実施形態では、平面視において、光拡散層5の一部が、それぞれの光透過部6A,6Bの第1部分61A,第2部分62A及び第3部分63Aのうち、最もサイズが小さい部分(第1及び第2実施形態では第3部分63A,63B)の全体と重なっている。
平面視において、光拡散層5の少なくとも一部は、着色隠蔽層2の少なくとも一部と重なっている。したがって、光拡散層5は、化粧シート10A,10Bの第2主面S2に照射された光を拡散し、光拡散層5によって均一化された光が、着色隠蔽層2に到達する。これにより、化粧シート10A,10Bの第2主面S2の一部に強い光が照射されても、強い光がそのまま着色隠蔽層2に到達し、着色隠蔽層2を透過し、さらには第1装飾層1を透過して、化粧シート10A,10Bの第1主面S1から出射されることを防止することができる。すなわち、光拡散層5は、化粧シート10A,10Bの第2主面S2に光が照射されている場合に第1主面S1側の外部から視認される第2装飾層4の色又は絵柄に対して、第1装飾層1の色又は絵柄が悪影響を及ぼすことを防止することができる。このような光拡散層5の効果は、着色隠蔽層2のうち、平面視において光拡散層5と重なる部分の割合が大きくなるほど向上する。したがって、化粧シート10A,10Bの第2主面S2に光が照射されている場合に第1主面S1側の外部から視認される第2装飾層4の色又は絵柄の品質低下を防止する観点からは、平面視において、光拡散層5の少なくとも一部が、着色隠蔽層2の全体と重なっていることが好ましい。平面視において、光拡散層5の少なくとも一部が、着色隠蔽層2の全体と重なっている実施形態には、平面視において、光拡散層5の一部が、着色隠蔽層2の全体と重なっている実施形態、及び、平面視において、光拡散層5の全体が、着色隠蔽層2の全体と重なっている実施形態が包含される。第1及び第2実施形態では、平面視において、光拡散層5の一部が、着色隠蔽層2の全体と重なっている。
平面視において、光拡散層5の少なくとも一部は、光遮蔽層3の少なくとも一部と重なっている。したがって、光拡散層5は、化粧シート10A,10Bの第2主面S2に照射された光を拡散し、光拡散層5によって均一化された光が、光遮蔽層3に到達する。これにより、化粧シート10A,10Bの第2主面S2の一部に強い光が照射されても、強い光がそのまま光遮蔽層3に到達し、光遮蔽層3を透過し、さらには第1装飾層1を透過して、化粧シート10A,10Bの第1主面S1から出射されることを防止することができる。すなわち、光拡散層5は、化粧シート10A,10Bの第2主面S2に光が照射されている場合に第1主面S1側の外部から視認される第2装飾層4の色又は絵柄に対して、第1装飾層1の色又は絵柄が悪影響を及ぼすことを防止することができる。このような光拡散層5の効果は、光遮蔽層3のうち、平面視において光拡散層5と重なる部分の割合が大きくなるほど向上する。したがって、化粧シート10A,10Bの第2主面S2に光が照射されている場合に第1主面S1側の外部から視認される第2装飾層4の色又は絵柄の品質低下を防止する観点からは、平面視において、光拡散層5の少なくとも一部が、光遮蔽層3の全体と重なっていることが好ましい。平面視において、光拡散層5の少なくとも一部が、光遮蔽層3の全体と重なっている実施形態には、平面視において、光拡散層5の一部が、光遮蔽層3の全体と重なっている実施形態、及び、平面視において、光拡散層5の全体が、光遮蔽層3の全体と重なっている実施形態が包含される。第1及び第2実施形態では、平面視において、光拡散層5の一部が、光遮蔽層3の全体と重なっている。
例えば、化粧シート10A,10Bの第2主面S2に照射される光の光源がLED(発光ダイオード)である場合、光拡散層5が存在しないと、光源から近い位置では光が強く、光源から遠い位置では光が弱くなる。このため、光源の点灯によって出現する第2装飾層4の意匠が不均一に見えたり、化粧シート10A,10Bの第2主面S2よりも光源側に位置する部品(例えば、取付リブ等)の影が見えたりする可能性がある。この点、光拡散層5が存在すると、光透過部6A,6Bを通過する光の光量が、光透過部6A,6Bの部分によらず均一となり、第2主面S2に光が照射された際、第1主面S1側から視認される第2装飾層4の意匠が均一化される。
光拡散層5は、バインダー樹脂と、バインダー樹脂中に分散した光拡散材とを含有する。光拡散層5は、バインダー樹脂と光拡散材との間の屈折率差を利用して、又は、光拡散材が有する反射性を利用して、光を等方的に拡散することができる。
光拡散層5に含有されるバインダー樹脂は、樹脂の光透過性、樹脂の伸び率、光拡散材の分散性等を考慮して適宜選択することができる。バインダー樹脂に関する説明は上記と同様であるので省略する。バインダー樹脂は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
光拡散層5に含有される光拡散材は、光拡散層5に求められる光拡散性等に応じて適宜選択することができる。光拡散材としては、例えば、プラスチックビーズ等の有機粒子、シリカ等の無機粒子等が挙げられる。プラスチックビーズとしては、メラミンビーズ、アクリルビーズ、アクリル−スチレンビーズ、ポリカーボネートビーズ、ポリエチレンビーズ、ポリスチレンビーズ、塩化ビニルビーズ等が挙げられるが、これらのうちアクリルビーズが好ましい。光拡散材は、気泡であってもよい。光拡散材の平均粒径は、光拡散材の光反射性、バインダー樹脂中での分散性等を考慮して適宜調整することができる。光拡散材の平均粒径は6μm以上であることが好ましい。光拡散材の平均粒径が6μm以上であることにより、十分な光拡散性を得ることができる。光拡散材の平均粒径は、例えば、断面電子顕微鏡(TEM、STEM等の透過型電子顕微鏡)による光拡散層5の断面画像から、画像処理ソフトウェアを使用して求めることができる。また、断面電子顕微鏡の画像を使用して、縮尺を考慮した上で手動にて平均値を算出することにより、光拡散材の平均粒径を求めてもよい。また、光拡散材が単体で存在する場合、すなわち、光拡散層5に組み込まれる前の段階であれば、光拡散材の平均粒径はレーザー散乱法によって測定することができる。光拡散材の平均粒径の下限は、光拡散性をより向上させるために8μm以上であることがより好ましく、光拡散材の平均粒径の上限は、粒子の凝集による光拡散層5の白化を抑制する観点から、10μm以下であることが好ましい。また、酸化チタン等の微粒子を光拡散材として使用する場合、微粒子の平均粒径は、10nm以上1000nm以下であることが好ましく、300nm以上700nm以下であることがさらに好ましい。光拡散層5に含有される光拡散材の量は、光拡散層5に求められる光拡散性等を考慮して適宜調整することができる。
光拡散層5は、例えば、印刷層である。印刷法に関する説明は上記と同様であるので省略する。光拡散層5の形成に使用されるインキ組成物(塗工液)は、例えば、溶剤と、光拡散材、バインダー樹脂等の固形分との混合物である。インキ組成物は、その他の成分として、安定剤、可塑剤、触媒、硬化剤等を含んでもよい。溶剤に関する説明は上記と同様であるので省略する。溶剤は最終的に揮発するため、光拡散層5は、主として、光拡散材、バインダー樹脂等の固形分により形成される。
光拡散層5は、例えば、樹脂シート(樹脂フィルム)により形成されていてもよい。
光拡散層5の厚さは、光拡散層5に求められる光拡散性、化粧シート10A,10Bに求められる特性(例えば、三次元成形性)等に応じて適宜調整することができる。光拡散層5の厚さは、通常25μm以上100μm以下、好ましくは25μm以上50μm以下、さらに好ましくは25μm以上38μm以下である。光拡散層5の厚さが上記範囲内にあると、光拡散効果が十分に得られる。
光拡散層5は着色されていないことが好ましい。光拡散層5は、第2主面S2に光が照射された際に第1主面S1側から視認される第2装飾層4の意匠の色調に影響を与えるため、光拡散層5が着色されていると、所望の意匠を表現することが難しくなる。光拡散層5は、通常、シリカ等の微粒子を分散状態で含有し、これにより、光拡散効果を発現する。
[光透過部]
化粧シート10A,10Bには、平面視において点在する複数の光透過部6A,6Bが形成されている。それぞれの光透過部6A,6Bは、第2光透過層8から第1光透過層7まで延在している。平面視において、複数の光透過部6A,6Bの配列は、規則的であってもよいし、ランダムであってもよい。複数の光透過部6A,6Bの配列がランダムであると、複数の光透過部6A,6Bの配列が、第1主面S1側の外部から視認される化粧シート10A,10Bの外観に悪影響を及ぼしにくい。
それぞれの光透過部6A,6Bは、光透過性を有する。それぞれの光透過部6A,6Bの全光線透過率は、通常30%以上80%以下、好ましくは40%以上70%以下、さらに好ましくは40%以上60%以下である。それぞれの光透過部6A,6Bのヘイズは、通常10%以上70%以下、好ましくは30%以上70%以下、さらに好ましくは30%以上60%以下である。全光線透過率は、JIS K 7361−1:1997に準拠して測定され、ヘイズは、JIS K7136:2000に準拠して測定される。
それぞれの光透過部6Aは、化粧シート10Aの厚さ方向Zに延在しており、第1主面S1側から順に、第1部分61A、第2部分62A、第3部分63A、第4部分64A及び第5部分65Aを有する。第1部分61A、第2部分62A及び第3部分63Aは、第2主面S2側に延出する第1光透過層7の一部により形成されており、第1光透過層7と一体となっている。但し、第1部分61A、第2部分62A及び第3部分63Aは、第1光透過層7と別体であってもよい。また、第1部分61A、第2部分62A及び第3部分63Aのうち隣接する2つの部分は別体であってもよい。第4部分64Aは、第2装飾層4の一部により形成されており、第5部分65Aは、光拡散層5の一部により形成されている。
それぞれの光透過部6Bは、化粧シート10Bの厚さ方向Zに延在しており、第1主面S1側から順に、第1部分61B、第2部分62B、第3部分63B、第5部分65B及び第4部分64Bを有する。第1部分61B、第2部分62B及び第3部分63Bは、第2主面S2側に延出する第1光透過層7の一部により形成されており、第1光透過層7と一体となっている。但し、第1部分61B、第2部分62B及び第3部分63Bは、第1光透過層7と別体であってもよい。また、第1部分61B、第2部分62B及び第3部分63Bのうち隣接する2つの部分は別体であってもよい。第4部分64Bは、第2装飾層4の一部により形成されており、第5部分65Bは、光拡散層5の一部により形成されている。
第1部分61A,61Bは、第1装飾層1を通過する部分である。第1部分61A,61Bは、第1装飾層1を貫通しており、第1装飾層1と接している。本発明には、第1装飾層1の上層(例えば、第1光透過層7)の一部又は第1装飾層1の下層(例えば、着色隠蔽層2、光遮蔽層3、第2装飾層4、光拡散層5又は第2光透過層8)の一部が、第1部分61A,61Bと第1装飾層1との間に存在する実施形態が包含される。第1部分61A,61Bと第1装飾層1との間に存在する上層の一部は、例えば、印刷法を使用して第2主面S2側から順に各層を形成する場合に形成される。第1部分61A,61Bと第1装飾層1との間に存在する下層の一部は、例えば、印刷法を使用して第1主面S1側から順に各層を形成する場合に形成される。
第1部分61A,61Bは第1光透過層7と一体となっている。但し、第1部分61A,61Bは第1光透過層7と別体であってもよい。
第1部分61A,61Bの平面視形状は、それぞれ、直径D61の円形状である。第1部分61A,61Bの平面視形状は適宜変更可能である。第1部分61A,61Bの平面視形状は、例えば、楕円形状、矩形状、台形状、多角形状等であってもよい。
第1部分61A,61Bの平面視形状のサイズ及び面積は、第2主面S2に光が照射されていない場合に、第1主面S1側の外部から第2装飾層4の色又は絵柄が視認されないように調整される。
第1部分61A,61Bの平面視形状のサイズは、通常20μm以上100μm以下、好ましくは50μm以上100μm以下、さらに好ましくは50μm以上80μm以下である。本発明において、ある部分の「平面視形状のサイズ」は、当該部分の平面視形状が円形状である場合には、その直径を意味し、当該部分の平面視形状が円形以外の形状である場合には、当該部分の平面視形状の面積と同一の面積を有する円形の直径を意味する。
第1部分61A,61Bの平面視形状の面積は、通常400μm2以上10000μm2以下、好ましくは2500μm2以上10000μm2以下、さらに好ましくは2500μm2以上6400μm2以下である。
第1主面S1の面積に対する、第1部分61A,61Bの平面視形状の合計面積の割合は、通常20%以上50%以下、好ましくは20%以上40%以下、さらに好ましくは25%以上35%以下である。
隣り合う第1部分61A,61Bの中心間距離は、通常40μm以上200μm以下、好ましくは60μm以上140μm以下、さらに好ましくは80μm以上120μm以下である。本発明において、ある部分の「中心」は、当該部分の平面視形状が円形状である場合には、その中心を意味し、当該部分の平面視形状が円形以外の形状である場合には、当該部分の平面視形状の重心を意味する。
第2部分62A,62Bは、着色隠蔽層2を通過する部分である。第1及び第2実施形態において、第2部分62A,62Bと着色隠蔽層2との間には、第1装飾層1の一部P1が存在しており、第2部分62A,62Bは、着色隠蔽層2と接していない。第1装飾層1の一部P1は、例えば、印刷法を使用して第2主面S2側から順に各層を形成する場合に形成される。具体的には、着色隠蔽層2の第1主面S1側に第1装飾層1を形成する際に、第1装飾層1を形成するためのインキ組成物が着色隠蔽層2に隣接する空間に充填され、これにより、第2部分62A,62Bと着色隠蔽層2との間に介在する第1装飾層1の一部P1が形成される。
本発明には、第1装飾層1の一部P1が存在せず、第2部分62A,62Bが着色隠蔽層2と接している(すなわち、第2部分62A,62Bが着色隠蔽層2を貫通する)実施形態が包含され、当該実施形態において、第1装飾層1の一部P1が存在していた部分は、着色隠蔽層2で構成されてもよいし、第2部分62A,62Bで構成されてもよい。
本発明には、第1装飾層1以外の着色隠蔽層2の上層(例えば、第1光透過層7)の一部が、第2部分62A,62Bと着色隠蔽層2との間に存在する実施形態も包含される。このような上層の一部は、例えば、印刷法を使用して第2主面S2側から順に各層を形成する場合に形成される。また、本発明には、着色隠蔽層2の下層(例えば、光遮蔽層3、第2装飾層4、光拡散層5又は第2光透過層8)の一部が、第2部分62A,62Bと着色隠蔽層2との間に存在する実施形態が包含される。このような下層の一部は、例えば、印刷法を使用して第1主面S1側から順に各層を形成する場合に形成される。
第2部分62A,62Bは第1部分61A,61Bと一体となっている。但し、第2部分62A,62Bは第1部分61A,61Bと別体であってもよい。
第2部分62A,62Bの平面視形状は、それぞれ、直径D62の円形状である。第2部分62A,62Bの平面視形状は適宜変更可能である。第2部分62A,62Bの平面視形状は、例えば、楕円形状、矩形状、台形状、多角形状等であってもよい。
第2部分62A,62Bの平面視形状のサイズ及び面積は、第2主面S2に光が照射されていない場合に、第1主面S1側の外部から第2装飾層4の色又は絵柄が視認されないように調整される。
第2部分62A,62Bの平面視形状のサイズは、通常20μm以上100μm以下、好ましくは50μm以上100μm以下、さらに好ましくは50μm以上80μm以下である。第2部分62A,62Bの平面視形状のサイズは、第1部分61A,61Bの平面視形状のサイズと同一又はそれよりも小さく、第1主面S1側の外部から直接視認されないように設定される。第2部分62A,62Bの平面視形状のサイズと、第1部分61A,61Bの平面視形状のサイズとの差は、例えば、0μm以上10μm以下である。
第2部分62A,62Bの平面視形状の面積は、通常400μm2以上10000μm2以下、好ましくは2500μm2以上10000μm2以下、さらに好ましくは2500μm2以上6400μm2以下である。
第1主面S1の面積に対する、第2部分62A,62Bの平面視形状の合計面積の割合は、通常20%以上50%以下、好ましくは20%以上40%以下、さらに好ましくは25%以上35%以下である。
隣り合う第2部分62A,62Bの中心間距離は、通常40μm以上200μm以下、好ましくは60μm以上140μm以下、さらに好ましくは80μm以上120μm以下である。
第3部分63A,63Bは、光遮蔽層3を通過する部分である。第3部分63A,63Bは、光遮蔽層3を貫通しており、光遮蔽層3と接している。本発明には、光遮蔽層3の上層(例えば、第1光透過層7、第1装飾層1又は着色隠蔽層2)の一部又は光遮蔽層3の下層(例えば、第2装飾層4、光拡散層5又は第2光透過層8)の一部が、第3部分63A,63Bと光遮蔽層3との間に存在する実施形態が包含される。第3部分63A,63Bと光遮蔽層3との間に存在する上層の一部は、例えば、印刷法を使用して第2主面S2側から順に各層を形成する場合に形成される。第3部分63A,63Bと光遮蔽層3との間に存在する下層の一部は、例えば、印刷法を使用して第1主面S1側から順に各層を形成する場合に形成される。
第1及び第2実施形態において、第3部分63A,63Bは第2部分62A,62Bと一体となっている。但し、第3部分63A,63Bは第2部分62A,62Bと別体であってもよい。
第3部分63A,63Bの平面視形状は、それぞれ、直径D63の円形状である。第3部分63A,63Bの平面視形状は適宜変更可能である。第3部分63A,63Bの平面視形状は、例えば、楕円形状、矩形状、台形状、多角形状等であってもよい。
第3部分63A,63Bの平面視形状のサイズ及び面積は、第2主面S2に光が照射されていない場合に、第1主面S1側の外部から第2装飾層4の色又は絵柄が視認されないように調整される。
第3部分63A,63Bの平面視形状のサイズは、通常20μm以上100μm以下、好ましくは50μm以上100μm以下、さらに好ましくは50μm以上80μm以下である。第3部分63A,63Bの平面視形状のサイズは、第1部分61A,61Bの平面視形状のサイズと同一又はそれよりも小さく、第1主面S1側の外部から直接視認されないように設定される。第3部分63A,63Bの平面視形状のサイズと、第1部分61A,61Bの平面視形状のサイズとの差は、例えば、0μm以上10μm以下である。
第3部分63A,63Bの平面視形状の面積は、通常400μm2以上10000μm2以下、好ましくは2500μm2以上10000μm2以下、さらに好ましくは2500μm2以上6400μm2以下である。
第1主面S1の面積に対する、第3部分63A,63Bの平面視形状の合計面積の割合は、通常20%以上50%以下、好ましくは20%以上40%以下、さらに好ましくは25%以上35%以下である。
隣り合う第3部分63A,63Bの中心間距離は、通常40μm以上200μm以下、好ましくは60μm以上140μm以下、さらに好ましくは80μm以上120μm以下である。
第4部分64A,64Bは、第2装飾層4の一部により形成されている。
第4部分64Aの平面視形状のサイズは、第1部分61A,第2部分62A及び第3部分63Aのうち、最もサイズが小さい部分(第1実施形態では、第3部分63A)と同様である。第4部分64Aの平面視形状の面積は、第1部分61A,第2部分62A及び第3部分63Aのうち、最も面積が小さい部分(第1実施形態では、第3部分63A)と同様である。
第4部分64Bの平面視形状のサイズは、第1部分61B,第2部分62B及び第3部分63Bのうち、最もサイズが小さい部分(第2実施形態では、第3部分63B)と同様である。第4部分64Bの平面視形状の面積は、第1部分61B,第2部分62B及び第3部分63Bのうち、最も面積が小さい部分(第2実施形態では、第3部分63B)と同様である。
第5部分65A,65Bは、光拡散層5の一部により形成されている。
第5部分65Aの平面視形状のサイズは、第1部分61A,第2部分62A及び第3部分63Aのうち、最もサイズが小さい部分(第1実施形態では、第3部分63A)と同様である。第5部分65Aの平面視形状の面積は、第1部分61A,第2部分62A及び第3部分63Aのうち、最も面積が小さい部分(第1実施形態では、第3部分63A)と同様である。
第5部分65Bの平面視形状のサイズは、第1部分61B,第2部分62B及び第3部分63Bのうち、最もサイズが小さい部分(第2実施形態では、第3部分63B)と同様である。第5部分65Bの平面視形状の面積は、第1部分61B,第2部分62B及び第3部分63Bのうち、最も面積が小さい部分(第2実施形態では、第3部分63B)と同様である。
第1及び第2実施形態において、第1部分61A,61Bは、第1装飾層1に形成された貫通孔の全体に、第2部分62A,62Bは、着色隠蔽層2に形成された貫通孔の一部(残部には第1装飾層1の一部P1が存在する)に、第3部分63A,63Bは、光遮蔽層3に形成された貫通孔の全体に、第1光透過層7を構成する光透過性物質が充填されることにより形成されている。但し、第1装飾層1、着色隠蔽層2又は光遮蔽層3に形成された貫通孔のうち光透過性物質が充填される割合は適宜変更可能である。また、第1装飾層1、着色隠蔽層2又は光遮蔽層3に形成された貫通孔に充填される光透過性物質の種類は適宜変更可能である。例えば、第1装飾層1、着色隠蔽層2又は光遮蔽層3に形成された貫通孔に、第1光透過層7を構成する光透過性物質とは異なる光透過性物質が充填されていてもよい。光透過性物質は、光透過性を有する限り特に限定されないが、無色透明な樹脂、無色透明な気体等の無色透明な物質が好ましい。また、第1装飾層1、着色隠蔽層2又は光遮蔽層3に形成された貫通孔に充填される光透過性物質は、1種単独であってもよいし、2種以上の組み合わせであってもよい。
第1実施形態において、第1部分61A、第2部分62A、第3部分63A、第4部分64A及び第5部分65Aの平面視形状(円形状)の中心は一致しており、第1部分61A、第2部分62A、第3部分63A、第4部分64A及び第5部分65Aの平面視形状のサイズは、直径D61=直径D62>直径D63=直径D64=直径D65を満たす。但し、第1部分61A、第2部分62A、第3部分63A、第4部分64A及び第5部分65Aの位置及び平面視形状のサイズは、第1部分61A、第2部分62A、第4部分64A及び第5部分65Aが、平面視において第3部分63Aと重なる部分を有する範囲内において適宜変更可能である。第2実施形態についても同様である。
化粧シート10A,10Bの第2主面S2に光が照射されている場合に第1主面S1側の外部から視認される第2装飾層4の色又は絵柄の品質低下を防止する観点からは、平面視において、第3部分63A,63Bの全体が、第1部分61A,61Bの少なくとも一部及び第2部分62A,62Bの少なくとも一部と重なっており、かつ、平面視において、第1部分61A,61Bの全体が、第2部分62A,62Bの少なくとも一部と重なっていることが好ましい。例えば、第1部分、第2部分及び第3部分の平面視形状(円形状)の中心が一致している実施形態においては、直径D62≧直径D61≧直径D63を満たすことが好ましい。
第1及び第2実施形態において、直径D61は直径D63より大きく(直径D61>直径D63)、平面視において、第1部分61A,61Bの中心は、第3部分63A,63Bの中心と一致しており、これにより、平面視において、第3部分63A,63Bの全体が、第1部分61A,61Bの少なくとも一部と重なっている。平面視において、第3部分63A,63Bの全体が、第1部分61A,61Bの少なくとも一部と重なっている場合、平面視において、第3部分63A,63Bは、第1装飾層1と重ならない。したがって、化粧シート10A,10Bの第2主面S2に光が照射されている場合に第1主面S1側の外部から視認される第2装飾層4の色又は絵柄の品質が、第1装飾層1の影響を受けて低下することを防止することができる。平面視において、第3部分63A,63Bの全体が、第1部分61A,61Bの少なくとも一部と重なっている状態を維持しながら、第1及び第2実施形態に変更を加えることができる。例えば、直径D61は直径D63と等しくてもよい(直径D61=直径D63)。また、第1部分61A,61Bの中心は、平面視において第3部分63A,63Bの中心と一致していなくてもよい。
第1及び第2実施形態において、直径D62は直径D63より大きく(直径D62>直径D63)、平面視において、第2部分62A,62Bの中心は、第3部分63A,63Bの中心と一致しており、これにより、平面視において、第3部分63A,63Bの全体が、第2部分62A,62Bの少なくとも一部と重なっている。平面視において、第3部分63A,63Bの全体が、第2部分62A,62Bの少なくとも一部と重なっている場合、平面視において、第3部分63A,63Bは、着色隠蔽層2と重ならない。したがって、化粧シート10A,10Bの第2主面S2に光が照射されている場合に第1主面S1の外部から視認される第2装飾層4の色又は絵柄の品質が、着色隠蔽層2の影響を受けて低下することを防止することができる。平面視において、第3部分63A,63Bの全体が、第2部分62A,62Bの少なくとも一部と重なっている状態を維持しながら、第1及び第2実施形態に変更を加えることができる。例えば、直径D62は直径D63と等しくてもよい(直径D62=直径D63)。また、第2部分62A,62Bの中心は、平面視において第3部分63A,63Bの中心と一致していなくてもよい。
第1及び第2実施形態において、直径D62は直径D61と等しく(直径D62=直径D61)、平面視において、第2部分62A,62Bの中心は、第1部分61A,61Bの中心と一致しており、これにより、平面視において、第1部分61A,61Bの全体が、第2部分62A,62Bの少なくとも一部と重なっている。平面視において、第1部分61A,61Bの全体が、第2部分62A,62Bの少なくとも一部と重なっている場合、平面視において、第1部分61A,61Bは、着色隠蔽層2と重ならない。したがって、化粧シート10A,10Bの第2主面S2に光が照射されている場合に第1主面S1側の外部から視認される第2装飾層4の色又は絵柄の品質が、着色隠蔽層2の影響を受けて低下することを防止することができる。平面視において、第1部分61A,61Bの全体が、第2部分62A,62Bの少なくとも一部と重なっている状態を維持しながら、第1及び第2実施形態に変更を加えることができる。例えば、直径D62は直径D61より大きくてもよい(直径D62>直径D61)。また、第2部分62A,62Bの中心は、平面視において第1部分61A,61Bの中心と一致していなくてもよい。
[第1光透過層]
第1光透過層7は、第1装飾層1の第1主面S1側に設けられており、第1主面S1を形成している。第1光透過層7は、好ましくは透明であり、さらに好ましくは無色透明である。なお、透明には、無色透明の他、着色透明及び半透明も包含される。第1光透過層7は、場合により省略可能である。第1光透過層7が第1装飾層1の第1主面S1側に設けられている限り、第1装飾層1と第1光透過層7との間には、その他の1又は複数の層が介在していてもよいし、介在していなくてもよい。第1〜第3実施形態において、第1装飾層1と第1光透過層7との間には、何の層も介在していない。
第1光透過層7の全光線透過率は、通常50%以上99%以下、好ましくは70%以上99%以下、さらに好ましくは80%以上99%以下である。第1光透過層7のヘイズは、通常1%以上90%以下、好ましくは1%以下85%以下、さらに好ましくは1%以上80%以下である。全光線透過率は、JIS K 7361−1:1997に準拠して測定され、ヘイズは、JIS K7136:2000に準拠して測定される。
第1光透過層7のヘイズは、第1光透過層7に求められるグロス(艶)に応じて適宜調整することができる。求められるグロスが高い場合、ヘイズはゼロに近い方が好ましい。求められるグロスが低い場合(マット感が求められる場合)、ヘイズは例えば70%以上85%以下に調整される。マット感が求められる場合、第1光透過層7のヘイズは、第1光透過層7に含まれるマット剤の量及び粒子径の選定により適宜調整される。
第1光透過層7は、例えば、表面保護層である。表面保護層は、化粧シート10A,10Bに耐薬品性、耐傷性、耐摩耗性等の表面特性を付与し、化粧シート10A,10Bの表面を保護する層であり、通常、化粧シート10A,10Bの最も外側に設けられる。表面保護層は、例えば、JIS K 5600−5−4(1994)で規定される鉛筆硬度試験で「HB」以上の硬度を有する。
第1光透過層7は、例えば、樹脂層である。樹脂層としては、例えば、熱可塑性樹脂層、硬化樹脂層等が挙げられる。樹脂層は、樹脂フィルムであってもよい。樹脂層は、異なる材料で構成された2種以上の層を含んでもよい。樹脂層は、添加剤を含有してもよい。添加剤としては、例えば、重合禁止剤、架橋剤、帯電防止剤、接着性向上剤、酸化防止剤、レベリング剤、チクソ性付与剤、カップリング剤、可塑剤、消泡剤、充填剤、溶剤等が挙げられる。
熱可塑性樹脂層を構成する熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリエチル(メタ)アクリレート等のアクリル樹脂;ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン系樹脂;ポリカーボネート樹脂;塩化ビニル系樹脂;ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル樹脂;アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂(ABS樹脂);アクリロニトリル−スチレン−アクリル酸エステル樹脂等が挙げられる。なお、「(メタ)アクリル」は、アクリル又はメタクリルを意味する。
硬化樹脂層は、硬化性樹脂組成物の硬化物により形成された層である。硬化性樹脂組成物は、硬化性樹脂を含有する組成物である。硬化性樹脂組成物としては、例えば、熱硬化性樹脂を含有する熱硬化性樹脂組成物、電離放射線硬化性樹脂を含有する電離放射線硬化性樹脂組成物等が挙げられる。
熱硬化性樹脂としては、例えば、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂(2液硬化型ポリウレタンも含む)、エポキシ樹脂、アミノアルキッド樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、ジアリルフタレート樹脂、メラミン樹脂、グアナミン樹脂、メラミン−尿素共縮合樹脂、珪素樹脂、ポリシロキサン樹脂等が挙げられる。熱硬化性樹脂組成物は、必要に応じて、熱硬化性樹脂の硬化反応に関与する成分、例えば、触媒、硬化剤(架橋剤、重合開始剤、重合促進剤等を含む)等を含有してもよい。
電離放射線硬化性樹脂は、電離放射線の照射により架橋重合反応を生じ、3次元の高分子構造に変化する樹脂である。電離放射線は、電磁波及び荷電粒子線のうち、分子を重合又は架橋し得るエネルギー量子を有するものであり、紫外線(UV)及び電子線(EB)の他、X線、γ線等の電磁波、α線、イオン線等の荷電粒子線も包含するが、通常、紫外線(UV)又は電子線(EB)が使用される。電離放射線硬化性樹脂の中でも、電子線硬化性樹脂は、無溶剤化が可能であり、光重合用開始剤を必要とせず、安定な硬化特性が得られるため、第1光透過層7の形成において好適に使用される。
電離放射線硬化性樹脂としては、例えば、電離放射線の照射により架橋可能な重合性不飽和結合、エポキシ基等を分子中に有するモノマー、オリゴマー、プレポリマー等の1種以上を使用することができる。
電離放射線硬化性樹脂として使用される上記モノマーとしては、分子中にラジカル重合性不飽和基を持つ(メタ)アクリレートモノマーが好適であり、中でも多官能性(メタ)アクリレートモノマーが好ましい。多官能性(メタ)アクリレートモノマーとしては、分子内に重合性不飽和結合を2個以上(2官能以上)、好ましくは3個以上(3官能以上)有する(メタ)アクリレートモノマーであればよい。多官能性(メタ)アクリレートとして、具体的には、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジシクロペンテニルジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性リン酸ジ(メタ)アクリレート、アリル化シクロヘキシルジ(メタ)アクリレート、イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらのモノマーは、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
電離放射線硬化性樹脂として使用される上記オリゴマーとしては、分子中にラジカル重合性不飽和基を持つ(メタ)アクリレートオリゴマーが好適であり、中でも分子内に重合性不飽和結合を2個以上(2官能以上)有する多官能性(メタ)アクリレートオリゴマーが好ましい。多官能性(メタ)アクリレートオリゴマーとしては、例えば、ポリカーボネート(メタ)アクリレート、アクリルシリコーン(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、ポリブタジエン(メタ)アクリレート、シリコーン(メタ)アクリレート、分子中にカチオン重合性官能基を有するオリゴマー(例えば、ノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、脂肪族ビニルエーテル、芳香族ビニルエーテル等)等が挙げられる。ここで、ポリカーボネート(メタ)アクリレートは、ポリマー主鎖にカーボネート結合を有し、かつ末端又は側鎖に(メタ)アクリレート基を有するものであれば特に制限されず、例えば、ポリカーボネートポリオールを(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。ポリカーボネート(メタ)アクリレートは、例えば、ポリカーボネート骨格を有するウレタン(メタ)アクリレート等であってもよい。ポリカーボネート骨格を有するウレタン(メタ)アクリレートは、例えば、ポリカーボネートポリオールと、多価イソシアネート化合物と、ヒドロキシ(メタ)アクリレートとを反応させることにより得られる。アクリルシリコーン(メタ)アクリレートは、シリコーンマクロモノマーを(メタ)アクリレートモノマーとラジカル共重合させることにより得ることができる。ウレタン(メタ)アクリレートは、例えば、ポリエーテルポリオールやポリエステルポリオールとポリイソシアネート化合物の反応によって得られるポリウレタンオリゴマーを、(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。エポキシ(メタ)アクリレートは、例えば、比較的低分子量のビスフェノール型エポキシ樹脂やノボラック型エポキシ樹脂のオキシラン環に、(メタ)アクリル酸を反応しエステル化することにより得ることができる。また、このエポキシ(メタ)アクリレートを部分的に二塩基性カルボン酸無水物で変性したカルボキシル変性型のエポキシ(メタ)アクリレートも用いることができる。ポリエステル(メタ)アクリレートは、例えば多価カルボン酸と多価アルコールの縮合によって得られる両末端に水酸基を有するポリエステルオリゴマーの水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより、或いは多価カルボン酸にアルキレンオキシドを付加して得られるオリゴマーの末端の水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。ポリエーテル(メタ)アクリレートは、ポリエーテルポリオールの水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。ポリブタジエン(メタ)アクリレートは、ポリブタジエンオリゴマーの側鎖に(メタ)アクリル酸を付加することにより得ることができる。シリコーン(メタ)アクリレートは、主鎖にポリシロキサン結合をもつシリコーンの末端又は側鎖に(メタ)(メタ)アクリル酸を付加することにより得ることができる。これらの中でも、多官能性(メタ)アクリレートオリゴマーとしては、ポリカーボネート(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート等が特に好ましい。これらのオリゴマーは、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
上記した電離放射線硬化性樹脂の中でも、優れた三次元成形性を得る観点からは、ポリカーボネート(メタ)アクリレートを用いることが好ましい。また、三次元成形性と耐傷付き性を両立する観点からは、ポリカーボネート(メタ)アクリレートとウレタン(メタ)アクリレートを組み合わせて使用することがより好ましい。
電離放射線硬化性樹脂組成物には、第1光透過層7に求められる所望の物性に応じて、各種添加剤を配合することができる。添加剤としては、例えば、紫外線吸収剤、光安定剤等の耐候性改善剤、耐摩耗性向上剤、重合禁止剤、架橋剤、赤外線吸収剤、帯電防止剤、接着性向上剤、レベリング剤、チクソ性付与剤、カップリング剤、可塑剤、消泡剤、充填剤、溶剤等が挙げられる。
第1光透過層7は光拡散性を有していてもよい。第1光透過層7に光拡散材を配合することにより、第1光透過層7に光拡散性を付与することができる。光拡散材に関する説明は上記と同様であるので省略する。
第1光透過層7の厚さは、第1光透過層に求められる光透過性、化粧シート10A,10Bに求められる特性(例えば、三次元成形性)等を考慮して適宜調整することができる。第1光透過層7の厚さは、通常5μm以上100μm以下、好ましくは5μm以上20μm以下、さらに好ましくは5μm以上15μm以下である。
[第2光透過層]
第2光透過層8は、光拡散層5の第2主面S2側に設けられており、第2主面S2を形成している。第2光透過層8は、好ましくは透明であり、さらに好ましくは無色透明である。なお、透明には、無色透明の他、着色透明及び半透明も包含される。第2光透過層8は、場合により省略可能である。第2光透過層8が光拡散層5の第2主面S2側に設けられている限り、光拡散層5と第2光透過層8との間には、その他の1又は複数の層が介在していてもよいし、介在していなくてもよい。第1及び第3実施形態において、光拡散層5と第2光透過層8との間には、何の層も介在していない。第2実施形態において、光拡散層5と第2光透過層8との間には、第2装飾層4が介在している。
第2光透過層8の全光線透過率は、通常40%以上90%以下、好ましくは50%以上80%以下、さらに好ましくは60%以上80%以下である。第2光透過層8のヘイズは、通常70%以上95%以下、好ましくは80%以上95%以下、さらに好ましくは85%以上95%以下である。全光線透過率は、JIS K 7361−1:1997に準拠して測定され、ヘイズは、JIS K7136:2000に準拠して測定される。
第2光透過層8は、例えば、基材層である。基材層は、その他の層を支持する支持体としての役割を果たす層である。
第2光透過層8は、例えば、樹脂シート(樹脂フィルム)により形成されている。第2光透過層8を構成する樹脂は、三次元成形性等を考慮して適宜選択することができる。第2光透過層8を構成する樹脂としては、例えば、熱可塑性樹脂が挙げられる。熱可塑性樹脂としては、具体的には、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂(ABS樹脂);アクリロニトリル−スチレン−アクリル酸エステル樹脂;アクリル樹脂;ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン系樹脂;ポリカーボネート樹脂;塩化ビニル系樹脂;ポリエチレンテレフタラート(PET)樹脂等が挙げられる。第2光透過層8を構成する樹脂は、1種単独であってもよいし、2種以上の組み合わせてあってもよい。また、第2光透過層8は、単層であってもよいし、複層であってもよい。
第2光透過層8は、隣接する層との密着性を向上させるために、必要に応じて、片面又は両面に、酸化法、凹凸化法等の物理的又は化学的表面処理が施されていてもよい。第2光透過層8の表面処理として行われる酸化法としては、例えば、コロナ放電処理、プラズマ処理、クロム酸化処理、火炎処理、熱風処理、オゾン紫外線処理法等が挙げられる。また、第2光透過層8の表面処理として行われる凹凸化法としては、例えば、サンドブラスト法、溶剤処理法等が挙げられる。これらの表面処理は、第2光透過層8を構成する樹脂の種類等を考慮して適宜選択することができる。
第2光透過層8は光拡散性を有していてもよい。第2光透過層8に光拡散材を配合することにより、第2光透過層8に光拡散性を付与することができる。光拡散材に関する説明は上記と同様であるので省略する。
第2光透過層8の厚さは、第2光透過層8に求められる特性、化粧シート10A,10Bに求められる特性(例えば、三次元成形性)等を考慮して適宜調整することができる。第2光透過層8の厚さは、通常12μm以上150μm以下、好ましくは50μm以上100μm以下、さらに好ましくは50μm以上75μm以下である。
[その他の層]
化粧シート10A,10Bは、プライマー層、接着層等のその他の層を有していてもよい。
プライマー層は、層間密着性を高めること等を目的として、必要に応じて設けられる層である。プライマー層は、樹脂により形成することができる。プライマー層を形成する樹脂としては、例えば、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、(メタ)アクリル−ウレタン共重合体樹脂、ポリエステル樹脂、ブチラール樹脂等が挙げられる。これらの樹脂の中でも、好ましくは、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、及び(メタ)アクリル−ウレタン共重合体樹脂が挙げられる。これらの樹脂は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。プライマー層の厚さは、通常0.1μm以上5μm以下、好ましくは0.5μm以上2μm以下、さらに好ましくは1μm以上1.5μm以下である。
接着層は、化粧シート10A,10Bと被着体との密着性又は接着性を向上させること等を目的として、第2光透過層8の裏面に必要に応じて設けられる層である。接着層を形成する樹脂としては、化粧シート10A,10Bと被着体との密着性又は接着性を向上させることができるものであれば、特に制限されず、例えば、熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂が用いられる。熱可塑性樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、アクリル変性ポリオレフィン樹脂、塩素化ポリオレフィン樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、熱可塑性ウレタン樹脂、熱可塑性ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ゴム系樹脂等が挙げられる。熱可塑性樹脂は、1種類単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。また、熱硬化性樹脂としては、例えば、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂等挙げられる。熱硬化性樹脂は、1種類単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。接着層の厚さは、通常0.02mm以上1mm以下、好ましくは0.03mm以上0.15mm以下、さらに好ましくは0.04mm以上0.1mm以下である。
<化粧シートの製造方法>
以下、図7〜図10に基づいて、本発明に係る化粧シートの製造方法の実施形態について説明する。
図7及び図8は、第1実施形態に係る化粧シート10Aの製造方法を説明する図である。図9及び図10は、第2実施形態に係る化粧シート10Bの製造方法を説明する図である。図7〜図10において、同一の部分又は部材は、同一の符号で示されている。
[化粧シート10Aの製造方法]
化粧シート10Aは、例えば、以下の工程(1A)〜(6A)を含む方法により製造することができる。
図7に示すように、工程(1A)は、第2光透過層8上に光拡散層5を形成する工程である。工程(1A)では、例えば、インクジェット印刷法等の印刷法により、光拡散層5を形成する。光拡散層5は、例えば、面方向に連続した(すなわち、抜きパターンを有しない)層として形成される。それぞれの光透過部6Aの一部が、光拡散層5の一部により形成される限り、光拡散層5には、抜きパターンが形成されていてもよい。
図7に示すように、工程(2A)は、工程(1A)の後、光拡散層5上に第2装飾層4を形成する工程である。工程(2A)では、例えば、インクジェット印刷法等の印刷法により、第2装飾層4を形成する。第2装飾層4は、例えば、面方向に連続した(すなわち、抜きパターンを有しない)層として形成される。それぞれの光透過部6Aの一部が、第2装飾層4の一部により形成される限り、第2装飾層4には、抜きパターンが形成されていてもよい。
図7に示すように、工程(3A)は、工程(2A)の後、第2装飾層4上に光遮蔽層3を抜きパターンで形成する工程である。工程(3A)では、例えば、インクジェット印刷法等の印刷法により、光遮蔽層3を抜きパターンで形成する。光遮蔽層3を、面方向に連続した(すなわち、抜きパターンを有しない)層として形成した後、切削加工、レーザー加工等の公知の微細孔形成技術を使用して、光遮蔽層3に抜きパターンを形成してもよい。
抜きパターンで形成された光遮蔽層3には、光遮蔽層3を厚さ方向Zに貫通する複数の貫通孔H31が形成されている。複数の貫通孔H31は、平面視において点在している。それぞれの貫通孔H31の平面視形状は、直径D31の円形である。貫通孔H31の平面視形状は適宜変更可能である。貫通孔H31の平面視形状は、例えば、楕円形、矩形、台形、多角形等であってもよい。
それぞれの貫通孔H31の平面視形状のサイズは、通常20μm以上100μm以下、好ましくは50μm以上100μm以下、さらに好ましくは50μm以上80μm以下である。貫通孔H31の平面視形状のサイズは、貫通孔H31の平面視形状が円形である場合には、直径D31を意味し、貫通孔H31の平面視形状が円形以外の形状である場合は、平面視において、貫通孔H31の平面視形状の面積と同一の面積を有する円の直径を意味する。貫通孔H31の平面視形状の面積は、通常400μm2以上10000μm2以下、好ましくは2500μm2以上10000μm2以下、さらに好ましくは2500μm2以上6400μm2以下である。隣り合う貫通孔H31の中心間距離は、通常40μm以上200μm以下、好ましくは60μm以上140μm以下、さらに好ましくは80μm以上120μm以下である。貫通孔H31の中心は、貫通孔H31の平面視形状が円形状である場合には、その中心を意味し、貫通孔H31の平面視形状が円形以外の形状である場合には、貫通孔H31の平面視形状の重心を意味する。
図7に示すように、工程(4A)は、工程(3A)の後、光遮蔽層3上に着色隠蔽層2を抜きパターンで形成する工程である。工程(4A)では、例えば、インクジェット印刷法等の印刷法により、着色隠蔽層2を抜きパターンで形成する。着色隠蔽層2を、面方向に連続した(すなわち、抜きパターンを有しない)層として形成した後、切削加工、レーザー加工等の公知の微細孔形成技術を使用して、着色隠蔽層2に抜きパターンを形成してもよい。
抜きパターンで形成された着色隠蔽層2には、着色隠蔽層2を厚さ方向Zに貫通する複数の貫通孔H21が形成されている。複数の貫通孔H21は、平面視において点在している。それぞれの貫通孔H21は、対応する位置に存在する貫通孔H31と連通している。それぞれの貫通孔H21の平面視形状は、直径D21の円形である。貫通孔H21の平面視形状は適宜変更可能である。貫通孔H21の平面視形状は、例えば、楕円形、矩形、台形、多角形等であってもよい。
それぞれの貫通孔H21の平面視形状のサイズは、通常20μm以上100μm以下、好ましくは50μm以上100μm以下、さらに好ましくは50μm以上80μm以下である。貫通孔H21の平面視形状のサイズは、貫通孔H21の平面視形状が円形である場合には、直径D21を意味し、貫通孔H21の平面視形状が円形以外の形状である場合は、平面視において、貫通孔H21の平面視形状の面積と同一の面積を有する円の直径を意味する。貫通孔H21の平面視形状の面積は、通常400μm2以上10000μm2以下、好ましくは2500μm2以上10000μm2以下、さらに好ましくは2500μm2以上6400μm2以下である。隣り合う貫通孔H21の中心間距離は、通常40μm以上200μm以下、好ましくは60μm以上140μm以下、さらに好ましくは80μm以上120μm以下である。貫通孔H21の中心は、貫通孔H21の平面視形状が円形状である場合には、その中心を意味し、貫通孔H21の平面視形状が円形以外の形状である場合には、貫通孔H21の平面視形状の重心を意味する。
平面視において、それぞれの貫通孔H21の少なくとも一部が、いずれかの貫通孔H31の全体と重なっていることが好ましい。これにより、平面視において、光遮蔽層3の少なくとも一部が、着色隠蔽層2の全体と重なるように、着色隠蔽層2を形成することができる。
本実施形態において、直径D21は直径D31より大きく等しく(直径D21>直径D31)、平面視において、それぞれの貫通孔H21の中心は、いずれかの貫通孔H31の中心と一致している。平面視において、それぞれの貫通孔H21の少なくとも一部が、いずれかの貫通孔H31の全体と重なっている状態を維持しながら、本実施形態に変更を加えることができる。例えば、直径D21は、直径D31と等しくてもよい(直径D21=直径D31)。また、平面視において、貫通孔H21の中心は、貫通孔H31の中心と一致していなくてもよい。
図8に示すように、工程(5A)は、工程(4A)の後、着色隠蔽層2上に第1装飾層1を抜きパターンで形成する工程である。工程(5A)では、例えば、インクジェット印刷法等の印刷法により、第1装飾層1を抜きパターンで形成する。第1装飾層1を、面方向に連続した(すなわち、抜きパターンを有しない)層として形成した後、切削加工、レーザー加工等の公知の微細孔形成技術を使用して、第1装飾層1に抜きパターンを形成してもよい。
抜きパターンで形成された第1装飾層1には、第1装飾層1を厚さ方向Zに貫通する複数の貫通孔H11が形成されている。複数の貫通孔H11は、平面視において点在している。それぞれの貫通孔H11は、対応する位置に存在する貫通孔H21と連通している。それぞれの貫通孔H11の平面視形状は、直径D11の円形である。貫通孔H11の平面視形状は適宜変更可能である。貫通孔H11の平面視形状は、例えば、楕円形、矩形、台形、多角形等であってもよい。
それぞれの貫通孔H11の平面視形状のサイズは、通常20μm以上100μm以下、好ましくは50μm以上100μm以下、さらに好ましくは50μm以上80μm以下である。貫通孔H11の平面視形状のサイズは、貫通孔H11の平面視形状が円形である場合には、直径D11を意味し、貫通孔H11の平面視形状が円形以外の形状である場合は、平面視において、貫通孔H11の平面視形状の面積と同一の面積を有する円の直径を意味する。貫通孔H11の平面視形状の面積は、通常400μm2以上10000μm2以下、好ましくは2500μm2以上10000μm2以下、さらに好ましくは2500μm2以上6400μm2以下である。隣り合う貫通孔H11の中心間距離は、通常40μm以上200μm以下、好ましくは60μm以上1400μm以下、さらに好ましくは80μm以上120μm以下である。貫通孔H11の中心は、貫通孔H11の平面視形状が円形状である場合には、その中心を意味し、貫通孔H11の平面視形状が円形以外の形状である場合には、貫通孔H11の平面視形状の重心を意味する。
平面視において、それぞれの貫通孔H11の全体が、いずれかの貫通孔H21の少なくとも一部と重なっていることが好ましい。これにより、平面視において、第1装飾層1の少なくとも一部が、着色隠蔽層2の全体と重なるように、第1装飾層1を形成することができる。
本実施形態において、直径D11は直径D21より小さく(直径D11<直径D21)、平面視において、貫通孔H11の中心は、貫通孔H21の中心と一致しており、これにより、平面視において、それぞれの貫通孔H11の全体が、いずれかの貫通孔H21の少なくとも一部と重なっている。平面視において、それぞれの貫通孔H11の全体が、いずれかの貫通孔H21の少なくとも一部と重なっている状態を維持しながら、本実施形態に変更を加えることができる。例えば、直径D11は直径D21と等しくてもよい(直径D11=直径D21)。また、平面視において、貫通孔H11の中心は、貫通孔H21の中心と一致していなくてもよい。
第2主面S2に光が照射されている場合に第1主面S1側の外部から視認される第2装飾層4の色又は絵柄の品質低下を防止する観点からは、平面視において、それぞれの貫通孔H11の少なくとも一部が、いずれかの貫通孔H31の全体と重なっていることが好ましい。これにより、平面視において、光遮蔽層3の少なくとも一部が、第1装飾層1の全体と重なるように、第1装飾層1を形成することができる。
第1装飾層1を印刷法により形成を使用する場合、工程(5A)において、第1装飾層1を形成するためのインキ組成物が着色隠蔽層2に隣接する空間(貫通孔H21の一部)に充填されることにより、第1装飾層1の一部P1が形成される。なお、直径D11=直径D21である場合、第1装飾層1の一部P1は形成されない。
図8に示すように、工程(6A)は、工程(5A)の後、第1装飾層1上に第1光透過層7を形成する工程である。
第1光透過層7を形成するための組成物は、第1装飾層1に形成された貫通孔H11の全体、着色隠蔽層2の貫通孔H21の一部(残部には第1装飾層1の一部P1が存在する)、光遮蔽層3に形成された貫通孔H31の全体に充填される。こうして、光透過部6Aが形成される。
第1光透過層7を形成するための組成物(塗工液)としては、例えば、熱硬化性樹脂組成物、電離放射線硬化性樹脂組成物、熱可塑性樹脂組成物等を使用することができる。熱硬化性樹脂組成物を使用する場合、例えば、第1装飾層1上に熱硬化性樹脂組成物を塗布し、加熱して硬化させることにより、第1光透過層7を形成することができる。電離放射線硬化性樹脂組成物を使用する場合、例えば、第1装飾層1上に電離放射線硬化性樹脂組成物を塗布し、電離放射線を照射して硬化させることにより、第1光透過層7を形成することができる。熱可塑性樹脂組成物を使用する場合、例えば、第1装飾層1上に熱可塑性樹脂組成物を塗布し、乾燥させることにより、第1光透過層7を形成することができる。
第1光透過層7を形成するための組成物を塗布する方法としては、例えば、ロールコート法、グラビアコート法等の塗布法が挙げられる。
第1光透過層7を形成するための組成物(塗工液)としては、電離放射線硬化性樹脂組成物を使用することが好ましい。この場合、第1光透過層7は、電離放射線硬化性樹脂の硬化物を含む硬化樹脂層である。
電離放射線硬化性樹脂組成物を硬化させるための電離放射線として紫外線を使用する場合には、紫外線源として、例えば、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク灯、ブラックライト蛍光灯、メタルハライドランプ灯等の光源を使用することができる。紫外線の波長は、例えば、190〜380nm程度である。電離放射線硬化性樹脂組成物を硬化させるための電離放射線として電子線を使用する場合には、電子線源として、例えば、コッククロフトワルト型、バンデグラフト型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の電子線加速器を使用することができる。電子線のエネルギーは、好ましくは100〜1000keV程度、さらに好ましくは100〜300keV程度である。電子線の照射量は、好ましくは2〜15Mrad程度である。
塗工液は、粘度を調整する目的で溶媒を含んでもよい。溶媒としては、水;トルエン、キシレン等の炭化水素化合物;メタノール、エタノール、メチルグリコール等のアルコール化合物;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン化合物;ギ酸メチル、酢酸エチル等のエステル化合物;N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド等の含窒素化合物;テロラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル化合物;塩化メチレン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素化合物;ジメチルスルホキシド等が挙げられる。これらの溶媒は、1種単独で又は2種以上を混合して使用することができる。塗工液中の溶媒の量は、塗工液の粘度に応じて適宜設定することができる。
塗工液には、望まれる物性に応じて、公知の添加剤を適宜配合することができる。添加剤として、例えば、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、光安定剤、重合禁止剤、架橋剤、帯電防止剤、酸化防止剤、レベリング剤、カップリング剤、可塑剤、消泡剤、充填剤、熱ラジカル発生剤、アルミキレート剤等が挙げられる。
化粧シート10Aの製造方法は、上記方法に限定されるものではない。例えば、各層を別々に形成した後、積層してもよい。また、各層を貫通孔がない状態で形成した後、ニードル、エッチング等の公知の微細孔形成技術を使用して貫通孔を形成してもよい。
[化粧シート10Bの製造方法]
化粧シート10Bは、例えば、以下の工程(1B)〜(6B)を含む方法により製造することができる。
図9に示すように、工程(1B)は、第2光透過層8上に第2装飾層4を形成する工程である。工程(1B)では、例えば、インクジェット印刷法等の印刷法により、第2装飾層4を形成する。第2装飾層4は、例えば、面方向に連続した(すなわち、抜きパターンを有しない)層として形成される。それぞれの光透過部6Bの一部が、第2装飾層4の一部により形成される限り、第2装飾層4には、抜きパターンが形成されていてもよい。
図9に示すように、工程(2B)は、工程(1B)の後、第2装飾層4上に光拡散層5を形成する工程である。工程(2B)では、例えば、インクジェット印刷法等の印刷法により、光拡散層5を形成する。光拡散層5は、例えば、面方向に連続した(すなわち、抜きパターンを有しない)層として形成される。それぞれの光透過部6Bの一部が、光拡散層5の一部により形成される限り、光拡散層5には、抜きパターンが形成されていてもよい。
図9に示すように、工程(3B)は、工程(2B)の後、光拡散層5上に光遮蔽層3を抜きパターンで形成する工程である。工程(3B)に関する説明は、工程(3A)に関する説明と同様であるので省略する。
図9に示すように、工程(4B)は、工程(3B)の後、光遮蔽層3上に着色隠蔽層2を抜きパターンで形成する工程である。工程(4B)に関する説明は、工程(4A)に関する説明と同様であるので省略する。
図10に示すように、工程(5B)は、工程(4B)の後、着色隠蔽層2上に第1装飾層1を抜きパターンで形成する工程である。工程(5B)に関する説明は、工程(5A)に関する説明と同様であるので省略する。
図10に示すように、工程(6B)は、工程(5B)の後、第1装飾層1上に第1光透過層7を形成する工程である。工程(6B)に関する説明は、工程(6B)に関する説明と同様であるので省略する。
化粧シート10Bの製造方法は、上記方法に限定されるものではない。例えば、各層を別々に形成した後、積層してもよい。また、各層を貫通孔がない状態で形成した後、ニードル、エッチング等の公知の微細孔形成技術を使用して貫通孔を形成してもよい。
<化粧部材>
以下、図11に基づいて、本発明に係る化粧部材の実施形態について説明する。
図11は、本発明の一実施形態に係る化粧部材の構成を模式的に示す断面図である。
図11に示すように、本発明の一実施形態に係る化粧部材20は、化粧シート10A又は10Bと、化粧シート10A又は10Bの第2主面S2側に設けられた被着体21とを備える。
図11に示すように、化粧部材20は、第1主面T1と、第1主面T1の反対側に位置する第2主面T2とを有する。化粧部材20の第1主面T1は、化粧シート10A又は10Bの第1主面S1により形成されており、化粧部材20の第2主面T2は、被着体21の一方の主面(化粧シート10A又は10Bとは反対側に位置する主面)により形成されている。
本実施形態において、化粧部材20が有する化粧シート10A又は10Bは、平板状であるが、三次元成形体であってもよい。三次元成形体の形状としては、3次元絞り形状、湾曲形状、折曲形状等が挙げられる。
化粧部材20は、例えば、自動車等の車両の内装材又は外装材(例えば、表示器のディスプレイ部材、警告ランプのカバー部材、ルームランプのカバー部材、フットランプのカバー部材、イルミネーションランプのカバー部材、車幅灯のカバー部材、ヘッドライトのカバー部材、テールランプのカバー部材、ウインカーのカバー部材等);住宅用又は商業用施設の内装材又は外装材(例えば、案内板、広告、看板等のディスプレイ部材;窓、ショーウインドウ等の採光器具;壁、扉、仕切り、浴室、寝室、ドアホン等に埋め込まれる表示器のディスプレイ部材);キッチン、机、椅子、棚、間仕切り、タンス、ゲタ箱、ベッド、掃除機、冷蔵庫、炊飯器、電子レンジ、洗濯機、テレビ、照明器具等の家具又は家電の筐体あるいはこれらの家具又は家電に埋め込まれる表示器のディスプレイ部材;避難経路表示器、火災報知機、警告灯等の表示器の筐体等の、様々な用途に使用することができる。
[被着体]
被着体21は、例えば、樹脂成形体である。樹脂成形体は、好ましくは透明であり、さらに好ましくは無色透明である。なお、透明には、無色透明の他、着色透明及び半透明も包含される。樹脂成形体を構成する樹脂は、化粧部材の用途等に応じて適宜選択することができる。樹脂成形体を形成する樹脂としては、例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂等が挙げられる。熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ABS樹脂、スチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、塩化ビニル系樹脂等が挙げられる。熱可塑性樹脂は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。熱硬化性樹脂としては、例えば、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。熱硬化性樹脂は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
被着体21は、光拡散性が有していてもよい。これにより、第1主面S1側の外部からの第2装飾層4の色又は絵柄の視認性を向上させることができる。
例えば、樹脂成形体を構成する樹脂に光拡散材を添加することにより、被着体21に光拡散性を付与することができる。光拡散材に関する説明は上記と同様であるので省略する。また、被着体21の表面に凹凸形状を形成することにより(例えば、被着体21として、表面に凹凸形状が形成された樹脂シートを使用することにより)、被着体21に光拡散性を付与することができる。樹脂シートを構成する樹脂に関する説明は上記と同様であるので省略する。樹脂シートに凹凸形状を形成する方法としては、例えば、サンドブラスト加工、ヘアライン加工、レーザー加工、エンボス加工等の物理的方法、溶剤等の薬品による腐食処理等の化学的方法、樹脂シートに微粒子を含有させる方法等が挙げられる。
微粒子としては、例えば、合成樹脂粒子、無機粒子等が挙げられるが、三次元成形性を良好とする観点からは、合成樹脂粒子を使用することが好ましい。合成樹脂粒子としては、例えば、アクリルビーズ、ウレタンビーズ、シリコーンビーズ、ナイロンビーズ、スチレンビーズ、メラミンビーズ、ウレタンアクリルビーズ、ポリエステルビーズ、ポリエチレンビーズ等が挙げられる。無機粒子としては、例えば、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、リン酸リチウム、リン酸マグネシウム、リン酸カルシウム、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、カオリン等が挙げられる。これらの微粒子は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。微粒子の平均粒径は、微粒子の凹凸形成性、樹脂中での分散性等を考慮して適宜調整することができる。微粒子の平均粒径は6μm以上であることが好ましい。微粒子の平均粒径が6μm以上であることにより、樹脂シートの表面に十分な凹凸形状を形成することができる。微粒子の平均粒径は、例えば、断面電子顕微鏡(TEM、STEM等の透過型電子顕微鏡)による被着体21の断面画像から、画像処理ソフトウェアを使用して求めることができる。また、断面電子顕微鏡の画像を使用して、縮尺を考慮した上で手動にて平均値を算出することにより、微粒子の平均粒径を求めてもよい。また、微粒子が単体で存在する場合、すなわち、被着体21に組み込まれる前の段階であれば、微粒子の平均粒径はレーザー散乱法によって測定することができる。微粒子の平均粒径の下限は、凹凸形成性をより向上させるために8μm以上であることがより好ましく、微粒子の平均粒径の上限は、粒子の凝集による被着体21の白化を抑制する観点から、10μm以下であることが好ましい。また、酸化チタン等の微粒子を光拡散材として使用する場合、微粒子の平均粒径は、10nm以上1000nm以下であることが好ましく、300nm以上700nm以下であることがさらに好ましい。樹脂シートに含有される微粒子の量は、被着体21に求められる光拡散性(凹凸形状の程度)等を考慮して適宜調整することができる。
被着体21の厚さは、被着体21に求められる特性等を考慮して適宜調整することができる。被着体21の厚さは、被着体21に求められる特性等を考慮して適宜調整することができる。被着体21の厚さは、通常2.0mm以上5.0mm以下、好ましくは2.5mm以上4.0mm以下、さらに好ましくは2.5mm以上3.5mm以下である。
被着体21は着色透明であることが好ましい。被着体21の全光線透過率は、通常70%以上95%以下、好ましくは80%以上95%以下、さらに好ましくは90%以上95%以下である。被着体21のヘイズは、通常0.2%以上20%以下、好ましくは0.2%以上10%以下、さらに好ましくは0.2%以上5%以下である。全光線透過率は、JIS K 7361−1:1997に準拠して測定され、ヘイズは、JIS K7136:2000に準拠して測定される。
[接着剤層]
化粧部材20は、化粧シート10A又は10Bと被着体21との間に接着剤層22を有する。接着剤層22は、必要に応じて設けられる層である。したがって、本発明には、接着剤層22が省略された実施形態も包含される。化粧シート10A又は10Bと被着体21との間に接着剤層22を設けることにより、化粧シート10A又は10Bと被着体21との接合性を向上させることができる。
接着剤層22に含有される接着剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、感熱接着剤、感圧接着剤等の接着剤が挙げられる。接着剤を構成する樹脂としては、例えば、アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合樹脂、スチレン−アクリル系共重合樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂等が挙げられる。イソシアネート等を硬化剤とする2液硬化型のポリウレタン系接着剤又はポリエステル系接着剤も適用し得る。接着剤層22には、粘着剤を使用することもできる。粘着剤としては、例えば、アクリル系、ウレタン系、シリコーン系、ゴム系等の粘着剤が挙げられる。
接着剤層22は、上記樹脂を溶液又はエマルジョン等の塗布可能な形態にしたものを、グラビア印刷法、スクリーン印刷法又はグラビア版を使用したリバースコーティング法等の手段により塗布、乾燥して形成することができる。接着剤層の厚さは特に制限はないが、通常1μm以上100μm以下の範囲である。この範囲とすることで、優れた接着性が得られる。
<化粧部材の製造方法>
以下、本発明に係る化粧部材の製造方法の実施形態について説明する。
本発明の一実施形態に係る化粧部材20は、化粧シート10A又は10Bと被着体21とを、化粧シート10A又は10Bの第2主面S2側に被着体21を積層する工程を含む方法により製造することができる。
化粧シート10A又は10Bの第2主面S2側に被着体21を積層する方法としては、例えば、接着剤を間に介して化粧シート10A又は10Bを板状の被着体に加圧ローラーで加圧して積層するラミネート方法、接着剤を間に介して化粧シート10A又は10Bを供給しつつ、複数の向きの異なるローラーにより、被着体21を構成する複数の側面に順次化粧シート10A又は10Bを加圧接着して積層してゆくラッピング加工、固定枠に固定した化粧シート10A又は10Bが軟化する所定の温度になるまでシリコーンゴムシートを介してヒーターで加熱し、加熱され軟化した化粧シート10A又は10Bに真空成形金型を押し付け、同時に真空成形金型から真空ポンプ等で空気を吸引し化粧シート10A又は10Bを真空成形金型にしっかりと密着させる真空成形加工等が挙げられる。
ラミネート加工又はラッピング加工において、ホットメルト接着剤(感熱接着剤)を使用する場合、接着剤を構成する樹脂の種類にもよるが、加温温度は通常160℃以上200℃以下、反応性ホットメルト接着剤では通常100℃以上130℃以下である。また、真空成形加工の場合は加熱しながら行うことが一般的であり、通常80℃以上130℃以下、好ましくは90℃以上120℃以下の温度で行われる。
<加飾成形品>
化粧部材には、加飾成形品が包含される。
加飾成形品は、例えば、化粧シート10A又は10Bを使用して、インサート成形法、射出成形同時加飾法、ブロー成形法、ガスインジェクション成形法等の各種射出成形法により製造することができる。これらの射出成形法の中でも、インサート成形法及び射出成形同時加飾法が好ましい。また、加飾成形品は、予め用意された立体的な樹脂成形体(被着体21の一例)上に、化粧シート10A又は10B又はその成形体を貼着する、真空圧着法等の加飾方法によっても製造することができる。このような真空圧着法としては、例えば、TOM法(Three dimension Overlay Method)等が挙げられる。
インサート成形法としては、例えば、
化粧シート10A又は10Bを加熱して軟化させた後、真空成形型により三次元形状に真空成形し、必要に応じて真空成形された化粧シート10A又は10Bの余分な部分をトリミングし、化粧シート10A又は10Bの三次元成形体を形成する工程、及び
化粧シート10A又は10Bの三次元成形体を射出成形型に挿入し、射出成形型を型締めして形成されたキャビティ内に流動状態の樹脂を射出して化粧シート10A又は10Bの三次元成形体の第2主面S2側に樹脂を一体化する工程
を含む方法が挙げられる。
インサート成形法の一例では、熱盤により化粧シート10A又は10Bを加熱して軟化させた後、真空成形工程において、軟化させた化粧シート10A又は10Bを真空成形型により予め成形品表面形状に真空成形(オフライン予備成形)し、必要に応じて余分な部分をトリミングし、化粧シート10A又は10Bの三次元成形体を得る。次いで、化粧シート10A又は10Bの三次元成形体を射出成形型(例えば、射出成形金型)に挿入し、射出成形型を型締めし、射出成形型を型締めして形成されたキャビティ内において、流動状態の樹脂を、化粧シート10A又は10Bの三次元成形体の第2主面S2側に向けて射出し、充填された樹脂を固化させて樹脂成形体(被着体21の一例)の外表面に化粧シート10A又は10Bの三次元成形体を一体化させることにより、加飾成形品を製造することができる。
真空成形工程において、化粧シート10A又は10Bを加熱して軟化させる時の加熱温度は、特に限定されず、化粧シート10A又は10Bを構成する樹脂の種類、化粧シート10A又は10Bの厚さ等に応じて適宜調整することができるが、例えば120℃以上200℃以下である。また、一体化工程において、流動状態の樹脂の温度は、特に限定されないが、通常180℃以上320℃以下とすることができる。
射出成形同時加飾法としては、例えば、
化粧シート10A又は10Bを加熱して軟化させる工程、
軟化させた化粧シート10A又は10Bを真空吸引して射出成形型(例えば、射出成形金型)の成形面に沿って密着させることにより予備成形する工程、及び
射出成形型を型締めして形成されたキャビティ内に流動状態の樹脂を射出して化粧シート10A又は10Bの第2主面S2側に樹脂を一体化する工程
を含む方法が挙げられる。
射出成形同時加飾法の一例では、化粧シート10A又は10Bを射出成形の吸引孔が設けられた真空成形型との兼用雌型に、化粧シート10A又は10Bの第1主面S1側が雌型側を向くように配置し、熱盤により化粧シート10A又は10Bを第2主面S2側から加熱して軟化させ、軟化させた化粧シート10A又は10Bを雌型側から真空吸引して雌型の成形面に沿って密着させることにより予備成形(オンライン予備成形)を行う。次いで、雌型及び雄型を型締めし、雌型と雄型を型締めして形成されたキャビティ内において、流動状態の樹脂を予備成形された化粧シート10A又は10Bの第2主面S2側に射出し、充填された樹脂を固化させて樹脂成形体(被着体21の一例)の外表面に化粧シート10A又は10Bを一体化させることにより、加飾成形品を製造することができる。
射出成形同時加飾法の予備成形工程において、化粧シート10A又は10Bの加熱温度は、特に限定されず、化粧シート10A又は10Bを構成する樹脂の種類、化粧シート10A又は10Bの厚さ等に応じて適宜調整することができるが、例えば70℃以上130℃以下である。また、射出成形工程において、流動状態の樹脂の温度は、特に限定されないが、例えば180℃以上320℃以下とすることができる。
<化粧部材の使用態様>
化粧部材20は、例えば、太陽光、照明光等の外光が化粧部材20の第1主面T1に照射され得る環境下において、光源と組み合わせ使用することができる。光源は、化粧部材20の背面側(すなわち第2主面T2側)から光を照射するように設置される。
化粧部材20は、例えば、化粧部材20と光源とを備える発光化粧部材の形態で使用することができる。発光化粧部材の一実施形態を図12に示す。図12は、本発明の一実施形態に係る発光化粧部材の構成を模式的に示す断面図である。図12に示す発光化粧部材30は、化粧部材20と、化粧部材20の第2主面T2に光を照射する光源31と、化粧部材20を支持し、かつ、その内部に光源31を配置可能な筐体32とを備える。
化粧部材20の第2主面T2に照射される光は、用途に応じて選択することができ、映像光であってもよいし、照明光であってもよい。映像光の光源としては、例えば、プロジェクタ、ディスプレイ等を使用することができる。照明光の光源としては、例えば、白熱電球等の電球、蛍光灯、LED(発光ダイオード)、面発光体(有機ELシート)等を使用することができる。
化粧部材20は、例えば、液晶ディスプレイ(LCD)、陰極線管表示装置(CRT)、プラズマディスプレイ(PDP)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)、フィールドエミッションディスプレイ(FED)、タッチパネル、タブレットPC、電子ペーパー等の画像表示装置に組み込んで使用することができる。これらの画像表示装置において、化粧部材20は、バックライトよりも観察者側に配置される。バックライトとして使用される光源は、例えば、白色発光ダイオードである。
光源の消灯時には、化粧部材20の第1主面T1側の外部から、第1装飾層1を視認することができる。光源の点灯時には、光源から発せられる光が、化粧部材20の第2主面T2に照射される。化粧部材20の第2主面T2に照射された光は、被着体21を透過して、化粧シート10A又は10Bの第2主面S2に到達する。化粧シート10A又は10Bの第2主面S2に到達した光は、それぞれの光透過部6A,6Bを通じて、化粧シート10A又は10Bの第1主面S1(化粧部材20の第1主面T1)から出射される。これにより、第2装飾層4の色又は絵柄を第1主面T1側の外部から視認することができる。このとき、光遮蔽層3は、化粧部材20の第2主面T2に照射された光のうち光遮蔽層3に到達した光を遮断し、当該光が第1装飾層1を透過して化粧部材20の第1主面T1から出射されることを防止することができる。すなわち、光遮蔽層3は、化粧部材20の第2主面T2に光が照射されている場合に第1主面T1側の外部から視認される第2装飾層4の色又は絵柄の品質が、第1装飾層1の影響を受けて低下することを防止することができる。
以下、実施例に基づいて本発明を説明する。
〔実施例1〜4及び比較例1〜4〕
(1)実施例1
光拡散層として、光拡散性を有する樹脂フィルム(KIMOTO製)を使用した。この光拡散フィルムは、PETフィルム(厚み75μm)の両面にケミカルマット層が積層されたものであり、光拡散フィルムの総厚は100μm、光拡散フィルムの全光線透過率は87%、光拡散フィルムのヘイズは89.5%である。光拡散層上に、第2絵柄層形成用インキ(塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体・ポリアクリロニトリル/フタル酸ジイソデシル(DIDP)/顔料=100/10/50〜100(質量比))をインクジェット印刷法により印刷し、厚さ4μmの第2絵柄層を形成した。第2絵柄層を構成する絵柄はカーボン調抽象柄とした。インクジェット印刷法は、EFI製インクジェット印刷機を用いて実施した(以下同様)。第2絵柄層には、抜きパターン(開口部)を形成せず、ライト点灯時に、後述する黒色ベタ層の抜きパターン、灰色ベタ層の抜きパターン及び第1絵柄層の抜きパターンを通じて、第2絵柄層が第1絵柄層側から視認されるようにした。
第2絵柄層上に、黒色ベタ層形成用インキ(塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体・ポリアクリロニトリル/カーボン=100/80(質量比))をインクジェット印刷法により印刷し、厚さ8μmの黒色ベタ層(光遮蔽層の一例)を形成した。平面視において70μm径の円形状の非印刷部(隣り合う非印刷部の中心間距離は120μm)が形成されるように、黒色ベタ層を抜きパターンで形成した。
黒色ベタ層上に、灰色ベタ層形成用インキ(塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体・ポリアクリロニトリル/DIDP/顔料=100/10/90(質量比))をインクジェット印刷法により印刷し、厚さ6μmの灰色ベタ層(着色隠蔽層の一例)を形成した。平面視において70μm径の円形状の非印刷部(隣り合う非印刷部の中心間距離は120μm)が形成されるように、かつ、灰色ベタ層に形成される非印刷部の中心が黒色ベタ層に形成された非印刷部の中心と一致するように、灰色ベタ層を抜きパターンで形成した。
灰色ベタ層上に、第1絵柄層形成用インキ(塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体・ポリアクリロニトリル/DIDP/顔料=100/10/50〜100(質量比))をインクジェット印刷法により印刷し、厚さ4μmの第1絵柄層を形成した。第1絵柄層を構成する絵柄は木目柄とした。平面視において70μm径の円形状の非印刷部(隣り合う非印刷部の中心間距離は120μm)が形成されるように、かつ、第1絵柄層に形成される非印刷部の中心が灰色ベタ層に形成された非印刷部の中心と一致するように、第1絵柄層を抜きパターンで形成した。
第1絵柄層上に、透明電子硬化型インキ(2官能ポリカーボネート系ウレタンアクリレート/UVA/HALS/反応性シリコーン=100/1/2/1)をグラビアリバースコートにより全面に印刷すると同時に、電子線を照射し硬化させ、厚さ10μmの表面保護層を形成した。
図13は、実施例1で製造された化粧シートの構成を模式的に示す断面図である。図13中、符号10aは実施例1で製造された化粧シート、符号1aは第1絵柄層、符号2aは灰色ベタ層(着色隠蔽層の一例)、符号3aは黒色ベタ層(光遮蔽層の一例)、符号4aは第2絵柄層、符号5aは光拡散層、符号7aは表面保護層、符号D11aは第1絵柄層に形成された非印刷部の直径(70μm)、符号D21aは灰色ベタ層に形成された非印刷部の直径(70μm)、符号D31aは黒色ベタ層に形成された非印刷部の直径(70μm)、Laは隣り合う非印刷部の中心間距離(120μm)を表す。
(2)実施例2
灰色ベタ層に形成される円形状の非印刷部の直径を、平面視において80μmに変更した点を除き、実施例1と同様にして化粧シートを製造した。
実施例2では、灰色ベタ層上に第1絵柄層を形成する工程において、第1絵柄層形成用インキが灰色ベタ層に隣接する空間(灰色ベタ層に形成された非印刷部の一部)に充填されるため、第1絵柄層の一部が下方に延出して灰色ベタ層に形成された非印刷部の一部に存在している。
図14は、実施例2で製造された化粧シートの構成を模式的に示す断面図である。図14中、符号10bは実施例2で製造された化粧シート、符号1bは第1絵柄層、符号2bは灰色ベタ層(着色隠蔽層の一例)、符号3bは黒色ベタ層(光遮蔽層の一例)、符号4bは第2絵柄層、符号5bは光拡散層、符号7bは表面保護層、符号D11bは第1絵柄層に形成された非印刷部の直径(70μm)、符号D21bは灰色ベタ層に形成された非印刷部の直径(80μm)、符号D31bは黒色ベタ層に形成された非印刷部の直径(70μm)、Lbは隣り合う非印刷部の中心間距離(120μm)、P1bは灰色ベタ層に形成された非印刷部の一部に存在する第1絵柄層の一部を表す。
(3)実施例3
黒色ベタ層に形成される円形状の非印刷部の直径を、平面視において50μmに変更した点を除き、実施例1と同様にして化粧シートを製造した。
図15は、実施例3で製造された化粧シートの構成を模式的に示す断面図である。図15中、符号10cは実施例3で製造された化粧シート、符号1cは第1絵柄層、符号2cは灰色ベタ層(着色隠蔽層の一例)、符号3cは黒色ベタ層(光遮蔽層の一例)、符号4cは第2絵柄層、符号5cは光拡散層、符号7cは表面保護層、符号D11cは第1絵柄層に形成された非印刷部の直径(70μm)、符号D21cは灰色ベタ層に形成された非印刷部の直径(70μm)、符号D31cは黒色ベタ層に形成された非印刷部の直径(50μm)、Lcは隣り合う非印刷部の中心間距離(120μm)を表す。
(4)実施例4
灰色ベタ層に形成される円形状の非印刷部の直径を、平面視において50μmに変更した点を除き、実施例1と同様にして化粧シートを製造した。
実施例4では、黒色ベタ層上に灰色ベタ層を形成する工程において、灰色ベタ層形成用インキが黒色ベタ層に隣接する空間(黒色ベタ層に形成された非印刷部の一部)に充填されるため、灰色ベタ層の一部が下方に延出して黒色ベタ層に形成された非印刷部の一部に存在している。
図16は、実施例4で製造された化粧シートの構成を模式的に示す断面図である。図16中、符号10dは実施例4で製造された化粧シート、符号1dは第1絵柄層、符号2dは灰色ベタ層(着色隠蔽層の一例)、符号3dは黒色ベタ層(光遮蔽層の一例)、符号4dは第2絵柄層、符号5dは光拡散層、符号7dは表面保護層、符号D11dは第1絵柄層に形成された非印刷部の直径(70μm)、符号D21dは灰色ベタ層に形成された非印刷部の直径(50μm)、符号D31dは黒色ベタ層に形成された非印刷部の直径(70μm)、Ldは隣り合う非印刷部の中心間距離(120μm)、P2dは黒色ベタ層に形成された非印刷部の一部に存在する灰色ベタ層の一部を表す。
(5)比較例1
光拡散性を有する樹脂フィルムに代えて、光拡散性を有しない樹脂フィルム(カネカ製アクリル樹脂フィルム)を使用した点を除き、実施例1と同様にして化粧シートを製造した。
(6)比較例2
光拡散性を有する樹脂フィルムに代えて、光拡散性を有しない樹脂フィルム(カネカ製アクリル樹脂フィルム)を使用した点を除き、実施例2と同様にして化粧シートを製造した。
(7)比較例3
光拡散性を有する樹脂フィルムに代えて、光拡散性を有しない樹脂フィルム(カネカ製アクリル樹脂フィルム)を使用した点を除き、実施例3と同様にして化粧シートを製造した。
(8)比較例4
光拡散性を有する樹脂フィルムに代えて、光拡散性を有しない樹脂フィルム(カネカ製アクリル樹脂フィルム)を使用した点を除き、実施例4と同様にして化粧シートを製造した。
(9)第1絵柄層に関する評価
明室内(照度:750ルクス)において、化粧シートを第1絵柄層側の外部から観察した。
実施例1〜3において、第1絵柄層側の外部から観察される第1絵柄層の色及び絵柄の品質は非常に良好であった。
実施例4において、第1絵柄層側の外部から観察される第1絵柄層の色及び絵柄の品質は良好であった。但し、実施例1〜3と比較して、第1絵柄層の絵柄が濁り、印刷の転移性が悪い(印刷抜け)のように見え、意匠性が劣る結果となった。
したがって、平面視において第1絵柄層の非印刷部(貫通孔)を通じて灰色ベタ層が見えると、灰色ベタ層が、第1絵柄層側の外部から観察される第1絵柄層の色又は絵柄に悪影響を及ぼす可能性があることが判明した。
なお、平面視において第1絵柄層の非印刷部(貫通孔)を通じて灰色ベタ層が見えることを防止するためには、第1装飾層の少なくとも一部が、灰色ベタ層の全体と重なるように、すなわち、平面視において重なり合っている、第1絵柄層に形成された非印刷部(貫通孔)と、灰色ベタ層に形成された非印刷部(貫通孔)とに関し、第1絵柄層に形成された非印刷部(貫通孔)の全体が、灰色ベタ層に形成された非印刷部(貫通孔)の少なくとも一部と重なるように、化粧シートを構成すればよい(実施例1〜3)。
(10)第2絵柄層に関する評価
暗室内において、化粧シートの樹脂フィルム側に設置された光源(コンデンシ製白色LED「LE829−IEE278)を使用して、化粧シートの樹脂フィルム側に光を照射し、化粧シートを第1絵柄層側から観察した。
光の照射は、以下の通り行った。
・(株)SUWAオプトロニクス製「MEMS」投光器を、化粧シートから10cm離れた位置に設置し、化粧シートの樹脂フィルム側から光を照射した。
・コンデンシ製白色LED「LE829−IEE2780」が配列されたパネルを、化粧シートから2cm離れた位置に設置し、化粧シートの樹脂フィルム側から光を照射した。
実施例1〜3において、第1絵柄層側の外部から観察される第2絵柄層の色及び絵柄の品質は非常に良好であった。
実施例4において、実施例1〜3よりは劣るものの、第1絵柄層側の外部から観察される第2絵柄層の色及び絵柄の品質は良好であった。
比較例1〜4において、第1絵柄層側から観察される第2絵柄層の色及び絵柄に、第1絵柄層の色及び絵柄が混ざり、第1絵柄層側から観察される第2絵柄層の色及び絵柄の品質は劣悪であった。
具体的には、光拡散層が存在しない比較例1〜4において、(株)SUWAオプトロニクス製「MEMS」投光器を光源として使用した場合、光が直接照射される部分がスポットライトように明るくなった。なお、この現象は、化粧シートと光源との距離を広げることにより緩和することができるが、化粧シートを使用する現実の場面(例えば、化粧シートを車載部品として使用する場合)では、化粧シートと光源との距離を広げることは難しい。また、光拡散層が存在しない比較例1〜4において、コンデンシ製白色LED「LE829−IEE2780」が配列されたパネルを光源として使用した場合、LED間の距離が広がると、LEDの光のパターンが見えた。
したがって、第1絵柄層側の外部から観察される第2絵柄層の色及び絵柄に対して第1絵柄層が悪影響を及ぼすことを防止するために、光拡散層の存在が必要であることが判明した。すなわち、光拡散層は、化粧シートの樹脂フィルム側主面に照射された光を拡散し、光拡散層によって均一化された光が、黒色ベタ層に到達することにより、化粧シートの樹脂フィルム側主面に照射された光に部分的に強弱が存在していても、強い光がそのまま黒色ベタ層に到達し、黒色ベタ層を透過し、さらには第1絵柄層を透過して、化粧シートの第1絵柄層側主面から出射されることを防止できることが判明した。
なお、均一な面発光を実現できる光源を使用すれば、光拡散層が存在しなくてもよい。しかしながら、光拡散層を設けることにより、均一な面発光を実現できる光源を使用しなくても、均一な面発光を実現できる光源を使用した場合と同様の効果が得られる。