JP6439240B2 - 加飾シート及び加飾樹脂成形品 - Google Patents

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Description

本発明は、金属調の意匠を有する加飾シートに関する。さらに、本発明は、当該加飾シートを利用した加飾樹脂成形品に関する。
従来、車両内外装部品、建材内装材、家電筐体等には、樹脂成形品の表面に加飾シートを積層させた加飾樹脂成形品が使用されている。このような加飾樹脂成形品の製造においては、予め意匠が付与された加飾シートを、射出成形によって樹脂と一体化させる成形法などが用いられている。かかる成形法の代表的な例としては、加飾シートを真空成形型により予め立体形状に成形しておき、当該加飾シートを射出成形型に挿入し、流動状態の樹脂を型内に射出することにより樹脂と加飾シートとを一体化するインサート成形法や、射出成形の際に金型内に挿入された加飾シートを、キャビティ内に射出注入された溶融樹脂と一体化させる射出成形同時加飾法が挙げられる。
このような加飾シートには、加飾樹脂成形品の形状に十分に追従し得る三次元成形性が求められる。また、近年の消費者の嗜好の多様化に伴い、このような加飾シートには、木目調、カーボン調、金属調など、多種多様な意匠感を有するものが求められている。
例えば、特許文献1に開示された加飾樹脂成形品のように、従来、加飾シートの模様に合わせて、艶消し、凹凸形状などを付与して、意匠性を付与することが行われている。特許文献1に開示された加飾樹脂成形品は、木目柄やその質感の表現に優れている。
また、特許文献2には、照明の点灯時と不点灯時において意匠が変化する樹脂成形品が提案されている。しかしながら、特許文献2には、かかる意匠を有する樹脂成形品を得るための具体的な手法、樹脂成形品が備えるべき物性などが開示されておらず、特許文献2の開示に基づいて、所望の意匠を有する樹脂成形品を実現することは困難である。
また、特許文献3には、所定の意匠が施された第1の印刷層と、金属光沢層と、第2の印刷層とを、この順に有し、金属光沢層の透過率を10〜70%とした化粧シートが開示されている。当該化粧シートによれば、化粧シートを表示装置に貼り付けた際に、表示状態においては表示内容を明瞭に確認することができ、かつ、非表示状態においては画面を隠蔽して所定の意匠性が付与されることが開示されている。しかしながら、特許文献3に開示された化粧シートは、立体的形状への成形に供されるものではないため、特許文献3に開示された技術を成形用加飾シートに適用して加飾樹脂成形品に所望の意匠性を付与することは困難である。すなわち、成形用加飾シートでは、成形前後において、各層の厚みや物性などが変化し、しかも同じ成形品であっても、その形状によっては、上記各層の厚みや物性の変化の程度が局所的に異なる箇所が生じてしまうため、特許文献3に開示された技術を成形用加飾シートに適用して、加飾樹脂成形品に対して所望の意匠を付与することは難しい。
特開2009−132145号公報 特開2010−125817号公報 特開2009−143225号公報
このような状況下、本発明は、加飾樹脂成形品に成形した場合において、光源の消灯時には優れた金属調の意匠を奏し、点灯時には光源からの透過光による優れた意匠を奏する加飾シート、及びこれを利用した加飾樹脂成形品を提供することを主な目的とする。
本発明者は、上記のような課題を解決すべく鋭意検討を行った。その結果、少なくとも、基材層と、金属薄膜層とが積層された積層体からなり、以下の(1)〜(4)の要件を充足する加飾シートは、加飾樹脂成形品に成形した場合において、光源の消灯時には優れた金属調の意匠を奏し、点灯時には光源からの透過光による優れた意匠を奏することを見出した。
(1)積層体の全光線透過率が1%以上、30%以下である。
(2)積層体を30%加熱伸長した際の積層体の全光線透過率が、積層体を加熱伸長する前の全光線透過率の±30%以内の値である。
(3)積層体のヘイズ値が20%以上、80%以下である。
(4)積層体を30%加熱伸長した際の積層体のヘイズ値が、積層体を加熱伸長する前のヘイズ値の±30%以内の値である。
本発明は、これらの知見に基づいて、さらに検討を重ねることにより完成された発明である。
すなわち、本発明は、下記に掲げる態様の発明を提供する。
項1. 少なくとも、基材層と、金属薄膜層とが積層された積層体からなり、
前記積層体の全光線透過率が1%以上、30%以下であり、
前記積層体を30%加熱伸長した際の前記積層体の全光線透過率が、前記積層体を加熱伸長する前の全光線透過率の±30%以内の値であり、
前記積層体のヘイズ値が20%以上、80%以下であり、
前記積層体を30%加熱伸長した際の前記積層体のヘイズ値が、前記積層体を加熱伸長する前のヘイズ値の±30%以内の値である、加飾シート。
項2. 前記積層体を50%加熱伸長した際の前記積層体の全光線透過率が、前記積層体を加熱伸長する前の全光線透過率の±30%以内の値であり、
前記積層体を50%加熱伸長した際の前記積層体のヘイズ値が、前記積層体を加熱伸長する前のヘイズ値の±30%以内の値である、項1に記載の加飾シート。
項3. 前記積層体を100%加熱伸長した際の前記積層体の全光線透過率が、前記積層体を加熱伸長する前の全光線透過率の±30%以内の値であり、
前記積層体を100%加熱伸長した際の前記積層体のヘイズ値が、前記積層体を加熱伸長する前のヘイズ値の±30%以内の値である、項1または2に記載の加飾シート。
項4. 前記積層体を30%加熱伸長した際の前記積層体の全光線透過率が、1%以上、30%以下であり、
前記積層体を30%加熱伸長した際の前記積層体のヘイズ値が、20%以上、80%以下である、項1〜3のいずれかに記載の加飾シート。
項5. 前記金属薄膜層が、スズ、インジウム、クロム、アルミニウム、ニッケル、銅、銀、金、白金、亜鉛、及びこれらのうち少なくとも1種を含む合金からなる群から選択された少なくとも1種の金属により形成されている、項1〜4のいずれかに記載の加飾シート。
項6. 前記金属薄膜層の光学濃度(OD)値が、0.3〜1.8である、項1〜5のいずれかに記載の加飾シート。
項7. 前記金属薄膜層の上に表面保護層を有する、項1〜6のいずれかに記載の加飾シート。
項8. 前記金属薄膜層と前記表面保護層との間にプライマー層を有する、項7に記載の加飾シート。
項9. 前記基材層と前記金属薄膜層との間に接着層を有する、項1〜8のいずれかに記載の加飾シート。
項10. 前記金属薄膜層と前記表面保護層との間に透明フィルム層を有する、項1〜9のいずれかに記載の加飾シート。
項11. 少なくとも、成形樹脂層と、項1〜10のいずれかに記載の加飾シートとが積層された加飾樹脂成形品であって、
前記加飾シートの基材層が前記成形樹脂層側に位置するようにして、前記加飾シートが積層されてなる、加飾樹脂成形品。
項12. 前記加飾樹脂成形品は、全光線透過率が1%以上、30%以下であり、ヘイズ値が20%以上、80%以下である、項11に記載の加飾樹脂成形品。
本発明によれば、加飾樹脂成形品に成形した場合において、光源の消灯時には優れた金属調の意匠を奏し、点灯時には光源からの透過光による優れた意匠を奏する加飾シート、及び当該加飾シートを利用した加飾樹脂成形品を提供することができる。
本発明に係る加飾シートの一例の略図的断面図である。 本発明に係る加飾シートの一例の略図的断面図である。 本発明に係る加飾シートの一例の略図的断面図である。 本発明に係る加飾シートの一例の略図的断面図である。
1.加飾シート
本発明の加飾シートは、少なくとも、基材層と、金属薄膜層とが積層された積層体からなり、以下の(1)〜(4)の要件を充足することを特徴とする。
(1)積層体の全光線透過率が1%以上、30%以下である。
(2)積層体を30%加熱伸長した際の積層体の全光線透過率が、積層体を加熱伸長する前の全光線透過率の±30%以内の値である。すなわち、加飾シートを構成する積層体を長さ方向(厚み方向と垂直方向)に30%加熱伸長した際の積層体の全光線透過率の変化率が±30%以内である。
(3)積層体のヘイズ値が20%以上、80%以下である。
(4)積層体を30%加熱伸長した際の積層体のヘイズ値が、積層体を加熱伸長する前のヘイズ値の±30%以内の値である。すなわち、加飾シートを構成する積層体を長さ方向(厚み方向と垂直方向)に30%加熱伸長した際の積層体のヘイズ値の変化率が±30%以内である。
本発明の加飾シートは、これらの要件を充足することにより、加飾シートを加飾樹脂成形品に成形した場合において、加飾樹脂成形品の裏面側に設けられた光源の消灯時には優れた金属調の意匠を奏し、点灯時には光源からの透過光による優れた意匠を奏する。より具体的には、本発明の加飾シートは、加飾樹脂成形品に成形した場合においても、光源の消灯時には優れた金属調の外観を有し、さらに光源の点灯時には、光源色の発現性に優れており、かつ、光源が金属薄膜に映し出されることによる意匠性の低下が効果的に抑制され、透過光による優れた意匠が奏されている。本発明の加飾シートにおいて、全光線透過率が高すぎる場合、光源の点灯時には、加飾樹脂成形品の裏面側に配置された光源が表面側に映し出されて意匠性が低下しやすくなり、光源の消灯時には、優れた金属調が奏されにくくなる。一方、全光線透過率が低すぎると、光源の点灯時において、光の透過による優れた意匠性が発現されにくくなる。また、本発明の加飾シートにおいて、ヘイズ値が低すぎる場合には、光源からの光の拡散が不十分となり、表面側に光源が映し出されて意匠性が低下しやすくなる。一方、ヘイズ値が高すぎると、光源の点灯時における光源による色調が表現し難くなり、光の透過による優れた意匠性が発揮され難くなる。さらに、加飾シートを30%加熱伸長した際の全光線透過率及びヘイズ値が伸長前の値から過度に変動してしまうと、加飾樹脂成形品の屈曲部など、加飾シートが大きく伸長されて用いられる領域において所望の意匠性が得られなくなる上、伸長の程度が小さな領域との間で外観が変化し、意匠性が損なわれることに繋がる。このように、本発明は、金属薄膜層が形成された成形に供される加飾シートにおいて、成形前後における全光線透過率とヘイズ値とを上記の特定範囲に設定することによって、加飾樹脂成形品とした際に、光源の点灯時及び消灯時のいずれにおいても優れた意匠性が発揮されることを見出しなされた発明である。なお、加飾シートを伸長するなどして成形すると、加飾シートが薄くなるため、全光線透過率は高くなる傾向がある一方、成形によって加飾シートを構成する樹脂がわずかに白化するなどして、全光線透過率が低下する傾向もある。このため、加飾シートの成形と全光線透過率との間に単純な相関関係を見出すことは困難である。また、ヘイズについても同様に、加飾シートの成形前後における単純な相関関係を見出すことは困難である。
本発明において、加飾シート及び後述の加飾樹脂成形品の全光線透過率及びヘイズ値は、それぞれ、JIS K 7136に準拠し、加飾シートの基材層側(裏面側)及び加飾樹脂成形品の成形樹脂層側(裏面側)から光を照射して、ヘイズメーターで測定して得られた値である。
加飾シートをより複雑な三次元曲面を有する加飾樹脂成形品に成形した場合においても、光源の消灯時には優れた金属調の意匠を奏し、点灯時には光源からの透過光による優れた意匠を奏する観点からは、本発明の加飾シートを構成する積層体を50%加熱伸長した際の積層体の全光線透過率が、積層体を加熱伸長する前の全光線透過率の±30%以内の値であることが好ましく、当該積層体を100%加熱伸長した際の積層体の全光線透過率が、積層体を加熱伸長する前の全光線透過率の±30%以内の値であることがさらに好ましい。また、同様の観点から、本発明の加飾シートを構成する積層体を50%加熱伸長した際の積層体のヘイズ値が、積層体を加熱伸長する前のヘイズ値の±30%以内の値であることが好ましく、積層体を100%加熱伸長した際の積層体のヘイズ値が、積層体を加熱伸長する前のヘイズ値の±30%以内の値であることがより好ましい。
さらに、同様の観点から、本発明の加飾シートを構成する積層体を30%加熱伸長した際、好ましくは50%伸長した際、さらに好ましくは100%伸長した際においても、積層体の全光線透過率が、1%以上、30%以下であることが特に好ましい。同様に、本発明の加飾シートを構成する積層体を30%加熱伸長した際、好ましくは50%伸長した際、さらに好ましくは100%伸長した際においても、積層体のヘイズ値が、20%以上、80%以下であることが特に好ましい。
加飾シートの積層構造
本発明の加飾シートは、少なくとも、基材層1と、金属薄膜層2とを有する積層構造を有する。本発明の加飾シートにおいて、金属薄膜層2の上には、加飾シートの耐傷付き性、耐候性を向上させることなどを目的として、必要に応じて、表面保護層を設けてもよい。基材層1と金属薄膜層2との間には、これらの層間の密着性を高めることなどを目的として、必要に応じて、接着層5を設けてもよい。また、基材層1と金属薄膜層2との間には、これらの層間の密着性を高めることや、金属薄膜層2に隣接する層による金属薄膜層2の劣化を抑制することなどを目的として、必要に応じて、第2のプライマー層6を設けてもよい。また、金属薄膜層2の上には、金属薄膜層2の金属調にさらに光沢性を付与すること等を目的として、必要に応じて、カラークリア層7を設けてもよい。また、第1のプライマー層3の上には、加飾シートの成形性を高めることなどを目的として、必要に応じて、透明フィルム層9などを設けてもよい。表面保護層4の直下には、表面保護層4とその下に形成される層との密着性を高めることなどを目的として、必要に応じて、第1のプライマー層3を設けてもよい。さらに、基材層1の下に、第2の接着層10などを設けてもよい。
本発明の加飾シートの積層構造として、基材層/金属薄膜層がこの順に積層された積層構造;基材層/金属薄膜層/第1のプライマー層/表面保護層がこの順に積層された積層構造;基材層/接着層/金属薄膜層/第1のプライマー層/表面保護層がこの順に積層された積層構造;基材層/接着層/第2のプライマー層/金属薄膜層/第1のプライマー層/表面保護層がこの順に積層された積層構造;基材層/接着層/第2のプライマー層/金属薄膜層/第3のプライマー層/カラークリア層/第1のプライマー層/表面保護層がこの順に積層された積層構造;基材層/接着層/第2のプライマー層/金属薄膜層/透明フィルム層/第1のプライマー層/表面保護層がこの順に積層された積層構造;基材層/接着層/第2のプライマー層/金属薄膜層/透明フィルム層/第3のプライマー層/カラークリア層/第1のプライマー層/表面保護層がこの順に積層された積層構造などが挙げられる。
図1に、本発明の加飾シートの積層構造の一態様として、基材層/金属薄膜層がこの順に積層された加飾シートの一例の略図的断面図を示す。図2に、本発明の加飾シートの積層構造の一態様として、基材層/金属薄膜層/第1のプライマー層/表面保護層がこの順に積層された加飾シートの一例の略図的断面図を示す。図3に、本発明の加飾シートの積層構造の一態様として、基材層/接着層/第2のプライマー層/金属薄膜層/第3のプライマー層/カラークリア層/第1のプライマー層/表面保護層がこの順に積層された加飾シートの一例の略図的断面図を示す。図4に、本発明の加飾シートの積層構造の一態様として、基材層/接着層/第2のプライマー層/金属薄膜層/透明フィルム層/第3のプライマー層/カラークリア層/第1のプライマー層/表面保護層がこの順に積層された加飾シートの一例の略図的断面図を示す。
加飾シートを形成する各層の組成
[基材層1]
基材層1は、本発明の加飾シートにおいて支持体としての役割を果たす樹脂シート(樹脂フィルム)により形成されている。基材層1に使用される樹脂成分については、特に制限されず、三次元成形性や成形樹脂層との相性等に応じて適宜選定すればよいが、本発明の上記(1)〜(4)の要件を充足する観点から、好ましくは、熱可塑性樹脂が挙げられる。熱可塑性樹脂としては、具体的には、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂(以下「ABS樹脂」と表記することもある);アクリロニトリル−スチレン−アクリル酸エステル樹脂;アクリル樹脂;ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン系樹脂;ポリカーボネート樹脂;塩化ビニル系樹脂;ポリエチレンテレフタラート(PET)等が挙げられる。これらの中でも、ABS樹脂が三次元成形性の観点から好ましい。基材層1を形成する樹脂成分としては、1種類のみを用いてもよいし、2種類以上を混合して用いてもよい。また、基材層1は、これら樹脂の単層シートで形成されていてもよく、また同種又は異種樹脂による複層シートで形成されていてもよい。
基材層1は、金属薄膜層2、第2のプライマー層6、接着層5などとの密着性を向上させるために、必要に応じて、片面又は両面に酸化法や凹凸化法等の物理的又は化学的表面処理が施されていてもよい。基材層1の表面処理として行われる酸化法としては、例えば、コロナ放電処理、プラズマ処理、クロム酸化処理、火炎処理、熱風処理、オゾン紫外線処理法等が挙げられる。また、基材層1の表面処理として行われる凹凸化法としては、例えばサンドブラスト法、溶剤処理法等が挙げられる。これらの表面処理は、基材層1を構成する樹脂成分の種類に応じて適宜選択されるが、効果及び操作性等の観点から、好ましくはコロナ放電処理法が挙げられる。
一般的な加飾シートにおいては、基材層1には、射出成形で成形樹脂層を形成する際に樹脂が焼きつくことで生じる変色を隠蔽すること等を目的として、着色剤等を配合することにより着色したり、色彩を整えるために塗装を施したりすることが多い。本発明においてもこれらの処理がなされていてもよいが、加飾シートの全光線透過率を所定の値に調整する観点からは、過度に着色や塗装を施さず、透明性の高い基材層1とすることが望ましい。
基材層1の厚みは、特に制限されず、加飾シートの用途等に応じて適宜設定されるが、本発明の上記(1)〜(4)の要件を充足する観点から、通常50〜800μm程度、好ましくは100〜600μm程度、さらに好ましくは200〜500μm程度が挙げられる。基材層1の厚みが上記範囲内であると、加飾シートに対してより一層優れた三次元成形性、意匠性などを備えさせることができる。
[接着層5]
接着層5は、基材層1と後述の金属薄膜層2などとの密着性を向上させるため、必要に応じて、基材層1と金属薄膜層2との間に設けられる層である。後述の通り、基材層1と金属薄膜層2との間に第2のプライマー層6を設ける場合、基材層1と第2のプライマー層6との間に接着層5を設けることができる。
接着層5を形成する樹脂は、基材層1と金属薄膜層2などとの密着性を向上させ得るものであれば特に制限はないが、本発明の上記(1)〜(4)の要件を充足する観点から、例えば熱可塑性樹脂が挙げられる。熱可塑性樹脂としては、特に制限されないが、例えば、アクリル樹脂;ポリプロピレン,ポリエチレン等のポリオレフィン樹脂;ポリカーボネート樹脂;ABS樹脂;ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル樹脂;ポリ塩化ビニル、塩素化ポリエチレン、ポリ塩化ビニリデン、エチレン−塩化ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−(メタ)アクリル共重合体などのポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ塩化プロピレン、塩素化ポリプロピレンなどの塩素系樹脂などが挙げられる。接着層5を形成する樹脂としては、基材層1と金属薄膜層2などとの密着性を高める観点から、好ましくは、アクリル樹脂、塩素系樹脂が用いられる。塩素系樹脂としては、基材層1と金属薄膜層2などとの密着性を高める観点などからは、好ましくは塩化ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体が挙げられ、より好ましくは塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体が挙げられる。接着層5を形成する樹脂としては、1種類単独で用いてもよいし、2種類以上を混合して用いてもよい。なお、本発明において、「(メタ)アクリル」とは「アクリル」及び「メタクリル」の総称であり、(メタ)の付く他の類似するものも同様の意である。
接着層5を形成する樹脂として、例えば、アクリル樹脂と塩素系樹脂との混合樹脂を用いる場合、基材層1と金属薄膜層2などとの密着性を高める観点からは、接着層5を形成する樹脂におけるアクリル樹脂と塩素系樹脂との質量比は、20/80〜80/20程度であることが好ましく、30/70〜70/30程度であることがより好ましい。
接着層5を設ける場合、接着層5の厚みは、特に制限されないが、基材層1と金属薄膜層2などとの密着性を高めつつ、本発明の上記(1)〜(4)の要件を充足する観点から、0.6〜3.5μm程度、好ましくは1〜2μm程度とすることができる。
接着層5の形成方法は、特に制限されない。接着層5は、例えば、基材層1、金属薄膜層2、第2のプライマー層6などのうち接着層5と隣接する層の表面上に上記の樹脂を塗工することにより形成することができ、例えばドライラミネート法などを用いることができる。
[第2のプライマー層6]
第2のプライマー層6は、金属薄膜層2とその下に位置するとの密着性を向上することや、金属薄膜層2の下に位置する層に含まれる成分(例えば塩素成分など)による金属薄膜層2の劣化を抑制することなどを目的として、必要に応じて設けられる層である。第2のプライマー層6は、例えば、基材層1と金属薄膜層2との間、上述の接着層5を有する場合には、接着層5と金属薄膜層2との間に設けられる。第2のプライマー層6は、基材層1と金属薄膜層2などとを密着させる機能を有する。基材層1と第2のプライマー層6との間に上記の接着層5が設けられている場合は、接着層5が基材層1と第2のプライマー層6とを密着させており、第2のプライマー層6が接着層5と金属薄膜層2とを密着させている。第2のプライマー層6を形成する素材は、これらの層間の密着性を向上させ得るものであれば、特に限定されないが、本発明の上記(1)〜(4)の要件を充足する観点から、例えば、アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、アクリル−ウレタン共重合体樹脂、ポリエステル系樹脂などの樹脂が挙げられる。
第2のプライマー層6の厚みは、特に限定されないが、本発明の上記(1)〜(4)の要件を充足する観点から、通常0.5〜2.5μm程度、好ましくは1〜2μm程度である。第2のプライマー層6には、着色剤を混合して、色彩を整えたり、意匠性を向上させることができ、さらには、デザイン的な観点での模様を形成することもできる。第2のプライマー層6の形成方法は、特に制限されないが、例えば、基材層1、金属薄膜層2などの表面上に上記の樹脂を塗布する方法などが挙げられる。
[金属薄膜層2]
金属薄膜層2は、基材層1の上に設けられ、加飾シートに金属表面と同様な金属調の意匠を付与する層である。本発明において、金属薄膜層2は、光透過性を有する。すなわち、金属薄膜層2は、本発明の加飾シートに対して基材層1側の光源から光が照射された際に、照射された光の少なくとも一部が金属薄膜層2を透過し、金属薄膜層2の表面において透過光による意匠性を認識できるものである。
金属薄膜層2を形成する金属としては、加飾樹脂成形品に成形した場合において、光源の消灯時には優れた金属調の意匠を付与し、点灯時には光源からの透過光による優れた意匠を付与できる金属であれば特に限定されないが、本発明の上記(1)〜(4)の要件を充足する観点から、例えば、スズ、インジウム、クロム、アルミニウム、ニッケル、銅、銀、金、白金、亜鉛、及びこれらのうち少なくとも1種を含む合金などが挙げられる。これらの中でも、伸展性に富むとの観点から、好ましくはスズ、インジウム、及びクロムが挙げられる。なお、伸展性に富む金属により金属薄膜層2が形成されていることにより、加飾シートを三次元成形した際にクラックが発生しにくいという利点を有する。金属薄膜層2は、1種類の金属により形成されていてもよく、2種類以上の金属により形成されていてもよい。
金属薄膜層2の形成方法は、特に制限されないが、加飾樹脂成形品に成形した場合において、本発明の上記(1)〜(4)の要件を充足し、光源の消灯時には優れた金属調の意匠を奏し、点灯時には光源からの透過光による優れた意匠を奏する観点から、例えば、上記の金属を用いた、真空蒸着法などの蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法などが好ましい。特に、真空蒸着法は、低コスト、被蒸着体へのダメージが少ないという点で好ましい。蒸着の条件は、用いる金属の溶融温度又は蒸発温度に応じて適宜設定すればよい。また、上記の形成方法以外に、上記の金属を含むペーストを塗工する方法、上記の金属を用いためっき法などを用いることもできる。
金属薄膜層2の厚みとしては、透光性を備えることができれば特に限定されないが、本発明の上記(1)〜(4)の要件を充足し、加飾樹脂成形品に成形した場合において、光源の消灯時には優れた金属調の意匠を奏し、点灯時には光源からの透過光による優れた意匠を奏する観点などからは、光学濃度(OD)値が好ましくは0.3〜1.8程度、より好ましくは0.5〜1.4程度が挙げられる。
[表面保護層4]
表面保護層4は、加飾シートの耐傷付き性、耐候性などを高めることを目的として、必要に応じて、加飾シートの最表面に設けられる層である。表面保護層4を形成する素材は、特に限定されないが、通常は樹脂が用いられ、本発明の上記(1)〜(4)の要件を充足する観点から、好ましくは電離放射線硬化性樹脂が用いられる。また、本発明の上記(1)〜(4)の要件を充足する観点から、表面保護層4として、後述の透明フィルム層9を構成する樹脂フィルムと同様の樹脂フィルムにより形成することも好ましい。表面保護層4は、例えば電離放射線硬化性樹脂または当該樹脂フィルムの1層により形成されていてもよいし、これらの2層以上により形成されていてもよい。以下、表面保護層4の形成に用いられる電離放射線硬化性樹脂について詳述する。
(電離放射線硬化性樹脂)
表面保護層4の形成に使用される電離放射線硬化性樹脂とは、電離放射線を照射することにより、架橋、硬化する樹脂であり、具体的には、分子中に重合性不飽和結合又はエポキシ基を有する、プレポリマー、オリゴマー、及びモノマーなどのうち少なくとも1種を適宜混合したものが挙げられる。ここで電離放射線とは、電磁波又は荷電粒子線のうち、分子を重合あるいは架橋しうるエネルギー量子を有するものを意味し、通常紫外線(UV)又は電子線(EB)が用いられるが、その他、X線、γ線等の電磁波、α線、イオン線等の荷電粒子線も含むものである。電離放射線硬化性樹脂の中でも、電子線硬化性樹脂は、無溶剤化が可能であり、光重合用開始剤を必要とせず、安定な硬化特性が得られるため、表面保護層4の形成において好適に使用される。
電離放射線硬化性樹脂として使用される上記モノマーとしては、分子中にラジカル重合性不飽和基を持つ(メタ)アクリレートモノマーが好適であり、中でも多官能性(メタ)アクリレートモノマーが好ましい。多官能性(メタ)アクリレートモノマーとしては、分子内に重合性不飽和結合を2個以上(2官能以上)、好ましくは3個以上(3官能以上)有する(メタ)アクリレートモノマーであればよい。多官能性(メタ)アクリレートとして、具体的には、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジシクロペンテニルジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性リン酸ジ(メタ)アクリレート、アリル化シクロヘキシルジ(メタ)アクリレート、イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらのモノマーは、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
また、電離放射線硬化性樹脂として使用される上記オリゴマーとしては、分子中にラジカル重合性不飽和基を持つ(メタ)アクリレートオリゴマーが好適であり、中でも分子内に重合性不飽和結合を2個以上(2官能以上)有する多官能性(メタ)アクリレートオリゴマーが好ましい。多官能性(メタ)アクリレートオリゴマーとしては、例えば、ポリカーボネート(メタ)アクリレート、アクリルシリコーン(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、ポリブタジエン(メタ)アクリレート、シリコーン(メタ)アクリレート、分子中にカチオン重合性官能基を有するオリゴマー(例えば、ノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、脂肪族ビニルエーテル、芳香族ビニルエーテル等)等が挙げられる。ここで、ポリカーボネート(メタ)アクリレートは、例えば、ポリカーボネートポリオールを(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。アクリルシリコーン(メタ)アクリレートは、シリコーンマクロモノマーを(メタ)アクリレートモノマーとラジカル共重合させることにより得ることができる。ウレタン(メタ)アクリレートは、例えば、ポリエーテルポリオールやポリエステルポリオールとポリイソシアネート化合物の反応によって得られるポリウレタンオリゴマーを、(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。エポキシ(メタ)アクリレートは、例えば、比較的低分子量のビスフェノール型エポキシ樹脂やノボラック型エポキシ樹脂のオキシラン環に、(メタ)アクリル酸を反応しエステル化することにより得ることができる。また、このエポキシ(メタ)アクリレートを部分的に二塩基性カルボン酸無水物で変性したカルボキシル変性型のエポキシ(メタ)アクリレートも用いることができる。ポリエステル(メタ)アクリレートは、例えば多価カルボン酸と多価アルコールの縮合によって得られる両末端に水酸基を有するポリエステルオリゴマーの水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより、或いは多価カルボン酸にアルキレンオキシドを付加して得られるオリゴマーの末端の水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。ポリエーテル(メタ)アクリレートは、ポリエーテルポリオールの水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。ポリブタジエン(メタ)アクリレートは、ポリブタジエンオリゴマーの側鎖に(メタ)アクリル酸を付加することにより得ることができる。シリコーン(メタ)アクリレートは、主鎖にポリシロキサン結合をもつシリコーンの末端又は側鎖に(メタ)(メタ)アクリル酸を付加することにより得ることができる。これらの中でも、本発明の上記(1)〜(4)の要件を充足する観点から、多官能性(メタ)アクリレートオリゴマーとしては、ポリカーボネート(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレートなどが特に好ましい。これらのオリゴマーは、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
これらの硬化性樹脂は1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
(他の添加成分)
表面保護層4を形成する電離放射線硬化性樹脂組成物には、表面保護層4に備えさせる所望の物性に応じて、または本発明の上記(1)〜(4)の要件を充足する目的で、各種添加剤を配合することができる。この添加剤としては、例えば紫外線吸収剤や光安定剤等の耐候性改善剤、耐摩耗性向上剤、重合禁止剤、架橋剤、赤外線吸収剤、帯電防止剤、接着性向上剤、レベリング剤、チクソ性付与剤、カップリング剤、可塑剤、消泡剤、充填剤、溶剤、着色剤、マット剤等が挙げられる。これらの添加剤は、常用されるものから適宜選択して用いることができ、例えばマット剤としてはシリカ粒子や水酸化アルミニウム粒子等が挙げられる。また、紫外線吸収剤や光安定剤として、分子内に(メタ)アクリロイル基等の重合性基を有する反応性の紫外線吸収剤や光安定剤を用いることもできる。
(表面保護層4の厚み)
表面保護層4の硬化後の厚みについては、特に制限されないが、本発明の上記(1)〜(4)の要件を充足する観点から、例えば、1〜1000μm、好ましくは1〜50μm、更に好ましくは1〜30μmが挙げられる。このような範囲の厚みを満たすと、耐傷付き性、耐候性等の表面保護層としての十分な物性が得られると共に、電離放射線を均一に照射することが可能であるため、均一に硬化することが可能となり、経済的にも有利になる。更に、表面保護層4の硬化後の厚みが前記範囲を充足することによって、加飾シートの三次元成形性が一層向上するため自動車内装用途等の複雑な三次元形状に対して高い追従性を得ることができる。このように、本発明の加飾シートは表面保護層4の厚みを従来のものより厚くしても、十分に高い三次元成形性が得られることから、特に表面保護層4に高い膜厚を要求される部材、例えば車両外装部品等の加飾シートとしても有用である。
(電離放射線硬化性樹脂を用いる場合の表面保護層4の形成)
表面保護層4の形成は、例えば、電離放射線硬化性樹脂を含む電離放射線硬化性樹脂組成物を調製し、これを塗布し、架橋硬化することにより行われる。なお、電離放射線硬化性樹脂組成物の粘度は、後述の塗布方式により、金属薄膜層2、第1のプライマー層3などの表面に未硬化樹脂層を形成し得る粘度であればよい。
本発明においては、調製された塗布液を、前記厚みとなるように、金属薄膜層2、第1のプライマー層3などの上に、グラビアコート、バーコート、ロールコート、リバースロールコート、コンマコート等の公知の方式、好ましくはグラビアコートにより塗布し、未硬化樹脂層を形成させる。
このようにして形成された未硬化樹脂層に、電子線、紫外線等の電離放射線を照射して該未硬化樹脂層を硬化させて表面保護層4を形成する。ここで、電離放射線として電子線を用いる場合、その加速電圧については、用いる樹脂や層の厚みに応じて適宜選定し得るが、通常加速電圧70〜300kV程度が挙げられる。
なお、電子線の照射において、加速電圧が高いほど透過能力が増加するため、表面保護層4の下に電子線照射によって劣化しやすい樹脂を使用する場合には、電子線の透過深さと表面保護層4の厚みが実質的に等しくなるように、加速電圧を選定する。これにより、表面保護層4の下に位置する層への余分の電子線の照射を抑制することができ、過剰電子線による各層の劣化を最小限にとどめることができる。
また、照射線量は、表面保護層4の架橋密度が飽和する量が好ましく、通常5〜300kGy(0.5〜30Mrad)、好ましくは10〜50kGy(1〜5Mrad)の範囲で選定される。
更に、電子線源としては、特に制限はなく、例えばコックロフトワルトン型、バンデグラフト型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器を用いることができる。
電離放射線として紫外線を用いる場合には、波長190〜380nmの紫外線を含む光線を放射すればよい。紫外線源としては、特に制限されないが、例えば、高圧水銀燈、低圧水銀燈、メタルハライドランプ、カーボンアーク燈等が挙げられる。
かくして形成された表面保護層4には、各種の添加剤を添加することにより、ハードコート機能、防曇コート機能、防汚コート機能、防眩コート機能、反射防止コート機能、紫外線遮蔽コート機能、赤外線遮蔽コート機能等の機能を付与する処理を行ってもよい。
なお、表面保護層4を後述の透明フィルム層9と同様の樹脂フィルムにより形成する場合には、透明フィルム層9と同様に、金属薄膜層2、第1のプライマー層3などの表面に樹脂フィルムを積層すればよい。また、本発明の上記(1)〜(4)の要件を充足する観点からは、マット剤等の添加剤を含む樹脂フィルムや、サンドブラスト加工等の表面加工を施された樹脂フィルムを用いることもできる。
[第1のプライマー層3]
第1のプライマー層3は、表面保護層4とその下に位置する層との密着性を高めることなどを目的として、必要に応じて、表面保護層4の下に設けられる層である。第1のプライマー層3は、例えば、表面保護層4と金属薄膜層2との間、表面保護層4と後述のカラークリア層7との間、表面保護層4と後述の透明フィルム層9との間などに設けられる。第1のプライマー層3を形成する素材は、これらの層間の密着性を向上させ得るものであれば、特に限定されないが、本発明の上記(1)〜(4)の要件を充足する観点から、例えば、アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、アクリル−ウレタン共重合体樹脂、ポリエステル系樹脂などの樹脂が挙げられる。
第1のプライマー層3の厚みは、特に限定されないが、本発明の上記(1)〜(4)の要件を充足する観点から、通常0.5〜2.5μm程度、好ましくは1〜2μm程度である。第1のプライマー層3には、着色剤を混合して、色彩を整えたり、意匠性を向上させることができ、さらには、デザイン的な観点での模様を形成することもできる。第1のプライマー層3の形成方法は、特に制限されないが、例えば、金属薄膜層4、カラークリア層7、透明フィルム層9、表面保護層2などのうち第1のプライマー層3と隣接する層の表面上に上記の樹脂を塗布する方法などが挙げられる。また、別途用意した離型用シートの上に上記の樹脂を塗布し、当該樹脂の上から、加飾シートにおいて第1のプライマー層3の下に位置することになる金属薄膜層2などの層をさらに形成した後、離型用シートを剥離することにより形成する方法なども挙げられる。
[カラークリア層7]
カラークリア層7は、金属薄膜層2の金属調にさらに光沢などを持たせること等を目的として、必要に応じて、金属薄膜層2の上に設けられる層である。カラークリア層7を形成する素材としては、特に限定されないが、本発明の上記(1)〜(4)の要件を充足する観点から、例えば、着色剤などにより着色された透明樹脂が挙げられる。着色剤としては、特に制限はないが、例えば、着色顔料、染料などが挙げられる。また、透明樹脂としては、特に制限はないが、本発明の上記(1)〜(4)の要件を充足する観点から、例えば、アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、アクリル−ウレタン共重合体樹脂、ポリエステル系樹脂などが挙げられる。カラークリア層7の厚みは、特に限定されないが、本発明の上記(1)〜(4)の要件を充足する観点から、通常0.5〜4μm程度、好ましくは1〜3μm程度である。カラークリア層7の形成方法は、特に制限されないが、例えば、第1のプライマー層3、金属薄膜層2、透明フィルム層9、第3のプライマー層8、表面保護層4などのうちカラークリア層7と隣接する層の表面上に上記の樹脂を塗布する方法などが挙げられる。
[第3のプライマー層8]
第3のプライマー層8は、カラークリア層7とその下に位置する層との密着性を高めること等を目的として、必要に応じて、カラークリア層7の下に設けられる層である。第3のプライマー層8は、例えば、カラークリア層7と金属薄膜層2との間や、カラークリア層7と後述の透明フィルム層9との間に設けられる。第3のプライマー層8を形成する素材は、これらの層間の密着性を向上させ得るものであれば、特に限定されないが、本発明の上記(1)〜(4)の要件を充足する観点から、例えば、アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、アクリル−ウレタン共重合体樹脂、ポリエステル系樹脂などの樹脂が挙げられる。
第3のプライマー層8の厚みは、特に限定されないが、本発明の上記(1)〜(4)の要件を充足する観点から、通常0.5〜2.5μm程度、好ましくは1〜2μm程度である。第3のプライマー層8には、着色剤を混合して、色彩を整えたり、意匠性を向上させることができ、さらには、デザイン的な観点での模様を形成することもできる。第3のプライマー層8の形成方法は、特に制限されないが、例えば、カラークリア層7、透明フィルム層9、金属薄膜層2などのうち第3のプライマー層8と隣接する層の表面上に上記の樹脂を塗布する方法などが挙げられる。
[透明フィルム層9]
透明フィルム層9は、本発明の加飾シートの耐傷付き性や耐候性を高めると共に、成形性を高める支持体としての役割を果たし、必要に応じて、金属薄膜層2の上に設けられる樹脂フィルムである。透明フィルム層9を備えることで成形性が高まり、加飾シートを三次元成形した際に金属薄膜層2にクラックが発生しにくくなるので、伸展性に富むスズ、インジウム、クロム以外の金属(例えばアルミニウムなど)を用いて金属薄膜層2を形成する場合には、透明フィルム層9を備えることが好ましい。透明フィルム層9を形成する樹脂フィルムとしては、加飾シートの成形性を高め、金属薄膜層2による金属調の意匠を隠蔽するものでなければ、特に限定されないが、本発明の上記(1)〜(4)の要件を充足する観点から、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル樹脂、またはアクリル樹脂などのフィルムが挙げられる。透明フィルム層9の厚みは、特に限定されないが、本発明の上記(1)〜(4)の要件を充足する観点から、通常15〜200μm程度、好ましくは30〜150μm程度である。透明フィルム層9を形成する方法は、特に制限されないが、例えば、表面保護層4、第1のプライマー層3、金属薄膜層2、カラークリア層7、第3のプライマー層8などのうち透明フィルム層9に隣接する層の表面上に上記の樹脂フィルムを積層する方法などが挙げられる。
[第2の接着層10]
第2の接着層10は、加飾シートと成形樹脂との接着性や密着性を向上させることなどを目的として、基材層1の裏面に必要に応じて設けられる層である。第2の接着層10を形成する樹脂としては、加飾シートと成形樹脂との接着性や密着性を向上させることができるものであれば、特に制限されず、例えば、熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂が用いられる。熱可塑性樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、アクリル変性ポリオレフィン樹脂、塩素化ポリオレフィン樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、熱可塑性ウレタン樹脂、熱可塑性ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ゴム系樹脂などが挙げられる。熱可塑性樹脂は、1種類単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。また、熱硬化性樹脂としては、例えば、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂等挙げられる。熱硬化性樹脂は、1種類単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
第2の接着層10は必ずしも必要な層ではないが、本発明の加飾シートを、後述する真空圧着法など、予め用意された樹脂成形体上へ貼着による加飾方法に適用することを想定した場合は、設けられていることが好ましい。真空圧着法に用いる場合、上記した各種の樹脂のうち、加圧又は加熱により接着性を発現する樹脂として慣用のものを使用して第2の接着層10を形成することが好ましい。
第2の接着層10の厚みは、特に制限されないが、例えば、0.1〜30μm程度、好ましくは0.5〜20μm程度、さらに好ましくは1〜8μm程度が挙げられる。
2.加飾樹脂成形品
本発明の加飾樹脂成形品は、本発明の加飾シートに成形樹脂を一体化させることにより成形されてなるものである。すなわち、本発明の加飾樹脂成形品は、少なくとも、成形樹脂層と、本発明の加飾シートとが積層された加飾樹脂成形品であって、加飾シートの基材層1が成形樹脂層7側に位置するようにして、加飾シートが積層されてなる。本発明の加飾樹脂成形品は、少なくとも、成形樹脂層と、基材層と、金属薄膜層と積層体からなり、必要に応じて、上述の接着層5、第1のプライマー層3、第3のプライマー層8、カラークリア層7、第2のプライマー層3、表面保護層4、透明フィルム層9などの少なくとも1層がさらに設けられていてもよい。
本発明の加飾樹脂成形品に対して、従来にない新規な意匠性を付与する観点から、上記の特定の全光線透過率とヘイズ値とを有する本発明の加飾シートを成形して得られる加飾樹脂成形品においても、全光線透過率が、本発明の加飾シートを成形する前の全光線透過率の±30%以内の値を有し、かつ、ヘイズ値が、本発明の加飾シートを成形する前のヘイズ値の±30%以内の値を有することが好ましい。さらに、本発明の加飾樹脂成形品は、全光線透過率が1%以上、30%以下であり、ヘイズ値が20%以上、80%以下であることが特に好ましい。これにより、本発明の加飾樹脂成形品は、光源の消灯時には優れた金属調の外観を有し、さらに光源の点灯時には、光源色の発現性に優れており、かつ、光源が金属薄膜に映し出されることによる意匠性の低下が効果的に抑制され、透過光による優れた意匠を奏する。
本発明の加飾樹脂成形品は、例えば、本発明の加飾シートを用いて、例えば、インサート成形法、射出成形同時加飾法、ブロー成形法、ガスインジェクション成形法等の各種射出成形法により作製される。これらの射出成形法の中でも、好ましくはインサート成形法及び射出成形同時加飾法が挙げられる。本発明の加飾樹脂成形品は、真空圧着法等の、予め用意された立体的な樹脂成形体(成形樹脂層)上に、本発明の加飾シートを貼着する加飾方法によっても作製することができる。
インサート成形法では、まず、真空成形工程において、本発明の加飾シートを真空成形型により予め成形品表面形状に真空成形(オフライン予備成形)し、次いで必要に応じて余分な部分をトリミングして成形シートを得る。この成形シートを射出成形型に挿入し、射出成形型を型締めし、流動状態の樹脂を型内に射出し、固化させて、射出成形と同時に樹脂成形物の外表面に加飾シートを一体化させることにより、加飾樹脂成形品が製造される。
より具体的には、下記の工程を含むインサート成形法によって、本発明の加飾樹脂成形品が製造される。
本発明の加飾シートを真空成形型により予め立体形状に成形する真空成形工程、
真空成形された加飾シートの余分な部分をトリミングして成形シートを得るトリミング工程、及び
成形シートを射出成形型に挿入し、射出成形型を閉じ、流動状態の樹脂を射出成形型内に射出して樹脂と成形シートを一体化する一体化工程。
インサート成形法における真空成形工程では、加飾シートを加熱して成形してもよい。この時の加熱温度は、特に限定されず、加飾シートを構成する樹脂の種類や、加飾シートの厚みなどによって適宜選択すればよいが、例えば基材層としてABS樹脂フィルムを用いる場合であれば、通常100〜250℃程度、好ましくは130〜200℃程度とすることができる。また、一体化工程において、流動状態の樹脂の温度は、特に限定されないが、通常180〜320℃程度、好ましくは220〜280℃程度とすることができる。
また、射出成形同時加飾法では、本発明の加飾シートを射出成形の吸引孔が設けられた真空成形型との兼用雌型に配置し、この雌型で予備成形(インライン予備成形)を行った後、射出成形型を型締めして、流動状態の樹脂を型内に射出充填し、固化させて、射出成形と同時に樹脂成形物の外表面に本発明の加飾シートを一体化させることにより、加飾樹脂成形品が製造される。
より具体的には、下記の工程を含む射出成形同時加飾法によって、本発明の加飾樹脂成形品が製造される。
本発明の加飾シートを、所定形状の成形面を有する可動金型の当該成形面に対し、加飾シートの基材層の表面が対面するように設置した後、当該加飾シートを加熱、軟化させると共に、可動金型側から真空吸引して、軟化した加飾シートを当該可動金型の成形面に沿って密着させることにより、加飾シートを予備成形する予備成形工程、
成形面に沿って密着された加飾シートを有する可動金型と固定金型とを型締めした後、両金型で形成されるキャビティ内に、流動状態の樹脂を射出、充填して固化させることにより樹脂成形体を形成し、樹脂成形体と加飾シートを積層一体化させる一体化工程、及び
可動金型を固定金型から離間させて、加飾シート全層が積層されてなる樹脂成形体を取り出す取出工程。
射出成形同時加飾法の予備成形工程において、加飾シートの加熱温度は、特に限定されず、加飾シートを構成する樹脂の種類や、加飾シートの厚みなどによって適宜選択すればよいが、基材層としてポリエステル樹脂フィルムやアクリル樹脂フィルムを使用する場合であれば、通常70〜130℃程度とすることができる。また、射出成形工程において、流動状態の樹脂の温度は、特に限定されないが、通常180〜320℃程度、好ましくは220〜280℃程度とすることができる。
真空圧着法では、まず、上側に位置する第1真空室及び下側に位置する第2真空室からなる真空圧着機内に、本発明の加飾シート及び樹脂成形体を、加飾シートが第1真空室側、樹脂成形体が第2真空室側となるように、且つ加飾シートの基材層1側が樹脂成形体側に向くように真空圧着機内に設置し、2つの真空室を真空状態とする。樹脂成形体は、第2真空室側に備えられた、上下に昇降可能な昇降台上に設置される。次いで、第1の真空室を加圧すると共に、昇降台を用いて成形体を加飾シートに押し当て、2つの真空室間の圧力差を利用して、加飾シートを延伸しながら樹脂成形体の表面に貼着する。最後に2つの真空室を大気圧に開放し、必要に応じて加飾シートの余分な部分をトリミングすることにより、本発明の加飾樹脂成形品を得ることができる。
真空圧着法においては、上記の成形体を加飾シートに押し当てる工程の前に、加飾シートを軟化させて成形性を高めるため、加飾シートを加熱する工程を備えることが好ましい。当該工程を備える真空圧着法は、特に真空加熱圧着法と呼ばれることがある。当該工程における加熱温度は、加飾シートを構成する樹脂の種類や、加飾シートの厚みなどによって適宜選択すればよいが、基材層としてポリエステル樹脂フィルムやアクリル樹脂フィルムを使用する場合であれば、通常60〜200℃程度とすることができる。
本発明の加飾樹脂成形品において、成形樹脂層を形成する樹脂としては、光源の消灯時には優れた金属調の意匠を付与し、点灯時には光源からの透過光による優れた意匠を付与できる樹脂であれば、特に制限されない。成形樹脂層を形成する樹脂としては、熱可塑性樹脂であってもよく、また熱硬化性樹脂であってもよい。
熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ABS樹脂、スチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、塩化ビニル系樹脂等が挙げられる。これらの熱可塑性樹脂は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
また、熱硬化性樹脂としては、例えば、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。これらの熱硬化性樹脂は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
成形樹脂層を形成する樹脂には、一般的に着色剤を含有させることで、樹脂成形体自体に着色を施すことが多い。一方、本発明の加飾シートを用いて、光源と組み合わせて使用される本発明の加飾樹脂成形品を作製する場合、当該加飾樹脂成形品の全光線透過率及びヘイズ値を所望の値とし、優れた意匠性を得る観点から、透明性の高い樹脂を用いることが望ましい。
本発明の加飾樹脂成形品は、光源の消灯時には優れた金属調の外観を有し、さらに光源の点灯時には、光源色の発現性に優れており、かつ、光源が金属薄膜層の表面に映し出されることによる意匠性の低下が効果的に抑制され、透過光による優れた意匠を有する。このため、バックライトなどの光源を用いて意匠が表出される光透過型の加飾樹脂成形品として好適に利用でき、例えば、自動車等の車両の内装材又は外装材;窓枠、扉枠等の建具;壁、床、天井等の建築物の内装材;テレビ受像機、空調機等の家電製品の筐体;容器等として利用することができる。
以下に、実施例及び比較例を示して本発明を詳細に説明する。ただし、本発明は、実施例に限定されない。
<実施例1〜8及び比較例1〜6>
(加飾シートの作製)
剥離シートとしての2軸延伸ポリエチレンテレフタレートシート(東洋紡績社製のA5101、厚み25μm)の上に、アクリル−ウレタンブロック共重合樹脂を塗工して、厚み2μmの透明な第1のプライマー層を形成した。次に、第1のプライマー層上に、同じくアクリル−ウレタンブロック共重合樹脂を塗工して、カラークリア層(厚み2μm)、第3のプライマー層(厚み2μm)を順に形成した。次に、第3のプライマー層の表面上にスズを蒸着して光学濃度値(OD)が1.2の金属薄膜層を形成した。次に、金属薄膜層の上に、ポリエステル系樹脂を塗工して第2のプライマー層(厚み2μm)を形成した。次に、第2のプライマー層の上に、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体を厚み2μmとなるように塗工して接着層を形成した。次に、接着層の上に厚み400μmのABS樹脂からなるシートを接触させて基材層を形成し、剥離層/第1のプライマー層/カラークリア層/第3のプライマー層/金属薄膜層/第2のプライマー層/接着層/基材層がこの順に積層された積層体を得た。
次に、この積層体の基材層側に、算術平均粗さRaが4.0μm、十点平均粗さRzJISが16μmの梨地柄の入ったステンレス製の金属板を配置し、剥離層側に算術平均粗さRaが0.05μmのステンレス製の鏡面板を配置し、この金属板と鏡面板で積層体を熱プレス成形した。熱プレス成形の条件は、温度150℃、圧力0.5MPa、加熱・加圧時間を10分間とした。次に、積層体から剥離層を剥離した。次に、第1のプライマー層の表面上に表1に記載の表面保護層を形成した。なお、表面保護層において、電離放射線硬化性樹脂組成物に含まれるシリカ粒子の平均粒子径は6〜7μm、水酸化アルミニウム粒子の平均粒子径は1〜4μmである。
電離放射線硬化性樹脂を用いた場合については、電離放射線硬化性樹脂組成物を、硬化後の厚みが10μmとなるようにしてグラビアリバースにて塗布して未硬化の樹脂層を形成した。この未硬化の樹脂層に加速電圧165kV、照射線量50kGy(5Mrad)の電子線を照射して、未硬化の樹脂層を硬化させて表面保護層を形成した。なお、電離放射線硬化性樹脂としては、2官能ポリカーボネートアクリレート(重量平均分子量1万)80質量部と、6官能ウレタンアクリレートオリゴマー(重量平均分子量6千)20質量部の混合物を用いた。また、表1に記載の樹脂フィルムを用いた場合について、ポリエチレンテレフタレートフィルム(PET)またはポリプロピレンフィルム(PP)を第1のプライマー層の上から積層した。また、比較例4及び5では、電離放射線硬化性樹脂による表面保護層を形成した後、その上からPETフィルムを積層した。以上のようにして、表1に示されるような構成を有する、基材層/接着層/第2のプライマー層/金属薄膜層/第3のプライマー層/カラークリア層/第1のプライマー層/表面保護層がこの順に積層された加飾シートを得た。
(全光線透過率及びヘイズ値の測定)
実施例1〜8及び比較例1〜6の加飾シート、当該加飾シートを90℃に加熱して50%、100%にそれぞれ加熱伸長した加飾シートについて、それぞれ、全光線透過率及びヘイズ値(実測値)をJIS K 7136に準拠し、ヘイズメーターで測定した。なお、全光線透過率及びヘイズ値の測定は、加飾シートの基材層側(裏面側)から光を照射して測定した値である。また、加熱伸長した加飾シートについて、加熱伸長前からの全光線透過率及びヘイズ値の変化率を、それぞれこれらの測定値から算出した。結果を表1に示す。
(加飾樹脂成形品の平滑面及び曲げR面の外観差の評価)
実施例1〜8及び比較例1〜6で得られた加飾シートを、次の工程によりインサート成形に供し、得られた加飾樹脂成形品の平滑面及び曲げR面の外観差の評価を行った。
〔真空成形工程〕
実施例1〜8及び比較例1〜6で得られた加飾シートが軟化する所定の温度(180℃)になるまでヒーターで加熱し、加熱され軟化した加飾シートに真空成形金型(最大伸長率150%)を押し付け、同時に真空成形金型から真空ポンプで空気を吸引し、加飾シートを真空成形金型にしっかりと密着させた。次に、真空成形金型に密着した加飾シートを冷却して、成形した加飾シートから真空成形金型をはずし、次に固定枠から成形された加飾シートをはずした。
〔トリミング工程〕
真空成形工程で得られた加飾シートの余分な部分を切り取り、所望の形状にトリミングする工程を行った。なお、トリミング工程は、レーザー、ダイカット型等を用いて行うことができるが、設備の観点から汎用されるダイカット型を用いてトリミングした。
〔樹脂射出工程〕
トリミング工程でトリミングされた加飾シートを、射出成形金型にはめ込み、基材層側に射出樹脂(透明ABS樹脂)を打ち込んだ。最後に射出成形金型から取り出して、加飾樹脂成形品を得た。得られた加飾樹脂成形品の平滑面及び曲げR面の外観差の評価を以下の基準により行った。
○:加飾成形品において、平滑面と曲げ部の色・艶等の外観上の差異が全くない
△:加飾成形品において、平滑面と曲げ部の色・艶等の外観上の差異が多少あるが、実用上問題ない
×:加飾成形品において、平滑面と曲げ部の色・艶等の外観上の差異が大きく、実用できるものではない
(メタリック感の評価)
上記で得られた加飾成形品について、下記のバックライト消灯時の表面保護層側の外観を目視で観察した。メタリック感を以下の基準により評価した。
○:色目が金属に近く、輝度も十分ある。
△:色目が金属に近く、輝度もある。
× : 金属感がなく、輝度がない。
(光源色の発現性の評価)
上記で得られた加飾樹脂成形品について、射出樹脂側(裏面側)の表面から3cm距離をおき、自動車用ルームランプ(RGBカラーLEDライト)をバックライト光源として白色光を点灯した。次に、表面保護層側の面(表面)から、分光放射照度計CL−500A(コニカミノルタ製)を用いて、JIS Z8726:1990に従って加飾樹脂成形品の平均演色評価数Raを測定した。この測定結果から、光源色の発現性を以下の基準により評価した。
◎:平均演色評価数Ra が、80以上であり、光源色の発現性に極めて優れている
○:平均演色評価数Ra が、60以上であり、光源色の発現性に優れている
△:平均演色評価数Ra が、40以上であり、実用上問題がない
×:平均演色評価数Ra が、40未満であり、実用できるものではない
(光源の目立ちの評価)
上記で得られた加飾樹脂成形品について、成形樹脂側(裏面側)の表面から3cm距離をおき、自動車用ルームランプ(RGBカラーLEDライト)をバックライト光源として白色光を点灯した。次に、表面保護層側の面(表面)から、加飾樹脂成形品の光透過性(光源の見え方)を目視で観察した。光源の目立ちを以下の基準により評価した。
○:光源の点灯時において、光源の形状・シルエットが全く見えず、優れた意匠性を有する
△:光源の点灯時において、光源の形状・シルエットが多少見えるが、意匠性は実用上問題ない
×:光源の点灯時において、光源の形状・シルエットが見え、意匠性の観点から実用には向かない
××:バックライト灯光時時、光源の形状・ニュアンスがはっきりと見え、意匠性の観点から実用できるものではない
表1に示されるように、本発明の加飾シートにおける全光線透過率及びヘイズ値の上記の(1)〜(4)の要件を全て充足する実施例1〜8の加飾シートでは、光源の消灯時における成形後の平滑面及び曲げR面の外観に差が全くないか、実用上問題ない程度の差であった。また、消灯時におけるメタリック感も良好であった。さらに、光源の点灯時における光源色の発現性も優れており、光源の目立ちについても実用上問題ない程度に抑制されていた。
一方、加飾シートの加熱伸長前における全光線透過率が小さく、ヘイズ値の大きな比較例1及び比較例4の加飾シートでは、光源色の発現性が悪く、実用できるものではなかった。また、加熱伸長前における全光線透過率の大きな比較例2の加飾シートでは、光源が目立ち、実用に向かないものであった。比較例3の加飾シートでは、加熱伸長前における全光線透過率が大きく、光源が目立ち過ぎて、実用できるものではなかった。加熱伸長前におけるヘイズ値の小さな比較例5の加飾シートでは、光源が目立ち、実用に向かないものであった。さらに、加熱伸長前における全光線透過率及びヘイズ値については、本発明の加飾シートにおける全光線透過率及びヘイズ値の上記の(1)及び(2)の要件を充足しないものの、全光線透過率及びヘイズ値の変化率が大きく、100%加熱伸長後においては、全光線透過率及びヘイズ値が上記の(1)及び(2)の要件を充足する比較例6の加飾シートにおいても、光源の消灯時における成形後の平滑面及び曲げR面の外観に差が大きく、実用できるものではなかった。
1…基材層
2…金属薄膜層
3…第1のプライマー層
4…表面保護層
5…接着層
6…第2のプライマー層
7…カラークリア層
8…第3のプライマー層
9…透明フィルム層

Claims (10)

  1. 少なくとも、成形樹脂層と、加飾シートとが積層された加飾樹脂成形品であって、
    前記加飾シートの基材層が前記成形樹脂層側に位置するようにして、前記加飾シートが積層されてなり、
    前記加飾シートは、少なくとも、基材層と、金属薄膜層とが積層された積層体からなり、
    前記金属薄膜層の上に、マット剤を含む表面保護層を有し、
    前記積層体の全光線透過率が1%以上、30%以下であり、
    前記積層体を30%加熱伸長した際の前記積層体の全光線透過率が、前記積層体を加熱伸長する前の全光線透過率の±30%以内の値であり、
    前記積層体のヘイズ値が20%以上、80%以下であり、
    前記積層体を30%加熱伸長した際の前記積層体のヘイズ値が、前記積層体を加熱伸長する前のヘイズ値の±30%以内の値である、加飾樹脂成形品。
  2. 前記積層体を50%加熱伸長した際の前記積層体の全光線透過率が、前記積層体を加熱伸長する前の全光線透過率の±30%以内の値であり、
    前記積層体を50%加熱伸長した際の前記積層体のヘイズ値が、前記積層体を加熱伸長する前のヘイズ値の±30%以内の値である、請求項1に記載の加飾樹脂成形品。
  3. 前記積層体を100%加熱伸長した際の前記積層体の全光線透過率が、前記積層体を加熱伸長する前の全光線透過率の±30%以内の値であり、
    前記積層体を100%加熱伸長した際の前記積層体のヘイズ値が、前記積層体を加熱伸長する前のヘイズ値の±30%以内の値である、請求項1または2に記載の加飾樹脂成形品。
  4. 前記積層体を30%加熱伸長した際の前記積層体の全光線透過率が、1%以上、30%以下であり、
    前記積層体を30%加熱伸長した際の前記積層体のヘイズ値が、20%以上、80%以下である、請求項1〜3のいずれかに記載の加飾樹脂成形品。
  5. 前記金属薄膜層が、スズ、インジウム、クロム、アルミニウム、ニッケル、銅、銀、金、白金、亜鉛、及びこれらのうち少なくとも1種を含む合金からなる群から選択された少なくとも1種の金属により形成されている、請求項1〜4のいずれかに記載の加飾樹脂成形品。
  6. 前記金属薄膜層の光学濃度(OD)値が、0.3〜1.8である、請求項1〜5のいずれかに記載の加飾樹脂成形品。
  7. 前記金属薄膜層と前記表面保護層との間にプライマー層を有する、請求項1〜6のいずれかに記載の加飾樹脂成形品。
  8. 前記基材層と前記金属薄膜層との間に接着層を有する、請求項1〜のいずれかに記載の加飾樹脂成形品。
  9. 前記金属薄膜層と前記表面保護層との間に透明フィルム層を有する、請求項1〜のいずれかに記載の加飾樹脂成形品。
  10. 前記加飾樹脂成形品は、全光線透過率が1%以上、30%以下であり、ヘイズ値が20%以上、80%以下である、請求項1〜のいずれかに記載の加飾樹脂成形品。
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