JP3340104B2 - マット感を有する成形同時加飾品とその製造方法 - Google Patents
マット感を有する成形同時加飾品とその製造方法Info
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Description
面に加飾用フィルムを一体化接着したマット感を有する
成形同時加飾品とその製造方法に関するものである。こ
の発明により得られるマット感を有する成形同時加飾品
としては、例えば、背面から照明を当てて用いる家電製
品(ビデオ、オーディオ製品等)のインジケータパネ
ル、車のメータパネル、カメラの意匠パネル等を挙げる
ことができる。
ト感(艶消し感)を現出するために、樹脂成形品の表面
にマット感を有する加飾用フィルムを一体化接着したも
のが知られている。従来、次のような方法によって製造
されたマット感を有する加飾用フィルムを樹脂成形品の
表面に一体化接着していた。 (1)透明基体フィルムの成膜時において、溶融または
溶解させた樹脂をフィルム状に引き伸ばし固化させる前
に、微細な凹凸を持ったエンボスロールで表面をプレス
し、透明基体フィルムの表面にエンボスロールの凹凸を
写しとる。 (2)透明基体フィルムの表面に、樹脂バインダーにマ
ット材を分散したインキをグラビア印刷等の方法でコー
ティング(膜厚1μm〜5μm程度)する。
たマット感を有する加飾用フィルムは、エンボスロール
表面をプレスするので、プレス圧の加減や、フィルム表
面の温度によって、透明基体フィルムに形成される凹凸
の深さや大きさが変化し、マット感が変化してしまいや
すかった。また、凹凸がフィルムの表皮部分にのみ形成
されるので、フィルムに入射した光線はフィルムの表皮
部分に至るまで拡散されずに直進し、フィルムの表皮に
到達して初めて拡散するため、ヘイズ値の高いマット感
が現出されたフィルムは得にくかった。ヘイズ値とは、
曇り状外観を表わす尺度であり、ヘイズ値が高い程、曇
りの度合いが高いことになる。したがって、このような
マット感を有する加飾用フィルムが樹脂成形品に一体化
接着した成形同時加飾品では十分なマット感を得にくか
った。
μm〜5μm程度のものであるため、マット感を高める
ことができなかった。マット感を高めようとして、マッ
ト層の膜厚より大きな粒径のマット材(例えば40μm
〜140μm)を使用すると、次のような問題があっ
た。すなわち、1)マット材がマット層から飛び出して
しまい、マット層を持ち上げることとなる結果、マット
層が透明基体フィルムから剥離する可能性があった。
2)マット層から飛び出したマット材が印刷時にドクタ
ーにひっかかりやすく印刷不良になる問題があった。
3)体積も重量も大きいためインキ中で分散しにくく、
マット感にムラが生じる恐れがあった。また、マット感
を高めようとしてマット材の量を多くすると、透明基体
フィルムとの接着機能を果たすべきインキ中の樹脂バイ
ンダーの割合が少なくなるため、透明基体フィルムの表
面にマット層が付着しにくくなった。また、マット層が
コーティングにより形成されているため、マット層に硬
いものが当たった場合、マット層が剥離や断裂しやすく
なり、マット感が変化する恐れがあった。また、前記成
形時の加熱や冷却に伴うマット層の伸縮応力によって透
明基体フィルムからマット層が剥離してしまうこともあ
った。したがって、このようなマット感を有する加飾用
フィルムが樹脂成形品に一体化接着した成形同時加飾品
では十分なマット感を得にくかった。
ルムが形成されていない側の面)から照明して用いる家
電製品(ビデオ、オーディオ製品等)のインジケータパ
ネルや、車のメータパネル等においては、背面の光源と
して輝度、光度が高いものが使用される傾向にあるが、
この場合、上記(1)(2)のいずれの加飾用フィルム
においても、マット層の光拡散の効果が弱まって見えや
すく、内部が透けて見えるという問題があった。
マット感では不十分な場合でも、樹脂成形品の凹凸面に
加飾用フィルムを一体化接着することにより、十分なマ
ット感を得ることができ、しかも、十分な光線透過率も
同時に得ることができるマット感を有する成形同時加飾
品とその製造方法を提供することにある。
めに、クレームのようにした。
明を詳しく説明する。この発明に用いるマット感を有す
る加飾用フィルムを先に説明する。
は、例えば、基体フィルム1上に絵柄層2、接着層3が
形成されたものがある(図1参照)。基体フィルム1の
透明性を表わすには、明るさの尺度としての全光線透過
率と、鮮明さの尺度としてのヘイズ値がある。全光線透
過率は、JISK7361−1(ISO13468−
1)に従い積分球式光線透過率測定装置を使用し、入射
光量(T1)と、試験片を透過した全光量(T2)との
比(Tt=T2/T1)を百分率で表わす。ヘイズ値
は、光が材料中を透過するとき、材料の種類によって反
射や吸収のほか、その材料の固有の性質によって光が散
乱され、不明瞭な曇り状外観を示すものがあるが、この
現象において、材料中に入射した光線が拡散する度合い
を数値化したもの(曇り値)である。霞度(かすみど)
ともいう。この値は、散乱光線透過率(Td)、全光線
透過率(Tt)との比(Td/Tt)を百分率で表わ
す。曇り値の測定には前記全光線透過率と同じような方
法が用いられる。この発明における基体フィルム1の全
光線透過率としては、60%〜98%のものを用いる。
その理由は、60%より小さいと背面の絵柄層2が見づ
らくなり、98%より大きいとマット感を認識しにくく
なるからである。また、この発明における基体フィルム
1のヘイズ値としては、65%〜95%のものを用い
る。その理由は、65%より小さいとマット感を認識し
にくくなり、95%より大きいと背面の絵柄層2が見づ
らくなるからである。
0μmが好ましい。その理由は、次の通りである。25
μmより薄いと、後述する絵柄層2を印刷する際にかけ
られるテンションまたは後述する予備成形する際にかけ
られるテンションに基体フィルム1の強度が耐えられ
ず、基体フィルム1が破断してしまいやすくなるからで
ある。一方、250μmより厚いと、後述する絵柄層2
を印刷する際に、基体フィルム1を巻き取るロールの径
が巨大になって印刷機に設置できないといった問題が起
ったり、巻き取れる長さが短くなって生産効率が阻害さ
れるといった問題が起こりやすくなるからである。ま
た、後述する加飾用フィルム5を三次元形状に予備成形
する際に、変形しにくくなるという問題もある。
エチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレ
ート樹脂等のポリエステル系樹脂、ポリプロピレン系樹
脂、ポリエチレン樹脂等のポリオレフィン系樹脂、ポリ
フッ化ビニル樹脂、ポリテトラクロロエチレン樹脂、ポ
リフッ化ビニリデン樹脂等のフッ素系樹脂、ポリ塩化ビ
ニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン等のビニル系樹脂、ポリ
カーボネート樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−ス
チレン共重合体、熱可塑性エラストマー樹脂、ポリアク
リレート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリスチレン樹脂、ポ
リビニルアルコール樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアリレ
ート樹脂、ポリエーテルケトン等の樹脂からなり透明又
は半透明の樹脂を挙げることができる。基体フィルム
は、着色透明顔料や染料を含ませて着色透明としてもよ
い。基体フィルム1は、一層からなっていてもよいし、
二以上の基体フィルムを積層したものでもよい。
ト感を現出するためのものであり、微粒子で構成され
る。マット材4の粒径としては、0.05μm〜150
μmのものが好ましい。その理由は、0.05μmより
小さいとヘイズ値が高すぎるものが得られやすくなり、
一方、150μmより大きいとマット材4がインキ中を
分散しにくくなりやすくなるからである。より好ましい
範囲は、0.1μm〜50μmである。
有機化合物がある。無機化合物としては、シリカ等の酸
化物、水酸化アルミニウム等の水酸化物、タルク、ケイ
酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム等のケイ酸塩、炭酸
マグネシウム、炭酸カルシウム等の炭酸塩、沈降性硫酸
バリウム等の硫酸塩、リン酸カルシウム等のリン酸塩、
炭素、その他、白色ドロマイド、カオリナイト等があ
る。有機化合物としては、アクリル系樹脂、アクリルウ
レタン系樹脂、スチレン系樹脂、シリコーン系樹脂、ナ
イロン系樹脂、ウレタン系樹脂、フッ素系樹脂、ベンゾ
グアナミン系樹脂、メラミン系樹脂、尿素系樹脂等の微
細粒子等がある。好ましくは、体質顔料のように粒子の
みでは白色の外観を呈し、樹脂成分中に含ませたときに
透明または半透明になるものがある。また、前記無機化
合物や有機化合物の微粒子を、ポリウレタン樹脂、アク
リル樹脂、ナイロン樹脂等で被覆したものでもよい。
立方体、紡鐘形状、柱状、不定形状等がある。特に、球
状のマット材4は、基体フィルム1の樹脂成分中に均一
に分散することができるので最も好ましい。その理由
は、マット材4どうしの接触面積が少ないため、2次凝
集しにくく、インキ中に均一に分散させやすいからであ
る。また、球状のマット材4は、絵柄層2の色により深
みを持たせることができるからである。球状のマット材
4は、濡れ色(俗に、ベルベットタッチともいう。)を
最も効果的に現出できるからである。
ては、基体フィルム1の総重量に対し3%〜20%(重
量%)とする。また、基体フィルム1は、全光線透過率
を60%〜98%、ヘイズ値を65%〜95%とする。
すなわち、基体フィルム1に入射した光線は、基体フィ
ルム1の内部を透過する際、マット材4に全く(あるい
はほとんど)衝突せずに基材フィルム1の背面にまで透
過してしまう光線と、フィルムの内部のマット材4に衝
突して拡散されてしまう光線とに別れるが、前記数値で
あると、マット材4に全く(あるいはほとんど)衝突せ
ずに基材フィルムの背面にまで透過してしまう光線と、
マット材4に衝突して拡散されてしまう光線との比率の
バランスがとれる。マット材4を樹脂成分に含ませる割
合を3%より小さくなるとマット感が不足しやすい。一
方、20%より大きくなるとマット材4の粒子の2次凝
縮が起こりやすくインキ中を分散しにくくなり、パター
ン全面が均一にマット感を得にくくなりやすい。なお、
基体フィルム1を透明着色とするために含ませる着色透
明顔料や絵柄層2に用いる着色透明顔料が、基体フィル
ム1の全光線透過率又はヘイズ値の数値に影響を与える
場合は、マット材4と着色透明顔料との合計重量が、基
体フィルム1の総重量に対し3%〜20%(重量%)と
なるようにするとよい。また、加飾用フィルム5が樹脂
成形品13に一体化接着させられる前に加熱軟化して三
次元形状に成形される場合、前記従来技術(1)で得た
加飾用フィルムでは、成形に伴う冷却の際においてマッ
ト感が弱くなることはあったが、この発明に係る加飾用
フィルム5では、このような問題も生じない。また、熱
のかかり方に偏りがある場合、前記従来技術(1)で得
た加飾用フィルムでは、一つの加飾用フィルム表面中に
マット感の異なる領域が生じることがあったが、この発
明に係る加飾用フィルム5ではこのような問題点も生じ
ず、全体として均一なマット感が得られる。
成分中に含ませる前の状態では白色であり、樹脂成分中
に含ませた場合は半透明に変色するものがある。
通りである。基体フィルム1とマット材4とを、例え
ば、重量比100:5〜100:15の割合となるよう
に混合し、これを、Tダイ押出し法やカレンダー法、エ
クストルージョン法、キャスト法等で作成すればよい。
なお、このフィルムの作成工程中に延伸工程を含んでい
てもよい。
様等を表現する層である。絵柄層2は、樹脂バインダ
ー、着色剤としての顔料または染料、および添加剤等を
含むインキを用いて形成される。絵柄層2に透明性を付
与するには、透明樹脂バインダーと着色透明顔料や透明
染料等からなる透明インキを用いればよい。絵柄層2に
隠蔽性を付与するには、樹脂バインダーと隠蔽性のある
金属顔料や無機顔料等からなる遮光性インキを用いれば
よい。絵柄層2に金属感を付与するためには、金属、金
属酸化物、金属フッ化物、金属ハロゲン化物、金属窒化
物、金属硫化物等の金属材料を用いて、真空蒸着やスパ
ッタリング、イオンプレーティング等によって形成する
とよい。
た加飾用フィルム5として、全光線透過率60%〜95
%の絵柄部分と全光線透過率5%〜0%の絵柄部分とを
併存して持つものが好ましい。その理由は、次のとおり
である。この発明の加飾品をインジケータパネルとして
用い、LED、豆電球等の光源10によって背面から照
明するとき、全光線透過率60%〜95%の絵柄部分1
1は光線が透過し、一方、全光線透過率5%〜0%の絵
柄部分12は光線が透過しない結果、全光線透過率60
%〜95%の絵柄部分によって形成されたインジケータ
の文字等のパターンのみが輝いて認識しやすくなる。し
かも、そのパターンは、マット感を有しているためにL
EDや豆電球の輪郭が認識されることなく、全面が均一
に輝いているように見える(図2参照)。
に充填した後冷却固化した樹脂成形品13の表面に上記
の各層を接着する層である。成形用樹脂がポリアクリル
系樹脂の場合は、接着層3としてポリアクリル系樹脂を
用いるとよい。また、成形用樹脂がポリフェニレンオキ
シド樹脂・ポリスチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹
脂、スチレン共重合体系樹脂、ポリスチレン系ブレンド
樹脂の場合は、これらの樹脂と親和性のあるポリアクリ
ル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂等を
使用すればよい。接着層3の形成方法としては、グラビ
アコート法、ロールコート法、コンマコート法等のコー
ティングや、グラビア印刷、スクリーン印刷法等の印刷
がある。接着層3の乾燥膜厚は、1μm〜5μmとする
のが一般的である。
前記した加飾用フィルム5を、キャビティ面の一部又は
全部に凹凸を有する金型のキャビティ面に基体フィルム
側が対向するように配置し、金型を閉めた後、キャビテ
ィ内で溶融された成形用樹脂と加飾用フィルムとを一体
化させ、成形用樹脂の冷却固化後に成形同時加飾品を金
型から取り出すことを特徴とするものである。
具体例を以下に示す。
ィ面の一部又は全部に凹凸を有する金型のキャビティ面
に基体フィルム側が対向するように配置する(図3参
照)。例えば、三次元形状に成形された加飾用フィルム
5の基体フィルム側が対向して密着するキャビティ型6
と、樹脂充填口7を有するコア型8とからなる金型を用
いるとよい。
着する面であるキャビティ面の一部又は全部には、凹凸
を有する。凹凸は、金型内のキャビティ型6とコア型8
のどちらか一方のキャビティ面に形成される(図3、図
4参照)。この凹凸は、通常「シボ」と呼ばれ、サンド
ブラスト法やエッチング法等で作成される。この凹凸
は、5μm〜250μmの段差を有するものがある。段
差とは、凹凸の凸部の最上部と凹部の最下部との高低差
のことである。段差の測定は、表面荒さ測定機、レーザ
ー深度計等を用い測定できる。凹凸の段差は全面均一で
もよいし、部分的に段差の異なる部分が並んでいてもよ
い。キャビティ面の凹凸の段差が5μmより小さいと、
加飾フィルムの厚さに比べて差がありすぎて、キャビテ
ィ面の凹凸が加飾フィルムに転移しにくくなるという不
具合がある。また、キャビティ面の凹凸の段差が250
μmより大きくなると、キャビティ面の凹凸が光拡散に
寄与する程度が低くなるからである。
ィ面に配置する前に、加飾用フィルムを金型のキャビテ
ィ面に沿う形状に予備成形してもよい。予備成形として
は、加熱を伴う真空成形法・圧空成形法およびこれらを
併用する真空・圧空成形法、熱せられたゴムを押しつけ
る押圧成形法、プレス成形法等がある。予備成形された
加飾用フィルム5の余分な部分を切除する方法として
は、トムソン打抜き法、金型によるプレス法等がある。
めして、成形用樹脂9が充填されるキャビティを形成
し、樹脂充填口7からキャビティ内に成形用樹脂9を充
填することによって、樹脂成形品13と加飾用フィルム
5を接着一体化させ、樹脂成形品13の冷却固化後に取
り出す(図4参照)。成形用樹脂9としては、アクリル
樹脂やポリカーボネート樹脂等を用いることができる。
成形用樹脂9は、全光線透過率60%〜99.9%まで
の透明または半透明性樹脂を用いるのが好ましい。その
理由は、この発明の加飾品を例えば、インジケータパネ
ルとして用いた場合において、LED、豆電球等の光源
によって背面から照明するときに、樹脂成形品13中を
光線を確実に透過させるためである。成形用樹脂9の具
体的としては、透明なABS樹脂、ポリスチレン樹脂、
AS樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、塩化
ビニル酢酸ビニル共重合体樹脂、乳酸系の生分解性プラ
スチック等を主成分とする樹脂等がある。
テル樹脂が40%のアロイ樹脂と粒径5μmの粒状シリ
カ(総重量に対して10%)とでコンパウンドとした。
これをTダイ法で押し出し130μmのフィルムとし
た。このフィルムを、JIS7361−1に従い、積分
球式光線透過率測定装置を使用して測定すると、全光線
透過率が80%、ヘイズ値が89%であった。このフィ
ルムを基体フィルムとして、その上に自動車用メーター
パネルのインジケータの目盛り等のパターンを構成する
絵柄層として隠蔽層(カーボンブラック含有層)と着色
透明層(青色透明染料含有層)とを印刷した。絵柄層と
基体フィルムとの積層部分のうち、隠蔽層が積層された
絵柄部分の全光線透過率は0%であり、隠蔽層に囲まれ
た領域に着色透明層が露出した透明窓となった絵柄部分
の全光線透過率は80%であった。絵柄層の上にポリエ
ステル樹脂からなる接着層を印刷した。以上のようにし
て、加飾用フィルムを得た。この加飾用フィルムを、3
00℃のヒーターで30秒間加熱して、加飾用フィルム
の表面温度を180℃にして軟化状態にした後、真空・
圧空成形して予備成形して絵柄層の前記パターンの部分
を立体形状とし、余分な部分を切除し、基体フィルム側
がキャビティ面に対向するように金型内にセットした。
キャビティ面の凹凸の段差は約25μm〜50μmであ
った。金型内に充填される成形用樹脂として全光線透過
率98%のアクリル樹脂を用いて射出成形して、成形用
樹脂と加飾用フィルムとを接着一体化させ、成形用樹脂
の冷却固化後に取り出し、自動車のメーターパネルを得
た。以上のようにして得られたマット感を有する成形同
時加飾品は、前記パターンの部分においては、予備成形
時にもマット感の変化はなかった。
レンテレフタレート樹脂が40%のアロイ樹脂と粒径5
μmの粒状シリカ(総重量に対して10%)とでコンパ
ウンドとした。これをTダイ法で押し出し100μmの
フィルムとした。このフィルムを、JIS7361−1
に従い、積分球式光線透過率測定装置を使用して測定す
ると、全光線透過率が85%、ヘイズ値が75%であっ
た。このフィルムを基体フィルムとして、その上に携帯
電話キーパッド用の0〜9の数字、アルファベット等の
文字等のパターンを構成する絵柄層としてポリカーボネ
ート樹脂を主成分とするインキで隠蔽層(カーボンブラ
ック含有層)と着色透明層(赤緑染料含有層)とを印刷
した。絵柄層と基体フィルムとの積層部分のうち、隠蔽
層が積層された絵柄部分の全光線透過率は0%であり、
隠蔽層に囲まれた領域に着色透明層が露出した透明窓と
なった絵柄部分の全光線透過率は80%であった。絵柄
層の上にウレタンビニル樹脂からなる接着層を印刷し
た。以上のようにして、加飾用フィルムを得た。この加
飾用フィルムを、300℃のヒーターで30秒間加熱し
て、加飾用フィルムの表面温度を180℃にして軟化状
態にした後、真空・圧空成形して予備成形して絵柄層の
前記パターンの部分を立体形状とし、余分な部分を切除
し、基体フィルム側がキャビティ面に対向するようにボ
タン部分が複数個独立したキャビティを有する金型内に
セットした。キャビティ面の凹凸の段差は約20μm〜
30μmであった。金型内に充填される成形用樹脂とし
て全光線透過率98%のアクリル樹脂を用いて射出成形
して、成形用樹脂と加飾用フィルムとを接着一体化さ
せ、成形用樹脂の冷却固化後に取り出し、自動車のメー
ターパネルを得た。以上のようにして得られたマット感
を有する成形同時加飾品は、前記パターンの部分は、予
備成形時にもマット感の変化はなかった。
飾品とその製造方法は、加飾フィルムにおいて、マット
感を現出するための層として、基体フィルムの総重量に
対し3%〜20%のマット材を含ませた全光線透過率6
0%〜98%、ヘイズ値65%〜95%の基体フィルム
を用いており、この加飾フィルムが一体化接着する樹脂
成形品には凹凸面が形成される。したがって、次のよう
な効果を奏する。 (1)マット感が変化してしまうことはない。また、基
体フィルムの内部の手前側から背面側に至るまでの様々
の個所で光線が拡散されるため、全光線透過率が高いに
もかかわらずヘイズ値の高いマット感が現出可能な成形
同時加飾品を得ることができる。 (2)得られるマット層の膜厚を分厚くすることが容易
であり、マット感を高めることを容易に行うことができ
る。また、マット層が剥離するということはあり得な
い。 (3)さらに、背面から照明を当てて用いると、加飾用
フィルム単独のマット感だけでは不十分となる場合で
も、樹脂成形品の凹凸面に加飾用フィルムを一体化接着
することにより、十分なマット感と十分な光線透過率と
を同時に得ることができる。
図である。
図である。
程の一例を示す断面図である。
程の一例を示す断面図である。
Claims (10)
- 【請求項1】 基体フィルムの総重量に対し3%〜20
%のマット材を含む全光線透過率60%〜98%、ヘイ
ズ値65%〜95%の基体フィルムの裏面に少なくとも
絵柄層を有する加飾用フィルムが、樹脂成形品の凹凸面
に一体化接着されたことを特徴とするマット感を有する
成形同時加飾品において、該樹脂成形品の凹凸面が5μ
m〜250μmの段差を有するものである成形同時加飾
品。 - 【請求項2】 基体フィルムの厚みが25μm〜250
μmである請求項1に記載のマット感を有する成形同時
加飾品。 - 【請求項3】 基体フィルムの総重量に対し3%〜20
%のマット材を含む全光線透過率60%〜98%、ヘイ
ズ値65%〜95%の基体フィルムの裏面に少なくとも
絵柄層を有し、かつ全光線透過率60%〜95%の絵柄
部分と全光線透過率5%〜0%の絵柄部分とを併存して
持つ加飾用フィルムが、樹脂成形品の凹凸面に一体化接
着されたことを特徴とするマット感を有する成形同時加
飾品。 - 【請求項4】 基体フィルムの総重量に対し3%〜20
%のマット材を含む全光線透過率60%〜98%、ヘイ
ズ値65%〜95%の基体フィルムの裏面に少なくとも
絵柄層を有する加飾用フィルムが、樹脂成形品の凹凸面
に一体化接着されたことを特徴とするマット感を有する
成形同時加飾品において、該樹脂成形品が全光線透過率
60%〜99.9%の透明または半透明性樹脂であるマ
ット感を有する成形同時加飾品。 - 【請求項5】 基体フィルムの総重量に対し3%〜20
%のマット材を含む全光線透過率60%〜98%、ヘイ
ズ値65%〜95%の基体フィルムの裏面に少なくとも
絵柄層を有する加飾用フィルムが、樹脂成形品の凹凸面
に一体化接着され、背面から照明を当てて用いることを
特徴とするマット感を有する成形同時加飾品。 - 【請求項6】 基体フイルムの総重量に対し3%〜20
%のマット材を含む全光線透過率60%〜98%、ヘイ
ズ値65%〜95%の基体フィルムの裏面に少なくとも
絵柄層を有する加飾用フィルムを、キャビティ面の一部
又は全部に凹凸を有する金型のキャビティ面に基体フィ
ルム側が対向するように配置し、金型を閉めた後、キャ
ビティ内で溶融された成形用樹脂と加飾用フィルムとを
一体化させ、成形用樹脂の冷却固化後に成形同時加飾品
を金型から取り出すことを特徴とするマット感を有する
成形同時加飾品の製造方法において、該金型のキャビテ
ィ面の凹凸が5μm〜250μmの段差を有するもので
あることを特徴とするマット感を有する成形同時加飾品
の製造方法。 - 【請求項7】 金型のキャビティ面に配置する前に、加
飾用フィルムを金型のキャビティ面に沿う形状に予備成
形する請求項6に記載のマット感を有する成形同時加飾
品の製造方法。 - 【請求項8】 マット感を有する加飾用フィルムの基体
フィルムの厚みが25μm〜250μmである請求項6
又は請求項7のいずれかに記載のマット感を有する成形
同時加飾品の製造方法。 - 【請求項9】 基体フイルムの総重量に対し3%〜20
%のマット材を含む全光線透過率60%〜98%、ヘイ
ズ値65%〜95%の基体フィルムの裏面に少なくとも
絵柄層を有し、かつ全光線透過率60%〜95%の絵柄
部分と全光線透過率5%〜0%の絵柄部分とを併存して
持つ加飾用フィルムを、キャビティ面の一部又は全部に
凹凸を有する金型のキャビティ面に基体フィルム側が対
向するように配置し、金型を閉めた後、キャビティ内で
溶融された成形用樹脂と加飾用フィルムとを一体化さ
せ、成形用樹脂の冷却固化後に成形同時加飾品を金型か
ら取り出すことを特徴とするマット感を有する成形同時
加飾品の製造方法 - 【請求項10】 成形用樹脂が全光線透過率60%〜9
9.9%の透明または半透明性樹脂である請求項9に記
載のマット感を有する成形同時加飾品の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP37338799A JP3340104B2 (ja) | 1999-12-28 | 1999-12-28 | マット感を有する成形同時加飾品とその製造方法 |
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