JP2021154654A - 積層体及び加飾物品 - Google Patents

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大輔 横山
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正博 安原
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Abstract

【課題】 光源の点灯時と消灯時とで異なる意匠を発現する積層体において、光源の消灯時の意匠を良好とし得る積層体を提供する。さらに、当該積層体を利用した加飾物品を提供する。【解決手段】 本開示の実施形態においては、積層体の構成を、第1主面と、第1主面とは反対側に位置する第2主面と、を備え、第1主面の側から第2主面の側に向かって、少なくとも、第1意匠層と、透明基材層と、を順に備える積層体であって、第1意匠層と透明基材層の間には、第2意匠層が部分的に設けられており、第2意匠層が透明基材層に埋め込まれている構成とすることで、上記課題を解決する。【選択図】 図1

Description

本開示は、積層体及び加飾物品に関する。
従来、車両内外装部品、建材内装材、家電筐体等には、樹脂成形品の表面に加飾シートを積層させた加飾樹脂成形品が使用されている。このような加飾樹脂成形品の製造においては、予め意匠が付与された加飾シートを、射出成形によって樹脂と一体化させる成形法などが用いられている。かかる成形法の代表的な例としては、加飾シートを真空成形型により予め立体形状に成形しておき、当該加飾シートを射出成形型に挿入し、流動状態の樹脂を型内に射出することにより樹脂と加飾シートとを一体化するインサート成形法などが挙げられる。
このような成形方法により得られる加飾樹脂成形品は、上記したように車両内外装部品などの各種用途で使用されるため、三次元成形に追従しうる三次元成形性や、表面の耐傷付き性などの表面特性の他、近年の消費者の嗜好の多様化に伴い、多様な意匠感が求められるようになっている。例えば、樹脂成形品に対して、模様の特定の部分に合わせて艶消しや凹凸を付与することによる質感の付与を行うなどの開発が進められてきた(例えば、特許文献1)。また、多様な意匠感を有するものとして、変化する意匠面を備えた合成樹脂成形部品が提案されている(例えば、特許文献2)。
さらに、加飾シートの観察者側とは反対側に光源が配置され、光源の点灯時と消灯時とで異なる意匠を発現する加飾シートも提案されている(例えば、特許文献3)。
特開2009−132145号公報 特開2010−125817号公報 特開2013−14051号公報
上記のように、光源の点灯時と消灯時とで異なる意匠を発現する加飾シートが知られている。このような加飾シートにおいては、光源の消灯時には、光源の点灯時に発現する意匠は視認されず、光源の点灯時のみ当該意匠が視認されることが望ましい。
しかしながら、従来の加飾シートにおいては、光源の消灯時にも、光源の点灯時に発現する意匠が視認される不具合を生じる場合がある。特に、2層の意匠層を配して光源の点灯時と消灯時とで異なる意匠を発現する加飾シートにおいて、光源側にパターン状の意匠層が設けられ(すなわち、全面では無く部分的に意匠層が設けられ)、観察者側に全面単色の意匠層が設けられている場合には、光源側の意匠層の意匠が、消灯時にも観察者側から視認されやすく、このような不具合を生じやすいという問題がある。
また、真空成形型により加飾シートを予め立体形状に成形する予備成形や、射出成形によって樹脂と一体化させる工程などにおいては、加飾シートに高い熱と圧力が加えられるため、成形前にはこのような不具合が生じなかった場合にも、成形後には不具合が生じる場合がある。
本開示は、上記のような課題に鑑みて、光源の消灯時の意匠を良好とし得る積層体を提供することを主たる目的とする。さらに、本開示は、当該積層体を利用した加飾物品を提供することも目的とする。
本開示の一実施形態は、第1主面と、前記第1主面とは反対側に位置する第2主面と、を備え、前記第1主面の側から前記第2主面の側に向かって、少なくとも、第1意匠層と、透明基材層と、を順に備える積層体であって、前記第1意匠層と前記透明基材層の間には、第2意匠層が部分的に設けられており、前記第2意匠層が前記透明基材層に埋め込まれている、積層体である。
本開示の一実施形態による積層体において、前記第2意匠層の厚さが、前記第1意匠層の厚さよりも厚くてもよい。
本開示の一実施形態による積層体において、前記第2意匠層の光学濃度が、前記第1意匠層の光学濃度よりも大きくてもよい。
本開示の一実施形態による積層体において、前記第1意匠層の前記第1主面の側に、保護層を備えていてもよい。
本開示の一実施形態による積層体において、前記保護層が、アクリル樹脂、または、電離放射線硬化性樹脂を含んでいてもよい。
本開示の一実施形態による積層体において、前記保護層と前記第1意匠層との間、または、前記第1意匠層と前記第2意匠層との間に、接着層を備えていてもよい。
本開示の一実施形態による積層体において、前記積層体が、シート状であってもよい。
本開示の一実施形態による積層体において、前記透明基材層の前記第2主面の側に、透明な成形樹脂層をさらに備えていてもよい。
本開示の一実施形態は、上記記載の積層体と、前記積層体の第2主面側に配置された光源と、を備える、加飾物品である。
本開示によれば、光源の点灯時と消灯時とで異なる意匠を発現する積層体において、光源の消灯時の意匠を良好とし得る積層体を提供することができる。さらに、本開示によれば、当該積層体を利用した加飾物品を提供することもできる。
本開示の積層体の一例の模式的断面図である。 本開示の積層体の他の例の模式的断面図である。 本開示の積層体の他の例の模式的断面図である。 本開示の積層体の他の例の模式的断面図である。 本開示の積層体を利用した加飾物品の一例の模式的断面図である。 従来の積層体の一例の模式的断面図である。
1.積層体
本開示の積層体は、第1主面と、前記第1主面とは反対側に位置する第2主面と、を備え、前記第1主面の側から前記第2主面の側に向かって、少なくとも、第1意匠層と、透明基材層と、を順に備える積層体であって、前記第1意匠層と前記透明基材層の間には、第2意匠層が部分的に設けられており、前記第2意匠層が前記透明基材層に埋め込まれている形態を有するものである。
本開示の積層体は、このような形態を備えていることにより、第2主面の側に光源を配置される場合に、光源の点灯時と消灯時とで異なる意匠を良好に発現することができる。
本開示の積層体は、車両内外装部品、建材内装材、家電筐体等の樹脂成形品の表面の加飾に好適に使用することができる。従って、本開示の積層体は、三次元成形用加飾シートとして好適に使用することができる。特に、本開示の積層体がシート状である場合には、三次元成形用加飾シートとして成形し、後述の成形樹脂層と積層して好適に加飾樹脂成形品とすることもできる。
以下、本開示の積層体について、図1から図4を参照しながら詳述する。なお、本明細書において、「以上」、「以下」と明記している箇所を除き、「〜」で示される数値範囲は「以上」、「以下」を意味する。例えば、2mm〜15mmとの表記は、2mm以上15mm以下を意味する。また、本明細書において、「(メタ)アクリレート」は、「アクリレートまたはメタクリレート」を意味し、他の類似するものも同様の意である。
本開示の積層体は、例えば、図1に示されるように、観察者側に配置される第1主面11と、第1主面11とは反対側に位置し、光源側に配置される第2主面12を備えている。
具体的には、本開示の一実施形態の積層体1が、車両内外装部品、建材内装材、家電筐体等の各種用途に用いられる際には、第1主面11が観察者側に配置され、第2主面12が光源側に配置される。
また、図1に示す積層体1は、少なくとも、第1意匠層14と、第2意匠層15と、透明基材層16とを備えている。そして、積層体1において、第2意匠層15は透明基材層16に埋め込まれている。
より詳しくは、図1に示すように、積層体1において第2意匠層15は、第1意匠層14と透明基材層16の間に部分的に設けられており、透明基材層16は第1主面11の側の面に凹凸形状を有し、この凹凸形状の凹部は第2意匠層15で充填されている。
別の表現をすれば、図1に示す積層体1において、第2意匠層15の下面(第2主面の側の面)は、透明基材層16の第1主面11の側の面の凹凸形状の凸部の上面(第1主面の側の面)よりも下側(第2主面の側)に位置する。
このため、観察者側(すなわち、第1主面11側)から見た場合、第1意匠層14の表面を従来よりも平坦にすることができ、消灯時において第2意匠層15に基づく意匠が視認され難くなる。
上記について、図6を用いて、より詳しく説明する。ここで、図6は、従来の積層体の一例の模式的断面図である。
図6に示すように、従来の積層体100も、少なくとも、第1意匠層114と、第2意匠層115と、透明基材層116とを備えている。
しかしながら、従来の積層体100において、第2意匠層115は単に平坦な透明基材層116の面上に印刷等の方法によって、部分的に形成されているだけであり、第2意匠層115は透明基材層116に埋め込まれておらず、第2意匠層115の膜厚に応じて透明基材層116の面より上側に突出している。
それゆえ、第1意匠層114の形態も、部分的に存在する第2意匠層115に応じて表面が凹凸形状を有する形態となる。
このため、観察者側(すなわち、第1主面111側)から見た場合、第1主面111側から保護層113に入射する光は、第1意匠層114の表面の凹凸形状で散乱して反射されるため、消灯時においても、第1意匠層114の表面の凹凸形状(すなわち、第2意匠層115に基づく意匠)が視認されやすくなる。特に、第1意匠層114が全面単色の意匠層であり、第2意匠層115がパターン状の意匠層である場合に、視認されやすくなる。
これに対し、図1に示す本開示の積層体1は、第2意匠層15が透明基材層16に埋め込まれており、第2意匠層15が透明基材層16の面より上側に突出することを抑制できる。それゆえ、図1に示す積層体1においては、第1意匠層14の第1主面11側の表面を、図6に示す従来の積層体100の第1意匠層114の第1主面111側の表面よりも平坦にすることができる。
換言すれば、図1に示す積層体1においては、部分的に存在する第2意匠層15に係わらず、第1意匠層14の第1主面11側の表面を平坦にすることが可能になる。
このため、図1に示す積層体1においては、たとえ、第1意匠層14が全面単色の意匠層であり、第2意匠層15がパターン状の意匠層である場合であっても、観察者側(すなわち、第1主面11側)から見た場合、第1主面11側から保護層113に入射する光は、第1意匠層14の表面で、第2意匠層15に基づく意匠の影響を受けて散乱することなく反射される(換言すれば、第2意匠層15のパターンに係わらず、第1意匠層14の第1主面11側の表面で一様に反射される)ため、消灯時においても、第2意匠層15に基づく意匠は視認され難くなる。
図1に示す積層体1のように、第2意匠層15が透明基材層16に埋め込まれている形態の積層体を作製するには、例えば、加熱等により透明基材層16の表面を溶融させ、その溶融した透明基材層16の表面に第2意匠層15を押圧等により埋め込む方法を挙げることができる。
上記の加工には、例えば、熱プレス機を用いることができ、加工条件としては、例えば、温度110℃〜130℃、圧力0.3MPa〜0.8MPa程度で8分〜60分の加工条件を挙げることができる。
なお、図1に示す積層体1は、第2意匠層15が透明基材層16に埋め込まれているが、この第2意匠層15は厚さを有している。それゆえ、この第2意匠層15の厚さと第1意匠層14の厚さを合わせた厚さは、第1意匠層14のみの厚さよりも厚い。
より詳しくは、図1に示す積層体1において、第2意匠層15が設けられている部分における、第2意匠層15の厚さと、この第2意匠層15の第1主面11の側に設けられている第1意匠層14の厚さとを合わせた厚さは、第2意匠層15が設けられていない部分における、第1意匠層14の厚さよりも厚い。
この厚さの違いにより、図1に示す積層体1においては、第2主面12側から光源を点灯され、第1主面11側から観察されることで、第2意匠層15に基づく意匠が視認される。
ここで、第2意匠層15の光学濃度は、第1意匠層14の光学濃度よりも大きいことが好ましい。
第2意匠層15の光学濃度が、第1意匠層14の光学濃度よりも大きい場合、第2主面12側に配置された光源からの光は、第1意匠層14のみが設けられた部分においては、より高い透過率で透過するが、第2意匠層15が存在する部分では透過率が大きく低下し、第1主面11側からの観察で第2意匠層15に基づく意匠がより明確に視認されることになるからである。
逆に、第2意匠層15の光学濃度が、第1意匠層14の光学濃度よりも小さい場合、第1意匠層14の光学濃度が支配的になってしまい、第2主面12側に配置された光源からの光に対して、第2意匠層15が存在する部分と存在しない部分における透過率の差が小さくなり、第1主面11側からの観察で、第2意匠層15に基づく意匠を視認することが困難になる。
第2意匠層15の光学濃度を、第1意匠層14の光学濃度よりも大きくするには、例えば、積層体1における第2意匠層15の厚さを第1意匠層14の厚さよりも厚くすればよい。
また、本開示の積層体は、第1意匠層の第1主面側に、保護層を備えていることが好ましい。積層体の表面に耐傷性、耐薬品性などの表面保護性能を付与することができるからである。例えば、図1に示す積層体1は、第1意匠層14の第1主面11側に、保護層13を備えている。
また、本開示の積層体は、必要に応じて、接着層を備えていても良い。例えば、図2に示す積層体1Aのように、保護層13と第1意匠層14との間に接着層17を備えていてもよい。また、本開示の積層体は、第1意匠層14と第2意匠層15との間に接着層17を備える構成であっても良い。
この接着層17は、接着層17を介して上下層を貼り合わせるために用いられるものであり、典型的には、ドライラミネーション工程で用いられる。但し、従来のドライラミネーション工程を用いて製造される積層体においては、上述のような、光源側の意匠層の意匠が消灯時にも観察者側から視認されやすいという問題に加えて、このドライラミネーション工程における気泡の残留(いわゆるエア噛み)が生じやすいという問題も起きていた。
上記のように、従来の積層体においては、第2意匠層は透明基材層に埋め込まれておらず、それゆえ、部分的に存在する第2意匠層に応じて、第1意匠層の形態も表面が凹凸形状を有する形態となる。そして、ドライラミネーション工程では、この表面に凹凸形状を有する第1意匠層の露出面と、接着層を備えた保護層の接着層の露出面とを貼り合わせることになるが、この際、第1意匠層と接着層との界面で、第1意匠層の表面の凹凸形状の凹部に混入した気泡が残留する、いわゆるエア噛みという現象が生じやすくなる。
そして、このような状況にあって、前述する真空成形法や射出成形法を用いた同時加飾を行った場合、残留した気泡が熱により膨張しつつ最終的には積層体の第1主面側に移動し、積層体の表面を荒らしてしまい、意匠性を損ねる原因となっていた。
これに対し、図2に示す本開示の積層体1Aにおいては、第2意匠層15が透明基材層16に埋め込まれており、第1意匠層14の第1主面11側の表面を平坦にすることができる。
このため、図2に示す本開示の積層体1Aにおいては、ドライラミネーション工程で、この表面平坦な第1意匠層14の露出面と、接着層17を備えた保護層13の接着層117の露出面とを貼り合わせても、第1意匠層14の表面には気泡が混入する凹部が存在しないため、上記のような気泡の残留(いわゆるエア噛み)という現象が生じることを防止できる。それゆえ、本開示の積層体1Aにおいては、真空成形法や射出成形法を用いた同時加飾を行った場合においても、残留した気泡に起因して意匠性が損なわれることを防止できる。
なお、この図2に示す積層体1Aにおいても、図1に示す積層体1と同様に、第2意匠層15は透明基材層16に埋め込まれており、第1意匠層14の第1主面11側の表面を平坦にすることができる。
このため、たとえ、第1意匠層14が全面単色の意匠層であり、第2意匠層15がパターン状の意匠層である場合であっても、観察者側(すなわち、第1主面11側)から見た場合、第1主面11側から保護層13に入射する光は、第1意匠層14の表面で、第2意匠層15に基づく意匠の影響を受けて散乱することなく反射される(換言すれば、第2意匠層15のパターンに係らず、第1意匠層14の第1主面11側の表面で一様に反射される)ため、消灯時においても、第2意匠層15に基づく意匠は視認され難くなる。
なお、この図2に示す積層体1Aにおいても、図1に示す積層体1と同様に、第1意匠層の第1主面11の側に、保護層を備えていることが好ましい。積層体の表面に耐傷性、耐薬品性などの表面保護性能を付与することができるからである。例えば、図2に示す積層体1Aは、第1意匠層14の第1主面11側に、保護層13を備えている。
また、本開示の積層体は、透明基材層の第2主面側に、透明な成形樹脂層をさらに備えていてもよい。本開示の積層体がシート状である場合、成形樹脂層と積層して好適に加飾樹脂成形品とすることができる。例えば、図3に示す本開示の積層体1B、および図4に示す本開示の積層体1Cは、透明基材層16の第2主面12側に、成形樹脂層18を備えている。
なお、図3に示す積層体1Bは、図1に示す積層体1の第2主面12側に成形樹脂層18を備えたものに相当する。また、図4に示す積層体1Cは、図2に示す積層体1Aの第2主面12側に成形樹脂層18を備えたものに相当する。
ここで、上記のように、透明基材層16の第2主面12側に成形樹脂層18を積層する場合には、密着性を高めることを目的として、透明基材層16の第2主面12側には、必要に応じて、裏面接着層(図示を省略する)を設けてもよい。
また、本開示の積層体は、各層間の密着性を高めることなどを目的として、必要に応じて、各層間にプライマー層(図示を省略する)を設けてもよい。
また、本開示の積層体には、積層体または後述する加飾物品に付与する機能に応じて、その他の層をさらに1層以上積層してもよい。
以下、本開示の積層体を構成する各層について説明する。
[保護層13]
保護層13は、積層体の耐薬品性、耐傷付き性などを高めるために、積層体の最表面に位置するようにして、必要に応じて設けられる層である。本開示の実施形態において、保護層13を形成する樹脂としては、特に制限されず、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、電離放射線硬化性樹脂などが挙げられる。
これらの中でも、積層体の表面の平滑性をより効果的に高め、さらに、耐傷付き性を高め、優れた表面特性を付与する観点からは、電離放射線硬化性樹脂が好ましいが、保護層13を形成する樹脂は、積層体の用途に応じて適宜選択することができる。
(電離放射線硬化性樹脂)
保護層13の形成に使用される電離放射線硬化性樹脂とは、電離放射線を照射することにより、架橋、硬化する樹脂であり、具体的には、分子中に重合性不飽和結合又はエポキシ基を有する、プレポリマー、オリゴマー、及びモノマーなどのうち少なくとも1種を適宜混合したものが挙げられる。
ここで電離放射線とは、電磁波又は荷電粒子線のうち、分子を重合あるいは架橋しうるエネルギー量子を有するものを意味し、通常、紫外線(UV)又は電子線(EB)が用いられるが、その他、X線、γ線等の電磁波、α線、イオン線等の荷電粒子線も含むものである。電離放射線硬化性樹脂の中でも、電子線硬化性樹脂は、無溶剤化が可能であり、光重合用開始剤を必要とせず、安定な硬化特性が得られるため、保護層13の形成において好適に使用される。
電離放射線硬化性樹脂として使用される上記モノマーとしては、分子中にラジカル重合性不飽和基を持つ(メタ)アクリレートモノマーが好適であり、中でも多官能性(メタ)アクリレートモノマーが好ましい。多官能性(メタ)アクリレートモノマーとしては、分子内に重合性不飽和結合を2個以上(2官能以上)、好ましくは3個以上(3官能以上)有する(メタ)アクリレートモノマーであればよい。多官能性(メタ)アクリレートとして、具体的には、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジシクロペンテニルジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性リン酸ジ(メタ)アクリレート、アリル化シクロヘキシルジ(メタ)アクリレート、イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらのモノマーは、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
また、電離放射線硬化性樹脂として使用される上記オリゴマーとしては、分子中にラジカル重合性不飽和基を持つ(メタ)アクリレートオリゴマーが好適であり、中でも分子内に重合性不飽和結合を2個以上(2官能以上)有する多官能性(メタ)アクリレートオリゴマーが好ましい。多官能性(メタ)アクリレートオリゴマーとしては、例えば、ポリカーボネート(メタ)アクリレート、アクリルシリコーン(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、ポリブタジエン(メタ)アクリレート、シリコーン(メタ)アクリレート、分子中にカチオン重合性官能基を有するオリゴマー(例えば、ノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、脂肪族ビニルエーテル、芳香族ビニルエーテル等)等が挙げられる。ここで、ポリカーボネート(メタ)アクリレートは、ポリマー主鎖にカーボネート結合を有し、かつ末端または側鎖に(メタ)アクリレート基を有するものであれば特に制限されず、例えば、ポリカーボネートポリオールを(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。ポリカーボネート(メタ)アクリレートは、例えば、ポリカーボネート骨格を有するウレタン(メタ)アクリレートなどであってもよい。ポリカーボネート骨格を有するウレタン(メタ)アクリレートは、例えば、ポリカーボネートポリオールと、多価イソシアネート化合物と、ヒドロキシ(メタ)アクリレートとを反応させることにより得られる。アクリルシリコーン(メタ)アクリレートは、シリコーンマクロモノマーを(メタ)アクリレートモノマーとラジカル共重合させることにより得ることができる。ウレタン(メタ)アクリレートは、例えば、ポリエーテルポリオールやポリエステルポリオールとポリイソシアネート化合物の反応によって得られるポリウレタンオリゴマーを、(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。エポキシ(メタ)アクリレートは、例えば、比較的低分子量のビスフェノール型エポキシ樹脂やノボラック型エポキシ樹脂のオキシラン環に、(メタ)アクリル酸を反応しエステル化することにより得ることができる。また、このエポキシ(メタ)アクリレートを部分的に二塩基性カルボン酸無水物で変性したカルボキシル変性型のエポキシ(メタ)アクリレートも用いることができる。ポリエステル(メタ)アクリレートは、例えば多価カルボン酸と多価アルコールの縮合によって得られる両末端に水酸基を有するポリエステルオリゴマーの水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより、或いは多価カルボン酸にアルキレンオキシドを付加して得られるオリゴマーの末端の水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。ポリエーテル(メタ)アクリレートは、ポリエーテルポリオールの水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。ポリブタジエン(メタ)アクリレートは、ポリブタジエンオリゴマーの側鎖に(メタ)アクリル酸を付加することにより得ることができる。シリコーン(メタ)アクリレートは、主鎖にポリシロキサン結合をもつシリコーンの末端又は側鎖に(メタ)(メタ)アクリル酸を付加することにより得ることができる。これらの中でも、多官能性(メタ)アクリレートオリゴマーとしては、ポリカーボネート(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレートなどが特に好ましい。これらのオリゴマーは、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
上記した電離放射線硬化性樹脂の中でも、優れた三次元成形性を得る観点からは、ポリカーボネート(メタ)アクリレートを用いることが好ましい。また、三次元成形性と耐傷付き性を両立する観点からは、ポリカーボネート(メタ)アクリレートとウレタン(メタ)アクリレートを組み合わせて使用することがより好ましい。
(他の添加成分)
保護層13を形成する電離放射線硬化性樹脂組成物には、保護層13に備えさせる所望の物性に応じて、上記の無機粒子及び有機粒子の他、各種添加剤を配合することができる。この添加剤としては、例えば紫外線吸収剤や光安定剤等の耐候性改善剤、耐摩耗性向上剤、重合禁止剤、架橋剤、赤外線吸収剤、帯電防止剤、接着性向上剤、レベリング剤、チクソ性付与剤、カップリング剤、可塑剤、消泡剤、充填剤、溶剤、着色剤、マット剤等が挙げられる。これらの添加剤は、常用されるものから適宜選択して用いることができ、例えばマット剤としてはシリカ粒子や水酸化アルミニウム粒子等が挙げられる。また、紫外線吸収剤や光安定剤として、分子内に(メタ)アクリロイル基等の重合性基を有する反応性の紫外線吸収剤や光安定剤を用いることもできる。
(電離放射線硬化性樹脂の厚み)
保護層13を形成する電離放射線硬化性樹脂の厚みについては、特に制限されないが、好ましくは30μm以下、より好ましくは5μm〜20μm程度、より好ましくは7μm〜15μm程度が挙げられる。なお、保護層13を電離放射線硬化性樹脂などの硬化性樹脂を用いて形成する場合、上記の厚みは硬化後の厚みを示す。
(電離放射線硬化性樹脂を用いる場合の保護層13の形成)
保護層13の形成は、例えば、電離放射線硬化性樹脂を含む電離放射線硬化性樹脂組成物を調製し、これを塗布し、架橋硬化することにより行われる。本開示の実施形態においては、調製された塗布液を、保護層13の下に位置する層の上に、グラビアコート、バーコート、ロールコート、リバースロールコート、コンマコート等の公知の方式、好ましくはグラビアコートにより塗布し、未硬化樹脂層を形成させる。
このようにして形成された未硬化樹脂層に、電子線、紫外線等の電離放射線を照射して該未硬化樹脂層を硬化させて保護層13を形成する。ここで、電離放射線として電子線を用いる場合、その加速電圧については、用いる樹脂や層の厚みに応じて適宜選定し得るが、通常加速電圧70kV〜300kV程度が挙げられる。
なお、電子線の照射において、加速電圧が高いほど透過能力が増加するため、保護層13の下に電子線照射によって劣化しやすい樹脂を使用する場合には、電子線の透過深さと表面保護層5の厚みが実質的に等しくなるように、加速電圧を選定する。これにより、保護層13の下に位置する層への余分の電子線の照射を抑制することができ、過剰電子線による各層の劣化を最小限にとどめることができる。
また、照射線量は、保護層13の架橋密度が飽和する量が好ましく、通常5kGy〜300kGy(0.5Mrad〜30Mrad)、好ましくは10kGy〜50kGy(1Mrad〜5Mrad)の範囲で選定される。
更に、電子線源としては、特に制限はなく、例えばコックロフトワルトン型、バンデグラフト型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器を用いることができる。
電離放射線として紫外線を用いる場合には、波長190nm〜380nmの紫外線を含む光線を放射すればよい。紫外線源としては、特に制限されないが、例えば、高圧水銀燈、低圧水銀燈、メタルハライドランプ、カーボンアーク燈、紫外線発光ダイオード(LEDUV)等が挙げられる。
かくして形成された保護層13には、各種の添加剤を添加することにより、ハードコート機能、防曇コート機能、防汚コート機能、防眩コート機能、反射防止コート機能、紫外線遮蔽コート機能、赤外線遮蔽コート機能等の機能を付与する処理を行ってもよい。
(樹脂フィルム)
また、保護層13は、樹脂フィルムから形成されていてもよい。樹脂フィルムとしては、後述の熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂により形成された樹脂フィルムが挙げられる。保護層13は、例えば、樹脂フィルムの1層により形成されていてもよいし、これらの2層以上により形成されていてもよい。
ここで、上記のように、積層体の表面の平滑性をより効果的に高め、さらに、耐傷付き性を高め、優れた表面特性を付与する観点からは、保護層13を電離放射線硬化性樹脂から形成することが好ましいが、射出成形後でも消灯時において第2意匠層15に基づく意匠が視認され難くなるという効果を、より強く発現させる観点からは、後述する実施例のように、保護層13を樹脂フィルムから形成することが好ましい。
熱硬化性樹脂としては、特に制限されず、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂、ポリイミド樹脂、シリコーン樹脂、水酸基官能性アクリル樹脂、カルボキシル官能性アクリル樹脂、アミド官能性共重合体、ウレタン樹脂などが挙げられる。
また、熱可塑性樹脂としては、特に制限されず、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリエチル(メタ)アクリレートなどのアクリル樹脂;ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン系樹脂;ポリカーボネート樹脂;塩化ビニル系樹脂;ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)などのポリエステル樹脂;アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂(ABS樹脂);アクリロニトリル−スチレン−アクリル酸エステル樹脂;などが挙げられる。これらの中でも、保護層13は、透明なアクリル樹脂により形成されていることが好ましい。保護層13を形成している樹脂は、1種類であってもよいし、2種類以上であってもよい。
(樹脂フィルムの厚み)
樹脂フィルムから形成される保護層13の厚みとしては、特に制限されないが、積層体を三次元成形に適したものとしつつ、光源の点灯時と消灯時とで異なる意匠を好適に発現する観点から、下限については、好ましくは30μm以上、より好ましくは50μm以上が挙げられ、上限については、好ましくは300μm以下、より好ましくは150μm以下が挙げられ、好ましい範囲としては、30μm〜300μm程度、より好ましくは50μm〜150μm程度が挙げられる。
樹脂フィルムから形成される保護層13は、隣接する層との密着性を向上させるために、必要に応じて、片面又は両面に酸化法や凹凸化法等の物理的又は化学的表面処理が施されていてもよい。表面処理として行われる酸化法としては、例えば、コロナ放電処理、プラズマ処理、クロム酸化処理、火炎処理、熱風処理、オゾン紫外線処理法等が挙げられる。また、保護層13の表面処理として行われる凹凸化法としては、例えばサンドブラスト法、溶剤処理法等が挙げられる。これらの表面処理は、保護層13を構成する樹脂の種類に応じて適宜選択されるが、効果及び操作性等の観点から、好ましくはコロナ放電処理法が挙げられる。
[第1意匠層14]
第1意匠層14は、第2意匠層15と共に積層体に装飾性を付与することなどを目的として設けられ、第2意匠層15よりも第1主面11側に設けられる層である。第1意匠層14の意匠は、第2主面12側の光源の消灯時において、第1主面11側から視認される意匠であり、光源の点灯時には、第2意匠層15の意匠が、第1意匠層14を通して視認される。
光源の点灯時と消灯時とで異なる意匠を発現し、消灯時においては、第1意匠層14に基づく意匠が視認され、第2意匠層15に基づく意匠については視認され難くする観点から、上述のように、第1意匠層14の第1主面11側の表面は平坦であることが好ましい。
第1意匠層14の第1主面11側の表面が平坦であれば、第1主面11側から保護層13に入射する光は、第1意匠層14の表面で、第2意匠層15に基づく意匠の影響を受けて散乱することなく反射される(換言すれば、第2意匠層15のパターンに係らず、第1意匠層14の第1主面11側の表面で一様に反射される)ため、消灯時においても、第2意匠層15に基づく意匠は視認され難くなる。
第1意匠層14は、例えば、インキ組成物を用いて所望の絵柄を形成した層とすることができる。例えば、後述の第2意匠層15がパターン状の意匠を有しており、かつ、第1意匠層14が全面単色の意匠を有する場合、光源の消灯時には、第1意匠層14の全面単色の意匠が視認されて、第2意匠層15の意匠は視認されず、光源を点灯した時に、第2意匠層15のパターン状の意匠(例えば、記号や文字情報などの絵柄)が視認されるように構成することが可能となる。
第1意匠層14は、部分的に若しくは全面に渡って単色の意匠層であっても良いし、部分的に若しくは全面に渡って絵柄を有していても良い。
なお、上述のように、図6に示す従来の積層体においては、第1意匠層114が全面単色の意匠層である場合に、消灯時に第2意匠層115が特に視認されやすくなる。
一方、図1に示す本開示の積層体1は、たとえ、第1意匠層14が全面単色の意匠層であっても、消灯時に第2意匠層15に基づく意匠は視認され難い。
それゆえ、特に第1意匠層14が全面単色の意匠層である場合に、本開示の実施形態は、従来の積層体に比べて、光源の点灯時と消灯時とで異なる意匠を発現するという効果を、より効果的に発現できる。
第1意匠層14は、例えば、第1意匠層形成用のインキを、グラビア印刷、シルクスクリーン印刷、オフセット印刷等の従来公知の印刷方法で印刷することにより形成することができる。第1意匠層14の形成に用いられるインキ組成物としては、バインダーに、顔料、染料等の着色剤、体質顔料、溶剤、安定剤、可塑剤、触媒、硬化剤等を適宜混合したものが使用される。
インキ組成物に使用されるバインダーとしては、特に制限されないが、例えば、ポリウレタン樹脂、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体樹脂、塩化ビニル/酢酸ビニル/アクリル共重合体樹脂、塩素化ポリプロピレン樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ブチラール樹脂、ポリスチレン樹脂、ニトロセルロース樹脂、酢酸セルロース樹脂等が挙げられる。これらのバインダーは、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
インキ組成物に使用される着色剤としては、特に制限されないが、例えば、カーボンブラック(墨)、鉄黒、チタン白、アンチモン白、黄鉛、チタン黄、弁柄、カドミウム赤、群青、コバルトブルー等の無機顔料;キナクリドンレッド、イソインドリノンイエロー、フタロシアニンブルー等の有機顔料又は染料;アルミニウム、真鍮等の鱗片状箔片からなる金属顔料;二酸化チタン被覆雲母、塩基性炭酸鉛等の鱗片状箔片からなる真珠光沢(パール)顔料等が挙げられる。
第1意匠層14によって形成される絵柄についても、特に制限されないが、例えば、記号や文字情報、さらには、木目模様、大理石模様(例えばトラバーチン大理石模様)等の岩石の表面を模した石目模様、布目や布状の模様を模した布地模様、タイル貼模様、煉瓦積模様等が挙げられ、これらを複合した寄木、パッチワーク等の模様であってもよく、あるいは単色無地(いわゆる全面ベタ)であってもよい。これらの絵柄は、通常の黄色、赤色、青色、及び黒色のプロセスカラーによる多色印刷によって形成されるが、模様を構成する個々の色の版を用意して行う特色による多色印刷等によっても形成することができる。
また、第1意匠層14は、金属薄膜により構成された部分を含んでいてもよい。金属薄膜を形成する金属としては、例えば、スズ、インジウム、クロム、アルミニウム、ニッケル、銅、銀、金、白金、亜鉛、及びこれらのうち少なくとも1種を含む合金などが挙げられる。金属薄膜の形成方法は特に制限されず、例えば上記の金属を用いた、真空蒸着法などの蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法などが挙げられる。また、隣接する層との密着性を向上させるため、金属薄膜の表面や裏面には公知の樹脂を用いたプライマー層を設けてもよい。
第1意匠層14の厚みは、特に制限されないが、下限については、好ましくは1μm以上、上限については、好ましくは20μm以下、より好ましくは10μm以下が挙げられ、好ましい範囲としては、1μm〜20μm程度、より好ましくは1μm〜10μm程度が挙げられる。
また、可視光領域における第1意匠層14のOD(Optical Density、光学濃度)値の範囲としては、0.5〜2.5程度が挙げられ、好ましくは、1.0〜2.0である。
[第2意匠層15]
第2意匠層15は、第1意匠層14と共に積層体に装飾性を付与することなどを目的として設けられ、第1意匠層14よりも第2主面12側に設けられる層である。本開示の積層体において、第2意匠層15は透明基材層16に埋め込まれており、このため、第1意匠層14の第1主面11側の表面を平坦にすることができる。
上述のように、第2意匠層15の意匠は、第2主面12側の光源の点灯時において、第1主面11側から視認されるが、光源の消灯時には、第2意匠層15の意匠は、第1主面11側から視認され難く、第1意匠層14の意匠が視認されることになる。
例えば、第1意匠層14が全面単色の意匠を有しており、かつ、第2意匠層15がパターン状の意匠を有する場合、光源の消灯時には、第1意匠層14の全面単色の意匠が視認されて、第2意匠層15の意匠は視認されず、光源を点灯した時に、第2意匠層15のパターン状の意匠(例えば、記号や文字情報などの絵柄)が視認される。
第2意匠層15は、第1意匠層14と同様に、例えば、第2意匠層形成用のインキを、グラビア印刷、シルクスクリーン印刷、オフセット印刷等の従来公知の印刷方法で印刷することにより形成することができる。第2意匠層15の形成に用いられるインキ組成物としては、バインダー、着色剤等を含めて、第1意匠層14で例示したものと同じものが例示される。
第2意匠層15によって形成される絵柄についても、第1意匠層14で例示したものと同じものが例示されるが、第2意匠層15については、前述の通り、パターン状の意匠を有していることが好ましい。
また、第2意匠層15は、金属薄膜により構成された部分を含んでいてもよい。金属薄膜を形成する金属や形成方法などについては、第1意匠層14で例示したものと同じものが例示される。
第2意匠層15の厚みは、特に制限されないが、下限については、好ましくは1μm以上、より好ましくは2μm以上、上限については、好ましくは30μm以下、より好ましくは20μm以下が挙げられ、好ましい範囲としては、1μm〜30μm程度、より好ましくは2μm〜20μm程度が挙げられる。
また、可視光領域における第2意匠層15のOD(Optical Density、光学濃度)値の範囲としては、2.5〜6.0程度が挙げられ、好ましくは、4.0〜6.0である。
[着色ベタ層]
図示はしないが、本開示の積層体は、消灯時の意匠性をより高める観点から、第1意匠層と第2意匠層の間に、全面単色の着色ベタ層を有することが好ましい。
この着色ベタ層は、第1意匠層14と同様に、例えば、着色ベタ層形成用のインキを、グラビア印刷、シルクスクリーン印刷、オフセット印刷等の従来公知の印刷方法で印刷することにより形成することができる。着色ベタ層の形成に用いられるインキ組成物としては、バインダー、着色剤等を含めて、第1意匠層14で例示したものと同じものが例示される。
着色ベタ層の厚みは、特に制限されないが、下限については、好ましくは1μm以上、上限については、好ましくは20μm以下、より好ましくは10μm以下が挙げられ、好ましい範囲としては、1μm〜20μm程度、より好ましくは1μm〜10μm程度が挙げられる。
また、可視光領域における着色ベタ層のOD(Optical Density、光学濃度)値の範囲としては、0.5〜2.5程度が挙げられ、好ましくは、1.0〜2.0である。
[透明基材層16]
透明基材層16は、積層体に剛性を付与して形状を保持するために設けられる層である。透明基材層16は、第2主面12側に光源が配置された場合に、光源からの光を透過できる程度に透明(本開示の実施形態において、透明には、半透明も含まれる)である。すなわち、透明基材層16は、通常、透明(無色透明、着色透明、半透明)であり、光源の点灯時に本開示の積層体を第1主面11側から観察した際に、第2意匠層15に基づく意匠が視認できる限りにおいて、着色されていてもよい。例えば、透明基材層16は、シリカなどの艶消し剤や着色剤等を含んでいてもよい。着色剤としては、上述の第1意匠層14で例示した着色剤を使用することができる。また、透明基材層16は、色彩を整えるための塗装、デザイン性を付与するための模様の形成などがなされていてもよい。
透明基材層16は、積層体を三次元成形に適したものとしつつ、光源の点灯時と消灯時とで異なる意匠を好適に発現する観点から、透明樹脂、紙質基材などにより構成することができる。透明樹脂は、透明な熱可塑性樹脂により形成されていることが好ましい。透明な熱可塑性樹脂としては、特に制限されないが、透明なアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂(以下「ABS樹脂」と表記することもある)、アクリル樹脂;ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン系樹脂;ポリカーボネート樹脂;塩化ビニル系樹脂;ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂;アクリロニトリル−スチレン−アクリル酸エステル樹脂等が挙げられる。これらの中でも、透明基材層16は、透明なABS樹脂により形成されていることが好ましい。透明基材層16を形成している樹脂は、1種類であってもよいし、2種類以上であってもよい。
透明基材層16の厚みとしては、特に制限されないが、積層体を三次元成形に適したものとしつつ、光源の点灯時と消灯時とで異なる意匠を好適に発現する観点から、下限については、好ましくは50μm以上、より好ましくは100μm以上が挙げられ、上限については、好ましくは1000μm以下、より好ましくは500μm以下が挙げられ、好ましい範囲としては、50μm〜1000μm程度、より好ましくは100μm〜500μm程度、さらに好ましくは200μm〜400μm程度が挙げられる。
透明基材層16は、隣接する層との密着性を向上させるために、必要に応じて、片面又は両面に酸化法や凹凸化法等の物理的又は化学的表面処理が施されていてもよい。透明基材層16の表面処理として行われる酸化法としては、例えば、コロナ放電処理、プラズマ処理、クロム酸化処理、火炎処理、熱風処理、オゾン紫外線処理法等が挙げられる。また、透明基材層16の表面処理として行われる凹凸化法としては、例えばサンドブラスト法、溶剤処理法等が挙げられる。これらの表面処理は、透明基材層16を構成する樹脂の種類に応じて適宜選択されるが、効果及び操作性等の観点から、好ましくはコロナ放電処理法が挙げられる。
[接着層17]
接着層17は、密着性を高めることを目的として、保護層13と第1意匠層14との間、または、第1意匠層14と第2意匠層15との間に、必要に応じて設けられる層である。
接着層17には、接着層17を介して接着される上下層の種類に応じて、熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂が用いられる。
接着層17に用いられる熱可塑性樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、アクリル変性ポリオレフィン樹脂、塩素化ポリオレフィン樹脂、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、熱可塑性ウレタン樹脂、熱可塑性ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ゴム系樹脂等が挙げられる。これらの熱可塑性樹脂は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
また、接着層17に用いられる熱硬化性樹脂としては、例えば、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。これらの熱硬化性樹脂は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
接着層17の厚みとしては、接着層17を介して接着される上下層を接着できれば特に制限されず、例えば10μm〜50μm程度が挙げられる。
[プライマー層]
本開示の積層体は、各層間の密着性を高めることなどを目的として、必要に応じて、各層間にプライマー層を設けてもよい。
例えば、保護層13に電子線硬化性樹脂等の電離放射線硬化性樹脂を用いる場合(図1に示す積層体1参照)、保護層13と第1意匠層14との密着性を高めるために、保護層13と第1意匠層14との間にプライマー層を設けることが好ましい。
プライマー層を形成する樹脂としては、特に制限されないが、例えば、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、(メタ)アクリル−ウレタン共重合体樹脂、ポリエステル樹脂、ブチラール樹脂等が挙げられる。これらの樹脂の中でも、好ましくは、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、及び(メタ)アクリル−ウレタン共重合体樹脂が挙げられる。これらの樹脂は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
上記ウレタン樹脂としては、ポリオール(多価アルコール)を主剤とし、イソシアネートを架橋剤(硬化剤)とするポリウレタンを使用できる。ポリオールとしては、分子中に2個以上の水酸基を有する化合物であればよく、具体的には、ポリエステルポリオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、アクリルポリオール、ポリエーテルポリオール等が挙げられる。上記イソシアネートとしては、具体的には、分子中に2個以上のイソシアネート基を有する多価イソシアネート;4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート等の芳香族イソシアネート;ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水素添加トリレンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート等の脂肪族(又は脂環族)イソシアネートが挙げられる。
上記ウレタン樹脂の中でも、架橋後の密着性の向上等の観点から、好ましくは、ポリオールとしてアクリルポリオール、又はポリエステルポリオールと、架橋剤としてヘキサメチレンジイソシアネート、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネートとから組み合わせ;さらに好ましくは、アクリルポリオールとヘキサメチレンジイソシアネートとを組み合わせが挙げられる。
上記アクリル樹脂としては、特に制限されないが、例えば、(メタ)アクリル酸エステルの単独重合体、2種以上の異なる(メタ)アクリル酸エステルモノマーの共重合体、又は(メタ)アクリル酸エステルと他のモノマーとの共重合体が挙げられる。(メタ)アクリル樹脂として、より具体的には、ポリ(メタ)アクリル酸メチル、ポリ(メタ)アクリル酸エチル、ポリ(メタ)アクリル酸プロピル、ポリ(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸ブチル共重合体、(メタ)アクリル酸エチル−(メタ)アクリル酸ブチル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸メチル共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸メチル共重合体等の(メタ)アクリル酸エステル等が挙げられる。これらのアクリル樹脂は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
(メタ)アクリル−ウレタン共重合体樹脂としては、特に制限されないが、例えば、アクリル−ウレタン(ポリエステルウレタン)ブロック共重合系樹脂が挙げられる。また、硬化剤としては、前述する各種イソシアネートが用いられる。アクリル−ウレタン(ポリエステルウレタン)ブロック共重合系樹脂におけるアクリルとウレタン比の比率については、特に制限されないが、例えば、アクリル/ウレタン比(質量比)として、9/1〜1/9、好ましくは8/2〜2/8が挙げられる。
プライマー層の厚みについては、特に制限されないが、例えば0.1μm〜10μm程度、好ましくは1μm〜10μm程度が挙げられる。
プライマー層は、プライマー層を形成する樹脂を用いて、グラビアコート、グラビアリバースコート、グラビアオフセットコート、スピンナーコート、ロールコート、リバースロールコート、キスコート、ホイラーコート、ディップコート、シルクスクリーンによるベタコート、ワイヤーバーコート、フローコート、コンマコート、かけ流しコート、刷毛塗り、スプレーコート等の通常の塗布方法や転写コーティング法により形成される。
ここで、転写コーティング法とは、薄いシート(フィルム基材)にプライマー層や接着層の塗膜を形成し、その後に加飾シート中の対象となる層表面に被覆する方法である。
[成形樹脂層18]
本開示の積層体においては、図3、図4に例示するように、透明基材層16の第2主面12側に、透明な成形樹脂層18を一体化させて成形してもよい。
成形樹脂層18は、透明基材層16と同様、第2主面12側に光源が配置された場合に、光源からの光を透過できる程度に透明である。すなわち、成形樹脂層18は、通常、透明(無色透明、着色透明、半透明)であり、光源の点灯時に本開示の積層体を第1主面11側から観察した際に、第2意匠層15に基づく意匠が視認できる限りにおいて、着色されていてもよい。例えば、成形樹脂層18は、シリカなどの艶消し剤や着色剤等を含んでいてもよい。着色剤としては、上述の第1意匠層14で例示した着色剤を使用することができる。
成形樹脂層18は、透明樹脂などにより構成することができる。透明樹脂は、透明な熱可塑性樹脂により形成されていることが好ましい。透明な熱可塑性樹脂としては、特に制限されないが、透明なアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂(以下「ABS樹脂」と表記することもある)、アクリル樹脂;ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン系樹脂;ポリカーボネート樹脂;塩化ビニル系樹脂;ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂;アクリロニトリル−スチレン−アクリル酸エステル樹脂等が挙げられる。これらの中でも、成形樹脂層18は、透明性に優れていることから、ポリカーボネート樹脂により形成されていることが好ましい。成形樹脂層18を形成している樹脂は、1種類であってもよいし、2種類以上であってもよい。また、成形樹脂層18の形状としては、板状体、成形体などが例示される。
成形樹脂層18を備える積層体は、透明基材層16の第2主面12側の面が成形樹脂層18と対向するように、公知の方法を用いて積層することによって作製される。成形樹脂層18が樹脂成形体の場合、インサート成形法等の射出成形法によって作製してもよい。
インサート成形法では、まず、真空成形工程において、成形樹脂層18を積層する前の積層体(すなわち第1主面11側から順に、少なくとも、第1意匠層14と、第2意匠層15と、透明基材層16とを備える積層体)を、真空成形型により予め成形品表面形状に真空成形(オフライン予備成形)し、次いで必要に応じて余分な部分をトリミングして成形シートを得る。この成形シートを射出成形型に挿入し、射出成形型を型締めし、当該積層体の透明基材層16側から流動状態の樹脂を型内に射出し、固化させて、射出成形と同時に樹脂成形物の外表面に成形シートを一体化させることにより、成形樹脂層18を備える積層体が製造される。
換言すれば、下記の工程を含むインサート成形法によって、成形樹脂層18を備える積層体が製造される。
成形樹脂層18を積層する前の積層体を真空成形型により予め立体形状に成形する真空成形工程、真空成形された積層体の余分な部分をトリミングして成形シートを得るトリミング工程、及び成形シートを射出成形型に挿入し、射出成形型を閉じ、透明基材層16側から流動状態の樹脂を射出成形型内に射出して樹脂と成形シートを一体化する一体化工程。
インサート成形法における真空成形工程では、当該積層体を加熱して成形してもよい。
この時の加熱温度は、特に限定されず、積層体を構成する樹脂の種類や、積層体の厚みなどによって適宜選択すればよいが、通常120℃〜200℃程度とすることができる。また、一体化工程において、流動状態の樹脂の温度は、特に限定されないが、通常180℃〜320℃程度とすることができる。
成形樹脂層18は、前記のように、用途に応じた樹脂を選択して形成すればよい。成形樹脂層18を形成する成形樹脂としては、前記の熱可塑性樹脂であってもよく、また熱硬化性樹脂であってもよい。
熱硬化性樹脂としては、例えば、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。これらの熱硬化性樹脂は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
2.加飾物品
本開示の加飾物品は、本開示の積層体を利用したものであり、積層体と光源20とを備えている。例えば、図5に示される加飾物品2において、光源20は、積層体1の第2主面12側に配置されている。本開示の加飾物品は、図5に例示される積層体1に替えて、上述した積層体1A、1B、または1Cを備えるものであっても良い。
光源の種類としては、特に制限されず、例えば発光ダイオード(LED)電球、白熱電球、蛍光灯、自然光などが挙げられる。
本開示の加飾物品は、光源の点灯時と消灯時とで異なる意匠を発現するため、例えば、自動車等の車両の内装材又は外装材;窓枠、扉枠等の建具;壁、床、天井等の建築物の内装材;テレビ受像機、空調機等の家電製品の筐体;容器等として利用することができる。
以下に、実施例及び比較例を示して本開示の実施形態を詳細に説明する。ただし、本開示の実施形態は、実施例に限定されない。
(加飾シートの製造)
<実施例1>
以下の手順により、図1に示す構成の積層体(加飾シート)を製造した。
ABS樹脂からなる厚さ400μmの透明基材層の一の主面に、第2意匠層として、着色剤としてカーボンブラック(墨)を含むポリブチルメタクリレート/塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体からなるストライプ状の意匠層を印刷した。
次に、上記の第2意匠層の上、および、第2意匠層から露出する透明基材層の上に、第1意匠層として、着色剤としてカーボンブラック(墨)を含むポリブチルメタクリレート/塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体からなる黒ベタ層を形成した。
続いて、ステンレス製鏡面板を用いた熱プレス機を用い、第1意匠層の上から120℃、0.5MPaの加圧下、10分間熱プレス加工を行った。この熱プレス加工により、第2意匠層の下の透明基材層の表面を溶融させて、第2意匠層(ストライプ状の意匠層)を透明基材層に埋め込み、第1意匠層の表面を平坦化した。
最後に、第1意匠層の表面に、2官能ポリカーボネートアクリレート(重量平均分子量10,000)80質量部及び6官能ウレタンアクリレート(重量平均分子量6,000)20質量部を含む電子線硬化性樹脂を、硬化後の厚みが10μmとなるようにバーコートにより塗工し、未硬化の電子線硬化性樹脂からなる保護層を形成した。次に、未硬化の保護層に対して、加速電圧195kV、照射線量50kGy(5Mrad)の電子線を照射して、電子線硬化性樹脂を硬化させて、保護層を形成し、実施例1の積層体(加飾シート)を製造した。得られた積層体(加飾シート)においては、第2意匠層が透明基材層に埋め込まれていた。この実施例1の積層体(加飾シート)における第1意匠層の厚さは1μmであり、第2意匠層の厚さは2μmであった。
<実施例2>
実施例2として、以下の手順により、図2に示す構成の積層体(加飾シート)を製造した。
実施例1と同様にして、透明基材層の一の主面に第2意匠としてストライプ状の意匠層を印刷し、その上に第1意匠として黒ベタ層を形成し、ステンレス製鏡面板を用いた熱プレス機を用い、第1意匠層の上から120℃、0.5MPaの加圧下、10分間熱プレス加工を行った。
その後、保護層として、ポリメタクリル酸メチルを主成分とする厚さ150μmの無着色透明なアクリル樹脂フィルムを準備し、接着層として厚さ20μmの熱可塑性ウレタン樹脂を用いてドライラミネートにより、第1意匠層の表面に貼付けし、実施例2の積層体(加飾シート)を製造した。得られた積層体(加飾シート)においては、第2意匠層が透明基材層に埋め込まれていた。なお、この実施例2の積層体(加飾シート)においても、第1意匠層の厚さは1μmであり、第2意匠層の厚さは2μmであった。
<比較例1>
熱プレス加工を行わなかったこと以外は、実施例1と同様にして、比較例1の積層体(加飾シート)を製造した。
得られた積層体(加飾シート)においては、第2意匠層は透明基材層に埋め込まれておらず、第1意匠層は部分的に存在する第2意匠層に応じて保護層側の表面が凹凸形状を有する形態になっていた。
<比較例2>
熱プレス加工を行わなかったこと以外は、実施例2と同様にして、比較例2の積層体(加飾シート)を製造した。
得られた積層体(加飾シート)においては、第2意匠層は透明基材層に埋め込まれておらず、第1意匠層は部分的に存在する第2意匠層に応じて保護層側の表面が凹凸形状を有する形態になっていた。
(加飾樹脂成形品の製造)
上記で得られた各積層体(加飾シート)を、それぞれ真空成形機(布施真空社製「VPF−T1」)に配し、ヒーターにて表面温度が160℃になるまで加熱し、真空成形を行った。真空成形品を取り出し、トリミングした後、インサート成形により、透明基材層の第2主面の側に成形樹脂層を備えた積層体(加飾樹脂成形品)を得た。成形樹脂層としては、透明なポリカーボネート樹脂を用いた。
(エア噛みの評価)
上記で得られた実施例2と比較例2の加飾シート(成形前の積層体)について、ドライラミネート後に、各加飾シートを180℃まで加熱して目視することにより、エア噛みの評価を行った。エア噛みが生じている場合には、当該加熱により残留した気泡が膨張するため、目視で判別することができる。
なお、実施例1と比較例1の加飾シートについては、製造工程にドライラミネートの工程が無いため、本評価はしていない。
結果を表1に示す。なお、表1において、保護層の「EB」との記載は、保護層が硬化した「電子線硬化性樹脂」から構成されていることを表しており、「アクリル」との記載は、保護層が「アクリル樹脂フィルム」から構成されていることを表している。
A:エア噛みが判別できない
C:エア噛みが判別できる
(点灯時の意匠性評価)
上記で得られた加飾シート(成形前の積層体)と、加飾樹脂成形品(成形後の積層体)を、白色蛍光灯(相関色温度:4100K)下で、相関色温度:5200(±300K)、平均輝度:1500±300cd/m2のライトテーブルの上に置き、透明基材層若しくは成形樹脂層の側(図5に示す第2主面12側)からライトテーブルの光を光源として照射し、保護層側(図5に示す第1主面11側)から目視で観察(観察面寸法230.4mm×135.4mm)して、点灯時の外観目視評価を実施した。点灯時の意匠性を以下の基準により評価した。
結果を表1に示す。なお、表1において、「成形前」との記載は、加飾シート(成形前の積層体)における評価のことであり、「成形後」との記載は、加飾樹脂成形品(成形後の積層体)における評価のことである。
A:第2意匠層に基づく意匠が確認できる
C:第2意匠層に基づく意匠が確認できない
(消灯時の意匠性評価)
上記で得られた加飾シート(成形前の積層体)と、加飾樹脂成形品(成形後)について、上記の点灯時の意匠性評価と同じ環境で、ライトテーブルの光を消灯して、消灯時の外観目視評価を実施した。消灯時の意匠性を以下の基準により評価した。
結果を表1に示す。
A:第1意匠層に基づく意匠のみが確認できる
B:第2意匠層に基づく意匠が僅かに確認できる
C:第2意匠層に基づく意匠が第1意匠層に基づく意匠と同程度に確認できる
Figure 2021154654
1、1A、1B、1C 積層体
2 加飾物品
11 第1主面
12 第2主面
13 保護層
14 第1意匠層
15 第2意匠層
16 透明基材層
17 接着層
18 成形樹脂層
20 光源
100 積層体
111 第1主面
112 第2主面
113 保護層
114 第1意匠層
115 第2意匠層
116 透明基材層
117 接着層
118 気泡

Claims (9)

  1. 第1主面と、前記第1主面とは反対側に位置する第2主面と、を備え、
    前記第1主面の側から前記第2主面の側に向かって、少なくとも、第1意匠層と、透明基材層と、を順に備える積層体であって、
    前記第1意匠層と前記透明基材層の間には、第2意匠層が部分的に設けられており、
    前記第2意匠層が前記透明基材層に埋め込まれている、積層体。
  2. 前記第2意匠層の厚さが、前記第1意匠層の厚さよりも厚い、請求項1に記載の積層体。
  3. 前記第2意匠層の光学濃度が、前記第1意匠層の光学濃度よりも大きい、請求項1または請求項2に記載の積層体。
  4. 前記第1意匠層の前記第1主面の側に、保護層を備えている、請求項1〜3のいずれか1項に記載の積層体。
  5. 前記保護層が、アクリル樹脂、または、電離放射線硬化性樹脂を含む、請求項4に記載の積層体。
  6. 前記保護層と前記第1意匠層との間、または、前記第1意匠層と前記第2意匠層との間に、接着層を備える、請求項4又は5に記載の積層体。
  7. 前記積層体が、シート状である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の積層体。
  8. 前記透明基材層の前記第2主面の側に、透明な成形樹脂層をさらに備えている、請求項1〜7のいずれか1項に記載の積層体。
  9. 請求項1〜8のいずれか1項に記載の積層体と、前記積層体の第2主面側に配置された光源と、を備える、加飾物品。
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