JP6868953B2 - 加飾シート及び加飾樹脂成形品 - Google Patents
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Description
このような状況下、本発明は、加飾樹脂成形品に対して、適度な金属光沢の意匠に加えて、写像性に優れた意匠を付与できる加飾シートを提供することを主な目的とする。
項1. 少なくとも、基材層と、金属薄膜層と、微粒子含有層と、表面保護層とがこの順に積層された積層体からなり、
前記微粒子含有層の前記金属薄膜層側の表面は、前記微粒子含有層に含まれる微粒子による凹凸形状を有している、加飾シート。
項2. 層と前記表面保護層との間に、前記表面保護層側から順に、第1プライマー層、第1樹脂層、カラークリア層、第2樹脂層、及び第2プライマー層の少なくとも1層を備えており、
前記第1プライマー層、前記第1樹脂層、前記カラークリア層、前記第2樹脂層、及び前記第2プライマー層のうち少なくとも1層が、前記微粒子含有層を構成している、項1に記載の加飾シート。
項3. 前記カラークリア層が、前記微粒子含有層を構成している、項2に記載の加飾シート。
項4. 前記第1樹脂層が、前記微粒子含有層を構成している、項2または3に記載の加飾シート。
項5. 前記第2樹脂層が、前記微粒子含有層を構成している、項2〜4のいずれかに記載の加飾シート。
項6. 前記微粒子含有層において、前記微粒子が位置している部分の厚みが、前記微粒子が位置していない部分の厚みの1.2倍以上である、項1〜5のいずれかに記載の加飾シート。
項7. 前記微粒子含有層の前記微粒子が位置している部分と、前記金属薄膜層の微粒子含有層側の表面との最短距離が、10μm以下である、項1〜6のいずれかに記載の加飾シート。
項8. 前記金属薄膜層が、蒸着法、スパッタリング法、またはイオンプレーティング法で形成された層である、項1〜7のいずれかに記載の加飾シート。
項9. 前記金属薄膜層が、スズ、インジウム、クロム、アルミニウム、ニッケル、銅、銀、金、白金、亜鉛、及びこれらのうち少なくとも1種を含む合金からなる群から選択された少なくとも1種の金属により形成されている、項1〜8のいずれかに記載の加飾シート。
項10. 前記金属薄膜層の厚みが、200nm以下である、項1〜9のいずれかに記載の加飾シート。
項11. 前記表面保護層が、電離放射線硬化性樹脂または樹脂フィルムにより形成されている、項1〜10のいずれかに記載の加飾シート。
項12. 少なくとも、成形樹脂層と、基材層と、金属薄膜層と、微粒子含有層と、表面保護層とがこの順に積層された積層体からなり、
前記微粒子含有層の前記金属薄膜層側の表面は、前記微粒子含有層に含まれる微粒子による凹凸形状を有している、加飾樹脂成形品。
本発明の加飾シートは、少なくとも、基材層と、金属薄膜層と、微粒子含有層と、表面保護層とがこの順に積層された積層体からなり、微粒子含有層の金属薄膜層側の表面は、微粒子含有層に含まれる微粒子による凹凸形状を有していることを特徴とする。
本発明の加飾シートは、少なくとも、基材層1と、金属薄膜層2と、微粒子含有層3と、表面保護層4とをこの順に有する積層構造を有する。本発明の加飾シートにおいては、金属薄膜層2と表面保護層4との間に位置する少なくとも1つの層が、微粒子含有層3を構成している。微粒子含有層3を構成し得る層としては、例えば、表面保護層4側から順に、第1プライマー層6、第1樹脂層8、カラークリア層5、第2樹脂層9、及び第2プライマー層7などが挙げられ、これらのうち少なくとも1層が金属薄膜層2と表面保護層4との間に積層されて微粒子含有層3を構成することができる。
[微粒子含有層3]
微粒子含有層3は、加飾樹脂成形品に対して、適度な金属光沢の意匠に加えて、写像性に優れた意匠を付与するために、本発明の加飾シートの金属薄膜層2と表面保護層4との間に設けられる層である。本発明の加飾シートにおいては、微粒子含有層3の金属薄膜層2側の表面が、微粒子含有層3に含まれる微粒子30による凹凸形状を有しているため、この凹凸形状によって、金属薄膜層2の表面にも凹凸形状が形成される。このため、金属薄膜層2が適度な金属光沢の意匠を奏することができる。一方、金属薄膜層2の凹凸形状によって、適度な金属光沢の意匠が奏されるため、表面保護層4の表面に光沢感を調整するための凹凸形状を形成する必要がない。このため、表面保護層の表面が優れた写像性を発揮することができる。
カラークリア層5は、金属薄膜層2の金属調を高めたり、加飾シートを着色すること等を目的として、必要に応じて、金属薄膜層2と表面保護層4との間に設けられる着色透明な層である。カラークリア層5は、例えば、表面保護層4と金属薄膜層2との間、第1プライマー層6と金属薄膜層2との間、第1プライマー層6と第2プライマー層7との間、第1樹脂層と金属薄膜層2との間、第1樹脂層8と第2プライマー層7との間などに設けられる。
第1プライマー層6は、表面保護層4とその下に位置する層との密着性を高めることなどを目的として、必要に応じて、表面保護層4の下に設けられる層である。第1プライマー層6は、例えば、表面保護層4と金属薄膜層2との間、表面保護層4とカラークリア層5との間、表面保護層4と第1樹脂層8との間などに設けられる。
第2プライマー層7は、金属薄膜層2と、その上(表面保護層4側)に位置する層との密着性を高めることなどを目的として、必要に応じて、金属薄膜層2の上に設けられる層である。第2プライマー層7は、例えば、金属薄膜層2と表面保護層4との間、金属薄膜層2とカラークリア層5との間、金属薄膜層2と第2樹脂層8との間などに設けられる。
第1樹脂層8は、通常、第1プライマー層6の下(基材層1側)に設けられ、主に微粒子含有層3を構成するために設けられる層である。すなわち、本発明の加飾シートにおいて、第1樹脂層8が設けられている場合には、例えば図5に示されるように、通常、第1樹脂層8は微粒子含有層3を構成している。前述の第1プライマー層6が微粒子含有層3を構成しておらず、第1樹脂層8が微粒子含有層3を構成していることにより、表面保護層4の密着性を第1プライマー層6によって効果的に高めつつ、第1樹脂層8によって、金属薄膜層2の表面に好適に凹凸形状が形成され、適度な金属光沢を発揮することができる。
第2樹脂層9は、通常、第2プライマー層7の上(表面保護層4側)に設けられ、主に微粒子含有層3を構成するために設けられる層である。すなわち、本発明の加飾シートにおいて、第2樹脂層9が設けられている場合には、例えば図6に示されるように、通常、第2樹脂層9は微粒子含有層3を構成している。前述の第2プライマー層7が微粒子含有層3を構成しておらず、第2樹脂層9が微粒子含有層3を構成していることにより、金属薄膜層2の密着性を第2プライマー層7によって効果的に高めつつ、第2樹脂層9によって、金属薄膜層の表面に好適に凹凸形状が形成され、適度な金属光沢を発揮することができる。
基材層1は、本発明の加飾シートにおいて支持体としての役割を果たす樹脂シート(樹脂フィルム)により形成されている。基材層1に使用される樹脂成分については、特に制限されず、三次元成形性や成形樹脂層との相性等に応じて適宜選定すればよいが、好ましくは、熱可塑性樹脂が挙げられる。熱可塑性樹脂としては、具体的には、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂(以下「ABS樹脂」と表記することもある);アクリロニトリル−スチレン−アクリル酸エステル樹脂;アクリル樹脂;ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン系樹脂;ポリカーボネート樹脂;塩化ビニル系樹脂;ポリエチレンテレフタラート(PET)樹脂等が挙げられる。これらの中でも、ABS樹脂が三次元成形性の観点から好ましい。基材層1を形成する樹脂成分としては、1種類のみを用いてもよいし、2種類以上を混合して用いてもよい。また、基材層1は、これら樹脂の単層シートで形成されていてもよく、また同種又は異種樹脂による複層シートで形成されていてもよい。なお、基材層1を複層シートとすることで、加飾シートの三次元成形性を高める手法も考えられるが、本発明の加飾シートにおいては、後述する特定のプライマー層3を有するため、基材層1が単層シートであっても、高い三次元成形性を有する。
金属薄膜層2は、基材層1の上に設けられ、加飾シートに適度な金属光沢を付与する層である。本発明の加飾シートにおいては、微粒子含有層3の表面が凹凸形状を有することにより、金属薄膜層2の表面にも凹凸形状が形成されている。すなわち、金属薄膜層2の微粒子含有層3側の表面は、微粒子含有層3の表面の凹凸形状に対応した凹凸形状を有している。
表面保護層4は、加飾シートの耐傷付き性、耐候性などを高めることを目的として、加飾シートの最表面に設けられる層である。本発明の加飾シートにおいて、優れた写像性を得る観点から、表面保護層4の表面は、平坦面であることが好ましいが、発明の効果を損なわない範囲において、装飾を目的とした微細な凹凸形状(例えば、ヘアライン形状)を有していてもよい。
表面保護層4の形成に使用される電離放射線硬化性樹脂とは、電離放射線を照射することにより、架橋、硬化する樹脂であり、具体的には、分子中に重合性不飽和結合又はエポキシ基を有する、プレポリマー、オリゴマー、及びモノマーなどのうち少なくとも1種を適宜混合したものが挙げられる。ここで電離放射線とは、電磁波又は荷電粒子線のうち、分子を重合あるいは架橋しうるエネルギー量子を有するものを意味し、通常紫外線(UV)又は電子線(EB)が用いられるが、その他、X線、γ線等の電磁波、α線、イオン線等の荷電粒子線も含むものである。電離放射線硬化性樹脂の中でも、電子線硬化性樹脂は、無溶剤化が可能であり、光重合用開始剤を必要とせず、安定な硬化特性が得られるため、表面保護層4の形成において好適に使用される。
表面保護層4には、表面保護層4に備えさせる所望の物性に応じて、各種添加剤を配合することができる。この添加剤としては、例えば紫外線吸収剤や光安定剤等の耐候性改善剤、耐摩耗性向上剤、重合禁止剤、架橋剤、赤外線吸収剤、帯電防止剤、接着性向上剤、レベリング剤、チクソ性付与剤、カップリング剤、可塑剤、消泡剤、充填剤、溶剤、着色剤等が挙げられる。これらの添加剤は、常用されるものから適宜選択して用いることができる。また、紫外線吸収剤や光安定剤として、分子内に(メタ)アクリロイル基等の重合性基を有する反応性の紫外線吸収剤や光安定剤を用いることもできる。
表面保護層4の硬化後の厚みについては、特に制限されないが、例えば、1〜1000μm程度、好ましくは1〜50μm程度、更に好ましくは1〜30μm程度が挙げられる。このような範囲の厚みを満たすと、耐傷付き性、耐候性等の表面保護層としての十分な物性が得られると共に、表面保護層4を電離放射線硬化性樹脂を用いて形成する場合には電離放射線を均一に照射することが可能であるため、均一に硬化することが可能となり、経済的にも有利になる。更に、表面保護層4の硬化後の厚みが前記範囲を充足することによって、加飾シートの三次元成形性が一層向上するため自動車内装用途等の複雑な三次元形状に対して高い追従性を得ることができる。このように、本発明の加飾シートは表面保護層4の厚みを従来のものより厚くしても、十分に高い三次元成形性が得られることから、特に表面保護層4に高い膜厚を要求される部材、例えば車両外装部品等の加飾シートとしても有用である。
表面保護層4の形成は、例えば、電離放射線硬化性樹脂を含む電離放射線硬化性樹脂組成物を調製し、これを塗布し、架橋硬化することにより行われる。なお、電離放射線硬化性樹脂組成物の粘度は、後述の塗布方式により、未硬化樹脂層を形成し得る粘度であればよい。
加飾シートと成形樹脂層10との接着性や密着性を向上させることなどを目的として、基材層1の裏面に必要に応じて接着層を設けることができる(図示していない)。当該接着層を形成する樹脂としては、加飾シートと成形樹脂との接着性や密着性を向上させることができるものであれば、特に制限されず、例えば、熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂が用いられる。熱可塑性樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、アクリル変性ポリオレフィン樹脂、塩素化ポリオレフィン樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、熱可塑性ウレタン樹脂、熱可塑性ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ゴム系樹脂などが挙げられる。熱可塑性樹脂は、1種類単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。また、熱硬化性樹脂としては、例えば、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂等挙げられる。熱硬化性樹脂は、1種類単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。この接着層は必ずしも必要な層ではないが、本発明の加飾シートを、後述する真空圧着法など、予め用意された樹脂成形体上へ貼着による加飾方法に適用することを想定した場合は、設けられていることが好ましい。真空圧着法に用いる場合、上記した各種の樹脂のうち、加圧又は加熱により接着性を発現する樹脂として慣用のものを使用して接着層を形成することが好ましい。接着層の厚みは、特に制限されないが、例えば、0.1〜30μm程度、好ましくは0.5〜20μm程度、さらに好ましくは1〜8μm程度が挙げられる。
本発明の加飾樹脂成形品は、本発明の加飾シートと成形樹脂とを一体化させることにより成形されてなるものである。即ち、本発明の加飾樹脂成形品は、少なくとも、成形樹脂層10と、基材層1と、金属薄膜層2と、微粒子含有層3と、表面保護層4とがこの順に積層された積層体からなり、微粒子含有層3の金属薄膜層2側の表面は、微粒子含有層3に含まれる微粒子30による凹凸形状を有していることを特徴とする。前述の通り、カラークリア層5、第1プライマー層6、第2プライマー層7、第1樹脂層8、第2樹脂層9などが、微粒子含有層3を構成する。
本発明の加飾シートを真空成形型により予め立体形状に成形する真空成形工程、
真空成形された加飾シートの余分な部分をトリミングして成形シートを得るトリミング工程、及び
成形シートを射出成形型に挿入し、射出成形型を閉じ、流動状態の樹脂を射出成形型内に射出して樹脂と成形シートを一体化する一体化工程。
本発明の加飾シートを、所定形状の成形面を有する可動金型の当該成形面に対し、加飾シートの基材層の表面が対面するように設置した後、当該加飾シートを加熱、軟化させると共に、可動金型側から真空吸引して、軟化した加飾シートを当該可動金型の成形面に沿って密着させることにより、加飾シートを予備成形する予備成形工程、
成形面に沿って密着された加飾シートを有する可動金型と固定金型とを型締めした後、両金型で形成されるキャビティ内に、流動状態の樹脂を射出、充填して固化させることにより樹脂成形体を形成し、樹脂成形体と加飾シートを積層一体化させる一体化工程、及び
可動金型を固定金型から離間させて、加飾シート全層が積層されてなる樹脂成形体を取り出す取出工程。
(実施例1)
2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム、厚さ38μm)の表面にヘアライン意匠を施した。次に、ヘアライン意匠が施された表面に、電離放射性硬化型樹脂組成物(樹脂として、ポリカーボネート(メタ)アクリレートとウレタン(メタ)アクリレートを含む)を硬化後の厚さが10μmとなるようにして、グラビアコートにより印刷した。この未硬化樹脂層に加速電圧165kV、照射強度50kGy(5Mrad)の電子線を照射することにより、未硬化樹脂層を硬化させ、表面保護層を形成した。次に、表面保護層の表面に、アクリル樹脂をグラビアコートにより印刷して、第1プライマー層を形成した(厚み1μm)。次に、粒径が3〜4μmのシリカ粒子を5質量%含むアクリル樹脂からなるカラークリア層(茶色)をグラビアコートにより印刷した(シリカ粒子を含まない部分の厚み1μm)。次に、アクリル樹脂をグラビアコートにより印刷して、第2プライマー層を形成した(厚み1μm)。次に、真空蒸着機を用いてスズ(Sn)を約50nm積層して、金属薄膜層を形成した。次に、金属薄膜層の上にポリエステルからなる接着層をグラビアコートにより印刷した後(厚み1μm)、サーマルラミネーションによりABS樹脂フィルムからなる基材層(厚み400μm)と貼り合わせ、PETフィルムを剥離することにより、図2に示されるような積層構造を備える加飾シートを得た。
粒径が3〜4μmのシリカ粒子を5質量%含むアクリル樹脂からなる第1プライマー層を形成した(シリカ粒子を含まない部分の厚み1μm)こと、及びシリカ粒子を含まないアクリル樹脂からなるカラークリア層(茶色)をグラビアコートにより印刷した(厚み1μm)こと以外は、実施例1と同様にして、図3に示されるような積層構造を備える加飾シートを得た。
シリカ粒子を含まないアクリル樹脂からなるカラークリア層(茶色)をグラビアコートにより印刷した(厚み1μm)こと、及び粒径が3〜4μmのシリカ粒子を5質量%含むアクリル樹脂からなる第2プライマー層を形成した(シリカ粒子を含まない部分の厚み1μm)こと以外は、実施例1と同様にして、図4に示されるような積層構造を備える加飾シートを得た。
第1プライマー層を形成した後、カラークリア層を形成する前に、粒径が3〜4μmのシリカ粒子を5質量%含むアクリル樹脂からなる第1樹脂層を形成した(シリカ粒子を含まない部分の厚み1μm)こと、及びシリカ粒子を含まないアクリル樹脂からなるカラークリア層(茶色)をグラビアコートにより印刷した(厚み1μm)こと以外は、実施例1と同様にして、図5に示されるような積層構造を備える加飾シートを得た。
シリカ粒子を含まないアクリル樹脂からなるカラークリア層(茶色)をグラビアコートにより印刷した(厚み1μm)こと、及び、カラークリア層を形成した後、第2プライマー層を形成する前に、粒径が3〜4μmのシリカ粒子を5質量%含むアクリル樹脂からなる第1樹脂層を形成した(シリカ粒子を含まない部分の厚み1μm)こと以外は、実施例1と同様にして、図6に示されるような積層構造を備える加飾シートを得た。
カラークリア層のシリカ粒子の含有量を2.5質量%にしたこと以外は、実施例1と同様にして、図2に示されるような積層構造を備える加飾シートを得た。
電離放射線硬化性樹脂組成物に、粒径が3〜4μmのシリカ粒子を5質量%添加して表面保護層を形成したこと、及び、シリカ粒子を含まないアクリル樹脂からなるカラークリア層(茶色)をグラビアコートにより印刷した(厚み1μm)こと以外は、実施例1と同様にして、加飾シートを得た。
シリカ粒子を含まないアクリル樹脂からなるカラークリア層(茶色)をグラビアコートにより印刷した(厚み1μm)こと以外は、実施例1と同様にして、加飾シートを得た。
上記で得られた各加飾シートの表面保護層側の表面を目視で観察し、金属光沢について以下の基準で評価した。結果を表1に示す。
○:適度な金属光沢を有している
△:金属光沢がやや強い、または金属光沢がやや弱いため、金属調の意匠としてやや美しくない
×:金属光沢が強すぎて気が散る、または金属光沢が弱すぎて金属に見えない
上記で得られた各加飾シートをそれぞれ赤外線ヒーターで180℃に加熱し、軟化させた。次に、真空成形用型を用い、最大延伸倍率が50%になる条件で真空成形し、真空成形用型の内部形状となるように加飾シートを成形した。成形後の加飾シートの表面保護層側の表面を目視で観察し、金属光沢について以下の基準で評価した。結果を表1に示す。
○:適度な金属光沢を有している
△:金属光沢がやや強い、または金属光沢がやや弱いため、金属調の意匠としてやや美しくない
×:金属光沢が強すぎて気が散る、または金属光沢が弱すぎて金属に見えない
蛍光灯で明るくした室内において、上記で得られた各加飾シートの表面保護層側の表面を目視で観察し、加飾シートの写像性を以下の基準で評価した。結果を表1に示す。
○:蛍光灯の光の端部まできれいに写り込んでいる
△:蛍光灯の光の端部が、ややぼやけて写り込んでいる
×:蛍光灯の光の端部が、かなりぼやけて写り込んでいる
上記で得られた各加飾シートをそれぞれ赤外線ヒーターで180℃に加熱し、軟化させた。次に、真空成形用型を用い、最大延伸倍率が50%になる条件で真空成形し、真空成形用型の内部形状となるように加飾シートを成形した。次に、蛍光灯で明るくした室内において、成形後の各加飾シートの表面保護層側の表面を目視で観察し、加飾シートの写像性を以下の基準で評価した。結果を表1に示す。
○:蛍光灯の光の端部まできれいに写り込んでいる
△:蛍光灯の光の端部が、ややぼやけて写り込んでいる
×:蛍光灯の光の端部が、かなりぼやけて写り込んでいる
上記で得られた各加飾シートの表面に対して、カッターで長さ5mm、間隔2mmで縦11本、横11本の切れ込みを入れ、縦10マス×横10マスの合計100マスの碁盤目状の切れ込みを形成した。この切れ込みの上から、ニチバン社製のセロテープ(登録商標)(No.405−1P)を圧着した後、90度方向に急激に剥離することにより、表面保護層の密着性を評価した(初期密着性試験)。さらに、上記で得られた各加飾シートについて、100℃下に500時間放置する条件(耐熱密着性試験)、温度50℃、湿度100%で500時間放置する条件(耐湿熱密着性試験)、及びキセノンウェザーメータ(1000kJ、340nm)を用いた条件(耐候密着性試験)での密着性を評価した。評価基準は以下の通りである。結果を表1に示す。
○:全く剥離が見られない
△:初期密着性では剥離が見られないものの、耐熱密着性試験、耐湿熱密着性試験、または耐候密着性試験のいずれかで剥離が見られる
×:初期密着性試験で剥離が見られる
一方、表面保護層に微粒子を配合して金属光沢を調整した比較例1では、適度な金属光沢を有していたが、写像性に劣っていた。一方、微粒子を配合した層を設けなかった比較例2では、写像性に優れていたが、金属光沢が高くなりすぎて、高級感のある質感を表現できなかった。
2…金属薄膜層
3…微粒子含有層
4…表面保護層
5…カラークリア層
6…第1プライマー層
7…第2プライマー層
8…第1樹脂層
9…第2樹脂層
10…成形樹脂層
30…微粒子
Claims (12)
- 少なくとも、基材層と、金属薄膜層と、微粒子含有層と、表面保護層とがこの順に積層された積層体からなり、
前記微粒子含有層の前記金属薄膜層側の表面は、前記微粒子含有層に含まれる微粒子による凹凸形状を有しており、
前記金属薄膜層の前記微粒子含有層側の表面が、前記微粒子含有層表面の凹凸形状に対応した凹凸形状を有しており、
前記微粒子の粒子径は、1μm以上4μm以下であり、
前記基材層は、厚みが200μm以上800μm以下のABS樹脂により形成されている、加飾シート。 - 前記積層体は、前記金属薄膜層と前記表面保護層との間に、前記表面保護層側から順に、第1プライマー層、第1樹脂層、カラークリア層、第2樹脂層、及び第2プライマー層の少なくとも1層を備えており、
前記第1プライマー層、前記第1樹脂層、前記カラークリア層、前記第2樹脂層、及び前記第2プライマー層のうち少なくとも1層が、前記微粒子含有層を構成している、請求項1に記載の加飾シート。 - 前記カラークリア層が、前記微粒子含有層を構成している、請求項2に記載の加飾シート。
- 前記第1樹脂層が、前記微粒子含有層を構成している、請求項2または3に記載の加飾シート。
- 前記第2樹脂層が、前記微粒子含有層を構成している、請求項2〜4のいずれかに記載の加飾シート。
- 前記微粒子含有層において、前記微粒子が位置している部分の厚みが、前記微粒子が位置していない部分の厚みの1.2倍以上5.0倍以下であり、
前記微粒子含有層の前記微粒子が位置している部分と、前記金属薄膜層の前記微粒子含有層側の表面との最短距離xは、10μm以下である、請求項1〜5のいずれかに記載の加飾シート。 - 前記金属薄膜層が、蒸着法、スパッタリング法、またはイオンプレーティング法で形成された層である、請求項1〜6のいずれかに記載の加飾シート。
- 前記金属薄膜層が、スズ、インジウム、クロム、アルミニウム、ニッケル、銅、銀、金、白金、亜鉛、及びこれらのうち少なくとも1種を含む合金からなる群から選択された少なくとも1種の金属により形成されている、請求項1〜7のいずれかに記載の加飾シート。
- 前記金属薄膜層の厚みが、200nm以下である、請求項1〜8のいずれかに記載の加飾シート。
- 前記表面保護層が、電離放射線硬化性樹脂または樹脂フィルムにより形成されている、請求項1〜9のいずれかに記載の加飾シート。
- 前記微粒子含有層と前記金属薄膜層とが直接隣接していない、請求項1〜10のいずれかに記載の加飾シート。
- 少なくとも、成形樹脂層と、基材層と、金属薄膜層と、微粒子含有層と、表面保護層とがこの順に積層された積層体からなり、
前記微粒子含有層の前記金属薄膜層側の表面は、前記微粒子含有層に含まれる微粒子による凹凸形状を有しており、
前記金属薄膜層の前記微粒子含有層側の表面が、前記微粒子含有層表面の凹凸形状に対応した凹凸形状を有しており、
前記微粒子の粒子径は、1μm以上4μm以下であり、
前記基材層は、厚みが200μm以上800μm以下のABS樹脂により形成されている、加飾樹脂成形品。
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