JP6572526B2 - 加飾シート及び加飾樹脂成形品 - Google Patents
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Description
このような状況下、本発明は、成形性が高く、加熱成形による変色の生じ難い加飾シートを提供することを主な目的とする。
項1. 少なくとも、基材層と、金属薄膜層と、プライマー層と、表面保護層とがこの順に積層された積層体からなり、
前記プライマー層は、ガラス転移点が55℃〜110℃の樹脂の硬化物を含む、加飾シート。
項2. 前記ガラス転移点が55℃〜110℃の樹脂が、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリアクリル系樹脂、及びポリオレフィン系樹脂からなる群から選択された少なくとも1種である、項1に記載の加飾シート。
項3. 前記ガラス転移点が55℃〜110℃の樹脂が、ポリオール樹脂であり、
前記プライマー層が、前記ポリオール樹脂とイソシアネート化合物との硬化物により形成されている、項1または2に記載の加飾シート。
項4. 前記ポリオール樹脂が、ポリエステルポリオール及びアクリルポリオールの少なくとも一方である、項3に記載の加飾シート。
項5. 前記イソシアネート化合物が、脂肪族イソシアネート化合物及び芳香族イソシアネート化合物の少なくとも一方である、項3または4に記載の加飾シート。
項6. 前記基材層と前記金属薄膜層との間に接着層を有する、項1〜5のいずれかに記載の加飾シート。
項7. 前記プライマー層と前記表面保護層との間に透明フィルム層を有する、項1〜6のいずれかに記載の加飾シート。
項8. 前記金属薄膜層が、スズ、インジウム、クロム、アルミニウム、ニッケル、銅、銀、金、白金、亜鉛、及びこれらのうち少なくとも1種を含む合金からなる群から選択された少なくとも1種の金属により形成されている、項1〜7のいずれかに記載の加飾シート。
項9. 前記基材層と前記金属薄膜層との間に、第2のプライマー層を有しており、
前記第2のプライマー層は、ガラス転移点が−30℃〜90℃の樹脂の硬化物を含む、項1〜8のいずれかに記載の加飾シート。
項10. 少なくとも、成形樹脂層と、基材層と、金属薄膜層と、プライマー層と、表面保護層とがこの順に積層された積層体からなり、
前記プライマー層は、ガラス転移点が55℃〜110℃の樹脂の硬化物を含む、加飾樹脂成形品。
項11. 項1〜9のいずれかに記載の加飾シートを加熱する工程と、
前記加熱した加飾シートと成形樹脂を一体化する工程と、
を備える、加飾樹脂成形品の製造方法。
本発明の加飾シートは、少なくとも、基材層と、金属薄膜層と、プライマー層と、表面保護層とがこの順に積層された積層体からなり、プライマー層が、ガラス転移点が55℃〜110℃の樹脂の硬化物を含むことを特徴とする。本発明の加飾シートにおいては、金属薄膜層と表面保護層との間に設けられた当該プライマー層が、上記のような特定のガラス転移点を有する樹脂の硬化物を含むことにより、成形性が高く、成形時の加熱によっても変色が生じ難い。より具体的には、本発明の加飾シートは、金属薄膜層の直上に設けられたプライマー層が上記のような特定のガラス転移点を有する樹脂の硬化物を含むことにより、加熱成形時の成形性に優れ、かつ、金属薄膜層とプライマー層との界面において互いに動きにくく、相対的な位置関係が変化しにくいため、加熱成形時の変色も効果的に抑制されている。以下、本発明の加飾シートについて詳述する。
本発明の加飾シートは、少なくとも、基材層1と、金属薄膜層2と、プライマー層3と、表面保護層4とをこの順に有する積層構造を有する。本発明の加飾シートにおいて、基材層1と金属薄膜層2との間には、これらの層間の密着性を高めることなどを目的として、必要に応じて、接着層5を設けてもよい。また、基材層1と金属薄膜層2との間には、これらの層間の密着性を高めることや、金属薄膜層2に隣接する層による金属薄膜層2の劣化を抑制することなどを目的として、第2のプライマー層6を設けてもよい。また、プライマー層3の上には、金属薄膜層2の金属調にさらに光沢性を付与すること等を目的として、必要に応じて、カラークリア層7を設けてもよい。また、プライマー層3の上には、加飾シートの成形性、耐摩擦性、耐汚染性を高めることなどを目的として、必要に応じて、透明フィルム層9などを設けてもよい。表面保護層4の直下には、表面保護層4とその下に形成される層との密着性を高めることなどを目的として、必要に応じて、第3のプライマー層8を設けてもよい。また、基材層1の下に第2の接着層10を設けてもよい。
[基材層1]
基材層1は、本発明の加飾シートにおいて支持体としての役割を果たす樹脂シート(樹脂フィルム)により形成されている。基材層1に使用される樹脂成分については、特に制限されず、三次元成形性や成形樹脂層との相性等に応じて適宜選定すればよいが、好ましくは、熱可塑性樹脂が挙げられる。熱可塑性樹脂としては、具体的には、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂(以下「ABS樹脂」と表記することもある);アクリロニトリル−スチレン−アクリル酸エステル樹脂;アクリル樹脂;ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン系樹脂;ポリカーボネート樹脂;塩化ビニル系樹脂;ポリエチレンテレフタラート(PET)樹脂等が挙げられる。これらの中でも、ABS樹脂が三次元成形性の観点から好ましい。基材層1を形成する樹脂成分としては、1種類のみを用いてもよいし、2種類以上を混合して用いてもよい。また、基材層1は、これら樹脂の単層シートで形成されていてもよく、また同種又は異種樹脂による複層シートで形成されていてもよい。なお、基材層1を複層シートとすることで、加飾シートの三次元成形性を高める手法も考えられるが、本発明の加飾シートにおいては、後述する特定のプライマー層3を有するため、基材層1が単層シートであっても、高い三次元成形性を有する。
接着層5は、基材層1と後述の金属薄膜層2などとの密着性を向上させるため、必要に応じて、基材層1と金属薄膜層2との間に設けられる層である。後述の通り、基材層1と金属薄膜層2との間に第2のプライマー層6を設ける場合、基材層1と第2のプライマー層6との間に接着層5を設けることができる。
第2のプライマー層6は、金属薄膜層2とその下に位置する層との密着性を向上することや、金属薄膜層2の下に位置する層に含まれる成分(例えば塩素成分など)による金属薄膜層2の劣化を抑制することなどを目的として、必要に応じて設けられる層である。第2のプライマー層6は、例えば、基材層1と金属薄膜層2との間、上述の接着層5を有する場合には、接着層5と金属薄膜層2との間に設けられる。第2のプライマー層6は、基材層1と金属薄膜層2などとを密着させる機能を有する。基材層1と第2のプライマー層6との間に上記の接着層5が設けられている場合は、接着層5が基材層1と第2のプライマー層6とを密着させており、第2のプライマー層6が接着層5と金属薄膜層2とを密着させている。第2のプライマー層6を形成する素材は、これらの層間の密着性を向上させ得るものであれば、特に限定されず、例えば、アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、アクリル−ウレタン共重合体樹脂、ポリエステル系樹脂などの樹脂、又はこれらの樹脂の硬化物が挙げられる。密着性をより良好とする観点からは、第2のプライマー層6は樹脂と硬化剤との硬化物により形成されていることが好ましい。なお、硬化剤としては後述するプライマー層3と同様のものが使用できる。
金属薄膜層2は、基材層1の上に設けられ、加飾シートに金属表面と同様な金属調の意匠を付与する層である。
プライマー層3は、金属薄膜層2とその上に設けられる層との密着性を向上させることなどを目的として、金属薄膜層2の直上に設けられている層である。プライマー層3は、ガラス転移点(Tg)が55℃〜110℃の樹脂の硬化物を含む。本発明の加飾シートは、金属薄膜層2の上に設けられたプライマー層3が、上記のような特定のガラス転移点を有する樹脂の硬化物を含むことにより、成形性に優れ、かつ、金属薄膜層2とプライマー層3との界面において動きにくく、相対的な位置関係が変化しにくいため、加熱成形による変色も効果的に抑制されている。ガラス転移点(Tg)が55℃未満になると、高い成形性は維持されるものの、加熱成形による変色が生じやすくなる。また、ガラス転移点(Tg)が110℃を超えると、加熱成形による変色は抑制できるものの、成形性が低下しやすくなり、成形による白化などが生じやすくなる。なお、本発明において、ガラス転移点(Tg)は、JIS K7121−1987に基づき、示差走査熱量測定(DSC)によって得られた値である。
表面保護層4は、加飾シートの耐傷付き性、耐候性などを高めることを目的として、加飾シートの最表面に設けられる層である。表面保護層4を形成する素材は、特に限定されないが、通常は樹脂が用いられ、好ましくは電離放射線硬化性樹脂が用いられる。また、表面保護層4として、後述の透明フィルム層9を構成する樹脂フィルムと同様の樹脂フィルムにより形成することも好ましい。表面保護層4は、例えば電離放射線硬化性樹脂または当該樹脂フィルムの1層により形成されていてもよいし、これらの2層以上により形成されていてもよい。以下、表面保護層4の形成に用いられる電離放射線硬化性樹脂について詳述する。
表面保護層4の形成に使用される電離放射線硬化性樹脂とは、電離放射線を照射することにより、架橋、硬化する樹脂であり、具体的には、分子中に重合性不飽和結合又はエポキシ基を有する、プレポリマー、オリゴマー、及びモノマーなどのうち少なくとも1種を適宜混合したものが挙げられる。ここで電離放射線とは、電磁波又は荷電粒子線のうち、分子を重合あるいは架橋しうるエネルギー量子を有するものを意味し、通常紫外線(UV)又は電子線(EB)が用いられるが、その他、X線、γ線等の電磁波、α線、イオン線等の荷電粒子線も含むものである。電離放射線硬化性樹脂の中でも、電子線硬化性樹脂は、無溶剤化が可能であり、光重合用開始剤を必要とせず、安定な硬化特性が得られるため、表面保護層4の形成において好適に使用される。
表面保護層4には、表面保護層4に備えさせる所望の物性に応じて、各種添加剤を配合することができる。この添加剤としては、例えば紫外線吸収剤や光安定剤等の耐候性改善剤、耐摩耗性向上剤、重合禁止剤、架橋剤、赤外線吸収剤、帯電防止剤、接着性向上剤、レベリング剤、チクソ性付与剤、カップリング剤、可塑剤、消泡剤、充填剤、溶剤、着色剤等が挙げられる。これらの添加剤は、常用されるものから適宜選択して用いることができる。また、紫外線吸収剤や光安定剤として、分子内に(メタ)アクリロイル基等の重合性基を有する反応性の紫外線吸収剤や光安定剤を用いることもできる。
表面保護層4の硬化後の厚みについては、特に制限されないが、例えば、1〜1000μm、好ましくは1〜50μm、更に好ましくは1〜30μmが挙げられる。このような範囲の厚みを満たすと、耐傷付き性、耐候性等の表面保護層としての十分な物性が得られると共に、表面保護層4を電離放射線硬化性樹脂を用いて形成する場合には電離放射線を均一に照射することが可能であるため、均一に硬化することが可能となり、経済的にも有利になる。更に、表面保護層4の硬化後の厚みが前記範囲を充足することによって、加飾シートの三次元成形性が一層向上するため自動車内装用途等の複雑な三次元形状に対して高い追従性を得ることができる。このように、本発明の加飾シートは表面保護層4の厚みを従来のものより厚くしても、十分に高い三次元成形性が得られることから、特に表面保護層4に高い膜厚を要求される部材、例えば車両外装部品等の加飾シートとしても有用である。
表面保護層4の形成は、例えば、電離放射線硬化性樹脂を含む電離放射線硬化性樹脂組成物を調製し、これを塗布し、架橋硬化することにより行われる。なお、電離放射線硬化性樹脂組成物の粘度は、後述の塗布方式により、プライマー層3、後述の第3のプライマー層8などの表面に未硬化樹脂層を形成し得る粘度であればよい。
第3のプライマー層8は、表面保護層4とその下に位置する層との密着性を高めることなどを目的として、必要に応じて、表面保護層4の下に設けられる層である。第3のプライマー層8は、例えば、表面保護層4と金属薄膜層2との間、表面保護層4と後述のカラークリア層7との間、表面保護層4と後述の透明フィルム層9との間などに設けられる。第3のプライマー層8を形成する素材は、これらの層間の密着性を向上させ得るものであれば、特に限定されず、例えば、アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、アクリル−ウレタン共重合体樹脂、ポリエステル系樹脂などの樹脂が挙げられる。
カラークリア層7は、金属薄膜層2の金属調にさらに光沢などを持たせること等を目的として、必要に応じて、金属薄膜層2の上に設けられる層である。カラークリア層7を形成する素材としては、特に限定されないが、例えば、着色剤などにより着色された透明樹脂が挙げられる。着色剤としては、特に制限はないが、例えば、着色顔料、染料などが挙げられる。また、透明樹脂としては、特に制限はないが、例えば、アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、アクリル−ウレタン共重合体樹脂、ポリエステル系樹脂などが挙げられる。カラークリア層7の厚みは、特に限定されないが、通常0.5〜4μm程度、好ましくは1〜3μm程度である。カラークリア層7の形成方法は、特に制限されないが、例えば、プライマー層3、透明フィルム層9、第3のプライマー層8、表面保護層4などのうちカラークリア層7と隣接する層の表面上に上記の樹脂を塗布する方法などが挙げられる。
透明フィルム層9は、本発明の加飾シートの耐傷付き性や耐候性を高めると共に、成形性を高める支持体としての役割を果たし、必要に応じて、プライマー層3の上に設けられる樹脂フィルムである。透明フィルム層9を備えることで成形性が高まり、加飾シートを三次元成形した際に金属薄膜層2にクラックが発生しにくくなるので、伸展性に富むスズ、インジウム、クロム以外の金属(例えばアルミニウムなど)を用いて金属薄膜層2を形成する場合には、透明フィルム層9を備えることが好ましい。透明フィルム層9を形成する樹脂フィルムとしては、加飾シートの成形性を高め、金属薄膜層2による金属調の意匠を隠蔽するものでなければ、特に限定されないが、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル樹脂、またはアクリル樹脂などのフィルムが挙げられる。透明フィルム層9の厚みは、特に限定されないが、通常15〜200μm程度、好ましくは30〜150μm程度である。透明フィルム層9を形成する方法は、特に制限されないが、例えば、表面保護層4、第3のプライマー層8、カラークリア層7、プライマー層3などのうち透明フィルム層9に隣接する層の表面上に上記の樹脂フィルムを積層する方法などが挙げられる。
第2の接着層10は、加飾シートと成形樹脂との接着性や密着性を向上させることなどを目的として、基材層1の裏面に必要に応じて設けられる層である。第2の接着層10を形成する樹脂としては、加飾シートと成形樹脂との接着性や密着性を向上させることができるものであれば、特に制限されず、例えば、熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂が用いられる。熱可塑性樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、アクリル変性ポリオレフィン樹脂、塩素化ポリオレフィン樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、熱可塑性ウレタン樹脂、熱可塑性ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ゴム系樹脂などが挙げられる。熱可塑性樹脂は、1種類単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。また、熱硬化性樹脂としては、例えば、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂等挙げられる。熱硬化性樹脂は、1種類単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
本発明の加飾樹脂成形品は、本発明の加飾シートと成形樹脂とを一体化させることにより成形されてなるものである。即ち、本発明の加飾樹脂成形品は、少なくとも、成形樹脂層と、基材層と、金属薄膜層と、プライマー層と、表面保護層とがこの順に積層された積層体からなり、プライマー層が、ガラス転移点が55℃〜110℃の樹脂の硬化物を含むことを特徴とする。本発明の加飾樹脂成形品では、必要に応じて、加飾シートに上述の、接着層5、第2のプライマー層6、カラークリア層7、第3のプライマー層8、透明フィルム層9などの少なくとも1層がさらに設けられていてもよい。
本発明の加飾シートを真空成形型により予め立体形状に成形する真空成形工程、
真空成形された加飾シートの余分な部分をトリミングして成形シートを得るトリミング工程、及び
成形シートを射出成形型に挿入し、射出成形型を閉じ、流動状態の樹脂を射出成形型内に射出して樹脂と成形シートを一体化する一体化工程。
本発明の加飾シートを、所定形状の成形面を有する可動金型の当該成形面に対し、加飾シートの基材層の表面が対面するように設置した後、当該加飾シートを加熱、軟化させると共に、可動金型側から真空吸引して、軟化した加飾シートを当該可動金型の成形面に沿って密着させることにより、加飾シートを予備成形する予備成形工程、
成形面に沿って密着された加飾シートを有する可動金型と固定金型とを型締めした後、両金型で形成されるキャビティ内に、流動状態の樹脂を射出、充填して固化させることにより樹脂成形体を形成し、樹脂成形体と加飾シートを積層一体化させる一体化工程、及び
可動金型を固定金型から離間させて、加飾シート全層が積層されてなる樹脂成形体を取り出す取出工程。
(加飾シートの作製)
剥離シートとしての2軸延伸ポリエチレンテレフタレートシート(東洋紡績社製のE5001、厚み25μm)の上に、アクリル−ウレタンブロック共重合樹脂を塗工して、厚み2μmの透明な第3のプライマー層を形成した。次に、第3のプライマー層上に、3質量%程度の着色剤を含むアクリル−ウレタンブロック共重合樹脂を塗工して、カラークリア層(厚み2μm)を形成した。次に、表1及び表2に記載の組成を有するプライマー層を厚み2μmとなるように形成した。次に、プライマー層の表面上にスズを蒸着して光学濃度(OD値)が1.2の金属薄膜層を形成した。次に、金属薄膜層の上に、表1及び表2に記載の組成を有する第2のプライマー層(厚み2μm)を形成した。次に、第2のプライマー層の上に、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体を厚み2μmとなるように塗工して接着層を形成した。次に、接着層の上に厚み400μmのABS樹脂からなるシートを接触させて基材層を形成し、剥離層/第3のプライマー層/カラークリア層/プライマー層/金属薄膜層/第2のプライマー層/接着層/基材層がこの順に積層された積層体を得た。
実施例1〜17及び比較例1〜3の加飾シートを、それぞれ赤外線ヒーターで160℃に加熱し、軟化させた。次に、真空成形用型を用い、最大延伸倍率が150%になる条件で真空成形し、真空成形用型の内部形状となるように加飾シートを成形した。次に、加飾シートを冷却後、真空成形用型から離型した。離型した加飾シートに割れや白化が全く見られず、真空成形用型の内部形状に良好に追従していたものを、成形性が良好(○)と評価した。離型した加飾シートにごく軽微な割れや白化が見られたが実使用上全く問題ないものを(○△)と評価した。離型した加飾シートに軽微な割れや白化が見られたが、実用上問題ないものを(△)と評価した。離型した加飾シートに割れや白化が見られ、真空成形用型の内部形状に追従できておらず、成形性が悪くて実用上問題があるものを(××)と評価した。結果を表1及び表2に示す。
実施例1〜17及び比較例1〜3の加飾シートを、上記の成形性評価試験と同様の方法で真空成形した。真空成形後の加飾シートの表面を目視で観察し、変色が全く見られないものを(○)、ごく軽微な変色が見られるが実用上全く問題ないものを(○△)、軽微な変色が見られるが実用上問題ないものを(△)、変色が見られ実用上問題があるものを(××)と評価した。結果を表1及び表2に示す。
実施例2、3、8〜17の加飾シート(成形前)を、60℃、相対湿度90%の環境下で72時間静置した。次に、分光測色計(コニカミノルタ社製のCM−3700d)を用いて、色差ΔE*ab(JISZ8729−1994に規定された国際照明委員会(CIE)のL*a*b*表色系に準拠している)を測定した。色差ΔE*abは下記式で表される。
ΔE*ab=√(ΔL*)2+(Δa*)2+(Δb*)2
なお、色差の基準としては、それぞれ、耐退色性評価試験に供する前の実施例2、3、8〜17の加飾シートを用いた。耐退色性評価試験の結果、色差ΔE*abが2未満の場合に、退色がごく小さい(○)と評価し、色差ΔE*abが2以上4未満の場合に退色が小さい(〇△)、色差ΔE*abが4以上6未満の場合に、退色がやや大きい(△)、色差ΔE*abが6以上10未満の場合に、退色が大きい(×)、色差ΔE*abが10以上の場合に、退色が非常に大きい(××)と評価した。結果を表2に示す。
2…金属薄膜層
3…プライマー層
4…表面保護層
5…接着層
6…第2のプライマー層
7…カラークリア層
8…第3のプライマー層
9…透明フィルム層
Claims (11)
- 少なくとも、基材層と、金属薄膜層と、プライマー層と、表面保護層とがこの順に積層された積層体からなり、
前記プライマー層は、ガラス転移点が55℃〜110℃の樹脂の硬化物を含み、
前記ガラス転移点が55℃〜110℃の樹脂が、ポリオール樹脂であり、
前記プライマー層が、前記ポリオール樹脂とイソシアネート化合物との硬化物により形成されており、
前記基材層と前記金属薄膜層との間に、第2のプライマー層を有しており、
前記第2のプライマー層は、ガラス転移点が−30℃〜90℃の樹脂の硬化物を含む、加飾シート。 - 前記ガラス転移点が55℃〜110℃の樹脂が、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリアクリル系樹脂、及びポリオレフィン系樹脂からなる群から選択された少なくとも1種である、請求項1に記載の加飾シート。
- 前記ポリオール樹脂100質量部に対して、前記イソシアネート化合物が1〜15質量部である、請求項1又は2に記載の加飾シート。
- 前記ポリオール樹脂が、ポリエステルポリオール及びアクリルポリオールの少なくとも一方である、請求項1〜3のいずれかに記載の加飾シート。
- 前記イソシアネート化合物が、脂肪族イソシアネート化合物及び芳香族イソシアネート化合物の少なくとも一方である、請求項1〜4のいずれかに記載の加飾シート。
- 前記基材層と前記金属薄膜層との間に接着層を有する、請求項1〜5のいずれかに記載の加飾シート。
- 前記プライマー層と前記表面保護層との間に透明フィルム層を有する、請求項1〜6のいずれかに記載の加飾シート。
- 前記金属薄膜層が、スズ、インジウム、クロム、アルミニウム、ニッケル、銅、銀、金、白金、亜鉛、及びこれらのうち少なくとも1種を含む合金からなる群から選択された少なくとも1種の金属により形成されている、請求項1〜7のいずれかに記載の加飾シート。
- 前記第2のプライマー層の厚みが、0.5〜2.5μmmである、請求項1〜8のいずれかに記載の加飾シート。
- 少なくとも、成形樹脂層と、基材層と、金属薄膜層と、プライマー層と、表面保護層とがこの順に積層された積層体からなり、
前記プライマー層は、ガラス転移点が55℃〜110℃の樹脂の硬化物を含み、
前記ガラス転移点が55℃〜110℃の樹脂が、ポリオール樹脂であり、
前記プライマー層が、前記ポリオール樹脂とイソシアネート化合物との硬化物により形成されており、
前記基材層と前記金属薄膜層との間に、第2のプライマー層を有しており、
前記第2のプライマー層は、ガラス転移点が−30℃〜90℃の樹脂の硬化物を含む、加飾樹脂成形品。 - 請求項1〜9のいずれかに記載の加飾シートを加熱する工程と、
前記加熱した加飾シートと成形樹脂を一体化する工程と、
を備える、加飾樹脂成形品の製造方法。
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