JP6572526B2 - 加飾シート及び加飾樹脂成形品 - Google Patents

加飾シート及び加飾樹脂成形品 Download PDF

Info

Publication number
JP6572526B2
JP6572526B2 JP2014196997A JP2014196997A JP6572526B2 JP 6572526 B2 JP6572526 B2 JP 6572526B2 JP 2014196997 A JP2014196997 A JP 2014196997A JP 2014196997 A JP2014196997 A JP 2014196997A JP 6572526 B2 JP6572526 B2 JP 6572526B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
layer
resin
decorative sheet
primer layer
thin film
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2014196997A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2015164794A (ja
Inventor
俊文 藤井
俊文 藤井
千草 栗山
千草 栗山
洋介 阿部
洋介 阿部
晴香 三柴
晴香 三柴
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Dai Nippon Printing Co Ltd
Original Assignee
Dai Nippon Printing Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Dai Nippon Printing Co Ltd filed Critical Dai Nippon Printing Co Ltd
Priority to JP2014196997A priority Critical patent/JP6572526B2/ja
Publication of JP2015164794A publication Critical patent/JP2015164794A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6572526B2 publication Critical patent/JP6572526B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Laminated Bodies (AREA)

Description

本発明は、金属調の意匠を有する加飾シートに関する。さらに、本発明は、当該加飾シートを利用した加飾樹脂成形品に関する。
従来、車両内外装部品、建材内装材、家電筐体等に金属調の意匠を付与するために、樹脂の表面に金属めっき、金属塗装などを施した部材が用いられている。しかしながら、金属めっき、金属塗装などを行う場合、金属を含む廃水の処理、溶媒蒸気に対する対策などを行う必要がある。また、一般に、これらの部材の歩留まりは良くない。
そこで、近年、これらの部材として、金属調を有する加飾シートを樹脂成形品の表面に積層させた加飾樹脂成形品が使用されている(例えば特許文献1を参照)。加飾樹脂成形品の製造には、予め意匠が付与された加飾シートを、射出成形によって樹脂と一体化させる成形法などが用いられている。
このような加飾シートにおいては、基材層の上に金属薄膜層が形成されており、さらに、加飾樹脂成形品の耐傷付き性などを向上させることなどを目的として、一般に、金属薄膜層の上に表面保護層が形成されている。
また、加飾樹脂成形品には、三次元曲面等の複雑な表面形状を有するものがある。このため、加飾シートには、複雑な表面形状を有する加飾樹脂成形品の形状に十分に追従し得る三次元成形性が求められる。特に、金属調を有する加飾シートにおいては、樹脂により形成された表面保護層などと金属により形成された金属薄膜層との密着性の低さが問題となりやすい。このため、金属薄膜層と表面保護層などの間に、これらの密着性を向上させるために、プライマー層を設けることがある。
特開2011−167844号公報
近年、より複雑な加飾樹脂成形品の形状に追従できる加飾シートが求められている。ところが、本発明者が検討したところ、金属薄膜層を有する従来の加飾シートを加熱して成形すると、加飾シートが白化したり、虹色などに変色する場合あることが明らかとなった。
このような状況下、本発明は、成形性が高く、加熱成形による変色の生じ難い加飾シートを提供することを主な目的とする。
本発明者は、上記のような課題を解決すべく鋭意検討を行った。その結果、加飾シートの変色は、加飾シートの加熱成形時において、プライマー層と金属薄膜層とが界面でわずかに動くことによって生じていることが明らかとなった。さらに本発明者が検討を重ねた結果、少なくとも、基材層と、金属薄膜層と、プライマー層と、表面保護層とがこの順に積層された積層体からなる加飾シートにおいて、プライマー層が、ガラス転移点が55℃〜110℃の樹脂の硬化物を含むことにより、加飾シートの成形時における白化や変色を抑制できることを見出した。本発明は、これらの知見に基づいて、さらに検討を重ねることにより完成された発明である。
すなわち、本発明は、下記に掲げる態様の発明を提供する。
項1. 少なくとも、基材層と、金属薄膜層と、プライマー層と、表面保護層とがこの順に積層された積層体からなり、
前記プライマー層は、ガラス転移点が55℃〜110℃の樹脂の硬化物を含む、加飾シート。
項2. 前記ガラス転移点が55℃〜110℃の樹脂が、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリアクリル系樹脂、及びポリオレフィン系樹脂からなる群から選択された少なくとも1種である、項1に記載の加飾シート。
項3. 前記ガラス転移点が55℃〜110℃の樹脂が、ポリオール樹脂であり、
前記プライマー層が、前記ポリオール樹脂とイソシアネート化合物との硬化物により形成されている、項1または2に記載の加飾シート。
項4. 前記ポリオール樹脂が、ポリエステルポリオール及びアクリルポリオールの少なくとも一方である、項3に記載の加飾シート。
項5. 前記イソシアネート化合物が、脂肪族イソシアネート化合物及び芳香族イソシアネート化合物の少なくとも一方である、項3または4に記載の加飾シート。
項6. 前記基材層と前記金属薄膜層との間に接着層を有する、項1〜5のいずれかに記載の加飾シート。
項7. 前記プライマー層と前記表面保護層との間に透明フィルム層を有する、項1〜6のいずれかに記載の加飾シート。
項8. 前記金属薄膜層が、スズ、インジウム、クロム、アルミニウム、ニッケル、銅、銀、金、白金、亜鉛、及びこれらのうち少なくとも1種を含む合金からなる群から選択された少なくとも1種の金属により形成されている、項1〜7のいずれかに記載の加飾シート。
項9. 前記基材層と前記金属薄膜層との間に、第2のプライマー層を有しており、
前記第2のプライマー層は、ガラス転移点が−30℃〜90℃の樹脂の硬化物を含む、項1〜8のいずれかに記載の加飾シート。
項10. 少なくとも、成形樹脂層と、基材層と、金属薄膜層と、プライマー層と、表面保護層とがこの順に積層された積層体からなり、
前記プライマー層は、ガラス転移点が55℃〜110℃の樹脂の硬化物を含む、加飾樹脂成形品。
項11. 項1〜9のいずれかに記載の加飾シートを加熱する工程と、
前記加熱した加飾シートと成形樹脂を一体化する工程と、
を備える、加飾樹脂成形品の製造方法。
本発明によれば、成形性が高く、加熱成形による変色が生じ難い加飾シート、及び当該加飾シートを利用した加飾樹脂成形品を提供することができる。
本発明に係る加飾シートの一例の略図的断面図である。 本発明に係る加飾シートの一例の略図的断面図である。 本発明に係る加飾シートの一例の略図的断面図である。
1.加飾シート
本発明の加飾シートは、少なくとも、基材層と、金属薄膜層と、プライマー層と、表面保護層とがこの順に積層された積層体からなり、プライマー層が、ガラス転移点が55℃〜110℃の樹脂の硬化物を含むことを特徴とする。本発明の加飾シートにおいては、金属薄膜層と表面保護層との間に設けられた当該プライマー層が、上記のような特定のガラス転移点を有する樹脂の硬化物を含むことにより、成形性が高く、成形時の加熱によっても変色が生じ難い。より具体的には、本発明の加飾シートは、金属薄膜層の直上に設けられたプライマー層が上記のような特定のガラス転移点を有する樹脂の硬化物を含むことにより、加熱成形時の成形性に優れ、かつ、金属薄膜層とプライマー層との界面において互いに動きにくく、相対的な位置関係が変化しにくいため、加熱成形時の変色も効果的に抑制されている。以下、本発明の加飾シートについて詳述する。
加飾シートの積層構造
本発明の加飾シートは、少なくとも、基材層1と、金属薄膜層2と、プライマー層3と、表面保護層4とをこの順に有する積層構造を有する。本発明の加飾シートにおいて、基材層1と金属薄膜層2との間には、これらの層間の密着性を高めることなどを目的として、必要に応じて、接着層5を設けてもよい。また、基材層1と金属薄膜層2との間には、これらの層間の密着性を高めることや、金属薄膜層2に隣接する層による金属薄膜層2の劣化を抑制することなどを目的として、第2のプライマー層6を設けてもよい。また、プライマー層3の上には、金属薄膜層2の金属調にさらに光沢性を付与すること等を目的として、必要に応じて、カラークリア層7を設けてもよい。また、プライマー層3の上には、加飾シートの成形性、耐摩擦性、耐汚染性を高めることなどを目的として、必要に応じて、透明フィルム層9などを設けてもよい。表面保護層4の直下には、表面保護層4とその下に形成される層との密着性を高めることなどを目的として、必要に応じて、第3のプライマー層8を設けてもよい。また、基材層1の下に第2の接着層10を設けてもよい。
本発明の加飾シートの積層構造として、基材層/金属薄膜層/プライマー層/表面保護層がこの順に積層された積層構造;接着層/基材層/金属薄膜層/プライマー層/表面保護層がこの順に積層された積層構造;基材層/接着層/金属薄膜層/プライマー層/表面保護層がこの順に積層された積層構造;基材層/接着層/第2のプライマー層/金属薄膜層/プライマー層/表面保護層がこの順に積層された積層構造;基材層/接着層/第2のプライマー層/金属薄膜層/プライマー層/カラークリア層/第3のプライマー層/表面保護層がこの順に積層された積層構造;基材層/接着層/第2のプライマー層/金属薄膜層/プライマー層/透明フィルム層/第3のプライマー層/表面保護層がこの順に積層された積層構造;基材層/接着層/第2のプライマー層/金属薄膜層/プライマー層/透明フィルム層/カラークリア層/第3のプライマー層/表面保護層がこの順に積層された積層構造などが挙げられる。
図1に、本発明の加飾シートの積層構造の一態様として、基材層/金属薄膜層/プライマー層/表面保護層がこの順に積層された加飾シートの一例の略図的断面図を示す。図2に、本発明の加飾シートの積層構造の一態様として、基材層/接着層/第2のプライマー層/金属薄膜層/プライマー層/カラークリア層/第3のプライマー層/表面保護層がこの順に積層された加飾シートの一例の略図的断面図を示す。図3に、本発明の加飾シートの積層構造の一態様として、基材層/接着層/第2のプライマー層/金属薄膜層/プライマー層/透明フィルム層/カラークリア層/第3のプライマー層/表面保護層がこの順に積層された加飾シートの一例の略図的断面図を示す。
加飾シートを形成する各層の組成
[基材層1]
基材層1は、本発明の加飾シートにおいて支持体としての役割を果たす樹脂シート(樹脂フィルム)により形成されている。基材層1に使用される樹脂成分については、特に制限されず、三次元成形性や成形樹脂層との相性等に応じて適宜選定すればよいが、好ましくは、熱可塑性樹脂が挙げられる。熱可塑性樹脂としては、具体的には、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂(以下「ABS樹脂」と表記することもある);アクリロニトリル−スチレン−アクリル酸エステル樹脂;アクリル樹脂;ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン系樹脂;ポリカーボネート樹脂;塩化ビニル系樹脂;ポリエチレンテレフタラート(PET)樹脂等が挙げられる。これらの中でも、ABS樹脂が三次元成形性の観点から好ましい。基材層1を形成する樹脂成分としては、1種類のみを用いてもよいし、2種類以上を混合して用いてもよい。また、基材層1は、これら樹脂の単層シートで形成されていてもよく、また同種又は異種樹脂による複層シートで形成されていてもよい。なお、基材層1を複層シートとすることで、加飾シートの三次元成形性を高める手法も考えられるが、本発明の加飾シートにおいては、後述する特定のプライマー層3を有するため、基材層1が単層シートであっても、高い三次元成形性を有する。
基材層1は、金属薄膜層2、第2のプライマー層6、接着層5などとの密着性を向上させるために、必要に応じて、片面又は両面に酸化法や凹凸化法等の物理的又は化学的表面処理が施されていてもよい。基材層1の表面処理として行われる酸化法としては、例えば、コロナ放電処理、プラズマ処理、クロム酸化処理、火炎処理、熱風処理、オゾン紫外線処理法等が挙げられる。また、基材層1の表面処理として行われる凹凸化法としては、例えばサンドブラスト法、溶剤処理法等が挙げられる。これらの表面処理は、基材層1を構成する樹脂成分の種類に応じて適宜選択されるが、効果及び操作性等の観点から、好ましくはコロナ放電処理法が挙げられる。
また、基材層1には、着色剤などを配合した着色、色彩を整えるための塗装、デザイン性を付与するための模様の形成などがなされていてもよい。
基材層1の厚みは、特に制限されず、加飾シートの用途等に応じて適宜設定されるが、通常50〜800μm程度、好ましくは100〜600μm程度、さらに好ましくは200〜500μm程度が挙げられる。基材層1の厚みが上記範囲内であると、加飾シートに対してより一層優れた三次元成形性、意匠性などを備えさせることができる。
[接着層5]
接着層5は、基材層1と後述の金属薄膜層2などとの密着性を向上させるため、必要に応じて、基材層1と金属薄膜層2との間に設けられる層である。後述の通り、基材層1と金属薄膜層2との間に第2のプライマー層6を設ける場合、基材層1と第2のプライマー層6との間に接着層5を設けることができる。
接着層5を形成する樹脂は、基材層1と金属薄膜層2などとの密着性を向上させ得るものであれば特に制限はないが、例えば熱可塑性樹脂が挙げられる。熱可塑性樹脂としては、特に制限されないが、例えば、アクリル樹脂;ポリプロピレン,ポリエチレン等のポリオレフィン樹脂;ポリカーボネート樹脂;ABS樹脂;ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル樹脂;ポリ塩化ビニル、塩素化ポリエチレン、ポリ塩化ビニリデン、エチレン−塩化ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−(メタ)アクリル共重合体などのポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ塩化プロピレン、塩素化ポリプロピレンなどの塩素系樹脂などが挙げられる。接着層5を形成する樹脂としては、基材層1と金属薄膜層2などとの密着性を高める観点から、好ましくは、アクリル樹脂、塩素系樹脂が用いられる。塩素系樹脂としては、基材層1と金属薄膜層2などとの密着性を高める観点などからは、好ましくは塩化ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体が挙げられ、より好ましくは塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体が挙げられる。接着層5を形成する樹脂としては、1種類単独で用いてもよいし、2種類以上を混合して用いてもよい。なお、本発明において、「(メタ)アクリル」とは「アクリル」及び「メタクリル」の総称であり、(メタ)の付く他の類似するものも同様の意である。
接着層5を形成する樹脂として、例えば、アクリル樹脂と塩素系樹脂との混合樹脂を用いる場合、基材層1とプライマー層3との密着性を高める観点からは、接着層5を形成する樹脂におけるアクリル樹脂と塩素系樹脂との質量比は、20/80〜80/20程度であることが好ましく、30/70〜70/30程度であることがより好ましい。
接着層5を設ける場合、接着層5の厚みは、特に制限されないが、基材層1と金属薄膜層2などとの密着性を高める観点からは、0.6〜3.5μm程度、好ましくは1〜2μm程度とすることができる。
接着層5の形成方法は、特に制限されない。接着層5は、例えば、基材層1、金属薄膜層2、第2のプライマー層6などのうち接着層5と隣接する層の表面上に上記の樹脂を塗工することにより形成することができ、例えばドライラミネート法などを用いることができる。
[第2のプライマー層6]
第2のプライマー層6は、金属薄膜層2とその下に位置する層との密着性を向上することや、金属薄膜層2の下に位置する層に含まれる成分(例えば塩素成分など)による金属薄膜層2の劣化を抑制することなどを目的として、必要に応じて設けられる層である。第2のプライマー層6は、例えば、基材層1と金属薄膜層2との間、上述の接着層5を有する場合には、接着層5と金属薄膜層2との間に設けられる。第2のプライマー層6は、基材層1と金属薄膜層2などとを密着させる機能を有する。基材層1と第2のプライマー層6との間に上記の接着層5が設けられている場合は、接着層5が基材層1と第2のプライマー層6とを密着させており、第2のプライマー層6が接着層5と金属薄膜層2とを密着させている。第2のプライマー層6を形成する素材は、これらの層間の密着性を向上させ得るものであれば、特に限定されず、例えば、アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、アクリル−ウレタン共重合体樹脂、ポリエステル系樹脂などの樹脂、又はこれらの樹脂の硬化物が挙げられる。密着性をより良好とする観点からは、第2のプライマー層6は樹脂と硬化剤との硬化物により形成されていることが好ましい。なお、硬化剤としては後述するプライマー層3と同様のものが使用できる。
第2のプライマー層6は、ガラス転移点(Tg)が−30℃〜90℃の樹脂の硬化物を含むことが好ましい。加飾シート又はこれを利用した加飾樹脂成形品が湿熱環境下に曝されると、金属薄膜層が容易に変色(退色)する場合がある。これに対して、第2のプライマー層6が、ガラス転移点(Tg)−30℃以上の樹脂の硬化物を含むことにより、加飾シートの耐退色性を向上させることができ、さらに、密着性も向上させることができる。一方、第2のプライマー層6が、ガラス転移点(Tg)90℃以下の樹脂の硬化物を含むことにより、成形性を向上させることができる。当該ガラス転移点(Tg)としては、より好ましくは30℃〜80℃が挙げられる。なお、第2のプライマー層6のガラス転移点(Tg)は、後述の[プライマー層3]に記載の方法によって測定した値である。また、耐退色性をより良好にする観点からは、ガラス転移点(Tg)が−30〜90℃の樹脂としてはポリエステル系樹脂を使用することが好ましく、ポリエステルポリオールを用いることが特に好ましい。
第2のプライマー層6の厚みは、特に限定されないが、通常0.5〜2.5μm程度、好ましくは1〜2μm程度である。第2のプライマー層6には、着色剤を混合して、色彩を整えたり、意匠性を向上させることができ、さらには、デザイン的な観点での模様を形成することもできる。第2のプライマー層6の形成方法は、特に制限されないが、例えば、基材層1、金属薄膜層2などの表面上に上記の樹脂を塗布する方法などが挙げられる。
[金属薄膜層2]
金属薄膜層2は、基材層1の上に設けられ、加飾シートに金属表面と同様な金属調の意匠を付与する層である。
金属薄膜層2を形成する金属としては、加飾シートに金属調の意匠を付与できる金属であれば特に限定されないが、例えば、スズ、インジウム、クロム、アルミニウム、ニッケル、銅、銀、金、白金、亜鉛、及びこれらのうち少なくとも1種を含む合金などが挙げられる。これらの中でも、伸展性に富むとの観点から、好ましくはスズ、インジウム、及びクロムが挙げられる。なお、伸展性に富む金属により金属薄膜層2が形成されていることにより、加飾シートを三次元成形した際にクラックが発生しにくいという利点を有する。金属薄膜層2は、1種類の金属により形成されていてもよく、2種類以上の金属により形成されていてもよい。
金属薄膜層2の形成方法は、特に制限されないが、質感が高く高級感のある金属調の意匠を加飾シートに付与する観点から、例えば、上記の金属を用いた、真空蒸着法などの蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法などが好ましい。特に、真空蒸着法は、低コスト、被蒸着体へのダメージが少ないという点で好ましい。蒸着の条件は、用いる金属の溶融温度又は蒸発温度に応じて適宜設定すればよい。また、上記の形成方法以外に、上記の金属を含むペーストを塗工する方法、上記の金属を用いためっき法などを用いることもできる。
金属薄膜層2の厚みとしては、特に限定されないが、加飾シートの意匠性や成形性を高める観点などからは、光学濃度(OD値)が好ましくは0.6〜1.8程度、より好ましくは0.8〜1.4程度が挙げられる。なお、前述の通り、金属薄膜層は、湿熱環境下において、変色(退色)する場合がある。特に、金属薄膜層を形成する金属としてスズを用いる場合に、当該退色が生じやすい。金属薄膜層の退色が進行すると、金属薄膜層による隠蔽性が小さくなり、金属薄膜層の下に形成されている層の色が透けて見え、意匠性が低下するという問題がある。一方、金属薄膜層の光学濃度(OD値)を高くしようとすると、従来の加飾シートでは、加熱成形時に白化や色ムラが発生しやすいという問題がある。これに対して、本発明の加飾シートにおいては、プライマー層3が、上記特定のガラス転移点を有する樹脂の硬化物を含むため、加熱成形時の白化や色ムラが抑制され、金属薄膜層2の光学濃度(OD値)を高く設定することができる。金属薄膜層2の光学濃度(OD値)を高く設定する場合、好ましい光学濃度(OD値)としては、退色と白化や色ムラを抑制する観点から1.1〜1.5が挙げられる。
[プライマー層3]
プライマー層3は、金属薄膜層2とその上に設けられる層との密着性を向上させることなどを目的として、金属薄膜層2の直上に設けられている層である。プライマー層3は、ガラス転移点(Tg)が55℃〜110℃の樹脂の硬化物を含む。本発明の加飾シートは、金属薄膜層2の上に設けられたプライマー層3が、上記のような特定のガラス転移点を有する樹脂の硬化物を含むことにより、成形性に優れ、かつ、金属薄膜層2とプライマー層3との界面において動きにくく、相対的な位置関係が変化しにくいため、加熱成形による変色も効果的に抑制されている。ガラス転移点(Tg)が55℃未満になると、高い成形性は維持されるものの、加熱成形による変色が生じやすくなる。また、ガラス転移点(Tg)が110℃を超えると、加熱成形による変色は抑制できるものの、成形性が低下しやすくなり、成形による白化などが生じやすくなる。なお、本発明において、ガラス転移点(Tg)は、JIS K7121−1987に基づき、示差走査熱量測定(DSC)によって得られた値である。
硬化してプライマー層3を形成する樹脂のうち、ガラス転移点(Tg)が55℃〜110℃の樹脂の含有量としては、好ましくは50質量%以上、より好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上が挙げられる。硬化してプライマー層3を形成する樹脂は、実質的にガラス転移点(Tg)が55℃〜110℃の樹脂のみであることが特に好ましい。
硬化してプライマー層3を形成する樹脂は、ガラス転移点(Tg)が55℃〜110℃の範囲にあり、乾燥や化学反応等により硬化して塗膜を形成することができる樹脂であれば、特に制限されず、例えば、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂などが挙げられ、好ましくはポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリアクリル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂などが挙げられる。プライマー層3に含まれる樹脂としては、加飾シートに高い成形性を付与し、かつ、加熱成形時の変色を抑制する観点からは、より好ましくはポリエステル系樹脂及びポリアクリル系樹脂が挙げられる。ガラス転移点(Tg)が55℃〜110℃の樹脂は、1種類単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
上記のポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリアクリル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂としては、特に制限されないが、加飾シートの三次元成形性を高める観点からは、例えば、ポリエステル系樹脂であるポリエステルポリオール;ポリウレタン系樹脂である、ポリエステルウレタンポリオール、アクリルウレタンポリオールなどのウレタンポリオール;ポリアクリル系樹脂であるアクリルポリオール;ポリオレフィン系樹脂である、ポリエチレンポリオール、ポリプロピレンポリオール、ポリブタジエンポリオール、ポリイソプレンポリオールなどのポリオレフィンポリオールが挙げられる。
ポリエステルポリオールとしては、低分子ジオールとジカルボン酸とを反応させて得られる縮合ポリエステルジオール、ラクトンの開環重合により得られるポリラクトンジオール、ポリカーボネートジオール等が挙げられる。ジカルボン酸としては、例えばコハク酸、アジピン酸、セバシン酸、グルタル酸、アゼライン酸、マレイン酸、フマル酸等の脂肪族ジカルボン酸類、テレフタル酸、イソフタル酸等の芳香族ジカルボン酸類などが挙げられる。また、ラクトンとしては、例えばε−カプロラクトン等が使用される。ポリエステルポリオールの具体例としては、ポリエチレンアジペート、ポリブチレンアジペート、ポリヘキサメチレンアジペート、ポリネオペンチルアジペート、ポリエチレンブチレンアジペート、ポリブチレンヘキサブチレンアジペート、ポリジエチレンアジペート、ポリ(ポリテトラメチレンエーテル)アジペート、ポリエチレンアゼート、ポリエチレンセバケート、ポリブチレンアゼート、ポリブチレンセバケート、ポリヘキサメチレンカーボネートジオール等が挙げられる。
アクリルポリオールとしては、水酸基を複数有するアクリル系樹脂であれば特に制限されないが、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸−n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸−n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸エチルヘキシル等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体等の1種又は2種以上と、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル等の分子中に水酸基を有する(メタ)アクリル酸エステル単量体の1種又は2種以上と、更に必要に応じ、スチレン単量体等とを共重合させて得られた共重合体で、水酸基を複数有するものなどが挙げられる。
本発明のプライマー層3は、ガラス転移点(Tg)が55℃〜110℃の上記の樹脂と硬化剤との硬化物により形成されていることが好ましい。また、本発明のプライマー層3は、ガラス転移点(Tg)が55℃〜110℃℃のポリオール樹脂と、イソシアネート化合物などからなる硬化剤とによって得られる、反応硬化型のウレタン樹脂により形成されていることがより好ましい。ガラス転移点(Tg)が55℃〜110℃のポリオール樹脂としては、特に制限されず、例えば、上記で例示したポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリアクリル系樹脂、またはポリオレフィン系樹脂である上記のポリオールなどが挙げられる。加飾シートの成形性を高め、かつ、加熱成形による変色を効果的に抑制する観点からは、ガラス転移点(Tg)が55℃〜110℃のポリオール樹脂の中でも、ポリエステルポリオール又はアクリルポリオールが特に好ましい。
イソシアネート化合物としては、例えば、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、キシレン−1,4−ジイソシアネート、キシレン−1,3−ジイソシアネート、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,2′−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルエーテルジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート、2−ニトロジフェニル−4,4′−ジイソシアネート、2,2′−ジフェニルプロパン−4,4′−ジイソシアネート、3,3′−ジメチルジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネート、4,4′−ジフェニルプロパンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、ナフチレン−1,4−ジイソシアネート、ナフチレン−1,5−ジイソシアネート、3,3′−ジメトキシジフェニル−4,4′−ジイソシアネートなどの芳香族イソシアネート;1,4−ジイソシアナトブタン、1,5−ジイソシアナトペンタン、1,6−ジイソシアナトヘキサン(1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、HDI)、1,6−ジイソシアナト−2,2,4−トリメチルヘキサン、2,6−ジイソシアナトヘキサン酸メチル(リジンジイソシアネート)などの脂肪族イソシアネート;イソホロンジイソシアネート、水素添加キシリレンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネートなどの脂環式ジイソシアネートなどが挙げられる。加飾シートの成形性を高め、かつ、加熱成形による変色を効果的に抑制する観点からは、これらの中でも、脂肪族イソシアネート及び芳香族イソシアネートが好ましい。硬化剤は、1種類単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
プライマー層3に上記の硬化剤を使用する場合、硬化剤の含有量としては、特に制限されないが、加飾シートの成形性を高め、かつ、加熱成形による変色を効果的に抑制する観点からは、硬化してプライマー層3を形成する上記の樹脂100質量部に対して、好ましくは1〜15質量部程度、より好ましくは3〜10質量部程度が挙げられる。
プライマー層3を形成するこのような反応硬化型のウレタン樹脂は、1液硬化型及び2液硬化型のいずれでもよく、好ましくは2液硬化型である。
プライマー層3の厚みは、特に制限されないが、加飾シートの三次元成形性を高める観点からは、好ましくは0.5〜3μm程度、より好ましくは1〜2μm程度が挙げられる。
プライマー層3は、上記の樹脂を含むプライマー組成物を用いて形成される。具体的には、プライマー層3は、プライマー組成物を用いて、グラビアコート、グラビアリバースコート、グラビアオフセットコート、スピンナーコート、ロールコート、リバースロールコート、キスコート、ホイラーコート、ディップコート、シルクスクリーンによるベタコート、ワイヤーバーコート、フローコート、コンマコート、かけ流しコート、刷毛塗り、スプレーコート等の通常の塗布方法や転写コーティング法により形成される。ここで、転写コーティング法とは、薄いシート(フィルム基材)にプライマー層3の塗膜を形成し、その後に加飾シート中の対象となる層表面に被覆する方法である。
[表面保護層4]
表面保護層4は、加飾シートの耐傷付き性、耐候性などを高めることを目的として、加飾シートの最表面に設けられる層である。表面保護層4を形成する素材は、特に限定されないが、通常は樹脂が用いられ、好ましくは電離放射線硬化性樹脂が用いられる。また、表面保護層4として、後述の透明フィルム層9を構成する樹脂フィルムと同様の樹脂フィルムにより形成することも好ましい。表面保護層4は、例えば電離放射線硬化性樹脂または当該樹脂フィルムの1層により形成されていてもよいし、これらの2層以上により形成されていてもよい。以下、表面保護層4の形成に用いられる電離放射線硬化性樹脂について詳述する。
(電離放射線硬化性樹脂)
表面保護層4の形成に使用される電離放射線硬化性樹脂とは、電離放射線を照射することにより、架橋、硬化する樹脂であり、具体的には、分子中に重合性不飽和結合又はエポキシ基を有する、プレポリマー、オリゴマー、及びモノマーなどのうち少なくとも1種を適宜混合したものが挙げられる。ここで電離放射線とは、電磁波又は荷電粒子線のうち、分子を重合あるいは架橋しうるエネルギー量子を有するものを意味し、通常紫外線(UV)又は電子線(EB)が用いられるが、その他、X線、γ線等の電磁波、α線、イオン線等の荷電粒子線も含むものである。電離放射線硬化性樹脂の中でも、電子線硬化性樹脂は、無溶剤化が可能であり、光重合用開始剤を必要とせず、安定な硬化特性が得られるため、表面保護層4の形成において好適に使用される。
電離放射線硬化性樹脂として使用される上記モノマーとしては、分子中にラジカル重合性不飽和基を持つ(メタ)アクリレートモノマーが好適であり、中でも多官能性(メタ)アクリレートモノマーが好ましい。多官能性(メタ)アクリレートモノマーとしては、分子内に重合性不飽和結合を2個以上(2官能以上)、好ましくは3個以上(3官能以上)有する(メタ)アクリレートモノマーであればよい。多官能性(メタ)アクリレートとして、具体的には、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジシクロペンテニルジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性リン酸ジ(メタ)アクリレート、アリル化シクロヘキシルジ(メタ)アクリレート、イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらのモノマーは、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
また、電離放射線硬化性樹脂として使用される上記オリゴマーとしては、分子中にラジカル重合性不飽和基を持つ(メタ)アクリレートオリゴマーが好適であり、中でも分子内に重合性不飽和結合を2個以上(2官能以上)有する多官能性(メタ)アクリレートオリゴマーが好ましい。多官能性(メタ)アクリレートオリゴマーとしては、例えば、ポリカーボネート(メタ)アクリレート、アクリルシリコーン(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、ポリブタジエン(メタ)アクリレート、シリコーン(メタ)アクリレート、分子中にカチオン重合性官能基を有するオリゴマー(例えば、ノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、脂肪族ビニルエーテル、芳香族ビニルエーテル等)等が挙げられる。ここで、ポリカーボネート(メタ)アクリレートは、ポリマー主鎖にカーボネート結合を有し、かつ末端または側鎖に(メタ)アクリレート基を有するものであれば特に制限されず、例えば、ポリカーボネートポリオールを(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。ポリカーボネート(メタ)アクリレートは、例えば、ポリカーボネート骨格を有するウレタン(メタ)アクリレートなどであってもよい。ポリカーボネート骨格を有するウレタン(メタ)アクリレートは、例えば、ポリカーボネートポリオールと、多価イソシアネート化合物と、ヒドロキシ(メタ)アクリレートとを反応させることにより得られる。アクリルシリコーン(メタ)アクリレートは、シリコーンマクロモノマーを(メタ)アクリレートモノマーとラジカル共重合させることにより得ることができる。ウレタン(メタ)アクリレートは、例えば、ポリエーテルポリオールやポリエステルポリオールとポリイソシアネート化合物の反応によって得られるポリウレタンオリゴマーを、(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。エポキシ(メタ)アクリレートは、例えば、比較的低分子量のビスフェノール型エポキシ樹脂やノボラック型エポキシ樹脂のオキシラン環に、(メタ)アクリル酸を反応しエステル化することにより得ることができる。また、このエポキシ(メタ)アクリレートを部分的に二塩基性カルボン酸無水物で変性したカルボキシル変性型のエポキシ(メタ)アクリレートも用いることができる。ポリエステル(メタ)アクリレートは、例えば多価カルボン酸と多価アルコールの縮合によって得られる両末端に水酸基を有するポリエステルオリゴマーの水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより、或いは多価カルボン酸にアルキレンオキシドを付加して得られるオリゴマーの末端の水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。ポリエーテル(メタ)アクリレートは、ポリエーテルポリオールの水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。ポリブタジエン(メタ)アクリレートは、ポリブタジエンオリゴマーの側鎖に(メタ)アクリル酸を付加することにより得ることができる。シリコーン(メタ)アクリレートは、主鎖にポリシロキサン結合をもつシリコーンの末端又は側鎖に(メタ)アクリル酸を付加することにより得ることができる。これらのオリゴマーは、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
上記した電離放射線硬化性樹脂の中でも、優れた三次元成形性を得る観点からは、ポリカーボネート(メタ)アクリレートを用いることが好ましい。また、三次元成形性と耐傷付き性を両立する観点からは、ポリカーボネート(メタ)アクリレートとウレタン(メタ)アクリレートを組み合わせて使用することがより好ましい。
(他の添加成分)
表面保護層4には、表面保護層4に備えさせる所望の物性に応じて、各種添加剤を配合することができる。この添加剤としては、例えば紫外線吸収剤や光安定剤等の耐候性改善剤、耐摩耗性向上剤、重合禁止剤、架橋剤、赤外線吸収剤、帯電防止剤、接着性向上剤、レベリング剤、チクソ性付与剤、カップリング剤、可塑剤、消泡剤、充填剤、溶剤、着色剤等が挙げられる。これらの添加剤は、常用されるものから適宜選択して用いることができる。また、紫外線吸収剤や光安定剤として、分子内に(メタ)アクリロイル基等の重合性基を有する反応性の紫外線吸収剤や光安定剤を用いることもできる。
(表面保護層4の厚み)
表面保護層4の硬化後の厚みについては、特に制限されないが、例えば、1〜1000μm、好ましくは1〜50μm、更に好ましくは1〜30μmが挙げられる。このような範囲の厚みを満たすと、耐傷付き性、耐候性等の表面保護層としての十分な物性が得られると共に、表面保護層4を電離放射線硬化性樹脂を用いて形成する場合には電離放射線を均一に照射することが可能であるため、均一に硬化することが可能となり、経済的にも有利になる。更に、表面保護層4の硬化後の厚みが前記範囲を充足することによって、加飾シートの三次元成形性が一層向上するため自動車内装用途等の複雑な三次元形状に対して高い追従性を得ることができる。このように、本発明の加飾シートは表面保護層4の厚みを従来のものより厚くしても、十分に高い三次元成形性が得られることから、特に表面保護層4に高い膜厚を要求される部材、例えば車両外装部品等の加飾シートとしても有用である。
(電離放射線硬化性樹脂を用いる場合の表面保護層4の形成)
表面保護層4の形成は、例えば、電離放射線硬化性樹脂を含む電離放射線硬化性樹脂組成物を調製し、これを塗布し、架橋硬化することにより行われる。なお、電離放射線硬化性樹脂組成物の粘度は、後述の塗布方式により、プライマー層3、後述の第3のプライマー層8などの表面に未硬化樹脂層を形成し得る粘度であればよい。
本発明においては、調製された塗布液を、前記厚みとなるように、金属薄膜層2、必要に応じて設けられる後述の第3のプライマー層8などの上に、グラビアコート、バーコート、ロールコート、リバースロールコート、コンマコート等の公知の方式、好ましくはグラビアコートにより塗布し、未硬化樹脂層を形成させる。
このようにして形成された未硬化樹脂層に、電子線、紫外線等の電離放射線を照射して該未硬化樹脂層を硬化させて表面保護層4を形成する。ここで、電離放射線として電子線を用いる場合、その加速電圧については、用いる樹脂や層の厚みに応じて適宜選定し得るが、通常加速電圧70〜300kV程度が挙げられる。
なお、電子線の照射において、加速電圧が高いほど透過能力が増加するため、表面保護層4の下に電子線照射によって劣化しやすい樹脂を使用する場合には、電子線の透過深さと表面保護層4の厚みが実質的に等しくなるように、加速電圧を選定する。これにより、表面保護層4の下に位置する層への余分の電子線の照射を抑制することができ、過剰電子線による各層の劣化を最小限にとどめることができる。
また、照射線量は、表面保護層4の架橋密度が飽和する量が好ましく、通常5〜300kGy(0.5〜30Mrad)、好ましくは10〜50kGy(1〜5Mrad)の範囲で選定される。
更に、電子線源としては、特に制限はなく、例えばコックロフトワルトン型、バンデグラフト型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器を用いることができる。
電離放射線として紫外線を用いる場合には、波長190〜380nmの紫外線を含む光線を放射すればよい。紫外線源としては、特に制限されないが、例えば、高圧水銀燈、低圧水銀燈、メタルハライドランプ、カーボンアーク燈等が挙げられる。
かくして形成された表面保護層4には、各種の添加剤を添加することにより、ハードコート機能、防曇コート機能、防汚コート機能、防眩コート機能、反射防止コート機能、紫外線遮蔽コート機能、赤外線遮蔽コート機能等の機能を付与する処理を行ってもよい。
なお、表面保護層4を後述の透明フィルム層9と同様の樹脂フィルムにより形成する場合には、透明フィルム層9と同様に、第3のプライマー層8、金属薄膜層2などの表面に樹脂フィルムを積層すればよい。
[第3のプライマー層8]
第3のプライマー層8は、表面保護層4とその下に位置する層との密着性を高めることなどを目的として、必要に応じて、表面保護層4の下に設けられる層である。第3のプライマー層8は、例えば、表面保護層4と金属薄膜層2との間、表面保護層4と後述のカラークリア層7との間、表面保護層4と後述の透明フィルム層9との間などに設けられる。第3のプライマー層8を形成する素材は、これらの層間の密着性を向上させ得るものであれば、特に限定されず、例えば、アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、アクリル−ウレタン共重合体樹脂、ポリエステル系樹脂などの樹脂が挙げられる。
第3のプライマー層8の厚みは、特に限定されないが、通常0.5〜2.5μm程度、好ましくは1〜2μm程度である。第3のプライマー層8には、着色剤を混合して、色彩を整えたり、意匠性を向上させることができ、さらには、デザイン的な観点での模様を形成することもできる。第3のプライマー層8の形成方法は、特に制限されないが、例えばカラークリア層7、透明フィルム層9、表面保護層4などのうち第3のプライマー層8と隣接する層の表面上に上記の樹脂を塗布する方法などが挙げられる。また、別途用意した離型用シートの上に上記の樹脂を塗布し、当該樹脂の上から、加飾シートにおいて第3のプライマー層8の直下に位置することになる金属薄膜層2などの層をさらに形成した後、離型用シートを剥離することにより形成する方法なども挙げられる。
[カラークリア層7]
カラークリア層7は、金属薄膜層2の金属調にさらに光沢などを持たせること等を目的として、必要に応じて、金属薄膜層2の上に設けられる層である。カラークリア層7を形成する素材としては、特に限定されないが、例えば、着色剤などにより着色された透明樹脂が挙げられる。着色剤としては、特に制限はないが、例えば、着色顔料、染料などが挙げられる。また、透明樹脂としては、特に制限はないが、例えば、アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、アクリル−ウレタン共重合体樹脂、ポリエステル系樹脂などが挙げられる。カラークリア層7の厚みは、特に限定されないが、通常0.5〜4μm程度、好ましくは1〜3μm程度である。カラークリア層7の形成方法は、特に制限されないが、例えば、プライマー層3、透明フィルム層9、第3のプライマー層8、表面保護層4などのうちカラークリア層7と隣接する層の表面上に上記の樹脂を塗布する方法などが挙げられる。
[透明フィルム層9]
透明フィルム層9は、本発明の加飾シートの耐傷付き性や耐候性を高めると共に、成形性を高める支持体としての役割を果たし、必要に応じて、プライマー層3の上に設けられる樹脂フィルムである。透明フィルム層9を備えることで成形性が高まり、加飾シートを三次元成形した際に金属薄膜層2にクラックが発生しにくくなるので、伸展性に富むスズ、インジウム、クロム以外の金属(例えばアルミニウムなど)を用いて金属薄膜層2を形成する場合には、透明フィルム層9を備えることが好ましい。透明フィルム層9を形成する樹脂フィルムとしては、加飾シートの成形性を高め、金属薄膜層2による金属調の意匠を隠蔽するものでなければ、特に限定されないが、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル樹脂、またはアクリル樹脂などのフィルムが挙げられる。透明フィルム層9の厚みは、特に限定されないが、通常15〜200μm程度、好ましくは30〜150μm程度である。透明フィルム層9を形成する方法は、特に制限されないが、例えば、表面保護層4、第3のプライマー層8、カラークリア層7、プライマー層3などのうち透明フィルム層9に隣接する層の表面上に上記の樹脂フィルムを積層する方法などが挙げられる。
[第2の接着層10]
第2の接着層10は、加飾シートと成形樹脂との接着性や密着性を向上させることなどを目的として、基材層1の裏面に必要に応じて設けられる層である。第2の接着層10を形成する樹脂としては、加飾シートと成形樹脂との接着性や密着性を向上させることができるものであれば、特に制限されず、例えば、熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂が用いられる。熱可塑性樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、アクリル変性ポリオレフィン樹脂、塩素化ポリオレフィン樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、熱可塑性ウレタン樹脂、熱可塑性ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ゴム系樹脂などが挙げられる。熱可塑性樹脂は、1種類単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。また、熱硬化性樹脂としては、例えば、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂等挙げられる。熱硬化性樹脂は、1種類単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
第2の接着層10は必ずしも必要な層ではないが、本発明の加飾シートを、後述する真空圧着法など、予め用意された樹脂成形体上へ貼着による加飾方法に適用することを想定した場合は、設けられていることが好ましい。真空圧着法に用いる場合、上記した各種の樹脂のうち、加圧又は加熱により接着性を発現する樹脂として慣用のものを使用して接着層8を形成することが好ましい。
第2の接着層10の厚みは、特に制限されないが、例えば、0.1〜30μm程度、好ましくは0.5〜20μm程度、さらに好ましくは1〜8μm程度が挙げられる。
2.加飾樹脂成形品
本発明の加飾樹脂成形品は、本発明の加飾シートと成形樹脂とを一体化させることにより成形されてなるものである。即ち、本発明の加飾樹脂成形品は、少なくとも、成形樹脂層と、基材層と、金属薄膜層と、プライマー層と、表面保護層とがこの順に積層された積層体からなり、プライマー層が、ガラス転移点が55℃〜110℃の樹脂の硬化物を含むことを特徴とする。本発明の加飾樹脂成形品では、必要に応じて、加飾シートに上述の、接着層5、第2のプライマー層6、カラークリア層7、第3のプライマー層8、透明フィルム層9などの少なくとも1層がさらに設けられていてもよい。
本発明の加飾樹脂成形品は、例えば、本発明の加飾シートを用いて、インサート成形法、射出成形同時加飾法、ブロー成形法、ガスインジェクション成形法等の各種射出成形法により作製される。これらの射出成形法の中でも、好ましくはインサート成形法及び射出成形同時加飾法が挙げられる。また、本発明の加飾樹脂成形品は、真空圧着法等の、予め用意された立体的な樹脂成形体(成形樹脂層)上に、本発明の加飾シートを貼着する加飾方法によっても作製することができる。
インサート成形法では、まず、真空成形工程において、本発明の加飾シートを真空成形型により予め成形品表面形状に真空成形(オフライン予備成形)し、次いで必要に応じて余分な部分をトリミングして成形シートを得る。この成形シートを射出成形型に挿入し、射出成形型を型締めし、流動状態の樹脂を型内に射出し、固化させて、射出成形と同時に樹脂成形物の外表面に加飾シートを一体化させることにより、加飾樹脂成形品が製造される。
より具体的には、下記の工程を含むインサート成形法によって、本発明の加飾樹脂成形品が製造される。
本発明の加飾シートを真空成形型により予め立体形状に成形する真空成形工程、
真空成形された加飾シートの余分な部分をトリミングして成形シートを得るトリミング工程、及び
成形シートを射出成形型に挿入し、射出成形型を閉じ、流動状態の樹脂を射出成形型内に射出して樹脂と成形シートを一体化する一体化工程。
インサート成形法における真空成形工程では、加飾シートを加熱して成形してもよい。この時の加熱温度は、特に限定されず、加飾シートを構成する樹脂の種類や、加飾シートの厚みなどによって適宜選択すればよいが、例えば基材層としてABS樹脂フィルムを用いる場合であれば、通常100〜250℃程度、好ましくは130〜200℃程度とすることができる。また、一体化工程において、流動状態の樹脂の温度は、特に限定されないが、通常180〜320℃程度、好ましくは220〜280℃程度とすることができる。
また、射出成形同時加飾法では、本発明の加飾シートを射出成形の吸引孔が設けられた真空成形型との兼用雌型に配置し、この雌型で予備成形(インライン予備成形)を行った後、射出成形型を型締めして、流動状態の樹脂を型内に射出充填し、固化させて、射出成形と同時に樹脂成形物の外表面に本発明の加飾シートを一体化させることにより、加飾樹脂成形品が製造される。
より具体的には、下記の工程を含む射出成形同時加飾法によって、本発明の加飾樹脂成形品が製造される。
本発明の加飾シートを、所定形状の成形面を有する可動金型の当該成形面に対し、加飾シートの基材層の表面が対面するように設置した後、当該加飾シートを加熱、軟化させると共に、可動金型側から真空吸引して、軟化した加飾シートを当該可動金型の成形面に沿って密着させることにより、加飾シートを予備成形する予備成形工程、
成形面に沿って密着された加飾シートを有する可動金型と固定金型とを型締めした後、両金型で形成されるキャビティ内に、流動状態の樹脂を射出、充填して固化させることにより樹脂成形体を形成し、樹脂成形体と加飾シートを積層一体化させる一体化工程、及び
可動金型を固定金型から離間させて、加飾シート全層が積層されてなる樹脂成形体を取り出す取出工程。
射出成形同時加飾法の予備成形工程において、加飾シートの加熱温度は、特に限定されず、加飾シートを構成する樹脂の種類や、加飾シートの厚みなどによって適宜選択すればよいが、基材層としてポリエステル樹脂フィルムやアクリル樹脂フィルムを使用する場合であれば、通常70〜130℃程度とすることができる。また、射出成形工程において、流動状態の樹脂の温度は、特に限定されないが、通常180〜320℃程度、好ましくは220〜280℃程度とすることができる。
真空圧着法では、まず、上側に位置する第1真空室及び下側に位置する第2真空室からなる真空圧着機内に、本発明の加飾シート及び樹脂成形体を、加飾シートが第1真空室側、樹脂成形体が第2真空室側となるように、且つ加飾シートの基材層1側が樹脂成形体側に向くように真空圧着機内に設置し、2つの真空室を真空状態とする。樹脂成形体は、第2真空室側に備えられた、上下に昇降可能な昇降台上に設置される。次いで、第1の真空室を加圧すると共に、昇降台を用いて成形体を加飾シートに押し当て、2つの真空室間の圧力差を利用して、加飾シートを延伸しながら樹脂成形体の表面に貼着する。最後に2つの真空室を大気圧に開放し、必要に応じて加飾シートの余分な部分をトリミングすることにより、本発明の加飾樹脂成形品を得ることができる。
真空圧着法においては、上記の成形体を加飾シートに押し当てる工程の前に、加飾シートを軟化させて成形性を高めるため、加飾シートを加熱する工程を備えることが好ましい。当該工程を備える真空圧着法は、特に真空加熱圧着法と呼ばれることがある。当該工程における加熱温度は、加飾シートを構成する樹脂の種類や、加飾シートの厚みなどによって適宜選択すればよいが、基材層としてポリエステル樹脂フィルムやアクリル樹脂フィルムを使用する場合であれば、通常60〜200℃程度とすることができる。
上述のように、金属薄膜層を有する従来の加飾シートの場合、加熱して成形する際に加飾シートが白化したり、虹色などに変色するという問題が起こりやすい。したがって、本発明の加飾シートは、上記の各種成形方法の中でも、加飾シートを加熱する工程を備える成形方法に用いる場合において特に有用である。
本発明の加飾樹脂成形品において、成形樹脂層は、用途に応じた樹脂を選択して形成すればよい。成形樹脂層を形成する樹脂としては、熱可塑性樹脂であってもよく、また熱硬化性樹脂であってもよい。
熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ABS樹脂、スチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、塩化ビニル系樹脂等が挙げられる。これらの熱可塑性樹脂は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
また、熱硬化性樹脂としては、例えば、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。これらの熱硬化性樹脂は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
本発明の加飾樹脂成形品は、加飾シートの成形性が高く、加熱成形時の変色も効果的に抑制されており、質感が高く高級感のある金属調も備えているので、例えば、自動車等の車両の内装材又は外装材;窓枠、扉枠等の建具;壁、床、天井等の建築物の内装材;テレビ受像機、空調機等の家電製品の筐体;容器等として利用することができる。
以下に、実施例及び比較例を示して本発明を詳細に説明する。ただし、本発明は、実施例に限定されない。
<実施例1〜17及び比較例1〜3>
(加飾シートの作製)
剥離シートとしての2軸延伸ポリエチレンテレフタレートシート(東洋紡績社製のE5001、厚み25μm)の上に、アクリル−ウレタンブロック共重合樹脂を塗工して、厚み2μmの透明な第3のプライマー層を形成した。次に、第3のプライマー層上に、3質量%程度の着色剤を含むアクリル−ウレタンブロック共重合樹脂を塗工して、カラークリア層(厚み2μm)を形成した。次に、表1及び表2に記載の組成を有するプライマー層を厚み2μmとなるように形成した。次に、プライマー層の表面上にスズを蒸着して光学濃度(OD値)が1.2の金属薄膜層を形成した。次に、金属薄膜層の上に、表1及び表2に記載の組成を有する第2のプライマー層(厚み2μm)を形成した。次に、第2のプライマー層の上に、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体を厚み2μmとなるように塗工して接着層を形成した。次に、接着層の上に厚み400μmのABS樹脂からなるシートを接触させて基材層を形成し、剥離層/第3のプライマー層/カラークリア層/プライマー層/金属薄膜層/第2のプライマー層/接着層/基材層がこの順に積層された積層体を得た。
次に、この積層体の基材層側に、算術平均粗さRaが4.0μm、十点平均粗さRzJISが16μmの梨地柄の入ったステンレス製の金属板を配置し、剥離層側に算術平均粗さRaが0.05μmのステンレス製の鏡面板を配置し、この金属板と鏡面板で積層体を熱プレス成形した。熱プレス成形の条件は、温度150℃、圧力0.5MPa、加熱・加圧時間を10分間とした。次に、積層体から剥離層を剥離し、プライマー層の表面上に電離放射線硬化性樹脂を、硬化後の厚みが10μmとなるようにしてグラビアリバースにて塗布して未硬化の樹脂層を形成した。この未硬化の樹脂層に加速電圧165kV、照射線量50kGy(5Mrad)の電子線を照射して、未硬化の樹脂層を硬化させて表面保護層を形成した。以上のようにして、表1及び表2に示されるような構成を有する、基材層/接着層/第2のプライマー層/金属薄膜層/プライマー層/カラークリア層/第3のプライマー層/表面保護層がこの順に積層された加飾シートを得た。なお、電離放射線硬化性樹脂としては、2官能ポリカーボネートアクリレート(重量平均分子量1万)80質量部と、6官能ウレタンアクリレートオリゴマー(重量平均分子量6千)20質量部との混合物を用いた。また、比較例3では、プライマー層を設けなかった。
(成形性評価試験)
実施例1〜17及び比較例1〜3の加飾シートを、それぞれ赤外線ヒーターで160℃に加熱し、軟化させた。次に、真空成形用型を用い、最大延伸倍率が150%になる条件で真空成形し、真空成形用型の内部形状となるように加飾シートを成形した。次に、加飾シートを冷却後、真空成形用型から離型した。離型した加飾シートに割れや白化が全く見られず、真空成形用型の内部形状に良好に追従していたものを、成形性が良好(○)と評価した。離型した加飾シートにごく軽微な割れや白化が見られたが実使用上全く問題ないものを(○△)と評価した。離型した加飾シートに軽微な割れや白化が見られたが、実用上問題ないものを(△)と評価した。離型した加飾シートに割れや白化が見られ、真空成形用型の内部形状に追従できておらず、成形性が悪くて実用上問題があるものを(××)と評価した。結果を表1及び表2に示す。
(加熱による変色)
実施例1〜17及び比較例1〜3の加飾シートを、上記の成形性評価試験と同様の方法で真空成形した。真空成形後の加飾シートの表面を目視で観察し、変色が全く見られないものを(○)、ごく軽微な変色が見られるが実用上全く問題ないものを(○△)、軽微な変色が見られるが実用上問題ないものを(△)、変色が見られ実用上問題があるものを(××)と評価した。結果を表1及び表2に示す。
(耐退色性評価)
実施例2、3、8〜17の加飾シート(成形前)を、60℃、相対湿度90%の環境下で72時間静置した。次に、分光測色計(コニカミノルタ社製のCM−3700d)を用いて、色差ΔE*ab(JISZ8729−1994に規定された国際照明委員会(CIE)のL*a*b*表色系に準拠している)を測定した。色差ΔE*abは下記式で表される。
ΔE*ab=√(ΔL*)2+(Δa*)2+(Δb*)2
なお、色差の基準としては、それぞれ、耐退色性評価試験に供する前の実施例2、3、8〜17の加飾シートを用いた。耐退色性評価試験の結果、色差ΔE*abが2未満の場合に、退色がごく小さい(○)と評価し、色差ΔE*abが2以上4未満の場合に退色が小さい(〇△)、色差ΔE*abが4以上6未満の場合に、退色がやや大きい(△)、色差ΔE*abが6以上10未満の場合に、退色が大きい(×)、色差ΔE*abが10以上の場合に、退色が非常に大きい(××)と評価した。結果を表2に示す。
なお、表1及び表2において、「HDI」は、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートであり、「XDI」は、キシレン−1,3−ジイソシアネートである。
表1及び表2に示されるように、ガラス転移点(Tg)が55℃〜110℃の樹脂の硬化物を含むプライマー層を金属薄膜層の上に設けた実施例1〜17の加飾シートにおいては、いずれも成形性に優れ、加熱による変色も効果的に抑制されていた。これに対して、プライマー層を設けたが、ガラス転移点(Tg)が55℃よりも小さい樹脂を用いた比較例1では、成形性は優れていたが、加熱による変色が大きかった。また、プライマー層を設けたが、ガラス転移点(Tg)が110℃よりも大きい樹脂を用いた比較例2では、加熱による変色は抑制されていたが、成形性が悪かった。プライマー層を設けなかった比較例3についても、成形性は優れていたが、加熱による変色が大きかった。
また、表2に示されるように、第2のプライマー層として、ガラス転移点(Tg)が−30〜90℃の範囲にある樹脂を用いることにより、耐退色性が向上することが分かる。
1…基材層
2…金属薄膜層
3…プライマー層
4…表面保護層
5…接着層
6…第2のプライマー層
7…カラークリア層
8…第3のプライマー層
9…透明フィルム層

Claims (11)

  1. 少なくとも、基材層と、金属薄膜層と、プライマー層と、表面保護層とがこの順に積層された積層体からなり、
    前記プライマー層は、ガラス転移点が55℃〜110℃の樹脂の硬化物を含み、
    前記ガラス転移点が55℃〜110℃の樹脂が、ポリオール樹脂であり、
    前記プライマー層が、前記ポリオール樹脂とイソシアネート化合物との硬化物により形成されており、
    前記基材層と前記金属薄膜層との間に、第2のプライマー層を有しており、
    前記第2のプライマー層は、ガラス転移点が−30℃〜90℃の樹脂の硬化物を含む、加飾シート。
  2. 前記ガラス転移点が55℃〜110℃の樹脂が、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリアクリル系樹脂、及びポリオレフィン系樹脂からなる群から選択された少なくとも1種である、請求項1に記載の加飾シート。
  3. 前記ポリオール樹脂100質量部に対して、前記イソシアネート化合物が1〜15質量部である、請求項1又は2に記載の加飾シート。
  4. 前記ポリオール樹脂が、ポリエステルポリオール及びアクリルポリオールの少なくとも一方である、請求項1〜3のいずれかに記載の加飾シート。
  5. 前記イソシアネート化合物が、脂肪族イソシアネート化合物及び芳香族イソシアネート化合物の少なくとも一方である、請求項1〜4のいずれかに記載の加飾シート。
  6. 前記基材層と前記金属薄膜層との間に接着層を有する、請求項1〜のいずれかに記載の加飾シート。
  7. 前記プライマー層と前記表面保護層との間に透明フィルム層を有する、請求項1〜のいずれかに記載の加飾シート。
  8. 前記金属薄膜層が、スズ、インジウム、クロム、アルミニウム、ニッケル、銅、銀、金、白金、亜鉛、及びこれらのうち少なくとも1種を含む合金からなる群から選択された少なくとも1種の金属により形成されている、請求項1〜のいずれかに記載の加飾シート。
  9. 前記第2のプライマー層の厚みが、0.5〜2.5μmmである、請求項1〜のいずれかに記載の加飾シート。
  10. 少なくとも、成形樹脂層と、基材層と、金属薄膜層と、プライマー層と、表面保護層とがこの順に積層された積層体からなり、
    前記プライマー層は、ガラス転移点が55℃〜110℃の樹脂の硬化物を含み、
    前記ガラス転移点が55℃〜110℃の樹脂が、ポリオール樹脂であり、
    前記プライマー層が、前記ポリオール樹脂とイソシアネート化合物との硬化物により形成されており、
    前記基材層と前記金属薄膜層との間に、第2のプライマー層を有しており、
    前記第2のプライマー層は、ガラス転移点が−30℃〜90℃の樹脂の硬化物を含む、加飾樹脂成形品。
  11. 請求項1〜のいずれかに記載の加飾シートを加熱する工程と、
    前記加熱した加飾シートと成形樹脂を一体化する工程と、
    を備える、加飾樹脂成形品の製造方法。
JP2014196997A 2013-09-30 2014-09-26 加飾シート及び加飾樹脂成形品 Active JP6572526B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014196997A JP6572526B2 (ja) 2013-09-30 2014-09-26 加飾シート及び加飾樹脂成形品

Applications Claiming Priority (5)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013204235 2013-09-30
JP2013204235 2013-09-30
JP2014023459 2014-02-10
JP2014023459 2014-02-10
JP2014196997A JP6572526B2 (ja) 2013-09-30 2014-09-26 加飾シート及び加飾樹脂成形品

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2015164794A JP2015164794A (ja) 2015-09-17
JP6572526B2 true JP6572526B2 (ja) 2019-09-11

Family

ID=54187507

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014196997A Active JP6572526B2 (ja) 2013-09-30 2014-09-26 加飾シート及び加飾樹脂成形品

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6572526B2 (ja)

Families Citing this family (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR101732416B1 (ko) 2015-09-21 2017-05-08 유재영 가구 및 건축자재용 메탈층을 포함하는 opet 시트 및 이의 제조방법
JP6834314B2 (ja) * 2016-09-30 2021-02-24 大日本印刷株式会社 加飾シート、加飾樹脂成形品、及び加飾樹脂成形品の製造方法
JP7043856B2 (ja) * 2018-01-30 2022-03-30 大日本印刷株式会社 加飾物品の製造方法および成形加工装置
JP7100525B2 (ja) * 2018-08-03 2022-07-13 日本カーバイド工業株式会社 金属調シート
KR102392545B1 (ko) * 2018-12-17 2022-04-28 (주)엘엑스하우시스 전자파 투과커버 및 이의 제조방법
JP2020138371A (ja) * 2019-02-27 2020-09-03 日本カーバイド工業株式会社 金属調積層体及び金属調成形体

Family Cites Families (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000229642A (ja) * 1999-02-15 2000-08-22 Fuji Seal Inc 金属缶用ラベル及びその金属缶用ラベルを装着した金属缶
JP4844803B2 (ja) * 2005-03-31 2011-12-28 Dic株式会社 成形用積層シート
JP5231858B2 (ja) * 2008-04-28 2013-07-10 日本カーバイド工業株式会社 金属調フィルム
JP5350731B2 (ja) * 2008-09-30 2013-11-27 日本写真印刷株式会社 シート面の一部に金属薄膜を有し、アクリル系アンカー層を有する転写シート、及びその製造方法
JP2011156662A (ja) * 2010-01-29 2011-08-18 Aica Kogyo Co Ltd インサート成型用フィルム
JP5716341B2 (ja) * 2010-09-30 2015-05-13 大日本印刷株式会社 三次元成形加飾フィルム
JP5845772B2 (ja) * 2011-09-26 2016-01-20 大日本印刷株式会社 三次元成形加飾フィルム、基材付き加飾成形品及び加飾成形品、並びにそれらの製造方法
JP2013103385A (ja) * 2011-11-11 2013-05-30 Kaneka Corp アクリル系樹脂フィルム

Also Published As

Publication number Publication date
JP2015164794A (ja) 2015-09-17

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6741053B2 (ja) 加飾シート及び加飾樹脂成形品
WO2014157232A1 (ja) 加飾シート及び加飾樹脂成形品
JP6481720B2 (ja) 加飾シート及び加飾樹脂成形品
JP6572526B2 (ja) 加飾シート及び加飾樹脂成形品
JP6427911B2 (ja) 三次元成形用シート
JP6451452B2 (ja) 転写シート及びこれを用いた加飾樹脂成形品
JP6687154B2 (ja) 加飾シート及び加飾樹脂成形品
JP2017065167A (ja) 加飾シート及び加飾樹脂成形品
JP6728569B2 (ja) 転写シート及びこれを用いた加飾樹脂成形品
JP6331546B2 (ja) 加飾シートの製造方法
JP2018058222A (ja) 加飾シート、加飾樹脂成形品、及びこれらの製造方法
JP6398259B2 (ja) 加飾シート及び加飾樹脂成形品
JP6834314B2 (ja) 加飾シート、加飾樹脂成形品、及び加飾樹脂成形品の製造方法
JP6476694B2 (ja) 転写シートの製造方法
JP2017065244A (ja) 加飾シート及び加飾樹脂成形品
JP2017177729A (ja) 加飾シート及び加飾樹脂成形品の製造方法
JP6379580B2 (ja) 加飾シート及び加飾樹脂成形品
JP6331576B2 (ja) 加飾シート及び加飾樹脂成形品
JP6467840B2 (ja) 積層シート及び加飾樹脂成形品
JP7063344B2 (ja) 加飾シート及び加飾樹脂成形品
JP6658774B2 (ja) 加飾シート及び加飾樹脂成形品
JP7069556B2 (ja) 加飾シート、加飾シート付転写部材および加飾物品
JP2020111061A (ja) 加飾シート及び加飾樹脂成形品

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20170727

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20180420

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20180424

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20180625

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20180808

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20190122

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20190325

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20190716

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20190729

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6572526

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150