JP7100525B2 - 金属調シート - Google Patents
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Description
保護層11は、金属調シート10が被着体に貼り付けられる際に金属調シート10の表面に傷が付くことを抑制するために設けられる。保護層11は、金属調シート10を所定の形状に成形する際には剥がされていてもよい。
トップ層12は、金属調シート10の耐候性や成形性を向上させる等の目的で設けられる層であり、透明性の高い光透過性の層であっても、着色された光透過性の層であっても良い。
接着剤層13は、トップ層12と第一プライマー層14とを接着する光透過性の層である。
第一プライマー層14はアルミニウム蒸着層15との密着性が良好な光透過性の層である。第一プライマー層14が設けられることによって、金属調シート10を熱成形する際にアルミニウム蒸着層15に白化やクラックが生じることを抑制し、金属調シート10の耐熱性を向上し得る。
アルミニウム蒸着層15は、第一プライマー層14上にアルミニウムを蒸着することによって形成される。金属調シート10がこのようなアルミニウム蒸着層15を備えることによって、金属調シート10に金属調の外観が付与される。また、金属調シート10は内照式の看板等にも用いることができ、その場合、金属調シート10は透光性を有する厚さに形成される。
第二プライマー層16は、アルミニウム蒸着層15の第一プライマー層14側とは反対側に積層される層である。第二プライマー層16が設けられることによって、金属調シート10を熱成形する際にアルミニウム蒸着層15に白化やクラックが生じることを抑制して金属調シート10の耐熱性を向上し得ると共に、アルミニウム蒸着層15及び第一プライマー層14を補強し得る。
粘着剤層17は、金属調シート10を基板等に貼り付けるために設けられる。また、粘着剤層17は、金属調シート10がアクリル板等の基板に貼り付けられて熱成形される際に当該基板のアウトガスによる変形が抑制されるように設計される。アウトガスによる変形を抑制するため、粘着剤層17は高温での接着性が良好であることが好ましい。このような粘着剤層17は、例えば(メタ)アクリル樹脂によって形成される。
剥離層18は、金属調シート10の使用時までに粘着剤層17に異物が付着することを抑制するために設けられる。金属調シート10を基板等に貼り付ける際、剥離層18は剥離される。このような剥離層18は、例えば、離型処理されたポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム等によって構成される。
厚さ75μmの押出成形されたアクリル樹脂からなるトップ層上に、ポリエステル系ウレタン樹脂とイソシアネート系架橋剤とを混合した接着剤を塗工して厚さ2μmの接着剤層を形成した。この接着剤層上に、第一プライマー層(P1層)を形成した。第一プライマー層は、ポリカーボネート系ウレタン樹脂(水添MDI系ウレタン、商品名:LU-4213、大日精化工業株式会社製、重量平均分子量(Mw):6万~7万)96質量%と、メタクリル酸メチル(MMA):メタクリル酸2-ヒドロキシエチル(2HEMA):メタクリル酸ジエチルアミノエチル(DEMA):アクリル酸(AA)=82.7:14:3:0.3の質量比で混合された(メタ)アクリル樹脂(ガラス転移温度(Tg):94.8℃、Mw:2万~10万)4質量%と、を混合した樹脂によって、厚さ10μmとなるように形成した。次に、第一プライマー層上にアルミニウムを蒸着して厚さ100Åのアルミニウム蒸着層(AL層)を形成した。次に、エーテル結合骨格を有した水系ウレタン樹脂(商品名:HUX-550、株式会社ADEKA製)によって、アルミニウム蒸着層上に厚さ1.5μmの第二プライマー層(P2層)を形成した。さらに、アクリル酸ブチル(BA)/アクリル酸メチル(MA)/AA=49:50:1の質量比で混合された(メタ)アクリル樹脂(Tg=-21.9℃、Mw:60万~70万)によって、第二プライマー層上に厚さ35μmの粘着剤層を形成し、実施例1にかかる金属調シートを作製した。
測定長さ :10mm
測定モード:引っ張り
温度条件 :25℃~200℃
昇温速度 :2℃/min
周波数 :1Hz
なお、本明細書において、表1から表5以外における弾性率の値も表1から表5における弾性率と同様の方法により測定した値である。
実施例2、実施例3、比較例1及び比較例2では、第一プライマー層を構成する樹脂の配合を変えることで第一プライマー層の150℃における弾性率(E’)を変化させた以外は実施例1と同様にして、金属調シートを作製した。実施例2、実施例3、比較例1及び比較例2の第一プライマー層を構成する樹脂の配合及び150℃における弾性率は、表1に示す通りである。なお、表1において、ウレタン樹脂と(メタ)アクリル樹脂の配合割合は、ウレタン樹脂と(メタ)アクリル樹脂との合計量に対する質量%で記載し、架橋剤の配合割合についてはウレタン樹脂と(メタ)アクリル樹脂との合計を100質量部としたときの部数で記載している。
実施例3で第一プライマー層に用いた架橋剤は、イソシアネート系架橋剤(デスモジュール(登録商標)N3300、住友バイエルウレタン社製)である。
比較例1で第一プライマー層に用いたウレタン樹脂は、ポリカーボネート系ウレタン樹脂(商品名:NE-8850、大日精化工業株式会社製)である。
比較例2で第一プライマー層に用いたウレタン樹脂は、上記の水系ウレタン樹脂(商品名:HUX-550、株式会社ADEKA製)である。
実施例4、実施例5、比較例3、比較例4では、第二プライマー層を構成する樹脂を表2に示すように変えることで第二プライマー層の150℃における弾性率を変化させた以外は実施例1と同様にして、金属調シートを作製した。
実施例4では、エーテル結合骨格を有した水系ウレタン樹脂(商品名:HUX-541、株式会社ADEKA製)によって第二プライマー層を形成した。
実施例5では、エーテル結合骨格を有した水系ウレタン樹脂(商品名:HUX-550、株式会社ADEKA製)100質量部とカルボジライト水性樹脂用架橋剤(商品名:V-02-L2、日清紡ケミカル株式会社製)10質量部とを混合して第二プライマー層を形成した。
比較例3では、カーボネート結合骨格を有した水系ウレタン樹脂(商品名:HUX-386、株式会社ADEKA製)によって第二プライマー層を形成した。
比較例4では、エーテル結合骨格を有した水系ウレタン樹脂(商品名:HUX-550、株式会社ADEKA製)100質量部と架橋剤(メチル化メラミン樹脂、グレード:MW-22、日本カーバイド工業株式会社製)10質量部とを混合して第二プライマー層を形成した。
実施例6では、実施例1と同様のウレタン樹脂100質量部に対して実施例3で用いた架橋剤と同様の架橋剤を3.0質量部混合して第一プライマー層を形成した以外は実施例1と同様にして、金属調シートを作製した。実施例6の第一プライマー層及び第二プライマー層のそれぞれの150℃における弾性率(E’)は表2に示す通りであった。
実施例7、実施例8、比較例5、比較例6では、第一プライマー層の厚みを変化させた以外は実施例1と同様にして、金属調シートを作製した。実施例7、実施例8、比較例5、比較例6の金属調シートの第一プライマー層の厚みは表3に示す通りである。
実施例9、実施例10、比較例7、比較例8では、アルミニウム蒸着層の厚みを変化させた以外は実施例1と同様にして、金属調シートを作製した。実施例7、実施例8、比較例5、比較例6の金属調シートのアルミニウム蒸着層の厚みは表4に示す通りである。
実施例11、実施例12、比較例9、比較例10では、第二プライマー層の厚みを変化させた以外は実施例1と同様にして、金属調シートを作製した。実施例11、実施例12、比較例9、比較例10の金属調シートの第二プライマー層の厚みは表5に示す通りである。
以下に説明する方法で、上記実施例及び比較例の金属調シートを評価した。
上記実施例、比較例の金属調シートに対してクロスカット試験を実施し、剥離の割合を確認した。クロスカット試験は、JIS-K-5600-5-6(1999)に準拠して行った。すなわち、作製した金属調シートの表面に、P2層側から縦、横各々1mm間隔でP1層に達する深さの切り込みをそれぞれの方向に11本づつ入れてクロスカットした。このためクロスカットの総数は100個である。次に、クロスカットした金属調シートの表面上に18mm幅のセロハンテープ(ニチバン株式会社製のセロテープ(登録商標)CT405AP)を貼り付けた後、金属調シートの表面に対して120゜の方向に剥離を行った。そして、クロスカットの総数100個に対する残存した比率を求めた。測定を3回行い、3回の測定の平均値により下記評価基準に従って評価した。その結果を以下の基準で評価し、評価結果を表1から表5に示す。
A:剥離なし
B:剥離5%以下
C:剥離5%以上
上記実施例、比較例の金属調シートに対して鏡面性を評価した。鏡面性は、実施例及び比較例の金属調シートから切り出した試験片を乳白色のアクリル板に貼り付けた後、下記評価基準に沿って目視で評価した。その結果を表1から表5に示す。
A:鏡面性がある。(入射した光の輪郭が明確な状態で反射する。)
B:鏡面性がわずかに低い。(入射した光が反射するものの、ぼやけて見える。)
C:鏡面性が低い。(入射した光がわずかに反射するが、透過してしまう。)
実施例及び比較例の金属調シートから切り出した試験片を用意し、引張試験機にて温度150℃で試験片を150%延伸して5分間保持した。その結果を以下の基準で評価し、評価結果を表1から表5に示す。なお、一般的に金属調シートを成型する場合、延伸率が100%程度あれば十分に実用に耐え得る。このためB評価の150%に延伸した後保持中に破断する金属調シートであっても、100%程度の延伸であれば、破断が抑制される。一方、C評価の150%延伸前に破断する金属調シートは、仮に100%延伸する場合であっても、100%の延伸後に破断することが考えられ、実用的ではないと考えられる。
A:保持後も破断しない
B:保持中に破断
C:150%延伸前に破断
実施例及び比較例の金属調シートから切り出した試験片をアクリル板に貼り付けて150℃の恒温槽(乾燥機)に入れ、10分間放置した。その後、試験片を取り出して試験片が室温に戻った後の試験片の外観を目視で確認した。その結果を以下の基準で評価し、評価結果を表1から表5に示す。なお、「白化」はアルミニウム蒸着層に由来するものである。
S:白化や蒸着割れが見られず、鏡面性が維持されている
A:わずかに白化が見られるが、鏡面性は維持している
B:白化があり、鏡面性が低下している
C:白化や蒸着割れがあり、鏡面性が消失している
11・・・保護層
12・・・トップ層
13・・・接着剤層
14・・・第一プライマー層
15・・・アルミニウム蒸着層
16・・・第二プライマー層
17・・・粘着剤層
18・・・剥離層
Claims (3)
- ウレタン樹脂及び(メタ)アクリル樹脂を含み、厚みが4μm以上30μm以下である第一プライマー層と、
前記第一プライマー層上に積層され、厚みが70Å以上150Å以下であるアルミニウム蒸着層と、
前記アルミニウム蒸着層の前記第一プライマー層側とは反対側に積層され、ウレタン樹脂を含む厚みが0.1μm以上5μm以下である第二プライマー層と、
を備え、
前記第一プライマー層の150℃における弾性率(E’)が1.0×106 Pa以上1.0×108 Pa以下であり、
前記第二プライマー層の150℃における弾性率(E’)が1.0×107 Pa以上1.0×109 Pa以下である
ことを特徴とする金属調シート。 - 前記(メタ)アクリル樹脂がアミン系モノマーを含む
ことを特徴とする請求項1に記載の金属調シート。 - 前記第一プライマー層が架橋剤を含む樹脂から成る
ことを特徴とする請求項1または2に記載の金属調シート。
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