JP2005022119A - 化粧シート及びその製造方法 - Google Patents
化粧シート及びその製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2005022119A JP2005022119A JP2003187599A JP2003187599A JP2005022119A JP 2005022119 A JP2005022119 A JP 2005022119A JP 2003187599 A JP2003187599 A JP 2003187599A JP 2003187599 A JP2003187599 A JP 2003187599A JP 2005022119 A JP2005022119 A JP 2005022119A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- primer layer
- weight
- decorative sheet
- resin
- parts
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Landscapes
- Laminated Bodies (AREA)
Abstract
【課題】成形加工性に優れる化粧シート及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】樹脂層と、プライマー層とが積層された化粧シートであって、
前記樹脂層が、JIS K 6921−1に準拠した熱可塑性耐衝撃性プロピレンポリマーからなり、かつ、前記熱可塑性耐衝撃性プロピレンポリマーのJISK 7171に準拠した曲げ弾性率が800MPa以上1300MPa以下であるとともに、JIS K 7210に準拠して温度230℃で測定されたメルトフローレートが0.5g/10分以上10g/10分以下であり、さらに、前記プライマー層は、前記樹脂層に積層された第1プライマー層と、当該第1プライマー層に積層された第2プライマー層とからなり、かつ、前記第1プライマー層が、架橋型であるとともに、前記第2プライマー層が、架橋型でないことを特徴とする。
【選択図】 なし
【解決手段】樹脂層と、プライマー層とが積層された化粧シートであって、
前記樹脂層が、JIS K 6921−1に準拠した熱可塑性耐衝撃性プロピレンポリマーからなり、かつ、前記熱可塑性耐衝撃性プロピレンポリマーのJISK 7171に準拠した曲げ弾性率が800MPa以上1300MPa以下であるとともに、JIS K 7210に準拠して温度230℃で測定されたメルトフローレートが0.5g/10分以上10g/10分以下であり、さらに、前記プライマー層は、前記樹脂層に積層された第1プライマー層と、当該第1プライマー層に積層された第2プライマー層とからなり、かつ、前記第1プライマー層が、架橋型であるとともに、前記第2プライマー層が、架橋型でないことを特徴とする。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、化粧シート及びその製造方法に関する。従来、化粧木質板(MDF、パーチクルボード、積層板等)は、建材、家具、家庭用電気製品のキャビネット類等に用いられているが、本発明は、特に、そのような化粧木質板を製造する際に、その木口に貼り付けるための木口用化粧シート及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
化粧シートには、従来、塩化ビニル樹脂シートが用いられているが、塩化ビニル樹脂は塩素を含むところから、近年、環境問題の高まりを背景として、非塩素系樹脂への代替が望まれている。
【0003】
非塩素系樹脂として、例えば、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン共重合体樹脂(ABS樹脂)や、エチレングリコールやシクロヘキサンジオールとテレフタル酸とのポリエステル樹脂(PETG)が知られている。しかし、これらの樹脂は、塩化ビニル樹脂に比較して高価であり、また、ABS樹脂は、焼却処理の際、シアン化水素ガスを発生する問題がある。
【0004】
なお、本発明は、発明者独自の着想により完成されたもので、先行技術文献として記載すべきものはない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、非塩素系樹脂の低価格なものとして、ポリエチレン樹脂やポリプロピレン樹脂のような汎用のポリオレフィン樹脂も知られているが、このような汎用のポリオレフィン樹脂からなるシートは、カッティング等の成形加工を困難とし、切断面を平滑にできなかったり、刃等の衝撃によりシートに割れや欠けを発生させる問題があった。
【0006】
そこで、本発明の目的は、成形加工性に優れる化粧シート及びその製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明は、樹脂層と、プライマー層とが積層された化粧シートであって、前記樹脂層が、JIS K 6921−1に準拠した熱可塑性耐衝撃性プロピレンポリマーからなり、かつ、前記熱可塑性耐衝撃性プロピレンポリマーのJIS K 7171に準拠した曲げ弾性率が800MPa以上1300MPa以下であるとともに、JIS K 7210に準拠して温度230℃で測定されたメルトフローレートが0.5g/10分以上10g/10分以下であり、さらに、前記プライマー層は、前記樹脂層に積層された第1プライマー層と、当該第1プライマー層に積層された第2プライマー層とからなり、かつ、前記第1プライマー層が、架橋型であるとともに、前記第2プライマー層が、架橋型でないことを特徴としている。
【0008】
本発明における熱可塑性耐衝撃性プロピレンポリマーは、JIS K 6921−1に準拠したものであり、プロピレンの単独重合体の相と、プロピレンと他のオレフィン系単量体からなるゴム相との二つ以上の相で構成され、これらは共重合されるか、又は、プロピレンプラスチックをマトリックスとしてゴムを混合されている。
【0009】
本発明における熱可塑性耐衝撃性プロピレンポリマーの曲げ弾性率は、JISK 7171に準拠して測定され、800MPa以上1300MPa以下、好ましくは900MPa以上1200MPa以下である。曲げ弾性率が800MPa未満であると、柔らかくなり、成形加工される際、切断面が平滑にならず、一方、1300MPaを超えると、硬くなり、成形加工される際、割れ・欠けが発生することがある。
【0010】
また、本発明における熱可塑性耐衝撃性プロピレンポリマーのメルトフローレート(以下、MFRともいう)は、JIS K 7210(試験温度230℃、試験荷重2.16kgf)に準拠して測定され、0.5g/10分以上10g/10分以下、好ましくは0.5g/10分以上7g/10分以下である。MFRが0.5g/10分未満であると、溶融粘度が高くなり、成形加工される際、化粧シートの表面が平坦にならず、一方、10g/10分を超えると、溶融粘度が低くなり、成形加工される際、容易に化粧シートが作製されない。
【0011】
本発明によれば、熱可塑性耐衝撃性プロピレンポリマーが好適な物性を有しているので、成形加工性が良好であり、例えば、切断面が平滑であり、割れ・欠けが発生せず、表面が平坦である等の外観に優れる化粧シートを作製することができる。
【0012】
さらに、第1プライマー層が架橋型であるので、熱可塑性耐衝撃性プロピレンポリマーと密着性が良好であり、かつ、第2プライマー層が架橋型でないので、第1プライマー層と接着剤との双方に密着性が良好となる。
【0013】
したがって、化粧木質板の木口等の被接着材に対して接着性が良好となるので、建材、家具、家庭用電気製品のキャビネット類等に用いることが可能となる。
【0014】
また、本発明は、前記化粧シートの厚さは、0.3mm以上0.6mm以下であることが好ましい。
【0015】
厚さが0.3mm未満であると、薄いため、成形加工が困難であり、一方、厚さが0.6、mmを超えると、屈曲部や端部に貼り合わせることが困難であるとともに、コストが高くなる。
【0016】
また、本発明は、前記樹脂層は、樹脂100重量部に対してタルクを3重量部以上25重量部以下で含有し、かつ、前記タルクの平均粒子径は、1μm以上15μm以下であることが好ましい。
【0017】
タルクが3重量部未満であると、成形加工が困難であり、一方、タルクが25重量部を超えると、化粧シートの機械的強度が劣り、割れ・欠けが発生しやすくなる。
【0018】
さらに、タルクの平均粒子径は、1μm以上15μm以下である。平均粒子径が1μm未満であると、成形加工する際、押出機等に非常に高い負荷がかかり、一方、平均粒子径が15μmを超えると、化粧シートの機械的強度が劣り、割れ・欠けが発生しやすくなる。
【0019】
また、本発明は、前記第1プライマー層は、ポリエステルポリオールとジイソシアネートとからなるポリウレタン樹脂がポリイソシアネートで架橋されたものであることが好ましい。
【0020】
第1プライマー層がポリエステルポリオールとジイソシアネートとからなるポリウレタン樹脂がポリイソシアネートで架橋されたものであるので、熱可塑性耐衝撃性プロピレンポリマーと密着性が特に良好となる。
【0021】
また、本発明は、前記第1プライマー層に用いられるポリウレタン樹脂の重量平均分子量は、10万以上25万以下であることが好ましい。
【0022】
重量平均分子量が10万未満であると、ベタツキがあり、ブロッキングを起こすことがある。一方、平均重量分子量が25万を超えると、溶解性が悪いので、塗工が困難となることがある。
【0023】
また、本発明は、前記ポリイソシアネートは、グリセリンへのヘキサメチレンジイソシアネートトリアダクト体であることが好ましい。
【0024】
また、本発明は、前記第1プライマー層は、前記ポリウレタン樹脂100重量部が前記ポリイソシアネート5重量部以上20重量部以下で架橋されたものであることが好ましい。
【0025】
ポリイソシアネートが5重量部未満であると、熱可塑性耐衝撃性プロピレンポリマーと密着性が劣ることがある。一方、ポリイソシアネートが20重量部を超えると、硬くなり、成形加工される際、割れ・欠けが発生しやすくなる。
【0026】
また、本発明は、前記第2プライマー層は、ポリエステルポリオールとジイソシアネートとp−フェニレン系ジアミン系化合物からなるポリウレタン樹脂からなることが好ましい。
【0027】
第2プライマー層がポリエステルポリオールと、ジイソシアネートと、p−フェニレン系ジアミン系化合物からなるポリウレタン樹脂からなるので、第1プライマー層と接着剤との双方に密着性が特に良好となる。
【0028】
また、本発明は、前記第2プライマー層に用いられるポリウレタン樹脂の重量平均分子量は、10万以上25万以下であることが好ましい。
【0029】
重量平均分子量が10万未満であると、ベタツキがあり、ブロッキングを起こすことがある。一方、平均重量分子量が25万を超えると、接着剤との密着性が劣ることがある。
【0030】
また、本発明は、前記第1プライマー層及び/又は第2プライマー層は、エチレン酢酸ビニル共重合体を含有し、さらに、前記エチレン酢酸ビニル共重合体のJIS K 6924−2に準拠して温度190℃で測定されたメルトフローレートは、40g/10分以上500g/10分以下であることが好ましい。
【0031】
また、本発明におけるエチレン酢酸ビニル共重合体のMFRは、JIS K 6924−2(試験温度190℃)に準拠して測定され、40g/10分以上500g/10分以下、好ましくは100g/10分以上450g/10分以下である。MFRが40g/10分未満であると、溶剤への溶解性が悪く塗工しにくい。一方、500g/10分を超えると、ベタツキが大きく、ブロッキングが大きくなる。
【0032】
また、本発明は、前記エチレン酢酸ビニル共重合体は、酢酸ビニル30重量%以上70重量%からなることが好ましい。
【0033】
酢酸ビニル30重量%未満であると、接着性が劣ることがあり、一方、酢酸ビニル70重量%を超えると、ベタツキがあり、ブロッキングを起こすことがある。
【0034】
また、本発明は、前記第1プライマー層は、前記エチレン酢酸ビニル共重合体を10重量%以上50重量%以下で含有し、さらに、前記第2プライマー層は、前記エチレン酢酸ビニル共重合体を30重量%以上70重量%以下で含有していることが好ましい。
【0035】
前記第1プライマー層中のエチレン酢酸ビニル共重合体の含有量が10重量%未満であると、第2プライマー層との密着性が劣ることがある。一方、前記第1プライマー層中のエチレン酢酸ビニル共重合体の含有量が50重量%を超えると、熱可塑性耐衝撃性プロピレンポリマーとの密着性が劣ることがある。
【0036】
さらに、前記第2プライマー層中のエチレン酢酸ビニル共重合体の含有量が30重量%未満であると、接着剤との密着性が劣ることがある。一方、前記第2プライマー層中のエチレン酢酸ビニル共重合体の含有量が70重量%を超えると、第1プライマーとの密着性が劣ることがある。
【0037】
また、本発明は、前記第1プライマー層及び/又は第2プライマー層は、樹脂100重量部に対してシリカ8重量部以上20重量部以下で含有し、かつ、前記シリカの1次平均粒子径は、10nm以上10000nm以下であることが好ましい。
【0038】
シリカが8重量部未満であると、ベタツキがあり、ブロッキングを起こすことがある。一方、シリカが20重量部を超えると、シリカの分散性が悪いので、凝集塊が存在し、外観が悪くなることがある。
【0039】
さらに、1次平均粒子径が10nm未満であると、入手が困難である。一方、1次平均粒子径が10000nmを超えると、プライマー層からはみ出すので、接着性が劣ることがある。
【0040】
また、本発明は、前記第1プライマー層の厚さは、0.5μm以上2μm以下であり、さらに、前記第2プライマー層の厚さは、0.5μm以上6μm以下であることが好ましい。
【0041】
前記第1プライマー層の厚さが0.5μm未満であると、接着性が劣ることがある。一方、前記第1プライマー層の厚さが2μmを超えると、プライマー層が剥がれることがある。
【0042】
さらに、前記第2プライマー層の厚さが0.5μm未満であると、第1プライマー層への接着性が劣ることがある。一方、前記第2プライマー層の厚さが6μmを超えると、ブロッキングがしやすくなる。特に好ましくは、前記第2プライマー層の厚さは1μm以上5μm以下である。
【0043】
そして、本発明は、樹脂層を成形する成形工程と、前記樹脂層に接着処理を施す処理工程と、前記樹脂層に第1プライマー層を積層する第1積層工程と、前記第1プライマー層に第2プライマー層を積層する第2積層工程とからなることを特徴とする化粧シートの製造方法である。
【0044】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0045】
上記熱可塑性耐衝撃性プロピレンポリマーは、プロピレンの単独重合体の相と、プロピレンと他のオレフィン系単量体からなるゴム相との二つ以上の相で構成され、これらは共重合されるか、又は、プロピレンプラスチックをマトリックスとしてゴムを混合されている。
【0046】
上記プロピレンの単独重合体の相は、立体規則性を有して結晶化度が上昇し、硬化性に富むものとなる。一方、上記ゴム相は、ポリプロピレン中に他のオレフィン系単量体が不規則に配列することにより、立体規則性が乱れて結晶化度が低下し、柔軟性に富むものとなる。
【0047】
上記ゴム相は、プロピレンと、エチレン及び炭素原子数4〜12のα−オレフィンからなる群から選ばれた1種又は2種以上のオレフィン系単量体からなることが好ましい。
【0048】
上記α−オレフィンとしては、例えば、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1、デセン−1、ドデセン−1等が挙げられる。
【0049】
上記ゴム相中のオレフィン系単量体の含有量は、3〜24重量%であることが好ましい。
【0050】
さらに、上記熱可塑性耐衝撃性プロピレンポリマーとしては、プロピレンの単独重合体の相が50モル%以上であるものが好ましい。
【0051】
上記熱可塑性耐衝撃性プロピレンポリマーは、2種以上の混合物を用いても、樹脂全体として曲げ弾性率及びMFRが上記範囲内に入っていれば、問題なく使用できる。
【0052】
上記プライマー層は、第1プライマーと第2プライマーとからなる。
【0053】
上記第1プライマー層は、ポリエステルポリオールとジイソシアネートとからなるポリウレタン樹脂がポリイソシアネートで架橋されることで形成されることが好ましく、一方、上記第2プライマー層は、ポリエステルポリオールとジイソシアネートとp−フェニレン系ジアミン化合物とからなるポリウレタン樹脂が架橋されないで形成されることが好ましい。
【0054】
上記第1プライマー層及び/又は第2プライマー層に用いられるポリエステルポリオールとしては、例えば、ブチレンアジペート(PBA)、エチレンアジペート、エチレン−ブチレンアジペート等が挙げられる。これらの中では、ブチレンアジペート(PBA)が好ましい。
【0055】
上記第1プライマー層及び/又は第2プライマー層に用いられるジイソシアネートとしては、例えば、トリレンジイソシアネート、4、4’−ジフェニレンジイソシアネート(MDI)、キシリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)等が挙げられる。これらの中では、4、4’−ジフェニレンジイソシアネート(MDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)が好ましい。
【0056】
上記p−フェニレン系ジアミン化合物としては、例えば、エチレンジアミン、4、4’−メチレンビス(2−クロルアニリン)(MOCA)、トリメチレンジ−p−アミノベンゾエート等が挙げられる。これらの中では、4、4’−メチレンビス(2−クロルアニリン)(MOCA)が好ましい。
【0057】
上記ポリイソシアネートとしては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)等のアダクト体が挙げられる。なお、ポリイソシアネートは、グリセリンへのトリアダクト体等としてもよい。これらの中では、グリセリンへのヘキサメチレンジイソシアネートトリアダクト体が好ましい。
【0058】
上記樹脂層は、タルクを含有していることが好ましい。一方、上記第1プライマー層及び/又は第2プライマー層は、シリカを含有していることが好ましい。
【0059】
上記タルク及び/又はシリカは、シラン系、チタネート系、アルミネート系、ジルコアルミニウム系等のカップリング剤、りん酸系、脂肪酸系等の界面活性剤、油脂、ワックス等の表面処理剤により処理が施されたものであってもよい。
【0060】
さらに、上記第1プライマー層及び/又は第2プライマー層は、エチレン酢酸ビニル共重合体を含有していることが好ましい。
【0061】
上記樹脂層は、従来、ポリオレフィン樹脂に用いられている滑剤、酸化防止剤、安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、顔料、改質剤、難燃剤、充填剤、帯電防止剤、防黴剤等を含んでいてもよい。
【0062】
上記滑剤としては、例えば、ラウリン酸、ステアリン酸、ベヘン酸等の高級脂肪酸のカルシウム塩、亜鉛塩、マグネシウム塩、バリウム塩等の金属石ケン、ステアリン酸、オレイン酸、ラウリン酸、パルミチン酸等の高級脂肪酸、ステアロアミド、パルミトアミド等の高級脂肪酸アミド、平均分子量1000〜2000の低分子量ポリエチレン、メチレンビスステアロアミド等の脂肪酸ビスアミド類、ステアリン酸ブチル等の高級脂肪酸エステル、ステアリルステシレート、ミリシルセロチネート等のエステルワックス類、グリセリルモノステアレート等の多価アルコールの部分エステル等が挙げられる。
【0063】
上記滑剤の含有量は、樹脂100重量部に対して、0.01〜5重量部であることが好ましい。
【0064】
上記酸化防止剤としては、例えば、2,6−ジ−t−ブチルヒドロキシトルエン、テトラキス(メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)メタン、n−オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート等のヒンダードフェノール化合物、トリスノニルホスファイト、トリス(2,6−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト等の亜リン酸エステル等が挙げられる。
【0065】
上記酸化防止剤の含有量は、樹脂100重量部に対して、0.01〜5重量部であることが好ましい。
【0066】
上記光安定剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノアクリレート系化合物、フェニルサリシレート系化合物、ヒンダードアミン系化合物等が挙げられる。
【0067】
上記光安定剤の含有量は、樹脂100重量部に対して、0.01〜5重量部であることが好ましい。
【0068】
上記顔料としては、例えば、酸化チタン、カーボンブラック、酸化鉄、アゾ系化合物、フタロシアニン系化合物、酸化チタン・酸化アンチモン・酸化ニッケル固溶体等が挙げられる。
【0069】
上記顔料の含有量は、樹脂100重量部に対して、50重量部以下であることが好ましい。
【0070】
上記紫外線吸収剤としては、例えば、2−[2’−ヒドロキシ−3’−(3”,4”,5”,6”−テトラヒドロフタルイミドメチル)−5’−メチルフェニル]ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,αジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2,2−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]等のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、及び、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−ジメトキシベンゾフェノン、ビス(2−メトキシ−4−ヒドロキシ−5−ベンゾイルフェニル)メタン等が挙げられる。
【0071】
上記帯電防止剤としては、例えば、炭素数12〜18のアルキル基を有するN,N−ビス−(2−ヒドロキシエチル)−アルキルアミン類、グリセリン脂肪酸エステル等が挙げられる。
【0072】
そして、本発明の化粧シートの使用に際しては、上記第2プライマー層にホットメルト接着剤を塗布して、化粧木質板の木口等に貼り付けることが好ましい。
【0073】
さらに、ホットメルト接着剤を200℃以上で塗布して、化粧木質板の木口等に貼り付けることが好ましい。上記第2プライマー層が架橋型でないので、ホットメルト接着剤の熱により溶融して、ホットメルト接着剤と混ざり、強い接着性を発揮する。
【0074】
上記ホットメルト接着剤としては、例えば、エチレン酢酸ビニル共重合体樹脂やウレタン樹脂等からなるものが用いられる。
【0075】
なお、本発明の化粧シートには、必要に応じて、さらに、その表面に印刷を施したり、また、ラミネーションを施したりしてもよい。
【0076】
さらに、本発明の化粧シートの製造方法の一例について説明する。
本発明の化粧シートの製造方法は、樹脂層を成形する成形工程と、前記樹脂層に接着処理を施す処理工程と、前記樹脂層に第1プライマー層を積層する第1積層工程と、前記第1プライマー層に第2プライマー層を積層する第2積層工程とからなることが好ましい。
【0077】
(1)成形工程
上記樹脂層を形成する樹脂組成物の混合方法は、例えば、バンバリ−ミキサー、ロールミル、押出し成形機、タンブラー等の適宜の混合機を用いて行うことができるが、押出機中で溶融混練することが好ましく、特に、2軸押出機を用いて溶融混練することが好ましい。2軸押出機により溶融混練した樹脂組成物を使用することにより、外観に優れる樹脂層を得ることができる。なお、2軸押出機を用いて溶融混練した樹脂組成物は、通常、ペレット化して使用される。
【0078】
上記樹脂層を形成する樹脂組成物の混合方法は、150〜250℃で溶融混練されることが好ましい。
【0079】
上記ペレット化された樹脂組成物から樹脂層への成形方法は、一般的なポリオレフィン系樹脂のシート成形方法を用いればよく、特に限定されず、例えば、Tダイスを用いる押出法、インフレーション成形法、カレンダー成形法等が挙げられる。
【0080】
(2)処理工程
上記樹脂層に上記プライマー層を積層する方法は、樹脂層に接着処理を施した後、第1プライマー層を設けることが好ましい。
【0081】
上記接着処理としては、例えば、コロナ放電処理やプラズマ放電処理を施して、樹脂層の濡れ指数を調整すること等が挙げられる。
【0082】
上記コロナ放電処理は、例えば、高電圧に直結した電極と、シリコーン被覆の金属ロールとの間隙に高周波で高電圧がかけられることにより、発生する高圧コロナを利用して行われる。すなわち、高圧コロナ発生箇所を樹脂層が一定の速度で走行すると、オゾン、酸化窒素と反応して、水酸基、アルデヒド基、カルボキシル基、カルボニル基等が生じて親水化される。さらに、表面に無数孔による疎面が形成されるとともに、表面の低分子物が処理される。したがって、上記樹脂層と上記プライマー層との接着性が向上する。
【0083】
上記濡れ指数は、38dyn/cmであることが好ましい。38dyn/cm未満であると、樹脂層とプライマー層との接着性が劣る可能性がある。
【0084】
(3)第1積層工程
上記第1プライマー層を形成する樹脂組成物は、溶剤を混合され、樹脂組成物溶液として使用されることが好ましい。なお、上記ポリイソシアネートは、塗布される前に混合されることが好ましい。
【0085】
上記溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、メチルエチルイソブチルケトン、酢酸エチル等が挙げられる。
【0086】
上記樹脂組成物溶液は、上記溶剤を80〜95重量%含有することが好ましい。
【0087】
上記樹脂層に、上記樹脂組成物溶液を塗布する方法は、例えば、スプレー、キスコーター、メイヤーバーコーター、グラビヤコーター、ロールコーター、リバースコーター、バーコーター等にて塗布する。塗布後、23〜150℃の温風等で乾燥を行い、上記樹脂組成物を硬化させ、0.5μm以上2μm以下の厚さで形成させることが好ましい。
【0088】
なお、上記第1プライマー層は、ポリイソシアネートを含有しているので、ポリウレタン樹脂とポリイソシアネートとの反応により、重量平均分子量が50万以上である樹脂で形成される。さらに、第1プライマー層は、上記樹脂層に生じた水酸基、アルデヒド基、カルボキシル基、カルボニル基等との反応により、上記樹脂層と一体化される。
【0089】
(4)第2積層工程
上記第2プライマー層を形成する樹脂組成物は、溶剤を混合され、樹脂組成物溶液として使用されることが好ましい。
【0090】
上記溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、メチルエチルイソブチルケトン、酢酸エチル等が挙げられる。
【0091】
上記樹脂組成物溶液は、上記溶剤を80〜95重量%含有することが好ましい。
【0092】
上記樹脂層に、上記樹脂組成物溶液を塗布する方法は、例えば、スプレー、キスコーター、メイヤーバーコーター、グラビヤコーター、ロールコーター、リバースコーター、バーコーター等にて塗布する。塗布後、23〜150℃の温風等で乾燥を行い、上記樹脂組成物を硬化させ、0.5μm以上6μm以下の厚さで形成させることが好ましい。
【0093】
なお、上記第2プライマー層は、架橋剤を含有していないので、重量平均分子量が10万以上25万以下であるポリウレタン樹脂で形成される。
【0094】
以上説明したように、本発明によれば、第1プライマー層が架橋型であるので、熱可塑性耐衝撃性プロピレンポリマーと密着性が良好であり、かつ、第2プライマー層が架橋型でないので、低温で溶融しやすく、一般的に用いられるホットメルト系接着剤の塗工時の温度で溶融して、接着剤との密着性が良好となる。したがって、化粧木質板の木口等の被接着材に対して接着性が良好となるので、建材、家具、家庭用電気製品のキャビネット類等に用いることが可能となる。
【0095】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的範囲において種々の変更が可能である。
【0096】
【実施例】
以下、実施例に基づき本発明を詳述するが、この実施例の記載に基づいて本発明が限定的に解釈されるべきものではないことはもちろんである。
【0097】
(化粧シートの作製)
(1)成形工程
プロピレンポリマー100重量部に、タルクと、酸化防止剤(「イルガノックス1010」、日本チバガイギー(株)製)0.1重量部と、酸化チタン5重量部とを配合し、タンブラーにて均一に混合し、得られた樹脂組成物を2軸押出機にてダイス温度150〜250℃で丸ダイスから押し出し、適宜長さに切断して、ペレットを得た。このペレットを1軸押出機にてダイス温度150〜250℃のTダイスから押し出して、幅60cmの樹脂層を得た。
【0098】
(2)接着工程
樹脂層の裏面にコロナ放電処理を施して、樹脂層の裏面の濡れ指数を46dyn/cmとした。
【0099】
(3)第1積層工程
第1プライマー層を形成する樹脂組成物溶液をグラビヤコーターにて樹脂層の裏面に塗布した。塗布後、40〜120℃の温風で15秒乾燥を行い、硬化させた。
【0100】
(4)第2積層工程
第2プライマー層を形成する樹脂組成物溶液をグラビヤコーターにて第1プライマー層に塗布した。塗布後、40〜120℃の温風で30秒乾燥を行い、硬化させた。
【0101】
(5)化粧シートの成形
スリット機で丸刃を用いて切断し、化粧シートとした。
【0102】
なお、下記表1〜表3において、プロピレンポリマー、タルク、第1プライマー層を形成する樹脂組成物溶液、及び、第2プライマー層を形成する樹脂組成物溶液は、以下のものを使用した。
【0103】
(1)プロピレンポリマー
PP1:熱可塑性耐衝撃性プロピレンポリマー(「ハイポール B240」、三井化学(株)製、MFR=0.5g/10分、曲げ弾性率1100MPa)
PP2:熱可塑性耐衝撃性プロピレンポリマー(「チッソポリプロ K7714」、チッソ(株)製、MFR=2.5g/10分、曲げ弾性率885MPa)
PP3:熱可塑性耐衝撃性プロピレンポリマー(「ハイポール J640」、三井化学(株)製、MFR=10g/10分、曲げ弾性率1250MPa)
PP4:単独重合プロピレンポリマー(「ハイポール B200」、三井化学(株)製、MFR=0.5g/10分、曲げ弾性率1600MPa)
PP5:熱可塑性耐衝撃性プロピレンポリマー(「チッソポリプロ XK3262」、チッソ(株)製、MFR=20g/10分、曲げ弾性率750MPa)
(2)タルク
TA1:タルク(「Pタルク」、竹原工業(株)製、平均粒子径10μm)
TA2:タルク(「ハイトロンA」、竹原工業(株)製、平均粒子径3μm)
(3)第1プライマー層を形成する樹脂組成物溶液
P1:ブチレンアジペート(PBA)とヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)とからなる重量平均分子量約20万のポリウレタン樹脂100重量部に、メチルエチルケトン(MEK)とトルエンとの1対1の混合溶剤を900重量部で混合した。さらに、シリカ(「アエロジル130」、日本アエロジル(株)、1次平均粒子径16nm)10重量部を混合し分散した。そして、グリセリンへのヘキサメチレンジイソシアネートトリアダクト体10重量部添加して混合し、第1プライマー層を形成する樹脂組成物溶液とした。
P2:ブチレンアジペート(PBA)とヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)とからなる重量平均分子量約20万のポリウレタン樹脂65重量部と、酢酸ビニル50重量%からなるMFR200g/10分のエチレン酢酸ビニル共重合体35重量部とに、メチルエチルケトンとトルエンとの1対1の混合溶剤を900重量部で混合した。さらに、シリカ(「アエロジル130」、日本アエロジル(株)、1次平均粒子径16nm)10重量部を混合し分散した。そして、グリセリンへのヘキサメチレンジイソシアネートトリアダクト体8.5重量部添加して混合し、第1プライマー層を形成する樹脂組成物溶液とした。
P3:ブチレンアジペート(PBA)とヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)とからなる重量平均分子量約20万のポリウレタン樹脂45重量部と、酢酸ビニル50重量%からなるMFR200g/10分のエチレン酢酸ビニル共重合体55重量部とに、メチルエチルケトンとトルエンとの1対1の混合溶剤を900重量部で混合した。さらに、シリカ(「アエロジル130」、日本アエロジル(株)、1次平均粒子径16nm)10重量部を混合し分散した。そして、グリセリンへのヘキサメチレンジイソシアネートトリアダクト体6.5重量部添加して混合し、第1プライマー層を形成する樹脂組成物溶液とした。
P4:ブチレンアジペート(PBA)とヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)とからなる重量平均分子量約20万のポリウレタン樹脂100重量部に、メチルエチルケトン(MEK)とトルエンとの1対1の混合溶剤を900重量部で混合した。さらに、シリカ(「アエロジル130」、日本アエロジル(株)、1次平均粒子径16nm)10重量部を混合し分散し、第1プライマー層を形成する樹脂組成物溶液とした。
【0104】
(4)第2プライマー層を形成する樹脂組成物溶液
P5:ブチレンアジペート(PBA)とヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)と4、4’−メチレンビス(2−クロルアニリン)(MOCA)とからなる重量平均分子量約17万のポリウレタン樹脂50重量部と、酢酸ビニル50重量%からなるMFR200g/10分のエチレン酢酸ビニル共重合体50重量部とに、メチルエチルケトンとトルエンとの1対1の混合溶剤を900重量部で混合した。さらに、シリカ(「アエロジル130」、日本アエロジル(株)、1次平均粒子径16nm)10重量部を混合し分散し、第2プライマー層を形成する樹脂組成物溶液とした。
P6:ブチレンアジペート(PBA)とヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)と4、4’−メチレンビス(2−クロルアニリン)(MOCA)とからなる重量平均分子量約17万のポリウレタン樹脂50重量部と、酢酸ビニル50重量%からなるMFR200g/10分のエチレン酢酸ビニル共重合体50重量部とに、メチルエチルケトンとトルエンとの1対1の混合溶剤を900重量部で混合した。さらに、シリカ(「アエロジル130」、日本アエロジル(株)、1次平均粒子径16nm)10重量部を混合し分散した。そして、グリセリンへのヘキサメチレンジイソシアネートトリアダクト体8重量部添加して混合し、第2プライマー層を形成する樹脂組成物溶液とした。
【0105】
得られた化粧シートについて、下記の成形加工性評価及び接着性評価を行った。その結果を表1〜表3に示した。
【0106】
(化粧シートの成形加工性評価)
(1)シート加工性
得られた化粧シートにおける幅縮みの大小を測定し、さらに、表面の平担性の良し悪しを目視にて観察した。下記の基準にて評価した。
◎:幅縮みが20%未満である、又は、平坦性が問題無い
○:幅縮みが20%以上30%未満である、又は、平坦性がやや悪い
△:幅縮みが30%以上40%未満である、又は、平坦性が少し悪い
×:幅縮みが40%以上である、又は、平坦性が悪い
(2)スリット加工性
得られた化粧シートにおける切断面の平滑性の良し悪しを観察した。下記の基準にて評価した。
◎:切断面が平滑である
○:切断面が20%未満でギザギザである
□:切断面が20%以上25%未満でギザギザである
△:切断面が25%以上30%未満でギザギザである
×:切断面が30%以上でギザギザである
(3)貼り加工性
第2プライマー層に200℃に加熱、溶融させたエチレン酢酸ビニル共重合体樹脂からなるホットメルト接着剤(「エバーグリップ015」、アロンエバーグリップリミテッド社製)を塗布し、接着剤が冷却する前に、半径20mmの曲部を有するパーチクルボード及び30mmの曲部を有するパーチクルボードに貼り合わせて圧着した。パーチクルボードへの貼り合わせ面からの剥離部分の有る無しを目視にて観察した。下記の基準にて評価した。
◎:半径20mmの曲部を有するパーチクルボード及び30mmの曲部を有するパーチクルボードからの剥離部分無し
○:半径20mmの曲部を有するパーチクルボードからの剥離部分有り、かつ、30mmの曲部を有するパーチクルボードからの剥離部分無し
□:半径20mmの曲部を有するパーチクルボード及び30mmの曲部を有するパーチクルボードからの剥離部分がほとんど無し
△:半径20mmの曲部を有するパーチクルボード及び30mmの曲部を有するパーチクルボードからの剥離部分が少し有り
×:半径20mmの曲部を有するパーチクルボード及び30mmの曲部を有するパーチクルボードからの剥離部分がかなり有り
(4)切断加工性
第2プライマー層に200℃に加熱、溶融させたエチレン酢酸ビニル共重合体樹脂からなるホットメルト接着剤(「エバーグリップ015」、アロンエバーグリップリミテッド社製)を塗布し、接着剤が冷却する前に、パーチクルボードに貼り合わせて圧着した。パーチクルボードからはみ出た部分を式カッターを用いて切断し、化粧シートの割れ・欠けの有る無しを目視にて観察した。下記の基準にて評価した。
◎:割れ・欠け無し
○:割れ・欠けが無いが、切断面が平滑でない
□:割れ・欠けがほとんど無し
△:割れ・欠けが少し有り
×:割れ・欠けがかなり有り
(化粧シートの接着性評価)
(1)シート接着力
第2プライマー層に200℃に加熱、溶融させたエチレン酢酸ビニル共重合体樹脂からなるホットメルト接着剤(「エバーグリップ015」、アロンエバーグリップリミテッド社製)を1g落とし、接着剤が冷却した化粧シートにおける接着剤の状態を調べた。下記の基準にて評価した。
◎:接着剤が剥がれない
○:少し接着剤がプライマーとともに化粧シートから剥がれる
△:部分的に接着剤がプライマーとともに化粧シートから剥がれる
×:全体的に接着剤がプライマーとともに化粧シートから剥がれる
(2)合板接着力
第2プライマー層に200℃に加熱、溶融させたエチレン酢酸ビニル共重合体樹脂からなるホットメルト接着剤(「エバーグリップ015」、アロンエバーグリップリミテッド社製)を塗布し、接着剤が冷却する前に、平行合板に貼り合わせて圧着した。室温で180°剥離試験を行った。下記の基準にて評価した。
◎:平行合板が90%以上で材破した
○:平行合板が80%以上90%未満で材破した
△:平行合板が70%以上80%未満で材破した
×:平行合板が70%未満で材破した
(3)ブロッキング
得られた化粧シートを巻き取り、40℃で24時間放置した後、展開し、化粧シートの状態を調べた。下記の基準にて評価した。
◎:ブロッキングが無い
○:剥離がやや重い
□:剥離が重い
△:プライマーが少し剥がれる
×:プライマーがかなり剥がれる
【0107】
【表1】
【0108】
【表2】
【0109】
【表3】
上記表1〜表3に示すように、実施例1〜18に係る化粧シートは、熱可塑性耐衝撃性プロピレンポリマーが好適な物性を有しているので、成形加工性が良好であり、切断面が平滑であり、割れ・欠けがなく、表面が平坦である等の外観に優れる化粧シートが作製された。
【0110】
一方、比較例1に係る化粧シートは、単独重合プロピレンポリマーで形成されるので、成形加工性が悪く、外観に問題がある化粧シートが作製された。また、比較例2に係る化粧シートは、熱可塑性耐衝撃性プロピレンポリマーが好適な物性を有していないので、成形加工性が悪く、外観に問題がある化粧シートが作製された。
【0111】
また、比較例3に係る化粧シートは、第1プライマー層が架橋型でないので、接着性に問題がある化粧シートが作製された。一方、比較例4に係る化粧シートは、第2プライマー層が架橋型であるので、接着性に問題がある化粧シートが作製された。
【0112】
さらに、実施例5〜8に係る化粧シートによれば、樹脂層の厚さを0.3mm〜0.6mmとすることにより、より成形加工性が良好であり、切断面が平滑であり、割れ・欠けが発生せず、外観に優れる化粧シートが作製されることがわかった。
【0113】
また、実施例9〜13に係る化粧シートによれば、タルクを3〜25重量部で含有することにより、より成形加工性が良好であり、切断面が平滑であり、割れ・欠けが発生せず、表面が平坦である等の外観に優れる化粧シートが作製されることがわかった。
【0114】
そして、実施例14〜18に係る化粧シートによれば、第1プライマー層を0.5〜2μmとし、かつ、第2プライマー層を0.5〜6μmとすることにより、接着性が良好となることがわかった。したがって、化粧木質板の木口等の被接着材に対して接着性が良好となるので、建材、家具、家庭用電気製品のキャビネット類等に用いることが可能となる。
【0115】
一方、実施例4に係る化粧シートは、第1プライマー層がエチレン酢酸ビニル共重合体を50重量%を超えて含有しているので、接着性がやや悪い化粧シートが作製された。
【0116】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、熱可塑性耐衝撃性プロピレンポリマーが好適な物性を有しているので、成形加工性が良好であり、例えば、切断面が平滑であり、割れ・欠けが発生せず、表面が平坦である等の外観に優れる化粧シートを作製することができる。
【0117】
さらに、第1プライマー層が架橋型であるので、熱可塑性耐衝撃性プロピレンポリマーと密着性が良好であり、かつ、第2プライマー層が架橋型でないので、第1プライマー層と接着剤との双方に密着性が良好となる。
【0118】
したがって、化粧木質板の木口等の被接着材に対して接着性が良好となるので、建材、家具、家庭用電気製品のキャビネット類等に用いることが可能となる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、化粧シート及びその製造方法に関する。従来、化粧木質板(MDF、パーチクルボード、積層板等)は、建材、家具、家庭用電気製品のキャビネット類等に用いられているが、本発明は、特に、そのような化粧木質板を製造する際に、その木口に貼り付けるための木口用化粧シート及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
化粧シートには、従来、塩化ビニル樹脂シートが用いられているが、塩化ビニル樹脂は塩素を含むところから、近年、環境問題の高まりを背景として、非塩素系樹脂への代替が望まれている。
【0003】
非塩素系樹脂として、例えば、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン共重合体樹脂(ABS樹脂)や、エチレングリコールやシクロヘキサンジオールとテレフタル酸とのポリエステル樹脂(PETG)が知られている。しかし、これらの樹脂は、塩化ビニル樹脂に比較して高価であり、また、ABS樹脂は、焼却処理の際、シアン化水素ガスを発生する問題がある。
【0004】
なお、本発明は、発明者独自の着想により完成されたもので、先行技術文献として記載すべきものはない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、非塩素系樹脂の低価格なものとして、ポリエチレン樹脂やポリプロピレン樹脂のような汎用のポリオレフィン樹脂も知られているが、このような汎用のポリオレフィン樹脂からなるシートは、カッティング等の成形加工を困難とし、切断面を平滑にできなかったり、刃等の衝撃によりシートに割れや欠けを発生させる問題があった。
【0006】
そこで、本発明の目的は、成形加工性に優れる化粧シート及びその製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明は、樹脂層と、プライマー層とが積層された化粧シートであって、前記樹脂層が、JIS K 6921−1に準拠した熱可塑性耐衝撃性プロピレンポリマーからなり、かつ、前記熱可塑性耐衝撃性プロピレンポリマーのJIS K 7171に準拠した曲げ弾性率が800MPa以上1300MPa以下であるとともに、JIS K 7210に準拠して温度230℃で測定されたメルトフローレートが0.5g/10分以上10g/10分以下であり、さらに、前記プライマー層は、前記樹脂層に積層された第1プライマー層と、当該第1プライマー層に積層された第2プライマー層とからなり、かつ、前記第1プライマー層が、架橋型であるとともに、前記第2プライマー層が、架橋型でないことを特徴としている。
【0008】
本発明における熱可塑性耐衝撃性プロピレンポリマーは、JIS K 6921−1に準拠したものであり、プロピレンの単独重合体の相と、プロピレンと他のオレフィン系単量体からなるゴム相との二つ以上の相で構成され、これらは共重合されるか、又は、プロピレンプラスチックをマトリックスとしてゴムを混合されている。
【0009】
本発明における熱可塑性耐衝撃性プロピレンポリマーの曲げ弾性率は、JISK 7171に準拠して測定され、800MPa以上1300MPa以下、好ましくは900MPa以上1200MPa以下である。曲げ弾性率が800MPa未満であると、柔らかくなり、成形加工される際、切断面が平滑にならず、一方、1300MPaを超えると、硬くなり、成形加工される際、割れ・欠けが発生することがある。
【0010】
また、本発明における熱可塑性耐衝撃性プロピレンポリマーのメルトフローレート(以下、MFRともいう)は、JIS K 7210(試験温度230℃、試験荷重2.16kgf)に準拠して測定され、0.5g/10分以上10g/10分以下、好ましくは0.5g/10分以上7g/10分以下である。MFRが0.5g/10分未満であると、溶融粘度が高くなり、成形加工される際、化粧シートの表面が平坦にならず、一方、10g/10分を超えると、溶融粘度が低くなり、成形加工される際、容易に化粧シートが作製されない。
【0011】
本発明によれば、熱可塑性耐衝撃性プロピレンポリマーが好適な物性を有しているので、成形加工性が良好であり、例えば、切断面が平滑であり、割れ・欠けが発生せず、表面が平坦である等の外観に優れる化粧シートを作製することができる。
【0012】
さらに、第1プライマー層が架橋型であるので、熱可塑性耐衝撃性プロピレンポリマーと密着性が良好であり、かつ、第2プライマー層が架橋型でないので、第1プライマー層と接着剤との双方に密着性が良好となる。
【0013】
したがって、化粧木質板の木口等の被接着材に対して接着性が良好となるので、建材、家具、家庭用電気製品のキャビネット類等に用いることが可能となる。
【0014】
また、本発明は、前記化粧シートの厚さは、0.3mm以上0.6mm以下であることが好ましい。
【0015】
厚さが0.3mm未満であると、薄いため、成形加工が困難であり、一方、厚さが0.6、mmを超えると、屈曲部や端部に貼り合わせることが困難であるとともに、コストが高くなる。
【0016】
また、本発明は、前記樹脂層は、樹脂100重量部に対してタルクを3重量部以上25重量部以下で含有し、かつ、前記タルクの平均粒子径は、1μm以上15μm以下であることが好ましい。
【0017】
タルクが3重量部未満であると、成形加工が困難であり、一方、タルクが25重量部を超えると、化粧シートの機械的強度が劣り、割れ・欠けが発生しやすくなる。
【0018】
さらに、タルクの平均粒子径は、1μm以上15μm以下である。平均粒子径が1μm未満であると、成形加工する際、押出機等に非常に高い負荷がかかり、一方、平均粒子径が15μmを超えると、化粧シートの機械的強度が劣り、割れ・欠けが発生しやすくなる。
【0019】
また、本発明は、前記第1プライマー層は、ポリエステルポリオールとジイソシアネートとからなるポリウレタン樹脂がポリイソシアネートで架橋されたものであることが好ましい。
【0020】
第1プライマー層がポリエステルポリオールとジイソシアネートとからなるポリウレタン樹脂がポリイソシアネートで架橋されたものであるので、熱可塑性耐衝撃性プロピレンポリマーと密着性が特に良好となる。
【0021】
また、本発明は、前記第1プライマー層に用いられるポリウレタン樹脂の重量平均分子量は、10万以上25万以下であることが好ましい。
【0022】
重量平均分子量が10万未満であると、ベタツキがあり、ブロッキングを起こすことがある。一方、平均重量分子量が25万を超えると、溶解性が悪いので、塗工が困難となることがある。
【0023】
また、本発明は、前記ポリイソシアネートは、グリセリンへのヘキサメチレンジイソシアネートトリアダクト体であることが好ましい。
【0024】
また、本発明は、前記第1プライマー層は、前記ポリウレタン樹脂100重量部が前記ポリイソシアネート5重量部以上20重量部以下で架橋されたものであることが好ましい。
【0025】
ポリイソシアネートが5重量部未満であると、熱可塑性耐衝撃性プロピレンポリマーと密着性が劣ることがある。一方、ポリイソシアネートが20重量部を超えると、硬くなり、成形加工される際、割れ・欠けが発生しやすくなる。
【0026】
また、本発明は、前記第2プライマー層は、ポリエステルポリオールとジイソシアネートとp−フェニレン系ジアミン系化合物からなるポリウレタン樹脂からなることが好ましい。
【0027】
第2プライマー層がポリエステルポリオールと、ジイソシアネートと、p−フェニレン系ジアミン系化合物からなるポリウレタン樹脂からなるので、第1プライマー層と接着剤との双方に密着性が特に良好となる。
【0028】
また、本発明は、前記第2プライマー層に用いられるポリウレタン樹脂の重量平均分子量は、10万以上25万以下であることが好ましい。
【0029】
重量平均分子量が10万未満であると、ベタツキがあり、ブロッキングを起こすことがある。一方、平均重量分子量が25万を超えると、接着剤との密着性が劣ることがある。
【0030】
また、本発明は、前記第1プライマー層及び/又は第2プライマー層は、エチレン酢酸ビニル共重合体を含有し、さらに、前記エチレン酢酸ビニル共重合体のJIS K 6924−2に準拠して温度190℃で測定されたメルトフローレートは、40g/10分以上500g/10分以下であることが好ましい。
【0031】
また、本発明におけるエチレン酢酸ビニル共重合体のMFRは、JIS K 6924−2(試験温度190℃)に準拠して測定され、40g/10分以上500g/10分以下、好ましくは100g/10分以上450g/10分以下である。MFRが40g/10分未満であると、溶剤への溶解性が悪く塗工しにくい。一方、500g/10分を超えると、ベタツキが大きく、ブロッキングが大きくなる。
【0032】
また、本発明は、前記エチレン酢酸ビニル共重合体は、酢酸ビニル30重量%以上70重量%からなることが好ましい。
【0033】
酢酸ビニル30重量%未満であると、接着性が劣ることがあり、一方、酢酸ビニル70重量%を超えると、ベタツキがあり、ブロッキングを起こすことがある。
【0034】
また、本発明は、前記第1プライマー層は、前記エチレン酢酸ビニル共重合体を10重量%以上50重量%以下で含有し、さらに、前記第2プライマー層は、前記エチレン酢酸ビニル共重合体を30重量%以上70重量%以下で含有していることが好ましい。
【0035】
前記第1プライマー層中のエチレン酢酸ビニル共重合体の含有量が10重量%未満であると、第2プライマー層との密着性が劣ることがある。一方、前記第1プライマー層中のエチレン酢酸ビニル共重合体の含有量が50重量%を超えると、熱可塑性耐衝撃性プロピレンポリマーとの密着性が劣ることがある。
【0036】
さらに、前記第2プライマー層中のエチレン酢酸ビニル共重合体の含有量が30重量%未満であると、接着剤との密着性が劣ることがある。一方、前記第2プライマー層中のエチレン酢酸ビニル共重合体の含有量が70重量%を超えると、第1プライマーとの密着性が劣ることがある。
【0037】
また、本発明は、前記第1プライマー層及び/又は第2プライマー層は、樹脂100重量部に対してシリカ8重量部以上20重量部以下で含有し、かつ、前記シリカの1次平均粒子径は、10nm以上10000nm以下であることが好ましい。
【0038】
シリカが8重量部未満であると、ベタツキがあり、ブロッキングを起こすことがある。一方、シリカが20重量部を超えると、シリカの分散性が悪いので、凝集塊が存在し、外観が悪くなることがある。
【0039】
さらに、1次平均粒子径が10nm未満であると、入手が困難である。一方、1次平均粒子径が10000nmを超えると、プライマー層からはみ出すので、接着性が劣ることがある。
【0040】
また、本発明は、前記第1プライマー層の厚さは、0.5μm以上2μm以下であり、さらに、前記第2プライマー層の厚さは、0.5μm以上6μm以下であることが好ましい。
【0041】
前記第1プライマー層の厚さが0.5μm未満であると、接着性が劣ることがある。一方、前記第1プライマー層の厚さが2μmを超えると、プライマー層が剥がれることがある。
【0042】
さらに、前記第2プライマー層の厚さが0.5μm未満であると、第1プライマー層への接着性が劣ることがある。一方、前記第2プライマー層の厚さが6μmを超えると、ブロッキングがしやすくなる。特に好ましくは、前記第2プライマー層の厚さは1μm以上5μm以下である。
【0043】
そして、本発明は、樹脂層を成形する成形工程と、前記樹脂層に接着処理を施す処理工程と、前記樹脂層に第1プライマー層を積層する第1積層工程と、前記第1プライマー層に第2プライマー層を積層する第2積層工程とからなることを特徴とする化粧シートの製造方法である。
【0044】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0045】
上記熱可塑性耐衝撃性プロピレンポリマーは、プロピレンの単独重合体の相と、プロピレンと他のオレフィン系単量体からなるゴム相との二つ以上の相で構成され、これらは共重合されるか、又は、プロピレンプラスチックをマトリックスとしてゴムを混合されている。
【0046】
上記プロピレンの単独重合体の相は、立体規則性を有して結晶化度が上昇し、硬化性に富むものとなる。一方、上記ゴム相は、ポリプロピレン中に他のオレフィン系単量体が不規則に配列することにより、立体規則性が乱れて結晶化度が低下し、柔軟性に富むものとなる。
【0047】
上記ゴム相は、プロピレンと、エチレン及び炭素原子数4〜12のα−オレフィンからなる群から選ばれた1種又は2種以上のオレフィン系単量体からなることが好ましい。
【0048】
上記α−オレフィンとしては、例えば、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1、デセン−1、ドデセン−1等が挙げられる。
【0049】
上記ゴム相中のオレフィン系単量体の含有量は、3〜24重量%であることが好ましい。
【0050】
さらに、上記熱可塑性耐衝撃性プロピレンポリマーとしては、プロピレンの単独重合体の相が50モル%以上であるものが好ましい。
【0051】
上記熱可塑性耐衝撃性プロピレンポリマーは、2種以上の混合物を用いても、樹脂全体として曲げ弾性率及びMFRが上記範囲内に入っていれば、問題なく使用できる。
【0052】
上記プライマー層は、第1プライマーと第2プライマーとからなる。
【0053】
上記第1プライマー層は、ポリエステルポリオールとジイソシアネートとからなるポリウレタン樹脂がポリイソシアネートで架橋されることで形成されることが好ましく、一方、上記第2プライマー層は、ポリエステルポリオールとジイソシアネートとp−フェニレン系ジアミン化合物とからなるポリウレタン樹脂が架橋されないで形成されることが好ましい。
【0054】
上記第1プライマー層及び/又は第2プライマー層に用いられるポリエステルポリオールとしては、例えば、ブチレンアジペート(PBA)、エチレンアジペート、エチレン−ブチレンアジペート等が挙げられる。これらの中では、ブチレンアジペート(PBA)が好ましい。
【0055】
上記第1プライマー層及び/又は第2プライマー層に用いられるジイソシアネートとしては、例えば、トリレンジイソシアネート、4、4’−ジフェニレンジイソシアネート(MDI)、キシリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)等が挙げられる。これらの中では、4、4’−ジフェニレンジイソシアネート(MDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)が好ましい。
【0056】
上記p−フェニレン系ジアミン化合物としては、例えば、エチレンジアミン、4、4’−メチレンビス(2−クロルアニリン)(MOCA)、トリメチレンジ−p−アミノベンゾエート等が挙げられる。これらの中では、4、4’−メチレンビス(2−クロルアニリン)(MOCA)が好ましい。
【0057】
上記ポリイソシアネートとしては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)等のアダクト体が挙げられる。なお、ポリイソシアネートは、グリセリンへのトリアダクト体等としてもよい。これらの中では、グリセリンへのヘキサメチレンジイソシアネートトリアダクト体が好ましい。
【0058】
上記樹脂層は、タルクを含有していることが好ましい。一方、上記第1プライマー層及び/又は第2プライマー層は、シリカを含有していることが好ましい。
【0059】
上記タルク及び/又はシリカは、シラン系、チタネート系、アルミネート系、ジルコアルミニウム系等のカップリング剤、りん酸系、脂肪酸系等の界面活性剤、油脂、ワックス等の表面処理剤により処理が施されたものであってもよい。
【0060】
さらに、上記第1プライマー層及び/又は第2プライマー層は、エチレン酢酸ビニル共重合体を含有していることが好ましい。
【0061】
上記樹脂層は、従来、ポリオレフィン樹脂に用いられている滑剤、酸化防止剤、安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、顔料、改質剤、難燃剤、充填剤、帯電防止剤、防黴剤等を含んでいてもよい。
【0062】
上記滑剤としては、例えば、ラウリン酸、ステアリン酸、ベヘン酸等の高級脂肪酸のカルシウム塩、亜鉛塩、マグネシウム塩、バリウム塩等の金属石ケン、ステアリン酸、オレイン酸、ラウリン酸、パルミチン酸等の高級脂肪酸、ステアロアミド、パルミトアミド等の高級脂肪酸アミド、平均分子量1000〜2000の低分子量ポリエチレン、メチレンビスステアロアミド等の脂肪酸ビスアミド類、ステアリン酸ブチル等の高級脂肪酸エステル、ステアリルステシレート、ミリシルセロチネート等のエステルワックス類、グリセリルモノステアレート等の多価アルコールの部分エステル等が挙げられる。
【0063】
上記滑剤の含有量は、樹脂100重量部に対して、0.01〜5重量部であることが好ましい。
【0064】
上記酸化防止剤としては、例えば、2,6−ジ−t−ブチルヒドロキシトルエン、テトラキス(メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)メタン、n−オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート等のヒンダードフェノール化合物、トリスノニルホスファイト、トリス(2,6−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト等の亜リン酸エステル等が挙げられる。
【0065】
上記酸化防止剤の含有量は、樹脂100重量部に対して、0.01〜5重量部であることが好ましい。
【0066】
上記光安定剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノアクリレート系化合物、フェニルサリシレート系化合物、ヒンダードアミン系化合物等が挙げられる。
【0067】
上記光安定剤の含有量は、樹脂100重量部に対して、0.01〜5重量部であることが好ましい。
【0068】
上記顔料としては、例えば、酸化チタン、カーボンブラック、酸化鉄、アゾ系化合物、フタロシアニン系化合物、酸化チタン・酸化アンチモン・酸化ニッケル固溶体等が挙げられる。
【0069】
上記顔料の含有量は、樹脂100重量部に対して、50重量部以下であることが好ましい。
【0070】
上記紫外線吸収剤としては、例えば、2−[2’−ヒドロキシ−3’−(3”,4”,5”,6”−テトラヒドロフタルイミドメチル)−5’−メチルフェニル]ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,αジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2,2−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]等のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、及び、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−ジメトキシベンゾフェノン、ビス(2−メトキシ−4−ヒドロキシ−5−ベンゾイルフェニル)メタン等が挙げられる。
【0071】
上記帯電防止剤としては、例えば、炭素数12〜18のアルキル基を有するN,N−ビス−(2−ヒドロキシエチル)−アルキルアミン類、グリセリン脂肪酸エステル等が挙げられる。
【0072】
そして、本発明の化粧シートの使用に際しては、上記第2プライマー層にホットメルト接着剤を塗布して、化粧木質板の木口等に貼り付けることが好ましい。
【0073】
さらに、ホットメルト接着剤を200℃以上で塗布して、化粧木質板の木口等に貼り付けることが好ましい。上記第2プライマー層が架橋型でないので、ホットメルト接着剤の熱により溶融して、ホットメルト接着剤と混ざり、強い接着性を発揮する。
【0074】
上記ホットメルト接着剤としては、例えば、エチレン酢酸ビニル共重合体樹脂やウレタン樹脂等からなるものが用いられる。
【0075】
なお、本発明の化粧シートには、必要に応じて、さらに、その表面に印刷を施したり、また、ラミネーションを施したりしてもよい。
【0076】
さらに、本発明の化粧シートの製造方法の一例について説明する。
本発明の化粧シートの製造方法は、樹脂層を成形する成形工程と、前記樹脂層に接着処理を施す処理工程と、前記樹脂層に第1プライマー層を積層する第1積層工程と、前記第1プライマー層に第2プライマー層を積層する第2積層工程とからなることが好ましい。
【0077】
(1)成形工程
上記樹脂層を形成する樹脂組成物の混合方法は、例えば、バンバリ−ミキサー、ロールミル、押出し成形機、タンブラー等の適宜の混合機を用いて行うことができるが、押出機中で溶融混練することが好ましく、特に、2軸押出機を用いて溶融混練することが好ましい。2軸押出機により溶融混練した樹脂組成物を使用することにより、外観に優れる樹脂層を得ることができる。なお、2軸押出機を用いて溶融混練した樹脂組成物は、通常、ペレット化して使用される。
【0078】
上記樹脂層を形成する樹脂組成物の混合方法は、150〜250℃で溶融混練されることが好ましい。
【0079】
上記ペレット化された樹脂組成物から樹脂層への成形方法は、一般的なポリオレフィン系樹脂のシート成形方法を用いればよく、特に限定されず、例えば、Tダイスを用いる押出法、インフレーション成形法、カレンダー成形法等が挙げられる。
【0080】
(2)処理工程
上記樹脂層に上記プライマー層を積層する方法は、樹脂層に接着処理を施した後、第1プライマー層を設けることが好ましい。
【0081】
上記接着処理としては、例えば、コロナ放電処理やプラズマ放電処理を施して、樹脂層の濡れ指数を調整すること等が挙げられる。
【0082】
上記コロナ放電処理は、例えば、高電圧に直結した電極と、シリコーン被覆の金属ロールとの間隙に高周波で高電圧がかけられることにより、発生する高圧コロナを利用して行われる。すなわち、高圧コロナ発生箇所を樹脂層が一定の速度で走行すると、オゾン、酸化窒素と反応して、水酸基、アルデヒド基、カルボキシル基、カルボニル基等が生じて親水化される。さらに、表面に無数孔による疎面が形成されるとともに、表面の低分子物が処理される。したがって、上記樹脂層と上記プライマー層との接着性が向上する。
【0083】
上記濡れ指数は、38dyn/cmであることが好ましい。38dyn/cm未満であると、樹脂層とプライマー層との接着性が劣る可能性がある。
【0084】
(3)第1積層工程
上記第1プライマー層を形成する樹脂組成物は、溶剤を混合され、樹脂組成物溶液として使用されることが好ましい。なお、上記ポリイソシアネートは、塗布される前に混合されることが好ましい。
【0085】
上記溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、メチルエチルイソブチルケトン、酢酸エチル等が挙げられる。
【0086】
上記樹脂組成物溶液は、上記溶剤を80〜95重量%含有することが好ましい。
【0087】
上記樹脂層に、上記樹脂組成物溶液を塗布する方法は、例えば、スプレー、キスコーター、メイヤーバーコーター、グラビヤコーター、ロールコーター、リバースコーター、バーコーター等にて塗布する。塗布後、23〜150℃の温風等で乾燥を行い、上記樹脂組成物を硬化させ、0.5μm以上2μm以下の厚さで形成させることが好ましい。
【0088】
なお、上記第1プライマー層は、ポリイソシアネートを含有しているので、ポリウレタン樹脂とポリイソシアネートとの反応により、重量平均分子量が50万以上である樹脂で形成される。さらに、第1プライマー層は、上記樹脂層に生じた水酸基、アルデヒド基、カルボキシル基、カルボニル基等との反応により、上記樹脂層と一体化される。
【0089】
(4)第2積層工程
上記第2プライマー層を形成する樹脂組成物は、溶剤を混合され、樹脂組成物溶液として使用されることが好ましい。
【0090】
上記溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、メチルエチルイソブチルケトン、酢酸エチル等が挙げられる。
【0091】
上記樹脂組成物溶液は、上記溶剤を80〜95重量%含有することが好ましい。
【0092】
上記樹脂層に、上記樹脂組成物溶液を塗布する方法は、例えば、スプレー、キスコーター、メイヤーバーコーター、グラビヤコーター、ロールコーター、リバースコーター、バーコーター等にて塗布する。塗布後、23〜150℃の温風等で乾燥を行い、上記樹脂組成物を硬化させ、0.5μm以上6μm以下の厚さで形成させることが好ましい。
【0093】
なお、上記第2プライマー層は、架橋剤を含有していないので、重量平均分子量が10万以上25万以下であるポリウレタン樹脂で形成される。
【0094】
以上説明したように、本発明によれば、第1プライマー層が架橋型であるので、熱可塑性耐衝撃性プロピレンポリマーと密着性が良好であり、かつ、第2プライマー層が架橋型でないので、低温で溶融しやすく、一般的に用いられるホットメルト系接着剤の塗工時の温度で溶融して、接着剤との密着性が良好となる。したがって、化粧木質板の木口等の被接着材に対して接着性が良好となるので、建材、家具、家庭用電気製品のキャビネット類等に用いることが可能となる。
【0095】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的範囲において種々の変更が可能である。
【0096】
【実施例】
以下、実施例に基づき本発明を詳述するが、この実施例の記載に基づいて本発明が限定的に解釈されるべきものではないことはもちろんである。
【0097】
(化粧シートの作製)
(1)成形工程
プロピレンポリマー100重量部に、タルクと、酸化防止剤(「イルガノックス1010」、日本チバガイギー(株)製)0.1重量部と、酸化チタン5重量部とを配合し、タンブラーにて均一に混合し、得られた樹脂組成物を2軸押出機にてダイス温度150〜250℃で丸ダイスから押し出し、適宜長さに切断して、ペレットを得た。このペレットを1軸押出機にてダイス温度150〜250℃のTダイスから押し出して、幅60cmの樹脂層を得た。
【0098】
(2)接着工程
樹脂層の裏面にコロナ放電処理を施して、樹脂層の裏面の濡れ指数を46dyn/cmとした。
【0099】
(3)第1積層工程
第1プライマー層を形成する樹脂組成物溶液をグラビヤコーターにて樹脂層の裏面に塗布した。塗布後、40〜120℃の温風で15秒乾燥を行い、硬化させた。
【0100】
(4)第2積層工程
第2プライマー層を形成する樹脂組成物溶液をグラビヤコーターにて第1プライマー層に塗布した。塗布後、40〜120℃の温風で30秒乾燥を行い、硬化させた。
【0101】
(5)化粧シートの成形
スリット機で丸刃を用いて切断し、化粧シートとした。
【0102】
なお、下記表1〜表3において、プロピレンポリマー、タルク、第1プライマー層を形成する樹脂組成物溶液、及び、第2プライマー層を形成する樹脂組成物溶液は、以下のものを使用した。
【0103】
(1)プロピレンポリマー
PP1:熱可塑性耐衝撃性プロピレンポリマー(「ハイポール B240」、三井化学(株)製、MFR=0.5g/10分、曲げ弾性率1100MPa)
PP2:熱可塑性耐衝撃性プロピレンポリマー(「チッソポリプロ K7714」、チッソ(株)製、MFR=2.5g/10分、曲げ弾性率885MPa)
PP3:熱可塑性耐衝撃性プロピレンポリマー(「ハイポール J640」、三井化学(株)製、MFR=10g/10分、曲げ弾性率1250MPa)
PP4:単独重合プロピレンポリマー(「ハイポール B200」、三井化学(株)製、MFR=0.5g/10分、曲げ弾性率1600MPa)
PP5:熱可塑性耐衝撃性プロピレンポリマー(「チッソポリプロ XK3262」、チッソ(株)製、MFR=20g/10分、曲げ弾性率750MPa)
(2)タルク
TA1:タルク(「Pタルク」、竹原工業(株)製、平均粒子径10μm)
TA2:タルク(「ハイトロンA」、竹原工業(株)製、平均粒子径3μm)
(3)第1プライマー層を形成する樹脂組成物溶液
P1:ブチレンアジペート(PBA)とヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)とからなる重量平均分子量約20万のポリウレタン樹脂100重量部に、メチルエチルケトン(MEK)とトルエンとの1対1の混合溶剤を900重量部で混合した。さらに、シリカ(「アエロジル130」、日本アエロジル(株)、1次平均粒子径16nm)10重量部を混合し分散した。そして、グリセリンへのヘキサメチレンジイソシアネートトリアダクト体10重量部添加して混合し、第1プライマー層を形成する樹脂組成物溶液とした。
P2:ブチレンアジペート(PBA)とヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)とからなる重量平均分子量約20万のポリウレタン樹脂65重量部と、酢酸ビニル50重量%からなるMFR200g/10分のエチレン酢酸ビニル共重合体35重量部とに、メチルエチルケトンとトルエンとの1対1の混合溶剤を900重量部で混合した。さらに、シリカ(「アエロジル130」、日本アエロジル(株)、1次平均粒子径16nm)10重量部を混合し分散した。そして、グリセリンへのヘキサメチレンジイソシアネートトリアダクト体8.5重量部添加して混合し、第1プライマー層を形成する樹脂組成物溶液とした。
P3:ブチレンアジペート(PBA)とヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)とからなる重量平均分子量約20万のポリウレタン樹脂45重量部と、酢酸ビニル50重量%からなるMFR200g/10分のエチレン酢酸ビニル共重合体55重量部とに、メチルエチルケトンとトルエンとの1対1の混合溶剤を900重量部で混合した。さらに、シリカ(「アエロジル130」、日本アエロジル(株)、1次平均粒子径16nm)10重量部を混合し分散した。そして、グリセリンへのヘキサメチレンジイソシアネートトリアダクト体6.5重量部添加して混合し、第1プライマー層を形成する樹脂組成物溶液とした。
P4:ブチレンアジペート(PBA)とヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)とからなる重量平均分子量約20万のポリウレタン樹脂100重量部に、メチルエチルケトン(MEK)とトルエンとの1対1の混合溶剤を900重量部で混合した。さらに、シリカ(「アエロジル130」、日本アエロジル(株)、1次平均粒子径16nm)10重量部を混合し分散し、第1プライマー層を形成する樹脂組成物溶液とした。
【0104】
(4)第2プライマー層を形成する樹脂組成物溶液
P5:ブチレンアジペート(PBA)とヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)と4、4’−メチレンビス(2−クロルアニリン)(MOCA)とからなる重量平均分子量約17万のポリウレタン樹脂50重量部と、酢酸ビニル50重量%からなるMFR200g/10分のエチレン酢酸ビニル共重合体50重量部とに、メチルエチルケトンとトルエンとの1対1の混合溶剤を900重量部で混合した。さらに、シリカ(「アエロジル130」、日本アエロジル(株)、1次平均粒子径16nm)10重量部を混合し分散し、第2プライマー層を形成する樹脂組成物溶液とした。
P6:ブチレンアジペート(PBA)とヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)と4、4’−メチレンビス(2−クロルアニリン)(MOCA)とからなる重量平均分子量約17万のポリウレタン樹脂50重量部と、酢酸ビニル50重量%からなるMFR200g/10分のエチレン酢酸ビニル共重合体50重量部とに、メチルエチルケトンとトルエンとの1対1の混合溶剤を900重量部で混合した。さらに、シリカ(「アエロジル130」、日本アエロジル(株)、1次平均粒子径16nm)10重量部を混合し分散した。そして、グリセリンへのヘキサメチレンジイソシアネートトリアダクト体8重量部添加して混合し、第2プライマー層を形成する樹脂組成物溶液とした。
【0105】
得られた化粧シートについて、下記の成形加工性評価及び接着性評価を行った。その結果を表1〜表3に示した。
【0106】
(化粧シートの成形加工性評価)
(1)シート加工性
得られた化粧シートにおける幅縮みの大小を測定し、さらに、表面の平担性の良し悪しを目視にて観察した。下記の基準にて評価した。
◎:幅縮みが20%未満である、又は、平坦性が問題無い
○:幅縮みが20%以上30%未満である、又は、平坦性がやや悪い
△:幅縮みが30%以上40%未満である、又は、平坦性が少し悪い
×:幅縮みが40%以上である、又は、平坦性が悪い
(2)スリット加工性
得られた化粧シートにおける切断面の平滑性の良し悪しを観察した。下記の基準にて評価した。
◎:切断面が平滑である
○:切断面が20%未満でギザギザである
□:切断面が20%以上25%未満でギザギザである
△:切断面が25%以上30%未満でギザギザである
×:切断面が30%以上でギザギザである
(3)貼り加工性
第2プライマー層に200℃に加熱、溶融させたエチレン酢酸ビニル共重合体樹脂からなるホットメルト接着剤(「エバーグリップ015」、アロンエバーグリップリミテッド社製)を塗布し、接着剤が冷却する前に、半径20mmの曲部を有するパーチクルボード及び30mmの曲部を有するパーチクルボードに貼り合わせて圧着した。パーチクルボードへの貼り合わせ面からの剥離部分の有る無しを目視にて観察した。下記の基準にて評価した。
◎:半径20mmの曲部を有するパーチクルボード及び30mmの曲部を有するパーチクルボードからの剥離部分無し
○:半径20mmの曲部を有するパーチクルボードからの剥離部分有り、かつ、30mmの曲部を有するパーチクルボードからの剥離部分無し
□:半径20mmの曲部を有するパーチクルボード及び30mmの曲部を有するパーチクルボードからの剥離部分がほとんど無し
△:半径20mmの曲部を有するパーチクルボード及び30mmの曲部を有するパーチクルボードからの剥離部分が少し有り
×:半径20mmの曲部を有するパーチクルボード及び30mmの曲部を有するパーチクルボードからの剥離部分がかなり有り
(4)切断加工性
第2プライマー層に200℃に加熱、溶融させたエチレン酢酸ビニル共重合体樹脂からなるホットメルト接着剤(「エバーグリップ015」、アロンエバーグリップリミテッド社製)を塗布し、接着剤が冷却する前に、パーチクルボードに貼り合わせて圧着した。パーチクルボードからはみ出た部分を式カッターを用いて切断し、化粧シートの割れ・欠けの有る無しを目視にて観察した。下記の基準にて評価した。
◎:割れ・欠け無し
○:割れ・欠けが無いが、切断面が平滑でない
□:割れ・欠けがほとんど無し
△:割れ・欠けが少し有り
×:割れ・欠けがかなり有り
(化粧シートの接着性評価)
(1)シート接着力
第2プライマー層に200℃に加熱、溶融させたエチレン酢酸ビニル共重合体樹脂からなるホットメルト接着剤(「エバーグリップ015」、アロンエバーグリップリミテッド社製)を1g落とし、接着剤が冷却した化粧シートにおける接着剤の状態を調べた。下記の基準にて評価した。
◎:接着剤が剥がれない
○:少し接着剤がプライマーとともに化粧シートから剥がれる
△:部分的に接着剤がプライマーとともに化粧シートから剥がれる
×:全体的に接着剤がプライマーとともに化粧シートから剥がれる
(2)合板接着力
第2プライマー層に200℃に加熱、溶融させたエチレン酢酸ビニル共重合体樹脂からなるホットメルト接着剤(「エバーグリップ015」、アロンエバーグリップリミテッド社製)を塗布し、接着剤が冷却する前に、平行合板に貼り合わせて圧着した。室温で180°剥離試験を行った。下記の基準にて評価した。
◎:平行合板が90%以上で材破した
○:平行合板が80%以上90%未満で材破した
△:平行合板が70%以上80%未満で材破した
×:平行合板が70%未満で材破した
(3)ブロッキング
得られた化粧シートを巻き取り、40℃で24時間放置した後、展開し、化粧シートの状態を調べた。下記の基準にて評価した。
◎:ブロッキングが無い
○:剥離がやや重い
□:剥離が重い
△:プライマーが少し剥がれる
×:プライマーがかなり剥がれる
【0107】
【表1】
【0108】
【表2】
【0109】
【表3】
上記表1〜表3に示すように、実施例1〜18に係る化粧シートは、熱可塑性耐衝撃性プロピレンポリマーが好適な物性を有しているので、成形加工性が良好であり、切断面が平滑であり、割れ・欠けがなく、表面が平坦である等の外観に優れる化粧シートが作製された。
【0110】
一方、比較例1に係る化粧シートは、単独重合プロピレンポリマーで形成されるので、成形加工性が悪く、外観に問題がある化粧シートが作製された。また、比較例2に係る化粧シートは、熱可塑性耐衝撃性プロピレンポリマーが好適な物性を有していないので、成形加工性が悪く、外観に問題がある化粧シートが作製された。
【0111】
また、比較例3に係る化粧シートは、第1プライマー層が架橋型でないので、接着性に問題がある化粧シートが作製された。一方、比較例4に係る化粧シートは、第2プライマー層が架橋型であるので、接着性に問題がある化粧シートが作製された。
【0112】
さらに、実施例5〜8に係る化粧シートによれば、樹脂層の厚さを0.3mm〜0.6mmとすることにより、より成形加工性が良好であり、切断面が平滑であり、割れ・欠けが発生せず、外観に優れる化粧シートが作製されることがわかった。
【0113】
また、実施例9〜13に係る化粧シートによれば、タルクを3〜25重量部で含有することにより、より成形加工性が良好であり、切断面が平滑であり、割れ・欠けが発生せず、表面が平坦である等の外観に優れる化粧シートが作製されることがわかった。
【0114】
そして、実施例14〜18に係る化粧シートによれば、第1プライマー層を0.5〜2μmとし、かつ、第2プライマー層を0.5〜6μmとすることにより、接着性が良好となることがわかった。したがって、化粧木質板の木口等の被接着材に対して接着性が良好となるので、建材、家具、家庭用電気製品のキャビネット類等に用いることが可能となる。
【0115】
一方、実施例4に係る化粧シートは、第1プライマー層がエチレン酢酸ビニル共重合体を50重量%を超えて含有しているので、接着性がやや悪い化粧シートが作製された。
【0116】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、熱可塑性耐衝撃性プロピレンポリマーが好適な物性を有しているので、成形加工性が良好であり、例えば、切断面が平滑であり、割れ・欠けが発生せず、表面が平坦である等の外観に優れる化粧シートを作製することができる。
【0117】
さらに、第1プライマー層が架橋型であるので、熱可塑性耐衝撃性プロピレンポリマーと密着性が良好であり、かつ、第2プライマー層が架橋型でないので、第1プライマー層と接着剤との双方に密着性が良好となる。
【0118】
したがって、化粧木質板の木口等の被接着材に対して接着性が良好となるので、建材、家具、家庭用電気製品のキャビネット類等に用いることが可能となる。
Claims (15)
- 樹脂層と、プライマー層とが積層された化粧シートであって、前記樹脂層が、JIS K 6921−1に準拠した熱可塑性耐衝撃性プロピレンポリマーからなり、かつ、前記熱可塑性耐衝撃性プロピレンポリマーのJISK 7171に準拠した曲げ弾性率が800MPa以上1300MPa以下であるとともに、JIS K 7210に準拠して温度230℃で測定されたメルトフローレートが0.5g/10分以上10g/10分以下であり、
さらに、前記プライマー層は、前記樹脂層に積層された第1プライマー層と、当該第1プライマー層に積層された第2プライマー層とからなり、かつ、前記第1プライマー層が、架橋型であるとともに、前記第2プライマー層が、架橋型でないことを特徴とする化粧シート。 - 前記化粧シートの厚さは、0.3mm以上0.6mm以下である請求項1に記載の化粧シート。
- 前記樹脂層は、樹脂100重量部に対してタルクを3重量部以上25重量部以下で含有し、かつ、前記タルクの平均粒子径は、1μm以上15μm以下である請求項1又は2に記載の化粧シート。
- 前記第1プライマー層は、ポリエステルポリオールとジイソシアネートとからなるポリウレタン樹脂がポリイソシアネートで架橋されたものである請求項1に記載の化粧シート。
- 前記第1プライマー層に用いられるポリウレタン樹脂の重量平均分子量は、10万以上25万以下である請求項4に記載の化粧シート。
- 前記ポリイソシアネートは、グリセリンへのヘキサメチレンジイソシアネートトリアダクト体である請求項4又は5に記載の化粧シート。
- 前記第1プライマー層は、前記ポリウレタン樹脂100重量部が前記ポリイソシアネート5重量部以上20重量部以下で架橋されたものである請求項4〜6のいずれかに記載の化粧シート。
- 前記第2プライマー層は、ポリエステルポリオールとジイソシアネートとp−フェニレン系ジアミン化合物とからなるポリウレタン樹脂からなる請求項1〜7のいずれかに記載の化粧シート。
- 前記第2プライマー層に用いられるポリウレタン樹脂の重量平均分子量は、10万以上25万以下である請求項8に記載の化粧シート。
- 前記第1プライマー層及び/又は第2プライマー層は、エチレン酢酸ビニル共重合体を含有し、
さらに、前記エチレン酢酸ビニル共重合体のJIS K 6924−2に準拠して温度190℃で測定されたメルトフローレートは、40g/10分以上500g/10分以下である請求項1〜9のいずれかに記載の化粧シート。 - 前記エチレン酢酸ビニル共重合体は、酢酸ビニル30重量%以上70重量%からなる請求項10に記載の化粧シート。
- 前記第1プライマー層は、前記エチレン酢酸ビニル共重合体を10重量%以上50重量%以下で含有し、
さらに、前記第2プライマー層は、前記エチレン酢酸ビニル共重合体を30重量%以上70重量%以下で含有している請求項10又は11に記載の化粧シート。 - 前記第1プライマー層及び/又は第2プライマー層は、樹脂100重量部に対してシリカ8重量部以上20重量部以下で含有し、かつ、前記シリカの1次平均粒子径は、10nm以上10000nm以下である請求項1〜12のいずれかに記載の化粧シート。
- 前記第1プライマー層の厚さは、0.5μm以上2μm以下であり、
さらに、前記第2プライマー層の厚さは、0.5μm以上6μm以下である請求項1〜13のいずれかに記載の化粧シート。 - 樹脂層を成形する成形工程と、前記樹脂層に接着処理を施す処理工程と、前記樹脂層に第1プライマー層を積層する第1積層工程と、前記第1プライマー層に第2プライマー層を積層する第2積層工程とからなることを特徴とする化粧シートの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003187599A JP2005022119A (ja) | 2003-06-30 | 2003-06-30 | 化粧シート及びその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003187599A JP2005022119A (ja) | 2003-06-30 | 2003-06-30 | 化粧シート及びその製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2005022119A true JP2005022119A (ja) | 2005-01-27 |
Family
ID=34186402
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2003187599A Pending JP2005022119A (ja) | 2003-06-30 | 2003-06-30 | 化粧シート及びその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2005022119A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2014067536A (ja) * | 2012-09-25 | 2014-04-17 | Dainippon Printing Co Ltd | 光学部材及びその製造方法、面光源装置、並びに、透過型画像表示装置 |
CN110789187A (zh) * | 2018-08-03 | 2020-02-14 | 日本电石工业株式会社 | 金属色调片 |
Citations (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH1016168A (ja) * | 1996-07-08 | 1998-01-20 | C I Kasei Co Ltd | 化粧シート |
JPH11172017A (ja) * | 1997-12-15 | 1999-06-29 | Mitsubishi Chem Mkv Co | 化粧シート用フィルム |
JP2002096435A (ja) * | 2000-09-21 | 2002-04-02 | Bando Chem Ind Ltd | 木口用化粧シート |
JP2002128914A (ja) * | 2000-10-30 | 2002-05-09 | Bando Chem Ind Ltd | 鋼板用化粧フィルム |
-
2003
- 2003-06-30 JP JP2003187599A patent/JP2005022119A/ja active Pending
Patent Citations (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH1016168A (ja) * | 1996-07-08 | 1998-01-20 | C I Kasei Co Ltd | 化粧シート |
JPH11172017A (ja) * | 1997-12-15 | 1999-06-29 | Mitsubishi Chem Mkv Co | 化粧シート用フィルム |
JP2002096435A (ja) * | 2000-09-21 | 2002-04-02 | Bando Chem Ind Ltd | 木口用化粧シート |
JP2002128914A (ja) * | 2000-10-30 | 2002-05-09 | Bando Chem Ind Ltd | 鋼板用化粧フィルム |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2014067536A (ja) * | 2012-09-25 | 2014-04-17 | Dainippon Printing Co Ltd | 光学部材及びその製造方法、面光源装置、並びに、透過型画像表示装置 |
CN110789187A (zh) * | 2018-08-03 | 2020-02-14 | 日本电石工业株式会社 | 金属色调片 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP6950690B2 (ja) | 化粧シート用基材及び化粧シート | |
JP5545331B2 (ja) | 建材用化粧シート | |
JP2017047573A (ja) | 化粧シート | |
CZ172494A3 (en) | Deep-drawing foil, process for preparing and use thereof | |
JP2004277986A (ja) | 壁紙およびその製造方法 | |
WO2017170599A1 (ja) | 化粧シート及び化粧シートの製造方法 | |
JP6963273B2 (ja) | 化粧シート及び化粧シートの製造方法 | |
JP2008302545A (ja) | 化粧シート | |
JP5439987B2 (ja) | ラミネートフィルム | |
JP2005022119A (ja) | 化粧シート及びその製造方法 | |
JP2000281807A (ja) | ポリオレフィン系化粧シート | |
JP3825327B2 (ja) | 木質板エッジ用化粧シート | |
JP5365087B2 (ja) | ラミネートフィルム | |
JP7351081B2 (ja) | 積層延伸フィルム、化粧シート用基材、化粧シート及び化粧板 | |
JP5521886B2 (ja) | 鏡面化粧シート | |
JP5277951B2 (ja) | ラミネート用樹脂組成物およびラミネートフィルム | |
JP4590346B2 (ja) | 離型シート | |
JP2002096435A (ja) | 木口用化粧シート | |
JP2009220402A (ja) | フィルム | |
JP4710385B2 (ja) | 金属化粧板用化粧シート | |
JP2000246845A (ja) | アクリル系樹脂積層体とその製造方法、および積層構造体 | |
JP4279961B2 (ja) | 化粧材用基材フィルムとその製造方法 | |
JP2002097315A (ja) | 高密度ポリエチレン樹脂を基体樹脂とする化粧材用基材フィルムとその製造方法 | |
JP2010006925A (ja) | 表面保護フィルム | |
JPH11262980A (ja) | 化粧シートおよびその製造方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20060306 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20080606 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20080610 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20081014 |