JP2020111061A - 加飾シート及び加飾樹脂成形品 - Google Patents

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Abstract

【課題】加飾樹脂成形品に対して、適度な金属光沢の意匠に加えて、写像性に優れた意匠を付与できる加飾シートを提供する。【解決手段】少なくとも、基材層と、金属薄膜層と、微粒子含有層と、表面保護層とがこの順に積層された積層体からなり、前記微粒子含有層の金属薄膜層側の表面は、前記微粒子含有層に含まれる微粒子による凹凸形状を有している、加飾シート。【選択図】なし

Description

本発明は、金属調の意匠を有する加飾シートに関する。さらに、本発明は、当該加飾シートを利用した加飾樹脂成形品に関する。
従来、車両内外装部品、建材内装材、家電筐体等に金属調の意匠を付与するために、樹脂の表面に金属めっき、金属塗装などを施した部材が用いられている。しかしながら、金属めっき、金属塗装などを行う場合、金属を含む廃水の処理、溶媒蒸気に対する対策などを行う必要がある。また、一般に、これらの部材の歩留まりは良くない。
そこで、近年、これらの部材として、金属調を有する加飾シートを樹脂成形品の表面に積層させた加飾樹脂成形品が使用されている(例えば特許文献1を参照)。加飾樹脂成形品の製造には、予め意匠が付与された加飾シートを、射出成形によって樹脂と一体化させる成形法などが用いられている。
このような加飾シートにおいては、基材層の上に金属薄膜層が形成されており、さらに、加飾樹脂成形品の耐傷付き性などを向上させることなどを目的として、一般に、金属薄膜層の上に表面保護層が形成されている。
加飾シートにおいて金属調を表現する方法としては、例えば、蒸着法、スパッタリング法などにより金属を積層させる方法が知られている。しかしながら、蒸着法、スパッタリング法により形成した金属薄膜層によって、金属調を表現する場合、金属光沢が強くなりすぎて、質感が安っぽくなる、反射光が強すぎる(特に自動車内装用途では気が散って運転に支障をきたす)、それにより形状がわかりにくくなるという問題がある。
特開2011−167844号公報
近年、加飾樹脂成形品に対する消費者の要望は、昨今高度化・多様化しており、金属調の意匠を有する加飾樹脂成形品には、適度な金属光沢を有しつつ、表面の写像性に優れた意匠を有する新規なものが求められている。金属薄膜層による高い金属光沢を抑制して、適度な金属光沢を発揮させる方法としては、表面保護層中に艶消し剤を添加したり、表面保護層の表面に梨地加工やサンドブラスト加工等を施したりすることにより、表面保護層の表面に微細な凹凸形状を設けることで艶を下げる方法が考えられる。しかしながら、表面保護層によって金属光沢を適度なものに調整するこれらの手法では、表面の写像性が低下するという問題がある。一方、表面の写像性を高めるためには、表面の平滑性を高めることが考えられるが、表面の平滑性を高めると、金属光沢も強くなりすぎるという問題がある。
このような状況下、本発明は、加飾樹脂成形品に対して、適度な金属光沢の意匠に加えて、写像性に優れた意匠を付与できる加飾シートを提供することを主な目的とする。
本発明者は、上記のような課題を解決すべく鋭意検討を行った。その結果、少なくとも、基材層と、金属薄膜層と、微粒子含有層と、表面保護層とがこの順に積層された積層体からなり、微粒子含有層の金属薄膜層側の表面が、微粒子含有層に含まれる微粒子による凹凸形状を有している加飾シートは、加飾樹脂成形品に対して、適度な金属光沢の意匠に加えて、写像性に優れた意匠を付与できることを見出した。本発明は、これらの知見に基づいて、さらに検討を重ねることにより完成された発明である。
すなわち、本発明は、下記に掲げる態様の発明を提供する。
項1. 少なくとも、基材層と、金属薄膜層と、微粒子含有層と、表面保護層とがこの順に積層された積層体からなり、
前記微粒子含有層の前記金属薄膜層側の表面は、前記微粒子含有層に含まれる微粒子による凹凸形状を有している、加飾シート。
項2. 層と前記表面保護層との間に、前記表面保護層側から順に、第1プライマー層、第1樹脂層、カラークリア層、第2樹脂層、及び第2プライマー層の少なくとも1層を備えており、
前記第1プライマー層、前記第1樹脂層、前記カラークリア層、前記第2樹脂層、及び前記第2プライマー層のうち少なくとも1層が、前記微粒子含有層を構成している、項1に記載の加飾シート。
項3. 前記カラークリア層が、前記微粒子含有層を構成している、項2に記載の加飾シート。
項4. 前記第1樹脂層が、前記微粒子含有層を構成している、項2または3に記載の加飾シート。
項5. 前記第2樹脂層が、前記微粒子含有層を構成している、項2〜4のいずれかに記載の加飾シート。
項6. 前記微粒子含有層において、前記微粒子が位置している部分の厚みが、前記微粒子が位置していない部分の厚みの1.2倍以上である、項1〜5のいずれかに記載の加飾シート。
項7. 前記微粒子含有層の前記微粒子が位置している部分と、前記金属薄膜層の微粒子含有層側の表面との最短距離が、10μm以下である、項1〜6のいずれかに記載の加飾シート。
項8. 前記金属薄膜層が、蒸着法、スパッタリング法、またはイオンプレーティング法で形成された層である、項1〜7のいずれかに記載の加飾シート。
項9. 前記金属薄膜層が、スズ、インジウム、クロム、アルミニウム、ニッケル、銅、銀、金、白金、亜鉛、及びこれらのうち少なくとも1種を含む合金からなる群から選択された少なくとも1種の金属により形成されている、項1〜8のいずれかに記載の加飾シート。
項10. 前記金属薄膜層の厚みが、200nm以下である、項1〜9のいずれかに記載の加飾シート。
項11. 前記表面保護層が、電離放射線硬化性樹脂または樹脂フィルムにより形成されている、項1〜10のいずれかに記載の加飾シート。
項12. 少なくとも、成形樹脂層と、基材層と、金属薄膜層と、微粒子含有層と、表面保護層とがこの順に積層された積層体からなり、
前記微粒子含有層の前記金属薄膜層側の表面は、前記微粒子含有層に含まれる微粒子による凹凸形状を有している、加飾樹脂成形品。
本発明によれば、加飾樹脂成形品に対して、適度な金属光沢の意匠に加えて、写像性に優れた意匠を付与できる加飾シート、及び当該加飾シートを利用した加飾樹脂成形品を提供することができる。
本発明に係る加飾シートの一例の略図的断面図である。 本発明に係る加飾シートの一例の略図的断面図である。 本発明に係る加飾シートの一例の略図的断面図である。 本発明に係る加飾シートの一例の略図的断面図である。 本発明に係る加飾シートの一例の略図的断面図である。 本発明に係る加飾シートの一例の略図的断面図である。 本発明に係る加飾樹脂成形品の一例の略図的断面図である。
1.加飾シート
本発明の加飾シートは、少なくとも、基材層と、金属薄膜層と、微粒子含有層と、表面保護層とがこの順に積層された積層体からなり、微粒子含有層の金属薄膜層側の表面は、微粒子含有層に含まれる微粒子による凹凸形状を有していることを特徴とする。
本発明の加飾シートにおいては、金属薄膜層と表面保護層との間に設けられた微粒子含有層の金属薄膜層側の表面が、微粒子含有層に含まれる微粒子による凹凸形状を有しているため、この凹凸形状によって、金属薄膜層の微粒子含有層側の表面にも凹凸形状が形成される。このため、金属薄膜層によって、加飾シートが適度な金属光沢を示す。一方、金属薄膜層の凹凸形状によって適度な金属光沢が示されるため、表面保護層に微粒子を配合するなどして光沢感を調整するための凹凸形状を形成する必要がない。このため、表面保護層の表面が優れた写像性を発揮することができる。このように、本発明の加飾シートにおいては、金属薄膜層と表面保護層との間に設けられた微粒子含有層の表面が凹凸形状を有しているため、金属薄膜層による適度な金属光沢と、表面保護層による優れた写像性を発揮することができる。なお、本発明において、「写像性」とは、表面に写る像の鮮明性を意味し、具体的には、実施例における評価法で評価されるものを意味する。以下、図1〜6を参照しながら、本発明の加飾シートについて詳述する。
加飾シートの積層構造
本発明の加飾シートは、少なくとも、基材層1と、金属薄膜層2と、微粒子含有層3と、表面保護層4とをこの順に有する積層構造を有する。本発明の加飾シートにおいては、金属薄膜層2と表面保護層4との間に位置する少なくとも1つの層が、微粒子含有層3を構成している。微粒子含有層3を構成し得る層としては、例えば、表面保護層4側から順に、第1プライマー層6、第1樹脂層8、カラークリア層5、第2樹脂層9、及び第2プライマー層7などが挙げられ、これらのうち少なくとも1層が金属薄膜層2と表面保護層4との間に積層されて微粒子含有層3を構成することができる。
カラークリア層5は、金属薄膜層2の金属調を高めたり、加飾シートを着色すること等を目的として、必要に応じて、金属薄膜層2と表面保護層4との間に設けられる層である。第1プライマー層6は、表面保護層4とその下に位置する層との密着性を高めることなどを目的として、必要に応じて設けられる層である。また、第2プライマー層7は、金属薄膜層2とその上(表面保護層4側)に位置する層との密着性を高めることなどを目的として、必要に応じて設けられる層である。
第1樹脂層8は、第1プライマー層6の直下(基材層1側)に設けられ、主に微粒子含有層3を構成するために設けられる層である。第2樹脂層9は、第2プライマー層7の直上(表面保護層4側)に設けられ、主に微粒子含有層3を構成するために設けられる層である。
本発明の加飾シートにおいて、基材層1と金属薄膜層2との間には、これらの層間の密着性を高めることなどを目的として、必要に応じて、接着層(図示しない)を設けてもよい。また、基材層1の下に接着層(図示しない)を設けてもよい。
本発明の加飾シートの積層構造として、基材層/金属薄膜層/カラークリア層(微粒子含有層)/表面保護層がこの順に積層された積層構造;基材層/金属薄膜層/カラークリア層/第1プライマー層(微粒子含有層)/表面保護層がこの順に積層された積層構造;基材層/金属薄膜層/第2プライマー層(微粒子含有層)/カラークリア層/表面保護層がこの順に積層された積層構造;基材層/金属薄膜層/第2プライマー層/カラークリア層(微粒子含有層)/第1プライマー層/表面保護層がこの順に積層された積層構造;基材層/金属薄膜層/第2プライマー層/カラークリア層/第1プライマー層(微粒子含有層)/表面保護層がこの順に積層された積層構造;基材層/金属薄膜層/第2プライマー層(微粒子含有層)/カラークリア層/第1プライマー層/表面保護層がこの順に積層された積層構造;基材層/金属薄膜層/第2プライマー層/カラークリア層/第1樹脂層(微粒子含有層)/第1プライマー層/表面保護層がこの順に積層された積層構造;基材層/金属薄膜層/第2プライマー層/第2樹脂層(微粒子含有層)/カラークリア層/第1プライマー層/表面保護層がこの順に積層された積層構造;接着層/基材層/金属薄膜層/カラークリア層(微粒子含有層)/表面保護層がこの順に積層された積層構造;基材層/接着層/金属薄膜層/カラークリア層(微粒子含有層)/表面保護層がこの順に積層された積層構造などが挙げられる。
図1に、本発明の加飾シートの積層構造の一態様として、基材層/金属薄膜層/カラークリア層(微粒子含有層)/表面保護層がこの順に積層された加飾シートの一例の略図的断面図を示す。図2に、本発明の加飾シートの積層構造の一態様として、基材層/金属薄膜層/第2プライマー層/カラークリア層(微粒子含有層)/第1プライマー層/表面保護層がこの順に積層された加飾シートの一例の略図的断面図を示す。図3に、本発明の加飾シートの積層構造の一態様として、基材層/金属薄膜層/第2プライマー層/カラークリア層/第1プライマー層(微粒子含有層)/表面保護層がこの順に積層された加飾シートの一例の略図的断面図を示す。図4に、本発明の加飾シートの積層構造の一態様として、基材層/金属薄膜層/第2プライマー層(微粒子含有層)/カラークリア層/第1プライマー層/表面保護層がこの順に積層された加飾シートの一例の略図的断面図を示す。図5に、本発明の加飾シートの積層構造の一態様として、基材層/金属薄膜層/第2プライマー層/カラークリア層/第1樹脂層(微粒子含有層)/第1プライマー層/表面保護層がこの順に積層された加飾シートの一例の略図的断面図を示す。図6に、本発明の加飾シートの積層構造の一態様として、基材層/金属薄膜層/第2プライマー層/第2樹脂層(微粒子含有層)/カラークリア層/第1プライマー層/表面保護層がこの順に積層された加飾シートの一例の略図的断面図を示す。
加飾シートを形成する各層の組成
[微粒子含有層3]
微粒子含有層3は、加飾樹脂成形品に対して、適度な金属光沢の意匠に加えて、写像性に優れた意匠を付与するために、本発明の加飾シートの金属薄膜層2と表面保護層4との間に設けられる層である。本発明の加飾シートにおいては、微粒子含有層3の金属薄膜層2側の表面が、微粒子含有層3に含まれる微粒子30による凹凸形状を有しているため、この凹凸形状によって、金属薄膜層2の表面にも凹凸形状が形成される。このため、金属薄膜層2が適度な金属光沢の意匠を奏することができる。一方、金属薄膜層2の凹凸形状によって、適度な金属光沢の意匠が奏されるため、表面保護層4の表面に光沢感を調整するための凹凸形状を形成する必要がない。このため、表面保護層の表面が優れた写像性を発揮することができる。
本発明の加飾シートにおいては、金属薄膜層2と表面保護層4との間に位置する少なくとも1つの層が、微粒子30を含むことにより、微粒子含有層3を構成している。微粒子含有層3を構成する層としては、後述のカラークリア層5、第1プライマー層6、第2プライマー層7、第1樹脂層8、第2樹脂層9などが挙げられる。すなわち、これらの層は、微粒子30を含むことにより、微粒子30による凹凸形状を有した微粒子含有層3となる。微粒子含有層3を構成し得るこれらの層の詳細は、後述の通りである。
微粒子含有層3は、1層であってもよいし、2層以上の複層であってもよい。
微粒子含有層3に含まれる微粒子30としては、特に制限されず、公知の微粒子が挙げられる。微粒子の具体例としては、シリカ、アルミナ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、カオリン、これらの疎水処理物等の無機粒子;アクリルビーズ、ウレタンビーズ、ナイロンビーズ、シリコーンビーズ、シリコーンゴムビーズ、ポリカーボネートビーズ、ポリオレフィンワックス(ポリプロピレンワックス、ポリエチレンワックス、これらの混合物等)等の合成樹脂粒子などが挙げられる。これらの中でも、シリカ粒子が好ましい。微粒子30は、1種類単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
微粒子30の粒子径としては、特に制限されないが、金属薄膜層2の表面に凹凸形状を形成し、適度な金属光沢を発揮させる観点からは、好ましくは0.1〜10μm程度、より好ましくは1〜5μm程度、さらに好ましくは2〜4μm程度が挙げられる。
金属薄膜層2の表面に凹凸形状を形成し、適度な金属光沢を発揮させる観点からは、微粒子含有層3において、微粒子30が位置している部分(微粒子の形状に対応して、微粒子含有層の表面の突出した部分)の厚みは、微粒子30が位置していない部分(微粒子含有層の表面の突出していない部分)の厚みの、1.2倍以上であることが好ましく、1.2〜5.0倍程度であることがより好ましく、2.5〜4.0倍程度であることがさらに好ましい。なお、これらの厚みは、微粒子含有層3の異なる5箇所の領域において、厚み方向の断面を観察して厚みの最大値及び最小値を測定し、最大値5点の平均値を微粒子30が位置している部分、最小値5点の平均値を微粒子30が位置していない部分の厚みとして算出したものである。
金属薄膜層2の表面に凹凸形状を形成し、適度な金属光沢を発揮させる観点からは、微粒子含有層3の微粒子30が位置している部分と、金属薄膜層2の微粒子含有層3側の表面との最短距離xとしては、好ましくは10μm以下、より好ましくは5μm以下、さらに好ましくは3μm以下が挙げられる。なお、例えば図1、図4に示されるように、微粒子含有層3と金属薄膜層2とが隣接しており、最短距離xが実質的に0であってもよい。
一方、金属光沢が過度に低減されたり、金属薄膜層2との間で密着性が低下したりすることを抑制する観点からは、微粒子含有層3と金属薄膜層2とが直接隣接しないように、微粒子含有層3と金属薄膜層2との間に微粒子を実質的に含有しない樹脂層を少なくとも1層有することが好ましい。また、微粒子含有層3と表面保護層4との間での密着性の観点からは、微粒子含有層3と金属薄膜層4とが直接隣接しないように、微粒子含有層3と金属薄膜層4との間に微粒子を実質的に含有しない樹脂層を少なくとも1層有することが好ましい。以上の観点より、例えば、基材層1/金属薄膜層2/第2プライマー層7/第2樹脂層9/カラークリア層5/第1プライマー層6/表面保護層4がこの順に積層された態様の加飾シートの場合、金属薄膜層2と直接隣接する第2プライマー層7を微粒子を実質的に含有しない層とし、第2プライマー層7と表面保護層4の間に位置する第2樹脂層9、カラークリア層5、及び第1プライマー層6の少なくとも1層を微粒子含有層3とすることが好ましく、表面保護層4と直接隣接する第1プライマー層6も微粒子を実質的に含有しない層とし、第2プライマー層7と第1プライマー層6の間に位置する第2樹脂層9、及びカラークリア層5の少なくとも1層を微粒子含有層3とすることがさらに好ましい。なお、樹脂層が微粒子を実質的に含有しないとは、樹脂層の表面が微粒子の形状に起因した突出部分を有しないことを言う。
微粒子含有層3の厚みとしては、特に制限されないが、好ましくは0.1〜5μm程度、より好ましくは0.5〜2.5μm程度、さらに好ましくは1〜2μm程度が挙げられる。なお、微粒子含有層3の厚みは、微粒子30が位置していない部分(微粒子含有層の表面の突出していない部分)の厚みを意味する。
[カラークリア層5]
カラークリア層5は、金属薄膜層2の金属調を高めたり、加飾シートを着色すること等を目的として、必要に応じて、金属薄膜層2と表面保護層4との間に設けられる着色透明な層である。カラークリア層5は、例えば、表面保護層4と金属薄膜層2との間、第1プライマー層6と金属薄膜層2との間、第1プライマー層6と第2プライマー層7との間、第1樹脂層と金属薄膜層2との間、第1樹脂層8と第2プライマー層7との間などに設けられる。
また、前述の通り、カラークリア層5は、例えば図1、2に示されるように、微粒子含有層3を構成することができる。カラークリア層5が微粒子含有層3を構成する場合、カラークリア層5には、前述の[微粒子含有層3]の欄で説明した通り、微粒子30が含まれ、その他の構成についても、[微粒子含有層3]の欄で説明したものとなる。
カラークリア層5を形成する素材としては、特に限定されないが、例えば、着色剤などにより着色された透明樹脂が挙げられる。着色剤としては、特に制限はないが、例えば、着色顔料、染料などが挙げられる。また、透明樹脂としては、特に制限はないが、例えば、アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、アクリル−ウレタン共重合体樹脂、ポリエステル系樹脂などが挙げられる。カラークリア層5が微粒子含有層3を構成する場合、これらの樹脂中に微粒子30が分散されている。
カラークリア層5の厚みは、特に限定されないが、微粒子含有層3を構成していない場合には、通常0.5〜2.5μm程度、好ましくは1〜2μm程度である。カラークリア層5が微粒子含有層3を構成している場合の厚みは、前述の微粒子含有層3に記載の通りである。
カラークリア層5の形成方法は、特に制限されないが、カラークリア層5と隣接する層の表面上に上記の樹脂を塗布する方法などが挙げられる。塗布方法としては、グラビアコート、グラビアリバースコート、グラビアオフセットコート、スピンナーコート、ロールコート、リバースロールコート、キスコート、ホイラーコート、ディップコート、シルクスクリーンによるベタコート、ワイヤーバーコート、フローコート、コンマコート、かけ流しコート、刷毛塗り、スプレーコート等の通常の塗布方法や転写コーティング法などが挙げられる。
[第1プライマー層6]
第1プライマー層6は、表面保護層4とその下に位置する層との密着性を高めることなどを目的として、必要に応じて、表面保護層4の下に設けられる層である。第1プライマー層6は、例えば、表面保護層4と金属薄膜層2との間、表面保護層4とカラークリア層5との間、表面保護層4と第1樹脂層8との間などに設けられる。
また、前述の通り、第1プライマー層6は、例えば図3に示されるように、微粒子含有層3を構成することができる。第1プライマー層6が微粒子含有層3を構成する場合、第1プライマー層6には、前述の[微粒子含有層3]の欄で説明した通り、微粒子30が含まれ、その他の構成についても、[微粒子含有層3]の欄で説明したものとなる。
第1プライマー層6を形成する素材は、これらの層間の密着性を向上させ得るものであれば、特に限定されず、例えば、アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、アクリル−ウレタン共重合体樹脂、ポリエステル系樹脂などの樹脂が挙げられる。これらの樹脂は、1種類単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。第1プライマー層6が微粒子含有層3を構成する場合、これらの樹脂中に微粒子30が分散されている。
第1プライマー層6の厚みは、特に限定されないが、微粒子含有層3を構成していない場合には、通常0.5〜2.5μm程度、好ましくは1〜2μm程度である。
第1プライマー層6には、着色剤を混合して、色彩を整えたり、意匠性を向上させることができ、さらには、デザイン的な観点での模様を形成することもできる。第1プライマー層6の形成方法は、特に制限されないが、第1プライマー層6と隣接する層の表面上に上記の樹脂を、例えば前述の塗布方法で塗布する方法などが挙げられる。
[第2プライマー層7]
第2プライマー層7は、金属薄膜層2と、その上(表面保護層4側)に位置する層との密着性を高めることなどを目的として、必要に応じて、金属薄膜層2の上に設けられる層である。第2プライマー層7は、例えば、金属薄膜層2と表面保護層4との間、金属薄膜層2とカラークリア層5との間、金属薄膜層2と第2樹脂層8との間などに設けられる。
また、前述の通り、第2プライマー層7は、例えば図4に示されるように、微粒子含有層3を構成することができる。第2プライマー層7が微粒子含有層3を構成する場合、第2プライマー層7には、前述の[微粒子含有層3]の欄で説明した通り、微粒子30が含まれ、その他の構成についても、[微粒子含有層3]の欄で説明したものとなる。
第2プライマー層7を形成する素材は、これらの層間の密着性を向上させ得るものであれば、特に限定されず、例えば、アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、アクリル−ウレタン共重合体樹脂、ポリエステル系樹脂などの樹脂が挙げられる。これらの樹脂は、1種類単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。第2プライマー層7が微粒子含有層3を構成する場合、これらの樹脂中に微粒子30が分散されている。
第2プライマー層7の厚みは、特に限定されないが、微粒子含有層3を構成していない場合には、通常0.5〜2.5μm程度、好ましくは1〜2μm程度である。
第2プライマー層7の形成方法は、特に制限されないが、第2プライマー層7と隣接する層の表面上に上記の樹脂を、例えば前述の塗布方法で塗布する方法などが挙げられる。
[第1樹脂層8]
第1樹脂層8は、通常、第1プライマー層6の下(基材層1側)に設けられ、主に微粒子含有層3を構成するために設けられる層である。すなわち、本発明の加飾シートにおいて、第1樹脂層8が設けられている場合には、例えば図5に示されるように、通常、第1樹脂層8は微粒子含有層3を構成している。前述の第1プライマー層6が微粒子含有層3を構成しておらず、第1樹脂層8が微粒子含有層3を構成していることにより、表面保護層4の密着性を第1プライマー層6によって効果的に高めつつ、第1樹脂層8によって、金属薄膜層2の表面に好適に凹凸形状が形成され、適度な金属光沢を発揮することができる。
第1樹脂層8が微粒子含有層3を構成する場合、第1樹脂層8には、前述の[微粒子含有層3]の欄で説明した通り、微粒子30が含まれ、その他の構成についても、[微粒子含有層3]の欄で説明したものとなる。
第1樹脂層8を形成する素材としては、特に限定されず、例えば、アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、アクリル−ウレタン共重合体樹脂、ポリエステル系樹脂などの樹脂が挙げられる。これらの樹脂は、1種類単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。第1樹脂層8が微粒子含有層3を構成する場合、これらの樹脂中に微粒子30が分散されている。
第1樹脂層8の厚みは、特に限定されないが、微粒子含有層3を構成していない場合には、通常0.5〜2.5μm程度、好ましくは1〜2μm程度である。
第1樹脂層8の形成方法は、特に制限されないが、第1樹脂層8と隣接する層の表面上に上記の樹脂を、例えば前述の塗布方法で塗布する方法などが挙げられる。
[第2樹脂層9]
第2樹脂層9は、通常、第2プライマー層7の上(表面保護層4側)に設けられ、主に微粒子含有層3を構成するために設けられる層である。すなわち、本発明の加飾シートにおいて、第2樹脂層9が設けられている場合には、例えば図6に示されるように、通常、第2樹脂層9は微粒子含有層3を構成している。前述の第2プライマー層7が微粒子含有層3を構成しておらず、第2樹脂層9が微粒子含有層3を構成していることにより、金属薄膜層2の密着性を第2プライマー層7によって効果的に高めつつ、第2樹脂層9によって、金属薄膜層の表面に好適に凹凸形状が形成され、適度な金属光沢を発揮することができる。
第2樹脂層9が微粒子含有層3を構成する場合、第2樹脂層9には、前述の[微粒子含有層3]の欄で説明した通り、微粒子30が含まれ、その他の構成についても、[微粒子含有層3]の欄で説明したものとなる。
第2樹脂層9を形成する素材としては、特に限定されず、例えば、アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、アクリル−ウレタン共重合体樹脂、ポリエステル系樹脂などの樹脂が挙げられる。これらの樹脂は、1種類単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。第2樹脂層9が微粒子含有層3を構成する場合、これらの樹脂中に微粒子30が分散されている。
第2樹脂層9の厚みは、特に限定されないが、微粒子含有層3を構成していない場合には、通常0.5〜2.5μm程度、好ましくは1〜2μm程度である。
第2樹脂層9の形成方法は、特に制限されないが、第2樹脂層9と隣接する層の表面上に上記の樹脂を、例えば前述の塗布方法で塗布する方法などが挙げられる。
[基材層1]
基材層1は、本発明の加飾シートにおいて支持体としての役割を果たす樹脂シート(樹脂フィルム)により形成されている。基材層1に使用される樹脂成分については、特に制限されず、三次元成形性や成形樹脂層との相性等に応じて適宜選定すればよいが、好ましくは、熱可塑性樹脂が挙げられる。熱可塑性樹脂としては、具体的には、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂(以下「ABS樹脂」と表記することもある);アクリロニトリル−スチレン−アクリル酸エステル樹脂;アクリル樹脂;ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン系樹脂;ポリカーボネート樹脂;塩化ビニル系樹脂;ポリエチレンテレフタラート(PET)樹脂等が挙げられる。これらの中でも、ABS樹脂が三次元成形性の観点から好ましい。基材層1を形成する樹脂成分としては、1種類のみを用いてもよいし、2種類以上を混合して用いてもよい。また、基材層1は、これら樹脂の単層シートで形成されていてもよく、また同種又は異種樹脂による複層シートで形成されていてもよい。なお、基材層1を複層シートとすることで、加飾シートの三次元成形性を高める手法も考えられるが、本発明の加飾シートにおいては、後述する特定のプライマー層3を有するため、基材層1が単層シートであっても、高い三次元成形性を有する。
基材層1は、金属薄膜層2、接着層などとの密着性を向上させるために、必要に応じて、片面又は両面に酸化法や凹凸化法等の物理的又は化学的表面処理が施されていてもよい。基材層1の表面処理として行われる酸化法としては、例えば、コロナ放電処理、プラズマ処理、クロム酸化処理、火炎処理、熱風処理、オゾン紫外線処理法等が挙げられる。また、基材層1の表面処理として行われる凹凸化法としては、例えばサンドブラスト法、溶剤処理法等が挙げられる。これらの表面処理は、基材層1を構成する樹脂成分の種類に応じて適宜選択されるが、効果及び操作性等の観点から、好ましくはコロナ放電処理法が挙げられる。
また、基材層1には、着色剤などを配合した着色、色彩を整えるための塗装、デザイン性を付与するための模様の形成などがなされていてもよい。
基材層1の厚みは、特に制限されず、加飾シートの用途等に応じて適宜設定されるが、通常50〜800μm程度、好ましくは100〜600μm程度、さらに好ましくは200〜500μm程度が挙げられる。基材層1の厚みが上記範囲内であると、加飾シートに対してより一層優れた三次元成形性、意匠性などを備えさせることができる。
[金属薄膜層2]
金属薄膜層2は、基材層1の上に設けられ、加飾シートに適度な金属光沢を付与する層である。本発明の加飾シートにおいては、微粒子含有層3の表面が凹凸形状を有することにより、金属薄膜層2の表面にも凹凸形状が形成されている。すなわち、金属薄膜層2の微粒子含有層3側の表面は、微粒子含有層3の表面の凹凸形状に対応した凹凸形状を有している。
金属薄膜層2を形成する金属としては、加飾シートに金属調の意匠を付与できる金属であれば特に限定されないが、例えば、スズ、インジウム、クロム、アルミニウム、ニッケル、銅、銀、金、白金、亜鉛、及びこれらのうち少なくとも1種を含む合金などが挙げられる。これらの中でも、伸展性に富むとの観点から、好ましくはスズ、インジウム、及びクロムが挙げられる。なお、伸展性に富む金属により金属薄膜層2が形成されていることにより、加飾シートを三次元成形した際にクラックが発生しにくいという利点を有する。金属薄膜層2は、1種類の金属により形成されていてもよく、2種類以上の金属により形成されていてもよい。
金属薄膜層2の形成方法は、特に制限されないが、金属薄膜層2の表面に、微粒子含有層3の表面の凹凸形状に対応した凹凸形状を形成し、適度な金属光沢を発揮させる観点からは、例えば、上記の金属を用いた、真空蒸着法などの蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法などが好ましい。特に、真空蒸着法は、低コスト、被蒸着体へのダメージが少ないという点で好ましい。蒸着の条件は、用いる金属の溶融温度又は蒸発温度に応じて適宜設定すればよい。また、上記の形成方法以外に、上記の金属を含むペーストを塗工する方法、上記の金属を用いためっき法などを用いることもできる。
金属薄膜層2の厚みとしては、特に限定されないが、加飾シートの意匠性や成形性を高める観点などからは、好ましくは200nm以下、より好ましくは10〜100nm程度、さらに好ましくは20〜60nm程度が挙げられる。
[表面保護層4]
表面保護層4は、加飾シートの耐傷付き性、耐候性などを高めることを目的として、加飾シートの最表面に設けられる層である。本発明の加飾シートにおいて、優れた写像性を得る観点から、表面保護層4の表面は、平坦面であることが好ましいが、発明の効果を損なわない範囲において、装飾を目的とした微細な凹凸形状(例えば、ヘアライン形状)を有していてもよい。
表面保護層4を形成する素材は、特に限定されないが、通常は樹脂が用いられ、好ましくは電離放射線硬化性樹脂が用いられる。また、表面保護層4として、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル樹脂、またはアクリル樹脂などの樹脂フィルムにより形成することも好ましい。表面保護層4は、例えば電離放射線硬化性樹脂または当該樹脂フィルムの1層により形成されていてもよいし、これらの2層以上により形成されていてもよい。以下、表面保護層4の形成に用いられる電離放射線硬化性樹脂について詳述する。
(電離放射線硬化性樹脂)
表面保護層4の形成に使用される電離放射線硬化性樹脂とは、電離放射線を照射することにより、架橋、硬化する樹脂であり、具体的には、分子中に重合性不飽和結合又はエポキシ基を有する、プレポリマー、オリゴマー、及びモノマーなどのうち少なくとも1種を適宜混合したものが挙げられる。ここで電離放射線とは、電磁波又は荷電粒子線のうち、分子を重合あるいは架橋しうるエネルギー量子を有するものを意味し、通常紫外線(UV)又は電子線(EB)が用いられるが、その他、X線、γ線等の電磁波、α線、イオン線等の荷電粒子線も含むものである。電離放射線硬化性樹脂の中でも、電子線硬化性樹脂は、無溶剤化が可能であり、光重合用開始剤を必要とせず、安定な硬化特性が得られるため、表面保護層4の形成において好適に使用される。
電離放射線硬化性樹脂として使用される上記モノマーとしては、分子中にラジカル重合性不飽和基を持つ(メタ)アクリレートモノマーが好適であり、中でも多官能性(メタ)アクリレートモノマーが好ましい。多官能性(メタ)アクリレートモノマーとしては、分子内に重合性不飽和結合を2個以上(2官能以上)、好ましくは3個以上(3官能以上)有する(メタ)アクリレートモノマーであればよい。多官能性(メタ)アクリレートとして、具体的には、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジシクロペンテニルジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性リン酸ジ(メタ)アクリレート、アリル化シクロヘキシルジ(メタ)アクリレート、イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらのモノマーは、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
また、電離放射線硬化性樹脂として使用される上記オリゴマーとしては、分子中にラジカル重合性不飽和基を持つ(メタ)アクリレートオリゴマーが好適であり、中でも分子内に重合性不飽和結合を2個以上(2官能以上)有する多官能性(メタ)アクリレートオリゴマーが好ましい。多官能性(メタ)アクリレートオリゴマーとしては、例えば、ポリカーボネート(メタ)アクリレート、アクリルシリコーン(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、ポリブタジエン(メタ)アクリレート、シリコーン(メタ)アクリレート、分子中にカチオン重合性官能基を有するオリゴマー(例えば、ノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、脂肪族ビニルエーテル、芳香族ビニルエーテル等)等が挙げられる。ここで、ポリカーボネート(メタ)アクリレートは、ポリマー主鎖にカーボネート結合を有し、かつ末端または側鎖に(メタ)アクリレート基を有するものであれば特に制限されず、例えば、ポリカーボネートポリオールを(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。ポリカーボネート(メタ)アクリレートは、例えば、ポリカーボネート骨格を有するウレタン(メタ)アクリレートなどであってもよい。ポリカーボネート骨格を有するウレタン(メタ)アクリレートは、例えば、ポリカーボネートポリオールと、多価イソシアネート化合物と、ヒドロキシ(メタ)アクリレートとを反応させることにより得られる。アクリルシリコーン(メタ)アクリレートは、シリコーンマクロモノマーを(メタ)アクリレートモノマーとラジカル共重合させることにより得ることができる。ウレタン(メタ)アクリレートは、例えば、ポリエーテルポリオールやポリエステルポリオールとポリイソシアネート化合物の反応によって得られるポリウレタンオリゴマーを、(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。エポキシ(メタ)アクリレートは、例えば、比較的低分子量のビスフェノール型エポキシ樹脂やノボラック型エポキシ樹脂のオキシラン環に、(メタ)アクリル酸を反応しエステル化することにより得ることができる。また、このエポキシ(メタ)アクリレートを部分的に二塩基性カルボン酸無水物で変性したカルボキシル変性型のエポキシ(メタ)アクリレートも用いることができる。ポリエステル(メタ)アクリレートは、例えば多価カルボン酸と多価アルコールの縮合によって得られる両末端に水酸基を有するポリエステルオリゴマーの水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより、或いは多価カルボン酸にアルキレンオキシドを付加して得られるオリゴマーの末端の水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。ポリエーテル(メタ)アクリレートは、ポリエーテルポリオールの水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。ポリブタジエン(メタ)アクリレートは、ポリブタジエンオリゴマーの側鎖に(メタ)アクリル酸を付加することにより得ることができる。シリコーン(メタ)アクリレートは、主鎖にポリシロキサン結合をもつシリコーンの末端又は側鎖に(メタ)アクリル酸を付加することにより得ることができる。これらのオリゴマーは、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
上記した電離放射線硬化性樹脂の中でも、優れた三次元成形性を得る観点からは、ポリカーボネート(メタ)アクリレートを用いることが好ましい。また、三次元成形性と耐傷付き性を両立する観点からは、ポリカーボネート(メタ)アクリレートとウレタン(メタ)アクリレートを組み合わせて使用することがより好ましい。
(他の添加成分)
表面保護層4には、表面保護層4に備えさせる所望の物性に応じて、各種添加剤を配合することができる。この添加剤としては、例えば紫外線吸収剤や光安定剤等の耐候性改善剤、耐摩耗性向上剤、重合禁止剤、架橋剤、赤外線吸収剤、帯電防止剤、接着性向上剤、レベリング剤、チクソ性付与剤、カップリング剤、可塑剤、消泡剤、充填剤、溶剤、着色剤等が挙げられる。これらの添加剤は、常用されるものから適宜選択して用いることができる。また、紫外線吸収剤や光安定剤として、分子内に(メタ)アクリロイル基等の重合性基を有する反応性の紫外線吸収剤や光安定剤を用いることもできる。
一方、表面保護層4に艶消し剤を添加した場合、表面保護層4の表面平滑性が損なわれ、写像性が低下する恐れがある。また、加飾シートの状態では表面保護層4の表面平滑性が確保されていたとしても、加飾シートを成形する過程、特に真空成形する工程において、表面保護層4中の艶消し剤が表面に浮かび上がり、加飾樹脂成形品の状態では結局表面平滑性が損なわれ、写像性が低下する恐れがある。以上の観点より、表面保護層4は、艶消し剤を実質的に含まないことが好ましい。
なお、転写用の加飾シートの場合、加飾シートを製造する工程、及び加飾シートを用いて加飾樹脂成形品を得る工程を通して転写基材が表面保護層の表面(加飾樹脂成形品とした状態において最表面となる面)に積層されているため、表面保護層に含まれる艶消し剤が表面に浮かび上がる現象が生じにくい。そのため、表面保護層に艶消し剤を用いることで、適度な金属光沢の意匠と写像性とを両立することは比較的容易に達成できると考えらえる。それに対し、本発明のように、基材層が加飾樹脂成形品に取り込まれる、いわゆるラミネート用の加飾シートの場合、通常表面保護層の表面が露出した状態で成形がなされることになり、上述の現象が生じてしまうため、適度な金属光沢と写像性との両立が困難であったという事情がある。したがって、本発明の加飾シートは、ラミネート用の加飾シートでは困難であった、適度な金属光沢と写像性との両立を図ることを可能としている点で優れた技術的意義を有する。
(表面保護層4の厚み)
表面保護層4の硬化後の厚みについては、特に制限されないが、例えば、1〜1000μm程度、好ましくは1〜50μm程度、更に好ましくは1〜30μm程度が挙げられる。このような範囲の厚みを満たすと、耐傷付き性、耐候性等の表面保護層としての十分な物性が得られると共に、表面保護層4を電離放射線硬化性樹脂を用いて形成する場合には電離放射線を均一に照射することが可能であるため、均一に硬化することが可能となり、経済的にも有利になる。更に、表面保護層4の硬化後の厚みが前記範囲を充足することによって、加飾シートの三次元成形性が一層向上するため自動車内装用途等の複雑な三次元形状に対して高い追従性を得ることができる。このように、本発明の加飾シートは表面保護層4の厚みを従来のものより厚くしても、十分に高い三次元成形性が得られることから、特に表面保護層4に高い膜厚を要求される部材、例えば車両外装部品等の加飾シートとしても有用である。
(電離放射線硬化性樹脂を用いる場合の表面保護層4の形成)
表面保護層4の形成は、例えば、電離放射線硬化性樹脂を含む電離放射線硬化性樹脂組成物を調製し、これを塗布し、架橋硬化することにより行われる。なお、電離放射線硬化性樹脂組成物の粘度は、後述の塗布方式により、未硬化樹脂層を形成し得る粘度であればよい。
本発明においては、調製された塗布液を、前記厚みとなるように、グラビアコート、バーコート、ロールコート、リバースロールコート、コンマコート等の公知の方式、好ましくはグラビアコートにより塗布し、未硬化樹脂層を形成させる。
このようにして形成された未硬化樹脂層に、電子線、紫外線等の電離放射線を照射して該未硬化樹脂層を硬化させて表面保護層4を形成する。ここで、電離放射線として電子線を用いる場合、その加速電圧については、用いる樹脂や層の厚みに応じて適宜選定し得るが、通常加速電圧70〜300kV程度が挙げられる。
なお、電子線の照射において、加速電圧が高いほど透過能力が増加するため、表面保護層4の下に電子線照射によって劣化しやすい樹脂を使用する場合には、電子線の透過深さと表面保護層4の厚みが実質的に等しくなるように、加速電圧を選定する。これにより、表面保護層4の下に位置する層への余分の電子線の照射を抑制することができ、過剰電子線による各層の劣化を最小限にとどめることができる。
また、照射線量は、表面保護層4の架橋密度が飽和する量が好ましく、通常5〜300kGy(0.5〜30Mrad)、好ましくは10〜50kGy(1〜5Mrad)の範囲で選定される。
更に、電子線源としては、特に制限はなく、例えばコックロフトワルトン型、バンデグラフト型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器を用いることができる。
電離放射線として紫外線を用いる場合には、波長190〜380nmの紫外線を含む光線を放射すればよい。紫外線源としては、特に制限されないが、例えば、高圧水銀燈、低圧水銀燈、メタルハライドランプ、カーボンアーク燈等が挙げられる。
かくして形成された表面保護層4には、各種の添加剤を添加することにより、ハードコート機能、防曇コート機能、防汚コート機能、防眩コート機能、反射防止コート機能、紫外線遮蔽コート機能、赤外線遮蔽コート機能等の機能を付与する処理を行ってもよい。
なお、表面保護層4を樹脂フィルムにより形成する場合には、表面保護層4の下に位置する層の表面に樹脂フィルムを積層すればよい。
[接着層]
加飾シートと成形樹脂層10との接着性や密着性を向上させることなどを目的として、基材層1の裏面に必要に応じて接着層を設けることができる(図示していない)。当該接着層を形成する樹脂としては、加飾シートと成形樹脂との接着性や密着性を向上させることができるものであれば、特に制限されず、例えば、熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂が用いられる。熱可塑性樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、アクリル変性ポリオレフィン樹脂、塩素化ポリオレフィン樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、熱可塑性ウレタン樹脂、熱可塑性ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ゴム系樹脂などが挙げられる。熱可塑性樹脂は、1種類単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。また、熱硬化性樹脂としては、例えば、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂等挙げられる。熱硬化性樹脂は、1種類単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。この接着層は必ずしも必要な層ではないが、本発明の加飾シートを、後述する真空圧着法など、予め用意された樹脂成形体上へ貼着による加飾方法に適用することを想定した場合は、設けられていることが好ましい。真空圧着法に用いる場合、上記した各種の樹脂のうち、加圧又は加熱により接着性を発現する樹脂として慣用のものを使用して接着層を形成することが好ましい。接着層の厚みは、特に制限されないが、例えば、0.1〜30μm程度、好ましくは0.5〜20μm程度、さらに好ましくは1〜8μm程度が挙げられる。
また、基材層1と金属薄膜層2との密着性を向上させるため、必要に応じて、基材層1と金属薄膜層2との間に接着層を設けてもよい(図示してない)。この接着層を形成する樹脂は、基材層1と金属薄膜層2との密着性を向上させ得るものであれば特に制限はないが、例えば熱可塑性樹脂が挙げられる。熱可塑性樹脂としては、特に制限されないが、例えば、アクリル樹脂;ポリプロピレン,ポリエチレン等のポリオレフィン樹脂;ポリカーボネート樹脂;ABS樹脂;ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル樹脂;ポリ塩化ビニル、塩素化ポリエチレン、ポリ塩化ビニリデン、エチレン−塩化ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−(メタ)アクリル共重合体などのポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ塩化プロピレン、塩素化ポリプロピレンなどの塩素系樹脂などが挙げられる。接着層5を形成する樹脂としては、基材層1と金属薄膜層2などとの密着性を高める観点から、好ましくは、アクリル樹脂、塩素系樹脂が用いられる。塩素系樹脂としては、基材層1と金属薄膜層2などとの密着性を高める観点などからは、好ましくは塩化ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体が挙げられ、より好ましくは塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体が挙げられる。当該接着層を形成する樹脂としては、1種類単独で用いてもよいし、2種類以上を混合して用いてもよい。なお、本発明において、「(メタ)アクリル」とは「アクリル」及び「メタクリル」の総称であり、(メタ)の付く他の類似するものも同様の意である。この接着層を設ける場合、接着層の厚みは、特に制限されないが、基材層1と金属薄膜層2などとの密着性を高める観点からは、0.6〜3.5μm程度、好ましくは1〜2μm程度とすることができる。
これらの接着層は、接着層と隣接する層の表面上に上記の樹脂を塗布することにより形成することができ、塗布法としては、例えばドライラミネート法などを用いることができる。
2.加飾樹脂成形品
本発明の加飾樹脂成形品は、本発明の加飾シートと成形樹脂とを一体化させることにより成形されてなるものである。即ち、本発明の加飾樹脂成形品は、少なくとも、成形樹脂層10と、基材層1と、金属薄膜層2と、微粒子含有層3と、表面保護層4とがこの順に積層された積層体からなり、微粒子含有層3の金属薄膜層2側の表面は、微粒子含有層3に含まれる微粒子30による凹凸形状を有していることを特徴とする。前述の通り、カラークリア層5、第1プライマー層6、第2プライマー層7、第1樹脂層8、第2樹脂層9などが、微粒子含有層3を構成する。
本発明の加飾樹脂成形品は、例えば、本発明の加飾シートを用いて、インサート成形法、射出成形同時加飾法、ブロー成形法、ガスインジェクション成形法等の各種射出成形法により作製される。これらの射出成形法の中でも、好ましくはインサート成形法及び射出成形同時加飾法が挙げられる。また、本発明の加飾樹脂成形品は、真空圧着法等の、予め用意された立体的な樹脂成形体(成形樹脂層10)上に、本発明の加飾シートを貼着する加飾方法によっても作製することができる。
インサート成形法では、まず、真空成形工程において、本発明の加飾シートを真空成形型により予め成形品表面形状に真空成形(オフライン予備成形)し、次いで必要に応じて余分な部分をトリミングして成形シートを得る。この成形シートを射出成形型に挿入し、射出成形型を型締めし、流動状態の樹脂を型内に射出し、固化させて、射出成形と同時に樹脂成形物の外表面に加飾シートを一体化させることにより、加飾樹脂成形品が製造される。
より具体的には、下記の工程を含むインサート成形法によって、本発明の加飾樹脂成形品が製造される。
本発明の加飾シートを真空成形型により予め立体形状に成形する真空成形工程、
真空成形された加飾シートの余分な部分をトリミングして成形シートを得るトリミング工程、及び
成形シートを射出成形型に挿入し、射出成形型を閉じ、流動状態の樹脂を射出成形型内に射出して樹脂と成形シートを一体化する一体化工程。
インサート成形法における真空成形工程では、加飾シートを加熱して成形してもよい。この時の加熱温度は、特に限定されず、加飾シートを構成する樹脂の種類や、加飾シートの厚みなどによって適宜選択すればよいが、例えば基材層としてABS樹脂フィルムを用いる場合であれば、通常100〜250℃程度、好ましくは130〜200℃程度とすることができる。また、一体化工程において、流動状態の樹脂の温度は、特に限定されないが、通常180〜320℃程度、好ましくは220〜280℃程度とすることができる。
また、射出成形同時加飾法では、本発明の加飾シートを射出成形の吸引孔が設けられた真空成形型との兼用雌型に配置し、この雌型で予備成形(インライン予備成形)を行った後、射出成形型を型締めして、流動状態の樹脂を型内に射出充填し、固化させて、射出成形と同時に樹脂成形物の外表面に本発明の加飾シートを一体化させることにより、加飾樹脂成形品が製造される。
より具体的には、下記の工程を含む射出成形同時加飾法によって、本発明の加飾樹脂成形品が製造される。
本発明の加飾シートを、所定形状の成形面を有する可動金型の当該成形面に対し、加飾シートの基材層の表面が対面するように設置した後、当該加飾シートを加熱、軟化させると共に、可動金型側から真空吸引して、軟化した加飾シートを当該可動金型の成形面に沿って密着させることにより、加飾シートを予備成形する予備成形工程、
成形面に沿って密着された加飾シートを有する可動金型と固定金型とを型締めした後、両金型で形成されるキャビティ内に、流動状態の樹脂を射出、充填して固化させることにより樹脂成形体を形成し、樹脂成形体と加飾シートを積層一体化させる一体化工程、及び
可動金型を固定金型から離間させて、加飾シート全層が積層されてなる樹脂成形体を取り出す取出工程。
射出成形同時加飾法の予備成形工程において、加飾シートの加熱温度は、特に限定されず、加飾シートを構成する樹脂の種類や、加飾シートの厚みなどによって適宜選択すればよいが、基材層としてポリエステル樹脂フィルムやアクリル樹脂フィルムを使用する場合であれば、通常70〜130℃程度とすることができる。また、射出成形工程において、流動状態の樹脂の温度は、特に限定されないが、通常180〜320℃程度、好ましくは220〜280℃程度とすることができる。
真空圧着法では、まず、上側に位置する第1真空室及び下側に位置する第2真空室からなる真空圧着機内に、本発明の加飾シート及び樹脂成形体を、加飾シートが第1真空室側、樹脂成形体が第2真空室側となるように、且つ加飾シートの基材層1側が樹脂成形体側に向くように真空圧着機内に設置し、2つの真空室を真空状態とする。樹脂成形体は、第2真空室側に備えられた、上下に昇降可能な昇降台上に設置される。次いで、第1の真空室を加圧すると共に、昇降台を用いて成形体を加飾シートに押し当て、2つの真空室間の圧力差を利用して、加飾シートを延伸しながら樹脂成形体の表面に貼着する。最後に2つの真空室を大気圧に開放し、必要に応じて加飾シートの余分な部分をトリミングすることにより、本発明の加飾樹脂成形品を得ることができる。
真空圧着法においては、上記の成形体を加飾シートに押し当てる工程の前に、加飾シートを軟化させて成形性を高めるため、加飾シートを加熱する工程を備えることが好ましい。当該工程を備える真空圧着法は、特に真空加熱圧着法と呼ばれることがある。当該工程における加熱温度は、加飾シートを構成する樹脂の種類や、加飾シートの厚みなどによって適宜選択すればよいが、基材層としてポリエステル樹脂フィルムやアクリル樹脂フィルムを使用する場合であれば、通常60〜200℃程度とすることができる。
本発明の加飾樹脂成形品において、成形樹脂層10は、用途に応じた樹脂を選択して形成すればよい。成形樹脂層10を形成する樹脂としては、熱可塑性樹脂であってもよく、また熱硬化性樹脂であってもよい。
熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ABS樹脂、スチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、塩化ビニル系樹脂等が挙げられる。これらの熱可塑性樹脂は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
また、熱硬化性樹脂としては、例えば、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。これらの熱硬化性樹脂は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
本発明の加飾樹脂成形品は、例えば、自動車等の車両の内装材又は外装材;窓枠、扉枠等の建具;壁、床、天井等の建築物の内装材;テレビ受像機、空調機等の家電製品の筐体;容器等として利用することができる。
以下に、実施例及び比較例を示して本発明を詳細に説明する。ただし、本発明は、実施例に限定されない。
<加飾シートの作製>
(実施例1)
2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム、厚さ38μm)の表面にヘアライン意匠を施した。次に、ヘアライン意匠が施された表面に、電離放射性硬化型樹脂組成物(樹脂として、ポリカーボネート(メタ)アクリレートとウレタン(メタ)アクリレートを含む)を硬化後の厚さが10μmとなるようにして、グラビアコートにより印刷した。この未硬化樹脂層に加速電圧165kV、照射強度50kGy(5Mrad)の電子線を照射することにより、未硬化樹脂層を硬化させ、表面保護層を形成した。次に、表面保護層の表面に、アクリル樹脂をグラビアコートにより印刷して、第1プライマー層を形成した(厚み1μm)。次に、粒径が3〜4μmのシリカ粒子を5質量%含むアクリル樹脂からなるカラークリア層(茶色)をグラビアコートにより印刷した(シリカ粒子を含まない部分の厚み1μm)。次に、アクリル樹脂をグラビアコートにより印刷して、第2プライマー層を形成した(厚み1μm)。次に、真空蒸着機を用いてスズ(Sn)を約50nm積層して、金属薄膜層を形成した。次に、金属薄膜層の上にポリエステルからなる接着層をグラビアコートにより印刷した後(厚み1μm)、サーマルラミネーションによりABS樹脂フィルムからなる基材層(厚み400μm)と貼り合わせ、PETフィルムを剥離することにより、図2に示されるような積層構造を備える加飾シートを得た。
(実施例2)
粒径が3〜4μmのシリカ粒子を5質量%含むアクリル樹脂からなる第1プライマー層を形成した(シリカ粒子を含まない部分の厚み1μm)こと、及びシリカ粒子を含まないアクリル樹脂からなるカラークリア層(茶色)をグラビアコートにより印刷した(厚み1μm)こと以外は、実施例1と同様にして、図3に示されるような積層構造を備える加飾シートを得た。
(実施例3)
シリカ粒子を含まないアクリル樹脂からなるカラークリア層(茶色)をグラビアコートにより印刷した(厚み1μm)こと、及び粒径が3〜4μmのシリカ粒子を5質量%含むアクリル樹脂からなる第2プライマー層を形成した(シリカ粒子を含まない部分の厚み1μm)こと以外は、実施例1と同様にして、図4に示されるような積層構造を備える加飾シートを得た。
(実施例4)
第1プライマー層を形成した後、カラークリア層を形成する前に、粒径が3〜4μmのシリカ粒子を5質量%含むアクリル樹脂からなる第1樹脂層を形成した(シリカ粒子を含まない部分の厚み1μm)こと、及びシリカ粒子を含まないアクリル樹脂からなるカラークリア層(茶色)をグラビアコートにより印刷した(厚み1μm)こと以外は、実施例1と同様にして、図5に示されるような積層構造を備える加飾シートを得た。
(実施例5)
シリカ粒子を含まないアクリル樹脂からなるカラークリア層(茶色)をグラビアコートにより印刷した(厚み1μm)こと、及び、カラークリア層を形成した後、第2プライマー層を形成する前に、粒径が3〜4μmのシリカ粒子を5質量%含むアクリル樹脂からなる第1樹脂層を形成した(シリカ粒子を含まない部分の厚み1μm)こと以外は、実施例1と同様にして、図6に示されるような積層構造を備える加飾シートを得た。
(実施例6)
カラークリア層のシリカ粒子の含有量を2.5質量%にしたこと以外は、実施例1と同様にして、図2に示されるような積層構造を備える加飾シートを得た。
(比較例1)
電離放射線硬化性樹脂組成物に、粒径が3〜4μmのシリカ粒子を5質量%添加して表面保護層を形成したこと、及び、シリカ粒子を含まないアクリル樹脂からなるカラークリア層(茶色)をグラビアコートにより印刷した(厚み1μm)こと以外は、実施例1と同様にして、加飾シートを得た。
(比較例2)
シリカ粒子を含まないアクリル樹脂からなるカラークリア層(茶色)をグラビアコートにより印刷した(厚み1μm)こと以外は、実施例1と同様にして、加飾シートを得た。
(成形前の加飾シートの金属光沢)
上記で得られた各加飾シートの表面保護層側の表面を目視で観察し、金属光沢について以下の基準で評価した。結果を表1に示す。
○:適度な金属光沢を有している
△:金属光沢がやや強い、または金属光沢がやや弱いため、金属調の意匠としてやや美しくない
×:金属光沢が強すぎて気が散る、または金属光沢が弱すぎて金属に見えない
(成形後の加飾シートの金属光沢)
上記で得られた各加飾シートをそれぞれ赤外線ヒーターで180℃に加熱し、軟化させた。次に、真空成形用型を用い、最大延伸倍率が50%になる条件で真空成形し、真空成形用型の内部形状となるように加飾シートを成形した。成形後の加飾シートの表面保護層側の表面を目視で観察し、金属光沢について以下の基準で評価した。結果を表1に示す。○:適度な金属光沢を有している
△:金属光沢がやや強い、または金属光沢がやや弱いため、金属調の意匠としてやや美しくない
×:金属光沢が強すぎて気が散る、または金属光沢が弱すぎて金属に見えない
(成形前の加飾シートの写像性)
蛍光灯で明るくした室内において、上記で得られた各加飾シートの表面保護層側の表面を目視で観察し、加飾シートの写像性を以下の基準で評価した。結果を表1に示す。
○:蛍光灯の光の端部まできれいに写り込んでいる
△:蛍光灯の光の端部が、ややぼやけて写り込んでいる
×:蛍光灯の光の端部が、かなりぼやけて写り込んでいる
(成形後の加飾シートの写像性)
上記で得られた各加飾シートをそれぞれ赤外線ヒーターで180℃に加熱し、軟化させた。次に、真空成形用型を用い、最大延伸倍率が50%になる条件で真空成形し、真空成形用型の内部形状となるように加飾シートを成形した。次に、蛍光灯で明るくした室内において、成形後の各加飾シートの表面保護層側の表面を目視で観察し、加飾シートの写像性を以下の基準で評価した。結果を表1に示す。
○:蛍光灯の光の端部まできれいに写り込んでいる
△:蛍光灯の光の端部が、ややぼやけて写り込んでいる
×:蛍光灯の光の端部が、かなりぼやけて写り込んでいる
(密着性評価)
上記で得られた各加飾シートの表面に対して、カッターで長さ5mm、間隔2mmで縦11本、横11本の切れ込みを入れ、縦10マス×横10マスの合計100マスの碁盤目状の切れ込みを形成した。この切れ込みの上から、ニチバン社製のセロテープ(登録商標)(No.405−1P)を圧着した後、90度方向に急激に剥離することにより、表面保護層の密着性を評価した(初期密着性試験)。さらに、上記で得られた各加飾シートについて、100℃下に500時間放置する条件(耐熱密着性試験)、温度50℃、湿度100%で500時間放置する条件(耐湿熱密着性試験)、及びキセノンウェザーメータ(1000kJ、340nm)を用いた条件(耐候密着性試験)での密着性を評価した。評価基準は以下の通りである。結果を表1に示す。
○:全く剥離が見られない
△:初期密着性では剥離が見られないものの、耐熱密着性試験、耐湿熱密着性試験、または耐候密着性試験のいずれかで剥離が見られる
×:初期密着性試験で剥離が見られる
表1に示される結果から明らかな通り、金属薄膜層と表面保護層との間に、微粒子を含む微粒子含有層を設けた実施例1〜6の加飾シートにおいては、成形前後の何れにおいても、適度な金属光沢を示し、写像性にも優れていた。特に、カラーインキ層、第1樹脂層、または第2樹脂層を微粒子含有層とした実施例1、4、5の加飾シートは、適度な金属光沢と、優れた写像性を備えており、さらに密着性にも優れていた。
一方、表面保護層に微粒子を配合して金属光沢を調整した比較例1では、適度な金属光沢を有していたが、写像性に劣っていた。一方、微粒子を配合した層を設けなかった比較例2では、写像性に優れていたが、金属光沢が高くなりすぎて、高級感のある質感を表現できなかった。
1…基材層
2…金属薄膜層
3…微粒子含有層
4…表面保護層
5…カラークリア層
6…第1プライマー層
7…第2プライマー層
8…第1樹脂層
9…第2樹脂層
10…成形樹脂層
30…微粒子

Claims (1)

  1. 少なくとも、基材層と、金属薄膜層と、微粒子含有層と、表面保護層とがこの順に積層された積層体からなり、
    前記微粒子含有層の前記金属薄膜層側の表面は、前記微粒子含有層に含まれる微粒子による凹凸形状を有している、加飾シート。
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