JP7043856B2 - 加飾物品の製造方法および成形加工装置 - Google Patents

加飾物品の製造方法および成形加工装置 Download PDF

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Description

本開示は、金属調の意匠性を有する加飾シートを用いた加飾物品の製造方法、および成形加工装置に関する。
車両内外装部品、建材内装材、家電筐体等の種々の物品に対し、金属調の意匠を付与する技術として、金属メッキを施す代わりに金属薄膜層を有する加飾シートを物品の表面に配置する技術が注目されている。加飾シートにおいて、金属薄膜層は、金属調の意匠を付与するために用いられる。
例えば、特許文献1には、少なくとも片方の表面にインジウム粒子からなるインジウム薄膜が形成された金属保持フィルム層を有する金属調加飾シートであって、該金属保持フィルム表面に形成されたインジウムからなる金属粒子の粒径が100nm以上250nm以下であることを特徴とする金属調加飾シートが開示されている。
特開2007-30249号公報
金属薄膜層を有する加飾シートは、成形加工時において金属調の意匠性が低下しやすい。
本開示は上記実情に鑑みてなされたものであり、成形加工時において、加飾シートの金属調の意匠性が低下することを抑制することが可能な加飾物品の製造方法を提供することを主目的とする。
上記課題を解決するために、本開示の発明者らが鋭意研究を行ったところ、成形加工により生じた加飾シートの縮みが金属調の意匠性の低下に大きく影響することを知見した。本開示は上記知見に基づきなされた発明である。
すなわち、本開示は、樹脂層および金属薄膜層を有する加飾シートを少なくとも含む被成形部材を準備する準備工程と、上記被成形部材を、成形型に押圧して成形加工する成形加工工程と、上記成形加工により上記加飾シートが縮む方向とは反対方向に、上記加飾シートを伸張する伸張処理工程とを有することを特徴とする加飾物品の製造方法を提供する。
本開示によれば、上記伸張処理工程を有することにより、加飾シートの金属調の意匠性が低下することを抑制して加飾物品を製造することができる。
上記開示においては、上記金属薄膜層が、海島構造を有することが好ましい。海島構造を有する金属薄膜層は、成形加工時において白化しやすく、金属調の意匠性が低下しやすい。そのため、本開示の製造方法を適用することにより、金属薄膜層の白化を好適に抑制することができるからである。
上記開示においては、上記成形加工工程は、上記成形型として物品を用い、上記被成形部材を上記物品に押圧して成形することにより、上記被成形部材および上記物品を一体化する工程であっても良い。良好な金属調の意匠性を有する加飾物品を得ることができるからである。
本開示は、樹脂層を有するシートを少なくとも含む被成形部材に対し、熱処理をする熱処理部と、上記被成形部材を、成形型に押圧して成形加工する押圧部と、上記被成形部材を伸張する伸張処理部と、上記成形加工により上記シートが縮む方向とは反対方向に、上記シートを伸張するように、上記伸張処理部を制御する制御部と、を有することを特徴とする成形加工装置を提供する。
本開示は、上述した伸張処理部および制御部を備えることにより、例えば、シートとして、樹脂基材層および金属薄膜層を有する加飾シートを用いた場合に、加飾シートの金属調の意匠性が低下することを抑制して加飾物品を製造することが可能な成形加工装置とすることができる。
本開示の加飾物品の製造方法は、加飾シートの金属調の意匠性が低下することを抑制して加飾物品を製造することができるという効果を奏する。
本開示の加飾物品の製造方法の一例を示す工程図である。 本開示の加飾物品の製造方法の他の例を示す工程図である。 本開示の加飾物品の製造方法の他の例を示す工程図である。 本開示における加飾シートの伸張方向の一例を示す説明図である。 本開示における加飾シートの伸張方向の特定方法の一例を説明する説明図である。 本開示の加飾物品の製造方法の他の例を示す工程図である。 本開示の成形加工装置の一例を示す概略断面図である。 本開示の成形加工装置の他の例を示す概略断面図である。 実施例1、2および比較例で用いた成形型を説明する模式図である。
以下の説明においては、図面等を参照しながら本開示の実施の形態を説明する。ただし、本開示は多くの異なる態様で実施することが可能であり、下記に例示する実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。また、図面は説明をより明確にするため、実際の形態に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表わされる場合があるが、あくまで一例であって、本開示の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
以下、本開示の加飾物品の製造方法および成形加工装置の詳細を説明する。
なお、本明細書において、「シート」と「フィルム」とは同義であり、説明のため、「シート」と「フィルム」との両方の文言を用いる場合がある。
A.加飾物品の製造方法
本開示の加飾物品の製造方法は、樹脂層および金属薄膜層を有する加飾シートを少なくとも含む被成形部材を準備する準備工程と、上記被成形部材を、成形型に押圧して成形加工をする成形加工工程と、上記成形加工により上記加飾シートが縮む方向とは反対方向に、上記加飾シートを伸張する伸張処理工程とを有することを特徴とする。
本開示の加飾物品の製造方法について図を用いて説明する。図1(a)~図1(f)は、本開示の加飾物品の製造方法の一例を示す工程図である。図1(b)、(d)、(f)は、それぞれ図1(a)、(c)、(e)におけるA-A線断面図である。本開示の加飾物品の製造方法は、準備工程と、成形加工工程と、伸張処理工程とを有する。
本開示における準備工程においては、例えば図1(a)、(b)に示すように、樹脂層11および金属薄膜層12を有する加飾シート1を少なくとも含む被成形部材10を準備する。図1(a)、(b)は、被成形部材10が加飾シート1のみを含む例を示している。
本開示における伸張処理工程においては、例えば、図1(a)、(b)に示すように、成形型20を準備し、図1(c)、(d)に示すように、成形型20を用いた成形加工により、加飾シート1が縮む方向とは反対方向に、加飾シート1を伸張する。図1(c)においては、加飾シート1が縮む方向とは反対方向が、x軸方向およびy軸方向である例を示している。
本開示における成形加工工程においては、図1(e)、(f)に示すように、加飾シート1を、成形型20に押圧して成形加工をする。
本開示の加飾物品の製造方法は、上述した準備工程、成形加工工程および伸張処理工程を少なくとも有する。
本開示によれば、上記伸張処理工程を有することにより、加飾シートの金属調の意匠性が低下することを抑制して加飾物品を製造することができる。
ここで、「金属調の意匠」、および「金属調の意匠性」とは、加飾シートの用いた加飾物品の使用者に対し、金属表面を感じさせる意匠、および意匠の性質をいう。金属調の意匠の一例としては、金属の色、金属光沢等が挙げられるが、これに限定されない。
また、「金属調の意匠性の低下」の一例としては、金属薄膜層が白く見える(白化)等の金属の変色、金属光沢の低下が挙げられるが、これに限定されない。本開示の製造方法は、金属調の意匠の低下のうち、特に金属薄膜層の白化を好適に抑制することができる。
ここで、金属薄膜層を有する加飾シートは、成形型による成形加工時に、金属調の意匠性が低下しやすい。特に、金属薄膜が均一に製膜された金属薄膜層を有する加飾シートは成形加工時に膜にヒビ割れが生じる事から、海島構造の金属薄膜が使われる事が多いが、海島構造の金属薄膜層を有する加飾シートは、成形加工時に金属薄膜層の白化が生じやすい。
この課題に対し、本開示の発明者が研究したところ、成形加工された加飾シートにおいて海島構造の金属薄膜層が白化する要因は、上記金属薄膜層の表面において光が乱反射しやすくなるためであることを知見した。
また、本開示の発明者がさらに研究したところ、海島構造の金属薄膜層の表面において光の乱反射が生じやすくなる要因として、成形加工前に比べて加飾シートの樹脂層が縮むことにより金属薄膜層の表面が歪むためであることを知見した。具体的には、加飾シートにおいて、成形加工前に比べて樹脂層が縮んだ部分では、島部の金属同士が重なったり、島部の金属同同士の間隔が狭くなることで、例えば金属薄膜層の表面に微細な皺が生じたり、凹凸が生じたりするといった金属薄膜層の表面の歪みが生じていることを知見した。
また、金属薄膜層の白化以外の金属調の意匠性の低下にも、金属薄膜層の表面の歪みによる反射特性の変化が大きく影響すると推測される。
本開示においては、伸張処理工程において、加飾シートを伸張することで、成形加工時において加飾シートが元の長さよりも縮むことを抑制することができる。また、加飾シートを伸張する時にシートにかけるテンションにより、加飾シートが歪むことを抑制することができる。その結果、金属薄膜層の歪みを少なくすることができ、金属調の意匠の低下を抑制することができる。
以下、本開示の加飾物品の製造方法における各工程を説明する。
1.伸張処理工程
本開示における伸張処理工程は、上記成形加工により上記加飾シートが縮む方向とは反対方向に、上記加飾シートに伸張処理をする工程である。
伸張処理工程は、通常、後述する成形加工工程前、または成形加工工程と同時に行っても良い。中でも、本開示においては伸張処理工程は成形加工工程前に行うことが好ましい。
伸張処理工程を、成形加工工程前に行う場合、後述する準備工程前に行っても良く、準備工程後であって成形加工工程前に行っても良い。
伸張処理工程のタイミングは、被成形部材の構成により適宜選択することができる。
例えば、被成形部材が加飾シートのみを含む場合は、通常、図1(a)~図1(f)に示すように、伸張処理工程(図1(c)、(d))は、準備工程(図1(a)、(b))の後であって成形加工工程(図1(e)、(f))の前に行われる。
一方、被成形部材が、加飾シートと他のシートとを含む積層体である場合は、例えば、伸張処理工程は準備工程前に行っても良い。具体的には、図2(a)~図2(d)に示す工程順とすることができる。すなわち、図2(a)、(b)に示すように、伸張処理工程においては、加飾シート1を伸張する。次に、図2(c)に示すように、準備工程においては、伸張された加飾シート1を他のシート13に配置することにより被成形部材10を形成する。次に、図2(d)に示すように、成形加工工程においては、伸張された加飾シート1を含む被成形部材10を、成形型20に押圧して成形加工する。
一方、被成形部材が上述した積層体である場合は、伸張処理工程は、準備工程後であって成形加工工程前に行っても良い。具体的には、図3(a)~図3(d)に示す工程順とすることができる。すなわち、図3(a)に示すように、準備工程においては、加飾シート1および他のシート13を含む積層体の被成形部材10を準備する。次に、図3(b)に示すように、伸張工程においては、積層体の被成形部材10を伸張する。次に、図3(c)に示すように、成形加工工程においては、伸張された積層体の被成形部材10を、成形型20に押圧して成形加工する。
伸張処理工程を、成形加工工程と同時に行う場合、例えば、成形型に加飾シートまたは被成形部材の一部を接触させた状態で、加飾シートまたは被成形部材を伸張させても良い。
伸張処理工程では、上記成形加工により上記加飾シートが縮む方向とは反対方向に、上記加飾シートを伸張する。
ここで、「成形加工による加飾シートの縮み」とは、成形加工により、加飾シートの所定の方向の長さが、元の加飾シートに比べて短くなることをいう。「成形加工による加飾シートの縮み」は、元の加飾シートからの縮む量(長さ)と所定の方向を有するベクトルである。
また、「成形加工により加飾シートが縮む方向」とは、上述した「成形加工による加飾シートの縮み」における所定の方向、すなわち、元の加飾シートの長さに比べて、成形加工時に加飾シートの長さが短くなるベクトルの方向をいう。
元の加飾シートは、例えば、被成形部材が加飾シートのみを含む場合は、成形加工前の被成形部材をいう。また、例えば、被成形部材が加飾シートと、他の部材との積層体である場合は、積層体とする前の加飾シートをいう。なお、以下の説明において、「成形加工により加飾シートが縮む方向」を「縮み方向」と称して説明する場合がある。
本開示において、「加飾シートが縮む方向とは反対方向に加飾シートを伸張する」とは、「縮み方向」とは逆向きのベクトルで、加飾シートを伸張する場合だけでなく、「縮み方向」とは逆向きのベクトルを複数の成分に分解して、加飾シートを伸張する場合を含む。
「加飾シートが縮む方向とは反対方向に加飾シートを伸張する」例について図を用いて説明する。本開示においては、例えば、図4(a)に示すように、加飾シート1の縮み方向D1(白矢印で示される方向)と逆向きのベクトルの方向-D1(太線矢印で示される方向)に加飾シートを伸張しても良い。一方、例えば、図4(b)に示すように、加飾シート1の縮み方向D1とは逆向きのベクトル-D1を複数の成分-D1xおよび-D1y(細線矢印で示される方向)に分解して、加飾シート1を伸張しても良い。
伸張処理工程における具体的な加飾シートの伸張方向は、上述した加飾シートの縮み方向とは反対方向に加飾シートを伸張することができれば特に限定されず、特定の方向であっても良く、全方向であっても良い。加飾シートの伸張方向が特定の方向である場合、伸張方向は例えば一軸方向であっても良く、二軸方向であっても良い。本開示においては、中でも、上記伸張方向が二軸方向であることが好ましい。加飾シートの伸張方向を二軸方向とすることにより、伸張される加飾シートの長さを調整しやすいからである。上記伸張方向が二軸方向である場合、一方の軸方向と他方の軸方向とは互いに直交することが好ましい。伸張される加飾シートの長さ等を精度良く調整することができるからである。
伸張処理工程において加飾シートをどの程度伸張させるかは、加飾シートの構成、被成形部材の構成、成形型の形状等に応じて適宜決定される。
加飾シートの縮み方向における、元の加飾シートの長さをx1とし、伸張された加飾シートの長さをx2としたとき、x1に対するx2の比率(x2/x1)は、例えば、1.1倍以上3倍以下であっても良く、1.20倍以上2.5倍以下であっても良く、1.20倍以上2.0倍以下であっても良い。
伸張による金属調の意匠の低下を十分に抑制することができ、成形加工による加飾シートの縮みを十分に抑制することができるからである。
また、加飾シートの縮み方向における、成形加工後の加飾シートの長さをx3とした場合、元の加飾シートの長さx1に対する上記x3の比率(x3/x1)は、金属調の意匠の低下を抑制することができる程度であれば特に限定されず、加飾シートにおける金属層の種類、樹脂層の種類等に応じて適宜調整される。上記x3/x1は、例えば、0.90倍以上であっても良く、0.95倍以上であっても良い。また、上記x3/x1は、1倍(100%)であっても良い。
加飾シートは、通常、伸張可能な程度に軟化させるために熱処理がされる。本開示においては、加飾シートを熱処理により軟化させてから伸張しても良く、伸張処理と同時に熱処理を行っても良い。また、熱処理は、被成形部材の熱処理であっても良い。
加飾シートの熱処理温度は、加飾シートの種類、層構成等に応じて適宜選択される。
2.特定工程および決定工程
本開示においては、伸張処理工程前に、上記成形加工により上記加飾シートが縮む方向を特定する特定工程をさらに有することが好ましい。成形型の形状および加飾シートの種類によって、金属調の意匠性の低下に大きく影響する加飾シートの縮み方向を特定することができ、伸張処理工程において上記縮み方向と反対方向に加飾シートを伸張することにより、金属調の意匠性の低下を好適に抑制することができるからである。
加飾シートの縮み方向を特定する方法としては、例えば以下の方法を挙げることができる。図5(a)に示すように、評価用の加飾シート1aに対し、伸縮性を有するインクを用いて、縦方向と横方向とのそれぞれに等間隔の升目を描画する。なお、升目の形状は正方形であっても良く、長方形であっても良い。また、成形型20を準備する。次に、評価用の加飾シート1aを伸張させない状態で、成形型20を用いて、評価用の加飾シート1aに成形加工をする。図5(b)に示すように、成形加工された評価用の加飾シート1aにおける升目の変形のうち、間隔が狭くなっている方向(図5(b)における白矢印の方向)を、加飾シートの縮み方向と特定する。
また、加飾シートの縮み方向を特定する方法としては、例えば、加飾シートの厚さを測定することにより特定しても良い。具体的には、成形型を用いて評価用の加飾シートに成形加工をした後、成形加工された評価用の加飾シートの厚さを測定し、厚みの厚くなる方向を、加飾シートの縮み方向と特定する。
また、本開示においては、伸張処理工程前に、伸張処理工程において、加飾シートの伸張の程度を決定する決定工程をさらに有していても良い。加飾シートを伸張する程度を決定する方法としては、例えば、上述した特定工程から特定された、加飾シートの縮み方向とは反対方向に対し、加飾シートの伸張の程度を調整することにより、金属調の意匠性の低下を好適に抑制することが可能な伸張の程度を決定する。
3.準備工程
本開示における準備工程は、樹脂層および金属薄膜層を有する加飾シートを少なくとも含む被成形部材を準備する工程である。
準備工程において準備される被成形部材は、少なくとも加飾シートを含んでいれば良く、加飾シートのみを含んでいても良く、後述する他のシートをさらに含んでいても良い。
以下、被成形部材の詳細を説明する。
(1)加飾シート
本開示における加飾シートは、樹脂層および金属薄膜層を少なくとも有する。
(a)金属薄膜層
金属薄膜層は、金属調の意匠を有する層である。
金属薄膜層は、所望の金属調の意匠を有することができれば特に限定されず、例えば、樹脂層の面に対して連続して配置されていても良く、樹脂層の面に対して不連続に配置されていても良い。また、金属薄膜層が不連続に配置されている場合は、例えば、金属薄膜層は海島構造を有していても良く、規則的なパターンを有するパターン構造を有していても良い。
本開示においては、中でも、金属薄膜層は、海島構造を有することが好ましい。海島構造を有する金属薄膜層は、成形加工時において白化しやすく、金属調の意匠性が低下しやすい。そのため、本開示の製造方法を適用することにより、金属薄膜層の白化を好適に抑制することができるからである。
金属薄膜層の厚さは、所望の金属調の意匠を示すことができれば、特に限定されない。金属薄膜層の厚さは、通常、5nm以上300nm以下であり、例えば、10nm以上150nm以下であることがより好ましく、例えば、10nm以上100nm以下であることが特に好ましい。
ここで、「金属薄膜層の厚さ」とは、一般的な測定方法によって得られる厚さをいう。厚さの測定方法としては、例えば、触針で表面をなぞり凹凸を検出することによって厚さを算出する触針式の方法や、分光反射スペクトルに基づいて厚さを算出する光学式の方法等が挙げられる。具体的には、ケーエルエー・テンコール株式会社製の触針式膜厚計P-15を用いて厚さを測定することができる。なお、厚さとして、対象となる部材の複数箇所における厚さの測定結果の平均値が用いられても良い。以下、加飾シートを構成する層の厚さの測定方法についても、上述した測定方法が用いられるものとする。
金属薄膜層に用いられる金属としては、加飾シートに金属調の意匠を付与することができれば特に限定されない。金属薄膜層は、1種類の金属のみが用いられていても良く、2種類以上の金属が用いられていても良い。金属薄膜層における金属としては、例えば、スズ、インジウム、クロム、アルミニウム、銅の金属単体、または、上述した金属のうち少なくとも1種を含む合金などが挙げられる。中でも、金属薄膜層に用いられる金属は、成膜時に海島構造をとる金属であることが好ましい。成膜時に海島構造をとる金属は、例えば、インジウム単体、錫単体またはインジウム合金、錫合金であることが好ましい。インジウム合金である場合、金属薄膜層に含有される全ての金属に対する、インジウムの割合は、例えば、30mol%以上であっても良く、95mol%以上であっても良い。
上述した成膜時に海島構造をとる金属は、例えば、蒸着法等により成膜する過程で海島構造の金属薄膜層として形成される。
金属薄膜層の形成方法としては、加飾シートに金属調の意匠を付与することができれば特に限定されず、例えば、真空蒸着法などの蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等を挙げることができる。また、金属薄膜層の形成方法としては、上述した金属を含むペーストを塗工する方法、上述した金属を用いためっき法であっても良い。本開示においては、中でも真空蒸着法であることが好ましい。低コストであり、被蒸着体へのダメージが少ないからである。蒸着の条件は、用いられる金属の溶融温度または蒸発温度に応じて適宜設定すれば良い。金属薄膜層は、例えば、金属蒸着層であっても良い。
(b)樹脂層
加飾シートの樹脂層は、通常、樹脂基材層を有する。
(i)樹脂基材層
樹脂基材層は、金属薄膜層を支持する支持体として機能する。
樹脂基材層を構成する樹脂としては、例えば、熱可塑性樹脂であることが好ましい。熱可塑性樹脂としては、例えば、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン樹脂(以下「ABS樹脂」と表記することもある)、アクリロニトリル-スチレン-アクリル酸エステル樹脂、アクリル樹脂が挙げられる。また、熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリカーボネート樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリエチレンテレフタラート(PET)樹脂等が挙げられる。樹脂基材層を構成する樹脂としては、上述した熱可塑性樹脂のうち、1種類のみを用いても良く、2種類以上を混合して用いても良い。本開示においては、中でも、樹脂基材層を構成する樹脂が、ABS樹脂であることが好ましい。本開示の加飾シートに、良好な三次元成形性を付与することができるからである。
樹脂基材層の厚さは、加飾物品の形状、成形加工方法に応じて適宜選択することができ特に限定されない。樹脂基材層の厚さは、例えば、50μm以上3mm以下であっても良い。なお、加飾シートを後述する他のシートに積層させて被成形部材として用いる場合、加飾シートの厚さは、例えば、50μm以上800μm以下であることが好ましく、50μm以上600μm以下であっても良く、150μm以上500μm以下であっても良い。
本開示において得られる加飾物品において、樹脂基材層が金属薄膜層よりも使用者側に配置される場合、樹脂基材層は透明性を有することが好ましい。樹脂基材の透明性は、所望の金属調の意匠を観察可能な程度の透明の透明性をいい、無色透明、および視認性を妨げない程度の有色透明を含み、また厳密な透過率で定義されない。
(ii)他の樹脂層
本開示における加飾シートは、上述した金属薄膜層および樹脂基材層を有していれば特に限定されず、必要に応じて他の樹脂層をさらに有していても良い。他の樹脂層としては、一般的な加飾シートに用いられる層であり、成形加工方法等に応じて適宜選択される。他の樹脂層としては、例えば、プライマー層、保護層、接着層、カラークリア層等を挙げることができる。他の樹脂層については、一般的な加飾シートにおいて用いられる層と同様とすることができるため、ここでの説明は省略する。
(2)他のシート
本開示における被成形部材は、上述した加飾シートを少なくとも有していれば良く、加飾シートのみを含んでいても良く、他のシートをさらに含んでいても良い。他のシートとしては、例えば、成形用シート、転写用シートを挙げることができる。
(a)成形用シート
本開示の被成形部材は、成形用シートをさらに含んでいても良い。成形用シートは、被成形部材の成形加工性、強度を高めるために用いられるシートである。
成形用シートは、通常、樹脂のシートが用いられる。成形用シートに用いられる樹脂としては、上述した「(1)加飾シート (b)樹脂層 (i)樹脂基材層」の項で説明した熱可塑性樹脂の中から適宜選択して追加することができる。
成形用シートの厚さは、例えば、加飾シート全体の厚さよりも厚いことが好ましい。成形用シートの厚さは、例えば、1mm以上5mm以下であっても良い。
(b)転写用シート
本開示の被成形部材は、転写用シートをさらに含んでいても良い。
転写用シートは、加飾シートを、物品に転写して加飾シートを形成する際に用いられる。転写用シートは、通常、加飾物品の製造時に剥離される。
転写用シートに用いられる材料としては、例えば、従来から転写フィルムに使用される公知のプラスチックフィルムを用いることができる。プラスチックフィルムとしては、例えば、ポリエステルフィルム、アクリルフィルム、ポリイミドフィルム、ポリアミドイミドフィルム、フッ素フィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルムなどが挙げられ、中でもポリエステルフィルムが耐熱性と耐湿性で好ましい。ポリエステルフィルムとしては、例えば、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、二軸延伸ポリエチレンナフタレートフィルムなどが挙げられ、中でも二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムが好ましい。二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムは耐熱性が良好であり、比較的安価であるからである。
転写用シートの厚さは、例えば、10μm以上、100μm以下の程度である。
転写用シートは、必要に応じて、一方の面側に離形層が配置されていても良い。
離形層に用いられる材料としては、例えば、リン脂質(レシチン)、酢酸セルロース、ワックス、脂肪酸、脂肪酸アミド、脂肪酸エステル、ロジン、アクリル樹脂、シリコーン、フッ素樹脂等が挙げられる。離形層の厚さは、例えば、0.01μm以上、2μm以下の程度である。離形層は、グラビアコート法、リバースコート法、ダイコート法等の従来公知の方法で形成できる。
(2)準備工程
準備工程においては、被成形部材を形成することにより準備しても良く、市販品の被成形部材を準備しても良い。
4.成形加工工程
本開示における成形加工工程は、上記被成形部材を、成形型に押圧して成形する工程である。
本開示の製造方法においては、成形加工工程前に伸張処理工程が行われる。そのため、成形加工工程においては、伸張された加飾シートを成形加工する。
被成形部材の成形加工方法としては、一般的なシートの成形加工方法を用いることができ、特に限定されない。被成形部材の成形加工方法とは、例えば、真空成形法であっても良く、圧空成形法であっても良い。被成形部材の成形加工方法としては、例えば、ストレート法、ドレープ法、プラグアシスト法、エアースリップ法等を挙げることができる。
成形型は、加飾物品の形状、成形加工方法等に応じて適宜選択される。成形型としては、一般的な金型や樹脂型を用いることができるため、ここでの説明は省略する。
また、被成形部材の成形加工方法としては、物品を成形型として用い、被成形部材を配置する方法であっても良い。このような被成形部材の成形加工方法としては、例えば、オーバーレイ法が挙げられる。
本開示においては、被成形部材の成形加工方法として、物品を成形型として用い、被成形部材を配置する方法であることがより好ましい。被成形部材を物品の加飾用途に用いる場合、加飾される物品自体を成形型として用いることができるからである。この場合、上記成形加工工程は、上記成形型として物品を用い、上記被成形部材を上記物品に押圧して成形することにより、上記被成形部材および上記物品を一体化する工程となる。
成形型として物品を用いた場合の加飾物品の製造方法について、図を用いて説明する。図6(a)~図6(f)は、本開示の加飾物品の製造方法の一例を示す工程図であり、成形型20としてを用いた例を示している。図1(b)、(d)、(f)は、それぞれ図1(a)、(c)、(e)におけるB-B線断面図である。図6(a)~(d)の詳細については、図1(a)~図1(d)と同様とすることができるため、ここでの説明は省略する。成形加工工程においては、図6(e)、(f)に示すように、成形型20として物品31を用い、被成形部材10を物品31に押圧して成形することにより、被成形部材10および物品31を一体化する。本開示においては、成形加工工程後に、図6(e)、(f)および図6(g)、(h)に示すように、被成形部材10のうち、加飾物品30とした際に不要となる部分14を除去するトリミング工程を有することが好ましい。トリミング工程を行うことにより、物品31および被成形部材10を有する加飾物品30を得ることができる。
5.その他の工程
本開示の加飾物品の製造方法は、上述した伸張処理工程、準備工程および成形加工工程を有していれば特に限定されず、必要な工程を適宜選択して追加することができる。
例えば、上記成形加工工程後に、上記成形型から上記被成形部材を離型する離型工程を有していても良い。また、離型された上記被成形部材を被着体の表面に配置する配置工程を有していても良い。配置工程において配置される被着体が、樹脂の射出成型体である場合、配置工程は、射出成形法を用いて被着体を形成し、かつ上記被着体に対し、成形加工された上記被成形部材と被着体に配置する工程であっても良い。上記配置工程に用いられる成形方法としては、例えば、インサート成形法、または射出成形同時加飾法を用いることが好ましい。なお、インサート成形法、射出形成同時加飾法については、公知の方法と同様であるため、ここでの記載は省略する。
また、本開示においては、被成形部材のうち、加飾物品とした際に不要となる部分を除去するトリミング工程を有していても良い。トリミング工程のタイミングは、本開示の製造方法の成形加工工程または配置工程において採用される成形方法に応じて適宜選択することができる。
例えば、成形加工工程が、上述した被成形部材および物品を一体化する工程である場合、トリミング工程は、成形加工工程後に行われることが好ましい。
また、例えば、配置工程においてインサート成形法が用いられる場合、成形された被成形部材は、成形型から離型された後、射出成形金型に配置される。インサート成形法においては、成形型から離形された後であって、射出成形金型への配置前に、トリミング工程を行うことが好ましい。また、例えば、配置工程において射出成形同時加飾法が用いられる場合、射出成形による被着体と成形と、被成形部材および被着体の一体化とが同時に行われる。この場合、被成形部材および被着体が一体化された後に、トリミング工程を行うことが好ましい。トリミング工程の詳細については、一般的な方法と同様とすることができるため、ここでの説明は省略する。
6.加飾物品
本開示の製造方法により製造される加飾物品は、成形加工された被成形部材を少なくとも有していれば良く、上記被成形部材のみを有していても良く、上記被成形部材および被着体を有していても良い。また、加飾物品は、被成形部材と成形型とを有していても良い。
本開示の製造方法により製造される加飾物品の用途としては、例えば、加飾物品の用途としては、例えば、自動車等の車両の内装材または外装材としての用途、窓枠、扉枠等の建具としての用途、壁、床、天井等の建築物の内装材としての用途、テレビ受像機、空調機等の家電製品の筐体としての用途、容器等としての用途等が挙げられる。
B.成形加工装置
本開示の成形加工装置は、樹脂層を有するシートを少なくとも含む被成形部材に対し、熱処理をする熱処理部と、上記被成形部材を、成形型に押圧して成形加工する押圧部と、上記被成形部材に伸張する伸張処理部と、上記成形加工により上記シートが縮む方向とは反対方向に、上記シートを伸張するように、上記伸張処理部を制御する制御部と、を有することを特徴とする。
本開示の成形加工装置について図を用いて説明する。図7(a)~図7(c)は本開示の成形加工装置の他の例を示す概略断面図である。図7(a)~図7(c)に示される成形加工装置40は、樹脂層を有するシートを少なくとも含む被成形部材10に対し、熱処理をする熱処理部41と、被成形部材10を、成形型20に押圧して成形をする押圧部42と、被成形部材10に伸張処理をする伸張処理部43と、成形加工によりシートが縮む方向とは反対方向に、シートを伸張するように、伸張処理部を制御する制御部と、を有する。図7(a)~図7(c)において、熱処理部41は、例えば、ヒーターである。また、熱処理部41は、押圧部42における減圧室42cの内部および外部を移動可能であっても良い。成形型20は、例えば、本体部20aと、中空部20bと、本体部20aを貫通し中空部20bに達する穴部20cとを有する。また、押圧部42は、例えば、成形型20を載置する台座部42aと、台座部42aを支持する支持部42bと、減圧室42cと、減圧室42cを減圧する減圧部42dとを有する。また、台座部42aおよび支持部42bは、減圧部42dと、成形型20の中空部20aとを繋ぐ管状部42eを備えている。管状部eは中空構造を備えている。支持部42bは、成形型20および被成形部材10間の距離を調整する距離調整機能を有していても良い。減圧部42bは、例えば、真空ポンプである。
図7(a)~図7(c)に示す成形加工装置40を用いて被成形部材を成形加工する方法について説明する。まず、図7(a)に示すように、押圧部42における台座部42aに成形型20を配置し、伸張処理部43に被成形部材10を固定する。次に、被成形部材10を熱処理部41を用いて熱処理をする。熱処理後に、図7(b)に示すように、熱処理部41を減圧室42cの内部から外部へと移動させる。次に、伸張処理部43を用いて被成形部材10を伸張する。次に伸張処理部43の位置を台座部42a側へ下げることにより、成形型20に被成形部材10を沿わせる。次に、図7(c)に示すように、減圧部42dを用いて減圧室42cを減圧下とすることにより、被成形部材10を成形型20に密着させることで、成形加工する。図7(c)においては、減圧部42dを用いて、減圧室42cの空気を、成形型20の穴部20bから中空部20aに引き、成形型20に被成形部材10を密着させることで、成形加工する。
図8(a)~図8(c)は本開示の成形加工装置の他の例を示す概略断面図である。図8(a)~図8(c)に示される成形加工装置40は、樹脂層を有するシートを少なくとも含む被成形部材10に対し、熱処理をする熱処理部41と、被成形部材10を、成形型20に押圧して成形をする押圧部42と、被成形部材10に伸張処理をする伸張処理部43と、成形加工によりシートが縮む方向とは反対方向に、シートを伸張するように、伸張処理部を制御する制御部と、を有する。図8(a)~図8(c)において、熱処理部41は、例えば、ヒーターである。押圧部42は、例えば、成形型20を載置する台座部42aと、台座部42を支持する支持部42bと、減圧室42cと、減圧室42cを減圧する減圧部42dとを有する。成形型20は、例えば、中空部を有しない成形型である。
図8(a)~図8(c)に示す成形加工装置40を用いて被成形部材を成形加工する方法について説明する。図8(a)、(b)に示すように、被形成部材10を熱処理して伸張し、次いで成形型20に沿わせる。なお、図8(a)、(b)については、上述した図8(a)、(b)と同様とすることができるため、ここでの説明は省略する。次に、図8(c)に示すように、減圧部42dを用いて減圧室42cを減圧下とすることにより、被成形部材10を成形型20に密着させることで、成形加工する。具体的には、減圧室42cの圧力変化を利用し、被成形部材10を成形型20に密着させることで、成形加工する。
本開示は、上述した伸張処理部および制御部を備えることにより、例えば、シートとして、樹脂基材層および金属薄膜層を有する加飾シートを用いた場合に、加飾シートの金属調の意匠性が低下することを抑制して加飾物品を製造することが可能な成形加工装置とすることができる。また、伸張処理部により、シートに対し、例えば左右方向または全方向にテンションをかけて伸張させて成形することができる。そのため、シートを縮みにくくすることができ、シートの歪みの発生を抑制することができる。
以下、本開示の成形加工装置について構成ごとに説明する。
1.熱処理部
熱処理部は、樹脂層を有するシートを少なくとも含む被成形部材に対し、熱処理をする構成である。
熱処理部は、被成形部材を所望の形状に成形できるように、被成形部材に対し熱処理をすることができれば特に限定されない。熱処理部の一例としては、ヒーターを挙げることができる。熱処理部の詳細については、一般的な成形加工装置に用いられる構成と同様とすることができるため、ここでの説明は省略する。
2.押圧部
押圧部は、上記被成形部材を、成形型に押圧して成形加工する構成である。
押圧部は、上記被成形部材を、成形型に押圧して成形加工をすることができれば特に限定されず、例えば、例えば、成形型に被成形部材を配置して減圧下に置くことで、押圧する構成であっても良い。また、押圧部は、圧縮空気を用いて被成形部材を、成形型に押圧する構成であっても良い。
押圧部としては、例えば、真空成形法において、成形型に被成形部材を押圧するために用いられる構成であっても良く、また例えば、オーバーレイ法において、成形型に被成形部材を押圧するために用いられる構成であっても良い。真空成形法に用いられる構成としては、例えば、図7(a)~(c)に示される押圧部の構成を挙げることができる。オーバーレイ法に用いられる構成としては、例えば、図8(a)~(c)に示される押圧部の構成を挙げることができる。他にも押圧部としては、一般的な成形加工装置に用いられる構成を挙げることができる。
3.伸張処理部
伸張処理部は、上記シートを伸張する構成である。
本開示における伸張処理部は、シートを伸張することができれば特に限定されないが、直交する2つの軸方向にシートを伸張する構成であることが好ましい。伸張処理部の構成としては、例えば、x軸方向およびy軸方向のそれぞれに配置された一組のチャックを有する構成を挙げることができる。
伸張処理部の詳細については、一般的なシートの延伸装置に用いられる構成と同様とすることができるため、ここでの説明は省略する。
4.制御部
制御部は、上記成形加工により上記シートが縮む方向とは反対方向に、上記シートを伸張するように、上記伸張処理部を制御する構成である。
制御部により制御されるシートの伸張方向、伸張の程度については、上述した「A.加飾物品の製造方法 1.伸張処理工程」の項に記載した加飾シートの伸張方向、伸張の程度と同様とすることが好ましい。
5.その他
本開示の成形加工装置は、例えば、上述した「A.加飾物品の製造方法」の項に記載した加飾物品の製造方法に用いられることが好ましい。
なお、本開示は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本開示の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本開示の技術的範囲に包含される。
以下に実施例を示し、本開示をさらに詳細に説明する。
[比較例]
カネカ社のPMMA系樹脂フィルム(サンデュレン、厚さ75μmのフィルム)を準備した。上記フィルムに対し、真空蒸着法でInを50nmの膜厚となるように蒸着を施した。蒸着面をSEMで観察し、In層が海島構造となっている事を確認した。
上記フィルムにおけるIn層の面側を、ヒートシールを介して、ABS樹脂板(2mm)に貼り合せた。以上の手順により評価用サンプルを得た。評価用サンプルをABS樹脂板側から観察した光沢度(8°での評価)は1080であった。
なお、光沢度の測定は、測定器としてコニカミノルタ社の、CM-700dを用いて測定を実施した。
得られた評価用サンプルを用いて真空成形を行った。成形型として図9に示す金型を準備した。図9に示す金型の頂面の寸法は30mm×50mmであり、底面の寸法は50mm×90mmであり、高さは50mm(5cm)である。
真空成形機で、評価用サンプルの表面温度を約200℃程度まで上げて、図9に示す金型を用いて真空成形した。この際、評価用サンプルは伸張させずに真空成形を行った。
成形加工後の評価サンプルにおける側面の光沢度は830以上880以下の程度であり、頂面の光沢度は970程度であった。成形加工後の評価用サンプルは、図9中のC方向に12.5%程度の縮みが生じており、C方向とは垂直方向であるD方向に25%程度の伸びが生じていることが確認された。一方、頂面に関しては、X方向およびY方向に6%~10%程度の伸びが生じていることが確認され、評価用サンプルに縮みが生じていないことが確認された。なお、上記比率は、成形加工前の評価用サンプルに対する成形加工後の評価用サンプルの長さの比率を示している。
比較例の結果から、縮みが生じている側面においては光沢度が大きく低下することが確認され、縮みが生じていない頂面においては光沢度は大きく低下しないことが確認された。
[実施例1]
比較例と同様にして評価用サンプルを得た。
真空成形前に、評価用サンプルの表面温度を約200℃程度まで上げて、図8中のC方向に12%程度伸張させたのち、真空成形を行った。成形加工後の評価用サンプルにおいては、側面の光沢度は950程度であった。また、頂面の光沢度は、比較例と同程度であった。この結果から、実施例においては比較例に比べて成形加工後も高い光沢度を維持することができることが確認された。
[実施例2]
比較例と同様にして評価用サンプルを得た。
評価用サンプルの表面温度を約200℃程度まで上げて、図8に示す成形型を用いて真空成形する際に、評価用サンプルを図8中のC方向にテンションを加えて引っ張りながら、成形加工を行った。成形加工後の評価用サンプルにおいては、側面の光沢度は930程度であった。また、頂面の光沢度は、比較例と同程度であった。この結果から、実施例においては比較例に比べて成形加工後も高い光沢度を維持することができることが確認された。
1 … 加飾シート
1 … 被成形部材
11 … 樹脂層
12 … 金属薄膜層
40 … 成形加工装置
41 … 熱処理部
42 … 押圧部
43 … 伸張処理部

Claims (4)

  1. 樹脂層および金属薄膜層を有する加飾シートを少なくとも含む被成形部材を準備する準備工程と、
    前記被成形部材を、成形型に押圧して成形加工する成形加工工程と、
    前記成形加工により前記加飾シートが縮む方向とは反対方向に、前記加飾シートを伸張する伸張処理工程と、を有し
    前記伸張処理工程前に、前記成形加工工程における成形加工により前記加飾シートが縮む方向を特定する特定工程を有する、加飾物品の製造方法。
  2. 前記金属薄膜層は、海島構造を有する、請求項1に記載の加飾物品の製造方法。
  3. 前記成形加工工程は、前記成形型として物品を用い、前記被成形部材を前記物品に押圧して成形することにより、前記被成形部材および前記物品を一体化する工程である、請求項1または請求項2に記載の加飾物品の製造方法。
  4. 樹脂層および金属薄膜層を有するシートを少なくとも含む被成形部材に対し、熱処理をする熱処理部と、
    前記被成形部材を、成形型に押圧して成形加工する押圧部と、
    前記被成形部材を伸張する伸張処理部と、
    前記被成形部材を前記成形型に押圧して成形加工した際に、前記成形加工により前記被成形部材が縮む方向を特定する特定工程で特定された、前記被成形部材が縮む方向とは反対方向に、前記シートを伸張するように、前記伸張処理部を制御する制御部と、を有する成形加工装置。
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