JP2013103385A - アクリル系樹脂フィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】添加剤(着色剤や艶消し剤など)を添加しても金属との蒸着密着性に優れており、かつ耐アルコール性の良いアクリル系樹脂フィルムを提供する。
【解決手段】一方の表層は酸価が0.1mmol/g以下のアクリル系樹脂層であり、他方の表層は酸価が0.2mmol/g以上1.5mmol/g以下のアクリル系樹脂層である、積層フィルム。
【選択図】なし

Description

本発明は、(メタ)アクリル系樹脂フィルムに関する。
近年、自動車・携帯・パソコン・家電などの分野において金属調の意匠が非常に好まれている。また溶媒を使用することなどの環境負荷を考慮しメッキではなく、PETフィルムに金属を蒸着したフィルムを基材に張り合わせることで金属に近い意匠性を持たせることが行われている。しかしPETフィルムは表面の硬さが低いため傷つきやすく、耐候性が悪く変色劣化する為に、表面にコーティング層を設けたり、耐候性を付与するためにアクリル系樹脂フィルムを貼り合わせたりする。また、真空成形性が悪いため深い絞りの3次元成形ができない。
耐候性がよく、硬度があり3次元成形を容易に実施出来るフィルムとしてアクリル系樹脂フィルムが知られているが、金属との密着性が非常に悪く、接着層なしには金属蒸着用のフィルムとして使用することが出来ない。そこで、通常使用される範囲のアクリル樹脂のゴム量を増やしたり(特許文献1)、カルボン酸などの酸を含有させたりして(特許文献2)金属密着性をPET同等まで向上させている。しかし、着色や艶消し調の金属外観にするために着色剤(顔料や染料など)や艶消し剤(架橋重合体など)を添加したり、耐候性を付与するために紫外線吸収剤や抗酸化剤などの添加剤を多く添加したりすると金属との密着性が低下してしまう。また、アクリル系弾性体グラフト共重合体を多くした場合、硬度が低くなり傷つきやすくなってしまう。さらにカルボン酸などの酸を含有させたりアクリル系弾性体グラフト共重合体を多く含有させたりすると、アルコールに対し親和性が高くなり、アルコールを染み込ませた布で拭くと溶剤の浸透・表面荒れのため表面が白化してしまう。
特開昭51−126278号公報 特開2010‐236085号公報
上記事情から、金属密着性が良く、3次元成形でき、耐アルコール性のよいアクリル系樹脂フィルムが市場より望まれている。
そこで、本発明は、添加剤(着色剤や艶消し剤など)を添加しても金属との蒸着密着性に優れており、かつ耐アルコール性の良いアクリル系樹脂フィルムを提供することを目的とする。
上記課題を解決するために本発明者らが鋭意検討を行った結果、2つの表層をそれぞれ特定の組成にすることで金属密着性と耐アルコール性を有したアクリルフィルムの作製に成功し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明は、
[1]一方の表層は酸価が0.1mmol/g以下のアクリル系樹脂層であり、他方の表層は酸価が0.2mmol/g以上1.5mmol/g以下のアクリル系樹脂層である、積層フィルム。
[2]前記酸価が0.1mmol/g以下のアクリル系樹脂層の表層側の500g荷重での鉛筆硬度がF以上4H以下である、[1]記載の積層フィルム。
[3]前記酸価が0.2mmol/g以上1.5mmol/g以下のアクリル系樹脂層の表層側の500g荷重での鉛筆硬度が3B以上F以下である、[1]または[2]記載の積層フィルム。
[4]前記酸価が0.1mmol/g以下のアクリル系樹脂層が有機着色剤および/または無機着色剤を含有する、[1]〜[3]のいずれかに記載の積層フィルム。
[5]前記酸価が0.1mmol/g以下のアクリル系樹脂層が有機拡散剤および/または無機拡散剤を含有する、[1]〜[4]のいずれかに記載の積層フィルム。
[6][1]〜[5]のいずれかに記載の積層フィルムの、酸価が0.2mmol/g以上1.5mmol/g以下のアクリル系樹脂層の表層に直接金属層が形成されてなる、記載の金属積層アクリル系樹脂フィルム。
[7][6]記載の金属積層アクリル系樹脂フィルムの金属層面に、接着剤層を介して、基材樹脂シートが張り合わされてなる、金属積層アクリル系樹脂シート。
本発明の積層フィルムは、優れた金属密着性を有し、かつ耐アルコール性に優れる。
本発明の積層フィルムの一方の表層には、酸価が0.2mmol/g以上1.5mmol/g以下の(メタ)アクリル系樹脂層を有している。酸または酸無水物が樹脂中に存在すると金属との密着性が向上することは知られており、蒸着した金属も同様に密着性が向上する。酸または酸無水物とイオン的な相互作用によるものと考えられる。しかし、酸または無水物が多くなればなるほど、アルコールとの親和性が高くなり、それによって耐アルコール性は悪くなり、白化しやすくなる。これは、製品として使用した場合、アルコール含有クリーナーで表面を拭いたときに表面が白化することを意味し、アルコールが接しない用途でしか使用できなくなってしまう。一方、酸価が0.1mmol/g以下の(メタ)アクリル系樹脂層は、耐アルコール性が良く、アルコールを染み込ました布で荷重をかけて往復させても白化しない。
また、着色剤または艶消し剤を酸価が0.2mmol/g以上1.5mmol/g以下の(メタ)アクリル系樹脂層に配合すると、金属密着性が低下することがある。これは、例えば、染料の場合はフィルム作成時におけるフィルムの表面への染料のブリードが、顔料の場合は顔料を分散させるために含まれる分散剤としての滑剤が、艶消し剤の場合は均一に分散させるために一般的に併用される滑剤が原因になっていると推定される。
また、紫外線吸収剤や抗酸化剤など機能を発現する添加剤を入れる場合、添加量によって経時的におよび/または加熱によって表面にブリードすることがあり、それによって金属密着性が低下すると推定される。また、アルコールに親和性の良い官能基(アルコール基やカルボキシル基など)を持った添加剤を入れると、量と種類によって耐アルコール性が更に低下しうる。
そこで、本発明の積層フィルムは、もう一方の表層に酸価が0.1mmol/g以下のアクリル系樹脂層を設けることによって、当該アクリル系樹脂層に着色剤や艶消し剤や紫外線吸収剤などの添加剤を添加し所望とする外観・機能を発現させるとともに、他方の表層に酸価が0.2mmol/g以上1.5mmol/g以下であるアクリル系樹脂層を有することで、金属密着性が良く、耐アルコール性も良い効果を奏する。
本発明における「酸価」は、一般的な中和滴定により求められる値であり、具体的には後述の実施例に記載の方法によって求められる。樹脂中に無水物化しているものがあれば、開環させ酸とし、その酸量の総量を酸価とする。これは、押出条件によって酸が無水物化する割合が大きく異なるためである。
本発明における「耐アルコール性」は、アルコール(エタノールまたはイソプロピルアルコール)を染み込ませた布または紙で荷重1kg荷重で100往復した後に白化するかどうかを示す。試験前後で白化しなかった場合、耐アルコール性は良いとし、白化する場合は悪いとする。アルコールを滴下して、自然乾燥した跡が白化するか判別する方法もあるが、この方法では白化しなくても、荷重をかけて100往復すると白化することがあるため、上記の方法を用いて判別する。酸価が0.1mmol/gより多い場合、白化しやすくなり、酸価が大きくなるにつれ、白化の度合いも大きくなっていく。
本発明における「鉛筆硬度」とは、JIS 5400で規定した測定方法で測定した結果であり、硬さの指標として用いられる。硬いほうが傷つきにくい傾向がある。
本発明の積層フィルムの、表層の一方は、酸価が0.2mmol/g以上1.5mmol/g以下の(メタ)アクリル系樹脂組成物を用いて成形できる。
本発明において「(メタ)アクリル系樹脂」とは、アクリル系樹脂および/またはメタクリル系樹脂を意味する。
アクリル系樹脂フィルムの金属との蒸着密着性が向上する点から、酸価は0.3mmol/g以上が好ましく、0.4mmol/g以上がより好ましい。また、押出機や金型に使用される金属が腐食しにくい点から、酸価は1.3mmol/g以下が好ましい。
本発明においては、酸価が0.2〜1.5mmol/gを満たす(メタ)アクリル系樹脂組成物であれば、特に限定されるわけではないが、例えば、次の2つの好ましい形態が挙げられる。
好ましい第一の形態としては、アクリル酸アルキルエステル系架橋弾性体粒子(B)の存在下、加熱処理することによって酸基を生じ得る基を有する単量体を含む単量体混合物(A)を重合して得られる(メタ)アクリル系樹脂(C)を加熱処理することによって得られるものを含有する(メタ)アクリル系樹脂組成物が挙げられる。
好ましい第二の形態としては、アクリル酸アルキルエステル系架橋弾性体粒子(B)の存在下、不飽和カルボン酸または/およびその誘導体を含む単量体(E)を重合して得られる(メタ)アクリル系樹脂を含有する(メタ)アクリル系樹脂組成物が挙げられる。
これら(メタ)アクリル系樹脂組成物には、さらに熱可塑性樹脂を配合してもよい。
本発明におけるアクリル酸エステル系架橋弾性体粒子(B)としては、アクリル酸アルキルエステル単量体50〜100重量%、メタクリル酸アルキルエステル単量体0〜50重量%を含む単量体混合物(b)100重量部に対し、1分子あたり2個以上の非共役二重結合を有する多官能性単量体0.5〜5重量部を、1段以上で共重合させてなるもの(多段階に、単量体組成または反応条件を調整することも可能である。)が好ましい。より好ましい単量体混合物(b)は、アクリル酸アルキルエステル単量体60〜100重量%、メタクリル酸アルキルエステル単量体0〜40重量%を含むものである。メタクリル酸アルキルエステル単量体が50重量%以下であれば、得られる成形体、フィルムの耐折曲げ性に優れる。
単量体混合物(b)に含有されるアクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸アルキルエステル等の反応性単量体としては、特に限定されるわけではないが、重合反応性やコストの点から、アルキル基の炭素数が1〜12であるものが好ましい。その具体例としては、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、アクリル酸メチル、アクリル酸n−ブチル等があげられ、これらの単量体は単独で使用してもよく、2種以上を組合せて使用してもよい。
単量体混合物(b)には、必要に応じて、アクリル酸アルキルエステル単量体、メタアクリル酸エステル単量体と共重合可能なエチレン系不飽和単量体等を共重合してもかまわない。共重合可能なエチレン系不飽和単量体としては、例えば、塩化ビニル、臭化ビニル等のハロゲン化ビニル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル、ビニルトルエン、ビニルナフタレン、スチレン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル、蟻酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル、塩化ビニリデン、弗化ビニリデン等のハロゲン化ビニリデン、アクリル酸、アクリル酸ナトリウム、アクリル酸カルシウム等のアクリル酸およびその塩、アクリル酸β−ヒドロキシエチル、アクリル酸ジメチルアミノエチル、アクリル酸グリシジル、アクリルアミド、N−メチロ−ルアクリルアミド等のアクリル酸アルキルエステル誘導体、メタクリル酸、メタクリル酸ナトリウム、メタアクリル酸カルシウム等のメタクリル酸およびその塩、メタクリルアミド、メタクリル酸β−ヒドロキシエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸グリシジル等のメタクリル酸アルキルエステル誘導体等があげられる。これらの単量体は単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
本発明におけるアクリル酸アルキルエステル系架橋弾性体粒子(B)は、1分子あたり2個以上の非共役な反応性二重結合を有する多官能性単量体(以下、単に「他官能性単量体」と称することがある。)が共重合されるため、通常、得られる重合体が架橋弾性を示す。また、アクリル酸アルキルエステル系架橋弾性体粒子(B)存在下における単量体混合物(A)の重合時に、反応せずに残った多官能性単量体の一方の反応性官能基(二重結合)がグラフト交叉点となって、単量体混合物(A)の一部が、アクリル酸アルキルエステル系架橋弾性体粒子(B)にグラフト化されるものと考えられる。
本発明において用いられる多官能性単量体としては、例えば、アリルメタクリレート、アリルアクリレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、ジアリルフタレート、ジアリルマレート、ジビニルアジペート、ジビニルベンゼンエチレングリコールジメタクリレート、ジビニルベンゼンエチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラメタクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、ジプロピレングリコールジメタクリレートおよびジプロピレングリコールジアクリレート等があげられる。これらの多官能性単量体は、単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
多官能性単量体の共重合量は、単量体混合物(b)100重量部に対して、0.5〜5重量部が好ましく、1.0〜4重量部がより好ましい。多官能性単量体の共重合量が0.5〜5重量部であれば、耐折り曲げ性、および樹脂の流動性の視点から好ましい。
本発明におけるアクリル酸アルキルエステル系架橋弾性体粒子(B)の平均粒子径は、500〜3000Åが好ましく、500〜2000Åがより好ましく、500〜1500Åがさらに好ましく、600〜1000Åが特に好ましい。平均粒子径が500〜3000Åであれば、耐折り曲げ性、耐折り曲げ白化性および透明性の視点から好ましい。なお、平均粒子径は、粒子径分析装置(LEED&NORTHRUP INSTRUMENTS社のMICROTRAC UPA150)を用いて、光散乱法により測定した値である。
上記(メタ)アクリル系樹脂(C)は、上記アクリル酸アルキルエステル系架橋弾性体粒子(B)の存在下に、メタクリル酸エステルを主成分とする単量体混合体(A)を重合させて得られるものが好ましい。より好ましくは、前記アクリル酸エステル系架橋弾性体粒子(B)5〜75重量部の存在下に、後述する単量体混合物(A)95〜25重量部を少なくとも1段階以上で重合させることより得られるものである。
上記(メタ)アクリル系樹脂(F)は、上記アクリル酸アルキルエステル系架橋弾性体粒子(B)の存在下に、メタクリル酸エステルを主成分とする単量体混合体(E)を重合させて得られるものが好ましい。
本発明においては、(メタ)アクリル系樹脂(F)中のアクリル酸アルキルエステル系架橋弾性体粒子(B)の含有量は、(メタ)アクリル系樹脂(F)全体を100重量%とした場合、30重量%を超えて60重量%以下が好ましく、35〜55重量%がより好ましい。アクリル酸アルキルエステル系架橋弾性体粒子(B)の含有量が上記範囲であれば、不飽和カルボン酸または/およびその誘導体を含む単量体混合物(E)の乳化重合時のラテックスが安定となり好ましい。
単量体混合物(A)は、(メタ)アクリル酸直鎖アルキルエステル80〜99重量%および(メタ)アクリル酸第三ブチルエステル1〜20重量%を含むものが好ましく、(メタ)アクリル酸直鎖アルキルエステル85〜99重量%および(メタ)アクリル酸第三ブチルエステル1〜15重量%がより好ましい。(メタ)アクリル酸第三ブチルエステルが1重量%以上であれば、得られるフィルムの金属蒸着の密着性が向上し、無色透明性、耐折曲げ性、耐熱性が向上する。また(メタ)アクリル酸第三ブチルエステルが20重量%以下であれば、製造設備の腐食が発生しにくく、得られるフィルムの耐アルカリ性を改善することができる。
単量体混合物(A)に使用される(メタ)アクリル酸直鎖アルキルエステルとしては、特に限定されるわけではないが、重合反応性やコストの点から、アルキル基の炭素数が1〜12であるものが好ましい。その具体例としては、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、アクリル酸メチル、アクリル酸n−ブチル等があげられ、これらの単量体は単独で使用してもよく、2種以上を組合せて使用してもよい。
単量体混合物(A)には、必要に応じて、(メタ)アクリル酸直鎖アルキルエステル単量体、(メタ)アクリル酸第三ブチルエステル単量体と共重合可能なエチレン系不飽和単量体等を共重合してもかまわない。共重合可能なエチレン系不飽和単量体の具体例は、前記架橋弾性体粒子(B)で用いられるものが同様に使用可能である。
単量体混合物(E)は、不飽和カルボン酸または/およびその誘導体10重量%を超えて35重量%以下、メタクリル酸アルキルエステル50重量%以上90重量%未満およびアクリル酸アルキルエステル0重量%以上40重量%未満を含むものが好ましく、不飽和カルボン酸または/およびその誘導体10重量%を超えて30重量%以下、メタクリル酸アルキルエステル60重量%以上90重量%未満およびアクリル酸アルキルエステル0重量%以上40重量%未満を含むものがより好ましい。
不飽和カルボン酸または/およびその誘導体の具体例としては、メタクリル酸、アクリル酸、これらの無水化物、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、α−ヒドロキシメチルアクリル酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、アコニット酸、メチレンマロン酸、α−メチレングルタール酸、等があげられ、重合性の観点からメタクリル酸、アクリル酸が好ましい。これらの単量体は単独で使用してもよく、2種以上を組合せて使用してもよい。
単量体混合物(A)のメタクリル酸アクリルエステルおよびアクリル酸アルキルエステルが、単量体混合物(E)についても同様に使用できる。必要に応じて、単量体混合物(E)には、単量体混合物(A)に含有されうる共重合可能なエチレン系不飽和単量体を同様に含有させてもよい。
上記アクリル酸アルキルエステル系架橋弾性体粒子(B)の存在下における単量体混合体(A)または(E)の重合において、単量体混合物(A)または単量体混合物(E)は、アクリル酸アルキルエステル系架橋弾性体粒子(B)にグラフト化されうるものがある他、アクリル酸アルキルエステル系架橋弾性体粒子(B)にグラフト反応せずに、未グラフトの重合体となる成分(フリーポリマー)にもなりうる。
(メタ)アクリル系樹脂(C)または(F)の一部[アクリル酸アルキルエステル系架橋弾性体粒子(B)、およびアクリル酸アルキルエステル系架橋弾性体粒子(B)にグラフト化された(A)または(E)]は、メチルエチルケトンに不溶となる。
(メタ)アクリル系樹脂(C)または(F)のグラフト率は、50〜200%が好ましく、70〜160%がより好ましい。グラフト率が上記範囲であれば、得られる(メタ)アクリル系樹脂フィルムの無色透明性、折り曲げ白化性の面から好ましい。なお、(メタ)アクリル系樹脂のグラフト率とは、以下の方法で算出したものである。すなわち、(メタ)アクリル系樹脂(C)または(F)1gをメチルエチルケトン40mlに溶解させ、遠心分離機(日立工機(株)製、CP60E)を用い、回転数3000rpmにて、1時間遠心分離し、デカンテーションにより、メチルエチルケトンに対する不溶分と可溶分とに分離する。得られたメチルエチルケトン不溶分を、アクリル酸エステル系架橋弾性体含有グラフト共重合体として、得られた次式により算出した。
グラフト率(%)={(メチルエチルケトン不溶分の重量−アクリル酸アルキルエステル系架橋弾性体粒子(B)の重量)/アクリル酸アルキルエステル系架橋弾性体粒子(B)の重量}×100
本発明の(メタ)アクリル系樹脂(C)または(F)の製造方法は特に限定されず、公知の乳化重合法、乳化−懸濁重合法、懸濁重合法などが適用可能であるが、乳化重合法が特に好ましい。
単量体混合物(b)の重合、およびアクリル酸アルキルエステル系架橋弾性体粒子(B)存在下における単量体混合物(A)または(E)の重合における開始剤としては、公知の有機系過酸化物、無機系過酸化物、アゾ化合物などの開始剤を使用することができる。具体的には、第三ブチルハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、スクシン酸パーオキサイド、パーオキシマレイン酸第三ブチルエステル、クメンハイドロパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド等の有機過酸化物や、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム等の無機過酸化物、さらにアゾビスイソブチロニトリル等の油溶性開始剤も使用される。これらの開始剤は単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。これらの開始剤は亜硫酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、ナトリウムホルムアルデヒドスルフォキシレート、アスコルビン酸、ヒドロキシアセトン酸、硫酸第一鉄、硫酸第一鉄とエチレンジアミン四酢酸2ナトリウムの錯体なとの還元剤と組み合わせた通常のレドックス型開始剤として使用してもよい。
前記有機系過酸化物は、重合系にそのまま添加する方法、単量体に混合して添加する方法、乳化剤水溶液に分散させて添加する方法など、公知の添加法で添加することができるが、透明性の点から、単量体に混合して添加する方法あるいは乳化剤水溶液に分散させて添加する方法が好ましい。
また、前記有機系過酸化物は、重合安定性、粒子径制御の点から、2価の鉄塩等の無機系還元剤および/またはホルムアルデヒドスルホキシル酸ソーダ、還元糖、アスコルビン酸等の有機系還元剤と組み合わせたレドックス系開始剤として使用するのが好ましい。
前記乳化重合に使用される界面活性剤にも特に限定はなく、通常の乳化重合用の界面活性剤であれば使用することができる。具体的には、例えば、アルキルスルホン酸ナトリウム、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ジオクチルスルフォコハク酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム等の陰イオン性界面活性剤や、アルキルフェノール類、脂肪族アルコ−ル類とプロピレンオキサイド、エチレンオキサイドとの反応生成物等の非イオン性界面活性剤等が示される。これらの界面活性剤は単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。更に要すれば、アルキルアミン塩等の陽イオン性界面活性剤を使用してもよい。
単量体混合物(b)、およびアクリル酸アルキルエステル系架橋弾性体粒子(B)存在下における単量体混合物(A)または(E)の重合における開始剤の添加量は、単量体混合物(b)、または単量体混合物(A)もしくは(E)100重量部に対し、0.03〜3.5重量部の範囲が好ましく、0.1〜2.5重量部がより好ましく、0.2〜1.5重量部がさらに好ましい。開始剤の添加量が上記範囲であれば、得られる(メタ)アクリル系樹脂組成物の機械強度、成形加工性の視点から好ましい。
本発明においては、単量体混合物(A)または(E)を重合して得られるポリマーの分子量を制御するために、連鎖移動剤を使用することが可能である。連鎖移動剤としては、例えば、メチルメルカプタン、エチルメルカプタン、イソプロピルメルカプタン、n−ブチルメルカプタン、第三ブチルメルカプタン、n−ヘキシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、n-ドデシルメルカプタン、エチルチオグリコレート、メルカプトエタノール、チオ−β−ナフトール、チオフェノール、ジメチルジスルフィド等が用いられる。これらの連鎖移動剤は単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。
連鎖移動剤の使用量としては、単量体混合物(A)または(E)100重量部に対し、0.02〜2.2重量部の範囲が好ましく、0.1〜1.5重量部がより好ましく、0.2〜1.0重量部がさらに好ましい。連鎖移動剤の使用量が上記範囲にあれば、得られる(メタ)アクリル系樹脂組成物の機械強度、成形加工性の観点から好ましい。
(メタ)アクリル系樹脂(C)または(F)が、乳化重合等により、ラテックスとして得られた場合は、凝固、洗浄および乾燥の操作により、または、スプレー乾燥、凍結乾燥などによる処理により、(メタ)アクリル系樹脂(C)または(F)を分離、回収することができる。
本発明の好ましい第一の形態として、(メタ)アクリル系樹脂組成物には、上記(メタ)アクリル系樹脂(C)を加熱処理することによって得られるものを含有することが好ましい。ここでいう「加熱処理」とは、(メタ)アクリル系樹脂(C)を所定の温度にて加熱することにより、(メタ)アクリル酸第三ブチルエステル基から第三ブチル基をイソブチレンとして熱脱離させ、カルボン酸基へと変換する工程をさす。
加熱処理は、(メタ)アクリル系樹脂(C)を加熱できるものであれば特に限定されないが、(メタ)アクリル系樹脂(C)を均一に加熱できる方法として、押出機による溶融混練が好ましい。
カルボン酸基を形成させるための加熱処理の温度は、200〜320℃が好ましく、220〜300℃がより好ましい。加熱処理温度が200〜320℃の温度であれば、第三ブチル基の脱離が起こりやすく、カルボン酸基が形成されやすいために好ましく、また、(メタ)アクリル系樹脂組成物の透明性の点から好ましい。
本発明において、加熱処理に押出機を用いる場合は、例えば、単軸押出機、二軸押出機あるいは多軸押出機等があげられるが、単軸押出機が好ましく、二軸押出機がより好ましい。二軸押出機には非噛合い型同方向回転式、噛合い型同方向回転式、非噛合い型異方向回転式、噛合い型異方向回転式が含まれる。これらの押出機は、単独で用いても、直列につないでも構わない。
押出機を使用する場合は、副生するイソブチレンを除去するために、大気圧以下に減圧可能なベント口を装着することが好ましく、多段のベント口を装着することがより好ましい。また、本発明で使用する押出機は、多段のベント口を有していることが好ましいが、ベント口の圧力をゲージ圧力で−0.09MPa以下に制御することが好ましい。ベント口の圧力が−0.09MPaより高いと、残存する単量体や副生成物の除去効率が落ちる傾向がある。
本発明の加熱処理には、押出機の代わりに、例えば、住友重機械工業(株)製のバイボラックのような横型二軸反応装置やスーパーブレンドのような竪型二軸攪拌槽などの高粘度対応の反応装置も好適に使用できる。
バッチ式反応で製造する場合のバッチ式反応槽(圧力容器)としては、重合体を加熱できる構造であれば特に制限ない。例えば、住友重機械工業(株)製の撹拌槽マックスブレンドなどを例示することができる。
またペレット化時に樹脂中に含まれる異物を除去する目的で例えば長瀬産業(株)製のデナフィルター等のステンレス繊維を焼結したメッシュ多段に重ねて使用することが出来る。
本発明における加熱処理する時間は30分以下が好ましく、20分以下がより好ましい。反応時間が30分を超えると熱履歴により樹脂の分解が起こり、フィルムの黄色度(Yellowness Index)が増加する傾向がある。
本発明において、(メタ)アクリル系樹脂(C)を加熱処理する際には、一般に用いられる酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、ラジカル捕捉剤などの耐候性安定剤や、触媒、可塑剤、滑剤、帯電防止剤、着色剤、収縮防止剤、抗菌・脱臭剤、艶消し剤等を、単独または2種以上組み合わせて、金属密着性が損なわれない範囲で添加してもよい。また、(メタ)アクリル系樹脂組成物に後述の熱可塑性樹脂を配合する場合、(メタ)アクリル系樹脂(C)を熱可塑性樹脂と一緒に加熱処理してもよい。なお、これらの添加剤は、(メタ)アクリル系樹脂組成物を成形加工する際に添加することも可能である。
本発明における熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリグルタルイミド、無水グルタル酸樹脂、ラクトン環化メタクリル系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、メタクリル酸メチル−スチレン共重合体、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂等があげられる。これらの中では、(メタ)アクリル系樹脂が(メタ)アクリル樹脂(C)および(F)との相溶性、分散性、粘度、フィルムにしたときの外観、耐候性、透明性の点から、好ましい。
本発明における熱可塑性樹脂として(メタ)アクリル系樹脂を用いる場合、メタクリル酸アルキルエステル50〜100重量%、アクリル酸アルキルエステル0〜50重量%および(メタ)アクリル酸0〜20重量%を含有する単量体混合物を、少なくとも1段以上で共重合させてなるものが好ましく、より好ましくは、メタクリル酸アルキルエステル60〜100重量%、アクリル酸アルキルエステル0〜40重量%および(メタ)アクリル酸0〜15重量%を含有するものがより好ましい。特に、得られるフィルムの硬度、剛性を重視する場合には、(メタ)アクリル系樹脂の単量体混合物組成としては、メタクリル酸メチルを80重量%以上含有するものが好ましく、85重量%以上含有するものが特に好ましい。
本発明においては、(メタ)アクリル系樹脂組成物中のアクリル酸アルキルエステル系架橋弾性体粒子(B)の含有量は、(メタ)アクリル系樹脂組成物全体を100重量%とした場合、5〜40重量%が好ましく、10〜35重量%がより好ましい。アクリル酸アルキルエステル系架橋弾性体粒子(B)の含有量が上記範囲であれば、得られる(メタ)アクリル系樹脂組成物の成形加工性、耐衝撃性、耐折り曲げ性の観点から好ましい。
本発明において配合する熱可塑性樹脂の酸価は、0.2mmol/g以上が好ましく、0.4mmol/g以上がより好ましい。熱可塑性樹脂の酸価が0.2mmol/g以上であれば、得られる(メタ)アクリル系樹脂フィルムの金属との蒸着密着性が高くなることから好ましい。
本発明の(メタ)アクリル系樹脂組成物には、公知のゴム含有(メタ)アクリル系樹脂を含有させてもよい。ただし、上記記載の樹脂成分など、酸価を与えうる成分と配合して本発明の酸価を満たすように調整する必要はある。
本発明における(メタ)アクリル系樹脂組成物の、260℃、122秒−1における溶融粘度は、30000ポイズ以下が好ましく、25000ポイズ以下がより好ましく、20000ポイズ以下がさらに好ましい。溶融粘度が30000ポイズを超える場合には、成形加工性が悪化し、精密なフィルムを得ることができない場合がある。本発明における「成形加工性」とは、溶融押出フィルム成形、ブロー成形などのような溶融押出法によってフィルムに加工する際に、転写不良、シルバー、フィッシュアイ、ダイライン、厚みむら、発泡などの欠陥が発生し難く、精密な成形が容易である特性のことをいう。ただし、溶融粘度が2000ポイズ未満では、フィルムの引き取りが困難となる場合がある。
本発明における「溶融粘度」とは、熱可塑性樹脂が熱により溶融した時の流れ特性であり、せん断応力とせん断速度との比をいい、東洋精機製作所製キャピログラフにおいて、直径1mm×長さ10mmのキャピラリーを用いて、JIS K7199に準じ、せん断速度122秒−1、温度260℃における溶融粘度を測定した値である。単位はポイズで表す。
本発明の(メタ)アクリル系樹脂組成物の溶融粘度は、以下の観点から調整することができる。すなわち、本発明の(メタ)アクリル系樹脂組成物に上記(メタ)アクリル系樹脂(C)または(F)を使用する場合、(メタ)アクリル系樹脂(C)または(F)においては、(1)グラフト率が高いほど、(2)単量体混合物(A)から得られる重合体の重量平均分子量Mwが大きいほど、溶融粘度は高くなる傾向がある。また、(3)単量体混合物(A)の単量体組成としては、メタクリル酸第三ブチルエステルよりもアクリル酸第三ブチルエステルを用いる方が、単量体混合物(E)の単量体組成としては、メタクリル酸よりもアクリル酸を用いる方が溶融粘度は低くなる傾向があり、(4)メタクリル酸メチルの組成比を低くし、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル等のアクリル酸アルキルエステルの組成比を増大させる方が、溶融粘度は低くなる傾向がある。
他方、熱可塑性樹脂としてメタクリル系樹脂を併用する場合、(1)重量平均分子量Mwが大きいほど、溶融粘度は高くなる傾向があり、(2)メタクリル酸メチルの組成比を低くし、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル等のアクリル酸アルキルエステルの組成比を増大させる方が、溶融粘度は低くなる傾向がある。
本発明の(メタ)アクリル系樹脂組成物のガラス転移温度は、80〜140℃であることが好ましく、90〜140℃であることがより好ましい。ガラス転移温度が80℃以上であれば金属蒸着時の熱による変形が小さく、耐熱性のあるフィルムとなることから好ましい。またガラス転移温度が140℃以下であれば、真空成形加工が容易であることから好ましい。
染料や顔料などの着色剤、艶消し剤、紫外線吸収剤などの添加剤を入れてもよいが、添加量によって金属密着性が低下することがあるため、入れない方が好ましい。
本発明のアクリル系樹脂フィルムの他方の表層の樹脂として酸価が0.1mmol/g以下である公知のアクリル系樹脂を使用してよい。耐アルコール性の観点から酸価が、0.1mmol/g以下が好ましく、0mmol/gが最も好ましい。
市販のスミペックスLG(住友化学株式会社製)、スミペックスEX(住友化学株式会社製)やスミペックスMM(住友化学株式会社製)などのメタクリル系重合体を用いてもよい。耐アルコール性が良好なスチレンを共重合したメタクリルスチレン系樹脂を用いてもよい。スチレンの含有量が多いほど耐アルコール性は向上する。加工性を上げるためにアクリル系弾性体グラフト共重合体を配合してもよい。アクリル系弾性体グラフト共重合体およびメタクリル系重合体からなる樹脂を用いても良い。例えばアクリル系弾性体グラフト共重合体としてM−210 (株式会社カネカ製)、メタクリル系重合体としてスミペックスEX(住友化学株式会社製)を配合した樹脂を用いてもよい。アクリル系弾性体グラフト共重合体の含有量は0重量%以上50重量%以下が好ましい。50重量%より多い場合、耐アルコール性が低下するためである。
染料や顔料などの着色剤や艶消し剤を入れてもよい。染料として一般的な染料を用いてもよい。顔料として有機顔料、無機顔料を使用してもよく、分散の為に滑剤や分散剤を含有したものを使用しても良い。チオキサンテン系、ペリレン系、クマリン系、メチン系、ベンゾピラン系、チオインジゴ系、アンスラキノン系等の有機染料やフタロシアニン等の有機顔料を添加することができる。金属層を付けた場合、着色フィルム単体では出せない金属調の意匠を出すことができる。一般的な銀色の金属(アルミ、スズ、インジウム、クロムなど)を用いた場合でも、黄系のフィルムを用いると金のような外観を持つことができる。
染料を用いた場合、成型時に染料が揮発し色が変化することがあることより、色の変化を気にする場合、顔料を用いるのが好ましい。
艶消し剤として、本発明の目的が損なわれない範囲で、公知の艶消し剤、例えば、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、スチレン系樹脂架橋粒子、シリコン系樹脂、シリコン系樹脂架橋粒子、フッ素系樹脂、フッ素系樹脂架橋粒子、シリカ等を単独または2種以上組み合わせて併用してもよい。アクリル系架橋粒子としては、例えばガンツ化成株式会社製 ガンツパールGM0401S、GM0806S、GBM55などが入手可能である。艶消し剤の分散の為に滑剤や分散剤を含有したものを使用しても良い。着色剤や艶消し剤などの添加剤の量は、多層フィルム全体として全光線透過率5%以上になる量を添加するのが好ましい。5%未満では、金属層が最表層側から見ることができず、金属調外観をもたらすことができない。
一般に用いられる酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、ラジカル捕捉剤などの耐候性安定剤や、触媒、可塑剤、滑剤、帯電防止剤、着色剤、収縮防止剤、抗菌・脱臭剤、艶消し剤等を、単独または2種以上組み合わせて、耐アルコール性が損なわれない範囲で添加してもよい。
本発明のアクリル系樹脂フィルムは上記表層以外の層(以下、中間層)を有してもよく、中間層としては公知の樹脂を使用してよい。例えばポリ塩化ビニル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ABS系樹脂、AS系樹脂、MBS系樹脂、MS系樹脂、スチレン系樹脂、メタクリル系樹脂、ポリグルタルイミド、無水グルタル酸ポリマー、ラクトン環化メタクリル系樹脂、ポリフッ化ビニリデン、フッ素系樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、TPO系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂等の組成物があげられ、最表面から見たときの金属外観を発現するためには透明性が必要であるため、透明性の観点よりアクリル系樹脂がより好ましい。ハサミやカッター等の刃物でフィルムを切ったときにクラックを生じにくくしたい場合、ポリカーボネート系樹脂が好ましい。
中間層は、3層以下が好ましく、2層以下が好ましい。3層よりも多い場合、製膜が難しい場合がある。
着色剤や艶消し剤や紫外線吸収剤や赤外線吸収剤などの添加剤を入れて、それらの機能を付与しても良い。
フィルムの積層方法として以下の3つの方法が好ましい。
1つ目は、各層をそれぞれ作成した後で、熱ラミネーションやプレス成形によって積層化させる方法である。通常の溶融押出法であるインフレーション法やTダイ押出法、あるいはカレンダー法、さらには溶剤キャスト法等により良好に加工される。また、インフレーション法やTダイ押出法を用いる場合は、混練不足を防ぐために(メタ)アクリル系樹脂組成物と必要な場合添加剤をブレンドしたものを押出機で押出してペレットを一旦作成してから、インフレーション法やTダイ押出法に用いる押出機でフィルムを作成するのが好ましい。
熱ラミネーションやプレス成形によって積層化させる方法では、層間の密着性が悪い場合、接着剤やプライマーを用いてもよい。
必要に応じて全ての層または一部の層において、(メタ)アクリル樹脂組成物からフィルムを成形する際、フィルム両面をロールまたは金属ベルトに同時に接触させることにより、表面性のより優れたフィルムを得ることも可能である。フィルムを作成時の溶融した樹脂もしくはフィルムを加熱し可塑化させた樹脂にエンボスやヘアーラインの入れることのできる溝のついたロールを通すことで、エンボスや柄やヘアーラインをフィルムに入れてもよい。公知のフィルムにエンボスや柄やヘアーラインの溝をつけ、それを転写することで、エンボスや柄やヘアーラインをつけても良い。または、フィルムにブラシ等で表面を削り傷つけることでヘアーラインを入れても良い。
2つ目の方法は、2層以上押出せる押出機にて積層を作成する方法がある。工数が減るため好ましい。2つ以上の押出機より樹脂を押出し、フィードブロック法・マルチマニホールド法・デュアルスロット法によって積層化してもよい。この方法の場合も1つ目の方法と同様にフィルム両面をロールで挟んで表面平滑性を上げたり、エンボスや柄やヘアーラインをフィルムに入れたりしてもよい。
3つ目は、1つ目および/または2つ目の方法を用いて作成した積層フィルムと単層または積層フィルムを1つ目の方法を用いて積層化させてもよい。
エンボスや柄やヘアーラインなどを入れた場合、凹凸がある面とない面のどちらの面に金属層を持ってきてもよいが、凹凸によってフィルムと金属との密着性が上がるため、凹凸のある面が金属層側に来るように積層するのが好ましい。
ペレット作成に用いる押出機は、ベント口が1個または複数付いたものが好ましい。これは加熱することで酸が無水物化し、水および/またはメタノールおよび/または分解物などを発生するためベント口より除去することで、フィルム作成時の発泡による外観不良を防ぐことができるためである。使用する押出機は単軸や多軸押出機などを使用しても良い。フィルム化する押出機においても、同様な理由でベントの付いているものを使用することが好ましい。
本発明の積層フィルムは、500g荷重での鉛筆硬度が、成形したときに最表面にくる層、つまり酸価が0.1mmol/g以下のアクリル系樹脂層から測定した時に、F以上4H以下が好ましい。傷つきにくさの観点からH以上が好ましい。一方、金属が積層される層、つまり酸価が0.2mmol/g以上1.5mmol/g以下のアクリル系樹脂層から測定したとき、3B以上F以下が好ましい。柔かいほうが金属密着性が良いため、B以下がより好ましい。4B以下では柔らかすぎるため、もう一方の表面から測定したときの鉛筆硬度が低下してしまう場合がある。
本発明の積層フィルムは、膜厚は、50μm以上300μm以下が好ましい。50μm未満では、厚み精度よく成膜が難しい傾向になる。300μmより厚い場合、コストが問題になる場合がある。
酸価が0.1mmol/g以下のアクリル系樹脂層は、5μm以上200μm以下が好ましい。5μm未満では、成膜が難しい場合がある。鉛筆硬度の観点から10μm以上が好ましい。200μmより厚い場合、フィルム全体として硬く割れやすいフィルムとなるため、フィルムの巻取りがしにくい傾向がある。
一方、酸価が0.2mmol/g以上1.5mmol/g以下のアクリル系樹脂層は、5μm以上100μm以下が好ましい。5μm未満では、成膜が難しい場合がある。100μmより厚い場合、もう一方の層から測定した鉛筆硬度が低下する場合がある。
本発明の積層フィルムは、酸価が0.2mmol/g以上1.5mmol/g以下のアクリル系樹脂層の表層に直接金属層を形成されうる。当該表層上に金属膜を形成する方法としては種々の方法が適用できるが、乾式薄膜を形成する乾式プロセス、すなわち真空蒸着、スパッタリング、イオンプレーテング、イオンアシスト蒸着、CVDなどが好ましく、特に真空蒸着、スパッタリングが好ましい方法としてあげられる。真空蒸着するときの金属の加熱方法として、抵抗加熱方式・高周波加熱方式・EB照射加熱方式などが好ましく、アルミ、スズ、インジウムなどの低から中融点の金属は抵抗加熱方式が好ましく、高融点のクロムなどの金属はEB照射加熱が好ましい。バッチ式に蒸着しても良いし、ロールtoロールで蒸着してもよい。生産性の観点からロールtoロールで蒸着するのが好ましい。
蒸着する金属としては、アルミニウム、スズ、インジウム・金・銀・クロムなどの金属を一種以上含んでいるものが好ましい。
金属膜の厚みは金属加飾用としては100〜1500オングストロームが好ましい。下地が透けて見えて良い場合は100〜500オングストロームの膜厚では光が少し透過する状態で用いられ、下地が全く透けない用途では500オングストローム以上の膜厚が用いられる。下地が透けて見える状態では、最表層から下地の色が見える意匠となり、また金属側から光源を当てると光が透過するため光源の種類によって見え方を変えることができる意匠を持つことができる。
金属膜厚が厚くなり過ぎると蒸着層とフィルム層との密着強度が低くなってしまうこと及び2000Å以上ではそれ以上乗せても最表層側からみた外観の変化がないため2000オングストローム以上では加飾用としてはあまり用いられない。ガスバリア性や導電性を付与したい場合は、この限りではない。加飾用途において加熱して延伸して用いる場合、100〜300Åの膜厚が好ましい。100Å未満では金属光沢があまりない場合があり、300Åより厚い場合、加熱して延伸した時、金属がクラックにより白化する場合がある。
蒸着層には2種以上の金属を積層してもよく、また金属薄膜の保護が必要な場合はコーティングやスプレーで保護膜を形成する。
金属膜を形成するタイミングとしては、最下層を含むフィルムに金属膜を作成した後に最表面を含む層と一体化させる方法と、全層の積層フィルムを作成した後に金属膜を作成する方法があるが、いずれの方法を用いてもよいが、生産性の観点より全層の積層フィルムを作成した後に金属層を作成する方法が好ましい。
プラスチック部品に本発明の積層フィルムを成形体にする方法としては、フィルムを金型内に配置しておき、射出成形にて樹脂を充填するフィルム成形、ラミネートインジェクションプレス成形や、フィルムを予備成形した後金型内に配置し、射出成形にて樹脂を充填するフィルム成形、真空圧空成形、TOM成形などがあげられる。
またこれらの成形前に本発明の積層フィルムの金属薄膜面に公知の接着層や粘着層やプライマー層やガスバリア層や水蒸気バリア層を一層以上作成し、公知のフィルム、シートとのラミネートや成形をしてもよい。ロールコーター、バーコーター、ディッピング、スプレー等の公知の方法で作成してもよい。ただしスズ・インジウムを含む金属を用いた場合、金属面側に酢酸エチルやメチルエチルケトンのような有機溶媒にプライマーを溶かしたものを使用する場合、金属とフィルム間が白化しフィルム外観が悪くなることがあるため、白化しないように水やイソプロピルアルコールのような水溶性溶媒に溶かしたプライマーを使用することが好ましい。または、金属面にプライマーを塗らず、貼り合わせをする反対側にのみ塗り、乾燥等した後に溶媒が無い状態で張り合わせてもよい。プライマーを用いずに、金属と基材を両面テープを用いて張り合わせても良い。またホットメルト型の接着シートを用いても良い。ラミネートする樹脂としてはポリ塩化ビニル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ABS系樹脂、AS系樹脂、MBS系樹脂、MS系樹脂、スチレン系樹脂、メタクリル系樹脂、ポリグルタルイミド、無水グルタル酸ポリマー、ラクトン環化メタクリル系樹脂、ポリフッ化ビニリデン、フッ素系樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、TPO系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂等の組成物があげられる。
本発明の積層フィルムは、例えば、自動車内外装、パソコン内外装、携帯内外装、スーツケースなどの加飾分野、太陽電池内外装、太陽電池バックシートなどの太陽電池分野、カメラやVTR、プロジェクター用の撮影レンズやファインダー、フィルター、プリズム、フレネルレンズなどの映像分野、CDプレイヤーやDVDプレイヤー、MDプレイヤーなどの光ディスク用ピックアップレンズなどのレンズ分野、CDプレイヤーやDVDプレイヤー、MDプレイヤーなどの光ディスク用の光記録分野、液晶用導光板、拡散板、バックシート、反射シート、偏光子保護フィルムや位相差フィルムなどの液晶ディスプレイ用フィルム、表面保護フィルムなどの情報機器分野、光ファイバ、光スイッチ、光コネクターなどの光通信分野、自動車ヘッドライトやテールランプレンズ、インナーレンズ、計器カバー、サンルーフなどの車両分野、眼鏡やコンタクトレンズ、内視鏡用レンズ、滅菌処理の必要な医療用品などの医療機器分野、マスキングフィルム、道路標識、浴室設備、床材、道路透光板、ペアガラス用レンズ、採光窓やカーポート、立体看板、照明用レンズや照明カバー、アクリルの反対面から光源から発色させる電飾用看板、建材用サイジングなどの建築・建材分野、遊具、パチンコ台やスロット台内装外装、アトラクション外装などのアミューズメント分野、電子レンジ調理容器(食器)、家電製品のハウジング、玩具、サングラス、文房具などに使用可能である。また転写泊シートを使用した成形品の代替用途としても使用出来る。
本発明は、上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求の範囲に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
以下、実施例および比較例により、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。
以下の製造例、実施例および比較例中の「部」は重量部、「%」は重量%を表す。略号は、それぞれ下記の物質を表す。
BA:アクリル酸ブチル
MA:アクリル酸メチル
MMA:メタクリル酸メチル
EHA:アクリル酸2−エチルへキシル
MAA:メタクリル酸
AlMA:アリルメタクリレート
CHP:クメンハイドロパーオキサイド
tDM:ターシャリードデシルメルカプタン
なお、以下の実施例および比較例で測定した物性の各測定方法は、次のとおりである。
(1)重合転化率の評価
得られたアクリル酸アルキルエステル系架橋弾性体粒子およびアクリル系架橋弾性体グラフト共重合体のラテックスを、各々、熱風乾燥機内にて120℃で1時間乾燥して固形成分量を求め、重合転化率(%)=100×固形成分量/仕込み単量体の式により、重合転化率を算出した。
(2)アクリル酸アルキルエステル系架橋弾性体粒子の平均粒子径の評価
得られたアクリル酸アルキルエステル系架橋弾性体粒子のラテックスを、LEED&NORTHRUP INSTRUMENTS社のMICROTRAC UPA150を用い、光散乱法により体積平均粒子径(Å)を測定した。
(3)酸価の測定
以下の手順に沿って酸価測定を行った。
1)樹脂の滴定:得られたアクリル系架橋弾性体グラフト共重合体または(メタ)アクリル系樹脂組成物の樹脂ペレット0.3gを塩化メチレン37.5mlに溶解後、メタノール37.5mlを添加した。この溶液に、フェノールフタレイン/エタノール溶液(1重量%)を2滴添加した。0.1N水酸化ナトリウム水溶液5mlを添加し、1時間攪拌した。この溶液に0.1N塩酸を滴下して溶液の赤紫色が消失するまでの0.1N塩酸の滴下量A(ml)を測定した。
2)ブランクの滴定:塩化メチレン37.5mlおよびメタノール37.5mlにフェノールフタレイン/エタノール溶液(1重量%)を2滴添加した。これに0.1N水酸化ナトリウム水溶液5mlを添加した。この溶液に、0.1N塩酸を滴下して溶液の赤紫色が消失するまでの0.1N塩酸の滴下量B(ml)を測定した。
3)樹脂中の酸価(酸および酸無水物量の総量)をC(mmol/g)とし、次式で求めた。
C=0.1×(5−A−B)/0.3
(4)耐アルコール性
得られたフィルムの金属層の反対側の表層を用いて評価した。
キムワイプ(日本製紙クレシア社製)にエタノールを数滴染み込ませ、磨耗試験機(HEIDON:新東科学社製)にて500g荷重にて100往復させた。試験中にエタノールが乾燥して蒸発した場合、適宜追加して濡れた状態で試験を実施した。
○:変化が認められない。
△:薄い跡が認められる。
×:艶の低下、白化が認められる。
(5)金属密着性
得られたフィルムの片面に、日本真空技術(株)製[SRC−10−D]を使用して、4.5×10−5Torrでアルミニウム、スズ、インジウム、クロムを真空蒸着した。加熱方法は、クロム以外は抵抗加熱方式、クロムはEB照射方式にて加熱した蒸着したアルミニウム、スズ、インジウムおよびクロムの膜厚は100〜1500オングストロームの範囲になるように設定した。蒸着面側にカッターナイフによって1cm面積中に100個の碁盤目状の切れ込みを付け、セロテープ(登録商標)剥離テストで評価した。
○:蒸着層に剥離が認められない。
△:蒸着層に10マス未満の剥離が認められる。
×:蒸着層に10マス以上の剥離が認められる。
(6)鉛筆硬度
鉛筆硬度をJIS K 5400に従って測定した。
(7)外観
得られたフィルム(厚み75μm)のA4サイズ中にあるフィッシュアイの個数を目視で数えた。次の基準で外観を評価した。
○:0.05mm以上0.2mm未満のサイズのフィッシュアイが250個未満
△:0.05mm以上0.2mm未満のサイズのフィッシュアイが250個以上1000個未満
×:0.05mm以上0.2mm未満のサイズのフィッシュアイが250個以上かつ0.2mm以上のサイズのフィッシュアイが10個以上
(製造例1)
攪拌機付き8L重合装置に、以下の物質を仕込んだ。
脱イオン水 200部
ジオクチルスルフォコハク酸ナトリウム 0.575部
ソディウムホルムアルデヒドスルフォキシレート 0.11部
エチレンジアミン四酢酸−2−ナトリウム 0.005部
硫酸第一鉄 0.001部
重合機内を窒素ガスで充分に置換し実質的に酸素のない状態とした後、内温を60℃にし、表1中C−1に示したアクリル酸アルキルエステル系架橋弾性体粒子の原料混合物[すなわち、BA90%およびMMA10%からなる単量体混合物100部に対し、AlMA1.7部およびCHP0.2部からなる混合物]45部を10部/時間の割合で連続的に添加し、添加終了後、さらに0.5時間重合を継続し、アクリル酸アルキルエステル系架橋弾性体粒子を得た。重合転化率は99.5%であり、平均粒子径は700Åであった。
その後、ジオクチルスルフォコハク酸ナトリウム0.3部を仕込んだ後、内温を60℃にし、表1中C1−1に示した単量体混合物[すなわち、MMA93%、MAA2%およびBA5%からなる単量体成分100部に対し、tDM0.4部およびCHP0.4部からなる混合物]55部を10部/時間の割合で連続的に添加し、さらに1時間重合を継続し、アクリル系架橋弾性体グラフト共重合体のラテックスを得た。重合転化率は99.0%であった。
得られたラテックスを塩化カルシウム水溶液で塩析、凝固し、水洗、乾燥してアクリル系架橋弾性体グラフト共重合体の樹脂粉末C−1を得た。
(製造例2〜4)
製造例1において、アクリル酸アルキルエステル系架橋弾性体粒子および単量体混合物の組成を表1C−2〜C−4に示した組成に各々変更するようにした以外は同様に行い、アクリル系架橋弾性体グラフト共重合体の樹脂粉末C−2〜C−4を得た。
Figure 2013103385
(実施例1)
表2に示す配合でスミペックスEX(住友化学株式会社製、酸価:0mmol/g)およびM−210(株式会社カネカ製、酸価:0mmol/g)を、40mmφベント付き単軸押出機を用いてシリンダ温度を270℃に設定して溶融混練を行い、(メタ)アクリル系樹脂組成物の樹脂ペレット(ペレットA−1)を得た。
表2に示す配合でスミペックスEX(住友化学株式会社製、酸価:0mmol/g)およびアクリル系架橋弾性体グラフト共重合体の樹脂粉末C−2を、40mmφベント付き単軸押出機を用いてシリンダ温度を270℃に設定して溶融混練を行い、(メタ)アクリル系樹脂組成物の樹脂ペレット(ペレットB−1)を得た。
ペレットA−1とペレットB‐1とを各々100℃ 8時間以上乾燥させた。40mmφ(メイン)/32mmφ(サブ)フィードブロック式のTダイフィルム押出機を用い、32mmφ(サブ)にはペレットA−1、40mmφ(メイン)にはペレットB−1を用いて押出した。シリンダ温度を240℃、ダイス温度を240℃フィードブロック240℃に設定して樹脂フィルムを得た。
得られたフィルム(ペレットB側)に、アルミニウムを膜厚1000Åになるように蒸着を実施した。
得られたフィルムの特性を評価し、表2に示す。
(実施例2−4、比較例1−5)
実施例1において、ペレットA−1およびペレットB−1を表2記載の配合に各々変更するようにした以外は同様にして樹脂フィルムを得た。実施例4にはスミペックスLG(住友化学株式会社製、酸価:0mmol/g)を用いた。
得られた各フィルムの特性を評価し、表2に示す。
(実施例5−6、比較例6−7)
実施例1において、ペレットA−1およびペレットB−1を表2記載の配合に各々変更するようにした以外は同様にして樹脂フィルムを得た。
添加剤として以下のものを使用した。
染料:Hostasol Yellow 3G クラリアント株式会社製
艶消し剤:GM0401S ガンツ化成株式会社製(架橋アクリル粒子)
滑剤:WAX‐E BASF株式会社製
得られたフィルムの特性を評価し、表2に示す。
Figure 2013103385
実施例1−6で得られた樹脂フィルムは、金属密着性、外観、耐アルコール性ともに良かった。一方、比較例1で得られた樹脂フィルムは金属密着性が良かったが、フィルムの外観が悪かった。比較例2で得られた樹脂フィルムは、金属密着性が悪かった。比較例3−4で得られた樹脂フィルムは、耐アルコール性が悪かった。比較例5‐7は、金属密着性が悪かった。
(実施例7−11)
実施例1で得られた樹脂フィルムに、アルミニウム、スズ、インジウムを膜厚が300Åになるように、クロムおよび酸化ケイ素を膜厚が600Åになるように蒸着した。
表3に示すとおり、金属密着性はいずれも良好であった。
Figure 2013103385
(実施例12−14)
表層フィルムとして、実施例1で作製したペレットA−1およびペレットB−1を、各々、100℃で8時間乾燥させた後に単層40mmφ押出機でフィルムを作製した。
中間層フィルムとして、ポリフッ化ビニリデン、メタクリル樹脂、ポリカーボネートを、各々、単層40mmφ押出機でフィルムを作製した。
得られた2つの表層フィルムの間に中間層フィルムを介してプレス機にて280℃で70kg/cmの力で4分プレスして三層のフィルムを作成し、蒸着し、評価を行った。
メタクリル樹脂およびポリカーボネートには、以下のものを使用した。
ポリカーボネート:ユーピロンH2000 (三菱エンジニアリングプラスチック株式会社製)
メタクリル樹脂:スミペックスEX (株式会社住友化学製)
を使用した。
Figure 2013103385
実施例12−14は、金属密着性、外観、耐アルコール性ともに良かった。実施例12は、実施例1に比べカッターで切ったときにクラックが減少した。

Claims (7)

  1. 一方の表層は酸価が0.1mmol/g以下のアクリル系樹脂層であり、他方の表層は酸価が0.2mmol/g以上1.5mmol/g以下のアクリル系樹脂層である、積層フィルム。
  2. 前記酸価が0.1mmol/g以下のアクリル系樹脂層の表層側の500g荷重での鉛筆硬度がF以上4H以下である、請求項1記載の積層フィルム。
  3. 前記酸価が0.2mmol/g以上1.5mmol/g以下のアクリル系樹脂層の表層側の500g荷重での鉛筆硬度が3B以上F以下である、請求項1または2記載の積層フィルム。
  4. 前記酸価が0.1mmol/g以下のアクリル系樹脂層が有機着色剤および/または無機着色剤を含有する、請求項1〜3のいずれかに記載の積層フィルム。
  5. 前記酸価が0.1mmol/g以下のアクリル系樹脂層が有機拡散剤および/または無機拡散剤を含有する、請求項1〜4のいずれかに記載の積層フィルム。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の積層フィルムの、酸価が0.2mmol/g以上1.5mmol/g以下のアクリル系樹脂層の表層に直接金属層が形成されてなる、記載の金属積層アクリル系樹脂フィルム。
  7. 請求項6記載の金属積層アクリル系樹脂フィルムの金属層面に、接着剤層を介して、基材樹脂シートが張り合わされてなる、金属積層アクリル系樹脂シート。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015164794A (ja) * 2013-09-30 2015-09-17 大日本印刷株式会社 加飾シート及び加飾樹脂成形品

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