JP2012171101A - 立体感がある意匠性を持つ化粧シートの製造方法 - Google Patents

立体感がある意匠性を持つ化粧シートの製造方法 Download PDF

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幸展 嶋本
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Abstract

【課題】生産性が高く、さらには立体的な意匠性に優れ、汚れも付着しにくい、真空成形加工に適した、化粧シートの製造方法を提供する。
【解決手段】フェノール系酸化防止剤を0.05部以上含有し、ガラス転移点が95〜115℃の範囲にあるアクリル系樹脂組成物(C)をTダイ法でダイス温度を210〜280℃に設定してフィルム状に押出す工程、エンボス加工を施した凹凸形状を有するシート厚みが0.1〜0.7mmの熱可塑性樹脂シート(X)のエンボス面と前記フィルム状のアクリル系樹脂組成物(C)を積層し一対のロールおよび/またはベルト間で挟みこむ工程を有し、前記アクリル系樹脂組成物(C)と前記熱可塑性樹脂シート(X)を一体化することを特徴とする化粧シートの製造方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、アクリル系樹脂フィルムを積層した化粧シートに関する。
建材、家電製品、カード類、自動車の内外装用等に使用される化粧シートは、立体感を得る為に、従来、熱可塑性の合成樹脂フィルム・シートの表面に、エンボスロールを用いて凹凸形状を転写したり、或いは、熱可塑性の合成樹脂フィルムに柄模様を印刷することにより製造されていた。
しかしながら、合成樹脂フィルム・シートの表面に、エンボスロールを用いて凹凸形状を転写した化粧シートは、エンボスの凹部(谷部)に指紋等の油成分や普段発生する汚れが溜まり、掃除しても深部まできれいにできないので、汚れ易いという欠点がある。また、従来の化粧シートは、真空成形金型を用いた射出成形同時貼合法などに使用する場合には、凹凸形状が変化するという課題があった。
また、皮絞等の絞を写真に撮り、熱可塑性樹脂フィルムに印刷( プリント)したもの(特許文献1)は、平面的で立体感や高級感がないために、その用途は限定されていた。さらに、従来の加飾フィルムは、傷が付きやすく耐久性に問題があった。
これに対して、合成樹脂シートの片面に凹凸形状を形成し、その凹凸形状面側に合成樹脂フィルムを積層されてなる、内部に凹凸形状を有する化粧シートが知られている(特許文献2、特許文献3)。
しかし、特許文献2では、合成樹脂シートと合成樹脂フィルムの積層方法として熱プレス法により融着しており、バッチ方式であるため生産性が低く、非常に高価なシートとなり、使用できる用途が限定される。また、熱プレスにより合成樹脂シートに形成されていた凹凸形状が変形し特徴である立体感を損なう問題、さらにプレス機に挿入する時の作業により異物が混入し易く化粧シートの外観を損なう問題がある。
他方、従来の化粧シートには、真空成形を施した場合、延伸される曲面や端をトリミングした場合に白く変色する問題があるため、真空成形加工が必要な分野(特に、自動車内外装の部材として)使用する場合には著しく用途を限定されていた。
また凹凸のあるエンボスシートとアクリルフィルムの中間層にアクリル樹脂を溶融押出して挟みこむことで積層化する方法もあり、従来のプレス方式と比較すると著しく生産性が向上し、コストも低減できるが、表層のアクリルフィルムを別工程で製造する必要があり、更にコストや生産性を改善する余地があった。(特許文献4)
特開平10−44186号公報 特開平11−277683号公報 特開2005−14374号公報 特開2009−292026号公報
そこで、本発明では、内部に凹凸形状を有することにより、立体的な意匠性に優れ、かつ、真空加工性に優れた化粧シートを、生産性が高く、汚れの付着を抑えながら安価に作製できる製造方法を提供することを目的としている。
本発明者らは、上記問題点について鋭意検討の結果、エンボス加工による凹凸形状を有する合成樹脂シート(X)の凹凸面の表面に、特定のガラス転移温度を有し、且つ特定の酸化防止剤を配合したアクリル系樹脂組成物(C)を溶融状態でフィルム状に押出して、挟圧することにより(「押出ラミネート法」により積層することにより)、立体的な意匠性に優れ、真空成形加工に適した化粧シートを、生産性が高く、汚れの付着を抑えながら製造できることを見出した。
すなわち、本発明は、
(1) フェノール系酸化防止剤を0.05部以上含有し、ガラス転移点が95〜115℃の範囲にあるアクリル系樹脂組成物(C)をTダイ法でダイス温度を210〜280℃に設定してフィルム状に押出す工程、エンボス加工を施した凹凸形状を有するシート厚みが0.1〜0.7mmの熱可塑性樹脂シート(X)のエンボス面と前記フィルム状のアクリル系樹脂組成物(C)を積層し一対のロールおよび/またはベルト間で挟みこむ工程を有し、前記アクリル系樹脂組成物(C)と前記熱可塑性樹脂シート(X)を一体化することを特徴とする化粧シートの製造方法。
(2) 熱可塑性樹脂シート(X)に施されたエンボス加工の凹凸形状の高さH1が20〜200μmである(1)に記載の化粧シートの製造方法。
(3) アクリル系樹脂組成物(C)が、平均粒子径が50〜300nmであるアクリル系ゴム状重合体(A−a)を含むアクリル系グラフト共重合体(A)を含有する(1)または(2)に記載の化粧シートの製造方法。
(4) アクリル系樹脂組成物(C)が、アクリル系ゴム状重合体(A−a)を含むアクリル系グラフト共重合体(A)、およびメタクリル酸メチル単位を80重量%以上含有するメタクリル系重合体(B)を含む樹脂組成物である(1)〜(3)のいずれかに記載の化粧シートの製造方法。
(5) (4)に記載の化粧シートを表皮として有する成形品。
本発明の製造方法により、立体的な意匠性に優れ、かつ、真空成形加工に適する化粧シートを、生産性よく、汚れの付着を抑えながら、安価に製造できる。本発明の製造方法により得られた化粧シートは、真空成形加工性に優れるため、射出成形同時貼合法等により成形品を作製することが可能である。
本発明における、化粧シートの成形前後での、熱可塑性樹脂シート(X)の凹凸形状の高さを説明するための模式図である。
本発明における化粧シートとは、エンボス加工を施した凹凸形状を有する熱可塑性樹脂シート(X)の凹凸面の表面に、特定のガラス転移温度を有し、且つ特定のアクリル系樹脂組成物(C)を溶融状態でフィルム状に押出した後、該積層体を2本の金属ロールおよび/または金属ベルトで挟圧することにより得られる化粧シートである。言い換えるならば、本発明における化粧シートとは、エンボス加工を施した凹凸形状を有する熱可塑性樹脂シート(X)の凹凸面上に、押出ラミネート法により、特定の溶融粘度およびガラス転移温度を有するアクリル系熱可塑性樹脂(C)を積層一体化してなる化粧シートである。
本発明における熱可塑性樹脂シート(X)を構成する樹脂としては、公知の樹脂を使用することができ、例えば、ABS系樹脂、AES系樹脂、MBS系樹脂、MS系樹脂、AS系樹脂、TPO系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、フッ素系樹脂、ポリエチレンテレフタレート系樹脂が挙げられ、ABS系樹脂、AES系樹脂、TPO系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、MBS系樹脂が、エンボス加工された凹凸形状が潰れ難いことから好ましい。
本発明における熱可塑性樹脂シート(X)を構成する樹脂には、公知の添加剤(顔料、染料、熱安定剤、酸化防止剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、滑材、拡散剤、高分子加工助剤など)を配合することができ、エンボス加工による凹凸形状を入り易くするために、ランダムPPやタルクを配合することが好ましい。また、顔料としては、金粉、銀粉、銅粉、アルミニウム粉、ニッケル粉、等の金属粉顔料や、魚鱗粉、酸化チタン被覆雲母等のパール顔料、等の光輝性材料を使用してもよい。
熱可塑性樹脂シート(X)は、カレンダー成形法やTダイ押出法、等により成形でき、生産性の面からカレンダー成形が特に好ましい。カレンダー成形は150〜250℃のロール表面温度で成形することが好ましい。
熱可塑性樹脂シート(X)の厚みは、シート全体を薄くし、凹凸形状を明確に表現することを考慮すると、0.1〜0.7mmが好ましい。シート(X)の厚みが0.1mm以上であれば、所定の柄のエンボスを入れても柔軟性を維持でき、カレンダーロールや溶融押出によるシート成形が容易であることから好ましく、0.7mm以下であれば、コストが安く、インサート成形やインモールド成形等の真空成形時に延伸不良が発生しにくいことから好ましい。
熱可塑性樹脂シート(X)に施される凹凸形状の高さH1[凸部(山部)と凹部(谷部)との差]は、充分な凹凸感が得られれば特に規定されないが、シート厚みとの兼ね合いにもよるが、20〜200μmが好ましく、20〜180μmがより好ましい。凹凸形状の高さH1が20μm以上であれば、積層工程後も凹凸が残り易い為に、化粧シートの意匠性が立体的に見えることから好ましい。また、凹凸形状の高さH1が200μm以下であれば、凹部に樹脂が入り込み易く、気泡等の外観不良が発生しにくいことから好ましい。
本発明において、熱可塑性樹脂シート(X)に凹凸形状を賦形する方法としては、凹凸形状を彫刻されたエンボスロールを用いてプレスすることが生産性の面から好ましい。凹凸形状を転写された熱可塑性樹脂シート(X)は一旦巻き取ってからも使用できるが、凹凸形状の転写工程に連続して、アクリル系樹脂組成物(C)と積層一体化する連続工程とすることも可能である。
エンボスロールとしては、例えば、鉄、銅、ニッケル、等の金属ロール、シリコン等のゴムロールを使用することができる。エンボスロールに彫刻される凹凸形状としては、幾何学模様、ローレット模様、皮調模様、布調模様、カーボン模様、木目模様、ヘアーライン模様等が好ましく使用できる。
本発明における化粧シート表面、及び熱可塑性樹脂シート(X)表面には、印刷やコーティングをすることが出来る。印刷柄としては、例えば、木目や単色、多色柄を施すことができる。印刷インキは公知の樹脂を使用することができる。また、印刷インキとして、上述の金属粉顔料、パール粉顔料等の光輝性材料を含むものを使用してもよい。
本発明におけるアクリル系樹脂組成物(C)の厚みは20〜300μmが好ましく、50〜300μmがより好ましい。アクリル系樹脂組成物(C)の厚みが20μm以上であれば、厚みにより深みのある意匠性を得ることができる。アクリル系樹脂組成物(C)の厚みが300μm以下であれば、押出ラミネートする最の温度を低くしても熱が伝わり易いことから、ロールのプレス圧力を低く抑えることができ、生産性が上がることから好ましい。
本発明におけるアクリル系樹脂組成物(C)としては、加熱温度260℃におけるせん断速度122(1/sec)での溶融粘度が2500Pa・sec以下であることが好ましく、2000Pa・sec以下であることがより好ましい。アクリル系樹脂組成物(C)の溶融粘度が2500Pa・sec以下であれば、Tダイ法でのフィルム成形時に押出機への負荷が小さく、吐出量を増やし、生産性が向上することができ、また、熱可塑性樹脂シート(X)の凹凸形状に入り込み易く、気泡が発生しにくいことから、好ましい。
なお、本発明における溶融粘度は、以下の操作により測定した値である。すなわち、キャピログラフ(東洋精機(株)製、オリフィス径φ1mm、L=10mm)を使用して、260℃の温度条件にて溶融状態とした後、剪断速度122(1/sec)にて鉛直方向に吐出させた際に、シェアストレスを検出し、溶融粘度を測定した。
本発明における化粧シートの製造方法は、エンボス加工を施した凹凸形状を有する熱可塑性樹脂シート(X)の凹凸面の表面にアクリル系樹脂組成物(C)を溶融状態でフィルム状に押出した後、該積層体を2本のロールおよび/またはベルトで挟み込むことにより一体化させる製造方法である。
本発明におけるアクリル系樹脂組成物(C)は、押出機中にて溶融状態とされた後、押出機の先端に接続されたフラットダイ(Tダイ)等を通してフィルム状に押し出され(Tダイ法)、別途繰り出される熱可塑性樹脂シート(X)の凹凸面の表面に導かれる。
アクリル系樹脂組成物(C)の溶融に用いられる押出機としては、単軸押出機または二軸押出機が使用できる。
アクリル系樹脂組成物(C)の溶融時における押出機のシリンダ部の設定温度は120℃〜300℃が好まし。シリンダ部の設定温度が120℃以上であれば、アクリル系樹脂組成物(C)を可塑化しやすく押出負荷が小さいことから、生産性も高くすることができ、好ましい。シリンダ部の設定温度が300℃以下であれば樹脂の分解を抑制することが出来好ましい。また、押出機先端のダイス部の設定温度は、210℃〜280℃にすることが好ましい。Tダイの設定温度を210℃以上に設定することで熱可塑性樹脂シート(X)の凹凸にアクリル系樹脂組成物(C)が入り込みやすいことから好ましく、メルトフラクチャーの発生を抑制出来る。また280℃以下にすることで樹脂の分解が抑制され分子量の低下やダイラインが発生しにくく、熱可塑性樹脂シート(X)の凹凸が変化しにくいことから好ましい。ダイス部の温度設定は、240℃〜280℃とすることがより好ましく、250℃〜280℃とすることが特に好ましい。
本発明でのアクリル系樹脂組成物(C)のフィルム状化におけるTダイリップのクリアランスは、0.2〜2.0mmであることが好ましい。Tダイリップのクリアランスが0.2mm以上であれば、リップ同士の接触がし難く、2.0mm以下であれば、アクリル系樹脂組成物(C)のドローレゾナンスが発生し難いことから、好ましい。
アクリル系樹脂組成物(C)からなるフィルム層の厚みは、20〜300μmが好ましい。アクリル系樹脂組成物(C)からなるフィルム層の厚みが20μm以上であれば、メルトフラクチャーが発生しにくいため好ましく、300μm以下であれば、生産速度を上げることができるため、好ましい。
熱可塑性樹脂組成物(X)/アクリル系樹脂組成物(C)の積層体を、少なくとも一対(2本)のロールおよび/またはベルトにより挟み込むことにより、密着性を向上させることができる。2本のロールおよび/またはベルトの間にアクリル系樹脂組成物(C)と熱可塑性樹脂シート(X)を積層したシートを通して挟み込み、該積層体を一体化する。一対のロールおよび/またはベルトは、ロールとロールの組み合わせ、ベルトとベルトの組み合わせ、ロールとベルトの組み合わせ等が適用できる。
本発明の製造方法においては、ロールおよびベルトとして、例えば、金属ロール、金属ベルト、ゴムロールの他に、薄膜金属ロール[例えば、住友重機械(株)製フレックスロール、Hitz製UFロール等]、鏡面仕上げゴムロール等を使用することができる。
本発明における一対のロールおよび/またはベルトによる挟み込み圧力は、0.01MPa以上が好ましい。挟み込み圧力が0.01MPa以上であれば化粧シートの密着性が向上することから好ましい。
本発明の製造方法においては、Tダイ先端部と2本のロールで挟み込む迄の距離は、300mm以下であることが好ましい。前記距離が300mm以下であれば、アクリル系樹脂組成物(C)のドローレゾナンスが発生しにくいことから好ましい。
本発明に用いられるアクリル系樹脂組成物(C)について、詳しく説明する。
本発明のアクリル系樹脂組成物(C)は、化粧シートの割れ性を向上させ、トリミングや二次成形時に化粧シートが伸ばされた時に白くなりにくいことから、平均重量粒子径が50〜300nmのアクリル系ゴム状重合体(A−a)を含むアクリル系グラフト共重合体(A)を含むことが好ましい。アクリル系ゴム状重合体(A−a)の平均重量粒子径が50nm以上であれば、化粧シートの割れ性を向上させ、自動車内外装部材や家電外装、携帯外装などの成形(インサート成形、インモールド成形)時の3次元加工やトリミング加工時に化粧シートの伸ばされた箇所が白くなりにくく外観意匠性が良いことから好ましく、更に好ましくは60nm以上である。300nm以下であればアクリル樹脂組成物(C)のヘイズを小さくし、透明性を良くすることが出来ることから優れた意匠性を得ることができ好ましく、250nm以下であることが更に好ましい。
本発明におけるアクリル系樹脂組成物(C)は、硬度を高くできる点から、アクリル系ゴム状重合体(A−a)を含むアクリル系グラフト共重合体(A)および、メタクリル酸メチル単位を80重量%以上含有するメタクリル系重合体(B)からなるものであることが好ましい。
アクリル系樹脂組成物(C)をフィルム状にした際の鉛筆筆硬度は、2B以上であれば傷付きにくいことが好ましく、HB以上であることがより好ましく、H以上であることがさらに好ましく、他方、真空成形や印刷時にフィルムが割れ難い点から、3H以下であることが好ましい。
本発明のアクリル系樹脂組成物(C)は、アクリル系グラフト共重合体(A)およびメタクリル系重合体(B)をそれぞれ重合して、これらを混合して得ることができるが、製造に際しては、同一の反応機内でアクリル系グラフト共重合体(A)を製造した後、メタクリル系重合体(B)を続けて製造することもできる。アクリル系グラフト共重合体(A)およびメタクリル系重合体(B)を混合する方法としては、ラテックス状あるいはパウダー、ビーズ、ペレット等で混合が可能である。
本発明で用いられるアクリル系グラフト共重合体(A)としては、アクリル酸エステル系ゴム状重合体[アクリル酸エステルを主成分とした架橋ゴム状重合体](A−a)の存在下に、メタクリル酸エステルを主成分とする単量体混合物(A−b)をグラフト重合して[1段でも良いし、組成を変更させて2段以上で重合しても良い]得られるものが、生産性や物性調整の点から好ましい。
本発明で用いられるアクリル系ゴム状重合体(A−a)は、アクリル酸エステル、共重合可能な他のビニル系単量体および特定量の共重合可能な架橋剤からなる単量体混合物を、重合させてなるものである。
本発明のアクリル系ゴム状重合体(A−a)に用いられるアクリル酸エステルとしては、重合性やコストの点より、アルキル基の炭素数1〜12のものを用いることができる。その具体例としては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸n−オクチル等が挙げられる。これらの単量体は、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明のアクリル系ゴム状重合体(A−a)に用いられる共重合可能な他のビニル系単量体としては、例えば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル等のメタクリル酸エステル類;スチレン、メチルスチレン等の芳香族ビニル類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル類があげられる。これらのうちでは、耐候性、透明性の点から、メタクリル酸エステル類が特に好ましい。これらの単量体は、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明のアクリル系ゴム状重合体(A−a)におけるアクリル酸エステルと共重合可能な他のビニル系単量体との組成比率は、アクリル酸エステル50〜100重量%、および他のビニル系単量体0〜50重量%である[アクリル酸エステルおよび他のビニル系単量体の合計量は100重量%]ことが好ましく、アクリル酸エステル60〜100重量%、および他のビニル系単量体0〜40重量%であることがより好ましく、アクリル酸エステル70〜100重量%および他のビニル系単量体0〜30重量%であることがさらに好ましい。アクリル酸エステルの組成比率が50重量%以上であれば、耐衝撃性が向上し、引張破断時の伸びが向上し、フィルム切断時にクラックが生じにくくなるために好ましい。
本発明のアクリル系ゴム状重合体(A−a)に用いられる架橋剤としては、例えば、アクリルメタクリレート、アリルアクリレート、トリアクリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、ジアリルフタレート、ジアリルマレート、ジビニルアジペート、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、トリメチルロールプロパントリメタクリレート、テトロメチロールメタンテトラメタクリレート、ジプロピレングリコールジメタクリレートおよびこれらのアクリレート類などがあげられる。これらの架橋剤は、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明における共重合可能な架橋剤の添加量wは、アクリル系ゴム状重合体(A−a)の重量平均粒子径と共に、アクリル系樹脂組成物(C)の応力白化、引張破断時の伸びあるいは透明性に大きく影響する。アクリル系樹脂組成物(C)に使用されるアクリル系ゴム状重合体の重量平均粒子径d(nm)と架橋剤量w(重量%)は、0.01d<w≦0.06dを満たすことが好ましい。
架橋剤の添加量wは、上記式に示される範囲内では、応力白化が生じにくく耐衝撃性が低下しにくく、透明性が高い傾向がある。また、架橋剤の添加量wが0.06d以下であれば、スウェル比を大きくでき、アクリル系樹脂組成物(C)をフィルム状に押出す際にダイラインを改善出来ることから好ましい。
なお、本発明におけるアクリル系ゴム状重合体(A−a)の重量平均粒子径dは、50〜300nmが好ましく、50〜280nmがより好ましく、50〜250nmがさらに好ましい。アクリル系ゴム状重合体(A−a)の平均粒子径が50nm以上であれば、アクリル系樹脂組成物(C)の耐衝撃性および引張破断時の伸びが低下しにくく、化粧シート切断時にクラックが生じにくくなり、またアクリル系樹脂組成物(C)の溶融特性としてスウェル比が大きくなることから好ましく、300nm以下であれば、応力白化が生じにくく、透明性、特に真空成形後の透明性(加熱前後の透明性保持)を確保することが出来ることから好ましい。
本発明のアクリル系ゴム状重合体(A−a)の製造においては、上記単量体混合物を全部混合して重合してもよく、また、単量体組成を変化させて2段以上で重合してもよい。
本発明で用いられるアクリル系グラフト共重合体(A)は、好ましくは、前記アクリル系ゴム状重合体(A−a)5〜75重量部の存在下に、メタクリル酸エステルを主成分とする単量体混合物(A−b)95〜25重量部をグラフト重合させることより得られる。
本発明におけるグラフト共重合組成[単量体混合物(A−b)の組成]は、得られるアクリル系樹脂組成物(C)の耐熱性、耐溶剤性の点から、メタクリル酸エステル50〜100重量%およびアクリル酸エステル0〜50重量%[メタクリル酸エステルおよびアクリル酸エステルの合計量は100重量%]が好ましく、メタクリル酸エステル60〜100重量%およびアクリル酸エステル0〜40重量%がより好ましく、得られるアクリル系樹脂組成物(C)の硬度、剛性の点からは、メタクリル酸エステル80〜100重量%およびアクリル酸エステル0〜20重量%がさらに好ましく、メタクリル酸エステル85〜100重量およびアクリル酸エステル0〜15重量%が特に好ましい。グラフト共重合に用いられるメタクリル酸エステルおよびアクリル酸エステルの具体例としては、前記アクリル系ゴム状重合体にて例示したものが使用可能である。
本発明で用いられるアクリル系グラフト共重合体(A)では、(A−b)のグラフト重合において、第1段階でメタクリル酸エステルを86重量%以上含有する単量体混合物をグラフト重合させ、第2段階でメタクリル酸エステルを85重量%以下含有する単量体混合物をグラフト重合させても構わない。第1段階でメタクリル酸エステルを86重量%以上含有する単量体混合物をグラフト重合させ、第2段階でメタクリル酸エステルを85重量%以下含有する単量体混合物をグラフト重合させたものでは、応力白化が生じにくくなるため好ましい。
この際、単量体混合物(A−b)のうち、アクリル系ゴム状重合体(A−a)にグラフト反応せずに、未グラフトの重合体となる成分が生じる。また、アクリル系グラフト共重合体(A)は、メチルエチルケトンに不溶となる。
本発明のアクリル系グラフト共重合体(A)におけるアクリル系ゴム状重合体(A−a)に対するグラフト率は、30〜200%が好ましく、50〜200%がより好ましく、80〜200%がさらに好ましい。グラフト率が30%以上であればアクリル系樹脂組成物(C)の透明性が低下せず、引張破断時の伸びが低下せず、化粧シート切断時にクラックが生じにくくなるため好ましく、200%以下であればアクリル系樹脂組成物(C)を押出しフィルム状に成形時の溶融粘度が高くならず、フィルムの成形性が低下せず好ましい。
なお、グラフト率とは、アクリル系ゴム重合体(A−a)に対するグラフト層(A−b)の割合を測定した値であり、以下の操作により得られるメチルエチルケトン不溶分を、アクリル系ゴム状重合体(A−a)およびグラフト層((A−b)の一部または全部)として、次式により算出する。
グラフト率G(%)={(メチルエチルケトン不溶分の重量−アクリル系ゴム重合体(A−a)の重量)/アクリル系ゴム重合体(A−a)の重量}×100
すなわち、アクリル系グラフト共重合体(A)1gをメチルエチルケトン40mlに添加し、12時間室温で放置後、マグネチックスターラーを用い30分間攪拌を行う。これを遠心分離機(日立工機(株)製、CP60E)を用い30000rpmで1時間遠心分離し、デカンテーションにより、メチルエチルケトン不溶分および可溶分(溶液)に分離する。メチルエチルケトン不溶分に、さらにメチルエチルケトン20mlを加え、同様に遠心分離およびデカンテーションを2回繰り返すことにより、メチルエチルケトン不溶分と可溶分に分離し、メチルエチルケトン不溶分の重量を得ることができる。また、アクリル系グラフト共重合体1g中のアクリル系ゴム重合体の重量は、アクリル系グラフト共重合体(A)を重合する際の仕込み量から算出される。
本発明で用いられるメタクリル系重合体(B)は、得られるアクリル系樹脂組成物(C)の耐熱性、耐溶剤性の点から、メタクリル酸エステル50〜100重量%およびアクリル酸エステル0〜50重量%[メタクリル酸エステルおよびアクリル酸エステルの合計量は100重量%]を含有する単量体混合物を、少なくとも1段以上で共重合させてなるものであるが、より好ましくは、メタクリル酸エステル60〜100重量%およびアクリル酸エステル0〜40重量%を含有するものである。特に、得られるアクリル系樹脂組成物(C)の硬度、剛性を重視する場合には、メタクリル系重合体(B)の単量体混合物組成は、メタクリル酸メチルを80重量%以上含有するものが好ましく、85重量%以上含有するものがより好ましく、90重量%以上含有するものがさらに好ましく、92重量%以上含有するものが特に好ましい。
また、本発明のメタクリル系重合体(B)においては、必要に応じて、メタクリル酸アルキルエステルおよびアクリル酸アルキルエステルに対して共重合可能なエチレン系不飽和単量体を共重合しても構わない。これらの共重合可能なエチレン系不飽和単量体としては、例えば、塩化ビニル、臭化ビニル等のハロゲン化ビニル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル、蟻酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル誘導体、塩化ビニリデン、弗化ビニリデン等のハロゲン化ビニリデン、アクリル酸、アクリル酸ナトリウム、アクリル酸カルシウム等のアクリル酸およびその塩、アクリル酸β−ヒドロキシエチル、アクリル酸ジメチルアミノエチル、アクリル酸グリシジル、アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド等のアクリル酸アルキルエステル誘導体、メタクリル酸、メタクリル酸ナトリウム、メタクリル酸カルシウム等のメタクリル酸およびその塩、メタクリルアミド、メタクリル酸β−ヒドロキシエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸グリシジル等のメタクリル酸アルキルエステル誘導体等があげられ、これらの単量体は2種以上が併用されてもよい。
本発明で用いられるアクリル系樹脂組成物(C)中におけるアクリル系ゴム状重合体(A−a)の含有量は、5〜60重量%が好ましく、10〜55重量%がより好ましい。アクリル系ゴム状重合体(A−a)の含有量が5重量%以上であれば、得られるアクリル系樹脂組成物(C)の引張破断時の伸びが低下せず、応力白化が生じにくくなるため、好ましい。含有量が60重量%以下であれば、得られる化粧シートの硬度、剛性が低下しにくくなるため好ましい。
ここで、アクリル系樹脂組成物(C)に含まれるアクリル系グラフト共重合体(A)のメチルエチルケトン可溶分の還元粘度とは、上記の操作により得られたるメチルエチルケトン可溶分150mgをN,N−ジメチルホルムアミド50mlに溶解させた溶液に対して、JIS K6721に従い、30℃での還元粘度を測定した値である。
すなわち、アクリル系グラフト共重合体(A)をメチルエチルケトン40mlに添加し、12時間室温で放置後、マグネチックスターラーを用い30分間攪拌を行う。これを遠心分離機(日立工機(株)製、CP60E)を用い30000rpmで1時間遠心分離し、デカンテーションにより、メチルエチルケトン不溶分および可溶分(溶液)に分離する。メチルエチルケトン不溶分に、さらにメチルエチルケトン20mlを加え、同様に遠心分離およびデカンテーションを2回繰り返すことによりメチルエチルケトン不溶分と可溶分とに分離する。さらに、メチルエチルケトン可溶分は、該溶液に対してメタノールを添加して析出させ、真空乾燥機を用いて60℃にて10時間乾燥させて、可溶分サンプルを得る。
本発明で用いられるアクリル系樹脂組成物(C)におけるアクリル系グラフト共重合体(A)およびメタクリル系重合体(B)の製造方法は、特に限定されたものではなく、乳化重合法、懸濁重合法、塊状重合法等が適用可能である。
乳化重合法においては、通常の重合開始剤が使用される。その具体例としては、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウムなどの無機過酸化物;クメンハイドロパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイドなどの有機過酸化物;さらにアゾビスイソブチロニトリルなどの油溶性開始剤があげられる。これらは、単独で用いてもよいし、2種以上を組合せて用いてもよい。
これらの開始剤は、亜硫酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、ナトリウムホルムアルデヒド、スルフォキシレート、アスコロビン酸、硫酸第一鉄などの還元剤と組み合わせた通常のレドックス型重合開始剤として使用してもよい。
前記乳化重合に使用される界面活性剤にも特に制限はなく、通常の乳化重合用の界面活性剤であれば使用することができる。その具体例としては、例えば、アルキル硫酸ソーダ、アルキルスルフォン酸ソーダ、アルキルベンゼンスルフォン酸ソーダ、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、ラウリン酸ソーダなどの陰イオン性界面活性剤や、アルキルフェノール類とエチレンオキサイドとの反応生成物などの非イオン性界面活性剤などが示される。これらの界面滑性剤は単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。
このように得られる共重合体ラテックスから、通常の凝固と洗浄により、または、スプレー乾燥、凍結乾燥などによる処理により、アクリル系グラフト共重合体(A)またはメタクリル系重合体(B)が分離、回収される。
本発明のアクリル系樹脂組成物(C)には、着色のため無機または有機系の顔料、染料、拡散剤、艶消し剤、熱や光に対する安定性をさらに向上させるための抗酸化剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、紫外線安定剤などを単独または2種以上組み合わせて添加してもよく、フェノール系の酸化防止剤は0.05部以上配合する必要がある。フェノール系の酸化防止剤を0.05部以上配合することで、ダイス温度を240℃以上に設定した場合にダイラインや樹脂劣化を抑制出来、併せて真空成形後の外観も良好に保てることから好ましい。またフェノール系酸化防止剤の配合量は、さらに好ましくは0.05〜1.5部であることが好ましく、0.1〜1部であることがより好ましい。1.5部以上配合した場合、溶融押出時の揮発ガスが発生しやすく、フィルムの外観が悪くなることがある。
またアクリル系高分子加工助剤を0.1部以上配合することで、樹脂のスウェル比率が大きくなり、ダイスの傷を拾いにくくなることでダイラインが発生しずらくなることから好ましい。
本発明においては、紫外線吸収剤を含有させることにより、耐候性の優れた成形品とすることができる。紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール系の紫外線吸収剤やベンゾフェノン系の紫外線吸収剤を、それぞれ単独で、または2種以上混合して用いることができる。なかでも、高分子量のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、例えば、2,2′−メチレンビス[6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール]などが、耐候性が高く、アクリル系樹脂組成物(C)からの揮発も少ないことから好ましい。
本発明においては、アクリル系グラフト共重合体(A)および/またはメタクリル系重合体(B)に、紫外線吸収性を示す単量体を共重合することもできる。そのことにより、アクリル系重合体(C)の押出成形時に紫外線吸収剤の一部が揮発することなく、押出成形時や熱可塑性樹脂(X)との積層工程においてロールおよび金属ベルト、または、射出成形用金型への揮発成分の付着による汚れが少なくなる。
紫外線吸収性能を示す単量体としては、例えば、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メタクリロイルオキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール類であり、2−(2’−ヒドロキシ−5’−アクリロイルオキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メタクリロイルオキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メタクリロイルオキシエチルフェニル)−5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メタクリロイルオキシプロピルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メタクリロイルオキシエチル−3’−t−ブチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール等が挙げられる。これらのうちでも、より好ましくは、コストおよび取り扱い性から、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メタクリロイルオキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾールである。
紫外線吸収性を示す単量体の共重合比率は、アクリル系グラフト共重合体(A)100重量%に対して、0.01〜5重量%が好ましく、0.05〜5重量%が特に好ましい。共重合比率が0.01〜5重量%の範囲では、アクリル樹脂組成物(C)の耐候性とアクリル系グラフト共重合体(A)の乳化重合時の安定性とのバランスが良好となる。
本発明の製造方法により得られる化粧シートは、前述したように、アクリル系樹脂組成物(C)として、特定粒子径のアクリル系ゴム状重合体を含有するものであるため、化粧シートの割れ性を向上させ、化粧シートが延伸された場合にも白くなりにくいことから、真空成形に好適に使用できる。さらには、化粧シートは、後述するように、真空成形されたシートに対して射出成形法により成形体を形成させる、いわゆる、フィルムインサート法やフィルムインモールド法等の射出成形同時貼合法にも、好適に使用することができる。
本発明の製造方法により得られる化粧シートは、成型品に貼り合わせて使用されることができる。貼り合せ方法は射出成形同時貼合法が好ましいが、特に制限されるものではない。例えば、二次元形状(シート・フィルム状)で、かつ基材が熱融着できる成形品の場合には、熱ラミネーション等の公知の方法を用いることができる。また、熱融着しない成形品に対しては、プライマー層または接着層を介して貼り合せることが可能である。二次元形状の積層品に関しては、真空成形等を行うことにより、三次元形状とすることができ、本発明の化粧シートは特に容易に成形することができる。
三次元形状の成形品の場合には、射出成形時にアクリル系樹脂フィルムを成型品の最表面とするインサート成形法、インモールド成形法等の射出成形同時貼合法、等の公知の方法を用いることができる。射出成形される樹脂としては、種類は問わず、射出成形可能な全ての樹脂が使用可能である。
本発明のアクリル系樹脂フィルムを積層して得られる成形品は、例えば、自動車内装や自動車外装や携帯電話の部材、AV機器の部材、パソコン機器の部材、家具製品、各種ディスプレイ、レンズ、窓ガラス、小物、雑貨等の外観意匠性の必要となる各種用途等に使用することができ、真空成形加工性に優れ、かつ、優れた意匠性を有することから、自動車内外装部材に好ましく使用される。
以下に実施例、比較例により本発明を説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。なお、実施例、比較例にある「部」は重量部、「%」は重量%を表す。
また、略号は、それぞれ下記の物質を表す。
OSA: ソジウムジオクチルスルホサクネシート
BA: アクリル酸ブチル
MMA: メタクリル酸メチル
St: スチレン
AlMA: メタクリル酸アリル
CHP: キュメンハイドロパーオキサイド
tDM: ターシャリードデシルメルカプタン
EA: アクリル酸エチル
得られたフィルムまたは化粧シートの特性評価は、次の方法、条件に従った。
(アクリル系ゴム状重合体の重量平均粒子径)
得られたアクリル系ゴム状重合体(A−a)の平均粒子径は平均粒子径は、粒子径分析装置(LEED&NORTHRUP INSTRUMENTS社のMICROTRAC UPA150)を用いて、光散乱法により測定した値である。
(化粧シートの外観)
得られた化粧シートの断面を観察して、気泡の発生状況を観察し、次の基準にて評価した。
○:気泡が観察されない。
△:気泡が1個〜3個/m観察された。
×:気泡が4個/m以上観察された。
(ダイライン)
得られた化粧シートの表面を30cm離れた位置から目視で観察し、ダイラインの発生している本数を観察した。
○;5本以下、△:6本〜10本、×:11本以上
(メルトフラクチャー)
得られた化粧シートを幅方向は同じ位置で、流れ方向に5cm間隔で10点の膜厚を測定して最大膜厚から最小膜厚を引いた値を算出し、メルトフラクチャー発生による流れ方向での膜厚変動を観察した。
○:10μm以下、△:11μm〜20μm、×:21μm以上
(生産性)
100cm×100cmの化粧シートを10枚作成するのに必要な時間を観察し、1枚当りの時間に換算し、次の基準にて評価した。
○:10枚/10分未満
△:10枚/10分以上〜30分未満
×:10枚/30分以上
(応力白化)
得られた化粧シートを、23℃において1秒間で90度折り曲げて、白化状態を観察し、次の基準にて評価をした。
○:白化が認められない。
△:白化がわずか認められる。
×:白化が著しい。
(フィッシュアイ)
化粧シート表面を目視で観察して、きょう雑物表(大蔵省発行)を使用して、2.0mmサイズ以上のフィッシュアイの個数を測定した。
○:1個以下/m
△:1個/m超、3個/m未満
×:3個以上/m
(真空成形後の化粧シートの外観)
得られた化粧シートを射出成形金型内に配置して、延伸倍率が最大で150%の金型を型閉めした後、成形樹脂温度240℃、金型温度60℃の成形条件で金型内に溶融したABS樹脂を射出し、ABS樹脂と一体化した化粧シート付き成型品の外観を観察した。
○:エンボスが潰れずに残っている。
△:エンボスが少し潰れている。
×:エンボスが著しく潰れている。
(製造例1)
撹拌機付き8L重合機に次の物質を仕込んだ。
水 200部
ソジウムオクチルスルホサクシネート 0.3部
エチレンジアミン四酢酸−2−ナトリウム 0.001部
硫酸第一鉄 0.00025部
ソジウムホルムアルデヒドスルフォキシレート 0.15部
脱酸素後、内温を60℃にした後、表1に示した単量体混合物(a)[BA92%、MMA6.1%およびAlMA1.9%からなる単量体混合物30重量部に対し、CHP0.2重量部を添加した単量体混合物]を10部/時間の割合で連続的に滴下し、その後30分間後重合を行い、アクリル系ゴム状重合体を得た。重合転化率は99.5%であった。その後、ソジウムオクチルスルホサクシネート0.2部を仕込んだ後、表1に示した単量体混合物(b)[BA5%、MMA95%からなる単量体混合物70重量部に対し、CHP0.4部およびtDM0.4部を添加した単量体混合物]を12部/時間の割合で連続的に滴下し、その後1時間後重合を行い、アクリル系グラフト共重合体(A)を得た。アクリル系グラフト共重合体(A)の重合転化率は99.0%、グラフト率は135%、メチルエチルケトン可溶分の還元粘度は0.35dl/gであった。
得られたラテックスを塩化カルシウムで塩析凝固し、水洗、乾燥して樹脂粉末1を得た。
アクリル系ゴム状重合体の重量平均粒子径とグラフト率を、表1に示した。
(製造例2〜4)
表1に示す重合処方にて、製造例1と同様の操作により、樹脂粉末2〜4を得た。
アクリル系ゴム状重合体の重量平均粒子径を、表1に示した。
Figure 2012171101
(樹脂ペレット)
樹脂ペレットとして、懸濁重合で製造したMMA−EA共重合体[住友化学工業(株)製、スミペックスEX:MMA/EA=95/5(重量比:H−NMR測定による分析結果)、還元粘度0.30dl/g、ゴム状重合体不含]を用いた。
(フェノール系酸化防止剤)
フェノール系酸化防止剤として、イルガノックス1010(チバガイギー社製)を用いた。
(実施例1)
[アクリル系樹脂組成物(C)のペレットの製造]
製造例1で得られた樹脂粉末1(アクリル系グラフト重合体)60部に対し、樹脂ペレットとしてスミペックスEXを40部、フェノール系酸化防止剤としてイルガノックス1010を0.1部、メタクリル系高分子加工助剤としてメタブレンP−531[三菱レイヨン(株)製、重量平均分子量Mw=500万]を0.1部、紫外線吸収剤としてチヌビン234(チバスペシャルケミカル社製)1.0部を混合した後、ベント式90mmφ単軸押出機を用い、シリンダ設定温度180℃〜250℃にて溶融混練を行い、押出ペレットを得た。
[熱可塑性樹脂シート(X)の製造]
ABS樹脂(電気化学工業株式会社製、T−1490N)100部に対して、エステル系ポリウレタン樹脂(DICバイエルン製、T−1490N)25部、アクリル系加工助剤(株式会社カネカ製、PA−40)1.6部、滑剤(勝田化工株式会社製、EL−508A)0.8部、酸化防止剤(株式会社ADEKA製、AO−50)0.3部、紫外線吸収剤(株式会社ADEKA製、LA−31)に、カ−ボンブラック2重量%、パ−ル顔料2重量%を添加し、カレンダ−加工法により、厚さ0.3mmの熱可塑性樹脂シート(X)を作製し、エンボスロールによる凹凸加工を実施した。得られた熱可塑性樹脂シート(X)における凹凸形状の高さH1は50μmであった。
[化粧シートの製造]
アクリル系樹脂組成物(C)を、流路面およびリップ先端部にハードクロムメッキ処理を施し、リップ部の隙間を0.4〜0.7mmの間に調整したTダイ付き90mm単軸押出機を用い、シリンダ温度を200℃〜240℃、ダイス温度210℃にて押出して、125μmの厚みに調整した後、一方向から、熱可塑性樹脂シート(X)の凹凸面の表面をアクリル系樹脂組成物(C)と接触するように繰り出し、80℃に温調した金属ロール(アクリル樹脂組成物側)とシリコンゴムロール[ロール間のクリアランスは、500μm]を用いて、積層シートを挟み込むと同時に一体化することにより、化粧シートを作製した。
得られた化粧シートを用いて種々の物性を評価した結果を、表2に示した。
(実施例2〜6)
アクリル系樹脂組成物(C)における、樹脂粉末および樹脂ペレット、フェノール系酸化防止剤の種類・量を表2に示した配合に変更し、ダイス温度を表2に示した温度に変更した以外は、実施例1と同様の操作により、化粧シートを作製した。
得られた化粧シートを用いて種々の物性を評価した結果を、表2に示した。
(比較例1〜6)
アクリル系樹脂組成物(C)における、樹脂粉末および樹脂ペレット、フェノール系酸化防止剤の種類・量を表2に示した配合に変更し、ダイス温度を表2に示した温度に変更した以外は、実施例1と同様の操作により、化粧シートを作製した。
得られた化粧シートを用いて種々の物性を評価した結果を、表2に示した。
(比較例7)
アクリル系樹脂組成物(C)にフェノール酸化防止剤を0.1部配合した樹脂ペレットを使用したが柔軟性がなく、フィルム状に製造できなかった。
Figure 2012171101
表2に示す結果から、本発明に記載した製造方法で作成した化粧シートは、外観意匠性が良好であり、気泡やフィッシュアイの少ない化粧シートの外観を維持でき、折り曲げても白くならず、真空成形後の外観も良好であり、生産性も良く、ダイラインの発生が少なく、メルトフラクチャ−による表面荒れが改善されていることが判る。
H1 化粧シート成形前の熱可塑性樹脂シートの凹凸形状の高さ

Claims (5)

  1. フェノール系酸化防止剤を0.05部以上含有し、ガラス転移点が95〜115℃の範囲にあるアクリル系樹脂組成物(C)をTダイ法でダイス温度を210〜280℃に設定してフィルム状に押出す工程、エンボス加工を施した凹凸形状を有するシート厚みが0.1〜0.7mmの熱可塑性樹脂シート(X)のエンボス面と前記フィルム状のアクリル系樹脂組成物(C)を積層し一対のロールおよび/またはベルト間で挟みこむ工程を有し、前記アクリル系樹脂組成物(C)と前記熱可塑性樹脂シート(X)を一体化することを特徴とする化粧シートの製造方法。
  2. 熱可塑性樹脂シート(X)に施されたエンボス加工の凹凸形状の高さH1が20〜200μmである請求項1に記載の化粧シートの製造方法。
  3. アクリル系樹脂組成物(C)が、平均粒子径が50〜300nmであるアクリル系ゴム状重合体(A−a)を含むアクリル系グラフト共重合体(A)を含有する請求項1または2に記載の化粧シートの製造方法。
  4. アクリル系樹脂組成物(C)が、アクリル系ゴム状重合体(A−a)を含むアクリル系グラフト共重合体(A)、およびメタクリル酸メチル単位を80重量%以上含有するメタクリル系重合体(B)を含む樹脂組成物である請求項1〜3のいずれかに記載の化粧シートの製造方法。
  5. 請求項4に記載の化粧シートを表皮として有する成形品。
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