JP2009035636A - メタクリル系樹脂組成物 - Google Patents
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- MCPKSFINULVDNX-UHFFFAOYSA-N Cc(cc1)cc(-[n]2nc(cccc3)c3n2)c1O Chemical compound Cc(cc1)cc(-[n]2nc(cccc3)c3n2)c1O MCPKSFINULVDNX-UHFFFAOYSA-N 0.000 description 1
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Abstract
【課題】 透明性、耐侯性、硬度、耐衝撃性、耐薬品性、成形性および加熱収縮率に優れたフィルムを作成するに好適な樹脂組成物を提供する。
【解決手段】 メタクリル酸エステルを主成分とするメタクリル酸エステル系重合体(A)が、アクリル酸エステルを主成分とする単量体混合物および1分子あたり2個以上の非共役二重結合を有する多官能性単量体を共重合して得られるアクリル酸エステル系架橋弾性体粒子(B)の存在下で重合されて得られるメタクリル系樹脂組成物(C)であって、(C)のメチルエチルケトン可溶分の重量平均分子量が5万〜12万であり、(B)の平均粒子径が0.04〜0.3μm、含有量が18〜40重量%であり、(B)中の多官能性単量体の共重合量bmと重量平均分子量Mwが特定の関係式を満たし、かつ、一般式(1)で示す紫外線吸収剤0.01〜30重量部を共重合してなることを特徴とする、メタクリル系樹脂組成物。
【選択図】 なし
【解決手段】 メタクリル酸エステルを主成分とするメタクリル酸エステル系重合体(A)が、アクリル酸エステルを主成分とする単量体混合物および1分子あたり2個以上の非共役二重結合を有する多官能性単量体を共重合して得られるアクリル酸エステル系架橋弾性体粒子(B)の存在下で重合されて得られるメタクリル系樹脂組成物(C)であって、(C)のメチルエチルケトン可溶分の重量平均分子量が5万〜12万であり、(B)の平均粒子径が0.04〜0.3μm、含有量が18〜40重量%であり、(B)中の多官能性単量体の共重合量bmと重量平均分子量Mwが特定の関係式を満たし、かつ、一般式(1)で示す紫外線吸収剤0.01〜30重量部を共重合してなることを特徴とする、メタクリル系樹脂組成物。
【選択図】 なし
Description
本発明は、紫外線遮蔽性能を有し、加工性に優れたメタクリル系樹脂およびそれを成形してなるフィルムに関する。
アクリル酸エステル系架橋弾性体粒子を含むメタクリル系樹脂フィルムは、透明性、耐侯性、硬度および耐衝撃性に優れるため、プラスッチク、木材、金属などの種々材料に積層(ラミネート)して基材の劣化防止、美観の維持などのために広く用いられている(例えば、特許文献1〜2参照)。
メタクリル系樹脂は、一般的に紫外線吸収剤を混合して用いられている。特に、フィルムとして使用する場合には、フィルムの厚みを薄くするほど大量の紫外線吸収剤を添加する必要がある。このため、Tダイ押出成形等の方法によりフィルムを成形した場合、Tダイでの目ヤニ付着、冷却ロールの白化等の問題を生じ、さらに多量の添加が必要な場合にはフィルム表面の粗面化、フィルム表面への溶出(ブリードアウト)等の問題を生じていた。また仮に上記の問題を解決してメタクリル系樹脂組成物に多量の紫外線吸収剤を添加できた場合でも、一般の紫外線吸収剤は、メタクリル系樹脂との相溶性が悪く低分子量であるため、押出成形時にその一部が揮発して紫外線遮蔽性能が発揮できない、さらには、長期使用時にメタクリル系樹脂組成物から飛散するため、紫外線遮蔽性能が経時的に低下する問題を抱えていた。
これらの問題点を解決するために、特定の紫外線吸収剤を選定し添加する方法が一般的に知られている。しかし、特定の紫外線吸収剤を単に添加する方法では、得られたフィルムは、温水浸漬時や屋外暴露時に添加している紫外線吸収剤がブリードアウトするため、紫外線遮蔽性能が低下したり、白化したりする等の問題が解決できていなかった。
これに対して、メタクリル系樹脂に対し、紫外線吸収性を示す特定の単量体を共重合する方法(特許文献3〜6)が提案されている。
しかしながら、特許文献6のメタクリル系樹脂フィルムでは、例えば、熱可塑性樹脂シートに熱ラミネーション法で積層する際の加熱収縮性、塩化ビニルシートに積層した場合、塩化ビニルシートに配合される可塑剤に対する耐薬品性、さらに成形性に関して、改善すべき点があった。
特開平11−60876号公報
特開平6−73199号公報
特開平5−255447号公報
特開平9−194542号公報
特開平8−319326号公報
国際公開公報WO2005/095478
したがって、透明性、耐侯性、硬度、耐衝撃性、耐薬品性、成形性および加工性(加熱収縮性)に優れたフィルムを形成しうるメタクリル系樹脂組成物が求められていた。
そこで、本発明者らは鋭意検討した結果、アクリル酸エステル系架橋弾性体粒子およびメタクリル酸エステル系重合体からなるメタクリル系樹脂組成物において、特定の化学構造式を有する紫外線吸収性を示す単量体を共重合したアクリル酸エステル系架橋弾性体粒子およびメタクリル酸エステル系重合体からなり、アクリル酸エステル系架橋弾性体粒子中の多官能性単量体の共重合量、メタクリル系樹脂組成物のメチルエチルケトン可溶分の重量平均分子量、さらには、該架橋弾性体粒子の含有量を特定することにより、透明性、耐侯性、硬度、耐衝撃性および耐薬品性に優れ、成形性および加工性においても優れるフィルムを得ることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明は、
メタクリル酸エステル系重合体(A)が、メタクリル酸アルキルエステル50〜100重量%、およびアクリル酸アルキルエステル0〜50重量%を含む単量体混合物を重合することにより得られ、
アクリル酸エステル系架橋弾性体粒子(B)が、アルキル酸アルキルエステル50〜100重量%およびメタクリル酸アルキルエステル0〜50重量%を含む単量体混合物(b−1)および、1分子あたり2個以上の非共役二重結合を有する多官能性単量体(b−2)を共重合することにより得られ、
メタクリル酸エステル系重合体(A)をアクリル酸エステル系架橋弾性体粒子(B)の存在下において重合することにより得られるメタクリル系樹脂組成物(C)であって、
(1)メタクリル系樹脂組成物(C)が、アクリル酸エステル系架橋弾性体粒子(B)、次いでメタクリル酸エステル系重合体(A)である2層構造重合体であり、
(2)アクリル酸エステル系架橋弾性体粒子(B)において、前記多官能性単量体(b−2)が前記単量体混合物(b−1)100重量%に対して0.1〜5重量%共重合され、
(3)メタククリル系樹脂組成物(C)のメチルエチルケトン可溶分の重量平均分子量が5万〜12万(ポリスチレン換算)であり、
(4)アクリル酸エステル系架橋弾性体粒子(B)の平均粒子径が0.04〜0.3μmであり、
(5)アクリル酸エステル系架橋弾性体粒子(B)の含有量が18〜40重量%であり
(6)アクリル酸エステル系架橋弾性体粒子(B)中の多官能性単量体(b−2)の上記共重合量bmと上記重量平均分子量Mwが下記式(i)を満たし、
3≦(Mw/10000)/bm≦8 (i)
かつ、(7)メタクリル系樹脂組成物(C)100重量部に対して、一般式(1)で示す紫外線吸収剤0.01〜30重量部を共重合してなることを特徴とするメタクリル系樹脂組成物、
メタクリル酸エステル系重合体(A)が、メタクリル酸アルキルエステル50〜100重量%、およびアクリル酸アルキルエステル0〜50重量%を含む単量体混合物を重合することにより得られ、
アクリル酸エステル系架橋弾性体粒子(B)が、アルキル酸アルキルエステル50〜100重量%およびメタクリル酸アルキルエステル0〜50重量%を含む単量体混合物(b−1)および、1分子あたり2個以上の非共役二重結合を有する多官能性単量体(b−2)を共重合することにより得られ、
メタクリル酸エステル系重合体(A)をアクリル酸エステル系架橋弾性体粒子(B)の存在下において重合することにより得られるメタクリル系樹脂組成物(C)であって、
(1)メタクリル系樹脂組成物(C)が、アクリル酸エステル系架橋弾性体粒子(B)、次いでメタクリル酸エステル系重合体(A)である2層構造重合体であり、
(2)アクリル酸エステル系架橋弾性体粒子(B)において、前記多官能性単量体(b−2)が前記単量体混合物(b−1)100重量%に対して0.1〜5重量%共重合され、
(3)メタククリル系樹脂組成物(C)のメチルエチルケトン可溶分の重量平均分子量が5万〜12万(ポリスチレン換算)であり、
(4)アクリル酸エステル系架橋弾性体粒子(B)の平均粒子径が0.04〜0.3μmであり、
(5)アクリル酸エステル系架橋弾性体粒子(B)の含有量が18〜40重量%であり
(6)アクリル酸エステル系架橋弾性体粒子(B)中の多官能性単量体(b−2)の上記共重合量bmと上記重量平均分子量Mwが下記式(i)を満たし、
3≦(Mw/10000)/bm≦8 (i)
かつ、(7)メタクリル系樹脂組成物(C)100重量部に対して、一般式(1)で示す紫外線吸収剤0.01〜30重量部を共重合してなることを特徴とするメタクリル系樹脂組成物、
(式中、XはHまたはハロゲン、R1はH、メチルまたは炭素数4〜6のt−アルキル基、R2は直鎖または枝分かれ鎖状の炭素数2〜10のアルキレン基、R3はHまたはメチルである。)(請求項1)、
請求項1に記載のメタクリル系樹脂組成物(C)を成形してなる、フィルム(請求項2)、および
請求項2に記載のフィルムを積層した、積層品(請求項3)
に関する。
請求項1に記載のメタクリル系樹脂組成物(C)を成形してなる、フィルム(請求項2)、および
請求項2に記載のフィルムを積層した、積層品(請求項3)
に関する。
本発明により得られるメタクリル系樹脂組成物を成形してなるフィルムは、紫外線吸収性を示す単量体を共重合することによって紫外線吸収剤の添加に伴う問題点を解決しつつ、フィルムの必要特性である透明性、耐候性、硬度、耐衝撃性、耐薬品性に優れ、さらに成形性および加熱収縮率にも優れる。
本発明におけるメタクリル酸エステル系重合体(A)は、メタクリル酸アルキルエステル50〜100重量%およびアクリル酸アルキルエステル0〜50重量%を含む単量体混合物を少なくとも1段以上で重合させてなるものである。メタクリル酸エステル系重合体(A)の単量体組成は、より好ましくは、メタクリル酸アルキルエステル60〜100重量%、およびアクリル酸アルキルエステル0〜40重量%を含むものである。アクリル酸アルキルエステルが50重量%を超えると、得られるメタクリル系樹脂組成物から形成しうるフィルムの耐熱性および硬度が低下する傾向がある。
本発明におけるメタクリル酸エステル系重合体(A)を構成するメタクリル酸アルキルエステルは、重合反応性やコストの点からアルキル基の炭素数が1〜12であるものが好ましく、直鎖状でも分岐状でもよい。その具体例としては、例えば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t−ブチル等があげられ、これらの単量体は1種または2種以上が併用されてもよい。
本発明におけるメタクリル酸エステル系重合体(A)を構成するアクリル酸アルキルエステルは、重合反応性やコストの点からアルキル基の炭素数が1〜12であるものが好ましく、直鎖状でも分岐状でもよい。その具体例としては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸n−オクチル等があげられ、これらの単量体は1種または2種以上が併用されてもよい。
本発明のメタクリル酸エステル系重合体(A)においては、必要に応じて、メタクリル酸アルキルエステルおよびアクリル酸アルキルエステルに対し共重合可能なエチレン系不飽和単量体を共重合してもかまわない。これらの共重合可能なエチレン系不飽和単量体としては、例えば、塩化ビニル、臭化ビニル等のハロゲン化ビニル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル、蟻酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル誘導体、塩化ビニリデン、弗化ビニリデン等のハロゲン化ビニリデン、アクリル酸、アクリル酸ナトリウム、アクリル酸カルシウム等のアクリル酸およびその塩、アクリル酸β−ヒドロキシエチル、アクリル酸ジメチルアミノエチル、アクリル酸グリシジル、アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド等のアクリル酸アルキルエステル誘導体、メタクリル酸、メタクリル酸ナトリウム、メタクリル酸カルシウム等のメタクリル酸およびその塩、メタクリルアミド、メタクリル酸β−ヒドロキシエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸グリシジル等のメタクリル酸アルキルエステル誘導体等があげられ、これらの単量体は2種以上が併用されてもよい。
本発明において用いられるアクリル酸エステル系架橋弾性体粒子(B)は、アクリル酸アルキルエステル50〜100重量%およびメタクリル酸アルキルエステル0〜50重量%を含む単量体混合物(b−1)および、1分子あたり2個以上の非共役二重結合を有する多官能性単量体(b−2)からなる混合物を少なくとも1段以上で共重合させてなるものである。単量体混合物(b−1)は、より好ましくは、アクリル酸アルキルエステル60〜100重量%およびメタクリル酸アルキルエステル0〜40重量%である。メタクリル酸アルキルエステルが50重量%を超えると、得られるメタクリル系樹脂組成物から形成しうるフィルムの硬度、耐衝撃性が低下する傾向がある。
本発明のアクリル酸エステル系架橋弾性体粒子(B)においては、必要に応じて、メタクリル酸アルキルエステルおよびアクリル酸アルキルエステルと共重合可能なエチレン系不飽和単量体を共重合してもかまわない。
本発明におけるアクリル酸エステル系架橋弾性体粒子(B)は、1分子あたり2個以上の非共役な反応性二重結合を有する多官能性単量体(b−2)が共重合されているため、得られる重合体が架橋弾性を示す。また、アクリル酸エステル系架橋弾性体粒子(B)の重合時に反応せずに残った一方の反応性官能基(二重結合)がグラフト交叉点となって、一定割合のメタクリル酸エステル系共重合体(A)が、アクリル酸エステル系架橋弾性体粒子(B)にグラフト化される。このことにより、アクリル酸エステル系架橋弾性体粒子(B)が、メタクリル酸エステル系共重合体(A)中に不連続かつ均一に分散する。
本発明において用いられる多官能性単量体(b−2)としては、アリルメタクリレ−ト、アリルアクリレ−ト、トリアリルシアヌレ−ト、トリアリルイソシアヌレ−ト、ジアリルフタレ−ト、ジアリルマレ−ト、ジビニルアジペ−ト、ジビニルベンゼンエチレングリコ−ルジメタクリレ−ト、ジビニルベンゼンエチレングリコ−ルジアクリレ−ト、ジエチレングリコ−ルジメタクリレ−ト、ジエチレングリコ−ルジアクリレ−ト、トリエチレングリコ−ルジメタクリレ−ト、トリエチレングリコ−ルジアクリレ−ト、トリメチロ−ルプロパントリメタクリレ−ト、トリメチロ−ルプロパントリアクリレ−ト、テトラメチロ−ルメタンテトラメタクリレ−ト、テトラメチロ−ルメタンテトラアクリレ−ト、ジプロピレングリコ−ルジメタクリレ−トおよびジプロピレングリコ−ルジアクリレ−ト等があげられ、これらは2種以上が併用されてもよい。
本発明のアクリル酸エステル系架橋弾性体粒子(B)における多官能性単量体(b−2)の共重合量bmは、前記単量体混合物(b−1)100重量%に対して、0.1〜5重量%が好ましく、0.2〜4重量%がより好ましく、0.8〜3重量%が更に好ましい。多官能性単量体の共重合量bmが0.1重量%未満では、メタクリル系樹脂組成物から形成しうるフィルムの耐衝撃性、耐薬品性が低下する傾向があり、5重量%を超えると、耐衝撃性、フィルムの成形性が低下する傾向がある。
本発明のメタクリル系樹脂組成物(C)においては、アクリル酸エステル系架橋弾性体粒子(B)中の多官能性単量体の共重合量bmと、後述するメタクリル系樹脂組成物(C)のメチルエチルケトン可溶分の重量平均分子量(Mw)との間に、下記式(i)を満たすことが好ましい。
3≦(Mw/10000)/bm≦8 (i)
(Mw/10000)/bmの値が3未満の場合、メタクリル系樹脂組成物から形成しうるフィルムの成形性が低下する傾向があり、8を超えた場合、フィルムの耐薬品性が低下する傾向がある。
3≦(Mw/10000)/bm≦8 (i)
(Mw/10000)/bmの値が3未満の場合、メタクリル系樹脂組成物から形成しうるフィルムの成形性が低下する傾向があり、8を超えた場合、フィルムの耐薬品性が低下する傾向がある。
本発明において用いられるメタクリル系樹脂組成物(C)は、メタクリル酸エステル系重合体(A)をアクリル酸エステル系架橋弾性体粒子(B)の存在下において重合することにより得られる2層構造重合体である。これに対し、例えば、メタクリル酸エステル系重合体(A)、アクリル酸エステル系架橋弾性体粒子(B)さらに、メタクリル酸エステル系重合体(A)と順次段階的に重合するような3層構造重合体では、得られるメタクリル系樹脂組成物から形成しうるフィルムの耐衝撃性が低下する。
本発明におけるアクリル酸エステル系架橋弾性体粒子(B)の含有量は、メタクリル系樹脂組成物(C)全体を100重量%とした場合に、18〜40重量%が好ましく、18〜38重量%がより好ましく、18〜35重量%がさらに好ましい。アクリル酸エステル系架橋弾性体粒子(B)の含有量が18重量%未満では、得られるメタクリル系樹脂組成物から形成しうるフィルムの耐衝撃性、成形性(特に、フィルムの幅を調整するためスリットを入れると割れが生じる)が低下する傾向にあり、40重量%を超えると、フィルムの硬度、成形性(フィルムの成形自体がし難い)および加工性が低下する傾向にある。
本発明において用いられるメタクリル系樹脂組成物(C)は、一般式(1)で示す紫外線吸収剤を共重合してなるメタクリル系樹脂組成物である。
(式中、XはHまたはハロゲン、R1はH、メチルまたは炭素数4〜6のt−アルキル基、R2は直鎖または枝分かれ鎖状の炭素数2〜10のアルキレン基、R3はHまたはメチルである。)
本発明における一般式(1)で示す紫外線吸収剤は、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メタクリロイルオキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール類であり、2−(2’−ヒドロキシ−5’−アクリロイルオキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メタクリロイルオキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メタクリロイルオキシエチルフェニル)−5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メタクリロイルオキシプロピルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メタクリロイルオキシエチル−3’−t−ブチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール等が挙げられる。より好ましくは、コストおよび取り扱い性から、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メタクリロイルオキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾールである。これらは、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明における一般式(1)で示す紫外線吸収剤の共重合比率は、メタクリル系樹脂組成物(C)100重量部に対して、0.01〜30重量部が好ましく、0.01〜25重量部がより好ましく、0.01〜20重量部がさらに好ましく、0.05〜20重量部が特に好ましい。一般式(1)で示す紫外線吸収剤の共重合比率が0.01重量部未満では、得られるメタクリル系樹脂組成物から形成しうるフィルムの耐候性が低下する傾向にあり、50重量部を超えると、フィルムの耐衝撃性が低下する傾向にある。
本発明における一般式(1)で示す紫外線吸収剤の共重合は、メタクリル系樹脂組成物(C)のいずれの層において共重合されていても構わないが、メタクリル酸エステル系共重合体(A)ばかりではなく、アクリル酸エステル系架橋弾性体粒子(B)にも共重合されていることが好ましく、紫外線吸収剤はメタクリル系樹脂組成物(C)全体に均一に共重合されることがより好ましい。
本発明におけるメタクリル系樹脂組成物(C)の製造方法は特に限定されず、公知の乳化重合法、乳化−懸濁重合法、懸濁重合法、塊状重合法または溶液重合法が適用可能であるが、乳化重合法が特に好ましい。
本発明における一般式(1)で示す紫外線吸収剤の共重合方法も特に限定されず、メタクリル系樹脂組成物(C)の製造中に共重合することが好ましい。共重合方法としては、公知の乳化重合法、乳化−懸濁重合法、懸濁重合法、塊状重合法または溶液重合法が適用可能であるが、乳化重合法が特に好ましい。
本発明のアクリル酸エステル系架橋弾性体粒子(B)の重合における開始剤としては、公知の有機系過酸化物、無機系過酸化物、アゾ化合物などの開始剤を使用することができる。具体的には、例えば、t−ブチルハイドロパ−オキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパ−オキサイド、スクシン酸パ−オキサイド、パ−オキシマレイン酸t−ブチルエステル、クメンハイドロパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド等の有機過酸化物や、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム等の無機過酸化物、さらにアゾビスイソブチロニトリル等の油溶性開始剤も使用される。これらは単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。これらの開始剤は、亜硫酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、ナトリウムホルムアルデヒドスルフォキシレート、アスコルビン酸、ヒドロキシアセトン酸、硫酸第一鉄、硫酸第一鉄とエチレンジアミン四酢酸2ナトリウムの錯体なとの還元剤と組み合わせた通常のレドックス型開始剤として使用してもよい。
前記有機系過酸化物は、重合系にそのまま添加する方法、単量体に混合して添加する方法、乳化剤水溶液に分散させて添加する方法など、公知の添加法で添加することができるが、透明性の点から、単量体に混合して添加する方法あるいは乳化剤水溶液に分散させて添加する方法が好ましい。
また、前記有機系過酸化物は、重合安定性、粒子径制御の点から、2価の鉄塩等の無機系還元剤および/またはホルムアルデヒドスルホキシル酸ソ−ダ、還元糖、アスコルビン酸等の有機系還元剤と組み合わせたレドックス系開始剤として使用するのが好ましい。
前記乳化重合に使用される界面活性剤にも特に限定はなく、通常の乳化重合用の界面活性剤であれば使用することができる。具体的には、例えばアルキルスルフォン酸ナトリウム、アルキルベンゼンスルフォン酸ナトリウム、ジオクチルスルフォコハク酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、脂肪酸ナトリウム等の陰イオン性界面活性剤や、アルキルフェノ−ル類、脂肪族アルコ−ル類とプロピレンオキサイド、エチレンオキサイドとの反応生成物等の非イオン性界面活性剤等が示される。これらの界面活性剤は単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。更に要すれば、アルキルアミン塩等の陽イオン性界面活性剤を使用してもよい。
前記乳化重合に使用される界面活性剤にも特に限定はなく、通常の乳化重合用の界面活性剤であれば使用することができる。具体的には、例えばアルキルスルフォン酸ナトリウム、アルキルベンゼンスルフォン酸ナトリウム、ジオクチルスルフォコハク酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、脂肪酸ナトリウム等の陰イオン性界面活性剤や、アルキルフェノ−ル類、脂肪族アルコ−ル類とプロピレンオキサイド、エチレンオキサイドとの反応生成物等の非イオン性界面活性剤等が示される。これらの界面活性剤は単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。更に要すれば、アルキルアミン塩等の陽イオン性界面活性剤を使用してもよい。
本発明における得られたアクリル酸エステル系弾性体粒子(B)ラテックスの平均粒子径は、0.04〜0.3μmが好ましく、0.04〜0.25μmがより好ましく、0.04〜0.2μmがさらに好ましい。アクリル酸エステル系弾性体粒子(B)ラテックスの平均粒子径が0.04μm未満では、得られるメタクリル系樹脂組成物から形成しうるフィルムの耐衝撃性が低下する傾向にあり、0.3μmを超えると、フィルムの透明性が低下する傾向にある。
本発明における得られたメタクリル系樹脂組成物(C)のメチルエチルケトン可溶分の重量平均分子量が5万〜12万(ポリスチレン換算)が好ましく、6万〜11万がより好ましく、7万〜10万がさらに好ましい。メタクリル系樹脂組成物(C)のメチルエチルケトン可溶分の重量平均分子量Mwが5万未満では、得られるメタクリル系樹脂組成物から形成しうるフィルムの耐薬品性、成形性が低下する傾向にあり、12万を超えると、フィルムの成形性、加熱収縮率が低下する傾向にある。
本発明における得られたメタクリル系樹脂組成物(C)のメチルエチルケトン可溶分の重量平均分子量は、メタクリル酸エステル系重合体(A)を重合時、連鎖移動剤を用い制御することができる。
前記連鎖移動剤の使用量は、0.3〜2重量%が好ましく、0.3〜1.5重量%がより好ましく、0.3〜1重量%がさらに好ましい。連鎖移動剤の使用量が0.1重量%未満の場合は、成形性が低下する傾向にあり、5重量%を超えると耐薬品性が低下する傾向にある。
前記連鎖移動剤としては、通常ラジカル重合に用いられるものの中から選択して用いるのが好ましく、具体例としては、炭素数2〜20のアルキルメルカプタン、メルカプト酸類、チオフェノール、四塩化炭素などが挙げられる。これらは、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
得られたメタクリル系樹脂組成物(C)ラテックスは、通常の凝固、洗浄および乾燥の操作により、または、スプレ−乾燥、凍結乾燥などによる処理により、樹脂組成物が分離、回収される。
本発明のメタクリル系樹脂組成物(C)には、必要に応じて、ポリグルタルイミド、無水グルタル酸ポリマー、ラクトン環化メタクリル系樹脂、メタクリル系樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂等を配合することも可能である。ブレンドの方法は特に限定されず、公知の方法を用いることができる。
本発明のメタクリル系樹脂組成物(C)には、着色のために無機系顔料または有機系染料を、熱や光に対する安定性を更に向上させるために抗酸化剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、紫外線安定剤などを、あるいは、抗菌、脱臭剤、滑剤等を、単独または2種以上組み合わせて添加してもよい。
本発明のメタクリル系樹脂組成物(C)は、特にフィルムとして有用であり、例えば、通常の溶融押出法であるインフレーション法やTダイ押出法、あるいはカレンダー法、更には溶剤キャスト法等により良好に加工される。
また、必要に応じて、フィルムを成形する際、フィルム両面をロールまたは金属ベルトに同時に接触させることにより、特にガラス転移温度以上の温度に加熱したロールまたは金属ベルトに同時に接触させることにより、表面性のより優れたフィルムを得ることも可能である。また、目的に応じて、フィルムの積層成形や、二軸延伸によるフィルムの改質も可能である。
また、本発明のメタクリル系樹脂組成物(C)より得られたフィルムは、必要に応じて、公知の方法によりフィルム表面の光沢を低減させることができる。例えば、メタクリル系樹脂組成物(C)に無機充填剤または架橋性高分子粒子を混練する方法等で実施することが可能である。また、得られるフィルムをエンボス加工によりフィルム表面の光沢を低減させることも可能である。
本発明のメタクリル系樹脂組成物(C)から得られるフィルムの厚みは、10〜150μmが好ましく、30〜100μmがより好ましく、40〜80μmが更に好ましい。フィルムの厚みが10μm未満ではフィルムの成形性および加工性が低下する傾向があり、150μmを超えると、得られるフィルムの透明性が低下する傾向がある。
本発明のメタクリル系樹脂組成物(C)から得られるフィルムは、150℃の雰囲気で10分間加熱処理したときの収縮率が40%以下であることが好ましく、35%以下であることがより好ましく、30%以下であることがさらに好ましい。収縮率が40%を超えると、メタクリル系樹脂(C)から得られるフィルムを熱可塑性樹脂シートに熱ラミネーション法で積層した場合、フィルムが加熱により収縮してシートより短くなり生産性が低下する傾向がある。なお、本発明のメタクリル系樹脂組成物においては、前述したように、メタクリル系樹脂組成物(C)中のメチルエチルケトン可溶分の重量分子量Mwを制御することにより、フィルムの加熱収縮率を制御することができる。
本発明のメタクリル系樹脂組成物(C)から得られるフィルムは、23℃の雰囲気で7日間DOP(ジ2−エチルヘキシルフタレート)に浸漬した時の重量変化が0.5%以下であることが好ましく、0.4%以下であることがより好ましく、0.3%以下であることがさらに好ましい。DOP浸漬前後の重量変化が0.5%を超えると、メクリル系樹脂組成物(C)から得られるフィルムを塩化ビニルシートに積層した場合、塩化ビニルシートに配合される可塑剤(DOP)によってメタクリル系樹脂フィルムが曇る、すなわち、フィルムの耐薬品性が低下する傾向がある。なお、本発明のメタクリル系樹脂組成物においては、前述したように、アクリル酸エステル系架橋弾性体粒子(B)中の多官能性単量体(b−2)の共重合量bmを制御することにより、フィルムの耐薬品性を改善することができる。
本発明のメタクリル系樹脂組成物より得られたフィルムは、金属、プラスチックなどに積層して用いることができる。フィルムの積層方法としては、積層成形や、鋼板などの金属板に接着剤を塗布した後、金属板にフィルムを載せて乾燥させ貼り合わせるウエットラミネートや、ドライラミネート、エキストルージョンラミネート、ホットメルトラミネートなどがあげられる。
プラスチック部品にフィルムを積層する方法としては、フィルムを金型内に配置しておき、射出成形にて樹脂を充填するインサート成形またはラミネートインジェクションプレス成形や、フィルムを予備成形した後に金型内に配置し、射出成形にて樹脂を充填するインモールド成形などがあげられる。
本発明のメタクリル系樹脂組成物から得られるフィルム積層品は、自動車内装材、自動車外装材などの塗装代替用途、窓枠、浴室設備、壁紙、床材などの建材用部材、日用雑貨品、家具や電気機器のハウジング、ファクシミリなどのOA機器のハウジング、電気または電子装置の部品などに使用することができる。また、成形品としては、照明用レンズ、自動車ヘッドライト、光学レンズ、光ファイバ、光ディスク、液晶用導光板、液晶用フィルム、滅菌処理の必要な医療用品、電子レンジ調理容器、家電製品のハウジング、玩具またはレクリエーション品目などに使用できる。
本発明のメタクリル系樹脂組成物より得られたフィルムには、グラビヤ印刷法、フレキソグラフ印刷法、シルクスクリーン印刷法などの公知の印刷法で印刷層を形成することができ、木目などの任意の絵柄を形成することができる。さらに、該フィルムには、アルミニウム、クロム、金、銀、銅、ニッケル、コバルト、亜鉛、真鍮、ステンレスなどの金属を用いて、真空蒸着法、スパッタリング法、湿式メッキ法などにより金属層を形成することができる。あるいは、金属箔状のものを、接着剤層を介して、あるいは熱融着などによりフィルムに積層することにより、金属調を形成することができる。
次に、本発明を実施例に基づき、さらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
なお、実施例および比較例で測定した物性の各測定方法は、以下のとおりである。
(重合転化率の評価)
得られたメタクリル系樹脂組成物(C)ラテックスを、熱風乾燥機内にて120℃で1時間乾燥して固形成分量を求め、100×固形成分量/仕込み単量体(%)により重合転化率(%)を算出した。
得られたメタクリル系樹脂組成物(C)ラテックスを、熱風乾燥機内にて120℃で1時間乾燥して固形成分量を求め、100×固形成分量/仕込み単量体(%)により重合転化率(%)を算出した。
(ラテックスの平均粒子径の評価)
得られたメタクリル系樹脂組成物(C)ラテックスをLEED&NORTHRUP INSTRUMENTS社のMICROTRAC UPAを用い、光散乱法により体積平均粒子径(μm)を測定した。
得られたメタクリル系樹脂組成物(C)ラテックスをLEED&NORTHRUP INSTRUMENTS社のMICROTRAC UPAを用い、光散乱法により体積平均粒子径(μm)を測定した。
(重量平均分子量の評価)
得られたメタクリル系樹脂組成物(C)パウダー1gを約40mlのメチルエチルケトンを添加し12時間室温で放置後、マグネチックスターラーを用い30分間攪拌を行った。これを遠心分離機(日立工機(株)製、分級用遠心分離機CP60E)を用い30000rpmで1時間遠心分離し、デカンテーションにより、メチルエチルケトン不溶分と可溶分とに分離した。メチルエチルケトン不溶分にさらにメチルエチルケトン20mlを加え、同様に遠心分離およびデカンテーションを2回繰り返すことによりメチルエチルケトン不溶分と可溶分とに分離した。メチルエチルケトン可溶分をメタノールで析出させ、真空乾燥機を用いて60℃で10時間乾燥させ、可溶分のサンプルを得た。得られた可溶分サンプル5mgを2mlのクロロホルムに溶解させた後、その溶液をディスポシリンジの先端にフィルター(アドバンテック東洋株式会社製DISMIC13JP050AN)を付けもので濾過した。この溶液を、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(島津製作所(株)製LC−6AD、カラム:Shodex製K−806Mを2本+ガードカラム)を用いて、ポリスチレン換算の重量平均分子量を測定した。
得られたメタクリル系樹脂組成物(C)パウダー1gを約40mlのメチルエチルケトンを添加し12時間室温で放置後、マグネチックスターラーを用い30分間攪拌を行った。これを遠心分離機(日立工機(株)製、分級用遠心分離機CP60E)を用い30000rpmで1時間遠心分離し、デカンテーションにより、メチルエチルケトン不溶分と可溶分とに分離した。メチルエチルケトン不溶分にさらにメチルエチルケトン20mlを加え、同様に遠心分離およびデカンテーションを2回繰り返すことによりメチルエチルケトン不溶分と可溶分とに分離した。メチルエチルケトン可溶分をメタノールで析出させ、真空乾燥機を用いて60℃で10時間乾燥させ、可溶分のサンプルを得た。得られた可溶分サンプル5mgを2mlのクロロホルムに溶解させた後、その溶液をディスポシリンジの先端にフィルター(アドバンテック東洋株式会社製DISMIC13JP050AN)を付けもので濾過した。この溶液を、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(島津製作所(株)製LC−6AD、カラム:Shodex製K−806Mを2本+ガードカラム)を用いて、ポリスチレン換算の重量平均分子量を測定した。
(透明性の評価)
得られたフィルムの透明性は、JIS K6714に準じて、温度23℃±2℃、湿度50%±5%にてヘイズを測定した。
得られたフィルムの透明性は、JIS K6714に準じて、温度23℃±2℃、湿度50%±5%にてヘイズを測定した。
(鉛筆硬度の評価)
得られたフィルムの鉛筆硬度を、JIS S1005に準じて測定した。
得られたフィルムの鉛筆硬度を、JIS S1005に準じて測定した。
(耐薬品性の評価)
得られたフィルムを積層し、200℃×50kgf/cm2で5分間プレスを行い、厚み0.3mmのシートを得た。得られたシートを20×20mmの試験片に切出した。得られた試験片をDOP(ジ2−エチルヘキシルフタレート)に浸漬し、23℃雰囲気で7日間放置後、重量変化を測定した。
重量変化率(%)=(浸漬後の重量−浸漬前の重量)/浸漬前の重量×100
得られたフィルムを積層し、200℃×50kgf/cm2で5分間プレスを行い、厚み0.3mmのシートを得た。得られたシートを20×20mmの試験片に切出した。得られた試験片をDOP(ジ2−エチルヘキシルフタレート)に浸漬し、23℃雰囲気で7日間放置後、重量変化を測定した。
重量変化率(%)=(浸漬後の重量−浸漬前の重量)/浸漬前の重量×100
(成形性の評価)
厚み55μmのフィルム成形を3時間連続して行い、その運転状況を観察し、以下の基準により評価をした。
○:フィルムの厚みが均一で、切れずに成形できる。フィルム成形時、スリットを入れても割れが生じない。
△:フィルムの厚みが均一で、切れずに成形できるが、スリットを入れると、短時間割れが生じた。
×:フィルムの厚みが不均一またはフィルム切れ、スリットを入れると割れが生じた。
厚み55μmのフィルム成形を3時間連続して行い、その運転状況を観察し、以下の基準により評価をした。
○:フィルムの厚みが均一で、切れずに成形できる。フィルム成形時、スリットを入れても割れが生じない。
△:フィルムの厚みが均一で、切れずに成形できるが、スリットを入れると、短時間割れが生じた。
×:フィルムの厚みが不均一またはフィルム切れ、スリットを入れると割れが生じた。
(紫外線吸収剤のブリード性の評価)
厚み55μmのフィルム成形を3時間連続して行い、冷却ロールへの付着状況を観察し、以下の基準により評価をした。
○:冷却ロールへの付着が認められない。
×:冷却ロールへの付着が認められる。
厚み55μmのフィルム成形を3時間連続して行い、冷却ロールへの付着状況を観察し、以下の基準により評価をした。
○:冷却ロールへの付着が認められない。
×:冷却ロールへの付着が認められる。
(耐侯性保持率の評価)
得られたフィルムを、軟質塩化ビニル樹脂シート<塩化ビニル樹脂(カネカ製、S1003)100部に可塑剤としてDOP40部、滑剤として高級アルコール(花王製、カルコール86)0.5部およびエステル系滑剤(理研ビタミン製、PH18)0.5部、オクチルSn系安定剤(日東化成製、TVS8813)0.4部および(日東化成製、TVS8831)1部をパウダーブレンドした後、ロール/プレス加工(ロール温度180℃にて5分間ロール混練し、185℃×10Kg/cm2加圧にて10分間プレス)し、1mm厚みのテストシートを作成した。該シートに厚み53μmフィルムを熱ラミネート(180℃×50Kg/cm2加圧にて、3分間プレス)し積層シートを得た。得られた積層シートを促進耐侯性試験JIS K7102に準拠し、サンシャインウェザーオメーター(スガ試験機製、型式:WEL−SUN−HC(H))を用い
ブラックパネル温度63℃、水スプレーを60分中12分間条件で5000時間暴露後、UVAスペクトル(日立分光光度計、U3010)を用いて360nmの波長でのUVカット率を測定し、下式により算出した。
耐侯性保持率(%)=100×(暴露後のUVカット率)/(暴露前のUVカット率)
得られたフィルムを、軟質塩化ビニル樹脂シート<塩化ビニル樹脂(カネカ製、S1003)100部に可塑剤としてDOP40部、滑剤として高級アルコール(花王製、カルコール86)0.5部およびエステル系滑剤(理研ビタミン製、PH18)0.5部、オクチルSn系安定剤(日東化成製、TVS8813)0.4部および(日東化成製、TVS8831)1部をパウダーブレンドした後、ロール/プレス加工(ロール温度180℃にて5分間ロール混練し、185℃×10Kg/cm2加圧にて10分間プレス)し、1mm厚みのテストシートを作成した。該シートに厚み53μmフィルムを熱ラミネート(180℃×50Kg/cm2加圧にて、3分間プレス)し積層シートを得た。得られた積層シートを促進耐侯性試験JIS K7102に準拠し、サンシャインウェザーオメーター(スガ試験機製、型式:WEL−SUN−HC(H))を用い
ブラックパネル温度63℃、水スプレーを60分中12分間条件で5000時間暴露後、UVAスペクトル(日立分光光度計、U3010)を用いて360nmの波長でのUVカット率を測定し、下式により算出した。
耐侯性保持率(%)=100×(暴露後のUVカット率)/(暴露前のUVカット率)
(フィルムの収縮率の評価)
得られたフィルムを直径100mmの円盤状に切出し、150℃で10分間加熱後の寸法を測定し、収縮率を求めた。
加熱収縮率(%)=(加熱前の寸法−加熱後の寸法)/加熱前の寸法×100
得られたフィルムを直径100mmの円盤状に切出し、150℃で10分間加熱後の寸法を測定し、収縮率を求めた。
加熱収縮率(%)=(加熱前の寸法−加熱後の寸法)/加熱前の寸法×100
また、製造例、実施例および比較例中の「部」は重量部、「%」は重量%を表す。また、略号はそれぞれ下記の物質を表す。
BA:アクリル酸ブチル
MMA:メタクリル酸メチル
CHP:クメンハイドロパーオキサイド
tDM:ターシャリドデシルメルカプタン
AlMA:メタクリル酸アリル
RUVA:2−(2’−ヒドロキシ−5’−メタクリロイルオキシエチルフェニル)−2−H−ベンゾトリアゾール(大塚化学(株)製、RUVA−93)。
BA:アクリル酸ブチル
MMA:メタクリル酸メチル
CHP:クメンハイドロパーオキサイド
tDM:ターシャリドデシルメルカプタン
AlMA:メタクリル酸アリル
RUVA:2−(2’−ヒドロキシ−5’−メタクリロイルオキシエチルフェニル)−2−H−ベンゾトリアゾール(大塚化学(株)製、RUVA−93)。
(製造例1)メタクリル系樹脂組成物の製造
攪拌機付き8L重合装置に、以下の物質を仕込んだ。
脱イオン水 200部
ジオクチルスルフォコハク酸ナトリウム 0.35部
ソディウムホルムアルデヒドスルフォキシレ−ト 0.15部
エチレンジアミン四酢酸−2−ナトリウム 0.004部
硫酸第一鉄 0.001部
重合機内を窒素ガスで充分に置換し実質的に酸素のない状態とした後、内温を60℃にし、表1中(1)に示した単量体混合物(B)[すなわち、BA90%およびMMA10%からなる単量体混合物100%に対しAlMA2.0%およびCHP0.2%からなる単量体混合物30部、およびRUVA0.6部]を10部/時間の割合で連続的に添加し、添加終了後、さらに0.5時間重合を継続し、アクリル酸エステル系架橋弾性体粒子(B)を得た。重合転化率は99.5%であった。
その後、ジオクチルスルフォコハク酸ナトリウム0.3部を仕込んだ後、内温を60℃にし、表1中(1)に示した単量体混合物(A)[すなわち、BA10%およびMMA90%からなる単量体混合物100%に対しtDM0.6%およびCHP0.5%からなる単量体混合物70部、およびRUVA1.4部]を10部/時間の割合で連続的に添加し、さらに1時間重合を継続し、メタクリル系樹脂組成物(C)を得た。重合転化率は98.5%であった。
得られたラテックスを塩化カルシウムで塩析、凝固し、水洗、乾燥して樹脂粉末(1)を得た。
さらに、40mmφベント付き単軸押出機を用いてシリンダ温度を220℃に設定して溶融混練を行い、ペレット化した。
攪拌機付き8L重合装置に、以下の物質を仕込んだ。
脱イオン水 200部
ジオクチルスルフォコハク酸ナトリウム 0.35部
ソディウムホルムアルデヒドスルフォキシレ−ト 0.15部
エチレンジアミン四酢酸−2−ナトリウム 0.004部
硫酸第一鉄 0.001部
重合機内を窒素ガスで充分に置換し実質的に酸素のない状態とした後、内温を60℃にし、表1中(1)に示した単量体混合物(B)[すなわち、BA90%およびMMA10%からなる単量体混合物100%に対しAlMA2.0%およびCHP0.2%からなる単量体混合物30部、およびRUVA0.6部]を10部/時間の割合で連続的に添加し、添加終了後、さらに0.5時間重合を継続し、アクリル酸エステル系架橋弾性体粒子(B)を得た。重合転化率は99.5%であった。
その後、ジオクチルスルフォコハク酸ナトリウム0.3部を仕込んだ後、内温を60℃にし、表1中(1)に示した単量体混合物(A)[すなわち、BA10%およびMMA90%からなる単量体混合物100%に対しtDM0.6%およびCHP0.5%からなる単量体混合物70部、およびRUVA1.4部]を10部/時間の割合で連続的に添加し、さらに1時間重合を継続し、メタクリル系樹脂組成物(C)を得た。重合転化率は98.5%であった。
得られたラテックスを塩化カルシウムで塩析、凝固し、水洗、乾燥して樹脂粉末(1)を得た。
さらに、40mmφベント付き単軸押出機を用いてシリンダ温度を220℃に設定して溶融混練を行い、ペレット化した。
(製造例2〜16)
単量体組成を表1のように変更した以外は、製造例1と同様に重合を行い、凝固、水洗、乾燥して樹脂粉末(2)〜(16)を得、さらに溶融混練を行い、ペレット化した。但し、製造例(6)では重合中にラテックスが凝集した為、樹脂粉体(6)が得られず、ペレット化およびフィルム化ができず、フィルム物性を評価できなかった。
単量体組成を表1のように変更した以外は、製造例1と同様に重合を行い、凝固、水洗、乾燥して樹脂粉末(2)〜(16)を得、さらに溶融混練を行い、ペレット化した。但し、製造例(6)では重合中にラテックスが凝集した為、樹脂粉体(6)が得られず、ペレット化およびフィルム化ができず、フィルム物性を評価できなかった。
また、製造例(5)は、得られた樹脂粉末(5)に紫外線吸収剤として構造式(2)で示されるチヌビンP(チバスペシャルケミカル社製)を2部ブレンドしてから溶融混練を行い、ペレット化した。
(実施例1〜5、比較例1〜11)
製造例で得られたペレットを、Tダイ付き40mmφ押出機を用いて、ダイス温度240℃、冷却ロール温度80℃で成形し、厚み55μmのフィルムを得た。
得られたフィルムを用いた種々の特性を評価し、その結果を表2に示した。
製造例で得られたペレットを、Tダイ付き40mmφ押出機を用いて、ダイス温度240℃、冷却ロール温度80℃で成形し、厚み55μmのフィルムを得た。
得られたフィルムを用いた種々の特性を評価し、その結果を表2に示した。
メタクリル系樹脂組成物(C)の単量体組成比、層構造、重量平均分子量、共重合しうる紫外線吸収剤量、およびアクリル酸エステル系架橋弾性体粒子(B)の平均粒子径、含有量、(B)中の多官能性単量体の共重合量が、本発明の範囲を外れると、透明性、耐候性、硬度、耐衝撃性、耐薬品性、成形性および加熱収縮率に優れたフィルムを得ることができなかった。
本発明のメタクリル系樹脂組成物から得られるフィルム積層品は、窓枠、浴室設備、壁紙、床材などの建材用部材、自動車内装材,自動車外装材などの塗装代替用途、日用雑貨品、家具や電気機器のハウジング、ファクシミリなどのOA機器のハウジング、電気または電子装置の部品などに使用することができる。また、成形品としては、照明用レンズ、自動車ヘッドライト、光学レンズ、光ファイバ、光ディスク、液晶用導光板、液晶用フィルム、滅菌処理の必要な医療用品、電子レンジ調理容器、家電製品のハウジング、玩具またはレクリエーション品目などに使用することができる。
Claims (3)
- メタクリル酸エステル系重合体(A)が、メタクリル酸アルキルエステル50〜100重量%およびアクリル酸アルキルエステル0〜50重量%を含む単量体混合物を重合することにより得られ、
アクリル酸エステル系架橋弾性体粒子(B)が、アルキル酸アルキルエステル50〜100重量%およびメタクリル酸アルキルエステル0〜50重量%を含む単量体混合物(b−1)および、1分子あたり2個以上の非共役二重結合を有する多官能性単量体(b−2)を共重合することにより得られ、
メタクリル酸エステル系重合体(A)をアクリル酸エステル系架橋弾性体粒子(B)の存在下において重合することにより得られるメタクリル系樹脂組成物(C)であって、
(1)メタクリル系樹脂組成物(C)が、アクリル酸エステル系架橋弾性体粒子(B)、次いでメタクリル酸エステル系重合体(A)である2層構造重合体であり、
(2)アクリル酸エステル系架橋弾性体粒子(B)において、前記多官能性単量体(b−2)が前記単量体混合物(b−1)100重量%に対して0.1〜5重量%共重合され、
(3)メタククリル系樹脂組成物(C)のメチルエチルケトン可溶分の重量平均分子量が5万〜12万(ポリスチレン換算)であり、
(4)アクリル酸エステル系架橋弾性体粒子(B)の平均粒子径が0.04〜0.3μmであり、
(5)アクリル酸エステル系架橋弾性体粒子(B)の含有量が18〜40重量%であり、
(6)アクリル酸エステル系架橋弾性体粒子(B)中の多官能性単量体(b−2)の上記共重合量bmと上記重量平均分子量Mwが下記式(i)を満たし、
3≦(Mw/10000)/bm≦8 (i)
かつ、(7)メタクリル系樹脂組成物(C)100重量部に対して、一般式(1)で示す紫外線吸収剤0.01〜30重量部を共重合してなることを特徴とするメタクリル系樹脂組成物。
- 請求項1に記載のメタクリル系樹脂組成物(C)を成形してなる、フィルム。
- 請求項2に記載のフィルムを積層した、積層品。
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