JP2009292026A - 立体感がある意匠性を持つ化粧シートの製造方法 - Google Patents

立体感がある意匠性を持つ化粧シートの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 生産性が高く、さらには立体的な意匠性に優れ、汚れも付着しにくい、真空成形加工に適した、化粧シートの製造方法を提供する。
【解決手段】 エンボス加工を施された凹凸形状を有する、膜厚が0.1〜0.7mmの熱可塑性樹脂シート(X)の凹凸面と、膜厚が20〜300μmのアクリル系樹脂フィルム(Z)との間に、せん断速度122(1/sec)および加熱温度260℃での溶融粘度が2500Pa・sec以下であり、ガラス転移温度が40℃〜115℃のアクリル系樹脂組成物(C)を溶融状態のフィルム状に押出した後、該積層体を2本のロールまたはベルトで挟み込むことにより一体化することによりで、上記特性を有する化粧シートを製造することができる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、アクリル系樹脂フィルムを積層した化粧シートに関する。
建材、家電製品、カード類、自動車の内外装用等に使用される化粧シートは、立体感を得る為に、従来、熱可塑性の合成樹脂フィルム・シートの表面に、エンボスロールを用いて凹凸形状を転写したり、或いは、熱可塑性の合成樹脂フィルムに柄模様を印刷することにより製造されていた。
しかしながら、合成樹脂フィルム・シートの表面に、エンボスロールを用いて凹凸形状を転写した化粧シートは、エンボスの凹部(谷部)に指紋等の油成分や普段発生する汚れが溜まり、掃除しても深部まできれいにできないので、汚れ易いという欠点がある。また、従来の化粧シートは、真空成形金型を用いた射出成形同時貼合法などに使用する場合には、凹凸形状が変化するという課題があった。
また、皮絞等の絞を写真に撮り、熱可塑性樹脂フィルムに印刷( プリント)したもの(特許文献1)は、平面的で立体感や高級感がないために、その用途は限定されていた。さらに、従来の加飾フィルムは、傷が付きやすく耐久性に問題があった。
これに対して、合成樹脂シートの片面に凹凸形状を形成し、その凹凸形状面側に合成樹脂フィルムを積層されてなる、内部に凹凸形状を有する化粧シートが知られている(特許文献2、特許文献3)。
しかし、これら特許文献では、合成樹脂シートと合成樹脂フィルムの積層方法として熱プレス法により融着しており、バッチ方式であるため極めて生産性が低く、非常に高価なシートとなっており、使用できる用途が非常に限定されていた。また、熱プレスにより合成樹脂シートに形成されていした凹凸形状が変形し、特徴である立体感を損なう問題があった。また、プレス機に挿入する時の作業により、異物が混入し易く、化粧シートの外観を損なう問題があった。
他方、従来の化粧シートには、真空成形を施した場合、延伸される曲面や端をトリミングした場合に白く変色する問題があるため、真空成形加工が必要な分野(特に、自動車内外装の部材として)使用する場合には著しく用途を限定されていた。
特開平10−44186 特開平11−277683 特開2005−14374
そこで、本発明では、内部に凹凸形状を有することにより、立体的な意匠性に優れ、かつ、真空加工性に優れた化粧シートを、生産性が高く、汚れの付着を抑えながら作製できる製造方法を提供することを目的としている。
本発明者らは、上記問題点について鋭意検討の結果、エンボス加工による凹凸形状を有する合成樹脂シート(X)の凹凸面と、アクリル樹脂フィルム(Z)との間に、特定のガラス転移温度と溶融粘度を有するアクリル系樹脂(C)を溶融状態でフィルム状に押出して、挟圧することにより(「押出ラミネート法」により積層することにより)、立体的な意匠性に優れ、真空成形加工に適した化粧シートを、生産性が高く、汚れの付着を抑えながら製造できることを見出した。
すなわち、本発明は、
[1] エンボス加工を施されることにより凹凸形状を有する、シート厚みが0.1〜0.7mmの熱可塑性樹脂シート(X)のエンボス面と、膜厚が20〜300μmのアクリル系樹脂フィルム(Z)との間に、せん断速度122(1/sec)および加熱温度260℃における溶融粘度が2500Pa・sec以下、かつ、ガラス転移温度が115℃以下であるアクリル系樹脂組成物(C)を溶融状態のフィルム状に押出した後、該積層体を2本の金属ロールおよび/または金属ベルト間で挟み込むことにより一体化することを特徴とする、化粧シートの製造方法、
[2] 凹凸形状の高さが20〜200μmであることを特徴とする、請求項1に記載の化粧シートの製造方法、
[3] アクリル系樹脂フィルム(Z)を構成するアクリル系樹脂組成物(D)およびアクリル系樹脂組成物(C)が、平均粒子径が50〜300nmであるアクリル系ゴム状重合体(A−a)を含むアクリル系グラフト共重合体(A)を含有することを特徴とする、[1]または[2]に記載の化粧シートの製造方法、
[4] アクリル系樹脂フィルム(Z)を構成するアクリル系樹脂組成物(D)が、アクリル酸エステル系ゴム状重合体(A−a)を含むアクリル系グラフト共重合体(A)、およびメタクリル酸メチル単位を80重量%以上含有するメタクリル系重合体(B)を含む樹脂組成物であり、化粧シートのアクリル系樹脂フィルム(Z)側の鉛筆硬度がH2B〜3Hであることを特徴とする、[1]〜[3]のいずれかに記載の化粧シートの製造方法。
[5] 化粧シートの熱可塑性樹脂シート(X)側の表面粗度(Ra)が0.8μm以下であることを特徴とする、[1]〜[4]ののいずれかに記載の化粧シートの製造方法、
[6] [1]〜[5]のいずれかに記載の化粧シートの製造方法により得られる、化粧シート、および
[7] [6]のいずれかに記載の化粧シートを表皮として有する成形品の製造方法であって、化粧シートを加熱真空成形する工程と、射出成形型内に溶融した熱可塑性樹脂を射出する工程と、を備えることを特徴とする、成形品の製造方法
に関する。
本発明の製造方法により、立体的な意匠性に優れ、かつ、真空成形加工に適する化粧シートを、生産性よく、汚れの付着を抑えながら、製造できる。本発明の製造方法により得られた化粧シートは、真空成形加工性に優れるため、射出成形同時貼合法等により成形品を作製することが可能である。
本発明における化粧シートとは、エンボス加工を施した凹凸形状を有する熱可塑性樹脂シート(X)の凹凸面と、アクリル樹脂フィルム(Z)との間に、特定のガラス転移温度と溶融粘度を有するアクリル系樹脂組成物(C)を溶融状態でフィルム状に押出した後、該積層体を2本の金属ロールおよび/または金属ベルトで挟圧することにより得られる化粧シートである。言い換えるならば、本発明における化粧シートとは、エンボス加工を施した凹凸形状を有する熱可塑性樹脂シート(X)の凹凸面上に、押出ラミネート法により、特定の溶融粘度およびガラス転移温度を有するアクリル系熱可塑性樹脂(C)を介して、アクリル樹脂フィルム(Z)を積層一体化してなる化粧シートである。
本発明における熱可塑性樹脂シート(X)を構成する樹脂としては、公知の樹脂を使用することができ、例えば、ABS系樹脂、AES系樹脂、MBS系樹脂、MS系樹脂、AS系樹脂、TPO系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、フッ素系樹脂、ポリエチレンテレフタレート系樹脂が挙げられる。これらのうちでも、ABS系樹脂、AES系樹脂、TPO系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、MBS系樹脂が、エンボス加工された凹凸形状が潰れ難いことから、好ましい。
本発明における熱可塑性樹脂シート(X)を構成する樹脂には、公知の添加剤(顔料、染料、熱安定剤、酸化防止剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、滑材、拡散剤、高分子加工助剤など)を配合することができる。エンボス加工による凹凸形状を入り易くするために、ランダムPPやタルクを配合することが好ましい。また、顔料としては、金粉、銀粉、銅粉、アルミニウム粉、ニッケル粉、等の金属粉顔料、魚鱗粉、酸化チタン被覆雲母等のパール顔料、等の光輝性材料を使用してもよい。
熱可塑性樹脂シート(X)は、カレンダー成形法、Tダイ押出法等により成形でき、生産性の面からカレンダー成形が特に好ましい。カレンダー成形は150〜250℃のロール表面温度にて成形することが好ましい。
熱可塑性樹脂シート(X)の厚みは、シート全体を薄くし、凹凸形状を明確に表現することを考慮すると、0.1〜0.7mmが好ましい。シート(X)の厚みが0.1mm以上であれば、所定の柄のエンボスを入れても柔軟性を維持でき、カレンダーロールや溶融押出によるシート成形が容易であることから好ましく、0.7mm以下であれば、コストが安く、インサート成形やインモールド成形等の真空成形時に延伸不良が発生しにくいことから好ましい。
熱可塑性樹脂シート(X)に施される凹凸形状の高さH1[図1に示す、凸部(山部)と凸部(谷部)との差]は、充分な凹凸感が得られれば特に規定されないが、シート厚みとの兼ね合いにもよるが、20〜200μmが好ましく、20〜180μmがより好ましい。本凹凸形状の高さH1が20μm以上であれば、積層工程後も凹凸が残り易い為に、化粧シートの意匠性が立体的に見えることから好ましい。また、凹凸形状の高さH1が200μm以下であれば、凹部に樹脂が入り込み易く、気泡等の外観不良が発生しにくいことから好ましい。
本発明において、熱可塑性樹脂シート(X)に凹凸形状を賦形する方法としては、凹凸形状を彫刻されたエンボスロールを用いてプレスすることが生産性の面から好ましい。凹凸形状を転写された熱可塑性樹脂シート(X)は一旦巻き取ってからも使用できるが、連続工程にて、アクリル系樹脂フィルム(Z)およびアクリル系樹脂組成物(C)と積層一体化することも可能である。
エンボスロールとしては、例えば、鉄、銅、ニッケル、等の金属ロール、シリコン等のゴムロールを使用することができる。エンボスロールに彫刻される凹凸形状としては、幾何学模様、ローレット模様、皮調模様、布調模様、カーボン模様、木目模様、ヘアーライン模様等が好ましく使用できる。
本発明における熱可塑性樹脂シート(X)の表面には、プライマー処理や印刷処理を施すことができる。印刷柄としては、例えば、木目や単色、多色柄を施すことができる。印刷インキは公知の樹脂を使用することができる。また、印刷インキとして、上述の金属粉顔料、パール粉顔料等の光輝性材料を含むものを使用してもよい。
本発明の化粧シートには、アクリル系樹脂フィルム(Z)を使用することが好ましい。アクリル系樹脂フィルム(Z)を積層することにより、射出成形同時貼合法にて成形した際の曲面加工や深絞り加工が容易にでき、表面硬度も2B以上に出来て傷が付き難く、印刷も容易にでき、透明性が高く、曲面加工や端部のトリミング時にフィルムが白くならないことから好ましい。
本発明におけるアクリル系樹脂フィルム(Z)の厚みは20〜300μmが好ましく、50〜300μmがより好ましい。アクリル系樹脂フィルム(Z)の厚みが20μm以上であれば、フィルムの厚みにより深みのある意匠性に得ることができる。アクリル系樹脂フィルム(Z)の厚みが300μm以下であれば、押出ラミネートする最の温度を低くしても熱が伝わり易いことから、ロールのプレス圧力を低く抑えることができ、生産性が上がることから好ましい。
本発明におけるアクリル系樹脂フィルム(Z)は、後述するアクリル系樹脂組成物(D)を押出機中にて溶融状態とし、押出機先端に接続されたフラットダイ(Tダイ)等を通して、フィルム状に成形される、いわゆる「Tダイ押出法」により成形されて得られるフィルムである。
本発明におけるアクリル系樹脂フィルム(Z)は、アクリル系樹脂組成物(D)をフラットダイ(Tダイ)法によりフィルム成形することにより得られる。Tダイ法は、生産性やフィルム膜厚の均一性の点から好ましい。Tダイ内部の流路はコートハンガータイプであれば樹脂がTダイの両端に展開しやすく生産性が向上することから好ましい。Tダイのリップ先端に設けるランド部は2mm以上であれば樹脂の流量をTダイの幅方向に均一化しやすく膜厚精度が向上することから好ましく、30mm以下であることで圧力損失が大きくなりすぎず吐出量を上げやすくなることから好ましい。
Tダイ押出法で成形する場合、ペレット形状とした樹脂を使用することが好ましい。使用する押出機としては、スクリュー径が40mmφ以上の単軸押出機、またはスクリュー径が32mmφ以上の二軸押出機を用いることが好ましく、例えば、シリンダおよび連結管の設定温度を150〜280℃の範囲で運転し、170〜280℃の範囲に設定したTダイから溶融樹脂吐出させることにより、フィルムを得ることができる。また、必要に応じ、押出機にはベント、ギアポンプ、スクリーンチェンジャー、スクリーンメッシュ、リーフディスクフィルター等を用いることができる。
Tダイ法によるフィルム成形時における、Tダイのリップ部のクリアランスは、0.3〜1.2mmとすることが好ましく、0.3〜1.0mmとすることが更に好ましい。Tダイ先端のリップ部のクリアランスが0.3mm以上であれば、リップ先端同士の衝突を防止できることから好ましい。クリアランスが1.2mm以下であれば、メルトフラクチャ−による膜厚変動が発生しにくいことから好ましい。
本発明において、アクリル系樹脂フィルム(Z)をTダイ法により成形するに際し、Tダイにより吐出される溶融状態の前記基体樹脂の、片面を金属ロールまたは金属ベルトに接触させ、反対の面を金属ロール、金属スリーブロール、金属ベルト、ゴムロール、金属スリーブ付きゴムロール、ポリエチレンテレフタレート系樹脂よりなる群より選ばれるいずれか1種に接触させることにより、表面の平滑性を向上させることができる。金属ロール、金属スリーブロール、金属スリーブ付きゴムロールであれば、100μm以下のフィルムを成形できる。また、アクリル系樹脂フィルムにおいては、エンボス柄を賦形しても良い。
本発明のアクリル系樹脂フィルム(Z)は、共押出法によっても得ることができる。共押出法としては、特に限定されないが、通常のフィードブロック法やマルチマニホールド法などの多層押出成形が有用であり、例えば、通常の溶融Tダイ押出法等により良好に加工される。
共押出できる熱可塑性樹脂としては、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ABS系樹脂、AS系樹脂、MBS系樹脂、MS系樹脂、スチレン系樹脂、メタクリル系樹脂、ポリグルタルイミド、無水グルタル酸ポリマー、ラクトン環化メタクリル系樹脂、ポリフッ化ビニリデン、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、フッ素化アクリル樹脂等の組成物があげられ、これらの組成物は単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
なお、ポリ塩化ビニル系樹脂には、塩化ビニル単独重合体だけでなく、塩化ビニルおよび酢酸ビニル等の他の単量体との共重合体、後塩素化した塩素化塩化ビニル樹脂も含まれる。また、軟質塩化ビニル樹脂も含まれる。
本発明におけるアクリル系樹脂フィルム(Z)を構成するアクリル樹脂組成物(D)のガラス転移温度は、60〜135℃が好ましく、65〜120℃がより好ましい。アクリル系樹脂フィルム(Z)のガラス転移温度が60℃以上であれば、フィルムの耐熱性が向上し、成形時の加熱によりフィルムが縮みにくいことから好ましく、135℃以下であれば、アクリル系樹脂組成物(C)との密着性が向上し、ライン速度を早く、生産性が向上することから、好ましい。
なお、本発明におけるアクリル樹脂組成物のガラス転移温度とは、アクリル樹脂組成物のペレットに対して、示差熱量計DSCを用いて測定した値である。
本発明では、アクリル系樹脂フィルム(Z)の少なくとも片面に、コーティング層、印刷層、または蒸着層を設けることにより、自動車用部品やパソコン部品、家電製品として使用する際、意匠性や耐薬品性、耐候性を向上させることができる。
印刷層の形成方法としては、グラビア印刷、スクリーン印刷、インクジェットプリンター等による印刷などの公知の方法を採用することができ、メタリックや木目等のあらゆる柄を印刷することができる。
コーティング層の形成方法としては、ダイコート法、グラビアコート法、マイクログラビアコート法、ロールコート法、ブレードコート法、ディップコート法、リバースコート法など、公知の各種方法が使用できる。外観を均一に保つ為、グラビアコート法、またはマイクログラビアコート法が更に好ましい。
コーティング層を形成する樹脂組成物としては、公知の熱硬化性樹脂や光硬化性樹脂を用いることが、フィルムの耐擦傷性の観点から好ましく、さらにフィルムの伸び性を高くできることから、熱硬化性樹脂を用いることがより好ましい。熱硬化性樹脂や光硬化性樹脂としては、例えば、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン−アクリレート系樹脂、シリコーン−アクリレート系樹脂、エポキシ系樹脂、エステル系樹脂、フッ素系樹脂、フッ素シリコーン系樹脂を用いることができる。
コーティング層には、艶消し剤を含有することができる。艶消し剤としては、シリカ、マイカ、炭酸カルシウム、炭酸カルシウム、酸化チタンなどの無機系微粒子、アクリル系樹脂架橋粒子、フッ素系樹脂架橋粒子などの架橋樹脂粒子が好ましい。
本発明におけるアクリル系樹脂組成物(C)としては、加熱温度260℃におけるせん断速度122(1/sec)での溶融粘度が2500Pa・sec以下であることが好ましく、2000Pa・sec以下であることがより好ましい。アクリル系樹脂組成物(C)の溶融粘度が2500Pa・sec以下であれば、Tダイ法でのフィルム成形時に押出機への負荷が小さく、吐出量を増やし、生産性が向上することができ、また、熱可塑性樹脂シート(X)の凹凸形状に入り込み易く、気泡が発生しにくいことから、好ましい。
なお、本発明における溶融粘度は、以下の操作により測定した値である。すなわち、キャピログラフ(東洋精機(株)製、オリフィス径φ1mm、L=10mm)を使用して、260℃の温度条件にて溶融状態とした後、剪断速度122(1/sec)にて鉛直方向に吐出させた際に、シェアストレスを検出し、溶融粘度を測定した。
本発明のアクリル系樹脂組成物(C)のガラス転移温度は、115℃以下であることが好ましい。アクリル系樹脂組成物(C)のガラス転移温度が115℃以下であれば、熱可塑性樹脂シート(X)の凹凸上に溶融状態のアクリル系樹脂組成物(C)が入り込み易く、気泡が発生しにくく、更に熱可塑性樹脂シート(X)、およびアクリル系樹脂フィルム(Z)との密着性が向上することから好ましい。
本発明における化粧シートの製造方法は、エンボス加工を施した凹凸形状を有する熱可塑性樹脂シート(X)の凹凸面と、アクリル樹脂フィルム(Z)との間に、アクリル系樹脂組成物(C)を溶融状態でフィルム状に押出した後、該積層体を2本の金属ロールおよび/または金属ベルトで挟み込むことにより一体化させる製造方法である。言い換えるならば、本発明における化粧シートの製造方法とは、エンボス加工を施した凹凸形状を有する熱可塑性樹脂シート(X)の凹凸面上に、押出ラミネート法により、熱可塑性樹脂(C)を介して、アクリル樹脂フィルム(Z)を積層一体化してなる製造方法である。
本発明におけるアクリル系樹脂組成物(C)は、押出機中にて溶融状態とされた後、押出機の先端に接続されたフラットダイ(Tダイ)等を通して、フィルム状に押し出され、
別途繰り出される熱可塑性樹脂シート(X)の凹凸面側と、アクリル樹脂フィルム(Z)との間に、導かれる。
アクリル系樹脂組成物(C)の溶融に用いられる押出機としては、単軸押出機または二軸押出機が使用できる。
アクリル系樹脂組成物(C)の溶融時における押出機のシリンダ部の設定温度は、120℃〜300℃が好ましい。シリンダ部の設定温度が120℃以上であれば、アクリル系樹脂組成物(C)を可塑化しやすく押出負荷が小さいことから、生産性も高くすることができ、好ましい。シリンダ部の設定温度が300℃以下であれば樹脂の分解を抑制することが出来好ましい。また、押出機先端のダイス部の設定温度は、300℃以下にすることが好ましい。ダイス部の設定温度を300℃以下にすることで樹脂の分解が抑制され分子量の低下やダイラインが発生しにくく、熱可塑性樹脂シート(X)の凹凸が変化しにくいことから好ましい。
本発明でのアクリル系樹脂組成物のフィルム状化におけるTダイリップのクリアランスは、0.2〜2.0mmであることが好ましい。Tダイリップのクリアランスが0.2mm以上であれば、リップ同士の接触がし難く、2.0mm以下であれば、アクリル系樹脂組成物(C)のドローレゾナンスが発生し難いことから、好ましい。
アクリル系樹脂組成物(C)からなるフィルム層の厚みは、20〜500μmが好ましい。アクリル系樹脂組成物(C)からなるフィルム層の厚みが20μm以上であれば、メルトフラクチャーが発生しにくいため好ましく、500μm以下であれば、生産速度を上げることができるため、好ましい。
アクリル系樹脂フィルム(Z)/アクリル系樹脂組成物(C)/熱可塑性樹脂シート(Z)の積層体を、2本のローおよび/またはベルトにより挟み込まれることにより、密着性を向上させることができる。
本発明の製造方法においては、ロールおよびベルトとして、例えば、金属ロール、金属ベルト、ゴムロールの他に、薄膜金属ロール[例えば、住友重機械(株)製フレックスロール、Hitz製UFロール等]、鏡面仕上げゴムロール等を使用することができる。
本発明における2本のロールおよび/またはベルトによる挟み込み圧力は、0.01MPa以上が好ましい。挟み込み圧力が0.01MPa以上であれば化粧シートの密着性が向上することから好ましい。
本発明の製造方法においては、Tダイ先端部と2本のロールで挟み込む迄の距離は、300mm以下であることが好ましい。前記距離が300mm以下であれば、アクリル系樹脂組成物(C)のドローレゾナンスが発生しにくいことから好ましい。
本発明の製造方法では、図1に示すように、化粧シート成形前の熱可塑性樹脂シート(X)の凹凸形状の高さH1と、化粧シート成形後の熱可塑性シート(X)の凹凸形状の高さH2を比較した際、H2/H1が0.4以上であることが好ましく、0.5以上であることがより好ましい。H2/H1が0.4以上であれば、立体感を維持した意匠性に得ることができることから好ましい。
本発明で製造方法では、得られた化粧シートの熱可塑性樹脂シート(X)側の表面粗度(Ra)は、1.2μm以下であることが好ましい。熱可塑性樹脂シート(X)側の表面粗度(Ra)が1.2μm以下であれば、化粧シート表面となるアクリル系樹脂フィルム(Z)側に凹凸が発生しにくく、外観意匠性に優れることから、好ましい。
本発明に用いられるアクリル系樹脂フィルム(Z)を構成するアクリル系樹脂組成物(D)、およびアクリル系樹脂組成物(C)について、詳しく説明する。
本発明のアクリル系樹脂フィルム(Z)を構成するアクリル系樹脂組成物(D)、およびアクリル系樹脂組成物(C)は、フィルムの割れ性を向上させ、トリミングや二次成形時にフィルムが伸ばされた時に白くなりにくいことから、平均重量粒子径が50〜300nmのアクリル系ゴム状重合体(A−a)を含むアクリル系グラフト共重合体(A)を含むことが好ましい。アクリル系ゴム状重合体(A−a)の平均重量粒子径が50nm以上であれば、化粧シートの割れ性を向上させ、自動車内外装部材や家電外装、携帯外装などの成形(インサート成形、インモールド成形)時の3次元加工やトリミング加工時にフィルムの伸ばされた箇所が白くなりにくく外観意匠性が良いことから好ましく、更に好ましくは60nm以上である。300nm以下であればフィルムのヘイズを小さく透明性を良くすることが出来ることから好ましく、250nm以下であることが更に好ましい。
本発明におけるアクリル系樹脂フィルム(Z)を構成するアクリル系樹脂組成物(D)は、硬度を高くできる点から、アクリル酸エステル系ゴム状重合体(A−a)を含むアクリル系グラフト共重合体(A)および、メタクリル酸メチル単位を80重量%以上含有するメタクリル系重合体(B)からなるものであることが好ましい。
アクリル系樹脂フィルム(Z)の鉛筆硬度は、傷付きにくい点から、2B以上であることが好ましく、HB以上であることがより好ましく、H以上であることがさらに好ましく、他方、真空成形や印刷時にフィルムが割れ難い点から、3H以下であることが好ましい。
本発明の化粧シートにおけるアクリル系樹脂フィルム(Z)を構成するアクリル系樹脂組成物(D)、およびアクリル系樹脂組成物(C)は、アクリル系グラフト共重合体(A)およびメタクリル系重合体(B)をそれぞれ重合して、これらを混合して得ることができるが、製造に際しては、同一の反応機内でアクリル系グラフト共重合体(A)を製造した後、メタクリル系重合体(B)を続けて製造することもできる。アクリル系グラフト共重合体(A)およびメタクリル系重合体(B)を混合する方法としては、ラテックス状あるいはパウダー、ビーズ、ペレット等で混合が可能である。
本発明で用いられるアクリル系グラフト共重合体(A)としては、アクリル酸エステル系ゴム状重合体[アクリル酸エステルを主成分とした架橋ゴム状重合体](A−a)の存在下に、メタクリル酸エステルを主成分とする単量体混合物(A−b)をグラフト重合して[1段でも良いし、組成を変更させて2段以上で重合しても良い]得られるものが、生産性や物性調整の点から好ましい。
本発明で用いられるアクリル酸エステル系ゴム状重合体(A−a)は、アクリル酸エステル、共重合可能な他のビニル系単量体および特定量の共重合可能な架橋剤からなる単量体混合物を、重合させてなるものである。
本発明のアクリル酸エステル系ゴム状重合体(A−a)に用いられるアクリル酸エステルとしては、重合性やコストの点より、アルキル基の炭素数1〜12のものを用いることができる。その具体例としては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸n−オクチル等が挙げられる。これらの単量体は、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明のアクリル酸エステル系ゴム状重合体(A−a)に用いられる共重合可能な他のビニル系単量体としては、例えば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル等のメタクリル酸エステル類;スチレン、メチルスチレン等の芳香族ビニル類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル類があげられる。これらのうちでは、耐候性、透明性の点から、メタクリル酸エステル類が特に好ましい。これらの単量体は、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明のアクリル酸エステル系ゴム状重合体(A−a)におけるアクリル酸エステルと共重合可能な他のビニル系単量体との組成比率は、アクリル酸エステル50〜100重量%、および他のビニル系単量体0〜50重量%である[アクリル酸エステル、および他のビニル系単量体の合計量は100重量%]ことが好ましく、アクリル酸エステル60〜100重量%、および他のビニル系単量体0〜40重量%であることがより好ましく、アクリル酸エステル70〜100重量%および他のビニル系単量体0〜30重量%であることがさらに好ましい。アクリル酸エステルの組成比率が50重量%以上であれば、耐衝撃性が向上し、引張破断時の伸びが向上し、フィルム切断時にクラックが生じにくくなるために好ましい。
本発明のアクリル酸エステル系ゴム状重合体(A−a)に用いられる架橋剤としては、例えば、アクリルメタクリレート、アリルアクリレート、トリアクリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、ジアリルフタレート、ジアリルマレート、ジビニルアジペート、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、トリメチルロールプロパントリメタクリレート、テトロメチロールメタンテトラメタクリレート、ジプロピレングリコールジメタクリレートおよびこれらのアクリレート類などがあげられる。これらの架橋剤は、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明における共重合可能な架橋剤の添加量wは、アクリル酸エステル系ゴム状重合体(A−a)の重量平均粒子径と共に、基体フィルムの応力白化、引張破断時の伸びあるいは透明性に大きく影響するため、アクリル系樹脂組成物(D)に使用されるアクリル酸エステル系ゴム状重合体の重量平均粒子径d(nm)と架橋剤量w(重量%)は、w≦0.06dを満たすことが好ましい。
架橋剤の添加量wは、上記式に示される範囲内では、応力白化が生じにくく耐衝撃性が低下しにくく、透明性が高い傾向がある。また、架橋剤の添加量wが0.06d以下であれば、スウェル比を大きくでき、ダイラインを改善出来ることから好ましい。
なお、本発明におけるアクリル酸エステル系ゴム状重合体(A−a)の重量平均粒子径dは、50〜300nmが好ましく、50〜280nmがより好ましく、50〜250nmがさらに好ましい。アクリル酸エステル系ゴム状重合体(A−a)の平均粒子径が50nm以上であれば、耐衝撃性および引張破断時の伸びが低下しにくく、フィルム切断時にクラックが生じにくくなり、スウェル比が大きくなることから好ましく、300nm以下であれば、応力白化が生じにくく、透明性、特に真空成形後の透明性(加熱前後の透明性保持)を確保することが出来ることから好ましい。
本発明のアクリル酸エステル系ゴム状重合体(A−a)の製造においては、上記単量体混合物を全部混合して重合してもよく、また、単量体組成を変化させて2段以上で重合してもよい。
本発明で用いられるアクリル系グラフト共重合体(A)は、好ましくは、前記アクリル酸エステル系ゴム状重合体(A−a)5〜75重量部の存在下に、メタクリル酸エステルを主成分とする単量体混合物(A−b)95〜25重量部をグラフト重合させることより得られる。
本発明におけるグラフト共重合組成[単量体混合物(A−b)の組成]は、得られるフィルムの耐熱性、耐溶剤性の点から、メタクリル酸エステル50〜100重量%およびアクリル酸エステル0〜50重量%が好ましく、メタクリル酸エステル60〜100重量%およびアクリル酸エステル0〜40重量%がより好ましく、得られるフィルムの硬度、剛性の点からは、メタクリル酸エステル80〜100重量%およびアクリル酸エステル0〜20重量%がさらに好ましく、メタクリル酸エステル85〜100重量およびアクリル酸エステル0〜15重量%が特に好ましい。グラフト共重合に用いられるメタクリル酸エステルおよびアクリル酸エステルの具体例としては、前記アクリル酸エステル系ゴム状重合体にて例示したものが使用可能である。
本発明で用いられるアクリル系グラフト共重合体(A)では、(A−b)のグラフト重合において、第1段階でメタクリル酸エステルを86重量%以上含有する単量体混合物をグラフト重合させ、第2段階でメタクリル酸エステルを85重量%以下含有する単量体混合物をグラフト重合させても構わない。第1段階でメタクリル酸エステルを86重量%以上含有する単量体混合物をグラフト重合させ、第2段階でメタクリル酸エステルを85重量%以下含有する単量体混合物をグラフト重合させたものでは、応力白化が生じにくくなるため好ましい。
この際、単量体混合物(A−b)のうち、アクリル酸エステル系ゴム状重合体(A−a)にグラフト反応せずに、未グラフトの重合体となる成分が生じる。アクリル系グラフト共重合体(A)は、メチルエチルケトンに不溶となる。
本発明のアクリル系グラフト共重合体(A)におけるアクリル酸エステル系ゴム状重合体(A−a)に対するグラフト率は、30〜200%が好ましく、50〜200%我より好ましく、80〜200%がさらに好ましい。グラフト率が30%以上であれば透明性が低下せず、引張破断時の伸びが低下せず、フィルム切断時にクラックが生じにくくなるため好ましく、200%以下であればフィルム成形時の溶融粘度が高くならず、フィルムの成形性が低下せず好ましい。
なお、グラフト率とは、アクリル酸エステル系ゴム重合体(A−a)に対するグラフト層の割合を測定した値であり、以下の操作により得られるメチルエチルケトン不溶分を、アクリル酸エステル系ゴム状重合体(A−a)およびグラフト層(A−bの一部または全部)として、次式により算出する。
グラフト率G(%)={(メチルエチルケトン不溶分の重量−アクリル酸エステル系架橋弾性体粒子(A−a)の重量)/アクリル酸エステル系架橋弾性体粒子(A−a)の重量}×100
すなわち、アクリル系樹脂組成物(C)、(D)1gをメチルエチルケトン40mlに添加し、12時間室温で放置後、マグネチックスターラーを用い30分間攪拌を行う。これを遠心分離機(日立工機(株)製、CP60E)を用い30000rpmで1時間遠心分離し、デカンテーションにより、メチルエチルケトン不溶分および可溶分(溶液)に分離する。メチルエチルケトン不溶分に、さらにメチルエチルケトン20mlを加え、同様に遠心分離およびデカンテーションを2回繰り返すことにより、メチルエチルケトン不溶分と可溶分に分離する。
本発明で用いられるメタクリル系重合体(B)は、得られるフィルムの耐熱性、耐溶剤性の点から、メタクリル酸エステル50〜100重量%およびアクリル酸エステル0〜50重量%を含有する単量体混合物を、少なくとも1段以上で共重合させてなるものであるが、より好ましくは、メタクリル酸エステル60〜100重量%およびアクリル酸エステル0〜40重量%を含有するものである。特に、得られるフィルムの硬度、剛性を重視する場合には、メタクリル系重合体(B)の単量体混合物組成としては、メタクリル酸メチルを80重量%以上含有するものが好ましく、85重量%以上含有するものがより好ましく、90重量%以上含有するものがさらに好ましく、92重量%以上含有するものが特に好ましい。
また、本発明のメタクリル系重合体(B)においては、必要に応じて、メタクリル酸アルキルエステルおよびアクリル酸アルキルエステルに対して共重合可能なエチレン系不飽和単量体を共重合しても構わない。これらの共重合可能なエチレン系不飽和単量体としては、例えば、塩化ビニル、臭化ビニル等のハロゲン化ビニル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル、蟻酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル誘導体、塩化ビニリデン、弗化ビニリデン等のハロゲン化ビニリデン、アクリル酸、アクリル酸ナトリウム、アクリル酸カルシウム等のアクリル酸およびその塩、アクリル酸β−ヒドロキシエチル、アクリル酸ジメチルアミノエチル、アクリル酸グリシジル、アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド等のアクリル酸アルキルエステル誘導体、メタクリル酸、メタクリル酸ナトリウム、メタクリル酸カルシウム等のメタクリル酸およびその塩、メタクリルアミド、メタクリル酸β−ヒドロキシエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸グリシジル等のメタクリル酸アルキルエステル誘導体等があげられ、これらの単量体は2種以上が併用されてもよい。
本発明で用いられるアクリル系樹脂組成物(D)中におけるアクリル酸エステル系ゴム状重合体(A−a)の含有量は、5〜60重量%が好ましく、10〜55重量%がより好ましい。アクリル酸エステル系ゴム状重合体(A−a)の含有量が5重量%以上であれば、得られる基体フィルムの引張破断時の伸びが低下せず、応力白化が生じにくくなるため、好ましい。含有量が60重量%以下であれば、得られるフィルムの硬度、剛性が低下しにくくなるため好ましい。
本発明で用いられるアクリル系樹脂組成物(C)中におけるアクリル酸エステル系ゴム状重合体(A−a)の含有量は、5〜70重量%が好ましく、10〜70重量%がより好ましい。アクリル酸エステル系ゴム状重合体(A−a)の含有量が5重量%以上であれば、熱可塑性樹脂シート(X)の凹凸に樹脂が入り込み易くなり、得られる化粧シートの引張破断時の伸びが低下せず、応力白化が生じにくくなるため好ましい。含有量が70重量%以下であれば、得られる化粧シートの硬度、剛性が低下しにくくなるため、好ましい。
本発明で用いられるアクリル系樹脂組成物(C)または(D)のメチルエチルケトン可溶分の還元粘度は、0.1〜0.8dl/gが好ましく、0.2〜0.7dl/gがより好ましい。メチルエチルケトン可溶分の還元粘度が0.1dl/g以上であれば、得られるフィルムの引張破断時の伸びが低下せず、耐溶剤性が低下せず好ましく、0.8dl/g以下であればフィルムの成形性が低下しにくく、好ましい。
ここで、アクリル系樹脂組成物(C)、(D)のメチルエチルケトン可溶分の還元粘度とは、上記の操作により得られたるメチルエチルケトン可溶分150mgをN,N−ジメチルホルムアミド50mlに溶解させた溶液に対して、JIS K6721に従い、30℃での還元粘度を測定した値である。
すなわち、アクリル系樹脂組成物(C)または(D)をメチルエチルケトン40mlに添加し、12時間室温で放置後、マグネチックスターラーを用い30分間攪拌を行う。これを遠心分離機(日立工機(株)製、CP60E)を用い30000rpmで1時間遠心分離し、デカンテーションにより、メチルエチルケトン不溶分および可溶分(溶液)に分離する。メチルエチルケトン不溶分に、さらにメチルエチルケトン20mlを加え、同様に遠心分離およびデカンテーションを2回繰り返すことによりメチルエチルケトン不溶分と可溶分とに分離する。さらに、メチルエチルケトン可溶分は、該溶液に対してメタノールを用いて析出させ、真空乾燥機を用いて60℃にて10時間乾燥させて、可溶分サンプルを得る。
本発明で用いられるアクリル系樹脂組成物(C)および(D)におけるアクリル系グラフト共重合体(A)およびメタクリル系重合体(B)の製造方法は、特に限定されたものではなく、乳化重合法、懸濁重合法、塊状重合法等が適用可能である。
乳化重合法においては、通常の重合開始剤が使用される。その具体例としては、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウムなどの無機過酸化物;クメンハイドロパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイドなどの有機過酸化物;さらにアゾビスイソブチロニトリルなどの油溶性開始剤があげられる。これらは、単独で用いてもよいし、2種以上を組合せて用いてもよい。
これらの開始剤は、亜硫酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、ナトリウムホルムアルデヒド、スルフォキシレート、アスコロビン酸、硫酸第一鉄などの還元剤と組み合わせた通常のレドックス型重合開始剤として使用してもよい。
前記乳化重合に使用される界面活性剤にも特に制限はなく、通常の乳化重合用の界面活性剤であれば使用することができる。その具体例としては、例えば、アルキル硫酸ソーダ、アルキルスルフォン酸ソーダ、アルキルベンデンスルフォン酸ソーダ、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、ラウリン酸ソーダなどの陰イオン性界面活性剤や、アルキルフェノール類とエチレンオキサイドとの反応生成物などの非イオン性界面活性剤などが示される。これらの界面滑性剤は単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。
このように得られる共重合体ラテックスから、通常の凝固と洗浄により、または、スプレー乾燥、凍結乾燥などによる処理により、アクリル系グラフト共重合体(A)またはメタクリル系重合体(B)が分離、回収される。
本発明のアクリル系樹脂組成物(C)、または(D)には、着色のため無機または有機系の顔料、染料、拡散剤、艶消し剤、熱や光に対する安定性をさらに向上させるための抗酸化剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、紫外線安定剤などを単独または2種以上組み合わせて添加してもよい。
本発明においては、紫外線吸収剤を含有させることにより、耐候性の優れた成形品とすることができる。紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール系の紫外線吸収剤やベンゾフェノン系の紫外線吸収剤を、それぞれ単独で、または2種以上混合して用いることができる。なかでも、高分子量のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、例えば、2,2′−メチレンビス[6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール]などが、耐候性が高く、フィルムからの揮発も少ないことから好ましい。
本発明においては、メタクリル系樹脂組成物(C)または(D)に、紫外線吸収性を示す単量体を共重合することもできる。そのことにより、押出成形時に紫外線吸収剤の一部が揮発することなく、押出成形時のロールおよび金属ベルト、または、射出成形用金型への揮発成分の付着による汚れが少なくなる。
紫外線吸収性能を示す単量体としては、例えば、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メタクリロイルオキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール類であり、2−(2’−ヒドロキシ−5’−アクリロイルオキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メタクリロイルオキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メタクリロイルオキシエチルフェニル)−5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メタクリロイルオキシプロピルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メタクリロイルオキシエチル−3’−t−ブチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール等が挙げられる。これらのうちでも、より好ましくは、コストおよび取り扱い性から、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メタクリロイルオキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾールである。
紫外線吸収性を示す単量体の共重合比率は、アクリル系樹脂組成物(C)、(D)100重量部に対して、0.01〜5重量部が好ましく、0.05〜5重量部が特に好ましい。共重合比率が0.01〜5重量部の範囲では、フィルムの耐候性と乳化重合の安定性とのバランスが良好となる。
本発明の製造方法により得られる化粧シートは、前述したように、アクリル系樹脂フィルム(Z)およびアクリル系樹脂組成物(C)として、特定粒子径のアクリル系ゴム状重合体を含有するものであるため、フィルムの割れ性を向上させ、フィルムが延伸された場合にも白くなりにくいことから、真空成形に好適に使用できる。さらには、化粧シートは、後述するように、真空成形されたシートに対して射出成形法により成形体を形成させる、いわゆる、フィルムインサート法やフィルムインモールド法等の射出成形同時貼合法にも、好適に使用することができる。
本発明の製造方法により得られる化粧シートは、成型品に貼り合わせて使用されることができる。貼り合せ方法は射出成形同時貼合法が好ましいが、特に制限されるものではない。例えば、二次元形状(シート・フィルム状)で、かつ基材が熱融着できる成形品の場合には、熱ラミネーション等の公知の方法を用いることができる。また、熱融着しない成形品に対しては、プライマー層または接着層を介して貼り合せることが可能である。二次元形状の積層品に関しては、真空成形等を行うことにより、三次元形状とすることができ、本発明の化粧シートは特に容易に成形することができる。
三次元形状の成形品の場合には、射出成形時にアクリル系樹脂フィルムを成型品の最表面とするインサート成形法、インモールド成形法等の射出成形同時貼合法、等の公知の方法を用いることができる。射出成形される樹脂としては、種類は問わず、射出成形可能な全ての樹脂が使用可能である。
本発明のアクリル系樹脂フィルムを積層して得られる成形品は、例えば、自動車内装や自動車外装や携帯電話の部材、AV機器の部材、パソコン機器の部材、家具製品、各種ディスプレイ、レンズ、窓ガラス、小物、雑貨等の外観意匠性の必要となる各種用途等に使用することができ、真空成形加工性に優れ、かつ、優れた意匠性を有することから、自動車内外装部材に好ましく使用される。
以下に実施例、比較例により本発明を説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。なお、実施例、比較例にある「部」は重量部、「%」は重量%を表す。
また、略号は、それぞれ下記の物質を表す。
OSA:ソジウムジオクチルスルホサクネシート
BA:アクリル酸ブチル
MMA:メタクリル酸メチル
St:スチレン
AlMA:メタクリル酸アリル
CHP:キュメンハイドロパーオキサイド
tDM:ターシャリードデシルメルカプタン
EA:アクリル酸エチル。
得られたフィルムまたは化粧シートの特性評価は、次の方法、条件に従った。
(アクリル酸エステル系ゴム状重合体の重量平均粒子径)
得られたアクリル酸エステル系ゴム状重合体(A−a)ラテックスを固形分濃度0.02%に希釈したものを試料として、分光光度計(HITACHI製、Spectrophotometer U−2000)を用いて波長546nmでの光線透過率より、重量平均粒子径を求めた。
(溶融粘度)
得られた樹脂ペレットを85℃で5時間以上乾燥した後、キャピログラフ(東洋精機製(株)、CAPILOGRAPH 1D;オリフィス径φ1mm、L=10mm)を使用して、260℃の温度条件で測定し、剪断速度122(1/sec)での溶融粘度の値を示した。
(化粧シートの外観)
得られた化粧シートの断面を観察して、気泡の発生状況を観察し、次の基準にて評価した。
○:気泡が観察されない。
△:気泡が1個〜3個/m2観察された。
×:気泡が4個/m2以上観察された。
(凹凸形状の高さの維持率)
化粧シート成形前の熱可塑性樹脂シート(X)の凹凸形状の高さH1と、成形後の熱可塑性樹脂シート(X)の凹凸形状の高さH2を、以下のように測定し、H2/H1比率を算出した。すなわち、成形前の熱可塑性樹脂シート(X)または成形後の化粧シートを、ダイヤモンドナイフを用いて、厚み方向にカットし、マイクロハイスコープ(キーエンス(株)製)を用いて、該断面での凹凸形状の高さを測定した。
(化粧シートの中心線平均粗さRa)
得られた化粧シートの熱可塑性樹脂シート(X)面に関して、JIS B0601−2001に基づき、表面粗さ測定機[(株)東京精密製、サーフコム110B]を用いて、中心線平均粗さRaを測定した。
(生産性)
100cm×100cmの化粧シートを10枚作成するのに必要な時間を観察し、1枚当りの時間に換算し、次の基準にて評価した。
○:10枚/10分未満。
△:10枚/10分以上〜30分未満。
×:10枚/30分以上。
(応力白化)
得られたフィルムを、23℃において1秒間で90度折り曲げて、白化状態を観察し、次の基準にて評価をした。
○:白化が認められない。
△:白化がわずか認められる。
×:白化が著しい。
(フィッシュアイ)
化粧シート表面を目視で観察して、きょう雑物表(大蔵省発行)を使用して、2.0mmサイズ以上のフィッシュアイの個数を測定した。
○:1個以下/m2
△:1個/m2超、3個/m2未満。
×:3個以上/m2
(真空成形後の化粧シートの外観)
得られた化粧シートを射出成形金型内に配置して、延伸倍率が最大で150%の金型を型閉めした後、成形樹脂温度240℃、金型温度60℃の成形条件で金型内に溶融したABS樹脂を射出し、ABS樹脂と一体化した化粧シート付き成型品の外観を観察した。
○:エンボスが潰れずに残っている。
△:エンボスが少し潰れている。
×:エンボスが著しく潰れている。
(鉛筆硬度)
得られた化粧シートのアクリル系樹脂フィルム(Z)側の鉛筆硬度を、JIS K5600に基づき、測定した。
(製造例1)
撹拌機付き8L重合機に次の物質を仕込んだ。
水 200部
ソジウムオクチルスルホサクシネート 0.3部
エチレンジアミン・2Na 0.001部
硫酸第一鉄 0.00025部
ソジウムホルムアルデヒドスルフォキシレート 0.15部
脱酸素後、内温を60℃にした後、表1に示した単量体混合物(a)[BA92%、MMA6.1%およびAIMA1.9%からなる単量体混合物100重量%に対し、CHP0.2重量%を添加した単量体混合物21部]を10部/時間の割合で連続的に滴下し、その後30分間後重合を行い、アクリル系ゴム状重合体を得た。重合転化率は99.5%であった。その後、ソジウムオクチルスルホサクシネート0.2部を仕込んだ後、表1に示した単量体混合物(b)[BA5%、MMA95%からなる単量体混合物100重量%に対し、CHP0.4%およびtDM0.4%を添加した単量体混合物70部]を12部/時間の割合で連続的に滴下し、その後1時間後重合を行い、アクリル系グラフト共重合体(A)を得た。アクリル系グラフト共重合体(A)の重合転化率は99.0%、グラフト率は135%、メチルエチルケトン可溶分の還元粘度は0.35dl/gであった。
得られたラテックスを酢酸カルシウムで塩析凝固し、水洗、乾燥して樹脂粉末1を得た。
アクリル系ゴム状重合体を、表1に示した。
(製造例2〜6)
表1に示す重合処方にて、製造例1と同様の操作により、樹脂粉末2〜6を得た。
アクリル系ゴム状重合体を、表1に示した。
Figure 2009292026
(樹脂ペレット7)
樹脂ペレット7として、懸濁重合で製造したMMA−EA共重合体[住友化学工業(株)製、スミペックスEX:MMA/EA=95/5(重量比:H1−NMR測定による分析結果)、還元粘度0.30dl/g、ゴム状重合体不含]を用いた。
(実施例1)
[熱可塑性樹脂(C)ペレットの製造]
製造例1で得られた樹脂粉末1・アクリル系グラフト重合体100部に対し、メタクリル系高分子加工助剤(E)としてメタブレンP−531[三菱レイヨン(株)製、重量平均分子量Mw=500万]を0.5部、紫外線吸収剤としてチヌビン234(チバスペシャルケミカル社製)1.0部を混合した後、ベント式90mmφ単軸押出機を用い、シリンダ設定温度180℃〜250℃にて溶融混練を行い、押出ペレットを得た。
[アクリル系樹脂フィルム(Z)の製造]
製造例1で得られた樹脂粉末1・アクリル系グラフト重合体100重量部に対し、紫外線吸収剤としてチヌビン234(チバスペシャリティケミカル製)0.8部配合した後、ベント式90mm二軸押出機を用い、シリンダ設定温度180〜250℃にて溶融混練を行い、押出ペレットを得た。
得られた押出ペレットを、流路面およびリップ先端部にハードクロムメッキ処理を施し、リップ部の隙間を0.4〜0.7mmの間に調整したTダイ付きφ90mm押出機を用いて、シリンダ設定温度180〜240℃、ダイス温度240℃にて押出した。Tダイから押し出された溶融樹脂の両面を2本の金属ロールに接触させ(金属ロールの温度:一方を90℃、もう一方を60℃に設定)、80μmのフィルムを成形した。
[熱可塑性樹脂シート(X)の製造]
ABS樹脂(電気化学工業株式会社製、T−1490N)100部に対して、エステル系ポリウレタン樹脂(DICバイエルン製、T−1490N)25部、アクリル系加工助剤(株式会社カネカ製、PA−40)1.6部、滑剤(勝田化工株式会社製、EL−508A)0.8部、酸化防止剤(株式会社ADEKA製、AO−50)0.3部、紫外線吸収剤(株式会社ADEKA製、LA−31)に、カ−ボンブラック2重量%、パ−ル顔料2重量%を添加し、カレンダ−加工法により、厚さ0.3mmの熱可塑性樹脂シート(X)を作製した。
次に、本物のカ−ボンクロスから転写して作成したカ−ボンクロス調の凹凸模様を有し、凹凸形状の高さが50μmのプレス板を用いて、温度180℃、圧力50kg/cm2でプレスして、エンボス加工を施した[得られた熱可塑性樹脂シート(X)における凹凸形状の高さH1は50μmであった]。
[化粧シートの製造]
アクリル系樹脂組成物(C)を、流路面およびリップ先端部にハードクロムメッキ処理を施し、リップ部の隙間を0.4〜0.7mmの間に調整したTダイ付き90mm単軸押出機を用い、シリンダ温度を200℃〜240℃、ダイス温度240℃にて押出して、125μmの厚みに調整した後、一方向から、熱可塑性樹脂シート(X)の凹凸面をアクリル系樹脂組成物(C)と接触するように繰り出し、もう一方向から、熱可塑性樹脂シートと接触していないアクリル系樹脂組成物(C)の片面に接触するようにアクリル系樹脂フィルム(Z)を繰り出し、80℃に温調した2本の金属ロール[ロール間のクリアランスは、500μm]を用いて、積層シートを挟み込むと同時に一体化することにより、化粧シートを作製した。
得られた化粧シートを用いて種々の物性を評価した結果を、表2に示した。
(実施例2〜12)
アクリル系樹脂フィルム(X)またはアクリル系樹脂組成物(C)における、樹脂粉末および樹脂ペレットの種類・量を表2に示した配合に変更した以外は、実施例1と同様の操作により、化粧シートを作製した。
得られた化粧シートを用いて種々の物性を評価した結果を、表2に示した。
(比較例1〜3)
樹脂粉末および樹脂ペレットの種類・量を、表2に示した配合に変更した以外は、実施例1と同様の操作により、フィルムを作製した。
得られたフィルムを用いて種々の物性を評価した結果を、表3に示した。
(比較例4)
アクリル系樹脂組成物(C)の樹脂粉末の種類・量を、表2に示した配合に変更した以外は、実施例1と同様の操作により、フィルムを作製しようとしたが、アクリル系樹脂組成物(C)の溶融粘度が高かった為に押出時にメルトフラクチャ−が発生し、フィルムを作成することができず、化粧シートを作成することもできなかった。
(比較例5)
製造例1で得られた樹脂粉末1・アクリル系グラフト重合体100部に対し、メタクリル系高分子加工助剤(E)としてメタブレンP−531(三菱レイヨン(株)製、重量平均分子量Mw=500万)を0.5部、紫外線吸収剤としてチヌビン234(チバスペシャルケミカル社製)1.0部を混合した後、ベント式90mmφ単軸押出機を用い、シリンダ設定温度180℃〜250℃にて溶融混練を行い、押出ペレットを作成した。作成したペレットを、を実施例1と同様の操作により125μmのフィルムに成形し、アクリル系樹脂フィルム(Z)を作成した。
実施例1と同様にして作成した熱可塑性樹脂シート(X)の凹凸面上に、125μmのアクリル系樹脂フィルム(Z)を2枚重ねで置いて、両側から金属板で挟み込み、170℃に加熱し、プレス機で10kg/cm2の圧力でプレスして5分間放置した後、加熱を終了し20分間冷却して一体化することにより、化粧シートを作成した。
得られた化粧シートを用いて種々の物性を評価した結果を、表2に示した。
Figure 2009292026
表2に示す結果から、本発明に記載した製造方法で作成した化粧シートは、基材である熱可塑性樹脂シート(X)のエンボス高さを維持して立体的な外観意匠性が良好であり、気泡やフィッシュアイの少ない化粧シートの外観を維持でき、折り曲げても白くならず、真空成形後の外観も良好であり、生産性も良く、が改善されていることが判る。
本発明における、化粧シートの成形前後での、熱可塑性樹脂シート(X)の凹凸形状の高さ比較を説明するための模式図である。
符号の説明
H1 化粧シート成形前の熱可塑性樹脂シートの凹凸形状の高さ
H2 化粧シート成形後の熱可塑性樹脂シートの凹凸形状の高さ

Claims (7)

  1. エンボス加工を施されることにより凹凸形状を有する、シート厚みが0.1〜0.7mmの熱可塑性樹脂シート(X)のエンボス面と、膜厚が20〜300μmのアクリル系樹脂フィルム(Z)との間に、
    せん断速度122(1/sec)および加熱温度260℃における溶融粘度が2500Pa・sec以下、かつ、ガラス転移温度が115℃以下であるアクリル系樹脂組成物(C)を溶融状態のフィルム状に押出し後、
    該積層体を2本の金属ロールおよび/または金属ベルト間で挟み込むことにより一体化することを特徴とする、化粧シートの製造方法。
  2. 凹凸形状の高さH1が20〜200μmであることを特徴とする、請求項1に記載の化粧シートの製造方法。
  3. アクリル系樹脂フィルム(Z)を構成するアクリル系樹脂組成物(D)およびアクリル系樹脂組成物(C)が、平均粒子径が50〜300nmであるアクリル系ゴム状重合体(A−a)を含むアクリル系グラフト共重合体(A)を含有することを特徴とする、請求項1または2に記載の化粧シートの製造方法。
  4. アクリル系樹脂フィルム(Z)を構成するアクリル系樹脂組成物(D)が、アクリル酸エステル系ゴム状重合体(A−a)を含むアクリル系グラフト共重合体(A)、およびメタクリル酸メチル単位を80重量%以上含有するメタクリル系重合体(B)を含む樹脂組成物であり、化粧シートのアクリル系樹脂フィルム(Z)側の鉛筆硬度が2B〜3Hであることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の化粧シートの製造方法。
  5. 化粧シートの熱可塑性樹脂シート(X)側の表面粗度(Ra)が0.8μm以下であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の化粧シートの製造方法。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の化粧シートの製造方法により得られる、化粧シート。
  7. 請求項6に記載の化粧シートを表皮として有する成形品の製造方法であって、化粧シートを真空成形する工程と、射出成形型内にて熱可塑性樹脂を射出成形する工程と、を備えることを特徴とする成形品の製造方法。
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