JP2015160874A - 艶消しフィルム用樹脂組成物、艶消しフィルム、艶消し積層フィルム、艶消し加飾フィルム、積層シート、及び積層成形品 - Google Patents

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祐二 川口
保徳 河瀬
Yasunori Kawase
保徳 河瀬
康一郎 實藤
Koichiro Saneto
康一郎 實藤
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Abstract

【課題】フィルムの外観欠陥となる製造時のメヤニを防止でき、且つきめの細かい艶消し性及び耐溶剤性に優れた艶消しフィルムやシート及びこれを用いた積層シートや積層成形品を提供する。【解決手段】艶消しフィルム用樹脂組成物は、フッ素樹脂(A)とアクリル樹脂(B)とで構成する。前記アクリル樹脂(B)を構成する単量体成分中の単官能単量体を100質量%としたとき、アクリル酸アルキルエステルが50〜100質量%であり、かつ他の単官能単量体が50〜0質量%である。【選択図】なし

Description

本発明は、フィルムの外観欠陥となる製造時のメヤニ(ダイのリップ部に付着する樹脂の塊)を防止でき、且つきめの細かい艶消し性及び耐溶剤性に優れた艶消しフィルムやシート及びこれを用いた積層シートや積層成形品に関する。
フッ化ビニリデン系樹脂等のフッ素樹脂で構成されたフッ素フィルムは、耐候性、耐溶剤性及び耐汚染性に優れているため、プラスチック、ガラス、スレート、ゴム、金属板、木板等の各種基材表面にラミネートされる保護フィルムとして広く使用されている。また、フッ素フィルムで表面が保護された基材は、建築物の内装材、外装材、家具等の多くの用途で使用されている。しかしながら、近年、特に屋内で使用される壁紙やレザー家具等の基材についてはイメージの高級化が要望されるようになり、艶消しフィルムがラミネートされたものの使用が多くなっている。
この艶消しフィルムの製法としては、主として、(1)表面を荒らした金属製又はゴム製のマットロールによってフィルム表面に微細な凹凸を付与し、熱成形する方法、(2)砂又は金属等の微粒子を被処理フィルム表面に吹き付けて微細な凹凸を付与する方法(サンドブラスト法)、(3)被処理フィルムに艶消し剤をコーティングする方法、(4)微細な有機又は無機の充填剤(艶消し剤)をフィルム構成用樹脂中に添加する方法、及び(5)フッ素樹脂とアクリル樹脂との溶解度パラメータの差を利用し艶消し外観を持つフィルムとする方法が知られている。
マットロールによるフィルムの艶消し方法(1)には、フッ素樹脂に添加した紫外線吸収剤等の添加剤によりマットロールが目詰まりし易いという問題や、薄いフィルムでは厚み斑がそのまま艶斑となり、均質な艶消しフィルムが得られにくいという問題がある。
サンドブラスト法(2)には、薄く柔らかいフィルムでは、サンドブラスト時に被処理フィルムが伸びたり、破断したりする問題がある。
艶消し剤をコーティングする方法(3)では、艶消し剤がフッ素樹脂に対して非粘着(非接着)性なのでフッ素樹脂の表面に艶消し剤のコーティングを容易に行うことが出来ない。
艶消し剤をフィルム構成用樹脂中に添加する方法(4)では、有機系の艶消し剤を使用する場合には、良好な外観・艶消し性を有し、且つ耐溶剤に優れたフッ化ビニリデン系樹脂フィルムが提供できるとある(例えば、特許文献1)。しかしながら、有機系の艶消し剤を使用したフッ化ビニリデン系樹脂フィルムを、Tダイを用いた溶融押出成形法により製造した場合、Tダイの吐出口付近に樹脂が堆積し塊となるメヤニと呼ばれる不具合を生じる問題がある。メヤニが生じた場合、フィルムにメヤニに起因する異物状もしくはスジ状の外観欠陥を生じることから好ましくない。
フッ素樹脂とアクリル樹脂との溶解度パラメータの差を利用し艶消し外観を持つフィルムとする方法(5)においては、外観・艶消し性・耐溶剤性がある程度優れるものの、メヤニの発生を抑制することが困難である(例えば、特許文献2)。
特開2013−063537号公報 WO2011/093300号公報
本発明の目的は、フィルムの外観欠陥となる製造時のメヤニを防止でき、且つきめの細かい艶消し性及び耐溶剤性に優れた艶消しフィルムやシート及びこれを用いた積層シートや積層成形品を提供することにある。
本発明者らは、鋭意検討した結果、フッ素樹脂と、アクリル酸アルキルエステルを主成分とするアクリル樹脂とを含有する樹脂組成物により、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明の要旨は、以下のとおりである。
[1]フッ素樹脂(A)とアクリル樹脂(B)とを含有する艶消しフィルム用樹脂組成物(i)であって、前記アクリル樹脂(B)を構成する単量体成分中の単官能単量体を100質量%としたとき、アクリル酸アルキルエステルが50〜100質量%であり、かつ他の単官能単量体が50〜0質量%である、前記艶消しフィルム用樹脂組成物。
[2]アクリル樹脂(B)が、アクリル酸アルキルエステル重合体(b1)の存在下、単量体成分(b−2)を重合して得られる樹脂であり、前記アクリル酸アルキルエステル重合体(b1)を構成する単量体成分中(b−1)中の単官能単量体を100質量%としたとき、アクリル酸アルキルエステルが80〜100質量%であり、かつ他の単官能単量体が20〜0質量%であり、さらに単官能単量体の総量100質量部に対して、単官能単量体と共重合可能な二重結合を1分子内に2個以上有する多官能単量体が0〜0.6質量部であり、前記単量体成分(b−2)中の単官能単量体を100質量%としたとき、メタクリル酸アルキルエステルが80〜100質量%であり、かつ他の単官能単量体が20〜0質量%である、[1]に記載の艶消しフィルム用樹脂組成物。
[3]フッ素樹脂(A)とアクリル樹脂(B)との合計を100質量%としたとき、フッ素樹脂(A)が70〜99質量%であり、かつアクリル樹脂(B)が30〜1質量%である、[1]または[2]に記載の艶消しフィルム用樹脂組成物。
[4]フッ素樹脂(A)が、フッ化ビニリデン系重合体である、[1]〜[3]のいずれかに記載の艶消しフィルム用樹脂組成物。
[5][1]〜[4]のいずれかに記載の艶消し樹脂フィルム用樹脂組成物をフィルム状に成形してなる艶消しフィルム。
[6]60度表面光沢度が5〜70%である、[5]に記載の艶消しフィルム。
[7][5]または[6]に記載の艶消しフィルムとアクリル樹脂フィルムとが積層された積層フィルム。
[8][1]〜[4]のいずれかに記載の艶消しフィルム用樹脂組成物(i)からなるフッ素樹脂層とアクリル樹脂組成物(ii)からなるアクリル樹脂層とが共押出成形法により積層された、積層フィルム。
[9]フッ素樹脂層側から測定した際の、60度表面光沢度が5〜70%である、[7]または[8]に記載の積層フィルム。
[10][5]〜[9]のいずれかに記載のフィルムの少なくとも片方の面に、さらに絵柄層が設けられた、加飾フィルム。
[11][5]〜[10]のいずれかに記載のフィルムの少なくとも片方の面に、さらに熱可塑性樹脂層(X)が設けられた、積層シート。
[12][5]〜[11]のいずれかに記載のフィルムまたはシートが基材(Y)に設けられた、積層成形品。
本発明により、フィルムの外観欠陥となる製造時のメヤニを防止でき、且つきめの細かい艶消し性及び耐溶剤性に優れた艶消しフィルムやシート及びこれを用いた積層シートや積層成形品を提供することが可能となる。
[フッ素樹脂(A)]
本発明で使用されるフッ素樹脂(A)としては、特に制限されないが、例えば、エチレン−テトラフルオロエチレン系共重合体、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニル、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン系共重合体、テトラフルオロエチレン−パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)系共重合体、フッ化ビニリデン系重合体[例えば、ポリフッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン−フッ化ビニリデン系共重合体、フッ化ビニリデンと(メタ)アクリル酸アルキルエステル等のアクリル系単量体との共重合体など]が挙げられる。これらは単独で、又は二種以上を併用して使用できる。特に、得られるフッ素艶消しフィルムの光透過性及びきめの細かい艶消し発現性並びにフッ素樹脂(A)と後述するアクリル樹脂(B)との相溶性の点でフッ化ビニリデン系重合体が好ましい。
フッ化ビニリデン系重合体は、フッ化ビニリデン単量体単位を有するビニル重合体であれば特に限定されず、フッ化ビニリデンの単独重合体であってもよく、フッ化ビニリデンと共重合性単量体との共重合体であってもよい。共重合性単量体としては、例えば、フッ素化されたビニル系単量体[例えば、フッ化ビニル、フッ化C2-4オレフィン(四フッ化エチレン、三フッ化塩化エチレン、六フッ化プロピレン等)]、(フッ素化されていない)ビニル系単量体[例えば、スチレン系単量体(スチレン、アルキル置換スチレン等)、ジエン系単量体(ブタジエン等)、オレフィン系単量体(エチレン、プロピレン等のC2-4オレフィン等)、アクリル系単量体(メタクリル酸メチル等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル等)]が挙げられる。これらの共重合性単量体は、単独で、又は二種以上を併用して使用できる。フッ化ビニリデン系重合体中の単量体を100質量%としたとき、共重合性単量体は、例えば、50質量%以下(例えば、0.01〜40質量%)の範囲から選択でき、好ましくは30質量%以下、より好ましくは10質量%以下であってもよい。
[アクリル樹脂(B)]
本発明で使用されるアクリル樹脂(B)は、アクリル樹脂(B)を構成する単量体成分中の単官能単量体を100質量%としたとき、アクリル酸アルキルエステルが50〜100質量%(例えば、50〜99質量%)であり、かつ他の単官能単量体(アクリル酸アルキルエステル以外の単官能単量体)が50〜0質量%(例えば、50〜1質量%)である。
構成単官能単量体中のアクリル酸アルキルエステルの含有率が50〜100質量%であるアクリル樹脂(B)とフッ素樹脂(A)とを含有する樹脂組成物を用いることにより、フッ素樹脂(A)とアクリル樹脂(B)との相溶性を低下させて樹脂組成物をフィルム状に成形する際のメヤニを防止でき、且つきめの細かい艶消し性及び耐溶剤性を良好とすることができる。
他の単官能単量体としては、アクリル酸アルキルエステルと共重合可能な単官能単量体であれば公知の単官能単量体を用いることができる。アクリル酸アルキルエステルと他の単官能単量体の含有量としては、アクリル酸アルキルエステルが60〜100質量%(例えば、60〜95質量%)であり、かつ他の単官能単量体が40〜0質量%(例えば、40〜5質量%)であることが好ましく、アクリル酸アルキルエステルが65〜100質量%(例えば、65〜90質量%)であり、かつ他の単官能単量体が35〜0質量%(例えば、35〜10質量%)であることがより好ましい。
アクリル酸アルキルエステルの具体例としては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸i−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸n−オクチル等のアクリル酸C1-10アルキルエステルが挙げられる。これらは単独でまたは二種以上を組み合わせて使用できる。これらの中でも、乳化重合の容易性などの点から、アクリル酸C1-6アルキルエステル、特に、アクリル酸n−ブチルが好ましい。
他の単官能単量体の具体例としては、例えば、メタクリル酸アルキルエステル(メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸i−ブチル等のメタクリル酸C1-6アルキルエステル等)、アクリル酸低級アルコキシアルキル(アクリル酸2−メトキシエチル等のアクリル酸C1-4アルコキシC1-4アルキル等)、アクリル酸シアノアルキル(アクリル酸シアノエチル等のアクリル酸シアノC1-4アルキル等)、アクリルアミド、(メタ)アクリル酸等のアクリル系単量体;スチレン、アルキル置換スチレン等の芳香族ビニル系単量体;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル系単量体が挙げられる。これらは単独でまたは二種以上を組み合わせて使用できる。中でも、得られるアクリル樹脂(B)のフッ素樹脂(A)との相溶性を制御でき、メヤニの防止効果に優れる点から、メタクリル酸アルキルエステル、特にメタクリル酸メチルなどのメタクリル酸C1-6アルキルエステルが好ましい。
単量体成分中には、必要に応じて、上述した単官能単量体以外に、単官能単量体と共重合可能な二重結合(エチレン性不飽和二重結合)を1分子内に2個以上(例えば、2〜4個、好ましくは2〜3個)有する多官能単量体を含有することができる。
多官能単量体としては、例えば、ジ(メタ)アクリル酸エチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸1,3−ブチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸1,4−ブチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸プロピレングリコール等のジ(メタ)アクリル酸アルキレングリコール;ジビニルベンゼン、トリビニルベンゼン等のポリビニルベンゼン;トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート等のシアヌレート系単量体;メタクリル酸アリル等のα,β−不飽和カルボン酸またはジカルボン酸のアリル、メタリルまたはクロチルエステル等が挙げられる。これらは単独でまたは二種以上を組み合わせて使用できる。中でも、メタクリル酸アリル等のα,β−不飽和カルボン酸またはジカルボン酸のアリル、メタリルまたはクロチルエステルが好ましい。多官能単量体の割合は、単官能単量体100質量部に対して、例えば、0.01〜10質量部、より好ましくは0.05〜5質量部(例えば、0.1〜1質量部)、さらに好ましくは0.1〜0.5質量部程度であってもよく、フィルムの艶消し性に優れる点から、0.01〜0.25質量部(例えば、0.05〜0.2質量部)程度であってもよい。
単量体成分中には、重合開始剤を含むことができる。重合開始剤としては、例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリルなどのアゾ化合物;ラウロイルパーオキシド、ベンソイルパーオキシド、t−ブチルパーベンゾエート、t−ブチルハイドロパーオキシド、ジ−t−ブチルパーオキシド、ジクミルパーオキシド、クメンハイドロパーオキシドなどの有機過酸化物;レドックス系開始剤[前記有機過酸化物等の酸化剤と、鉄塩(例えば、硫酸第一鉄)等の還元剤と、必要によりキレート剤(エチレンジアミンテトラ酢酸等)との組み合わせ等]が挙げられる。これらは単独でまたは二種以上を組み合わせて使用できる。重合開始剤の割合は、単量体成分中の単官能単量体の総量100質量部に対して、例えば、0.01〜5質量部、より好ましくは0.05〜3質量部、さらに好ましくは0.1〜1質量部である。
また、単量体成分中には、連鎖移動剤を含むことができる。連鎖移動剤としては、例えば、炭素数2〜20のアルキルメルカプタン、メルカプトカルボン酸類(メルカプトカルボン酸、メルカプトカルボン酸アルキルエステル等)、チオフェノールおよび四塩化炭素が挙げられる。これらは単独または二種以上を組み合わせて使用できる。連鎖移動剤としては、炭素数6〜10のアルキルメルカプタン、例えば、n−オクチルメルカプタンが好ましい。連鎖移動剤の割合は、単量体成分中の単官能単量体の総量100質量部に対して、例えば、0.01〜5質量部、より好ましくは0.05〜3質量部、さらに好ましくは0.1〜1質量部である。
アクリル樹脂(B)は、構成単官能単量体中のアクリル酸アルキルエステルの含有率が50〜100質量%である限り特に制限されず、例えば、コア・シェル型のアクリル樹脂であってもよい。コアの構成樹脂としては、例えば、アクリル酸アルキルエステルの単独重合体、アクリル酸アルキルエステルと共重合性単量体(アクリル酸アルキルエステル以外のビニル系単量体等)との共重合体[例えば、後述の重合体(b1)]が挙げられる。シェルの構成樹脂としては、例えば、メタクリル酸アルキルエステルの単独重合体、メタクリル酸アルキルエステルと共重合性単量体(メタクリル酸アルキルエステル以外のビニル系単量体等)との共重合体[例えば、後述の重合体(b2)]が挙げられる。
好ましいアクリル樹脂(B)は、アクリル酸アルキルエステル重合体(b1)の存在下、単量体成分(b−2)を重合して得られる樹脂である。
前記アクリル酸アルキルエステル重合体(b1)を構成する単量体成分(b−1)中の単官能単量体を100質量%としたとき、アクリル酸アルキルエステルが80〜100質量%(例えば、80〜99質量%)であり、かつ他の単官能単量体(アクリル酸アルキルエステル以外の単官能単量体)が20〜0質量%(例えば、20〜1質量%)であることが好ましい。単量体成分(b−1)中の単官能単量体に対するアクリル酸アルキルエステルの含有率を前述の範囲とすることで、後述する単量体成分(b−2)中の単官能単量体に対するアクリル酸アルキルエステルの含有率を制御できるため好ましい。より好ましくはアクリル酸アルキルエステルが85〜100質量%(例えば、85〜98質量%)であり、かつ他の単官能単量体が15〜0質量%(例えば、15〜2質量%)であり、さらに好ましくはアクリル酸アルキルエステルが90〜100質量%(例えば、90〜95質量%)であり、かつ他の単官能単量体が10〜0質量%(例えば、10〜5質量%)である。
単量体成分(b−1)中には、上述した多官能単量体(例えば、メタクリル酸アリル等のα,β−不飽和カルボン酸またはジカルボン酸のアリル、メタリルまたはクロチルエステル等)を含有することができる。多官能単量体の含有量は、特に制限されないが、得られるフィルムの艶消し性に優れる点から、単量体成分(b−1)中の単官能単量体の総量100質量部に対して、例えば、0〜0.6質量部、より好ましくは0〜0.5質量部、さらに好ましくは0〜0.4質量部(例えば、0.01〜0.3質量部)である。
さらに、単量体成分(b−1)は、必要に応じて、重合開始剤、連鎖移動剤等を含んでいてもよい。
単量体成分(b−2)中の単官能単量体を100質量%としたとき、メタクリル酸アルキルエステルが80〜100質量%であり、かつ他の単官能単量体(メタクリル酸アルキルエステル以外の単官能単量体)が20〜0質量%であることが好ましい。単量体成分(b−2)中の単官能単量体に対するメタクリル酸アルキルエステルの含有率を前述の範囲とすることで、単量体成分(b−2)を重合して得られる重合体(b2)のガラス転移温度(Tg)を高めることができ、アクリル樹脂(B)の取扱い性の観点から好ましい。より好ましくはメタクリル酸アルキルエステルが85〜100質量%であり、かつ他の単官能単量体が15〜0質量%であり、さらに好ましくはメタクリル酸アルキルエステル90〜100質量%(例えば、90〜99質量%)であり、かつ他の単官能単量体が10〜0質量%(例えば、10〜1質量%)である。
さらに、単量体成分(b−2)は、必要に応じて、重合開始剤、連鎖移動剤等を含んでいてもよい。
単量体成分(b−2)を重合して得られる重合体(b2)のTgは、特に制限されないが、取扱いが容易となる点から、60℃以上が好ましく、70℃以上がより好ましく、80℃以上がさらに好ましい。
なお、本発明において、Tgはポリマーハンドブック〔Polymer HandBook(J.Brandrup,Interscience,1989)〕に記載されている値を用いてFOXの式から算出した値をいう。
アクリル樹脂(B)の製造方法としては、例えば、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法および塊状重合法が挙げられる。中でも、得られるアクリル樹脂(B)の設計のし易さの観点から、乳化重合法が好ましい。
好ましい乳化重合法としては、逐次多段乳化重合法が挙げられる。例えば、アクリル酸アルキルエステルを主成分とする単量体成分(b−1)を重合したアクリル酸アルキルエステル重合体(b1)の存在下に、単量体成分(b−2)を重合する方法が挙げられる。
具体的には、アクリル酸アルキルエステル重合体(b1)を得るための単量体成分(b−1)、水および界面活性剤を混合して調製した乳化液を反応器に供給して重合した後に、単量体成分(b−2)をそれぞれ順に反応器に供給して重合する方法であってもよい。この方法で得られたアクリル樹脂(B)を用いて得られるフィルムは、フィルム中のフィッシュアイ数が少ないという特性を有する点で好ましい。
単量体成分(b−1)、水および界面活性剤を混合して乳化液を調製する方法としては、例えば、水中に単量体成分(b−1)を仕込んだ後、界面活性剤を投入する方法;水中に界面活性剤を仕込んだ後に単量体成分(b−1)を投入する方法;単量体成分(b−1)中に界面活性剤を仕込んだ後に水を投入する方法が挙げられる。
界面活性剤としては、例えば、アニオン系界面活性剤(ジアルキルスルホコハク酸ナトリウム等のスルホン酸塩等)、カチオン系界面活性剤(アルキルトリメチルアンモニウム塩等の四級アンモニウム塩等)、ノニオン系界面活性剤(多価アルコール脂肪酸エステル等のエステル型、ポリオキシエチレンアルキルエーテル等のエーテル型等)が挙げられる。これらは単独でまたは二種以上を組み合わせて使用できる。
単量体成分(b−1)及び/又は(b−2)はそれぞれ必要に応じて、2回以上に分けて重合を行うこともできる。2回以上に分けて重合を行う場合、単量体成分中の単官能単量体等の種類及び/又は量については、同一であっても異なっていてもよい。
単量体成分(b−2)を重合させた後、さらに他の単量体成分を重合させてもよい。その場合、懸濁重合系に転換させる乳化懸濁重合法を利用してもよい。
単量体成分の重合温度は、特に制限されず、例えば、50〜100℃、好ましくは60〜90℃程度である。単量体成分の重合は、不活性ガス(例えば、窒素、アルゴン等)の雰囲気下で行う場合が多い。
乳化重合で得られたアクリル樹脂(B)のラテックスは、必要に応じて濾材を配した濾過装置を用いて処理することができる。この濾過処理は、アクリル樹脂(B)のラテックスから重合中に発生したスケールの除去、重合原料中若しくは重合中に外部から混入する夾雑物の除去に使用される。
アクリル樹脂(B)のラテックスからアクリル樹脂(B)を回収する方法としては、例えば、塩析は酸析による凝固方法、噴霧乾燥法および凍結乾燥法が挙げられる。
アクリル樹脂(B)を、金属塩を用いた塩析処理による凝固法で回収する場合、最終的に得られたアクリル樹脂(B)中への残存金属含有量を800ppm以下にすることが好ましく、残存金属含有量は微量であるほど好ましい。
[艶消しフィルム用樹脂組成物]
本発明の艶消しフィルム用樹脂組成物は、前述したフッ素樹脂(A)とアクリル樹脂(B)とを含有する樹脂組成物である。艶消しフィルム用樹脂組成物中のフッ素樹脂(A)とアクリル樹脂(B)との合計を100質量%としたとき、フッ素樹脂(A)およびアクリル樹脂(B)の含有率は、特に制限されないが、該樹脂組成物をフィルム状に成形してなるフィルムの艶消し外観および耐薬品性の点から、フッ素樹脂(A)が70〜99質量%であり、かつアクリル樹脂(B)が30〜1質量%であるのが好ましく、フッ素樹脂(A)が75〜99質量%であり、かつアクリル樹脂(B)の割合が25〜1質量%であるのがより好ましく、フッ素樹脂(A)が80〜99質量%(例えば、85〜95質量%)であり、かつアクリル樹脂(B)が20〜1質量%(例えば、15〜5質量%)であるのがさらに好ましい。
艶消しフィルム用樹脂組成物には、艶消し外観および/または耐薬品性の向上の目的で、必要に応じて、アクリル樹脂(B)と組成の異なるアクリル樹脂(例えば、構成単官能単量体中のアクリル酸アルキルエステルの含有率が50質量%未満であるアクリル樹脂)、アイオノマー樹脂、ポリオレフィン系樹脂、シリコーン系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリウレタン系樹脂等のその他の樹脂を1種以上含有させることもできる。
さらに必要に応じて、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、可塑剤、滑剤、帯電防止剤、難燃剤、充填剤、加工助剤、耐衝撃助剤、抗菌剤、防カビ剤、発泡剤、離型剤、着色剤、紫外線吸収剤、熱可塑性重合体等の各種添加剤を配合することができる。酸化防止剤としては、例えば、フェノール系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、リン系酸化防止剤が挙げられる。熱安定剤としては、例えば、ヒンダードフェノール系熱安定剤、硫黄系熱安定剤、ヒドラジン系熱安定剤が挙げられる。可塑剤としては、例えば、フタル酸エステル、リン酸エステル、脂肪酸エステル、脂肪族二塩基酸エステル、オキシ安息香酸エステル、エポキシ化合物、ポリエステルが挙げられる。滑剤としては、例えば、脂肪酸エステル、脂肪酸、金属石鹸、脂肪酸アミド、高級アルコール、パラフィンが挙げられる。帯電防止剤としては、例えば、カチオン系帯電防止剤、アニオン系帯電防止剤、ノニオン系帯電防止剤、両イオン系帯電防止剤が挙げられる。難燃剤としては、例えば、臭素系難燃剤、リン系難燃剤、塩素系難燃剤、窒素系難燃剤、アルミニウム系難燃剤、アンチモン系難燃剤、マグネシウム系難燃剤、ホウ素系難燃剤、ジルコニウム系難燃剤が挙げられる。充填剤としては、例えば、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、滑石、蝋石、カオリンが挙げられる。これらの添加剤はそれぞれ単独で、又は二種以上を併用して使用できる。
本発明の艶消しフィルム用樹脂組成物は、艶消し剤を含んでいなくても十分に艶消し性に優れるため、艶消し剤を含有させなくてもよい。そのため、艶消し剤に起因する、フィルム製造時のメヤニの発生を有効に防止できる。
添加剤を配合する方法としては、例えば、フッ素樹脂(A)、アクリル樹脂(B)、その他の樹脂と共に各種混練機にて混練する方法が挙げられる。この方法で使用される混練機としては、例えば、単軸押出機、二軸押出機、バンバリミキサー及びロール混練機が挙げられる。
艶消しフィルム用樹脂組成物の形状としては、例えば、塊状物、粉体状物及びペレット状物が挙げられる。これらの中で、樹脂組成物の取扱い性の点で、ペレット状物が好ましい。
[艶消しフィルム]
本発明の艶消しフィルムは、前述の艶消しフィルム用樹脂組成物をフィルム状に成形してなる艶消しフィルムである。
前述の艶消しフィルム用樹脂組成物は、フィルム製造時のメヤニの発生を防止できることから、得られるフィルムはメヤニに起因する外観欠陥の極めて少ないフィルムとなる。また、きめの細かい艶消し性及び耐溶剤性が付与されたフィルムである。
本発明の艶消しフィルムは、JIS Z8741やISO2813に準じて測定した60度表面光沢度が5〜70%であることが好ましい。なお、光の入射角はフィルム製膜時の流れ方向と平行にした。60度表面光沢度が大きいほど、光沢が生じ、60度表面光沢度が小さいほど、艶消しの程度(マット感)が大きくなる。
艶消しフィルムの60度表面光沢度が5〜70%であれば、フィルムの外観が良好な艶消し外観と認識できるため好ましい。艶消しフィルムの60度表面光沢度は、より好ましくは7〜65%であり、さらに好ましくは9〜60%である。なお、60度表面光沢度は、慣用の光沢計、例えば、ポータブル光沢計(コニカミノルタセンシング(株)製、商品名:GM−268)を用いて測定できる。
艶消しフィルムの厚みは、特に制限されないが、フィルムの取扱い性、ラミネート性、フィルム状に成形する製膜性、加工性の観点から、5〜500μm程度の範囲から選択でき、例えば、5〜50μm(例えば、6〜30μm)程度であってもよく、15〜300μm(例えば、30〜300μm)程度であってもよい。
艶消しフィルムの全光線透過率は、JIS K7361−1に準拠して測定したとき、80%以上であることが好ましい。80%以上の全光線透過率を有することで、フィルムに加飾層を印刷した場合、加飾層が印刷されていない面から視認した際の加飾層の美麗さの観点から好ましい。艶消しフィルムの全光線透過率は、より好ましくは83%以上であり、さらに好ましくは85%以上である。
艶消しフィルムのヘーズとしては、全光線透過率が80%以上であれば特に制限されないが、艶消しフィルムの外観の美麗さの観点から、JIS K7136に準拠して測定したとき、90%以下であることが好ましい。艶消しフィルムのヘーズは、より好ましくは80%以下(例えば、70%以下)であり、さらに好ましくは50%以下(例えば、10〜30%)である。
艶消しフィルムの製造法としては、例えば、溶融流延法、Tダイ法、インフレーション法等の溶融押出法、カレンダー法が挙げられるが、経済性の点でTダイ法が好ましい。
艶消しフィルムは、押出機等を用いたTダイ法で製膜した後、巻き取り機で紙管等の管状物に巻き取って、ロール状物品とすることができる。また、必要に応じて製膜工程中に、公知の延伸方法による一軸延伸(機械方向または横方向(機械方向に垂直な方向))、二軸延伸(逐次二軸延伸、同時二軸延伸)等の延伸工程を設けることができる。
溶融押出しをする場合は、外観不良の原因となる核や異物を取り除く為に、200メッシュ以上のスクリーンメッシュで溶融状態にある樹脂組成物を濾過しながら押出しすることが好ましい。
また、艶消しフィルム表面には、必要に応じて、微細構造を形成することもできる。微細構造を形成する方法としては、例えば、熱転写法、エッチング法が挙げられる。これらの中で、微細構造を有する金型を加熱した後に、フィルムの表面に、加熱された金型をプレスしてフィルムの表面に微細構造を形成する熱転写法が生産性や経済性の点で好ましい。
上記の熱転写法としては、例えば、微細構造を有する金型をロール状物品から切り出されたフィルムに加熱プレスして微細構造を枚葉で熱転写させる方法、加熱されたベルト状の微細構造を有する金型にニップロールを用いてロール状物品から巻き出されたフィルムを挟みこみ加圧し、フィルムの表面に微細構造を熱転写させる連続賦形方法が挙げられる。
上記の微細構造を有する金型を作成する方法としては、例えば、サンドブラスト法、エッチング法、放電加工法が挙げられる。
艶消しフィルムは、そのフィルム同士を積層するだけでなく、他の基材に積層することもできる。積層体製造に使用する基材としては、特に制限されないが、例えば、フィルム、シート、三次元形状を有する成形品等の基材を用いることができる。
[積層フィルム]
本発明の積層フィルムは、前述した艶消しフィルム用樹脂組成物をフィルム状に成形してなる艶消しフィルム(フッ素樹脂層)を含んでいればよく、通常、前記艶消しフィルムと他の樹脂フィルム(他の樹脂層)との積層フィルムである。他の樹脂フィルムとしては、例えば、アクリル樹脂、アイオノマー樹脂、ポリオレフィン系樹脂、シリコーン系樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン系樹脂等の熱可塑性又は熱硬化性樹脂で構成されたフィルムが挙げられる。他の樹脂フィルムの厚みは、特に制限されないが、例えば、5〜400μm、好ましくは10〜300μm、より好ましくは50〜200μm程度である。
本発明の積層フィルムとしては、積層フィルムの成形性や加飾層の視認性が向上するため、艶消しフィルム(フッ素樹脂層)とアクリル樹脂フィルム(アクリル樹脂層)との積層フィルムが好ましい。アクリル樹脂フィルムは、特に制限されないが、後述するアクリル樹脂組成物(ii)をフィルム状に成形してなるフィルムであることが好ましい。積層フィルムを構成するフッ素樹脂層とアクリル樹脂層は、それぞれ単層で構成してもよく、複数層で構成してもよい。
積層フィルムを製造する方法としては、従来より知られる各種の方法を用いることができる。例えば、フィードブロックダイ又はマルチマニホールドダイ等を介した共押出成形法で艶消しフィルム用樹脂組成物(i)からなるフッ素樹脂層とアクリル樹脂組成物(ii)からなるアクリル樹脂層との積層構造を形成する方法や、艶消しフィルム用樹脂組成物(i)とアクリル樹脂組成物(ii)を夫々Tダイを用いた溶融押出し法等によりフィルム状に成形して、その2種のフィルムを熱ラミネート法により積層する方法が挙げられる。また、積層方法は、艶消しフィルム用樹脂組成物(i)をフィルム状にした後、アクリル樹脂組成物(ii)を溶融押出し法により積層する押し出しラミネーション法等であってもよい。この場合、艶消しフィルム用樹脂組成物(i)とアクリル樹脂組成物(ii)を入れ替えて製造してもよい。特に、経済性、工程簡略化の観点から、共押出成形法によりフッ素樹脂層及びアクリル樹脂層の積層構造を形成することが好ましい。具体的には、例えば、上述したようなフィードブロックダイ又はマルチマニホールドダイを介した共押出成形法が特に好ましい。
また、例えば、特開2002−361712号公報に記載されているように、フィードブロックダイ又はマルチマニホールドダイ等を介した共押出成形法によりフッ素樹脂層及びアクリル樹脂層の積層構造を形成する際、鏡面ロールとゴムロールで挟持して製造する方法も好ましい。積層フィルムを構成するアクリル樹脂層側が鏡面ロールに接するようにした場合、アクリル樹脂層が積層されている側の鏡面平滑性がさらに優れ、その結果優れた印刷適性の付与が可能となるので好ましい。また、フッ素樹脂層側はゴムロールに接するようにするのが好ましい。この場合、フッ素樹脂層の表面光沢度を上げることなく(つまり、良好な艶消し度合いを保持しつつ)、アクリル樹脂層側の鏡面平滑性を向上でき、工業的利用価値が高い。
使用するゴムロールは特に限定されないが、耐熱性の観点からシリコーン製ゴムロールが好ましい。シリコーン製ゴムロールの表面仕上げには、公知の加工方法を使用できる。ただし、積層フィルムの表面外観と、最終的にインサート成形或いはインモールド成形により得られる積層体の表面外観との合致性の観点から、室温硬化型シリコーンゴムを最表面に塗布仕上げすることで製造したゴムロールが好ましい。
積層フィルムの厚みは、特に制限されないが、500μm以下(例えば、10〜500μm)が好ましい。積層成形品に用いるフィルムの場合、その厚みは30〜400μmが好ましい。この厚みが30μm以上であると、成形品外観において十分な深みが得られる。特に、複雑な形状に成形する場合、延伸によって十分な厚みが得られる。一方、厚みが400μm以下であると、適度な剛性を有することになるので、ラミネート性、二次加工性等が向上する。また、単位面積あたりの質量の点で、経済的に有利になる。さらには、製膜性が安定してフィルムの製造が容易になる。
積層フィルムのフッ素樹脂層と他の樹脂層(アクリル樹脂層等)との厚みの比率は、特に制限されないが、積層フィルムの耐溶剤性、コスト、表面硬度、透明性、艶消し外観および印刷適性の観点から、フッ素樹脂層/他の樹脂層(アクリル樹脂層等)=1/99〜20/80が好ましく、2/98〜15/85がより好ましく、3/97〜10/90がさらに好ましい。なお、本発明において、各層の厚みは、積層フィルムを断面方向に70nmの厚みに切断したサンプルを、透過型電子顕微鏡にて観察し、5箇所でそれぞれの厚みを測定し、それらを平均することで算出する。透過型電子顕微鏡の市販品としては、例えば日本電子(株)製J100S(商品名)が挙げられる。
積層フィルムの表面硬度に関しては、フッ素樹脂層側から測定した際の、鉛筆硬度(JIS K5400)がBより高い硬度であることが好ましい。更にHB以上がより好ましく、F以上が最も好ましい。鉛筆硬度がBより高い硬度の積層フィルムを用いると、後述するインサート成形あるいはインモールド成形を施す工程中で傷が付きにくく、更に成形品の耐擦り傷性も良好である。車両用途に使用される場合、積層フィルムの鉛筆硬度はHB以上であることがより好ましい。積層フィルムの鉛筆硬度がHB以上であると、得られる積層体は、ドアウエストガーニッシュ、フロントコントロールパネル、パワーウィンドウスイッチパネル、エアバッグカバー等、各種車両用部材に好適に使用することが出来る。更に、鉛筆硬度がFより高い硬度であると、ガーゼ等表面の粗い布で擦傷しても傷がほとんど目立たないため、工業的利用価値が高くなる。積層フィルムの表面硬度は、例えば、上述したように、フッ素樹脂層と他の樹脂層(アクリル樹脂層等)の層厚みの比率、或いは他の樹脂層(アクリル樹脂層等)を構成する樹脂組成物(アクリル樹脂組成物等)を選択することにより調整できる。
本発明の積層フィルムは、フッ素樹脂層側から測定した際の、60度表面光沢度が5〜70%であることが好ましい。60度表面光沢度を5〜70%とすることで、フィルムの外観が良好な艶消し外観と認識できるため好ましい。より好ましくは7〜65%であり、さらに好ましくは9〜60%である。
積層フィルムの全光線透過率は、JIS K7361−1に準拠して測定したとき、80%以上であることが好ましい。80%以上の全光線透過率を有することで、フィルムに加飾層を印刷したとき、加飾層が印刷されていない面から視認した際の加飾層の美麗さの観点から好ましい。積層フィルムの全光線透過率は、より好ましくは83%以上であり、さらに好ましくは85%以上である。
積層フィルムのヘーズとしては、全光線透過率が80%以上であれば特に制限されないが、積層フィルムの外観の美麗さの観点から90%以下であることが好ましい。より好ましくは80%以下(例えば、70%以下)、さらに好ましくは50%以下(例えば、10〜30%)である。
また、積層フィルムには、艶消しフィルムの項で前述した微細構造を形成することもできる。
[アクリル樹脂組成物(ii)]
アクリル樹脂組成物(ii)としては、特に制限されず、メタクリル酸アルキルエステル単位を主成分とする熱可塑性樹脂(β)を含んでいてもよく、後述するゴム含有重合体(α)を含んでいてもよく、熱可塑性樹脂(β)およびゴム含有重合体(α)の両方を含んでいてもよい。
アクリル樹脂組成物(ii)中の熱可塑性樹脂(β)とゴム含有重合体(α)の含有量は、熱可塑性樹脂(β)とゴム含有重合体(α)との合計を100質量%としたとき、熱可塑性樹脂(β)が0〜100質量%であり、かつゴム含有重合体(α)が100〜0質量%であり、好ましくは熱可塑性樹脂(β)が5〜95質量%であり、かつゴム含有重合体(α)が95〜5質量%であり、さらに好ましくは熱可塑性樹脂(β)が10〜90質量%であり、かつゴム含有重合体(α)が90〜10質量%である。
熱可塑性樹脂(β)としては、メタクリル酸アルキルエステル単位を主成分とする限り特に制限されないが、アクリル樹脂層の耐熱性の点で、メタクリル酸アルキルエステル50〜100質量%、アクリル酸アルキルエステル0〜50質量%およびこれらと共重合可能な二重結合を有する他の単官能単量体0〜49質量%を含有する単量体成分を重合して得られる重合体が好ましい。メタクリル酸アルキルエステル、アクリル酸アルキルエステルおよび他の単官能単量体としては、アクリル樹脂(B)の項で示したものと同様のものを使用することができる。
熱可塑性樹脂(β)を構成する単量体成分中には、重合開始剤や連鎖移動剤を含むことができる。重合開始剤も連鎖移動剤も、アクリル樹脂(B)の項で示したものと同様のものを使用することができる。
熱可塑性重合体(β)の重合方法としては、例えば、懸濁重合法、乳化重合法、塊状重合法が挙げられる。
ゴム含有重合体(α)は、ゴムを含有するアクリル重合体である限り特に制限されないが、アクリル酸アルキルエステルおよび多官能単量体(ジメタクリル酸1,3−ブチレングリコール等のジ(メタ)アクリル酸系単量体等)を必須成分として含む単量体成分を重合して得られるゴム重合体(α’)の存在下に、メタクリル酸アルキルエステルを必須成分として含む単量体成分を重合して得られたゴム含有重合体が好ましい。
ゴム重合体(α’)を構成する単量体成分中のアクリル酸アルキルエステルおよび多官能性単量体以外の単量体としては、アクリル酸アルキルエステルおよび多官能性単量体と共重合可能な二重結合を有する他の単官能単量体が挙げられる。これらの単量体としては、アクリル樹脂(B)の項で示したものと同様のもの、例えば、メタクリル酸アルキルエステル(メタクリル酸メチル等のメタクリル酸C1-6アルキルエステル等)、芳香族ビニル系単量体(スチレンなど)を使用することができる。
ゴム含有重合体(α)を構成する単量体成分中には、重合開始剤や連鎖移動剤を含むことができる。重合開始剤も連鎖移動剤も、アクリル樹脂(B)の項で示したものと同様のものを使用することができる。
ゴム重合体(α’)のガラス転移温度(Tg)は、ゴム含有重合体(α)の柔軟性の点から、好ましくは25℃未満、より好ましくは10℃以下、最も好ましくは0℃以下である。
ゴム含有重合体(α)の製造方法としては、特に制限されないが、アクリル樹脂(B)の項で前述した乳化重合法、逐次多段乳化重合法と同様の方法で行うことが好ましい。
アクリル樹脂組成物(ii)には、必要に応じて、各種添加剤を配合することができる。添加剤としては、艶消しフィルム用樹脂組成物の項で示したものと同様のものが使用できる。
特に加飾層や基材の保護の観点から、耐候性を付与するために、紫外線吸収剤を添加することが好ましい。紫外線吸収剤の種類は、特に限定されないが、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤が特に好ましい。前者の市販品としては、例えば、BASF社の商品名チヌビン234、ADEKA社の商品名アデカスタブLA−31、後者の市販品としては、例えば、BASF社の商品名チヌビン1577、ADEKA社の商品名アデカスタブLA−46等が挙げられる。なお、紫外線吸収剤の分子量は、特に限定されないが、400以上が好ましい。
紫外線吸収剤の添加量は、アクリル樹脂組成物(ii)を構成するアクリル樹脂100質量部に対して、0.1〜10質量部であってもよく、耐候性の観点から、より好ましくは0.5〜5質量部、さらに好ましくは1〜2質量部である。また、フィルムの製膜時の工程汚れ、耐溶剤性、透明性の観点から、5質量部以下がより好ましく、3質量部以下がさらに好ましい。
また、アクリル樹脂組成物(ii)には、光安定剤が添加されていることが好ましい。光安定剤としては、公知のものを用いることが出来るが、特にヒンダードアミン系光安定剤等のラジカル捕捉剤が好ましい。このような光安定剤の市販品としては、ADEKA社のアデカスタブLA−57、アデカスタブLA−67、アデカスタブLA−77等(以上、商品名)が挙げられる。
ヒンダードアミン系光安定剤の添加量は、アクリル樹脂組成物(ii)を構成するアクリル樹脂100質量部に対して、0.1〜5質量部であってもよく、耐光性の観点から、より好ましくは0.15〜3質量部、さらに好ましくは0.20〜1質量部である。また、フィルムの製膜時の工程汚れを防止する観点から、より好ましくは2質量部以下、さらに好ましくは1質量部以下である。
さらに、アクリル系樹脂組成物(ii)には、酸化防止剤が添加されていることが好ましい。酸化防止剤としては、公知のものを用いることが出来るが、特にヒンダードフェノール系酸化防止剤が好ましい。このような酸化防止剤の市販品としては、BASF社のイルガノックス1076が挙げられる。
酸化防止剤の添加量は、アクリル樹脂組成物(ii)を構成するアクリル樹脂100質量部に対して、例えば、0.01〜5質量部、より好ましくは0.05〜3質量部、さらに好ましくは0.1〜1質量部である。
添加剤の配合方法としては、艶消しフィルム用樹脂組成物の項で示したものと同様の方法を用いることができる。
[加飾フィルム]
本発明の加飾フィルムは、艶消しフィルムまたは積層フィルムの少なくとも片方の面に、さらに絵柄層を有するものである。特に、印刷適性の観点からアクリル樹脂層に絵柄層を有するものが好ましい。
また、後述する積層シートあるいは積層成形品においては、絵柄層を熱可塑性樹脂層(X)あるいは基材(Y)との接着面側に配することが、加飾面の保護及び高級感の付与の観点から好ましい。
加飾フィルムを構成する絵柄層は、公知の方法で形成できる。特に、印刷法で形成された印刷層と蒸着法で形成された蒸着層のうち一方又は両方を絵柄層として用いることが好ましい。この印刷層は、後述するインサート又はインモールド成形によって得られた積層体表面の模様又は文字等となる。印刷柄としては、例えば、木目、石目、布目、砂目、幾何学模様、文字、全面ベタ、メタリック等からなる絵柄が挙げられる。
印刷層の形成方法としては、オフセット印刷法、グラビア輪転印刷法、スクリーン印刷法、フレキソグラフ印刷法等の公知の印刷法、ロールコート法、スプレーコート法等の公知のコート法が挙げられる。印刷層の厚さは、必要に応じて適宜決めればよく、通常、0.5〜30μm程度である。印刷層は、後述するインサート又はインモールド成形によって得られた積層成形品(積層体)において所望の表面外観が得られるよう、その成形時の伸張度合いに応じて適宜厚さを選択すればよい。
[積層シート]
本発明の積層シートは、艶消しフィルム、積層フィルム、及び、加飾フィルムからなる群より選ばれるフィルムと熱可塑性樹脂層(X)とが積層されたシートである。それらフィルムの少なくとも片面に熱可塑性樹脂層(X)が積層されたシートであればよいが、特に、フィルム表面の平滑性が優れているアクリル樹脂層側の面に熱可塑性樹脂層(X)が積層されたシートが好ましい。
本発明の積層シートを構成する熱可塑性樹脂層(X)は、後述する基材(Y)との密着性を高める目的から、基材(Y)との相溶性を有する材料からなるものが好ましい。特に、基材(Y)と同じ材料からなるものがより好ましい。なお、熱可塑性樹脂層(X)は、通常、上述したフッ素樹脂層およびアクリル樹脂層とは異なる層である。
熱可塑性樹脂層(X)としては、公知の熱可塑性樹脂フィルム又はシート用いることができる。絵柄層の形成性(絵柄層は、艶消しフィルムあるいは積層フィルム上に形成する代わりに熱可塑性樹脂層(X)に形成することもできる)、積層シートの二次成形性の観点から、アクリル樹脂、ABS樹脂等のスチレン系樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリオレフィン、ポリカーボネートが好ましい。
熱可塑性樹脂層(X)には、必要に応じて、各種添加剤を配合することができる。添加剤としては、艶消しフィルム用樹脂組成物の項で示したものと同様のものが使用できる。
熱可塑性樹脂層(X)の厚さは、必要に応じて適宜決めればよく、通常、20〜500μm程度である。熱可塑性樹脂層(X)は、積層シートの外観が完全に円滑な上面を呈し、基材の表面欠陥を吸収する又は射出成形時に絵柄層が消失しない程度の厚さを有することが好ましい。
積層シートの製造方法としては、熱ラミネーション、ドライラミネーション、ウェットラミネーション、ホットメルトラミネーション等の公知の方法が挙げられる。また、押出しラミネーションにより、艶消しフィルムあるいは積層フィルムと熱可塑性樹脂層(X)とを積層することもできる。
[積層成形品]
本発明の積層成形品は、艶消しフィルム、積層フィルム、加飾フィルム、及び、積層シートからなる群より選ばれるフィルム又はシートが基材(Y)に積層されたものである。特に、フィルム表面の平滑性が優れているアクリル樹脂層側の面[または熱可塑性樹脂層(X)側の面]に基材(Y)が積層されたものが好ましい。
基材(Y)の材質としては、例えば、樹脂(アクリル樹脂、ABS樹脂等のスチレン系樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリオレフィン、ポリカーボネート等の熱可塑性樹脂等)、木材単板、木材合板、パーティクルボード、中密度繊維板(MDF)等の木材板、木質繊維板等の水質板、鉄、アルミニウム等の金属等が挙げられる。
基材の厚みは、特に制限されず、強度及び成形性の点から、通常、100μm〜1mm(例えば、200〜800μm)程度である。
積層体の製造方法としては、二次元形状の積層体の場合、熱融着できる基材に対しては、熱ラミネーション等の公知の方法を用いることができ、熱融着しない基材[例えば、木材単板、木材合板、パーティクルボード、中密度繊維板(MDF)等の木材板、木質繊維板等の水質板、鉄、アルミニウム等の金属等]に対しては、接着層を介して貼り合わせることが可能である。
三次元形状の積層体の場合は、インサート成形法、インモールド成形法、3次元オーバーレイラミネート成形法、等の公知の方法を用いることができる。
インサート成形法とは、印刷等の加飾を施したフィルム又はシートを、あらかじめ真空成形等によって三次元の形状に成形し、不要なフィルム又はシート部分をトリミング加工により除去し、その後射出成形金型内に移し、基材となる樹脂を射出成形することにより一体化させて成形品(積層体)を得る方法である。
インモールド成形法とは、印刷等の加飾を施したフィルム又はシートを、射出成形金型内に設置し、真空成形を施し、その後同じ金型内で基材となる樹脂を射出成形することにより一体化させて成形品(積層体)を得る方法である。
3次元オーバーレイラミネート成形法とは以下の方法をいう。
まず、フィルム又はシートで仕切られた2つの密閉空間を形成して一方の空間側に成形体を配置し、両方の空間または成形体を配置している空間のみを減圧する。次いで、フィルム又はシートを加熱軟化し、一方の空間側から他方の空間側に向かってフィルム又はシート表面に成形体を押し当てた状態で、成形体を配置していない他方の空間のみを常圧に戻し、差圧を利用してフィルム又はシートを成形体に貼り付ける。
3次元オーバーレイラミネート成形法では、加熱されたフィルム又はシートが全体的に均一に圧力を受けて成形体の表面に貼り付けられるため、成形体の表面が曲面であっても良好にフィルム又はシートを成形体に貼り付けることができる。
3次元オーバーレイラミネート成形を行うための装置としては、例えば、布施真空(株)製の「TOM(商品名)」が挙げられる。
射出成型にて、本積層成形品を製造する場合、基材(Y)に使用する樹脂材料としては、射出成型後の収縮率がフィルムもしくはシートの収縮率に近似した樹脂材料が好ましい。両社の収縮率が近似していると、インモールド成形またはインサート成形によって得た積層成形品の反りまたはフィルム、シートの剥がれ等の不具合が生じにくくなる傾向にある。
以下、実施例及び比較例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。以下の記載において、「部」は「質量部」を表す。また、各フィルム、シート及び積層成形品の評価は下記の方法で行った。なお、以下の記載における略号は次の通りである。
「MMA」:メタクリル酸メチル
「MA」:アクリル酸メチル
「n−BA」:アクリル酸n−ブチル
「St」:スチレン
「HEMA」:メタクリル酸2−ヒドロキシエチル
「AMA」:メタクリル酸アリル
「1,3−BD」:ジメタクリル酸1,3−ブチレングリコール
「CHP」:クメンハイドロパーオキサイド
「LPO」:ラウリルパーオキサイド
「t−BH」:t−ブチルハイドロパーオキサイド
「EDTA」:エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム
「n−OM」:n−オクチルメルカプタン
「OT−P」:ジアルキルスルホコハク酸ナトリウム70%溶液(花王(株)製、商品名:「ぺレックスOT−P」)
(1)フィルム製造時のメヤニ評価
製膜機にフィルム原料として、艶消しフィルム用樹脂組成物を投入から1時間後のTダイ吐出口付近のメヤニの有無を目視にて評価した。
○:Tダイ吐出口付近にメヤニ無し
×:Tダイ吐出口付近にメヤニ有り
(2)フッ素樹脂層及びアクリル樹脂層の各層の厚さ
積層フィルムを断面方向に70nmの厚みに切断したサンプルを、透過型電子顕微鏡(日本電子(株)製、商品名J100S)にて観察し、5箇所でそれぞれの厚みを測定し、それらを平均することで算出し求めた。
(3)フィルムの光学特性(全光線透過率およびヘーズ)
フィルムの全光線透過率およびヘーズを以下の条件で測定した。
全光線透過率はJIS K7361−1に準拠し、ヘーズはJIS K7136に準拠して、日本電色工業(株)製のNDH2000を用いて測定した。
(4)60度表面光沢度
JIS Z8741に準じ、ポータブル光沢計(コニカミノルタセンシング(株)製、商品名:GM−268)を用い、フィルムのフッ素樹脂層側の60度表面光沢度を測定した。
(5)耐薬品性1
フィルムのフッ素樹脂層側が表面となるように積層した積層成形品の表面にガーゼを乗せ、その上にサンタンローション(商品名:Coppertone Waterbabies 30SPF)を1滴垂らし、さらにその上にアルミ板を含めた500gの荷重をかけ、74℃で1時間放置した。試験後、試験片を水洗・風乾し、試料表面を目視観察により下記の基準で耐溶剤性を評価した。
◎:試料表面に変化はない
○:試料表面に僅かに溶剤の痕が残っている
△:試料表面に溶剤の痕が残っている
×:試料表面に溶剤あるいはガーゼの痕がはっきり残っている、又は試料表面の溶剤が接触した面が白濁している
(6)耐薬品性2
フィルムのフッ素樹脂層側が表面となるように積層した積層成形品の表面に10%乳酸水溶液を1滴垂らし、80℃で24時間放置した。試験後、試験片を水洗・風乾し、試料表面を目視観察により下記の基準で耐溶剤性を評価した。
◎:試料表面に変化はない
○:試料表面に僅かに溶剤の痕が残っている
△:試料表面に溶剤の痕が残っている
×:試料表面に溶剤の痕がはっきり残っている、フィルム表面が膨潤している、あるいは、溶剤が接触した面が白濁している
(7)耐薬品性3
フィルムのフッ素樹脂層側が表面となるように積層した積層成形品の表面に内径38mm、高さ15mmのポリエチレン製円筒を置き、圧着器で試験片に強く密着させ、その開口部に自動車用芳香剤((株)ダイヤケミカル製、グレイスメイトポピー柑橘系)を5ml注入した。開口部にガラス板で蓋をした後、55℃に保持した恒温槽に入れ4時間放置した。試験後、圧着器を取り外し、試験片を水洗・風乾し、試料表面を目視観察により下記の基準で耐溶剤性を評価した。
◎:試料表面に変化はない
○:試料表面に僅かに溶剤の痕が残っている
△:試料表面に溶剤の痕が残っている
×:試料表面に溶剤の痕がはっきり残っている、又は、溶剤が接触した面が白濁している
(8)耐薬品性4
フィルムのフッ素樹脂層側が表面となるように積層した積層成形品の表面に内径38mm、高さ15mmのポリエチレン製円筒を置き、圧着器で試験片に強く密着させ、その開口部にプラスチック用可塑剤としてジオクチルフタレートを5ml注入した。開口部にガラス板で蓋をした後、80℃に保持した恒温槽に入れ72時間放置した。試験後、圧着器を取り外し、試験片を水洗・風乾し、試料表面を目視観察により下記の基準で耐溶剤性を評価した。
◎:試料表面に変化はない
○:試料表面に僅かに溶剤の痕が残っている
△:試料表面に溶剤の痕が残っている
×:試料表面に溶剤の痕がはっきり残っている、又は、溶剤が接触した面が白濁している
(9)耐薬品性5
フィルムのフッ素樹脂層側が表面となるように積層した積層成形品の表面にジョンソンエンドジョンソン社製の日焼け止め(商品名:「ニュートロジーナSPF45」)を1.5g/100cm2で塗布した後、80℃に保持した恒温槽に入れ24時間放置した。試験後、試験片を水洗・風乾し、試料表面を目視観察により下記の基準で耐溶剤性を評価した。
◎:試料表面に変化はない
○:試料表面に僅かに溶剤の痕が残っている
△:試料表面に溶剤の痕が残っている
×:試料表面に溶剤の痕がはっきり残っている、又は、溶剤が接触した面が白濁している。
(10)耐薬品性6
フィルムのフッ素樹脂層側が表面となるように積層した積層成形品の表面にガーゼを乗せ、その上にSCジョンソン社製の虫除けスプレー(商品名:「OFF!ACTIVE Insect repellentIV」、N,N−ジエチル−m−トルアミド(DEET)含有量25%)の液を1滴垂らし、さらにその上にアルミ板を含めた500gの荷重をかけ、23℃で24時間放置した。試験後、試験片を水洗・風乾し、試料表面を目視観察により下記の基準で耐溶剤性を評価した。
◎:試料表面に変化はない
○:試料表面に僅かに溶剤の痕が残っている
△:試料表面に溶剤の痕が残っている
×:試料表面に溶剤の痕がはっきり残っている、又は、溶剤が接触した面が白濁している。
[調製例1]
<アクリル樹脂(B−1)の作製>
攪拌機、冷却管、熱電対、窒素導入管を備えた重合容器内に、脱イオン水195部を投入した。次いで、窒素下で攪拌しながら、単官能単量体5.0部(MMA0.3部、n−BA4.7部)、多官能単量体であるAMA0.0275部、t−BH0.025部およびOT−P1.0部からなる単量体成分(b−1−1)を重合容器内に一括で添加した。単量体成分(b−1−1)添加後、30分間かけて反応容器内を75℃に昇温した。昇温完了後、脱イオン水5部、ソジウムホルムアルデヒドスルホキシレート0.20部、硫酸第一鉄0.0001部及びEDTA0.0003部を反応容器内に一括で添加し、発熱によるピーク温度を観察したところから、15分間75℃で反応容器内を保持し反応を継続させ、重合体(b1−1)を得た。
続いて、単官能単量体50.0部(MMA3.0部、n−BA47.0部)、多官能単量体であるAMA0.275部、t−BH0.25部からなる単量体成分(b−1−2)を120分間に亘って重合容器内に滴下した。滴下終了後、60分間75℃で反応容器内を保持し、反応を継続させて重合体(b1−2)を得ることで、重合体(b1−1)と重合体(b1−2)からなるアクリル酸アルキルエステル重合体(b1)を得た。
さらに、アクリル酸アルキルエステル重合体(b1)の存在下、MMA40.5部、n−BA4.5部、t−BH0.062部及びn−OM0.3部の単量体成分(b−2)を、120分間に亘って重合容器内に滴下した。滴下終了後、60分間75℃で反応容器内を保持し、反応を継続させて重合体(b2)を得ることで、ラテックス状のアクリル樹脂(B−1)を得た。重合後に測定したラテックス状のゴム含有多段重合体(I−1)の固形分は33質量%であった。
[調製例2〜7]
<アクリル樹脂(B−2)〜(B−7)の作製>
単量体成分を表1に示す内容に変更した以外は、調製例1と同様にして行った。
アクリル樹脂(B)の組成を表1にまとめた。
Figure 2015160874
[調製例8]
<アクリル樹脂(C)としての水酸基含有重合体の製造>
攪拌機、還流冷却器、窒素ガス導入口等の付いた反応容器に以下の原料成分を仕込んだ。次いで、容器内を十分に窒素ガスで置換した後、反応容器内の単量体混合物を攪拌しながら75℃まで加熱し、窒素ガス気流中で3時間反応させた。この後、反応容器内の温度を90℃に昇温して、更に45分保持して重合を完了し、引き続いて150メッシュ(目開き100μm)の条件で篩別を行い、通過したビーズを脱水、乾燥して水酸基含有重合体であるアクリル樹脂(C−1)を得た。
<原料成分>
MA:10部
MMA:60部
HEMA:30部
n−オクチルメルカプタン:0.18部
LPO:1部
第三リン酸カルシウム:1.8部
水:250部
[調製例9]
<ゴム含有重合体(α’)>
攪拌機を備えた容器に脱イオン水10.8部を仕込んだ後、MMA0.3部、n−BA4.5部、1,3−BD0.2部、AMA0.05部およびCHP0.025部からなる単量体成分(α’−1−1)を投入し、室温下にて攪拌混合した。次いで、攪拌しながら、乳化剤(東邦化学工業(株)製、商品名フォスファノールRS610NA)1.3部を上記容器内に投入し、攪拌を20分間継続して乳化液を調製した。
次に、冷却器付き重合容器内に脱イオン水186.5部を投入し、70℃に昇温した。さらに、イオン交換水5部にソジウムホルムアルデヒドスルホキシレート0.20部、硫酸第一鉄0.0001部及びEDTA0.0003部を加えて調製した混合物を、重合容器内に一度に投入した。次いで、窒素下で攪拌しながら、調製した乳化液を8分間にわたって重合容器に滴下した後、15分間反応を継続させ、単量体成分(α’−1−1)からなるゴム重合体(α’1−1)を得た。
続いて、MMA9.6部、n−BA14.4部、1,3−BD1.0部およびCHP0.016部からなる単量体成分(α’−1−2)を、90分間にわたって重合容器に滴下した後、60分間反応を継続させ、単量体成分(α’−1−2)からなるゴム重合体(α’1−2)を得た。
続いて、MMA6部、MA4部、AMA0.075部およびCHP0.0125部からなる単量体成分(α’−2−1)を、45分間にわたって重合容器に滴下した後、60分間反応を継続させ、重合体(α’2−1)を得た。
続いて、MMA57部、MA3部、n−OM0.264部およびt−BH0.08部からなる単量体成分(α’−2−2)を、140分間にわたって重合容器に滴下した後、60分間反応を継続させ、重合体(α’2−2)を得ることで、ゴム含有重合体(α’)の重合体ラテックスを得た。
得られたゴム含有重合体(α’)の重合体ラテックスを、濾材としてステンレス鋼(SUS)製のメッシュ(平均目開き:62μm)を取り付けた振動型濾過装置を用いて濾過した後、酢酸カルシウム3.5部を含む水溶液中で塩析させ、水洗して回収し、乾燥し、粉体状のゴム含有重合体(α’)を得た。
[調製例10]
<ゴム含有重合体(α’’)>
窒素雰囲気下、攪拌機及び還流冷却器を備えた反応容器内に脱イオン水204部を入れ、80℃に昇温し、ソジウムホルムアルデヒドスルホキシレート0.25部、硫酸第一鉄0.0001部及びEDTA0.0003部を添加した。
次いで、反応容器内の液体を撹拌しながら、MMA11.2部、n−BA12.4部、St1.2部、AMA0.1部、1,3−BD0.7部、t−BH0.04部および乳化剤(東邦化学工業(株)製、商品名フォスファノールRS610NA)0.7部からなる単量体成分(α’’−1−1)の1/10を仕込み、15分保持した。
更に、単量体成分(α’’−1−1)の残りを水に対する単量体混合物の増加率が8%/時間となるように連続的に添加した後に1時間保持して、ゴム重合体(α’’1−1)を得た。
続いて、ゴム重合体(α’’1−1)のラテックスにソジウムホルムアルデヒドスルホキシレート0.12部を加え、15分保持し、窒素雰囲気下80℃で撹拌を行いながら、n−BA30.7部、St6.5部、AMA0.65部、1,3−BD0.1部、CHP0.11部およびRS610NA0.59部からなる単量体成分(α’’−1−2)を水に対する単量体成分の増加率が4%/時間となるように連続的に添加した後に120分間保持して、ゴム重合体(α’’1−2)を形成させて、ゴム重合体(α’’1−1)と(α’’1−2)からなるゴム重合体(α’’1)のラテックスを得た。
次いで、ゴム重合体(α’’1)のラテックスにソジウムホルムアルデヒドスルホキシレート0.12部を加え、15分保持し、窒素雰囲気下80℃で撹拌を行いながら、MMA35.3部、MA1.9部、n−OM0.11部およびt−BH0.06部からなる単量体成分(α’’−2)を、水に対する単量体混成分の増加率が10%/時間となるように連続的に添加した後に1時間保持して、重合体(α’’2)を形成させて、ゴム含有重合体(α’’)のラテックスを得た。
得られたゴム含有重合体(α’’)のラテックスを、濾材にステンレス鋼製のメッシュ(平均目開き:150μm)を取り付けた振動型濾過装置を用いて濾過した後、脱イオン水306部に酢酸カルシウム3部を含む水溶液中で塩析させ、水洗して回収した後、乾燥し、粉体状のゴム含有重合体(α’’)を得た。
ゴム含有重合体(α’)およびゴム含有重合体(α’’)の組成を表2にまとめた。
Figure 2015160874
<実施例1>
フッ素樹脂(A)としてポリフッ化ビニリデン(アルケマ(株)製、商品名:KYNAR720)90質量部、アクリル樹脂(B−1)10質量部、および酸化防止剤としてBASF社製のヒンダードフェノール系酸化防止剤「イルガノックス1076」(商品名)を0.1質量部の割合で配合し、ヘンシェルミキサーを用いて30秒間混合し、2軸押出機(東芝機械(株)製、商品名:TEM35)を用いてシリンダー温度180〜200℃及びダイヘッド温度220℃の条件で♯300のスクリーンメッシュで異物を取り除きながら押し出し、切断して艶消しフィルム用樹脂組成物(i)のペレットを得た。
また、ゴム含有重合体(α’)80質量部、ゴム含有重合体(α’’)10質量部、熱可塑性重合体(β)10質量部、紫外線吸収剤としてBASF社製のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤「チヌビン234」(商品名)1.4質量部、光安定剤としてADEKA社製のヒンダードアミン系光安定剤「アデカスタブLA−57」(商品名)0.3質量部および酸化防止剤としてBASF社製のヒンダードフェノール系酸化防止剤「イルガノックス1076」(商品名)を0.1質量部の割合で配合し、艶消しフィルム用樹脂組成物(i)のペレットを得た場合と同様にしてアクリル樹脂組成物(ii)のペレットを得た。
なお、熱可塑性重合体(β)は、メチルメタクリレート(MMA)−メチルアクリレート(MA)共重合体(MMA/MA=90/10(質量比)、還元粘度:0.060l/g、数平均分子量:42,000、質量平均分子量:92,000、分子量分布(質量平均分子量/数平均分子量):2.2、JIS K7191の1.8MPaにおける荷重たわみ温度:89℃)であった。
艶消しフィルム用樹脂組成物(i)のペレット、及び、アクリル樹脂組成物(ii)のペレットを80℃で一昼夜乾燥した。乾燥後、シリンダー温度240℃に設定した♯500のスクリーンメッシュを設けたノンベントスクリュー型65mmφの押出機を用いて、アクリル樹脂組成物(ii)のペレットを可塑化し、他方、同じくシリンダー温度180〜220℃に設定した♯500のスクリーンメッシュを設けた25mmφの押出機を用いて前記艶消しフィルム用樹脂組成物(i)のペレットを可塑化し、次いで240℃に設定した2種2層用マルチマニホールドダイで、アクリル樹脂層側が80℃の第1鏡面冷却ロールと75℃の第2鏡面冷却ロールに接するようにしてフィルムを搬送し、所定の厚みからなるフッ素樹脂層とアクリル樹脂層の2層構造の積層フィルムを得た。
こうして得られた積層フィルムのフッ素樹脂層とアクリル樹脂層の各厚みを透過型電子顕微鏡にて観察したところ、フッ素樹脂層の厚みが7μm、アクリル樹脂層の厚みが120μmであった。
また、押出機に艶消しフィルム用樹脂組成物(i)のペレットを投入してから1時間経過した後のマルチマニホールドダイの吐出口付近(フッ素樹脂層側)を観察したところ、吐出口付近にメヤニの発生は確認されず、得られたフィルムは、メヤニに起因する異物状もしくはスジ状の外観欠陥が全く見られなかった。
得られた積層フィルムの全光線透過率およびヘーズを測定したところ、全光線透過率は92.8%、ヘーズは15.1%であり、透明性の良好なフィルムであった。
フィルムのフッ素樹脂層側から測定した60°表面光沢度は68%であり、良好な艶消し性能を有していた。
次に、真空引き機能を有し、キャビティー側の金型の底、かつ中央のゲートから横方向に3cmの位置に、1cm2、深さ1mmの凹みがある金型を用い、J85ELII型射出成形機((株)日本製鋼所製、商品名)およびホットパックシステム(日本写真印刷(株)製、商品名)を組み合わせたインモールド成形装置を用い、金型内壁面にフッ素樹脂層が配置されるようにインモールド成形を行った。
詳細な積層体の形状は、縦150mm×横120mm×厚さ2mm、深さ10mmの箱型であり、金型のゲート位置は、積層体中央に1箇所、中央ゲートの上下(積層体縦方向)40mmの位置に各1箇所の計3箇所であり、ゲート形状は、直径1mmのピンポイントゲートである。また、金型のキャビティー側の底面と側面を結ぶ角のコーナーRは約3である。つまり、積層フィルムがラミネートされる側の積層体のコーナーRは約3である。コーナーRは、FUJI TOOL製 RADIUS GAGEで測定した。
積層フィルムの真空成形は、ヒーター温度約330℃、加熱時間12秒、ヒーターとフィルムとの距離15mmの条件で行い、フッ素樹脂層側が金型と接するように真空成形を実施した。
また、引き続き同一金型内で実施する射出成形は、シリンダー温度250℃、射出速度30%、射出圧力43%、金型温度60℃の条件で、フッ素樹脂層の反対側から基材(Y)樹脂を射出した。基材(Y)樹脂としては、耐熱性ABS樹脂(UMG ABS(株)製、商品名ダイヤペットABS「バルクサムTM25B」)を用いた。射出成型後、フッ素樹脂層側が表面に配置された積層成形品を得た。
得られた積層成形品のフッ素樹脂層側の耐薬品性を実施したところ、各種耐薬品性も良好な結果を示した。
<実施例2〜7>
アクリル樹脂(B)を、表3に示すものに変更し、アクリル樹脂層の厚みが140μmであった以外は実施例1と同様に行った。
マルチマニホールドダイの吐出口付近(フッ素樹脂層側)にメヤニの発生は無く、メヤニに起因する異物状もしくはスジ状の外観欠陥も見られず、60°表面光沢度、積層成形品の耐薬品性も良好な結果を示した。
<比較例1>
アクリル樹脂(B)の代わりにアクリル樹脂(C−1)を用い、フッ素樹脂(A)を94部、アクリル樹脂(C−1)を6部とした以外は、実施例1と同様に行った。
60°表面光沢度も28%であり、積層成形品の耐薬品性も良好であったが、アクリル酸アルキルエステルの含有量が少なく、且つ水酸基を有する単官能単量体を共重合したアクリル樹脂(C)を用いたため、フィルム状に成形する際の、マルチマニホールドダイの吐出口付近(フッ素樹脂層側)には、メヤニが多量に付着していることが確認され、得られたフィルムには異物状もしくはスジ状の外観欠陥が確認された。
実施例1〜7および比較例1の結果を表3にまとめた。
Figure 2015160874
<実施例8>
実施例2で得られた積層フィルムのアクリル樹脂層側に絵柄層としてシルバーメタリック調柄をグラビア印刷にて設けて、加飾フィルムを得た。
さらに熱可塑性樹脂(X)として接着層を有する厚さ0.35mmのABSシートを、接着層とシルバーメタリック調絵柄層とが接するように、熱ラミネーションによって積層し、積層シートを得た。この積層シートを用いて成形を行った。具体的には、この積層シートを、積層フィルムのフッ素樹脂層側がキャビティ側になるように真空引き機能を持つ金型内に配置し、積層シートが190℃に達するまでヒーターで加熱した後、真空成形を行った。
真空成形した積層シートの不要な部分(最終積層体において基材と接着しない部分)を、フッ素艶消し積層フィルム側から、トムソン打ち抜き型を用いてトリミングした。不要部をトリミング加工した後の積層シートを、キャビティー側の金型の底、かつ、中央のゲートから横方向に3cmの位置に、1cm2、深さ1mmの凹みがある金型の底に、積層シートのフッ素艶消し積層フィルム側がキャビティー側になるように配置した。次いで、積層シートの熱可塑性樹脂層(X)に基材(Y)となるABS樹脂(UMG ABS(株)製、商品名ダイヤペットABS「バルクサムTM25B))を射出成形し、インサート成形によって積層成形品を得た。
得られた積層成形品は、良好な艶消し状のシルバーメタリック調成形品であった。
以上、説明したように、本発明の艶消しフィルム用樹脂組成物から調製される艶消しフィルム、積層フィルム、加飾フィルム、積層シートおよび積層成形品は、特に車輌用途、建材用途に適している。具体例としては、インストルメントパネル、コンソールボックス、メーターカバー、ドアロックペゼル、ステアリングホイール、パワーウィンドウスイッチベース、センタークラスター、ダッシュボード等の自動車内装用途、ウェザーストリップ、バンパー、バンパーガード、サイドマッドガード、ボディーパネル、スポイラー、フロントグリル、ストラットマウント、ホイールキャップ、センターピラー、ドアミラー、センターオーナメント、サイドモール、ドアモール、ウインドモール等、窓、ヘッドランプカバー、テールランプカバー、風防部品等の自動車外装用途、AV機器や家具製品のフロントパネル、ボタン、エンブレム、表面化粧材等の用途、携帯電話等のハウジング、表示窓、ボタン等の用途、さらには家具用外装材用途、壁面、天井、床等の建築用内装材用途、サイディング等の外壁、塀、屋根、門扉、破風板等の建築用外装材用途、窓枠、扉、手すり、敷居、鴨居等の家具類の表面化粧材用途、各種ディスプレイ、レンズ、ミラー、ゴーグル、窓ガラス等の光学部材用途、あるいは電車、航空機、船舶等の自動車以外の各種乗り物の内外装用途、瓶、化粧品容器、小物入れ等の各種包装容器及び材料、景品や小物等の雑貨等のその他各種用途等に好適に使用することができる。

Claims (12)

  1. フッ素樹脂(A)とアクリル樹脂(B)とを含有する艶消しフィルム用樹脂組成物(i)であって、前記アクリル樹脂(B)を構成する単量体成分中の単官能単量体を100質量%としたとき、アクリル酸アルキルエステルが50〜100質量%であり、かつ他の単官能単量体が50〜0質量%である、前記艶消しフィルム用樹脂組成物。
  2. アクリル樹脂(B)が、アクリル酸アルキルエステル重合体(b1)の存在下、単量体成分(b−2)を重合して得られる樹脂であり、
    前記アクリル酸アルキルエステル重合体(b1)を構成する単量体成分(b−1)中の単官能単量体を100質量%としたとき、アクリル酸アルキルエステルが80〜100質量%であり、かつ他の単官能単量体が20〜0質量%であり、さらに単官能単量体の総量100質量部に対して、単官能単量体と共重合可能な二重結合を1分子内に2個以上有する多官能単量体が0〜0.6質量部であり、
    前記単量体成分(b−2)中の単官能単量体を100質量%としたとき、メタクリル酸アルキルエステルが80〜100質量%であり、かつ他の単官能単量体が20〜0質量%である、請求項1に記載の艶消しフィルム用樹脂組成物。
  3. フッ素樹脂(A)とアクリル樹脂(B)との合計を100質量%としたとき、フッ素樹脂(A)が70〜99質量%であり、かつアクリル樹脂(B)が30〜1質量%である、請求項1または2に記載の艶消しフィルム用樹脂組成物。
  4. フッ素樹脂(A)が、フッ化ビニリデン系重合体である、請求項1〜3のいずれかに記載の艶消しフィルム用樹脂組成物。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の艶消し樹脂フィルム用樹脂組成物をフィルム状に成形してなる艶消しフィルム。
  6. 60度表面光沢度が5〜70%である、請求項5に記載の艶消しフィルム。
  7. 請求項5または6に記載の艶消しフィルムとアクリル樹脂フィルムとが積層された積層フィルム。
  8. 請求項1〜4のいずれかに記載の艶消しフィルム用樹脂組成物(i)からなるフッ素樹脂層とアクリル樹脂組成物(ii)からなるアクリル樹脂層とが共押出成形法により積層された、積層フィルム。
  9. フッ素樹脂層側から測定した際の、60度表面光沢度が5〜70%である、請求項7または8に記載の積層フィルム。
  10. 請求項5〜9のいずれかに記載のフィルムの少なくとも片方の面に、さらに絵柄層が設けられた、加飾フィルム。
  11. 請求項5〜10のいずれかに記載のフィルムの少なくとも片方の面に、さらに熱可塑性樹脂層(X)が設けられた、積層シート。
  12. 請求項5〜11のいずれかに記載のフィルムまたはシートが基材(Y)に設けられた、積層成形品。
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