JP2019167433A - 艶消しフィルム、及び、これを用いた艶消し積層フィルム等 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明の目的は、透明性がよく、きめの細かい艶消し性と耐溶剤性を有する艶消しフィルム、及び、これを用いた艶消し積層フィルム等を提供することにある。【解決手段】炭素数が10〜30であり、構造が直鎖、分岐又は環状であり、置換基を有していてもよいアルキル基を持つ(メタ)アクリル酸アルキルエステル(a1)単位を1〜20質量%、他の単官能単量体(a2)単位を80〜99質量%((a1)単位と(a2)単位の合計が100質量%)含有する重合体(A)と、熱可塑性樹脂(B)を含有する艶消しフィルムであり、熱可塑性樹脂(B)中に、重合体(A)が長径0.1〜3μm、短径0.1〜1μmの粒径で分散している艶消しフィルム。【選択図】 なし

Description

本発明は、透明性がよく、きめの細かい艶消し性と耐溶剤性を有する艶消しフィルム、及び、これを用いた艶消し積層フィルム等に関する。
フッ化ビニリデン系重合体等から得られるフッ素フィルムは、耐候性、耐溶剤性及び耐汚染性に優れているため、プラスチック、ガラス、スレート、ゴム、金属板、木板等の各種基材表面にラミネートされる保護フィルムとして広く使用されている。また、フッ素フィルムで表面が保護された基材は建築物の内装材、外装材、家具等の多くの用途で使用されている。しかしながら、近年、特に屋内で使用される壁紙やレザー家具等の基材についてはイメージの高級化が要望されるようになり、艶消しフィルムがラミネートされたものの使用が多くなっている。
この艶消しフィルムの製法としては、主として(1)表面を荒らした金属製又はゴム製のマットロールによってフィルム表面に微細な凹凸を付与し、熱成形する方法、(2)砂又は金属等の微粒子を被処理フィルム表面に吹き付けて微細な凹凸を付与する方法(サンドブラスト法)、(3)被処理フィルムに艶消し剤をコーティングする方法、及び(4)微細な有機又は無機の充填剤(艶消し剤)をフィルム構成用樹脂中に添加する方法が知られている。
マットロールによるフィルムの艶消し方法(1)には、フッ素樹脂に添加した紫外線吸収剤等の添加剤によりマットロールが目詰まりし易いという問題や、薄いフィルムでは厚み斑がそのまま艶斑となり、均質な艶消しフィルムが得られにくいという問題がある。
サンドブラスト法(2)には、薄く柔らかいフィルムでは、サンドブラスト時に被処理フィルムが伸びたり、破断したりする問題がある。
艶消し剤をコーティングする方法(3)では、艶消し剤がフッ素樹脂に対して非粘着(非接着)性なのでフッ素樹脂の表面に艶消し剤のコーティングを容易に行なうことができない。
艶消し剤をフィルム構成用樹脂中に添加する方法(4)では、有機系の艶消し剤を使用する場合には、良好な外観・艶消し性を有し、且つ耐溶剤に優れたフッ化ビニリデン系樹脂フィルムが提供できるとある(例えば、特許文献1)。しかしながら、有機系の艶消し剤を使用したフッ化ビニリデン系樹脂フィルムはきめが粗い、又はヘーズが高い等の問題がある。きめが粗い場合、この艶消しフィルムをラミネートした製品の意匠性が損なわれる可能性があり、ヘーズが高い場合、フィルムに印刷された加飾層を艶消し面から視認した際の加飾層の美麗さが損なわれる問題があることから好ましくない。
国際公開第2016/010051号
本発明の課題は、透明性がよく、きめの細かい艶消し性と耐溶剤性を有する艶消しフィルム、及び、これを用いた艶消し積層フィルム等を提供することにある。
本発明は以下の特徴を有する。
[1] 炭素数が10〜30であり、構造が直鎖、分岐又は環状であり、置換基を有していてもよいアルキル基を持つ(メタ)アクリル酸アルキルエステル(a1)単位を1〜20質量%、他の単官能単量体(a2)単位を80〜99質量%((a1)単位と(a2)単位の合計が100質量%)含有する重合体(A)と、
熱可塑性樹脂(B)を含有する艶消しフィルムであり、
熱可塑性樹脂(B)中に、重合体(A)が長径0.1〜3μm、短径0.1〜1μmの粒径で分散している艶消しフィルム。
[2] 重合体(A)が、単官能単量体単位の合計100質量部に対して、多官能単量体(a3)単位を0〜0.5質量部含有する、[1]に記載の艶消しフィルム。
[3] 重合体(A)と熱可塑性樹脂(B)の合計100質量%に対して、重合体(A)を1〜50質量%含有する、[1]又は[2]に記載の艶消しフィルム。
[4] 熱可塑性樹脂(B)がフッ素系樹脂である、[1]〜[3]のいずれかに記載の艶消しフィルム。
[5] 60度表面光沢度が5〜70である、[1]〜[4]のいずれかに記載の艶消しフィルム。
[6] 算術平均粗さRaが0.01〜0.3μm又は最大高さ粗さRzが0.01〜2.0μmである、[1]〜[5]のいずれかに記載の艶消しフィルム。
[7] ヘーズが80%以下である、[1]〜[6]のいずれかに記載の艶消しフィルム。
[8] [1]〜[7]のいずれかに記載の艶消しフィルムと、アクリル樹脂フィルムとが積層された艶消し積層フィルム。
[9] 艶消し樹脂組成物からなる艶消し樹脂層と、アクリル樹脂組成物からなるアクリル樹脂層とを共押出成形法により積層し、少なくとも片方の面に艶消し樹脂層を有する、[8]に記載の艶消し積層フィルム。
[10] 艶消し樹脂層側から測定した際の60度表面光沢度が5〜70である、[8]又は[9]に記載の艶消し積層フィルム。
[11] [1]〜[7]のいずれかに記載の艶消しフィルムの少なくとも片方の面に絵柄層が設けられた、艶消し加飾フィルム。
[12] [8]〜[10]のいずれかに記載の艶消し積層フィルムの少なくとも片方の面に絵柄層が設けられた、艶消し加飾フィルム。
[13] [1]〜[7]のいずれかに記載の艶消しフィルムに、さらに熱可塑性樹脂層を積層してなる艶消し積層シート。
[14] [8]〜[10]のいずれかに記載の艶消し積層フィルムに、さらに熱可塑性樹脂層を積層してなる艶消し積層シート。
[15] [11]又は[12]に記載の艶消し加飾フィルムに、さらに熱可塑性樹脂層を積層してなる艶消し積層シート。
本発明の艶消しフィルムは耐溶剤性を備え、ヘーズが低く外観が良好で、且つ、非常にきめ細かい良好な艶消し状態を有する。
本発明の艶消しフィルム等は、例えば自動車、建築物の内外装用途や直射日光の厳しい外装用途等の各種用途に好適に使用できる。
[重合体(A)]
本発明の重合体(A)は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル(a1)単位を1〜20質量%、他の単官能単量体(a2)単位を80〜99質量%含有する。ここで、(a1)単位と(a2)単位の合計を100質量%とする。
(メタ)アクリル酸アルキルエステル(a1)が持つアルキル基は、炭素数が10〜30であり、構造は直鎖、分岐又は環状である。そして置換基を有していても有していなくてもよい。
他の単官能単量体(a2)は、前記(a1)以外の単官能単量体であればよく、特に限定されるものではない。
尚、本明細書において、(メタ)アクリルは、アクリル又はメタクリルを意味する。
重合体(A)は、後述する熱可塑性樹脂(B)に添加され、艶消し性を発現する樹脂組成物及び艶消しフィルムを得ることが可能であることから、艶消し剤として好適に用いることができる。
重合体(A)中の、(メタ)アクリル酸アルキルエステル(a1)単位の含有率が1質量%以上であれば、熱可塑性樹脂(B)との樹脂組成物中で重合体(A)が分散し、樹脂組成物に艶消し発現性を付与することが可能となり、さらに樹脂組成物をフィルム状に成形する際に発生するメヤニを抑制することが可能となる。また、20質量%以下であれば、熱可塑性樹脂(B)との樹脂組成物中での重合体(A)の分散粒径が小さくなり、きめの細かい艶消し外観を付与することが可能となる。
重合体(A)中の、(メタ)アクリル酸アルキルエステル(a1)単位と他の単官能単量体(a2)単位の含有率は、(a1)1〜20質量%:(a2)80〜99質量%であり、(a1)4〜18質量%:(a2)82〜96質量%が好ましく、(a1)5〜15質量%:(a2)85〜93質量%がより好ましい。
直鎖のアルキル基を持つ(メタ)アクリル酸アルキルエステル(a1)としては、例えば、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸セチル、(メタ)アクリル酸ミリスチル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸ベヘニルが挙げられる。
分岐のアルキル基を持つ(メタ)アクリル酸アルキルエステル(a1)としては、例えば、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸イソミリスチル、(メタ)アクリル酸イソステアリルが挙げられる。
環状のアルキル基を持つ(メタ)アクリル酸アルキルエステル(a1)としては、例えば、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸アダマンチル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニル、(メタ)アクリル酸4−t−ブチルシクロヘキシルが挙げられる。
これらの中でも、入手のし易さや得られる重合体(A)の耐熱性の観点から、直鎖のアルキル基を持つ(メタ)アクリル酸アルキルエステル(a1)が好ましい。この中でも、取扱い易さの観点から常温(25℃)で液体状である、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸セチル、(メタ)アクリル酸ミリスチルがより好ましい。
これらは1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
(メタ)アクリル酸アルキルエステル(a1)のアルキル基が有する置換基は、特に限定されるものではなく、一般的な置換基が挙げられる。
他の単官能単量体(a2)としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸i−ブチル等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル;(メタ)アクリル酸低級アルコキシ、(メタ)アクリル酸シアノエチル等の(メタ)アクリル酸エステル単量体;(メタ)アクリル酸単量体;スチレン、アルキル置換スチレン等の芳香族ビニル単量体;(メタ)アクリロニトリル等のシアン化ビニル単量体が挙げられる。
これらは1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
この中でも、得られる重合体(A)と熱可塑性樹脂(B)の相溶性を制御することが容易であり、メヤニの防止効果を得ることが容易となるため、(メタ)アクリル酸アルキルエステルが好ましい。
重合体(A)中には、必要に応じて、上記の単官能単量体単位以外に、二重結合を1分子内に2個以上有する多官能単量体(a3)単位を含有することができる。
多官能単量体(a3)としては、例えば、ジ(メタ)アクリル酸エチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸1,3−ブチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸1,4−ブチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸プロピレングリコール等のジ(メタ)アクリル酸アルキレングリコール;ジビニルベンゼン、トリビニルベンゼン等のポリビニルベンゼン;トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート等のシアヌレート系単量体;メタクリル酸アリル等のα,β−不飽和カルボン酸;ジカルボン酸のアリル、メタクリル又はクロチルエステルが挙げられる。
これらは1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
重合体(A)中の、多官能単量体(a3)単位の含有量は、単官能単量体単位の合計100質量部に対して0〜0.5質量部である。このようにすることで、重合体(A)と熱可塑性樹脂(B)の相溶性を制御することが容易となり、熱可塑性樹脂(B)との樹脂組成物に艶消し発現性を付与することが容易となる。
多官能単量体(a3)単位の含有量は、0.01〜0.45質量部が好ましく、0.05〜0.4質量部がより好ましく、0.1〜0.35質量部が更に好ましい。
[重合体(A)の製造方法]
重合体(A)の製造方法としては、例えば、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法及び塊状重合法が挙げられる。中でも、重合操作の簡便さや得られる重合体の回収の容易さの観点から、懸濁重合法を用いることが好ましい。
懸濁重合法は、単官能単量体、多官能単量体、重合開始剤、連鎖移動剤、分散剤、分散助剤等及び水を使用し、重合温度制御機能と攪拌機能とを有する反応容器内で行なうことができる。
重合開始剤としては、一般的なアゾ系開始剤や過酸化物が使用できる。重合温度としては、用いる重合開始剤の種類や量によって異なるが、例えば40〜120℃が挙げられる。
連鎖移動剤としては、公知のものを使用でき、例えば、n−オクチルメルカプタンが挙げられる。
分散剤としては、公知のものを使用でき、例えば、ポリビニルアルコール、メタクリル酸カリウム−メタクリル酸メチル共重合体が挙げられる。
分散助剤としては、公知のものを使用でき、例えば、硫酸ナトリウム、硫酸マンガンが挙げられる。
懸濁重合法により得られる重合体(A)は、通常は真球に近いビーズ状の形状をしており、取扱い性の観点から、平均粒子径は10〜1000μmが好ましい。
[熱可塑性樹脂(B)]
本発明で使用される熱可塑性樹脂(B)は、特に限定されず、公知の熱可塑性樹脂を用いることができる。
熱可塑性樹脂(B)としては、例えば、アクリル樹脂、ABS樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリオレフィン、ポリエチレンテレフタラート、ポリカーボネート、ポリアミド系樹脂、フッ素系樹脂、アイオノマー樹脂、シリコーン系樹脂、ポリウレタン系樹脂が挙げられる。
これらは1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
熱可塑性樹脂(B)の中でも、耐候性や耐溶剤性の観点から、フッ素系樹脂を用いることが好ましい。
フッ素系樹脂としては、例えば、ポリフッ化ビニリデン、エチレン−テトラフルオロエチレン系共重合体、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニル、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン系共重合体、テトラフルオロエチレン−パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)系共重合体、テトラフルオロエチレン−フッ化ビニリデン共重合体、フッ化ビニリデンと(メタ)アクリル酸アルキルエステル等のアクリル系単量体との共重合体及びフッ化ビニリデン系重合体を主成分とする他樹脂との混合樹脂が挙げられる。
これらは1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
特に、得られるフィルムの光透過性及びきめの細かい艶消しの発現、並びに、重合体(A)との相溶性の点で、フッ化ビニリデン系重合体を用いることが好ましい。
フッ化ビニリデン系重合体は、その全体を100質量%としたときに、フッ化ビニリデン単位を50質量%以上含有する重合体であれば特に限定されず、フッ化ビニリデンの単独重合体であっても、フッ化ビニリデンと他のビニル単量体との共重合体であってもよい。
他のビニル単量体としては、例えば、フッ化ビニル、四フッ化エチレン、三フッ化塩化エチレン、六フッ化プロピレン等のフッ素化されたビニル単量体;スチレン、エチレン、ブタジエン、プロピレン等のビニル単量体が挙げられる。
フッ化ビニリデン系重合体中のフッ化ビニリデン単位の含有率は、80質量%以上が好ましく、100質量%がより好ましい。
[艶消し樹脂組成物]
本発明の艶消し樹脂組成物は、前述した重合体(A)と熱可塑性樹脂(B)を含有する樹脂組成物である。
艶消し樹脂組成物は重合体(A)と熱可塑性樹脂(B)の合計100質量%からなり、その内、重合体(A)を1〜50質量%含有する。重合体(A)を1〜50質量%含有すれば、艶消し樹脂組成物をフィルム状に成形してなるフィルムの外観を、艶消し状とすることが可能となる。
重合体(A)を1〜40質量%含有することが好ましく、1〜30質量%含有することがより好ましい。
艶消し樹脂組成物は、必要に応じて、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、可塑剤、滑剤、帯電防止剤、難燃剤、充填剤、艶消し剤、加工助剤、耐衝撃助剤、抗菌剤、防カビ剤、発泡剤、離型剤、着色剤、紫外線吸収剤、エポキシ系樹脂等の各種添加剤を配合することができる。
酸化防止剤としては、例えば、フェノール系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤及びリン系酸化防止剤が挙げられる。
熱安定剤としては、例えば、ヒンダードフェノール系熱安定剤、硫黄系熱安定剤及びヒドラジン系熱安定剤が挙げられる。
可塑剤としては、例えば、フタル酸エステル、リン酸エステル、脂肪酸エステル、脂肪族二塩基酸エステル、オキシ安息香酸エステル、エポキシ化合物及びポリエステルが挙げられる。
滑剤としては、例えば、脂肪酸エステル、脂肪酸、金属石鹸、脂肪酸アミド、高級アルコール及びパラフィンが挙げられる。
帯電防止剤としては、例えば、カチオン系帯電防止剤、アニオン系帯電防止剤、ノニオン系帯電防止剤及び両イオン系帯電防止剤が挙げられる。
難燃剤としては、例えば、臭素系難燃剤、リン系難燃剤、塩素系難燃剤、窒素系難燃剤、アルミニウム系難燃剤、アンチモン系難燃剤、マグネシウム系難燃剤、ホウ素系難燃剤及びジルコニウム系難燃剤が挙げられる。
充填剤としては、例えば、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、滑石、蝋石及びカオリンが挙げられる。
これらは1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
添加剤を配合する方法としては、例えば、重合体(A)、熱可塑性樹脂(B)と共に各種混練機にて混練する方法が挙げられる。この方法で使用される混練機としては、例えば、単軸押出機、二軸押出機、バンバリミキサー及びロール混練機が挙げられる。
艶消し樹脂組成物の形状としては、例えば、塊状物、粉体状物及びペレット状物が挙げられる。これらの中で、樹脂組成物の取扱い性の点で、ペレット状物が好ましい。
[艶消しフィルム]
本発明の艶消しフィルムは、前述の艶消し樹脂組成物をフィルム状に成形してなるフィルムである。前述の艶消し樹脂組成物は、フィルム製造時のメヤニの発生を防止できることから、得られるフィルムはメヤニに起因する外観欠陥の極めて少ないフィルムとなる。また、きめの細かい艶消し性が付与されたフィルムである。
艶消しフィルム中の重合体(A)の分散粒径は、長径が0.1〜3μm、且つ、短径が0.1〜1μmである。長径0.1μm以上且つ短径0.1μm以上であれば、重合体(A)が艶消しフィルムの表面に凹凸を発生させ、艶消し性を付与することができる。また、長径3μm以下且つ短径1μm以下であれば、表面の凹凸を小さくしてきめの細かい外観を付与することができる。
分散粒径の長径は0.2μm以上が好ましく、0.3μm以上がより好ましい。また、0.9μm以下が好ましく、0.85μm以下がより好ましい。
分散粒径の短径は0.15μm以上が好ましい。また、0.75μm以下が好ましい。
尚、重合体(A)の分散粒径には、長径と短径が同じ真球粒子である場合を含む。
分散粒径は、艶消しフィルムを透過型電子顕微鏡で観察し、適当な粒子5つからそれぞれ長径・短径を測定し、それらを平均することで算出する。長径は粒子径の最も長い直径、短径は粒子径の最も短い直径のことである。粒径を測定する粒子はTEM像のコントラストがはっきりしている粒子が好ましい。
TEMによる観察面は、重合体(A)に異方性がある場合、重合体(A)が伸びている方向と水平な面を観察面とし、異方性がない場合は任意の面とする。透過型電子顕微鏡の市販品としては、例えば日本電子(株)製J100S(商品名)がある。
本発明の艶消しフィルムは、60度表面光沢度が5〜70である。60度表面光沢度を5〜70の範囲内とすることで、フィルムの外観が良好な艶消し外観と認識できるため好ましい。好ましくは5〜65であり、より好ましくは5〜60である。
尚、フィルムの60度表面光沢度は、JIS Z8741に準じて測定した値である。
艶消しフィルムの少なくとも一方の面をJIS B 0633−2001で測定した算術平均粗さRaは0.01〜0.3μmである。Raが0.01μm以上であれば、艶消しフィルムの表面に艶消し性を付与することができ、0.3μm以下であれば、きめ細かい外観を付与することができる。
Raは0.05〜0.2μmが好ましい。
艶消しフィルムの少なくとも一方の面をJIS B 0633−2001で測定した最大高さ粗さRzは0.01〜2.0μmである。Rzが0.01μm以上であれば、艶消しフィルムの表面に艶消し性を付与することができ、2.0μm以下であれば、きめ細かい外観を付与することができる。
Rzは0.05〜1.2μmが好ましく、0.1〜1.1μmがより好ましい。
艶消しフィルムの算術平均粗さRaと最大高さ粗さRzは、ACCRFTECH製サーフコム1400Dで測定する。
JIS K7136に準拠して測定した艶消しフィルムのヘーズは、80%以下である。ヘーズが80%以下であれば、フィルムに印刷された加飾層を艶消し面から視認した際の加飾層の美麗さの観点から好ましい。
ヘーズは55%以下が好ましく、52%以下がより好ましく、45%以下が更に好ましい。
JIS K7361−1に準拠して測定した艶消しフィルムの全光線透過率は、80%以上が好ましい。全光線透過率が80%以上であれば、フィルムに印刷された加飾層を、加飾層が印刷されていない面から視認した際の加飾層の美麗さの観点から好ましい。
全光線透過率は85%以上がより好ましく、90%以上が更に好ましい。
艶消しフィルムの厚さは、フィルムの取扱い性、ラミネート性、フィルムに成形する際の製膜性、加工性の観点から、5〜500μmが好ましく、15〜300μmがより好ましく、30〜300μmが更に好ましい。
艶消しフィルムの製造法としては、例えば、溶融流延法、Tダイ法、インフレーション法等の溶融押出法及びカレンダー法が挙げられるが、経済性の点でTダイ法が好ましい。
艶消しフィルムは、押出機等を用いたTダイ法で製膜した後、巻き取り機で紙管等の管状物に巻き取って、ロール状物品とすることができる。また、必要に応じて製膜工程中に、公知の延伸方法による一軸延伸(MD方向又はTD方向)、二軸延伸(逐次二軸延伸、同時二軸延伸)等の延伸工程を設けることができる。
溶融押出しをする場合は、外観不良の原因となる核や異物を取り除くために、200メッシュ以上のスクリーンメッシュで溶融状態にある樹脂組成物を濾過しながら押出しすることが好ましい。
また、艶消しフィルム表面には、必要に応じて、微細構造を形成することもできる。微細構造を形成する方法としては、例えば、熱転写法及びエッチング法が挙げられる。これらの中で、微細構造を有する金型を加熱した後に、フィルムの表面に、加熱された金型をプレスしてフィルムの表面に微細構造を形成する熱転写法が生産性や経済性の点で好ましい。
上記の熱転写法としては、例えば、微細構造を有する金型をロール状物品から切り出されたアクリル樹脂フィルムに加熱プレスして微細構造を枚葉で熱転写させる方法及び加熱されたベルト状の微細構造を有する金型にニップロールを用いてロール状物品から巻き出されたアクリル樹脂フィルムを挟みこみ加圧し、アクリル樹脂フィルムの表面に微細構造を熱転写させる連続賦形方法が挙げられる。
艶消しフィルムは、他の基材に積層することもできる。積層体製造に使用する基材の形状としては、例えば、フィルム、シート、三次元形状を有する成形品が挙げられる。
[艶消し積層フィルム]
本発明の艶消し積層フィルムは、前述した艶消しフィルムと、アクリル樹脂フィルムとが積層されたフィルムであることが好ましい。アクリル樹脂フィルムと積層することで、該積層フィルムの成形性や加飾層の視認性が向上する。
アクリル樹脂フィルム以外にも、アイオノマー樹脂、ポリオレフィン系樹脂、シリコーン系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリウレタン系樹脂等のその他の樹脂からなるフィルムを用いることもできる。
用いられるアクリル樹脂フィルムは、後述するアクリル樹脂組成物をフィルム状に成形してなるフィルムであることが好ましい。
本発明の艶消し積層フィルムを製造する方法としては、従来より知られる各種の方法を用いることができる。
例えば、フィードブロックダイ又はマルチマニホールドダイ等を介した共押出成形法で艶消し樹脂組成物からなる艶消し樹脂層と、アクリル樹脂組成物からなるアクリル樹脂層の積層構造を形成する方法;艶消し樹脂組成物とアクリル樹脂組成物を夫々Tダイを用いた溶融押出し法等によりフィルム状に成形して、その2種のフィルムを熱ラミネート法により積層する方法がある。
また、艶消し樹脂組成物をフィルム状にし、その後アクリル樹脂組成物を溶融押出し法により積層する押出ラミネーション法等でもよい。この場合、艶消し樹脂組成物とアクリル樹脂組成物を入れ替えて製造してもよい。
特に経済性、工程簡略化の観点から、共押出成形法により艶消し樹脂層及びアクリル樹脂層の積層構造を形成することが好ましい。具体的には、上述したようなフィードブロックダイ又はマルチマニホールドダイを介した共押出成形法である。
また、フィードブロックダイ又はマルチマニホールドダイ等を介した共押出成形法により艶消し樹脂層及びアクリル樹脂層の積層構造を形成する際、鏡面ロールとゴムロールで挟持して製造する方法も好ましい。
艶消し積層フィルムを構成するアクリル樹脂層側が鏡面ロールに接するようにした場合、アクリル樹脂層が積層されている側の鏡面平滑性が優れ、その結果優れた印刷適性の付与が可能となるので好ましい。
また、艶消し樹脂層側はゴムロールに接するようにするのが好ましい。この場合、艶消し樹脂層の表面光沢度を上げることなく(つまり、良好な艶消し度合いを保持しつつ)、アクリル樹脂層側の鏡面平滑性を向上でき、工業的利用価値が高い。
艶消し積層フィルムを構成する艶消し樹脂層とアクリル樹脂層はそれぞれ複数層から構成されていてもよい。
溶融押出しをする場合は、印刷抜けの原因となる核や異物を取り除くために、200メッシュ以上のスクリーンメッシュで溶融状態にある各々の層を構成する樹脂組成物を濾過しながら押出しすることが好ましい。
艶消し積層フィルムの厚さは500μm以下が好ましい。積層成形品に用いるフィルムの場合は、その厚さは30〜400μmが好ましい。この厚さが30μm以上であれば、成形品外観において充分な深みが得られる。また特に、複雑な形状に成形する場合、延伸によって充分な厚さが得られる。また、厚さが400μm以下であれば、適度な剛性を有することになるので、ラミネート性、二次加工性等が向上する。また、単位面積あたりの質量の点で、経済的に有利になる。さらには、製膜性が安定してフィルムの製造が容易になる。
艶消し積層フィルムの艶消し樹脂層とアクリル樹脂層の厚さの比率は、積層フィルムのコスト、表面硬度、透明性、艶消し外観及び印刷適性の観点から、艶消し樹脂層/アクリル樹脂層=1/99〜30/70が好ましく、2/98〜25/75がより好ましく、3/97〜20/80が更に好ましい。
尚、本発明において、フッ素樹脂層とアクリル樹脂層の各層の厚さは、積層フィルムを断面方向に70nmの厚さに切断したサンプルを、透過型電子顕微鏡にて観察し、5箇所でそれぞれの厚さを測定し、それらを平均することで算出する。
艶消し積層フィルムの表面硬度に関しては、艶消し樹脂層側から測定した際の、その鉛筆硬度(JIS K5400)がBより高い硬度であることが好ましい。更にHB以上がより好ましく、F以上が更に好ましい。
鉛筆硬度がBより高い硬度の積層フィルムを用いると、後述するインサート成形又はインモールド成形を施す工程中で傷が付きにくく、更に成形品の耐擦り傷性も良好である。
車両用途に使用される場合、積層フィルムの鉛筆硬度はHB以上であることがより好ましい。積層フィルムの鉛筆硬度がHB以上であると、得られる積層体は、ドアウエストガーニッシュ、フロントコントロールパネル、パワーウィンドウスイッチパネル、エアバッグカバー等、各種車両用部材に好適に使用することができる。
更に、鉛筆硬度がFより高い硬度であると、ガーゼ等表面の粗い布で擦傷しても傷がほとんど目立たないため、工業的利用価値が高くなる。積層フィルムの表面硬度は、上述したように、艶消し樹脂層とアクリル樹脂層の層厚さの比率、またはアクリル樹脂層を構成するアクリル樹脂組成物を選択することにより調整すればよい。
本発明の艶消し積層フィルムは、艶消し樹脂層側から測定した際の、60度表面光沢度が5〜70である。60度表面光沢度が5〜70であれば、フィルムの外観が良好な艶消し外観と認識できるため好ましい。60度表面光沢度は8〜65が好ましく、10〜60がより好ましい。
艶消し積層フィルムのヘーズは、積層フィルムの外観の美麗さの観点から95%以下が好ましい。より好ましくは80%以下、更に好ましくは40%以下である。
JIS K7361−1に準拠して測定した艶消し積層フィルムの全光線透過率は、80%以上が好ましい。全光線透過率が80%以上であれば、フィルムに印刷された加飾層を、加飾層が印刷されていない面から視認した際の加飾層の美麗さの観点から好ましい。より好ましくは85%以上、更に好ましくは90%以上である。
また、艶消し積層フィルムには艶消しフィルムの項で前述した微細構造を形成することもできる。
[アクリル樹脂組成物]
アクリル樹脂組成物としては、メタクリル酸アルキルエステル単位を主成分とする熱可塑性樹脂(β)を用いてもよいし、ゴム含有重合体(α)を用いてもよい。これらは1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
アクリル樹脂組成物中の熱可塑性樹脂(β)とゴム含有重合体(α)の含有率は、熱可塑性樹脂(β)を0〜100質量%、ゴム含有重合体(α)を0〜100質量%とすることが好ましい。より好ましくは熱可塑性樹脂(β)を10〜90質量%、ゴム含有重合体(α)を10〜90質量%、更に好ましくは熱可塑性樹脂(β)を20〜80質量%、ゴム含有重合体(α)を20〜80質量%である。
熱可塑性樹脂(β)としては、アクリル樹脂層の耐熱性の点で、メタクリル酸アルキルエステル50〜100質量%、アクリル酸アルキルエステル0〜50質量%及び他の単官能単量体0〜49質量%を含有する単量体成分を重合して得られる重合体が好ましい。
メタクリル酸アルキルエステル、アクリル酸アルキルエステル、他の単官能単量体としては、重合体(A)の項で示したものと同様のものを使用することができる。
熱可塑性重合体(β)の重合方法としては、例えば、懸濁重合法、乳化重合法及び塊状重合法が挙げられる。
ゴム含有重合体(α)は、アクリル酸アルキルエステル及び多官能単量体を必須成分として含む単量体成分を重合して得られるゴム重合体(g)の存在下に、メタクリル酸アルキルエステルを必須成分として含む単量体成分を重合して得られたゴム含有重合体である。
多官能単量体としては、重合体(A)の項で示したものと同様のものを使用することができる。
ゴム重合体(g)を構成する単量体成分中のアクリル酸アルキルエステル及び多官能性単量体以外の単量体としては、例えば、メタクリル酸アルキルエステル、他の単官能単量体が挙げられる。
これらの単量体としては、重合体(A)の項で示したものと同様のものを使用することができる。
ゴム重合体(g)のTgは、ゴム含有重合体(α)の柔軟性の点から、好ましくは25℃未満、より好ましくは10℃以下、更に好ましくは0℃以下である。
ゴム含有重合体(α)の製造方法としては、重合体(A)の項で前述した乳化重合法と同様の方法で行なうことが好ましい。
アクリル樹脂組成物には、必要に応じて、各種添加剤を配合することができる。添加剤としては、艶消し樹脂組成物の項で示したものと同様のものが使用できる。
特に加飾層や基材の保護の観点から、耐候性を付与するために、紫外線吸収剤を添加することが好ましい。紫外線吸収剤の種類は、分子量400以上のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、分子量400以上のトリアジン系紫外線吸収剤が好ましい。前者の市販品としては、例えば、BASF社の商品名チヌビン234、ADEKA社の商品名アデカスタブLA−31、後者の市販品としては、例えば、BASF社の商品名チヌビン1577、ADEKA社の商品名アデカスタブLA−46が挙げられる。
紫外線吸収剤の添加量は、アクリル樹脂組成物を構成するアクリル樹脂100質量部に対して、0.1〜10質量部が好ましい。耐候性の観点から、より好ましくは0.5質量部以上、更に好ましくは1質量部以上である。また、フィルムの製膜時の工程汚れ、耐溶剤性、透明性の観点から、5質量部以下がより好ましく、3質量部以下が更に好ましい。
さらに、アクリル樹脂組成物には、光安定剤が添加されていることが好ましい。光安定剤としては、公知のものを用いることができるが、特にヒンダードアミン系光安定剤等のラジカル捕捉剤が好ましい。このような光安定剤の市販品として、ADEKA社のアデカスタブLA−57、アデカスタブLA−67、アデカスタブLA−77等(以上、商品名)が挙げられる。
ヒンダードアミン系光安定剤の添加量は、アクリル樹脂組成物を構成するアクリル樹脂100質量部に対して、0.1〜5質量部が好ましい。耐光性の観点から、より好ましくは0.15質量部以上、更に好ましくは0.2質量部以上である。また、フィルムの製膜時の工程汚れを防止する観点から、より好ましくは2質量部以下、更に好ましくは1質量部以下である。
添加剤の配合方法としては、艶消し樹脂組成物の項で示したものと同様の方法を用いることができる。
[艶消し加飾フィルム]
本発明の艶消し加飾フィルムは、艶消しフィルム又は艶消し積層フィルムの少なくとも片方の面に絵柄層を有するものである。特に、艶消し積層フィルムの場合は、印刷適性の観点からアクリル樹脂層に絵柄層を有するものが好ましい。
また、後述する艶消し積層シート又は積層成形品の製造時には、絵柄層を熱可塑性樹脂層又は後述する基材との接着面側に配することが、加飾面の保護及び高級感の付与の観点から好ましい。
[艶消し積層シート]
本発明の艶消し積層シートは、艶消しフィルム、艶消し積層フィルム、及び、艶消し加飾フィルムからなる群より選ばれるフィルムと熱可塑性樹脂層とが積層されてなるシートである。それらフィルムの少なくとも片面に熱可塑性樹脂層を積層すればよいが、特に、艶消し積層フィルムの場合は、フィルム表面の平滑性が優れているアクリル樹脂層側の面が熱可塑性樹脂層に配するように積層することが好ましい。
熱可塑性樹脂層としては、公知の熱可塑性樹脂フィルム又はシート用いることができる。絵柄層の形成性(絵柄層は、艶消しフィルムあるいは積層フィルム上に形成する代わりに熱可塑性樹脂層に形成することもできる)、積層シートの二次成形性の観点から、アクリル樹脂、ABS樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリオレフィン、ポリカーボネートが好ましい。
[積層成形品]
本発明の積層成形品は、艶消しフィルム、艶消し積層フィルム、艶消し加飾フィルム、及び、艶消し積層シートからなる群より選ばれるフィルム又はシートを基材に積層したものである。特に、フィルム表面の平滑性が優れているアクリル樹脂層側の面が基材に接するように積層することが好ましい。
基材の材質としては、例えば、樹脂、木材単板、木材合板、パーティクルボード、中密度繊維板(MDF)等の木材板、木質繊維板等の水質板、鉄、アルミニウム等の金属が挙げられる。
以下、実施例及び比較例により本発明を説明する。以下の記載において、「%」は「質量%」を、「部」は「質量部」を表す。
また、各フィルム、シート及び積層成形品の評価は下記の方法で行なった。尚、以下の記載における略号は次の通りである。
MMA :メタクリル酸メチル
MA :アクリル酸メチル
BA :アクリル酸ブチル
SLMA :メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸トリデシルの混合物
AMA :メタクリル酸アリル
LPO :ラウリルパーオキサイド
nOM :n−オクチルメルカプタン
(1)光学特性(全光線透過率及びヘーズ)
フィルムの全光線透過率及びヘーズを以下の条件で測定した。
全光線透過率はJIS K7361−1に準拠し、ヘーズはJIS K7136に準拠して、日本電色工業(株)製のNDH4000を用いて測定した。
(2)60度表面光沢度
JIS Z8741に準じ、ポータブル光沢計(コニカミノルタセンシング(株)製、商品名:GM−268)を用い、フィルムの60度表面光沢度を測定した。
(3)表面粗さ
フィルムの算術平均粗さRa、最大高さ粗さRzを以下の条件で測定した。
算術平均粗さRa、最大高さ粗さRzともにJIS B0633−2001に準じ、ACCRFTECH製サーフコム1400Dを用いて測定した。
(4)フィルム中の重合体(A)の分散粒径
フィルムの押出し方向と水平となるフィルムの面を、ミクロトーム(ライカマイクロシステムズ社製 EM−ULTRACUT−UCT)で厚さ80〜300nmの切片を切り出し、グリッドに乗せ電子顕微鏡観察を日本電子(株)製J100S(商品名)で行なった。
得られた電子顕微鏡像からコントラストのはっきりした5点を選び、長径と短径を測定し平均値を算出した。
[調製例1] 重合体(A−1)の作製
攪拌機、冷却管、熱電対、窒素導入管を備えた重合容器内に、イオン交換水233部、硫酸ナトリウム0.3部、分散剤としてメタクリル酸エチルスルホン酸塩の共重合体を0.02部投入した。
次いで、窒素雰囲気下で攪拌しながら、(メタ)アクリル酸アルキルエステル(a1)としてSLMA 5部、単官能単量体(a2)としてMMA 73部、BA 22部、多官能単量体(a3)としてAMA 0.31部、連鎖移動剤としてnOM 0.08部、重合開始剤としてLPO 0.4部からなる単量体成分を投入し、投入後内温が75℃になるよう加熱し、重合を継続した。発熱ピークを確認した後、内温を90℃に昇温してさらに60分間保持して重合を完了した。
得られた重合体のビーズを150メッシュ(目開き100μm)で篩別を行ない、脱水、乾燥して重合体(A−1)を得た。
Figure 2019167433
[調整例2〜6] 重合体(A−2)〜(A−6)の作製
単量体成分を表1に示した組成としたこと以外は調整例1と同様に行なって、重合体(A−2)〜(A−6)を得た。
<実施例1>
熱可塑性樹脂(B)としてフッ素系樹脂であるポリフッ化ビニリデン((株)クレハ製、商品名:KFポリマーT♯850)90部、重合体(A−1)10部、酸化防止剤としてADEKA社製のヒンダードフェノール系酸化防止剤「アデカスタブ AO−60」(商品名)を0.1部の割合で配合し、ヘンシェルミキサーを用いて30秒間混合し、2軸押出機(東芝機械(株)製、商品名:TEM35)を用いてシリンダー温度100〜240℃及びダイヘッド温度240℃の条件で押出し、切断して艶消し樹脂組成物のペレットを得た。
艶消し樹脂組成物のペレットを80℃で一昼夜乾燥した。乾燥後、シリンダー温度230℃に設定したノンベントスクリュー型30mmφの押出機を用いて前記艶消し樹脂組成物のペレットを可塑化し、次いで230℃に設定したTダイで、80℃の第1鏡面冷却ロールに接するようにしてフィルムを搬送し、所定の厚さからなる艶消しフィルムを得た。
こうして得られた艶消しフィルムの厚さを測定したところ50μmであった。
得られた艶消しフィルムの全光線透過率及びヘーズを測定したところ、全光線透過率は91.7%、ヘーズは29.8%であり、透明性の良好なフィルムであった。
フィルムの第一冷却ロールと接していない面を測定した60度表面光沢度は36であり、良好な艶消し性能を有していた。
フィルム中の重合体(A)の分散粒径は長径0.67μm、短径0.57μm、フィルムの第一冷却ロールと接していない面を測定した算術平均粗さは0.15μm、最大高さ粗さRzは0.45μmであり、きめ細かい外観を有していた。
結果は表2に示す。
Figure 2019167433
<実施例2〜6>
重合体(A)を、表2に示すもの及び表2に記載の配合量に変更した以外は実施例1と同様にして、行なった。
結果を表2に示す。
60度表面光沢度、透明性、きめ細かさも良好な結果を示した。
<比較例1>
重合体(A)を、表2に示すもの及び表2に記載の添加量に変更した以外は実施例1と同様にして、行なった。
結果を表2に示す。
60度表面光沢度は良好な結果を示した。
しかし重合体(A−6)を構成する単量体成分中に、(メタ)アクリル酸アルキルエステル(a1)を35質量%含有しているため、艶消しフィルム中の重合体(A)の分散粒径が長径3.5μm、短径1.12μmと大きくなり、算術平均粗さRaが0.44μm、最大高さ粗さRzが2.73μmと外観が粗く、さらにヘーズは85%と高い値となり、所望のきめ細かさ、ヘーズを確保することができなかった。
以上、説明したように、本発明の重合体を艶消し剤として用いた艶消し樹脂組成物から調製される艶消しフィルム、艶消し積層フィルム、艶消し加飾フィルム、艶消し積層シート及び積層成形品は、特に車輌用途、建材用途に適している。
具体例としては、インストルメントパネル、コンソールボックス、メーターカバー、ドアロックペゼル、ステアリングホイール、パワーウィンドウスイッチベース、センタークラスター、ダッシュボード等の自動車内装用途、ウェザーストリップ、バンパー、バンパーガード、サイドマッドガード、ボディーパネル、スポイラー、フロントグリル、ストラットマウント、ホイールキャップ、センターピラー、ドアミラー、センターオーナメント、サイドモール、ドアモール、ウインドモール等、窓、ヘッドランプカバー、テールランプカバー、風防部品等の自動車外装用途、AV機器や家具製品のフロントパネル、ボタン、エンブレム、表面化粧材等の用途、携帯電話等のハウジング、表示窓、ボタン等の用途、さらには家具用外装材用途、壁面、天井、床等の建築用内装材用途、サイディング等の外壁、塀、屋根、門扉、破風板等の建築用外装材用途、窓枠、扉、手すり、敷居、鴨居等の家具類の表面化粧材用途、各種ディスプレイ、レンズ、ミラー、ゴーグル、窓ガラス等の光学部材用途、あるいは電車、航空機、船舶等の自動車以外の各種乗り物の内外装用途、瓶、化粧品容器、小物入れ等の各種包装容器及び材料、景品や小物等の雑貨等のその他各種用途等に好適に使用することができる。

Claims (15)

  1. 炭素数が10〜30であり、構造が直鎖、分岐又は環状であり、置換基を有していてもよいアルキル基を持つ(メタ)アクリル酸アルキルエステル(a1)単位を1〜20質量%、他の単官能単量体(a2)単位を80〜99質量%((a1)単位と(a2)単位の合計が100質量%)含有する重合体(A)と、
    熱可塑性樹脂(B)を含有する艶消しフィルムであり、
    熱可塑性樹脂(B)中に、重合体(A)が長径0.1〜3μm、短径0.1〜1μmの粒径で分散している艶消しフィルム。
  2. 重合体(A)が、単官能単量体単位の合計100質量部に対して、多官能単量体(a3)単位を0〜0.5質量部含有する、請求項1に記載の艶消しフィルム。
  3. 重合体(A)と熱可塑性樹脂(B)の合計100質量%に対して、重合体(A)を1〜50質量%含有する、請求項1又は2に記載の艶消しフィルム。
  4. 熱可塑性樹脂(B)がフッ素系樹脂である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の艶消しフィルム。
  5. 60度表面光沢度が5〜70である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の艶消しフィルム。
  6. 算術平均粗さRaが0.01〜0.3μm又は最大高さ粗さRzが0.01〜2.0μmである、請求項1〜5のいずれか一項に記載の艶消しフィルム。
  7. ヘーズが80%以下である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の艶消しフィルム。
  8. 請求項1〜7のいずれか一項に記載の艶消しフィルムと、アクリル樹脂フィルムとが積層された艶消し積層フィルム。
  9. 艶消し樹脂組成物からなる艶消し樹脂層と、アクリル樹脂組成物からなるアクリル樹脂層とを共押出成形法により積層し、少なくとも片方の面に艶消し樹脂層を有する、請求項8に記載の艶消し積層フィルム。
  10. 艶消し樹脂層側から測定した際の60度表面光沢度が5〜70である、請求項8又は9に記載の艶消し積層フィルム。
  11. 請求項1〜7のいずれか一項に記載の艶消しフィルムの少なくとも片方の面に絵柄層が設けられた、艶消し加飾フィルム。
  12. 請求項8〜10のいずれか一項に記載の艶消し積層フィルムの少なくとも片方の面に絵柄層が設けられた、艶消し加飾フィルム。
  13. 請求項1〜7のいずれか一項に記載の艶消しフィルムに、さらに熱可塑性樹脂層を積層してなる艶消し積層シート。
  14. 請求項8〜10のいずれか一項に記載の艶消し積層フィルムに、さらに熱可塑性樹脂層を積層してなる艶消し積層シート。
  15. 請求項11又は12に記載の艶消し加飾フィルムに、さらに熱可塑性樹脂層を積層してなる艶消し積層シート。
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