JP2020012485A - クラッチ装置および制動装置 - Google Patents
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Abstract
Description
制動装置は、ピストンの動力に移動する動力伝達部材(特許文献1では、ガイドチューブ)と、動力伝達部材の力を受けて移動する出力部(特許文献1では、ねじ軸)とを備える。ブレーキ時に出力部が移動すると、ブレーキレバーが動作する。ブレーキレバーに設けられるブレーキパッドがディスクに当接すると、その反力により、ブレーキレバーを介して出力部が押し返される。このようにブレーキが作用しているとき、出力部に設けられるクラッチナットの面と動力伝達部材の面とが強い力で接触する。
(2)上記クラッチ装置において、前記抑制部は、前記接触面および前記接触面に接触する被接触面の少なくとも一方に形成される溝である。
(3)上記クラッチ装置において、前記溝は、前記接触面と前記被接触面とが接触する接触部から外れた位置まで延びている。
(4)上記クラッチ装置において、前記抑制部は、前記接触面および前記被接触面の少なくとも一方に形成される主溝と、前記主溝に交差する副溝を含む。
この構成によれば、接触面に潤滑剤が進入することを抑制できる。これによって、接触面における潤滑剤の滞留が抑制できる。
この構成によれば、制動装置内の潤滑剤がクラッチ装置の接触面に滞留することが抑制できるため、制動対象物の制動安定性を向上できる。
鉄道車両のディスクブレーキ装置は、ブレーキディスクを制動するキャリパ装置1を含む。ブレーキディスクは、車輪の回転とともに回転するように車輪と同軸に取り付けられる。キャリパ装置1は、鉄道車両においてブレーキディスクの近傍に配置される。キャリパ装置1は、ブレーキディスク(制動対象物)を挟むことにより、車輪を制動する。
キャリパボディ10は、車両本体の底面に固定されるブラケット11と、ブラケット11に取り付けられる支持部材12と、支持部材12に取り付けられる一対のブレーキレバー13A,13Bとを備える。
制動装置20において、後述するように駆動部30に対してスピンドル50は進退する。スピンドル50の進退動作により、駆動部30と接続部材90とが接近及び離間し、これに伴い、一対のブレーキレバー13A,13Bの基端側が互いに接近及び離間する。このような動作により、一対のブレーキレバー13A,13Bが支点ピン12sを支軸として回転し、ブレーキパッド15でブレーキディスクを挟持及び解放する。このようにして、ブレーキディスクの回転が制動される。
図2〜図21を参照して、制動装置20について説明する。図2は、制動装置20の外観を示す。図2におけるX−X線と中心軸線Cとを含む平面は、図5におけるX−X線と中心軸線Cとを含む平面と一致する。図2におけるY−Y線と中心軸線Cとを含む平面は、図5におけるY−Y線と中心軸線Cとを含む平面と一致する。制動装置20の中心軸線Cは、制動装置20として組み立てられたスピンドル50の中心軸線CS及びクラッチナット61の回転中心軸CNに一致する。
圧力室SAに空気が供給されてピストン35が後方DBに移動すると、ピストン35が増力レバー37の第1ローラ37bを後方DBに押す。これにより、増力レバー37が回転して、第2ローラ37cがガイドチューブ40を前方DAに押す。ガイドチューブ40は、増力レバー37に押されることにより第1付勢部材41(後述参照)の力に抗して前方DAに移動する。ガイドチューブ40の前方DAへの動力はクラッチナット61を介してスピンドル50に伝達されるため、ガイドチューブ40と共にスピンドル50が前方DAに移動する(後述参照)。そうすると、一対のブレーキレバー13A,13Bの基端側が互いに離間するとともに一対のブレーキレバー13A,13Bのブレーキパッド15が互いに近づいてブレーキディスクを挟む。これにより、車輪の回転が制動される。
ガイドチューブ40は、シリンダ31の内筒33に対して移動する。ガイドチューブ40は、前側の前部材40Aと、後側の後部材40Bとを備える(図5参照)。前部材40Aと後部材40Bとは相対移動不能に締結される。
スピンドル50(出力部)は、軸心51により支持され、第2付勢部材52(出力部付勢部材)により前方DAに付勢される。
スピンドル50は、中空であり、後側が開口する。スピンドル50の後端部には、スピンドル50が回転しないようにする回転止め部材55が装着されている。回転止め部材55は、軸心51を通す孔55aを有する。孔55aは、軸心51に対して周方向に係合可能であり、軸心51の長手方向には移動可能に構成される。例えば、孔55aの断面は、軸心51の断面の相似形(例えば、概略六角形)に構成される。これにより、スピンドル50の回転が規制される。
クラッチナット61は、ガイドチューブ40とスピンドル50との間に介在して、ガイドチューブ40の動力をスピンドル50に伝達する。
具体的には、位置調整機構62は、制動移動距離が、予め設定された設定距離よりも長くなることに基づいて、スピンドル50に対するクラッチナット61の位置を後方DBに移動させる。制動移動距離とは、ガイドチューブ40が最も後方DBの位置(以下、「最後方位置」)から、一対のブレーキパッド15,15がブレーキディスクを挟むことでスピンドル50に後方DBへの力が加えられるようになる位置までの、ガイドチューブ40の移動距離である。
ガイドチューブ40が最後方位置に配置されているとき、規制部64は、第3付勢部材65により前方DAに付勢されてクラッチナット61と係合する。この係合により、クラッチナット61の回転は規制される。
スピンドル50及びクラッチナット61の動作には、2つの態様がある。第1は、ガイドチューブ40が最後方位置と規定位置との間の範囲(以下、「通常範囲」)で往復するときの動作(以下、「通常動作」)である。第2は、ガイドチューブ40が最後方位置と規定位置よりも前方DAの位置との間の範囲(以下、「拡大範囲」)で往復するときの動作(以下、「拡大動作」)である。拡大動作においては、位置調整機構62が働き、スピンドル50に対してクラッチナット61の位置が調整される。
ブレーキパッド15の磨耗が少ないとき、制動時においてブレーキパッド15がブレーキディスクに接触するまでのスピンドル50の制動移動距離は当初の距離から大きく変化しない。このため、スピンドル50の制動移動距離も当初の距離から殆ど変わらないことから、ガイドチューブ40は通常範囲内で移動する(図8及び図9参照)。このとき、ガイドチューブ40において、通常範囲内での前後方向DRの全範囲にわたって、クラッチナット61と規制部64とは係合状態で維持される。クラッチナット61と規制部64とが係合している状態では、スピンドル50は次のように動作する。
ブレーキパッド15の磨耗が大きいとき、制動時においてブレーキパッド15がブレーキディスクに接触するまでのスピンドル50及びガイドチューブ40の制動移動距離は当初の距離から拡大する。ガイドチューブ40が規定位置よりも前方DAに位置するとき、クラッチナット61と規制部64との係合が解除される(図10参照)。このとき、スピンドル50及びクラッチナット61は次のように動作する。
通常動作及び拡大動作のいずれにおいても、制動時においてブレーキパッド15がブレーキディスクに接触するとき、その反力がスピンドル50に加わる。スピンドル50に加わる力は、クラッチナット61を介してガイドチューブ40に伝達される。この伝達において、ガイドチューブ40の被接触面45aとクラッチナット61の接触面61dとが接触する。この接触において、接触面61dと被接触面45aとの間の摩擦力が小さいと、クラッチナット61が回転し、この回転に伴ってスピンドル50が僅かに前後に移動するため、制動力が不安定になる。スピンドル50とクラッチナット61との間には潤滑剤が塗布されており、また蓋体44とクラッチナット61との間にも潤滑剤が塗られている。潤滑剤は流動性があるため、環境変化(昼夜または季節における温度または湿度の変化)の繰り返しにより潤滑剤が接触面61dと被接触面45aとの間に拡散し得る。接触面61dと被接触面45aとの間に潤滑剤が過剰に溜まると、接触面61dと被接触面45aとの間の摩擦力が小さくなり、制動が不安定になるおそれがある。特に、拡大動作時においては、クラッチナット61は、規制部64により拘束されていないため、回転し易い状態にあり、接触面61dと被接触面45aとの間に潤滑剤が過剰に溜まっていると、クラッチナット61の回転量も大きくなり、スピンドル50の変動も大きくなる。
具体的には、被接触面45a及び接触面61dの少なくとも一方には、抑制部69が設けられている。抑制部69は、接触面61dと被接触面45aとが接触したときに接触面61dと被接触面45aとの間に空間を構成する。抑制部69の例としては、溝70として構成される。抑制部69は、溝70のほか、貫通孔、および窪みのいずれかであってもよい。
クラッチナット61の接触面61dとガイドチューブ40の被接触面45aとが接触すると、抑制部69により接触面61dと被接触面45aとの間に空間SIが形成される。このため、接触面61dと被接触面45aとの接触時において、被接触面45aまたは接触面61dに残留した潤滑剤が、接触面61dと被接触面45aとの間に抑制部69により形成された空間SIに押し出されるように流れ込む。このようにして、接触面61dと被接触面45aとの間から潤滑剤を円滑に排除でき、潤滑剤が残留または滞留することが抑制される。また、潤滑剤の残留物が滞留することが抑制される。これにより、制動時において、接触面61dと被接触面45aとが接触するときクラッチナット61の滑りの回転が抑制され、制動時におけるスピンドル50の位置が安定し、制動対象物に対する制動の安定性(制動安定性)が向上する。
(1)クラッチ装置39は、接触面61dの摩擦力によって駆動部30で発生させた力をスピンドル50(出力部)に伝達または切断するクラッチ装置39であって、当該接触面61dに残留物の滞留を抑制する抑制部69を備える。この構成によれば、クラッチ装置39の接触面61dに残留物の滞留が抑制されるようになるため、制動時におけるスピンドル50(出力部)の位置が安定、制動対象物の制動安定性が向上する。
本変形例では、接触面61dに設けられる抑制部69は、螺旋溝81を含む。螺旋溝81は、接触面61dにおける前縁から後方DBに延びて、筒後部61xの途中まで延びる。螺旋溝81は、クラッチナット61の回転中心軸CNを含む平面と接触面61dとの交線に交差するように延びる。接触面61dと被接触面45aとの接触のときに螺旋溝81によって構成される空間SIは、接触面61dと被接触面45aとの接触部74の周りの空間SXに繋がる。このような構成によっても、実施形態に示された抑制部69に準じた効果が得られる。
本変形例では、接触面61dに設けられる抑制部69は、主溝71を含み、副溝72を含まない。主溝71は、実施形態に示された主溝71と同じ構造を有する。このような構成によっても、実施形態に示された抑制部69に準じた効果が得られる。この変形例では、クラッチナット61の製造工程が簡略化される。
本変形例では、接触面61dに設けられる抑制部69は、周溝82を有する。周溝82は、クラッチナット61の回転中心軸CNに垂直な面と接触面61dとの交線(円形)に沿うように延びる。接触面61dと被接触面45aとの接触のときにこのような周溝82によって構成される空間SIは環状になる。周溝82と接触面61dとの境界にあるエッジは、クラッチナット61の回転方向に沿うため、接触面61dと被接触面45aとの接触のときの磨耗が抑制される。このような構成によっても、実施形態に示された抑制部69に準じた効果が得られる。なお、本変形例では、複数の周溝82は通路により連結されてもよい。また、周溝82を連結する通路は、接触面61dから外れた位置まで延ばされ得る。これにより、潤滑剤は、接触面61dと被接触面45aとの接触部74の周りの空間SXに排出され得る。
本変形例では、接触面61dに設けられる抑制部69は、複数の窪み83として構成される。窪み83は、接触面61dの全面に設けられる。このような構成によっても、実施形態に示された抑制部69に準じた効果が得られる。なお、本変形例では、複数の窪み83は通路により連結されてもよい。また、窪み83を連結する通路は、接触面61dから外れた位置まで延ばされ得る。これにより、潤滑剤は、接触面61dと被接触面45aとの接触部74の周りの空間SXに排出され得る。
本変形例では、接触面61dに設けられる抑制部69は、第3変形例と同様の周溝82と、貫通孔84とを含む。貫通孔84は、周溝82と、接触面61dと被接触面45aとの接触部74の周りの空間SXとを繋げる。すなわち、接触面61dと被接触面45aとの接触により構成される空間SIは、接触部74の周りの空間SXに繋がる。これにより、周溝82に流れ込んだ潤滑剤は、貫通孔84を通じて外部に排出される。このため、実質的に、潤滑剤の排除量に制限がなくなるため、接触面61dと被接触面45aとの間に存在する潤滑剤が多い場合でも、接触面61dと被接触面45aとの間に潤滑剤が残ることが抑制される。
本変形例では、抑制部69が設けられる。接触面61dに設けられる抑制部69は、実施形態と同様の構造を有する。更に、接触面61dの周囲には、当該接触面61dにおいて潤滑剤の進入を抑制する進入抑制部79が設けられる。例えば、接触面61dと被接触面45aとの接触部74から外れた位置に、潤滑剤が接触部74に進入することを抑制する進入抑制部79として、溝が設けられる。溝は、例えば、次のような外部通路85,86として構成される。
(1)本変形例にかかるクラッチ装置39において、接触面61dの周囲には、進入抑制部79が設けられる。進入抑制部79は、接触面61dにおいて残留物となって滞留する潤滑剤の進入を抑制する。この構成によれば、接触面61dに潤滑剤が進入することを抑制できる。これによって、接触面61dにおける潤滑剤の滞留が抑制できる。
・上記抑制部69は、ガイドチューブ40の被接触面45aにも設けられ得る。この場合、クラッチナット61の接触面61dの抑制部69は省略可能である。
Claims (8)
- 接触面の摩擦力によって駆動部で発生させた力を出力部に伝達または切断するクラッチ装置であって、
当該接触面に残留物の滞留を抑制する抑制部を備えるクラッチ装置。 - 前記抑制部は、前記接触面および前記接触面に接触する被接触面の少なくとも一方に形成される溝である
請求項1に記載のクラッチ装置。 - 前記溝は、前記接触面と前記被接触面とが接触する接触部から外れた位置まで延びている
請求項2に記載のクラッチ装置。 - 前記抑制部は、前記接触面および前記被接触面の少なくとも一方に形成される主溝と、前記主溝に交差する副溝を含む
請求項2または3に記載のクラッチ装置。 - 前記接触面の周囲には、前記接触面において前記残留物となって滞留する潤滑剤の進入を抑制する進入抑制部が設けられる
請求項1〜4のいずれか一項に記載のクラッチ装置。 - 前記抑制部に代えて、前記接触面の周囲には、前記接触面において前記残留物となって滞留する潤滑剤の進入を抑制する進入抑制部が設けられる
請求項1に記載のクラッチ装置。 - 前記残留物を形成する潤滑剤で潤滑される部品を含む制動装置であって、請求項1〜6のいずれか一項に記載のクラッチ装置を備える制動装置。
- 駆動部に対して移動することにより制動対象物に力を加える出力部と、前記出力部に設けられるクラッチナットと接触することによって前記駆動部からの動力を出力部に伝達する伝達部材と、前記出力部に設けられる前記クラッチナットの接触面および前記伝達部材の被接触面の少なくとも一方に潤滑剤が残留することを抑制する抑制部とを備える
制動装置。
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