JP2002349599A - 歩行型作業機の走行クラッチ - Google Patents

歩行型作業機の走行クラッチ

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JP2002349599A
JP2002349599A JP2001155289A JP2001155289A JP2002349599A JP 2002349599 A JP2002349599 A JP 2002349599A JP 2001155289 A JP2001155289 A JP 2001155289A JP 2001155289 A JP2001155289 A JP 2001155289A JP 2002349599 A JP2002349599 A JP 2002349599A
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clutch
traveling
female
friction
driving
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Tomoaki Ishikawa
智明 石川
Hiromitsu Sasaki
裕光 佐々木
Kazuyoshi Miyahara
一嘉 宮原
Susumu Okubo
晋 大窪
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Honda Motor Co Ltd
Original Assignee
Honda Motor Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 スリップによる半クラッチ状態で使用可能な
走行クラッチにおいて、安価でクラッチ特性を安定化で
きること。 【解決手段】 歩行型作業機は、機体に走行輪、走行輪
を駆動する駆動源、この駆動源と走行輪に介設した走行
クラッチ30、並びにこの走行クラッチ30を入り切り
するクラッチ操作部材を備える。走行クラッチ30は、
潤滑油の中で雌テーパ面38と雄テーパ面39との摩擦
力によってクラッチ作用をなす油中式円すいクラッチで
ある。雌テーパ面38に螺旋状溝38a及びこの螺旋状
溝38aに直交する複数の直線状溝38b・・・を形成す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、駆動源によって走
行輪を駆動する歩行型作業機の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】図12は従来の歩行型作業機の側面図で
あり、歩行型作業機の一例としての歩行型芝刈機200
(以下、「従来の技術」と言う。)を示す。歩行型芝
刈機200で芝草201を刈る際には、エンジン202
にて刈刃203を回転させた状態で、作業者204がハ
ンドル205のグリップ206を握りながら、クラッチ
レバー207を想像線の位置から矢印のように前方へス
イングさせて走行クラッチ208をオンに切換えること
で、エンジン202の駆動力を走行クラッチ208を介
して後輪209に伝える。歩行型芝刈機200を平地や
上り坂で自走させながら、刈刃203で芝草201を刈
ることができる。210は前輪である。
【0003】ところで、走行クラッチ208には、簡単
な構成で低コストのドッグクラッチを採用したものがあ
る。ドッグクラッチであるから、ほぼ瞬時にオフからオ
ンに切り換る。歩行型芝刈機200が急発進するので、
後輪208がスリップしたり前輪210が浮き上がるこ
ともあり得る。この結果、後輪208で芝草201の倒
れや引裂きが生じたり、前輪210の浮きによって刈刃
203の浮き上がりが生じる。このため、歩行型芝刈機
200の発進時に、芝草201を仕上り良く刈ることは
難しく、作業者204の熟練を要する。
【0004】そこで、歩行型芝刈機200の走行速度を
適宜切換えられるようにすることで、歩行型芝刈機20
0を微小の速度で発進できるようにすることが考えられ
る。走行速度を適宜切換えられるようにするには、走行
クラッチ208を、半クラッチ状態で使用可能なスリッ
プクラッチに変更すればよい。スリップクラッチとして
は、例えば特開平3−157520号公報「球面状摩擦
面を有するスリップクラッチ」(以下、「従来の技術
」と言う。)が知られている。
【0005】上記従来の技術は、同公報の第1図及び
第3図に示される通り、スリッププレート23(番号は
公報に記載されたものを引用した。以下同じ。)の凹状
球面52に貼り付けた凹状球面の摩擦板24と、凸状球
面43との摩擦力によってクラッチ作用をなす、乾式の
スリップクラッチ20に関する。
【0006】上記図10に示す従来の技術における走
行クラッチ208として、上記従来の技術のスリップ
クラッチを採用した場合には、作業者204は、クラッ
チレバー207の押出し力に応じてスリップクラッチを
変化させることで、クラッチのオン・オフ切換え操作
と、変速操作とを行うことができる。歩行型芝刈機20
0に、平地走行などの低負荷走行をさせたり上り坂走行
などの高負荷走行をさせるには、グリップ206を握っ
て押しながら、クラッチレバー207を前方へスイング
させることで、スリップクラッチを操作すればよい。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら上記従来
の技術のスリップクラッチ20は、半クラッチ状態で
長時間使用するものであり、使用初期における摩擦抵抗
を、長期にわたり維持するには改良の余地がある。
【0008】すなわち、使用初期においては、凹状球面
の摩擦板24並びに凸状球面43の加工精度や表面粗さ
の影響により、摩擦板24と凸状球面43の実質的な接
触面積は、比較的小さい。しかし、長時間にわたり使用
していると、摩擦板24並びに凸状球面43が摩耗して
馴染むので、実質的な接触面積は増加する傾向にある。
接触面積が増すと、摩擦板24に凸状球面43を押し付
ける押付力が一定であっても、摩擦板24と凸状球面4
3との間の面圧が小さくなるので、摩擦抵抗も小さくな
る。このように、スリップクラッチ20のクラッチ特性
が不安定になるという問題がある。
【0009】一方、使用初期における実質的な接触面積
を増大させるには、摩擦板24並びに凸状球面43の加
工精度を高めるとともに表面粗さを小さくすることが考
えられる。しかし、加工費が増すので得策ではない。こ
のようなことから、スリップによる半クラッチ状態で長
期にわたり安定した、安価な走行クラッチが求められて
いる。
【0010】そこで本発明の目的は、スリップによる半
クラッチ状態で使用可能な走行クラッチにおいて、安価
でクラッチ特性を安定化できる技術を提供することにあ
る。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に請求項1は、機体に走行輪、走行輪を駆動する駆動
源、この駆動源と走行輪に介設した走行クラッチ、並び
にこの走行クラッチを入り切りするクラッチ操作部材を
備えた歩行型作業機において、走行クラッチを、潤滑油
の中で駆動側摩擦面と被動側摩擦面との摩擦力によって
クラッチ作用をなす油中式摩擦クラッチとし、駆動側摩
擦面と被動摩擦面の少なくとも一方に、螺旋状溝及びこ
の螺旋状溝に直交する複数の直線状溝を形成したことを
特徴とする。
【0012】走行クラッチは、駆動・被動側摩擦面間の
面圧の大きさによってオフ状態から半クラッチ状態に切
換る油中式摩擦クラッチである。油中式摩擦クラッチで
あるから、駆動側摩擦面と被動側摩擦面との間に油膜が
介在するので、この油膜を巧みに利用することができ
る。グリップ/クラッチレバーの押出し力に応じて、駆
動・被動側摩擦面間の面圧が変わる。
【0013】ところで、走行クラッチを長時間使用する
と、駆動・被動側摩擦面同士が摩耗して馴染むことによ
り、互いの接触面積は増大する。接触面積が増せば、駆
動・被動側摩擦面間に使用初期と同じ押付力を掛けた場
合であっても、面圧は減少する。この結果、油膜の厚み
が大きくなるので、駆動・被動側摩擦面間の摩擦係数は
小さくなる。特に、駆動・被動側摩擦面間の潤滑状態
が、境界潤滑状態から混合潤滑状態や流体潤滑状態に変
化すると、摩擦係数は急変する。
【0014】ここで、境界潤滑状態は、駆動・被動側摩
擦面間の油膜が薄い状態であり、流体潤滑状態は、駆動
・被動側摩擦面間の油膜が十分に厚い状態であり、混合
潤滑状態は、境界潤滑状態と流体潤滑状態とが混在した
状態である。流体潤滑状態では、二面(駆動・被動側摩
擦面)が完全に引き離された状態にあり、常に油膜が確
保される。
【0015】これに対して請求項1は、油膜の厚みを常
に積極的に小さくすることで、走行クラッチを面圧の大
きさにかかわらず、境界潤滑状態の領域だけで使うよう
にした。具体的には、駆動側摩擦面と被動摩擦面の少な
くとも一方に、螺旋状溝及びこの螺旋状溝に直交する複
数の直線状溝を形成することで、駆動・被動側摩擦面間
の油や摩耗粉を螺旋状溝及び直線状溝で排出することに
より、油膜の厚みを小さくするようにした。
【0016】境界潤滑状態だけで使うので、摩擦係数は
比較的大きい値で安定する。従って、駆動・被動側摩擦
面間の使用初期における摩擦抵抗を、長期にわたり維持
することができる。この結果、使用初期のクラッチ特性
に対し、使用して馴染んだ後のクラッチ特性の変化を抑
制して安定させることができる。しかも、駆動側摩擦面
と被動摩擦面の少なくとも一方に、螺旋状溝及び複数の
直線状溝を形成するだけであるから、少ない加工費です
む。
【0017】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を添付図に基
づいて以下に説明する。なお、「前」、「後」、
「左」、「右」は作業者から見た方向に従う。また、図
面は符号の向きに見るものとする。
【0018】図1は本発明に係る歩行型作業機の左側面
図であり、歩行型作業機10は、機体11の前部に左右
の前輪12,12(この図では左右のうち左のみを示
す。以下同じ。)を備え、機体11の後部に左右の走行
輪としての後輪13,13を備え、機体11の上部にエ
ンジン14を備え、機体11の中央下部に作業機として
の芝刈用刈刃16を備え、機体11の後部内部に伝動装
置20を備えるとともに、機体11から後方へ操作用の
左右のハンドル50L,50Rを延ばした、芝刈機であ
る。この芝刈機は、芝草などの草を刈るものである。
【0019】エンジン14は、後輪13,13並びに刈
刃16を駆動する駆動源である。詳しくは、エンジン1
4は、出力軸15を下方へ延したバーチカルエンジンで
あり、出力軸15に、作業切換クラッチ42を介して刈
刃16を連結するとともに、伝動部品(駆動プーリ17
a、被動プーリ17b並びにベルト18)を介して伝動
装置20の入力軸21を連結することができる。
【0020】伝動装置20は、エンジン14から後輪1
3,13に至る動力伝達系41に介設したものである。
作業切換クラッチ42は、クラッチオフ状態で制動作用
をなすブレーキ付きクラッチである。
【0021】さらに歩行型作業機10は、左ハンドル5
0Lの後端近傍にエンジン用スロットルコントロールレ
バー25を備えるとともに、左右のハンドル50L,5
0Rの後端に支持軸54にて作業切換レバー60及びグ
リップ/クラッチレバー70を前後スイング可能に取付
けたものである。
【0022】作業切換レバー60は、ワイヤケーブル6
6を介して作業切換クラッチ42を切換え操作すること
で、エンジン14から刈刃16への駆動力を入り切りす
る操作部材である。作業切換レバー60から手を放して
いるとき、すなわち、ワイヤケーブル66を引かないと
きには、作業切換クラッチ42はオフで且つ制動した状
態にある。作業切換レバー60でワイヤケーブル66を
引くことで作業切換クラッチ42をオン操作すれば、エ
ンジン14から刈刃16へ駆動力を伝達できる。
【0023】グリップ/クラッチレバー70は、ハンド
ル50L,50Rを介して機体11を操作(操舵)する
ために握るグリップの役割と、後述する走行クラッチを
操作するためのクラッチ操作部材の役割とを、兼ねた操
作部材である。詳しくは、クラッチ操作部材としてのグ
リップ/クラッチレバー70は、ワイヤケーブル36を
介して後述する走行クラッチを切換え操作することで、
走行輪としての後輪13,13への駆動力を入り切りす
る操作部材である。グリップ/クラッチレバー70から
手を放しているとき、すなわち、ワイヤケーブル36を
引かないときには、走行クラッチはオフ状態にある。グ
リップ/クラッチレバー70でワイヤケーブル36を引
くことで走行クラッチをオン操作すれば、エンジン14
から後輪13,13へ駆動力を伝達できる。
【0024】このような歩行型作業機10によれば、エ
ンジン14を駆動することで後輪13を回転するととも
に刈刃16を回転することにより、前・後輪12,13
で走行しながら刈刃16で芝草を刈ることができる。こ
のときに作業者は、作業切換レバー60及びグリップ/
クラッチレバー70を握って押しながら歩行する。26
は刈った芝草を収容する芝収容袋である。
【0025】図2は本発明に係る変速装置の断面図であ
り、伝動装置20に走行クラッチ30を内蔵した構成を
示す。伝動装置20は、一端に被動プーリ17bを取付
けた入力軸21と、入力軸21に取付けた小径の駆動ベ
ベルギヤ22aと、駆動ベベルギヤ22aに噛み合う大
径の被動ベベルギヤ22bと、被動ベベルギヤ22bを
回転可能に取付けて左右に延びる出力軸23と、被動ベ
ベルギヤ22bから出力軸23への駆動力を入り切りす
る走行クラッチ30と、これら駆動・被動ベベルギヤ2
2a,22b並びに走行クラッチ30を収納したケース
24と、からなる。ケース24にて、入力軸21並びに
出力軸23を回転可能に且つ軸方向移動不能に支承でき
る。出力軸23は左右の後輪13,13(図1参照)に
動力を伝達する後輪車軸である。
【0026】走行クラッチ30は、駆動側摩擦面と被動
側摩擦面との摩擦力によってクラッチ作用をなすととも
に、半クラッチ状態でも使用可能な、油中式摩擦クラッ
チである。ここでは、油中式摩擦クラッチの一例として
油中式円すいクラッチについて説明する。
【0027】すなわち、走行クラッチ30は、ケース2
4に入れた潤滑油の中で、雌テーパ面38と雄テーパ面
39との摩擦力によってクラッチ作用をなすとともに、
半クラッチ状態でも使用可能な、油中式円すいクラッチ
である。雌テーパ面38は駆動側摩擦面であり、雄テー
パ面39は被動側摩擦面である。具体的には走行クラッ
チ30は、雌テーパ面38と雄テーパ面39との間の面
圧の大きさによって、オフ状態から半クラッチ状態に切
換るものであり、上記図1に示す動力伝達系41、すな
わち、エンジン14と後輪13との間に介設する。
【0028】詳しく説明すると、走行クラッチ30は、
被動ベベルギヤ22bのハブ37における端部に形成し
た雌テーパ面38と、出力軸23に軸方向移動可能に且
つ回転不能に取付けたクラッチ用シフター32と、クラ
ッチ用シフター32の移動方向端部に形成した雄テーパ
面39と、クラッチ用シフター32の外周面に全周にわ
たって形成した円周溝状の凹部32aと、凹部32aに
一対の爪33a,33aを嵌合したシフトフォーク33
と、からなる。31はシフター回り止め部材である。な
お、潤滑油Juの油面は、潤滑油Juに雌・雄テーパ面
38,39の一部が浸る程度のレベルでよい。
【0029】図3は図2の3−3線断面図であり、ケー
ス24にシフトフォーク33を図の表裏方向にスイング
可能に取付けたことを示す。具体的には、ケース24に
シフトフォーク33のスイング基部の支軸34を回転可
能に支承し、支軸34の一端部にクラッチ用レバー35
を取付け、クラッチ用レバー35のスイング先端部にワ
イヤケーブル36のワイヤエンド36aを連結する。
【0030】図4(a),(b)は本発明に係る走行ク
ラッチの構成図であり、(a)は分解した図、(b)は
(a)のb−b電断面図である。この図は、雌テーパ面
38に螺旋状溝38aを配列するとともに、この螺旋状
溝38aに直交する複数の直線状溝38b・・・(・・・は複
数を示す。以下同じ。)を所定ピッチで放射状に配列し
たことを示す。
【0031】次に、上記構成の走行クラッチ30の作用
を図2及び図3に基づき説明する。図2及び図3は走行
クラッチ30のオフ状態を示す。その後、図3におい
て、ワイヤケーブル36を引くと、シフトフォーク33
は被動ベベルギヤ22b側(紙面の裏側)へスイングす
る。この結果、シフトフォーク33の爪33a,33a
は、クラッチ用シフター32を被動ベベルギヤ22b側
へスライドさせる。
【0032】上記図2において、クラッチ用シフター3
2が被動ベベルギヤ22b側へスライドすることで、雄
テーパ面39は雌テーパ面38に接触し、摩擦力によっ
てクラッチオン作用をなす。
【0033】ところで、上記図1に示すグリップ/クラ
ッチレバー70の操作力(押出し力)に応じてワイヤケ
ーブル36の引張り力が変わるので、クラッチ用シフタ
ー32のスイングトルクが変わり、その結果、雌テーパ
面38と雄テーパ面39との間の面圧、つまり、摩擦力
が変わる。このようにして、走行クラッチ30をオフ状
態から半クラッチ状態を経てオン状態に切換えることが
できる。
【0034】次に、歩行型作業機10の作用について図
1、図2、図5、図6に基づいて説明する。図5は本発
明に係る歩行型作業機の第1作用説明図であり、作業切
換レバー60を前方にスイング操作してグリップ/クラ
ッチレバー70に当てた状態を示す。この結果、ワイヤ
ケーブル66が引かれるので、図1に示す作業切換クラ
ッチ42はオンとなる。エンジン14から刈刃16へ駆
動力を伝達して、芝草を刈ることができる。
【0035】さらに、この状態から作業切換レバー60
と共にグリップ/クラッチレバー70を前方へ手80で
押出す。このとき、グリップ/クラッチレバー70に作
用する水平方向の押出し力はF1であり、グリップ/ク
ラッチレバー70に作用する鉛直方向の力はF2であ
る。力F2は、作業者の手80の重さである。よって、
グリップ/クラッチレバー70には、押出し力F1及び
力F2の合力Fが矢印のように作用する。
【0036】この合力Fは、グリップ/クラッチレバー
70が支持軸54を中心に前方にスイングする方向と、
ほぼ一致する。従って、押出し力F1でグリップ/クラ
ッチレバー70を押すことにより、グリップ/クラッチ
レバー70を図反時計回りに効率良くスイングさせるこ
とができる。グリップ/クラッチレバー70のスイング
量に応じた分だけワイヤケーブル36が引かれる。すな
わち、押出し力F1に応じてワイヤケーブル36の引張
り量が変わる。同時に、作業切換レバー60も、グリッ
プ/クラッチレバー70と共に支持軸54を中心に図反
時計回りにスイングする。
【0037】図2に示す走行クラッチ30において、雌
テーパ面38と雄テーパ面39との間の面圧がワイヤケ
ーブル36の引張り力に応じて変わる。引張り力が小さ
いときには、走行クラッチ30は半クラッチ状態にな
る。この結果、歩行型作業機10(図1参照)は微速で
前方に発進する。
【0038】図6は本発明に係る歩行型作業機の第2作
用説明図である。走行クラッチ30が半クラッチ状態な
ので、歩行型作業機10は微速で発進する。従って、歩
行型作業機10を円滑に発進させることが可能になり、
芝草82を仕上り良く刈ることができる。さらに作業者
は、手80で作業切換レバー60及びグリップ/クラッ
チレバー70に前方への押出し力F1を掛け、水平方向
すなわち歩行型作業機10の前進方向に押出し操作する
ことができる。このため作業者は、自然な動作で歩行型
作業機10を操作して前進走行させつつ芝刈り作業をす
ることができる。
【0039】さらに、グリップ/クラッチレバー70を
前方へ押出す途中で走行クラッチ30を半クラッチ状態
にすることで、歩行型作業機10を発進させる際に、作
業者は自然な動作で、歩行型作業機10の発進に追従す
ることができる。このため、歩行型作業機10を簡単に
操作することができる。
【0040】一方、歩行型作業機10を方向転換や後退
させる場合には、作業切換レバー60及びグリップ/ク
ラッチレバー70を握った手80の押出し力F1を解除
する。このため、リターンスプリング69(図5参照)
の弾発力によって、作業切換レバー60及びグリップ/
クラッチレバー70が図1に示す中立位置に自動復帰す
る。この結果、走行クラッチ30はオフになり、後輪1
3はフリーになる。従って、作業者は作業切換レバー6
0及びグリップ/クラッチレバー70を握ったままで、
歩行型作業機10を自由に方向転換や後退させることが
できる。
【0041】このように、グリップ/クラッチレバー7
0を前方へ押出す押出し力F1に応じて、走行クラッチ
30の動力伝達能力を増加させることで、押出し力F1
に応じた動力を走行クラッチ30から後輪13へ伝える
ことができる。そして、人手による小さい押出し力F1
に、エンジン14から走行クラッチ30を介して伝える
大きい動力を加えて、走行させることができる。従っ
て、歩行型作業機10を動力補助作業機として用いるこ
とができる。さらには、グリップ/クラッチレバー70
を押すことにより、通常の手押し型作業機10の感覚で
歩行型作業機10を前進させることができるので、取扱
いが容易である。
【0042】次に、走行クラッチ30の特徴点につい
て、図2、図7〜図9に基づき説明する。図7(a)〜
(c)は本発明に係る走行クラッチの概念図であり、走
行クラッチ30のクラッチ特性の概念について説明した
ものである。
【0043】(b)に示すように走行クラッチ30は、
雌テーパ面38と雄テーパ面39との間の面圧の大きさ
によってオフ状態から半クラッチ状態に切換る油中式円
すいクラッチである。油中式円すいクラッチであるか
ら、雌テーパ面38と雄テーパ面39との間に油膜が介
在する。雌部材に雄部材を押し付ける押付力Wに応じ
て、雌テーパ面38と雄テーパ面39との間の面圧Pが
変わる。この結果、潤滑油の油膜の厚みtも変化する。
この関係を(a)の表で表した。
【0044】(a)において、面圧Pが小さいときには
油膜の厚みtは大きくなり、厚みtが大きくなれば、雌
テーパ面38と雄テーパ面39との間の摩擦係数μは、
当然のことながら小さくなる。面圧Pが中のときには油
膜の厚みtは中となり、厚みtが大きくなるにつれて、
雌テーパ面38と雄テーパ面39との間の摩擦係数μ
は、大きくなって中になる。面圧Pが大きいときには油
膜の厚みtは小さくなり、厚みtが小さくなれば、雌テ
ーパ面38と雄テーパ面39との間の摩擦係数μは、当
然のことながら大きくなる。
【0045】一方、油中式円すいクラッチで用いる潤滑
油の粘度をη(Pa・s)とし、雌テーパ面38に対す
る雄テーパ面39の回転差をN(1/s)とし、面圧を
P(Pa)としたときに、「η×N/P」でクラッチの
特性を評価する手法がある。なお、Paはパスカル、s
は秒である。また、「雌テーパ面38に対する雄テーパ
面39の回転差N」とは、半クラッチ状態において、雌
テーパ面38に対する雄テーパ面39の回転数(1秒当
りの回転数)の差のことであって、滑り速度とも言う。
「η×N/P」は、二面間の潤滑状態を表すのに使われ
る無次元量である。
【0046】「η×N」が一定であれば、(a)の第2
行では面圧Pが「小」であるから、「η×N/P」は
「大」となり、第3行では面圧Pが「中」であるから、
「η×N/P」は「中」となり、第4行では面圧Pが
「大」であるから、「η×N/P」は「小」となる。
【0047】(a)から、「η×N/P」が大のときに
摩擦係数μは小となり、「η×N/P」が中のときに摩
擦係数μは中となり、「η×N/P」が小のときに摩擦
係数μは大となることが判り、これをグラフ化したもの
が(c)である。
【0048】(c)は、「η×N/P」を横軸にとり、
「η×N/P」に対応する摩擦係数μを縦軸にとったク
ラッチ特性曲線図であり、傾きが「負」の一次曲線にな
ることが予想できる。このようなクラッチ特性曲線図
は、潤滑の技術分野ではストライベック線図(Stri
beck線図)とも呼ばれている。
【0049】(c)のクラッチ特性曲線は、次の,
,のような特性を有する。 面圧Pが大きい領域では「η×N/P」の値が小さ
く、雌・雄テーパ面38,39間の油膜が薄くなるの
で、クラッチの摩擦係数μは大きい。この領域は境界潤
滑(boundary lubrication)状態にある。 面圧Pが減少するにつれて「η×N/P」の値が増大
し、雌・雄テーパ面38,39間の油膜が厚くなり、ク
ラッチの摩擦係数μも低下していく。この領域は混合潤
滑(mixed lubrication)状態にある。 更に面圧Pが減少していくと「η×N/P」の値が更
に増大し、雌・雄テーパ面38,39間の油膜が十分に
厚くなり、クラッチの摩擦係数μも小さくなる。この領
域は流体潤滑(hydrodynamic lubrication)状態にあ
る。
【0050】混合潤滑状態は、境界潤滑状態と流体潤滑
状態とが混在した状態である。流体潤滑状態では、二面
(雌・雄テーパ面)が完全に引き離された状態にあり、
常に油膜が確保される。
【0051】以上に説明したように、走行クラッチ30
は油中式円すいクラッチであるから、雌テーパ面38と
雄テーパ面39との間に油膜が介在し、面圧Pに応じて
油膜の厚みtが変わる。この結果、雌・雄テーパ面3
8,39間の潤滑状態は、面圧Pが大きいときの境界
潤滑状態の領域と、面圧Pが中のときの混合潤滑状態
の領域と、面圧Pが小さいときの流体潤滑状態の領域
とに変化する。
【0052】ところで、走行クラッチ30を長時間使用
すると、雌・雄テーパ面38,39同士が摩耗して馴染
むことにより、互いの接触面積は増大する。接触面積が
増せば、使用初期と同じ押付力Wを掛けた場合であって
も、面圧Pは減少する。この結果、油膜の厚みtは大き
くなり、厚みtが大きくなれば、雌・雄テーパ面38,
39間の摩擦係数μは、当然のことながら小さくなる。
特に、雌・雄テーパ面38,39間の潤滑状態が、境
界潤滑状態の領域から混合潤滑状態の領域や流体潤
滑状態の領域に変化すると、摩擦係数μは急変する。従
って、走行クラッチ30のクラッチ特性をより安定化す
ることが求められる。
【0053】これに対して本発明は、油膜の厚みtを常
に積極的に小さく維持することで、走行クラッチ30を
面圧Pの大きさにかかわらず、境界潤滑状態の領域だけ
で使うようにした。境界潤滑状態の領域だけで使うの
で、摩擦係数μは比較的大きい値で安定する。従って、
雌・雄テーパ面38,39間の使用初期における摩擦抵
抗を、長期にわたり維持することができるので、走行ク
ラッチ30のクラッチ特性を、より安定化することがで
きる。
【0054】走行クラッチ30を境界潤滑状態の領域だ
けで使うようにした具体的な構成としては、上記図4に
示すように、雌テーパ面38に螺旋状溝38a及び複数
の直線状溝38b・・・を形成したものである。螺旋状溝
38a及び直線状溝38b・・・の作用を、次の図8で説
明する。
【0055】図8(a),(b)は本発明に係る走行ク
ラッチの作用図であり、(a)は雌・雄テーパ面38,
39の断面を示し、(b)は(a)の雌テーパ面38を
b矢視線方向から見たものであって一部を拡大して示
す。走行クラッチ30を、半クラッチ状態で使用する油
中式円すいクラッチとしたので、雌テーパ面38と雄テ
ーパ面39との間には常に油膜が介在する。雌テーパ面
38に対する雄テーパ面39の回転差が生じるので、こ
の回転差を利用し、雌・雄テーパ面38,39間の油を
螺旋状溝38a及び直線状溝38b・・・で排出すること
により、油膜の厚みを小さくするようにした。
【0056】より具体的には、雌テーパ面38に螺旋状
溝38a及び直線状溝38b・・・を形成したので、雌・
雄テーパ面38,39間に介在した油を、矢印のように
螺旋状溝38a及び直線状溝38b・・・に流れ込ませる
ことができる。螺旋状溝38aに入った油は更に直線状
溝38b・・・に集まる。また、雌テーパ面38に対して
雄テーパ面39が相対的にスリップする半クラッチ状態
において、直線状溝38b・・・のエッジにより雌・雄テ
ーパ面38,39間に付着した油や摩耗粉を掻き落とす
ことができる。
【0057】雌テーパ面38が回転することで発生した
遠心力によって、直線状溝38b・・・内の油や摩耗粉を
外部に排出することができる。このようにして、雌・雄
テーパ面38,39間の油膜の厚みを小さくすることが
できる。さらには、雌テーパ面38に対する雄テーパ面
39の回転差を利用し、上記図2に示すケース24内の
潤滑油Juを、螺旋状溝38aから雌・雄テーパ面3
8,39間に再び速やかに供給することで、新たな油膜
を形成して安定したスリップ作用を図るとともに、雌・
雄テーパ面38,39の冷却を図ることができる。
【0058】しかも、雌テーパ面38に螺旋状溝38a
及び直線状溝38b・・・を形成するだけであるから、雌
・雄テーパ面38,39の加工精度を高めたり表面粗さ
を小さくする場合と比べて、加工費を低減することがで
きる。
【0059】図9は走行クラッチのクラッチ特性図であ
って、横軸を「η×N/P」とし、縦軸を「η×N/
P」に対応する円すいクラッチの摩擦係数μとして、ク
ラッチ特性曲線を求めたグラフである。但しη、N、
P、μについては次のように定義する。 η;油中式円すいクラッチで用いる潤滑油の粘度(Pa
・s) N;雌テーパ面に対する雄テーパ面の回転差(1/s) P;雌テーパ面と雄テーパ面との間の面圧(Pa) μ;油中式円すいクラッチの摩擦係数(雌テーパ面と雄
テーパ面との間の摩擦係数)
【0060】このように潤滑油の粘度η、回転差N及び
面圧Pの値から求まる「η×N/P」を横軸にとり、
「η×N/P」に対応する円すいクラッチの摩擦係数μ
を縦軸にとることで、クラッチ特性曲線を求めることが
できる。この「η×N/P」と摩擦係数μの関係を示す
特性図は、上述のようにストライベック線図とも呼ばれ
る。
【0061】ところで、この図に示すクラッチ特性曲線
は、次の条件で実験をしたデータに基づくクラッチ特性
曲線を、直線に近似させて表したものである。 実験条件; 雌・雄テーパの平均径(円すいクラッチの平均径);4
0(mm) 雌・雄テーパ面の長さ;7(mm) 雌・雄テーパ面のテーパ角;12(deg.) 雌・雄テーパ面の表面粗さ(中心線平均粗さ);0.1
〜1.0(μm) 雌テーパ面を有する雌部材の材質;アルミニウム青銅鋳
物 雄テーパ面を有する雄部材の材質;鉄系焼結金属 潤滑油の種類;エンジンオイル 潤滑油の粘度η;0.055(Pa・s) 雌テーパ面に対する雄テーパ面の回転差N;1.7〜
5.0(1/s) 雌テーパ面と雄テーパ面との間の面圧P;5〜70×1
6(Pa)
【0062】図中、★印の細い実線は、比較例の走行ク
ラッチにおける、初期のクラッチ特性曲線を示す。☆印
の細い破線は、比較例の走行クラッチにおける、馴染み
後のクラッチ特性曲線を示す。●印の太い実線は、実施
例の走行クラッチにおける、初期のクラッチ特性曲線を
示す。○印の太い破線は、実施例の走行クラッチにおけ
る、馴染み後のクラッチ特性曲線を示す。
【0063】比較例の走行クラッチは、上記図8に示す
雌テーパ面38に複数の直線状溝38b・・・のみを放射
状に形成した油中式円すいクラッチである。実施例の走
行クラッチは、上記図8に示す雌テーパ面38に螺旋状
溝38aを形成するとともに、この螺旋状溝38aに直
交する複数の直線状溝38b・・・を放射状に形成した油
中式円すいクラッチである。
【0064】比較例の走行クラッチは、使用初期におい
ては★印の細い実線で示すように、「η×N/P」の広
範囲にわたって摩擦係数μが安定したクラッチ特性を有
する。このときの雌・雄テーパ面38,39同士の実質
的な接触面積は、設計値の10%程度であった。使用初
期においては、実質的な接触面積が小さいので面圧が大
きくなり、この結果、「η×N/P」の値が小さく、雌
・雄テーパ面38,39間の油膜が薄くなるからであ
る。従って、雌・雄テーパ面38,39間が境界潤滑状
態になるので、摩擦係数μは大きい。
【0065】上記比較例の走行クラッチにおいて、雌・
雄テーパ面38,39同士が摩耗して馴染んだ後のクラ
ッチ特性は、☆印の細い破線で示すように、使用初期に
比べて摩擦係数μが大幅に低下する特性に変化した。こ
のときの雌・雄テーパ面38,39同士の実質的な接触
面積は、設計値のほぼ100%であった。馴染み後にお
いては、実質的な接触面積が増加するので面圧が小さく
なり、この結果、雌・雄テーパ面38,39間の油膜が
厚くなるからである。油膜が厚くなれば摩擦係数μは低
下する。これは、雌・雄テーパ面38,39間が境界潤
滑状態から混合潤滑状態に移行したことによるものと考
えられる。
【0066】一方、実施例の走行クラッチも、使用初期
においては●印の太い実線で示すように、「η×N/
P」の広範囲にわたって摩擦係数μが安定したクラッチ
特性を有する。このときの雌・雄テーパ面38,39同
士の実質的な接触面積は、設計値の10%程度であっ
た。使用初期においては、上記比較例の走行クラッチと
同様に、実質的な接触面積が小さいので面圧が大きくな
り、この結果、「η×N/P」の値が小さく、雌・雄テ
ーパ面38,39間の油膜が薄くなるからである。従っ
て、雌・雄テーパ面38,39間が境界潤滑状態になる
ので、摩擦係数μは大きい。
【0067】上記実施例の走行クラッチにおいて、雌・
雄テーパ面38,39同士が摩耗して馴染んだ後のクラ
ッチ特性は、○印の太い破線で示すように、使用初期に
比べて摩擦係数μがほとんど低下しない特性である。こ
のときの雌・雄テーパ面38,39同士の実質的な接触
面積は、設計値のほぼ100%であった。馴染み後であ
っても、油膜の厚みを常に積極的に小さく維持すること
で、走行クラッチを面圧の大きさにかかわらず、境界潤
滑状態の領域だけで使うようにしたからである。境界潤
滑状態の領域だけで使うので、実質的な接触面積の変化
の影響で面圧が小さくなっても、摩擦係数μは比較的大
きい値で安定する。
【0068】図10は本発明に係る走行クラッチの変形
例図(その1)であり、雄テーパ面39に螺旋状溝38
a及び複数の直線状溝38b・・・を所定ピッチで放射状
に配列したことを示す。他の構成・作用については上記
図1〜図8に示す構成・作用と同一であり、同一符号を
付し、その説明を省略する。
【0069】図11(a),(b)は本発明に係る走行
クラッチの変形例図(その2)であり、走行クラッチ3
0Aを、油中式摩擦クラッチの他の例として油中式円盤
クラッチとしたことを示す。すなわち、(a)に示すよ
うに走行クラッチ30Aは、ケース24に入れた潤滑油
の中で、駆動側摩擦面38Aと被動側摩擦面39Aとの
摩擦力によってクラッチ作用をなすとともに、半クラッ
チ状態でも使用可能な、油中式円盤クラッチである。駆
動側摩擦面38A並びに被動側摩擦面39Aは、クラッ
チオフ状態で若干の隙間を開けて対向し合う、平坦な円
盤である。具体的には走行クラッチ30Aは、駆動側摩
擦面38Aと被動側摩擦面39Aとの間の面圧の大きさ
によって、オフ状態から半クラッチ状態に切換るもので
ある。
【0070】(b)は、平坦な駆動側摩擦面38Aに螺
旋状溝38Aaを形成するとともに、この螺旋状溝38
aAに直交する複数の直線状溝38Ab・・・を所定ピッ
チで放射状に形成したことを示す。
【0071】このように走行クラッチ30Aは、上記図
2に示す雌テーパ面38を駆動側摩擦面38Aに変更す
るとともに、雄テーパ面39を被動側摩擦面39Aに変
更したことを特徴とする。他の構成・作用については上
記図1〜図12に示す構成・作用と同一であり、同一符
号を付し、その説明を省略する。
【0072】なお、上記発明の実施の形態では、本発明
に係る歩行型作業機10として芝刈機を例に説明した
が、その他の歩行型作業機に適用することも可能であ
る。例えば、歩行型草刈機、歩行型除雪機、動力機付き
の歩行型一輪・二輪・三輪・四輪運搬車にも適用でき
る。また、駆動源はエンジン14に限定されるものでは
なく、例えば電動モータであってもよい。さらにまた、
雌テーパ面38と雄テーパ面39とは、どちらから動力
を伝達するようにしてもよい。また、走行クラッチ3
0,30Aは油中式摩擦クラッチであればよい。また、
螺旋状溝38a,38Aaや直線状溝38b,38Ab
・・・のピッチ、大きさ、形状については任意である。
【0073】
【発明の効果】本発明は上記構成により次の効果を発揮
する。請求項1は、走行クラッチを、潤滑油の中で駆動
側摩擦面と被動側摩擦面との摩擦力によってクラッチ作
用をなす油中式摩擦クラッチとしたので、駆動側摩擦面
と被動側摩擦面との間に油膜が介在するので、この油膜
を巧みに利用することができる。グリップ/クラッチレ
バーの押出し力に応じて、駆動・被動側摩擦面間の面圧
を変えることができる。
【0074】さらに請求項1は、駆動側摩擦面と被動摩
擦面の少なくとも一方に、螺旋状溝及びこの螺旋状溝に
直交する複数の直線状溝を形成することで、駆動・被動
側摩擦面間の油を螺旋状溝及び直線状溝で排出すること
により、油膜の厚みを小さくするようにした。従って、
走行クラッチを面圧の大きさにかかわらず、境界潤滑状
態の領域だけで使うことができる。境界潤滑状態だけで
使うので、摩擦係数は比較的大きい値で安定する。ま
た、駆動側摩擦面と被動摩擦面の少なくとも一方に、螺
旋状溝及びこの螺旋状溝に直交する複数の直線状溝を形
成することにより、駆動・被動側摩擦面間の摩耗粉を速
やかに排出することができる。このため、クラッチ面で
ある駆動・被動側摩擦面を常に良好な状態に保つことが
できる。
【0075】従って、駆動・被動側摩擦面間の使用初期
における摩擦抵抗を、長期にわたり維持することができ
る。この結果、使用初期のクラッチ特性に対し、使用し
て馴染んだ後のクラッチ特性の変化を抑制して安定させ
ることができる。しかも、駆動側摩擦面と被動摩擦面の
少なくとも一方に、螺旋状溝及び複数の直線状溝を形成
するだけであるから、少ない加工費ですむ。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る歩行型作業機の左側面図
【図2】本発明に係る変速装置の断面図
【図3】図2の3−3線断面図
【図4】本発明に係る走行クラッチの構成図
【図5】本発明に係る歩行型作業機の第1作用説明図
【図6】本発明に係る歩行型作業機の第2作用説明図
【図7】本発明に係る走行クラッチの概念図
【図8】本発明に係る走行クラッチの作用図
【図9】走行クラッチのクラッチ特性図
【図10】本発明に係る走行クラッチの変形例図(その
1)
【図11】本発明に係る走行クラッチの変形例図(その
2)
【図12】従来の歩行型作業機の側面図
【符号の説明】
10…歩行型作業機、11…機体、13…走行輪(後
輪)、14…駆動源(エンジン)、16…作業機(芝刈
用刈刃)、30,30A…走行クラッチ(油中式摩擦ク
ラッチ)、38…雌テーパ面(駆動側摩擦面)、38a
…螺旋状溝、38b…直線状溝、38A…駆動側摩擦
面、39…雄テーパ面(被動側摩擦面)、39A…被動
側摩擦面、50L,50R…ハンドル、70…クラッチ
操作部材(グリップ/クラッチレバー)。
フロントページの続き (72)発明者 宮原 一嘉 埼玉県和光市中央1丁目4番1号 株式会 社本田技術研究所内 (72)発明者 大窪 晋 埼玉県和光市中央1丁目4番1号 株式会 社本田技術研究所内 Fターム(参考) 2B083 AA02 BA12 BA18 CA09 CA27 DA02 EA15 FA14 HA22 3J056 AA42 AA53 AA62 BA02 BB07 BE17 BE23 CA09 DA02 GA02 GA23

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 機体に走行輪、走行輪を駆動する駆動
    源、この駆動源と前記走行輪に介設した走行クラッチ、
    並びにこの走行クラッチを入り切りするクラッチ操作部
    材を備えた歩行型作業機において、 前記走行クラッチは、潤滑油の中で駆動側摩擦面と被動
    側摩擦面との摩擦力によってクラッチ作用をなす油中式
    摩擦クラッチであり、駆動側摩擦面と被動摩擦面の少な
    くとも一方に、螺旋状溝及びこの螺旋状溝に直交する複
    数の直線状溝を形成したことを特徴とする歩行型作業機
    の走行クラッチ。
JP2001155289A 2001-05-23 2001-05-24 歩行型作業機の走行クラッチ Pending JP2002349599A (ja)

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