JPH07158668A - 車両用ディスクブレーキにおける摩擦パッドの浮き上がり防止構造 - Google Patents

車両用ディスクブレーキにおける摩擦パッドの浮き上がり防止構造

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JPH07158668A
JPH07158668A JP5304275A JP30427593A JPH07158668A JP H07158668 A JPH07158668 A JP H07158668A JP 5304275 A JP5304275 A JP 5304275A JP 30427593 A JP30427593 A JP 30427593A JP H07158668 A JPH07158668 A JP H07158668A
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JP
Japan
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disc
piston
friction pad
rotor
disc rotor
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JP5304275A
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Yoshito Hanasato
吉人 花里
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Nissin Kogyo Co Ltd
Original Assignee
Nissin Kogyo Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】制動時の摩擦パッドがディスク外側へ浮き上が
るのを抑制して、初期制動の立ち遅れと制動力の損失を
防止する。 【構成】アジャストナットのめねじ孔に螺合するアジャ
ストボルトのおねじの巻き方向を、矢印A方向へ回転す
るディスクロータ4に向けて、これと反対の矢印B方向
へ回転しながら繰り出すように右ねじで形成し、液圧制
動時にディスクロータ方向へ進出するアジャストナット
とこれと一体のピストン9とに、ディスクロータ4の回
転と反対方向Bの回転力を付与する。ピストン9の底壁
9aの前面に、係合凹部9dを形成する。摩擦パッド1
0の裏板10bの背面に、係合突部10dを設ける。係
合凹部9dと係合突部10dとを、ディスク半径方向線
Rよりもディスク回入側で凹凸係合し、ピストン9に付
与された回転力が、係合凹部9dと係合突部10dを通
して摩擦パッド10へ伝わるようにする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、自動車や自動二輪車等
の車両に搭載されるディスクブレーキであって、詳しく
はこのディスクブレーキが、アジャストボルトとアジャ
ストナットを用いた制動間隙自動調整装置を備えてお
り、このアジャストボルトとアジャストナットにピスト
ンを組合わせて、制動時における摩擦パッドの浮き上が
りを防止するようにした構造に関する。
【0002】
【従来の技術】液圧式の作動機構に、機械式のパーキン
グブレーキ機構を併せ持つディスクブレーキでは、例え
ば実開昭63ー45230号公報に示される如く、キャ
リパボディのシリンダ孔に内挿されるピストンの内部
に、制動間隙自動調整装置(以下、アジャスタという)
のアジャストボルトとアジャストナットが設けられる。
【0003】このアジャスタは、シリンダ孔に内挿され
るピストンの内部ディスク軸方向に、アジャストナット
を回転を規制して取付け、このアジャストナットに、ア
ジャストボルトの先端を多条ねじ螺合しており、摩擦パ
ッドのライニングが摩耗して、ピストンの前部底壁とデ
ィスクロータの側面との間に設定された制動間隙が、所
定量以上に拡がった際に、ディスクロータ方向へ繰り出
したピストンとアジャストナットの後退位置を規制する
ことにより、上述の制動間隙が一定に保たれるようにな
っている。
【0004】また、ピストンの底壁前面には、ディスク
ロータの回転中心とピストン中心とを通るディスク半径
方向線上に、両端がピストンの外周面に開口する嵌合溝
を形成し、摩擦パッドの裏板背面には、上述の嵌合溝に
ピストン中心よりも上部位置で嵌合する突部を設けて、
これら嵌合溝と突部とでピストンの回り止め機構を構成
し、該回り止め機構の外方を覆うキャリパボディのブリ
ッジ部に開口を形成しており、回り止め機構にてピスト
ンの回り止めを行なうと共に、キャリパボディを、ディ
スク半径方向外側から車体側のキャリパブラケットへ組
付けする際に、ピストンの嵌合溝をキャリパブラケット
に吊持された摩擦パッドの突部へ容易に嵌合できるよう
にし、またこの嵌合状態をブリッジ部の開口を通して容
易に視認できるようにしている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述の
ディスクブレーキに用いられる摩擦パッドは、裏板の両
側部に突出する耳片を、キャリパブラケットの係止段部
に係止して保持されていて、制動作用が行なわれると、
摩擦パッドがディスクロータからの引摺りトルクによっ
て、ディスク回出側の耳片を支点にディスク外方へ浮き
上がるため、初期制動の立ち遅れと制動力の損失を招く
という不具合を生じていた。
【0006】そこで本発明は、摩擦パッドの浮き上がり
を抑制して、上述の不具合を解消することを目的として
いる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上述の目的に従い、本
発明は、ディスクロータの側部に配設されるキャリパボ
ディの作用部に、シリンダ孔をディスクロータの側面へ
開口して設け、該シリンダ孔の開口部側に、有底筒状の
ピストンを開口面から底壁を突出させて内挿すると共
に、シリンダ孔の底部側に液圧室を画成し、前記ピスト
ンの底壁と前記ディスクロータの側面との間に配設され
る摩擦パッドの裏板両側部に耳片を突設し、該耳片をキ
ャリパボディやキャリパブラケットのパッド係止段部に
係止して、摩擦パッドをディスク軸方向へ移動可能に吊
持し、前記ピストンの内部ディスク軸方向にアジャスト
ナットを係着し、該アジャストナットにアジャストボル
トを螺合して、前記摩擦パッドのライニングとディスク
ロータの側面との制動間隙が所定量以上に拡がった際
に、ディスクロータ方向へ繰り出したピストンとアジャ
ストナットの後退限を規制して、前記制動間隙を一定に
保持するようにした車両用ディスクブレーキにおいて、
前記アジャストナットと螺合するアジャストボルトのお
ねじの巻き方向を、前記ディスクロータに向けてディス
クロータの回転と反対方向へ回転するように設定して、
液圧制動時にディスクロータへ向けて進出する前記ピス
トンに、ディスクロータの回転と反対方向の回転力を付
与し、前記ディスクロータの回転中心と前記ピストンの
中心とを結ぶディスク半径方向線で分割される前記ピス
トンの底壁のディスク回入側と、同じくこのディスク半
径方向線で分割される前記摩擦パッドの裏板のディスク
回入側とのいずれか一方に係合突部を設け、他方にこの
係合突部と係合して、前記ピストンの回転力を摩擦パッ
ドへ伝達する係合凹部を設けたことを特徴としている。
【0008】
【作用】このような構成から制動作用が行なわれ、液圧
室に昇圧した作動液が供給されると、ピストンとアジャ
ストナットが、ディスクロータ方向へ進出して行き、摩
擦パッドのライニングをディスクロータの側面へ押圧す
る。この時、ピストンとアジャストナットには、アジャ
ストボルトのおねじの巻き方向によって、ディスクロー
タの回転と反対方向の回転力が付与される。
【0009】一方、ディスクロータの側面にライニング
を摺接させた摩擦パッドには、ディスクロータからディ
スク回出方向の引摺りトルクが作用し、ディスク回出側
の耳片を支点に、摩擦パッドをディスク外方へ浮き上が
らせようとするが、アジャストボルトのおねじの巻き方
向によってピストンに付与された回転力が、係合凹部と
係合突部の凹凸係合によって、摩擦パッドへ浮き上がり
に対する抗力として作用する。
【0010】
【実施例】以下、発明の第1実施例を図1乃至図4に基
づいて説明する。
【0011】ディスクブレーキ1は、フットブレーキに
用いられる液圧式作動機構2と、パーキングブレーキに
用いられる機械式作動機構3とを併せ持つ自動車の後輪
用ブレーキで、車両の前進走行時に矢印A方向へ回転す
るディスクロータ4の一側部には、キャリパブラケット
5が車体に固設され、該キャリパブラケット5からディ
スクロータ4の外側に延設されたキャリパ支持腕5a,
5aに、キャリパボディ6が、スライドピン7,7を介
して支持されている。
【0012】キャリパ支持腕5a,5aの内部には、ピ
ン孔5b,5bがキャリパボディ6の作用部6b側に開
口して設けられ、またキャリパ支持腕5a,5aの相対
向面には、パッド係止段部5c,5cが、ディスクロー
タ4の両側に分断して設けられている。
【0013】キャリパボディ6は、ディスクロータ4の
一側部に配設される作用部6aと、ディスクロータ4の
他側部に配設される反作用部6bとを、ディスクロータ
4の外周を跨いで配設されるブリッジ部6cで連結した
構成となっている。作用部6aには、シリンダ孔8の大
径孔8aに、有底筒状のピストン9が内挿され、また反
作用部6bには、反力爪6dが設けられており、ピスト
ン9と反力爪6dの間には、一対の摩擦パッド10,1
0が、ディスクロータ4を挟んで対向配置されている。
【0014】摩擦パッド10は、ディスクロータ4の側
面に摺接するライニング10aと、キャリパ支持腕5a
に保持される金属製の裏板10bとからなっている。裏
板10bの両側部には、耳片10c,10cが突設され
ており、各摩擦パッド10は、この耳片10c,10c
をキャリパ支持腕5aのパッド係止段部5c,5cに係
止して、ディスク軸方向へ移動可能に吊持されると共
に、ブリッジ部6cの内壁と両耳片10c,10cの外
面との間に縮設されたパッドスプリング11にて、常時
ディスク半径方向内方へ付勢されている。
【0015】作用部6aのディスク回入側と回出側に
は、車体取付け腕6e,6eが突設され、各車体取付け
腕6eに、それぞれ前述のスライドピン7が取付けボル
ト12にて固着されており、キャリパボディ6は、これ
らスライドピン7,7を、キャリパ支持腕5a,5aの
ピン孔5b,5bに差し込んで、ディスク軸方向へ移動
可能に支持されている。
【0016】シリンダ孔8は、ディスクロータ4側に開
口する上述の大径孔8aと、これに連続する小径孔8b
とからなっており、小径孔8bの後部には、連通孔13
と軸受孔14とが連続形成されている。ピストン9は、
底壁9aの前部を大径孔8aの開口面から外側へ突出さ
せながら、大径孔8aとの間に角シール15を介して液
密且つ移動可能に内挿され、このピストン9と小径孔8
bの底壁との間に液圧室16が画成される。
【0017】また、小径孔8bの外周壁には、ユニオン
孔17とブリーダ孔(図示せず)が、液圧室16に連通
して設けられており、前述の液圧式作動機構2は、ピス
トン9と液圧室16とユニオン孔17とで構成される。
ユニオン孔17には、別途の液圧マスタシリンダとブレ
ーキホース(いずれも図示せず)にてつながれ、液圧マ
スタシリンダで昇圧した作動液を、ユニオン孔17から
液圧室16へ導入し、また作動液中の混入エアを、ブリ
ーダ孔に螺着されたブリーダスクリュ18を通して外部
へ排出するようになっている。小径孔8bと軸受孔14
とをつなぐ連通孔13は、大径孔8aと小径孔8bと共
にシリンダ軸方向に形成され、また小径孔8bよりも更
に小径に形成されている。軸受孔14は、シリンダ軸と
直交し、且つ一端が作用部6aの一側壁に開口する有底
孔となっている。
【0018】一方、機械式作動機構3は、ピストン9の
内部で螺合するアジャストナット19及びアジャストボ
ルト20に、シリンダ孔8の大径孔8aと小径孔8bと
に跨がって配設されるスリーブピストン21を組合わせ
たアジャスタ22と、軸受孔14に回転可能に装着され
るカムシャフト23と、スリーブピストン21及びカム
シャフト23との間に配設されるプッシュロッド24と
を持っている。
【0019】上記アジャスタ22は、摩擦パッド10の
ライニング10aが所定量を越えて摩耗した場合に、こ
の摩耗量を補償して、ディスクロータ4とライニング1
0aとの間に、所定の制動間隙を自動的に再設定すると
同時に、機械式作動機構3を常時連結状態に保つように
している。
【0020】アジャストナット19は、ピストン9の内
部で、先端のフランジ19aを底壁9aに係合して回転
を規制され、またフランジ19aと、ピストン9側のリ
テーナ25との間に縮設されたコイルスプリング26の
弾発力にて、ピストン9の底壁9a方向に付勢されてい
る。
【0021】アジャストボルト20は、先端のおねじ2
0aを、アジャストナット19のめねじ孔19bに多条
ねじ螺合してシリンダ軸方向に配設される。液圧室16
に配設される突出軸部20bには大径フランジ20cが
周設され、大径フランジ20cの外周にはテーパ面20
dが設けられている。本実施例のアジャストボルト20
は、おねじ20aの巻き方向が、矢印A方向へ回転する
ディスクロータ4へ向けて、これと反対の矢印B方向へ
回転しながら繰り出すように、右ねじで形成されてい
る。また、大径フランジ20cと突出軸部20bとの段
部には軸受27が環装され、この軸受27と大径孔8a
側のスプリングリテーナ28との間に、テーパ状のコイ
ルスプリング29を縮設して、アジャストボルト20を
常時スリーブピストン21方向へ付勢している。
【0022】スリーブピストン21は、小径孔8bの底
壁にピン30にて回り止めされる大径部21aと、連通
孔13に嵌挿される小径部21bとからなっている。ま
たスリーブピストン21の内部には、大径孔8a側に開
口するテーパ孔21cと、軸受孔14側に開口する球面
状凹部21dと、これらをつなぐ嵌合孔21e及び通気
孔21fとが連設されている。嵌合孔21eには、コイ
ルスプリング29に付勢されるアジャストボルト20の
突出軸部20bの後端が内挿され、テーパ孔21cにテ
ーパ面20dがクラッチ係合されると共に、球面状凹部
21dにプッシュロッド24の一端が収容される。
【0023】小径部21bにはシール材31が、アジャ
ストボルト20の突出軸部20bの後端にはシール材3
2がそれぞれ嵌着されており、連通孔13と小径部21
bとの間がシール材31にて液密にシールされ、また嵌
合孔21eと突出軸部20bの後端との間がシール材3
2にて液密にシールされている。
【0024】前記カムシャフト23は、軸受孔14の内
部にベアリング33を介して回動可能に支承され、連通
孔13側に穿設されたカム溝23aにプッシュロッド2
4の他端が収容される。カムシャフト23の一部は、軸
受孔14から外部に突出配置され、この突出部分に、カ
ムレバー34の基端をナット35にて固着されている。
ナット35の外周には、コイル状のリターンスプリング
36が巻装されていて、カムレバー34とカムシャフト
23とを常時非作動方向へ付勢している。カムレバー3
4の外端には、パーキングブレーキ用のブレーキケーブ
ル37が連結されていて、このブレーキケーブル37が
牽引されると、カムレバー34とカムシャフト23と
が、作動方向へ一体に回動するようになっている。
【0025】前記ピストン9には、底壁9aの前面に一
対の係合凹部9b,9bが形成され、摩擦パッド10に
は、円柱状の係合突部10dが、裏板10bの背面ディ
スク回入側に設けられている。各係合凹部9bは、底壁
9aの内部に第1平面9cと第2平面9dとをL字状に
連ね、両平面9c,9dの外端に挟まれる底壁9aの外
周側を開口した形状となっており、他方の係合凹部9b
とは、対角関係に形成される。
【0026】キャリパボディ6は、前述の如く、摩擦パ
ッド10,10をキャリパ支持腕5a,5aに吊持した
車体側のキャリパブラケット5に、ディスク半径方向外
側から組付けされ、シリンダ孔8の大径孔8aに収容さ
れるピストン9は、底壁9aの前面を摩擦パッド10の
裏板10bの背面に接触させながら、一方の係合凹部9
bが、ディスクロータ4の回転中心とピストン9の中心
Oとを結ぶディスク半径方向線Rからディスク回入側の
内寄りに、また他方の係合凹部9bが、同じくディスク
半径方向線Rからディスク回出側の外寄りに、それぞれ
配設される。
【0027】キャリパボディ6がキャリパブラケット5
に組付けられた状態では、ディスク回入側の係合凹部9
bで、ディスク内方へ向かう短辺側の第1平面9cが、
裏板10bから突出する係合突部10dのディスク外側
面と当接係合し、双方の係合凹部9b,9bは、短辺側
の第1平面9c,9cがディスク半径方向線Rと直交方
向に、また長辺側の第2平面9d,9dがディスク半径
方向線Rと平行に、それぞれ配設される。
【0028】本実施例は以上のように構成されており、
液圧式作動機構2では、運転者がブレーキペダルを踏み
操作すると、液圧マスタリシンダからユニオン孔17を
通して液圧室16へ導入された圧液が、ピストン9をデ
ィスクロータ4方向に押動して、一方の摩擦パッド10
をディスクロータ4の一側面に押圧し、更にこの反力で
作用部方向に移動するキャリパボディ6にて、反作用部
6bの反力爪6dが、他方の摩擦パッド10をディスク
ロータ4の他側面に押圧し、両摩擦パッド10,10の
ラニイング10a,10aを、ディスクロータ4の両側
面に摺接させて制動作用が行なわれる。
【0029】液圧室16へ供給された作動液は、アジャ
ストボルト20の突出軸部20bの後端に嵌着されたシ
ール材32に作用し、アジャストボルト20をスリーブ
ピストン21方向へ付勢して、テーパ孔21cとテーパ
面20dとのクラッチ係合状態を保持し、ピストン9と
アジャストナット19のみを、ディスクロータ方向へ押
動する。ディスクロータ方向へ付勢されるピストン9と
アジャストナット19は、アジャストナット19のめね
じ孔19bが、アジャストボルト20に右ねじで形成さ
れたおねじ20aと螺合するため、おねじ20aの案内
によって、ディスクロータ4の回転方向Aと反対の矢印
Bの回転力を付与されながら繰り出されて行き、摩擦パ
ッド10を上述の如くディスクロータ4へ押圧する。
【0030】摩擦パッド10では、矢印A方向へ回転す
るディスクロータ4にライニング10aを摺接するた
め、摩擦パッド10のディスク回入側が、パッドスプリ
ング11の付勢力に抗してディスク回出側の耳片10c
を支点に外側へ浮き上がろうとするが、アジャストナッ
ト19に付与された矢印B方向の回転力が、係合凹部9
bと係合突部10dの凹凸係合を通して、摩擦パッド1
0に抗力として作用し、該摩擦パッド10の浮き上がり
を抑制する。
【0031】一方機械式作動機構3は、運転者のパーキ
ングブレーキ操作によってブレーキケーブル37が牽引
されると、カムレバー34とカムシャフト23とが、リ
ターンスプリング36の付勢力に抗して作動方向へ一体
に回動し(図1において、カムシャフト23が反時計方
向へ回動)、プッシュロッド24をディスク軸方向に押
動して、カムシャフト23の回転力がプッシュロッド2
4へ推力として変換される。プッシュロッド24に伝達
された推力は、スリーブピストン21,アジャストボル
ト20,アジャストナット19及びピストン9とを、デ
ィスクロータ4方向へ一体に押動し、前記液圧作動と同
様に両摩擦パッド10,10をディスクロータ4に圧接
して制動作用が行なわれる。
【0032】また、制動の繰返しによって摩擦パッド1
0のライニング10aが摩耗し、ディスクロータ4の側
面との制動間隙が所定量以上に広がった場合には、液圧
式作動機構2による制動時に、ピストン9とアジャスト
ナット19とが通常よりも外側へ繰り出されて行き、ア
ジャストナット19と螺合するアジャストボルト20を
ディスクロータ4方向へ一体に移動させる。これによ
り、アジャストボルト20のテーパ面20dと、スリー
ブピストン21のテーパ孔21cとのクラッチ係合が一
旦解除され、アジャストボルト20は、コイルスプリン
グ29の付勢力によって、テーパ面20dがスリーブピ
ストン21のテーパ孔21cと再び係合するまでスリー
ブピストン21方向へ繰り出され、ディスクロータ4と
の制動間隙が一定に保たれると同時に、ピストン9とア
ジャストナット19の移動量を埋めて、パーキングブレ
ーキ用の機械式作動機構3の連結状態が確保される。
【0033】本実施例は以上のように、ピストン9に係
合凹部9bを形成し、摩擦パッド10に係合突部10d
を形成して、これらを凹凸係合し、アジャストボルト2
0のおねじ20aを、ディスクロータ4の回転方向Aと
は逆の右ねじに設定して、制動時にディスクロータ4方
向へ繰り出されるピストン9とアジャストナット19と
に、ディスクロータ4の回転方向Aとは逆の矢印B方向
の回転力を付与したことにより、摩擦パッド10が、デ
ィスク回出側の耳片10cを支点に外側へ浮き上がろう
とした場合に、アジャストナット20に付与された矢印
B方向の回転力が、ピストン9の係合凹部9bから摩擦
パッド10の係合突部10dに、浮き上がりに対する抗
力として作用し、摩擦パッド10の浮き上がりを抑制す
るので、これを起因とする初期制動の立ち遅れと制動力
の損失という不具合を有効に解消することができる。
【0034】図5及び図6は、本発明の第2実施例を示
し、ピストン9の底壁9a前面には円柱状の係合突部9
eが設けられ、摩擦パッド10の裏板10b背面には、
係合凹部10eが、裏板10bの外側に開口する縦長方
形に設けられており、その他は第1実施例と同様の構成
となっている。
【0035】係合突部9eと係合凹部10eとは、ピス
トン9と摩擦パッド10のディスク半径方向線Rからデ
ィスク回入側に組合わせされ、ピストン9の係合突部9
eは、キャリパボディ6を車体側のキャリパブラケット
5へ組付けする際に、係合突部10dの外側から差し込
まれて行き、該ボディ6をキャリパブラケット5に組付
けした状態では、係合突部9eのディスク内側面が係合
凹部10eの底面10fと当接係合する。
【0036】本実施例では、アジャストボルト20のお
ねじ20aの巻き方向によって付与された矢印B方向の
回転力が、ピストン9の係合突部9eから摩擦パッド1
0の係合凹部10eへ伝達され、矢印A方向の引摺りト
ルクでディスク外方へ浮き上がろうとする摩擦パッド1
0を抑制する。
【0037】尚、本発明の係合凹部は、係合突部との係
合面を持つものであればよく、係合凹部の全体形状を、
特に上述の実施例のみに限定するものではない。
【0038】
【発明の効果】本発明は、アジャストナットと螺合する
アジャストボルトのおねじの巻き方向を、ディスクロー
タに向けてディスクロータの回転と反対方向へ回転する
ように設定して、液圧制動時にディスクロータ方向へ進
出するピストンに、ディスクロータの回転と反対方向の
回転力を付与し、ディスクロータの回転中心とピストン
の中心とを結ぶディスク半径方向線のディスク回入側
で、ピストンと摩擦パッド裏板の係合突部と係合凹部と
を凹凸係合して、前記ピストンの回転力が摩擦パッドへ
伝わるようにしたことにより、制動時の摩擦パッドが、
ディスクロータの引摺りトルクによって外側へ浮き上が
ろうとするのを抑制するので、ディスクブレーキに設定
された制動力を、制動初期から充分に発揮することがで
きるようになる。
【0039】また本発明は、アジャストボルトのおねじ
の巻き方向の設定と、ピストンと摩擦パッドを凹凸係合
させるだけの単純な構成で済むから、加工性及び経済性
にも優れている。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例を示すディスクブレーキの
図3におけるI−I断面図
【図2】本発明の第1実施例を示すディスクブレーキの
一部断面平面図
【図3】本発明の第1実施例を示すディスクブレーキの
図2におけるIII −III 断面図
【図4】本発明の第1実施例を示すピストンと摩擦パッ
ドの分解斜視図
【図5】本発明の第2実施例を示すディスクブレーキの
断面側面図
【図6】本発明の第2実施例を示すピストンと摩擦パッ
ドの分解斜視図
【符号の説明】
1…ディスクブレーキ 2…液圧式作動機構 3…機械式作動機構 4…ディスクロータ 5…キャリパブラケット 5a…キャリパ支持腕 6…キャリパボディ 6a…キャリパボディ6の作用部 6b…キャリパボディ6の反作用部 6c…キャリパボディ6のブリッジ部 6e…キャリパボディ6の作用部6aに突設された車体
取付け腕 8…シリンダ孔 8a…シリンダ孔8の大径孔 8b…シリンダ孔8の小径孔 9…有底筒状のピストン 9a…ピストン9の底壁 9b…ピストン9の底壁9a前面に形成された係合凹部 9c…係合凹部9bの第1平面 9d…係合凹部9bの第2平面 9e…ピストン9の底壁9a前面に形成された係合突部 10…摩擦パッド 10a…摩擦パッド10のライニング 10b…摩擦パッド10の裏板 10c…裏板10bの耳片 10d…摩擦パッド10の裏板10a背面に形成された
係合突部 10e…摩擦パッド10の裏板10a背面に形成された
係合凹部 10f…係合凹部10eの底面 11…パッドスプリング 13…連通孔 14…軸受孔 15…角シール 16…液圧室 19…アジャストナット 19b…アジャストナット19のめねじ孔 20…アジャストボルト 20a…アジャストボルト20のおねじ 20b…アジャストボルト20の突出軸部 20c…アジャストボルト20の大径フランジ 20d…アジャストボルト20の外周テーパ面 21…スリーブピストン 21a…スリーブピストン21の大径部 21b…スリーブピストン21の小径部 21c…スリーブピストン21のテーパ孔 21d…スリーブピストン21の球面状凹部 21e…スリーブピストン21の嵌合孔 21f…スリーブピストン21の通気孔 22…アジャスタ 23…カムシャフト 23a…カム溝 24…プッシュロッド 31,32…シール材 34…カムレバー 35…カムレバー34を固定するナット 36…リターンスプリング 37…ブレーキケーブル A…ディスクロータ4の回転方向 B…アジャストボルト20のおねじ20aの巻き方向に
よって付与されたピストン9とアジャストナット19の
回転方向 R…ディスクロータ4の回転中心とピストン9の中心と
を結ぶディスク半径方向線

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ディスクロータの側部に配設されるキャリ
    パボディの作用部に、シリンダ孔をディスクロータの側
    面へ開口して設け、該シリンダ孔の開口部側に、有底筒
    状のピストンを開口面から底壁を突出させて内挿すると
    共に、シリンダ孔の底部側に液圧室を画成し、前記ピス
    トンの底壁と前記ディスクロータの側面との間に配設さ
    れる摩擦パッドの裏板両側部に耳片を突設し、該耳片を
    キャリパボディやキャリパブラケットのパッド係止段部
    に係止して、摩擦パッドをディスク軸方向へ移動可能に
    吊持し、前記ピストンの内部ディスク軸方向にアジャス
    トナットを係着し、該アジャストナットにアジャストボ
    ルトを螺合して、前記摩擦パッドのライニングとディス
    クロータの側面との制動間隙が所定量以上に拡がった際
    に、ディスクロータ方向へ繰り出したピストンとアジャ
    ストナットの後退限を規制して、前記制動間隙を一定に
    保持するようにした車両用ディスクブレーキにおいて、
    前記アジャストナットと螺合するアジャストボルトのお
    ねじの巻き方向を、前記ディスクロータに向けてディス
    クロータの回転と反対方向へ回転するように設定して、
    液圧制動時にディスクロータへ向けて進出する前記ピス
    トンに、ディスクロータの回転と反対方向の回転力を付
    与し、前記ディスクロータの回転中心と前記ピストンの
    中心とを結ぶディスク半径方向線で分割される前記ピス
    トンの底壁のディスク回入側と、同じくこのディスク半
    径方向線で分割される前記摩擦パッドの裏板のディスク
    回入側とのいずれか一方に係合突部を設け、他方にこの
    係合突部と係合して、前記ピストンの回転力を摩擦パッ
    ドへ伝達する係合凹部を設けたことを特徴とする車両用
    ディスクブレーキにおける摩擦パッドの浮き上がり防止
    構造。
JP5304275A 1993-12-03 1993-12-03 車両用ディスクブレーキにおける摩擦パッドの浮き上がり防止構造 Pending JPH07158668A (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006258193A (ja) * 2005-03-17 2006-09-28 Toyota Motor Corp 車輌の摩擦制動装置
JP2013155761A (ja) * 2012-01-26 2013-08-15 Toyota Motor Corp ディスクブレーキ装置
DE102022212781A1 (de) 2022-11-29 2024-05-29 Hl Mando Corporation Scheibenbremssystem

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