JP2010106903A - プーリユニット - Google Patents

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真昭 福田
Satoshi Utsunomiya
聡 宇都宮
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Abstract

【課題】プーリとプーリハブを相対的に回転自在に支持する軸受の耐久性の低下を抑制できるプーリユニットを提供する。
【解決手段】プーリ1に組込まれて軸受4により相対回転自在に支持されたプーリハブ3の外径面に設けたフランジ7と止め輪8間に、プーリ1に回り止めされ、止め輪8によって軸方向外方への移動が阻止される固定カムディスク9と、プーリハブ3に対して回転可能に、かつ、軸方向に移動可能な可動カムディスク10とを組込み、両カムディスク9の対向面間にトルクカム14を設ける。可動カムディスク10とフランジ7間に、多板摩擦クラッチ20と、その多板摩擦クラッチ20を可動カムディスク10に向けて付勢する弾性部材30を組込んで、弾性部材30の押圧力およびトルクカム14の作動によって可動カムディスク10に負荷される軸力の反力をフランジ7およびワッシャ11で受けて軸受4に上記押圧力や反力が負荷されないようにする。
【選択図】図1

Description

この発明は、主として、エンジンを駆動源とするオルタネータ等のエンジン補機の回転軸上に取付けて使用するプーリユニットに関する。
一般に、エンジンのクランクシャフトの回転をベルト伝動装置によってエンジン補機の回転軸に伝えるようにした補機駆動装置においては、エンジンを急減速した場合、エンジン補機の回転軸に取付けられたプーリも急減速しようとする。
このとき、エンジン補機がオルタネータの場合、そのオルタネータの回転軸は慣性力が大きいため、その回転軸に取付けられたプーリは一定の速度で回り続けようとする。その結果、クランクシャフト上のプーリとオルタネータの回転軸上のプーリとの間で大きな回転速度差が生じ、ベルトの張力が増大して破損し易くなる。
また、クランクシャフトは、エンジンの間歇的な気筒内燃焼や往復動するピストンの慣性力の影響を受けて1回転中に角速度が変動しており、その角速度の変動に起因してクランクシャフト上のプーリとベルトとの間で滑りが生じ、その滑りによってベルトが摩耗し、耐久性が低下することになる。
そのような不都合を解消するため、特許文献1に記載された動力伝達装置においては、プーリとロータ軸の対向面間にプーリに対して回り止めされ、軸方向に移動可能な第1環状レースと、ロータ軸に対して回転自在に支持された第2環状レースとを組込み、その第1環状レースをコイルばねの押圧により第2環状レースに向けて付勢し、第2環状レースの背面側に上記コイルばねの押圧により第2環状レースとロータ軸とをクラッチ接続する摩擦クラッチを設け、上記プーリに回転速度変動が生じた際に、第1環状レースと第2環状レースの対向面に形成した円弧状斜面のカム作用により第1環状レースを第2環状レースから離反する方向に移動させ、その第1環状レースの軸方向への移動とコイルばねの圧縮とによって上記回転速度変動を吸収するようにしている。
特開2006−38183号公報
ところで、特許文献1に記載された動力伝達装置においては、プーリとロータ軸とを相対的に回転自在に支持する転がり軸受により第2環状レースと摩擦クラッチとを軸方向に位置決めする構成であり、その転がり軸受によってコイルばねの押圧力を受けると共に、円弧状斜面のカム作用によって第1環状レースに負荷される軸方向力の反力を受けるようにしているため、転がり軸受の耐久性を低下させるという不都合がある。
この発明の課題は、プーリとプーリハブを相対的に回転自在に支持する軸受の耐久性の低下を抑制することである。
上記の課題を解決するために、この発明においては、プーリとその内側に組込まれたプーリハブを、その両部材の一方の端部間に組込まれた軸受によって相対的に回転自在に支持し、前記プーリハブの外径面に2つの突出部を軸方向に間隔をおいて設け、その2つの突出部間に、前記プーリに回り止めされ、一方の突出部によって軸方向外方への移動が阻止される固定カムディスクと、プーリハブに対して回転可能に、かつ、軸方向に移動可能に支持された可動カムディスクとを組込み、その固定カムディスクと可動カムディスクの対向面間に、両カムディスクの一方向への相対回転により可動カムディスクを固定カムディスクから離反する方向に移動させ、他方向への相対回転時に前記両カムディスクを回転方向に係合させるトルクカムを設け、前記可動カムディスクと他方の突出部間に、前記可動カムディスクとプーリハブとを結合する多板摩擦クラッチと、前記可動カムディスクが固定カムディスクから離反する移動時にその多板摩擦クラッチからの押圧により弾性変形し、その復元弾性により多板摩擦クラッチを結合状態とする弾性部材を組込んだ構成を採用したのである。
上記の構成からなるプーリユニットにおいて、プーリの回転停止状態では、多板摩擦クラッチは滑りが生じる結合解除状態にある。
上記の状態からプーリに正回転方向の回転トルクが入力されると、固定カムディスクと可動カムディスクが一方向に相対回転する。その相対回転によりトルクカムが作用し、可動カムディスクが固定カムディスクから離反する方向に移動する。また、多板摩擦クラッチも可動カムディスクと共に移動して弾性部材を弾性変形させる。その弾性部材の弾性変形によって多板摩擦クラッチは可動カムディスクとプーリハブを結合する結合状態となる。
このため、プーリの回転は、固定カムディスクからトルクカムを介して可動カムディスクに伝達されると共に、その可動カムディスクから摩擦プレートを介してプーリハブに伝達されて、プーリハブがプーリと同方向に回転する。
プーリからプーリハブへの回転伝達状態において、プーリに回転変動が生じると、固定カムディスクと可動カムディスクが相対回転し、トルクカムが作用して可動カムディスクが軸方向に移動し、多板摩擦クラッチからの押圧により弾性部材が弾性変形する。その弾性部材の弾性変形によってプーリの回転変動が吸収され、プーリハブにその回転変動が伝達されるのが防止されると共に、多板摩擦クラッチは結合状態に維持される。
また、プーリが停止すると、慣性力によるプーリハブの回転によりトルクカムは可動カムディスクの押圧を解除する状態に戻り、弾性部材は伸張して押圧力が弱くなり、多板摩擦クラッチは結合解除状態となって、多板摩擦クラッチに滑りが生じ、プーリハブは慣性力によって回転を継続する。
このように、プーリに回転変動が生じると、弾性部材が弾性変形してプーリの回転変動を吸収し、また、プーリが停止すると、多板摩擦クラッチに滑りが生じてプーリハブは慣性力によって回転を継続するため、ベルトの張力が急激に増大するというようなことはなく、また、プーリとベルトの相互間でスリップが生じるという不都合の発生はない。
この発明に係るプーリユニットにおいて、トルクカムは、周方向に下り勾配を持って傾斜する傾斜カム面およびその傾斜カム面の低所端に連続して形成された係合面を溝底に有し、前記傾斜カム面の勾配が逆向きとなるよう固定カムディスクと可動カムディスクの対向面それぞれに形成された対向一対のカム溝と、その対向一対のカム溝間に組込まれた転動体とからなるものであってもよく、あるいは、周方向に下り勾配をもって傾斜する傾斜カム面およびその傾斜カム面の低所端に連続して形成された係合面を溝底に有するカム溝と、そのカム溝に適合するカム突起とからなるものであってもよい。
ここで、プーリハブの外径面に可動カムディスクの軸方向の移動量をトルクカムによって移動される可動カムディスクの最大移動量の範囲内に規制するストッパを設けると、トルクカムの乗り上げを防止し、弾性部材の過大な撓みによる耐久性の低下を抑制することができる。
また、多板摩擦クラッチを形成する複数の摩擦プレートのうち、弾性部材と当接する軸方向一端の摩擦プレートと前記弾性部材とをプーリハブに回り止めすると、軸方向一端の摩擦プレートと前記弾性部材とが相対回転するのを防止することができるため、上記弾性部材の接触摩耗を抑制することができる。このため、弾性部材の荷重特性が変化するという不都合の発生はなく、多板摩擦クラッチの滑りを防止することができる。
さらに、多板摩擦クラッチを形成する複数の摩擦プレートのそれぞれの接触面における少なくとも一方に摩擦材を設けると、各接触部での摩擦係数を高めることができるため、伝達トルクの容量を高めることができる。逆に、摩擦プレートに負荷する押圧力の低減を図り、摩擦プレートの耐久性の低下を抑制することができる。
また、多板摩擦クラッチを形成する複数の摩擦プレートのそれぞれの接触面に、窒化処理、浸炭処理、高周波熱処理の一種からなる硬化処理を施し、あるいは,窒化チタン(TiN)、窒化クロム(CrN)、窒化チタンアルミ(TiAlN)、炭窒化チタン(TiCN)等の窒化物被膜や炭化チタン(TiC)等の炭化物被膜からなる硬質被膜を設けると、摩擦プレートの耐摩耗性と耐久性の向上を図ることができる。
この発明に係るプーリユニットにおいて、摩擦クラッチを形成する複数の摩擦プレートのそれぞれの接触面における少なくとも半径方向に延びる潤滑剤排出溝を形成すると、複数の摩擦プレートが弾性部材の押圧により互いに押し付けられる押圧時に、摩擦プレート間に介在する潤滑剤は潤滑剤排出溝に押し出されるため、摩擦面に潤滑剤が過剰に付着するのを防止することができ、摩擦クラッチの滑りを防止することができる。
また、摩擦クラッチを形成する複数の摩擦プレートのそれぞれを、アルミニウム合金またはマグネシウム合金製とすると、慣性モーメントを低減し、プーリユニットの軽量化を図ることができる。
この発明においては、プーリハブの外径面に形成された2つの突出部によって可動カムディスクに摩擦クラッチを押し付ける弾性部材の押圧力やトルクカムの作用によって可動カムディスクに負荷される軸方向力を受けるようにしたので、プーリとプーリハブとを相対的に回転自在に支持する軸受に上記押圧力や軸方向力が負荷されるようなことがなく、軸受の耐久性の低下を抑制することができる。
また、摩擦クラッチとして多板摩擦クラッチを採用したことにより、複数の摩擦プレートのそれぞれの接触部からプーリの回転をプーリハブに伝達することができるため、摩擦クラッチに必要とされる押圧力を低くすることができる。このため、トルクカム部における面圧を低下させることができ、上記トルクカム部の耐久性の向上を図ることができる。
以下、この発明の実施の形態を図面に基いて説明する。図1に示すように、プーリ1は複列のV溝2を外周面に有し、その内側にはプーリハブ3が組込まれている。プーリ1とプーリハブ3は、その対向する一端部間に組込まれた片シール付きの軸受4によって相対的に回転自在に支持されている。
プーリ1の他端部内周にはシール部材5の外周部が圧入され、そのシール部材5の内周部に形成されたリップ6がプーリハブ3の他端部外周に弾性接触し、そのシール部材5によってプーリ1の他端部開口が閉塞され、内部に異物が侵入するのが防止されている。
プーリハブ3の外径面の一端部には軸受4を軸方向に位置決めする突出部としてのフランジ7が設けられている。また、プーリハブ3の他端部外周には突出部としての止め輪8が取り付けられている。
フランジ7と止め輪8間には、固定カムディスク9と可動カムディスク10が組込まれ、その固定カムディスク9と止め輪8間にワッシャ11が組込まれている。
固定カムディスク9は、スプライン12の嵌合によってプーリ1に回り止めされて、そのプーリ1と一体に回転するようになっている。固定カムディスク9および可動カムディスク10とプーリハブ3の嵌合面間には針状ころ軸受からなるラジアル軸受13が組込まれ、そのラジアル軸受13は、前記軸受4とでプーリ1に負荷されるラジアル荷重を支持するようになっている。
可動カムディスク10は、上記ラジアル軸受13によって回転自在に、かつ、軸方向に移動自在に支持され、その可動カムディスク10と固定カムディスク9の対向面間にトルクカム14が設けられている。
図2および図3に示すように、トルクカム14は、固定カムディスク9と可動カムディスク10の対向面それぞれに形成された対向一対のカム溝15、16と、そのカム溝15、16間に組込まれた転動体としてのボール17とからなる。
対向一対のカム溝15,16は、周方向に下り勾配をもって傾斜する傾斜カム面15a、16aと、その傾斜カム面15a、16aの低所端に連続する円弧状の係合面15b、16bを溝底に有し、上記傾斜カム面15a、16aの勾配が逆向きとなるようにして固定カムディスク9と可動カムディスク10の対向面それぞれに形成されている。
トルクカム14は、固定カムディスク9と可動カムディスク10の一方向への相対回転時に、傾斜カム面15a、16aに沿ってのボール17の転がり移動により可動カムディスク10を固定カムディスク9から離反する方向に移動させるようになっている。また、固定カムディスク9と可動カムディスク10の他方向への相対回転時に、ボール17を係合面15b、16bに係合させて、固定カムディスク9と可動カムディスク10を回転方向に係合させるようになっている。
図1に示すように、可動カムディスク10とフランジ7間には、多板摩擦クラッチ20と、その多板摩擦クラッチ20を可動カムディスク10に向けて付勢する弾性部材30が組込まれている。
多板摩擦クラッチ20は、複数の摩擦プレートを有している。ここでは、2枚のインナ側摩擦プレート21と、1枚のアウタ側摩擦プレート22が示されているが、摩擦プレートの数はこれに限定されるものではない。
インナ側摩擦プレート21とアウタ側摩擦プレート22は可動カムディスク10の片面外周部に形成された円筒部23内において軸方向に交互に並ぶ配置とされ、上記インナ側摩擦プレート21はスプライン24を介してプーリハブ3に回り止めされ、プーリハブ3と一体に回転するようになっている。
一方、アウタ側摩擦プレート22は上記円筒部23にスプライン25を介して回り止めされ、可動カムディスク10と一体に回転するようになっている。
弾性部材30は、皿ばねからなる。この弾性部材30は、可動カムディスク10が固定カムディスク9から離反する軸方向への移動時に多板摩擦クラッチ20により押圧されて弾性変形し、その弾性変形により多板摩擦クラッチ20の摩擦プレート21、22が可動カムディスク10に押し付けられ、多板摩擦クラッチ20が結合状態に切り換えられる。
プーリハブ3の外径面には、多板摩擦クラッチ20とフランジ7間にリング状のストッパ31が嵌合され、そのストッパ31によって可動カムディスク10の軸方向の移動量はトルクカム14によって移動される可動カムディスク10の最大移動量の範囲内に規制されるようになっている。
実施の形態で示すプーリユニットは上記の構造からなり、エンジン補機としてのオルタネータの駆動に際しては、そのオルタネータの回転軸にプーリハブ3を嵌合して回り止めし、そのプーリユニットのプーリ1とエンジンのクランクシャフトに取付けられたプーリ間にベルトを掛け渡して、クランクシャフトの回転がプーリ1に伝達されるようにする。
上記のような使用状態において、プーリ1の回転停止状態では、図3(a)に示すように、ボール17はカム溝15、16の係合面15b、16bに係合しており、多板摩擦クラッチ20は滑りが生じる結合解除状態にある。
上記の状態からプーリ1に正回転方向の回転トルクが入力されると、固定カムディスク9と可動カムディスク10が、図3(a)の矢印で示す方向に相対回転する。その両カムディスク9、10の一方向への相対回転により、図3(b)に示すように、ボール17はカム溝15、16の傾斜カム面15a、16aに沿って転がり移動し、可動カムディスク10に軸方向の押圧力が負荷されて、可動カムディスク10が固定カムディスク9から離反する方向に移動する。
図4は、可動カムディスク10の移動状態を示し、上記可動カムディスク10の移動によって弾性部材30が弾性変形し、多板摩擦クラッチ20の複数の摩擦プレート21、22の相互の接触圧および可動カムディスク10とこれに対向するインナ側摩擦プレート21の接触圧が高くなって多板摩擦クラッチ20が結合状態となる。
このため、プーリ1の回転は、固定カムディスク9からトルクカム14を介して可動カムディスク10に伝達されると共に、その可動カムディスク10から多板摩擦クラッチ20を介してプーリハブ3に伝達され、プーリハブ3がプーリ1と同方向に回転する。
プーリハブ3への回転トルクの伝達状態において、クランクシャフトの角速度の変化によりプーリ1に回転変動が生じると、固定カムディスク9と可動カムディスク10が相対回転する。このとき、クランクシャフトの角速度の変化によるプーリ1の回転変動は比較的小さいため、ボール17は傾斜カム面15a、16aに沿って転がり移動する。その転がり移動によって可動カムディスク10が軸方向に移動し、その可動カムディスク10と共に移動する多板摩擦クラッチ20からの押圧により弾性部材30が弾性変形する。その弾性部材30の弾性変形によってプーリの回転変動が吸収され、プーリハブ3にその回転変動が伝達されるのが防止される。また、多板摩擦クラッチ20は結合状態に維持される。
エンジンを急減速し、あるいは、停止すると、オルタネータの回転軸は慣性力が大きいため、プーリハブ3は回転を続けようとする。慣性力によるプーリハブ3の回転により、可動カムディスク10は固定カムディスク9に対して図3(b)の矢印で示す方向に相対回転し、ボール17は、図3(a)に示すように
係合面15b、16bに係合する。また、可動カムディスク10は固定カムディスク9に向けて移動し、その可動カムディスク10の移動によって弾性部材30は伸張して押圧力が弱くなり、多板摩擦クラッチ20は結合解除状態となって、多板摩擦クラッチ20の摩擦プレート21、22の接触部で滑りが生じ、プーリハブ3は慣性力によって回転を継続する。
このように、プーリ1に回転変動が生じると、弾性部材30が弾性変形してプーリ1の回転変動を吸収し、また、プーリ1が急減速し、あるいは、停止すると、多板摩擦クラッチ20の摩擦プレート21、22の接触部で滑りが生じてプーリハブ3は慣性力によって回転を継続するため、ベルトの張力が急激に増大するというようなことはなく、また、プーリ1とベルトの相互間でスリップが生じるという不都合の発生はない。
また、弾性部材30の押圧力やトルクカム14の作動によって発生する軸方向力はフランジ7と止め輪8で受けられて、軸受4に負荷されることがなく、また、トルクカム14の作動によって軸方向に移動する可動カムディスク10はラジアル軸受13上を滑り移動するため、そのラジアル軸受13にも大きな軸方向力が負荷されることもない。このため、軸受4やラジアル軸受13が破損するようなことは極めて少なく、耐久性に優れたプーリユニットを得ることができる。
ここで、トルクカム14の作動によって可動カムディスク10の軸方向への移動量が必要以上に大きい場合は、ボール17が固定カムディスク9と可動カムディスク10の対向面に乗り上げてプーリ1の回転をプーリハブ3に伝達することができなくなるという問題が発生する。
しかし、図1に示すプーリユニットにおいては、プーリハブ3の外径面上にリング状のストッパ31を設け、そのストッパ31によって可動カムディスク10の軸方向の移動量を制限しているため、ボール17の乗り上げを防止することができ、プーリ1の回転をプーリハブ3に確実に伝達することができる。
実施の形態で示すように、プーリ1とプーリハブ3を結合および結合解除する
摩擦クラッチとして多板摩擦クラッチ20を採用することにより、複数の摩擦プレート21、22のそれぞれの接触部からプーリ1の回転をプーリハブ3に伝達することができる。
このため、単板摩擦クラッチに比較して、弾性部材30から多板摩擦クラッチ20に負荷される押圧力を低くすることができ、その押圧力の低下によってトルクカム14部における面圧を低下させることができるので、上記トルクカム14部の耐久性の向上を図ることができる。
ここで、多板摩擦クラッチ20の軸方向一端のインナ側摩擦プレート21に弾性力を負荷する弾性部材30をプーリハブに回り止めすると、インナ側摩擦プレート21と弾性部材30とが相対回転するのを防止することができるため、上記弾性部材30の接触摩耗を抑制することができる。このため、弾性部材30の荷重特性が変化するという不都合の発生はなく、多板摩擦クラッチ20の滑りを防止することができる。
図5に示すように、多板摩擦クラッチ20を形成する複数の摩擦プレート21、22のそれぞれの接触面における少なくとも一方に摩擦材26を設けると、各接触面での摩擦係数を高めることができるため、伝達トルクの容量を高めることができる。逆に、摩擦プレート21、22に負荷する押圧力の低減を図ることができるため、摩擦プレート21、22の耐久性の低下を抑制することができる。
多板摩擦クラッチ20を形成する複数の摩擦プレート21、22のそれぞれの接触面に窒化処理、浸炭処理、高周波熱処理等の硬化処理を施すと、摩擦プレート21、22の硬度を高めることができるため、耐摩耗性と耐久性の向上を図ることができる。
また、摩擦プレート21、22の耐摩耗性と耐久性の向上を図るため、上記硬化処理に代えて、窒化チタン、窒化クロム、窒化チタンアルミ、炭窒化チタン等の窒化物被膜や炭化チタン等の炭化物被膜からなる硬質被膜を設けるようにしてもよい。
図6(c)および(d)は、インナ側摩擦プレート21およびアウタ側摩擦プレート22の摩擦面に複数の潤滑剤排出溝27を放射状に設けている。このように、摩擦プレート21、22に潤滑剤排出溝27を形成すると、インナ側摩擦プレート21とアウタ側摩擦プレート22とが弾性部材30の押圧により互いに圧接するとき、摩擦プレート21、22間に介在する潤滑油は潤滑剤排出溝27内に押し出されるため、摩擦面に潤滑剤が過剰に付着するのを防止することができ、多板摩擦クラッチ20の滑りを防止することができる。
ここで、図6(e)および(f)に示すように、潤滑剤排出溝27をスパイラル状とすると、各摩擦プレート21、22の回転時に、潤滑剤排出溝27の内端と外端間に圧力差を生じさせることができるため、潤滑剤は潤滑剤排出溝27内にスムーズに流れ込み、摩擦面に潤滑剤が過剰に付着するのをより効果的に防止することができる。
なお、摩擦クラッチ20を形成する複数の摩擦プレート21、22のそれぞれを、アルミニウム合金またはマグネシウム合金製とすると、慣性モーメントを低減し、プーリユニットの軽量化を図ることができる。
図3では、トルクカム14として、カム溝15、16とボール17から成るものを示したが、ボール17の代わりにローラからなるものであってもよい。また、図7(g)に示すように、固定カムディスク9に、周方向に下り勾配をもって傾斜する傾斜カム面18aと、その傾斜カム面18aの低所端に連続して形成されて軸方向に向く係合面18bを溝底に有するカム溝18を形成し、可動カムディスク10に、そのカム溝18に適合するカム突起19を設けた構成からなるものであってもよい。この場合、固定カムディスク9にカム突起を設け、可動カムディスク10にカム溝を形成するようにしてもよい。図7(h)はトルクカム14の作動状態を示している。
この発明に係るプーリユニットの実施の形態を示す縦断正面図 図1のII−II線に沿った断面図 (a)は、図1に示すトルクカムの断面図、(b)は、トルクカムの作動状態を示す断面図 図1に示すトルクカムの作動状態を示す断面図 摩擦クラッチの他の例を示す断面図 (c)(d)(e)(f)は、摩擦クラッチの摩擦プレートの他の例を示す正面図 (g)は、トルクカムの他の例を示す断面図、(h)は、作動状態を示す断面図
符号の説明
1 プーリ
3 プーリハブ
4 軸受
7 フランジ(突出部)
8 止め輪(突出部)
9 固定カムディスク
10 可動カムディスク
13 ラジアル軸受
14 トルクカム
15 カム溝
15a 傾斜カム面
15b 係合面
16 カム溝
16a 傾斜カム面
16b 係合面
17 ボール(転動体)
18 カム溝
18a 傾斜カム面
18b 係合面
19 カム突起
20 多板摩擦クラッチ
21 インナ側摩擦プレート
22 アウタ側摩擦プレート
26 摩擦材
27 潤滑剤排出溝
30 弾性部材
31 ストッパ

Claims (12)

  1. プーリとその内側に組込まれたプーリハブを、その両部材の一方の端部間に組込まれた軸受によって相対的に回転自在に支持し、前記プーリハブの外径面に2つの突出部を軸方向に間隔をおいて設け、その2つの突出部間に、前記プーリに回り止めされ、一方の突出部によって軸方向外方への移動が阻止される固定カムディスクと、プーリハブに対して回転可能に、かつ、軸方向に移動可能に支持された可動カムディスクとを組込み、その固定カムディスクと可動カムディスクの対向面間に、両カムディスクの一方向への相対回転により可動カムディスクを固定カムディスクから離反する方向に移動させ、他方向への相対回転時に前記両カムディスクを回転方向に係合させるトルクカムを設け、前記可動カムディスクと他方の突出部間に、前記可動カムディスクとプーリハブとを結合する多板摩擦クラッチと、前記可動カムディスクが固定カムディスクから離反する移動時にその多板摩擦クラッチからの押圧により弾性変形し、その復元弾性により多板摩擦クラッチを結合状態とする弾性部材を組込んだプーリユニット。
  2. 前記トルクカムが、周方向に下り勾配を持って傾斜する傾斜カム面およびその傾斜カム面の低所端に連続して形成された係合面を溝底に有し、前記傾斜カム面の勾配が逆向きとなるよう固定カムディスクと可動カムディスクの対向面それぞれに形成された対向一対のカム溝と、その対向一対のカム溝間に組込まれた転動体とからなる請求項1に記載のプーリユニット。
  3. 前記トルクカムが、周方向に下り勾配をもって傾斜する傾斜カム面およびその傾斜カム面の低所端に連続して形成された係合面を溝底に有するカム溝と、そのカム溝に適合するカム突起とからなる請求項1に記載のプーリユニット。
  4. 前記プーリハブの外径面に可動カムディスクの軸方向の移動量を前記トルクカムによって移動される可動カムディスクの最大移動量の範囲内に規制するストッパを設けた請求項1乃至3のいずれかの項に記載のプーリユニット。
  5. 前記多板摩擦クラッチを形成する複数の摩擦プレートのうち、弾性部材と当接する軸方向一端の摩擦プレートと前記弾性部材とをプーリハブに回り止めした請求項1乃至4のいずれかの項に記載のプーリユニット。
  6. 前記摩擦クラッチを形成する複数の摩擦プレートのそれぞれの接触面における少なくとも一方に摩擦材を設けた請求項1乃至5のいずれかの項に記載のプーリユニット。
  7. 前記摩擦クラッチを形成する複数の摩擦プレートのそれぞれの接触面に硬化処理を施した請求項1乃至5のいずれかの項に記載のプーリユニット。
  8. 前記硬化処理が、窒化処理、浸炭処理、高周波熱処理の一種からなる請求項7に記載のプーリユニット。
  9. 前記摩擦クラッチを形成する複数の摩擦プレートのそれぞれの接触面に硬質被膜を設けた請求項1乃至5のいずれかの項に記載のプーリユニット。
  10. 前記硬質被膜が窒化物被膜または炭化物被膜からなる請求項9に記載のプーリユニット。
  11. 前記摩擦クラッチを形成する複数の摩擦プレートのそれぞれの接触面における少なくとも一方に半径方向に延びる潤滑剤排出溝を形成した請求項1乃至10のいずれかの項に記載のプーリユニット。
  12. 前記摩擦クラッチを形成する複数の摩擦プレートのそれぞれが、アルミニウム合金またはマグネシウム合金からなる請求項1乃至11のいずれかの項に記載のプーリユニット。
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