JP2019177404A - 産業機械 - Google Patents

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Abstract

【課題】主動部に対する従動部の動作タイミングの仕様変更を低コストで行うことが可能な産業機械の提供を目的とする。【解決手段】トランスファプレス機10は、サイクル動作を行うラム18と、ラム18から機械的に分断され、第2サーボモータ61から動力を受けてラム18に従動したサイクル動作を繰り返すトランスファスライド35と、ラム18の1サイクル中に1回転するトランスファ用カム65の1回転における各回転域にラム18の位相範囲が対応付けされた範囲対応データテーブル92と、位置センサ89によるラム18の位相とトランスファ用カム65の回転位置との対応が、範囲対応データテーブル92の通りになるように第2サーボモータ61を制御するコントローラ80と、回転域に対応させる位相範囲を変更するための可変パラメータ(第1〜第4のリンクポイントJ1〜J4)と、を備える。【選択図】図5

Description

本開示は、主動部とそれに従動する従動部とがサイクル動作を繰り返す産業機械に関する。
従来、この種の産業機械として、主動部と従動部とが機械的に連結され、その主動部から従動部への動力伝達部の一部品としてカムを備えたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。また、上記カムを廃止して、主動部と従動部とを機械的に切り離して別々のサーボモータで駆動する構成の産業機械も知られている(例えば、特許文献2参照)。
特開平08−155699号公報
特開2005−224855号公報
しかしながら、上述した従来の従動部にカムを備える産業機械では、ワークの変更等により主動部に対する従動部の動作タイミングの仕様変更が必要な場合に、カムを新たに製作する必要があり、コストが高いことが問題になっている。一方、従動部のカムを廃止して主動部と従動部とを別々のサーボモータで駆動する産業機械では、上記仕様変更を行う場合に、両サーボモータの位置制御データ同士の対応関係を全てに亘って変更することで仕様変更を行うことになるが、それには膨大な手間がかかり、仕様変更のコストを抑えることが困難である。また、この場合、カムによる力の増幅効果を得ることができないという新たな問題が生じる。これらに対し、低コストで上記仕様変更を行うことが可能な技術の開発が求められている。
上記課題を解決するためになされた請求項1の発明は、サイクル動作を繰り返す主動部と、前記主動部から機械的に分断され、前記主動部とは別の駆動源であるサーボモータから動力を受けて前記主動部に従動したサイクル動作を繰り返す従動部と、前記従動部に含まれ、前記主動部の1サイクル中に1回転する従動カムと、前記従動カムの1回転が予め複数の回転域に分割されて、それら回転域毎に前記主動部の位相範囲が対応付けされた範囲対応データテーブルと、前記主動部の位相を検出する位置センサと、前記位置センサにて検出される前記主動部の位相と前記従動カムの回転位置との対応が、前記範囲対応データテーブル通りになるように前記サーボモータを制御するモータ制御部とを備え、前記範囲対応データテーブルは、前記回転域に対応させる前記位相範囲を変更するための可変パラメータを備えるか、或いは、前記位相範囲で対応する前記回転域を除して得られる単位角が前記回転域同士の間で異なるように設定されている産業機械である。
請求項2の発明は、前記従動カムのカム曲面は、一定曲率で連続する死点領域と、曲率が徐々に変化する動作領域とを交互に配置してなり、前記複数の回転域は、前記死点領域と前記動作領域とに対応させて設けられている請求項1に記載の産業機械である。
請求項3の発明は、予め設定された単位間隔で前記位相範囲に含まれる複数の途中位相を、その位相範囲に対応する前記回転域内の複数の途中回転位置を割り付ける割り付け処理部が備えられ、前記モータ制御部は、前記位置センサの検出結果が各前記途中位相になるときに、前記従動カムが各前記途中回転位置になるように前記サーボモータを制御する請求項1又は2に記載の産業機械である。
請求項4の発明は、前記割り付け処理部は、隣り合う前記回転域同士の間で前記途中回転位置の分布密度が異なる場合に、それら回転域同士の境界近傍で前記途中回転位置同士の間隔が徐々に変化するように前記途中回転位置を割り付ける請求項3に記載の産業機械である。
請求項5の発明は、前記主動部には、1サイクル中に1回転する主動カムが備えられている請求項1乃至4の何れか1の請求項に記載の産業機械である。
請求項6の発明は、前記主動部には、複数のパンチが一列に並べて固定されるラムが含まれ、前記従動部には、複数のパンチによって加工される複数のワークを前記複数のパンチの並び方向に間欠的に搬送するワーク搬送部が含まれている請求項5に記載の産業機械である。
請求項7の発明は、前記可変パラメータのデータを変更するためのコンソールを備える請求項1乃至6の何れか1の請求項に記載の産業機械である。
請求項1の産業機械では、主動部とは別の駆動源であるサーボモータから動力を受けてサイクル動作を繰り返す従動部に、1サイクルで1回転する従動カムが備えられている。また、その従動カムの1回転が予め複数の回転域に分割され、それら回転域毎に主動部の位相範囲が対応付けされた範囲対応データテーブルが設けられている。そして、位置センサにて検出される主動部の位相と従動カムの回転位置との対応が、範囲対応データテーブル通りになるようにサーボモータが制御される。ここで、範囲対応データテーブルは、回転域に対応させる位相範囲を変更するための可変パラメータを備えているので、従動カムを新たに製作することなしに、主動部に対する従動部の動作タイミングの仕様変更が可能になる。また、従動カムを使用しているので前述のカムによる力の増幅効果を得ることができ、さらに、前述のデータ変更の手間も軽減される。これらにより、低コストで上記仕様変更を行うことが可能になる。
請求項2の産業機械では、従動カムのカム曲面は、一定曲率で連続する死点領域と、曲率が徐々に変化する動作領域とを交互に配置してなり、複数の回転域は、死点領域と動作領域とに対応させて設けられているので、可変パラメータの変更により、主動部に対する従動部の停止タイミングと動作タイミングとを容易にイメージして変更することができる。
請求項3の産業機械では、予め設定された単位間隔で位相範囲に含まれる複数の途中位相を、その位相範囲に対応する回転域内の複数の途中回転位置を割り付け、位置センサの検出結果が各途中位相になるときに、従動カムが各途中回転位置になるように制御するので、主動部に対する従動部の従動動作が安定する。
請求項4の構成によれば、従動カムの角速度が途中で変わるときの加減速をスムーズに行うことができる。
請求項5の産業機械では、主動部に含まれる主動カムと従動部に含まれる従動カムとが共に1サイクルで1回転するので、従動カムの角速度が主動カムの角速度より速くなる領域と遅くなる領域とが設定されることになり、主動部に対する従動部の動作タイミングの仕様変更のイメージが容易になる。
請求項6の産業機械では、複数のパンチによってワークを順次加工し、ワーク搬送部材で順次搬送する所謂トランスファプレス機においてワーク形状やパンチ形状、サイクルタイムの変更の自由度が高くなる。
請求項7の産業機械のように、可変パラメータのデータを変更するためのコンソールを備えてもよいし、記憶部を構成するメモリチップの交換等によって可変パラメータを変更可能としてもよい。
本発明の第1実施形態にトランスファプレス機の正面図 トランスファ用カムを含む従動部の平面図 勘払い装置の側面図 ラム用カムを含む主動部の側面図 コントローラの概念図 (A)ラム用カムの正面図、(B)トランスファ用カムの正面図 範囲対応データテーブルの概念図 ラム用カムとトランスファ用カムのカム曲線 データ更新プログラムのフローチャート 回転位置同士の対応付けの概念図 データ更新プログラムのフローチャート
[第1実施形態]
以下、第1実施形態を図1〜図11に基づいて説明する。図1には、産業機械の一例としてのトランスファプレス機10が示されている。以下の説明において、図1の横方向を、単に「トランスファプレス機10の横方向」、図1に向かって左側を単に「トランスファプレス機10の左側」、その反対側を単に「トランスファプレス機10の右側」、ということとする。また、図1の紙面に直交する方向を「トランスファプレス機10の前後方向」といい、トランスファプレス機10の図1に示された側を前面ということとする。
トランスファプレス機10は、床面から起立する支持フレーム11でラム18を直動可能に支持し、ラム18の下面に上台12を備える。上台12には、複数のパンチ13が横一列に並べられて下方に突出した状態に固定され、それらパンチ13は、図1の左から右側に向かって段階的に長くなっている。
上台12の下方では、下台14が支持フレーム11に固定され、その下台14上には、複数のダイ15が横一列に並べられて固定されている。そして、上下で対向するパンチ13とダイ15とから加工ステージSTが構成され、各加工ステージSTにおいて、パンチ13が図示しないワークを図2に示した各ダイ15の成形孔15Aに押し込んで筒形状に成形する。
図3に示すように、トランスファプレス機10には、成形後のワークからパンチ13を引き抜くための嵌払い装置20(「かんばらいそうち」と読む)が備えられている。嵌払い装置20は、各パンチ13のそれぞれに嵌合している複数の嵌払い筒21を有する。それら嵌払い筒21は、支持フレーム11の後側から延びる複数のレバー23にヒンジ連結され、それらレバー23が後述する第3サーボモータ71にて駆動される。そして、ワークが成形後に成形孔15Aからパンチ13と共に排出された後、パンチ13に対して嵌払い筒21が相対的に降下してワークを押し下げてパンチ13から引き抜く。
図2に示すように、トランスファプレス機10には、各加工ステージSTで成形したワークを隣の加工ステージSTに順次送給するためのトランスファ装置30が備えられている。トランスファ装置30は、複数のダイ15に跨がって横方向に延びる1対の支持バー31を有する。1対の支持バー31は、複数の加工ステージSTを前後方向で挟んで対向し、それら支持バー31の対向する両端部が連絡バー32にて連結されている。また、1対の支持バー31の対向面には、複数ずつのフィンガー33が備えられている。そして、これら支持バー31、連絡バー32、フィンガー33等によってトランスファ装置30の出力部であるトランスファスライド35が構成されている。
トランスファスライド35は、パンチ13群及びダイ15群の中心線を含む架空の対称中心面K1に対して面対称になっている。また、フィンガー33は、平面形状が略T字状をなし、その略T字の縦辺部33Aが支持バー31に直動可能に支持され、図示しない圧縮コイルばねにて対称中心面K1側に付勢されている。また、フィンガー33の横辺部33Bの中央にはワークに当接する縦溝33Mが備えられ、両端部には傾斜面33Cが備えられている。そして、トランスファスライド35が左側に移動する際に、フィンガー33の傾斜面33Cが嵌払い装置20の嵌払い筒21(図3参照)に押し付けられて対向する1対のフィンガー33の間が開き、嵌払い筒21が1対のフィンガー33の間から上方に引き抜かれてワークがそれらフィンガー33に把持される。その状態で、トランスファスライド35が右に移動して右隣の加工ステージSTの成形孔15A上にワークが配置され、ラム18が降下してパンチ13がワークに突入すると共に、嵌払い筒21が1対のフィンガー33の間に入り込んで1対のフィンガー33間が開かれる。その状態で、トランスファスライド35が左側に移動し、嵌払い筒21が1対のフィンガー33間から右側方に抜けて元の状態に戻る。以上の動作を繰り返すことで、ワークが左端の加工ステージSTから順次右隣の加工ステージSTに順次移動されて複数回に亘って絞り加工され、徐々にワークの軸長が長くなっていく。
ラム18を動作させる駆動機構は以下のようになっている。即ち、図1に示すように、支持フレーム11の上部には、横方向に延びるカム支持シャフト54が回転可能に支持されている。また、カム支持シャフト54の途中部分には、ラム用カム55が一体回転可能に固定され、図4に示すように、ラム18に回転可能に支持された1対のカムフォロア56A,56Bに上下方向から挟まれている。
これらラム用カム55及び1対のカムフォロア56A,56Bの回転中心55P,56P,56Pは、同一直線上に並んでいて、ラム用カム55の回転位置に拘わらず1対のカムフォロア56A,56Bがラム用カム55のカム曲面55Kに常時当接するようになっている。図6(A)に示すように、そのカム曲面55Kは、第1死点領域55A、第1動作領域55B、第2死点領域55C、第2動作領域55Dの4つの領域に分けることができ、本実施形態では、これら領域が回転中心55P回りの90°ずつの範囲に形成されている。
具体的には、第1死点領域55Aは、回転中心55Pからの距離が一定の半径R1をなした円弧面であり、その対向位置に配置されている第2死点領域55Cは、前記半径R1より大きな半径R2の円弧面になっている。また、第1動作領域55Bは、第1死点領域55Aの一端と第2死点領域55Cの一端とに連続する略S字状に湾曲していて、その対向位置に配置されている第2動作領域55Dは、第1動作領域55Bと対称形状をなしている。そして、ラム用カム55が図4の時計回り方向に回転し、各カムフォロア56A,56Bが、カム曲面55Kに第1死点領域55A、第1動作領域55B、第2死点領域55C、第2動作領域55D、第1死点領域55Aの順に当接する。
図1に示すように、例えば、カム支持シャフト54の右端部にはプーリ54Pが一体回転可能に固定されている。また、支持フレーム11の右上部には、第1サーボモータ51が備えられ、その第1サーボモータ51が直結された減速機53の出力軸にプーリ53Pが取り付けられている。そして、プーリ53P,54P同士がタイミングベルト54Bにて連結され、第1サーボモータ51にてラム用カム55が回転駆動される。また、例えば、カム支持シャフト54の左側端部には、カム支持シャフト54の回転位置を検出するための位置センサ89が連結されている。
トランスファ装置30のトランスファスライド35を動作させる駆動機構は以下のようになっている。即ち、図1に示すように、支持フレーム11には、左側面から左側方に張り出すモータ支持棚11Tが設けられ、その下面に減速機63が固定され、その減速機63に下方から第2サーボモータ61が取り付けられている。そして、減速機63の回転出力に連結されるカム支持シャフト64が図2に示すように、モータ支持棚11Tの上方に貫通し、そのカム支持シャフト64にトランスファ用カム65が一体回転可能に取り付けられている。また、トランスファスライド35の左側端部には、モータ支持棚11T上をスライドするスライドベース36が連結されている。そして、そのスライドベース36に回転可能に支持された1対のカムフォロア66A,66Bにトランスファ用カム65が横方向から挟まれている。
トランスファ用カム65及び1対のカムフォロア66A,66Bの回転中心65P,66P,66Pも、前述のラム用カム55と同様に、トランスファスライド35のスライド方向の延びる一直線上に並んでいて、トランスファ用カム65の回転位置に拘わらず1対のカムフォロア66がカム65のカム曲面65Kに常時当接する。また、トランスファ用カム65の外形は例えばラム用カム55の外形に相似し、図6(B)に示すように、そのカム曲面65Kは、第1死点領域65A、第1動作領域65B、第2死点領域65C、第2動作領域65Dとから構成されている。そして、図2の時計回り方向にトランスファ用カム65が回転して、各カムフォロア66A,66Bが、カム曲面65Kに第1死点領域65A、第1動作領域65B、第2死点領域65C、第2動作領域65D、第1死点領域65Aの順に当接する。
図3に示すように、嵌払い装置20は、前述した複数のレバー23と第3サーボモータ71の間に例えば、ボール螺子機構を備えた動力伝達機構を有する。この動力伝達機構は、例えば、ボール螺子74とそのボール螺子74に螺合するスライド部75とを有し、ボール螺子74に一体回転可能に固定されたプーリ74Pと、第3サーボモータ71の出力軸に取り付けられたプーリ71Pとが、タイミングベルト73Bにて連結され、第3サーボモータ71によりスライド部75が上下動する構成となっている。レバー23は、前後に延びて、その後端部が、スライド部75の前端面に横方向に延びるように形成された溝75U(例えば、U字溝)に受容されている。レバー23の前端部は、嵌払い筒21に前後にスライド可能に連結されている。レバー23は、前端部よりも後端部に近い側の位置で支持フレーム11に軸支されている。
図5に示すように、第1〜第3のサーボモータ51,61,71のサーボアンプ51A,61A,71Aは、コントローラ80の制御基板81に接続されている。なお、図5等において符号52,62,72は、回転位置を検出するためのエンコーダであって、第1〜第3のサーボモータ51,61,71の回転位置、回転速度等をフィードバック制御するために、これらエンコーダ52,62,72の検出結果がサーボアンプ51A,61A,71Aに取り込まれている。
制御基板81には、CPU82,RAM83,ROM84、フラッシュメモリ85が実装されている。ROM84には、モータ制御用プログラムや後述するデータ更新プログラムPG1等が記憶されている。フラッシュメモリ85には、ラム18の起動時、停止時のラム用カム55の角加減速度や、コンソール86にて任意に設定されるサイクルタイム(周期)等のデータが記憶されている。そして、CPU82が、ROM84のモータ制御用プログラムを実行して第1〜第3のサーボモータ51,61,71を制御し、ラム18及びそれに機械的に連結された部位を主動部として動作させ、その主動部に従動する従動部としてトランスファ装置30及び嵌払い装置20を動作させる。
上記した主動部に従動部を従動させる制御を行うために、フラッシュメモリ85には、第1リンク用データテーブル90と第2リンク用データテーブル91とが記憶されている。図示しないが、第1リンク用データテーブル90には、従動部に含まれるトランスファ用カム65の回転位置と、主動部に含まれるラム用カム55の回転位置とが対応づけられている。また、第2リンク用データテーブル91には、従動部に含まれる嵌払い装置20のボール螺子機構の直動位置と、ラム用カム55の回転位置とが対応づけられている。より具体的には、第1リンク用データテーブル90には、例えばラム用カム55の1°刻み360点分の回転位置に対し、トランスファ用カム65の360点分の回転位置が対応づけられ、第2リンク用データテーブル91には、ラム用カム55の1°刻み360点分の回転位置に対し、ボール螺子機構の360点分の直動位置が対応づけられている。
制御基板81のCPU82は、ラム用カム55の駆動源である第1サーボモータ51に関しては、トランスファ用カム65及びボール螺子機構とは無関係に、フラッシュメモリ85が記憶しているデータに対応する角速度、角加速度及び角減速度で回転するように制御する。これに対し、トランスファ用カム65及びボール螺子機構の駆動源である第2及び第3のサーボモータ61,71に関しては、位置センサ89にて検出されるラム用カム55の回転位置とトランスファ用カム65の回転位置とボール螺子機構の直動位置とが、第1及び第2のリンク用データテーブル91に設定されている対応関係になるように制御する。これにより、前述の如く、ラム18及びそれに機械的に連結された部位が主動部として動作し、その主動部に従動する従動部としてトランスファ装置30及び嵌払い装置20が動作する。
さて、フラッシュメモリ85には、第1リンク用データテーブル90のデータの対応付けを変更するための範囲対応データテーブル92が記憶されている。そして、その範囲対応データテーブル92が更新されると第2リンク用データテーブル91も更新される。
ここで、範囲対応データテーブル92の説明の便宜上、「ラム用カム55の固定座標」と「トランスファ用カム65の固定座標」とを以下のように定義する。即ち、図6(A)に示すように、ラム用カム55において、第1死点領域55Aと第2動作領域55Dとの境界を固定原点Z1とし、回転中心55Pに対して固定原点Z1から図6(A)の反時計回り方向に回転した角度をラム用カム55上の位置とする座標を「ラム用カム55の固定座標」という。また、図4に示したラム用カム55の回転中心55Pと下側のカムフォロア56Aの回転中心56Pとを間を連絡する基準線に重なるラム用カム55の固定座標上の位置を、単に「ラム用カム55の回転位置」ということとする。この定義によれば、図4に示したラム用カム55の回転位置は、90°になる。
これと同様に、図6(B)に示すように、トランスファ用カム65において、第1死点領域65Aと第2動作領域65Dとの境界を固定原点Z2とし、回転中心65Pに対して固定原点Z2から図6(B)の反時計回り方向に回転した角度をトランスファ用カム65上の位置とする座標を「トランスファ用カム65の固定座標」という。また、図2に示したトランスファ用カム65の回転中心65Pと右側のカムフォロア66Aの回転中心66Pとの間を連絡する基準線に重なるトランスファ用カム65の固定座標上の位置を、単に「トランスファ用カム65の回転位置」ということとする。この定義によれば、図2に示したトランスファ用カム65の回転位置は、90°になる。
範囲対応データテーブル92は、図7に概念的に示されている。同図に示すように、範囲対応データテーブル92には、ラム用カム55及びトランスファ用カム65のサイクル動作の開始点であるサイクル原点C1,C2がそれぞれ設定されている。以下の説明において、「位相」とは、ラム用カム55、トランスファ用カム65等の可動部における1サイクル中の位置(回転位置、直動位置等)を意味するものとする。
図6(A)に示すように、ラム用カム55のサイクル原点C1(=位相0°)は45°の回転位置に設定され、図6(B)に示すように、トランスファ用カム65のサイクル原点C2(=位相0°)は135°の回転位置に設定されている。また、本実施形態では、例えば、ラム用カム55のサイクル原点C1は変更不能で、トランスファ用カム65のサイクル原点C2は、任意に変更可能になっている。
また、図6(A)及び図6(B)に示すように、サイクル原点C1,C2以外にラム用カム55とトランスファ用カム65とをリンクさせるポイントとして、ラム用カム55に第1〜第4のリンクポイントJ1〜J4が設けられると共に、トランスファ用カム65に第1〜第4のリンクポイントP1〜P4が設けられている。そして、図7に示すように、範囲対応データテーブル92において、それらラム用カム55の第1〜第4のリンクポイントJ1〜J4と、トランスファ用カム65の第1〜第4のリンクポイントP1〜P4とが対応付けされている。
具体的には、トランスファ用カム65においては、カム曲面65Kの各領域間の境界となるトランスファ用カム65上の0°,90°,180°,270°の各回転位置が、サイクル原点C2に位相が近い順に、第1〜第4のリンクポイントP1(=回転位置180°)、P2(=回転位置270°),P3(=回転位置0°)、P4(=回転位置90°)に設定されている。また、本実施形態では、これらトランスファ用カム65の第1〜第4のリンクポイントP1〜P4に対応する回転位置は、サイクル原点C2と連動して変更する以外は、変更不能になっている。
一方、ラム用カム55の第1〜第4のリンクポイントJ1〜J4に対応するラム用カム55上の回転位置は任意に変更可能になっている。また、初期状態では、図6(A)及び図6(B)と図7の上段側と図8とに示すように、トランスファ用カム65のサイクル原点C2(=135°の回転位置)からの第1〜第4のリンクポイントP1〜P4の角度と、ラム用カム55のサイクル原点C1(=45°)からの第1〜第4のリンクポイントJ1〜J4の角度とが同じになるように設定されている。なお、ラム用カム55にトランスファ用カム65を従動せるために第1〜第4のリンクポイントJ1〜J4の位相と、第1〜第4のリンクポイントP1〜P4の位相とは同じになり、初期状態では、第1〜第4のリンクポイントP1〜P4の位相は、例えば、45°、135°、225°、315°になる。
範囲対応データテーブル92の内容が更新されると、データ更新プログラムPG1がCPU82にて実行され、範囲対応データテーブル92のデータに基づいて第1リンク用データテーブル90が更新される。具体的には、ラム用カム55の第1リンクポイントJ1と第2リンクポイントJ2との間隔θ10(初期状態で90°可変)にて、トランスファ用カム65の第1リンクポイントP1と第2リンクポイントP2との間隔θ1(90°で固定)が除されて単位角δが演算される。そして、トランスファ用カム65の第1リンクポイントP1から第2リンクポイントP2の範囲に単位角δの間隔で設定される複数のトランスファ用カム65の回転位置が、それらと同数のラム用カム55の第1リンクポイントJ1から第2リンクポイントJ2の間の1°刻みの回転位置に対応づけられる。これと同様の処理が、ラム用カム55の第2リンクポイントJ2から第3リンクポイントJ3の範囲とトランスファ用カム65の第2リンクポイントP2〜第3リンクポイントP3の範囲との間、ラム用カム55の第3リンクポイントJ3から第4リンクポイントJ4の範囲とトランスファ用カム65の第3リンクポイントP3〜第4リンクポイントP4の範囲との間、さらには、ラム用カム55の第4リンクポイントJ4から第1リンクポイントJ1の範囲とトランスファ用カム65の第4リンクポイントP4〜第1リンクポイントP1の範囲との間で行われて、前述の如く、ラム用カム55の1°刻み360点分の回転位置に対し、トランスファ用カム65の360点分の回転位置が対応づけられるように第1リンク用データテーブル90が更新される。
上記処理を行うために、データ更新プログラムPG1には、図9に示すように、第1〜第4のリンクポイントJ1〜J4、P1〜P4に対応するディメンジョンデータとしてJ(n)、P(n)が設けられ、最初にJ(5)=J(1),P(5)=P(1)、n=0の初期設定が行われる(S10)。そして、カウンタnが1つインクリメントされ(S11)、ラム用カム55の隣り合うリンクポイントJ(n)−J(n+1)の間隔L(n)が演算される(S12)。そして、ラム用カム55の隣り合うリンクポイントJ(n)−J(n+1)に対応するトランスファ用カム65の隣り合うリンクポイントP(n)−P(n+1)を、上記した間隔L(n)で除して上述の単位角δ(n)が演算される(S13)。そして、トランスファ用カム65の第1リンクポイントP(n)から第2リンクポイントP(n+1)の範囲に単位角δ(n)の間隔で設定される複数のトランスファ用カム65の回転位置P(n)+δ(n)×m(m=1,2,・・・)が、それらと同数のラム用カム55の第1リンクポイントJ1から第2リンクポイントJ2の間の1°刻みの回転位置に対応づけられる(S14〜S17)。これらラム用カム55の隣り合うリンクポイントJ(n)及びJ(n+1)と、トランスファ用カム65の隣り合うリンクポイントP(n)及びP(n+1)との間で回転位置の対応付けを行ってから(S18のループ)、このデータ更新プログラムPG1を終了する。
ここで、図6(A)で示したラム用カム55の第1と第2のリンクポイントJ1,J2の間隔θ10のように、トランスファ用カム65の第1と第2のリンクポイントP1,P2の間隔θ1と同じ間隔である場合には、その間隔θ10で間隔θ1が除されたときの単位角δが1°になる(図10(A)と図10(B)との関係参照)。この場合、リンクポイントの間では、トランスファ用カム65がラム用カム55と同じ角速度で回転することになる。
また、図6(A)で示したラム用カム55の第1と第2のリンクポイントJ'1,J'2の間隔θ'10のように、トランスファ用カム65の第1と第2のリンクポイントP1,P2の間隔θ1より小さい間隔である場合には、その間隔θ10で間隔θが除されたときの単位角δが1°より大きくなり、それらリンクポイントの間では、図10(C)及び図(D)の右半分に示すように、トランスファ用カム65がラム用カム55より速い角速度で回転することになり、それの逆の場合は、図10(C)及び図(D)の左半分に示すように、トランスファ用カム65がラム用カム55より遅い角速度で回転することになる。
よって、上記した範囲対応データテーブル92が初期状態の内容でデータ更新プログラムPG1が実行されて第1リンク用データテーブル90が更新されたときには、ラム用カム55における1°刻みの360点分の回転位置に対して、トランスファ用カム65における1°刻みの360点分の回転位置が対応付けされ、ラム用カム55と同じ角速度でトランスファ用カム65が回転するように第2サーボモータ61が制御される。
そして、図8の上欄と中欄とに示されたラム用カム55のカム曲線g1と及びトランスファ用カム65のカム曲線g2のように、ラム用カム55とトランスファ用カム65とサイクル原点C1,C2から位相が45°進んだところで、ラム用カム55が第1リンクポイントJ1となると共にトランスファ用カム65が第1リンクポイントP1となり、更に位相が90°進んだところで、ラム用カム55が第2リンクポイントJ2となると共にトランスファ用カム65が第2リンクポイントP2となり、更に位相が90°進んだところで、ラム用カム55が第3リンクポイントJ3となると共にトランスファ用カム65が第3リンクポイントP3となり、更に位相が90°進んだところで、ラム用カム55が第4リンクポイントJ4となると共にトランスファ用カム65が第4リンクポイントP4となり、更に位相が45°進んだところで元の状態に戻る。
ところで、ワークの形状やパンチの長さに応じてラム用カム55に対するトランスファ用カム65の動作タイミングを変更することが好ましい場合がある。その一例として、例えば、上記初期状態の設定に基づいて制御を行うと、図8の上欄と中欄とに示すようにラム18とトランスファスライド35のうち何れか一方の動作中は他方が完全に停止し、他方が動作中は一方が完全に停止する。しかしながら、ワークやパンチの形状によっては、トランスファスライド35がワークやパンチと干渉しない範囲でラム18の動作中にトランスファスライド35を動作させることができるように変更することができる。また、そのように変更すれば、トランスファスライド35の停止時間が短くなる分、動作時間が長くなり、トランスファスライド35が受ける衝撃が抑えられ、その結果、サイクルタイムを短くすることが可能になる。
その一例として、図7の下段側と図8の下欄とには、初期状態から変更されたラム用カム55の第1〜第4のリンクポイントJ'1〜J'4の一例が示されている。それら変更後の第1〜第4のリンクポイントJ'1〜J'4に対応するラム用カム55上の回転位置は、100°、170°、282°、373°になっていて、それらのラム用カム55の位相は、55°、125°、237°、308°になっている。
そして、変更後の範囲対応データテーブル92から生成した第1リンク用データテーブル90に基づいて第2サーボモータ61が制御されたときには、図8の上欄と下欄とに示すようにラム用カム55の位相がサイクル原点C1から55°進んだところで、ラム用カム55が第1リンクポイントJ'1となると共にトランスファ用カム65が第1リンクポイントP1となる。このとき、ラム用カム55が55°回転する間にトランスファ用カム65は、45°(=180°−135°)回転することになり、トランスファ用カム65がラム用カム55より遅く回転する。
そこから更に位相が進んで、ラム用カム55が第2リンクポイントJ'2となるときにトランスファ用カム65が第2リンクポイントP2となる。このとき、ラム用カム55が70°回転する間にトランスファ用カム65は、90°(=270°−180°)回転することになり、トランスファ用カム65がラム用カム55より速く回転する。
そこから更に位相が進んで、ラム用カム55が第3リンクポイントJ'3となるときにトランスファ用カム65が第3リンクポイントP3となる。このとき、ラム用カム55が112°回転する間にトランスファ用カム65は、90°(=360°−270°)回転することになり、トランスファ用カム65がラム用カム55より遅く回転する。
そこから更に位相が進んで、ラム用カム55が第4リンクポイントJ'4となるときにトランスファ用カム65が第4リンクポイントP4となる。こののとき、ラム用カム55が71°回転する間にトランスファ用カム65は、90°(=90°−0°)回転することになり、トランスファ用カム65がラム用カム55より速く回転する。
このように範囲対応データテーブル92を変更することで、トランスファ用カム65がラム用カム55とは異なる角速度で回転し、トランスファスライド35が右死点又は左死点に位置して停止している間は、トランスファ用カム65が比較的高速で回転する一方、トランスファスライド35の動作中はトランスファ用カム65が比較的低速で回転する動作に変更される。そして、ラム18に対するトランスファスライド35の動作タイミングが変更されて、トランスファスライド35の停止時間が短くなる分、動作時間が長くなる。これにより、トランスファスライド35が受ける衝撃が抑えられ、その結果、サイクルタイムを短くすることが可能になる。
以上、本実施形態のトランスファプレス機10の特徴的な構成を纏めると、主動カムであるラム用カム55に従動するトランスファ用カム65の1回転が、第1及び第2のリンクポイントP1〜P2の間の回転域と、第2及び第3のリンクポイントP2〜P3の間の回転域と、第3及び第4のリンクポイントP3〜P4の間の回転域と、第4及び第1のリンクポイントP4〜P1の間の回転域と4つの回転域に予め分割され、それら回転域毎にラム用カム55の位相範囲が対応付けされた範囲対応データテーブル92が設けられている。そして、位置センサ89にて検出されるラム用カム55の位相とトランスファ用カム65の回転位置との対応が、範囲対応データテーブル92の通りになるように第3サーボモータ71が制御される。
ここで、範囲対応データテーブル92は、回転域に対応させる位相範囲を変更するための可変パラメータとして、ラム用カム55の第1〜第4のリンクポイントJ1〜J4を備えているので、トランスファ用カム65を新たに製作することなしに、ラム18に対するトランスファ装置30の動作タイミングの仕様変更が可能になる。また、トランスファ用カム65を利用しているので、トランスファ用カム65による力の増幅効果を得ることができかつ従来技術で述べたデータ変更の手間も軽減される。これらにより、低コストで上記仕様変更を行うことが可能になる。
また、前記4つの回転域は、トランスファ用カム65のカム曲面65Kを構成する第1死点領域65A、第1動作領域65B、第2死点領域65C、第2動作領域65Dに対応させて設けられているので、可変パラメータ(ラム用カム55の第1〜第4のリンクポイントJ1〜J4)の変更により、ラム18に対するトランスファスライド35の停止タイミングと動作タイミングとを容易にイメージして変更することができる。
しかも、ラム用カム55とトランスファ用カム65とが共に1サイクルで1回転するので、トランスファ用カム65の角速度がラム用カム55の角速度より速くなる領域と遅くなる領域とが設定されることになり、この点においても、ラム18に対するトランスファスライド35の動作タイミングの仕様変更のイメージが容易になる。
また、予め設定された単位間隔(1°刻み)で位相範囲に含まれる複数の途中位相を、その位相範囲に対応する回転域内の複数の途中回転位置を割り付けて第1リンク用データテーブル90を更新し、その第1リンク用データテーブル90に基づいて位置センサ89の検出結果が各途中位相になるときに、トランスファ用カム65が各途中回転位置になるように制御するので、ラム18に対するトランスファスライド35の従動動作が安定する。
以上により、トランスファプレス機10においてワーク形状やパンチ形状、サイクルタイムの変更の自由度が高くなる。なお、前記可変パラメータのデータ変更は、コンソール86で行えるようにしてもよいし、ROM84等のメモリチップの交換等によってのみ変更可能としてもよい。
[第2実施形態]
本実施形態は、データ更新プログラムPG2の処理が前記第1実施形態と異なる。即ち、前記第1実施形態のデータ更新プログラムPG1では、図10(C)及び図(D)に示すように、トランスファ用カム65の第1リンクポイントP(n)から第2リンクポイントP(n+1)の範囲に割り付けられる回転位置P(n)+δ(n)×m(m=1,2,・・・)の間隔である単位角δ(n)と、その隣の第1リンクポイントP(n+1)から第2リンクポイントP(n+2)の範囲に割り付けられる回転位置P(n+1)+δ(n+)×m(m=1,2,・・・)の間隔である単位角δ(n+1)とが異なる場合に、それらの差分Δ(=δ(n+1)−δ(n))が大きいと問題になり得る。
これに対し、本実施形態のデータ更新プログラムPG2は、差分Δが,予め定められた一定基準値以上であった場合には、図10(E)に示すように、一定曲率のカム曲面を有する第1死点領域65A及び第2死点領域65C側の単位角δが、それらの隣の第1動作領域65B、第2動作領域65Dの単位角δに徐々に近づくように変化させるように構成されている。
具体的には、図11に示すように、本実施形態のデータ更新プログラムPG2は、上記第1実施形態のデータ更新プログラムPG1のステップS18の次に、トランスファ用カム65の第1死点領域65Aのうち第1動作領域65B側の半分の角度(本実施形態では45°)に割り付けられた回転位置P(1)+δ(1)×mの単位角δ(1)と第1動作領域65Bに割り付けられた回転位置P(2)+δ(2)×mの単位角δ(2)との差分Δ(=δ(1)−δ(2))を求める(S21)。
そして、その差分Δが、一定の基準値Ω以上であったときに(S22でYES)、予め定められた一定の調整値εを使用して対応付け修正処理(S23)を行う。即ち、δ(1)がδ(2)より大きい場合には、第1死点領域65Aのうち第1動作領域65B側の半分の回転位置P(1)+δ(1)×mを、第1動作領域65Bに近い側から、回転位置P(1)+δ(2)+ε、P(1)+δ(2)+ε×2、P(1)+δ(2)+ε×3、・・・・と変更しなおして、ε×kがΔより大きくなる1つ手前までこの処理を繰り返す。一方、δ(1)がδ(2)より小さい場合には、第1動作領域65Bに近い側から、回転位置P(1)+δ(2)−ε、P(1)+δ(2)−ε×2、P(1)+δ(2)−ε×3、・・・・と変更しなおして、ε×kがΔより小さくなる1つ手前までこの処理を繰り返す。
これと同様の処理を、第1動作領域65Bと第2死点領域65Cとの間、第2死点領域65Cと第2動作領域65Dとの間、第2動作領域65Dと第1死点領域65Aとの間で行う(S24のNOのループ)。
本実施形態の構成によれば、トランスファ用カム65の角速度が途中で変わるときの加減速をスムーズに行うことができる。
[他の実施形態]
(1)前記各実施形態では、従動部であるトランスファ用カム65の従動対象である主動部のラム用カム55が、トランスファ用カム65と同周期で1回転する構成であったが、従動部と主動部とが異なる周期で1回転するものであってもよい。この場合の例として、主動部が複数回回転するサイクル動作を行うときに、従動部が丁度一回転するサイクル動作を行う構成が挙げられる。
(2)従動部であるトランスファ用カム65の従動対象である主動部は、回転するものに限定されず、例えば、直動するもの、揺動するものであってもよい。具体的には、XYテーブルのX軸にボール螺子を備え、Y軸に従動カムを設けてボール螺子の直動出力に対してY軸の従動カムを従動させてもよい。
(3)上記実施形態において、トランスファ用カム65の外形とラム用カム55の外形は、相似していなくてもよく、異なっていてもよい。
(4)上記実施形態では、トランスファ用カム65のカム曲面65Kが、一定曲率で連続する死点領域(第1死点領域65A、第2死点領域65C)と、曲率が徐々に変化する動作領域(第1動作領域65B、第2動作領域65D)とが設けられた構成となっていたが、動作領域のみから構成されていてもよい。また、この構成を、ラム用カム55に適用してもよい。
(5)上記実施形態では、主動部の位相を検出する位置センサ89が、カム支持シャフト54の回転位置を検出するものであったが、カム支持シャフト54に連動する他の部材の位置(例えば、ラム18の直動位置、ギヤの回転位置等)を検出するものであってもよい。
(6)上記実施形態の産業機械は、主動部とそれに従動した従動部とが、それぞれラム18とトランスファスライド35とからなる構成であったが、これに限定されるものではなく、主動部がサイクル動作を繰り返し、従動部が主動部に従動したサイクル動作を行う構成であればよい。
(7)前記各実施形態では、産業機械が、トランスファ用カム65とラム用カム55との対応関係が変更可能な構成であったが、それらの対応関係が変更不可能な構成であってもよい(例えば、このような構成は、下記の<付記>に記載の産業機械の構成に含まれる。)。この構成においても、トランスファ用カム65の角速度とラム用カム55の角速度とが異なる範囲を1サイクル中に設定可能とすれば、同一形状のカムを使用した場合でも、ラム18とトランスファスライド35の動作タイミングの設定を異ならせることが可能となり、設定の自由度を高めることが可能となる。
<付記>
上記開示には、以下の構成を特徴とする産業機械が含まれる。
「サイクル動作を繰り返す主動部と、
前記主動部から機械的に分断され、前記主動部とは別の駆動源であるサーボモータから動力を受けて前記主動部に従動したサイクル動作を繰り返す従動部と、
前記従動部に含まれ、前記主動部の1サイクル中に1回転する従動カムと、
前記従動カムの1回転が予め複数の回転域に分割されて、それら回転域毎に前記主動部の位相範囲が対応付けされた範囲対応データテーブルと、
前記主動部の位相を検出する位置センサと、
前記位置センサにて検出される前記主動部の位相と前記従動カムの回転位置との対応が、前記範囲対応データテーブル通りになるように前記サーボモータを制御するモータ制御部とを備え、
前記範囲対応データテーブルは、前記位相範囲で、対応する前記回転域を除して得られる単位角が前記回転域同士の間で異なるように設定された産業機械。」
10 トランスファプレス機
18 ラム
30 トランスファ装置
35 トランスファスライド
51 第1サーボモータ
55 ラム用カム
61 第2サーボモータ
71 第3サーボモータ
80 コントローラ
81 制御基板
85 フラッシュメモリ
89 位置センサ
90 第1リンク用データテーブル
91 第2リンク用データテーブル
92 範囲対応データテーブル
J1〜J4 第1〜第4リンクポイント
P1〜P4 第1〜第4リンクポイント

Claims (7)

  1. サイクル動作を繰り返す主動部と、
    前記主動部から機械的に分断され、前記主動部とは別の駆動源であるサーボモータから動力を受けて前記主動部に従動したサイクル動作を繰り返す従動部と、
    前記従動部に含まれ、前記主動部の1サイクル中に1回転する従動カムと、
    前記従動カムの1回転が予め複数の回転域に分割されて、それら回転域毎に前記主動部の位相範囲が対応付けされた範囲対応データテーブルと、
    前記主動部の位相を検出する位置センサと、
    前記位置センサにて検出される前記主動部の位相と前記従動カムの回転位置との対応が、前記範囲対応データテーブル通りになるように前記サーボモータを制御するモータ制御部と、
    前記範囲対応データテーブルに設けられ、前記回転域に対応させる前記位相範囲を変更するための可変パラメータと、を備える産業機械。
  2. 前記従動カムのカム曲面は、一定曲率で連続する死点領域と、曲率が徐々に変化する動作領域とを交互に配置してなり、前記複数の回転域は、前記死点領域と前記動作領域とに対応させて設けられている請求項1に記載の産業機械。
  3. 予め設定された単位間隔で前記位相範囲に含まれる複数の途中位相を、その位相範囲に対応する前記回転域内の複数の途中回転位置を割り付ける割り付け処理部が備えられ、
    前記モータ制御部は、前記位置センサの検出結果が各前記途中位相になるときに、前記従動カムが各前記途中回転位置になるように前記サーボモータを制御する請求項1又は2に記載の産業機械。
  4. 前記割り付け処理部は、隣り合う前記回転域同士の間で前記途中回転位置の分布密度が異なる場合に、それら回転域同士の境界近傍で前記途中回転位置同士の間隔が徐々に変化するように前記途中回転位置を割り付ける請求項3に記載の産業機械。
  5. 前記主動部には、1サイクル中に1回転する主動カムが備えられている請求項1乃至4の何れか1の請求項に記載の産業機械。
  6. 前記主動部には、複数のパンチが一列に並べて固定されるラムが含まれ、
    前記従動部には、複数のパンチによって加工される複数のワークを前記複数のパンチの並び方向に間欠的に搬送するワーク搬送部が含まれている請求項5に記載の産業機械。
  7. 前記可変パラメータのデータを変更するためのコンソールを備える請求項1乃至6の何れか1の請求項に記載の産業機械。
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