JP2019177305A - オゾン水生成器 - Google Patents

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Abstract

【課題】電気分解中に生成するスケールを取り除く作業が容易であり、構造が簡素で使い勝手のよい電気分解によるオゾン水生成器を提供する。【解決手段】オゾン水生成器は、容器と容器の開口部に着脱自在に装着される蓋体を有し、蓋体に取り付けられた支柱の先端部に支持されたメッシュ状の板状体からなる陽極板と、容器を陰極として陽極板と容器との間に直流電圧を印加する直流電源とを備え、陽極板が陰極である容器の底面に平行に対向して近接配置されている。このオゾン水生成器において、前記支柱には長手方向に貫通孔を形成し、該貫通孔に前記直流電源の正極に電気的に接続される通電部材を導入して、該通電部材を陽極板に接合することができる。【選択図】図1

Description

本発明は、水の電気分解によるオゾン水生成器に関する。
オゾン水は、殺菌・洗浄能力に優れ、残留性がなく環境負荷もほとんどないことから、手の除菌や口腔内の除菌消臭、野菜などの食材の洗浄など様々な用途に使用されている。
オゾン水を生成するには、水を電気分解する方法、オゾンガスに圧力をかけ水に溶かし込む方法などがある。
電気分解による方法は、特許文献1に記載されているように、容器内に一対の電極(陽極および陰極)を配置し、電極間に所定の時間、直流を印加して、容器内に蓄えられた水を電気分解することによって発生したオゾンを溶存させることによりオゾン水を生成するものである。
水道水などの水には、CaやMg、Si、Fe、Zn、Cuなどの種々の金属イオンを含んでおり、電気分解の継続にともなって、陰極側の電極表面には、これらの金属イオンが酸化物や水酸化物として析出し、スケールと呼ばれる硬質の被膜を形成する。
スケールが陰極側の電極表面に形成されると、電気抵抗が上昇して、その結果、電気分解電流が減少して電気分解を妨げ、オゾンの発生を低減させる。
この対策として、(a)電気分解される水として純水もしくは精製水などの硬度の低い軟水を使用して電気分解して、スケールの生成を抑える。(b)一定時間経過するたび毎に電極ユニットを交換する。(c)電極にスケールが付着した場合には、クエン酸溶液を用いて電極板を洗浄して化学的に取り除くか、あるいはブラシを使用して物理的に取り除く、などが考えられる。
しかし、(a)の対策は、特許文献1に記載されているオゾン水生成器でも採用されているが、純水や硬度の低い軟水は、上水道からは得られないため、入手が容易ではなく、運搬などの手間が掛かり、購入するとなれば、コストもかさむ。また、硬度の低い軟水を使用しても、繰り返し使用している間に、陰極にスケールが蓄積することは避けられない。(b)の対策は、電極ユニットの交換に手間が掛かるのみならずコストがかさみ、ユーザー本位ではない。(c)の対策も以下に記載するように問題点がある。
電極同士は、通常、電解槽において0.2〜1.6mm程度の間隙を保って、接近した位置に対向して配置されて取り付けられ、また陽極側の電極は、電気分解が安定して効率よく行われるために、チタン板材を網目状に形成して白金を蒸着またはメッキしたものやさらにこれを筒状もしくは籠状に成形したものが広く使用されている。
陰極側の電極の表面に付着したスケールを除くためには、装置の電極部を分解して取り出し、電極部に合わせて、狭い空間に装入できるようなブラシなどの特別の手段でこすったりすることが必要であるが、電極を破損することなくスケールを取り除くためには細心の注意を必要とする。高価なチタン材に白金を蒸着またはメッキした電極では、ブラシ洗浄により高価な白金メッキが剥離するおそれや摩滅するおそれがあった。
物理的手段に拠らず、クエン酸などの酸により、スケールを洗い流すことも考えられるが、シリカ系や酸化が進んだ酸化物のスケールは酸によっても容易には溶解せず、十分に除去することが困難であった。
スケールの蓄積の問題を別にしても、従来の電気分解によるオゾン水生成器は、陽極と陰極を容器内に取り付けているために、容器の内表面や電極および電極支持部材を洗浄して、衛生的に良好な状態に保つメンテナンスは、容器内に電極部を取り付けた状態では十分には行うことができないため、電極部を取り外して行わねばならず、手間の掛かるものであった。
特開2015−42397号公報
このように、従来のオゾン水生成器では、上水道などの水を電気分解して、オゾン水を発生させた場合、陰極部にスケールの蓄積は避けられず、陰極部のスケールを取り除くことが容易ではなく、この作業により、電極部を破損するおそれもあった。また、容器内表面や電極および電極支持部材を衛生的に保つ洗浄のメンテナンスに手間が掛かるものであった。
本発明は上記の問題を解決する、構造が簡素で使い勝手のよい電気分解によるオゾン水生成器を提供するものである。
上記課題を解決するために、以下の手段を採用する。
[1]容器と容器の開口部に着脱自在に装着される蓋体を有し、容器に蓄えられた水を電気分解してオゾン水を生成するオゾン水生成器であって、蓋体に取り付けられた支柱の先端部に支持されたメッシュ状の板状体からなる陽極板と、容器を陰極として陽極板と容器との間に直流電圧を印加する直流電源とを備え、陽極板を陰極である容器の底面に平行に対向して近接配置したことを特徴とするオゾン水生成器。
[2]前記蓋体に取り付けられた支柱には長手方向に貫通孔が形成され、該貫通孔に前記直流電源の正極に電気的に接続される通電部材が導入され、かつ該支柱の先端部に支持されている陽極板と該通電部材の端部とが接合されていることを特徴とする[1]に記載のオゾン水生成器。
[3]前記陰極である容器の底面と該底面に平行に対向して近接配置される前記陽極板の下面との間隙が2〜10mmの範囲内になるように、陽極板が前記蓋体に取り付けられた支柱の先端部に支持されていることを特徴とする[1]又は[2]に記載のオゾン水生成器。
[4]前記メッシュ状の板状体からなる陽極板がメッシュ状の絶縁性被膜で被覆されていることを特徴とする[1]乃至[3]のいずれかに記載のオゾン水生成器。
[5]前記メッシュ状の板状体からなる陽極板がメッシュ状のチタン板に酸化イリジウムを焼き付けたものであることを特徴とする[1]乃至[4]のいずれかに記載のオゾン水生成器。
[6]前記容器の外周面が絶縁性の被膜で被覆されていることを特徴とする[1]乃至[5]のいずれかに記載のオゾン水生成器。
[7]前記容器は、開口部が底面よりも面積が広い円錐台状であることを特徴とする[1]乃至[6]のいずれかに記載のオゾン水生成器。
本発明のオゾン水生成器は、水を蓄える容器を陰極として、蓋体に取り付けた陽極板と容器との間に直流電圧を印加する構成であるから、スケールは陰極としての容器の内表面に付着する。このため、電気分解後に付着したスケールを取り除くための作業は、蓋体を容器の開口部から取り外した後に、日常行っている食器を洗う要領で、例えば、スポンジたわしなどで擦り洗いすることを容器の内表面に対して行えばよく、容易に実施できるものであるので、従来のように電極部のスケールを取り除くために、電極部を分解することもなく、格別の手段を必要とするものでもない。また、スケールを取り除く作業によって電極部を傷つけたりすることもない。したがって、この作業の後に次回使用するときは、陰極としての容器にスケールが付着していない状態で使用することができるため、電気分解の効率が落ちることがない。このことから、オゾン水生成器の耐用年数を長くすることができ、また、電気分解の対象となる水として、純水のみならず、比較的硬度の高いものでも使用することが可能となる。
さらに、容器を陰極として、蓋体に陽極板を取り付けた簡素な構造であるから、蓋体を容器の開口部から外すと同時に陽極板も容器から除かれるため、容器の蓄えられたオゾン水を直ちに使用することができ、また容器と陽極板を個別に洗浄できるため、オゾン水生成器を手軽に衛生的にメンテナンスすることも容易である。
本発明のオゾン水生成器の構造を模式的に示す。 本発明のオゾン水生成器の先端部に陽極板を支持した支柱が取り付けられた蓋体および容器の斜視図を示す。 本発明のオゾン水生成器の通電部材の端部に接合された陽極板と陽極板を被覆する絶縁性被膜を示す。(a)は通電部材の下端部につば状部が形成されていないものを示す。(b)は通電部材の下端部につば状部が形成されているものを示す。 本発明のオゾン水生成器の異なる一実施形態を模式的に示す。 本発明のオゾン水生成器の異なる一実施形態を模式的に示す。 メッシュ状金属板を示す。
本発明の実施形態を図面に基づいて詳しく説明する。
図1は、本発明のオゾン水生成器の断面構造を模式的に示したものである。ここで、1はオゾン水生成器、2は容器、3は容器2内に配置される陽極板、4は陽極板3と容器2との間に直流電圧を印加する直流電源である。容器2は、電気分解の対象となる水が蓄えられるものであり、電気分解での陰極を兼ねるものである。
5は蓋体であり、容器2の開口部に着脱自在に装着されるものである。6は棒状の通電部材、7は長手方向に貫通孔が形成された支柱である。通電部材6および支柱7は蓋体5に取り付けられている。電気分解時には、後述するように、陽極板3と容器2(陰極)の間には直流電源4から直流電圧が印加される。8は絶縁性被膜である。なお、図1中の『○』『◎』『●』については後述する。
容器2は、上方が開口した有底の筒状のものであり、電気分解される水道水などの水が蓄えられるものであるとともに、電気分解する際に陰極として機能し、陽極板3との間に直流電圧が印加されるものである。
容器2の外周面は、陰極としての容器2の外周面から電気分解の電流が外部に漏れないように絶縁性の被膜8で被覆することが望ましい。
図1から分かるように、陰極としての容器2と直流電源4の負極(−極)とを電気的に接続し、かつ陽極板3と通電部材6を介して直流電源4の正極(+極)とを電気的に接続することにより、陽極板3と陰極としての容器2との間に直流電圧を印加することができる。
容器2と直流電源4の負極との電気的接続は、直流電源4の負極に配線で接続された通電用端子(図1では図面番号なし)を容器2に当接させることにより行うことができる。
陽極板3はメッシュ(網目)状の板状体であり(図6参照)、図1および図2から分かるように、支柱7の一方の先端部(図1では下端部側)で支持されている。陽極板3の形状は、円形でも多角形でもよいが、容器2の底面の形状に合わせると陽極板3の面積を最大にすることができる。
陽極板3をメッシュ状にすると、網目の間隙に水やガスが通過でき、電極の表面積も増えるから、電気分解によるオゾンの発生が効率よく行える。
陽極板3の中央部には支柱7の貫通孔に導入されている通電部材6の一方の端部(図1では下端部)が接合されている。そして、通電部材6の他方の端部は、陽極板3の上面から蓋体5の下面まで支柱7の貫通孔に包囲された状態で蓋体5内に達し、蓋体5に取りつけられている。そして、通電部材6の他方の端部(図1では上端部)は、蓋体5内で電源4の正極(+極)からの端子と電気的に導通するように配線が施されている。
陽極板3の中央部と通電部材6の端部との接合は、図3(a)に示すように、通電部材6の端部に陽極板3の中央部を接触させて、例えばスポット溶接などの溶接により接続することができる。また、接合しやすいように、通電部材6の端部を、図3(b)に示すように、つば状部(フランジ)を形成して接触個所を増やしてもよい(この場合、接触個所の複数個所でスポット溶接をすることができる)。あるいは、該端部を含む部位をL字状に折り曲げてその曲げ部に陽極板3の中央部を接合することもできる。
支柱7は、上述したように、一方の先端部で陽極板3を支持しているが、他方の先端部で蓋体5に固定して取り付けられている。支柱7の先端部を蓋体5に固定するには、例えば、該先端部につば状部(フランジ)を設けて、該つば状部の部位で蓋体にネジ止めすることなどにより行うことができる。
蓋体5は、電気分解の電流が蓋体5を介して容器2や該蓋体5に接触する外部の物品に漏れないように、合成樹脂材のような絶縁性の材料で構成することが望ましく、少なくとも通電部材6を支持する部位を、合成樹脂材のような絶縁性の材料で構成する必要がある。
同様に、支柱7も、陽極板3や通電部材6に流れる電気分解の電流が蓋体5を介して蓋体5に接触する外部の物品に漏れないように、合成樹脂材のような絶縁性の材料で構成する必要がある。
電気分解時には、蓋体5が容器2の開口部に装着されて、支柱7は上端部を除いて大部分が容器2に蓄えられた水に浸漬され、同時に陽極板3も水に浸漬された状態で容器2の底面に近接配置される。このとき、陽極板3は陰極としての容器2の底面と平行に対向させて配置する。このとき、陽極板3が容器に接触しないようにしなければならない。
電気分解の印加電圧をできるだけ小さくするために、オゾン水生成器の陽極と陰極の電極同士の距離は小さいほどよい。このことから、通常、オゾン水生成器の陽極と陰極の電極同士の間隙は、0.2〜1.6mm程度の間隙になるようにしていた。
しかし、陰極としての容器2の底面に平行に陽極板3を近接配置した場合、容器2の底面と陽極板3の下面との距離がある一定以下の距離になると、電気分解によって生成された酸素やオゾンの気泡が陽極板3と容器2の間隙の中から抜け難くなって滞留し、陽極板3と容器2の間隙の中の水を追い出すために電気分解電流を減少させ、電気分解が減弱してオゾンの発生が減少してしまうので、気泡が抜け易く、かつ、適度な電気分解電流が流れる適度な間隔にするのが好ましい。このような理由から、陽極板3の下面と容器2の底面との間の距離は、2〜10mm程度の間隙になるようにするのが望ましい。
容器2の開口部に蓋体5を装着して電気分解を行っているときに、振動などで陽極板3が容器2の底面やその近傍の側面に接触して陽極板3と容器2とが電気的に導通しないように、図3に示すように、陽極板3をメッシュ(網目)状の絶縁性の被膜13で包囲するように覆ってもよい。このとき、被膜13が陽極板3の網目を塞がないようにする。被膜13の網目は陽極板3の網目よりも細かくても大きくてもよい。
陽極板3の外面をメッシュ(網目)状の絶縁性の被膜13で覆うには、支柱7内を導かれた通電部材6と陽極板3を接合した後に、陽極板3をメッシュ(網目)状の絶縁性の被膜13で包囲し、次いで陽極板3の縁部近傍の該被膜13を熱シールして行うことができる。
また、電気分解時には、蓋体5と容器2内の水面との間の空間に、水に溶解できなかった水素ガスや少量の酸素ガス、オゾンガスが蓄積し、圧力が高まるので、蓋体5には大気に通じる孔を設けたり、蓋体5の枠部を除く部位をメッシュ状にしたりして、ガスを大気に逃がすことが望ましい。
なお、大気に逃れるガスのオゾン濃度は、0.1ppmをこえると人体に有害であるとされているが、本実施形態の生成器では、極めて低濃度であり、この値を超えることはない。
陽極板3と容器2との間に直流電圧を印加する直流電源4として、コンセントから供給される交流電源の交流を直流に変換するACアダプターを直流電源4とすることができる。あるいは、リチウム電池などの電池を直流電源として使用することができる。水道水を電気分解してオゾンを発生させるには、酸素を発生させる時よりも高いエネルギーを必要とするために、高い直流電圧が必要となるから10〜30Vの直流電圧を印加することが好ましい。
水の電気分解が始まると、陽極板3の表面から酸素とオゾンの気泡が発生し、陰極を兼ねる容器2の底面及び側面の内表面からは水素の気泡が発生する。図1では、陽極板表面から発生したオゾンの気泡を◎で、酸素の気泡を白丸(○)で、容器2の内表面から発生する水素の気泡を黒丸(●)で、それぞれ模式的に示している。
なお、オゾンと水素は以下の反応1)、2)で発生する。
(陽極)3HO→O+6H+6e・・・1)
(陰極)6H+6e→3H ・・・2)
オゾンの発生する過程では初めに酸素(O)が発生するが、これは酸素生成(2HO→O+4H+4e)の電解電圧がオゾン生成の電解電圧よりも低いためである。
電気分解が継続すると、容器2(陰極)の内面では水素ガスの気泡の発生と離脱が進行するとともに、陽極板3の表面からオゾンと酸素の気泡の発生と離脱が進行する。オゾンの一部は水に溶解し、オゾン水が生成される。水素ガスも同様に一部は水に溶解する。残りの水に溶解しなかったガスは浮上する。
水素ガスの気泡は、陽極と陰極とを接近して容器内に配置した従来技術のオゾン水生成器と異なり、容器内面の広い範囲で発生するから、離脱しやすくオゾン発生の効率が向上する。また、容器の形状を開口部が底面よりも面積が大きい円錐台状の形状にすると、容器の内面から水素ガスがさらに離脱しやすい。
電気分解の進行に伴って、水に含まれるCaやMg、Si、Fe、Zn、Cuなどがスケールとなって、陰極としての容器の内面、とりわけ容器の底面および底面近傍の部位に蓄積する。スケールは、電解終了後に、容器に研磨剤付きのスポンジたわしなどを挿入して擦ることにより容易に洗い除くことができる。
容器2は、金属材料で製作することができ、不銹性の金属材料、例えばアルミニウム合金材やステンレス鋼材、とりわけNiを6〜13%およびCrを16〜20%含有するオーステナイト系ステンレス鋼材が好ましい。
陽極側の電極は水中にイオン化して溶解したり、酸化したりする。不溶性電極であるチタン板は、表面が酸化してTiOになり不溶化するが、TiOは耐蝕性ではあるが不導体化するので、陽極側の電極には、チタン板に白金メッキや白金コートを行って酸化を防止するとともに導電性を維持させたものが使用できる。
通電部材6も、表面が酸化して不溶化し、電気分解中に溶出しないチタン材を使用することが望ましい。
上記の陽極板よりもさらにオゾンをより効率よく発生させるには、酸化物でありながら導電性を示す酸化イリジウムを焼付コートしたチタンを陽極とすることがオゾン生成用の不溶性電極として適している。このようなことから、メッシュ状のチタン板に酸化イリジウムを焼き付けたものを陽極板3として使用することが望ましい。
なお、メッシュ状の金属板は、エキスパンドメタルやパンチングメタルなどのメッシュ状の金属材料(図6参照)から製作することができる。
図4に、容器2と直流電源4の負極との電気的接続を台座部9から突出する通電用端子10を介して行う実施形態を模式的に示した。台座部9には板バネ11が収納されており、この板バネ11に通電用端子10が設けられ、板バネ11の付勢により、台座部9に置かれた容器2の底面に当接することができる。
ここでは、この板バネ11は、屈曲した金属片からなり、その上辺部に通電用端子10が固定されており、その下辺部が台座部9の取付座に固定されている。なお、通電用端子10が容器2の底面を当接する機構は、図4に示すものに限るものではない。
容器2の外周面は、陰極としての容器2の外周面から電気分解の電流が外部に漏れないように絶縁性被膜8を施すことが望ましいが、図4に示すものでは、陰極としての容器2への通電が可能となるように、容器2の外周部のうち、底部外周面の通電用端子10が接触する部位およびその近傍には絶縁性被膜8を施していない。
したがって、容器2がステンレス材製であれば、この通電用端子10が接触する部位お
よびその近傍には容器2のステンレス材が露出し、通電用端子10が容器2の底面のステンレス材に直接当接する。そして、通電用端子10が接触する部位およびその近傍以外の容器2の外周面は絶縁性被膜8が施されており、陰極としての容器2の外周面から電気分解の電流が外部に漏れないようになっている。なお容器2に把っ手を設ける場合は把っ手の外周面にも絶縁性被膜を形成する。
図5に、容器2と直流電源4の負極(−極)との電気的接続を蓋体5に取り付けた板バネ12を介して行う実施形態を模式的に示した。
この実施形態では、板バネ12の一方の端部(上端部)が蓋体5の周縁部近傍の部位に取り付けられているとともに、直流電源4の負極と電気的に接続されている。そして、板バネ12の他方の端部(下端部)は、蓋体5が容器2の開口部に装着されると、容器2の上縁部の内表面に付勢して当接するようになっている。
図4や図5に示す実施形態のオゾン水生成器1では、上述した交流電源を直流電圧に変換できるACアダプターやリチウムウム電池などの電池を直流電源4として使用できるが、図4に示すものでは、直流電源4としてACアダプターを使用するのが好適であり、図5に示すものでは、直流電源4として電池を使用するのが好適である。
図4に示す実施形態において、直流電源4としてACアダプターを使用する場合、交流電源に接続されているACアダプターの差し込みプラグ(図示省略)を蓋体5や台座部に設けられたプラグ受け(図示省略)に差し込むことにより、通電部材6と直流電源4の正極(+極)との電気的接続および陰極としての容器2と直流電源の負極(−極)の電気的接続を行うことができる。
図5に示す実施形態において、直流電源4として蓋体5に収納した電池を使用する場合、電池の正極(+極)と通電部材6とが電気的に接続するように配線しておけばよい。この状態で、蓋体5を容器2の開口部に装着すると、電池の負極(−極)と電気的に接続されている板バネ12の下端が容器2の上縁部内面に当接して、陰極としての容器2と直流電源の負極(−極)の電気的に接続されるから、通電部材6と直流電源4の正極(+極)との電気的接続および陰極としての容器2と直流電源の負極(−極)の電気的接続を行うことができる。
直流電源としてACアダプターや電池を使用した場合、蓋体に取り付けた電源スイッチのボタン(図示省略)のプッシュ作動により、電気的接続を行うことができる。すなわち、電源ボタンのプッシュ作動により、直流電源4の正極と通電部材6とが導通し、同時に容器2の開口部上縁の内側に当接する板バネ12と直流電源4の負極とが導通して、陽極板3と容器2との間に電解電圧が供給でき、電源ボタンのプッシュ作動解除により、電源電圧が遮断できるように配線しておけばよい。
また、電源スイッチのボタンのプッシュ動作により、継電器(リレー)によって直流電源4の正極と通電部材6とが導通し、同時にタイマーをスタートさせて時間計測を行い所定の設定時間に到達したときに、継電器(リレー)によって直流電源4の正極と通電部材6との導通を自動的に遮断することができるようにしてもよい。
以上の実施形態からも分かるように、本発明のオゾン水生成器1では、容器2を陰極とし、蓋体5に支柱7を介して取りつけられた陽極板3との間に直流電圧を印加しており、部品点数が少ない簡素な構造である。そして、支柱7を介して蓋体に取り付けられているから、容器2の開口部から蓋体5を取り外すと、同時に陽極板3も容器2の外に移すことになるから、容器2内のオゾン水を直ちに容器2をそのまま利用して、口腔洗浄や手の除菌などの様々な用途に利用できる使い勝手のよいものである。
すでに記載したように、電気分解によるオゾン水生成器では陰極側の電極にスケールが付着することが避けられないから、陰極として使用している容器2の内面にはスケールが付着する。
しかし、従来のオゾン水生成器の電極に付着したスケールと異なり、容器2の内面に付着したスケールは、格別の手段を必要とせず日常行っている食器を洗う要領で研磨剤入りの洗剤とスポンジたわしなどで洗浄することにより簡単に取り除くことができる。容器2の口は比較的広いから、このスケールを取り除く作業は容易に行うことができる。また、スケールを除く作業では、同時に容器内面の水垢なども除くことができる。
そして、陽極板3や支柱7にはスケールが付着することはないが、いずれも容器から取り外して洗浄できるから、本発明のオゾン水生成器では、衛生的に良好に保つメンテナンスがさほどの手間を必要としないで容易に行うことができる。
本発明のオゾン水生成器は、水を蓄える容器を陰極として使用することにより、容器の内面に付着するスケールを容易に取り除くことができ、メンテナンス作業が格段に軽減される。このため電気分解するたび毎に洗浄する等、従来よりも頻繁に洗浄することが可能となり、衛生的な使用ができる。また従来のオゾン水生成器でスケールを取り除く作業において発生しがちな陰極の劣化がないから、長期の使用にも耐えるものである。
また、本発明のオゾン水生成器では、陽極板を容器の底面に平行に近接して配置するから、陽極板の面積を容器の底面に応じて大きくすることができる。容器の内容積を大きくするとともに、陽極板の面積も大きくできることになり、比較的大量のオゾン水を効率よく生成することも可能である。
図4に示されるように、陰極として、円錐台型の底面が平らなステンレス製容器(開口部の内径70mm、底部の内径55mm、高さ150mm)を使用し、陽極板として直径40mmの酸化イリジウムを焼き付けたメッシュ状のチタン板(厚さ約0.2mm)を使用した。蓋体を容器の開口部に装着したとき、蓋体の支柱の先端に支持された陽極板の下面と容器の底面との間隙が7mm程度になるように配置し、容器に250mLの水道水を注いで、印加電圧を24.0Vとして5分間の電気分解を行った。オゾン濃度の測定は、電解中の水道水を少量採取して分析する水質分析器具(デジタルパックテスト:登録商標)で行った。
電解時間T(分)経過後の水道水のオゾン濃度(mg/L=ppm)を表1に示した。電気分解前の水道水の温度は27.0℃であった。
表1から分かるように、電解開始後3分程度で溶存オゾン濃度が0.30ppmのオゾン水が生成されている。電解開始後5分では、溶存オゾン濃度が0.90ppmのオゾン水が生成されている。また、電解終了後30分を経過して残存オゾン濃度を測定したところ、溶存オゾン濃度は1.05ppmであり、若干高くなっていたことから、電解終了後30分程度は残存オゾン濃度が減衰しないものと考えられる。
本発明のオゾン水生成器によれば、5分間程度の電気分解で、オゾン濃度がほぼ1ppmのオゾン水を得ることができ、手の除菌や口腔内の除菌消臭、野菜の洗浄など様々な用途に使用することができ、産業の利用可能性が大である。
1:オゾン水生成器
2:容器
3:陽極板
4:直流電源
5:蓋体
6:通電部材
7:支柱
8:絶縁性被膜
9:台座部
10:通電用端子
11:板バネ
12:板バネ
13:メッシュ状の絶縁性被膜

Claims (7)

  1. 容器と容器の開口部に着脱自在に装着される蓋体を有し、容器に蓄えられた水を電気分解してオゾン水を生成するオゾン水生成器であって、蓋体に取り付けられた支柱の先端部に支持されたメッシュ状の板状体からなる陽極板と、容器を陰極として陽極板と容器との間に直流電圧を印加する直流電源とを備え、陽極板を陰極である容器の底面に平行に対向して近接配置したことを特徴とするオゾン水生成器。
  2. 前記蓋体に取り付けられた支柱には長手方向に貫通孔が形成され、該貫通孔に前記直流電源の正極に電気的に接続される通電部材が導入され、かつ該支柱の先端部に支持されている陽極板と該通電部材の端部とが接合されていることを特徴とする請求項1に記載のオゾン水生成器。
  3. 前記陰極である容器の底面と該底面に平行に対向して近接配置される前記陽極板の下面との間隙が2〜10mmの範囲内になるように、陽極板が前記蓋体に取り付けられた支柱の先端部に支持されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のオゾン水生成器。
  4. 前記メッシュ状の板状体からなる陽極板がメッシュ状の絶縁性被膜で被覆されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のオゾン水生成器。
  5. 前記メッシュ状の板状体からなる陽極板がメッシュ状のチタン板に酸化イリジウムを焼き付けたものであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載のオゾン水生成器。
  6. 前記容器の外周面が絶縁性の被膜で被覆されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載のオゾン水生成器。
  7. 前記容器は、開口部が底面よりも面積が広い円錐台状であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載のオゾン水生成器。
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