JP2016000376A - ガス溶存水生成装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】所望とする主生成ガスが高濃度で溶存した主生成ガス溶存水を手軽に生成できる小型のガス溶存水生成装置を提供する。【解決手段】容器2と、ガス発生部10と、ガス発生部の上側電極及び下側電極のそれぞれに印加される直流電圧を制御する電源制御部30と、上側電極及び下側電極のそれぞれと電源制御部とを連結する一対の導電部材14c,15cと、導電部材に連結されたガス発生部が、原水の貯留された容器の底部に設置されて、主生成ガスb1が上側電極の側で発生するとともに副生成ガスb2が下側電極の側で発生する、ガス溶存水生成装置1であって、ガス発生部の高位部10aが水平方向に対して上方向に位置するように、ガス発生部が水平方向に対して傾斜配置されている。【選択図】図1

Description

この発明は、電解式のガス溶存水生成装置に関し、詳細には、原水の電解によって発生した主生成ガスが高濃度で溶存したガス溶存水を生成するガス溶存水生成装置に関する。
原水の電解によるガス溶存水生成装置には、様々なタイプのものがあり、代表的なものは、原水中に陽極及び陰極を離間させた状態で、両電極間に直流電圧を印加するタイプのものがある(例えば、特許文献1)。また、固体高分子電解質膜を用いるタイプの一つに、固体高分子電解質膜からなる隔壁を介して、電解室を陽極室と陰極室とに分離して間仕切る構造のものがある(例えば、特許文献2)。固体高分子電解質膜を用いた間仕切りタイプのものは、ある程度の小型化は可能であるものの、コップのような小さな容器において使用可能な程度にまで小型化することは容易ではない。
原水の電解によって発生したガスのうち、使用者が必要とするガスを主生成ガスと呼び、必要としないガスを副生成ガスと呼ぶと、主生成ガスができるだけ高濃度で溶存し且つ副生成ガスができるだけ低濃度で溶存していることが望ましい。一般家庭での使用者が必要とするのは、通常、主生成ガスが溶存したガス溶存水であり、主生成ガスが溶存したガス溶存水及び副生成ガスが溶存したガス溶存水の両方を同時に必要とすることは稀である。
大型の生成装置を使って主生成ガスが高濃度で溶存したガス溶存水を大量に生成しても、ガス溶存水の中に溶存した主生成ガスが経時的に脱気又は分解してしまい、ガス溶存水での主生成ガスの溶存濃度が低下してしまう。そのため、必要なときに必要な量の原水を電解して主生成ガスが溶存したガス溶存水を新たに生成することが好適であり、一般家庭での使用者にとっては小型の生成装置の方が大型の生成装置よりも使い勝手が優れている。
そこで、固体高分子電解質膜を用いて一般家庭での使用者に好適な小型の生成装置として、陽極と陰極との間で固体高分子電解質膜を挟持したタイプのものが検討されている(例えば、特許文献3)。当該構成を有する生成装置を用いて原水の電解を行うと、陰極の側では水素ガスが溶存した水素水が生成され、陽極の側ではオゾンガスが溶存したオゾン水が生成される。発生した水素ガスとオゾンガスとの混合を回避するために、ポット部が、水槽室と、水槽室の底部に配置された反応室と、に分かれた構成になっている。
特開2005−095808号公報 特開平07−214063号公報 特開2012−217868号公報
特許文献3に開示された生成装置では、上側の陰極で水素ガスを発生させるとともに下側の陽極でオゾンガスを発生させるガス発生部が、水平方向に延在する形態で反応室の中に収容されている。反応室で発生した水素ガス(主反応ガス)が中央開口部を介して水槽室に至り、水素ガスが水槽室を浮上する過程で原水に溶存する。
他方、反応室で発生したオゾンガス(副反応ガス)は、反応室に隣接配置された生成ガス待機室にて一時的に貯留されることによって大きなサイズの気泡に成長する。その後、大きなサイズの気泡が連通口を介して水槽室に至り、大きな気泡のオゾンガスが水槽室の中を浮上する。
しかしながら、特許文献3に開示された生成装置では、反応室の周囲に隣接配置された生成ガス待機室が、電極部において大きな面積を占めている。そのため、ガス発生部の面積を電極部において大きく確保することに限界がある。また、水平方向に延在するガス発生部の面積が、反応室の水平断面積で制約されてしまうため、水平方向に延在するガス発生部の面積を拡大させることが困難である。このように、特許文献3に開示された生成装置では、水素ガスの溶存濃度を高濃度にするのが困難であるという問題がある。
さらに、ガス発生部の高分子膜が水平方向に延在するため、生成されたオゾンガスが、高分子膜の下部において膜状に(平面状に)滞留してしまう。滞留したオゾンガスによって原水が高分子膜に接触することが妨げられるので、水素ガス生成能が低下するという問題がある。
したがって、この発明の解決すべき技術的課題は、所望とする主生成ガスが高濃度で溶存した主生成ガス溶存水を手軽に生成できる小型のガス溶存水生成装置を提供することである。
上記技術的課題を解決するために、この発明によれば、以下のガス溶存水生成装置が提供される。
すなわち、この発明に係るガス溶存水生成装置は、
原水を貯留するための容器と、
多孔の上側電極と多孔の下側電極との間で固体高分子電解質膜を挟持したガス発生部と、
前記ガス発生部の前記上側電極及び前記下側電極のそれぞれに印加される直流電圧を制御する電源制御部と、
前記上側電極及び前記下側電極のそれぞれと前記電源制御部とを連結する一対の導電部材と、
前記導電部材に連結された前記ガス発生部が、原水の貯留された前記容器の底部に設置されて、主生成ガスが前記上側電極の側で発生するとともに副生成ガスが前記下側電極の側で発生する、ガス溶存水生成装置であって、
前記ガス発生部の高位部が水平方向に対して高位に位置するように、前記ガス発生部が水平方向に対して傾斜配置されていることを特徴とする。
この発明によれば、上側電極側では多数の主生成ガスが微小な気泡の形態で上側電極と固体高分子電解質膜との界面で発生し、下側電極側では多数の副生成ガスが微小な気泡の形態で下側電極と固体高分子電解質膜との界面で発生する。上側電極側では、上方への遮蔽物が無いので、主生成ガスの微小な気泡が原水中を浮上する。その際、主生成ガスの微小な気泡では、原水に対するガスの単位体積当たりの気/液接触面積が大きくて、浮上速度が遅いために原水との接触が長時間確保されるので、主生成ガスが高濃度で原水に溶存する。その結果、高濃度の主生成ガス溶存水を効率的に生成することができる。
他方、下側電極側では、副生成ガスの微小な気泡が、固体高分子電解質膜によって略垂直上方向への移動が阻まれるため、傾斜した下側電極の下面に沿ってガス発生部の高位部に向けて移動する。この過程で、副生成ガスの微小な気泡は、ガス発生部の高位部近傍に寄り集まって合体し、大きなサイズの気泡に成長する。そして、大きな気泡に成長した副生成ガスは、増大した浮力によって原水中を急浮上する。副生成ガスの大きな気泡では、原水に対するガスの単位体積当たりの気/液接触面積が小さくなり、浮上速度が速いために原水との接触時間が短くなるので、原水への副生成ガスの溶存が抑制される。
さらに、下側電極側では、ガス発生部の傾斜配置によって、副生成ガスの気泡の移動がスムーズに行われるため、副生成ガスが固体高分子電解質膜の下部に膜状に溜まることが防止される。その結果、原水が固体高分子電解質膜に接触することが維持されて、原水の電解が継続される。以上のことから、所望とする主生成ガスが高濃度で溶存した主生成ガス溶存水を手軽に生成することのできる小型のガス溶存水生成装置が提供される。
この発明の第1実施形態に係るガス溶存水生成装置を説明する模式的断面図である。 図1に示したガス溶存水生成装置から上蓋を取り除いた状態を上面から見た図である。 図1に示したガス溶存水生成装置から下蓋を取り除いた状態を下面から見た図である。 図1に示したガス溶存水生成装置におけるガス発生部の分解斜視図である。 図1に示したガス溶存水生成装置の要部を拡大した説明図である。 この発明の第2実施形態に係るガス溶存水生成装置を説明する模式的断面図である。 図6に示したガス溶存水生成装置を上面から見た図である。 図6に示したガス溶存水生成装置の使用態様を説明する模式的断面図である。 この発明の第3実施形態に係るガス溶存水生成装置を説明する模式的断面図である。 図9に示したガス溶存水生成装置を上面から見た図である。 変形例に係るガス溶存水生成装置の要部を拡大した説明図である。
まず、この発明の第1実施形態に係るガス溶存水生成装置1について、図1乃至5を参照しながら詳細に説明する。
(ガス溶存水生成装置1の全体構成)
図1に示すように、ガス溶存水生成装置1は、容器2と、容器2の底部(具体的には、後述する下容器6の底壁6cの上に位置する上収容空間)に傾斜配置されるガス発生部10と、を備える。ガス溶存水の生成に供される原水5を貯留するための容器2は、上容器3と、上蓋4と、下容器6と、下蓋7とから構成される。
上容器3は、例えば透光性材料から構成され、円筒形状の側壁3aを有し、側壁3aの下端には雌ネジ部が形成されている。下容器6は、例えば非透光性材料から構成され、上部側壁6aと、底壁6cと、下部側壁6dとを有する。上部側壁6aの上端には、上容器3の雌ネジ部に螺合する雄ネジ部が形成されている。上部側壁6a及び下部側壁6dは、底壁6cによって隔てられている。上容器3の下端では、シール41を介した下容器6の上端の螺合によって、上容器3と下容器6とが液密に着脱自在に連結されている。必要に応じて上容器3から下容器6を分離することで、下容器6に収容されたガス発生部10を洗浄することができる。上容器3と、上容器3に液密に連結した上部側壁6aと、底壁6cとによって、原水5を貯留するための容器本体が構成されている。また、上部側壁6aと底壁6cとによって形成される下容器6の上収容空間には、傾斜したガス発生部10が配設される。ガス発生部10が非透光性の下容器6の上収容空間内に配設されているので、外部からガス発生部10が見えなくなって美観性が向上する。その一方で、上容器3が透光性材料から構成されるので、ガス発生部10から発生した主生成ガスb1の微小な気泡が浮上する様子を使用者は視認することができる。上容器3は微小な気泡が浮上する様子を示すので、当該上容器3は意匠的なディスプレイとして用いることもできる。
傾斜配置されたガス発生部10の高位部10aの下面を支持するための傾斜支持部23が、下容器6の上部側壁6aに寄せて下容器6の底壁6cに設置されている。傾斜支持部23と下容器6の上部側壁6aとの間には、導電部材14c,15cを収容するための導電部材収容空間が形成されている。なお、ガス発生部10が小型で軽量であれば、あるいは、導電部材14c,15cが高強度であれば、導電部材14c,15cは傾斜支持部23の機能を果たすことができる。その場合、傾斜支持部23の設置を省略することもできる。
傾斜支持部23の上方向においては、傾斜張り出し部24及び生成ガス隔壁部21が、上容器3の側壁3a及び下容器6の上部側壁6aに寄せてそれぞれ配設されている。傾斜張り出し部24は、水平方向又は側壁3aに向けて斜め上方向に延在して、ガス発生部10の高位部10aの最上部を部分的に覆っている。傾斜張り出し部24は、副生成ガスb2の気泡が後述する副生成ガス導出空間22から外れて(言い換えると水平方向に分散して)浮上することを防止するために設けられている。傾斜張り出し部24は、副生成ガスb2の気泡の合体を促進する。
生成ガス隔壁部21は、略半円筒形状をしており、上容器3の側壁3aに対面する部分が開口している。生成ガス隔壁部21は、傾斜張り出し部24の上部側壁6aの側の端部から連設されて、略垂直上方向に延在している。生成ガス隔壁部21によって、一対の導電部材14c,15cも外部から見えにくくなっている。また、生成ガス隔壁部21は、副生成ガスb2の気泡の水平方向への分散を防止して副生成ガスb2の気泡の集約効率を向上させる。生成ガス隔壁部21と側壁3aと上部側壁6aとによって、副生成ガス導出部20が構成される。副生成ガス導出部20の内部空間は、副生成ガスb2の微小な気泡を集約することによって気泡を成長させ、成長して大きくなった気泡を浮上させる副生成ガス導出空間22として利用される。なお、生成ガス隔壁部21や傾斜支持部23や傾斜張り出し部24は、電気絶縁性樹脂材料の成型によって一体的に作成することができる。なお、生成ガス隔壁部21が、原水5が通常貯留される水面レベルまで略垂直上方向に延在する構成とすることにより、副生成ガスb2が主生成ガスb1と混ざり合うことを防止することができる。
下容器6の底壁6cには、一対の導体挿通孔51が下容器6の上部側壁6a寄りの位置に形成されている。一対の導体挿通孔51は、それぞれ、底壁6cを貫通する穴であって、略垂直下方向に延在する一対の導電部材14c,15cが挿通可能なように寸法構成されている。各導体挿通孔51に挿通された導電部材14c,15cのそれぞれには、上下2つのOリング43が装着された状態で、電気絶縁性の端子取付部材44が取付ネジ42によって底壁6cに固定される。上下2つのOリング43の間には、上部側壁6aを貫通する大気逃がし孔52が形成されている。そして、図3に示すように、導電部材14c,15cの下端部が、導電性の端子接続部26に差し込まれて、ガス発生部10の上側電極14及び下側電極15が、対応する各端子接続部26に電気的に接続される。
下部側壁6d及び底壁6cによって形成される下容器6の下収容空間には、端子接続部26や電源制御部30やDCジャック39等の各種の電気的な構成要素が配設されており、それらは互いに電気的に接続されている。電源制御部30は、下容器6の底壁6cで隔てられた外側に配置されている。
電源制御部30は、後述するガス発生部10の上側電極14及び下側電極15に直流電圧を印加する電源を制御する。電源は、電源制御部30の外部に設けられるACアダプタ又は下容器6の下収容空間に配設された電池である。なお、電池は、一次電池又は二次電池のいずれであってもよい。電源制御部30は、基板33や押圧スイッチ34やLED表示部36や濃度切替スイッチや電圧極性切替スイッチ等を備えている。
基板33は、電解時の電圧や電流や時間を制御する制御回路や、電解の積算時間を記憶する記憶媒体を備えることができる。押圧スイッチ34は、電源のON/OFFや電解に関する各種の操作や設定を行うためのスイッチである。LED表示部36は、通電(電解)状態を知らせたり、何らかの不具合が発生したことを知らせるアラームとして機能することができる。図示しない濃度切替スイッチは、電解時における作動時間を切り替えるスイッチである。電圧極性切替スイッチは、ガス発生部10の上側電極14及び下側電極15に印加される電圧の正負の極性を切り替えるスイッチである。上側電極14が陰極である場合、主生成ガスとしての水素ガスが上側電極14と固体高分子電解質膜11との界面で発生して、水素水を得ることができる。また、上側電極14を陽極に切り替えた場合、主生成ガスとしてのオゾンガスが上側電極14と固体高分子電解質膜11との界面で発生して、オゾン水を得ることができる。
上容器3の上端では、上蓋4の係合によって上蓋4が上容器3に着脱自在に装着されている。下容器6の下端では、下蓋7の係合によって下蓋7が下容器6に着脱自在に装着されている。なお、ガス溶存水生成装置1が、小型のポータブル(ハンディ)タイプのものであれば、上蓋4を取り外して容器2を傾けることによって、生成された主生成ガス溶存水5を上容器3の上端から注ぎ出すことができる。また、ガス溶存水生成装置1が中型・大型の据え付けタイプのものであれば、図示しないコック(バルブ)を側壁3a,上部側壁6aの下部に設けることによって、生成された主生成ガス溶存水5をコック(バルブ)を通じて取り出すことができる。
(ガス発生部10の構成)
ガス発生部10は、図4に示すように、上から順に、上カバー18と上側電極14と触媒層12と固体高分子電解質膜11と触媒層13と下側電極15と下カバー19とが、積層された積層構造をしている。上側電極14と触媒層12と固体高分子電解質膜11と触媒層13と下側電極15とが、上カバー18及び下カバー19で挟持されている。傾斜配置されたガス発生部10での上側電極14及び下側電極15の面積ができるだけ大きくなるように、傾斜配置されたガス発生部10は、その外形形状が下容器6の上部側壁6aの内面に沿うように構成されている。下容器6が略円筒形状をしているので、ガス発生部10(上側電極14及び下側電極15)の外形形状は、例えば、高位部10aから低位部10bに延在する方向が長軸である楕円形状とすることができる。当該形状は、ガス発生部10の傾斜角度に依存するが、円形形状のものと比べてガス発生部10での電極面積を数十%アップさせることができる。
上カバー18は、縦方向に延びる平坦な縦フレーム部18bと、横方向に延びる平坦な横フレーム部18fと、周囲部分を形成する周縁フレーム部18gと、大きな開口面積を有する4つの開口部18cと、を有する。4つの開口部18cは、縦フレーム部18bと横フレーム部18fと周縁フレーム部18gとで囲まれている。縦フレーム部18b及び横フレーム部18fが交差する部分には、1つの中央貫通穴18aが形成されている。上カバー18は、上側圧接部材として機能し、上側電極14の上面ができるだけ広い範囲で露出するように構成されている。上カバー18の開口部18cが大きな開口面積を有するので、主生成ガスb1の微小な気泡が、主生成ガスb1の他の微小な気泡と合体することなくそのまま浮上することが容易になる。
下カバー19は、底壁部19bと、周縁部19cと、複数の突起部19fと、複数の間隙部19dと、を有する。周縁部19cは、底壁部19bの周囲部分から上方向に突出する。複数の突起部19fは、底壁部19bから上方向に突出するとともに横方向に延びる。複数の間隙部19dは、隣り合う2つの突起部19fの間に形成されるとともに横方向に延びて、溝を形成する。底壁部19bの略中央部分には、1つの中央ネジ穴19aが形成されている。周縁部19cにおいて導電部材15cを取り付けるための部分には、周縁部19cが部分的に切り欠かれた切欠19gが設けられている。切欠19gは、導電部材15cの溶接端部15bを配設するための開口として機能するとともに、発生した副生成ガスb2の気泡の出口として機能する。
中央貫通穴18a及び中央ネジ穴19aは、上側電極14と触媒層12と固体高分子電解質膜11と触媒層13と下側電極15とのそれぞれに形成されている各貫通穴14a,12a,11a,13a,15aに対応するように配置されている。上側電極14と触媒層12と固体高分子電解質膜11と触媒層13と下側電極15とを積層したものを、上カバー18及び下カバー19で挟持した後、絶縁性のネジ28で留めすることによって圧接状態のガス発生部10が得られる。ガス発生部10における各構成要素が密接しているので、原水5の電解を安定的に行うことができる。また、各貫通穴14a,12a,11a,13a,15aの各穴がネジ28の外形に接触しないような大きな穴径を有する場合や、電気絶縁性の下カバー19の中央ネジ穴19aの縁部が上方に延びて各貫通穴14a,12a,11a,13a,15aとの隙間に介在するような形態とした場合には、金属性のネジ28を使うこともできる。
上側電極14は、例えば、略卵形状をしたメッシュ状の金属製(例えば、チタン製)板状体であり、微小な孔を多数有している。メッシュ状の板状体は、細い線材を格子状に織った織網や、薄い板材に直線状の不連続なスリットを多数列で切り込み、これを伸展させることで作成される一体格子状のマイクログレーチング等から構成される。上側電極14の上面側は、導電部材14cの溶接端部14bに溶接されている。
同様に、下側電極15は、例えば、略卵形状をしたメッシュ状の金属製(例えば、チタン製)板状体であり、微小な孔を多数有している。メッシュ状の板状体は、細い線材を格子状に織った織網や、薄い板材に直線状の不連続なスリットを多数列で切り込み、これを伸展させることで作成される一体格子状のマイクログレーチング等から構成されている。下側電極15の下面側は、導電部材15cの溶接端部15bに溶接されている。
触媒層12,13は、白金などの貴金属系(貴金属を含有する合金も含む)の材料からなり、上側電極14及び下側電極15と大略同じ形状の略卵形状をしている。触媒層12,13は、メッシュ状の薄板体であり、細い線材を格子状に織った織網や、薄い板材に直線状の不連続なスリットを多数列で切り込み、これを伸展させることで作成される一体格子状のマイクログレーチング等から構成され、微小な孔を多数有している。また、触媒層12,13として、ナノカーボングラフェン等のような貴金属系以外の材料から構成することもできる。
好適には、触媒層12,13での孔の開口サイズは、上側電極14及び下側電極15での孔の開口サイズよりも小さくて、触媒層12,13の孔が上側電極14及び下側電極15の孔よりも、目が細かいように構成されている。なお、触媒層12,13は、上側電極14の少なくとも下面や下側電極15の少なくとも上面にメッキ等の方法でそれぞれコーティングすることによって上側電極14及び下側電極15に含有させることもできる。
触媒層12,13として、触媒活性の高い貴金属を用いると、電解電圧を下げることができる。そして、触媒層12,13を目の細かい多孔構造とすることによって、固体高分子電解質膜11と触媒層12とが、多数の微小領域で部分的に接触することによって、主生成ガスb1が微小な気泡の形態で発生することができる。発生した主生成ガスb1の微小な気泡が、目の細かい多孔の触媒層12,13の微小孔をスムーズに通過して、他の微小な気泡と合体することなくそのまま浮上するのが容易になる。
固体高分子電解質膜11は、陽イオン交換膜であり、例えば、デュ・ポン社製のナフィオン(登録商標)膜のような、ポリテトラフルオロエチレンをベースにした陽イオン交換基ペルフルオロスルホン酸膜や、旭化成製のフレミオン(登録商標)膜のような、陽イオン交換基ビニルエーテルとテトラフルオロエチレンの共重合体である。
一対の導電部材14c,15cは、電源制御部30からの直流電圧を上側電極14及び下側電極15に印加するための金属製(例えば、チタン製)の棒状体であり、両者が電気的に接触しないような距離で離間して配置されている。導電部材14c,15cは、それぞれ、逆J字形状に折り曲げられている。導電部材14c,15cの上端部は、それぞれ、水平方向に対して少し下方向に湾曲して、溶接端部14b,15bとして、上側電極14の上面及び下側電極15の下面にそれぞれ溶接されている。導電部材14c,15cの下端部は、それぞれ、略垂直下方向に延在して、端子接続部26に差し込まれている。一対の導電部材14c,15cをガス発生部10の一側(すなわち、高位部10a)にまとめることにより、ガス発生部10の構造や電気的接続が簡単になる。
容器2の底部において傾斜配置されたガス発生部10では、副生成ガス導出部20に近い高位部10aが水平方向に対して高位に位置するとともに、下容器6の底壁6cに近接する低位部10bが水平方向に対して低位に位置している。下側電極15と固体高分子電解質膜11との界面で、副生成ガスb2の微小な気泡が発生する。発生した副生成ガスb2の微小な気泡は、固体高分子電解質膜11によって略垂直上方向への移動が阻まれるため、高位部10a(導電部材15cの溶接端部15b)の方向に移動する。この過程で、発生した副生成ガスb2の微小な気泡は、高位部10aの最も上方の頂部(導電部材15cの溶接端部15b)近傍に寄り集まって合体し、大きなサイズの気泡に成長する。大きな気泡に成長した副生成ガスb2は、増大した浮力を得て、原水5の中を急浮上する。副生成ガスb2の大きな気泡は、原水5に対する副生成ガスb2の単位体積当たりの気/液接触面積が小さくて原水5との接触時間が短いので、原水5への副生成ガスb2の溶存が抑制される。なお、ガス発生部10が水平方向に配置された場合、このような作用・効果を得ることができない。
ガス発生部10の水平方向に対する傾斜角度は、特に限定されるものではないが、傾斜角度が大きすぎると、副生成ガスb2の微小な気泡の移動が非常に容易になる。このため、発生した副生成ガスb2の微小な気泡が寄り集まって合体し、大きなサイズの気泡に成長するまでの時間を確保しにくくなるので、副生成ガスb2の溶存濃度が低下しにくくなる。また、傾斜角度の大きなガス発生部10において、高位部10aが、容器2に貯留された原水5の液面に近くなるため、主生成ガスb1の溶存時間が短くなり、主生成ガスb1の溶存濃度を高くするのが難しくなる。
逆に、ガス発生部10の水平方向に対する傾斜角度が小さすぎると、発生した副生成ガスb2の微小な気泡が、一つの方向に(具体的には、傾斜したガス発生部10での高位部10aの方向に)寄り集まりにくくなる。そのため、発生した副生成ガスb2の微小な気泡の一部が、ガス発生部10における複数の場所から分散して浮上するので、大きなサイズの気泡に成長させることが難しくなる。なお、この発明を限定しないガス発生部10の水平方向に対する傾斜角度を例示すると、2乃至70度であり、好適には5乃至55度であり、より好適には10乃至45度である。
上記構成によれば、上側電極14と固体高分子電解質膜11との界面で発生した主生成ガスb1の微小な気泡は、上側電極14の側に形成された大きな開口部18cを通じて浮上する。主生成ガスb1の気泡が、微小であるため、原水5の中をゆっくりと浮上する。当該浮上過程で、主生成ガスb1の微小な気泡が原水5に溶存するので、主生成ガスb1の溶存濃度が高濃度になる。
他方、下側電極15では、下カバー19の底壁部19bによって、蓋をしたような状態になっている。下側電極15の下面が複数の突起部19fの上面に当接し、それ以外のところでは、複数の間隙部19dの存在によって隙間が形成されている。下側電極15と固体高分子電解質膜11との界面で発生した副生成ガスb2の微小な気泡は、固体高分子電解質膜11によって略垂直上方向への移動が阻まれる。このとき、突起部19fのところで発生した副生成ガスb2は、間隙部19dに移動した後、傾斜した間隙部19dに沿って移動する。また、間隙部19dのところで発生した副生成ガスb2の微小な気泡は、そのまま、傾斜した間隙部19dに沿って移動する。したがって、傾斜した複数の間隙部19dは、下側電極15の側で発生した副生成ガスb2の微小な気泡を切欠19gの方にと導く通路として機能している。
切欠19gは、間隙部19dに沿って移動した副生成ガスb2を、1ヶ所に集約して大きな気泡に成長させた後、副生成ガス導出空間22に受け渡す開口として機能している。さらに、下側電極15の下面側を下カバー19で蓋をすることによって、副生成ガス溶存水がガス発生部10の外に出てしまうことが抑制される。
このように、下側電極15の側で発生した副生成ガスb2の微小な気泡は、下カバー19の間隙部19dに沿って、下側電極15における最も上方の頂部(溶接端部15b及び切欠19g)の方向に移動する。また、周縁部19cの近傍にある副生成ガスb2の微小な気泡も、周縁部19cに沿って、下側電極15における最も上方の頂部(溶接端部15b及び切欠19g)の方向に移動する。したがって、下側電極15の下面と下カバー19の間隙部19d及び周縁部19cとによって、副生成ガスb2の微小な気泡を下側電極15における最も上方の頂部(溶接端部15b及び切欠19g)に誘導する副生成ガス誘導部が形成される。
副生成ガスb2の誘導過程で、副生成ガスb2の微小な気泡が、下側電極15における最も上方の頂部(溶接端部15b及び切欠19g)近傍に寄り集まって合体し、大きなサイズの気泡に成長する。そして、大きな気泡に成長した副生成ガスb2は、増大した浮力を得て、原水5の中を上容器3の側壁3aに沿って(言い換えれば、副生成ガス導出空間22の中を)急浮上する。したがって、原水5への副生成ガスb2の溶存が抑制される。
以上のように、ガス溶存水生成装置1を用いて所定時間にわたって電解を行うと、主生成ガスb1が高濃度で溶存した主生成ガス溶存水5が短時間で得られる。例えば、5分程度の通電(電解)によって、溶存水素濃度が1000ppb(μg/リッター)を超える高濃度の水素水が得られる。
(第2実施形態)
次に、この発明の第2実施形態について、図6乃至8を参照しながら詳細に説明する。なお、第2実施形態において、上記第1実施形態での構成要素と同じ機能を有する構成要素には同じ符号を付して、重複する説明を省略する。
第2実施形態に係るガス溶存水生成装置1は、電解に必要最低限の電気的な構成要素を容器2が含んで、その他の電気的な構成要素を容器2とは別体の台座8が含むように構成されていることを特徴とする。容器2が電解に必要最低限の電気的な構成要素を含むので、容器2の小型化・軽量化が可能になる。容器2の内容量は、例えば、数百mlである。その結果、第2実施形態に係るガス溶存水生成装置1は、台所、居間、客室等への移動に便利である。
図6及び8に示したガス溶存水生成装置1では、傾斜配置されるガス発生部10が容器2の底部(具体的には、後述する下容器6の底壁6c)に配設されている。略円筒形状の容器2は、上容器3と、上蓋4と、下容器6と、下蓋7とから構成される。上容器3の側壁3aには、上部から中間部にかけて取っ手3bが形成されている。
上容器3は、略水平方向に延在する隔壁部3cによって、上空間と下空間とに間仕切られている。隔壁部3cでは、ガス発生部10の上側電極14に対面して主生成ガスb1の微小な気泡が浮上する部分には大きな主開口部が設けられている。主生成ガスb1の微小な気泡が主開口部を通じて浮上する。側壁3aに近い部分には、小さな副開口部が設けられている。副生成ガスb2の大きな気泡が副開口部を通じて浮上する。隔壁部3cは、主生成ガスb1用の主開口部及び副生成ガスb2用の副開口部が、仕切部によって区切られている。仕切部とガス発生部10の高位部10aとの間には、生成ガス隔壁部21が配設されている。生成ガス隔壁部21の下には、ガス発生部10の溶接端部14b,15bや導電部材14c,15cが取り回されている。生成ガス隔壁部21によって、副生成ガスb2の気泡が、副生成ガス導出空間22を通じて隔壁部3cの副開口部に導かれる。
下容器6が、上容器3の下部に対して、上下2つのOリング45を介して液密に嵌合されている。そして、下蓋7を上容器3の下端部に螺合させて、下容器6の上端を隔壁部3cのフランジ下面に圧接させている。下容器6の内部空間では、傾斜したガス発生部10が下容器6の底壁6cに取り付けられている。傾斜したガス発生部10の低位部10bが、下容器6の底壁6cに対して当接する構成又は僅かに離間する構成のいずれであってもよい。導電部材14c,15cのそれぞれが、段状に折り曲げられた形状をしている。導電部材14c,15cの上端が、溶接端部14b,15bとして上側電極14,下側電極15のそれぞれに溶接される。下容器6の底壁6cには、2つの導体挿通孔51が形成されている。導体挿通孔51のそれぞれには、シールネジ46の軸部が挿通される。シールネジ46は、例えば電極シール53(Oリング)がシールネジ46の軸部に嵌着されているような何らかのシール構造を有するネジである。シールネジ46のヘッド部と下容器6の底壁6cとの間で、導電部材14c,15cの下端と電極シール53とが挟持されている。シールネジ46のナットと下容器6の底壁6cとの間で、接続脚47の一端が挟持されている。各シールネジ46を締め付けることによって、下容器6の底壁6cの上側では導電部材14c,15cの下端が液密で固定され、下容器6の底壁6cの下側では接続脚47の一端が固定される。したがって、台座8との電気的接続が容器2の底壁側に形成されている。
上側電極14用及び下側電極15用の一対の接続脚47は、導電性及び弾性を有する短冊状の部材(例えば金属材料)である。各接続脚47では、一端が下容器6の底壁6cの下側に固定され、他端が接続突端48に電気的に接触すべく中心に向けて延在している。2つの接続突端48は、図7に示すように、台座8の上面8bに離間して並んで取り付けられたネジである。一対の接続脚47の各他端が接続突端48のそれぞれに電気的に接触することによって、ガス発生部10への給電が行われる。
台座8は、平面視略卵形状をした箱体であり、例えば図示しないテーブル上に設置される。台座8の上面8bには、上述した容器2が載置される。台座8の内部空間には、電源制御部30や直流電源部31等の電気的な構成要素が配設されており、それらは互いに電気的に接続されている。電源制御部30は、下容器6の底壁6cで隔てられた外側に位置する台座8内に配置されている。
電源制御部30は、基板33や押圧スイッチ34やLED表示部36や濃度切替スイッチや電圧極性切替スイッチ等を備えた構成をしている。電源制御部30は、容器2の載置位置と重ならないように、例えば、図7に示すように上面8bの左側に、配置されている。台座8の右側壁には、コード挿通穴38が形成されている。直流電源部31に接続された電源コード(図示しない)の一端側がコード挿通穴38に挿通され、電源コードの他端側に設けられたプラグが外部のコンセント(図示しない)に差し込まれる。台座8の下面8cには、複数のゴム足8aが取り付けられている。電圧極性切替スイッチによって、上側電極14及び下側電極15に印加される電圧の正負の極性を切り替えることができ、主生成ガス溶存水5として、水素水又はオゾン水を選択して得ることができる。
図8に示すように、容器2は、取っ手3bに手を差し入れて持ち上げることによって台座8から分離することができる。そして、容器2を傾けることによって容器2内に貯留された主生成ガス溶存水5を使用者に提供することができる。一対の接続脚47の各他端が対応する各接続突端48に電気的に接触するように、分離された容器2を台座8の所定位置に載置する必要がある。そのため、容器2の載置すべき位置が直感的に視認されるようなマーカーや、容器2の載置すべき位置が一義的に規定されるような雌雄の嵌合構造を、台座8の上面8bの上に設けることが好適である。さらに、位置決め手段として、磁石のN極−S極のうちの一方を容器2の底面に設置し、他方を台座8の上面8bに設置して、所定の位置でN極−S極が引き合うように構成することもできる。
第1実施形態と同様に、第2実施形態に係るガス溶存水生成装置1を用いて所定時間にわたって電解を行うと、主生成ガスb1が高濃度で溶存した主生成ガス溶存水5が短時間で得られる。例えば、5分程度の通電(電解)によって、溶存水素濃度が1000ppb(μg/リッター)を超える高濃度の水素水が得られる。
(第3実施形態)
図9及び10は、第3実施形態に係るガス溶存水生成装置1を示している。第3実施形態に係るガス溶存水生成装置1は、第2実施形態に係るガス溶存水生成装置1との比較で、台座8との電気的接続が容器2の側壁側に設けられていることを特徴とする。第3実施形態において、上記第2実施形態での構成要素と同じ機能を有する構成要素には同じ符号を付して、重複する説明を省略して、相違点を中心に説明する。
ガス発生部10において、導電部材14c,15cのそれぞれが逆J字形状に折り曲げられた形状をしている。導電部材14c,15cの上端が溶接端部14b,15bとして上側電極14,下側電極15のそれぞれに溶接される。下容器6の上部側壁6aには、2つの導体挿通孔51が形成されている。導体挿通孔51のそれぞれには、第2実施形態で説明したのと同様のシールネジ46の軸部が挿通される。シールネジ46のヘッド部と下容器6の上部側壁6aとの間で、導電部材14c,15cの下端と電極シール53とが挟持されている。シールネジ46のナットと下容器6の上部側壁6aとの間で、接続脚47の一端が挟持されている。各シールネジ46を締め付けることによって、下容器6の上部側壁6aの内側では導電部材14c,15cの下端が液密で固定され、下容器6の上部側壁6aの外側では接続脚47の一端が固定される。
上側電極14用及び下側電極15用の一対の接続脚47は、導電性及び弾性を有するN字形状に折り曲げられた短冊状の部材(例えば金属材料)である。各接続脚47では、一端が下容器6の上部側壁6aの外側に固定され、他端が接続突端48に電気的に接触している。2つの接続突端48は、図10に示すように、台座8の側方端子面8fに離間して並んで取り付けられたネジである。一対の接続脚47の各他端が各接続突端48に電気的に接触することによって、ガス発生部10への給電が行われる。
図10に示すように、台座8は、平面視略卵形状をしている。上面8bの右側端部において、平面視三日月形の膨出接続部8dが上方向に突出している。膨出接続部8dの内側面は、側方端子面8fを構成する。側方端子面8fにおいて台座8の上面8bよりも上方位置には、2つの接続突端48が離間配置されている。当該構成によれば、容器2を取り扱っている際に原水5等が台座8の上面8bにこぼれた場合でも、各接続脚47が原水5等で濡れることが回避され、各接続脚47での防水構造を簡略化することができる。
第3実施形態に係るガス溶存水生成装置1においても、所定時間の電解によって主生成ガスb1が高濃度で溶存した主生成ガス溶存水5が短時間で得られる。例えば、5分程度の通電(電解)によって、溶存水素濃度が1000ppb(μg/リッター)を超える高濃度の水素水が得られる。
(変形例)
図11は、この発明の変形例に係るガス溶存水生成装置1を模式的に示している。変形例に係るガス溶存水生成装置1は、上述した第1実施形態乃至第3実施形態に係るガス溶存水生成装置1との比較で、一対の導電部材14c,15cがガス発生部10の低位部10bの側に設けられていることを特徴とする。
図11に示すように、一対の導電部材14c,15cがガス発生部10の低位部10bの側に設けられていて、ガス発生部10の高位部10aが傾斜支持部23で支持されている。ガス発生部10において、導電部材14c,15cが、それぞれ、逆J字形状に折り曲げられている。導電部材14c,15cの上端部は、それぞれ、水平方向に対して上方向に湾曲して、溶接端部14b,15bとして、上側電極14の上面及び下側電極15の下面に溶接されている。導電部材14c,15cの下端部は、それぞれ、略垂直下方向に延在して、下容器6の底壁6cに形成された2つの導体挿通孔51に挿通されている。なお、不図示であるが、導電部材14c,15cの下端は、図示しない端子接続部26に差し込まれている。
図11の副生成ガス導出部20では、導電部材14c,15cを収容するための導電部材収容空間を必要としないため、傾斜支持部23が中空ではなく中実になっている。導電部材14c,15cが水平方向や近傍の上部側壁6aに向けて斜め上方向に延在してもよい。この場合、導電部材14c,15cを挿通するための2つの導体挿通孔51が下容器6の上部側壁6aに形成される。また、傾斜したガス発生部10の低位部10bが、下容器6の底壁6cに対して当接する構成又は僅かに離間する構成のいずれであってもよい。
変形例に係るガス溶存水生成装置1においても、所定時間の電解によって主生成ガスb1が高濃度で溶存した主生成ガス溶存水5が短時間で得られる。例えば、5分程度の通電(電解)によって、溶存水素濃度が1000ppb(μg/リッター)を超える高濃度の水素水が得られる。
なお、上記実施形態では、一対の導電部材14c,15cをガス発生部10の高位部10a又は低位部10bのいずれか一側にまとめて配置した構成となっているが、当該構成に限定されるものではない。例えば、上側電極14に接続される導電部材14cが高位部10aに位置して、下側電極15に接続される導電部材15cが低位部10bに位置するように構成することができる。すなわち、当該構成では、一対の導電部材14c,15cが、それぞれ、高位部10a及び低位部10bに離間して配置されている。逆に、導電部材14cが低位部10bに位置して、導電部材15cが高位部10aに位置するように構成することもできる。いずれの場合においても、ガス発生部10の高位部10a,低位部10b(低位部10b,高位部10a)において離間配置される導電部材14c,15c(15c,14c)によって、傾斜したガス発生部10が支持される形態になっている。
また、電源制御部30は、例えば、下容器6の上部側壁6aで隔てられた外側に位置する台座8の膨出接続部8d内に配置されてもよい。さらに、上記第1実施形態乃至第3実施形態のいずれにおいても、対向する導電性の接点同士を電気的に接触させることによってガス発生部10に給電を行う方式であるが、当該給電方式に限定されるものではない。例えば、公知の非接触給電方式によってガス発生部10に給電することができる。非接触給電方式とは、隣り合った一次コイル及び二次コイルのうち、台座8側に配設された一次コイルに電流を流すと磁力が発生し、それによって容器2側に配設された二次コイルで電力が発生するという電磁誘導の原理を利用したものである。二次コイルで発生した交流起電力は、整流回路によって直流電圧に変換されて、直流電圧が上側電極14及び下側電極15に印加される。
以上のように、この発明によれば、上側電極14側では多数の主生成ガスb1が微小な気泡の形態で上側電極14と固体高分子電解質膜11との界面で発生し、下側電極15側では多数の副生成ガスb2が微小な気泡の形態で下側電極15と固体高分子電解質膜11との界面で発生する。上側電極14の上方向には遮蔽物が無いので、主生成ガスb1の微小な気泡が、他の微小な気泡と合体することなく原水5中を浮上する。その際、主生成ガスb1の微小な気泡では、原水5に対する主生成ガスb1の単位体積当たりの気/液接触面積が大きくて、浮上速度が遅いために原水5との接触が長時間確保されるので、主生成ガスb1が高濃度で原水5に溶存する。その結果、高濃度の主生成ガス溶存水5を効率的に生成することができる。
他方、下側電極15側では、副生成ガスb2の微小な気泡が、固体高分子電解質膜11によって略垂直上方向への移動が阻まれるため、傾斜した下側電極15の下面に沿ってガス発生部10の高位部10aに向けて移動する。この過程で、副生成ガスb2の微小な気泡は、ガス発生部10の高位部10a近傍に寄り集まって合体し、大きなサイズの気泡に成長する。そして、大きな気泡に成長した副生成ガスb2は、増大した浮力によって原水5中を急浮上する。副生成ガスb2の大きな気泡では、原水5に対する副生成ガスb2の単位体積当たりの気/液接触面積が小さくなり、浮上速度が速いために原水5との接触時間が短くなるので、原水5への副生成ガスb2の溶存が抑制される。
さらに、下側電極15側では、ガス発生部10の傾斜配置によって、副生成ガスb2の微小な気泡の移動がスムーズに行われるため、副生成ガスb2が固体高分子電解質膜11の下部に膜状に溜まることが防止される。その結果、原水5が固体高分子電解質膜11に接触することが維持されて、原水5の電解が継続される。以上のことから、所望とする主生成ガスb1が高濃度で溶存した主生成ガス溶存水5を手軽に生成することのできる小型のガス溶存水生成装置1が提供される。
この発明は、上記特徴に加えて次のような特徴を備えることができる。
すなわち、導電部材14c,15cが、ガス発生部10での高位部10aにまとめて配置される。当該構成によれば、ガス発生部10の構造や電気的接続が簡単になる。そして、導電部材14c,15cが傾斜支持部23の機能を果たす場合には、傾斜支持部23を省くこともできる。
ガス発生部10での高位部10aが、容器2の側壁に寄せて配置されている。当該構成によれば、副生成ガスb2の気泡が水平方向に分散することが規制され、副生成ガスb2の気泡が合体しやすくなって、大きなサイズの気泡に成長する。
ガス発生部10の外形形状が、容器2の内面に沿うように構成されている。当該構成によれば、ガス発生部10での電極面積をアップさせることができる。
ガス発生部10において、上側電極14の上面に設けられる上側圧接部材18と、下側電極15の下面に設けられる下側圧接部材19とによって、上側電極14と固体高分子電解質膜11と下側電極15とが圧接して挟持されている。当該構成によれば、ガス発生部10における各構成要素が密接しているので、原水5の電解を安定的に行うことができる。
上側圧接部材18は、上側電極14の上面ができるだけ広い範囲で露出するように構成されている。当該構成によれば、上側圧接部材18が大きな開口面積を有するので、主生成ガスb1の微小な気泡が、主生成ガスb1の他の微小な気泡と合体することなくそのまま浮上するのが容易になる。
ガス発生部10での高位部10aには、上側電極14の側で発生した主生成ガスb1と、下側電極15の側で発生した副生成ガスb2とを隔てて、副生成ガスb2を上方向に誘導する生成ガス隔壁部21が設けられている。当該構成によれば、生成ガス隔壁部21は、副生成ガスb2の気泡の水平方向への分散を防止して副生成ガスb2の気泡の集約効率を向上させる。
固体高分子電解質膜11と上側電極14との間及び固体高分子電解質膜11と下側電極15との間には、それぞれ、上側電極14及び下側電極15よりも目の細かい多孔の貴金属系の触媒層12,13が配置されている。当該構成によれば、触媒活性の高い貴金属により、電解電圧を下げることができる。そして、触媒層12,13を目の細かい多孔構造とすることによって、固体高分子電解質膜11と触媒層12とが、多数の微小領域で部分的に接触して、主生成ガスb1が微小な気泡の形態で発生することができる。発生した主生成ガスb1の微小な気泡が、目の細かい多孔の触媒層12,13の微小孔をスムーズに通過して、他の微小な気泡と合体することなくそのまま浮上するのが容易になる。
電源制御部30が、上側電極14及び下側電極15に印加される電圧の正負の極性を切り替えることができる。当該構成によれば、主生成ガス溶存水5として、水素水又はオゾン水を選択して得ることができる。
容器2は、上容器3と、上容器3の下部に対して液密で着脱自在に構成された下容器6と、を有し、ガス発生部10が下容器6内に収容されている。当該構成によれば、必要に応じて上容器3と下容器6とを分離して、下容器6に収容されたガス発生部10を洗浄することができる。また、上容器3を透光性にして下容器6を非透光性にすると、外部からのガス発生部10の視認が不可になるものの、ガス発生部10からの気泡の発生状況等を視認することができる。
1 ガス溶存水生成装置
2 容器
3 上容器
3a 側壁
3b 取っ手
3c 隔壁部
4 上蓋
5 原水(主生成ガス溶存水)
6 下容器
6a 上部側壁
6c 底壁
6d 下部側壁
7 下蓋
8 台座
8a ゴム足
8b 上面
8d 膨出接続部
8f 側方端子面
8g 凹部
10 ガス発生部
10a 高位部
10b 低位部
11 固体高分子電解質膜
12 触媒層
13 触媒層
14 上側電極
14b 溶接端部(上端部)
14c 導電部材
15 下側電極
15b 溶接端部(上端部)
15c 導電部材
18 上カバー(上側圧接部材)
19 下カバー(下側圧接部材)
20 副生成ガス導出部
21 生成ガス隔壁部
22 副生成ガス導出空間
23 傾斜支持部
24 傾斜張り出し部
26 端子接続部
28 ネジ
30 電源制御部
31 直流電源部
33 基板
34 押圧スイッチ
36 LED表示部
38 コード挿通穴
39 DCジャック
41 シール
42 取付ネジ
43 Oリング
44 端子取付部材
45 Oリング
46 シールネジ
47 接続脚
48 接続突端
51 導体挿通孔
52 大気逃がし孔
53 電極シール
b1 主生成ガス
b2 副生成ガス

Claims (10)

  1. 原水を貯留するための容器と、
    多孔の上側電極と多孔の下側電極との間で固体高分子電解質膜を挟持したガス発生部と、
    前記ガス発生部の前記上側電極及び前記下側電極のそれぞれに印加される直流電圧を制御する電源制御部と、
    前記上側電極及び前記下側電極のそれぞれと前記電源制御部とを連結する一対の導電部材と、
    前記導電部材に連結された前記ガス発生部が、原水の貯留された前記容器の底部に設置されて、主生成ガスが前記上側電極の側で発生するとともに副生成ガスが前記下側電極の側で発生する、ガス溶存水生成装置であって、
    前記ガス発生部の高位部が水平方向に対して高位に位置するように、前記ガス発生部が水平方向に対して傾斜配置されている、ガス溶存水生成装置。
  2. 前記導電部材が、前記ガス発生部での前記高位部にまとめて配置される、請求項1に記載のガス溶存水生成装置。
  3. 前記ガス発生部での前記高位部が、前記容器の側壁に寄せて配置されている、請求項1又は2に記載のガス溶存水生成装置。
  4. 前記ガス発生部の外形形状が、前記容器の内面に沿うように構成されている、請求項1乃至3のいずれか1項に記載のガス溶存水生成装置。
  5. 前記ガス発生部において、前記上側電極の上面に設けられる上側圧接部材と、前記下側電極の下面に設けられる下側圧接部材とによって、前記上側電極と前記固体高分子電解質膜と前記下側電極とが圧接して挟持されている、請求項1乃至4のいずれか1項に記載のガス溶存水生成装置。
  6. 前記上側圧接部材は、前記上側電極の前記上面ができるだけ広い範囲で露出するように構成されている、請求項5に記載のガス溶存水生成装置。
  7. 前記ガス発生部での前記高位部には、前記上側電極の側で発生した主生成ガスと、前記下側電極の側で発生した副生成ガスとを隔てて、該副生成ガスを上方向に誘導する生成ガス隔壁部が設けられている、請求項1乃至6のいずれか1項に記載のガス溶存水生成装置。
  8. 前記固体高分子電解質膜と前記上側電極との間及び前記固体高分子電解質膜と前記下側電極との間には、それぞれ、前記上側電極及び前記下側電極よりも目の細かい多孔の貴金属系の触媒層が配置されている、請求項1乃至7のいずれか1項に記載のガス溶存水生成装置。
  9. 前記電源制御部が、前記上側電極及び前記下側電極に印加される電圧の正負の極性を切り替えることができる、請求項1乃至8のいずれか1項に記載のガス溶存水生成装置。
  10. 前記容器は、上容器と、該上容器の下部に対して液密で着脱自在に構成された下容器と、を有し、前記ガス発生部が前記下容器内に収容されている、請求項1乃至9のいずれか1項に記載のガス溶存水生成装置。
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