JP2001190336A

JP2001190336A - ブラシ

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Publication number: JP2001190336A
Application number: JP2000251888A
Authority: JP
Inventors: Satonori Shigihara; 学徳鴫原
Original assignee: EROIKA CORP; EROIKA Corp KK; HIROSE KOGYO KK; KAGOSHIMA SUPERSONIC TECHNICAL; KAGOSHIMA SUPERSONIC TECHNICAL LABORATORY CO Ltd; RICHTER CORP KK; Sankyo Electric Co Ltd; Lobtex Co Ltd; Fuji Ceramics Corp
Current assignee: EROIKA CORP; EROIKA Corp KK; HIROSE KOGYO KK; KAGOSHIMA SUPERSONIC TECHNICAL; KAGOSHIMA SUPERSONIC TECHNICAL LABORATORY CO Ltd; RICHTER CORP KK; Sanden Holdings Corp; Lobtex Co Ltd; Fuji Ceramics Corp
Priority date: 1999-10-26
Filing date: 2000-08-23
Publication date: 2001-07-17
Also published as: AU7954700A; TW476629B; WO2001030198A1

Abstract

(57)【要約】【課題】殺菌または滅菌の効果があり、歯磨剤を使わな
くても口内を洗浄できること。【解決手段】絶縁体からなる把持部１１と、把持部１１
の頭部に設けられた多数のフィラメントＦＭとを有して
なるブラシ１であって、把持部１１の頭部に、貴な金属
である炭素からなる陽電極１２と、卑な金属であるマグ
ネシウムからなり、陽電極１２とは絶縁された状態の陰
電極１３とが設けられてなる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、ガルバニック電位
差による動電効果を利用したブラシおよび清掃器具に関
する。

【０００２】

【従来の技術】従来より、人が手や体を洗浄する際に、
一般的に洗剤として石鹸が用いられる。石鹸は、動植物
性油脂や硬化油を水酸化ナトリウムで鹸化し塩析したも
のであり、その水溶液は、表面張力を低下させて泡を発
生し、油脂を乳化する。

【０００３】石鹸を手で握り、水または湯で濡れた手や
体を石鹸で擦ることによって、体の汚れや匂いを落とす
ことができる。また、わずかではあるが滅菌や防菌の効
果も期待できる。また、石鹸の他、中性洗剤またはシャ
ンプ剤など、界面活性効果を有する種々の洗剤が用いら
れることもある。

【０００４】また、一般に、歯磨きが日常的に行われて
いる。歯磨きは洗浄行為の一種であり、通常、歯ブラシ
および歯磨剤が用いられる。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】従来に用いられる石鹸
その他の界面活性剤によると、使用時において多量の泡
が発生し、それが下水などに流された後も発生した泡は
容易に消えないため、特に住宅の密集する都市などにお
いて水質汚染の問題が生じ、環境問題となることもあ
る。

【０００６】また、従来の歯ブラシによる歯磨きは、歯
の汚れ落としおよび歯の研磨作用が主な目的である。し
たがって、口腔内の殺菌または滅菌の効果は期待できな
い。また、歯磨剤を使用するため、歯磨剤の水溶液が下
水として排出され、石鹸の場合と同様に水質汚染の問題
が生じる。

【０００７】特に、集団生活を行う宿舎などがある場合
には、そこから大量の歯磨剤の水溶液が排出されるの
で、環境に与える影響は大きい。本発明は、上述の問題
に鑑みてなされたもので、殺菌または滅菌の効果があ
り、歯磨剤を使わなくても口内を洗浄することのできる
ブラシおよび清掃器具を提供することを目的とする。

【０００８】

【課題を解決するための手段】本発明に係るブラシは、
絶縁体からなる把持部と、前記把持部の頭部に設けられ
た多数のフィラメントとを有してなるブラシであって、
前記把持部の頭部に、貴な金属からなる陽電極と、卑な
金属からなり前記陽電極とは絶縁された状態の陰電極と
が設けられてなる。

【０００９】好ましくは、前記陽電極は主に炭素からな
り、前記陰電極は主にマグネシウムからなる。また、前
記陽電極は前記把持部の上面に、前記陰電極は前記把持
部の下面に設けられてなる。

【００１０】また、前記陽電極は前記把持部の上面に、
前記陰電極は前記把持部の側面に設けられてなる。ま
た、前記陽電極は前記把持部の上面に、前記陰電極は前
記把持部の下面であって前記陽電極よりも先端側に設け
られてなる。

【００１１】また、前記陽電極および前記陰電極は、前
記把持部の頭部に着脱可能に取り付けられる絶縁体から
なるアダプターに取り付けられてなる。本発明の他の実
施形態によると、前記把持部に、陽電極および陰電極が
設けられており、前記陽電極は貴な金属から、前記陰電
極は卑な金属であるマグネシウムから、それぞれなって
おり、前記陽電極は、前記把持部を手で握ったときに手
の皮膚に接触可能に配置され、前記陰電極は、前記陽電
極よりも先端側に配置されてなる。

【００１２】本発明のさらに他の実施形態によると、絶
縁体からなる把持部と、前記把持部の頭部に設けられた
多孔質な柔軟体とを有してなる清掃器具であって、前記
把持部の頭部に、貴な金属からなる陽電極と、卑な金属
からなり前記陽電極部材とは絶縁された状態の陰電極と
が設けられてなる。

【００１３】

【発明の実施の形態】図１は本発明の第１実施形態の歯
ブラシ１の外形を示す図である。なお、図１（Ａ）は平
面図、図１（Ｂ）は正面図、図１（Ｃ）は底面図であ
る。

【００１４】図１に示すように、歯ブラシ１は、絶縁体
からなる把持部１１、把持部１１の頭部の下面に設けら
れた多数のフィラメントＦＭ、把持部１１の上面に設け
られた陽電極１２、把持部１１の側面（正面）に設けら
れた陰電極１３からなる。

【００１５】把持部１１は、絶縁体からなり、歯ブラシ
１としての機能を果たすための柄であるとともに、陽電
極１２および陰電極１３を支持する基体でもある。把持
部１１の材料として、合成樹脂またはセラミックスなど
が用いられる。また、カルシウムセメント系の材料を用
いることもできる。カルシウム系を用いると、カルシウ
ムがイオン化して水に溶解し、陰電極１３から析出する
マグネシウムとイオン結合することにより、これが皮膚
から吸収されることによって、皮膚の恒常性の保持およ
び活性化が図られる。

【００１６】陽電極１２および陰電極１３は、把持部１
１の頭部の口中に入る部分において、把持部１１に設け
られた凹部に嵌め込まれ、または把持部１１の内部に埋
め込まれ、または把持部１１の表面に装着される。ネジ
または接着剤などが必要に応じて用いられる。フィラメ
ントＦＭの材料として、ナイロン、馬の毛、豚の毛、そ
の他の合成樹脂または天然素材など、種々のものを用い
ることができる。

【００１７】なお、図１では、陰電極１３が把持部１１
の一方の側面（正面）のみに設けられているが、両方の
側面（正面および背面）にそれぞれ設けてもよい。陽電
極１２の材料として、異種金属接触腐食における貴な金
属が用いられ、陰電極１３の材料として、異種金属接触
腐食における卑な金属が用いられる。

【００１８】すなわち、金属が海水中で示す電位は金属
の種類によって異なる。電位の異なる異種金属を海水中
で電気的に結合しているとき、電位の低いつまり卑な金
属が陰電極（アノード）、電位の高いつまり貴な金属が
陽電極（カソード）となって局部電池が形成される。こ
れが異種金属接触腐食（ガルバニックコロージョン）で
ある。

【００１９】一般に、炭素（黒鉛）、白金、ニッケル・
クロム・モリブデン合金Ｃ、チタン、ニッケル・クロム
・銅・シリコン合金Ｂ、ニッケル・鉄・クロム合金８２
５、アロイ２０、ステンレス鋼などが貴な金属である。
黒鉛および白金は、＋０．２ボルト程度電位を示す。他
の金属は０ボルト近辺の電位を示す。

【００２０】また、マグネシウム、亜鉛、ベリリウム、
アルミニウム合金などが卑な金属である。マグネシウム
は−１．６ボルト程度の電位を示し、亜鉛、ベリリウ
ム、アルミニウム合金などは−１．０ボルト程度の電位
を示す。

【００２１】より卑な金属の腐食が、貴な金属との接触
によって加速される。また、陰電極として用いられる卑
な金属の腐食速度は、陽電極として用いられる貴な金属
の面積が大きい程大きくなる。陰電極の面積対陽電極の
面積の比が小さい場合には、陰電極の腐食の深さは大き
くなる。なお、例えばチタンなどの金属の水素吸収臨界
電位は約−０．７５ボルト（ＳＣＥ）であり、臨界電位
より貴な電位、例えば−０．６５ボルトに防食電位を保
持することにより、水素吸収現象を防止することができ
る。

【００２２】本実施形態においては、陽電極１２の材料
として炭素（カーボン）が用いられる。炭素を含む物質
として、例えば炭または黒鉛などがある。また、陰電極
１３の材料としてマグネシウムが用いられる。これらの
間でガルバニック電池が形成される。他の実施形態とし
て、陽電極１２の材料にプラチナ（白金）を用いること
ができる。

【００２３】特に、陰電極２３の材料としてマグネシウ
ムを用いることにより、１．５ボルト程度の大きな起電
力を得ることができ、これによって強い殺菌効果が発揮
される。また、水に濡れた状態では、陽電極１２と陰電
極１３との間で誘電泳動（Dielectrophoresis)現象が生
じる。陰電極１３は水素イオンを発生する部位であり、
電気的な陰極面を形成する。

【００２４】上のように構成された歯ブラシ１の使用の
例を説明する。把持部１１の表面が乾燥した状態（水に
濡れていない状態）では、陽電極１２と陰電極１３との
間に電位差はなく、電流も流れない。しかし、これらの
表面が水または水溶液で濡れると、陽電極１２と陰電極
１３とによってガルバニック電池が形成され、１．５ボ
ルト以上の大きな起電力を得ることができる（図８を参
照）。

【００２５】つまり、水または塩とともに歯ブラシ１を
使用することによって、液中の溶存酸素や擦り摩擦作用
による溶液の移動にともなって、外気が混入して界面活
性面に拡散溶解することとなり、液中の溶存酸素の和と
なる気体作用で酸素の水系表面の拡散作用により、２種
の異種金属の配極において水液を導電路とする電気結合
が構成され、陰電極１３から陽電極１２へ内部電流が流
れ、陽電極１２がプラス、陰電極１３がマイナスである
ガルバニック電池となる。

【００２６】歯ブラシ１を移動させ、歯、歯茎、または
口内の他の部分を擦ることにより、溶液が撹拌され、分
極が促進されて電流効果が大きくなる。さらに、歯ブラ
シ１の使用によって、陰電極１３からマグネシウムが粒
界析出するので、マグネシウムのイオン化分極作用が起
こり、洗浄作用面である歯茎などの表面または角質表皮
に対し、水溶シリカ成分が電場の凝集効果で活性反応
し、シリカ架橋作用、イオン還元作用、イオン再展着作
用などによって歯茎などの活性化が図られる。

【００２７】また、生体に存する細菌は約１．５ボルト
の電圧を被電することにより死滅するので、歯ブラシ１
を口内で移動させるかまたは擦ることによって、口内の
皮膚の表面が殺菌または滅菌される。したがって、細菌
の繁殖による悪臭を防ぐ防臭効果がある。

【００２８】歯ブラシ１によると、洗浄のための水溶液
または口内の唾液環境を利用した物理化学的な電気現象
を励起し、機械的な擦り作用にさらなる動電効果として
の誘電泳動作用が重畳される。これらにより、歯垢分解
および酸化劣化物の電解による離脱が行われ、電場によ
るイオン化処理が行われる。

【００２９】また、歯ブラシ１を使用する際には細かい
泡が多量に発生するが、発生した泡はガルバニック電池
による電場によって電場処理がなされるので、分解し易
くなって減泡するので、下水などに流したときに従来の
ように大量の泡が残ることがない。そして、従来のよう
に歯磨剤を用いる必要がないので、歯磨剤が排水中に混
ざることがない。

【００３０】このように、歯ブラシ１を用い、水または
水溶液で歯を磨くことにより、必要に応じて塩を用いる
ことにより、洗浄、殺菌、および滅菌が口腔内で行わ
れ、防臭および消臭の効果があり、口臭が防止される。

【００３１】図２は本発明の第２実施形態の歯ブラシ１
Ｂの外形を示す図である。図２に示す歯ブラシ１Ｂで
は、陰電極１３ＢがフィラメントＦＭの根本部分に設け
られている点が図１の歯ブラシ１と異なる。歯ブラシ１
Ｂでは、フィラメントＦＭの植毛前に陰電極１３Ｂを設
けておけばよい。陰電極１３Ｂを設ける方法として、例
えば真空蒸着法によることができる。歯ブラシ１Ｂの使
用方法および作用効果は、上の歯ブラシ１と同様であ
る。

【００３２】図３は本発明の第３実施形態の歯ブラシ１
Ｃの外形を示す図である。図３に示す歯ブラシ１Ｃで
は、フィラメントＦＭが設けられておらず、それに代え
て清掃部材１４が着脱可能に設けられる。

【００３３】すなわち、把持部１１Ｃには、その頭部の
表裏に、陽電極１２Ｃおよび陰電極１３Ｃが設けられて
いる。把持部１１ＣにはフィラメントＦＭは設けられて
おらず、単なる棒状である。

【００３４】清掃部材１４の材料として、連泡多孔質で
弾性を有する柔軟な海綿またはスポンジなどが用いられ
る。先端から見て、四角形、円形、または楕円形などに
形成される。後端側に、把持部１１Ｃを挿入するための
穴または切り込みが設けられる。

【００３５】使用状態となったものが図３（Ｅ）に示さ
れている。清掃部材１４を水で湿潤させ、または清掃部
材１４に清浄化溶剤を含侵させ、清掃部材１４で口腔内
をかき混ぜまたは擦る。これによって、上の歯ブラシ１
と類似の作用効果が得られる。

【００３６】歯ブラシ１Ｃによって、口内を衛生的に清
浄することができる。清掃部材１４が着脱可能であり、
把持部１１Ｃおよび清掃部材１４の洗浄が容易である。
清掃部材１４を使い捨てとすることも可能である。使用
の都度に取り換えることにより、より衛生的である。歯
ブラシ１Ｃは、乳幼児または老齢者の口内清掃に好適で
ある。

【００３７】図４は本発明の第４実施形態の歯ブラシ１
Ｄの外形を示す図、図５は歯ブラシ１Ｄのアダプター１
６を拡大して示す図である。図４および図５において、
歯ブラシ１Ｄは、把持部１１ＤおよびフィラメントＦＭ
からなる本体と、把持部１１Ｄに着脱可能なアダプター
１６とからなる。把持部１１Ｄには、頭部の側面の周囲
にわたって係合溝１５が設けられている。

【００３８】アダプター１６は、合成樹脂などの絶縁体
からなり、把持部１１Ｄの頭部に先端側からスライドさ
せて挿入が可能なように断面が略コの字形に形成されて
いる。アダプター１６を挿入したときには、内側に設け
られた係合突起１７が係合溝１５に入り、これによって
脱落が防止されている。

【００３９】アダプター１６の上面には、上に述べたと
同様な陽電極１２Ｄおよび陰電極１３Ｄが設けられてい
る。したがって、把持部１１Ｄにアダプター１６を装着
したときには、図４（Ｅ）に示すように、把持部１１Ｄ
の上面に陽電極１２Ｄおよび陰電極１３Ｄが配置される
こととなる。歯ブラシ１Ｄの使用方法および作用効果
は、上の歯ブラシ１と同様である。

【００４０】この歯ブラシ１Ｄによると、把持部１１Ｄ
とアダプター１６とが分離可能であるから、従来の歯ブ
ラシに係合溝１５などの加工を施すのみで、アダプター
１６を装着することによって本実施形態歯ブラシ１Ｄと
することが可能である。把持部１１Ｄまたはアダプター
１６を交換することができるので、使用状況に応じて容
易に取り替えることができる。

【００４１】図６は本発明の第５実施形態の歯ブラシ２
の外形を示す図である。図６に示すように、歯ブラシ２
は、絶縁体からなる把持部２１、把持部２１の先端部に
設けられた多数のフィラメントＦＭ、把持部２１の上面
に設けられた陽電極２２および陰電極２３からなる。

【００４２】把持部２１は、上に述べたと同様な材料か
らなり、歯ブラシ２としての機能を果たすための柄であ
るとともに、陽電極２２および陰電極２３を支持する基
体でもある。

【００４３】陽電極２２および陰電極２３は、上に述べ
た陽電極１２および陰電極１３と同様な材料からなり、
同様な機能を果たす。つまり、これらの間でガルバニッ
ク電池が形成される。

【００４４】陽電極２２は、歯ブラシ２の使用のために
把持部２１を手で持ったときに、手が陽電極２２に接触
するように配置されている。陰電極２３は、陽電極２２
よりも先端側に配置されており、口腔内において溶液に
接する。

【００４５】図７は本発明の第６実施形態の歯ブラシ２
Ｂの外形を示す図である。図７に示す歯ブラシ２Ｂで
は、陽電極２２Ｂが把持部２１Ｂの根本まで延びてお
り、陰電極２３Ｂは把持部２１Ｂの表面から突出してい
る。

【００４６】図に示すように、陽電極２２Ｂを手で把持
した状態で、フィラメントＦＭとの接触磨き面に対し
て、水平方向に往復移動させる。これによって、口腔内
の洗浄、殺菌または滅菌が行われる。

【００４７】このように、歯ブラシ１、１Ｂ〜１Ｄ、
２、２Ｂを用い、水、水溶液、および／または塩で歯を
磨くことにより、洗浄、殺菌、および滅菌が口腔内で行
われ、防臭および消臭の効果があり口臭が防止される。

【００４８】すなわち、日常に行われる歯磨きは洗浄行
為の一種であり、したがって従来の歯ブラシは歯の汚れ
落としおよび歯の研磨作用が主な目的および効果であっ
て、口腔内の殺菌または滅菌の効果は期待できない。し
かし、本実施形態の歯ブラシを用いることにより、殺菌
および滅菌の効果があり、一層綺麗に洗浄が行われる。

【００４９】ここで、歯ブラシにおける誘電泳動現象に
ついて説明する。上に述べたように、本実施形態におい
ては、陽電極１２として炭素が用いられ、陰電極１３と
してマグネシウムが用いられる。水溶液環境において、
葉や歯茎を擦り、撫で、摺動する。これによって、生体
部位に直接的に電場効果を及ぼす。そのため、従来のよ
うに化学溶剤に依ることなく、水との解離作用のしきい
値を低く抑えることができ、水を媒体とする制菌効果を
期待することができる。

【００５０】マグネシウムは、生体に害がなく、水の還
元性水和解離作用において、唯一、生体適合性を有する
水素イオン（プロトン）を発生する基材である。マグネ
シウムの水素イオンによる水和カルシウムとの水和反応
によって、その作用系の水和対となるナトリウム、カリ
ウムのバランス水和反応を介して、結果的に、生体のカ
ルシウム還元作用にマグネシウムの水素イオンによる酸
化補正を作用させる（表皮展着効果）。

【００５１】図９は誘電泳動の原理を説明する図、図１
０は貴と卑の機能構成を示す図である。図９に示すよう
に、歯ブラシ１は、不平等電界による誘電泳動現象を利
用したものである。水溶液環境に浸された陽電極１２お
よび陰電極１３には、対向する部分に逆極性分極電荷が
誘起される。これによって不平等電界が生じる。位置に
よって電界強度が異なり、正負の分極電荷に働く力の差
を利用して、イオン粒子を駆動する。その場合の誘電泳
動力は体積に比例する。

【００５２】この主な作用系は、酸化型イオン、還元型
イオン交換、変換作用をともなう。水に不溶性の界面と
酸化還元系を含む溶液との接触面では、界面を通って移
行するのは理論上電子粒子のみであり、作用系のイオン
は水系洗浄の溶液解離作用に電気的なイオンの水和作用
を成立させることとなる。これにより、分解、乳化、離
脱が行われる。

【００５３】図１０に示すように、酸素拡散速度の違い
により、自己ポテンシャル（自由電子の分極律速）の電
位の低い卑な極がアノード、電位の高い貴な極がカソー
ドとなって電位差を発生する。マグネシウムの水中分極
によって生じるプロトンは卑な極のアノード反応であ
り、イオン種は陽子イオンである。卑な極は電位的に陰
極となり、貴な極は陽極となる。この電位効果は、陰極
側が水素イオン発生の極となっており、水中電界作用及
び電解現象としては、その作用が水の水和解離電位の
０．７ボルトよりさらにマイナスとなる。

【００５４】上に述べた実施形態において、把持部、陽
電極、陰電極、清掃部材、およびアダプターの形状を種
々変更することができる。陽電極および陰電極の個数に
ついても、２個以上としてもよい。陽電極および陰電極
の取り付け方法についても、種々の方法を採用すること
ができる。

【００５５】その他、把持部、陽電極、陰電極、または
歯ブラシの全体または各部の構造、形状、寸法、個数、
材料などは、本発明の趣旨に沿って種々変更することが
できる。

【００５６】上に述べた実施形態では、本発明を歯ブラ
シまたは口内清掃器具に適用した例を説明した。しか
し、本発明は他の種々のブラシまたは清掃器具に適用可
能である。

【００５７】例えば、形状をもっと大きくして、入浴用
のブラシとしたり、家畜または畜体の水洗いのためのブ
ラシとすることができる。その場合に、目的に合った形
状に変形したり、目的に合った種々の材質のものを用い
ることができる。例えば、把持部を円形、楕円形、また
は長方形の板状とし、把持部の上面または側面に陽電極
および陰電極を設け、下面の全体にフィラメントＦＭを
設けるようにしてもよい。このようなブラシにおいて
も、洗浄、殺菌または滅菌、乳化、減泡など、上に述べ
た歯ブラシの場合とほぼ同様の作用効果が得られる。ま
た、風呂場、流し場、その他の種々の器具などの洗浄に
も用いることが可能である。

【００５８】

【発明の効果】本発明によると、殺菌または滅菌の効果
があり、歯磨剤などを使わなくても口内などを洗浄する
ことができる。

【００５９】請求項６の発明によると、把持部またはア
ダプターを交換することができるので、使用状況に応じ
てそれらを容易に取り替えることができる。請求項８お
よび９の発明によると、把持部および清掃部材の洗浄が
容易であり、より衛生的であるとともに、乳幼児または
老齢者の口内清掃などに好適である。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の第１実施形態の歯ブラシの外形を示す
図である。

【図２】本発明の第２実施形態の歯ブラシの外形を示す
図である。

【図３】本発明の第３実施形態の歯ブラシの外形を示す
図である。

【図４】本発明の第４実施形態の歯ブラシの外形を示す
図である。

【図５】歯ブラシのアダプターを拡大して示す図であ
る。

【図６】本発明の第５実施形態の歯ブラシの外形を示す
図である。

【図７】本発明の第６実施形態の歯ブラシの外形を示す
図である。

【図８】２種の異種金属のガルバニック電位差の動電変
位を示す図である。

【図９】誘電泳動の原理を説明する図である。

【図１０】貴と卑の機能構成を示す図である。

【符号の説明】

１，１Ｂ〜１Ｄ歯ブラシ（ブラシ）２，２Ｂ歯ブラシ（ブラシ）１１把持部１２陽電極１３陰電極１４清掃部材１６アダプター

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (71)出願人 000232830 株式会社ロブテックス大阪府東大阪市四条町12番８号 (71)出願人 599150894 ヒロセ工業株式会社兵庫県神戸市灘区新在家南町２丁目３番17 号 (71)出願人 500439168 株式会社鹿児島超音波総合研究所鹿児島県鹿児島市武１丁目５番28号琥珀ビル２階 (71)出願人 593001716 株式会社エロイカコーポレーション兵庫県芦屋市公光町７番10−701号 (72)発明者鴫原学徳兵庫県芦屋市公光町７番10−701号株式会社エロイカコーポレーション内Ｆターム(参考） 3B202 AA08 AB13 AB16 GA00

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】絶縁体からなる把持部と、前記把持部の頭
部に設けられた多数のフィラメントとを有してなるブラ
シであって、前記把持部の頭部に、貴な金属からなる陽電極と、卑な
金属からなり前記陽電極とは絶縁された状態の陰電極と
が設けられてなる、ことを特徴とするブラシ。
【請求項２】前記陽電極は主に炭素からなり、前記陰電
極は主にマグネシウムからなる、請求項１記載のブラシ。
【請求項３】前記陽電極は前記把持部の上面に、前記陰
電極は前記把持部の下面に設けられてなる、請求項１または２記載のブラシ。
【請求項４】前記陽電極は前記把持部の上面に、前記陰
電極は前記把持部の側面に設けられてなる、請求項１または２記載のブラシ。
【請求項５】前記陽電極は前記把持部の上面に、前記陰
電極は前記把持部の下面であって前記陽電極よりも先端
側に設けられてなる、請求項１または２記載のブラシ。
【請求項６】前記陽電極および前記陰電極は、前記把持
部の頭部に着脱可能に取り付けられる絶縁体からなるア
ダプターに取り付けられてなる、請求項５記載のブラシ。
【請求項７】絶縁体からなる把持部と、前記把持部の頭
部に設けられた多数のフィラメントとを有してなる歯磨
き用のブラシであって、前記把持部に、陽電極および陰電極が設けられており、前記陽電極は貴な金属から、前記陰電極は卑な金属であ
るマグネシウムから、それぞれなっており、前記陽電極は、前記把持部を手で握ったときに手の皮膚
に接触可能に配置され、前記陰電極は、前記陽電極よりも先端側に配置されてな
る、ことを特徴とするブラシ。
【請求項８】絶縁体からなる把持部と、前記把持部の頭
部に設けられた多孔質な柔軟体とを有してなる清掃器具
であって、前記把持部の頭部に、貴な金属からなる陽電極と、卑な
金属からなり前記陽電極部材とは絶縁された状態の陰電
極とが設けられてなる、ことを特徴とする清掃器具。
【請求項９】前記陽電極は主に炭素からなり、前記陰電
極は主にマグネシウムからなる、請求項８記載の清掃器具。