JP2019156868A - ミクロフィブリル化植物繊維・ゴム複合体の製造方法 - Google Patents

ミクロフィブリル化植物繊維・ゴム複合体の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2019156868A
JP2019156868A JP2018040668A JP2018040668A JP2019156868A JP 2019156868 A JP2019156868 A JP 2019156868A JP 2018040668 A JP2018040668 A JP 2018040668A JP 2018040668 A JP2018040668 A JP 2018040668A JP 2019156868 A JP2019156868 A JP 2019156868A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
rubber
microfibrillated plant
group
plant fiber
mass
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2018040668A
Other languages
English (en)
Other versions
JP7081222B2 (ja
Inventor
澄子 宮崎
Sumiko Miyazaki
澄子 宮崎
佐藤 大輔
Daisuke Sato
大輔 佐藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Rubber Industries Ltd
Original Assignee
Sumitomo Rubber Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Rubber Industries Ltd filed Critical Sumitomo Rubber Industries Ltd
Priority to JP2018040668A priority Critical patent/JP7081222B2/ja
Publication of JP2019156868A publication Critical patent/JP2019156868A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7081222B2 publication Critical patent/JP7081222B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02TCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES RELATED TO TRANSPORTATION
    • Y02T10/00Road transport of goods or passengers
    • Y02T10/80Technologies aiming to reduce greenhouse gasses emissions common to all road transportation technologies
    • Y02T10/86Optimisation of rolling resistance, e.g. weight reduction 

Landscapes

  • Processes Of Treating Macromolecular Substances (AREA)
  • Reinforced Plastic Materials (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Tires In General (AREA)

Abstract

【課題】ゴム中でミクロフィブリル化植物繊維を微細に分散させ、ゴム組成物に配合するとタイヤの要求性能をバランス良く改善できるミクロフィブリル化植物繊維・ゴム複合体を製造する方法等を提供する。【解決手段】ミクロフィブリル化植物繊維・ゴム複合体を製造する方法であって、該製造方法は、陰イオン性界面活性剤と、ミクロフィブリル化植物繊維分散液とを混合し混合液を作製する工程、及び、該混合液とゴムとを混合する工程を含み、前記陰イオン性界面活性剤が、疎水性基及び親水性基を有し、前記ミクロフィブリル化植物繊維は、平均繊維径が4〜100nmであることを特徴とするミクロフィブリル化植物繊維・ゴム複合体の製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、ミクロフィブリル化植物繊維・ゴム複合体の製造方法に関する。
セルロース繊維等のミクロフィブリル化植物繊維を充填剤としてゴム組成物に配合することで、ゴム組成物を補強し、モジュラス(複素弾性率)を向上させることができる。しかしながら、ミクロフィブリル化植物繊維は、自己凝集力が強く、ゴム成分との相溶性も悪い。
また、ゴムラテックスとミクロフィブリル化植物繊維を混合してマスターバッチを作製した場合、ミクロフィブリル化植物繊維の凝集塊がマスターバッチ中に発生しやすい傾向があった。そのため、上記マスターバッチをタイヤに使用した場合、発生した凝集塊により、早期摩耗、割れ、チッピング、層間セパレーションが引き起こされる可能性があり、更に、空気漏れ、操縦安定性の喪失に至る可能性もあった。
このように、ミクロフィブリル化植物繊維を配合すると、モジュラスは向上するものの、タイヤの要求性能が低下し、タイヤとしての機能メリットが無くなる場合があるという点で改善の余地があった。
これに対して、ミクロフィブリル化植物繊維を化学変性することで、ゴム成分とミクロフィブリル化植物繊維との相溶性を改善する方法が開示されている(例えば、特許文献1参照)。また、平均繊維径が1〜200nmであり、構成するセルロースがカルボキシ基を有するセルロース繊維や、平均繊維径0.1〜200nmのカルボキシ基を有する微細セルロース繊維を、炭化水素基を有する疎水変性処理剤で処理して得られる微細変性セルロース繊維をゴムに配合することで、セルロース繊維のゴム中での分散性を改善する方法が開示されている(例えば、特許文献2、3参照)。更には、平均繊維径がナノオーダーのセルロースナノ繊維にモノマー若しくはポリマーをグラフト重合させた複合化セルロース繊維をゴムの補強材とすることで、ゴム成分への親和性及び分散性を改善する方法も開示されている(例えば、特許文献4参照)。
特許第4581116号明細書 特開2013−18918号公報 特開2014−125607号公報 特開2009−263417号公報
上述のように、ミクロフィブリル化植物繊維のゴム中での分散性、相溶性を改善するための方法が種々検討されているが、例えば、特許文献1〜4に開示の方法を用いたとしても、上述の性能を総合的に改善するという点では充分でなかった。
本発明は、前記課題を解決し、ゴム中でミクロフィブリル化植物繊維を微細に分散させ、ゴム組成物に配合するとタイヤの要求性能をバランス良く改善できるミクロフィブリル化植物繊維・ゴム複合体を製造する方法等を提供することを目的とする。
本発明は、ミクロフィブリル化植物繊維・ゴム複合体を製造する方法であって、該製造方法は、陰イオン性界面活性剤と、ミクロフィブリル化植物繊維分散液とを混合し混合液を作製する工程、及び、該混合液とゴムとを混合する工程を含み、上記陰イオン性界面活性剤は、疎水性基及び親水性基を有し、上記ミクロフィブリル化植物繊維は、平均繊維径が4〜100nmであることを特徴とするミクロフィブリル化植物繊維・ゴム複合体の製造方法に関する。
上記疎水性基は、炭化水素基であることが好ましい。
上記親水性基は、カルボキシル基、スルホン酸基、硫酸基、及び、リン酸基からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
上記ミクロフィブリル化植物繊維分散液は、化学変性ミクロフィブリル化植物繊維分散液であることが好ましい。
上記ゴムは、ゴムラテックス又は液状ポリマーであることが好ましい。
上記ミクロフィブリル化植物繊維の平均繊維径は、10〜90nmであることが好ましい。
本発明はまた、上記製造方法により得られたミクロフィブリル化植物繊維・ゴム複合体に関する。
本発明はまた、上記ミクロフィブリル化植物繊維・ゴム複合体を含むゴム組成物に関する。
本発明はまた、ゴム成分と、ミクロフィブリル化植物繊維とを含むゴム組成物であって、該ゴム組成物中のミクロフィブリル化植物繊維の平均繊維径が4〜100nmであり、繊維径の最頻値が10〜70nmであることを特徴とするゴム組成物に関する。
本発明はまた、上記ゴム組成物を用いて作製した空気入りタイヤに関する。
本発明は、陰イオン性界面活性剤と、ミクロフィブリル化植物繊維分散液とを混合し混合液を作製する工程、及び、該混合液とゴムとを混合する工程を含み、上記陰イオン性界面活性剤が疎水性基及び親水性基を有し、上記ミクロフィブリル化植物繊維の平均繊維径が4〜100nmであるミクロフィブリル化植物繊維・ゴム複合体の製造方法であるので、ゴム中でミクロフィブリル化植物繊維が微細に分散したミクロフィブリル化植物繊維・ゴム複合体を得ることができる。そしてこのようなミクロフィブリル化植物繊維・ゴム複合体を用いることで、タイヤに要求される耐久性、操縦安定性、低燃費性がバランス良く改善されたゴム組成物、空気入りタイヤを得ることができる。
実施例11において得られたミクロフィブリル化植物繊維・天然ゴム複合体を電子顕微鏡により観察した電子顕微鏡写真である。 実施例20において得られた化学変性ミクロフィブリル化植物繊維・天然ゴム複合体を電子顕微鏡により観察した電子顕微鏡写真である。 比較例11において得られたミクロフィブリル化植物繊維・天然ゴム複合体を電子顕微鏡により観察した電子顕微鏡写真である。
〔ミクロフィブリル化植物繊維・ゴム複合体の製造方法〕
本発明のミクロフィブリル化植物繊維・ゴム複合体の製造方法は、陰イオン性界面活性剤と、ミクロフィブリル化植物繊維分散液とを混合し混合液を作製する工程(工程(1))、及び、該混合液とゴムとを混合する工程(工程(2))を含む。なお、本発明の製造方法は、上記工程を含む限り、その他の工程を含んでいてもよく、また、上記工程をそれぞれ、1回行ってもよいし、複数回繰り返し行ってもよい。
ゴムとミクロフィブリル化植物繊維を混合しても相溶性が悪く、ミクロフィブリル化植物繊維を十分に分散させることは困難であるのに対して、本発明者らは、疎水性基及び親水性基を有する陰イオン性界面活性剤と所定のミクロフィブリル化植物繊維分散液とを事前に混合してから、ゴムと混合することで、ミクロフィブリル化植物繊維とゴムの相互作用を高め、ミクロフィブリル化植物繊維とゴムの分離やミクロフィブリル化植物繊維の凝集を抑制でき、凝集塊の発生を抑えることができることを見出した。そして更には、良好な凝固性も得られるため、ミクロフィブリル化植物繊維が十分に微分散した複合体を調製でき、また上記界面活性剤の存在下で複合体を調製することで、ミクロフィブリル化植物繊維やゴム成分のロスも抑制できることをも見出した。
(工程(1))
本発明では、まず、陰イオン性界面活性剤と、ミクロフィブリル化植物繊維分散液とを混合し混合液を作製する工程(工程(1))が行われる。
上記陰イオン性界面活性剤は、疎水性基及び親水性基を有するものである。このような界面活性剤を用いることにより、疎水性基とゴムの疎水基とが疎水−疎水結合を形成して親和性を示し、また、親水性基とミクロフィブリル化植物繊維の有する水酸基とが水素結合で吸着して親和性を示すために、ミクロフィブリル化植物繊維の分散性を高め、ゴム中でミクロフィブリル化植物繊維が凝集するのを抑制し、凝集塊が発生するのを抑えることができると推察される。陰イオン性界面活性剤としては、1種を用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記疎水性基は、疎水性の官能基であればよいが、なかでも、炭化水素基であることが好ましい。該炭化水素基としては、直鎖状、分岐状、環状のいずれであってもよく、脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基などが挙げられる。なかでも、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基が好ましい。上記炭化水素基の炭素数は、好ましくは4〜20、より好ましくは4〜15、更に好ましくは4〜12である。
上記脂肪族炭化水素基としては、炭素数1〜20のものが好ましく、1〜10のものがより好ましく、1〜6のものが更に好ましい。好ましい例として、上記炭素数のアルキル基が挙げられ、具体的には、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、へキシル基、へプチル基、2−エチルヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、オクタデシル基等が挙げられる。また、上記炭素数のアルケニル基、アルキニル基も挙げられ、一例としては、ビニル基、アリル基、1−プロペニル基、1−メチルエテニル基、イソブチレン基等のアルケニル基、エチニル基、プロパギル基等のアルキニル基が挙げられる。なかでも、本発明の効果がより好適に得られるという観点から、イソブチレン基が好ましい。
上記脂環式炭化水素基としては、炭素数3〜8のものが好ましく、具体的には、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロプロペニル基、シクロブテニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基、シクロヘプテニル基、シクロオクテニル基等が挙げられる。
上記芳香族炭化水素基としては、炭素数6〜12のものが好ましく、具体的には、フェニル基、ベンジル基、フェネチル基、トリル(tolyl)基、キシリル(xylyl)基、ナフチル基等が挙げられる。なかでも、本発明の効果がより好適に得られるという観点から、フェニル基、ベンジル基、フェネチル基が好ましく、フェニル基、ベンジル基がより好ましく、フェニル基が特に好ましい。なお、トリル基及びキシリル基におけるベンゼン環上のメチル基の置換位置は、オルト位、メタ位、パラ位のいずれの位置でもよい。
上記親水性基は、カルボキシル基、スルホン酸基、硫酸基、及び、リン酸基からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。なかでも、本発明の効果がより好適に得られるという観点から、カルボキシル基が特に好ましい。
上記陰イオン性界面活性剤としては、なかでも、本発明の効果がより好適に得られるという観点から、疎水性基としてフェニル基又はイソブチレン基を有し、親水性基としてカルボキシル基を有する陰イオン性界面活性剤が特に好ましい。
上記陰イオン性界面活性剤としては、上述のような官能基を有するものが好ましい形態として挙げられるが、具体的には、カルボン酸系、スルホン酸系、硫酸エステル系、リン酸エステル系などの界面活性剤に分類できる。
上記カルボン酸系界面活性剤としては、例えば、炭素数が6〜30の脂肪酸塩、多価カルボン酸塩、ロジン酸塩、ダイマー酸塩、ポリマー酸塩、トール油脂肪酸塩や、ポリカルボン酸型高分子界面活性剤等が挙げられ、好ましくは炭素数10〜20のカルボン酸塩、ポリカルボン酸塩、ポリカルボン酸型高分子界面活性剤であり、特に好ましくはポリカルボン酸型高分子界面活性剤である。
上記スルホン酸系界面活性剤としては、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸塩、ジフェニルエ−テルスルホン酸塩等が挙げられる。
上記硫酸エステル系界面活性剤としては、例えば、アルキル硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルキル硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエ−テル硫酸塩、トリスチレン化フェノ−ル硫酸エステル塩、ジスチレン化フェノール硫酸エステル塩、α−オレフィン硫酸エステル塩、アルキルコハク酸硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレントリスチレン化フェノール硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレンジスチレン化フェノ−ル硫酸エステル塩等が挙げられる。
上記リン酸エステル系界面活性剤としては、例えば、アルキルリン酸エステル塩、ポリオキシアルキレンリン酸エステル塩等が挙げられる。
これらの化合物の塩としては、金属塩(Na,k,Ca,Mg,Zn等)、アンモニウム塩、アミン塩(トリエタノールアミン塩等)などが挙げられる。
なお、上記界面活性剤におけるアルキル基としては、炭素数4〜30のアルキル基が挙げられる。また、ポリオキシアルキレン基としては、炭素数2〜4のアルキレン基を有するものが挙げられ、例えば酸化エチレンの付加モル数が1〜50モル程度のものが使用可能である。
上記陰イオン性界面活性剤は、重量平均分子量(Mw)が500以上であることが好ましく、1000以上であることがより好ましい。また、50000以下であることが好ましく、30000以下であることがより好ましい。上記陰イオン性界面活性剤の重量平均分子量がこのような範囲であると、本発明の効果がより好適に得られる。
なお、本明細書において、Mwは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)(東ソー(株)製GPC−8000シリーズ、検出器:示差屈折計、カラム:東ソー(株)製のTSKGEL SUPERMULTIPORE HZ−M)による測定値を基に標準ポリスチレン換算により求めることができる。
上記陰イオン性界面活性剤としては、例えば、エレメンティス社、花王(株)、第一工業製薬(株)、三洋化成工業(株)等の製品を使用できる。
上記ミクロフィブリル化植物繊維分散液は、ミクロフィブリル化植物繊維が溶媒中に分散した分散液(スラリー)であり、該溶媒としては特に限定されず、水等が挙げられる。
上記分散液に含まれるミクロフィブリル化植物繊維としては、良好な補強性が得られるという点から、セルロースミクロフィブリルが好ましい。セルロースミクロフィブリルとしては、天然物由来のものであれば特に制限されず、例えば、果実、穀物、根菜などの資源バイオマス、木材、竹、麻、ジュート、ケナフ、及びこれらを原料として得られるパルプや紙、布、農作物残廃物、食品廃棄物や下水汚泥などの廃棄バイオマス、稲わら、麦わら、間伐材などの未使用バイオマスの他、ホヤ、酢酸菌等の生産するセルロースなどに由来するものが挙げられる。これらミクロフィブリル化植物繊維は、1種を用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
なお、本明細書において、セルロースミクロフィブリルとは、典型的には、平均繊維径が10μm以下の範囲内であるセルロース繊維、より典型的には、セルロース分子の集合により形成されている平均繊維径500nm以下の微小構造を有するセルロース繊維を意味する。なお、典型的なセルロースミクロフィブリルは、例えば、上記のような平均繊維径を有するセルロース繊維の集合体として形成されていることができる。
上記ミクロフィブリル化植物繊維の製造方法としては特に限定されないが、例えば、上記セルロースミクロフィブリルの原料を必要に応じて水酸化ナトリウム等のアルカリで化学処理した後、リファイナー、二軸混練機(二軸押出機)、二軸混練押出機、高圧ホモジナイザー、媒体撹拌ミル、石臼、グラインダー、振動ミル、サンドグラインダー等により機械的に磨砕ないし叩解する方法が挙げられる。これらの方法では、化学処理によって原料からリグニンが分離されるため、リグニンを実質的に含有しないミクロフィブリル化植物繊維が得られる。また、その他の方法として、上記セルロースミクロフィブリルの原料を超高圧処理する方法なども挙げられる。
上記ミクロフィブリル化植物繊維としては、例えば、(株)スギノマシン等の製品を使用できる。
なお、上記分散液に含まれるミクロフィブリル化植物繊維としては、上記製造方法により得られたものに更に、酸化処理や種々の化学変性処理などを施したものや、上記セルロースミクロフィブリルの由来となり得る天然物(例えば、木材、パルプ、竹、麻、ジュート、ケナフ、農作物残廃物、布、紙、ホヤセルロース等)をセルロース原料として、酸化処理や種々の化学変性処理などを行い、その後に必要に応じて解繊処理を行ったもの、あるいは、ミクロフィブリル化植物繊維分散液の状態で更に酸化処理や種々の化学変性処理などを施したものも用いることができる。すなわち、上記ミクロフィブリル化植物繊維分散液が、化学変性ミクロフィブリル化植物繊維分散液であることもまた、本発明の好適な実施形態の1つである。
上記ミクロフィブリル化植物繊維の化学変性の態様としては、例えば、エステル化処理、エーテル化処理、アセタール化処理等が例示される。より具体的には、アセチル化等のアシル化、シアノエチル化、アミノ化、スルホンエステル化、リン酸エステル化、アルキルエステル化、アルキルエーテル化、複合エステル化、β−ケトエステル化、ブチル化等のアルキル化、塩素化、等が好ましく例示される。更には、アルキルカルバメート化、アリールカルバメート化も例示することができる。
すなわち、上記ミクロフィブリル化植物繊維は、化学変性ミクロフィブリル化植物繊維であり、該化学変性ミクロフィブリル化植物繊維における化学変性が、アセチル化、アミノ化、スルホンエステル化、アルキルエステル化、複合エステル化、β−ケトエステル化、アルキルカルバメート化、及び、アリールカルバメート化からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。当該化学変性処理はいずれも、ミクロフィブリル化植物繊維を疎水化する処理であり、ミクロフィブリル化植物繊維としてこのような化学変性処理を施したものを用いることによって、ミクロフィブリル化植物繊維の分散性をより向上させることができ、本発明の効果をより好適なものとすることができる。
上記化学変性ミクロフィブリル化植物繊維は、置換度が0.2〜2.5の範囲内となるように化学変性されていることが好ましい。ここで置換度とは、セルロースの水酸基のうち化学変性によって他の官能基に置換された水酸基のグルコース環単位当りの平均個数を意味し、理論上最大値は3である。該置換度が0.2以上である場合、化学変性ミクロフィブリル化植物繊維の分散性が特に良好となり、また、2.5以下である場合に、化学変性ミクロフィブリル化植物繊維が分散性に特に優れかつ柔軟性に特に優れ、本発明の効果がより好適に得られる。該置換度は、0.3〜2.5の範囲内であることがより好ましく、0.4〜2.3の範囲内であることが更に好ましく、0.4〜2.0の範囲内であることが特に好ましい。
なお、上記化学変性ミクロフィブリル化植物繊維が2種以上の組み合わせからなる場合、上記置換度は、化学変性ミクロフィブリル化植物繊維全体での平均として算出される。
上記化学変性ミクロフィブリル化植物繊維における該置換度は、例えば、0.5N−NaOHと0.2N−HClとを用いる滴定法やNMR、赤外吸収スペクトル等の測定によって確認できる。
上記化学変性ミクロフィブリル化植物繊維がアセチル化ミクロフィブリル化植物繊維である場合には置換度が0.3〜2.5、アミノ化ミクロフィブリル化植物繊維である場合には置換度が0.3〜2.5、スルホンエステル化ミクロフィブリル化植物繊維である場合には置換度が0.3〜1.8、アルキルエステル化ミクロフィブリルセルロースである場合には置換度が0.3〜1.8、複合エステル化ミクロフィブリルセルロースである場合には置換度が0.4〜1.8、β−ケトエステル化ミクロフィブリルセルロースである場合には置換度が0.3〜1.8、アルキルカルバメート化ミクロフィブリルセルロースである場合には置換度が0.3〜1.8、アリールカルバメート化ミクロフィブリルセルロースである場合には置換度が0.3〜1.8の範囲内であることが好ましい。
上記アセチル化は、例えば、ミクロフィブリル化植物繊維に、酢酸、濃硫酸、無水酢酸を加えて反応させる方法等で行なうことができる。より具体的には、例えば、酢酸とトルエンとの混合溶媒中、硫酸触媒存在下で、ミクロフィブリル化植物繊維と無水酢酸とを反応させてアセチル化反応を進行させ、その後、溶媒を水に置き換える方法等、従来公知の方法で行なうことができる。
上記アミノ化は、例えば、トシルエステル化した後にアルコール中でアルキルアミンと反応させ、親核置換反応させる方法など公知の方法により行なうことができる。
上記スルホンエステル化は、例えば、ミクロフィブリル化植物繊維を硫酸に溶解して、水中に投入するのみの簡単な操作で行なうことができる。他にも、無水硫酸ガス処理、クロルスルホン酸とピリジンによって処理する方法等で行なうことができる。
上記リン酸エステル化は、例えば、ジメチルアミン処理等を施したミクロフィブリル化植物繊維をリン酸と尿素とで処理する方法により行なうことができる。
上記アルキルエステル化は、例えば、ミクロフィブリル化植物繊維を塩基性条件下でカルボン酸クロライドを用いて反応させるSchotten−Baumann法(ショッテン・バウマン法)で行うことができ、また、上記アルキルエーテル化は、ミクロフィブリル化植物繊維を塩基性条件下でハロゲン化アルキルを用いて反応させるWilliamson法等で行なうことができる。
上記塩素化は、例えば、DMF(ジメチルホルムアミド)中で塩化チオニルを加えて加熱する方法で行なうことができる。
上記複合エステル化は、例えば、ミクロフィブリル化植物繊維に2種類以上のカルボン酸無水物またはカルボン酸クロライドを塩基性条件下で反応させる方法で行なうことができる。
上記β−ケトエステル化は、例えば、ミクロフィブリル化植物繊維にジケテンやアルキルケテンダイマーを反応させる方法、もしくはミクロフィブリル化植物繊維とアルキルアセトアセテートのようなβ−ケトエステル化合物のエステル交換反応により行なうことができる。
上記アルキルカルバメート化は、例えば、ミクロフィブリル化植物繊維にアルキルイソシアナートを塩基性触媒またはスズ触媒存在下で反応させる方法で行なうことができる。
上記アリールカルバメート化は、例えば、ミクロフィブリル化植物繊維にアリールイソシアナートを塩基性触媒またはスズ触媒存在下で反応させる方法で行なうことができる。
上記ミクロフィブリル化植物繊維の酸化処理の態様としては、例えば、N−オキシル化合物を用いた酸化処理などが例示される。
上記N−オキシル化合物を用いた酸化処理は、例えば、水中においてN−オキシル化合物を酸化触媒とし、ミクロフィブリル化植物繊維に共酸化剤を作用させる方法で行うことができる。
上記N−オキシル化合物としては、例えば、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル(TEMPO)およびその誘導体などが挙げられる。
上記共酸化剤としては、例えば、次亜塩素酸ナトリウムなどが挙げられる。
上記ミクロフィブリル化植物繊維の平均繊維径は、4〜100nmである。上記ミクロフィブリル化植物繊維の平均繊維径がこのような範囲であることにより、ミクロフィブリル化植物繊維の分散性を十分良好なものとすることができ、本発明の効果が得られる。また、加工中のミクロフィブリル化植物繊維の破損も抑えられる。当該平均繊維径としては、本発明の効果がより好適に得られるという点から、90nm以下が好ましく、50nm以下がより好ましい。また、ミクロフィブリル化植物繊維の絡まりがほどけにくく、分散し難いという理由から、10nm以上であることが好ましく、20nm以上がより好ましい。
上記ミクロフィブリル化植物繊維の平均繊維長は、100nm以上であることが好ましい。より好ましくは300nm以上、更に好ましくは500nm以上である。また、5mm以下が好ましく、1mm以下がより好ましく、50μm以下がより更に好ましく、3μm以下が特に好ましく、2μm以下が最も好ましい。平均繊維長が下限未満の場合や上限を超える場合は、前述の平均繊維径と同様の傾向がある。
なお、上記ミクロフィブリル化植物繊維が2種以上の組み合わせからなる場合、上記平均繊維径、上記平均繊維長は、ミクロフィブリル化植物繊維全体での平均として算出される。
本明細書において、上記ミクロフィブリル化植物繊維の平均繊維径及び平均繊維長は、走査型電子顕微鏡写真による画像解析、透過型電子顕微鏡写真による画像解析、原子間力顕微鏡写真による画像解析、X線散乱データの解析、細孔電気抵抗法(コールター原理法)等によって測定できる。
上記ミクロフィブリル化植物繊維分散液は、公知の方法で製造でき、その製造方法は特に限定されず、例えば、高速ホモジナイザー、超音波ホモジナイザー、コロイドミル、ブレンダ―ミルなどを用いてミクロフィブリル化植物繊維を水等の溶媒に分散させることで調製できる。調製の際の温度や時間も、ミクロフィブリル化植物繊維が水等の溶媒中に十分分散するよう、通常行われる範囲で適宜設定することができる。
上記ミクロフィブリル化植物繊維分散液中のミクロフィブリル化植物繊維の含有量(固形分)は、特に限定されないが、好ましくは0.2〜20質量%、より好ましくは0.5〜10質量%、更に好ましくは0.5〜3質量%である。
上記工程(1)において、陰イオン性界面活性剤とミクロフィブリル化植物繊維分散液とを混合し混合液を作製する方法としては、例えば、高速ホモジナイザー、超音波ホモジナイザー、コロイドミル、ブレンダ―ミルなどの公知の撹拌装置を用いて、陰イオン性界面活性剤とミクロフィブリル化植物繊維分散液とを混合する方法などが挙げられ、十分分散するまで十分に撹拌することにより、陰イオン性界面活性剤とミクロフィブリル化植物繊維分散液との混合液を得ることができる。当該混合液を作製する際の温度や時間は、陰イオン性界面活性剤とミクロフィブリル化植物繊維分散液とが十分に分散するまで、通常行われる範囲で適宜設定することができるが、例えば、10〜40℃で3〜120分が好ましく、15〜30℃で5〜90分がより好ましい。
上記工程(1)において、上記陰イオン性界面活性剤の添加量は、ミクロフィブリル化植物繊維分散液に含まれるミクロフィブリル化植物繊維(固形分)100質量部に対して、8〜50質量部であることが好ましい。上記陰イオン性界面活性剤の添加量がこのような範囲であることにより、本発明の効果がより好適に得られる。該添加量は、9質量部以上がより好ましく、10質量部以上が更に好ましい。また、25質量部以下がより好ましく、20質量部以下が更に好ましい。
(工程(2))
本発明では、次に、工程(1)で得られた混合液とゴムとを混合する工程(工程(2))が行われる。
上記ゴムは、ゴムラテックス又は液状ポリマーであることが好ましい。該ゴムラテックスとしては、例えば、天然ゴムラテックス、改質天然ゴムラテックス(ケン化天然ゴムラテックス、エポキシ化天然ゴムラテックスなど)、合成ジエン系ゴムラテックス(ブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、スチレンイソプレンブタジエンゴム(SIBR)、イソプレンゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム、エチレン酢酸ビニルゴム、クロロプレンゴム、ビニルピリジンゴム、ブチルゴムなどのラテックス)などのジエン系ゴムラテックスが好適に使用できる。このように、上記ゴムラテックスが、ジエン系ゴムラテックスであることもまた、本発明の好適な実施形態の1つである。これらゴムラテックスとしては、単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。なかでも、本発明の効果がより好適に得られるという点から、天然ゴムラテックス、SBRラテックス、BRラテックス、イソプレンゴムラテックスがより好ましく、天然ゴムラテックスが特に好ましい。
天然ゴムラテックスはヘベア樹等の天然ゴムの樹木の樹液として採取され、ゴム成分のほか水、タンパク質、脂質、無機塩類等を含み、ゴム中のゲル分は種々の不純物の複合的な存在に基づくものと考えられている。本発明では、天然ゴムラテックスとして、ヘベア樹をタッピングして出てくる生ラテックス(フィールドラテックス)、遠心分離法やクリーミング法によって濃縮した濃縮ラテックス(精製ラテックス、常法によりアンモニアを添加したハイアンモニアラテックス、亜鉛華とTMTDとアンモニアによって安定化させたLATZラテックス等)等を使用できる。
天然ゴムラテックスは、蛋白質やリン脂質からなる蜂の巣状のセルを有しており、このセルによって天然ゴムへのミクロフィブリル化植物繊維の取り込みが阻害されてしまう傾向があるため、天然ゴムラテックスとミクロフィブリル化植物繊維とを混合する際には、予めケン化処理によって天然ゴムラテックス中のセルを除去する等の対処を行う必要があったが、本発明では、上記陰イオン性界面活性剤を使用することで、ケン化処理を経ていない天然ゴムラテックスを使用した場合であっても、ミクロフィブリル化植物繊維を十分に分散させることができる。
ここで、上記ゴムラテックスのpHは、好ましくは8.5以上、より好ましくは9.5以上である。該pHが8.5以上であると、ゴムラテックスが不安定になりにくく、凝固しにくい傾向がある。上記ゴムラテックスのpHは、好ましくは12以下、より好ましくは11以下である。該pHが12以下であると、ゴムラテックスが劣化しにくい傾向がある。
上記ゴムラテックスは、従来公知の製法で調製でき、各種市販品も使用できる。なお、ゴムラテックスとしては、ゴム固形分が10〜80質量%のものを使用することが好ましい。より好ましくは20質量%以上、60質量%以下である。
上記液状ポリマーとしては、液状ジエン系重合体等が挙げられる。
液状ジエン系重合体とは、常温(25℃)で液体状態のジエン系重合体である。該液状ジエン系重合体としては、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定したポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)が、1.0×10〜2.0×10であることが好ましく、3.0×10〜5.0×10であることがより好ましい。
上記液状ジエン系重合体としては、液状スチレンブタジエン共重合体(液状SBR)、液状ブタジエン重合体(液状BR)、液状イソプレン重合体(液状IR)、液状スチレンイソプレン共重合体(液状SIR)などが挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、本発明の効果がより好適に得られるという点から、液状SBR、液状IRが好ましく、液状IRがより好ましい。
上記液状SBRのスチレン量は、好ましくは10質量%以上、より好ましくは20質量%以上である。また、上記スチレン量は、好ましくは60質量%以下、より好ましくは50質量%以下である。上記数値範囲内であると、本発明の効果がより好適に得られる。
なお、液状SBRのスチレン量は、H−NMR測定により算出される。
上記液状ポリマーとしては、例えば、(株)クラレ、クレイバレー社等の製品を使用できる。
上記工程(2)において、工程(1)で得られた混合液とゴムとを混合する方法としては、例えば、高速ホモジナイザー、超音波ホモジナイザー、コロイドミル、ブレンダ―ミルなどの公知の撹拌装置にゴムを入れ、撹拌しながら、工程(1)で得られた混合液を滴下する方法や、工程(1)で得られた混合液を撹拌しながら、これにゴムを滴下する方法などが挙げられ、十分分散するまで十分に撹拌することにより、工程(1)で得られた混合液とゴムとの混合物(配合ラテックス)を得ることができる。当該混合物を作製する際の温度や時間は、工程(1)で得られた混合液とゴムとが十分に分散するまで、通常行われる範囲で適宜設定することができるが、例えば、10〜40℃で3〜120分が好ましく、15〜30℃で5〜90分がより好ましい。
上記工程(2)で得られた混合物(配合ラテックス)のpHは、9.0以上が好ましく、9.5以上がより好ましい。また、12以下が好ましく、11.5以下がより好ましい。上記工程(1)で得られた混合液とゴムとの混合物(配合ラテックス)のpHがこのような範囲であると、劣化を抑え、安定したものとすることができる。
上記工程(2)においては、ゴムの固形分100質量部に対して、ミクロフィブリル化植物繊維(固形分)が2〜45質量部となるように工程(1)で得られた混合液を混合することが好ましい。ミクロフィブリル化植物繊維の配合量がこのような範囲であることにより、本発明の効果がより好適に得られる。該ミクロフィブリル化植物繊維(固形分)の含有量は、5質量部以上がより好ましく、10質量部以上が更に好ましい。また、40質量部以下がより好ましく、35質量部以下が更に好ましい。
上記工程(2)で得られた混合物(配合ラテックス)を必要に応じて凝固させ、該凝固物(凝集ゴム及びミクロフィブリル化植物繊維を含む凝集物)を公知の方法でろ過、乾燥させ、更に乾燥後、2軸ロール、バンバリーなどでゴム練りを行うと、ミクロフィブリル化植物繊維がゴムマトリックスに十分に分散した複合体(ミクロフィブリル化植物繊維・ゴム複合体)を得ることができる。なお、本発明の製造方法により得られる上記ミクロフィブリル化植物繊維・ゴム複合体もまた、本発明の一つであるが、該ミクロフィブリル化植物繊維・ゴム複合体は、本発明の効果を阻害しない範囲で他の成分を含んでもよい。
上記凝固は、上記工程(2)で得られた混合物(配合ラテックス)に通常酸を添加することで行われる。凝固させるための酸としては、硫酸、塩酸、ギ酸、酢酸などが挙げられる。凝固させる際の温度としては、10〜40℃が好ましい。
上記凝固の際、上記工程(2)で得られた混合物(配合ラテックス)のpHを3〜5に調整するのが好ましく、3〜4に調整するのがより好ましい。上記工程(2)で得られた混合物のpHをこのような範囲に調整することで、本発明の効果がより好適に得られる。
また、凝固の状態(凝固した凝集粒子の大きさ)を制御する目的で、凝集剤を添加しても良い。凝集剤として、カチオン性高分子などを用いることができる。
〔ゴム組成物〕
上記ゴム組成物は、上記ミクロフィブリル化植物繊維・ゴム複合体を含む。上記ミクロフィブリル化植物繊維・ゴム複合体は、マスターバッチとして使用できる。上記ミクロフィブリル化植物繊維・ゴム複合体はゴム中にミクロフィブリル化植物繊維が十分に分散しており、他の成分と混合したゴム組成物においてもミクロフィブリル化植物繊維を十分に分散できる。そのため、効果的な補強性を発揮でき、耐久性(破断強度)、操縦安定性、及び低燃費性をバランス良く改善できる。
上記ゴム組成物には、上記ミクロフィブリル化植物繊維・ゴム複合体に用いられたゴム(ゴム成分)以外の他のゴム成分を配合できる。
上記他のゴム成分としては、例えば、ジエン系ゴムを使用できる。
上記ジエン系ゴムとしては、イソプレン系ゴム、ブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、スチレンイソプレンブタジエンゴム(SIBR)、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、クロロプレンゴム(CR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)などが挙げられる。また、上記以外のゴム成分としては、ブチル系ゴム、フッ素ゴムなどが挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。ゴム成分としては、SBR、BR、イソプレン系ゴムが好ましく、SBRがより好ましい。
ここで、他のゴム成分は、重量平均分子量(Mw)が20万以上が好ましく、より好ましくは35万以上のゴムである。Mwの上限は特に限定されないが、好ましくは400万以下、より好ましくは300万以下である。
なお、本明細書において、Mw、数平均分子量(Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)(東ソー(株)製GPC−8000シリーズ、検出器:示差屈折計、カラム:東ソー(株)製のTSKGEL SUPERMULTIPORE HZ−M)による測定値を基に標準ポリスチレン換算により求めることができる。
上記他のゴム成分は、非変性ジエン系ゴムでもよいし、変性ジエン系ゴムでもよい。
変性ジエン系ゴムとしては、シリカ等の充填剤と相互作用する官能基を有するジエン系ゴムであればよく、例えば、ジエン系ゴムの少なくとも一方の末端を、上記官能基を有する化合物(変性剤)で変性された末端変性ジエン系ゴム(末端に上記官能基を有する末端変性ジエン系ゴム)や、主鎖に上記官能基を有する主鎖変性ジエン系ゴムや、主鎖及び末端に上記官能基を有する主鎖末端変性ジエン系ゴム(例えば、主鎖に上記官能基を有し、少なくとも一方の末端を上記変性剤で変性された主鎖末端変性ジエン系ゴム)や、分子中に2個以上のエポキシ基を有する多官能化合物により変性(カップリング)され、水酸基やエポキシ基が導入された末端変性ジエン系ゴム等が挙げられる。
上記官能基としては、例えば、アミノ基、アミド基、シリル基、アルコキシシリル基、イソシアネート基、イミノ基、イミダゾール基、ウレア基、エーテル基、カルボニル基、オキシカルボニル基、メルカプト基、スルフィド基、ジスルフィド基、スルホニル基、スルフィニル基、チオカルボニル基、アンモニウム基、イミド基、ヒドラゾ基、アゾ基、ジアゾ基、カルボキシル基、ニトリル基、ピリジル基、アルコキシ基、水酸基、オキシ基、エポキシ基等が挙げられる。なお、これらの官能基は、置換基を有していてもよい。なかでも、アミノ基(好ましくはアミノ基が有する水素原子が炭素数1〜6のアルキル基に置換されたアミノ基)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜6のアルコキシ基)、アルコキシシリル基(好ましくは炭素数1〜6のアルコキシシリル基)が好ましい。
SBRとしては特に限定されず、例えば、乳化重合スチレンブタジエンゴム(E−SBR)、溶液重合スチレンブタジエンゴム(S−SBR)等を使用できる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
SBRのスチレン含量は、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは15質量%以上である。また、該スチレン含量は、好ましくは60質量%以下、より好ましくは40質量%以下、更に好ましくは30質量%以下である。上記範囲内であると、前記効果がより好適に得られる。
なお、本明細書において、SBRのスチレン含量は、H−NMR測定により算出される。
SBRとしては、例えば、住友化学(株)、JSR(株)、旭化成(株)、日本ゼオン(株)等により製造・販売されているSBRを使用できる。
SBRは、非変性SBRでもよいし、変性SBRでもよい。変性SBRとしては、変性ジエン系ゴムと同様の官能基が導入された変性SBRが挙げられる。
SBRを含有する場合、ゴム成分100質量%中のSBRの含有量は、好ましくは50質量%以上、より好ましくは70質量%以上、更に好ましくは80質量%以上であり、100質量%でもよい。上記範囲内にすることで、良好なウェットグリップ性能が得られる傾向がある。
BRは特に限定されず、例えば、高シス含量のハイシスBR、シンジオタクチックポリブタジエン結晶を含有するBR、希土類系触媒を用いて合成したBR(希土類BR)等を使用できる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、耐摩耗性が向上するという理由から、シス含量が90質量%以上のハイシスBRが好ましい。
また、BRは、非変性BRでもよいし、変性BRでもよい。変性BRとしては、変性ジエン系ゴムと同様の官能基が導入された変性BRが挙げられる。
BRとしては、例えば、宇部興産(株)、JSR(株)、旭化成(株)、日本ゼオン(株)等の製品を使用できる。
イソプレン系ゴムとしては、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、改質NR、変性NR、変性IR等が挙げられる。NRとしては、例えば、SIR20、RSS♯3、TSR20等、ゴム工業において一般的なものを使用できる。IRとしては、特に限定されず、例えば、IR2200等、ゴム工業において一般的なものを使用できる。改質NRとしては、脱タンパク質天然ゴム(DPNR)、高純度天然ゴム(UPNR)等、変性NRとしては、エポキシ化天然ゴム(ENR)、水素添加天然ゴム(HNR)、グラフト化天然ゴム等、変性IRとしては、エポキシ化イソプレンゴム、水素添加イソプレンゴム、グラフト化イソプレンゴム等、が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記ゴム組成物において、ミクロフィブリル化植物繊維の含有量(固形分)は、ゴム成分100質量部に対して、2質量部以上が好ましく、5質量部以上がより好ましく、10質量部以上が更に好ましい。また、45質量部以下が好ましく、40質量部以下がより好ましく、35質量部以下が更に好ましく、30質量部以下がより更に好ましい。ゴム組成物中のミクロフィブリル化植物繊維の含有量がこのような範囲であると、前記効果がより好適に得られる。
上記ゴム組成物中の、ミクロフィブリル化植物繊維の平均繊維径は、4〜100nmである。上記ミクロフィブリル化植物繊維の平均繊維径がこのような範囲であることにより、ゴム組成物中でのミクロフィブリル化植物繊維の分散性を十分良好なものとすることができ、本発明の効果が得られる。また、加工中のミクロフィブリル化植物繊維の破損も抑えられる。当該平均繊維径としては、本発明の効果がより好適に得られるという点から、90nm以下が好ましい。また、ミクロフィブリル化植物繊維の絡まりがほどけにくく、分散し難いという理由から、10nm以上であることが好ましく、20nm以上がより好ましい。
上記ゴム組成物中の、ミクロフィブリル化植物繊維の平均繊維長は、100nm以上であることが好ましい。より好ましくは300nm以上、更に好ましくは500nm以上である。また、5mm以下が好ましく、1mm以下がより好ましく、50μm以下がより更に好ましく、3μm以下が特に好ましく、2μm以下が最も好ましい。平均繊維長が下限未満の場合や上限を超える場合は、前述の平均繊維径と同様の傾向がある。
上記ゴム組成物中の、ミクロフィブリル化植物繊維の繊維径の最頻値は、10〜70nmである。上記ミクロフィブリル化植物繊維の繊維径の最頻値がこのような範囲であることにより、ゴム組成物中でのミクロフィブリル化植物繊維の分散性を十分良好なものとすることができ、本発明の効果が得られる。当該繊維径の最頻値としては、本発明の効果がより好適に得られるという点から、15nm以上が好ましく、18nm以上がより好ましい。また、65nm以下が好ましく、60nm以下がより好ましい。
本明細書において、上記ミクロフィブリル化植物繊維の繊維径の最頻値とは、透過型電子顕微鏡で観察して画像をとり、100本の繊維の径を測定して得られる分布から求められる値である。
このように、ゴム成分と、ミクロフィブリル化植物繊維とを含むゴム組成物であって、該ゴム組成物中のミクロフィブリル化植物繊維の平均繊維径が4〜100nmであり、繊維径の最頻値が10〜70nmであるゴム組成物もまた、本発明の一つである。このようなゴム組成物は、上記ミクロフィブリル化植物繊維・ゴム複合体を配合することなどにより作製できる。
上記ゴム成分としては、上述したゴム、他のゴム成分が挙げられる。上記ミクロフィブリル化植物繊維としては、上述したミクロフィブリル化植物繊維と同様のものが挙げられる。
上記ゴム組成物は、前記性能バランスの観点から、充填剤としてシリカを含むことが好ましい。シリカとしては、乾式法シリカ(無水シリカ)、湿式法シリカ(含水シリカ)などが挙げられる。なかでも、シラノール基が多いという理由から、湿式法シリカが好ましい。市販品としては、デグッサ社、ローディア社、東ソー・シリカ(株)、ソルベイジャパン(株)、(株)トクヤマ等の製品を使用できる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
シリカの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは25質量部以上、より好ましくは30質量部以上、更に好ましくは50質量部以上である。下限以上にすることで、良好なウェットグリップ性能、操縦安定性が得られる傾向がある。該含有量の上限は特に限定されないが、好ましくは300質量部以下、より好ましくは200質量部以下、更に好ましくは170質量部以下、特に好ましくは100質量部以下、最も好ましくは80質量部以下である。上限以下にすることで、良好な分散性が得られる傾向がある。
シリカの窒素吸着比表面積(NSA)は、好ましくは70m/g以上、より好ましくは140m/g以上、更に好ましくは160m/g以上である。下限以上にすることで、良好なウェットグリップ性能、破壊強度が得られる傾向がある。また、シリカのNSAの上限は特に限定されないが、好ましくは500m/g以下、より好ましくは300m/g以下、更に好ましくは250m/g以下である。上限以下にすることで、良好な分散性が得られる傾向がある。
なお、シリカのNSAは、ASTM D3037−93に準じてBET法で測定される値である。
(シランカップリング剤)
上記ゴム組成物がシリカを含む場合、更にシランカップリング剤を含むことが好ましい。
シランカップリング剤としては、特に限定されず、例えば、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(4−トリエトキシシリルブチル)テトラスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2−トリメトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)トリスルフィド、ビス(4−トリメトキシシリルブチル)トリスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)ジスルフィド、ビス(4−トリエトキシシリルブチル)ジスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2−トリメトキシシリルエチル)ジスルフィド、ビス(4−トリメトキシシリルブチル)ジスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、2−トリエトキシシリルエチル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィド、などのスルフィド系、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、2−メルカプトエチルトリエトキシシラン、Momentive社製のNXT、NXT−Zなどのメルカプト系、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシランなどのビニル系、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシランなどのアミノ系、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、などのグリシドキシ系、3−ニトロプロピルトリメトキシシラン、3−ニトロプロピルトリエトキシシランなどのニトロ系、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシランなどのクロロ系などがあげられる。市販品としては、デグッサ社、Momentive社、信越シリコーン(株)、東京化成工業(株)、アヅマックス(株)、東レ・ダウコーニング(株)等の製品を使用できる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
シランカップリング剤の含有量は、シリカ100質量部に対して、3質量部以上が好ましく、6質量部以上がより好ましい。3質量部以上であると、良好な破壊強度等が得られる傾向がある。また、上記含有量は、20質量部以下が好ましく、15質量部以下がより好ましい。20質量部以下であると、配合量に見合った効果が得られる傾向がある。
上記ゴム組成物は、前記性能バランスの観点から、充填剤としてカーボンブラックを含むことが好ましい。カーボンブラックとしては、特に限定されないが、N134、N110、N220、N234、N219、N339、N330、N326、N351、N550、N762等が挙げられる。市販品としては、旭カーボン(株)、キャボットジャパン(株)、東海カーボン(株)、三菱化学(株)、ライオン(株)、新日化カーボン(株)、コロンビアカーボン社等の製品を使用できる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
カーボンブラックの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは3質量部以上である。下限以上にすることで、良好な耐摩耗性、グリップ性能等が得られる傾向がある。また、上記含有量は、好ましくは20質量部以下、より好ましくは15質量部以下である。上限以下にすることで、ゴム組成物の良好な加工性が得られる傾向がある。
カーボンブラックの窒素吸着比表面積(NSA)は、50m/g以上が好ましく、80m/g以上がより好ましく、100m/g以上が更に好ましい。下限以上にすることで、良好な耐摩耗性、グリップ性能が得られる傾向がある。また、上記NSAは、200m/g以下が好ましく、150m/g以下がより好ましく、130m/g以下が更に好ましい。上限以下にすることで、カーボンブラックの良好な分散が得られる傾向がある。
なお、カーボンブラックの窒素吸着比表面積は、JIS K6217−2:2001によって求められる。
上記ゴム組成物は、シリカ、カーボンブラック以外の他の充填剤を配合してもよい。他の充填剤としては、特に限定されないが、炭酸カルシウム、タルク、アルミナ、クレー、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、マイカなどが挙げられる。
上記ゴム組成物は、可塑剤を配合してもよい。可塑剤としては、特に限定されないが、オイル、液状樹脂などが挙げられる。これら可塑剤は、1種を用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
上記オイルとしては、特に限定されず、パラフィン系プロセスオイル、アロマ系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイルなどのプロセスオイル、TDAE、MES等の低PCA(多環式芳香族)プロセスオイル、植物油脂、及びこれらの混合物等、従来公知のオイルを使用できる。なかでも、耐摩耗性及び破壊特性の点では、アロマ系プロセスオイルが好ましい。上記アロマ系プロセスオイルとしては、具体的には、出光興産(株)製のダイアナプロセスオイルAHシリーズ等が挙げられる。
上記液状樹脂としては、特に制限されないが、例えば、液状の芳香族ビニル重合体、クマロンインデン樹脂、インデン樹脂、テルペン樹脂、ロジン樹脂、またはこれらの水素添加物などが挙げられる。
液状芳香族ビニル重合体とは、α−メチルスチレン及び/又はスチレンを重合して得られる樹脂であり、スチレンの単独重合体、α−メチルスチレンの単独重合体、α−メチルスチレンとスチレンとの共重合体などの液状樹脂が挙げられる。
液状クマロンインデン樹脂とは、樹脂の骨格(主鎖)を構成する主なモノマー成分として、クマロン及びインデンを含む樹脂であり、クマロン、インデン以外に骨格に含まれていてもよいモノマー成分としては、スチレン、α−メチルスチレン、メチルインデン、ビニルトルエンなどの液状樹脂が挙げられる。
液状インデン樹脂とは、樹脂の骨格(主鎖)を構成する主なモノマー成分として、インデンを含む液状樹脂である。
液状テルペン樹脂とは、αピネン、βピネン、カンフェル、ジペテンなどのテルペン化合物を重合して得られる樹脂や、テルペン化合物とフェノール系化合物とを原料として得られる樹脂であるテルペンフェノールに代表される液状テルペン系樹脂である。
液状ロジン樹脂とは、天然ロジン、重合ロジン、変性ロジン、これらのエステル化合物、または、これらの水素添加物に代表される液状ロジン系樹脂である。
上記ゴム組成物には、固体樹脂(常温(25℃)で固体状態のポリマー)を配合してもよい。
固体樹脂を含有する場合、その含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは3質量部以上、更に好ましくは5質量部以上である。また、上記含有量は、好ましくは50質量部以下、より好ましくは30質量部以下、更に好ましくは20質量部以下である。上記範囲内であると、良好なウェットグリップ性能が得られる傾向がある。
固体樹脂としては、特に限定されないが、例えば、固体状のスチレン系樹脂、クマロンインデン樹脂、テルペン系樹脂、p−t−ブチルフェノールアセチレン樹脂、アクリル系樹脂、ジシクロペンタジエン系樹脂(DCPD系樹脂)、C5系石油樹脂、C9系石油樹脂、C5C9系石油樹脂等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
固体状のスチレン系樹脂は、スチレン系単量体を構成モノマーとして用いた固体状ポリマーであり、スチレン系単量体を主成分(50質量%以上)として重合させたポリマー等が挙げられる。具体的には、スチレン系単量体(スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−フェニルスチレン、o−クロロスチレン、m−クロロスチレン、p−クロロスチレン等)をそれぞれ単独で重合した単独重合体、2種以上のスチレン系単量体を共重合した共重合体の他、スチレン系単量体及びこれと共重合し得る他の単量体のコポリマーも挙げられる。
上記他の単量体としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのアクリロニトリル類、アクリル類、メタクリル酸などの不飽和カルボン酸類、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチルなどの不飽和カルボン酸エステル類、クロロプレン、ブタジエンイソプレンなどのジエン類、1−ブテン、1−ペンテンのようなオレフィン類;無水マレイン酸等のα,β−不飽和カルボン酸又はその酸無水物;等が例示できる。
なかでも、固体状のα−メチルスチレン系樹脂(α−メチルスチレン単独重合体、α−メチルスチレンとスチレンとの共重合体等)が好ましい。
固体状のクマロンインデン樹脂としては、前述の液状状態のクマロンインデン樹脂と同様の構成単位を有する固体樹脂が挙げられる。
固体状のテルペン系樹脂としては、ポリテルペン、テルペンフェノール、芳香族変性テルペン樹脂などが挙げられる。
ポリテルペンは、テルペン化合物を重合して得られる樹脂及びそれらの水素添加物である。テルペン化合物は、(Cの組成で表される炭化水素及びその含酸素誘導体で、モノテルペン(C1016)、セスキテルペン(C1524)、ジテルペン(C2032)などに分類されるテルペンを基本骨格とする化合物であり、例えば、α−ピネン、β−ピネン、ジペンテン、リモネン、ミルセン、アロオシメン、オシメン、α−フェランドレン、α−テルピネン、γ−テルピネン、テルピノレン、1,8−シネオール、1,4−シネオール、α−テルピネオール、β−テルピネオール、γ−テルピネオールなどが挙げられる。
固体状のポリテルペンとしては、上述したテルペン化合物を原料とするα−ピネン樹脂、β−ピネン樹脂、リモネン樹脂、ジペンテン樹脂、β−ピネン/リモネン樹脂などのテルペン樹脂の他、該テルペン樹脂に水素添加処理した水素添加テルペン樹脂等の固体樹脂も挙げられる。
固体状のテルペンフェノールとしては、上記テルペン化合物とフェノール系化合物とを共重合した固体樹脂、及び該樹脂に水素添加処理した固体樹脂が挙げられ、具体的には、上記テルペン化合物、フェノール系化合物及びホルマリンを縮合させた固体樹脂が挙げられる。なお、フェノール系化合物としては、例えば、フェノール、ビスフェノールA、クレゾール、キシレノールなどが挙げられる。
固体状の芳香族変性テルペン樹脂としては、テルペン樹脂を芳香族化合物で変性して得られる固体樹脂、及び該樹脂に水素添加処理した固体樹脂が挙げられる。なお、芳香族化合物としては、芳香環を有する化合物であれば特に限定されないが、例えば、フェノール、アルキルフェノール、アルコキシフェノール、不飽和炭化水素基含有フェノールなどのフェノール化合物;ナフトール、アルキルナフトール、アルコキシナフトール、不飽和炭化水素基含有ナフトールなどのナフトール化合物;スチレン、アルキルスチレン、アルコキシスチレン、不飽和炭化水素基含有スチレンなどのスチレン誘導体;クマロン、インデンなどが挙げられる。
固体状のp−t−ブチルフェノールアセチレン樹脂としては、p−t−ブチルフェノールとアセチレンとを縮合反応させて得られる固体樹脂が挙げられる。
固体状のアクリル系樹脂としては特に限定されないが、不純物が少なく、分子量分布がシャープな樹脂が得られるという点から、無溶剤型アクリル系固体樹脂を好適に使用できる。
固体状の無溶剤型アクリル樹脂は、副原料となる重合開始剤、連鎖移動剤、有機溶媒などを極力使用せずに、高温連続重合法(高温連続塊重合法)(米国特許第4,414,370号明細書、特開昭59−6207号公報、特公平5−58005号公報、特開平1−313522号公報、米国特許第5,010,166号明細書、東亜合成研究年報TREND2000第3号p42−45等に記載の方法)により合成された(メタ)アクリル系樹脂(重合体)が挙げられる。なお、本明細書において、(メタ)アクリルは、メタクリル及びアクリルを意味する。
固体状のアクリル系樹脂は、実質的に副原料となる重合開始剤、連鎖移動剤、有機溶媒などを含まないことが好ましい。また、上記アクリル系樹脂は、連続重合により得られる組成分布や分子量分布が比較的狭いものが好ましい。
上述のように、固体状のアクリル系樹脂としては、実質的に副原料となる重合開始剤、連鎖移動剤、有機溶媒などを含まないもの、すなわち、純度が高いものが好ましい。固体状のアクリル系樹脂の純度(該樹脂中に含まれる樹脂の割合)は、好ましくは95質量%以上、より好ましくは97質量%以上である。
固体状のアクリル系樹脂を構成するモノマー成分としては、例えば、(メタ)アクリル酸や、(メタ)アクリル酸エステル(アルキルエステル、アリールエステル、アラルキルエステルなど)、(メタ)アクリルアミド、及び(メタ)アクリルアミド誘導体などの(メタ)アクリル酸誘導体が挙げられる。
また、固体状のアクリル系樹脂を構成するモノマー成分として、(メタ)アクリル酸や(メタ)アクリル酸誘導体と共に、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルナフタレン、ジビニルベンゼン、トリビニルベンゼン、ジビニルナフタレンなどの芳香族ビニルを使用してもよい。
固体状のアクリル系樹脂は、(メタ)アクリル成分のみで構成される樹脂であっても、(メタ)アクリル成分以外の成分をも構成要素とする樹脂であっても良い。
また、固体状のアクリル系樹脂は、水酸基、カルボキシル基、シラノール基等を有していてよい。
可塑剤、固体樹脂としては、例えば、丸善石油化学(株)、住友ベークライト(株)、ヤスハラケミカル(株)、東ソー(株)、Rutgers Chemicals社、BASF社、アリゾナケミカル社、日塗化学(株)、(株)日本触媒、JXエネルギー(株)、荒川化学工業(株)、田岡化学工業(株)等の製品を使用できる。
上記ゴム組成物は、耐クラック性、耐オゾン性等の観点から、老化防止剤を含有することが好ましい。
老化防止剤としては特に限定されないが、フェニル−α−ナフチルアミン等のナフチルアミン系老化防止剤;オクチル化ジフェニルアミン、4,4′−ビス(α,α′−ジメチルベンジル)ジフェニルアミン等のジフェニルアミン系老化防止剤;N−イソプロピル−N′−フェニル−p−フェニレンジアミン、N−(1,3−ジメチルブチル)−N′−フェニル−p−フェニレンジアミン、N,N′−ジ−2−ナフチル−p−フェニレンジアミン等のp−フェニレンジアミン系老化防止剤;2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリンの重合物等のキノリン系老化防止剤;2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、スチレン化フェノール等のモノフェノール系老化防止剤;テトラキス−[メチレン−3−(3′,5′−ジ−t−ブチル−4′−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン等のビス、トリス、ポリフェノール系老化防止剤などが挙げられる。なかでも、p−フェニレンジアミン系老化防止剤、キノリン系老化防止剤が好ましく、N−(1,3−ジメチルブチル)−N′−フェニル−p−フェニレンジアミン、2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリンの重合物がより好ましい。市販品としては、例えば、精工化学(株)、住友化学(株)、大内新興化学工業(株)、フレクシス社等の製品を使用できる。
老化防止剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.2質量部以上、より好ましくは0.5質量部以上である。下限以上にすることで、充分な耐オゾン性が得られる傾向がある。該含有量は、好ましくは7.0質量部以下、より好ましくは4.0質量部以下である。上限以下にすることで、良好な外観が得られる傾向がある。
上記ゴム組成物は、ステアリン酸を含むことが好ましい。ステアリン酸の含有量は、前記性能バランスの観点から、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.5〜10質量部以上、より好ましくは0.5〜5質量部である。
なお、ステアリン酸としては、従来公知のものを使用でき、例えば、日油(株)、NOF社、花王(株)、和光純薬工業(株)、千葉脂肪酸(株)等の製品を使用できる。
上記ゴム組成物は、酸化亜鉛を含むことが好ましい。酸化亜鉛の含有量は、前記性能バランスの観点から、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.5〜10質量部、より好ましくは1〜5質量部である。
なお、酸化亜鉛としては、従来公知のものを使用でき、例えば、三井金属鉱業(株)、東邦亜鉛(株)、ハクスイテック(株)、正同化学工業(株)、堺化学工業(株)等の製品を使用できる。
上記ゴム組成物には、ワックスを配合してもよい。ワックスとしては特に限定されず、石油系ワックス、天然系ワックスなどが挙げられ、また、複数のワックスを精製又は化学処理した合成ワックスも使用可能である。これらのワックスは、単独で使用しても、2種類以上を併用してもよい。
石油系ワックスとしては、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス等が挙げられる。天然系ワックスとしては、石油外資源由来のワックスであれば特に限定されず、例えば、キャンデリラワックス、カルナバワックス、木ろう、ライスワックス、ホホバろうなどの植物系ワックス;ミツロウ、ラノリン、鯨ろうなどの動物系ワックス;オゾケライト、セレシン、ペトロラクタムなどの鉱物系ワックス;及びこれらの精製物などが挙げられる。市販品としては、例えば、大内新興化学工業(株)、日本精蝋(株)、精工化学(株)等の製品を使用できる。なお、ワックスの含有量は、耐オゾン性、コストの点から、適宜設定すれば良い。
上記ゴム組成物には、ポリマー鎖に適度な架橋鎖を形成し、良好な前記性能バランスを付与するという点で、硫黄を配合することが好ましい。
硫黄の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは0.5質量部以上、更に好ましくは0.7質量部以上である。該含有量は、好ましくは6.0質量部以下、より好ましくは4.0質量部以下、更に好ましくは3.0質量部以下である。上記範囲内にすることで、良好な前記性能バランスが得られる傾向がある。
硫黄としては、ゴム工業において一般的に用いられる粉末硫黄、沈降硫黄、コロイド硫黄、不溶性硫黄、高分散性硫黄、可溶性硫黄などが挙げられる。市販品としては、鶴見化学工業(株)、軽井沢硫黄(株)、四国化成工業(株)、フレクシス社、日本乾溜工業(株)、細井化学工業(株)等の製品を使用できる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記ゴム組成物は、加硫促進剤を含むことが好ましい。
加硫促進剤の含有量は特に制限はなく、要望する加硫速度や架橋密度に合わせて自由に決定すれば良いが、ゴム成分100質量部に対して、通常、0.3〜10質量部、好ましくは0.5〜7質量部である。
加硫促進剤の種類は特に制限はなく、通常用いられているものを使用可能である。加硫促進剤としては、2−メルカプトベンゾチアゾール、ジ−2−ベンゾチアゾリルジスルフィド、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド等のチアゾール系加硫促進剤;テトラメチルチウラムジスルフィド(TMTD)、テトラベンジルチウラムジスルフィド(TBzTD)、テトラキス(2−エチルヘキシル)チウラムジスルフィド(TOT−N)等のチウラム系加硫促進剤;N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N−t−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N−オキシエチレン−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N−オキシエチレン−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N,N’−ジイソプロピル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド等のスルフェンアミド系加硫促進剤;ジフェニルグアニジン、ジオルトトリルグアニジン、オルトトリルビグアニジン等のグアニジン系加硫促進剤を挙げることができる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、前記性能バランスの観点から、スルフェンアミド系加硫促進剤、グアニジン系加硫促進剤が好ましい。
上記ゴム組成物には、上記成分以外にも、離型剤や顔料等の応用分野に従って、それらの使用に使われる通常の添加物を適宜配合してもよい。
上記ゴム組成物の製造方法としては、公知の方法を用いることができ、例えば、上記各成分をオープンロール、バンバリーミキサーなどのゴム混練装置を用いて混練し、その後加硫する方法などにより製造できる。
混練条件としては、加硫剤及び加硫促進剤以外の添加剤を混練するベース練り工程では、混練温度は、通常50〜200℃、好ましくは80〜190℃であり、混練時間は、通常30秒〜30分、好ましくは1分〜30分である。加硫剤、加硫促進剤を混練する仕上げ練り工程では、混練温度は、通常100℃以下、好ましくは室温〜80℃である。また、加硫剤、加硫促進剤を混練した組成物は、通常、プレス加硫などの加硫処理が施される。加硫温度としては、通常120〜200℃、好ましくは140〜180℃である。
上記ゴム組成物は、タイヤ、靴底ゴム、床材ゴム、防振ゴム、免震ゴム、ブチル枠ゴム、ベルト、ホース、パッキン、薬栓、その他のゴム製工業製品等に用いることができる。特に、耐久性(破断強度)、操縦安定性、及び低燃費性をバランス良く改善できることから、タイヤ用ゴム組成物として用いることが好ましい。
上記ゴム組成物は空気入りタイヤに好適に使用できる。上記空気入りタイヤは、上記ゴム組成物を用いて通常の方法により製造される。すなわち、必要に応じて各種材料を配合したゴム組成物を、未加硫の段階でタイヤ部材の形状に合わせて押し出し加工し、他のタイヤ部材とともに、タイヤ成型機上にて通常の方法で成形することにより、未加硫タイヤを形成した後、加硫機中で加熱加圧してタイヤを製造することができる。
実施例に基づいて、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。
以下、実施例及び比較例で使用した各種薬品について、まとめて説明する。
天然ゴムラテックス:Muhibbah LATEKS社から入手したフィールドラテックスを使用
液状ポリマー:(株)クラレ製の液状イソプレンゴム クラプレン LIR−410(Mw:30000)
ミクロフィブリル化植物繊維:(株)スギノマシン製のバイオマスナノファイバー(製品名「BiNFi−s セルロース」、平均繊維長:約2μm、平均繊維径:約0.02μm、固形分:2質量%)
界面活性剤1:エレメンティス社製のNUOSPERSE FX 600(陰イオン性界面活性剤、ポリカルボン酸アミン塩(疎水性基としてフェニル基、親水性基としてカルボキシル基を含有)、Mw:2000)
界面活性剤2:エレメンティス社製のNUOSPERSE FX 605(陰イオン性界面活性剤、ポリカルボン酸ナトリウム塩(疎水性基としてフェニル基、親水性基としてカルボキシル基を含有)、Mw:6000)
界面活性剤3:花王(株)製のデモールEP(陰イオン性界面活性剤、ポリカルボン酸ナトリウム塩(疎水性基としてイソブチレン基、親水性基としてカルボキシル基を含有)、Mw:20000)
界面活性剤4:第一工業製薬(株)製のDKSディスコート N−14(陰イオン性界面活性剤、ポリカルボン酸アンモニウム塩(疎水性基としてフェニル基、親水性基としてカルボキシル基を含有)、Mw:7000)
老化防止剤:大内新興化学工業(株)製のノクラック6C(N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン)
酸化亜鉛:三井金属鉱業(株)製の亜鉛華2種
ステアリン酸:日油(株)製の椿
硫黄:鶴見化学工業(株)製の粉末硫黄
加硫促進剤:大内新興化学工業(株)製のノクセラ−NS(N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド)
(ミクロフィブリル化植物繊維分散液の調製)
ミクロフィブリル化植物繊維(2重量%)50gに純水150gを添加し、ミクロフィブリル化植物繊維0.5質量%(固形分濃度)懸濁液を作製し、これを撹拌、及び超音波処理を10分間行い、ミクロフィブリル化植物繊維分散液を得た。
<実施例1〜8>
(ミクロフィブリル化植物繊維・天然ゴム複合体の調製)
調製したミクロフィブリル化植物繊維分散液に、表1の配合処方に従って界面活性剤を所定量添加し、高速ホモジナイザーを用いて室温(20〜30℃)で5分間攪拌して、ミクロフィブリル化植物繊維分散液及び界面活性剤の混合物(混合液)を得た。得られた混合物を表1の配合処方に従って所定量の天然ゴムラテックスに添加し、高速ホモジナイザーを用いて室温で5分攪拌し、pH10.2の配合ラテックスを得た。次いで、室温下で2質量%ギ酸水溶液を加え、pH3〜4に調整し、凝固物を得た。得られた凝固物をろ過し、乾燥してミクロフィブリル化植物繊維・天然ゴム複合体を得た。
<実施例9>
(ミクロフィブリル化植物繊維・ゴム複合体の調製)
0.5質量%に調製したミクロフィブリル化植物繊維分散液に、表1の配合処方に従って界面活性剤を所定量添加し、高速ホモジナイザーを用いて室温(20〜30℃)で5分間攪拌して、ミクロフィブリル化植物繊維分散液及び界面活性剤の混合物(混合液)を得た。得られた混合物を表1の配合処方に従って所定量の液状ポリマーに添加し、高速ホモジナイザーを用いて室温で5分攪拌し、配合ラテックスを得た。得られた配合ラテックスを乾燥してミクロフィブリル化植物繊維・ゴム複合体を得た。
<実施例10>
(化学変性ミクロフィブリル化植物繊維・天然ゴム複合体の調製)
0.5質量%に調整したミクロフィブリル化植物繊維分散液をN−メチルピロリドンにより置換し、固形分濃度1質量%のミクロフィブリル化植物繊維調整液を調整した。得られたミクロフィブリル化植物繊維調整液にピリジンをミクロフィブリル化植物繊維のグルコース単位1モルに対して1.5モルの割合で添加し、更に、オレオイルクロリドをミクロフィブリル化植物繊維のグルコース単位1モルに対して1モルの割合で添加して、30℃で反応させた。反応終了後、得られた生成物をエタノールで十分に洗浄し、化学変性ミクロフィブリル化植物繊維分散液を得た。これに、表1の配合処方に従って界面活性剤を所定量添加し、高速ホモジナイザーを用いて室温(20〜30℃)で5分間撹拌して、化学変性ミクロフィブリル化植物繊維分散液及び界面活性剤の混合物(混合液)を得た。得られた混合物を表1の配合処方に従って所定量の天然ゴムラテックスに添加し、高速ホモジナイザーを用いて室温で5分撹拌し、pH10の配合ラテックスを得た。次いで、室温下で2質量%ギ酸水溶液を加え、pH3〜4に調整し、凝固物を得た。得られた凝固物をろ過し、乾燥して化学変性ミクロフィブリル化植物繊維・天然ゴム複合体を得た。
なお、上記化学変性ミクロフィブリル化植物繊維分散液中の化学変性ミクロフィブリル化植物繊維の置換度を、FT−IR分析により、オレオイルクロリドによって変性された置換基と、水酸基のピーク強度の比から求めたところ、0.4であった。FT−IR分析は、PerkinElmer社製のSpectrum100を用いて、ATR法(減衰全反射法)により行った。
<比較例1>
(ミクロフィブリル化植物繊維・天然ゴム複合体の調製)
0.5質量%に調製したミクロフィブリル化植物繊維分散液に、表1の配合処方に従って所定量の天然ゴムラテックスを添加し、高速ホモジナイザーを用いて室温で5分間攪拌して、pH10.2の配合ラテックスを得た。次いで、室温下で2質量%ギ酸水溶液を加え、pH3〜4に調整し、凝固物を得た。得られた凝固物をろ過し、乾燥してミクロフィブリル化植物繊維・天然ゴム複合体を得た。
Figure 2019156868
<実施例11〜20及び比較例11>
表2に示す配合に従って、1.7Lバンバリーミキサーを用いて、硫黄及び加硫促進剤以外の薬品を130℃で4分間混練りした。次に、ロールを用いて、得られた混練り物に硫黄及び加硫促進剤を添加して80℃で4分間練り込み、未加硫ゴム組成物を得た。得られた未加硫ゴム組成物を170℃で12分間プレス加硫して加硫物を得た。
得られた加硫物を電子顕微鏡により観察した。実施例11における電子顕微鏡写真を図1に示す。図1から、実施例11においては、ゴム組成物中にミクロフィブリル化植物繊維が微細に分散していることが分かる。また、実施例12〜19においても実施例11と同程度にゴム組成物中にミクロフィブリル化植物繊維が微細に分散していた。更に、実施例20においても、得られた加硫物を電子顕微鏡により観察した。電子顕微鏡写真を図2に示す。図2から、実施例20においては、ゴム組成物中に化学変性ミクロフィブリル化植物繊維が微細に分散していることが分かる。他方、比較例11において得られた加硫物を電子顕微鏡により観察した(電子顕微鏡写真を図3に示す)ところ、比較例11においては、ミクロフィブリル化植物繊維の凝集塊ができており、ゴム組成物中にミクロフィブリル化植物繊維が微細に分散していないことが分かる。
得られた加硫物を下記により評価し、結果を表2に示した。
(ミクロフィブリル化植物繊維の繊維径の最頻値)
得られた加硫物を透過型電子顕微鏡で観察して画像をとり、ミクロフィブリル化植物繊維100本の繊維の径を測定して得られる分布から繊維径の最頻値を求めた。
(ミクロフィブリル化植物繊維の平均繊維径)
得られた加硫物を透過型電子顕微鏡で観察して画像をとり、ミクロフィブリル化植物繊維100本の繊維の径を測定して得られる分布から繊維径の平均値(平均繊維径)を求めた。
(破断強度)
加硫物を用いて3号ダンベル型ゴム試験片を作製し、JIS K6251「加硫ゴム及び熱可塑性ゴム−引張特性の求め方」に準じて引張試験を行い、破断強度(TB)を測定した。比較例11のゴム試験片(基準試験片)のTB指数を100とし、下記計算式により、各配合のTBを指数表示した。TB指数が大きいほど破断強度が大きく補強性、耐久性に優れることを示す。
(TB指数)=(各配合のTB)/(基準試験片のTB)×100
(操縦安定性)
粘弾性スペクトロメーターVES((株)岩本製作所製)を用いて、温度50℃、初期歪み10%、動歪み2%、周波数10Hzの条件下で各配合(加硫物)の複素弾性率E*を測定し、比較例11のゴム試験片(基準試験片)のE*を100として、下記計算式により指数表示した(弾性率指数)。指数が大きいほど操縦安定性に優れる。
(弾性率指数)=(各配合のE*)/(基準試験片のE*)×100
(転がり抵抗)
粘弾性スペクトロメーターVES((株)岩本製作所製)を用いて、温度50℃、初期歪み10%、動歪み2%、周波数10Hzの条件下で各配合(加硫物)のtanδを測定し、比較例11のゴム試験片(基準試験片)のtanδを100として、下記計算式により指数表示した(転がり抵抗指数)。指数が大きいほど転がり抵抗特性(低燃費性)が優れる。
(転がり抵抗指数)=(基準試験片のtanδ)/(各配合のtanδ)×100
(タイヤ性能のバランス指数)
前記各性能に基づき、下記計算式によりバランス指数を求めた。指数が大きいほど、耐久性、操縦安定性、及び低燃費性のバランスに優れる。
(バランス指数)=(TB指数×弾性率指数×転がり抵抗指数)/10000
Figure 2019156868
表2から、所定の陰イオン性界面活性剤と、所定のミクロフィブリル化植物繊維を含むミクロフィブリル化植物繊維分散液とを混合し混合液を作製する工程、及び、得られた混合液とゴムとを混合する工程を含む製造方法で得られるミクロフィブリル化植物繊維・ゴム複合体を用いた実施例11〜20では、比較例11(基準比較例)に比べ、タイヤに要求される耐久性(破断強度)、操縦安定性、低燃費性が高い次元でバランスよく得られた。

Claims (10)

  1. ミクロフィブリル化植物繊維・ゴム複合体を製造する方法であって、
    該製造方法は、陰イオン性界面活性剤と、ミクロフィブリル化植物繊維分散液とを混合し混合液を作製する工程、及び、該混合液とゴムとを混合する工程を含み、
    前記陰イオン性界面活性剤が、疎水性基及び親水性基を有し、
    前記ミクロフィブリル化植物繊維は、平均繊維径が4〜100nmであることを特徴とするミクロフィブリル化植物繊維・ゴム複合体の製造方法。
  2. 前記疎水性基が、炭化水素基である請求項1記載のミクロフィブリル化植物繊維・ゴム複合体の製造方法。
  3. 前記親水性基が、カルボキシル基、スルホン酸基、硫酸基、及び、リン酸基からなる群より選択される少なくとも1種である請求項1又は2記載のミクロフィブリル化植物繊維・ゴム複合体の製造方法。
  4. 前記ミクロフィブリル化植物繊維分散液が、化学変性ミクロフィブリル化植物繊維分散液である請求項1〜3のいずれかに記載のミクロフィブリル化植物繊維・ゴム複合体の製造方法。
  5. 前記ゴムが、ゴムラテックス又は液状ポリマーである請求項1〜4のいずれかに記載のミクロフィブリル化植物繊維・ゴム複合体の製造方法。
  6. 前記ミクロフィブリル化植物繊維の平均繊維径が、10〜90nmである請求項1〜5のいずれかに記載のミクロフィブリル化植物繊維・ゴム複合体の製造方法。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の製造方法により得られたミクロフィブリル化植物繊維・ゴム複合体。
  8. 請求項7記載のミクロフィブリル化植物繊維・ゴム複合体を含むゴム組成物。
  9. ゴム成分と、ミクロフィブリル化植物繊維とを含むゴム組成物であって、該ゴム組成物中のミクロフィブリル化植物繊維の平均繊維径が4〜100nmであり、繊維径の最頻値が10〜70nmであることを特徴とするゴム組成物。
  10. 請求項8又は9記載のゴム組成物を用いて作製した空気入りタイヤ。
JP2018040668A 2018-03-07 2018-03-07 ミクロフィブリル化植物繊維・ゴム複合体の製造方法 Active JP7081222B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018040668A JP7081222B2 (ja) 2018-03-07 2018-03-07 ミクロフィブリル化植物繊維・ゴム複合体の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018040668A JP7081222B2 (ja) 2018-03-07 2018-03-07 ミクロフィブリル化植物繊維・ゴム複合体の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2019156868A true JP2019156868A (ja) 2019-09-19
JP7081222B2 JP7081222B2 (ja) 2022-06-07

Family

ID=67992386

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2018040668A Active JP7081222B2 (ja) 2018-03-07 2018-03-07 ミクロフィブリル化植物繊維・ゴム複合体の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7081222B2 (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP3757159A1 (en) * 2019-06-24 2020-12-30 Sumitomo Rubber Industries, Ltd. Nanocellulose/surfactant composite
JP2021080389A (ja) * 2019-11-20 2021-05-27 住友ゴム工業株式会社 ポリマー組成物
WO2022123869A1 (ja) * 2020-12-09 2022-06-16 株式会社ブリヂストン ゴム組成物、ゴム-金属複合体、ホース、コンベヤベルト、ゴムクローラ及びタイヤ
JP7346692B1 (ja) 2022-10-21 2023-09-19 株式会社スギノマシン ゴム複合物

Citations (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009084564A (ja) * 2007-09-10 2009-04-23 Sumitomo Rubber Ind Ltd 加硫ゴム組成物、空気入りタイヤおよびこれらの製造方法
JP2013043926A (ja) * 2011-08-23 2013-03-04 Sumitomo Rubber Ind Ltd 複合体の製造方法、ゴム組成物及び空気入りタイヤ
JP2013129767A (ja) * 2011-12-22 2013-07-04 Mitsubishi Chemicals Corp ゴム組成物の製造方法、ゴム組成物、加硫ゴムおよびタイヤ
JP2013133363A (ja) * 2011-12-26 2013-07-08 Marugo Rubber Ind Co Ltd 重合体組成物の製造方法及び重合体組成物用添加剤の製造方法
JP2013166914A (ja) * 2012-01-16 2013-08-29 Sumitomo Rubber Ind Ltd マスターバッチ、ゴム組成物及び空気入りタイヤ
JP2014144997A (ja) * 2013-01-25 2014-08-14 Sumitomo Rubber Ind Ltd ゴム組成物及び空気入りタイヤ
JP2014227484A (ja) * 2013-05-23 2014-12-08 住友ゴム工業株式会社 マスターバッチ、製造方法、ゴム組成物及び空気入りタイヤ
JP2016147996A (ja) * 2015-02-13 2016-08-18 住友ゴム工業株式会社 ミクロフィブリル化植物繊維・ゴム複合体及びその製造方法、並びに、ゴム組成物及び空気入りタイヤ
JP2016175992A (ja) * 2015-03-19 2016-10-06 住友ゴム工業株式会社 ゴム組成物及びタイヤ

Patent Citations (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009084564A (ja) * 2007-09-10 2009-04-23 Sumitomo Rubber Ind Ltd 加硫ゴム組成物、空気入りタイヤおよびこれらの製造方法
JP2013043926A (ja) * 2011-08-23 2013-03-04 Sumitomo Rubber Ind Ltd 複合体の製造方法、ゴム組成物及び空気入りタイヤ
JP2013129767A (ja) * 2011-12-22 2013-07-04 Mitsubishi Chemicals Corp ゴム組成物の製造方法、ゴム組成物、加硫ゴムおよびタイヤ
JP2013133363A (ja) * 2011-12-26 2013-07-08 Marugo Rubber Ind Co Ltd 重合体組成物の製造方法及び重合体組成物用添加剤の製造方法
JP2013166914A (ja) * 2012-01-16 2013-08-29 Sumitomo Rubber Ind Ltd マスターバッチ、ゴム組成物及び空気入りタイヤ
JP2014144997A (ja) * 2013-01-25 2014-08-14 Sumitomo Rubber Ind Ltd ゴム組成物及び空気入りタイヤ
JP2014227484A (ja) * 2013-05-23 2014-12-08 住友ゴム工業株式会社 マスターバッチ、製造方法、ゴム組成物及び空気入りタイヤ
JP2016147996A (ja) * 2015-02-13 2016-08-18 住友ゴム工業株式会社 ミクロフィブリル化植物繊維・ゴム複合体及びその製造方法、並びに、ゴム組成物及び空気入りタイヤ
JP2016175992A (ja) * 2015-03-19 2016-10-06 住友ゴム工業株式会社 ゴム組成物及びタイヤ

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP3757159A1 (en) * 2019-06-24 2020-12-30 Sumitomo Rubber Industries, Ltd. Nanocellulose/surfactant composite
JP2021080389A (ja) * 2019-11-20 2021-05-27 住友ゴム工業株式会社 ポリマー組成物
WO2021100394A1 (ja) * 2019-11-20 2021-05-27 住友ゴム工業株式会社 ポリマー組成物
CN114641539A (zh) * 2019-11-20 2022-06-17 住友橡胶工业株式会社 聚合物组合物
EP4063446A4 (en) * 2019-11-20 2022-12-28 Sumitomo Rubber Industries, Ltd. POLYMER COMPOSITION
WO2022123869A1 (ja) * 2020-12-09 2022-06-16 株式会社ブリヂストン ゴム組成物、ゴム-金属複合体、ホース、コンベヤベルト、ゴムクローラ及びタイヤ
JP7346692B1 (ja) 2022-10-21 2023-09-19 株式会社スギノマシン ゴム複合物

Also Published As

Publication number Publication date
JP7081222B2 (ja) 2022-06-07

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP7322543B2 (ja) ナノセルロース・界面活性剤複合体
EP3438178B1 (en) Rubber composition and pneumatic tire
JP7081222B2 (ja) ミクロフィブリル化植物繊維・ゴム複合体の製造方法
JP5658142B2 (ja) 樹脂伸展イソプレンゴムの製造方法、その方法で得られたゴム組成物及び空気入りタイヤ
JP7243060B2 (ja) 分散体、製造方法、ゴム組成物及び空気入りタイヤ
JP2023090825A (ja) タイヤ用ゴム組成物及びタイヤ
JP7091716B2 (ja) タイヤ用ゴム組成物
JP2021001253A (ja) ゴム・フィラー複合体の製造方法
JP2016040362A (ja) ゴム組成物及び空気入りタイヤ
JP7172078B2 (ja) ゴム/フィラー複合体の製造方法
JP7255124B2 (ja) フィラー・ゴム複合体
JP7243061B2 (ja) 分散体、製造方法、ゴム組成物及び空気入りタイヤ
JP7342431B2 (ja) ゴム組成物及び空気入りタイヤ
JP2014012799A (ja) タイヤ用ゴム組成物及び空気入りタイヤ
JP2022118521A (ja) ゴム組成物及び複合体
EP4265437A1 (en) Rubber composition and tire
EP4063446A1 (en) Polymer composition
JP2022180912A (ja) 担持体の製造方法及び担持体
EP4357155A2 (en) Tire
JP2024061608A (ja) タイヤ
JP2024060814A (ja) タイヤ
JP2022180911A (ja) 複合体の製造方法及び複合体
JP2024073043A (ja) ゴム組成物の製造方法
JP2023082931A (ja) タイヤ用ゴム組成物及びタイヤ
JP2022016107A (ja) タイヤ用ゴム組成物及びタイヤ

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20210122

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20211013

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20211019

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20211119

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20211207

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20211228

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20220215

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20220414

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20220426

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20220509

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7081222

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150