JP2024061608A - タイヤ - Google Patents

タイヤ Download PDF

Info

Publication number
JP2024061608A
JP2024061608A JP2023114573A JP2023114573A JP2024061608A JP 2024061608 A JP2024061608 A JP 2024061608A JP 2023114573 A JP2023114573 A JP 2023114573A JP 2023114573 A JP2023114573 A JP 2023114573A JP 2024061608 A JP2024061608 A JP 2024061608A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
mass
tire
less
parts
rubber
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2023114573A
Other languages
English (en)
Inventor
澄子 宮崎
Sumiko Miyazaki
大輔 佐藤
Daisuke Sato
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Rubber Industries Ltd
Original Assignee
Sumitomo Rubber Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Rubber Industries Ltd filed Critical Sumitomo Rubber Industries Ltd
Priority to EP23204061.8A priority Critical patent/EP4357155A3/en
Publication of JP2024061608A publication Critical patent/JP2024061608A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Tires In General (AREA)
  • Processes Of Treating Macromolecular Substances (AREA)

Abstract

【課題】高速走行時の操縦安定性及び低燃費性の総合性能に優れたタイヤを提供する。【解決手段】有機繊維と、マレイン酸、無水マレイン酸及びこれらの誘導体からなる群より選択される少なくとも1種の化合物由来の部位を有するポリマーと、充填剤とを含むゴム組成物、で構成されたタイヤ用部材を有するタイヤであって、前記タイヤ用部材は、タイヤ周方向の30℃における複素弾性率(30℃E*a(MPa))及びタイヤ周方向の30℃における損失正接(30℃tanδa)が下記式を満たすタイヤ。30℃E*a/30℃tanδa≧33【選択図】なし

Description

本発明は、タイヤに関する。
タイヤには種々の性能が求められ、例えば、低燃費性、操縦安定性などが挙げられるが、近年、特に高速走行時の操縦安定性と低燃費性を両立することが望まれている。
本発明は、前記課題を解決し、高速走行時の操縦安定性及び低燃費性の総合性能に優れたタイヤを提供することを目的とする。
本発明は、有機繊維と、マレイン酸、無水マレイン酸及びこれらの誘導体からなる群より選択される少なくとも1種の化合物由来の部位を有するポリマーと、充填剤とを含むゴム組成物、で構成されたタイヤ用部材を有するタイヤであって、
前記タイヤ用部材は、タイヤ周方向の30℃における複素弾性率(30℃E*a(MPa))及びタイヤ周方向の30℃における損失正接(30℃tanδa)が下記式を満たすタイヤに関する(第一の本発明)。
30℃E*a/30℃tanδa≧33
本発明はまた、平均繊維径が10μm以下のミクロフィブリルセルロースと、カルボン酸及びカルボン酸無水物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物由来の部位を有するジエン系重合体とを含み、
前記ミクロフィブリルセルロースの平均繊維径A(μm)及び前記ジエン系重合体の数平均分子量Bが下記式を満たすマスターバッチに関する(第二の本発明)。
(A×B)/1000≦350
第一の本発明によれば、有機繊維と、マレイン酸、無水マレイン酸及びこれらの誘導体からなる群より選択される少なくとも1種の化合物由来の部位を有するポリマーと、充填剤とを含むゴム組成物、で構成されたタイヤ用部材を有するタイヤであって、
前記タイヤ用部材は、タイヤ周方向の30℃における複素弾性率(30℃E*a(MPa))及びタイヤ周方向の30℃における損失正接(30℃tanδa)が下記式を満たすタイヤであるので、高速走行時の操縦安定性及び低燃費性の総合性能に優れたタイヤを提供できる。
30℃E*a/30℃tanδa≧33
第二の本発明によれば、平均繊維径が10μm以下のミクロフィブリルセルロースと、カルボン酸及びカルボン酸無水物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物由来の部位を有するジエン系重合体とを含み、
前記ミクロフィブリルセルロースの平均繊維径A(μm)及び前記ジエン系重合体の数平均分子量Bが下記式を満たすマスターバッチであるので、該マスターバッチをゴム組成物に配合することで、補強性(破断強度、弾性率)及び低燃費性の総合性能を改善できる。
本明細書においては、第一の本発明と第二の本発明をまとめて本発明と称し、まず、第一の本発明について説明し、その後、第二の本発明について説明する。
(第一の本発明)
まず、第一の本発明について説明する。
〔タイヤ〕
第一の本発明は、有機繊維と、マレイン酸、無水マレイン酸及びこれらの誘導体からなる群より選択される少なくとも1種の化合物由来の部位を有するポリマーと、充填剤とを含むゴム組成物、で構成されたタイヤ用部材を有するタイヤであって、
前記タイヤ用部材は、タイヤ周方向の30℃における複素弾性率(30℃E*a(MPa))及びタイヤ周方向の30℃における損失正接(30℃tanδa)が下記式を満たすタイヤである。
30℃E*a/30℃tanδa≧33
前記作用効果が得られるメカニズムは明らかではないが、以下のように推察される。
マレイン酸、無水マレイン酸及びこれらの誘導体からなる群より選択される少なくとも1種の化合物由来の部位を有するポリマーを配合すると、ポリマー中の該化合物由来の部位が有機繊維(例えば、有機繊維中のOH基)と相互作用が生じ、それによりゴム中での有機繊維の分散性が向上し、補強性が向上する。また、ゴムと有機繊維の結合が強固になり、ゴムの弾性が高まることで、発熱も抑制される。
更に、タイヤ周方向の30℃E*aを高くすることでタイヤ周方向の剛性を向上しつつ、タイヤ周方向の30℃tanδaを低くすることで転がり抵抗が低下する。
従って、第一の本発明により、高速走行時の操縦安定性及び低燃費性の総合性能が向上すると推察される。
(有機繊維)
前記ゴム組成物は、有機繊維を含む。
第一の本発明において、有機繊維とは、有機物を主成分とする繊維状の材料である。有機繊維は、1種を用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
有機繊維としては、例えば、フィブリル化した有機繊維、短繊維状セルロース、ゲル状化合物などの難分散性フィラーが挙げられる。
フィブリル化した有機繊維とは、有機繊維がフィブリル状に解離したものである。
このような有機繊維として、例えば、バイオマス由来の有機繊維などを好適に使用でき、具体的には、ナノセルロース、キチンナノファイバー、キトサンナノファイバーなどが挙げられる。
有機繊維のアスペクト比(平均繊維長/平均繊維径)は、0.1以上が好ましく、0.3以上がより好ましく、0.5以上が更に好ましい。上限は特に限定されないが、1000以下が好ましく、700以下がより好ましく、500以下が更に好ましい。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
ナノセルロースは、その繊維径(直径)がナノサイズであるセルロース繊維であり、セルロース繊維を含む材料(木材パルプ等)をその繊維をナノサイズレベルまで解きほぐして(解繊処理して)得られるセルロースである。ナノセルロースは、セルロース分子が複数本集まって、ナノサイズの径の繊維を形成しており、セルロース分子間は水素結合により連結されている。植物の細胞壁の中では、幅4nm程のセルロースミクロフィブリル(シングルセルロースナノファイバー)が最小単位として存在し、植物の基本骨格物質であるが、ナノセルロースは、セルロースミクロフィブリル又はセルロースミクロフィブリルが複数凝集して形成されるナノサイズのセルロースである。
ナノセルロースとしては、例えば、ミクロフィブリルセルロース(セルロースナノファイバー(CNF))、セルロースナノクリスタル(CNC)を好適に使用できる。ナノセルロースは、1種を用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
CNFは、セルロース繊維を機械的解繊等の処理を施すことで得られる繊維である。
植物繊維を解繊し、CNFを調製する方法としては、パルプ等のセルロース繊維含有材料を解繊する方法が挙げられる。解繊方法としては、例えば、セルロース繊維含有材料の水懸濁液又はスラリーを、リファイナー、高圧ホモジナイザー、グラインダー、一軸又は多軸混練機(好ましくは二軸混練機)、ビーズミル等による機械的な摩砕、叩解することにより解繊する方法が使用できる。
CNFの平均繊維径は、マトリックス中での分散性等の観点から、10μm以下が好ましい。該平均繊維径は、500nm以下がより好ましく、100nm以下が更に好ましく、50nm以下が特に好ましい。また、該平均繊維径の下限は特に制限されないが、1nm以上が好ましく、2nm以上がより好ましく、3nm以上が更に好ましい。
CNFの平均繊維長は、100nm以上が好ましく、300nm以上がより好ましく、500nm以上が更に好ましい。また、上限は、50μm以下が好ましく、10μm以下がより好ましい。
CNFのアスペクト比(平均繊維長/平均繊維径)は、10以上が好ましく、15以上がより好ましく、20以上が更に好ましい。上限は特に限定されないが、1000以下が好ましく、700以下がより好ましく、500以下が更に好ましい。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
CNCは、セルロース繊維を酸加水分解等の化学的処理を施すことで得られる結晶である。
植物繊維を解繊し、CNCを調製する方法としては、公知の方法が採用できる。例えば、前記セルロース繊維含有材料の水懸濁液又はスラリーに、硫酸、塩酸、臭化水素酸等による酸加水分解等処理を施す化学的手法が使用できる。
CNCの平均繊維径は、マトリックス中での分散性等の観点から、10μm以下が好ましい。該平均繊維径は、500nm以下がより好ましく、100nm以下が更に好ましく、50nm以下が特に好ましい。また、該平均繊維径の下限は特に制限されないが、1nm以上が好ましく、2nm以上がより好ましく、3nm以上が更に好ましい。
CNCの平均繊維長は、50nm以上が好ましく、80nm以上がより好ましく、100nm以上が更に好ましい。また、上限は、下限は、800nm以下が好ましく、500nm以下がより好ましく、300nm以下が更に好ましい。
CNCのアスペクト比(平均繊維長/平均繊維径)は、0.1以上が好ましく、0.3以上がより好ましく、0.5以上が更に好ましい。上限は特に限定されないが、500以下が好ましく、200以下がより好ましく、100以下が更に好ましい。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
本明細書において、ナノセルロースの平均繊維径及び平均繊維長は、走査型電子顕微鏡写真による画像解析、透過型電子顕微鏡写真による画像解析、原子間力顕微鏡写真による画像解析、X線散乱データの解析、細孔電気抵抗法(コールター原理法)等によって測定できる。なお、本明細書において、ナノセルロース(セルロース繊維)の平均繊維径、平均繊維長は、典型的には、セルロース分子の集合により形成されているセルロース繊維の集合体の平均繊維径、平均繊維長である。
CNFの結晶化度は、通常、90%以下であり、80%以下や70%以下でもよい。該結晶化度の下限は、ゴムマトリックス中での分散性等の観点から、30%以上が好ましく、50%以上がより好ましく、60%以上が更に好ましい。
CNCの結晶化度は、ゴムマトリックス中での分散性等の観点から、70%以上が好ましく、75%以上がより好ましく、80%以上が更に好ましい。該結晶化度の上限は特に限定されず、100%でもよい。
本明細書において、ナノセルロースの結晶化度は、X線回折法による回折強度値からSegal法により算出したセルロースI型結晶化度であり、下記式により定義される。
セルロースI型結晶化度(%)=[(I22.6-I18.5)/I22.6]×100
〔式中、I22.6は、X線回折における格子面(002面)(回折角2θ=22.6°)の回折強度、I18.5は、アモルファス部(回折角2θ=18.5°)の回折強度を示す。〕
ナノセルロースの原料(セルロース)としては、針葉樹クラフトパルプ、広葉樹クラフトパルプ、マニラ麻パルプ、サイザル麻パルプ、竹パルプ、エスパルトパルプ、コットンパルプなどから得られる植物由来セルロース、低酸溶紡糸による高重合度の再生セルロース(ポリノジックレーヨン)、アミン・オキサイド系有機溶剤を用いた溶剤紡糸レーヨンなどの再生セルロース、バクテリア産生セルロース、ホヤなどの動物由来セルロース、電界紡糸法によるナノセルロースなどが挙げられる。
植物由来セルロースからナノセルロースを製造する方法として、物理的方法と化学的方法がある。物理的方法(解繊)としては、高圧ホモジナイザー法、マイクロフリュイダイザー法、ボールミル粉砕法、グラインドミル粉砕法などが挙げられる。化学的方法としては、TEMPO酸化法などが挙げられる。
ナノセルロースとしては、リグニンやヘミセルロースが一部残存しているもの、表面を化学修飾処理したもの(修飾パルプ)なども使用できる。修飾パルプとしては、例えば、セルロース繊維の水酸基がエステル化及びエーテル化から選ばれる少なくとも1種の方法により修飾されたもの等が挙げられる。また、ナノセルロースの断面形状は、異方形状(扁平など)、等方形状(真円、正多角形など)のいずれでよい。
上記短繊維状セルロースとは、有機繊維をカットした短繊維(カットファイバー)である。短繊維状セルロースは、ゴム中での分散性が良好なことから、エラストマーの破壊強度を損なうことなく、維持又は改善でき、エラストマー物性が良好になる。
短繊維状セルロースの繊維幅は、3~200μmであることが好ましい。通常、熱可塑性エラストマー複合体に配合される繊維状のフィラーは、繊維幅が小さいほどエラストマーの補強性の面で好ましいが、一方で繊維幅の小さい繊維状フィラーは配向しにくい傾向があるところ、エラストマーの補強性と繊維の配向性のバランスの観点、更にはエラストマー中での分散性の観点から、当該繊維幅としては、10μm以上が好ましく、15μm以上がより好ましく、20μm以上が更に好ましい。また、120μm以下が好ましく、80μm以下がより好ましく、50μm以下が更に好ましい。
短繊維状セルロースの繊維長は、20~1000μmであることが好ましい。繊維幅同様に、エラストマーの補強性と繊維の配向性のバランスの観点、更にはエラストマー中での分散性の観点から、当該繊維長としては、50μm以上が好ましく、100μm以上がより好ましく、200μm以上が更に好ましい。また、700μm以下が好ましく、500μm以下がより好ましい。
短繊維状セルロースは、繊維幅と繊維長との比(繊維長/繊維幅)が5~1000であることが好ましい。繊維幅同様に、エラストマーの補強性と繊維の配向性のバランスの観点から、当該繊維幅と繊維長との比としては、6以上が好ましく、10以上がより好ましい。また、800以下が好ましく、500以下がより好ましく、400以下が更に好ましく、300以下が特に好ましい。
短繊維状セルロースの繊維幅及び繊維長は、走査型原子間力顕微鏡写真の画像解析、走査型電子顕微鏡写真の画像解析、透過型顕微鏡写真の画像解析、X線散乱データの解析、細孔電気抵抗法(コールター原理法)等によって測定できる。
上記ゲル状化合物とは、ミクロフィブリル化植物繊維や短繊維状セルロースをゲル化させて得られる物質である。このようなゲル化物を用いた場合にも、該ゲル状化合物を良好に分散できる。ゲル化の方法としては特に限定されず、超高圧ホモジナイザー等を用いて撹拌する方法等が挙げられる。
前記ゴム組成物において、有機繊維の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは5質量部以上、更に好ましくは10質量部以上、より更に好ましくは15質量部以上、より更に好ましくは20質量部以上である。また、上記含有量は、好ましくは100質量部以下、より好ましくは50質量部以下、更に好ましくは40質量部以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。なお、ナノセルロースの含有量、CNFの含有量、CNCの含有量、CNF及びCNCの合計含有量のそれぞれについても、同様の範囲が望ましい。
(マレイン酸、無水マレイン酸及びこれらの誘導体からなる群より選択される少なくとも1種の化合物由来の部位を有するポリマー)
当該ポリマーにおいて、マレイン酸及び無水マレイン酸の誘導体としては、例えば、マレイン酸及び/又は無水マレイン酸に由来する部位を有し、かつエステル基及び/又はアニオン性基を有する化合物などを好適に使用できる。具体的には、マレイン酸又は無水マレイン酸のエステル、マレイン酸又は無水マレイン酸の塩などが例示される。これらは1種を単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。
マレイン酸エステルとしては、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチルなどのマレイン酸モノアルキルエステル;マレイン酸モノアルケニルエステル;マレイン酸モノアリールエステル;マレイン酸ジアルキルエステルなどが例示され、無水マレイン酸エステルとしては、これらのマレイン酸エステルに対応する化合物などが例示される。
マレイン酸塩としては、マレイン酸のアンモニウム塩、金属塩(ナトリウム塩、カリウム塩などアルカリ金属塩、カルシウム塩などのアルカリ土類金属塩、亜鉛塩などの他の金属の塩)などが例示され、無水マレイン酸塩としては、これらのマレイン酸塩に対応する化合物などが例示される。また、前記ポリマーが、マレイン酸塩、無水マレイン酸塩由来の部位を有する化合物である場合、化合物中に塩の構造を少なくとも1つ有する化合物であればよい。
マレイン酸、無水マレイン酸及びこれらの誘導体からなる群より選択される少なくとも1種の化合物由来の部位を有するポリマーとしては、芳香族ビニル化合物とマレイン酸及び/又は無水マレイン酸との共重合体、及びその誘導体などが挙げられる。これらは1種を単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。
芳香族ビニル化合物とマレイン酸及び/又は無水マレイン酸との共重合体、及びその誘導体としては、例えば、芳香族ビニル化合物単位(芳香族ビニル化合物由来の構成単位)と、マレイン酸、無水マレイン酸及びこれらの誘導体からなる群より選択される少なくとも1種の化合物単位(マレイン酸、無水マレイン酸及びこれらの誘導体からなる群より選択される少なくとも1種の化合物由来の構成単位)とからなる共重合体などが挙げられる。具体的には、芳香族ビニル化合物とマレイン酸との共重合体、芳香族ビニル化合物と無水マレイン酸との共重合体、芳香族ビニル化合物とマレイン酸エステルとの共重合体、芳香族ビニル化合物と無水マレイン酸エステルとの共重合体、芳香族ビニル化合物とマレイン酸塩との共重合体、芳香族ビニル化合物と無水マレイン酸塩との共重合体などが例示される。
芳香族ビニル化合物単位を構成する化合物としては、スチレン、α-メチルスチレン、β-メチルスチレン、o-メチルスチレン、m-メチルスチレン、p-メチルスチレン、2,6-ジメチルスチレン、2,4-ジメチルスチレン、α-メチル-o-メチルスチレン、α-メチル-m-メチルスチレン、α-メチル-p-メチルスチレン、β-メチル-o-メチルスチレン、β-メチル-m-メチルスチレン、β-メチル-p-メチルスチレン、2,4,6-トリメチルスチレン、α-メチル-2,6-ジメチルスチレン、α-メチル-2,4-ジメチルスチレン、β-メチル-2,6-ジメチルスチレン、β-メチル-2,4-ジメチルスチレン、o-クロロスチレン、m-クロロスチレン、p-クロロスチレン、2,6-ジクロロスチレン、2,4-ジクロロスチレン、α-クロロ-o-クロロスチレン、α-クロロ-m-クロロスチレン、α-クロロ-p-クロロスチレン、β-クロロ-o-クロロスチレン、β-クロロ-m-クロロスチレン、β-クロロ-p-クロロスチレン、2,4,6-トリクロロスチレン、α-クロロ-2,6-ジクロロスチレン、α-クロロ-2,4-ジクロロスチレン、β-クロロ-2,6-ジクロロスチレン、β-クロロ-2,4-ジクロロスチレン、o-t-ブチルスチレン、m-t-ブチルスチレン、p-t-ブチルスチレン、o-メトキシスチレン、m-メトキシスチレン、p-メトキシスチレン、o-クロロメチルスチレン、m-クロロメチルスチレン、p-クロロメチルスチレン、o-ブロモメチルスチレン、m-ブロモメチルスチレン、p-ブロモメチルスチレン、シリル基で置換されたスチレン誘導体、インデン、ビニルナフタレン等が挙げられる。芳香族ビニル化合物単位を構成する化合物は、単独又は2種以上を用いることができる。なかでも、より効果が得られる観点から、スチレン、α-メチルスチレン、及びこれらの混合物が好ましく、スチレンがより好ましい。
芳香族ビニル化合物とマレイン酸及び/又は無水マレイン酸との共重合体、及びその誘導体は、芳香族ビニル化合物単位(芳香族ビニル化合物由来の構成単位)及び芳香族ビニル化合物誘導体単位(芳香族ビニル化合物の誘導体由来の構成単位)の合計含有率が好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上、更に好ましくは70質量%以上であり、また、好ましくは99質量%以下、より好ましくは95質量%以下、更に好ましくは90質量%以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
なお、スチレン含有量などの芳香族ビニル化合物単位、芳香族ビニル化合物誘導体単位の含有率は、H-NMR法を用いて測定でき、例えば、スチレン含有率は、25℃にてJEOL JNM-A 400NMR装置を用いてH-NMRを測定し、そのスペクトルより求める6.5~7.2ppmのスチレン単位に基づくフェニルプロトンと4.9~5.4ppmのブタジエン単位に基づくビニルプロトンの比からスチレン含有率を決定できる。
芳香族ビニル化合物とマレイン酸及び/又は無水マレイン酸との共重合体、及びその誘導体は、マレイン酸、無水マレイン酸及びこれらの誘導体からなる群より選択される少なくとも1種の化合物単位及び該化合物誘導体単位(該化合物の誘導体由来の構成単位)の合計含有率が、好ましくは1質量%以上、より好ましくは5質量%以上、更に好ましくは10質量%以上であり、また、好ましくは50質量%未満、より好ましくは40質量%以下、更に好ましくは30質量%以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
なお、マレイン酸、無水マレイン酸及びこれらの誘導体からなる群より選択される少なくとも1種の化合物単位、該化合物誘導体単位の含有率は、H-NMR法を用いて測定できる。
マレイン酸、無水マレイン酸及びこれらの誘導体からなる群より選択される少なくとも1種の化合物由来の部位を有するポリマーとしては、該化合物で変性された変性ポリマーも使用可能である。なかでも、効果がより良好に得られる観点から、該化合物で変性された変性液状ポリマーを好適に使用できる。これらは1種を単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。
変性液状ポリマーの骨格を構成する液状ポリマー(常温(25℃)で液体状態のポリマー)としては、共役ジエン系ポリマーなどが望ましい。共役ジエン系ポリマーとしては、主に1,3-ブタジエン、イソプレン、1,3-ペンタジエン、2,3-ジメチル-1,3-ブタジエン、2-メチル-1,3-ペンタジエン、1,3-ヘキサジエン、2-メチル-1,3-ペンタジエン、4,5-ジエチル-1,3-オクタジエン、3-ブチル-1,3-オクタジエンなどの共役ジエンを含む単量体を重合して得られる液状ジエン系重合体などが望ましい。
液状ジエン系重合体としては、例えば、液状ポリブタジエン、液状ポリイソプレン、液状スチレン-ブタジエンランダム共重合体、液状スチレン-ブタジエンブロック共重合体、液状ブタジエン-イソプレンランダム共重合体、液状ブタジエン-イソプレンブロック共重合体、液状スチレン-ブタジエン-イソプレンランダム共重合体、液状スチレン-ブタジエン-イソプレンブロック共重合体などが例示される。これらは1種を単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。なかでも、効果がより良好に得られる観点から、液状ポリイソプレン(すなわち、マレイン酸、無水マレイン酸及びこれらの誘導体からなる群より選択される少なくとも1種の化合物由来の部位を有するポリマーとして、該化合物で変性された変性液状ポリイソプレン)が好ましい。
変性液状ポリマーの骨格を構成する液状ポリマーの数平均分子量(Mn)は、ゴム組成物の力学物性の観点から、1000以上が好ましく、5000以上が好ましく、10000以上がより好ましい。加工性の観点から、該Mnは、70000以下が好ましく、50000以下がより好ましく、34000以下が更に好ましい。
また、変性液状ポリマーの数平均分子量(Mn)は、ゴム組成物の力学物性の観点から、1000以上が好ましく、5000以上が好ましく、10000以上がより好ましい。加工性の観点から、該Mnは、70000以下が好ましく、50000以下がより好ましく、34000以下が更に好ましい。
なお、本明細書において、Mw、Mnは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)(東ソー(株)製GPC-8000シリーズ、検出器:示差屈折計、カラム:東ソー(株)製のTSKGEL SUPERMULTIPORE HZ-M)による測定値を基に標準ポリスチレン換算により求めることができる。
マレイン酸、無水マレイン酸及びこれらの誘導体からなる群より選択される少なくとも1種の化合物で変性された変性液状ポリマーは、原料となる未変性液状ポリマーを該化合物で変性することにより製造できる。変性する方法は特に限定されず、例えば、原料となる未変性液状ポリマーに該化合物を付加させる方法等、公知の方法で製造できる。
なお、上記液状ポリマーとしては、例えば、(株)クラレ、クレイバレー社等の製品を使用できる。
マレイン酸、無水マレイン酸及びこれらの誘導体からなる群より選択される少なくとも1種の化合物由来の部位を有するポリマーの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.3質量部以上、より好ましくは1.5質量部以上、更に好ましくは2.4質量部以上、特に好ましくは2.9質量部以上である。また、上記含有量は、好ましくは50質量部以下、より好ましくは30質量部以下、更に好ましくは15質量部以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
好ましくは1質量部以上、より好ましくは5質量部以上、更に好ましくは8質量部以上、特に好ましくは10質量部以上である。また、上記含有量は、好ましくは50質量部以下、より好ましくは40質量部以下、更に好ましくは30質量部以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。なお、芳香族ビニル化合物とマレイン酸及び/又は無水マレイン酸との共重合体の含有量、芳香族ビニル化合物とマレイン酸及び/又は無水マレイン酸との共重合体の誘導体の含有量、マレイン酸、無水マレイン酸及びこれらの誘導体からなる群より選択される少なくとも1種の化合物で変性された変性ポリマーの含有量、該化合物で変性された液状ポリマーの含有量も同様の範囲が望ましい。
(充填剤)
前記ゴム組成物は、充填剤を含む。
なお、第一の本発明において、「充填剤」は、前述の「有機繊維」を含まない概念とする。
前記ゴム組成物において、充填剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは10質量部以上、より好ましくは20質量部以上、更に好ましくは30質量部以上である。該含有量の上限は、好ましくは100質量部以下、より好ましくは85質量部以下、更に好ましくは70質量部以下、より更に好ましくは55質量部以下、特に好ましくは50質量部以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
充填剤としては、ゴム分野で公知の材料を使用でき、例えば、シリカ、カーボンブラック、炭酸カルシウム、タルク、アルミナ、クレイ、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、マイカなどの無機フィラー、バイオ炭(BIO CHAR)などが挙げられる。なかでも、効果がより良好に得られる観点から、カーボンブラック、シリカが好ましく、カーボンブラックがより好ましい。
カーボンブラックとしては、特に限定されないが、N134、N110、N220、N234、N219、N339、N330、N326、N351、N550、N762等が挙げられる。市販品としては、旭カーボン(株)、キャボットジャパン(株)、東海カーボン(株)、三菱化学(株)、ライオン(株)、新日化カーボン(株)、コロンビアカーボン社等の製品を使用できる。また、上記の鉱油等を原料としたカーボンブラック以外にリグニンなどのバイオマス材料を原料としたカーボンブラックを用いても良い。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
カーボンブラックの窒素吸着比表面積(NSA)は、30m/g以上が好ましく、35m/g以上がより好ましく、40m/g以上が更に好ましく、42m/g以上がより更に好ましい。また、上記NSAは、100m/g以下が好ましく、80m/g以下がより好ましく、60m/g以下が更に好ましく、50m/g以下が特に好ましい。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
なお、カーボンブラックの窒素吸着比表面積は、JIS K6217-2:2001によって求められる。
前記ゴム組成物において、カーボンブラックの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは5質量部以上、より好ましくは10質量部以上、更に好ましくは20質量部以上、より更に好ましくは30質量部以上である。該含有量の上限は、好ましくは70質量部以下、より好ましくは55質量部以下、更に好ましくは40質量部以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
シリカとしては、乾式法シリカ(無水シリカ)、湿式法シリカ(含水シリカ)などが挙げられる。なかでも、シラノール基が多いという理由から、湿式法シリカが好ましい。市販品としては、デグッサ社、ローディア社、東ソー・シリカ(株)、ソルベイジャパン(株)、(株)トクヤマ等の製品を使用できる。また、シリカとして、もみ殻などのバイオマス材料を原料としたものも使用できる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
シリカの窒素吸着比表面積(NSA)は、好ましくは50m/g以上、より好ましくは100m/g以上、更に好ましくは150m/g以上、より更に好ましくは170m/g以上、より更に好ましくは175m/g以上である。また、シリカのNSAの上限は特に限定されないが、好ましくは350m/g以下、より好ましくは300m/g以下、更に好ましくは250m/g以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
なお、シリカのNSAは、ASTM D3037-93に準じてBET法で測定される値である。
シリカの平均粒子径は、好ましくは24nm以下、より好ましくは20nm以下、更に好ましくは18nm以下であり、また、好ましくは6nm以上、より好ましくは9nm以上、更に好ましくは12nm以上である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
なお、本明細書において、シリカの平均粒子径の測定方法は、透過型電子顕微鏡(TEM)観察が用いられる。具体的には、シリカ粒子を透過型電子顕微鏡で写真撮影し、粒子の形状が球形の場合には球の直径を粒子径とし、針状又は棒状の場合には短径を粒子径とし、不定型の場合には中心部からの平均粒径を粒子径とし、微粒子100個の粒径の平均値を平均粒子径とする。
前記ゴム組成物がシリカを含む場合、シリカの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは10質量部以上、より好ましくは30質量部以上、更に好ましくは50質量部以上である。該含有量の上限は、好ましくは120質量部以下、より好ましくは100質量部以下、更に好ましくは80質量部以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
(シランカップリング剤)
前記ゴム組成物がシリカを含む場合、更にシランカップリング剤を含むことが好ましい。
シランカップリング剤としては、特に限定されず、ゴム分野で公知のものが使用可能であり、例えば、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2-トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(4-トリエトキシシリルブチル)テトラスルフィド、ビス(3-トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2-トリメトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(2-トリエトキシシリルエチル)トリスルフィド、ビス(4-トリメトキシシリルブチル)トリスルフィド、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2-トリエトキシシリルエチル)ジスルフィド、ビス(4-トリエトキシシリルブチル)ジスルフィド、ビス(3-トリメトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2-トリメトキシシリルエチル)ジスルフィド、ビス(4-トリメトキシシリルブチル)ジスルフィド、3-トリメトキシシリルプロピル-N,N-ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、2-トリエトキシシリルエチル-N,N-ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3-トリエトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィド、などのスルフィド系、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、2-メルカプトエチルトリエトキシシラン、Momentive社製のNXT、NXT-Zなどのメルカプト系、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシランなどのビニル系、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシランなどのアミノ系、γ-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、などのグリシドキシ系、3-ニトロプロピルトリメトキシシラン、3-ニトロプロピルトリエトキシシランなどのニトロ系、3-クロロプロピルトリメトキシシラン、3-クロロプロピルトリエトキシシランなどのクロロ系などがあげられる。市販品としては、デグッサ社、Momentive社、信越シリコーン(株)、東京化成工業(株)、アヅマックス(株)、東レ・ダウコーニング(株)等の製品を使用できる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
前記ゴム組成物において、シランカップリング剤の含有量は、シリカ100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは3質量部以上、更に好ましくは5質量部以上、特に好ましくは7質量部以上である。該含有量の上限は、好ましくは50質量部以下、より好ましくは20質量部以下、更に好ましくは15質量部以下、特に好ましくは10質量部以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
(ゴム成分)
前記ゴム組成物は、ゴム成分を含む。
ゴム成分の重量平均分子量は、好ましくは5万以上、より好ましくは15万以上、更に好ましくは20万以上であり、また、好ましくは200万以下、より好ましくは150万以下、更に好ましくは100万以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
なお、本明細書において、重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)(東ソー(株)製GPC-8000シリーズ、検出器:示差屈折計、カラム:東ソー(株)製のTSKGEL SUPERMULTIPORE HZ-M)による測定値を基に標準ポリスチレン換算により求めることができる。
ゴム成分としては特に限定されず、タイヤ分野で公知のものを使用できる。例えば、イソプレン系ゴム、ブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、ブチルゴム(IIR)、スチレン-イソプレン-ブタジエン共重合ゴム(SIBR)等のジエン系ゴムが挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。なかでも、効果がより良好に得られる観点から、イソプレン系ゴム、BR、SBRのいずれかを用いることが好ましく、イソプレン系ゴムを用いることがより好ましい。
イソプレン系ゴムとしては、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、改質NR、変性NR、変性IR等が挙げられる。NRとしては、例えば、SIR20、RSS♯3、TSR20等、タイヤ工業において一般的なものを使用できる。IRとしては、特に限定されず、例えば、IR2200等、タイヤ工業において一般的なものを使用できる。改質NRとしては、脱タンパク質天然ゴム(DPNR)、高純度天然ゴム(UPNR)等、変性NRとしては、エポキシ化天然ゴム(ENR)、水素添加天然ゴム(HNR)、グラフト化天然ゴム等、変性IRとしては、エポキシ化イソプレンゴム、水素添加イソプレンゴム、グラフト化イソプレンゴム等、が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、NRが好ましい。
前記ゴム組成物において、ゴム成分100質量%中、イソプレン系ゴムの含有量は、好ましくは5質量%以上、より好ましくは50質量%以上、更に好ましくは70質量%以上、より更に好ましくは80質量%以上、特に好ましくは90質量%以上であり、100質量%でもよい。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
BRとしては特に限定されず、例えば、日本ゼオン(株)製のBR1220、宇部興産(株)製のBR150B、LG Chem社製のBR1280等の高シス含有量のBR、宇部興産(株)製のVCR412、VCR617等の1,2-シンジオタクチックポリブタジエン結晶(SPB)を含むBR、希土類元素系触媒を用いて合成されたブタジエンゴム(希土類系BR)等、タイヤ工業において一般的なものを使用できる。これらは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
BRのシス量(シス含量)は、好ましくは80質量%以上、より好ましくは85質量%以上、更に好ましくは90質量%以上であり、また、好ましくは99質量%以下、より好ましくは98質量%以下、更に好ましくは97質量%以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
なお、BRのシス量は、赤外吸収スペクトル分析法によって測定できる。
前記ゴム組成物がBRを含む場合、ゴム成分100質量%中、BRの含有量は、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは15質量%以上であり、また、好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下、更に好ましくは30質量%以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
SBRとしては特に限定されず、例えば、乳化重合スチレンブタジエンゴム(E-SBR)、溶液重合スチレンブタジエンゴム(S-SBR)等を使用できる。市販品としては、住友化学(株)、JSR(株)、旭化成(株)、日本ゼオン(株)等の製品が挙げられる。
SBRのスチレン含量は、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは15質量%以上、特に好ましくは20質量%以上である。該スチレン含量は、好ましくは50質量%以下、より好ましくは45質量%以下、更に好ましくは40質量%以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
なお、本明細書において、SBRのスチレン含量は、H-NMR測定により算出される。
SBRのビニル含量は、好ましくは10質量%以上、より好ましくは20質量%以上、更に好ましくは30質量%以上である。該ビニル含量は、好ましくは90質量%以下、より好ましくは80質量%以下、更に好ましくは70質量%以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
なお、本明細書において、SBRのビニル含量(1,2-結合ブタジエン単位量)は、赤外吸収スペクトル分析法によって測定できる。
前記ゴム組成物がSBRを含む場合、ゴム成分100質量%中、SBRの含有量は、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは15質量%以上であり、また、好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下、更に好ましくは30質量%以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
ゴム成分は、オイル、樹脂、液状ゴムなどの可塑剤成分により伸展された伸展ゴムでもよい。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。伸展ゴムに使用される可塑剤は、後述で説明するものと同様のものが挙げられる。また、伸展ゴム中の可塑剤分は特に限定されないが、通常、ゴム固形分100質量部に対して10~50質量部程度である。
ゴム成分は、変性により、シリカ等の充填材と相互作用する官能基が導入されていてもよい。
上記官能基としては、例えば、ケイ素含有基(-SiR(Rは、同一又は異なって、水素、水酸基、炭化水素基、アルコキシ基など)、アミノ基、アミド基、イソシアネート基、イミノ基、イミダゾール基、ウレア基、エーテル基、カルボニル基、オキシカルボニル基、メルカプト基、スルフィド基、ジスルフィド基、スルホニル基、スルフィニル基、チオカルボニル基、アンモニウム基、イミド基、ヒドラゾ基、アゾ基、ジアゾ基、カルボキシル基、ニトリル基、ピリジル基、アルコキシ基、水酸基、オキシ基、エポキシ基等が挙げられる。なお、これらの官能基は、置換基を有していてもよい。なかでも、ケイ素含有基が好ましく、-SiR(Rは、同一又は異なって、水素、水酸基、炭化水素基(好ましくは炭素数1~6の炭化水素基(より好ましくは炭素数1~6のアルキル基))又はアルコキシ基(好ましくは炭素数1~6のアルコキシ基))であり、Rの少なくとも一つが水酸基)がより好ましい。
上記官能基を導入する化合物(変性剤)の具体例としては、2-ジメチルアミノエチルトリメトキシシラン、3-ジメチルアミノプロピルトリメトキシシラン、2-ジメチルアミノエチルトリエトキシシラン、3-ジメチルアミノプロピルトリエトキシシラン、2-ジエチルアミノエチルトリメトキシシラン、3-ジエチルアミノプロピルトリメトキシシラン、2-ジエチルアミノエチルトリエトキシシラン、3-ジエチルアミノプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
(可塑剤)
前記ゴム組成物は、可塑剤を含んでもよい。
ここで、可塑剤とは、ゴム成分に可塑性を付与する材料であり、例えば、液体可塑剤(常温(25℃)で液体状態の可塑剤)、樹脂(常温(25℃)で固体状態の樹脂)等が挙げられる。なお、第一の本発明において、「可塑剤」は、前述の「マレイン酸、無水マレイン酸及びこれらの誘導体からなる群より選択される少なくとも1種の化合物で変性された液状変性ポリマー」を含まない概念とする。
前記ゴム組成物において、可塑剤の含有量(可塑剤の総量)は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは5質量部以上、より好ましくは8質量部以上、更に好ましくは10質量部以上であり、また、好ましくは50質量部以下、より好ましくは30質量部以下、更に好ましくは20質量部以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。なお、伸展ゴムに用いられた可塑剤成分量も、これらの可塑剤の含有量に含まれる。
液体可塑剤(常温(25℃)で液体状態の可塑剤)としては特に限定されず、オイル、液状ポリマー(液状樹脂、液状ジエン系ポリマー、液状ファルネセン系ポリマーなど)などが挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
前記ゴム組成物において、液体可塑剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは5質量部以上、より好ましくは8質量部以上、更に好ましくは10質量部以上であり、また、好ましくは50質量部以下、より好ましくは30質量部以下、更に好ましくは20質量部以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。なお、液体可塑剤の含有量には、油展ゴムに含まれるオイルの量も含まれる。また、オイルの含有量も同様の範囲が好適である。
オイルとしては、例えば、プロセスオイル、植物油、又はその混合物が挙げられる。プロセスオイルとしては、例えば、パラフィン系プロセスオイル、アロマ系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイルなどを用いることができる。植物油としては、ひまし油、綿実油、あまに油、なたね油、大豆油、パーム油、やし油、落花生油、ロジン、パインオイル、パインタール、トール油、コーン油、こめ油、べに花油、ごま油、オリーブ油、ひまわり油、パーム核油、椿油、ホホバ油、マカデミアナッツ油、桐油等が挙げられる。市販品としては、出光興産(株)、三共油化工業(株)、(株)ジャパンエナジー、オリソイ社、H&R社、豊国製油(株)、昭和シェル石油(株)、富士興産(株)、日清オイリオグループ(株)等の製品を使用できる。なかでも、プロセスオイル(パラフィン系プロセスオイル、アロマ系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイル等)、植物油が好ましい。なお、これらのプロセスオイル及び植物油は、ライフサイクルアセスメントの観点から、ゴム混合用ミキサーやエンジンなどの潤滑油として用いられた後のオイルや廃食油などを適宜用いても良い。
液状樹脂としては、テルペン系樹脂(テルペンフェノール樹脂、芳香族変性テルペン樹脂を含む)、ロジン樹脂、スチレン系樹脂、C5系樹脂、C9系樹脂、C5/C9系樹脂、ジシクロペンタジエン(DCPD)樹脂、クマロンインデン系樹脂(クマロン、インデン単体樹脂を含む)、フェノール樹脂、オレフィン系樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂等が挙げられる。また、これらの水素添加物も使用可能である。
液状ジエン系ポリマーとしては、25℃で液体状態の液状スチレンブタジエン共重合体(液状SBR)、液状ブタジエン重合体(液状BR)、液状イソプレン重合体(液状IR)、液状スチレンイソプレン共重合体(液状SIR)、液状スチレンブタジエンスチレンブロック共重合体(液状SBSブロックポリマー)、液状スチレンイソプレンスチレンブロック共重合体(液状SISブロックポリマー)等が挙げられる。これらは、末端や主鎖が極性基で変性されていても構わない。また、これらの水素添加物も使用可能である。
液状ファルネセン系ポリマーとしては、25℃で液体状態の液状ファルネセン重合体、液状ファルネセンブタジエン共重合体等が挙げられる。これらは、末端や主鎖が極性基で変性されていても構わない。また、これらの水素添加物も使用可能である。
前記樹脂(常温(25℃)で固体状態の樹脂)としては、例えば、常温(25℃)で固体状態の芳香族ビニル重合体、クマロンインデン樹脂、クマロン樹脂、インデン樹脂、フェノール樹脂、ロジン樹脂、石油樹脂、テルペン系樹脂、アクリル系樹脂などが挙げられる。また、樹脂は、水添されていてもよい。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。なかでも、芳香族ビニル重合体、石油樹脂、テルペン系樹脂が好ましい。
前記ゴム組成物において、前記樹脂の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは5質量部以上、より好ましくは8質量部以上、更に好ましくは10質量部以上であり、また、好ましくは50質量部以下、より好ましくは30質量部以下、更に好ましくは20質量部以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
前記樹脂の軟化点は、50℃以上が好ましく、55℃以上がより好ましく、60℃以上が更に好ましい。上限は、160℃以下が好ましく、150℃以下がより好ましく、145℃以下が更に好ましい。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
上記樹脂の軟化点は、JIS K6220-1:2001に規定される軟化点を環球式軟化点測定装置で測定し、球が降下した温度である。
なお、前記樹脂の軟化点は、通常、樹脂成分のガラス転移温度の50℃±5℃程度の値である。
前記芳香族ビニル重合体は、芳香族ビニルモノマーを構成単位として含むポリマーである。例えば、α-メチルスチレン及び/又はスチレンを重合して得られる樹脂が挙げられ、具体的には、スチレンの単独重合体(スチレン樹脂)、α-メチルスチレンの単独重合体(α-メチルスチレン樹脂)、α-メチルスチレンとスチレンとの共重合体、スチレンと他のモノマーの共重合体などが挙げられる。
前記クマロンインデン樹脂は、樹脂の骨格(主鎖)を構成する主なモノマー成分として、クマロン及びインデンを含む樹脂である。クマロン、インデン以外に骨格に含まれるモノマー成分としては、スチレン、α-メチルスチレン、メチルインデン、ビニルトルエンなどが挙げられる。
前記クマロン樹脂は、樹脂の骨格(主鎖)を構成する主なモノマー成分として、クマロンを含む樹脂である。
前記インデン樹脂は、樹脂の骨格(主鎖)を構成する主なモノマー成分として、インデンを含む樹脂である。
前記フェノール樹脂としては、例えば、フェノールと、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、フルフラールなどのアルデヒド類とを酸又はアルカリ触媒で反応させることにより得られるポリマー等の公知のものを使用できる。なかでも、酸触媒で反応させることにより得られるもの(ノボラック型フェノール樹脂など)が好ましい。
前記ロジン樹脂としては、天然ロジン、重合ロジン、変性ロジン、これらのエステル化合物、これらの水素添加物に代表されるロジン系樹脂等が挙げられる。
前記石油樹脂としては、C5系樹脂、C9系樹脂、C5/C9系樹脂、ジシクロペンタジエン(DCPD)樹脂、これらの水素添加物などが挙げられる。なかでも、DCPD樹脂、水添DCPD樹脂が好ましい。
前記テルペン系樹脂は、テルペンを構成単位として含むポリマーであり。例えば、テルペン化合物を重合して得られるポリテルペン樹脂、テルペン化合物と芳香族化合物とを重合して得られる芳香族変性テルペン樹脂などが挙げられる。芳香族変性テルペン樹脂としては、テルペン化合物及びフェノール系化合物を原料とするテルペンフェノール樹脂や、テルペン化合物及びスチレン系化合物を原料とするテルペンスチレン樹脂、テルペン化合物、フェノール系化合物及びスチレン系化合物を原料とするテルペンフェノールスチレン樹脂も使用できる。なお、テルペン化合物としては、α-ピネン、β-ピネンなど、フェノール系化合物としては、フェノール、ビスフェノールAなど、芳香族化合物としては、スチレン系化合物(スチレン、α-メチルスチレンなど)が挙げられる。
前記アクリル系樹脂は、アクリル系モノマーを構成単位として含むポリマーである。例えば、カルボキシル基を有し、芳香族ビニルモノマー成分とアクリル系モノマー成分とを共重合して得られる、スチレンアクリル樹脂等のスチレンアクリル系樹脂などが挙げられる。なかでも、無溶剤型カルボキシル基含有スチレンアクリル系樹脂を好適に使用できる。
可塑剤としては、例えば、丸善石油化学(株)、住友ベークライト(株)、ヤスハラケミカル(株)、東ソー(株)、RutgersChemicals社、BASF社、アリゾナケミカル社、日塗化学(株)、(株)日本触媒、ENEOS(株)、荒川化学工業(株)、田岡化学工業(株)等の製品を使用できる。
(他の成分)
前記ゴム組成物は、老化防止剤を含有してもよい。
老化防止剤としては、例えば、フェニル-α-ナフチルアミン等のナフチルアミン系老化防止剤;オクチル化ジフェニルアミン、4,4′-ビス(α,α′-ジメチルベンジル)ジフェニルアミン等のジフェニルアミン系老化防止剤;N-イソプロピル-N′-フェニル-p-フェニレンジアミン、N-(1,3-ジメチルブチル)-N′-フェニル-p-フェニレンジアミン、N,N′-ジ-2-ナフチル-p-フェニレンジアミン等のp-フェニレンジアミン系老化防止剤;2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリンの重合物等のキノリン系老化防止剤;2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール、スチレン化フェノール等のモノフェノール系老化防止剤;テトラキス-[メチレン-3-(3′,5′-ジ-t-ブチル-4′-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン等のビス、トリス、ポリフェノール系老化防止剤等が挙げられる。市販品としては、精工化学(株)、住友化学(株)、大内新興化学工業(株)、フレクシス社等の製品を使用できる。これらは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記ゴム組成物において、老化防止剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは2質量部以上、更に好ましくは3質量部以上であり、また、好ましくは10質量部以下、より好ましくは6質量部以下、更に好ましくは5質量部以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
前記ゴム組成物は、ワックスを含有してもよい。
ワックスとしては、特に限定されず、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス等の石油系ワックス;植物系ワックス、動物系ワックス等の天然系ワックス;エチレン、プロピレン等の重合物等の合成ワックス等が挙げられる。市販品としては、大内新興化学工業(株)、日本精蝋(株)、精工化学(株)等の製品を使用できる。これらは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記ゴム組成物において、ワックスの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは2質量部以上であり、また、好ましくは10質量部以下、より好ましくは6質量部以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
前記ゴム組成物は、ステアリン酸を含有してもよい。
ステアリン酸としては、従来公知のものを使用でき、市販品としては、日油(株)、花王(株)、富士フイルム和光純薬(株)、千葉脂肪酸(株)等の製品を使用できる。これらは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記ゴム組成物において、ステアリン酸の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは2質量部以上であり、また、好ましくは10質量部以下、より好ましくは6質量部以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
前記ゴム組成物は、硫黄を含有してもよい。
硫黄としては、ゴム工業において一般的に架橋剤として用いられる粉末硫黄、沈降硫黄、コロイド硫黄、不溶性硫黄、高分散性硫黄、可溶性硫黄等が挙げられる。市販品としては、鶴見化学工業(株)、軽井沢硫黄(株)、四国化成工業(株)、フレクシス社、日本乾溜工業(株)、細井化学工業(株)等の製品を使用できる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
前記ゴム組成物において、硫黄の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは1.0質量部以上、更に好ましくは1.5質量部以上であり、また、好ましくは3.5質量部以下、より好ましくは2.8質量部以下、更に好ましくは2.5質量部以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
前記ゴム組成物は、加硫促進剤を含有してもよい。
加硫促進剤としては、2-メルカプトベンゾチアゾール、ジ-2-ベンゾチアゾリルジスルフィド等のチアゾール系加硫促進剤;テトラメチルチウラムジスルフィド(TMTD)、テトラキス(2-エチルヘキシル)チウラムジスルフィド(TOT-N)等のチウラム系加硫促進剤;N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアジルスルフェンアミド(CBS)、N-tert-ブチル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(TBBS)、N-オキシエチレン-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N,N′-ジイソプロピル-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド等のスルフェンアミド系加硫促進剤;ジフェニルグアニジン、ジオルトトリルグアニジン、オルトトリルビグアニジン等のグアニジン系加硫促進剤を挙げることができる。市販品としては、住友化学(株)、大内新興化学工業(株)等の製品を使用できる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
前記ゴム組成物において、加硫促進剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは0.8質量部以上、更に好ましくは1.0質量部以上であり、また、好ましくは10質量部以下、より好ましくは8質量部以下、更に好ましくは7質量部以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
前記ゴム組成物には、上記成分の他、タイヤ工業において一般的に用いられている添加剤、例えば、酸化亜鉛、有機過酸化物等を更に配合してもよい。これらの添加剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、0.1~200質量部が好ましい。
前記ゴム組成物は、公知の方法を用いて製造でき、例えば、前述の各成分をオープンロール、バンバリーミキサーなどのゴム混練装置を用いて混練し、その後加硫する方法などにより製造できる。
なかでも、効果がより得られる観点から、前記ゴム組成物は、前記有機繊維と、前記マレイン酸、無水マレイン酸及びこれらの誘導体からなる群より選択される少なくとも1種の化合物由来の部位を有するポリマーとを混合し、混合物を作製する工程(工程1)、得られた混合物とゴムラテックスとを混合し、配合ラテックスを作製する工程(工程2)、並びに、得られた配合ラテックスを凝固させる工程(工程3)を含む製造方法により作製することが望ましい。なお、該製造方法は、上記工程を含む限り、その他の工程を含んでいてもよく、また、上記工程をそれぞれ、1回行ってもよいし、複数回繰り返し行ってもよい。
工程1において、前記有機繊維と、マレイン酸、無水マレイン酸及びこれらの誘導体からなる群より選択される少なくとも1種の化合物由来の部位を有するポリマーとを混合し、混合物を作製する方法としては、例えば、高速ホモジナイザー、超音波ホモジナイザー、コロイドミル、ブレンダ―ミルなどの公知の撹拌装置を用いて、前記有機繊維の分散液と、前記ポリマーとを混合する方法などが挙げられる。混合物を作製する際の温度や時間は、各成分が十分に混合するまで、適宜設定でき、例えば、10~40℃で3~120分が好ましく、15~30℃で5~90分がより好ましい。
前記有機繊維の分散液は、公知の方法で製造でき、例えば、高圧ホモジナイザー、超音波ホモジナイザー、コロイドミルなどの混合機を用いて有機繊維を水中に分散させることで調製できる。調製の際の温度や時間は、分散状態を考慮し、適宜設定できる。ここで、分散液中の有機繊維の含有量(固形分)は特に限定されないが、分散液(100質量%)中での均一分散性の点から、0.1~20質量%、好ましくは0.2~10質量%、より好ましくは0.3~5質量%である。
工程2は、工程1で得られた前記有機繊維と前記ポリマーとを含む混合物と、ゴムラテックスとを混合し、配合ラテックスを作製する工程であるが、使用可能なゴムラテックスとしては、例えば、天然ゴムラテックス、合成ジエン系ゴムラテックス(ブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、スチレンイソプレンブタジエンゴム(SIBR)、イソプレンゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム、エチレン酢酸ビニルゴム、クロロプレンゴム、ビニルピリジンゴム、ブチルゴムなどのラテックス)などのジエン系ゴムラテックスが好適に使用できる。これらゴムラテックスは、単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。なかでも、天然ゴムラテックス、SBRラテックス、BRラテックス、イソプレンゴムラテックスがより好ましく、天然ゴムラテックスが更に好ましい。
ゴムラテックスのpHは、好ましくは8.5以上、より好ましくは9.5以上である。該pHが8.5未満では、ゴムラテックスが不安定となり、凝固しやすい傾向がある。ゴムラテックスのpHは、好ましくは12以下、より好ましくは11以下である。該pHが12を超えると、ゴムラテックスが劣化するおそれがある。
ゴムラテックスは、従来公知の製法で調製でき、各種市販品も使用できる。なお、ゴムラテックスとしては、ゴム固形分が10~80質量%のものを使用することが好ましい。より好ましくは20~60質量%である。
工程2の混合では、前記混合物とゴムラテックスとを混合し、均一な分散液になるまで充分に攪拌することで、配合ラテックスを調製できる。混合方法としては、ブレンダーミルなどの公知の攪拌装置にゴムラテックスを入れ、撹拌しながら、前記混合物を滴下する方法や、前記混合物を撹拌しながら、これにゴムラテックスを滴下する方法などが挙げられる。
作製される配合ラテックスのpHは、好ましくは9.0以上、より好ましくは9.5以上である。該pHが9.0未満では、配合ラテックスが不安定になる傾向がある。配合ラテックスのpHは、好ましくは12以下、より好ましくは11.5以下、更に好ましくは10.2以下である。該pHが12を超えると、配合ラテックスが劣化するおそれがある。
工程2では、有機繊維の分散性の観点から、ゴムラテックスのゴム固形分100質量部に対する有機繊維の含有量が1~150質量部となるように前記混合物を混合することが望ましい。該有機繊維の含有量は、好ましくは5質量部以上、より好ましくは10質量部以上、更に好ましくは20質量部以上であり、また、好ましくは100質量部以下、より好ましくは50質量部以下、更に好ましくは30質量部以下である。
工程2における混合温度及び混合時間は、均一な配合ラテックスが調製できる点から、好ましくは10~40℃で3~120分、より好ましくは15~30℃で5~90分である。
工程3では、工程2で得られた配合ラテックスを凝固させるが、例えば、配合ラテックスのpHを3~5(好ましくは3~4)に調整することで、凝固させることができる。pH調整し、配合ラテックスを凝固させる方法としては、通常、酸が使用され、これを配合ラテックスに添加することで凝固される。凝固させるための酸としては、硫酸、塩酸、ギ酸、酢酸などが挙げられる。凝固工程の温度は、10~40℃で行うことが好ましい。
また、凝固の状態(凝固した凝集粒子の大きさ)を制御する目的で、凝集剤を添加しても良い。凝集剤として、カチオン性高分子などを用いることができる。
得られた凝固物(凝集ゴム及びナノセルロースを含む凝集物)を公知の方法でろ過、乾燥させ、更に乾燥後、2軸ロール、バンバリーなどでゴム練りを行うことで、有機繊維がゴムマトリックスに均一に分散した複合体を得ることができる。
なお、前記複合体は、効果を阻害しない範囲で他の成分を含んでもよく、効果がより得られる観点から、例えば、前記可塑剤を含むことが好ましく、液体可塑剤を含むことがより好ましく、オイルを含むことが更に好ましい。
前記複合体が前記可塑剤を含む場合、例えば、工程1、2の少なくともいずれかの工程で更に可塑剤を混合することで、可塑剤を含む複合体を作製できる。この場合、ゴムラテックスのゴム固形分100質量部に対する可塑剤の含有量が1~100質量部となるように可塑剤を混合することが望ましい。該可塑剤の含有量は、好ましくは5質量部以上、より好ましくは10質量部以上であり、また、好ましくは50質量部以下、より好ましくは40質量部以下、更に好ましくは30質量部以下である。なかでも、工程1で可塑剤を更に混合することが望ましい。なお、液体可塑剤、オイルの含有量も同様の範囲が望ましい。
上記複合体は、マスターバッチとして使用でき、例えば、上記複合体、それ以外の材料をオープンロール、バンバリーミキサーなどのゴム混練装置を用いて混練し、その後加硫する方法など、公知の方法により、ゴム組成物を製造できる。
混練条件としては、加硫剤及び加硫促進剤以外の添加剤を混練するベース練り工程では、混練温度は、通常50~200℃、好ましくは80~190℃であり、混練時間は、通常30秒~30分、好ましくは1分~30分である。加硫剤、加硫促進剤を混練する仕上げ練り工程では、混練温度は、通常100℃以下、好ましくは室温~80℃である。また、加硫剤、加硫促進剤を混練した組成物は、通常、プレス加硫などの加硫処理が施される。加硫温度としては、通常120~200℃、好ましくは140~180℃である。
前記ゴム組成物は、タイヤ用部材として使用される。
第一の本発明のタイヤにおいて、前記ゴム組成物で構成されたタイヤ用部材は、タイヤ周方向の30℃における複素弾性率(30℃E*a(MPa))及びタイヤ周方向の30℃における損失正接(30℃tanδa)が、下記式を満たす。
30℃E*a/30℃tanδa≧33
高速走行時の操縦安定性及び低燃費性の総合性能がより向上する観点から、30℃E*a/30℃tanδaは、好ましくは35以上、より好ましくは37以上、更に好ましくは40以上、より更に好ましくは45以上、より更に好ましくは47以上、特に好ましくは50以上、最も好ましくは55以上である。
このように、前記タイヤは、式「30℃E*a/30℃tanδa≧33」を満たすタイヤ用部材を備える構成にすることにより、高速走行時の操縦安定性及び低燃費性の総合性能を向上するという課題(目的)をより解決できるものである。すなわち、これらの式は課題(目的)を規定したものではなく、本願の課題は、高速走行時の操縦安定性及び低燃費性の総合性能を向上することであり、そのための解決手段として当該パラメーターを満たすような構成にしたものである。
効果がより得られる観点から、前記ゴム組成物で構成されたタイヤ用部材は、タイヤ周方向の30℃における複素弾性率(30℃E*a(MPa))及びタイヤ周方向の30℃における損失正接(30℃tanδa)が、下記式を満たすことが望ましい。
30℃E*a/30℃tanδa≦75
30℃E*a/30℃tanδaは、好ましくは72以下、より好ましくは70以下、更に好ましくは67以下、より更に好ましくは65以下、特に好ましくは60以下である。
第一の本発明のタイヤにおいて、前記ゴム組成物で構成されたタイヤ用部材が前記式を満たす場合、高速走行時の操縦安定性及び低燃費性の総合性能がより向上する傾向がある。
このような作用効果が得られるメカニズムは明らかではないが、前記のとおり、タイヤ周方向の30℃E*aを高くすることでタイヤ周方向の剛性を向上しつつ、タイヤ周方向の30℃tanδaを低くすることで転がり抵抗が低下すると考えられるが、更に30℃E*a/30℃tanδaを所定以下に調整することで、高速走行時の操縦安定性、低燃費性のバランスも確保されると推察される。
効果がより得られる観点から、前記ゴム組成物で構成されたタイヤ用部材は、タイヤ周方向の30℃における損失正接(30℃tanδa)及びタイヤ半径方向の30℃における損失正接(30℃tanδb)が下記式を満たすことが望ましい。
30℃tanδa/30℃tanδb≧1.00
30℃tanδa/30℃tanδbは、好ましくは1.01以上、より好ましくは1.02以上、更に好ましくは1.03以上、より更に好ましくは1.04以上、より更に好ましくは1.05以上、より更に好ましくは1.06以上である。上限は特に限定されないが、好ましくは1.20以下、より好ましくは1.15以下、更に好ましくは1.08以下、より更に好ましくは1.07以下である。
第一の本発明のタイヤにおいて、前記ゴム組成物で構成されたタイヤ用部材が前記式を満たす場合、高速走行時の操縦安定性及び低燃費性の総合性能がより向上する。
このような作用効果が得られるメカニズムは明らかではないが、タイヤ周方向の30℃tanδaを低くすることで、転がり抵抗が低下し発熱が抑えられる。その結果、高速走行時の操縦安定性及び低燃費性の総合性能が向上すると推察される。
効果がより得られる観点から、前記ゴム組成物で構成されたタイヤ用部材は、タイヤ周方向の30℃における複素弾性率(30℃E*a(MPa))が、下記式を満たすことが望ましい。
30℃E*a≧5.0MPa
30℃E*aは、好ましくは5.2MPa以上、より好ましくは5.7MPa以上、更に好ましくは9.0MPa以上、より更に好ましくは9.7MPa以上、より更に好ましくは9.9MPa以上、特に好ましくは10.7MPa以上である。上限は特に限定されないが、好ましくは20.0MPa以下、より好ましくは16.0MPa以下、更に好ましくは15.0MPa以下、より更に好ましくは14.0MPa以下、より更に好ましくは13.0MPa以下である。
第一の本発明のタイヤにおいて、前記ゴム組成物で構成されたタイヤ用部材が前記式を満たす場合、高速走行時の操縦安定性及び低燃費性の総合性能がより向上する。
このような作用効果が得られるメカニズムは明らかではないが、タイヤ周方向の30℃E*aを高くすることでタイヤ周方向の剛性が向上し、その結果、高速走行時の操縦安定性及び低燃費性の総合性能が向上すると推察される。
効果がより得られる観点から、前記ゴム組成物で構成されたタイヤ用部材は、タイヤ周方向の30℃における損失正接(30℃tanδa)が、下記式を満たすことが望ましい。
30℃tanδa≧0.120
30℃tanδaは、好ましくは0.137以上、より好ましくは0.140以上、更に好ましくは0.144以上、より更に好ましくは0.150以上、より更に好ましくは0.160以上、より更に好ましくは0.180以上、より更に好ましくは0.190以上、より更に好ましくは0.194以上である。上限は特に限定されないが、好ましくは0.500以下、より好ましくは0.400以下、更に好ましくは0.300以下、より更に好ましくは0.260以下、より更に好ましくは0.240以下、より更に好ましくは0.210以下、より更に好ましくは0.205以下である。
第一の本発明のタイヤにおいて、前記ゴム組成物で構成されたタイヤ用部材が前記式を満たす場合、高速走行時の操縦安定性及び低燃費性の総合性能がより向上する。
このような作用効果が得られるメカニズムは明らかではないが、タイヤ周方向の30℃tanδaを低くすることで発熱が抑えられる。その結果、高速走行時の操縦安定性及び低燃費性の総合性能が向上すると推察される。
このように、前記タイヤは、式「30℃E*a/30℃tanδa≧33」以外に、更に「30℃E*a/30℃tanδa≧45」、「30℃E*a/30℃tanδa≦72」、「30℃E*a/30℃tanδa≦65」、「30℃E*a≧5.0MPa」、「30℃tanδa≧0.120」の少なくとも1つを満たすタイヤ用部材を備える構成にすることにより、高速走行時の操縦安定性及び低燃費性の総合性能を向上するという課題(目的)をより解決できるものである。すなわち、これらの式は課題(目的)を規定したものではなく、本願の課題は、高速走行時の操縦安定性及び低燃費性の総合性能を向上することであり、そのための解決手段として当該パラメーターを満たすような構成にすることが望ましいものである。
なお、本明細書において、「30℃E*a」、「30℃tanδ」は、温度30℃、初期歪5%、動歪1%、周波数10Hz、伸長モードの条件下で測定した複素弾性率、損失正接である。そして、ゴム組成物で構成されたタイヤ用部材の「30℃E*a」、「30℃tanδ」は、加硫後のゴム組成物(タイヤ用部材)の30℃におけるE*a、30℃におけるtanδを意味し、加硫後のゴム組成物(タイヤ用部材)に対し、粘弾性試験を実施することで得られる値である。
30℃tanδは、ゴム組成物に配合される薬品(特に、有機繊維、マレイン酸、無水マレイン酸及びこれらの誘導体からなる群より選択される少なくとも1種の化合物由来の部位を有するポリマー、充填剤、ゴム成分、オイルや樹脂などの可塑剤、硫黄、加硫促進剤、シランカップリング剤)の種類や量によって調整することが可能である。具体的には、有機繊維、前記ポリマーを使用したり、ゴム成分とこれらの成分を含む混合物(マスターバッチ)を使用したり、充填剤量を増量したり、オイル量を増量したり、硫黄量を減量したり、加硫促進剤量を減量したり、シランカップリング剤量を減量したりすることにより、30℃tanδは大きくなる傾向がある。
30℃E*aは、ゴム組成物に配合される薬品(特に、有機繊維、マレイン酸、無水マレイン酸及びこれらの誘導体からなる群より選択される少なくとも1種の化合物由来の部位を有するポリマー、充填剤、ゴム成分、オイルや樹脂などの可塑剤)の種類や量によって調整することが可能である。具体的には、有機繊維、前記ポリマーを使用したり、ゴム成分とこれらの成分を含む混合物(マスターバッチ)を使用したり、軟化剤の量を減量したり、充填剤の量を増量したり、硫黄量を増量したり、加硫促進剤を増量することにより、30℃E*aは大きくなる傾向がある。
また、前記のとおり、前記ゴム組成物で構成されたタイヤ用部材は、例えば、タイヤ周方向の30℃における損失正接(30℃tanδa)及びタイヤ半径方向の30℃における損失正接(30℃tanδb)が「30℃tanδa/30℃tanδb≧1.00」を満たすもの、すなわち、第一の本発明のタイヤは、タイヤ周方向とタイヤ半径方向とで異なる物性を有するタイヤ用部材を備えたものであることが望ましいが、このようなタイヤ用部材は、例えば、各成分を含むゴム組成物を押出成形して有機繊維が押出方向に配向したものを作製し、タイヤに適用することで、物性の異方性を持つタイヤを製造できる。
なお、第一の本発明において、「タイヤ周方向」とは、タイヤの回転方向であり、「タイヤ半径方向」とは、タイヤ周方向に直交する方向である。
効果がより得られる観点から、前記ゴム組成物で構成されたタイヤ用部材は、ゴム成分100質量部に対する前記充填剤の含有量Fc(質量部)、タイヤ周方向の30℃における複素弾性率(30℃E*a(MPa))が、下記式を満たすことが望ましい。
Fc/30℃E*a≦6.00
Fc/30℃E*aは、好ましくは5.77以下、より好ましくは5.31以下、更に好ましくは5.27以下、より更に好ましくは5.20以下、より更に好ましくは4.25以下、より更に好ましくは3.10以下、より更に好ましくは3.03以下、特に好ましくは2.82以下である。下限は特に限定されないが、好ましくは1.50以上、より好ましくは1.80以上、更に好ましくは2.00以上、特に好ましくは2.20以上である。
タイヤ用部材としては特に限定されず、トレッド(キャップトレッド)、サイドウォール、ベーストレッド、ビードエイペックス、クリンチエイペックス、インナーライナー、アンダートレッド、ブレーカートッピング、プライトッピング等、任意のタイヤの各部材が挙げられる。なかでも、効果がより得られる観点から、サイドウォール、トレッドに適用することが好ましく、サイドウォールに適用することがより好ましい。
上記タイヤ用部材を備えたタイヤは、上記ゴム組成物を用いて通常の方法により製造される。すなわち、例えば、上記複合体、それ以外の材料を配合したゴム組成物を、未加硫の段階でタイヤ用部材の形状に合わせて押し出し加工し、他のタイヤ用部材とともに、タイヤ成型機上にて通常の方法で成形することにより、未加硫タイヤを形成した後、加硫機中で加熱加圧してタイヤを製造できる。
タイヤとしては、空気入りタイヤ、非空気入りタイヤなどが挙げられる。なかでも、空気入りタイヤが好ましい。例えば、夏用タイヤ(サマータイヤ)、冬用タイヤ(スタッドレスタイヤ、スノータイヤ、スタッドタイヤなど)として好適に使用できる。タイヤは、乗用車用タイヤ、大型乗用車用、大型SUV用タイヤ、トラック、バスなどの重荷重用タイヤ、ライトトラック用タイヤ、二輪自動車用タイヤ、レース用タイヤ(高性能タイヤ)などに使用可能である。
(第二の本発明)
次に、第二の本発明について説明する。
第二の本発明は、平均繊維径が10μm以下のミクロフィブリルセルロースと、カルボン酸及びカルボン酸無水物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物由来の部位を有するジエン系重合体とを含み、
前記ミクロフィブリルセルロースの平均繊維径A(μm)及び前記ジエン系重合体の数平均分子量Bが下記式を満たすマスターバッチであるので、該マスターバッチをゴム組成物に配合することで、補強性(破断強度、弾性率)及び低燃費性の総合性能を改善できる。
(A×B)/1000≦350
前記作用効果が得られるメカニズムは明らかではないが、以下のように推察される。
カルボン酸及びカルボン酸無水物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物由来の部位を有するジエン系重合体を配合すると、該ジエン系重合体中のカルボン酸及びカルボン酸無水物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物由来の部位がミクロフィブリルセルロース(例えば、ミクロフィブリルセルロース中のOH基)と相互作用して、エステル結合でカルボン酸及びカルボン酸無水物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物にミクロフィブリルセルロースが結合し、それによりミクロフィブリルセルロースが平均繊維径10μm以下という微細なミクロフィブリルセルロースであってもゴム中での分散性が向上し、補強性が向上すると考えられる。また、ゴムとミクロフィブリルセルロースとの結合が強固になり、ゴムの弾性が高まることで、発熱も抑制されるものと考えられる。
そして更に、ミクロフィブリルセルロースの平均繊維径とカルボン酸及びカルボン酸無水物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物由来の部位を有するジエン系重合体の数平均分子量との積が所定範囲となるように、当該ジエン系重合体として分子量の大きくないものを用いることで、そのようなジエン系重合体とミクロフィブリルセルロースとが複合化することでゴム中でのミクロフィブリルセルロースの凝集が抑えられ分散性が良化することにより、また、カルボン酸及びカルボン酸無水物の付与率が高くなりよりミクロフィブリルセルロースとゴムとの相互作用が高くなることにより、補強性及び低燃費性がより向上するものと考えられる。
また、上記以外としては、以下のようなメカニズムも推察される。
カルボン酸またはカルボン酸無水物の部位を有するジエン系重合体を配合すると、該ジエン系化合物とミクロフィブリルセルロース中の水酸基とが相互作用をする。更に、ミクロフィブリルセルロースの平均繊維径を10μm以下にすることで、ミクロフィブリルセルロースのゴム中への分散性が向上することから相互作用が起こりやすくなる。加えて、ミクロフィブリルセルロースの平均繊維径と該ジエン系重合体の数平均分子量との積を所定範囲とする、すなわち、該ジエン系重合体として分子量の大きくないものを用いることで、ミクロフィブリルセルロース表面の水酸基と相互作用できるカルボン酸またはカルボン酸無水物の割合が増加する。以上のことから、これらの全てを満たすことにより、ミクロフィブリルセルロースと該ジエン系重合体とが相互作用しやすくなり、ミクロフィブリルセルロースのゴム中への分散性が向上すると考えられる。
従って、第二の本発明により、補強性(破断強度、弾性率)及び低燃費性の総合性能を改善できるものと推察される。
〔マスターバッチ〕
第二の本発明のマスターバッチは、平均繊維径が10μm以下のミクロフィブリルセルロースと、カルボン酸及びカルボン酸無水物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物由来の部位を有するジエン系重合体とを含み、前記ミクロフィブリルセルロースの平均繊維径A(μm)及び前記ジエン系重合体の数平均分子量Bが下記式を満たす。
(A×B)/1000≦350
前記マスターバッチは、平均繊維径が10μm以下のミクロフィブリルセルロースを含む。
ミクロフィブリルセルロース(セルロースナノファイバー(CNF))は、植物繊維を機械的解繊等の処理を施すことで得られる繊維である。
植物繊維を解繊し、CNFを調製する方法としては、パルプ等のセルロース繊維含有材料を解繊する方法が挙げられる。解繊方法としては、例えば、セルロース繊維含有材料の水懸濁液又はスラリーを、リファイナー、高圧ホモジナイザー、グラインダー、一軸又は多軸混練機(好ましくは二軸混練機)、ビーズミル等による機械的な摩砕、叩解することにより解繊する方法が使用できる。
ミクロフィブリルセルロースの平均繊維径は、10μm以下である。該平均繊維径は、ゴムマトリックス中での分散性等の観点から、500nm以下が好ましく、100nm以下がより好ましく、50nm以下が更に好ましく、20nm以下がより更に好ましい。また、該平均繊維径の下限は特に制限されないが、1nm以上が好ましく、2nm以上がより好ましく、3nm以上が更に好ましい。
ミクロフィブリルセルロースの平均繊維長は、100nm以上が好ましく、300nm以上がより好ましく、500nm以上が更に好ましい。また、上限は、50μm以下が好ましく、10μm以下がより好ましい。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
ミクロフィブリルセルロースのアスペクト比(平均繊維長/平均繊維径)は、10以上が好ましく、15以上がより好ましく、20以上が更に好ましい。上限は特に限定されないが、1000以下が好ましく、700以下がより好ましく、500以下が更に好ましい。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
本明細書において、ミクロフィブリルセルロースの平均繊維径及び平均繊維長は、走査型電子顕微鏡写真による画像解析、透過型電子顕微鏡写真による画像解析、原子間力顕微鏡写真による画像解析、X線散乱データの解析、細孔電気抵抗法(コールター原理法)、レーザ回折/散乱式粒子径分布測定装置による測定等によって測定できる。
なお、本明細書において、ミクロフィブリルセルロースの平均繊維径、平均繊維長は、典型的には、セルロース分子の集合により形成されているミクロフィブリルセルロースの集合体の平均繊維径、平均繊維長である。
ミクロフィブリルセルロースの結晶化度は、通常、90%以下であり、80%以下や70%以下でもよい。該結晶化度の下限は、ゴムマトリックス中での分散性等の観点から、30%以上が好ましく、50%以上がより好ましく、60%以上が更に好ましい。
本明細書において、ミクロフィブリルセルロースの結晶化度は、X線回折法による回折強度値からSegal法により算出したセルロースI型結晶化度であり、下記式により定義される。
セルロースI型結晶化度(%)=[(I22.6-I18.5)/I22.6]×100
〔式中、I22.6は、X線回折における格子面(002面)(回折角2θ=22.6°)の回折強度、I18.5は、アモルファス部(回折角2θ=18.5°)の回折強度を示す。〕
ミクロフィブリルセルロースの原料(セルロース)としては、針葉樹クラフトパルプ、広葉樹クラフトパルプ、マニラ麻パルプ、サイザル麻パルプ、竹パルプ、エスパルトパルプ、コットンパルプなどから得られる植物由来セルロース、低酸溶紡糸による高重合度の再生セルロース(ポリノジックレーヨン)、アミン・オキサイド系有機溶剤を用いた溶剤紡糸レーヨンなどの再生セルロース、バクテリア産生セルロース、ホヤなどの動物由来セルロース、電界紡糸法によるナノセルロースなどが挙げられる。
植物由来セルロースからミクロフィブリルセルロースを製造する方法として、物理的方法と化学的方法がある。物理的方法(解繊)としては、高圧ホモジナイザー法、マイクロフリュイダイザー法、ボールミル粉砕法、グラインドミル粉砕法などが挙げられる。化学的方法としては、TEMPO酸化法などが挙げられる。
ミクロフィブリルセルロースとしては、リグニンやヘミセルロースが一部残存しているもの、表面を化学修飾処理したもの(修飾パルプ)なども使用できる。修飾パルプとしては、例えば、セルロース繊維の水酸基がエステル化及びエーテル化から選ばれる少なくとも1種の方法により修飾されたもの等が挙げられる。また、ミクロフィブリルセルロースの断面形状は、異方形状(扁平など)、等方形状(真円、正多角形など)のいずれでよい。
前記マスターバッチ100質量%中のミクロフィブリルセルロースの含有量は、10質量%以上であることが好ましく、15質量%以上であることがより好ましく、20質量%以上であることが更に好ましく、25質量%以上であることがより更に好ましく、30質量%以上であることがより更に好ましい。また、該ミクロフィブリルセルロースの含有量は、60質量%以下が好ましく、55質量%以下がより好ましく、50質量%以下が更に好ましく、45質量%以下がより更に好ましく、40質量%以下がより更に好ましい。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
前記マスターバッチ100質量%中のミクロフィブリルセルロースの含有量C(質量%)及びミクロフィブリルセルロースの平均繊維径A(μm)は下記式を満たすことが好ましい。
C/A≧3
C/Aは10以上がより好ましく、30以上が更に好ましく、60以上がより更に好ましく、100以上がより更に好ましく、500以上がより更に好ましく、1000以上がより更に好ましい。また、該C/Aは5000以下が好ましく、3000以下がより好ましく、2000以下が更に好ましく、1500以下がより更に好ましい。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
C/Aを上記範囲に調整することで、より良好な効果が得られるメカニズムは明らかではないが、カルボン酸またはカルボン酸無水物の部位を有するジエン系重合体を配合すると、該ジエン系化合物とミクロフィブリルセルロース中の水酸基とが相互作用をする。更に、ミクロフィブリルセルロースの平均繊維径を10μm以下にすることで、ミクロフィブリルセルロースのゴム中への分散性が向上することから相互作用が起こりやすくなる。またミクロフィブリルセルロースの平均繊維径と配合量を調整することで、ミクロフィブリルセルロース表面の水酸基と相互作用できるカルボン酸またはカルボン酸無水物の割合が増加し、マスターバッチ中のミクロフィブリルセルロースの凝集が抑えられると考えられる。
以上のことから、これらの全てを満たすことにより、ミクロフィブリルセルロースと該ジエン系重合体とが相互作用しやすくなることで補強性及び低燃費性がより向上すると推察される。
前記マスターバッチは、カルボン酸及びカルボン酸無水物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物由来の部位を有するジエン系重合体を含む。
カルボン酸及びカルボン酸無水物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物由来の部位を有するジエン系重合体とは、カルボン酸及びカルボン酸無水物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物で変性された変性ジエン系重合体である。なかでも、効果がより良好に得られるという観点から、カルボン酸及びカルボン酸無水物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物で変性された変性液状ジエン系重合体を好適に使用できる。これらは1種を単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。
前記カルボン酸としては、例えば、マレイン酸、フマル酸、コハク酸、フタル酸、グルタル酸、イタコン酸、アクリル酸、メタクリル酸などが例示される。また、前記カルボン酸無水物としては、例えば、無水マレイン酸、無水コハク酸、無水フタル酸、無水グルタル酸などが例示される。これらは1種を単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。
前記カルボン酸及びカルボン酸無水物としては、効果がより良好に得られるという観点から、マレイン酸、フマル酸、アクリル酸、無水マレイン酸が好ましく、マレイン酸、無水マレイン酸がより好ましく、無水マレイン酸が特に好ましい。
前記変性液状ジエン系重合体の骨格を構成する液状ジエン系重合体(常温(25℃)で液体状態のジエン系重合体)としては、共役ジエン系重合体などが望ましい。共役ジエン系重合体としては、主には、1,3-ブタジエン、イソプレン、1,3-ペンタジエン、2,3-ジメチル-1,3-ブタジエン、2-メチル-1,3-ペンタジエン、1,3-ヘキサジエン、2-メチル-1,3-ペンタジエン、4,5-ジエチル-1,3-オクタジエン、3-ブチル-1,3-オクタジエンなどの共役ジエンを含む単量体を重合して得られるジエン系重合体などが望ましい。
前記液状ジエン系重合体としては、例えば、液状ポリブタジエン、液状ポリイソプレン、液状スチレン-ブタジエンランダム共重合体、液状スチレン-ブタジエンブロック共重合体、液状ブタジエン-イソプレンランダム共重合体、液状ブタジエン-イソプレンブロック共重合体、液状スチレン-ブタジエン-イソプレンランダム共重合体、液状スチレン-ブタジエン-イソプレンブロック共重合体などが例示される。これらは1種を単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。なかでも、効果がより良好に得られるという観点から、液状ポリブタジエン(すなわち、カルボン酸及びカルボン酸無水物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物由来の部位を有するジエン系重合体として、該化合物で変性された変性液状ポリブタジエン)、液状ポリイソプレン(すなわち、カルボン酸及びカルボン酸無水物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物由来の部位を有するジエン系重合体として、該化合物で変性された変性液状ポリイソプレン)が好ましく、液状ポリイソプレンがより好ましい。
前記カルボン酸及びカルボン酸無水物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物由来の部位を有するジエン系重合体の数平均分子量(Mn)は、効果がより良好に得られるという観点から、1000以上が好ましく、2700以上がより好ましく、5000以上が更に好ましく、10000以上がより更に好ましい。また、該Mnは、70000以下が好ましく、50000以下がより好ましく、35000以下が更に好ましく、34000以下がより更に好ましい。
前記カルボン酸及びカルボン酸無水物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物で変性された変性ジエン系重合体は、原料となる未変性のジエン系重合体を該化合物で変性することにより製造できる。変性する方法は特に限定されず、例えば、原料となる未変性のジエン系重合体に該化合物を付加させる方法等、公知の方法で製造できる。
なお、前記カルボン酸及びカルボン酸無水物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物由来の部位を有するジエン系重合体としては、例えば、(株)クラレ、クレイバレー社等の製品を使用できる。
前記マスターバッチ100質量%中の前記カルボン酸及びカルボン酸無水物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物由来の部位を有するジエン系重合体の含有量は、10質量%以上であることが好ましく、20質量%以上であることがより好ましく、25質量%以上であることが更に好ましく、30質量%以上であることがより更に好ましく、35質量%以上であることがより更に好ましく、40質量%以上であることがより更に好ましい。また、該ジエン系重合体の含有量は、70質量%以下が好ましく、65質量%以下がより好ましく、60質量%以下が更に好ましく、55質量%以下がより更に好ましく、50質量%以下がより更に好ましい。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
前記ミクロフィブリルセルロースの平均繊維径A(μm)、並びに、前記カルボン酸及びカルボン酸無水物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物由来の部位を有するジエン系重合体の数平均分子量Bは下記式を満たす。
(A×B)/1000≦350
(A×B)/1000は、340以下が好ましく、300以下がより好ましく、150以下が更に好ましく、50以下がより更に好ましく、27以下がより更に好ましく、17以下がより更に好ましく、1以下がより更に好ましく、0.68以下がより更に好ましい。また、該(A×B)/1000は、0.001以上が好ましく、0.01以上がより好ましく、0.054以上が更に好ましい。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
前記マスターバッチは、上記成分(平均繊維径が10μm以下のミクロフィブリルセルロース、並びに、カルボン酸及びカルボン酸無水物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物由来の部位を有するジエン系重合体)以外に、例えば、マスターバッチをゴム組成物に配合した場合のゴムとの相溶性の観点から、可塑剤を含んでもよい。その他、充填剤、無機物、カップリング剤等を含んでもよい。
前記マスターバッチは、可塑剤を含むことが好ましい。
ここで、可塑剤とは、ゴム成分に可塑性を付与する材料であり、例えば、液体可塑剤(常温(25℃)で液体状態の可塑剤)、樹脂(常温(25℃)で固体状態の樹脂)等が挙げられる。なお、第二の本発明において、「可塑剤」は、前述の「カルボン酸及びカルボン酸無水物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物で変性された変性液状ジエン系重合体」を含まない概念とする。
前記マスターバッチ100質量%中の可塑剤の含有量(可塑剤の総量)は、10質量%以上であることが好ましく、15質量%以上であることがより好ましく、20質量%以上であることが更に好ましく、25質量%以上であることがより更に好ましく、30質量%以上であることがより更に好ましい。また、該可塑剤の含有量は、60質量%以下が好ましく、55質量%以下がより好ましく、50質量%以下が更に好ましく、45質量%以下がより更に好ましく、40質量%以下がより更に好ましい。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
液体可塑剤(常温(25℃)で液体状態の可塑剤)としては特に限定されず、オイル、液状ポリマー(液状樹脂、液状ポリマー、液状ジエン系ポリマー、液状ファルネセン系ポリマーなど)などが挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
前記マスターバッチ100質量%中の液体可塑剤の含有量は、10質量%以上であることが好ましく、15質量%以上であることがより好ましく、20質量%以上であることが更に好ましく、25質量%以上であることがより更に好ましく、30質量%以上であることがより更に好ましい。また、該可塑剤の含有量は、60質量%以下が好ましく、55質量%以下がより好ましく、50質量%以下が更に好ましく、45質量%以下がより更に好ましく、40質量%以下がより更に好ましい。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。なお、後述するオイル、液状樹脂、液状ポリマー、液状ジエン系ポリマー、液状ファルネセン系ポリマーの含有量も同様であることが望ましい。
オイルとしては、例えば、プロセスオイル、植物油、又はその混合物が挙げられる。プロセスオイルとしては、例えば、パラフィン系プロセスオイル、アロマ系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイルなどを用いることができる。植物油としては、ひまし油、綿実油、あまに油、なたね油、大豆油、パーム油、やし油、落花生油、ロジン、パインオイル、パインタール、トール油、コーン油、こめ油、べに花油、ごま油、オリーブ油、ひまわり油、パーム核油、椿油、ホホバ油、マカデミアナッツ油、桐油等が挙げられる。市販品としては、出光興産(株)、三共油化工業(株)、(株)ジャパンエナジー、オリソイ社、H&R社、豊国製油(株)、昭和シェル石油(株)、富士興産(株)、日清オイリオグループ(株)等の製品を使用できる。なかでも、プロセスオイル(パラフィン系プロセスオイル、アロマ系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイル等)、植物油が好ましく、植物油が特に好ましい。なお、これらのプロセスオイル及び植物油は、ライフサイクルアセスメントの観点から、ゴム混合用ミキサーやエンジンなどの潤滑油として用いられた後のオイルや廃食油などを適宜用いても良い。
液状樹脂としては、テルペン系樹脂(テルペンフェノール樹脂、芳香族変性テルペン樹脂を含む)、ロジン樹脂、スチレン系樹脂、C5系樹脂、C9系樹脂、C5/C9系樹脂、ジシクロペンタジエン(DCPD)樹脂、クマロンインデン系樹脂(クマロン、インデン単体樹脂を含む)、フェノール樹脂、オレフィン系樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂等が挙げられる。また、これらの水素添加物も使用可能である。
液状ポリマーとしては、液状ポリブテン、液状ポリイソブテン、液状ポリα-オレフィン、液状イソブチレン、液状エチレンα-オレフィン共重合体、液状エチレンプロピレン共重合体、液状エチレンブチレン共重合体等が挙げられる。なかでも、液状ポリブテンが好ましい。液状ポリブテンとしては、イソブテンを主体とし、更にノルマルブテンを反応させて得られる長鎖状炭化水素の分子構造を持った共重合体等が挙げられ、水素添加型液状ポリブテンも使用可能である。
液状ジエン系ポリマーとしては、25℃で液体状態の液状スチレンブタジエン共重合体(液状SBR)、液状ブタジエン重合体(液状BR)、液状イソプレン重合体(液状IR)、液状スチレンイソプレン共重合体(液状SIR)、液状スチレンブタジエンスチレンブロック共重合体(液状SBSブロックポリマー)、液状スチレンイソプレンスチレンブロック共重合体(液状SISブロックポリマー)等が挙げられる。これらは、末端や主鎖が極性基で変性されていても構わない。また、これらの水素添加物も使用可能である。
液状ジエン系ポリマーとしては、例えば、(株)クラレ、クレイバレー社等の製品を使用できる。
前記液状ジエン系ポリマーの数平均分子量(Mn)は、効果がより良好に得られるという観点から、1000以上が好ましく、2500以上がより好ましく、5000以上が更に好ましく、10000以上がより更に好ましい。また、該Mnは、70000以下が好ましく、50000以下がより好ましく、35000以下が更に好ましく、34000以下がより更に好ましい。
液状ファルネセン系ポリマーとしては、25℃で液体状態の液状ファルネセン重合体、液状ファルネセンブタジエン共重合体等が挙げられる。これらは、末端や主鎖が極性基で変性されていても構わない。また、これらの水素添加物も使用可能である。
前記樹脂(常温(25℃)で固体状態の樹脂)としては、例えば、常温(25℃)で固体状態の芳香族ビニル重合体、クマロンインデン樹脂、クマロン樹脂、インデン樹脂、フェノール樹脂、ロジン樹脂、石油樹脂、テルペン系樹脂、アクリル系樹脂などが挙げられる。また、樹脂は、水添されていてもよい。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。なかでも、芳香族ビニル重合体、石油樹脂、テルペン系樹脂が好ましい。
前記マスターバッチ100質量%中の樹脂の含有量は、10質量%以上であることが好ましく、15質量%以上であることがより好ましく、20質量%以上であることが更に好ましく、25質量%以上であることがより更に好ましく、30質量%以上であることがより更に好ましい。また、該可塑剤の含有量は、60質量%以下が好ましく、55質量%以下がより好ましく、50質量%以下が更に好ましく、45質量%以下がより更に好ましく、40質量%以下がより更に好ましい。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
前記樹脂の軟化点は、50℃以上が好ましく、55℃以上がより好ましく、60℃以上が更に好ましい。上限は、160℃以下が好ましく、150℃以下がより好ましく、145℃以下が更に好ましい。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
上記樹脂の軟化点は、JIS K6220-1:2001に規定される軟化点を環球式軟化点測定装置で測定し、球が降下した温度である。
なお、前記樹脂の軟化点は、通常、樹脂成分のガラス転移温度の50℃±5℃程度の値である。
前記芳香族ビニル重合体は、芳香族ビニルモノマーを構成単位として含むポリマーである。例えば、α-メチルスチレン及び/又はスチレンを重合して得られる樹脂が挙げられ、具体的には、スチレンの単独重合体(スチレン樹脂)、α-メチルスチレンの単独重合体(α-メチルスチレン樹脂)、α-メチルスチレンとスチレンとの共重合体、スチレンと他のモノマーの共重合体などが挙げられる。
前記クマロンインデン樹脂は、樹脂の骨格(主鎖)を構成する主なモノマー成分として、クマロン及びインデンを含む樹脂である。クマロン、インデン以外に骨格に含まれるモノマー成分としては、スチレン、α-メチルスチレン、メチルインデン、ビニルトルエンなどが挙げられる。
前記クマロン樹脂は、樹脂の骨格(主鎖)を構成する主なモノマー成分として、クマロンを含む樹脂である。
前記インデン樹脂は、樹脂の骨格(主鎖)を構成する主なモノマー成分として、インデンを含む樹脂である。
前記フェノール樹脂としては、例えば、フェノールと、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、フルフラールなどのアルデヒド類とを酸又はアルカリ触媒で反応させることにより得られるポリマー等の公知のものを使用できる。なかでも、酸触媒で反応させることにより得られるもの(ノボラック型フェノール樹脂など)が好ましい。
前記ロジン樹脂としては、天然ロジン、重合ロジン、変性ロジン、これらのエステル化合物、これらの水素添加物に代表されるロジン系樹脂等が挙げられる。
前記石油樹脂としては、C5系樹脂、C9系樹脂、C5/C9系樹脂、ジシクロペンタジエン(DCPD)樹脂、これらの水素添加物などが挙げられる。なかでも、DCPD樹脂、水添DCPD樹脂が好ましい。
前記テルペン系樹脂は、テルペンを構成単位として含むポリマーであり。例えば、テルペン化合物を重合して得られるポリテルペン樹脂、テルペン化合物と芳香族化合物とを重合して得られる芳香族変性テルペン樹脂などが挙げられる。芳香族変性テルペン樹脂としては、テルペン化合物及びフェノール系化合物を原料とするテルペンフェノール樹脂や、テルペン化合物及びスチレン系化合物を原料とするテルペンスチレン樹脂、テルペン化合物、フェノール系化合物及びスチレン系化合物を原料とするテルペンフェノールスチレン樹脂も使用できる。なお、テルペン化合物としては、α-ピネン、β-ピネンなど、フェノール系化合物としては、フェノール、ビスフェノールAなど、芳香族化合物としては、スチレン系化合物(スチレン、α-メチルスチレンなど)が挙げられる。
前記アクリル系樹脂は、アクリル系モノマーを構成単位として含むポリマーである。例えば、カルボキシル基を有し、芳香族ビニルモノマー成分とアクリル系モノマー成分とを共重合して得られる、スチレンアクリル樹脂等のスチレンアクリル系樹脂などが挙げられる。なかでも、無溶剤型カルボキシル基含有スチレンアクリル系樹脂を好適に使用できる。
可塑剤としては、例えば、丸善石油化学(株)、住友ベークライト(株)、ヤスハラケミカル(株)、東ソー(株)、RutgersChemicals社、BASF社、アリゾナケミカル社、日塗化学(株)、(株)日本触媒、ENEOS(株)、荒川化学工業(株)、田岡化学工業(株)等の製品を使用できる。
可塑剤としては、マスターバッチを配合するゴム組成物のゴム成分との相溶性の観点から、当該ゴム成分の種類によって好適なものを選択することが好ましい。具体的には、マスターバッチを配合するゴム組成物のゴム成分として、イソプレン系ゴムを用いる場合には、可塑剤として植物油を用いることが好ましい。また、マスターバッチを配合するゴム組成物のゴム成分として、ブチル系ゴムを用いる場合には、植物油、上記液状ポリマーや上記液状ジエン系ポリマーを用いることが好ましく、より好ましくは液状ポリマー、液状ジエン系ポリマー、更に好ましくは液状ポリブテン、液状ポリブタジエン、より更に好ましくは液状ポリブテンである。
前記マスターバッチは、平均粒子径が10nm以上2mm以下であることが好ましい。より好ましくは100nm以上、更に好ましくは500nm以上、より更に好ましくは1μm以上、より更に好ましくは10μm以上、より更に好ましくは50μm以上、より更に好ましくは70μm以上、より更に好ましくは90μm以上、より更に好ましくは95μm以上、より更に好ましくは100μm以上、より更に好ましくは110μm以上、より更に好ましくは120μm以上、より更に好ましくは300μm以上、より更に好ましくは500μm以上であり、また、より好ましくは1800μm以下、更に好ましくは1500μm以下、より更に好ましくは1200μm以下である。上記範囲内であると、ゴム中での分散が良好なものとなり、効果がより良好に得られる傾向がある。
なお、本明細書において、マスターバッチの平均粒子径の測定方法は、光学顕微鏡観察が用いられる。具体的には、少なくとも微粒子が100個以上観測されるように倍率を調整し、マスターバッチの粒子を光学顕微鏡で写真撮影する。粒子の形状が球形の場合には球の直径を粒子径とし、針状又は棒状の場合には短径を粒子径とし、不定型の場合には中心部からの平均粒径を粒子径とし、微粒子100個の粒径の平均値を平均粒子径とする。
前記マスターバッチは、かさ密度が0.50g/cm以上であることが好ましい。より好ましくは0.60g/cm以上、更に好ましくは0.65g/cm以上であり、また、好ましくは0.80g/cm以下、より好ましくは0.70g/cm以下、更に好ましくは0.68g/cm以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
なお、本明細書において、マスターバッチのかさ密度は、後述する実施例に記載の方法などにより測定することができる。
前記マスターバッチは、公知の方法を用いて製造でき、例えば、前述の各成分を混合する方法などにより製造できる。前述の各成分を混合する方法としては、例えば、高速ホモジナイザー、超音波ホモジナイザー、コロイドミル、ブレンダーミルなどの公知の撹拌装置を用いて、前記ミクロフィブリルセルロースの分散液と、前記カルボン酸及びカルボン酸無水物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物由来の部位を有するジエン系重合体と、必要に応じて前記可塑剤とを混合する方法などが挙げられる。マスターバッチを作製する際の温度や時間は、各成分が十分に混合するまで、適宜設定でき、例えば、10~40℃で3~120分が好ましく、15~30℃で5~90分がより好ましい。混合した後、公知の方法で乾燥させることで、マスターバッチが得られる。
前記ミクロフィブリルセルロースの分散液は、公知の方法で製造でき、例えば、高圧ホモジナイザー、超音波ホモジナイザー、コロイドミルなどの混合機を用いてミクロフィブリルセルロースを水中に分散させることで調製できる。調製の際の温度や時間は、分散状態を考慮し、適宜設定できる。ここで、分散液中のミクロフィブリルセルロースの含有量(固形分)は特に限定されないが、分散液(100質量%)中での均一分散性の点から、0.1~20質量%、好ましくは0.2~10質量%、より好ましくは0.3~5質量%である。
前記マスターバッチの製造方法としては、なかでも、前記ミクロフィブリルセルロースの分散液を疎水化剤と混合して脱水し、そこへ1-ブタノール等の有機溶媒を加えて分散させて、ミクロフィブリルセルロースの分散スラリーを調製してから、当該分散スラリーと、前記カルボン酸及びカルボン酸無水物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物由来の部位を有するジエン系重合体と、必要に応じて前記可塑剤とを混合する方法が好ましい。マスターバッチをこのような方法で製造することにより、ミクロフィブリルセルロースをよりゴム中に良好に分散することができる。上記脱水・分散の方法は、公知の方法により適宜設定することができる。
前記疎水化剤としては、有機酸アミンや脂肪酸アミン等が挙げられる。
〔ゴム組成物〕
第二の本発明のゴム組成物は、上記マスターバッチ及びゴム成分を含むゴム組成物である。
前記ゴム組成物において、上記マスターバッチの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは10質量部以上、より好ましくは20質量部以上、更に好ましくは30質量部以上、より更に好ましくは33.4質量部以上である。該含有量の上限は、好ましくは100質量部以下、より好ましくは70質量部以下、更に好ましくは55質量部以下、特に好ましくは50質量部以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
前記ゴム組成物において、上記マスターバッチに含まれるミクロフィブリルセルロースの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは5質量部以上、更に好ましくは10質量部以上である。該含有量の上限は、好ましくは30質量部以下、より好ましくは25質量部以下、更に好ましくは20質量部以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
ゴム成分の重量平均分子量は、好ましくは5万以上、より好ましくは15万以上、更に好ましくは20万以上であり、また、好ましくは200万以下、より好ましくは150万以下、更に好ましくは100万以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
ゴム成分としては特に限定されず、タイヤ分野で公知のものを使用できる。例えば、イソプレン系ゴム、ブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、スチレン-イソプレン-ブタジエン共重合ゴム(SIBR)等のジエン系ゴム、ブチル系ゴムが挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。なかでも、効果がより良好に得られる観点から、イソプレン系ゴム、BR、SBR、ブチル系ゴムのいずれかを用いることが好ましく、イソプレン系ゴム、ブチル系ゴムを用いることがより好ましい。
特に、前記ゴム組成物をサイドウォールに用いる場合には、イソプレン系ゴム、BR、SBRを用いることが好ましく、イソプレン系ゴムを用いることがより好ましい。また、前記ゴム組成物をインナーライナーに用いる場合には、ブチル系ゴムを用いることが好ましい。
イソプレン系ゴムとしては、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、改質NR、変性NR、変性IR等が挙げられる。NRとしては、例えば、SIR20、RSS♯3、TSR20等、タイヤ工業において一般的なものを使用できる。IRとしては、特に限定されず、例えば、IR2200等、タイヤ工業において一般的なものを使用できる。改質NRとしては、脱タンパク質天然ゴム(DPNR)、高純度天然ゴム(UPNR)等、変性NRとしては、エポキシ化天然ゴム(ENR)、水素添加天然ゴム(HNR)、グラフト化天然ゴム等、変性IRとしては、エポキシ化イソプレンゴム、水素添加イソプレンゴム、グラフト化イソプレンゴム等、が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、NRが好ましい。
前記ゴム組成物において、ゴム成分100質量%中、イソプレン系ゴムの含有量は、好ましくは5質量%以上、より好ましくは50質量%以上、更に好ましくは80質量%以上、特に好ましくは90質量%以上であり、100質量%でもよい。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
BRとしては特に限定されず、例えば、日本ゼオン(株)製のBR1220、宇部興産(株)製のBR150B、LG Chem社製のBR1280等の高シス含有量のBR、宇部興産(株)製のVCR412、VCR617等の1,2-シンジオタクチックポリブタジエン結晶(SPB)を含むBR、希土類元素系触媒を用いて合成されたブタジエンゴム(希土類系BR)等、タイヤ工業において一般的なものを使用できる。これらは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
BRのシス量(シス含量)は、好ましくは80質量%以上、より好ましくは85質量%以上、更に好ましくは90質量%以上であり、また、好ましくは99質量%以下、より好ましくは98質量%以下、更に好ましくは97質量%以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
なお、BRのシス量は、赤外吸収スペクトル分析法によって測定できる。
前記ゴム組成物がBRを含む場合、ゴム成分100質量%中、BRの含有量は、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは15質量%以上であり、また、好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下、更に好ましくは30質量%以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
SBRとしては特に限定されず、例えば、乳化重合スチレンブタジエンゴム(E-SBR)、溶液重合スチレンブタジエンゴム(S-SBR)等を使用できる。市販品としては、住友化学(株)、JSR(株)、旭化成(株)、日本ゼオン(株)等の製品が挙げられる。
SBRのスチレン含量は、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは15質量%以上、特に好ましくは20質量%以上である。該スチレン含量は、好ましくは50質量%以下、より好ましくは45質量%以下、更に好ましくは40質量%以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
なお、本明細書において、SBRのスチレン含量は、H-NMR測定により算出される。
SBRのビニル含量は、好ましくは10質量%以上、より好ましくは20質量%以上、更に好ましくは30質量%以上である。該ビニル含量は、好ましくは90質量%以下、より好ましくは80質量%以下、更に好ましくは70質量%以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
なお、本明細書において、SBRのビニル含量(1,2-結合ブタジエン単位量)は、赤外吸収スペクトル分析法によって測定できる。
前記ゴム組成物がSBRを含む場合、ゴム成分100質量%中、SBRの含有量は、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは15質量%以上であり、また、好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下、更に好ましくは30質量%以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
ブチル系ゴムとしては、臭素化ブチルゴム(BR-IIR)、塩素化ブチルゴム(Cl-IIR)などのハロゲン化ブチルゴム(X-IIR)、ブチルゴム(IIR)、イソブチレンとp-アルキルスチレンとの共重合体、該共重合体のハロゲン化物等が挙げられる。市販品としては、エクソンモービル社、JSR(株)、日本ブチル(株)等の製品を使用できる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、ハロゲン化ブチルゴムが好ましく、臭素化ブチルゴムがより好ましい。
前記ゴム組成物において、ゴム成分100質量%中、ブチル系ゴムの含有量は、好ましくは5質量%以上、より好ましくは50質量%以上、更に好ましくは80質量%以上、特に好ましくは90質量%以上であり、100質量%でもよい。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
ゴム成分は、オイル、樹脂、液状ゴムなどの可塑剤成分により伸展された伸展ゴムでもよい。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。伸展ゴムに使用される可塑剤は、前述で説明するものと同様のものが挙げられる。また、伸展ゴム中の可塑剤分は特に限定されないが、通常、ゴム固形分100質量部に対して10~50質量部程度である。
ゴム成分は、変性により、シリカ等の充填材と相互作用する官能基が導入されていてもよい。
上記官能基としては、例えば、ケイ素含有基(-SiR(Rは、同一又は異なって、水素、水酸基、炭化水素基、アルコキシ基など)、アミノ基、アミド基、イソシアネート基、イミノ基、イミダゾール基、ウレア基、エーテル基、カルボニル基、オキシカルボニル基、メルカプト基、スルフィド基、ジスルフィド基、スルホニル基、スルフィニル基、チオカルボニル基、アンモニウム基、イミド基、ヒドラゾ基、アゾ基、ジアゾ基、カルボキシル基、ニトリル基、ピリジル基、アルコキシ基、水酸基、オキシ基、エポキシ基等が挙げられる。なお、これらの官能基は、置換基を有していてもよい。なかでも、ケイ素含有基が好ましく、-SiR(Rは、同一又は異なって、水素、水酸基、炭化水素基(好ましくは炭素数1~6の炭化水素基(より好ましくは炭素数1~6のアルキル基))又はアルコキシ基(好ましくは炭素数1~6のアルコキシ基))であり、Rの少なくとも一つが水酸基)がより好ましい。
上記官能基を導入する化合物(変性剤)の具体例としては、2-ジメチルアミノエチルトリメトキシシラン、3-ジメチルアミノプロピルトリメトキシシラン、2-ジメチルアミノエチルトリエトキシシラン、3-ジメチルアミノプロピルトリエトキシシラン、2-ジエチルアミノエチルトリメトキシシラン、3-ジエチルアミノプロピルトリメトキシシラン、2-ジエチルアミノエチルトリエトキシシラン、3-ジエチルアミノプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
前記ゴム組成物は、充填剤を含んでもよい。
なお、第二の本発明において、「充填剤」は、前述の「ミクロフィブリルセルロース」を含まない概念とする。
前記ゴム組成物において、充填剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは10質量部以上、より好ましくは20質量部以上、更に好ましくは30質量部以上である。該含有量の上限は、好ましくは100質量部以下、より好ましくは70質量部以下、更に好ましくは55質量部以下、特に好ましくは50質量部以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
特に、前記ゴム組成物をサイドウォールに用いる場合には、充填剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは10質量部以上、より好ましくは20質量部以上、更に好ましくは30質量部以上であり、また、好ましくは70質量部以下、より好ましくは55質量部以下、更に好ましくは50質量部以下、より更に好ましくは40質量部以下である。
また、前記ゴム組成物をインナーライナーに用いる場合には、充填剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは20質量部以上、より好ましくは30質量部以上、更に好ましくは40質量部以上であり、また、好ましくは100質量部以下、より好ましくは70質量部以下、更に好ましくは55質量部以下、より更に好ましくは50質量部以下である。
充填剤としては、ゴム分野で公知の材料を使用でき、例えば、シリカ、カーボンブラック、炭酸カルシウム、タルク、アルミナ、クレイ、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、マイカなどの無機フィラー、バイオ炭(BIO CHAR)などが挙げられる。なかでも、効果がより良好に得られる観点から、カーボンブラック、シリカが好ましく、カーボンブラックがより好ましい。
カーボンブラックとしては、特に限定されないが、N134、N110、N220、N234、N219、N339、N330、N326、N351、N550、N660、N762等が挙げられる。市販品としては、旭カーボン(株)、キャボットジャパン(株)、東海カーボン(株)、三菱化学(株)、ライオン(株)、新日化カーボン(株)、コロンビアカーボン社等の製品を使用できる。また、上記の鉱油等を原料としたカーボンブラック以外にリグニンなどのバイオマス材料を原料としたカーボンブラックを用いても良い。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
カーボンブラックの窒素吸着比表面積(NSA)は、10m/g以上が好ましく、15m/g以上がより好ましく、20m/g以上が更に好ましく、35m/g以上がより更に好ましく、42m/g以上がより更に好ましい。また、上記NSAは、100m/g以下が好ましく、80m/g以下がより好ましく、60m/g以下が更に好ましく、50m/g以下が特に好ましい。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
なお、カーボンブラックの窒素吸着比表面積は、JIS K6217-2:2001によって求められる。
特に、前記ゴム組成物をサイドウォールに用いる場合には、カーボンブラックの窒素吸着比表面積(NSA)は、10m/g以上が好ましく、15m/g以上がより好ましく、20m/g以上が更に好ましく、35m/g以上がより更に好ましく、42m/g以上がより更に好ましい。また、上記NSAは、100m/g以下が好ましく、80m/g以下がより好ましく、60m/g以下が更に好ましく、50m/g以下が特に好ましい。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
また、前記ゴム組成物をインナーライナーに用いる場合には、カーボンブラックの窒素吸着比表面積(NSA)は、10m/g以上が好ましく、15m/g以上がより好ましく、20m/g以上が更に好ましく、35m/g以上がより更に好ましい。また、上記NSAは、100m/g以下が好ましく、80m/g以下がより好ましく、60m/g以下が更に好ましく、50m/g以下がより更に好ましく、40m/g以下が特に好ましい。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
前記ゴム組成物において、カーボンブラックの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは10質量部以上、より好ましくは20質量部以上、更に好ましくは30質量部以上である。該含有量の上限は、好ましくは100質量部以下、より好ましくは70質量部以下、更に好ましくは55質量部以下、より更に好ましくは50質量部以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
特に、前記ゴム組成物をサイドウォールに用いる場合には、カーボンブラックの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは10質量部以上、より好ましくは20質量部以上、更に好ましくは30質量部以上であり、また、好ましくは70質量部以下、より好ましくは55質量部以下、更に好ましくは50質量部以下、より更に好ましくは40質量部以下である。
また、前記ゴム組成物をインナーライナーに用いる場合には、カーボンブラックの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは20質量部以上、より好ましくは30質量部以上、更に好ましくは40質量部以上であり、また、好ましくは100質量部以下、より好ましくは70質量部以下、更に好ましくは55質量部以下、より更に好ましくは50質量部以下である。
シリカとしては、乾式法シリカ(無水シリカ)、湿式法シリカ(含水シリカ)などが挙げられる。なかでも、シラノール基が多いという理由から、湿式法シリカが好ましい。市販品としては、デグッサ社、ローディア社、東ソー・シリカ(株)、ソルベイジャパン(株)、(株)トクヤマ等の製品を使用できる。また、シリカとして、もみ殻などのバイオマス材料を原料としたものも使用できる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
シリカの窒素吸着比表面積(NSA)は、好ましくは50m/g以上、より好ましくは100m/g以上、更に好ましくは150m/g以上、特に好ましくは170m/g以上である。また、シリカのNSAの上限は特に限定されないが、好ましくは350m/g以下、より好ましくは300m/g以下、更に好ましくは250m/g以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
なお、シリカのNSAは、ASTM D3037-93に準じてBET法で測定される値である。
シリカの平均粒子径は、好ましくは24nm以下、より好ましくは20nm以下、更に好ましくは18nm以下であり、また、好ましくは6nm以上、より好ましくは9nm以上、更に好ましくは12nm以上である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
前記ゴム組成物がシリカを含む場合、シリカの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは10質量部以上、より好ましくは30質量部以上、更に好ましくは50質量部以上である。該含有量の上限は、好ましくは120質量部以下、より好ましくは100質量部以下、更に好ましくは80質量部以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
前記ゴム組成物がシリカを含む場合、更にシランカップリング剤を含むことが好ましい。
シランカップリング剤としては、特に限定されず、ゴム分野で公知のものが使用可能であり、例えば、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2-トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(4-トリエトキシシリルブチル)テトラスルフィド、ビス(3-トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2-トリメトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(2-トリエトキシシリルエチル)トリスルフィド、ビス(4-トリメトキシシリルブチル)トリスルフィド、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2-トリエトキシシリルエチル)ジスルフィド、ビス(4-トリエトキシシリルブチル)ジスルフィド、ビス(3-トリメトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2-トリメトキシシリルエチル)ジスルフィド、ビス(4-トリメトキシシリルブチル)ジスルフィド、3-トリメトキシシリルプロピル-N,N-ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、2-トリエトキシシリルエチル-N,N-ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3-トリエトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィド、などのスルフィド系、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、2-メルカプトエチルトリエトキシシラン、Momentive社製のNXT、NXT-Zなどのメルカプト系、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシランなどのビニル系、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシランなどのアミノ系、γ-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、などのグリシドキシ系、3-ニトロプロピルトリメトキシシラン、3-ニトロプロピルトリエトキシシランなどのニトロ系、3-クロロプロピルトリメトキシシラン、3-クロロプロピルトリエトキシシランなどのクロロ系などがあげられる。市販品としては、デグッサ社、Momentive社、信越シリコーン(株)、東京化成工業(株)、アヅマックス(株)、東レ・ダウコーニング(株)等の製品を使用できる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
前記ゴム組成物において、シランカップリング剤の含有量は、シリカ100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは3質量部以上、更に好ましくは5質量部以上、特に好ましくは7質量部以上である。該含有量の上限は、好ましくは50質量部以下、より好ましくは20質量部以下、更に好ましくは15質量部以下、特に好ましくは10質量部以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
前記ゴム組成物は、前記マスターバッチに可塑剤が含まれているか否かに関わらず、それとは別に可塑剤を配合してもよい。当該可塑剤としては、前記マスターバッチに配合できる可塑剤と同様のものを用いることができる。
特に、前記ゴム組成物をインナーライナーに用いる場合には、別途可塑剤として前記樹脂を配合することが好ましい。当該樹脂としては、石油樹脂がより好ましく、C5系樹脂、C9系樹脂、C5/C9系樹脂が更に好ましく、C5/C9系樹脂が特に好ましい。
前記ゴム組成物において、可塑剤の含有量(マスターバッチに含まれる可塑剤と別途ゴム組成物に配合される可塑剤の合計含有量)は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは5質量部以上、より好ましくは8質量部以上、更に好ましくは10質量部以上、より更に好ましくは13質量部以上であり、また、好ましくは63質量部以下、より好ましくは53質量部以下、更に好ましくは43質量部以下、より更に好ましくは40質量部以下、より更に好ましくは33質量部以下、より更に好ましくは30質量部以下、より更に好ましくは23質量部以下、より更に好ましくは20質量部以下、より更に好ましくは17質量部以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。なお、伸展ゴムに用いられた可塑剤成分量も、これらの可塑剤の含有量に含まれる。
前記ゴム組成物は、老化防止剤を含有してもよい。
老化防止剤としては、例えば、フェニル-α-ナフチルアミン等のナフチルアミン系老化防止剤;オクチル化ジフェニルアミン、4,4′-ビス(α,α′-ジメチルベンジル)ジフェニルアミン等のジフェニルアミン系老化防止剤;N-イソプロピル-N′-フェニル-p-フェニレンジアミン、N-(1,3-ジメチルブチル)-N′-フェニル-p-フェニレンジアミン、N,N′-ジ-2-ナフチル-p-フェニレンジアミン等のp-フェニレンジアミン系老化防止剤;2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリンの重合物等のキノリン系老化防止剤;2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール、スチレン化フェノール等のモノフェノール系老化防止剤;テトラキス-[メチレン-3-(3′,5′-ジ-t-ブチル-4′-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン等のビス、トリス、ポリフェノール系老化防止剤等が挙げられる。市販品としては、精工化学(株)、住友化学(株)、大内新興化学工業(株)、フレクシス社等の製品を使用できる。これらは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記ゴム組成物において、老化防止剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは2質量部以上、更に好ましくは2.5質量部以上、より更に好ましくは3質量部以上であり、また、好ましくは10質量部以下、より好ましくは6質量部以下、更に好ましくは5質量部以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
前記ゴム組成物は、ワックスを含有してもよい。
ワックスとしては、特に限定されず、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス等の石油系ワックス;植物系ワックス、動物系ワックス等の天然系ワックス;エチレン、プロピレン等の重合物等の合成ワックス等が挙げられる。市販品としては、大内新興化学工業(株)、日本精蝋(株)、精工化学(株)等の製品を使用できる。これらは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記ゴム組成物において、ワックスの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは2質量部以上であり、また、好ましくは10質量部以下、より好ましくは6質量部以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
前記ゴム組成物は、ステアリン酸を含有してもよい。
ステアリン酸としては、従来公知のものを使用でき、市販品としては、日油(株)、花王(株)、富士フイルム和光純薬(株)、千葉脂肪酸(株)等の製品を使用できる。これらは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記ゴム組成物において、ステアリン酸の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは2質量部以上であり、また、好ましくは10質量部以下、より好ましくは6質量部以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
前記ゴム組成物は、硫黄を含有してもよい。
硫黄としては、ゴム工業において一般的に架橋剤として用いられる粉末硫黄、沈降硫黄、コロイド硫黄、不溶性硫黄、高分散性硫黄、可溶性硫黄等が挙げられる。市販品としては、鶴見化学工業(株)、軽井沢硫黄(株)、四国化成工業(株)、フレクシス社、日本乾溜工業(株)、細井化学工業(株)等の製品を使用できる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
前記ゴム組成物において、硫黄の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは1.0質量部以上、更に好ましくは1.5質量部以上、より更に好ましくは1.8質量部以上であり、また、好ましくは3.5質量部以下、より好ましくは2.8質量部以下、更に好ましくは2.5質量部以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
前記ゴム組成物は、加硫促進剤を含有してもよい。
加硫促進剤としては、2-メルカプトベンゾチアゾール、ジ-2-ベンゾチアゾリルジスルフィド等のチアゾール系加硫促進剤;テトラメチルチウラムジスルフィド(TMTD)、テトラキス(2-エチルヘキシル)チウラムジスルフィド(TOT-N)等のチウラム系加硫促進剤;N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアジルスルフェンアミド(CBS)、N-tert-ブチル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(TBBS)、N-オキシエチレン-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N,N′-ジイソプロピル-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド等のスルフェンアミド系加硫促進剤;ジフェニルグアニジン、ジオルトトリルグアニジン、オルトトリルビグアニジン等のグアニジン系加硫促進剤を挙げることができる。市販品としては、住友化学(株)、大内新興化学工業(株)等の製品を使用できる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
前記ゴム組成物において、加硫促進剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは0.8質量部以上、更に好ましくは1.0質量部以上であり、また、好ましくは10質量部以下、より好ましくは8質量部以下、更に好ましくは7質量部以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
前記ゴム組成物には、上記成分の他、タイヤ工業において一般的に用いられている添加剤、例えば、酸化亜鉛、有機過酸化物等を更に配合してもよい。これらの添加剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、0.1~200質量部が好ましい。
前記ゴム組成物は、公知の方法を用いて製造でき、例えば、前述の各成分をオープンロール、バンバリーミキサーなどのゴム混練装置を用いて混練し、その後加硫する方法などにより製造できる。
混練条件としては、加硫剤及び加硫促進剤以外の添加剤を混練するベース練り工程では、混練温度は、通常50~200℃、好ましくは80~190℃であり、混練時間は、通常30秒~30分、好ましくは1分~30分である。加硫剤、加硫促進剤を混練する仕上げ練り工程では、混練温度は、通常100℃以下、好ましくは室温~80℃である。また、加硫剤、加硫促進剤を混練した組成物は、通常、プレス加硫などの加硫処理が施される。加硫温度としては、通常120~200℃、好ましくは140~180℃である。
〔タイヤ〕
第二の本発明のタイヤは、上記ゴム組成物を用いて通常の方法で製造される。すなわち、上記ゴム組成物を、未加硫の段階でタイヤ用部材の形状に合わせて押し出し加工し、他のタイヤ用部材とともに、タイヤ成型機上にて通常の方法で成形することにより、未加硫タイヤを形成した後、加硫機中で加熱加圧してタイヤを製造できる。
タイヤ用部材としては特に限定されず、トレッド(キャップトレッド)、サイドウォール、ベーストレッド、ビードエイペックス、クリンチエイペックス、インナーライナー、アンダートレッド、ブレーカートッピング、プライトッピング等、任意のタイヤの各部材が挙げられる。なかでも、効果がより良好に得られる観点から、サイドウォール、トレッド、インナーライナーに適用することが好ましく、サイドウォール、インナーライナーに適用することがより好ましい。
タイヤとしては、空気入りタイヤ、非空気入りタイヤなどが挙げられる。なかでも、空気入りタイヤが好ましい。例えば、夏用タイヤ(サマータイヤ)、冬用タイヤ(スタッドレスタイヤ、スノータイヤ、スタッドタイヤなど)として好適に使用できる。タイヤは、乗用車用タイヤ、大型乗用車用、大型SUV用タイヤ、トラック、バスなどの重荷重用タイヤ、ライトトラック用タイヤ、二輪自動車用タイヤ、レース用タイヤ(高性能タイヤ)などに使用可能である。
実施例に基づいて、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。
以下、第一の本発明に係る実施例及び比較例で使用する、ミクロフィブリル化植物繊維分散液(CNF水分散液)の調製、CNF含有混合物の調製、CNF含有複合体の調製で使用した各種薬品について、まとめて説明する。
ミクロフィブリル化植物繊維:(株)スギノマシン製のバイオマスナノファイバー(製品名「BiNFi-s セルロース」、固形分2質量%、水分98質量%、平均繊維径20~50nm、平均繊維長500~1000nm、結晶化度70%)
TEMPO:2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシル
臭化ナトリウム:富士フイルム和光純薬(株)製
次亜塩素酸ナトリウム:東京化成工業(株)製
NaOH:富士フイルム和光純薬(株)製のNaOH
スチレンマレイン酸共重合体1:第一工業製薬社製のDKSディスコートN-10(下記式で示されるポリマーを含む組成物、下記式で示されるポリマーの含有率:約30%)
Figure 2024061608000001

スチレンマレイン酸共重合体2:第一工業製薬社製のDKSディスコートN-15(下記式で示されるポリマーを含む組成物、下記式で示されるポリマーの含有率:約29%)
Figure 2024061608000002
(R:アルキル基)
変性液状ポリイソプレン:クラレ社製LIR-403(無水マレイン酸変性液状ポリイソプレン、Mn=34000)
オイル:日清オイリオ(株)製キャノーラ油
天然ゴムラテックス:Muhibbah LATEKS社から入手したフィールドラテックス
BRラテックス:下記方法で調製
なお、BRラテックスは以下の方法で調製する。使用した薬品を以下に示す。
水:蒸留水
乳化剤(1):ハリマ化成(株)製のロジン酸石鹸
乳化剤(2):和光純薬工業(株)製の脂肪酸石鹸
電解質:和光純薬工業(株)製のリン酸ナトリウム
ブタジエン:高千穂化学工業(株)製の1,3-ブタジエン
分子量調整剤:和光純薬工業(株)製のtert-ドデシルメルカプタン
ラジカル開始剤:日油(株)製のパラメンタンヒドロペルオキシド
SFS:和光純薬工業(株)製のソディウム・ホルムアルデヒド・スルホキシレート
EDTA:和光純薬工業(株)製のエチレンジアミン四酢酸ナトリウム
触媒:和光純薬工業(株)製の硫酸第二鉄
重合停止剤:和光純薬工業(株)製のN,N’-ジメチルジチオカルバメート
(ブタジエンゴムラテックスの調製)
表1の仕込み組成に従い、撹拌機付き耐圧反応器に水、乳化剤(1)、乳化剤(2)、電解質、ブタジエン及び分子量調整剤を仕込む。反応器温度を5℃とし、ラジカル開始剤及びSFSを溶解した水溶液と、EDTA及び触媒を溶解した水溶液とを反応器に添加して重合を開始する。重合開始から5時間後、重合停止剤を添加して反応を停止させ、ブタジエンゴムラテックスを得る。
(ミクロフィブリル化植物繊維分散液(CNF水分散液)の調製)
ミクロフィブリル化植物繊維10g、TEMPO150mg、臭化ナトリウム1000mgを水1000mlに分散させた後、15質量%次亜塩素酸ナトリウム水溶液を、1gのミクロフィブリル化植物繊維(絶乾)に対して次亜塩素酸ナトリウムの量が5mmolとなるように加えて反応を開始する。反応中は3MのNaOH水溶液を滴下してpHを10.0に保つ。pHに変化が見られなくなった時点で反応終了とみなし、反応物をガラスフィルターにてろ過した後、十分な量の水による水洗、ろ過を5回繰り返し、固形分量15質量%の水を含浸させた反応物繊維を得る。更にそれを希釈して1質量%のCNF水分散液を得る。
(CNF含有混合物の調製)
上記1質量%のCNF水分散液に、表2の配合処方に従ってスチレンマレイン酸共重合体1又は2、変性液状ポリイソプレン、オイルを所定量添加し、高速ホモジナイザーを用いて室温(20~30℃)で5分間攪拌して、CNF含有混合物(混合液)を得る。
(CNF含有複合体の調製)
上記CNF含有混合物と、天然ゴムラテックス(NRラテックス)、ブタジエンゴムラテックス(BRラテックス)とを、表3の配合処方(ゴム固形分100質量部に対してCNF(固形分)10質量部)に従って混合し、高速ホモジナイザーを用いて室温で5分攪拌し、pH10.2の配合ラテックスを得る。次いで、室温下で2質量%ギ酸水溶液を加え、pH3~4に調整し、凝固物を得る。当該凝固物をろ過し、乾燥してCNF含有複合体(マスターバッチ)を得る。
なお、表2のCNF含有混合物1、2、3、4、5、6、7、8、9を、それぞれ表3の実施例1、2、3、4、5、6、7、8、比較例1においてマスターバッチ(MB1、2、3、4、5、6、7、8、9)の作製に用いる。
以下、第一の本発明に係る実施例及び比較例の試験用タイヤの製造で使用する各種薬品について、まとめて説明する。
各CNF含有複合体(MB1~MB9):前記CNF含有複合体の調製で製造
カーボンブラック:キャボットジャパン(株)製のショウブラックN550(NSA:42m/g)
シリカ:デグッサ社製のUltrasil VN3(NSA:175m/g、平均粒子径:18nm)
シランカップリング剤:デグッサ社製のSi69(ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド)
老化防止剤:精工化学(株)製のオゾノン6C(N-(1,3-ジメチルブチル)-N’-フェニル-p-フェニレンジアミン)
ワックス:日本精蝋(株)製のオゾエース0355
ステアリン酸:日油(株)製のステアリン酸「椿」
酸化亜鉛:三井金属鉱業(株)製の亜鉛華1号
硫黄:鶴見化学工業(株)製の粉末硫黄
加硫促進剤:大内新興化学工業(株)製のノクセラーNS(N-tert-ブチル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド)
<試験用タイヤの製造>
表3に示す配合内容に従い、(株)神戸製鋼所製の1.7Lバンバリーミキサーを用いて、硫黄及び加硫促進剤以外の材料を150℃の条件下で5分間混練りし、混練り物を得る。次に、当該混練り物に硫黄及び加硫促進剤を添加し、オープンロールを用いて、80℃の条件下で5分間練り込み、未加硫ゴム組成物を得る。当該未加硫ゴム組成物をサイドウォールの形状に成形し、他のタイヤ用部材とともに貼り合わせて未加硫タイヤを形成し、150℃の条件下で12分間プレス加硫し、試験用タイヤ(サイズ:175/60R18)を製造する。
得られる試験用タイヤを用いて下記評価を検討し、結果を表3に示す。
なお、基準比較例は、比較例1とする。
<粘弾性試験>
各試験用タイヤのサイドウォールのゴム層内部からタイヤ周方向及びタイヤ半径方向が長辺となる様に長さ40mm×幅3mm×厚さ0.5mmの粘弾性測定サンプルをそれぞれ採取し、各サンプルの30℃tanδa(タイヤ周方向)及び30℃E*a(タイヤ周方向)、30℃tanδb(タイヤ半径方向)を、TAインスツルメント社製のRSAシリーズを用いて、温度30℃、初期歪10%、動歪1%、周波数10Hz、伸長モードの条件下で測定する。
<高速走行時の操縦安定性>
上記試験用タイヤを全輪に装着した車両で、ドライ路面のテストコースを走行するタイムアタックを5回行い、ベストタイムを測定する。測定値から、市販のタイヤを用いた場合のタイム(最も遅いタイム)に対する短縮時間を算出し、基準比較例を100として指数表示する。指数が大きいほど、短縮時間が大きく(ベストタイムが短く)、高速走行時の操縦安定性(ドライ操縦安定性)に優れることを示す。
<低燃費性>
転がり抵抗試験機を用い、各試験用タイヤを時速80kmで走行させたときの転がり抵抗を測定し、基準比較例を100として指数表示する。指数が大きいほど、転がり抵抗が小さく、低燃費性が良好であることを示す。
<総合性能>
前記高速走行時の操縦安定性の評価、前記低燃費性の評価で得られる2つの指数の合計により、高速走行時の操縦安定性及び低燃費性の総合性能を評価する。数値が大きいほど、総合性能が良好である。
Figure 2024061608000003
Figure 2024061608000004
Figure 2024061608000005
以下、第二の本発明に係る実施例及び比較例で使用する、ミクロフィブリルセルロース分散液(CNF水分散液)の調製、マスターバッチの調製で使用する各種薬品について、まとめて説明する。
ミクロフィブリルセルロース1:スギノマシン社製の製品名「BinFis」、固形分5質量%、水分95質量%
ミクロフィブリルセルロース2:スギノマシン社製の製品名「BinFis」、固形分5質量%、水分95質量%
ミクロフィブリルセルロース3:富士フイルム和光純薬社製のセルロース、粉末、38μm(400メッシュ)を通過したもの
ミクロフィブリルセルロース4:富士フイルム和光純薬社製のセルロース、粉末、38μm(400メッシュ)を通過したもの
TEMPO:2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシル
臭化ナトリウム:富士フイルム和光純薬(株)製
次亜塩素酸ナトリウム:東京化成工業(株)製
NaOH:富士フイルム和光純薬(株)製のNaOH
疎水化剤:キレスト社製の製品名「キレスライトCW」
変性液状ポリイソプレン:クラレ社製LIR-403(無水マレイン酸変性液状ポリイソプレン、Mn=34000)
変性液状ポリブタジエン:クレイバレー社製Ricon130MA8(無水マレイン酸変性液状ポリブタジエン、Mn=2700)
液状ポリブテン:ENEOS(株)製HV-300
液状ポリブタジエン:クレイバレー社製Ricon130(Mn=2500)
オイル:日清オイリオ(株)製キャノーラ油
(ミクロフィブリルセルロースの解繊)
一般的に、ミクロフィブリルセルロースの解繊は、高圧ホモジナイザー、マイクロフリュイダイザー、ボールミル、ディスクミル、ミキサー(例えばホモミキサー)等の乾式又は湿式の微細化法により解繊する。解繊する時間やパス数によって平均繊維径の異なるミクロフィブリルセルロースが得られる。上記操作により、平均繊維径0.02μmのミクロフィブリルセルロース1、平均繊維径0.5μmのミクロフィブリルセルロース2、平均繊維径10μmのミクロフィブリルセルロース3、および、平均繊維径20μmのミクロフィブリルセルロース4を得る。
なお、ミクロフィブリルセルロースの平均繊維径は、HORIBA社製の「レーザ回折/散乱式粒子径分布測定装置LA-950」を用いて、セルロースの屈性率1.48にて測定する。
(ミクロフィブリルセルロース分散液1(CNF水分散液1)の調製)
ミクロフィブリルセルロース1を10g、TEMPOを150mg、臭化ナトリウムを1000mg、水1000mlに分散させた後、15質量%次亜塩素酸ナトリウム水溶液を、1gのミクロフィブリルセルロース(絶乾)に対して次亜塩素酸ナトリウムの量が5mmolとなるように加えて反応を開始する。反応中は3MのNaOH水溶液を滴下してpHを10.0に保つ。pHに変化が見られなくなった時点で反応終了とみなし、反応物をガラスフィルターにてろ過した後、十分な量の水による水洗、ろ過を5回繰り返し、固形分量15質量%の水を含浸させた反応物繊維を得る。更にそれを希釈して1質量%のCNF水分散液1を得る。
(ミクロフィブリルセルロース分散液2(CNF水分散液2)の調製)
ミクロフィブリルセルロース2を用いる以外は、CNF水分散液1の調製と同様にして、1質量%のCNF水分散液2を得る。
(ミクロフィブリルセルロース分散液3(CNF水分散液3)の調製)
ミクロフィブリルセルロース3を用いる以外は、CNF水分散液1の調製と同様にして、1質量%のCNF水分散液3を得る。
(ミクロフィブリルセルロース分散液4(CNF水分散液4)の調製)
ミクロフィブリルセルロース4を用いる以外は、CNF水分散液1の調製と同様にして、1質量%のCNF水分散液4を得る。
(マスターバッチの調製)
上記1質量%のCNF水分散液1000mlと疎水化剤5gとを混合して脱水する。そこへ1-ブタノール500mlを加えて高速ホモジナイザーを用いて室温(20~30℃)で5分間攪拌して分散させ、更に脱水し、CNF分散スラリーを得る。CNF分散スラリーに、表4の配合処方に従って各種薬品を所定量添加し、高速ホモジナイザーを用いて室温(20~30℃)で5分間攪拌し、乾燥して、マスターバッチを得る。
得られたマスターバッチについて、下記測定を行い、結果を表4に示す。
(マスターバッチの平均粒子径)
光学顕微鏡観察(キーエンス社製VHX-7000)により平均粒子径を測定する。少なくともマスターバッチの微粒子が100個以上観測されるように倍率を調整し、粒子の形状が球形の場合には球の直径を粒子径とし、針状又は棒状の場合には短径を粒子径とし、不定型の場合には中心部からの平均粒径を粒子径とし、微粒子100個の粒径の平均値を平均粒子径とする。
(マスターバッチのかさ密度)
内容量が50mlの容器にマスターバッチを擦切りまで加え、重量aを測定する。その後、該容器に水を擦切りいっぱいまで加えて重量bを測定する。そして、重量bに対する重量aの比(a/b)を算出し、かさ密度とする。
Figure 2024061608000006
<サイドウォール>
以下、第二の本発明に係る実施例及び比較例の試験用タイヤの製造で使用する各種薬品について、まとめて説明する。
各マスターバッチ(MB1-1~MB1-10):前記マスターバッチの調製で製造
NR:TSR20
カーボンブラックN550:キャボットジャパン(株)製のショウブラックN550(NSA:42m/g)
老化防止剤:精工化学(株)製のオゾノン6C(N-(1,3-ジメチルブチル)-N’-フェニル-p-フェニレンジアミン)
ステアリン酸:日油(株)製のステアリン酸「椿」
酸化亜鉛:三井金属鉱業(株)製の亜鉛華1号
硫黄:鶴見化学工業(株)製の粉末硫黄
加硫促進剤:大内新興化学工業(株)製のノクセラーNS(N-tert-ブチル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド)
(試験用タイヤの製造)
表5に示す配合内容に従い、(株)神戸製鋼所製の1.7Lバンバリーミキサーを用いて、硫黄及び加硫促進剤以外の材料を150℃の条件下で5分間混練りし、混練り物を得る。次に、当該混練り物に硫黄及び加硫促進剤を添加し、オープンロールを用いて、80℃の条件下で5分間練り込み、未加硫ゴム組成物を得る。当該未加硫ゴム組成物を170℃で12分間、2mm厚の金型プレス加硫し、加硫ゴム組成物を得る。また、当該未加硫ゴム組成物をサイドウォールの形状に成形し、他のタイヤ用部材とともに貼り合わせて未加硫タイヤを形成し、150℃の条件下で12分間プレス加硫し、試験用タイヤ(サイズ:175/60R18)を製造する。
上記加硫ゴム組成物、試験用タイヤを用いて下記評価を行い、結果を表5に示す。
なお、基準比較例は、比較例1-3とする。
(破断強度)
加硫ゴム組成物を用いて3号ダンベル型ゴム試験片を作製し、JIS K6251「加硫ゴム及び熱可塑性ゴム-引張特性の求め方」に準じて引張試験を行い、破断強度を測定する。基準比較例のゴム試験片(基準試験片)の破断強度指数を100とし、下記計算式により、各配合の破断強度を指数表示する。破断強度指数が大きいほど破断強度が大きく補強性に優れることを示す。
(破断強度指数)=(各配合の破断強度)/(基準比較例の破断強度)×100
(弾性率)
厚みが2mmの加硫ゴム組成物シートを用いて、弾性率を測定する。具体的には、厚みが2mmの加硫ゴム組成物シートを測定温度に10分間保温してから、(株)上島製作所製のスペクトロメータを用いて、加硫ゴム組成物シートに対して、歪2%、周波数10Hzの条件にて動的弾性率を測定する。基準比較例の弾性率指数を100とし、下記計算式により、各配合の弾性率を指数表示する。弾性率指数が大きいほど弾性率が大きく補強性に優れることを示す。
(弾性率指数)=(各配合の弾性率)/(基準比較例の弾性率)×100
(低燃費性)
転がり抵抗試験機を用い、各試験用タイヤを時速80kmで走行させたときの転がり抵抗を測定し、基準比較例を100として指数表示する。指数が大きいほど、転がり抵抗が小さく、低燃費性が良好であることを示す。
(総合性能)
前記破断強度の評価、前記弾性率の評価、前記低燃費性の評価で得られる3つの指数の合計により、補強性及び低燃費性の総合性能を評価する。数値が大きいほど、総合性能が良好である。
Figure 2024061608000007
<インナーライナー>
以下、第二の本発明に係る実施例及び比較例の試験用タイヤの製造で使用する各種薬品について、まとめて説明する。
各マスターバッチ(MB2-1~MB2-9):前記マスターバッチの調製で製造
ハロゲン化ブチルゴム:エクソンモービル社製のブロモブチル2255
カーボンブラックN660:キャボットジャパン(株)製のショウブラックN660(NSA:35m/g)
ステアリン酸:日油(株)製のステアリン酸「椿」
加硫促進剤:大内新興化学工業(株)製のノクセラーDM(ジ-2-ベンゾチアゾリルジスルフィド)
レジン:東ソー社製の製品名「ペトロタック100V」
酸化亜鉛:三井金属鉱業(株)製の亜鉛華1号
硫黄:鶴見化学工業(株)製の粉末硫黄
<試験用タイヤの製造>
表6に示す配合内容に従い、(株)神戸製鋼所製の1.7Lバンバリーミキサーを用いて、硫黄及び加硫促進剤以外の材料を150℃の条件下で5分間混練りし、混練り物を得る。次に、当該混練り物に硫黄及び加硫促進剤を添加し、オープンロールを用いて、80℃の条件下で5分間練り込み、未加硫ゴム組成物を得る。当該未加硫ゴム組成物を170℃で12分間、2mm厚の金型プレス加硫し、加硫ゴム組成物を得る。また、当該未加硫ゴム組成物をインナーライナーの形状に成形し、他のタイヤ用部材とともに貼り合わせて未加硫タイヤを形成し、150℃の条件下で12分間プレス加硫し、試験用タイヤ(サイズ:175/60R18)を製造する。
上記加硫ゴム組成物、試験用タイヤを用いて下記評価を行い、結果を表6に示す。
なお、基準比較例は、比較例2-1とする。
(破断強度)
加硫ゴム組成物を用いて3号ダンベル型ゴム試験片を作製し、JIS K6251「加硫ゴム及び熱可塑性ゴム-引張特性の求め方」に準じて引張試験を行い、破断強度を測定する。基準比較例のゴム試験片(基準試験片)の破断強度指数を100とし、下記計算式により、各配合の破断強度を指数表示する。破断強度指数が大きいほど破断強度が大きく補強性に優れることを示す。
(破断強度指数)=(各配合の破断強度)/(基準比較例の破断強度)×100
(弾性率)
厚みが2mmの加硫ゴム組成物シートを用いて、弾性率を測定する。具体的には、厚みが2mmの加硫ゴム組成物シートを測定温度に10分間保温してから、(株)上島製作所製のスペクトロメータを用いて、加硫ゴム組成物シートに対して、歪2%、周波数10Hzの条件にて動的弾性率を測定する。基準比較例の弾性率指数を100とし、下記計算式により、各配合の弾性率を指数表示する。弾性率指数が大きいほど弾性率が大きく補強性に優れることを示す。
(弾性率指数)=(各配合の弾性率)/(基準比較例の弾性率)×100
(低燃費性)
転がり抵抗試験機を用い、各試験用タイヤを時速80kmで走行させたときの転がり抵抗を測定し、基準比較例を100として指数表示する。指数が大きいほど、転がり抵抗が小さく、低燃費性が良好であることを示す。
(総合性能)
前記破断強度の評価、前記弾性率の評価、前記低燃費性の評価で得られる3つの指数の合計により、補強性及び低燃費性の総合性能を評価する。数値が大きいほど、総合性能が良好である。
Figure 2024061608000008
本発明(1)は、有機繊維と、マレイン酸、無水マレイン酸及びこれらの誘導体からなる群より選択される少なくとも1種の化合物由来の部位を有するポリマーと、充填剤とを含むゴム組成物、で構成されたタイヤ用部材を有するタイヤであって、
前記タイヤ用部材は、タイヤ周方向の30℃における複素弾性率(30℃E*a(MPa))及びタイヤ周方向の30℃における損失正接(30℃tanδa)が下記式を満たすタイヤである。
30℃E*a/30℃tanδa≧33
本発明(2)は、前記タイヤ用部材のタイヤ周方向の30℃における複素弾性率(30℃E*a(MPa))及びタイヤ周方向の30℃における損失正接(30℃tanδa)が下記式を満たす本発明(1)記載のタイヤである。
30℃E*a/30℃tanδa≧45
本発明(3)は、前記タイヤ用部材のタイヤ周方向の30℃における複素弾性率(30℃E*a(MPa))及びタイヤ周方向の30℃における損失正接(30℃tanδa)が下記式を満たす本発明(1)又は(2)記載のタイヤである。
30℃E*a/30℃tanδa≦72
本発明(4)は、前記タイヤ用部材のタイヤ周方向の30℃における複素弾性率(30℃E*a(MPa))及びタイヤ周方向の30℃における損失正接(30℃tanδa)が下記式を満たす本発明(1)~(3)のいずれかに記載のタイヤである。
30℃E*a/30℃tanδa≦65
本発明(5)は、前記タイヤ用部材のゴム成分100質量部に対する前記充填剤の含有量Fc(質量部)、タイヤ周方向の30℃における複素弾性率(30℃E*a(MPa))が下記式を満たす本発明(1)~(4)のいずれかに記載のタイヤである。
Fc/30℃E*a≦6.00
本発明(6)は、前記ポリマーが、芳香族ビニル化合物単位と、マレイン酸、無水マレイン酸及びこれらの誘導体からなる群より選択される少なくとも1種の化合物単位とからなる共重合体、並びに、マレイン酸、無水マレイン酸及びこれらの誘導体からなる群より選択される少なくとも1種の化合物で変性された変性液状ポリイソプレンからなる群より選択される少なくとも1種である本発明(1)~(5)のいずれかに記載のタイヤである。
本発明(7)は、前記タイヤ用部材のタイヤ周方向の30℃における損失正接(30℃tanδa)及びタイヤ半径方向の30℃における損失正接(30℃tanδb)が下記式を満たす本発明(1)~(6)のいずれかに記載のタイヤである。
30℃tanδa/30℃tanδb≧1.00
本発明(8)は、前記ポリマーが、スチレンと、マレイン酸、無水マレイン酸、及びこれらの誘導体からなる群より選択される少なくとも1種の化合物との共重合体、並びに、マレイン酸、無水マレイン酸、及びこれらの誘導体からなる群より選択される少なくとも1種の化合物で変性された液状ポリイソプレンからなる群より選択される少なくとも1種である本発明(1)~(7)のいずれかに記載のタイヤである。
本発明(9)は、前記有機繊維がバイオマス由来の有機繊維である本発明(1)~(8)のいずれかに記載のタイヤである。
本発明(10)は、前記有機繊維が、セルロースナノファイバー及びセルロースナノクリスタルからなる群より選択される少なくとも1種である本発明(1)~(9)のいずれかに記載のタイヤである。
本発明(11)は、前記ポリマーが、エステル基及び/又はアニオン性基を有する本発明(1)~(10)のいずれかに記載のタイヤである。
本発明(12)は、前記ゴム組成物において、ゴム成分100質量部に対する前記充填剤の含有量が10~55質量部である本発明(1)~(11)のいずれかに記載のタイヤである。
本発明(13)は、前記タイヤ用部材のタイヤ周方向の30℃における複素弾性率(30℃E*a(MPa))及びタイヤ周方向の30℃における損失正接(30℃tanδa)が下記式を満たす本発明(1)~(12)のいずれかに記載のタイヤである。
30℃E*a≧5.0MPa
30℃tanδa≧0.120
本発明(14)は、前記ゴム組成物が、平均粒子径が18nm以下のシリカを含む本発明(1)~(13)のいずれかに記載のタイヤである。
本発明(15)は、前記ゴム組成物が、ブタジエンゴムを含む本発明(1)~(14)のいずれかに記載のタイヤである。
本発明(16)は、平均繊維径が10μm以下のミクロフィブリルセルロースと、カルボン酸及びカルボン酸無水物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物由来の部位を有するジエン系重合体とを含み、
前記ミクロフィブリルセルロースの平均繊維径A(μm)及び前記ジエン系重合体の数平均分子量Bが下記式を満たすマスターバッチである。
(A×B)/1000≦350
本発明(17)は、前記マスターバッチ100質量%中のミクロフィブリルセルロースの含有量C(質量%)及びミクロフィブリルセルロースの平均繊維径A(μm)が下記式を満たす本発明(16)記載のマスターバッチである。
C/A≧3
本発明(18)は、前記カルボン酸及びカルボン酸無水物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物由来の部位を有するジエン系重合体の数平均分子量が35000以下である本発明(16)又は(17)記載のマスターバッチである。
本発明(19)は、前記マスターバッチの平均粒子径が10nm以上2mm以下である本発明(16)~(18)のいずれかに記載のマスターバッチである。
本発明(20)は、前記マスターバッチが液状ポリブテンを含む本発明(16)~(19)のいずれかに記載のマスターバッチである。
本発明(21)は、前記マスターバッチが植物油を含む本発明(16)~(20)のいずれかに記載のマスターバッチである。
本発明(22)は、前記マスターバッチのかさ密度が0.70g/cm以下である本発明(16)~(21)のいずれかに記載のマスターバッチである。
本発明(23)は、本発明(16)~(22)のいずれかに記載のマスターバッチ及びゴム成分を含むゴム組成物である。
本発明(24)は、本発明(23)記載のゴム組成物を用いたタイヤ用部材を有するタイヤである。
本発明(25)は、前記タイヤ用部材が、サイドウォール及び/又はインナーライナーである本発明(24)記載のタイヤである。
中でも、望ましくは以下のとおりである。
本発明(A)は、有機繊維、好ましくはバイオマス由来の有機繊維、より好ましくはセルロースナノファイバー及びセルロースナノクリスタルからなる群より選択される少なくとも1種、更に好ましくはセルロースナノファイバーを含む、と、マレイン酸、無水マレイン酸及びこれらの誘導体からなる群より選択される少なくとも1種の化合物由来の部位を有するポリマーと、充填剤とを含むゴム組成物、で構成されたタイヤ用部材を有するタイヤであって、
前記タイヤ用部材は、タイヤ周方向の30℃における損失正接(30℃tanδa)に対するタイヤ周方向の30℃における複素弾性率(30℃E*a(MPa))の比(30℃E*a/30℃tanδa)が、33以上、好ましくは45以上、及び/又は、72以下、好ましくは65以下、であるタイヤである。
本発明(B)は、前記タイヤ用部材の、タイヤ周方向の30℃における損失正接(30℃tanδa)に対するタイヤ周方向の30℃における複素弾性率(30℃E*a(MPa))の比(30℃E*a/30℃tanδa)が、33以上72以下、好ましくは45以上65以下、である本発明(A)記載のタイヤである。
本発明(C)は、前記タイヤ用部材のゴム成分100質量部に対する前記充填剤の含有量Fc(質量部)、タイヤ周方向の30℃における複素弾性率(30℃E*a(MPa))が下記式を満たす本発明(A)又は(B)記載のタイヤである。
Fc/30℃E*a≦6.00
本発明(D)は、前記ポリマーが、芳香族ビニル化合物単位と、マレイン酸、無水マレイン酸及びこれらの誘導体からなる群より選択される少なくとも1種の化合物単位とからなる共重合体、好ましくは、スチレンと、マレイン酸、無水マレイン酸、及びこれらの誘導体からなる群より選択される少なくとも1種の化合物との共重合体、並びに、マレイン酸、無水マレイン酸及びこれらの誘導体からなる群より選択される少なくとも1種の化合物で変性された変性液状ポリイソプレンからなる群より選択される少なくとも1種である本発明(A)~(C)のいずれかに記載のタイヤである。
本発明(E)は、前記タイヤ用部材のタイヤ周方向の30℃における損失正接(30℃tanδa)及びタイヤ半径方向の30℃における損失正接(30℃tanδb)が下記式を満たす本発明(A)~(D)のいずれかに記載のタイヤである。
30℃tanδa/30℃tanδb≧1.00
本発明(F)は、前記ゴム組成物において、ゴム成分100質量部に対する前記充填剤の含有量が10~55質量部である本発明(A)~(E)のいずれかに記載のタイヤである。
本発明(G)は、前記タイヤ用部材のタイヤ周方向の30℃における複素弾性率(30℃E*a(MPa))及びタイヤ周方向の30℃における損失正接(30℃tanδa)が下記式を満たす本発明(A)~(F)のいずれかに記載のタイヤである。
30℃E*a≧5.0MPa
30℃tanδa≧0.120
本発明(H)は、前記ゴム組成物が、平均粒子径が18nm以下のシリカを含む本発明(A)~(G)のいずれかに記載のタイヤである。
本発明(I)は、前記ゴム組成物が、ブタジエンゴムを含む本発明(A)~(H)のいずれかに記載のタイヤである。
本発明(J)は、平均繊維径が10μm以下のミクロフィブリルセルロースと、カルボン酸及びカルボン酸無水物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物由来の部位を有するジエン系重合体、好ましくは前記ジエン系共重合体の数平均分子量が35000以下である、とを含み、
前記ミクロフィブリルセルロースの平均繊維径A(μm)及び前記ジエン系重合体の数平均分子量Bが下記式を満たすマスターバッチである。
(A×B)/1000≦350
本発明(K)は、前記マスターバッチ100質量%中のミクロフィブリルセルロースの含有量C(質量%)及びミクロフィブリルセルロースの平均繊維径A(μm)が下記式を満たす本発明(J)記載のマスターバッチである。
C/A≧3
本発明(L)は、前記マスターバッチが液状ポリブテンを含む本発明(J)又は(K)記載のマスターバッチである。
本発明(M)は、前記マスターバッチが植物油を含む本発明(J)~(L)のいずれかに記載のマスターバッチである。
本発明(N)は、本発明(J)~(M)のいずれかに記載のマスターバッチ及びゴム成分を含むゴム組成物である。
本発明(O)は、本発明(N)記載のゴム組成物を用いたタイヤ用部材、好ましくはサイドウォール及び/又はインナーライナー、を有するタイヤである。

Claims (25)

  1. 有機繊維と、マレイン酸、無水マレイン酸及びこれらの誘導体からなる群より選択される少なくとも1種の化合物由来の部位を有するポリマーと、充填剤とを含むゴム組成物、で構成されたタイヤ用部材を有するタイヤであって、
    前記タイヤ用部材は、タイヤ周方向の30℃における複素弾性率(30℃E*a(MPa))及びタイヤ周方向の30℃における損失正接(30℃tanδa)が下記式を満たすタイヤ。
    30℃E*a/30℃tanδa≧33
  2. 前記タイヤ用部材は、タイヤ周方向の30℃における複素弾性率(30℃E*a(MPa))及びタイヤ周方向の30℃における損失正接(30℃tanδa)が下記式を満たす請求項1記載のタイヤ。
    30℃E*a/30℃tanδa≧45
  3. 前記タイヤ用部材は、タイヤ周方向の30℃における複素弾性率(30℃E*a(MPa))及びタイヤ周方向の30℃における損失正接(30℃tanδa)が下記式を満たす請求項1記載のタイヤ。
    30℃E*a/30℃tanδa≦72
  4. 前記タイヤ用部材は、タイヤ周方向の30℃における複素弾性率(30℃E*a(MPa))及びタイヤ周方向の30℃における損失正接(30℃tanδa)が下記式を満たす請求項1記載のタイヤ。
    30℃E*a/30℃tanδa≦65
  5. 前記タイヤ用部材は、ゴム成分100質量部に対する前記充填剤の含有量Fc(質量部)、タイヤ周方向の30℃における複素弾性率(30℃E*a(MPa))が下記式を満たす請求項1記載のタイヤ。
    Fc/30℃E*a≦6.00
  6. 前記ポリマーは、芳香族ビニル化合物単位と、マレイン酸、無水マレイン酸及びこれらの誘導体からなる群より選択される少なくとも1種の化合物単位とからなる共重合体、並びに、マレイン酸、無水マレイン酸及びこれらの誘導体からなる群より選択される少なくとも1種の化合物で変性された変性液状ポリイソプレンからなる群より選択される少なくとも1種である請求項1記載のタイヤ。
  7. 前記タイヤ用部材は、タイヤ周方向の30℃における損失正接(30℃tanδa)及びタイヤ半径方向の30℃における損失正接(30℃tanδb)が下記式を満たす請求項1記載のタイヤ。
    30℃tanδa/30℃tanδb≧1.00
  8. 前記ポリマーは、スチレンと、マレイン酸、無水マレイン酸、及びこれらの誘導体からなる群より選択される少なくとも1種の化合物との共重合体、並びに、マレイン酸、無水マレイン酸、及びこれらの誘導体からなる群より選択される少なくとも1種の化合物で変性された液状ポリイソプレンからなる群より選択される少なくとも1種である請求項1記載のタイヤ。
  9. 前記有機繊維がバイオマス由来の有機繊維である請求項1記載のタイヤ。
  10. 前記有機繊維が、セルロースナノファイバー及びセルロースナノクリスタルからなる群より選択される少なくとも1種である請求項1記載のタイヤ。
  11. 前記ポリマーが、エステル基及び/又はアニオン性基を有する請求項1記載のタイヤ。
  12. 前記ゴム組成物は、ゴム成分100質量部に対する前記充填剤の含有量が10~55質量部である請求項1記載のタイヤ。
  13. 前記タイヤ用部材は、タイヤ周方向の30℃における複素弾性率(30℃E*a(MPa))及びタイヤ周方向の30℃における損失正接(30℃tanδa)が下記式を満たす請求項1記載のタイヤ。
    30℃E*a≧5.0MPa
    30℃tanδa≧0.120
  14. 前記ゴム組成物が、平均粒子径が18nm以下のシリカを含む請求項1記載のタイヤ。
  15. 前記ゴム組成物が、ブタジエンゴムを含む請求項1記載のタイヤ。
  16. 平均繊維径が10μm以下のミクロフィブリルセルロースと、カルボン酸及びカルボン酸無水物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物由来の部位を有するジエン系重合体とを含み、
    前記ミクロフィブリルセルロースの平均繊維径A(μm)及び前記ジエン系重合体の数平均分子量Bが下記式を満たすマスターバッチ。
    (A×B)/1000≦350
  17. 前記マスターバッチ100質量%中のミクロフィブリルセルロースの含有量C(質量%)及びミクロフィブリルセルロースの平均繊維径A(μm)が下記式を満たす請求項16記載のマスターバッチ。
    C/A≧3
  18. 前記カルボン酸及びカルボン酸無水物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物由来の部位を有するジエン系重合体の数平均分子量が35000以下である請求項16記載のマスターバッチ。
  19. 前記マスターバッチの平均粒子径が10nm以上2mm以下である請求項16記載のマスターバッチ。
  20. 前記マスターバッチが液状ポリブテンを含む請求項16記載のマスターバッチ。
  21. 前記マスターバッチが植物油を含む請求項16記載のマスターバッチ。
  22. 前記マスターバッチのかさ密度が0.70g/cm以下である請求項16記載のマスターバッチ。
  23. 請求項16記載のマスターバッチ及びゴム成分を含むゴム組成物。
  24. 請求項23記載のゴム組成物を用いたタイヤ用部材を有するタイヤ。
  25. 前記タイヤ用部材が、サイドウォール及び/又はインナーライナーである請求項24記載のタイヤ。
JP2023114573A 2022-10-20 2023-07-12 タイヤ Pending JP2024061608A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
EP23204061.8A EP4357155A3 (en) 2022-10-20 2023-10-17 Tire

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2022168335 2022-10-20
JP2022168335 2022-10-20

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2024061608A true JP2024061608A (ja) 2024-05-07

Family

ID=90925809

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2023114573A Pending JP2024061608A (ja) 2022-10-20 2023-07-12 タイヤ

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2024061608A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP7322543B2 (ja) ナノセルロース・界面活性剤複合体
EP3375628B1 (en) Pneumatic tire
JP5706863B2 (ja) マスターバッチ、ゴム組成物及び空気入りタイヤ
JP5687671B2 (ja) ゴム組成物及び空気入りタイヤ
JP7081222B2 (ja) ミクロフィブリル化植物繊維・ゴム複合体の製造方法
JP7243060B2 (ja) 分散体、製造方法、ゴム組成物及び空気入りタイヤ
EP3623416B1 (en) Tire rubber composition and tire
JP7091716B2 (ja) タイヤ用ゴム組成物
JP6348369B2 (ja) ゴム組成物及び空気入りタイヤ
JP7172078B2 (ja) ゴム/フィラー複合体の製造方法
US20230002592A1 (en) Rubber composition and tire
JP2023170092A (ja) タイヤ
JP2024061608A (ja) タイヤ
JP2024060814A (ja) タイヤ
EP4357155A2 (en) Tire
JP7255124B2 (ja) フィラー・ゴム複合体
JP7342431B2 (ja) ゴム組成物及び空気入りタイヤ
EP4265437A1 (en) Rubber composition and tire
EP4245567A1 (en) Tire
JP7243061B2 (ja) 分散体、製造方法、ゴム組成物及び空気入りタイヤ
EP4238782A1 (en) Tire
JP2024089229A (ja) エラストマー組成物及びタイヤ
JP2023134371A (ja) タイヤ
JP2024149371A (ja) ゴム組成物及びタイヤ
DE102024108819A1 (de) Kautschukzusammensetzung und reifen