JP7172078B2 - ゴム/フィラー複合体の製造方法 - Google Patents

ゴム/フィラー複合体の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、ゴム/フィラー複合体の製造方法に関する。
従来、アラミド等の短繊維や、セルロース繊維等のミクロフィブリル化植物繊維、シンジオタクチックポリブタジエン等の結晶性ポリマーなどのフィラーをゴム組成物に配合することで、ゴム組成物を補強し、モジュラス(複素弾性率)を向上させることができることが知られている。しかしながら、フィラーは自己凝集力が強く、ゴム成分との相溶性が悪い場合が多々あり、例えば、ゴムラテックスにミクロフィブリル化植物繊維を投入して混合しても、投入したミクロフィブリル化植物繊維の20%程度がゴム成分に取り込まれずに溶液中に残留してしまっていた。
また、ゴムラテックスとフィラーとを混合してゴム/フィラー複合体(マスターバッチ)を作製した場合、フィラーの凝集塊がゴム/フィラー複合体中に発生しやすい傾向があった。例えば、このようなゴム/フィラー複合体をタイヤに使用した場合、発生した凝集塊により、早期摩耗、割れ、チッピング、層間セパレーションが引き起こされる可能性があり、更に、空気漏れ、操縦安定性の喪失に至る可能性もあることから、ゴム/フィラー複合体におけるゴム中でのフィラーの分散性を向上させることが望まれていた。
ゴム/フィラー複合体におけるゴム中でのフィラーの分散性を向上させ、ゴム物性を改善するための方法として、従来、ゴムラテックスとフィラーとを混合した後、pHを調整してゴム/フィラー複合体を作製する方法が行われてきた。その他にも、例えば、所定のゼータ電位を有するカーボンブラック含有スラリー溶液と、ゴムラテックス溶液とを混合し、凝固乾燥してウェットマスターバッチを製造する方法(例えば、特許文献1参照)、天然ゴムラテックス中のアミド結合を分解し、分解後のラテックスと、無機充填材のスラリー溶液とを混合して天然ゴムマスターバッチを製造する方法(例えば、特許文献2参照)、無機粒子のスラリーと、当該無機粒子のスラリーと反対の符号の表面電位を有するポリマーのラテックスとを混合して高分子複合体を製造する方法(例えば、特許文献3参照)、単一成分を水性分散液の状態で一緒にして混合し、該水性分散液において粒子は同じ符号の表面電荷、所定のゼータ電位、所定の各分散液の粒子のゼータ電位の間の比を有し、得られた混合分散液を凝固させる方法(例えば、特許文献4参照)、所定の平均繊維幅を有するセルロースナノファイバーとゴムラテックスを含有する所定の固形分濃度の水分散液から水分を除去してゴムマスターバッチを製造する方法(例えば、特許文献5参照)や、所定の平均繊維幅を有する微細セルロース繊維と樹脂エマルションとを含有する所定の固形分濃度を有する混合液から水分を除去して複合材を製造する方法(例えば、特許文献6参照)などが開示されている。
特開2010-209175号公報 特開2004-99625号公報 特開2006-348216号公報 特開昭62-104871号公報 特開2014-141637号公報 特開2015-93882号公報
上述のように、ゴム/フィラー複合体(マスターバッチ)におけるゴム中でのフィラーの分散性を向上させ、ゴム物性を改善するための方法が種々検討されているが、フィラーの分散性としては更なる改善の余地があった。
本発明は、前記課題を解決し、ゴム中でのフィラーの分散性を向上させ、ゴム組成物に配合するとタイヤの要求性能をバランス良く改善できるゴム/フィラー複合体(マスターバッチ)を製造する方法等を提供することを目的とする。
本発明は、ゴムラテックスとフィラーとを混合して配合ラテックスを調製する工程(1)、及び、上記工程(1)で得られた配合ラテックスを凝固液に投入し凝固物を得る工程(2)を含むゴム/フィラー複合体の製造方法に関する。
上記フィラーは、シリカ、ミクロフィブリル化植物繊維、粘土鉱物、及び短繊維状フィラーからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
上記凝固液は、酸及び/又は塩であることが好ましい。
本発明はまた、上記製造方法により得られたゴム/フィラー複合体に関する。
本発明はまた、上記ゴム/フィラー複合体を含むゴム組成物に関する。
本発明はまた、上記ゴム組成物を用いて作製した空気入りタイヤに関する。
本発明は、ゴムラテックスとフィラーとを混合して配合ラテックスを調製する工程(1)、及び、上記工程(1)で得られた配合ラテックスを凝固液に投入し凝固物を得る工程(2)を含むゴム/フィラー複合体の製造方法であり、特に、配合ラテックスを凝固液に投入して凝固物を得るため、ゴム中でのフィラーの分散性がより向上し、ゴム中にフィラーが微細に分散したゴム/フィラー複合体を得ることができる。
更に、配合ラテックスを凝固液に投入することにより、ゴム/フィラー複合体を得る際のろ過性を向上させることができる。これにより、ゴム/フィラー複合体製造時の生産性がより向上し、より性能の向上したゴム/フィラー複合体を生産性良く製造することができる。そしてそのようなゴム/フィラー複合体を用いることで、タイヤに要求される破断強度、破断時伸び、及び低燃費性がバランス良く改善されたゴム組成物、空気入りタイヤを得ることができる。
〔ゴム/フィラー複合体の製造方法〕
本発明のゴム/フィラー複合体の製造方法は、ゴムラテックスとフィラーとを混合して配合ラテックスを調製する工程(1)、及び、上記工程(1)で得られた配合ラテックスを凝固液に投入し凝固物を得る工程(2)を含む。なお、本発明の製造方法は、上記工程(1)及び(2)を含む限り、その他の工程を含んでいてもよく、また、上記工程(1)、(2)をそれぞれ、1回行ってもよいし、複数回繰り返し行ってもよい。
ゴムラテックスとフィラーとを混合しても相溶性が悪く、フィラーをゴム/フィラー複合体におけるゴム中に十分に分散させることは一般に困難であるところ、本発明者らは、上記工程(1)、及び(2)を含む製法を採用し、特に、工程(1)で得られた配合ラテックスを凝固液に投入して凝固物を得ることにより、ゴム中でのフィラーの分散性がより向上し、ゴム中にフィラーが微細に分散したゴム/フィラー複合体を得ることができることを見出した。そして更に、配合ラテックスを凝固液に投入することにより、ゴム/フィラー複合体を得る際のろ過性を向上させることができることから、より性能の向上したゴム/フィラー複合体を生産性良く製造できることを見出した。
ゴム/フィラー複合体を凝固する一般的な方法としては、ゴムラテックスとフィラーとを混合して得られる配合ラテックスをそのまま乾燥させる方法や、ゴムラテックスとフィラーとを混合して得られる配合ラテックスに凝固液を添加してラテックスのpHを下げて凝固させる方法などが挙げられる。しかしながら、これらの方法では、ゴムとフィラーとでは凝固するpHやタイミングが異なるために、同時に凝固し始めずにどちらか一方から凝固し始めてしまい、ゴムばかりが凝固してフィラーが取り込まれず、分散が悪い形態や、フィラーが凝集した状態でゴムに取り込まれ、分散の悪い形態などが生じてしまう。特に、ゴムラテックスとフィラーとを混合して得られる配合ラテックスに凝固液を添加してラテックスのpHを下げて凝固させる方法の場合、配合ラテックスは酸性になると凝固するが、アルカリ性の配合ラテックスに酸性の凝固液が添加されても始めは酸性成分が中和されてラテックス全体としてはアルカリ性の状態が続くため凝固はゆるやかに進行し、全体として中性を過ぎたあたりから凝析が起こる。配合ラテックス中のゴムとフィラーとでは凝析するスピードが異なるため、ゴムとフィラーとが別々に凝固して、分散の悪い形態が生じる場合がある。
これに対して、本発明のゴム/フィラー複合体の製造方法では、ゴムラテックスとフィラーとを混合して得られる配合ラテックスを凝固液に投入して凝固物を得ることとすることで、酸性の凝固液にアルカリ性の配合ラテックスを投入していっても、系全体としては酸性の状態であるため、投入された配合ラテックスはただちに凝析して、ゴムとフィラーのどちらか一方だけが凝固し始めるという現象がほとんど起こらず、ゴムにフィラーが分散した状態で凝固反応が起こることから、ゴム中にフィラーが微細に分散したゴム/フィラー複合体を得ることができるものと推察される。
そして更に、配合ラテックスを凝固液に投入することにより、凝集が早く進み、得られる凝固物の粒子の大きさが大きくなるため、ゴム/フィラー複合体を得る際のろ過性が向上すると推察される。
(工程(1))
本発明では、まず、ゴムラテックスとフィラーとを混合して配合ラテックスを調製する工程(1)が行われる。
上記ゴムラテックスとしては、例えば、天然ゴムラテックス、改質天然ゴムラテックス(ケン化天然ゴムラテックス、エポキシ化天然ゴムラテックスなど)、合成ジエン系ゴムラテックス(ブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、スチレンイソプレンブタジエンゴム(SIBR)、イソプレンゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム、エチレン酢酸ビニルゴム、クロロプレンゴム、ビニルピリジンゴム、ブチルゴムなどのラテックス)などのジエン系ゴムラテックスが好適に使用できる。このように、上記ゴムラテックスが、ジエン系ゴムラテックスであることもまた、本発明の好適な実施形態の1つである。これらゴムラテックスとしては、単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。なかでも、本発明の効果がより好適に得られるという点から、天然ゴムラテックス、SBRラテックス、BRラテックス、イソプレンゴムラテックスがより好ましく、天然ゴムラテックスが特に好ましい。
天然ゴムラテックスはヘベア樹等の天然ゴムの樹木の樹液として採取され、ゴム成分のほか水、タンパク質、脂質、無機塩類等を含み、ゴム中のゲル分は種々の不純物の複合的な存在に基づくものと考えられている。本発明では、天然ゴムラテックスとして、ヘベア樹をタッピングして出てくる生ラテックス(フィールドラテックス)、遠心分離法やクリーミング法によって濃縮した濃縮ラテックス(精製ラテックス、常法によりアンモニアを添加したハイアンモニアラテックス、亜鉛華とTMTDとアンモニアによって安定化させたLATZラテックス等)等を使用できる。
天然ゴムラテックスは、蛋白質やリン脂質からなる蜂の巣状のセルを有しており、このセルによって天然ゴムへのフィラーの取り込みが阻害されてしまう傾向があるため、天然ゴムラテックスとフィラーとを混合する際には、予めケン化処理によって天然ゴムラテックス中のセルを除去する等の対処を行う必要があったが、本発明では、上記工程(1)、及び(2)を含む製法を採用し、特に、工程(1)で得られた配合ラテックスを凝固液に投入して凝固物を得ることにより、ケン化処理を経ていない天然ゴムラテックスを使用した場合であっても、フィラーをゴム中に微細に分散させることができる。
ここで、上記ゴムラテックスのpHは、好ましくは8.5以上、より好ましくは9.5以上である。該pHが8.5以上であると、ゴムラテックスが不安定になりにくく、凝固しにくい傾向がある。上記ゴムラテックスのpHは、好ましくは12以下、より好ましくは11以下である。該pHが12以下であると、ゴムラテックスが劣化しにくい傾向がある。
上記ゴムラテックスは、従来公知の製法で調製でき、各種市販品も使用できる。なお、ゴムラテックスとしては、ゴム固形分が10~80質量%のものを使用することが好ましい。より好ましくは20質量%以上、60質量%以下である。
上記フィラーとしては、応用分野に従って、その使用の際に使われるフィラーを適宜配合することができるが、例えば、シリカ、ミクロフィブリル化植物繊維、粘土鉱物、及び短繊維状フィラーからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
上記シリカとしては、乾式法シリカ(無水シリカ)、湿式法シリカ(含水シリカ)などが挙げられる。なかでも、シラノール基が多いという理由から、湿式法シリカが好ましい。市販品としては、デグッサ社、ローディア社、東ソー・シリカ(株)、ソルベイジャパン(株)、(株)トクヤマ等の製品を使用できる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
シリカの窒素吸着比表面積(NSA)は、好ましくは70m/g以上、より好ましくは140m/g以上、更に好ましくは160m/g以上である。下限以上にすることで、良好なウェットグリップ性能、破壊強度が得られる傾向がある。また、シリカのNSAの上限は特に限定されないが、好ましくは500m/g以下、より好ましくは300m/g以下、更に好ましくは250m/g以下である。上限以下にすることで、良好な分散性が得られる傾向がある。
なお、シリカのNSAは、ASTM D3037-93に準じてBET法で測定される値である。
上記ミクロフィブリル化植物繊維としては、良好な補強性が得られるという点から、セルロースミクロフィブリルが好ましい。セルロースミクロフィブリルとしては、天然物由来のものであれば特に制限されず、例えば、果実、穀物、根菜などの資源バイオマス、木材、竹、麻、ジュート、ケナフ、及びこれらを原料として得られるパルプや紙、布、農作物残廃物、食品廃棄物や下水汚泥などの廃棄バイオマス、稲わら、麦わら、間伐材などの未使用バイオマスの他、ホヤ、酢酸菌等の生産するセルロースなどに由来するものが挙げられる。これらミクロフィブリル化植物繊維は、1種を用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
なお、本明細書において、セルロースミクロフィブリルとは、典型的には、平均繊維径が10μm以下の範囲内であるセルロース繊維、より典型的には、セルロース分子の集合により形成されている平均繊維径500nm以下の微小構造を有するセルロース繊維を意味する。なお、典型的なセルロースミクロフィブリルは、例えば、上記のような平均繊維径を有するセルロース繊維の集合体として形成されていることができる。
上記ミクロフィブリル化植物繊維の製造方法としては特に限定されないが、例えば、上記セルロースミクロフィブリルの原料を必要に応じて水酸化ナトリウム等のアルカリで化学処理した後、リファイナー、二軸混練機(二軸押出機)、二軸混練押出機、高圧ホモジナイザー、媒体撹拌ミル、石臼、グラインダー、振動ミル、サンドグラインダー等により機械的に磨砕ないし叩解する方法が挙げられる。これらの方法では、化学処理によって原料からリグニンが分離されるため、リグニンを実質的に含有しないミクロフィブリル化植物繊維が得られる。また、その他の方法として、上記セルロースミクロフィブリルの原料を超高圧処理する方法なども挙げられる。
上記ミクロフィブリル化植物繊維としては、例えば、(株)スギノマシン等の製品を使用できる。
なお、上記ミクロフィブリル化植物繊維としては、上記製造方法により得られたものに更に、酸化処理や種々の化学変性処理などを施したものや、上記セルロースミクロフィブリルの由来となり得る天然物(例えば、木材、パルプ、竹、麻、ジュート、ケナフ、農作物残廃物、布、紙、ホヤセルロース等)をセルロース原料として、酸化処理や種々の化学変性処理などを行い、その後に必要に応じて解繊処理を行ったものも用いることができる。
上記ミクロフィブリル化植物繊維の平均繊維径は、10μm以下であることが好ましい。上記ミクロフィブリル化植物繊維の平均繊維径がこのような範囲であることにより、ゴム中でのミクロフィブリル化植物繊維の分散性をより向上させることができ、本発明の効果をより好適なものとすることができる。また、加工中のミクロフィブリル化植物繊維の破損が抑えられる傾向にある。当該平均繊維径としては、本発明の効果がより好適に得られるという点から、500nm以下がより好ましく、100nm以下が更に好ましく、50nm以下がより更に好ましい。また、上記ミクロフィブリル化植物繊維の平均繊維径の下限は特に制限されないが、ミクロフィブリル化植物繊維の絡まりがほどけにくく、分散し難いという理由から、4nm以上であることが好ましく、10nm以上であることがより好ましく、20nm以上が更に好ましい。
上記ミクロフィブリル化植物繊維の平均繊維長は、100nm以上であることが好ましい。より好ましくは300nm以上、更に好ましくは500nm以上である。また、5mm以下が好ましく、1mm以下がより好ましく、50μm以下がより更に好ましく、3μm以下が特に好ましく、2μm以下が最も好ましい。平均繊維長が下限未満の場合や上限を超える場合は、前述の平均繊維径と同様の傾向がある。また、このような平均繊維長を有するミクロフィブリル化植物繊維を用いることで、ゴム組成物に配合した場合に、繊維エッジ近傍のゴムマトリクスに歪みが集中するのを抑制でき、破壊強度、耐摩耗性がより良好となる傾向がある。
なお、上記ミクロフィブリル化植物繊維が2種以上の組み合わせからなる場合、上記平均繊維径、上記平均繊維長は、ミクロフィブリル化植物繊維全体での平均として算出される。
本明細書において、上記ミクロフィブリル化植物繊維の平均繊維径及び平均繊維長は、走査型電子顕微鏡写真による画像解析、透過型電子顕微鏡写真による画像解析、原子間力顕微鏡写真による画像解析、X線散乱データの解析、細孔電気抵抗法(コールター原理法)等によって測定できる。
上記粘土鉱物としては、例えば、カオリナイト、ナクライト、エンデライト、ディッカイト、ハロイサイト、クリソタイル等のカオリン群;アンティゴライト、アメサイト、クロンステダイト等のアンティゴライト群;ジ-バーミキュライト、トリ-バーミキュライト等のバーミキュライト群;モンモリロナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ラポナイト、ヘクトライト、ソーコナイト、スチブンサイト等のスメクタイト群;イライト、海緑石、セラドナイト、タルク、パイロフィライト、マイカ(マスコバイト、セリサイト)、マーガライト、クリントナイト、白雲母、黒雲母、金雲母、合成雲母、フッ素雲母、パラゴライト、フロゴパイト、レピドライト、テトラシリリックマイカ、テニオライト等のフィロ珪酸塩;ドンパサイト、スドウ石、クッカイト、クリノクロア、シャモサイト、クロライト、ナンタイト等の緑泥石等;セピオライト、アタパルジャイト、アタパルガスクレイ、パリゴルスカイト等のピオライト-パリゴスカイト;ベントナイト;ハイドロタルサイト;などが挙げられる。これら粘土鉱物は、1種を用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記粘土鉱物としては、中でも、ゴム中での分散性の観点から、カオリン群、アンティゴライト群、バーミキュライト群、スメクタイト群、フィロ珪酸塩、緑泥石、ピオライト-パリゴスカイトがより好ましく、カオリン群、アンティゴライト群、バーミキュライト群、スメクタイト群、ピオライト-パリゴスカイトが更に好ましく、スメクタイト群、ピオライト-パリゴスカイトがより更に好ましく、モンモリロナイト、セピオライトが特に好ましい。
上記粘土鉱物としては、例えば、楠本化成(株)、クニミネ工業(株)等の製品を使用できる。
上記粘土鉱物の平均粒径は、50μm以下であることが好ましい。より好ましくは30μm以下である。また、1μm以上が好ましく、3μm以上がより好ましい。上記粘土鉱物の平均粒径がこのような範囲であることにより、ゴム中での粘土鉱物の分散性をより向上させることができ、本発明の効果をより好適なものとすることができる。
なお、上記粘土鉱物の平均粒径は、JIS Z 8815-1994に準拠して測定される粒度分布から算出された質量基準の平均粒径である。
上記短繊維状フィラーとしては、繊維幅が3~200μmであり、繊維長が20~1000μmであり、かつ、繊維幅と繊維長との比(繊維長/繊維幅)が5~1000であることが好ましい。このような短繊維状フィラーをフィラーとして用いることにより、ゴム中での分散性が良好なことから、ゴムの破壊強度を損なうことなく、維持又は改善することができ、ゴム物性を優れたものとすることができる。
上記短繊維状フィラーの繊維幅は、3~200μmである。通常、ゴム組成物に配合される繊維状のフィラーは、繊維幅が小さいほどゴムの補強性の面で好ましいが、一方で繊維幅の小さい繊維状フィラーは配向しにくい傾向があるところ、ゴムの補強性と繊維の配向性のバランスの観点、更にはゴム中での分散性の観点から、当該繊維幅としては、10μm以上が好ましく、15μm以上がより好ましく、20μm以上が更に好ましい。また、120μm以下が好ましく、80μm以下がより好ましく、50μm以下が更に好ましい。
上記短繊維状フィラーの繊維長は、20~1000μmである。繊維幅同様に、ゴムの補強性と繊維の配向性のバランスの観点、更にはゴム中での分散性の観点から、当該繊維長としては、50μm以上が好ましく、100μm以上がより好ましく、200μm以上が更に好ましい。また、700μm以下が好ましく、500μm以下がより好ましい。
上記短繊維状フィラーは、繊維幅と繊維長との比(繊維長/繊維幅)が5~1000である。繊維幅同様に、ゴムの補強性と繊維の配向性のバランスの観点から、当該繊維幅と繊維長との比としては、6以上が好ましく、10以上がより好ましい。また、800以下が好ましく、500以下がより好ましく、400以下が更に好ましく、300以下が特に好ましい。
上記短繊維状フィラーの繊維幅及び繊維長は、走査型原子間力顕微鏡写真の画像解析、走査型電子顕微鏡写真の画像解析、透過型顕微鏡写真の画像解析、X線散乱データの解析、細孔電気抵抗法(コールター原理法)等によって測定できる。
上記短繊維状フィラーとしては、特に限定されないが、例えば、無機繊維、動物繊維や合成繊維を解繊することで、上記特定の繊維幅、繊維長を有する短繊維状フィラーを得ることができる。具体的には、ガラス繊維、チタン酸カリウム繊維、活性炭繊維といった無機繊維や、レーヨンやポリエステル繊維、アラミド繊維などが挙げられる。
上記短繊維状フィラーとしては、例えば、ラインケミー社、東レ(株)等の製品を使用できる。
上記フィラーは、溶媒中に分散させた分散液(フィラー分散液、スラリー)の状態で、ゴムラテックスと混合してもよいし、フィラー分散液をエタノール等で溶媒置換した後、ゴムラテックスと混合してもよいし、あるいは、フィラーをそのまま、ゴムラテックスと混合してもよい。なお、上記フィラー分散液における溶媒としては特に限定されず、水等が挙げられる。
上記フィラー分散液は、公知の方法で製造でき、その製造方法は特に限定されず、例えば、高速ホモジナイザー、超音波ホモジナイザー、コロイドミル、ブレンダ―ミル、電子制御撹拌機などを用いてフィラーを水等の溶媒中に分散させることで調製できる。調製の際の温度や時間も、フィラーが水等の溶媒中に十分分散するよう、通常行われる範囲で適宜設定することができる。
上記フィラー分散液中のフィラーの含有量(固形分)は、特に限定されないが、好ましくは0.2~20質量%、より好ましくは0.5~10質量%、更に好ましくは0.5~5質量%である。
上記工程(1)において、上記ゴムラテックスと上記フィラーとの混合は、上記ゴムラテックスと上記フィラーとが混合される限り、特に限定されず、上記ゴムラテックス、上記フィラー以外のバインダーや、界面活性剤などの他の配合剤を更に加えてもよい。特には、上記フィラーと界面活性剤とを混合、分散させた後、上記ゴムラテックスと混合する形態が好ましい形態として挙げられる。
上記工程(1)において、上記ゴムラテックスと上記フィラーとを混合する方法としては、特に限定されないが、例えば、高速ホモジナイザー、超音波ホモジナイザー、コロイドミル、ブレンダ―ミルなどの公知の撹拌装置に上記ゴムラテックスを入れ、撹拌しながら、上記フィラーや上記フィラー分散液を滴下する方法や、上記公知の撹拌装置に上記フィラーや上記フィラー分散液を入れ、撹拌しながら、上記ゴムラテックスを滴下する方法、上記公知の撹拌装置に上記ゴムラテックス及び上記フィラーや上記フィラー分散液を入れ、撹拌、混合する方法などが挙げられる。このようにして配合ラテックスを調製できる。当該配合ラテックスを調製する際の温度や時間は、上記ゴムラテックスと上記フィラーや上記フィラー分散液とが十分に分散するまで、通常行われる範囲で適宜設定することができるが、例えば、10~50℃で3~120分が好ましく、15~40℃で5~90分がより好ましい。
上記工程(1)で得られた配合ラテックスのpHは、9.0以上が好ましく、9.5以上がより好ましい。また、12以下が好ましく、11.5以下がより好ましい。上記配合ラテックスのpHがこのような範囲であると、劣化の少ない、安定した配合ラテックスを得ることができる。
上記工程(1)においては、上記ゴムラテックスのゴム固形分100質量部に対して、上記フィラーの含有量が5~70質量部となるように上記ゴムラテックスと上記フィラーとを混合することが好ましい。このような範囲で配合することにより、本発明の効果がより好適に得られる。該フィラーの含有量は、7質量部以上がより好ましく、10質量部以上が更に好ましい。また、50質量部以下がより好ましい。
特に、フィラーの形状が球状の場合には、フィラーの含有量は、5質量部以上が好ましく、10質量部以上がより好ましく、20質量部以上が更に好ましい。他方、70質量部以下が好ましく、50質量部以下がより好ましい。
また、フィラーの形状が繊維状の場合には、フィラーの含有量は、5質量部以上が好ましく、7質量部以上がより好ましく、10質量部以上が更に好ましい。他方、50質量部以下が好ましく、45質量部以下がより好ましく、40質量部以下が更に好ましい。
上記配合ラテックス中に含まれる固形分の合計濃度(合計固形分含量、合計固形分濃度)は、当該配合ラテックス中での固形分の分散性の観点から、配合ラテックス100質量%中、0.5質量%以上が好ましく、1質量%以上がより好ましい。また、30質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましく、5質量%以下が更に好ましい。
(工程(2))
本発明では、次に、工程(1)で得られた配合ラテックスを凝固液に投入し凝固物を得る工程(2)が行われる。
上記工程(2)により、結果、凝固物(凝集ゴム及びフィラーを含む凝集物)が得られることとなるが、本発明においては、該工程(2)において凝固反応を行う際、配合ラテックスを凝固液に投入して凝固物を得ることとすることにより、ゴム中でのフィラーの分散性がより向上し、ゴム中にフィラーが微細に分散したゴム/フィラー複合体を得ることができ、更に、配合ラテックスを凝固液に投入することにより、ゴム/フィラー複合体を得る際のろ過性を向上させることができることから、より性能の向上したゴム/フィラー複合体を生産性良く製造することができる。
上記工程(2)において、上記工程(1)で得られた配合ラテックスを凝固液に投入して凝固物を得る方法としては、撹拌装置に十分量の上記凝固液を入れ、撹拌しながら、そこへ上記配合ラテックスを添加する方法が好ましい。更には、フィラーの分散性の観点から、上記配合ラテックスを段階的に投入する(全量を分割して投入する)方法がより好ましく、上記配合ラテックスを滴下する方法、連続的に添加する方法が更に好ましい。
上記配合ラテックスを添加する方法としては、上記配合ラテックスを滴下したり連続的に添加したりする方法が好ましいが、特に一定速度で添加されるのが好ましい。当該添加速度としては、一定であれば好ましく、速度自体は特に限定されず適宜調整することができるが、例えば、配合ラテックスを100~1500g/分の速度で添加するのが好ましい。該添加速度がこのような範囲であると、生産性を損なうことなく、本発明の効果をより好適に得ることができる。該添加速度としては200g/分以上がより好ましい。また、500g/分以下がより好ましい。
上記添加速度としては、例えば、配合ラテックス中のゴム(固形分)が1~70g/分の速度で添加されるように配合ラテックスを添加するのが好ましい。該添加速度がこのような範囲であると、生産性を損なうことなく、本発明の効果をより好適に得ることができる。当該添加速度としてより好ましくは20g/分以上である。他方、より好ましくは50g/分以下である。
また、例えば、配合ラテックス中のフィラーが0.1~20g/分の速度で添加されるように配合ラテックスを添加するのが好ましい。該添加速度がこのような範囲であると、生産性を損なうことなく、本発明の効果をより好適に得ることができる。当該添加速度としてより好ましくは2g/分以上である。他方、より好ましくは10g/分以下である。
上記凝固液は、酸及び/又は塩であることが好ましい。そして、酸及び塩であることが特に好ましい。
上記酸としては、例えば、ギ酸、硫酸、塩酸、酢酸などが挙げられる。また、上記塩としては、例えば、塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、硝酸カルシウム、塩化カルシウム等のカルシウム塩などの1~3価の金属塩が挙げられる。
上記撹拌装置としては、例えば、高速ホモジナイザー、超音波ホモジナイザー、コロイドミル、ブレンダ―ミル、電子制御撹拌機などの公知の撹拌装置が挙げられるが、フィラーの分散性の観点から、電子制御撹拌機が好ましい。なお、該撹拌の撹拌条件は、通常行われる範囲で適宜設定することができるが、フィラーの分散性の観点から、例えば、撹拌速度は、10~500rpmが好ましく、50~200rpmがより好ましい。また、撹拌温度及び撹拌時間は、10~50℃で3~120分が好ましく、15~40℃で5~90分がより好ましい。また、フィラーの分散性の観点から、凝固時の配合ラテックスの温度は、10~40℃が好ましく、35℃以下がより好ましい。
また、凝固の状態(凝固した凝集粒子の大きさ)を制御する目的で、凝集剤を添加しても良い。凝集剤として、カチオン性高分子などを用いることができる。
上記工程(2)で得られた凝固物(凝集ゴム及びフィラーを含む凝集物)を公知の方法でろ過、乾燥させ、更に乾燥後、2軸ロール、バンバリーなどでゴム練りを行うと、フィラーがゴムマトリックスに十分に分散した複合体(ゴム/フィラー複合体)を得ることができる。なお、本発明の製造方法により得られる上記ゴム/フィラー複合体もまた、本発明の一つであるが、該ゴム/フィラー複合体は、本発明の効果を阻害しない範囲で他の成分を含んでもよい。
上記ろ過は、自然ろ過法、減圧ろ過法、加圧ろ過法、遠心ろ過法など公知の方法により行うことができる。例えば、自然ろ過法であれば、穴の開いているかご(ざる)にろ過布を敷いて、その上に凝固物をのせることでろ過を行うことができる。
上記穴の開いているかご(ざる)としては、水が流れ落ちる構造になっていれば特に限定されず、例えば、プラスチックざる、金属ざるなどが挙げられる。
上記ろ過布としては、例えば、不織布、さらし、金属メッシュ、ポリメッシュなどが挙げられる。該ポリメッシュの材質としては、例えば、ポリプロピレン、テフロン(登録商標)、ポリエチレンなどが挙げられ、該メッシュの目開きとしては、通常500μm以下のものが用いられる。
〔ゴム組成物〕
上記ゴム組成物は、上記ゴム/フィラー複合体を含む。上記ゴム/フィラー複合体は、マスターバッチとして使用できる。上記ゴム/フィラー複合体はゴム中にフィラーが十分に分散しており、他の成分と混合したゴム組成物においてもフィラーを十分に分散できる。そのため、効果的な補強性を発揮でき、破断強度、破断時伸び、及び低燃費性をバランス良く改善できる。
上記ゴム組成物には、上記ゴム/フィラー複合体に用いられたゴム(ゴム成分)以外の他のゴム成分を配合できる。
上記他のゴム成分としては、例えば、ジエン系ゴムを使用できる。
上記ジエン系ゴムとしては、イソプレン系ゴム、ブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、スチレンイソプレンブタジエンゴム(SIBR)、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、クロロプレンゴム(CR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)などが挙げられる。また、上記以外のゴム成分としては、ブチル系ゴム、フッ素ゴムなどが挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。ゴム成分としては、SBR、BR、イソプレン系ゴムが好ましく、SBRがより好ましい。
ここで、他のゴム成分は、重量平均分子量(Mw)が20万以上が好ましく、より好ましくは35万以上のゴムである。Mwの上限は特に限定されないが、好ましくは400万以下、より好ましくは300万以下である。
なお、本明細書において、Mw、数平均分子量(Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)(東ソー(株)製GPC-8000シリーズ、検出器:示差屈折計、カラム:東ソー(株)製のTSKGEL SUPERMULTIPORE HZ-M)による測定値を基に標準ポリスチレン換算により求めることができる。
上記他のゴム成分は、非変性ジエン系ゴムでもよいし、変性ジエン系ゴムでもよい。
変性ジエン系ゴムとしては、シリカ等の充填剤と相互作用する官能基を有するジエン系ゴムであればよく、例えば、ジエン系ゴムの少なくとも一方の末端を、上記官能基を有する化合物(変性剤)で変性された末端変性ジエン系ゴム(末端に上記官能基を有する末端変性ジエン系ゴム)や、主鎖に上記官能基を有する主鎖変性ジエン系ゴムや、主鎖及び末端に上記官能基を有する主鎖末端変性ジエン系ゴム(例えば、主鎖に上記官能基を有し、少なくとも一方の末端を上記変性剤で変性された主鎖末端変性ジエン系ゴム)や、分子中に2個以上のエポキシ基を有する多官能化合物により変性(カップリング)され、水酸基やエポキシ基が導入された末端変性ジエン系ゴム等が挙げられる。
上記官能基としては、例えば、アミノ基、アミド基、シリル基、アルコキシシリル基、イソシアネート基、イミノ基、イミダゾール基、ウレア基、エーテル基、カルボニル基、オキシカルボニル基、メルカプト基、スルフィド基、ジスルフィド基、スルホニル基、スルフィニル基、チオカルボニル基、アンモニウム基、イミド基、ヒドラゾ基、アゾ基、ジアゾ基、カルボキシル基、ニトリル基、ピリジル基、アルコキシ基、水酸基、オキシ基、エポキシ基等が挙げられる。なお、これらの官能基は、置換基を有していてもよい。なかでも、アミノ基(好ましくはアミノ基が有する水素原子が炭素数1~6のアルキル基に置換されたアミノ基)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1~6のアルコキシ基)、アルコキシシリル基(好ましくは炭素数1~6のアルコキシシリル基)が好ましい。
SBRとしては特に限定されず、例えば、乳化重合スチレンブタジエンゴム(E-SBR)、溶液重合スチレンブタジエンゴム(S-SBR)等を使用できる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
SBRのスチレン含量は、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは15質量%以上である。また、該スチレン含量は、好ましくは60質量%以下、より好ましくは40質量%以下、更に好ましくは30質量%以下である。上記範囲内であると、前記効果がより好適に得られる。
なお、本明細書において、SBRのスチレン含量は、H-NMR測定により算出される。
SBRとしては、例えば、住友化学(株)、JSR(株)、旭化成(株)、日本ゼオン(株)等により製造・販売されているSBRを使用できる。
SBRは、非変性SBRでもよいし、変性SBRでもよい。変性SBRとしては、変性ジエン系ゴムと同様の官能基が導入された変性SBRが挙げられる。
SBRを含有する場合、ゴム成分100質量%中のSBRの含有量は、好ましくは50質量%以上、より好ましくは70質量%以上、更に好ましくは80質量%以上であり、100質量%でもよい。上記範囲内にすることで、良好なウェットグリップ性能が得られる傾向がある。
BRは特に限定されず、例えば、高シス含量のハイシスBR、シンジオタクチックポリブタジエン結晶を含有するBR、希土類系触媒を用いて合成したBR(希土類BR)等を使用できる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、耐摩耗性が向上するという理由から、シス含量が90質量%以上のハイシスBRが好ましい。
また、BRは、非変性BRでもよいし、変性BRでもよい。変性BRとしては、変性ジエン系ゴムと同様の官能基が導入された変性BRが挙げられる。
BRとしては、例えば、宇部興産(株)、JSR(株)、旭化成(株)、日本ゼオン(株)等の製品を使用できる。
イソプレン系ゴムとしては、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、改質NR、変性NR、変性IR等が挙げられる。NRとしては、例えば、SIR20、RSS♯3、TSR20等、ゴム工業において一般的なものを使用できる。IRとしては、特に限定されず、例えば、IR2200等、ゴム工業において一般的なものを使用できる。改質NRとしては、脱タンパク質天然ゴム(DPNR)、高純度天然ゴム(UPNR)等、変性NRとしては、エポキシ化天然ゴム(ENR)、水素添加天然ゴム(HNR)、グラフト化天然ゴム等、変性IRとしては、エポキシ化イソプレンゴム、水素添加イソプレンゴム、グラフト化イソプレンゴム等、が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記ゴム組成物において、上記フィラーの含有量(固形分)は、ゴム成分100質量部に対して、5質量部以上が好ましく、7質量部以上がより好ましく、10質量部以上が更に好ましい。また、70質量部以下が好ましく、50質量部以下がより好ましい。ゴム組成物中のフィラーの含有量がこのような範囲であると、前記効果がより好適に得られる。
特に、フィラーの形状が球状の場合には、フィラーの含有量は、5質量部以上が好ましく、10質量部以上がより好ましく、20質量部以上が更に好ましい。他方、70質量部以下が好ましく、50質量部以下がより好ましい。
また、フィラーの形状が繊維状の場合には、フィラーの含有量は、5質量部以上が好ましく、7質量部以上がより好ましく、10質量部以上が更に好ましい。他方、50質量部以下が好ましく、45質量部以下がより好ましく、40質量部以下が更に好ましい。
上記ゴム組成物は、前記性能バランスの観点から、充填剤としてシリカを含むことが好ましい。シリカとしては、乾式法シリカ(無水シリカ)、湿式法シリカ(含水シリカ)などが挙げられる。なかでも、シラノール基が多いという理由から、湿式法シリカが好ましい。市販品としては、デグッサ社、ローディア社、東ソー・シリカ(株)、ソルベイジャパン(株)、(株)トクヤマ等の製品を使用できる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
なお、上記ゴム/フィラー複合体のフィラーとしてシリカを用いる場合には、当該シリカとは別に更にゴム組成物にシリカを配合することを意味する。
シリカの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは25質量部以上、より好ましくは30質量部以上、更に好ましくは50質量部以上である。下限以上にすることで、良好なウェットグリップ性能、操縦安定性が得られる傾向がある。該含有量の上限は特に限定されないが、好ましくは300質量部以下、より好ましくは200質量部以下、更に好ましくは170質量部以下、特に好ましくは100質量部以下、最も好ましくは80質量部以下である。上限以下にすることで、良好な分散性が得られる傾向がある。
シリカの窒素吸着比表面積(NSA)は、好ましくは70m/g以上、より好ましくは140m/g以上、更に好ましくは160m/g以上である。下限以上にすることで、良好なウェットグリップ性能、破壊強度が得られる傾向がある。また、シリカのNSAの上限は特に限定されないが、好ましくは500m/g以下、より好ましくは300m/g以下、更に好ましくは250m/g以下である。上限以下にすることで、良好な分散性が得られる傾向がある。
なお、シリカのNSAは、ASTM D3037-93に準じてBET法で測定される値である。
(シランカップリング剤)
上記ゴム組成物がシリカを含む場合、更にシランカップリング剤を含むことが好ましい。
シランカップリング剤としては、特に限定されず、例えば、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2-トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(4-トリエトキシシリルブチル)テトラスルフィド、ビス(3-トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2-トリメトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(2-トリエトキシシリルエチル)トリスルフィド、ビス(4-トリメトキシシリルブチル)トリスルフィド、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2-トリエトキシシリルエチル)ジスルフィド、ビス(4-トリエトキシシリルブチル)ジスルフィド、ビス(3-トリメトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2-トリメトキシシリルエチル)ジスルフィド、ビス(4-トリメトキシシリルブチル)ジスルフィド、3-トリメトキシシリルプロピル-N,N-ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、2-トリエトキシシリルエチル-N,N-ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3-トリエトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィド、などのスルフィド系、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、2-メルカプトエチルトリエトキシシラン、Momentive社製のNXT、NXT-Zなどのメルカプト系、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシランなどのビニル系、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシランなどのアミノ系、γ-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、などのグリシドキシ系、3-ニトロプロピルトリメトキシシラン、3-ニトロプロピルトリエトキシシランなどのニトロ系、3-クロロプロピルトリメトキシシラン、3-クロロプロピルトリエトキシシランなどのクロロ系などがあげられる。市販品としては、デグッサ社、Momentive社、信越シリコーン(株)、東京化成工業(株)、アヅマックス(株)、東レ・ダウコーニング(株)等の製品を使用できる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
シランカップリング剤の含有量は、シリカ100質量部に対して、3質量部以上が好ましく、6質量部以上がより好ましい。3質量部以上であると、良好な破壊強度等が得られる傾向がある。また、上記含有量は、20質量部以下が好ましく、15質量部以下がより好ましい。20質量部以下であると、配合量に見合った効果が得られる傾向がある。
上記ゴム組成物は、前記性能バランスの観点から、充填剤としてカーボンブラックを含むことが好ましい。カーボンブラックとしては、特に限定されないが、N134、N110、N220、N234、N219、N339、N330、N326、N351、N550、N762等が挙げられる。市販品としては、旭カーボン(株)、キャボットジャパン(株)、東海カーボン(株)、三菱化学(株)、ライオン(株)、新日化カーボン(株)、コロンビアカーボン社等の製品を使用できる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
カーボンブラックの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは3質量部以上である。下限以上にすることで、良好な耐摩耗性、グリップ性能等が得られる傾向がある。また、上記含有量は、好ましくは20質量部以下、より好ましくは15質量部以下である。上限以下にすることで、ゴム組成物の良好な加工性が得られる傾向がある。
カーボンブラックの窒素吸着比表面積(NSA)は、50m/g以上が好ましく、80m/g以上がより好ましく、100m/g以上が更に好ましい。下限以上にすることで、良好な耐摩耗性、グリップ性能が得られる傾向がある。また、上記NSAは、200m/g以下が好ましく、150m/g以下がより好ましく、130m/g以下が更に好ましい。上限以下にすることで、カーボンブラックの良好な分散が得られる傾向がある。
なお、カーボンブラックの窒素吸着比表面積は、JIS K6217-2:2001によって求められる。
上記ゴム組成物は、シリカ、カーボンブラック以外の他の充填剤を配合してもよい。他の充填剤としては、特に限定されないが、炭酸カルシウム、タルク、アルミナ、クレー、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、マイカなどが挙げられる。
なお、上記ゴム/フィラー複合体のフィラーとして粘土鉱物を用いる場合には、当該粘土鉱物とは別に更にゴム組成物に上述のような他の充填剤を配合することを意味する。
上記ゴム組成物は、可塑剤を配合してもよい。可塑剤としては、特に限定されないが、オイル、液状樹脂などが挙げられる。これら可塑剤は、1種を用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
上記オイルとしては、特に限定されず、パラフィン系プロセスオイル、アロマ系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイルなどのプロセスオイル、TDAE、MES等の低PCA(多環式芳香族)プロセスオイル、植物油脂、及びこれらの混合物等、従来公知のオイルを使用できる。なかでも、耐摩耗性及び破壊特性の点では、アロマ系プロセスオイルが好ましい。上記アロマ系プロセスオイルとしては、具体的には、出光興産(株)製のダイアナプロセスオイルAHシリーズ等が挙げられる。
上記液状樹脂としては、特に制限されないが、例えば、液状の芳香族ビニル重合体、クマロンインデン樹脂、インデン樹脂、テルペン樹脂、ロジン樹脂、またはこれらの水素添加物などが挙げられる。
液状芳香族ビニル重合体とは、α-メチルスチレン及び/又はスチレンを重合して得られる樹脂であり、スチレンの単独重合体、α-メチルスチレンの単独重合体、α-メチルスチレンとスチレンとの共重合体などの液状樹脂が挙げられる。
液状クマロンインデン樹脂とは、樹脂の骨格(主鎖)を構成する主なモノマー成分として、クマロン及びインデンを含む樹脂であり、クマロン、インデン以外に骨格に含まれていてもよいモノマー成分としては、スチレン、α-メチルスチレン、メチルインデン、ビニルトルエンなどの液状樹脂が挙げられる。
液状インデン樹脂とは、樹脂の骨格(主鎖)を構成する主なモノマー成分として、インデンを含む液状樹脂である。
液状テルペン樹脂とは、αピネン、βピネン、カンフェル、ジペテンなどのテルペン化合物を重合して得られる樹脂や、テルペン化合物とフェノール系化合物とを原料として得られる樹脂であるテルペンフェノールに代表される液状テルペン系樹脂である。
液状ロジン樹脂とは、天然ロジン、重合ロジン、変性ロジン、これらのエステル化合物、または、これらの水素添加物に代表される液状ロジン系樹脂である。
上記ゴム組成物には、固体樹脂(常温(25℃)で固体状態のポリマー)を配合してもよい。
固体樹脂を含有する場合、その含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは3質量部以上、更に好ましくは5質量部以上である。また、上記含有量は、好ましくは50質量部以下、より好ましくは30質量部以下、更に好ましくは20質量部以下である。上記範囲内であると、良好なウェットグリップ性能が得られる傾向がある。
固体樹脂としては、特に限定されないが、例えば、固体状のスチレン系樹脂、クマロンインデン樹脂、テルペン系樹脂、p-t-ブチルフェノールアセチレン樹脂、アクリル系樹脂、ジシクロペンタジエン系樹脂(DCPD系樹脂)、C5系石油樹脂、C9系石油樹脂、C5C9系石油樹脂等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
固体状のスチレン系樹脂は、スチレン系単量体を構成モノマーとして用いた固体状ポリマーであり、スチレン系単量体を主成分(50質量%以上)として重合させたポリマー等が挙げられる。具体的には、スチレン系単量体(スチレン、o-メチルスチレン、m-メチルスチレン、p-メチルスチレン、α-メチルスチレン、p-メトキシスチレン、p-tert-ブチルスチレン、p-フェニルスチレン、o-クロロスチレン、m-クロロスチレン、p-クロロスチレン等)をそれぞれ単独で重合した単独重合体、2種以上のスチレン系単量体を共重合した共重合体の他、スチレン系単量体及びこれと共重合し得る他の単量体のコポリマーも挙げられる。
上記他の単量体としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのアクリロニトリル類、アクリル類、メタクリル酸などの不飽和カルボン酸類、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチルなどの不飽和カルボン酸エステル類、クロロプレン、ブタジエンイソプレンなどのジエン類、1-ブテン、1-ペンテンのようなオレフィン類;無水マレイン酸等のα,β-不飽和カルボン酸又はその酸無水物;等が例示できる。
なかでも、固体状のα-メチルスチレン系樹脂(α-メチルスチレン単独重合体、α-メチルスチレンとスチレンとの共重合体等)が好ましい。
固体状のクマロンインデン樹脂としては、前述の液状状態のクマロンインデン樹脂と同様の構成単位を有する固体樹脂が挙げられる。
固体状のテルペン系樹脂としては、ポリテルペン、テルペンフェノール、芳香族変性テルペン樹脂などが挙げられる。
ポリテルペンは、テルペン化合物を重合して得られる樹脂及びそれらの水素添加物である。テルペン化合物は、(Cの組成で表される炭化水素及びその含酸素誘導体で、モノテルペン(C1016)、セスキテルペン(C1524)、ジテルペン(C2032)などに分類されるテルペンを基本骨格とする化合物であり、例えば、α-ピネン、β-ピネン、ジペンテン、リモネン、ミルセン、アロオシメン、オシメン、α-フェランドレン、α-テルピネン、γ-テルピネン、テルピノレン、1,8-シネオール、1,4-シネオール、α-テルピネオール、β-テルピネオール、γ-テルピネオールなどが挙げられる。
固体状のポリテルペンとしては、上述したテルペン化合物を原料とするα-ピネン樹脂、β-ピネン樹脂、リモネン樹脂、ジペンテン樹脂、β-ピネン/リモネン樹脂などのテルペン樹脂の他、該テルペン樹脂に水素添加処理した水素添加テルペン樹脂等の固体樹脂も挙げられる。
固体状のテルペンフェノールとしては、上記テルペン化合物とフェノール系化合物とを共重合した固体樹脂、及び該樹脂に水素添加処理した固体樹脂が挙げられ、具体的には、上記テルペン化合物、フェノール系化合物及びホルマリンを縮合させた固体樹脂が挙げられる。なお、フェノール系化合物としては、例えば、フェノール、ビスフェノールA、クレゾール、キシレノールなどが挙げられる。
固体状の芳香族変性テルペン樹脂としては、テルペン樹脂を芳香族化合物で変性して得られる固体樹脂、及び該樹脂に水素添加処理した固体樹脂が挙げられる。なお、芳香族化合物としては、芳香環を有する化合物であれば特に限定されないが、例えば、フェノール、アルキルフェノール、アルコキシフェノール、不飽和炭化水素基含有フェノールなどのフェノール化合物;ナフトール、アルキルナフトール、アルコキシナフトール、不飽和炭化水素基含有ナフトールなどのナフトール化合物;スチレン、アルキルスチレン、アルコキシスチレン、不飽和炭化水素基含有スチレンなどのスチレン誘導体;クマロン、インデンなどが挙げられる。
固体状のp-t-ブチルフェノールアセチレン樹脂としては、p-t-ブチルフェノールとアセチレンとを縮合反応させて得られる固体樹脂が挙げられる。
固体状のアクリル系樹脂としては特に限定されないが、不純物が少なく、分子量分布がシャープな樹脂が得られるという点から、無溶剤型アクリル系固体樹脂を好適に使用できる。
固体状の無溶剤型アクリル樹脂は、副原料となる重合開始剤、連鎖移動剤、有機溶媒などを極力使用せずに、高温連続重合法(高温連続塊重合法)(米国特許第4,414,370号明細書、特開昭59-6207号公報、特公平5-58005号公報、特開平1-313522号公報、米国特許第5,010,166号明細書、東亜合成研究年報TREND2000第3号p42-45等に記載の方法)により合成された(メタ)アクリル系樹脂(重合体)が挙げられる。なお、本明細書において、(メタ)アクリルは、メタクリル及びアクリルを意味する。
固体状のアクリル系樹脂は、実質的に副原料となる重合開始剤、連鎖移動剤、有機溶媒などを含まないことが好ましい。また、上記アクリル系樹脂は、連続重合により得られる組成分布や分子量分布が比較的狭いものが好ましい。
上述のように、固体状のアクリル系樹脂としては、実質的に副原料となる重合開始剤、連鎖移動剤、有機溶媒などを含まないもの、すなわち、純度が高いものが好ましい。固体状のアクリル系樹脂の純度(該樹脂中に含まれる樹脂の割合)は、好ましくは95質量%以上、より好ましくは97質量%以上である。
固体状のアクリル系樹脂を構成するモノマー成分としては、例えば、(メタ)アクリル酸や、(メタ)アクリル酸エステル(アルキルエステル、アリールエステル、アラルキルエステルなど)、(メタ)アクリルアミド、及び(メタ)アクリルアミド誘導体などの(メタ)アクリル酸誘導体が挙げられる。
また、固体状のアクリル系樹脂を構成するモノマー成分として、(メタ)アクリル酸や(メタ)アクリル酸誘導体と共に、スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルナフタレン、ジビニルベンゼン、トリビニルベンゼン、ジビニルナフタレンなどの芳香族ビニルを使用してもよい。
固体状のアクリル系樹脂は、(メタ)アクリル成分のみで構成される樹脂であっても、(メタ)アクリル成分以外の成分をも構成要素とする樹脂であっても良い。
また、固体状のアクリル系樹脂は、水酸基、カルボキシル基、シラノール基等を有していてよい。
可塑剤、固体樹脂としては、例えば、丸善石油化学(株)、住友ベークライト(株)、ヤスハラケミカル(株)、東ソー(株)、Rutgers Chemicals社、BASF社、アリゾナケミカル社、日塗化学(株)、(株)日本触媒、JXエネルギー(株)、荒川化学工業(株)、田岡化学工業(株)等の製品を使用できる。
上記ゴム組成物は、耐クラック性、耐オゾン性等の観点から、老化防止剤を含有することが好ましい。
老化防止剤としては特に限定されないが、フェニル-α-ナフチルアミン等のナフチルアミン系老化防止剤;オクチル化ジフェニルアミン、4,4′-ビス(α,α′-ジメチルベンジル)ジフェニルアミン等のジフェニルアミン系老化防止剤;N-イソプロピル-N′-フェニル-p-フェニレンジアミン、N-(1,3-ジメチルブチル)-N′-フェニル-p-フェニレンジアミン、N,N′-ジ-2-ナフチル-p-フェニレンジアミン等のp-フェニレンジアミン系老化防止剤;2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリンの重合物等のキノリン系老化防止剤;2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール、スチレン化フェノール等のモノフェノール系老化防止剤;テトラキス-[メチレン-3-(3′,5′-ジ-t-ブチル-4′-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン等のビス、トリス、ポリフェノール系老化防止剤などが挙げられる。なかでも、p-フェニレンジアミン系老化防止剤、キノリン系老化防止剤が好ましく、N-(1,3-ジメチルブチル)-N′-フェニル-p-フェニレンジアミン、2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリンの重合物がより好ましい。市販品としては、例えば、精工化学(株)、住友化学(株)、大内新興化学工業(株)、フレクシス社等の製品を使用できる。
老化防止剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.2質量部以上、より好ましくは0.5質量部以上である。下限以上にすることで、充分な耐オゾン性が得られる傾向がある。該含有量は、好ましくは7.0質量部以下、より好ましくは4.0質量部以下である。上限以下にすることで、良好な外観が得られる傾向がある。
上記ゴム組成物は、ステアリン酸を含むことが好ましい。ステアリン酸の含有量は、前記性能バランスの観点から、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.5~10質量部以上、より好ましくは0.5~5質量部である。
なお、ステアリン酸としては、従来公知のものを使用でき、例えば、日油(株)、NOF社、花王(株)、和光純薬工業(株)、千葉脂肪酸(株)等の製品を使用できる。
上記ゴム組成物は、酸化亜鉛を含むことが好ましい。酸化亜鉛の含有量は、前記性能バランスの観点から、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.5~10質量部、より好ましくは1~5質量部である。
なお、酸化亜鉛としては、従来公知のものを使用でき、例えば、三井金属鉱業(株)、東邦亜鉛(株)、ハクスイテック(株)、正同化学工業(株)、堺化学工業(株)等の製品を使用できる。
上記ゴム組成物には、ワックスを配合してもよい。ワックスとしては特に限定されず、石油系ワックス、天然系ワックスなどが挙げられ、また、複数のワックスを精製又は化学処理した合成ワックスも使用可能である。これらのワックスは、単独で使用しても、2種類以上を併用してもよい。
石油系ワックスとしては、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス等が挙げられる。天然系ワックスとしては、石油外資源由来のワックスであれば特に限定されず、例えば、キャンデリラワックス、カルナバワックス、木ろう、ライスワックス、ホホバろうなどの植物系ワックス;ミツロウ、ラノリン、鯨ろうなどの動物系ワックス;オゾケライト、セレシン、ペトロラクタムなどの鉱物系ワックス;及びこれらの精製物などが挙げられる。市販品としては、例えば、大内新興化学工業(株)、日本精蝋(株)、精工化学(株)等の製品を使用できる。なお、ワックスの含有量は、耐オゾン性、コストの点から、適宜設定すれば良い。
上記ゴム組成物には、ポリマー鎖に適度な架橋鎖を形成し、良好な前記性能バランスを付与するという点で、硫黄を配合することが好ましい。
硫黄の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは0.5質量部以上、更に好ましくは0.7質量部以上である。該含有量は、好ましくは6.0質量部以下、より好ましくは4.0質量部以下、更に好ましくは3.0質量部以下である。上記範囲内にすることで、良好な前記性能バランスが得られる傾向がある。
硫黄としては、ゴム工業において一般的に用いられる粉末硫黄、沈降硫黄、コロイド硫黄、不溶性硫黄、高分散性硫黄、可溶性硫黄などが挙げられる。市販品としては、鶴見化学工業(株)、軽井沢硫黄(株)、四国化成工業(株)、フレクシス社、日本乾溜工業(株)、細井化学工業(株)等の製品を使用できる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記ゴム組成物は、加硫促進剤を含むことが好ましい。
加硫促進剤の含有量は特に制限はなく、要望する加硫速度や架橋密度に合わせて自由に決定すれば良いが、ゴム成分100質量部に対して、通常、0.3~10質量部、好ましくは0.5~7質量部である。
加硫促進剤の種類は特に制限はなく、通常用いられているものを使用可能である。加硫促進剤としては、2-メルカプトベンゾチアゾール、ジ-2-ベンゾチアゾリルジスルフィド、N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアジルスルフェンアミド等のチアゾール系加硫促進剤;テトラメチルチウラムジスルフィド(TMTD)、テトラベンジルチウラムジスルフィド(TBzTD)、テトラキス(2-エチルヘキシル)チウラムジスルフィド(TOT-N)等のチウラム系加硫促進剤;N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N-t-ブチル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N-オキシエチレン-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N-オキシエチレン-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N,N’-ジイソプロピル-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド等のスルフェンアミド系加硫促進剤;ジフェニルグアニジン、ジオルトトリルグアニジン、オルトトリルビグアニジン等のグアニジン系加硫促進剤を挙げることができる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、前記性能バランスの観点から、スルフェンアミド系加硫促進剤、グアニジン系加硫促進剤が好ましい。
上記ゴム組成物には、上記成分以外にも、離型剤や顔料等の応用分野に従って、それらの使用に使われる通常の添加物を適宜配合してもよい。
上記ゴム組成物の製造方法としては、公知の方法を用いることができ、例えば、上記各成分をオープンロール、バンバリーミキサーなどのゴム混練装置を用いて混練し、その後加硫する方法などにより製造できる。
混練条件としては、加硫剤及び加硫促進剤以外の添加剤を混練するベース練り工程では、混練温度は、通常50~200℃、好ましくは80~190℃であり、混練時間は、通常30秒~30分、好ましくは1分~30分である。加硫剤、加硫促進剤を混練する仕上げ練り工程では、混練温度は、通常100℃以下、好ましくは室温~80℃である。また、加硫剤、加硫促進剤を混練した組成物は、通常、プレス加硫などの加硫処理が施される。加硫温度としては、通常120~200℃、好ましくは140~180℃である。
上記ゴム組成物は、タイヤ、靴底ゴム、床材ゴム、防振ゴム、免震ゴム、ブチル枠ゴム、ベルト、ホース、パッキン、薬栓、その他のゴム製工業製品等に用いることができる。特に、破断強度、破断時伸び、及び低燃費性をバランス良く改善できることから、タイヤ用ゴム組成物として用いることが好ましい。
上記ゴム組成物は空気入りタイヤに好適に使用できる。上記空気入りタイヤは、上記ゴム組成物を用いて通常の方法により製造される。すなわち、必要に応じて各種材料を配合したゴム組成物を、未加硫の段階でタイヤ部材の形状に合わせて押し出し加工し、他のタイヤ部材とともに、タイヤ成型機上にて通常の方法で成形することにより、未加硫タイヤを形成した後、加硫機中で加熱加圧してタイヤを製造することができる。
実施例に基づいて、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。
以下、実施例及び比較例で使用した各種薬品について、まとめて説明する。
天然ゴムラテックス:Muhibbah LATEKS社から入手したフィールドラテックスを使用
シリカ:デグッサ社製のウルトラシルVN3(NSA:172m/g)
ミクロフィブリル化植物繊維:(株)スギノマシン製のバイオマスナノファイバー(製品名「BiNFi-s セルロース」、平均繊維長:約2μm、平均繊維径:約0.02μm、固形分:2質量%)
セピオライト:楠本化成(株)製のセピオライト(商品名:「PANSIL」、平均粒径:5μm)
アラミド繊維:ラインケミー社製のアラミド繊維(商品名:「AFP-40」、繊維幅:20μm、繊維長:500μm)
老化防止剤:大内新興化学工業(株)製のノクラック6C(N-(1,3-ジメチルブチル)-N’-フェニル-p-フェニレンジアミン)
酸化亜鉛:三井金属鉱業(株)製の亜鉛華2種
ステアリン酸:日油(株)製の椿
硫黄:鶴見化学工業(株)製の粉末硫黄
加硫促進剤:大内新興化学工業(株)製のノクセラ-NS(N-tert-ブチル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド)
<実施例1>
シリカを固形分濃度が5質量%となるように水で希釈し、高速ホモジナイザー(IKAジャパン社製の「magicLAB」、回転数:20000rpm)を用いて室温(20~30℃)で約60分撹拌して均一な水分散液(シリカの水分散液)を調製した。
天然ゴムラテックスの固形分濃度(DRC)を30質量%に調整した後、天然ゴムラテックスのゴム固形分100質量部に対して、上記調製した水分散液をシリカの乾燥重量(固形分)が10質量部となるように添加し、高速ホモジナイザー(IKAジャパン社製の「T50」、回転数:8000rpm)を用いて25℃で5分撹拌、混合して、ゴムラテックス分散液(配合ラテックス)を調製した(pH10.5)。
次いで、室温下で1質量%ギ酸及び0.5質量%塩化カルシウム含有水溶液(凝固液)に当該配合ラテックスを250g/分(ゴム固形分:20g/分、シリカ:2g/分)の速度で連続的に添加しながら、電子制御撹拌機(500rpm、室温、10分)で撹拌して、凝固物を得た。得られた凝固物をろ過し、乾燥してゴム/フィラー複合体1-1を得た。
<比較例1>
室温下で配合ラテックスに凝固液を連続的に添加した以外、実施例1と同様にして、ゴム/フィラー複合体1-2を得た。
<実施例2>
ミクロフィブリル化植物繊維を水に分散させた分散液を固形分濃度が0.5質量%となるように水で希釈し、これを室温(20~30℃)で撹拌、及び超音波処理を10分間行い、ミクロフィブリル化植物繊維の水分散液を得た。
天然ゴムラテックスの固形分濃度(DRC)を30質量%に調整した後、天然ゴムラテックスのゴム固形分100質量部に対して、上記調製した水分散液をミクロフィブリル化植物繊維の乾燥重量(固形分)が10質量部となるように添加し、高速ホモジナイザー(IKAジャパン社製の「T50」、回転数:8000rpm)を用いて25℃で5分撹拌、混合して、ゴムラテックス分散液(配合ラテックス)を調製した(pH10.5)。
次いで、室温下で1質量%ギ酸及び0.5質量%塩化カルシウム含有水溶液(凝固液)に当該配合ラテックスを500g/分(ゴム固形分:20g/分、ミクロフィブリル化植物繊維:2g/分)の速度で連続的に添加しながら、電子制御撹拌機(500rpm、室温、10分)で撹拌して、凝固物を得た。得られた凝固物をろ過し、乾燥してゴム/フィラー複合体2-1を得た。
<比較例2>
室温下で配合ラテックスに凝固液を連続的に添加した以外、実施例2と同様にして、ゴム/フィラー複合体2-2を得た。
<実施例3>
セピオライトを固形分濃度が2質量%となるように水で希釈し、電子制御撹拌機(IKAジャパン社製の「Eurostar」、回転数:500rpm)を用いて室温(20~30℃)で約24時間撹拌して均一な水分散液(セピオライトの水分散液)を調製した。
天然ゴムラテックスの固形分濃度(DRC)を30質量%に調整した後、天然ゴムラテックスのゴム固形分100質量部に対して、上記調製した水分散液をセピオライトの乾燥重量(固形分)が10質量部となるように添加し、高速ホモジナイザー(IKAジャパン社製の「T50」、回転数:8000rpm)を用いて25℃で5分撹拌、混合して、ゴムラテックス分散液(配合ラテックス)を調製した(pH10.5)。
次いで、室温下で1質量%ギ酸及び0.5質量%塩化カルシウム含有水溶液(凝固液)に当該配合ラテックスを300g/分(ゴム固形分:20g/分、セピオライト:2g/分)の速度で連続的に添加しながら、電子制御撹拌機(500rpm、室温、10分)で撹拌して、凝固物を得た。得られた凝固物をろ過し、乾燥してゴム/フィラー複合体3-1を得た。
<比較例3>
室温下で配合ラテックスに凝固液を連続的に添加した以外、実施例3と同様にして、ゴム/フィラー複合体3-2を得た。
<実施例4>
アラミド繊維を固形分濃度が0.5質量%となるように水で希釈し、高速ホモジナイザー(IKAジャパン社製の「magicLAB」、回転数:20000rpm)を用いて室温(20~30℃)で約60分撹拌して均一な水分散液(アラミド繊維の水分散液)を調製した。
天然ゴムラテックスの固形分濃度(DRC)を30質量%に調整した後、天然ゴムラテックスのゴム固形分100質量部に対して、上記調製した水分散液をアラミド繊維の乾燥重量(固形分)が10質量部となるように添加し、高速ホモジナイザー(IKAジャパン社製の「T50」、回転数:8000rpm)を用いて25℃で5分撹拌、混合して、ゴムラテックス分散液(配合ラテックス)を調製した(pH10.5)。
次いで、室温下で1質量%ギ酸及び0.5質量%塩化カルシウム含有水溶液(凝固液)に当該配合ラテックスを500g/分(ゴム固形分:20g/分、アラミド繊維:2g/分)の速度で連続的に添加しながら、電子制御撹拌機(500rpm、室温、10分)で撹拌して、凝固物を得た。得られた凝固物をろ過し、乾燥してゴム/フィラー複合体4-1を得た。
<比較例4>
室温下で配合ラテックスに凝固液を連続的に添加した以外、実施例4と同様にして、ゴム/フィラー複合体4-2を得た。
実施例1~4、比較例1~4において、凝固物をろ過する際のろ過速度について、凝固物500gをろ過するのにかかる時間を測定し、評価した。結果を表1に示した。
なお、ろ過は、プラスチックざるに不織布を敷いて、その上に凝固物をのせることで行った。
Figure 0007172078000001
表1から、配合ラテックスを凝固液に投入する実施例1~4では、配合ラテックスに凝固液を投入する比較例1~4に比べて、ろ過にかかる時間が短く、ろ過速度が速くなっており、ゴム/フィラー複合体を得る際のろ過性に優れることが明らかとなった。
<実施例11~14及び比較例11~14>
表2に示す配合に従って、1.7Lバンバリーミキサーを用いて、硫黄及び加硫促進剤以外の薬品を130℃で4分間混練りした。次に、ロールを用いて、得られた混練り物に硫黄及び加硫促進剤を添加して80℃で4分間練り込み、未加硫ゴム組成物を得た。得られた未加硫ゴム組成物を170℃で12分間プレス加硫して加硫物を得た。得られた加硫物を下記により評価し、結果を表2に示した。
(破断強度・破断時伸び)
加硫物を用いて3号ダンベル型ゴム試験片を作製し、JIS K6251「加硫ゴム及び熱可塑性ゴム-引張特性の求め方」に準じて引張試験を行い、破断強度(TB)、破断時伸び(EB)を測定した。比較例11のゴム試験片(基準試験片)のTB指数、EB指数をそれぞれ100とし、下記計算式により、実施例11の配合(加硫物)のTB、EBを指数表示した。TB指数が大きいほど破断強度が大きく補強性に優れ、EB指数が大きいほど破断時伸びが大きく耐クラック性に優れることを示す。
(TB指数)=(実施例11の配合のTB)/(基準試験片のTB)×100
(EB指数)=(実施例11の配合のEB)/(基準試験片のEB)×100
同様に、実施例12の配合(加硫物)のTB、EBは、比較例12のゴム試験片を基準試験片として、実施例13の配合(加硫物)のTB、EBは、比較例13のゴム試験片を基準試験片として、実施例14の配合(加硫物)のTB、EBは、比較例14のゴム試験片を基準試験片として、それぞれ指数表示した。
(転がり抵抗)
粘弾性スペクトロメーターVES((株)岩本製作所製)を用いて、温度50℃、初期歪み10%、動歪み2%、周波数10Hzの条件下で各配合(加硫物)のtanδを測定した。比較例11のゴム試験片(基準試験片)のtanδを100として、下記計算式により実施例11の配合(加硫物)のtanδを指数表示した(転がり抵抗指数)。指数が大きいほど転がり抵抗特性(低燃費性)が優れる。
(転がり抵抗指数)=(基準試験片のtanδ)/(実施例11の配合のtanδ)×100
同様に、実施例12の配合(加硫物)のtanδは、比較例12のゴム試験片を基準試験片として、実施例13の配合(加硫物)のtanδは、比較例13のゴム試験片を基準試験片として、実施例14の配合(加硫物)のtanδは、比較例14のゴム試験片を基準試験片として、それぞれ指数表示した。
(フィラー分散性)
ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン社製のゴム試験機動的粘弾性装置「RPA」で、各配合(加硫物)の弾性率G*を歪み1%から64%まで測定した。ΔG*を以下の式から算出して、フィラーの分散性の指標とした。
ΔG*=G*max〔G*の最大値〕-G*min〔G*の最小値〕
比較例11のゴム試験片(基準試験片)のΔG*を100として、下記計算式により実施例11の配合(加硫物)のΔG*を指数表示した(フィラー分散性指数)。指数が大きいほどフィラーの分散性に優れる。
(フィラー分散性指数)=(実施例11の配合のΔG*)/(基準試験片のΔG*)×100
同様に、実施例12の配合(加硫物)のΔG*は、比較例12のゴム試験片を基準試験片として、実施例13の配合(加硫物)のΔG*は、比較例13のゴム試験片を基準試験片として、実施例14の配合(加硫物)のΔG*は、比較例14のゴム試験片を基準試験片として、それぞれ指数表示した。
Figure 0007172078000002
表2から、ゴムラテックスとフィラーとを混合して配合ラテックスを調製する工程(1)、及び、工程(1)で得られた配合ラテックスを凝固液に投入し凝固物を得る工程(2)を含む製造方法で得られるゴム/フィラー複合体を用いた実施例11~14では、それぞれの基準比較例に比べ、フィラーの分散性が向上し、タイヤに要求される破断強度、破断時伸び、及び低燃費性が高い次元でバランスよく得られた。

Claims (3)

  1. 天然ゴムラテックスとフィラーとを混合して配合ラテックスを調製する工程(1)、及び、前記工程(1)で得られた配合ラテックスを凝固液に投入し凝固物を得る工程(2)を含み、
    前記フィラーが、シリカ、ミクロフィブリル化植物繊維、粘土鉱物、及び短繊維状フィラーからなる群より選択される少なくとも1種であり、
    前記工程(1)において、天然ゴムラテックスのゴム固形分100質量部に対して、前記フィラーの含有量が5~70質量部であり、
    前記凝固液が、酸及び塩であるゴム/フィラー複合体の製造方法。
  2. 請求項記載のゴム/フィラー複合体の製造方法を用いて作製したゴム/フィラー複合体を混練する工程を含むゴム組成物の製造方法。
  3. 請求項記載のゴム/フィラー複合体の製造方法を用いて作製したゴム/フィラー複合体を混練する工程を含む空気入りタイヤの製造方法。
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