JP2022118521A - ゴム組成物及び複合体 - Google Patents

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大輔 佐藤
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Abstract

【課題】高速走行時の操縦安定性を改善できるゴム組成物、複合体及びタイヤを提供する。【解決手段】ムーニー粘度V、複素弾性率E*〔MPa〕が下記式(1)を満たすゴム組成物。(1)V/E*≦3.0(式中、Vは、温度130℃におけるムーニー粘度ML1+4を表す。E*は、温度30℃、初期歪5%、動歪±1%、周波数10Hzの条件下における複素弾性率を表す。)【選択図】なし

Description

本発明は、ゴム組成物、複合体及びこれらを用いたタイヤに関する。
カーボンブラック、シリカ等のフィラー(充填剤)としてゴム組成物に配合してゴム組成物を補強し、モジュラス(複素弾性率)を向上する技術が提案され、例えば、非イオン性又は陽イオン性界面活性剤の存在下で、天然ゴムラテックスと平均粒子径1μm以下の微粒子シリカ分散液とを混合した配合ラテックスからシリカ・天然ゴム複合体を製造する方法など、種々のフィラーを分散する技術が開示されている(特許文献1など参照)。
特開2012-107211号公報
しかしながら、高速道で長距離走行することも普及した昨今では、高速走行時の操縦安定性の更なる改善が望まれている。
本発明は、前記課題を解決し、高速走行時の操縦安定性を改善できるゴム組成物、複合体及びタイヤを提供することを目的とする。
本発明は、ムーニー粘度V、複素弾性率E〔MPa〕が下記式(1)を満たすゴム組成物に関する。
(1)V/E≦3.0
(式中、Vは、温度130℃におけるムーニー粘度ML1+4を表す。Eは、温度30℃、初期歪5%、動歪±1%、周波数10Hzの条件下における複素弾性率を表す。)
前記ゴム組成物は、窒素吸着比表面積190m/g以上のシリカを含むことが好ましい。
前記ゴム組成物は、非イオン性界面活性剤及び陰イオン性界面活性剤を含むことが好ましい。
前記ゴム組成物は、イソプレン系ゴム、シリカ、非イオン性界面活性剤及び陰イオン性界面活性剤を混合して得られる複合体を含むことが好ましい。
前記ゴム組成物は、前記ムーニー粘度V、前記複素弾性率E〔MPa〕が下記式を満たすことが好ましい。
V/E≦2.2
前記ゴム組成物は、前記ムーニー粘度Vが下記式を満たす請求項1~5のいずれかに記載のゴム組成物。
V≦40.0
前記複素弾性率E〔MPa〕が下記式を満たすことが好ましい。
≧8.0MPa
前記ゴム組成物は、エーテル型非イオン性界面活性剤、エステル型非イオン性界面活性剤及びエーテルエステル型非イオン性界面活性剤からなる群より選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。
前記ゴム組成物は、カルボン酸系陰イオン性界面活性剤、スルホン酸系陰イオン性界面活性剤、硫酸エステル系陰イオン性界面活性剤及びリン酸エステル系陰イオン性界面活性剤からなる群より選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。
本発明は、界面活性剤及びフィラー分散液を混合し混合液を作製する工程と、作製された前記混合液及びゴムラテックスを混合する工程とを含む製造方法により得られる複合体であって、前記界面活性剤は、非イオン界面活性剤及び陰イオン性界面活性剤を含み、前記フィラーは、シリカを含み、前記ゴムラテックスは、イソプレン系ゴムを含む複合体に関する。
前記複合体は、窒素吸着比表面積190m/g以上のシリカを含むことが好ましい。
本発明はまた、前記ゴム組成物又は前記複合体を用いたタイヤに関する。
本発明によれば、ムーニー粘度V、複素弾性率E〔MPa〕が前記式(1)を満たすゴム組成物であるので、高速走行時の操縦安定性を改善できる。
(1)V/E≦3.0
(式中、Vは、温度130℃におけるムーニー粘度ML1+4を表す。Eは、温度30℃、初期歪5%、動歪±1%、周波数10Hzの条件下における複素弾性率を表す。)
本発明は、ムーニー粘度V、複素弾性率Eが前記式(1)を満たすゴム組成物である。該ゴム組成物により、良好な高速走行時の操縦安定性を付与できる。
前述の作用効果が得られる理由は必ずしも明らかではないが、以下のメカニズムにより奏するものと推察される。
操縦安定性の向上にはゴム組成物の剛性を高める必要があるが、タイヤ周上にゲージのバラつきが生じると、分厚い部分と薄い部分とで応力の発生に差が生じる。そのため、路面に繰り返しゴム組成物が接する頻度が高い高速走行時では、この差による影響が顕著なものとなり、高速走行時の操縦安定性は、単なる剛性の向上だけでは改善しきれないと考えられる。本発明は、ゴム組成物の130℃におけるムーニー粘度を低くしつつ、初期歪5%、動歪±1%、周波数10Hzの条件下における複素弾性率Eを高めることで、前記式(1)を充足させることにより、加硫時のゴム流れ(ゲージ)をタイヤ周上で均一なものとしつつ、ゴムの剛性を高くすることが可能となる。よって、路面に繰り返しゴムが接する頻度が高い高速走行時において、タイヤ周上でのゴムゲージが均一となり、周上での応力も均一かつ高い状態となる為、高い操縦安定性を付与できる。従って、前記式(1)を満たすことで、高速走行時の操縦安定性が顕著に改善されると推察される。
このように、ムーニー粘度V、複素弾性率Eが前記式(1)を満たすゴム組成物の構成にすることにより、高速走行時の操縦安定性を改善するという課題(目的)を解決するものである。すなわち、式(1)「V/E≦3.0」のパラメーターは課題(目的)を規定したものではなく、本願の課題は、高速走行時の操縦安定性を改善することであり、そのための解決手段として当該パラメーターを満たすような構成にしたものである。
ゴム組成物は、ムーニー粘度V(未加硫のゴム組成物のムーニー粘度V)、複素弾性率E〔MPa〕(加硫後のゴム組成物の複素弾性率E)が下記式(1)を満たす。
(1)V/E≦3.0
(式中、Vは、温度130℃におけるムーニー粘度ML1+4を表す。Eは、温度30℃、初期歪5%、動歪±1%、周波数10Hzの条件下における複素弾性率を表す。)
V/Eは、高速走行時の操縦安定性の観点から、2.7以下が好ましく、2.4以下がより好ましく、2.2以下が更に好ましく、2.0以下が特に好ましく、1.8以下が最も好ましい。V/Eの下限は特に限定されないが、0.3以上が好ましく、0.5以上がより好ましく、0.7以上が更に好ましく、0.9以上が特に好ましい。
ゴム組成物は、高速走行時の操縦安定性の観点から、前記ムーニー粘度V(未加硫のゴム組成物のムーニー粘度V)が下記式を満たすことが好ましい。
V≦40.0
Vは、35.0以下が好ましく、30.0以下がより好ましく、28.0以下が更に好ましく、26.0以下が特に好ましく、24.0以下が最も好ましい。Vの下限は特に限定されないが、10.0以上が好ましく、15.0以上がより好ましく、18.0以上が更に好ましく、20.0以上が特に好ましい。
ゴム組成物は、高速走行時の操縦安定性の観点から、複素弾性率E〔MPa〕(加硫後のゴム組成物の複素弾性率E)が下記式を満たすことが好ましい。
≧8.0MPa
は、9.0MPa以上が好ましく、10.0MPa以上がより好ましく、10.5MPa以上が更に好ましく、11.0MPa以上が特に好ましく、12.0MPa以上が最も好ましい。Eの上限は特に限定されないが、20.0MPa以下が好ましく、18.0MPa以下がより好ましく、16.0MPa以下が更に好ましい。
ゴム組成物(未加硫のゴム組成物)のムーニー粘度V(ML1+4(130℃))は、ゴム組成物に配合される薬品(特に、ゴム成分、フィラー、軟化剤、硫黄、加硫促進剤、シランカップリング剤、界面活性剤)の種類や量により調整が可能である。例えば、界面活性剤の使用、低ムーニー粘度のゴムの使用、フィラーの減量により、Vが小さくなる傾向がある。
ゴム組成物(加硫後のゴム組成物)の複素弾性率Eは、ゴム組成物に配合される薬品(特に、ゴム成分、フィラー、軟化剤、硫黄、加硫促進剤、シランカップリング剤)の種類や量により調整が可能である。例えば、軟化剤の減量、フィラーの増量、硫黄の増量、加硫促進剤の増量より、Eが大きくなる傾向がある。
ゴム組成物のV/Eは、ゴム組成物に配合される薬品(特に、ゴム成分、フィラー、軟化剤、硫黄、加硫促進剤、シランカップリング剤、界面活性剤)の種類や量により調整が可能である。例えば、界面活性剤(特に、ノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤)の使用、低ムーニー粘度のゴムの使用、窒素吸着比表面積が大きいシリカの使用や界面活性剤との組み合わせにより、V/Eが小さくなる傾向がある。
なお、ムーニー粘度Vは、未加硫のゴム組成物のムーニー粘度ML1+4(130℃)、複素弾性率Eは、加硫後のゴム組成物の複素弾性率(温度30℃、初期歪5%、動歪±1%、周波数10Hzの条件)であり、具体的には、後述の実施例に記載の方法で測定できる。
(ゴム成分)
ゴム組成物に使用可能なゴム成分としては、例えば、ジエン系ゴムを使用できる。ジエン系ゴムとしては、イソプレン系ゴム、ブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、スチレンイソプレンブタジエンゴム(SIBR)、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、クロロプレンゴム(CR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)などが挙げられる。また、ブチル系ゴム、フッ素ゴムなども挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、高速走行時の操縦安定性の観点から、イソプレン系ゴム、BR、SBR、が好ましく、イソプレン系ゴムがより好ましい。
上記ジエン系ゴムは、非変性ジエン系ゴムでもよいし、変性ジエン系ゴムでもよい。
変性ジエン系ゴムとしては、シリカ等の充填剤と相互作用する官能基を有するジエン系ゴムであればよく、例えば、ジエン系ゴムの少なくとも一方の末端を、上記官能基を有する化合物(変性剤)で変性された末端変性ジエン系ゴム(末端に上記官能基を有する末端変性ジエン系ゴム)や、主鎖に上記官能基を有する主鎖変性ジエン系ゴムや、主鎖及び末端に上記官能基を有する主鎖末端変性ジエン系ゴム(例えば、主鎖に上記官能基を有し、少なくとも一方の末端を上記変性剤で変性された主鎖末端変性ジエン系ゴム)や、分子中に2個以上のエポキシ基を有する多官能化合物により変性(カップリング)され、水酸基やエポキシ基が導入された末端変性ジエン系ゴム等が挙げられる。
上記官能基としては、例えば、アミノ基、アミド基、シリル基、アルコキシシリル基、イソシアネート基、イミノ基、イミダゾール基、ウレア基、エーテル基、カルボニル基、オキシカルボニル基、メルカプト基、スルフィド基、ジスルフィド基、スルホニル基、スルフィニル基、チオカルボニル基、アンモニウム基、イミド基、ヒドラゾ基、アゾ基、ジアゾ基、カルボキシル基、ニトリル基、ピリジル基、アルコキシ基、水酸基、オキシ基、エポキシ基等が挙げられる。なお、これらの官能基は、置換基を有していてもよい。なかでも、アミノ基(好ましくはアミノ基が有する水素原子が炭素数1~6のアルキル基に置換されたアミノ基)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1~6のアルコキシ基)、アルコキシシリル基(好ましくは炭素数1~6のアルコキシシリル基)が好ましい。
イソプレン系ゴムとしては、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、改質NR、変性NR、変性IR等が挙げられる。NRとしては、例えば、SIR20、RSS♯3、TSR20等、ゴム工業において一般的なものを使用できる。IRとしては、特に限定されず、例えば、IR2200等、ゴム工業において一般的なものを使用できる。改質NRとしては、脱タンパク質天然ゴム(DPNR)、高純度天然ゴム(UPNR)等、変性NRとしては、エポキシ化天然ゴム(ENR)、水素添加天然ゴム(HNR)、グラフト化天然ゴム等、変性IRとしては、エポキシ化イソプレンゴム、水素添加イソプレンゴム、グラフト化イソプレンゴム等、が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ゴム組成物において、ゴム成分100質量%中のイソプレン系ゴムの含有量は、好ましくは5質量%以上、より好ましくは50質量%以上、更に好ましくは75質量%以上、特に好ましくは85質量%以上であり、100質量%でもよい。上記範囲内にすることで、高速走行時の操縦安定性が改善される傾向がある。
BRは特に限定されず、例えば、高シス含量のハイシスBR、シンジオタクチックポリブタジエン結晶を含有するBR、希土類系触媒を用いて合成したBR(希土類BR)等を使用できる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、BRは、シス含量が90質量%以上のハイシスBRを含むことが好ましい。該シス含量は、95質量%以上がより好ましい。なお、シス含量は、赤外吸収スペクトル分析法によって測定できる。
また、BRは、非変性BR、変性BRのいずれも使用可能である。変性BRとしては、変性ジエン系ゴムと同様の官能基が導入された変性BRが挙げられる。また、BRは、水素添加ブタジエン重合体(水添BR)も使用可能である。
BRとしては、例えば、宇部興産(株)、JSR(株)、旭化成(株)、日本ゼオン(株)等の製品を使用できる。
ゴム組成物がBRを含む場合、ゴム成分100質量%中のBRの含有量は、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは15質量%以上である。上限は、好ましくは50質量%以下、より好ましくは30質量%以下、更に好ましくは20質量%以下である。上記範囲内にすることで、高速走行時の操縦安定性が改善される傾向がある。
SBRとしては特に限定されず、例えば、乳化重合スチレンブタジエンゴム(E-SBR)、溶液重合スチレンブタジエンゴム(S-SBR)等を使用できる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
SBRのスチレン含有量は、好ましくは5質量%以上、より好ましくは20質量%以上、更に好ましくは25質量%以上である。該スチレン含有量は、好ましくは45質量%以下、より好ましくは40質量%以下、更に好ましくは35質量%以下である。上記範囲内にすることで、高速走行時の操縦安定性が改善される傾向がある。
なお、本明細書において、スチレン含有量は、H-NMR測定によって測定できる。
SBRのビニル結合量は、好ましくは3質量%以上、より好ましくは5質量%以上、更に好ましくは7質量%以上である。該ビニル結合量は、好ましくは25質量%以下、より好ましくは15質量%以下、更に好ましくは13質量%以下である。上記範囲内にすることで、高速走行時の操縦安定性が改善される傾向がある。
なお、本明細書において、ビニル結合量(1,2-結合ブタジエン単位量)は、赤外吸収スペクトル分析法によって測定できる。
SBRは、非変性SBR、変性SBRのいずれも使用可能である。変性SBRとしては、変性ジエン系ゴムと同様の官能基が導入された変性SBRが挙げられる。また、SBRとして、水素添加スチレン-ブタジエン共重合体(水添SBR)も使用可能である。
SBRとしては、例えば、住友化学(株)、JSR(株)、旭化成(株)、日本ゼオン(株)等により製造・販売されているSBRを使用できる。
ゴム組成物がSBRを含む場合、ゴム成分100質量%中のSBRの含有量は、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは15質量%以上である。上限は、好ましくは50質量%以下、より好ましくは30質量%以下、更に好ましくは20質量%以下である。上記範囲内にすることで、高速走行時の操縦安定性が改善される傾向がある。
(フィラー)
ゴム組成物は、高速走行時の操縦安定性の観点から、フィラーを含むことが望ましい。
フィラー(充填材)としては特に限定されず、ゴム分野で公知の材料を使用でき、例えば、シリカ、カーボンブラック、炭酸カルシウム、タルク、アルミナ、クレイ、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、マイカなどの無機フィラー;難分散性フィラー等が挙げられる。なかでも、高速走行時の操縦安定性の観点から、シリカ;カーボンブラックなどの炭素由来フィラー(炭素含有フィラー)が好ましく、シリカがより好ましい。
ゴム組成物において、フィラーの含有量(フィラーの総量)は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは5質量部以上、より好ましくは30質量部以上、更に好ましくは40質量部以上、特に好ましくは50質量部以上である。該含有量の上限は、好ましくは200質量部以下、より好ましくは150質量部以下、更に好ましくは130質量部以下、特に好ましくは120質量部以下である。上記範囲内にすることで、高速走行時の操縦安定性が改善される傾向がある。
使用可能なシリカとしては、乾式法シリカ(無水シリカ)、湿式法シリカ(含水シリカ)などが挙げられる。なかでも、シラノール基が多いという理由から、湿式法シリカが好ましい。市販品としては、デグッサ社、ローディア社、東ソー・シリカ(株)、ソルベイジャパン(株)、(株)トクヤマ等の製品を使用できる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
シリカの窒素吸着比表面積(NSA)は、好ましくは50m/g以上、より好ましくは100m/g以上、更に好ましくは150m/g以上、特に好ましくは180m/g以上、最も好ましくは190m/g以上である。また、シリカのNSAの上限は特に限定されないが、好ましくは350m/g以下、より好ましくは300m/g以下、更に好ましくは250m/g以下である。上記範囲内にすることで、高速走行時の操縦安定性が改善される傾向がある。特に、NSA190m/g以上のような微粒子シリカを用いることで、十分な補強性が得られるため、本願特定のパラメーターを満たしやすく、かつ高速走行時の操縦安定性の向上効果も大きい傾向がある。
なお、シリカのNSAは、ASTM D3037-93に準じてBET法で測定される値である。
ゴム組成物において、シリカの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは5質量部以上、より好ましくは30質量部以上、更に好ましくは40質量部以上、特に好ましくは50質量部以上である。該含有量の上限は、好ましくは200質量部以下、より好ましくは150質量部以下、更に好ましくは130質量部以下、特に好ましくは120質量部以下である。上記範囲内にすることで、高速走行時の操縦安定性が改善される傾向がある。
ゴム組成物がシリカを含む場合、更にシランカップリング剤を含むことが好ましい。
シランカップリング剤としては、特に限定されず、ゴム分野で公知のものが使用可能であり、例えば、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2-トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(4-トリエトキシシリルブチル)テトラスルフィド、ビス(3-トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2-トリメトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(2-トリエトキシシリルエチル)トリスルフィド、ビス(4-トリメトキシシリルブチル)トリスルフィド、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2-トリエトキシシリルエチル)ジスルフィド、ビス(4-トリエトキシシリルブチル)ジスルフィド、ビス(3-トリメトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2-トリメトキシシリルエチル)ジスルフィド、ビス(4-トリメトキシシリルブチル)ジスルフィド、3-トリメトキシシリルプロピル-N,N-ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、2-トリエトキシシリルエチル-N,N-ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3-トリエトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィド、などのスルフィド系、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、2-メルカプトエチルトリエトキシシラン、Momentive社製のNXT、NXT-Zなどのメルカプト系、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシランなどのビニル系、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシランなどのアミノ系、γ-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、などのグリシドキシ系、3-ニトロプロピルトリメトキシシラン、3-ニトロプロピルトリエトキシシランなどのニトロ系、3-クロロプロピルトリメトキシシラン、3-クロロプロピルトリエトキシシランなどのクロロ系などがあげられる。市販品としては、デグッサ社、Momentive社、信越シリコーン(株)、東京化成工業(株)、アヅマックス(株)、東レ・ダウコーニング(株)等の製品を使用できる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ゴム組成物において、シランカップリング剤の含有量は、シリカ100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは3質量部以上、更に好ましくは5質量部以上、特に好ましくは7質量部以上である。該含有量の上限は、好ましくは50質量部、より好ましくは20質量部以下、更に好ましくは15質量部以下、特に好ましくは10質量部以下である。上記範囲内にすることで、高速走行時の操縦安定性が改善される傾向がある。
ゴム組成物に使用可能なカーボンブラックとしては、特に限定されないが、N134、N110、N220、N234、N219、N339、N330、N326、N351、N550、N762等が挙げられる。市販品としては、旭カーボン(株)、キャボットジャパン(株)、東海カーボン(株)、三菱化学(株)、ライオン(株)、新日化カーボン(株)、コロンビアカーボン社等の製品を使用できる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
カーボンブラックの窒素吸着比表面積(NSA)は、30m/g以上が好ましく、50m/g以上がより好ましく、70m/g以上が更に好ましい。また、上記NSAは、200m/g以下が好ましく、150m/g以下がより好ましく、130m/g以下が更に好ましく、120m/g以下が更に好ましい。上記範囲内にすることで、高速走行時の操縦安定性が改善される傾向がある。
ゴム組成物において、カーボンブラックの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは3質量部以上、更に好ましくは5質量部以上である。該含有量の上限は、好ましくは50質量部以下、より好ましくは30質量部以下、更に好ましくは20質量部以下、特に好ましくは10質量部以下である。上記範囲内にすることで、高速走行時の操縦安定性が改善される傾向がある。
難分散性フィラーとしては、例えば、ミクロフィブリル化植物繊維、短繊維状セルロース、ゲル状化合物等が挙げられる。なかでも、ミクロフィブリル化植物繊維が好ましい。
上記ミクロフィブリル化植物繊維としては、良好な補強性が得られるという点から、セルロースミクロフィブリルが好ましい。セルロースミクロフィブリルとしては、天然物由来のものであれば特に制限されず、例えば、果実、穀物、根菜などの資源バイオマス、木材、竹、麻、ジュート、ケナフ、及びこれらを原料として得られるパルプや紙、布、農作物残廃物、食品廃棄物や下水汚泥などの廃棄バイオマス、稲わら、麦わら、間伐材などの未使用バイオマスの他、ホヤ、酢酸菌等の生産するセルロースなどに由来するものが挙げられる。これらのミクロフィブリル化植物繊維は、1種を用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
なお、本明細書において、セルロースミクロフィブリルとは、典型的には、平均繊維径が10μm以下の範囲内であるセルロース繊維、より典型的には、セルロース分子の集合により形成されている平均繊維径500nm以下の微小構造を有するセルロース繊維を意味する。典型的なセルロースミクロフィブリルは、例えば、上記のような平均繊維径を有するセルロース繊維の集合体として形成されている。
ゴム組成物において、難分散性フィラーの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは3質量部以上、更に好ましくは5質量部以上である。該含有量の上限は、好ましくは50質量部以下、より好ましくは30質量部以下、更に好ましくは20質量部以下、特に好ましくは10質量部以下である。上記範囲内にすることで、高速走行時の操縦安定性が改善される傾向がある。
(界面活性剤)
ゴム組成物は、高速走行時の操縦安定性の観点から、界面活性剤を含むことが望ましい。
界面活性剤は、疎水性基及び親水性基を有する化合物であり、例えば、非イオン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、両性界面活性剤が挙げられる。界面活性剤は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよいが、2種以上を併用することが好ましい。なかでも、高速走行時の操縦安定性の観点から、非イオン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤が好ましく、非イオン性界面活性剤及び陰イオン性界面活性剤を併用することがより好ましい。
前述の作用効果が得られる理由は必ずしも明らかではないが、以下のメカニズムにより奏するものと推察される。
例えば、フィラーとしてシリカを用いた場合、先ず、非イオン性界面活性剤によりシリカの凝集が解きほぐされると共に、解きほぐされたシリカ表面のSiOHと陰イオン性界面活性剤のCOO等のアニオン性基との水素結合による強固な吸着が生じ、シリカ分散液などにおいて、シリカを安定的に分散させることが可能となる。次いで、このようなシリカを安定化させた分散液とゴムラテックス等のゴム成分とを混合すると、陰イオン性界面活性剤の疎水性基とゴムに相互作用が生じ、ゴム粒子の周りにシリカが界面活性剤を介して吸着する。そして、作製されたゴム、シリカ等の混合物を更にロール等で混合することで、ゆるく凝集しているシリカが分散し、シリカがゴム全体に分散したシリカ・ゴム複合体(マスターバッチ)が得られる。従って、このような複合体をゴム組成物に用いることで、優れた高速走行時の操縦安定性が得られると推察される。
非イオン性界面活性剤は特に限定されず、公知のものを使用可能であり、例えば、エーテル型非イオン性界面活性剤、エステル型非イオン性界面活性剤、エーテルエステル型非イオン性界面活性剤などを好適に使用できる。
エーテル型非イオン性界面活性剤としては特に限定されず、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリブチレンアルキルエーテルなどのポリオキシアルキレンアルキルエーテル;ポリオキシエチレンアルケニルエーテルなどのポリオキシアルキレンアルケニルエーテル;ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル;高級脂肪酸アルカノールアミドなど、従来公知のものを使用できる。
エーテル型非イオン性界面活性剤の好適な具体例としては、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンベヘニルエーテル、ポリオキシエチレン2-オクチルドデシルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルケニルエーテルが例示できる。
エーテル型非イオン性界面活性剤として、下記式(I-1)~(I-3)で表される化合物を好適に使用できる。なかでも、下記式(I-1)で表される化合物が特に好適に用いられる。
11-O-(EO)x1-H (I-1)
(式において、R11は炭素数3~50のアルキル基又は炭素数3~50のアルケニル基を表す。EOはオキシエチレン基を表す。平均付加モル数x1は3~100である。)
11の炭素数は、好ましくは5~30、より好ましくは8~20である。上記x1は、好ましくは5~50、より好ましくは8~30である。
12-O-(AO)y1(EO)z1-H (I-2)
(式において、R12は炭素数3~50のアルキル基又は炭素数3~50のアルケニル基を表す。AOはオキシプロピレン基又はオキシブチレン基、EOはオキシエチレン基を表す。平均付加モル数y1は3~100、平均付加モル数z1は3~100である。)
12の炭素数は、好ましくは5~30、より好ましくは8~20である。上記y1は、好ましくは5~50、より好ましくは8~30である。上記z1は、好ましくは5~50、より好ましくは8~30である。なお、EOとAOの配列はブロックでもランダムでもよい。
Figure 2022118521000001
上記式(I-3)において、R13~R15は、同一若しくは異なって、水素原子、炭素数1~30のアルキル基、炭素数1~30のアルケニル基又は炭素数1~30のアルコキシ基を表す。R16は炭素数1~30のアルキレン基を表す。EOはオキシエチレン基を表す。平均付加モル数aは0~50、平均付加モル数bは0~50、平均付加モル数cは1~50である。
13及びR14の炭素数は、好ましくは1~25であり、上記R15は、水素原子又は炭素数1~25のアルキル基が好ましい。また、上記R16の炭素数は、好ましくは3~8である。上記a及びbは、好ましくは0~30、より好ましくは5~30であり、上記cは、好ましくは1~30、より好ましくは1~10である。
エステル型非イオン性界面活性剤としては特に限定されず、脂肪酸のアルキレンオキサイド付加物、多価アルコール脂肪酸エステルのアルキレンオキサイド付加物、多価アルコールの脂肪酸付加物(エステル化物)等が挙げられる。なかでも、脂肪酸のアルキレンオキサイド付加物が好ましい。
これらのエステル型非イオン性界面活性剤を構成する脂肪酸は、炭素数10以上の脂肪酸が好ましく、より好ましくは炭素数12以上である。上限は特に限定されないが、炭素数30以下が好ましく、24以下がより好ましい。脂肪酸の具体例としては、カプリン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、ノナデシル酸、アラキジン酸、ヘンイコシル酸、ベヘン酸、トリコシル酸、リグノセリン酸などの飽和脂肪酸;α-リノレン酸、ステアリドン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、リノール酸、γ-リノレン酸、ジホモ-γ-リノレン酸、アラキドン酸、ドコサペンタエン酸、パルミトレイン酸、バクセン酸、パウリン酸、オレイン酸、エライジン酸、エルカ酸、ネルボン酸等の不飽和脂肪酸が例示できる。
これらのエステル型非イオン性界面活性剤を構成するアルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド等が挙げられる。なかでも、エチレンオキサイド、プレピレンオキサイドが好ましく、エチレンオキサイドがより好ましい。
これらのエステル型非イオン性界面活性剤を構成する多価アルコールとしては、CHOH-(CHOH)-CHOH(nは1~20の整数)で表される多価アルコールなどが挙げられる。この式で示される化合物は、脱水して環化していてもよい。この式で表される化合物の具体例としては、グリセリン、ソルビット、ソルビタン等が例示される。また、多価アルコールとしては、ポリグリセリンも挙げられる。
エステル型非イオン性界面活性剤の好適な具体例としては、ポリエチレングリコールモノラウレート、ポリエチレングリコールモノオレエートなどの脂肪酸エチレンオキサイド付加物;グリセロールモノステアレートなどのグリセロールの脂肪酸エステル;ペンタエリスリトールジ牛脂脂肪酸エステルなどのペンタエリスリトールの脂肪酸エステル;ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレートなどのソルビトール及びソルビタンの脂肪酸エステル、ショ糖の脂肪酸エステル等を例示できる。
エステル型非イオン性界面活性剤として、下記式(II)で表される化合物を好適に使用できる。
21-C(O)-O-(EO)x2-H (II)
(式において、R21は炭素数3~50のアルキル基又は炭素数3~50のアルケニル基を表す。EOはオキシエチレン基を表す。平均付加モル数x2は3~100である。)
21の炭素数は、好ましくは5~30、より好ましくは8~20である。上記x2は、好ましくは5~50、より好ましくは8~30である。
エーテルエステル型非イオン性界面活性剤としては、前記多価アルコールの脂肪酸付加物において、脂肪酸が付加されていない水酸基の一部にポリアルキレンオキシ基(好ましくは、エチレンオキシ基、プロピレンオキシ基又はブチレンオキシ基、より好ましくはエチレンオキシ基又はプロピレンオキシ基、更に好ましくはエチレンオキシ基)が付加した化合物などが挙げられる。具体的には、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレエート、ポリオキシエチレンソルビタンテトラオレエート、ポリオキシエチレンソルビトールテトラオレエート等が例示できる。また、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油等も例示できる。
非イオン性界面活性剤のHLB値(グリフィン法で算出)は、好ましくは8.0以上、より好ましくは10.0以上、更に好ましくは11.0以上、特に好ましくは11.5以上である。また、該HLB値は、好ましくは19.0下、より好ましくは17.0以下、更に好ましくは15.0以下、特に好ましくは14.0以下である。上記範囲内にすることで、高速走行時の操縦安定性が改善される傾向がある。
非イオン性界面活性剤の市販品としては、例えば、エレメンティス社、花王(株)、第一工業製薬(株)、三洋化成工業(株)等の製品を使用できる。
陰イオン性界面活性剤は特に限定されず、疎水性基及び親水性基を有する公知のものを使用可能である。
上記疎水性基は、疎水性の官能基であればよいが、なかでも、炭化水素基であることが好ましい。該炭化水素基としては、直鎖状、分岐状、環状のいずれであってもよく、脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基などが挙げられる。なかでも、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基が好ましい。上記炭化水素基の炭素数は、好ましくは4~20、より好ましくは4~15、更に好ましくは4~12である。
上記脂肪族炭化水素基としては、炭素数1~20のものが好ましく、1~10のものがより好ましく、1~6のものが更に好ましい。好ましい例として、上記炭素数のアルキル基が挙げられ、具体的には、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、へキシル基、へプチル基、2-エチルヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、オクタデシル基等が挙げられる。また、上記炭素数のアルケニル基、アルキニル基も挙げられ、一例としては、ビニル基、アリル基、1-プロペニル基、1-メチルエテニル基、イソブチレン基等のアルケニル基、エチニル基、プロパギル基等のアルキニル基が挙げられる。なかでも、イソブチレン基が好ましい。上記脂肪族炭化水素基は、例示の脂肪族炭化水素基等に更に置換基を有する基でもよい。
上記脂環式炭化水素基としては、炭素数3~8のものが好ましく、具体的には、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロプロペニル基、シクロブテニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基、シクロヘプテニル基、シクロオクテニル基等が挙げられる。上記脂環式炭化水素基は、例示の脂環式炭化水素基等に更に置換基を有する基でもよい。
上記芳香族炭化水素基としては、炭素数6~12のものが好ましく、具体的には、フェニル基、ベンジル基、フェネチル基、トリル(tolyl)基、キシリル(xylyl)基、ナフチル基等が挙げられる。なかでも、フェニル基、ベンジル基、フェネチル基が好ましく、フェニル基、ベンジル基がより好ましく、フェニル基が特に好ましい。なお、トリル基及びキシリル基におけるベンゼン環上のメチル基の置換位置は、オルト位、メタ位、パラ位のいずれの位置でもよい。上記芳香族炭化水素基は、例示の芳香族炭化水素基等に更に置換基を有する基でもよい。
上記親水性基は、カルボキシル基、スルホン酸基、硫酸基、及びリン酸基からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。なかでも、カルボキシル基が特に好ましい。
上記陰イオン性界面活性剤は、具体的には、カルボン酸系、スルホン酸系、硫酸エステル系、リン酸エステル系などの界面活性剤に分類できる。
上記カルボン酸系界面活性剤としては、例えば、炭素数が6~30の脂肪酸塩、多価カルボン酸塩、ロジン酸塩、ダイマー酸塩、ポリマー酸塩、トール油脂肪酸塩や、ポリカルボン酸型高分子界面活性剤等が挙げられ、好ましくは炭素数10~20のカルボン酸塩、ポリカルボン酸塩、ポリカルボン酸型高分子界面活性剤であり、特に好ましくはポリカルボン酸型高分子界面活性剤である。上記スルホン酸系界面活性剤としては、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸塩、ジフェニルエ-テルスルホン酸塩等が挙げられる。上記硫酸エステル系界面活性剤としては、例えば、アルキル硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルキル硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエ-テル硫酸塩、トリスチレン化フェノ-ル硫酸エステル塩、ジスチレン化フェノール硫酸エステル塩、α-オレフィン硫酸エステル塩、アルキルコハク酸硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレントリスチレン化フェノール硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレンジスチレン化フェノ-ル硫酸エステル塩等が挙げられる。上記リン酸エステル系界面活性剤としては、例えば、アルキルリン酸エステル塩、ポリオキシアルキレンリン酸エステル塩等が挙げられる。これらの化合物の塩としては、金属塩(Na,k,Ca,Mg,Zn等)、アンモニウム塩、アミン塩(トリエタノールアミン塩等)などが挙げられる。なお、これらの界面活性剤におけるアルキル基としては、炭素数4~30のアルキル基が挙げられる。また、ポリオキシアルキレン基としては、炭素数2~4のアルキレン基を有するものが挙げられ、例えば、酸化エチレンの付加モル数が1~50モル程度のものが使用可能である。
上記陰イオン性界面活性剤は、重量平均分子量(Mw)が500以上であることが好ましく、1000以上であることがより好ましく、1500以上であることが更に好ましい。また、Mwは、50000以下であることが好ましく、30000以下であることがより好ましく、20000以下であることが更に好ましい。
陰イオン性界面活性剤の市販品として、例えば、エレメンティス社、花王(株)、第一工業製薬(株)、三洋化成工業(株)、(株)EVONIK-DEGUSSA、ハンツマン(株)等の製品を使用できる。
ゴム組成物において、界面活性剤の含有量(非イオン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤等の界面活性剤の総量)は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは5質量部以上、更に好ましくは9質量部以上である。該含有量の上限は、好ましくは50質量部以下、より好ましくは30質量部以下、更に好ましくは25質量部以下、特に好ましくは20質量部以下である。上記範囲内にすることで、高速走行時の操縦安定性が改善される傾向がある。なお、非イオン性界面活性剤の含有量、陰イオン性界面活性剤の含有量も同様の範囲であることが好適である。
(可塑剤)
ゴム組成物には、可塑剤を配合してもよい。可塑剤とは、ゴム成分に可塑性を付与する材料であり、例えば、液体可塑剤(常温(25℃)で液体状態の可塑剤)、樹脂(常温(25℃)で固体状態の樹脂)等が挙げられる。
ゴム組成物において、可塑剤の含有量(可塑剤の総量)は、ゴム成分100質量部に対して、高速走行時の操縦安定性の観点から、好ましくは100質量部以下、より好ましくは30質量部以下、更に好ましくは10質量部以下、特に好ましくは5質量部以下であり、0質量部でもよい。
ゴム組成物に使用可能な液体可塑剤(常温(25℃)で液体状態の可塑剤)としては特に限定されず、オイル、液状ポリマー(液状樹脂、液状ジエン系ポリマーなど)などが挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ゴム組成物において、液体可塑剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、高速走行時の操縦安定性の観点から、好ましくは100質量部以下、より好ましくは30質量部以下、更に好ましくは10質量部以下、特に好ましくは5質量部以下であり、0質量部でもよい。なお、オイルの含有量も同様の範囲が好適である。この場合、オイルの含有量には、油展オイルに含まれるオイルも含まれる。
オイルとしては、例えば、プロセスオイル、植物油、又はその混合物が挙げられる。プロセスオイルとしては、例えば、パラフィン系プロセスオイル、アロマ系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイルなどを用いることができる。植物油としては、ひまし油、綿実油、あまに油、なたね油、大豆油、パーム油、やし油、落花生油、ロジン、パインオイル、パインタール、トール油、コーン油、こめ油、べに花油、ごま油、オリーブ油、ひまわり油、パーム核油、椿油、ホホバ油、マカデミアナッツ油、桐油等が挙げられる。市販品としては、出光興産(株)、三共油化工業(株)、(株)ジャパンエナジー、オリソイ社、H&R社、豊国製油(株)、昭和シェル石油(株)、富士興産(株)、日清オイリオグループ(株)等の製品を使用できる。なかでも、プロセスオイル(パラフィン系プロセスオイル、アロマ系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイル等)、植物油が好ましい。
液状樹脂としては、テルペン系樹脂(テルペンフェノール樹脂、芳香族変性テルペン樹脂を含む)、ロジン樹脂、スチレン系樹脂、C5系樹脂、C9系樹脂、C5/C9系樹脂、ジシクロペンタジエン(DCPD)樹脂、クマロンインデン系樹脂(クマロン、インデン単体樹脂を含む)、フェノール樹脂、オレフィン系樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂等が挙げられる。また、これらの水素添加物も使用可能である。
液状ジエン系ポリマーとしては、25℃で液体状態の液状スチレンブタジエン共重合体(液状SBR)、液状ブタジエン重合体(液状BR)、液状イソプレン重合体(液状IR)、液状スチレンイソプレン共重合体(液状SIR)、液状スチレンブタジエンスチレンブロック共重合体(液状SBSブロックポリマー)、液状スチレンイソプレンスチレンブロック共重合体(液状SISブロックポリマー)、液状ファルネセン重合体、液状ファルネセンブタジエン共重合体等が挙げられる。これらは、末端や主鎖が極性基で変性されていても構わない。また、これらの水素添加物も使用可能である。
ゴム組成物に使用可能な上記樹脂(常温(25℃)で固体状態の樹脂)としては、例えば、常温(25℃)で固体状態の芳香族ビニル重合体、クマロンインデン樹脂、クマロン樹脂、インデン樹脂、フェノール樹脂、ロジン樹脂、石油樹脂、テルペン系樹脂、アクリル系樹脂などが挙げられる。また、樹脂は、水添されていてもよい。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。なかでも、芳香族ビニル重合体、石油樹脂、テルペン系樹脂が好ましい。
ゴム組成物が上記樹脂を含有する場合、上記樹脂の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは3質量部以上、更に好ましくは5質量部以上である。該含有量の上限は、好ましくは50質量部以下、より好ましくは30質量部以下、更に好ましくは20質量部以下である。上記範囲内にすることで、高速走行時の操縦安定性が改善される傾向がある。
上記樹脂の軟化点は、60℃以上が好ましく、70℃以上がより好ましく、80℃以上が更に好ましい。上限は、160℃以下が好ましく、130℃以下がより好ましく、115℃以下が更に好ましい。上記範囲内にすることで、高速走行時の操縦安定性が改善される傾向がある。
なお、上記樹脂の軟化点は、JIS K6220-1:2001に規定される軟化点を環球式軟化点測定装置で測定し、球が降下した温度である。
上記芳香族ビニル重合体は、芳香族ビニルモノマーを構成単位として含むポリマーである。例えば、α-メチルスチレン及び/又はスチレンを重合して得られる樹脂が挙げられ、具体的には、スチレンの単独重合体(スチレン樹脂)、α-メチルスチレンの単独重合体(α-メチルスチレン樹脂)、α-メチルスチレンとスチレンとの共重合体、スチレンと他のモノマーの共重合体などが挙げられる。
上記クマロンインデン樹脂は、樹脂の骨格(主鎖)を構成する主なモノマー成分として、クマロン及びインデンを含む樹脂である。クマロン、インデン以外に骨格に含まれるモノマー成分としては、スチレン、α-メチルスチレン、メチルインデン、ビニルトルエンなどが挙げられる。
上記クマロン樹脂は、樹脂の骨格(主鎖)を構成する主なモノマー成分として、クマロンを含む樹脂である。
上記インデン樹脂は、樹脂の骨格(主鎖)を構成する主なモノマー成分として、インデンを含む樹脂である。
上記フェノール樹脂としては、例えば、フェノールと、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、フルフラールなどのアルデヒド類とを酸又はアルカリ触媒で反応させることにより得られるポリマー等の公知のものを使用できる。なかでも、酸触媒で反応させることにより得られるもの(ノボラック型フェノール樹脂など)が好ましい。
上記ロジン樹脂としては、天然ロジン、重合ロジン、変性ロジン、これらのエステル化合物、これらの水素添加物に代表されるロジン系樹脂等が挙げられる。
上記石油樹脂としては、C5系樹脂、C9系樹脂、C5/C9系樹脂、ジシクロペンタジエン(DCPD)樹脂、これらの水素添加物などが挙げられる。なかでも、DCPD樹脂、水添DCPD樹脂が好ましい。
上記テルペン系樹脂は、テルペンを構成単位として含むポリマーであり。例えば、テルペン化合物を重合して得られるポリテルペン樹脂、テルペン化合物と芳香族化合物とを重合して得られる芳香族変性テルペン樹脂などが挙げられる。また、これらの水素添加物も使用できる。
上記ポリテルペン樹脂は、テルペン化合物を重合して得られる樹脂である。該テルペン化合物は、(Cの組成で表される炭化水素及びその含酸素誘導体で、モノテルペン(C1016)、セスキテルペン(C1524)、ジテルペン(C2032)などに分類されるテルペンを基本骨格とする化合物であり、例えば、α-ピネン、β-ピネン、ジペンテン、リモネン、ミルセン、アロオシメン、オシメン、α-フェランドレン、α-テルピネン、γ-テルピネン、テルピノレン、1,8-シネオール、1,4-シネオール、α-テルピネオール、β-テルピネオール、γ-テルピネオールなどが挙げられる。
上記ポリテルペン樹脂としては、上述したテルペン化合物を原料とするピネン樹脂、リモネン樹脂、ジペンテン樹脂、ピネン/リモネン樹脂などが挙げられる。なかでも、ピネン樹脂が好ましい。ピネン樹脂は、通常、異性体の関係にあるα-ピネン及びβ-ピネンの両方を含んでいるが、含有する成分の違いにより、β-ピネンを主成分とするβ-ピネン樹脂と、α-ピネンを主成分とするα-ピネン樹脂とに分類される。
上記芳香族変性テルペン樹脂としては、上記テルペン化合物及びフェノール系化合物を原料とするテルペンフェノール樹脂や、上記テルペン化合物及びスチレン系化合物を原料とするテルペンスチレン樹脂などが挙げられる。また、上記テルペン化合物、フェノール系化合物及びスチレン系化合物を原料とするテルペンフェノールスチレン樹脂も使用できる。なお、フェノール系化合物としては、例えば、フェノール、ビスフェノールA、クレゾール、キシレノールなどが挙げられる。また、スチレン系化合物としては、スチレン、α-メチルスチレンなどが挙げられる。
上記アクリル系樹脂は、アクリル系モノマーを構成単位として含むポリマーである。例えば、カルボキシル基を有し、芳香族ビニルモノマー成分とアクリル系モノマー成分とを共重合して得られる、スチレンアクリル樹脂等のスチレンアクリル系樹脂などが挙げられる。なかでも、無溶剤型カルボキシル基含有スチレンアクリル系樹脂を好適に使用できる。
上記無溶剤型カルボキシル基含有スチレンアクリル系樹脂とは、副原料となる重合開始剤、連鎖移動剤、有機溶媒などを極力使用せずに、高温連続重合法(高温連続塊重合法)(米国特許第4,414,370号明細書、特開昭59-6207号公報、特公平5-58005号公報、特開平1-313522号公報、米国特許第5,010,166号明細書、東亜合成研究年報TREND2000第3号p42-45等に記載の方法)により合成された(メタ)アクリル系樹脂(重合体)である。なお、本明細書において、(メタ)アクリルは、メタクリル及びアクリルを意味する。
上記アクリル系樹脂を構成するアクリル系モノマー成分としては、例えば、(メタ)アクリル酸や、(メタ)アクリル酸エステル(2エチルヘキシルアクリレート等のアルキルエステル、アリールエステル、アラルキルエステルなど)、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリルアミド誘導体などの(メタ)アクリル酸誘導体が挙げられる。なお、(メタ)アクリル酸は、アクリル酸及びメタクリル酸の総称である。
上記アクリル系樹脂を構成する芳香族ビニルモノマー成分としては、例えば、スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルナフタレン、ジビニルベンゼン、トリビニルベンゼン、ジビニルナフタレンなどの芳香族ビニルが挙げられる。
また、上記アクリル系樹脂を構成するモノマー成分として、(メタ)アクリル酸や(メタ)アクリル酸誘導体、芳香族ビニルと共に、他のモノマー成分を使用してもよい。
上記可塑剤としては、例えば、丸善石油化学(株)、住友ベークライト(株)、ヤスハラケミカル(株)、東ソー(株)、Rutgers Chemicals社、BASF社、アリゾナケミカル社、日塗化学(株)、(株)日本触媒、ENEOS(株)、荒川化学工業(株)、田岡化学工業等の製品を使用できる。
(他の材料)
前記ゴム組成物は、耐クラック性、耐オゾン性等の観点から、老化防止剤を含有することが好ましい。
老化防止剤としては特に限定されないが、フェニル-α-ナフチルアミン等のナフチルアミン系老化防止剤;オクチル化ジフェニルアミン、4,4’-ビス(α,α’-ジメチルベンジル)ジフェニルアミン等のジフェニルアミン系老化防止剤;N-イソプロピル-N’-フェニル-p-フェニレンジアミン、N-(1,3-ジメチルブチル)-N’-フェニル-p-フェニレンジアミン、N,N’-ジ-2-ナフチル-p-フェニレンジアミン等のp-フェニレンジアミン系老化防止剤;2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリンの重合物等のキノリン系老化防止剤;2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール、スチレン化フェノール等のモノフェノール系老化防止剤;テトラキス-[メチレン-3-(3’,5’-ジ-t-ブチル-4’-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン等のビス、トリス、ポリフェノール系老化防止剤などが挙げられる。なかでも、p-フェニレンジアミン系老化防止剤、キノリン系老化防止剤が好ましく、N-(1,3-ジメチルブチル)-N’-フェニル-p-フェニレンジアミン、2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリンの重合物がより好ましい。市販品としては、例えば、精工化学(株)、住友化学(株)、大内新興化学工業(株)、フレクシス社等の製品を使用できる。
ゴム組成物において、老化防止剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.2質量部以上、より好ましくは0.5質量部以上である。該含有量は、好ましくは7.0質量部以下、より好ましくは4.0質量部以下である。
ゴム組成物は、ステアリン酸を含むことが好ましい。ゴム組成物において、ステアリン酸の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.5~10質量部、より好ましくは0.5~5質量部である。
なお、ステアリン酸としては、従来公知のものを使用でき、例えば、日油(株)、NOF社、花王(株)、富士フイルム和光純薬(株)、千葉脂肪酸(株)等の製品を使用できる。
ゴム組成物は、酸化亜鉛を含むことが好ましい。ゴム組成物において、酸化亜鉛の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.5~10質量部、より好ましくは1~5質量部である。
なお、酸化亜鉛としては、従来公知のものを使用でき、例えば、三井金属鉱業(株)、東邦亜鉛(株)、ハクスイテック(株)、正同化学工業(株)、堺化学工業(株)等の製品を使用できる。
ゴム組成物には、ワックスを配合してもよい。ゴム組成物において、ワックスの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.5~10質量部、より好ましくは1~5質量部である。
ワックスとしては特に限定されず、石油系ワックス、天然系ワックスなどが挙げられ、また、複数のワックスを精製又は化学処理した合成ワックスも使用可能である。これらのワックスは、単独で使用しても、2種類以上を併用してもよい。
石油系ワックスとしては、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス等が挙げられる。天然系ワックスとしては、石油外資源由来のワックスであれば特に限定されず、例えば、キャンデリラワックス、カルナバワックス、木ろう、ライスワックス、ホホバろうなどの植物系ワックス;ミツロウ、ラノリン、鯨ろうなどの動物系ワックス;オゾケライト、セレシン、ペトロラクタムなどの鉱物系ワックス;及びこれらの精製物などが挙げられる。市販品としては、例えば、大内新興化学工業(株)、日本精蝋(株)、精工化学(株)等の製品を使用できる。
ゴム組成物は、加工助剤を含有してもよい。
加工助剤としては、例えば、脂肪酸金属塩、脂肪酸アミド、アミドエステル、シリカ表面活性剤、脂肪酸エステル、脂肪酸金属塩とアミドエステルとの混合物、脂肪酸金属塩と脂肪酸アミドとの混合物等が挙げられる。市販品としては、ラインケミー社、ストラクトール社等の製品を使用できる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、脂肪酸金属塩が好ましい。
脂肪酸金属塩を構成する脂肪酸としては、飽和又は不飽和脂肪酸(好ましくは炭素数6~28(より好ましくは炭素数10~25、更に好ましくは炭素数14~20)の飽和又は不飽和脂肪酸)が挙げられ、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、ネルボン酸等が挙げられる。これらは1種または2種以上を混合して用いることができる。なかでも、飽和脂肪酸が好ましく、炭素数14~20の飽和脂肪酸がより好ましい。
脂肪酸金属塩を構成する金属としては、例えば、カリウム、ナトリウム等のアルカリ金属、マグネシウム、カルシウム、バリウム等のアルカリ土類金属、亜鉛、ニッケル、モリブデン等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、亜鉛が好ましい。
加工助剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは1.5質量部以上、更に好ましくは2質量部以上であり、また、好ましくは8質量部以下、より好ましくは6質量部以下、更に好ましくは4質量部以下である。
ゴム組成物には、ポリマー鎖に適度な架橋鎖を形成し、良好な性能を付与するという点で、硫黄を配合することが好ましい。
ゴム組成物において、硫黄の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは0.3質量部以上、更に好ましくは0.5質量部以上である。該含有量は、好ましくは5.0質量部以下、より好ましくは3.0質量部以下、更に好ましくは2.0質量部以下である。
硫黄としては、ゴム工業において一般的に用いられる粉末硫黄、沈降硫黄、コロイド硫黄、不溶性硫黄、高分散性硫黄、可溶性硫黄などが挙げられる。市販品としては、鶴見化学工業(株)、軽井沢硫黄(株)、四国化成工業(株)、フレクシス社、日本乾溜工業(株)、細井化学工業(株)等の製品を使用できる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ゴム組成物は、加硫促進剤を含むことが好ましい。
ゴム組成物において、加硫促進剤の含有量は特に制限はなく、要望する加硫速度や架橋密度に合わせて自由に決定すれば良いが、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは1.0質量部以上、更に好ましくは1.5質量部以上である。上限は、好ましくは8.0質量部以下、より好ましくは6.0質量部以下、更に好ましくは5.0質量部以下である。
加硫促進剤の種類は特に制限はなく、通常用いられているものを使用可能である。加硫促進剤としては、2-メルカプトベンゾチアゾール、ジ-2-ベンゾチアゾリルジスルフィド、N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアジルスルフェンアミド等のチアゾール系加硫促進剤;テトラメチルチウラムジスルフィド(TMTD)、テトラベンジルチウラムジスルフィド(TBzTD)、テトラキス(2-エチルヘキシル)チウラムジスルフィド(TOT-N)等のチウラム系加硫促進剤;N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N-t-ブチル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N-オキシエチレン-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N-オキシエチレン-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N,N’-ジイソプロピル-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド等のスルフェンアミド系加硫促進剤;ジフェニルグアニジン、ジオルトトリルグアニジン、オルトトリルビグアニジン等のグアニジン系加硫促進剤を挙げることができる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、スルフェンアミド系、グアニジン系、ベンゾチアゾール系加硫促進剤が好ましい。
ゴム組成物には、前記成分以外にも、タイヤ工業において一般的に用いられている配合剤、例えば、離型剤等の材料を適宜配合してもよい。
ゴム組成物の製造方法としては、公知の方法を用いることができ、例えば、前記各成分をオープンロール、バンバリーミキサーなどのゴム混練装置を用いて混練し、その後加硫する方法などにより製造できる。
なかでも、高速走行時の操縦安定性の観点から、ゴム組成物は、ゴム成分、フィラー及び界面活性剤を混合してゴム・フィラー複合体を作製する工程を含む製造方法により製造することが好ましい。前記工程において、ゴム成分はイソプレン系ゴムを含むことが好ましく、フィラーはシリカを含むことが好ましい。また、前記界面活性剤は、非イオン性界面活性剤を含むことが好ましく、非イオン性界面活性剤及び陰イオン性界面活性剤を含むことがより好ましい。特に、イソプレン系ゴム、シリカ、非イオン性界面活性剤及び陰イオン性界面活性剤を用いる場合、シリカ分散性が高い複合体が得られる。
ゴム・フィラー複合体は、例えば、ゴムラテックス、フィラー分散液及び界面活性剤を混合する工程を含む方法により好適に作製可能である。なかでも、界面活性剤及びフィラー分散液を混合し混合液を作製する工程(工程(1))と、該混合液及びゴムラテックスを混合する工程(工程(2))とを含む製造方法が好ましい。
(工程(1))
フィラー分散液は、フィラーが溶媒中に分散した分散液(スラリー)である。溶媒としては特に限定されず、水、アルコール等の有機溶媒等が挙げられ、なかでも、水が好ましい。
上記フィラー分散液中のフィラーの含有量(固形分)は、特に限定されないが、好ましくは0.2~20質量%、より好ましくは0.5~10質量%、更に好ましくは0.5~7質量%である。
上記工程(1)において、界面活性剤とフィラー分散液とを混合し混合液を作製する方法としては、例えば、高速ホモジナイザー、超音波ホモジナイザー、コロイドミル、ブレンダ―ミルなどの公知の撹拌装置を用いて、界面活性剤とフィラー分散液とを混合する方法などが挙げられ、十分分散するまで十分に撹拌することにより、界面活性剤とフィラー分散液との混合液を得ることができる。当該混合液を作製する際の温度や時間は、界面活性剤とフィラー分散液とが十分に分散するまで、通常行われる範囲で適宜設定でき、例えば、10~40℃で3~120分が好ましく、15~30℃で5~90分がより好ましい。
界面活性剤の配合量は、ゴム・フィラー複合体に用いるゴムラテックス(ゴムの固形分)100質量部に対して、1~50質量部であることが好ましい。該添加量は、2質量部以上がより好ましく、3質量部以上が更に好ましい。また、25質量部以下がより好ましく、20質量部以下が更に好ましく、15質量部以下が特に好ましい。
フィラーの配合量は、ゴム・フィラー複合体に用いるゴムラテックス(ゴムの固形分)100質量部に対して、1~100質量部であることが好ましい。該配合量は、10質量部以上がより好ましく、20質量部以上が更に好ましく、30質量部以上が特に好ましい。また、90質量部以下がより好ましく、80質量部以下が更に好ましく、70質量部以下が特に好ましい。なお、フィラーとしてシリカを用いる場合、シリカの配合量も同様の範囲が好適である。
(工程(2))
本発明では、次に、工程(1)で得られた混合液とゴムラテックスとを混合する工程(工程(2))が行われる。
ゴムラテックスとしては、例えば、天然ゴムラテックス、改質天然ゴムラテックス(ケン化天然ゴムラテックス、エポキシ化天然ゴムラテックスなど)、合成ジエン系ゴムラテックス(ブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、スチレンイソプレンブタジエンゴム(SIBR)、イソプレンゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム、エチレン酢酸ビニルゴム、クロロプレンゴム、ビニルピリジンゴム、ブチルゴムなどのラテックス)などのジエン系ゴムラテックスが好適に使用できる。これらゴムラテックスとしては、単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。なかでも、天然ゴムラテックス、イソプレンゴムラテックス等のイソプレン系ゴムラテックス、SBRラテックス、BRラテックスが好ましく、イソプレン系ゴムラテックスがより好ましい。
天然ゴムラテックスはヘベア樹等の天然ゴムの樹木の樹液として採取され、ゴム成分のほか水、タンパク質、脂質、無機塩類等を含み、ゴム中のゲル分は種々の不純物の複合的な存在に基づくものと考えられている。本発明では、天然ゴムラテックスとして、ヘベア樹をタッピングして出てくる生ラテックス(フィールドラテックス)、遠心分離法やクリーミング法によって濃縮した濃縮ラテックス(精製ラテックス、常法によりアンモニアを添加したハイアンモニアラテックス、亜鉛華とTMTDとアンモニアによって安定化させたLATZラテックス等)等を使用できる。
ゴムラテックスのpHは、好ましくは8.5以上、より好ましくは9.5以上である。該pHが8.5以上であると、ゴムラテックスが不安定になりにくく、凝固しにくい傾向がある。上記ゴムラテックスのpHは、好ましくは12.0以下、より好ましくは11.0以下である。該pHが12.0以下であると、ゴムラテックスが劣化しにくい傾向がある。
ゴムラテックスは、従来公知の製法で調製でき、各種市販品も使用できる。なお、ゴムラテックスとしては、ゴム固形分が10~80質量%のものを使用することが好ましい。より好ましくは20質量%以上、60質量%以下である。
上記工程(2)において、工程(1)で得られた混合液とゴムラテックスとを混合する方法としては、例えば、高速ホモジナイザー、超音波ホモジナイザー、コロイドミル、ブレンダ―ミルなどの公知の撹拌装置にゴムを入れ、撹拌しながら、工程(1)で得られた混合液を滴下する方法や、工程(1)で得られた混合液を撹拌しながら、これにゴムラテックスを滴下する方法などが挙げられ、十分分散するまで十分に撹拌することにより、工程(1)で得られた混合液とゴムとの混合物(配合ラテックス)を得ることができる。当該混合物を作製する際の温度や時間は、工程(1)で得られた混合液とゴムとが十分に分散するまで、通常行われる範囲で適宜設定することができるが、例えば、10~40℃で3~120分が好ましく、15~30℃で5~90分がより好ましい。
上記工程(2)で得られた混合物(配合ラテックス)のpHは、9.0以上が好ましく、9.5以上がより好ましい。また、12.0以下が好ましく、11.5以下がより好ましい。上記工程(1)で得られた混合液とゴムラテックスとの混合物(配合ラテックス)のpHがこのような範囲であると、劣化を抑え、安定したものとすることができる。
上記工程(2)で得られた混合物(配合ラテックス)を必要に応じて凝固させ、該凝固物(凝集ゴム及びフィラーを含む凝集物)を公知の方法でろ過、乾燥させ、更に乾燥後、2軸ロール、バンバリーなどでゴム練りを行うと、フィラーがゴムマトリックスに十分に分散した複合体(ゴム・フィラー複合体)を得ることができる。該ゴム・フィラー複合体は、効果を阻害しない範囲で他の成分を含んでもよい。
上記凝固は、上記工程(2)で得られた混合物(配合ラテックス)に通常酸を添加することで行われる。凝固させるための酸としては、硫酸、塩酸、ギ酸、酢酸などが挙げられる。凝固させる際の温度としては、10~40℃が好ましい。
上記凝固の際、上記工程(2)で得られた混合物(配合ラテックス)のpHを3~5に調整することが好ましく、3~4に調整することがより好ましい。
また、凝固の状態(凝固した凝集粒子の大きさ)を制御する目的で、凝集剤を添加しても良い。凝集剤として、カチオン性高分子などを用いることができる。
前述の製法等により、ゴム・フィラー複合体が作製され、例えば、該ゴム・フィラー複合体及び他の成分をオープンロール、バンバリーミキサーなどのゴム混練装置を用いて混練し、その後加硫する方法などにより、ゴム組成物を製造できる。
混練条件としては、加硫剤及び加硫促進剤以外の添加剤を混練するベース練り工程では、混練温度は、通常50~200℃、好ましくは80~190℃であり、混練時間は、通常30秒~30分、好ましくは1分~30分である。加硫剤、加硫促進剤を混練する仕上げ練り工程では、混練温度は、通常100℃以下、好ましくは室温~80℃である。また、加硫剤、加硫促進剤を混練した組成物は、通常、プレス加硫などの加硫処理が施される。加硫温度としては、通常120~200℃、好ましくは140~180℃である。
前記ゴム組成物を適用できる部材としては、キャップトレッド、ベーストレッド、サイドウォール、ビードエイペックス、クリンチエイペックス、インナーライナー、アンダートレッド、ブレーカートッピング、プライトッピング、インサート(サイドウォール補強層)等、空気入りタイヤの各部材に好適に使用できる。なかでも、キャップトレッド、ベーストレッドに好適に使用できる。
タイヤは、ゴム組成物を用いて通常の方法により製造される。すなわち、上記成分を配合したゴム組成物を未加硫の段階でキャップトレッド、ベーストレッド等の形状に合わせて押し出し加工し、他のタイヤ部材とともに、タイヤ成型機上にて通常の方法で成形することにより、未加硫タイヤを形成する。この未加硫タイヤを加硫機中で加熱加圧することで、タイヤが得られる。
タイヤとしては、空気入りタイヤ、非空気入りタイヤなどが挙げられる。なかでも、空気入りタイヤが好ましい。タイヤは、乗用車用タイヤ、大型乗用車用、大型SUV用タイヤ、トラック、バスなどの重荷重用タイヤ、ライトトラック用タイヤ、二輪自動車用タイヤ、レース用タイヤ(高性能タイヤ)、ランフラットタイヤなどに使用可能である。なかでも、乗用車用タイヤに好適に使用できる。
実施例に基づいて、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。
以下、実施例及び比較例で使用した各種薬品について、まとめて説明する。
NR:TSR20
天然ゴムラテックス:Muhibbah LATEKS社から入手したフィールドラテックスを使用
シリカ1:デグッサ社製の9100Gr(NSA235m/g)
シリカ2:エボニックデグッサ社製のウルトラシルVN3(NSA175m/g)
界面活性剤1:花王(株)製のエマノーン4110(非イオン性界面活性剤(エステル系)、ポリエチレングリコールモノオレエート、HLB11.6、EO数10)
界面活性剤2:花王(株)製のエマルゲン409P(非イオン性界面活性剤(エーテル系)、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、HLB12、EO数9、Mw2000)
界面活性剤3:エレメンティス社製のNUOSPERSE FX 600(陰イオン性界面活性剤、ポリカルボン酸アミン塩(疎水性基としてフェニル基、親水性基としてカルボキシル基を含有)、Mw2000)
カーボンブラック:三菱化学製N220(NSA114m/g)
ワックス:日本精蝋(株)製のオゾエース0355
老化防止剤6C:大内新興化学工業(株)製のノクラック6C(N-フェニル-N’-(1,3-ジメチルブチル)-p-フェニレンジアミン)(6PPD)
老化防止剤RD:大内新興化学工業(株)製のノクラックRD(ポリ(2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリン))
ステアリン酸:日油(株)製の椿
酸化亜鉛:三井金属鉱業(株)製の亜鉛華2種
加工助剤:ストラクトール社製のEF44(飽和脂肪酸亜鉛塩)
シランカップリング剤:エボニックデグッサ社製のSi266(ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド)
オイル:出光興産(株)製のダイアナプロセスNH-70S(アロマ系プロセスオイル)
硫黄:細井化学工業(株)製のHK-200-5(5質量%オイル含有粉末硫黄)
加硫促進剤1:三新化学工業(株)製のサンセラーNS-G(N-tert-ブチル-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド)
加硫促進剤2:三新化学工業(株)製のサンセラーD(ジフェニルグアニジン)
(シリカ分散液の調製)
シリカ10gに純水190gを添加し、シリカ5質量%(固形分濃度)懸濁液を作製し、これを撹拌、及び超音波処理を10分間行い、シリカ分散液を得た。
(混合液(シリカ/界面活性剤)の調製)
表1の配合処方に従って、各混合液(シリカ/界面活性剤)を調製した。
具体的には、調製したシリカ分散液に、界面活性剤を添加し、高速ホモジナイザーを用いて室温(20~30℃)で5分間攪拌して、シリカ分散液と界面活性剤との混合物(混合液)を得た。
Figure 2022118521000002
(ゴム・フィラー複合体の調製)
表2の配合処方に従って、各ゴム・フィラー複合体(MB-1~MB-4)を製造した。
具体的には、調製した混合液を天然ゴムラテックスに添加し、高速ホモジナイザーを用いて室温で5分攪拌し、pH10.2の配合ラテックスを得た。次いで、室温下で2質量%ギ酸水溶液を加え、pH3~4に調整し、凝固物を得た。得られた凝固物をろ過し、乾燥してゴム・フィラー複合体を得た。
Figure 2022118521000003
<配合ゴム(未加硫ゴム組成物、加硫ゴム組成物)の作製>
表3の配合処方に従い、1.7Lバンバリーミキサーを用いて、硫黄及び加硫促進剤以外の薬品を混練りした。次に、ロールを用いて、得られた混練り物に硫黄及び加硫促進剤を添加して練り込み、未加硫ゴム組成物を得た。
更に得られた未加硫ゴム組成物を170℃で15分間プレス加硫して加硫ゴム組成物を得た。
作製された未加硫ゴム組成物、加硫ゴム組成物を下記により物性を測定し、結果を表3に示した。
(ムーニー粘度V)
得られた未加硫ゴム組成物について、JIS K 6300-1「未加硫ゴム-物理特性-第1部:ムーニー粘度計による粘度及びスコーチタイムの求め方」に準じて、ムーニー粘度試験機を用いて、1分間の予熱によって熱せられる130℃の温度条件にて、小ローターを回転させ、4分間経過する時点でのムーニー粘度V(ML1+4/130℃)を測定した。
(粘弾性測定(E(30℃))
得られた加硫ゴム組成物について、GABO社製のイプレクサーを用いて、温度30℃、初期歪5%、動歪±1%、周波数10Hzの条件下における複素弾性率Eを測定した。
<タイヤの作製>
表3の配合処方に従い、(株)神戸製鋼所製の1.7Lバンバリーミキサーを用いて、硫黄及び加硫促進剤以外の薬品を150℃の条件下で4分間混練りし、次に硫黄及び加硫促進剤を添加し、オープンロールを用いて、80℃の条件下で5分間練り込み、未加硫ゴム組成物を作製した。その後、未加硫ゴム組成物をキャップトレッドの形状に成形し、タイヤ成型機上で他のタイヤ部材とともに貼り合わせ、170℃の条件下で20分間プレス加硫し、試験用タイヤ(195/65R15)を作製した。
作製された試験用タイヤを下記により評価し、結果を表3に示した。
(高速走行時の操縦安定性)
試験用タイヤを国産FF2000ccの全輪に装着してテストコースを時速100km/hで実車走行し、蛇行運転をした際のドライバーの官能評価により操縦安定性を評価した。10人のドライバーのフィーリングに基づいて、それぞれ10段階で評価した。その評価の合計値を評点として求め、基準比較例を100とし、指数化した。指数が大きいほど、高速走行時の操縦安定性に優れている。
Figure 2022118521000004
表1~3より、前記式(1)「(1)V/E≦3.0」を満たす実施例のタイヤは、高速走行時の操縦安定性に優れていた。

Claims (12)

  1. ムーニー粘度V、複素弾性率E〔MPa〕が下記式(1)を満たすゴム組成物。
    (1)V/E≦3.0
    (式中、Vは、温度130℃におけるムーニー粘度ML1+4を表す。Eは、温度30℃、初期歪5%、動歪±1%、周波数10Hzの条件下における複素弾性率を表す。)
  2. 窒素吸着比表面積190m/g以上のシリカを含む請求項1記載のゴム組成物。
  3. 非イオン性界面活性剤及び陰イオン性界面活性剤を含む請求項1及び2記載のゴム組成物。
  4. イソプレン系ゴム、シリカ、非イオン性界面活性剤及び陰イオン性界面活性剤を混合して得られる複合体を含む請求項1~3のいずれかに記載のゴム組成物。
  5. 前記ムーニー粘度V、前記複素弾性率E〔MPa〕が下記式を満たす請求項1~4のいずれかに記載のゴム組成物。
    V/E≦2.2
  6. 前記ムーニー粘度Vが下記式を満たす請求項1~5のいずれかに記載のゴム組成物。
    V≦40.0
  7. 前記複素弾性率E〔MPa〕が下記式を満たす請求項1~6のいずれかに記載のゴム組成物。
    ≧8.0MPa
  8. エーテル型非イオン性界面活性剤、エステル型非イオン性界面活性剤及びエーテルエステル型非イオン性界面活性剤からなる群より選択される少なくとも1種を含む請求項1~7のいずれかに記載のゴム組成物。
  9. カルボン酸系陰イオン性界面活性剤、スルホン酸系陰イオン性界面活性剤、硫酸エステル系陰イオン性界面活性剤及びリン酸エステル系陰イオン性界面活性剤からなる群より選択される少なくとも1種を含む請求項1~8のいずれかに記載のゴム組成物。
  10. 界面活性剤及びフィラー分散液を混合し混合液を作製する工程と、作製された前記混合液及びゴムラテックスを混合する工程とを含む製造方法により得られる複合体であって、
    前記界面活性剤は、非イオン界面活性剤及び陰イオン性界面活性剤を含み、
    前記フィラーは、シリカを含み、
    前記ゴムラテックスは、イソプレン系ゴムを含む複合体。
  11. 窒素吸着比表面積190m/g以上のシリカを含む請求項10記載の複合体。
  12. 請求項1~9のいずれかに記載のゴム組成物又は請求項10~11のいずれかに記載の複合体を用いたタイヤ。
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