JP2022180911A - 複合体の製造方法及び複合体 - Google Patents

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Sumiko Miyazaki
大輔 佐藤
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Abstract

【課題】ミクロフィブリル化植物繊維の分散性に優れる複合体を簡便に製造できる複合体の製造方法、複合体、ゴム組成物及びタイヤを提供する。【解決手段】ミクロフィブリル化植物繊維、カチオン性窒素を有するカチオン性界面活性剤及び水を混合して混合物1を作製する工程1と、前記混合物1及びアルコールを混合して混合物2を作製する工程2と、前記混合物2及び可塑剤を混合して混合物3を作製する工程3と、前記混合物3を乾燥して、前記ミクロフィブリル化植物繊維及び前記可塑剤を含む複合体を作製する工程4とを含む複合体の製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、複合体の製造方法、複合体、ゴム組成物及びタイヤに関する。
ゴムなどのポリマー中にセルロース繊維などのミクロフィブリル化植物繊維を分散させる手法として、ミクロフィブリル化植物繊維の水分散スラリーとゴムラテックスと混合し、更に凝固、脱水、乾燥して複合体を作製するウェットマスターバッチ法(WMB法)が提案されている。しかしながら、WMB法は、低濃度の微細化ミクロフィブリル化植物繊維(微細化ミクロフィブリル化植物繊維濃度1質量%など)を用いるため、輸送や製造時のコストが高くなるという課題がある。
本発明は、前記課題を解決し、ミクロフィブリル化植物繊維の分散性に優れた複合体を簡便に製造できる複合体の製造方法、複合体、ゴム組成物及びタイヤを提供することを目的とする。
本発明は、ミクロフィブリル化植物繊維、カチオン性窒素を有するカチオン性界面活性剤及び水を混合して混合物1を作製する工程1と、
前記混合物1及びアルコールを混合して混合物2を作製する工程2と、
前記混合物2及び可塑剤を混合して混合物3を作製する工程3と、
前記混合物3を乾燥して、前記ミクロフィブリル化植物繊維及び前記可塑剤を含む複合体を作製する工程4とを含む複合体の製造方法に関する。
前記工程1は、ミクロフィブリル化植物繊維の含有率0.1~20質量%のミクロフィブリル化植物繊維水溶液が使用され、ホモジナイザーを用いて混合されることが好ましい。
前記工程1の後に吸引ろ過装置による減圧脱水を更に行い、前記混合物1の固形分含有率を10質量%以上に調整することが好ましい。
前記工程2の後に吸引ろ過装置による減圧脱水を更に行い、前記混合物2の固形分含有率を20質量%以上に調整することが好ましい。
前記可塑剤がグリセロール脂肪酸トリエステルを含むことが好ましい。
前記工程4は、得られる複合体の固形分含有率を90質量%以上に調整するものであることが好ましい。
前記工程1は、前記ミクロフィブリル化植物繊維100質量部(固形分)に対する前記カチオン性窒素を有するカチオン性界面活性剤の添加量が10~35質量部であることが好ましい。
前記カチオン性窒素を有するカチオン性界面活性剤は、第4級アンモニウム塩及びアルキルアミン塩からなる群より選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。
前記工程2は、前記ミクロフィブリル化植物繊維100質量部(固形分)に対する前記アルコールの添加量が2000~10000質量部であることが好ましい。
前記工程3は、前記ミクロフィブリル化植物繊維100質量部(固形分)に対する前記可塑剤の添加量が70~300質量部であることが好ましい。
本発明は、平均繊維径10μm以下のミクロフィブリル化植物繊維と可塑剤とを混合して乾燥させることにより得られる粉末状の複合体に関する。
前記複合体は、前記可塑剤が植物油を含むことが好ましい。
前記複合体は、前記可塑剤がヨウ素価60以上160以下の植物油を含むことが好ましい。
前記複合体は、前記可塑剤が植物油を含み、かつ下記式を満たすことが好ましい。
ミクロフィブリル化植物繊維の含有率(質量%)/(植物油の含有率(質量%)×植物油のヨウ素価)≦0.0100
前記複合体は、ゴム組成物又は樹脂組成物の添加剤であることが好ましい。
本発明は、前記複合体と、ゴム成分とを混合したタイヤ用ゴム組成物に関する。
本発明は、前記ゴム組成物からなる部材を備えるタイヤに関する。
本発明は、ミクロフィブリル化植物繊維、カチオン性窒素を有するカチオン性界面活性剤及び水を混合して混合物1を作製する工程1と、前記混合物1及びアルコールを混合して混合物2を作製する工程2と、前記混合物2及び可塑剤を混合して混合物3を作製する工程3と、前記混合物3を乾燥して、前記ミクロフィブリル化植物繊維及び前記可塑剤を含む複合体を作製する工程4とを含む複合体の製造方法であるので、ミクロフィブリル化植物繊維の分散性に優れる複合体を簡便に製造できる。
<複合体の製造方法>
本発明は、ミクロフィブリル化植物繊維、カチオン性窒素を有するカチオン性界面活性剤及び水を混合して混合物1を作製する工程1と、前記混合物1及びアルコールを混合して混合物2を作製する工程2と、前記混合物2及び可塑剤を混合して混合物3を作製する工程3と、前記混合物3を乾燥して、前記ミクロフィブリル化植物繊維及び前記可塑剤を含む複合体を作製する工程4とを含む複合体の製造方法である。前記製造方法は、簡便な製法であるにもかかわらず、ミクロフィブリル化植物繊維の分散性に優れた複合体を良好に製造できる。
このような作用効果が得られるメカニズムは明らかではないが、以下のように推察される。
先ず、工程1において、凝集力が強いミクロフィブリル化植物繊維をカチオン性窒素を有するカチオン性界面活性剤と混合することで、ミクロフィブリル化植物繊維の凝集が防止される。更に、工程2でアルコール、工程3で可塑剤を更に混合することで、ミクロフィブリル化植物繊維と可塑剤とのなじみが良くなり、ミクロフィブリル化植物繊維の凝集が更に防止される。そして、工程4において、そのような凝集が防止された状態のミクロフィブリル化植物繊維と可塑剤を含む混合物3を乾燥することにより、ミクロフィブリル化植物繊維の凝集が十分に防止されたミクロフィブリル化植物繊維と可塑剤とを含む複合体が作製されると考えられる。従って、このような簡便な製法であるにもかかわらず、ミクロフィブリル化植物繊維の分散性に優れた複合体の製造が可能となると推察される。
(工程1)
工程1では、ミクロフィブリル化植物繊維と、カチオン性窒素を有するカチオン性界面活性剤と、水とを混合して混合物1が作製される。
ミクロフィブリル化植物繊維としては、破壊強度、耐摩耗性等の観点から、セルロースミクロフィブリルが好ましい。セルロースミクロフィブリルとしては、天然物由来のものであれば特に制限されず、例えば、果実、穀物、根菜などの資源バイオマス、木材、竹、麻、ジュート、ケナフ、及びこれらを原料として得られるパルプや紙、布、農作物残廃物、食品廃棄物や下水汚泥などの廃棄バイオマス、稲わら、麦わら、間伐材などの未使用バイオマスの他、ホヤ、酢酸菌等の生産するセルロースなどに由来するものが挙げられる。これらミクロフィブリル化植物繊維は、1種を用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
なお、本明細書において、セルロースミクロフィブリルとは、典型的には、平均繊維径が数十μm(20~30μm以下等)以下、好ましくは10μm以下の範囲内であるセルロース繊維、より典型的には、セルロース分子の集合により形成されている平均繊維径500nm以下の微小構造を有するセルロース繊維(平均繊維径が数十μm以下、10μm以下、500nm以下のミクロフィブリル化植物繊維)を意味する。なお、典型的なセルロースミクロフィブリルは、例えば、上記のような平均繊維径を有するセルロース繊維の集合体として形成されていることができる。
ミクロフィブリル化植物繊維の製造方法としては特に限定されないが、例えば、セルロースミクロフィブリルの原料を必要に応じて水酸化ナトリウム等のアルカリで化学処理した後、リファイナー、二軸混練機(二軸押出機)、二軸混練押出機、高圧ホモジナイザー、媒体撹拌ミル、石臼、グラインダー、振動ミル、サンドグラインダー等により機械的に磨砕ないし叩解する方法が挙げられる。これらの方法では、化学処理によって原料からリグニンが分離されるため、リグニンを実質的に含有しないミクロフィブリル化植物繊維が得られる。また、その他の方法として、セルロースミクロフィブリルの原料を超高圧処理する方法なども挙げられる。
ミクロフィブリル化植物繊維としては、例えば、(株)スギノマシン、ダイセルファインケム(株)等の製品を使用できる。
なお、ミクロフィブリル化植物繊維は、前記のとおり、上記製造方等法により得られた未変性のミクロフィブリル化植物繊維でも十分にポリマー中に配向させることができるが、当然に、未変性のミクロフィブリル化植物繊維の他、酸化処理や種々の化学変性処理などを施したものや、セルロースミクロフィブリルの由来となり得る天然物(例えば、木材、パルプ、竹、麻、ジュート、ケナフ、農作物残廃物、布、紙、ホヤセルロース等)をセルロース原料として、酸化処理や種々の化学変性処理などを行い、その後に必要に応じて解繊処理を行ったものも使用できる(化学変性ミクロフィブリル化植物繊維等)。
ミクロフィブリル化植物繊維の化学変性の態様としては、例えば、エステル化処理、エーテル化処理、アセタール化処理等が例示される。具体的には、アセチル化等のアシル化、シアノエチル化、アミノ化、スルホンエステル化、リン酸エステル化、アルキルエステル化、アルキルエーテル化、複合エステル化、β-ケトエステル化、ブチル化等のアルキル化、塩素化、等が好ましく例示される。更には、アルキルカルバメート化、アリールカルバメート化も例示できる。
化学変性ミクロフィブリル化植物繊維は、置換度が0.2~2.5の範囲内となるように化学変性されていることが好ましい。ここで置換度とは、セルロースの水酸基のうち化学変性によって他の官能基に置換された水酸基のグルコース環単位当りの平均個数を意味し、理論上最大値は3である。該置換度は、0.3~2.5の範囲内であることがより好ましく、0.5~2.3の範囲内であることが更に好ましく、0.5~2.0の範囲内であることが特に好ましい。なお、上記化学変性ミクロフィブリル化植物繊維が2種以上の組み合わせからなる場合、置換度は、化学変性ミクロフィブリル化植物繊維全体での平均として算出される。
化学変性ミクロフィブリル化植物繊維における該置換度は、例えば、0.5N-NaOHと0.2N-HClとを用いる滴定法やNMR、赤外吸収スペクトル等の測定によって確認できる。
好適な化学変性ミクロフィブリル化植物繊維としては、置換度が0.3~2.5の範囲内のアミノ化ミクロフィブリル化植物繊維を例示できる。該置換度は、0.3~2.0が好ましく、0.5~2.3がより好ましく、0.7~2.0が更に好ましく、0.9~1.8が特に好ましい。
化学変性ミクロフィブリル化植物繊維がアセチル化ミクロフィブリル化植物繊維の場合は置換度が0.3~2.5、スルホンエステル化ミクロフィブリル化植物繊維の場合は置換度が0.3~1.8、アルキルエステル化ミクロフィブリルセルロースの場合は置換度が0.3~1.8、複合エステル化ミクロフィブリルセルロースの場合は置換度が0.4~1.8、β-ケトエステル化ミクロフィブリルセルロースの場合は置換度が0.3~1.8、アルキルカルバメート化ミクロフィブリルセルロースの場合は置換度が0.3~1.8、アリールカルバメート化ミクロフィブリルセルロースの場合は置換度が0.3~1.8の範囲内が好ましい。
アセチル化は、例えば、ミクロフィブリル化植物繊維に、酢酸、濃硫酸、無水酢酸を加えて反応させる方法等で行なうことができる。具体的には、例えば、酢酸とトルエンとの混合溶媒中、硫酸触媒存在下で、ミクロフィブリル化植物繊維と無水酢酸とを反応させてアセチル化反応を進行させ、その後、溶媒を水に置き換える方法等、従来公知の方法で行なうことができる。
アミノ化は、例えば、2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシル(TEMPO)等のN-オキシル化合物を用いた酸化処理を行った後に、例えば、アルコール(例えば、エタノール等の炭素数1~10のアルコール(好ましくは炭素数1~5のアルコール、より好ましくは炭素数1~4の第1級アルコール))中で、アミン化合物(例えば、オレイルアミン等の炭素数1~30の第1級アミン化合物(好ましくは飽和結合又は不飽和結合を有する炭素数3~25の第1級アミン化合物、より好ましくは不飽和結合を有する炭素数6~23の第1級アミン化合物、更に好ましくは不飽和二重結合を有する炭素数10~20の第1級アミン化合物))や4級アルキルアンモニウム塩(好ましくは、炭素数1~30の4級アルキルアンモニウム塩、より好ましくは、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロリド等の炭素数1~20の4級アルキルアンモニウムハライド)と反応させ、親核置換反応させる方法や、トシルエステル化など公知の方法により行なうことができる。
スルホンエステル化は、例えば、ミクロフィブリル化植物繊維を硫酸に溶解して、水中に投入するのみの簡単な操作で行なうことができる。他にも、無水硫酸ガス処理、クロルスルホン酸とピリジンによって処理する方法等で行なうことができる。
リン酸エステル化は、例えば、ジメチルアミン処理等を施したミクロフィブリル化植物繊維をリン酸と尿素とで処理する方法により行なうことができる。
アルキルエステル化は、例えば、ミクロフィブリル化植物繊維を塩基性条件下でカルボン酸クロライドを用いて反応させるSchotten-Baumann法(ショッテン・バウマン法)で行うことができ、また、アルキルエーテル化は、ミクロフィブリル化植物繊維を塩基性条件下でハロゲン化アルキルを用いて反応させるWilliamson法等で行なうことができる。
塩素化は、例えば、DMF(ジメチルホルムアミド)中で塩化チオニルを加えて加熱する方法で行なうことができる。
複合エステル化は、例えば、ミクロフィブリル化植物繊維に2種類以上のカルボン酸無水物またはカルボン酸クロライドを塩基性条件下で反応させる方法で行なうことができる。
β-ケトエステル化は、例えば、ミクロフィブリル化植物繊維にジケテンやアルキルケテンダイマーを反応させる方法、もしくはミクロフィブリル化植物繊維とアルキルアセトアセテートのようなβ-ケトエステル化合物のエステル交換反応により行なうことができる。
アルキルカルバメート化は、例えば、ミクロフィブリル化植物繊維にアルキルイソシアナートを塩基性触媒またはスズ触媒存在下で反応させる方法で行なうことができる。
アリールカルバメート化は、例えば、ミクロフィブリル化植物繊維にアリールイソシアナートを塩基性触媒またはスズ触媒存在下で反応させる方法で行なうことができる。
工程1において、カチオン性窒素を有するカチオン性界面活性剤が使用される。ここで、カチオン性界面活性剤が有するカチオン性窒素とは、前記製造方法を実施する環境下で正電荷を帯びた窒素原子となることが可能な該界面活性剤中の窒素原子という。カチオン性窒素を有するカチオン性界面活性剤を用いることで、該カチオン性界面活性剤の親水側とミクロフィブリル化植物繊維との間に相互作用が生じると共に、後工程で混合する可塑剤と疎水側との間に相互作用が生じることで、分散性に優れたミクロフィブリル化植物繊維及び可塑剤を含む複合体が得られると考えられる。
工程1に使用可能なカチオン性窒素を有するカチオン性界面活性剤としては、第4級アンモニウム塩、アルキルアミン塩などが挙げられる。なかでも、より効果が得られる観点から、第4級アンモニウム塩が好ましい。
第4級アンモニウム塩としては、炭素数11以上23以下のアルキル基を1つ又は2つ有する第4級アンモニウム塩などが挙げられる。具体的には、下記一般式(1)で表される第4級アンモニウム塩が挙げられる。
Figure 2022180911000001
〔式中、Rは、炭素数11以上23以下のアルキル基を示す。Rは、炭素数1以上25以下のアルキル基又はベンジル基を示す。R、Rは、それぞれ、炭素数1以上4以下のアルキル基を示す。Xは、陰イオンを示す。〕
一般式(1)中、Rは、炭素数12以上18以下のアルキル基が好ましい。
一般式(1)中、Rのアルキル基は、炭素数1以上10以下が好ましい。Rは、炭素数1以上18以下のアルキル基又はベンジル基がより好ましく、炭素数1以上10以下のアルキル基が更に好ましい。
一般式(1)中、R、Rは、それぞれ、炭素数1又は2のアルキル基が好ましい。
一般式(1)中、Xは、塩化物イオン(Cl)が好ましい。
第4級アンモニウム塩として、具体的には、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、セチルトリメチルアンモニウムクロライド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド、ジステアリルジメチルアンモニウムクロライド、アルキル(炭素数11以上23以下)ベンジルジメチルアンモニウムクロライドが挙げられる。なかでも、より効果が得られる観点から、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、セチルトリメチルアンモニウムクロライド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド、ジステアリルジメチルアンモニウムクロライドが好ましく、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド、ジステアリルジメチルアンモニウムクロライドがより好ましい。
第4級アンモニウム塩の市販品としては、コータミン24P、コータミン60W、コータミン86Pコンク、コータミン86W、コータミンD86P、サニゾールC、サニゾールB-50(何れも花王(株)製)などを使用できる。
アルキルアミン塩としては、炭素数11以上23以下のアルキル基を有するアルキルアミン塩(例えば塩は酢酸塩)などが挙げられる。
アルキルアミン塩として、具体的には、ココナットアミンアセテート、ステアリルアミンアセテートが挙げられる。
アルキルアミン塩の市販品としては、アセタミン24、アセタミン86(何れも花王(株)製)などを使用できる。
工程1に使用可能な水は特に限定されず、例えば、水道水、イオン交換水(脱イオン水)、蒸留水などが挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、イオン交換水が好ましい。水は、ミクロフィブリル化植物繊維、カチオン性窒素を有するカチオン性界面活性剤以外の材料として別途配合すること、後述するミクロフィブリル化植物繊維水溶液中に含まれる材料として配合すること等、種々の態様で配合可能であるが、なかでも、前記ミクロフィブリル化植物繊維水溶液に含まれる材料として配合することが好適である。
工程1のミクロフィブリル化植物繊維、カチオン性窒素を有するカチオン性界面活性剤及び水を含む混合物1の調製において、より効果が得られる観点から、ミクロフィブリル化植物繊維は、水中に分散させた水溶液(ミクロフィブリル化植物繊維水溶液)の状態で、他の材料と混合することが望ましい。
ミクロフィブリル化植物繊維水溶液は、公知の方法で製造でき、例えば、ホモジナイザー(高速ホモジナイザー、超音波ホモジナイザーなど)、コロイドミル、ブレンダ―ミルなどを用いてミクロフィブリル化植物繊維を水中に分散させることで調製できる。調製の際の温度や時間も、ミクロフィブリル化植物繊維が水中に十分分散するように適宜設定できる。
ミクロフィブリル化植物繊維水溶液中のミクロフィブリル化植物繊維の含有率(固形分)は、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、更に好ましくは0.5質量%以上であり、また、好ましくは20質量%以下、より好ましくは10質量%以下、更に好ましくは3.0質量%以下、特に好ましくは1.0質量%以下である。
ミクロフィブリル化植物繊維と、カチオン性窒素を有するカチオン性界面活性剤と、水とを混合して、これらの成分を含む混合物1を作製する工程1は、公知の混合方法で実施できる。例えば、ミクロフィブリル化植物繊維、カチオン性窒素を有するカチオン性界面活性剤、水を、自公転式混合装置、ホモジナイザー(高速ホモジナイザー、超音波ホモジナイザーなど)、コロイドミル、ブレンダ―ミル等を用いる公知の方法で、混合、分散させることにより、混合物1を調製できる。調製の際の温度や時間は、ミクロフィブリル化植物繊維が十分分散するよう、通常行われる範囲で適宜設定したり、混合物が所望の粘度となるよう粘度を測定しながら適宜調整したりできる。例えば、温度は、5~80℃が好ましく、10~50℃がより好ましく、12~40℃が更に好ましい。
ミクロフィブリル化植物繊維と、カチオン性窒素を有するカチオン性界面活性剤と、水とを混合する工程1において、効果がより得られる観点から、ミクロフィブリル化植物繊維100質量部(固形分)に対するカチオン性窒素を有するカチオン性界面活性剤の添加量は、0.1~50質量部の範囲内が好ましい。下限は、5質量部以上がより好ましく、10質量部以上が更に好ましく、20質量部以上が特に好ましい。上限は、40質量部以下がより好ましく、35質量部以下が更に好ましく、30質量部以下が特に好ましい。
工程1の後、工程1で得られた混合物1に更に脱水処理を施すことが好ましい。
脱水処理としては、例えば、吸引脱水や遠心脱水等の一般的な処理方法を採用できる。なかでも、脱水処理は、吸引ろ過装置による減圧脱水であることが好ましい。
効果がより得られる観点から、工程1の後の脱水処理により、混合物1(100質量%)の固形分含有率を5質量%以上に調整することが好ましく、より好ましくは7質量%以上、更に好ましくは9質量%以上、特に好ましくは10質量%以上である。上限は特に限定されないが、好ましくは30質量%以下、より好ましくは20質量%以下、更に好ましくは15質量%以下である。
(工程2)
工程2では、前記のとおり、必要に応じて脱水処理を施した混合物1と、アルコールとを混合して混合物2が作製される。
工程2に使用可能なアルコールとしては、公知のアルコール化合物を使用でき、例えば、直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキルアルコール又はアルコキシアルコール、芳香族アルコール、フルオロアルコールなどが例示される。該アルキルアルコールの炭素数は1~25が好ましく、該アルコキシアルコールの炭素数は1~10が好ましく、該芳香族アルコールの炭素数は6~10が好ましく、該フルオロアルコールの炭素数は1~6が好ましい。なかでも、直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキルアルコールが好ましく、直鎖状のアルキルアルコールがより好ましい。
アルキルアルコールとしては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、ノナノール、デカノール、ドデカノール、ヘキサデカノール、オクタデカノール、エイコサノール、ドコサノールなどが挙げられる。アルコキシアルコールとしては、メトキシエタノール、エトキシエタノールなどが挙げられる。芳香族アルコールとしては、ベンジルアルコール、2-ベンジルオキシエタノールなどが挙げられる。フルオロアルコールとしては、パーフルオロエタノールなどのパーフルオロアルコール;2-フルオロエタノール、2,2,2-トリフルオロエタノールなどが挙げられる。なかでも、エタノール、プロパノール、ブタノールが好ましく、エタノールがより好ましい。これらは、単独又は2種以上を併用してもよい。
必要に応じて脱水処理を施した混合物1と、アルコールとを混合して、これらの成分を含む混合物2を作製する工程2は、公知の混合方法で実施でき、例えば、工程1の混合方法と同様の方法を採用できる。作製の際の温度や時間は、通常行われる範囲で適宜設定したり、混合物が所望の粘度となるよう粘度を測定しながら適宜調整したりできる。例えば、温度は、5~80℃が好ましく、10~50℃がより好ましく、12~40℃が更に好ましい。
必要に応じて脱水処理を施した混合物1とアルコールとを混合する工程2において、効果がより得られる観点から、ミクロフィブリル化植物繊維100質量部(固形分)に対するアルコールの添加量は、100~50000質量部の範囲内が好ましい。下限は、1000質量部以上がより好ましく、2000質量部以上が更に好ましく、3000質量部以上が特に好ましい。上限は、20000質量部以下がより好ましく、10000質量部以下が更に好ましく、8000質量部以下が特に好ましい。
工程2の後、工程2で得られた混合物2に更に脱水処理を施すことが好ましい。
脱水処理としては、公知の方法を使用でき、例えば、工程1後の方法と同様の方法を採用できる。なかでも、脱水処理は、吸引ろ過装置による減圧脱水であることが好ましい。
効果がより得られる観点から、工程2の後の脱水処理により、混合物2(100質量%)の固形分含有率を12質量%以上にすることが好ましく、より好ましくは15質量%以上、更に好ましくは18質量%以上、特に好ましくは20質量%以上である。上限は特に限定されないが、好ましくは40質量%以下、より好ましくは30質量%以下、更に好ましくは20質量%以下である。
(工程3)
工程3では、前記のとおり、必要に応じて脱水処理を施した混合物2と、可塑剤とを混合して混合物3が作製される。
本明細書において、可塑剤とは、ゴム及び/又は樹脂に可塑性を付与する材料であり、液体可塑剤(25℃で液体(液状)の可塑剤)及び固体可塑剤(25℃で固体の可塑剤)を含む概念である。なかでも、効果がより得られる観点から、液体可塑剤が好適である。可塑剤は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
工程2に使用可能な液体可塑剤としては特に限定されず、オイル、液状樹脂、液状ジエン系ポリマー等が挙げられる。なかでも、効果がより得られる観点から、オイルが好ましい。
工程2に使用可能なオイルとしては特に限定されず、例えば、プロセスオイル、植物油、又はその混合物などの公知のオイルが挙げられる。
プロセスオイルとしては、例えば、パラフィン系プロセスオイル、アロマ系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイル、TDAE、MES等の低PCA(多環式芳香族)プロセスオイルなどを使用できる。植物油としては、ひまし油、綿実油、あまに油、なたね油(キャノーラ油)、大豆油、パーム油、やし油、落花生油、ロジン、パインオイル、パインタール、トール油、コーン油、こめ油、べに花油、ごま油、オリーブ油、ひまわり油、パーム核油、椿油、ホホバ油、マカデミアナッツ油、桐油等が挙げられる。これらは、1種を用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
LCA(Life Cycle Assessment)の観点からは、オイルとして、植物油(植物由来のグリセロール脂肪酸トリエステル)を用いることが好ましい。ここで、グリセロール脂肪酸トリエステルとは、脂肪酸とグリセリンとのエステル体であり、トリグリセリド、トリ-O-アシルグリセリンとも称される。
植物由来のグリセロール脂肪酸トリエステルを構成する脂肪酸としては、通常、パルミチン酸(炭素数16、不飽和結合数0)、ステアリン酸(炭素数18、不飽和結合数0)、オレイン酸(炭素数18、不飽和結合数1)、リノール酸(炭素数18、不飽和結合数2)が主成分をなすことが知られており、構成脂肪酸100質量%中のパルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸の合計含有量は、通常、80質量%以上、好ましくは90質量%以上である。
グリセロール脂肪酸トリエステルは、構成脂肪酸100質量%中の、飽和脂肪酸の含有量が10~25質量%であることが好ましい。下限は12質量%以上がより好ましく、上限は20質量%以下がより好ましく、18質量%以下が更に好ましく、15質量%以下が特に好ましい。
グリセロール脂肪酸トリエステルは、構成脂肪酸100質量%中の、不飽和結合を1個有する1価不飽和脂肪酸の含有量が50質量%未満であることが好ましく、より好ましくは45質量%以下、更に好ましくは40質量%以下、特に好ましくは35質量%以下、最も好ましくは30質量%以下である。下限は特に限定されないが、好ましくは8質量%以上、より好ましくは14質量%以上、更に好ましくは20質量%以上である。
グリセロール脂肪酸トリエステルは、構成脂肪酸100質量%中の、不飽和結合を2個以上有する多価不飽和脂肪酸の含有量が50質量%以上であることが好ましく、より好ましくは55質量%以上、更に好ましくは60質量%以上である。上限は特に限定されないが、好ましくは90質量%以下、より好ましくは80質量%以下、更に好ましくは70質量%以下である。
グリセロール脂肪酸トリエステルは、構成脂肪酸100質量%中の、不飽和結合を2個有する2価不飽和脂肪酸の含有量が、好ましくは35~80質量%、より好ましくは40~70質量%、更に好ましくは45~65質量%である。また、構成脂肪酸100質量%中の、不飽和結合を3個有する3価不飽和脂肪酸の含有量が、好ましくは3~25質量%、より好ましくは5~15質量%である。
グリセロール脂肪酸トリエステルは、構成脂肪酸100質量%中の、不飽和脂肪酸の合計含有量が、好ましくは75~90質量%、より好ましくは80~88質量%、更に好ましくは82~88質量%、特に好ましくは85~88質量%である。
グリセロール脂肪酸トリエステルは、下記式(A)を満たすことが好ましい。
下記式(A)の下限は、好ましくは100以上、より好ましくは120以上、更に好ましくは140以上、特に好ましくは150以上であり、上限は、好ましくは190以下、より好ましくは180以下、更に好ましくは170以下である。
80≦構成脂肪酸100質量%中の不飽和結合を1個有する1価不飽和脂肪酸の含有量(質量%)×1(不飽和結合数)+構成脂肪酸100質量%中の不飽和結合を2個有する2価不飽和脂肪酸の含有量(質量%)×2(不飽和結合数)+構成脂肪酸100質量%中の不飽和結合を3個有する3価不飽和脂肪酸の含有量(質量%)×3(不飽和結合数)≦200 式(A)
グリセロール脂肪酸トリエステルは、植物由来のグリセロール脂肪酸トリエステルの場合、構成脂肪酸が有する不飽和結合は、通常、二重結合である。
グリセロール脂肪酸トリエステルは、構成脂肪酸の平均炭素数が、好ましくは15~21、より好ましくは16~20、更に好ましくは17~19である。
本明細書において、構成脂肪酸の平均炭素数は、以下の式(D)により算出される。
構成脂肪酸の平均炭素数=Σ構成脂肪酸100質量%中の炭素数nの脂肪酸の含有量(質量%)×n(炭素数)/100 式(D)
グリセロール脂肪酸トリエステルは、常温(25℃)で液体であることが好ましい。グリセロール脂肪酸トリエステルの融点は、好ましくは20℃以下、より好ましくは17℃以下、更に好ましくは0℃以下、特に好ましくは-5℃以下である。
下限は特に限定されないが、好ましくは-100℃以上、より好ましくは-90℃以上である。
なお、グリセロール脂肪酸トリエステルの融点は、示差走査熱量測定(DSC)により測定できる。
グリセロール脂肪酸トリエステルのヨウ素価は、好ましくは60以上、より好ましくは70以上、更に好ましくは80以上、特に好ましくは100以上、最も好ましくは120以上である。また、上記ヨウ素価は、好ましくは160以下、より好ましくは150以下、更に好ましくは135以下である。
なお、本明細書において、ヨウ素価とは、グリセロール脂肪酸トリエステル100gにハロゲンを反応させたとき、結合するハロゲンの量をヨウ素のグラム数に換算したものであり、電位差滴定法(JIS K0070)により測定した値である。
植物油(植物由来のグリセロール脂肪酸トリエステル)としては、例えば、前述の植物油が挙げられ、具体的には、大豆油、ごま油、米油、紅花油、コーン油、オリーブ油、菜種油等由来のもの等が挙げられる。
なお、上記脂肪酸組成は、GLC(気-液クロマトグラフィー)により測定できる。
オイルとしてはまた、植物油(植物由来のグリセロール脂肪酸トリエステル)をケン化処理して得られたもの(植物油のケン化処理物)も好適に使用できる。該ケン化処理としては、上記植物油に、アルカリを添加して所定温度で一定時間、静置することにより行うことができる。なお、必要に応じて撹拌等を行ってもよい。
ケン化処理に用いることができるアルカリとしては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、アミン化合物等が挙げられ、ケン化処理の効果の観点から、特に水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムを用いることが好ましい。
アルカリの添加量は、特に限定されないが、例えば、植物油100質量部に対して、下限は0.1質量部以上が好ましく、0.3質量部以上がより好ましく、1質量部以上が更に好ましい。また、上限は20質量部以下が好ましく、15質量部以下がより好ましく、10質量部以下が更に好ましい。
ケン化処理の温度は、アルカリによるケン化反応が十分な反応速度で進行しうる範囲、植物油が変質を起こさない範囲で適宜、設定できるが、通常は20~70℃が好ましく、30~70℃がより好ましい。また処理の時間は、植物油を静置して処理を行う場合、処理の温度にもよるが、十分な処理を行うことと、生産性を向上することとを併せ考慮すると30分~48時間が好ましく、1~24時間がより好ましい。
オイル、グリセロール脂肪酸トリエステル等の市販品としては、例えば、出光興産(株)、三共油化工業(株)、(株)ジャパンエナジー、オリソイ社、H&R社、豊国製油(株)、昭和シェル石油(株)、富士興産(株)、日清オイリオ(株)、J-オイルミルズ(株)、昭和産業(株)、不二製油(株)、ミヨシ油脂(株)、ボーソー油脂(株)等の製品を使用できる。
必要に応じて脱水処理を施した混合物2と、可塑剤とを混合して、これらの成分を含む混合物3を作製する工程3は、公知の混合方法で実施でき、例えば、工程1の混合方法と同様の方法を採用できる。作製の際の温度や時間は、通常行われる範囲で適宜設定したり、混合物が所望の粘度となるよう粘度を測定しながら適宜調整したりできる。例えば、温度は、5~80℃が好ましく、10~50℃がより好ましく、12~40℃が更に好ましい。
なかでも、フィラー分散性の観点から、自公転式混合装置を用いて混合する方法が好ましい。本明細書において、自公転式混合装置とは、自転機構、公転機構の両機構を備えた混合装置であり、例えば、自転公転撹拌機、プラネタリーミキサー等が挙げられる。
自転公転撹拌機は、材料を入れる容器を公転させると共に自転させることにより、該材料を撹拌する装置である。容器を公転させると共に自転させることによる遠心力、せん断力等により充分な混合が可能となる。例えば、特開2015-52034号公報に記載の撹拌機等が挙げられ、市販品としては、シンキー社製「自転・公転ミキサー あわとり錬太郎 ARE-310」等が挙げられる。
プラネタリーミキサーは、攪拌機構として自転と公転機能を有するブレード(撹拌羽根)を持つ遊星運動型ミキサーである。
自転公転撹拌機、プラネタリーミキサーにおいて、自転回転速度、公転回転速度は、ミクロフィブリル化植物繊維、カチオン性窒素を有するカチオン性界面活性剤、水の量等を考慮し、良好な混合を実現できる範囲で適宜設定すれば良い。
必要に応じて脱水処理を施した混合物2と可塑剤とを混合する工程3において、効果がより得られる観点から、ミクロフィブリル化植物繊維100質量部(固形分)に対する可塑剤の添加量は、10~1000質量部の範囲内が好ましい。下限は、50質量部以上がより好ましく、70質量部以上が更に好ましく、80質量部以上が特に好ましい。上限は、500質量部以下がより好ましく、300質量部以下が更に好ましく、200質量部以下が特に好ましい。
(工程4)
工程4では、工程3で得られた混合物3が乾燥され、これにより、ミクロフィブリル化植物繊維の分散性が良好な複合体(ミクロフィブリル化植物繊維及び可塑剤を含む複合体)が作製される。
工程4の乾燥は、例えば、公知の流動層乾燥機を用いて実施できる。「流動層乾燥機」とは、缶体に温めた流動化空気を供給し、内部に投入した被処理物を流動循環させながら乾燥することを目的とする装置である。工程4では、噴霧機構を備えた流動層乾燥機を使用できる。
噴霧機構としては、例えば、スプレーノズルなどの噴出装置、吐出装置などを使用できる。噴出装置、吐出装置は、装置に設けられた流動層における底部、側部、天部などに取り付けることができ、流動層に向けて噴霧できる。噴霧は、流動層の中心部に向けて噴霧するのみならず、種々の方法を適用して噴霧する態様が挙げられる。流動層乾燥機は、更に、粉体に対して、攪拌・転動作用を与えるために、攪拌羽や回転円盤に代表される攪拌・混合・転動機構を備える装置でもよい。
流動層乾燥機としては、より効果が得られる観点から、例えば、公知の流動層造粒乾燥機(流動層造粒装置)を好適に使用できる。流動層造粒乾燥機は、流動層造粒に通常使用されている装置を使用でき、例えば、被処理物を収容・造粒・乾燥するための造粒槽と、被処理物を流動させる熱風を供給する熱風供給装置と、被処理物に液体を噴霧するためのスプレーノズルとを備える装置などが挙げられる。
流動層造粒乾燥機のなかでも、より効果が得られる観点から、造粒において、噴流、転動、攪拌、パルス発生機構などを備えた複合型流動層造粒乾燥機が好ましく、転動機構を備えた乾燥機(転動流動造粒コーティング装置)、パルス発生機構を備えた乾燥機(パルス流動層造粒乾燥機)がより好ましく、パルス発生機構を備えた乾燥機がより好ましい。このような複合型流動層造粒乾燥機では、流動層の側面などからの強制循環や、整粒解砕、流動層内のブレードローターの回転、パルス発生機構などにより、造粒物に、噴流、転動、攪拌、風速の周期的な変化などが施される。
流動層乾燥機は、乾燥風として熱風を流動層内に導入するものが好ましい。
乾燥時の処理条件に関し、熱風の温度(給気温度)は、被処理物に含まれる成分などを考慮して適宜設定すればよいが、好ましくは60~180℃、より好ましくは70~150℃、更に好ましくは80~120℃の範囲である。熱風の風速(給気風量)は、好ましくは0.1~3.0m/sec、より好ましくは0.5~2.5m/sec、更に好ましくは0.8~2.0m/secである。
工程4における処理時間(乾燥時間)は、被処理物に含まれる成分などを考慮して適宜設定すればよいが、好ましくは1分以上、より好ましくは5分以上、更に好ましくは7分以上であり、また、好ましくは10時間以下、より好ましくは1時間以下、更に好ましくは30分以下である。
流動層乾燥機への混合物3の投入速度は、噴霧状態などを考慮して適宜設定すればよいが、好ましくは1.0g/分以上、より好ましくは3.0g/分以上、更に好ましくは5.0g/分以上であり、また、好ましくは20.0g/分以下、より好ましくは10.0g/分以下、更に好ましくは8.0g/分以下である。
流動層乾燥機の市販品としては、フローコーター(フロイント産業社製)、GPCG-CTシリーズ、WST/WSGシリーズ、BFシリーズ、PLSシリーズ(パルス流動層造粒乾燥機)、MPシリーズ(転動流動造粒コーティング装置)(以上、パウレック社製)等を挙げることができる。
工程4の乾燥は、作製される複合体(100質量%)の固形分含有率を85質量%以上に調整することが好ましく、より好ましくは90質量%以上、更に好ましくは92質量%以上、特に好ましくは94質量%以上である。上限は特に限定されず、100質量%でもよい。なお、「固形分含有率」とは、複合体100質量%中におけるミクロフィブリル化植物繊維、可塑剤などの成分から構成される固体状の成分の含有率を指す。
工程4により作製される前記複合体は、平均粒子径が100μm以下の粒子(粉末)であることが好ましい。該平均粒子径は、50μm以下がより好ましく、30μm以下が更に好ましく、20μm以下が特に好ましい。下限は特に限定されないが、好ましくは1μm以上、より好ましくは3μm以上、更に好ましくは5μm以上である。ここで、流動層乾燥機を用いて製造される造粒物(前記担持体)の粒径制御は、流動層内の滞留量を調整する方法、噴霧ノズル位置を調整する方法、等により実施できる。
なお、本明細書において、平均粒子径は、数平均粒子径であり、透過型電子顕微鏡により測定される。
<複合体>
前記製造方法により、ミクロフィブリル化植物繊維及び可塑剤を含む複合体が得られる。前記複合体は、該複合体(100質量%)中の固形分含有率が85質量%以上であることが好ましく、より好ましくは90質量%以上、更に好ましくは92質量%以上、特に好ましくは94質量%以上である。なお、「固形分含有率」とは、複合体100質量%中におけるミクロフィブリル化植物繊維、可塑剤などの成分から構成される固体状の成分の含有率を指す。
ミクロフィブリル化植物繊維と可塑剤とを含む複合体としては、例えば、前述の平均繊維径10μm以下のミクロフィブリル化植物繊維と、前記可塑剤とを混合して乾燥させることにより得られる粉末状の複合体が挙げられる。このような粉末状の複合体は、例えば、前記製造方法などにより製造できる。ここで、本明細書において、「粉末状」とは、「75μm(200メッシュ)の篩にかけたときに90質量%以上が通過する粒子の集合を意味する。
ミクロフィブリル化植物繊維と可塑剤とを含む複合体は、より効果が得られる観点から、該可塑剤が植物油を含み、かつ該複合体(100質量%)中のミクロフィブリル化植物繊維の含有率(質量%)及び植物油の含有率(質量%)、該複合体中の植物油のヨウ素価が、下記式を満たすことが好適である。
ミクロフィブリル化植物繊維の含有率(質量%)/(植物油の含有率(質量%)×植物油のヨウ素価)≦0.0100
上限は、0.0090以下がより好ましく、0.0080以下が更に好ましい。
下限は特に限定されず、値が小さいほど望ましい。
前記複合体は、平均粒子径が100μm以下の粒子(粉末)であることが好ましい。該平均粒子径は、50μm以下がより好ましく、30μm以下が更に好ましく、20μm以下が特に好ましい。下限は特に限定されないが、好ましくは1μm以上、より好ましくは3μm以上、更に好ましくは5μm以上である。
<ゴム組成物、樹脂組成物>
前記複合体は、ゴム組成物や樹脂組成物の添加剤として使用できる。組成物に該複合体を配合することで、ミクロフィブリル化植物繊維を組成物内に良好に分散することが可能であり、所望の補強効果を付与できる。なかでも、ゴム組成物に前記複合体を配合することが望ましい。
(ゴム組成物)
ゴム組成物において、ゴム成分100質量部に対して、ミクロフィブリル化植物繊維の含有量は、好ましく1質量部以上、より好ましくは5質量%以上、更に好ましくは7質量部以上であり、また、好ましくは100質量部以下、より好ましくは90質量部以下、更に好ましくは85質量部以下である。
ゴム組成物のゴム成分としては、ジエン系ゴムなどが挙げられる。ジエン系ゴムとしては、イソプレン系ゴム、ブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、スチレンイソプレンブタジエンゴム(SIBR)、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、クロロプレンゴム(CR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)などが挙げられる。また、ブチル系ゴム、フッ素ゴムなども挙げられる。なかでも、タイヤ物性の観点からは、イソプレン系ゴム、BR、SBRが好ましい。
ジエン系ゴムは、非変性ジエン系ゴムでもよいし、変性ジエン系ゴムでもよい。
変性ジエン系ゴムとしては、シリカ等の充填剤と相互作用する官能基を有するジエン系ゴムであればよく、例えば、ジエン系ゴムの少なくとも一方の末端を、上記官能基を有する化合物(変性剤)で変性された末端変性ジエン系ゴム(末端に上記官能基を有する末端変性ジエン系ゴム)や、主鎖に上記官能基を有する主鎖変性ジエン系ゴムや、主鎖及び末端に上記官能基を有する主鎖末端変性ジエン系ゴム(例えば、主鎖に上記官能基を有し、少なくとも一方の末端を上記変性剤で変性された主鎖末端変性ジエン系ゴム)や、分子中に2個以上のエポキシ基を有する多官能化合物により変性(カップリング)され、水酸基やエポキシ基が導入された末端変性ジエン系ゴム等が挙げられる。
上記官能基としては、例えば、アミノ基、アミド基、シリル基、アルコキシシリル基、イソシアネート基、イミノ基、イミダゾール基、ウレア基、エーテル基、カルボニル基、オキシカルボニル基、メルカプト基、スルフィド基、ジスルフィド基、スルホニル基、スルフィニル基、チオカルボニル基、アンモニウム基、イミド基、ヒドラゾ基、アゾ基、ジアゾ基、カルボキシル基、ニトリル基、ピリジル基、アルコキシ基、水酸基、オキシ基、エポキシ基等が挙げられる。なお、これらの官能基は、置換基を有していてもよい。なかでも、アミノ基(好ましくはアミノ基が有する水素原子が炭素数1~6のアルキル基に置換されたアミノ基)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1~6のアルコキシ基)、アルコキシシリル基(好ましくは炭素数1~6のアルコキシシリル基)が好ましい。
イソプレン系ゴムとしては、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、改質NR、変性NR、変性IR等が挙げられる。NRとしては、例えば、SIR20、RSS♯3、TSR20等、タイヤ工業において一般的なものを使用できる。IRとしては、特に限定されず、例えば、IR2200等、タイヤ工業において一般的なものを使用できる。改質NRとしては、脱タンパク質天然ゴム(DPNR)、高純度天然ゴム(UPNR)等、変性NRとしては、エポキシ化天然ゴム(ENR)、水素添加天然ゴム(HNR)、グラフト化天然ゴム等、変性IRとしては、エポキシ化イソプレンゴム、水素添加イソプレンゴム、グラフト化イソプレンゴム等、が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ゴム組成物において、ゴム成分100質量%中のイソプレン系ゴムの含有量は、好ましく5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは15質量%以上であり、好ましくは95質量%以下、より好ましくは90質量%以下、更に好ましくは85質量%以下である。
ブタジエンゴム(BR)としては特に限定されず、例えば、高シス含量のBR、1,2-シンジオタクチックポリブタジエン結晶を含有するBR(SPB含有BR)、希土類元素系触媒を用いて合成されたブタジエンゴム(希土類系BR)、スズ化合物により変性されたスズ変性ブタジエンゴム(スズ変性BR)等、タイヤ工業において一般的なものが挙げられる。BRは、市販品としては、宇部興産(株)、JSR(株)、旭化成(株)、日本ゼオン(株)等の製品を使用できる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。BRは、非変性BRでもよいし、変性BRでもよい。
BRのシス含量は、良好な氷雪上性能、耐摩耗性等の観点から、好ましくは90質量%以上、より好ましくは95質量%以上である。
なお、本明細書において、シス含量(シス-1,4-結合量)は、赤外吸収スペクトル分析や、NMR分析により測定されるシグナル強度から算出される値である。
ゴム組成物において、ゴム成分100質量%中のBRの含有量は、好ましく5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは15質量%以上であり、好ましくは95質量%以下、より好ましくは90質量%以下、更に好ましくは85質量%以下である。
SBRとしては特に限定されず、例えば、乳化重合スチレンブタジエンゴム(E-SBR)、溶液重合スチレンブタジエンゴム(S-SBR)等を使用できる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
SBRのスチレン含量は、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは15質量%以上である。また、該スチレン含量は、好ましくは75質量%以下、より好ましくは70質量%以下、更に好ましくは65質量%以下である。
なお、本明細書において、SBRのスチレン含量は、H-NMR測定により算出される。
SBRのビニル含有量は、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは15質量%以上である。上記ビニル含有量は、好ましくは75質量%以下、より好ましくは70質量%以下、更に好ましくは65質量%以下である。
なお、ビニル含有量(1,2-結合ブタジエン単位量)は、赤外吸収スペクトル分析法によって測定できる。
SBRとしては、例えば、住友化学(株)、JSR(株)、旭化成(株)、日本ゼオン(株)等により製造・販売されているSBRを使用できる。
ゴム組成物において、ゴム成分100質量%中のSBRの含有量は、好ましく5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは15質量%以上であり、好ましくは95質量%以下、より好ましくは90質量%以下、更に好ましくは85質量%以下である。
ゴム組成物は、フィラー(充填材)を含んでもよい。フィラーとしては、シリカ、カーボンブラック、炭酸カルシウム、タルク、アルミナ、クレイ、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、マイカなどの無機フィラー;難分散性フィラー等のゴム分野で公知の材料を使用できる。なかでも、カーボンブラック、シリカが好ましい。
ゴム組成物において、フィラー(カーボンブラック、シリカ等)の合計含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは5質量部以上、より好ましくは10質量部以上、更に好ましくは15質量部以上である。該含有量は、好ましくは150質量部以下、より好ましくは120質量部以下、更に好ましくは100質量部以下である。
カーボンブラックとしては特に限定されず、SAF、ISAF、HAF、MAF、FEF、SRF、GPF、APF、FF、CF、SCF及びECFのようなファーネスブラック(ファーネスカーボンブラック);アセチレンブラック(アセチレンカーボンブラック);FT及びMTのようなサーマルブラック(サーマルカーボンブラック);EPC、MPC及びCCのようなチャンネルブラック(チャンネルカーボンブラック);グラファイトなどをあげることができる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
カーボンブラックの窒素吸着比表面積(NSA)は、好ましくは30m/g以上、より好ましくは35m/g以上、更に好ましくは40m/g以上である。上限は特に限定されないが、好ましくは250m/g以下、より好ましくは200m/g以下、更に好ましくは180m/g以下である。
なお、カーボンブラックのNSAは、JIS K 6217-2:2001によって求められる。
ゴム組成物において、カーボンブラックの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは5質量部以上、より好ましくは10質量部以上、更に好ましくは15質量部以上である。該含有量は、好ましくは150質量部以下、より好ましくは120質量部以下、更に好ましくは100質量部以下である。
シリカとしては、例えば、乾式法シリカ(無水シリカ)、湿式法シリカ(含水シリカ)などが挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、シラノール基が多いという理由から、湿式法シリカが好ましい。
シリカの窒素吸着比表面積(NSA)は、好ましくは40m/g以上、より好ましくは50m/g以上、更に好ましくは60m/g以上である。また、シリカのNSAは、好ましくは250m/g以下、より好ましくは220m/g以下、更に好ましくは200m/g以下である。上記範囲内であると、効果がより好適に得られる傾向がある。
なお、シリカのNSAは、ASTM D3037-93に準じてBET法で測定される値である。
ゴム組成物において、シリカの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは5質量部以上、より好ましくは10質量部以上、更に好ましくは15質量部以上である。該含有量は、好ましくは150質量部以下、より好ましくは120質量部以下、更に好ましくは100質量部以下である。
シリカとしては、例えば、デグッサ社、ローディア社、東ソー・シリカ(株)、ソルベイジャパン(株)、(株)トクヤマ等の製品を使用できる。
トレッド用ゴム組成物は、シリカと共にシランカップリング剤を含むことが好ましい。
シランカップリング剤としては、特に限定されず、例えば、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2-トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(4-トリエトキシシリルブチル)テトラスルフィド、ビス(3-トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2-トリメトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(2-トリエトキシシリルエチル)トリスルフィド、ビス(4-トリメトキシシリルブチル)トリスルフィド、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2-トリエトキシシリルエチル)ジスルフィド、ビス(4-トリエトキシシリルブチル)ジスルフィド、ビス(3-トリメトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2-トリメトキシシリルエチル)ジスルフィド、ビス(4-トリメトキシシリルブチル)ジスルフィド、3-トリメトキシシリルプロピル-N,N-ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、2-トリエトキシシリルエチル-N,N-ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3-トリエトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィド、などのスルフィド系、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、2-メルカプトエチルトリエトキシシラン、Momentive社製のNXT、NXT-Zなどのメルカプト系、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシランなどのビニル系、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシランなどのアミノ系、γ-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、などのグリシドキシ系、3-ニトロプロピルトリメトキシシラン、3-ニトロプロピルトリエトキシシランなどのニトロ系、3-クロロプロピルトリメトキシシラン、3-クロロプロピルトリエトキシシランなどのクロロ系などがあげられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、効果がより良好に得られるという理由から、スルフィド系、メルカプト系が好ましい。
シランカップリング剤としては、例えば、デグッサ社、Momentive社、信越シリコーン(株)、東京化成工業(株)、アヅマックス(株)、東レ・ダウコーニング(株)等の製品を使用できる。
ゴム組成物において、シランカップリング剤の含有量は、シリカ100質量部に対して、3質量部以上が好ましく、5質量部以上がより好ましい。また、上記含有量は、25質量部以下が好ましく、20質量部以下がより好ましく、15質量部以下が更に好ましい。
ゴム組成物は、前述の製造方法で使用される前記可塑剤以外に他の可塑剤を含んでもよい。可塑剤としては、例えば、前述と同様のものが挙げられる。具体的には、液体可塑剤として、前述のものが挙げられる。固体可塑剤としては、例えば、常温(25℃)で固体状態の芳香族ビニル重合体、クマロンインデン樹脂、クマロン樹脂、インデン樹脂、フェノール樹脂、ロジン樹脂、石油樹脂、テルペン系樹脂、アクリル系樹脂などが挙げられる。また、樹脂は、水添されていてもよい。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ゴム組成物において、可塑剤の総量(複合体中の可塑剤及び別途配合した可塑剤の総量)は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは3質量部以上、より好ましくは5質量部以上、更に好ましくは7質量部以上である。上限は、好ましくは50質量部以下、より好ましくは45質量部以下、更に好ましくは40質量部以下である。
ゴム組成物は、老化防止剤を含有することが好ましい。
老化防止剤としては特に限定されないが、フェニル-α-ナフチルアミン等のナフチルアミン系老化防止剤;オクチル化ジフェニルアミン、4,4′-ビス(α,α′-ジメチルベンジル)ジフェニルアミン等のジフェニルアミン系老化防止剤;N-イソプロピル-N′-フェニル-p-フェニレンジアミン、N-(1,3-ジメチルブチル)-N′-フェニル-p-フェニレンジアミン、N,N′-ジ-2-ナフチル-p-フェニレンジアミン等のp-フェニレンジアミン系老化防止剤;2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリンの重合物等のキノリン系老化防止剤;2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール、スチレン化フェノール等のモノフェノール系老化防止剤;テトラキス-[メチレン-3-(3′,5′-ジ-t-ブチル-4′-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン等のビス、トリス、ポリフェノール系老化防止剤などが挙げられる。なかでも、p-フェニレンジアミン系老化防止剤、キノリン系老化防止剤が好ましく、N-(1,3-ジメチルブチル)-N′-フェニル-p-フェニレンジアミン、2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリンの重合物がより好ましい。市販品としては、例えば、精工化学(株)、住友化学(株)、大内新興化学工業(株)、フレクシス社等の製品を使用できる。
ゴム組成物において、老化防止剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.2質量部以上、より好ましくは0.5質量部以上である。該含有量は、好ましくは7.0質量部以下、より好ましくは4.0質量部以下である。
ゴム組成物は、ステアリン酸を含んでもよい。ゴム組成物において、ステアリン酸の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.5~10質量部以上、より好ましくは0.5~5質量部である。
なお、ステアリン酸としては、従来公知のものを使用でき、例えば、日油(株)、花王(株)、富士フイルム和光純薬(株)、千葉脂肪酸(株)等の製品を使用できる。
ゴム組成物は、酸化亜鉛を含んでもよい。前記ゴム組成物において、酸化亜鉛の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.5~10質量部、より好ましくは1~5質量部である。
なお、酸化亜鉛としては、従来公知のものを使用でき、例えば、三井金属鉱業(株)、東邦亜鉛(株)、ハクスイテック(株)、正同化学工業(株)、堺化学工業(株)等の製品を使用できる。
ゴム組成物には、ワックスを配合してもよい。ゴム組成物において、ワックスの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.5~10質量部、より好ましくは1~5質量部である。
ワックスとしては特に限定されず、石油系ワックス、天然系ワックスなどが挙げられ、また、複数のワックスを精製又は化学処理した合成ワックスも使用可能である。これらのワックスは、単独で使用しても、2種類以上を併用してもよい。
石油系ワックスとしては、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス等が挙げられる。天然系ワックスとしては、石油外資源由来のワックスであれば特に限定されず、例えば、キャンデリラワックス、カルナバワックス、木ろう、ライスワックス、ホホバろうなどの植物系ワックス;ミツロウ、ラノリン、鯨ろうなどの動物系ワックス;オゾケライト、セレシン、ペトロラクタムなどの鉱物系ワックス;及びこれらの精製物などが挙げられる。市販品としては、例えば、大内新興化学工業(株)、日本精蝋(株)、精工化学(株)等の製品を使用できる。
ゴム組成物には、硫黄を配合してもよい。
トレッド用ゴム組成物において、硫黄の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは0.5質量部以上、更に好ましくは0.7質量部以上である。該含有量は、好ましくは6.0質量部以下、より好ましくは4.0質量部以下、更に好ましくは3.0質量部以下である。
硫黄としては、ゴム工業において一般的に用いられる粉末硫黄、沈降硫黄、コロイド硫黄、不溶性硫黄、高分散性硫黄、可溶性硫黄などが挙げられる。市販品としては、鶴見化学工業(株)、軽井沢硫黄(株)、四国化成工業(株)、フレクシス社、日本乾溜工業(株)、細井化学工業(株)等の製品を使用できる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ゴム組成物は、加硫促進剤を含んでもよい。
トレッド用ゴム組成物において、加硫促進剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、通常、0.3~10質量部、好ましくは0.5~7質量部である。
加硫促進剤の種類は特に制限はなく、通常用いられているものを使用可能である。加硫促進剤としては、2-メルカプトベンゾチアゾール、ジ-2-ベンゾチアゾリルジスルフィド、N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアジルスルフェンアミド等のチアゾール系加硫促進剤;テトラメチルチウラムジスルフィド(TMTD)、テトラベンジルチウラムジスルフィド(TBzTD)、テトラキス(2-エチルヘキシル)チウラムジスルフィド(TOT-N)等のチウラム系加硫促進剤;N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N-t-ブチル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N-オキシエチレン-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N,N’-ジイソプロピル-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド等のスルフェンアミド系加硫促進剤;ジフェニルグアニジン、ジオルトトリルグアニジン、オルトトリルビグアニジン等のグアニジン系加硫促進剤を挙げることができる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、スルフェンアミド系加硫促進剤、グアニジン系加硫促進剤が好ましい。
ゴム組成物において、加硫促進剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.3~4.0質量部、好ましくは0.5~2.5質量部、更に好ましくは0.7~1.6質量部である。
ゴム組成物の製造方法としては、公知の方法を用いることができ、例えば、前記複合体と、ゴム成分とを混合する工程を含む製法が挙げられる。具体的には、例えば、前記複合体、ゴム成分等の各成分をオープンロール、バンバリーミキサーなどのゴム混練装置を用いて混練し、その後加硫する方法などにより製造できる。
混練条件としては、加硫剤及び加硫促進剤以外の添加剤を混練するベース練り工程では、混練温度は、通常50~200℃、好ましくは80~190℃であり、混練時間は、通常30秒~30分、好ましくは1分~30分である。加硫剤、加硫促進剤を混練する仕上げ練り工程では、混練温度は、通常100℃以下、好ましくは室温~80℃である。また、加硫剤、加硫促進剤を混練した組成物は、通常、プレス加硫などの加硫処理が施される。加硫温度としては、通常120~200℃、好ましくは140~180℃である。
ゴム組成物は、タイヤ用部材として好適に適用できる。
タイヤ用部材としては特に限定されず、キャップトレッド、サイドウォール、ベーストレッド、ビードエイペックス、クリンチエイペックス、インナーライナー、アンダートレッド、ブレーカートッピング、プライトッピング等、任意のタイヤの各部材が挙げられる。
前記タイヤ用部材は、前記製造方法などにより得られるゴム組成物を押出成形したもので、前記ミクロフィブリル化植物繊維が押出方向に配向したものであることが望ましい。この場合、タイヤ部材に優れた補強効果などを付与できる。
タイヤとしては、空気入りタイヤ、非空気入りタイヤなどが挙げられる。なかでも、空気入りタイヤが好ましい。例えば、夏用タイヤ(サマータイヤ)、冬用タイヤ(スタッドレスタイヤ、スノータイヤ、スタッドタイヤなど)として好適に使用できる。タイヤは、乗用車用タイヤ、大型乗用車用、大型SUV用タイヤ、トラック、バスなどの重荷重用タイヤ、ライトトラック用タイヤ、二輪自動車用タイヤ、レース用タイヤ(高性能タイヤ)などに使用可能である。
タイヤは、上記複合体などを含むゴム組成物を用いて通常の方法によって製造される。すなわち、必要に応じて各種添加剤を配合したゴム組成物を、未加硫の段階でタイヤ用部材の形状に合わせて押し出し加工し、タイヤ成型機上にて通常の方法にて成形し、他のタイヤ用部材とともに貼り合わせ、未加硫タイヤを形成した後、加硫機中で加熱加圧してタイヤを製造することができる。
(樹脂組成物)
前記複合体を樹脂組成物の添加剤として用いる場合、該樹脂組成物としては、例えば、分散用樹脂と、前記複合体とを含むものが挙げられる。
分散用樹脂としては、特に限定されず公知の樹脂が挙げられる。例えば、石油系樹脂、石炭系樹脂、テルペン系樹脂、ロジン系樹脂などが挙げられるが、中でも、石油系樹脂及び石炭系樹脂からなる群より選択される少なくとも一種であることが好ましく、石油系樹脂がより好ましい。
石油系樹脂としては、例えば、C5系石油樹脂、C9系石油樹脂、C5C9系石油樹脂、ジシクロペンタジエン樹脂、及びこれらの水素化物、並びに、これらに環状の多塩基酸無水物(例えば、無水マレイン酸)を(グラフト)付加した変性物が挙げられる。中でも、C9系石油樹脂が好ましい。
前記石炭系樹脂としては、例えば、クマロン樹脂、クマロンインデン樹脂、及びこれらの水素化物、並びに、これらに環状の多塩基酸無水物(例えば、無水マレイン酸)を(グラフト)付加した変性物が挙げられる。
前記テルペン系樹脂としては、例えば、α-ピネン樹脂、β-ピネン樹脂、テルペンフェノール樹脂、芳香族変性テルペン樹脂、及びこれらの水素化物、並びに、これらに無水マレイン酸を付加した変性物が挙げられる。
前記ロジン系樹脂としては、例えば、ガムロジン、ウッドロジン、トールロジンや、前記ロジンを原料とした水添ロジン、不均化ロジン、マレイン酸変性ロジン、フマル酸変性ロジン、(メタ)アクリル酸変性ロジン、アルコールと縮合したエステル化ロジン、フェノール変性ロジンが挙げられる。
前記分散用樹脂は、JIS K2207に準拠した環球式試験における軟化点が135℃以下であることが望ましい。該軟化点としては、120℃以下が好ましく、110℃以下がより好ましい。一方、該軟化点としては、40℃以上が好ましく、60℃以上がより好ましく、80℃以上が更に好ましい。
樹脂組成物において、分散用樹脂100質量部に対して、ミクロフィブリル化植物繊維の含有量は、好ましく1質量部以上、より好ましくは5質量%以上、更に好ましくは7質量部以上であり、また、好ましくは100質量部以下、より好ましくは90質量部以下、更に好ましくは85質量部以下である。
樹脂組成物は公知の方法で製造でき、例えば、公知の混練方法により実施できる。使用可能な混練機としては、2本ロールミル、3本ロールミル、単軸押出混練機、2軸押出混練機、バンバリーミキサー、加圧ニーダー等が挙げられる。
樹脂組成物は、種々の形状に成形して用いることができる。形状としては、例えば、シート状、フィルム状、ペレット状、粉末状等が挙げられる。これらの形状を有する成形材料は、例えばプレス成形、射出成形、押出成形、ブロー成形、延伸成形、発泡成形、トランスファー成形、積層成形、注型成形等を用いて得られる。
成形材料には、必要に応じて、滑材、ワックス類、着色剤、安定剤、フィラー、その他の各種の添加剤を配合してもよい。
成形材料から作製される成形体は、例えば、自動車、電車、船舶、飛行機等の輸送機器の内装材、外装材、構造材等;パソコン、テレビ、電話、時計等の電化製品等の筺体、構造材、内部部品等;携帯電話等の移動通信機器等の筺体、構造材、内部部品等;携帯音楽再生機器、映像再生機器、印刷機器、複写機器、スポーツ用品等の筺体、構造材、内部部品等;建築材;文具等の事務機器等、容器、コンテナー等に使用できる。
実施例に基づいて、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。
以下に、実施例及び比較例で用いた各種薬品について説明する。
ミクロフィブリル化植物繊維:(株)スギノマシン製のバイオマスナノファイバー(製品名「BiNFi-s セルロース」、固形分2質量%、水分98質量%、平均繊維径20~50nm、平均繊維長500~1000nm)
TEMPO:2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシル
臭化ナトリウム:富士フイルム和光純薬(株)製
次亜塩素酸ナトリウム:東京化成工業(株)製
NaOH:富士フイルム和光純薬(株)製
カチオン性窒素を有するカチオン性界面活性剤1:花王(株)製コータミン86P(ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド)
カチオン性窒素を有するカチオン性界面活性剤2:花王(株)製コータミン60W(セチルトリメチルアンモニウムクロライド)
キャノーラ油:日清オイリオ(株)製キャノーラ油(組成は表1のとおり)
コーン油:日清オイリオ(株)製コーン油(組成は表1のとおり)
パーム油:日清オイリオ(株)製パーム油(組成は表1のとおり)
アマニ油:日清オイリオ(株)製アマニ油(組成は表1のとおり)
アロマオイル:出光興産(株)製のダイアナプロセスAH-24(アロマ系プロセスオイル)
SBR:日本ゼオン(株)製のNipol 1502(E-SBR、スチレン量23.5質量%)
カーボンブラック:三菱化学(株)製のダイアブラックN220(NSA111m/g)
シリカ:エボニックデグッサ社製のウルトラシルVN3(NSA175m/g)
シランカップリング剤:エボニックデグッサ社製のSi266(ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド)
TEMPO酸化CNF:下記ミクロフィブリル化植物繊維分散液の調製
老化防止剤:大内新興化学工業(株)製のノクラック6C(N-(1,3-ジメチルブチル)-N’-フェニル-p-フェニレンジアミン)
酸化亜鉛:三井金属鉱業(株)製の亜鉛華1号
ステアリン酸:日油(株)製のステアリン酸「椿」
硫黄:細井化学工業(株)製のHK-200-5(5質量%オイル含有粉末硫黄)
加硫促進剤:大内新興化学工業(株)製のノクセラーCZ(N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド)
Figure 2022180911000002
(ミクロフィブリル化植物繊維分散液(ナノ化セルロース分散液)の調製)
ミクロフィブリル化植物繊維10g、TEMPO150mg、臭化ナトリウム1000mgを水1000mlに分散させた後、15質量%次亜塩素酸ナトリウム水溶液を、1gのミクロフィブリル化植物繊維(絶乾)に対して次亜塩素酸ナトリウムの量が5mmolとなるように加えて反応を開始した。反応中は3MのNaOH水溶液を滴下してpHを10.0に保った。pHに変化が見られなくなった時点で反応終了とみなし、反応物をガラスフィルターにてろ過した後、十分な量の水による水洗、ろ過を5回繰り返し、固形分量15質量%の水を含浸させた反応物繊維(TEMPO酸化CNF、平均繊維径10μm以下)を得た。
<混合物1-1~1-2の作製>
得られたTEMPO酸化CNF10g(固形分)に純水1990gを添加し、TEMPO酸化CNFの0.5質量%(固形分濃度)懸濁液を作製し、高速ホモジナイザー(IKAジャパン社製の「T25」、回転数:10000rpm)で約5分撹拌して均一な水分散液を調製した。
表2の配合処方に従って、上記調製した水分散液(TEMPO酸化CNFの乾燥質量(固形分)換算)に、カチオン性窒素を有するカチオン性界面活性剤1、2を添加し、高速ホモジナイザー(IKAジャパン社製の「T25」、回転数:10000rpm)を用いて50℃で5分撹拌、混合して、混合物1-1~1-2(固形分率:約0.5質量%、水分率:約99.5質量%)を調製した。
Figure 2022180911000003
<脱水処理>
吸引ろ過装置を用いて、得られた混合物1-1~1-2に30分間脱水処理を施して固形分率を調整し、脱水処理を施した混合物1-1~1-2(固形分率:約10質量%、水分率:約90質量%)を作製した。
<混合物2-1~2-2の作製>
脱水処理を施した混合物1-1~1-2 100g(固形分率:約10質量%、水分率:約90質量%)にエタノール500mlを添加し、高速ホモジナイザー(IKAジャパン社製の「T25」、回転数:10000rpm)を用いて50℃で5分撹拌、混合して、混合物2-1~2-2を調製した。
<脱水処理>
吸引ろ過装置を用いて、得られた混合物2-1~2-2に15分間脱水処理を施して固形分率を調整し、脱水処理を施した混合物2-1~2-2(固形分率:約20質量%、液体分率:約80質量%)を作製した。
<混合物3-1~3-9の作製>
表3の配合処方に従って、脱水処理を施した混合物2-1~2-2(固形分率:約20質量%、液体分率:約80質量%)に植物油又はアロマオイル10gを添加し、自転公転撹拌機(シンキー社製「あわとり練太郎ARV-310」、撹拌条件:公転回転速度1000rpm、自転回転速度400rpm)を用いて50℃で5分撹拌、混合して、混合物3-1~3-9を調製した。
Figure 2022180911000004
<乾燥工程>
得られた混合物3-1~3-9を、それぞれ下記流動層乾燥機を用いて下記条件下で、造粒、乾燥し、複合体1~9を得た。表4に、複合体1~9の物性などを示した。
(使用装置)
パルス流動層造粒乾燥機((株)パウレック製、PLS-01型)
(条件)
混合物量:300g
給気温度:95℃
給気風量:0.9m/分
乾燥時間:10分
Figure 2022180911000005
TEMPO酸化CNFと植物油を含む混合物をパルス流動層造粒乾燥機を用いて乾燥することにより、からまった繊維状の複合体(粉末状の複合体)が得られた。また、得られた複合体は凝集が防止されていることが分かった。よって、WMB法とは大きく異なる簡便な製法により、ミクロフィブリル化植物繊維の分散性に優れた複合体の製造が可能であった。
<ゴム組成物の作製>
表5に示す配合処方に従い、1.7Lバンバリーミキサーを用いて、硫黄及び加硫促進剤以外の材料を150℃で4分間混練りした。次に、オープンロールを用いて、得られた混練り物に硫黄及び加硫促進剤を添加して80℃で4分間練り込み、未加硫ゴム組成物を得た。得られた未加硫ゴム組成物を170℃で12分間、2mm厚の金型でプレス加硫し、加硫ゴム組成物を得た。
得られた加硫ゴム組成物を以下の方法で評価した。なお、表5の基準比較例は、比較例1とした。
〔評価方法〕
(ミクロフィブリル化植物繊維の分散性)
加硫ゴム組成物を電子顕微鏡により観察し、ゴムマトリックス中のミクロフィブリル化植物繊維の分散性を評価した。基準比較例のミクロフィブリル化植物繊維の分散性を100とし、各配合ゴムを指数表示した。指数が大きいほど、ミクロフィブリル化植物繊維の分散性が良好であることを示す。
(破断強度)
加硫ゴム組成物を用いて3号ダンベル型ゴム試験片を作製し、JIS K6251「加硫ゴム及び熱可塑性ゴム-引張特性の求め方」に準じて引張試験を行い、破断強度(TB)を測定した。基準比較例のゴム試験片(基準試験片)のTB指数を100とし、下記計算式により、各配合のTBを指数表示した。TB指数が大きいほど破断強度が大きく補強性に優れることを示す。
(TB指数)=(各配合のTB)/(基準比較例のTB)×100
Figure 2022180911000006
表5から、複合体1~9を用いた実施例1~9は、ミクロフィブリル化植物繊維の分散性が良好で、優れた補強性の付与が可能であった。

Claims (17)

  1. ミクロフィブリル化植物繊維、カチオン性窒素を有するカチオン性界面活性剤及び水を混合して混合物1を作製する工程1と、
    前記混合物1及びアルコールを混合して混合物2を作製する工程2と、
    前記混合物2及び可塑剤を混合して混合物3を作製する工程3と、
    前記混合物3を乾燥して、前記ミクロフィブリル化植物繊維及び前記可塑剤を含む複合体を作製する工程4とを含む複合体の製造方法。
  2. 前記工程1は、ミクロフィブリル化植物繊維の含有率0.1~20質量%のミクロフィブリル化植物繊維水溶液が使用され、ホモジナイザーを用いて混合される請求項1記載の複合体の製造方法。
  3. 前記工程1の後に吸引ろ過装置による減圧脱水を更に行い、前記混合物1の固形分含有率を10質量%以上に調整する請求項1又は2記載の複合体の製造方法。
  4. 前記工程2の後に吸引ろ過装置による減圧脱水を更に行い、前記混合物2の固形分含有率を20質量%以上に調整する請求項1~3のいずれかに記載の複合体の製造方法。
  5. 前記可塑剤がグリセロール脂肪酸トリエステルを含む請求項1~4のいずれかに記載の複合体の製造方法。
  6. 前記工程4は、得られる複合体の固形分含有率を90質量%以上に調整するものである請求項1~5のいずれかに記載の複合体の製造方法。
  7. 前記工程1は、前記ミクロフィブリル化植物繊維100質量部(固形分)に対する前記カチオン性窒素を有するカチオン性界面活性剤の添加量が10~35質量部である請求項1~6のいずれかに記載の複合体の製造方法。
  8. 前記カチオン性窒素を有するカチオン性界面活性剤は、第4級アンモニウム塩及びアルキルアミン塩からなる群より選択される少なくとも1種を含む請求項1~7のいずれかに記載の複合体の製造方法。
  9. 前記工程2は、前記ミクロフィブリル化植物繊維100質量部(固形分)に対する前記アルコールの添加量が2000~10000質量部である請求項1~8のいずれかに記載の複合体の製造方法。
  10. 前記工程3は、前記ミクロフィブリル化植物繊維100質量部(固形分)に対する前記可塑剤の添加量が70~300質量部である請求項1~9のいずれかに記載の複合体の製造方法。
  11. 平均繊維径10μm以下のミクロフィブリル化植物繊維と可塑剤とを混合して乾燥させることにより得られる粉末状の複合体。
  12. 前記可塑剤が植物油を含む請求項11記載の複合体。
  13. 前記可塑剤がヨウ素価60以上160以下の植物油を含む請求項11又は12記載の複合体。
  14. 前記可塑剤が植物油を含み、かつ下記式を満たす請求項11~13のいずれかに記載の複合体。
    ミクロフィブリル化植物繊維の含有率(質量%)/(植物油の含有率(質量%)×植物油のヨウ素価)≦0.0100
  15. ゴム組成物又は樹脂組成物の添加剤である請求項11~14のいずれかに記載の複合体。
  16. 請求項11~15のいずれかに記載の複合体と、ゴム成分とを混合したタイヤ用ゴム組成物。
  17. 請求項16記載のゴム組成物からなる部材を備えるタイヤ。
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