JP2019001954A - 空気入りタイヤ - Google Patents

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顕哉 渡邊
Kenya Watanabe
顕哉 渡邊
澄子 宮崎
Sumiko Miyazaki
澄子 宮崎
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Abstract

【課題】 低燃費性と操縦安定性とをバランス良く改善した空気入りタイヤを提供する。【解決手段】 ベーストレッドを有する空気入りタイヤであって、前記ベーストレッドが、ベーストレッド用ゴム組成物からなり、前記ベーストレッド用ゴム組成物が、ゴム成分、及び、化学変性ミクロフィブリルセルロースを含み、前記ゴム成分が天然ゴム及びブタジエンゴムを含み、前記化学変性ミクロフィブリルセルロースの含有量が所定量であることを特徴とする空気入りタイヤ。【選択図】なし

Description

本発明は、空気入りタイヤに関する。
近年、燃料代の高騰や環境規制の導入により、低燃費性に優れたタイヤが要請され、燃費性能への寄与の大きいトレッドの低燃費化が要求されている。最近ではトレッドをベーストレッドとキャップトレッドの2層構造とすることが多く、内部部材となるベーストレッドでは、低燃費性のみならず自動車の性能向上、道路網の発達により、タイヤに対する操縦安定性、特に高速走行時の操縦安定性の向上も要求されている。
ベーストレッドの発熱を低減する(低燃費化を図る)には、カーボンブラックの配合量を減らすか、粒子径の大きいカーボンブラックを使用することが考えられる。また、カーボンブラックとシリカを併用して低発熱性および補強性を両立させる方法が提案されている(例えば、特許文献1)。しかし、これらの方法では、ゴムの硬度が低下してタイヤトレッドの剛性が下がるため、操縦安定性が低下するという問題があった。
また、ベーストレッドに薄板状天然鉱石を配合することで、低燃費性と操縦安定性の両立を図る技術も提案されているが(例えば、特許文献2)、それらの性能バランスには改善の余地があった。
特開2003−12866号公報 特開2005−232221号公報
本発明は、前記課題を解決し、低燃費性と操縦安定性とをバランス良く改善した空気入りタイヤを提供することを目的とする。
本発明は、ベーストレッドを有する空気入りタイヤであって、上記ベーストレッドが、ベーストレッド用ゴム組成物からなり、上記ベーストレッド用ゴム組成物が、ゴム成分、及び、化学変性ミクロフィブリルセルロースを含み、上記ゴム成分が、天然ゴム及びブタジエンゴムを含み、前記ゴム成分100質量部に対して、上記化学変性ミクロフィブリルセルロースの含有量が1〜50質量部であることを特徴とする空気入りタイヤに関する。
上記化学変性ミクロフィブリルセルロースの平均繊維径は、10μm以下であることが好ましい。
上記化学変性ミクロフィブリルセルロースの平均繊維長は、100nm以上であることが好ましい。
上記化学変性ミクロフィブリルセルロースにおける化学変性は、アセチル化、アルキルエステル化、複合エステル化、β−ケトエステル化、アルキルカルバメート化、及び、アリールカルバメート化からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
本発明によれば、ベーストレッドを有する空気入りタイヤであって、上記ベーストレッドが、ベーストレッド用ゴム組成物からなり、上記ベーストレッド用ゴム組成物が、ゴム成分、及び、化学変性ミクロフィブリルセルロースを含み、上記ゴム成分が、天然ゴム及びブタジエンゴムを含み、前記ゴム成分100質量部に対して、上記化学変性ミクロフィブリルセルロースの含有量が1〜50質量部である空気入りタイヤであるので、低燃費性と操縦安定性とをバランス良く改善できる。
本発明の空気入りタイヤは、ベーストレッドを有する空気入りタイヤであって、上記ベーストレッドが、ベーストレッド用ゴム組成物からなり、上記ベーストレッド用ゴム組成物が、ゴム成分、及び、化学変性ミクロフィブリルセルロースを含み、上記ゴム成分が、天然ゴム及びブタジエンゴムを含み、前記ゴム成分100質量部に対して、上記化学変性ミクロフィブリルセルロースの含有量が1〜50質量部である。これにより、低燃費性と操縦安定性とをバランス良く改善することができる。
このように、本発明の空気入りタイヤでは、優れた低燃費性と操縦安定性とを両立することができる。
特に、本発明では、天然ゴム及びブタジエンゴムを所定量の化学変性ミクロフィブリルセルロースと併用することにより、低燃費性及び操縦安定性を相乗的にバランス良く改善することができるが、このことは本発明者らが初めて見出したことである。
上記効果の発揮には、以下のようなメカニズムが働いていると推測される。
天然ゴム及びブタジエンゴムを含むゴム成分と、化学変性ミクロフィブリルセルロースとを併用することで、化学変性ミクロフィブリルセルロースのゴム組成物中での分散性を向上させることができ、これにより、ゴムへの補強効果を高めることができ、少ない配合量でもゴム組成物の強度を高めることができることから、低燃費性と操縦安定性とをバランス良く改善できるものと推測される。
本発明の空気入りタイヤが有するベーストレッドは、ベーストレッド用ゴム組成物からなる。以下において、該ベーストレッド用ゴム組成物について説明する。
<ゴム成分>
上記ベーストレッド用ゴム組成物は、天然ゴム(NR)及びブタジエンゴム(BR)を含むゴム成分を含む。ゴム成分としてNR及びBRを併用することによって、所定量の化学変性ミクロフィブリルセルロースと併用することで、上述した本発明の効果が得られる。
上記ベーストレッド用ゴム組成物においては、ゴム成分100質量%中の天然ゴム(NR)及びブタジエンゴム(BR)の合計含有量が30〜100質量%であることが好ましい。該合計含有量がこのような範囲であると、本発明の効果を好適に享受できるとともに、ベーストレッド用ゴム組成物として好適に使用できる。当該合計含有量としては、60質量%以上がより好ましく、80質量%以上が更に好ましい。
NRとしては、TSR20、RSS#3などの一般的に用いられているものが挙げられる。また、脱タンパク質天然ゴム(DPNR)、高純度天然ゴム(UPNR)、エポキシ化天然ゴム(ENR)、水素添加天然ゴム(HNR)、グラフト化天然ゴム等の改質天然ゴムを使用することもできる。
本発明の効果がより良好に得られるという点から、ゴム成分100質量%中のNRの含有量は、好ましくは30質量%以上、より好ましくは40質量%以上、更に好ましくは50質量%以上であり、また、好ましくは85質量%以下、より好ましくは75質量%以下、更に好ましくは70質量%以下である。
BRとしては特に限定されず、高シス含量のBR、低シス含量のBR、1,2−シンジオタクチックポリブタジエン結晶(SPB)を含むBR、希土類元素系触媒を用いて合成されたブタジエンゴム(希土類系BR)等、タイヤ工業において一般的なものを使用できる。また、スズ化合物により変性されたスズ変性ブタジエンゴム(スズ変性BR)も使用できる。更には、非変性BRであってもよいし、変性BRであってもよい。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
BRとしては、例えば、宇部興産(株)、JSR(株)、旭化成(株)、日本ゼオン(株)、ランクセス(株)等の製品を使用できる。
BRのシス含量は、好ましくは70質量%以上、より好ましくは85質量%以上、更に好ましくは90質量%以上、より更に好ましくは95質量%以上、特に好ましくは97質量%以上である。これにより、より良好な低燃費性が得られる。
なお、本明細書において、BRのシス含量(シス1,4結合含有率)は、赤外吸収スペクトル分析法によって測定できる。
BRのムーニー粘度(ML1+4(100℃))は、好ましくは10以上、より好ましくは30以上である。10以上であると、フィラーの分散性が良好となる。該ムーニー粘度は、好ましくは120以下、より好ましくは80以下である。120以下であると、押し出し加工時のゴム焼け(変色)の発生が抑制される。
なお、本発明において、BRのムーニー粘度は、ISO289、JIS K6300に準じて測定される。
本発明の効果がより良好に得られるという点から、ゴム成分100質量%中のBRの含有量は、好ましくは10質量%以上、より好ましくは15質量%以上、更に好ましくは20質量%以上、より更に好ましくは30質量%以上である。また、該含有量は、好ましくは70質量%以下、より好ましくは60質量%以下、更に好ましくは50質量%以下、より更に好ましくは40質量%以下である。
NR、BR以外に本発明で使用できるゴム成分としては、例えば、イソプレンゴム(IR)、エポキシ化イソプレンゴム、水素添加イソプレンゴム、グラフト化イソプレンゴム、イソプレンブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム(SBR)、スチレンイソプレンブタジエンゴム(SIBR)、クロロプレンゴム(CR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)等のジエン系ゴム、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、ブチルゴム(IIR)、ハロゲン化ブチルゴム(X−IIR)等の非ジエン系ゴム等が挙げられる。
<化学変性ミクロフィブリルセルロース>
本発明で用いられる化学変性ミクロフィブリルセルロースの原料となるミクロフィブリルセルロースとしては、天然物由来のものであれば特に制限されず、例えば、果実、穀物、根菜などの資源バイオマス、木材、竹、麻、ジュート、ケナフ、及びこれらを原料として得られるパルプや紙、布、農作物残廃物、食品廃棄物や下水汚泥などの廃棄バイオマス、稲わら、麦わら、間伐材などの未使用バイオマスの他、ホヤ、酢酸菌等の生産するセルロースなどに由来するものが挙げられる。
これらミクロフィブリルセルロースとしては、1種を用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
なお、本発明において、ミクロフィブリルセルロースとは、典型的には、平均繊維径が10μm以下の範囲内であるセルロース繊維、より典型的には、セルロース分子の集合により形成されている平均繊維径500nm以下の微小構造を有するセルロース繊維を意味する。なお、典型的なミクロフィブリルセルロースは、例えば、上記のような平均繊維径を有するセルロース繊維の集合体として形成されていることができる。
上記ミクロフィブリルセルロースの製造方法としては特に限定されないが、例えば、上記ミクロフィブリルセルロースの原料を必要に応じて水酸化ナトリウム等のアルカリで化学処理した後、リファイナー、二軸混練機(二軸押出機)、二軸混練押出機、高圧ホモジナイザー、媒体撹拌ミル、石臼、グラインダー、振動ミル、サンドグラインダー等により機械的に磨砕ないし叩解する方法が挙げられる。
また、その他の方法として、上記ミクロフィブリルセルロースの原料を超高圧処理する方法なども挙げられる。これらの方法では、化学処理によって原料からリグニンが分離されるため、リグニンを実質的に含有しないミクロフィブリルセルロースが得られる。
本発明において用いられる化学変性ミクロフィブリルセルロースは、原料となるミクロフィブリルセルロースを化学変性することで得られる。あるいは、上記ミクロフィブリルセルロースの由来となり得る天然物(例えば、木材、パルプ、竹、麻、ジュート、ケナフ、農作物残廃物、布、紙、ホヤセルロース等)をセルロース原料として、後述する化学変性反応を行い、その後に必要に応じて解繊処理を行うことによっても製造することができる。
上記ミクロフィブリルセルロースの化学変性の態様としては、例えば、エステル化処理、エーテル化処理、アセタール化処理等が例示される。より具体的には、アセチル化等のアシル化、シアノエチル化、アミノ化、スルホンエステル化、リン酸エステル化、アルキルエステル化、アルキルエーテル化、複合エステル化、β−ケトエステル化、ブチル化等のアルキル化、塩素化、等が好ましく例示される。特に、アセチル化は反応の簡便さからコスト面において有利であり、また、化学変性ミクロフィブリルセルロースとゴムとの相容性の改善効果を大きくでき、本発明の効果をより好適にできる点、使用される薬品の安全性が高い点でも好ましい。
また、アミノ化によれば、例えば、アミノ基との反応性が大きいエポキシ化ゴムをゴム成分として組み合わせて用い、該アミノ基と該エポキシ化ゴムとを反応させることで、ゴム組成物中での化学変性ミクロフィブリルセルロースの分散性を更に向上させることができ、本発明の効果をより好適に得ることができる。
アセチル化と同じくエステル結合を介した変性方法であるアルキルエステル化、複合エステル化、β−ケトエステル化もアセチル化と同様に反応が簡便でコスト面において有利である。特にβ−ケトエステル化は、アルキルケテンダイマー誘導体がセルロースのサイジング剤として現在使用されている点でも工業化に適した手法である。
さらに、上記ミクロフィブリルセルロースの化学変性の態様として、アルキルカルバメート化、アリールカルバメート化も例示することができる。アルキルカルバメート化、アリールカルバメート化は変性剤が反応性の高いイソシアネート化合物であり、本手法で変性したセルロース系材料が光学分割用カラム充填剤として使用されている点からも実用化に適しているといえる。
すなわち、上記化学変性ミクロフィブリルセルロースにおける化学変性が、アセチル化、アルキルエステル化、複合エステル化、β−ケトエステル化、アルキルカルバメート化、及び、アリールカルバメート化からなる群より選択される少なくとも1種であることもまた、本発明の好適な実施形態の1つである。
上記化学変性ミクロフィブリルセルロースは、1種を用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。2種以上を組み合わせて用いる態様としては、例えば、化学変性の方法、ミクロフィブリルセルロース原料の種類、平均繊維径等が異なるものを組み合わせて用いる態様が例示できる。
上記化学変性ミクロフィブリルセルロースは、置換度が0.2〜2.5の範囲内となるように化学変性されていることが好ましい。ここで置換度とは、セルロースの水酸基のうち化学変性によって他の官能基に置換された水酸基のグルコース環単位当りの平均個数を意味し、理論上最大値は3である。該置換度が0.2以上である場合、ゴムと化学変性ミクロフィブリルセルロースとの相容性の改善効果が特に良好となり、また、2.5以下である場合に、化学変性ミクロフィブリルセルロースがゴムとの相容性に特に優れかつ柔軟性に特に優れ、本発明の効果がより好適に得られる。該置換度は、0.3〜2.5の範囲内であることがより好ましく、0.5〜2.3の範囲内であることが更に好ましく、0.5〜2.0の範囲内であることが特に好ましい。
なお、上記化学変性ミクロフィブリルセルロースが2種以上の組み合わせからなる場合、上記置換度は、化学変性ミクロフィブリルセルロース全体での平均として算出される。
上記化学変性ミクロフィブリルセルロースにおける該置換度は、例えば、0.5N−NaOHと0.2N−HClとを用いる滴定法やNMR、赤外吸収スペクトル等の測定によって確認できる。
本発明において特に好ましく用いられる化学変性ミクロフィブリルセルロースとしては、置換度が0.3〜2.5(更には0.3〜2.0が好ましい)の範囲内のアセチル化ミクロフィブリルセルロース(酢酸セルロース)を例示できる。アセチル化ミクロフィブリルセルロースの置換度は、0.5〜2.3の範囲内であることが好ましく、より好ましくは、0.7〜2.0の範囲内、更に好ましくは、0.9〜1.8の範囲内である。
また、上記化学変性ミクロフィブリルセルロースがアルキルエステル化ミクロフィブリルセルロースである場合には置換度が0.3〜1.8、複合エステル化ミクロフィブリルセルロースである場合には置換度が0.4〜1.8、β−ケトエステル化ミクロフィブリルセルロースである場合には置換度が0.3〜1.8、アルキルカルバメート化ミクロフィブリルセルロースである場合には置換度が0.3〜1.8、アリールカルバメート化ミクロフィブリルセルロースである場合には置換度が0.3〜1.8の範囲内であることが好ましい。
上記アセチル化は、例えば、ミクロフィブリルセルロースに、酢酸、濃硫酸、無水酢酸を加えて反応させる方法等で行なうことができる。より具体的には、例えば、酢酸とトルエンとの混合溶媒中、硫酸触媒存在下で、ミクロフィブリルセルロースと無水酢酸とを反応させてアセチル化反応を進行させ、その後、溶媒を水に置き換える方法等、従来公知の方法で行なうことができる。
上記アミノ化は、例えば、トシルエステル化した後にアルコール中でアルキルアミンと反応させ、親核置換反応させる方法で行なうことができる。
上記スルホンエステル化は、例えば、セルロースを硫酸に溶解して、水中に投入するのみの簡単な操作で行なうことができる。他にも、無水硫酸ガス処理、クロルスルホン酸とピリジンによって処理する方法等で行なうことができる。
上記リン酸エステル化は、例えば、ジメチルアミン処理等を施したミクロフィブリルセルロースをリン酸と尿素とで処理する方法により行なうことができる。
上記アルキルエステル化は、例えば、ミクロフィブリルセルロースを塩基性条件下でカルボン酸クロライドを用いて反応させるSchotten−Baumann法(ショッテン・バウマン法)で行うことができ、また、上記アルキルエーテル化は、ミクロフィブリルセルロースを塩基性条件下でハロゲン化アルキルを用いて反応させるWillamson法等で行なうことができる。
上記塩素化は、例えば、DMF(ジメチルホルムアミド)中で塩化チオニルを加えて加熱する方法で行なうことができる。
上記複合エステル化は、例えば、ミクロフィブリルセルロースに2種類以上のカルボン酸無水物またはカルボン酸クロライドを塩基性条件下で反応させる方法で行なうことができる。
上記β−ケトエステル化は、例えば、ミクロフィブリルセルロースにジケテンやアルキルケテンダイマーを反応させる方法、もしくはミクロフィブリルセルロースとアルキルアセトアセテートのようなβ−ケトエステル化合物のエステル交換反応により行なうことができる。
上記アルキルカルバメート化は、例えば、ミクロフィブリルセルロースにアルキルイソシアナートを塩基性触媒またはスズ触媒存在下で反応させる方法で行なうことができる。
上記アリールカルバメート化は、例えば、ミクロフィブリルセルロースにアリールイソシアナートを塩基性触媒またはスズ触媒存在下で反応させる方法で行なうことができる。
上記化学変性ミクロフィブリルセルロースの平均繊維径は、10μm以下であることが好ましい。上記化学変性ミクロフィブリルセルロースの平均繊維径がこのような範囲であることにより、化学変性ミクロフィブリルセルロースがゴム中で凝集塊となるのがより低減され、ゴム中での化学変性ミクロフィブリルセルロースの分散性がより高められることで、低燃費性、操縦安定性をより改善できる。また、加工中の化学変性ミクロフィブリルセルロースの破損が抑えられる傾向にある。当該平均繊維径としては、本発明の効果がより好適に得られるという点から、500nm以下がより好ましく、100nm以下が更に好ましく、50nm以下がより更に好ましく、30nm以下が特に好ましい。また、上記化学変性ミクロフィブリルセルロースの平均繊維径の下限は特に制限されないが、化学変性ミクロフィブリルセルロースの絡まりがほどけにくく、分散し難いという理由から、4nm以上であることが好ましく、10nm以上であることがより好ましい。
上記化学変性ミクロフィブリルセルロースの平均繊維長は、100nm以上であることが好ましい。より好ましくは300nm以上、更に好ましくは1μm以上、より更に好ましくは3μm以上、特に好ましくは50μm以上である。また、5mm以下が好ましく、1mm以下がより好ましい。平均繊維長が下限未満の場合や上限を超える場合は、前述の平均繊維径と同様の傾向がある。また、このような平均繊維長を有する化学変性ミクロフィブリルセルロースを用いることで、繊維エッジ近傍のゴムマトリクスに歪みが集中するのを抑制でき、耐亀裂成長性、破断強度が良好となる傾向がある。
なお、上記化学変性ミクロフィブリルセルロースが2種以上の組み合わせからなる場合、上記平均繊維径、上記平均繊維長は、化学変性ミクロフィブリルセルロース全体での平均として算出される。
本明細書において、上記化学変性ミクロフィブリルセルロースの平均繊維径及び平均繊維長は、走査型電子顕微鏡写真による画像解析、透過型電子顕微鏡写真による画像解析、原子間力顕微鏡写真による画像解析、X線散乱データの解析、細孔電気抵抗法(コールター原理法)等によって測定できる。
本発明においては、上記化学変性ミクロフィブリルセルロースが必須に用いられるが、本発明の効果を損なわない範囲で、該化学変性ミクロフィブリルセルロースに加えて化学変性されていないミクロフィブリルセルロース(本発明における化学変性ミクロフィブリルセルロースの原料となるミクロフィブリルセルロースなど)を併用することもできる。
上記化学変性ミクロフィブリルセルロースの含有量は、ゴム成分100質量部に対して1〜50質量部である。上記範囲内とすることで、ゴム中での化学変性ミクロフィブリルセルロースの分散性が高められ、本発明の効果が得られる。また、ゴムの硬度を好適なものとすることができ、破壊強度が良好となる傾向がある。該含有量としては、好ましくは3質量部以上、より好ましくは5質量部以上であり、また、好ましくは30質量部以下、より好ましくは20質量部以下である。
<カーボンブラック>
上記ベーストレッド用ゴム組成物は、カーボンブラックを含むことが好ましい。カーボンブラックを配合することにより、補強効果が得られる。用いられるカーボンブラックとしては、特に限定されず、N134、N110、N220、N234、N219、N339、N330、N326、N351、N550、N762等が挙げられる。これらのカーボンブラックは、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
カーボンブラックの窒素吸着比表面積(NSA)は、好ましくは30m/g以上、より好ましくは60m/g以上、更に好ましくは80m/g以上である。また該NSAは、好ましくは300m/g以下、より好ましくは250m/g以下、更に好ましくは200m/g以下、より更に好ましくは150m/g以下、特に好ましくは100m/g以下である。カーボンブラックの窒素吸着比表面積(NSA)がこのような範囲であることにより、充分な補強効果が得られ、低燃費性もより良好なものとなる。
なお、カーボンブラックのNSAは、JIS K 6217−2:2001によって求められる。
カーボンブラックとしては、例えば、旭カーボン(株)、キャボットジャパン(株)、東海カーボン(株)、三菱化学(株)、ライオン(株)、新日化カーボン(株)、コロンビアカーボン社等の製品を使用できる。
カーボンブラックを配合する場合、カーボンブラックの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは5質量部以上、より好ましくは10質量部以上、更に好ましくは20質量部以上である。該含有量は、好ましくは150質量部以下、より好ましくは100質量部以下、更に好ましくは80質量部以下、より更に好ましくは60質量部以下、特に好ましくは40質量部以下である。カーボンブラックの含有量がこのような範囲であると、充分な補強効果が得られ、分散性、加工性も良好なものとなる。
<白色充填剤>
上記ベーストレッド用ゴム組成物は、白色充填剤を含んでいてもよい。該白色充填剤としては、ゴム工業で一般的に使用されているもの、例えば、シリカ、炭酸カルシウム、セリサイトなどの雲母、水酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、クレー、タルク、アルミナ、酸化チタンなどを使用でき、低燃費性の観点から、シリカが好ましい。
シリカとしては特に限定されず、例えば、乾式法シリカ(無水ケイ酸)、湿式法シリカ(含水ケイ酸)等が挙げられるが、シラノール基が多いという理由から、湿式法シリカが好ましい。
シリカの窒素吸着比表面積(NSA)は、40m/g以上が好ましく、50m/g以上がより好ましく、100m/g以上が更に好ましく、150m/g以上が特に好ましい。また、500m/g以下が好ましく、300m/g以下がより好ましい。シリカの窒素吸着比表面積(NSA)がこのような範囲であると、加硫後の破壊強度、低燃費性、ゴムの加工性を充分なものとすることができる。
なお、シリカのNSAは、ASTM D3037−93に準じてBET法で測定される値である。
シリカとしては、例えば、デグッサ社、ローディア社、東ソー・シリカ(株)、ソルベイジャパン(株)、(株)トクヤマ等の製品を使用できる。
上記白色充填剤を配合する場合、上記白色充填剤(特に、シリカ)の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは200質量部以下、より好ましくは150質量部以下、更に好ましくは130質量部以下である。また、該含有量の下限は特に限定されないが、例えば、好ましくは10質量部以上、より好ましくは20質量部以上である。上記範囲内であると、良好な加工性、低燃費性が得られる。
上記ベーストレッド用ゴム組成物においては、カーボンブラック及び白色充填剤の合計含有量が、ゴム成分100質量部に対して、5質量部以上であることが好ましく、10質量部以上がより好ましく、20質量部以上が更に好ましい。該合計含有量は、好ましくは150質量部以下、より好ましくは100質量部以下である。上記範囲内であると、良好な低燃費性が得られる。
<シランカップリング剤>
上記ベーストレッド用ゴム組成物がシリカを含有する場合、シリカとともにシランカップリング剤を含むことが好ましい。
シランカップリング剤としては、ゴム工業において、従来からシリカと併用される任意のシランカップリング剤を使用することができ特に限定されず、例えば、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(4−トリエトキシシリルブチル)テトラスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2−トリメトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(4−トリメトキシシリルブチル)テトラスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)トリスルフィド、ビス(4−トリエトキシシリルブチル)トリスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(2−トリメトキシシリルエチル)トリスルフィド、ビス(4−トリメトキシシリルブチル)トリスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)ジスルフィド、ビス(4−トリエトキシシリルブチル)ジスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2−トリメトキシシリルエチル)ジスルフィド、ビス(4−トリメトキシシリルブチル)ジスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、2−トリエトキシシリルエチル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、2−トリメトキシシリルエチル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピルベンゾチアゾリルテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピルベンゾチアゾールテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィドなどのスルフィド系、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、2−メルカプトエチルトリメトキシシラン、2−メルカプトエチルトリエトキシシラン、3−オクタノイルチオ−1−プロピルトリエトキシシランなどのメルカプト系、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシランなどのビニル系、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリエトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシランなどのアミノ系、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシランなどのグリシドキシ系、3−ニトロプロピルトリメトキシシラン、3−ニトロプロピルトリエトキシシランなどのニトロ系、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシラン、2−クロロエチルトリメトキシシラン、2−クロロエチルトリエトキシシランなどのクロロ系などが挙げられる。商品名としてはSi69、Si75、Si363(Degussa社製)やNXT、NXT−LV、NXTULV、NXT−Z(モメンティブ社製)などがある。これらのシランカップリング剤は、1種を単独で用いても良く、2種以上組み合わせて用いても良い。
シランカップリング剤としては、例えば、デグッサ社、Momentive社、信越シリコーン(株)、東京化成工業(株)、アヅマックス(株)、東レ・ダウコーニング(株)等の製品を使用できる。
上記ベーストレッド用ゴム組成物がシランカップリング剤を含有する場合、シランカップリング剤の含有量は、シリカ100質量部に対して、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは1.5質量部以上、更に好ましくは2.5質量部以上である。下限以上にすることで、シランカップリング剤を配合したことによる効果が得られる傾向がある。また、好ましくは20質量部以下、より好ましくは15質量部以下、更に好ましくは10質量部以下である。上限以下にすることで、配合量に見合った効果が得られ、良好な混練時の加工性が得られる傾向がある。
<オイル、可塑剤>
上記ベーストレッド用ゴム組成物は、オイル又は可塑剤を含むことが好ましい。これにより、硬度を適切な低さに調整し、良好な加工性を得ることができる。オイルとしては、例えば、パラフィン系プロセスオイル、アロマ系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイル、IP346法により測定された多環芳香族炭化水素成分の含有量の少ないプロセスオイル(低PCAオイル)、植物油脂、又はその混合物を用いることができる。可塑剤としては特に限定されず、公知のものを使用できる。
オイルとしては、例えば、出光興産(株)、三共油化工業(株)、(株)ジャパンエナジー、オリソイ社、H&R社、豊国製油(株)、昭和シェル石油(株)、富士興産(株)等の製品を使用できる。
上記ベーストレッド用ゴム組成物がオイルを含有する場合、オイルの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは2質量部以上である。また、好ましくは15質量部以下、より好ましくは10質量部以下である。上記範囲内であると、良好な加工性を付与するとともに、優れた低燃費性、操縦安定性も得られる。
<その他の配合剤>
上記ベーストレッド用ゴム組成物には、上記の材料以外にも、樹脂、酸化亜鉛、ステアリン酸、ワックス、各種老化防止剤、硫黄などの加硫剤、加硫促進剤などのタイヤ工業において一般的に用いられている各種材料が適宜配合されていてもよい。
<ゴム組成物の製造方法>
上記ベーストレッド用ゴム組成物は、ゴム成分と、上記化学変性ミクロフィブリルセルロースと、その他の必要な配合剤とを、例えば、ゴム用混練機等を用いて従来公知の方法で混合し、従来公知の方法で加硫することにより製造することができるが、例えば、上記化学変性ミクロフィブリルセルロースとゴム成分とを予め混合した後、その他の必要な配合剤を混合して製造することも好ましい。このようにしてゴム組成物を製造することにより、ゴム中での上記化学変性ミクロフィブリルセルロースの分散性をより高めることができ、それによる効果をより好適に得ることができる。なお、上記化学変性ミクロフィブリルセルロースとゴム成分とを予め混合した後、その他の必要な配合剤を混合する際、更にゴム成分を混合してもよい(具体的には、例えば、上記化学変性ミクロフィブリルセルロースと天然ゴムとを予め混合した後、その他の必要な配合剤を混合する際に、更にブタジエンゴムを混合する形態などが挙げられる。)。
すなわち、上記化学変性ミクロフィブリルセルロースとゴム成分とを予め混合する工程を含むゴム組成物の製造方法もまた、本発明の好適な実施形態の1つである。
上記工程では、上記化学変性ミクロフィブリルセルロースとゴム成分を混合する。このように、予め上記化学変性ミクロフィブリルセルロースとゴム成分を混合することで、ゴム組成物中に上記化学変性ミクロフィブリルセルロースをより均一に分散できる。上記化学変性ミクロフィブリルセルロースとゴム成分を容易に混合できるという点から、該工程では、上記化学変性ミクロフィブリルセルロースとゴム成分を水等の溶媒中で混合することが好ましい。なお、当該混合する方法としては、特に限定されず、例えば、プロペラ式撹拌装置、ホモジナイザー、ロータリー撹拌装置、電磁撹拌装置、手動による撹拌等の一般的な方法を用いることができる。
上記工程では、上記化学変性ミクロフィブリルセルロースの溶媒分散液(特に好ましくは水分散液)を使用することが好ましい。これにより、上記化学変性ミクロフィブリルセルロースとゴム成分とを短時間で均一に混合できる。上記化学変性ミクロフィブリルセルロースの分散液(100質量%)中、上記化学変性ミクロフィブリルセルロースの含有量(固形分)は、好ましくは1質量%以上、より好ましくは3質量%以上、更に好ましくは5質量%以上である。また、好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下、更に好ましくは30質量%以下である。上記化学変性ミクロフィブリルセルロースの含有量がこのような範囲であると、化学変性ミクロフィブリルセルロースの凝集による耐破壊性能の悪化が抑制され、低燃費性が良好なものとなる。また、ゴム硬度が向上し操縦安定性が良好なものとなる。
上記化学変性ミクロフィブリルセルロースの分散液は、公知の方法で製造でき、その製造方法は特に限定されず、例えば、高圧ホモジナイザー、超音波ホモジナイザー、コロイドミルなどを用いて、上記化学変性ミクロフィブリルセルロースを水等の溶媒に分散させることで調製できる。
また、上記工程では、ゴム成分としてゴムラテックスを使用することが好ましい。これにより、上記化学変性ミクロフィブリルセルロースとゴム成分とを短時間でより均一に混合できる。
上記ゴムラテックスとしては、上述したゴム成分のラテックスなどが挙げられるが、具体的には、例えば、天然ゴムラテックス、合成ジエン系ゴムラテックス(ブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、スチレンイソプレンブタジエンゴム(SIBR)、イソプレンゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム、エチレン酢酸ビニルゴム、クロロプレンゴム、ビニルピリジンゴム、ブチルゴムなどのラテックス)などのジエン系ゴムラテックスが好適に使用できる。このように、上記ゴムラテックスが、ジエン系ゴムラテックスであることもまた、本発明の好適な実施形態の1つである。これらゴムラテックスとしては、単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。なかでも、本発明の効果がより好適に得られるという点から、天然ゴムラテックス、SBRラテックス、BRラテックス、イソプレンゴムラテックスがより好ましく、天然ゴムラテックスが特に好ましい。
天然ゴムラテックスはヘベア樹等の天然ゴムの樹木の樹液として採取され、ゴム成分のほか水、タンパク質、脂質、無機塩類等を含み、ゴム中のゲル分は種々の不純物の複合的な存在に基づくものと考えられている。本発明においては、天然ゴムラテックスとして、ヘベア樹をタッピングして出てくる生ラテックス(フィールドラテックス)、遠心分離法やクリーミング法によって濃縮した濃縮ラテックス(精製ラテックス、常法によりアンモニアを添加したハイアンモニアラテックス、亜鉛華とTMTDとアンモニアによって安定化させたLATZラテックス等)等を使用できる。
上記ゴムラテックスのpHは、好ましくは8.5以上、より好ましくは9.5以上である。また、好ましくは12以下、より好ましくは11以下である。上記ゴムラテックスのpHをこのような範囲とすることで、ゴムラテックスの劣化を抑え、安定した状態で保つことができる。
上記ゴムラテックスは、従来公知の製法で調製でき、各種市販品も使用できる。なお、ゴムラテックスとしては、ゴム固形分が30〜80質量%のものを使用することが好ましい。より好ましくは40〜70質量%である。
上記工程では、上記ベーストレッド用ゴム組成物において前述の含有量となるように各成分を配合することが好ましい。これにより、本発明の効果が充分に得られる。また、各種材料の歩留まりや作業性も良好となる。
上記工程により、上記化学変性ミクロフィブリルセルロースがゴムマトリックス中に均一に分散したマスターバッチを調製できる。なお、上記工程で得られた混合物がスラリー状態である場合は、上記混合物を公知の方法で凝固、乾燥した後、バンバリーミキサー等で混練りすることにより、マスターバッチを調製できる。また、上記工程においてゴム成分としてゴムラテックスを用いた場合は、ゴムラテックスと上記化学変性ミクロフィブリルセルロースとの混合物をホモジナイザー等で撹拌し分散液とした後、公知の方法で凝固、乾燥することで、マスターバッチを調製できる。このマスターバッチをその他の配合剤と混練することにより、上記ベーストレッド用ゴム組成物を得ることができる。
なお、該マスターバッチは、本発明の効果を阻害しない範囲で、ゴム成分、上記化学変性ミクロフィブリルセルロース以外の他の成分を含んでもよい。
上記ベーストレッド用ゴム組成物の製造方法としては、公知の方法を用いることができ、例えば、上記各成分をオープンロール、バンバリーミキサー、ニーダーなどのゴム混練装置を用いて混練し、その後加硫する方法などにより製造できる。
混練条件としては、加硫剤及び加硫促進剤以外の添加剤を混練するベース練り工程では、混練温度は、通常50〜200℃、好ましくは80〜190℃であり、混練時間は、通常30秒〜30分、好ましくは1分〜30分である。加硫剤、加硫促進剤を混練する仕上げ練り工程では、混練温度は、通常100℃以下、好ましくは室温〜80℃である。また、加硫剤、加硫促進剤を混練した組成物は、通常、プレス加硫などの加硫処理が施される。加硫温度としては、通常120〜200℃、好ましくは140〜180℃である。
本発明の空気入りタイヤは、上記ベーストレッド用ゴム組成物からなるベーストレッドを有するものであって、上記ゴム組成物を用いて通常の方法によって製造できる。すなわち、上記ゴム組成物を未加硫の段階でタイヤのベーストレッドの形状に合わせて押し出し加工し、タイヤ成型機上にて通常の方法にて成形し、他のタイヤ部材とともに貼り合わせ、未加硫タイヤを形成できる。この未加硫タイヤを加硫機中で加熱加圧してタイヤを製造できる。
ここで、ベーストレッドとは、多層構造を有するトレッドの内層部であり、2層構造〔表面層(キャップトレッド)及び内面層(ベーストレッド)〕からなるトレッドでは内面層である。具体的には、当該ベーストレッドは、特開2008−285628号公報の図1、特開2008−303360号公報の図1などに示される部材である。
本発明の空気入りタイヤは、乗用車用タイヤ、大型乗用車用タイヤ、大型SUV用タイヤ、トラック、バスなどの重荷重用タイヤ、ライトトラック用タイヤ、二輪自動車用タイヤ、競技用タイヤなどに好適に使用可能であり、特に乗用車用タイヤとして好適に用いられる。
実施例に基づいて、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。
以下、実施例及び比較例で使用した各種薬品について、まとめて説明する。
NR:TSR20
BR:宇部興産(株)製のBR150B(シス含量:97質量%、ML1+4(100℃):40、Mw/Mn:3.3)
カーボンブラック:N326(NSA:84m/g)
ミクロフィブリルセルロース1:ダイセルファインケム(株)製のセリッシュKY−100G(平均繊維長:0.5mm、平均繊維径:0.02μm、固形分:10質量%)
化学変性ミクロフィブリルセルロース1:アセチル化品(ミクロフィブリルセルロース1を、67モル%アセチル化したもの(置換度:1.7)、固形分:10質量%、水分:90質量%、平均繊維長:0.5mm、平均繊維径:0.02μm)
オイル:アロマ系プロセスオイル
酸化亜鉛:三井金属鉱業(株)製の酸化亜鉛2種
ステアリン酸:日油(株)製のビーズステアリン酸「椿」
老化防止剤:ポリ(2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン)
ワックス:パラフィンワックス
硫黄:鶴見化学(株)製の粉末硫黄
加硫促進剤:N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド
(実施例及び比較例)
表1に示す配合処方にしたがい、(株)神戸製鋼所製の1.7Lバンバリーミキサーを用いて、硫黄及び加硫促進剤以外の薬品を150℃の条件下で5分間混練りし、混練り物を得た。次に、得られた混練り物に硫黄及び加硫促進剤を添加し、オープンロールを用いて、80℃の条件下で5分間練り込み、未加硫ゴム組成物を得た。得られた未加硫ゴム組成物をベーストレッドの形状に成形し、タイヤ成型機上で他のタイヤ部材とともに貼り合わせて未加硫タイヤを作製し、170℃の条件下で10分間プレス加硫して試験用タイヤ(サイズ:195/65R15)を得た。
得られた試験用タイヤについて下記の評価を行った。結果を表1に示す。
(低燃費性〔転がり抵抗性〕)
転がり抵抗試験機を用い、試験用タイヤを、リム(15×6JJ)、内圧(230kPa)、荷重(3.43kN)、速度(80km/h)で走行させたときの転がり抵抗を測定し、基準比較例を100とした時の指数で表示した。指数は大きい方が低燃費性に優れることを示す。実施例1〜4及び比較例2〜4においては比較例1を基準比較例とし、実施例11及び比較例12〜13においては比較例11を基準比較例とした。
(操縦安定性)
試験用タイヤを車輌(国産FF2000cc)の全輪に装着してテストコースを実車走行し、ドライバーの官能評価により操縦安定性を評価した。その際に、10点を満点とし、基準比較例の操縦安定性を6点としてそれぞれ相対評価を行った。数値が大きいほど、操縦安定性に優れることを示す。実施例1〜4及び比較例2〜4においては比較例1を基準比較例とし、実施例11及び比較例12〜13においては比較例11を基準比較例とした。
Figure 2019001954
表1より、天然ゴム及びブタジエンゴムを含むゴム成分、並びに、化学変性ミクロフィブリルセルロースを含み、該化学変性ミクロフィブリルセルロースの含有量が所定量であるゴム組成物をベーストレッドに適用した実施例の空気入りタイヤは、低燃費性と操縦安定性とをバランス良く改善できており、優れた低燃費性と操縦安定性とを両立することができることが明らかとなった。
特に、天然ゴム及びブタジエンゴムを所定量の化学変性ミクロフィブリルセルロースと併用した場合(実施例11)には、天然ゴム及びブタジエンゴムと未変性のミクロフィブリルセルロースとを併用した場合(比較例12)、並びに、ブタジエンゴムを配合せず、天然ゴムと化学変性ミクロフィブリルセルロースとを併用した場合(比較例13)に比べて、低燃費性、操縦安定性の各性能を相乗的に顕著に改善できた。

Claims (4)

  1. ベーストレッドを有する空気入りタイヤであって、
    前記ベーストレッドが、ベーストレッド用ゴム組成物からなり、
    前記ベーストレッド用ゴム組成物が、ゴム成分、及び、化学変性ミクロフィブリルセルロースを含み、
    前記ゴム成分が、天然ゴム及びブタジエンゴムを含み、
    前記ゴム成分100質量部に対して、前記化学変性ミクロフィブリルセルロースの含有量が1〜50質量部である
    ことを特徴とする空気入りタイヤ。
  2. 前記化学変性ミクロフィブリルセルロースの平均繊維径が、10μm以下である請求項1記載の空気入りタイヤ。
  3. 前記化学変性ミクロフィブリルセルロースの平均繊維長が、100nm以上である請求項1又は2記載の空気入りタイヤ。
  4. 前記化学変性ミクロフィブリルセルロースにおける化学変性が、アセチル化、アルキルエステル化、複合エステル化、β−ケトエステル化、アルキルカルバメート化、及び、アリールカルバメート化からなる群より選択される少なくとも1種である請求項1〜3のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
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