JP2018178007A - タイヤ - Google Patents

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Abstract

【課題】 低燃費性を維持又は改善しつつ、耐空気透過性、耐久性(ランフラットタイヤの場合にはランフラット耐久性)に優れたタイヤを提供する。
【解決手段】 ゴム組成物を用いて作製したインナーライナーを有するタイヤであって、該ゴム組成物が、ゴム成分及びミクロフィブリルセルロースを含み、該ミクロフィブリルセルロースの平均繊維径が、1〜1000nmであり、該ゴム組成物の加硫後のゴム物性が、30℃における空気透過係数が200×10−12cc・cm/(cm・sec・mmHg)以下であることを特徴とするタイヤ。
【選択図】なし

Description

本発明は、タイヤに関する。
現在、パンクにより空気圧が失われた(内圧ゼロ)状態になっても、タイヤの剛性を維持し、繰り返し屈曲を受けた場合にも、ゴムの破損を軽減し、ある程度の距離を安全に走行できるランフラットタイヤが実用化されている。これにより、スペアタイヤを常備する必要性がなくなり、車輌全体の重量の軽量化が期待できる。しかし、ランフラットタイヤのパンク時におけるランフラット走行には、速度、距離の制限があり、更なるランフラットタイヤの耐久性の向上が望まれている。
ランフラットタイヤの耐久性を向上させる方法としては、サイドウォール部の内側に配置される高強度のサイドウォール補強層を厚くすることにより変形を抑え、変形による破壊を防ぐ方法が挙げられる。しかし、タイヤの重量が大きくなるため、ランフラットタイヤの当初の目的である軽量化に反する。
また、カーボンブラックなどの補強用充填剤を増量することで補強層の硬度を上げ、変形を抑える方法も挙げられるが、混練り、押出し等の工程において、混練機の負荷が大きくなり、また加硫後物性において発熱が大きくなることから、ランフラット耐久性の向上はあまり期待できない。
一方、ランフラットタイヤ以外の空気入りタイヤ等のタイヤについても、耐久性等の性能向上が求められている。
例えば、特許文献1には、空気嚢を内蔵したタイプのランフラットタイヤとして、空気入りタイヤと、そのタイヤ周方向に沿ってゴム−フィラメント繊維複合体シート少なくとも一枚を含む補強層を配設した空気嚢と、リムとからなるタイヤとリムの組立体において、該補強層が該空気嚢の外周面に配設されており、該空気入りタイヤと該空気嚢とにそれぞれ個別に所定内圧を充填したタイヤとリムの組立体の荷重負荷転動状態のトレッド部接地領域にて、前記空気嚢がトレッド部内面との間に間隙を保持する外周面を有し、また、空気入りタイヤの内圧のみがゲージ圧でゼロのとき、前記補強層がタイヤ周方向に15%以上伸長できる特性を有し、かつ、該補強層表面の少なくとも一部が、0.02mmから3mmの厚みを有し、60℃での空気透過係数が9×10−10cm・cm/cm・sec・cmHg以下であり、引張破壊伸度が30%以上であるゴム組成物又は樹脂組成物からなる被覆層で覆われているタイヤとリムの組立体が開示されているが、空気嚢を内蔵しないタイプのランフラットタイヤについては検討されていない。また、ランフラットタイヤとして、低燃費性、ランフラット耐久性等の性能について未だ改善の余地がある。
特許第4257723号公報
上述のように、ランフラットタイヤにおいても、ランフラットタイヤ以外の空気入りタイヤ等のタイヤにおいても、耐久性をはじめ、各種性能の向上が求められていた。
本発明は、前記課題を解決し、低燃費性を維持又は改善しつつ、耐空気透過性、耐久性(ランフラットタイヤの場合にはランフラット耐久性)に優れたタイヤを提供することを目的とする。
本発明は、ゴム組成物を用いて作製したインナーライナーを有するタイヤであって、該ゴム組成物は、ゴム成分及びミクロフィブリルセルロースを含み、該ミクロフィブリルセルロースの平均繊維径が、1〜1000nmであり、該ゴム組成物の加硫後のゴム物性が、30℃における空気透過係数が200×10−12cc・cm/(cm・sec・mmHg)以下であるタイヤに関する。
上記ミクロフィブリルセルロースは、化学変性ミクロフィブリルセルロースであり、該化学変性ミクロフィブリルセルロースにおける化学変性は、アセチル化、アルキルエステル化、複合エステル化、β−ケトエステル化、アルキルカルバメート化、及び、アリールカルバメート化からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
上記ミクロフィブリルセルロースの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、1〜30質量部であることが好ましい。
上記タイヤは、ランフラットタイヤ又は空気入りタイヤであることが好ましい。
本発明によれば、ゴム成分及び平均繊維径が1〜1000nmのミクロフィブリルセルロースを含み、加硫後のゴム物性が、30℃における空気透過係数が200×10−12cc・cm/(cm・sec・mmHg)以下であるゴム組成物を用いて作製したインナーライナーを有するタイヤであるので、低燃費性を維持又は改善しつつ、耐空気透過性、耐久性(ランフラットタイヤの場合にはランフラット耐久性)に優れたものとすることができる。
本発明のタイヤは、ゴム成分及び平均繊維径が1〜1000nmのミクロフィブリルセルロースを含み、加硫後のゴム物性が、30℃における空気透過係数が200×10−12cc・cm/(cm・sec・mmHg)以下であるゴム組成物を用いて作製したインナーライナーを有するものである。
なお、本明細書において、上記「加硫後のゴム物性」とは、前記インナーライナーを構成する加硫ゴムのゴム物性を意味する。
ランフラットタイヤをはじめタイヤの内面には、一般にインナーライナーが配設されているが、当該インナーライナーに、加硫後の状態で所定の空気透過係数を有する空気透過性の低いゴムを用いることで、優れた耐空気透過性を付与でき、更にはタイヤとしての空気保持性(耐空気透過性)を維持したまま、インナーライナーの厚さを薄くすることも可能である。そして、インナーライナーの厚さを薄くした場合には、インナーライナー自体の発熱量が大幅に低減され、更には隣接するゴム層(例えば、サイドウォール補強ゴム層)の発熱も抑制されることから、タイヤの低燃費性を改善することができ、更には耐久性(ランフラットタイヤの場合にはランフラット耐久性)も向上させることができる。
一方で、当該インナーライナーを作製するゴム組成物に、ゴム成分とともに平均繊維径が1〜1000nmのミクロフィブリルセルロースを配合することで、このようなミクロフィブリルセルロースはゴム中で凝集塊となりにくく、ゴム中での分散性が高いことから、補強性、破断特性、硬度の改善したゴム組成物が得られ、このようなゴム組成物からインナーライナーを作製することにより、低燃費性を損なうことなく、タイヤの耐久性(ランフラットタイヤの場合にはランフラット耐久性)、耐空気透過性を向上させることが可能となる。
このように、ゴム成分及び平均繊維径が1〜1000nmのミクロフィブリルセルロースを含み、加硫後の状態で所定の空気透過係数を有するゴム組成物をインナーライナーに適用することで、低燃費性を維持又は改善しつつ、耐空気透過性、耐久性(ランフラットタイヤの場合にはランフラット耐久性)に優れたタイヤを提供することができる。
なお、本明細書において、ランフラットタイヤ耐久性とは、空気圧が失われた状態(パンク時)でランフラット走行した場合の耐久性を意味する。
本発明におけるゴム組成物は、加硫後のゴム組成物において、30℃における空気透過係数が200×10−12cc・cm/(cm・sec・mmHg)以下である。当該値が200×10−12cc・cm/(cm・sec・mmHg)以下であることにより、耐空気透過性に優れるインナーライナーを作製することができる。そして、そのようなインナーライナーを用いる場合には、タイヤとしての空気保持性を維持したまま、インナーライナーの厚さを薄くすることも可能であり、その場合には、結果、タイヤの低燃費性を改善することができ、更には耐久性(ランフラットタイヤの場合にはランフラット耐久性)も向上させることができる。上記空気透過係数としては、150×10−12cc・cm/(cm・sec・mmHg)以下が好ましく、120×10−12cc・cm/(cm・sec・mmHg)以下が特に好ましい。なお、上記空気透過係数としては低ければ低いほど耐空気透過性に優れることとなるため好ましく、下限は特に限定されない。
加硫後のゴム組成物において、上記所定の範囲を満たす30℃における空気透過係数は、ゴム成分に、後述する所定のミクロフィブリルセルロースを配合することにより、付与することが可能であり、特に、所定のミクロフィブリルセルロースの配合が重要である。
そして、上記30℃における空気透過係数は、ゴム成分、充填剤や可塑剤の種類や配合量を変更することにより調整することができる。
なお、加硫後のゴム組成物の、30℃における空気透過係数は、後述の実施例に記載の方法で測定できる。
本発明におけるゴム組成物は、ゴム成分及びミクロフィブリルセルロースを含む。
<ゴム成分>
本発明において用いられるゴム成分としては、ゴム工業において用いられる一般的なゴムを使用することができるが、例えば、天然ゴム(NR)、エポキシ化天然ゴム(ENR)、水素化天然ゴム、脱タンパク天然ゴムなどの改質天然ゴム、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、スチレンイソプレンゴム、スチレンイソプレンブタジエンゴム(SIBR)、イソプレンブタジエンゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、アクリロニトリルスチレンブタジエンゴム、クロロプレンゴム(CR)、クロロスルホン化ポリエチレン等のジエン系ゴムを用いることが好ましい。また、上記ゴム成分としては上記ジエン系ゴム以外の他のゴム成分を含んでいてもよく、該他のゴム成分としては、例えば、ハロゲン化ブチルゴム(X−IIR)、ブチルゴム(IIR)などのブチル系ゴム、エチレン−プロピレン共重合体ゴム、アクリルゴム、エピクロルヒドリンゴム、多硫化ゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、ウレタンゴム等が挙げられる。
これらゴム成分は、1種を用いてもよいし、2種以上を併用してもよく、また、縮合、変性されていてもよい。
上記ゴム成分としては、良好な耐空気透過性とゴム成分間の加硫接着性を確保するという点から、天然ゴムとブチル系ゴムとを含むことが好ましい。
上記天然ゴムとしては特に限定されず、例えば、SIR20、RSS#3、TSR20等、ゴム工業において一般的なものを使用できる。
ゴム成分100質量%中の天然ゴムの含有量は、好ましくは5質量%以上である。また、該含有量の上限は特に限定されないが、好ましくは30質量%以下、より好ましくは20質量%以下、更に好ましくは10質量%以下である。天然ゴムの含有量をこのような範囲とすることによって、ゴム成分間の加硫接着性を確保することができる。
上記ブチル系ゴムとしては、例えば、臭素化ブチルゴム(Br−IIR)、塩素化ブチルゴム(Cl−IIR)などのハロゲン化ブチルゴム(X−IIR)、ブチルゴム(IIR)等が挙げられる。これらブチル系ゴムは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。なかでも、加硫特性の点から、Cl−IIRなどのX−IIRを用いることが好ましい。
ゴム成分100質量%中のブチル系ゴムの含有量は、好ましくは70質量%以上、より好ましくは80質量%以上、更に好ましくは90質量%以上である。また、該含有量は、好ましくは95質量%以下である。ブチル系ゴムの含有量をこのような範囲とすることによって、低燃費性、耐空気透過性、耐久性を良好なものとすることができる。
また、上記ゴム成分としては、低発熱性、耐空気透過性の観点から、エポキシ化天然ゴム(ENR)を配合することも好ましい。
ENRとしては、市販のものを用いてもよいし、NRをエポキシ化したものを用いてもよい。NRをエポキシ化する方法としては、特に限定されず、例えば、クロルヒドリン法、直接酸化法、過酸化水素法、アルキルヒドロペルオキシド法、過酸法などを挙げることができる。過酸法としては、例えば天然ゴムのエマルジョンに過酢酸や過蟻酸などの有機過酸をエポキシ化剤として反応させる方法を挙げることができる。
ENRのエポキシ化率は1〜85モル%が好ましい。エポキシ化率をこのような範囲とすることによって、ゴム組成物中でポリマーがゲル化するのを防いだうえで、充分な改質効果を得ることができる。
ここで、エポキシ化率とは、エポキシ化前の天然ゴム中の炭素間二重結合の全数のうちエポキシ化された数の割合を意味し、例えば滴定分析や核磁気共鳴(NMR)分析などにより求められる。
ENRを配合する場合、ゴム成分100質量%中のENRの含有量は、加工性、破断強度等の観点から、好ましくは10質量%以上、より好ましくは20質量%以上である。また、該含有量は、好ましくは99質量%以下、より好ましくは90質量%以下、更に好ましくは70質量%以下である。
<ミクロフィブリルセルロース>
本発明において用いられるミクロフィブリルセルロースとしては、天然物由来のものであれば特に制限されず、例えば、果実、穀物、根菜などの資源バイオマス、木材、竹、麻、ジュート、ケナフ、及びこれらを原料として得られるパルプや紙、布、農作物残廃物、食品廃棄物や下水汚泥などの廃棄バイオマス、稲わら、麦わら、間伐材などの未使用バイオマスの他、ホヤ、酢酸菌等の生産するセルロースなどに由来するものが挙げられる。
これらミクロフィブリルセルロースとしては、1種を用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
なお、本発明において、ミクロフィブリルセルロースとは、典型的には、平均繊維径が1nm〜1μmの範囲内であるセルロース繊維、より典型的には、セルロース分子の集合により形成されている平均繊維径500nm以下の微小構造を有するセルロース繊維を意味する。なお、典型的なミクロフィブリルセルロースは、例えば、上記のような平均繊維径を有するセルロース繊維の集合体として形成されていることができる。
上記ミクロフィブリルセルロースの製造方法としては特に限定されないが、例えば、上記ミクロフィブリルセルロースの原料を必要に応じて水酸化ナトリウム等のアルカリで化学処理した後、リファイナー、二軸混練機(二軸押出機)、二軸混練押出機、高圧ホモジナイザー、媒体撹拌ミル、石臼、グラインダー、振動ミル、サンドグラインダー等により機械的に磨砕ないし叩解する方法が挙げられる。
また、その他の方法として、上記ミクロフィブリルセルロースの原料を超高圧処理する方法なども挙げられる。
上記ミクロフィブリルセルロースの平均繊維径は、1〜1000nmである。ミクロフィブリルセルロースの平均繊維径がこのような範囲であることにより、ミクロフィブリルセルロースがゴム中で凝集塊となるのが低減され、ゴム中でのミクロフィブリルセルロースの分散性が高められることで、補強性、破断特性、硬度の改善したゴム組成物が得られ、このようなゴム組成物からインナーライナーを作製することにより、低燃費性を損なうことなく、耐空気透過性、耐久性(ランフラットタイヤの場合にはランフラット耐久性)に優れたタイヤを得ることができる。当該平均繊維径としては、本発明の効果がより好適に得られるという点から、500nm以下が好ましく、300nm以下がより好ましく、100nm以下が更に好ましく、50nm以下がより更に好ましく、30nm以下が特に好ましい。また、ゴム組成物の強度の観点から、2nm以上が好ましく、4nm以上がより好ましく、10nm以上が更に好ましく、20nm以上が特に好ましい。
なお、上記ミクロフィブリルセルロースが2種以上の組み合わせからなる場合、上記平均繊維径は、ミクロフィブリルセルロース全体での平均として算出される。
本明細書において、平均繊維径は、走査型電子顕微鏡写真による画像解析、透過型電子顕微鏡写真による画像解析、原子間力顕微鏡写真による画像解析、X線散乱データの解析、細孔電気抵抗法(コールター原理法)等によって測定できる。
上記ミクロフィブリルセルロースの平均繊維長は、5μm以下が好ましく、3μm以下がより好ましく、2μm以下が更に好ましい。また、100nm以上が好ましく、300nm以上がより好ましく、500nm以上が更に好ましい。平均繊維長をこのような範囲とすることによって、良好な破断特性が得られる。
なお、上記ミクロフィブリルセルロースが2種以上の組み合わせからなる場合、上記平均繊維長は、ミクロフィブリルセルロース全体での平均として算出される。
本明細書において、平均繊維長は、走査型電子顕微鏡写真による画像解析、透過型電子顕微鏡写真による画像解析、原子間力顕微鏡写真による画像解析、X線散乱データの解析、細孔電気抵抗法(コールター原理法)等によって測定できる。
上記ミクロフィブリルセルロースの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは3質量部以上、更に好ましくは5質量部以上であり、また、好ましくは30質量部以下、より好ましくは25質量部以下、更に好ましくは15質量部以下、特に好ましくは10質量部以下である。上記範囲内とすることで、ゴム中でのミクロフィブリルセルロースの分散性がより高められ、本発明の効果がより好適に得られる。
上記ミクロフィブリルセルロースとしては、更に酸化処理や種々の化学変性処理などを施したものを用いることもできるが、ゴム中での分散性の観点から、化学変性ミクロフィブリルセルロースであることが好ましい。当該化学変性ミクロフィブリルセルロースは、上記ミクロフィブリルセルロースを原料として化学変性反応を行うことにより製造できる。あるいは、上記ミクロフィブリルセルロースの由来となり得る天然物(例えば、木材、パルプ、竹、麻、ジュート、ケナフ、農作物残廃物、布、紙、ホヤセルロース等)をセルロース原料として、後述する化学変性反応を行い、その後に必要に応じて解繊処理を行うことで製造することもできる。
上記ミクロフィブリルセルロースの化学変性の態様としては、例えば、エステル化処理、エーテル化処理、アセタール化処理等が例示される。より具体的には、アセチル化等のアシル化、シアノエチル化、アミノ化、スルホンエステル化、リン酸エステル化、アルキルエステル化、アルキルエーテル化、複合エステル化、β−ケトエステル化、ブチル化等のアルキル化、塩素化、等が好ましく例示される。特に、アセチル化は反応の簡便さからコスト面において有利であり、また、本発明の効果をより好適にできる点、使用される薬品の安全性が高い点でも好ましい。
また、アミノ化によれば、例えば、アミノ基との反応性が大きいエポキシ化ゴムをゴム成分として組み合わせて用い、該アミノ基と該エポキシ化ゴムとを反応させることで、本発明の効果をより好適に得ることができる。
アセチル化と同じくエステル結合を介した変性方法であるアルキルエステル化、複合エステル化、β−ケトエステル化もアセチル化と同様に反応が簡便でコスト面において有利である。特にβ−ケトエステル化は、アルキルケテンダイマー誘導体がセルロースのサイジング剤として現在使用されている点でも工業化に適した手法である。
さらに、上記ミクロフィブリルセルロースの化学変性の態様として、アルキルカルバメート化、アリールカルバメート化も例示することができる。アルキルカルバメート化、アリールカルバメート化は変性剤が反応性の高いイソシアネート化合物であり、本手法で変性したセルロース系材料が光学分割用カラム充填剤として使用されている点からも実用化に適しているといえる。
すなわち、上記化学変性ミクロフィブリルセルロースにおける化学変性が、アセチル化、アルキルエステル化、複合エステル化、β−ケトエステル化、アルキルカルバメート化、及び、アリールカルバメート化からなる群より選択される少なくとも1種であることもまた、本発明の好適な実施形態の1つである。
上記化学変性ミクロフィブリルセルロースは、1種を用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。2種以上を組み合わせて用いる態様としては、例えば、化学変性の方法、ミクロフィブリルセルロース原料の種類、平均繊維径等が異なるものを組み合わせて用いる態様が例示できる。
上記化学変性ミクロフィブリルセルロースは、置換度が0.2〜2.5の範囲内となるように化学変性されていることが好ましい。ここで置換度とは、セルロースの水酸基のうち化学変性によって他の官能基に置換された水酸基のグルコース環単位当りの平均個数を意味し、理論上最大値は3である。該置換度が0.2以上2.5以下である場合に、本発明の効果がより好適に得られる。該置換度は、0.3〜2.5の範囲内であることがより好ましく、0.5〜2.3の範囲内であることが更に好ましく、0.5〜2.0の範囲内であることが特に好ましい。
なお、上記化学変性ミクロフィブリルセルロースが2種以上の組み合わせからなる場合、上記置換度は、化学変性ミクロフィブリルセルロース全体での平均として算出される。
上記化学変性ミクロフィブリルセルロースにおける該置換度は、例えば、0.5N−NaOHと0.2N−HClとを用いる滴定法やNMR、赤外吸収スペクトル等の測定によって確認できる。
本発明において特に好ましく用いられる化学変性ミクロフィブリルセルロースとしては、置換度が0.3〜2.5の範囲内のアセチル化ミクロフィブリルセルロース(酢酸セルロース)を例示できる。アセチル化ミクロフィブリルセルロースの置換度は、0.5〜2.3の範囲内であることが好ましく、より好ましくは、0.7〜2.0の範囲内である。
また、上記化学変性ミクロフィブリルセルロースがアルキルエステル化ミクロフィブリルセルロースである場合には置換度が0.3〜2.3、複合エステル化ミクロフィブリルセルロースである場合には置換度が0.4〜2.3、β−ケトエステル化ミクロフィブリルセルロースである場合には置換度が0.3〜2.3、アルキルカルバメート化ミクロフィブリルセルロースである場合には置換度が0.3〜2.3、アリールカルバメート化ミクロフィブリルセルロースである場合には置換度が0.3〜2.3の範囲内であることが好ましい。
上記アセチル化は、例えば、ミクロフィブリルセルロースに、酢酸、濃硫酸、無水酢酸を加えて反応させる方法等で行なうことができる。より具体的には、例えば、酢酸とトルエンとの混合溶媒中、硫酸触媒存在下で、ミクロフィブリルセルロースと無水酢酸とを反応させてアセチル化反応を進行させ、その後、溶媒を水に置き換える方法や、酢酸とトルエンとの混合溶媒中、硫酸触媒存在下で、ミクロフィブリルセルロースの由来となり得る天然物(例えば、木材、パルプ、竹、麻、ジュート、ケナフ、農作物残廃物、布、紙、ホヤセルロース等)をセルロース原料として無水酢酸と反応させてアセチル化反応を進行させ、その後、溶媒を水に置換し、その後に必要に応じて解繊処理を行う方法等、従来公知の方法で行なうことができる。
上記アミノ化は、例えば、トシルエステル化した後にアルコール中でアルキルアミンと反応させ、親核置換反応させる方法で行なうことができる。
上記スルホンエステル化は、例えば、セルロースを硫酸に溶解して、水中に投入するのみの簡単な操作で行なうことができる。他にも、無水硫酸ガス処理、クロルスルホン酸とピリジンによって処理する方法等で行なうことができる。
上記リン酸エステル化は、例えば、ジメチルアミン処理等を施したミクロフィブリルセルロースをリン酸と尿素とで処理する方法により行なうことができる。
上記アルキルエステル化は、例えば、ミクロフィブリルセルロースを塩基性条件下でカルボン酸クロライドを用いて反応させるSchotten−Baumann法(ショッテン・バウマン法)で行うことができ、また、上記アルキルエーテル化は、ミクロフィブリルセルロースを塩基性条件下でハロゲン化アルキルを用いて反応させるWillamson法等で行なうことができる。
上記塩素化は、例えば、DMF(ジメチルホルムアミド)中で塩化チオニルを加えて加熱する方法で行なうことができる。
上記複合エステル化は、例えば、ミクロフィブリルセルロースに2種類以上のカルボン酸無水物またはカルボン酸クロライドを塩基性条件下で反応させる方法で行なうことができる。
上記β−ケトエステル化は、例えば、ミクロフィブリルセルロースにジケテンやアルキルケテンダイマーを反応させる方法、もしくはミクロフィブリルセルロースとアルキルアセトアセテートのようなβ−ケトエステル化合物のエステル交換反応により行なうことができる。
上記アルキルカルバメート化は、例えば、ミクロフィブリルセルロースにアルキルイソシアナートを塩基性触媒またはスズ触媒存在下で反応させる方法で行なうことができる。
上記アリールカルバメート化は、例えば、ミクロフィブリルセルロースにアリールイソシアナートを塩基性触媒またはスズ触媒存在下で反応させる方法で行なうことができる。
<カーボンブラック>
本発明におけるゴム組成物は、カーボンブラックを含むことが好ましい。カーボンブラックを配合することにより、補強効果が得られる。用いられるカーボンブラックとしては、特に限定されず、GPF、FEF、HAF、ISAF、SAFなどが挙げられる。これらのカーボンブラックは、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
カーボンブラックの窒素吸着比表面積(NSA)は、好ましくは10m/g以上、より好ましくは20m/g以上、更に好ましくは23m/g以上である。また該NSAは、好ましくは250m/g以下、より好ましくは100m/g以下、更に好ましくは50m/g以下、特に好ましくは35m/g以下である。カーボンブラックの窒素吸着比表面積(NSA)がこのような範囲であることにより、充分な接着性やゴム強度が得られ、加工性、低燃費性もより良好なものとなる。
なお、カーボンブラックのNSAは、JIS K 6217−2:2001によって求められる。
カーボンブラックの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは5質量部以上、より好ましくは20質量部以上、更に好ましくは30質量部以上である。該含有量は、好ましくは100質量部以下、より好ましくは80質量部以下、更に好ましくは60質量部以下である。カーボンブラックの含有量がこのような範囲であると、充分な耐屈曲疲労性、耐空気透過性が得られ、分散性、加工性も良好なものとなる。
<白色充填剤>
本発明におけるゴム組成物は、白色充填剤を含んでいてもよい。該白色充填剤としては、ゴム工業で一般的に使用されているもの、例えば、シリカ、炭酸カルシウム、セリサイトなどの雲母、水酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、クレー、タルク、アルミナ、酸化チタンなどを使用でき、低燃費性の観点から、シリカが好ましい。
シリカとしては特に限定されず、例えば、乾式法シリカ(無水ケイ酸)、湿式法シリカ(含水ケイ酸)等が挙げられるが、シラノール基が多いという理由から、湿式法シリカが好ましい。
シリカの窒素吸着比表面積(NSA)は、40m/g以上が好ましく、50m/g以上がより好ましい。また、300m/g以下が好ましく、250m/g以下がより好ましい。シリカの窒素吸着比表面積(NSA)がこのような範囲であると、加硫後の破壊強度、低燃費性、ゴムの加工性を充分なものとすることができる。
なお、シリカのNSAは、ASTM D3037−93に準じてBET法で測定される値である。
上記白色充填剤(特に、シリカ)の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは10質量部以上、より好ましくは20質量部以上である。また、該含有量は、好ましくは120質量部以下、より好ましくは100質量部以下である。上記範囲内であると、良好な低燃費性が得られる。
<その他の配合剤>
本発明におけるゴム組成物には、上記の材料以外にも、シランカップリング剤、オイル、ワックスなどの可塑剤、酸化亜鉛、ステアリン酸、各種老化防止剤、硫黄などの加硫剤、加硫促進剤などのタイヤ工業において一般的に用いられている各種材料が適宜配合されていてもよい。
<ゴム組成物の製造方法>
本発明におけるゴム組成物は、ゴム成分と、上記ミクロフィブリルセルロースと、その他の必要な配合剤とを、例えば、ゴム用混練機等を用いて従来公知の方法で混合し、従来公知の方法で加硫することにより製造することができるが、例えば、上記ミクロフィブリルセルロースとゴム成分とを予め混合した後、その他の必要な配合剤を混合して製造することも好ましい。このようにしてゴム組成物を製造することにより、ゴム中での上記ミクロフィブリルセルロースの分散性をより高めることができ、それによる効果をより好適に得ることができる。なお、上記ミクロフィブリルセルロースとゴム成分とを予め混合した後、その他の必要な配合剤を混合する際、更にゴム成分を混合してもよい。
すなわち、上記ミクロフィブリルセルロースとゴム成分とを予め混合する工程を含むゴム組成物の製造方法もまた、本発明の好適な実施形態の1つである。
上記工程では、上記ミクロフィブリルセルロースとゴム成分を混合する。このように、予め上記ミクロフィブリルセルロースとゴム成分を混合することで、ゴム組成物中に上記ミクロフィブリルセルロースをより均一に分散できる。上記ミクロフィブリルセルロースとゴム成分を容易に混合できるという点から、該工程では、上記ミクロフィブリルセルロースとゴム成分を水等の溶媒中で混合することが好ましい。なお、当該混合する方法としては、特に限定されず、例えば、プロペラ式撹拌装置、ホモジナイザー、ロータリー撹拌装置、電磁撹拌装置、手動による撹拌等の一般的な方法を用いることができる。
上記工程では、上記ミクロフィブリルセルロースの溶媒分散液(特に好ましくは水分散液)を使用することが好ましい。これにより、上記ミクロフィブリルセルロースとゴム成分とを短時間で均一に混合できる。上記ミクロフィブリルセルロースの分散液(100質量%)中、上記ミクロフィブリルセルロースの含有量(固形分)は、好ましくは2〜40質量%、より好ましくは5〜30質量%である。
上記ミクロフィブリルセルロースの分散液は、公知の方法で製造でき、その製造方法は特に限定されず、例えば、高圧ホモジナイザー、超音波ホモジナイザー、コロイドミルなどを用いて、上記ミクロフィブリルセルロースを水等の溶媒に分散させることで調製できる。
また、上記工程では、ゴム成分としてゴムラテックスを使用することが好ましい。これにより、上記ミクロフィブリルセルロースとゴム成分とを短時間でより均一に混合できる。
上記ゴムラテックスとしては、上述したゴム成分のラテックスなどが挙げられるが、具体的には、例えば、天然ゴムラテックス、合成ジエン系ゴムラテックス(ブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、スチレンイソプレンブタジエンゴム(SIBR)、イソプレンゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム、エチレン酢酸ビニルゴム、クロロプレンゴム、ビニルピリジンゴム、ブチルゴムなどのラテックス)などのジエン系ゴムラテックスが好適に使用できる。このように、上記ゴムラテックスが、ジエン系ゴムラテックスであることもまた、本発明の好適な実施形態の1つである。これらゴムラテックスとしては、単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。なかでも、本発明の効果がより好適に得られるという点から、天然ゴムラテックス、SBRラテックス、BRラテックス、イソプレンゴムラテックスがより好ましく、天然ゴムラテックスが特に好ましい。
天然ゴムラテックスはヘベア樹等の天然ゴムの樹木の樹液として採取され、ゴム成分のほか水、タンパク質、脂質、無機塩類等を含み、ゴム中のゲル分は種々の不純物の複合的な存在に基づくものと考えられている。本発明においては、天然ゴムラテックスとして、ヘベア樹をタッピングして出てくる生ラテックス(フィールドラテックス)、遠心分離法やクリーミング法によって濃縮した濃縮ラテックス(精製ラテックス、常法によりアンモニアを添加したハイアンモニアラテックス、亜鉛華とTMTDとアンモニアによって安定化させたLATZラテックス等)等を使用できる。
上記ゴムラテックスのpHは、好ましくは8.5以上、より好ましくは9.5以上である。また、好ましくは12以下、より好ましくは11以下である。上記ゴムラテックスのpHをこのような範囲とすることで、ゴムラテックスの劣化を抑え、安定した状態で保つことができる。
上記ゴムラテックスは、従来公知の製法で調製でき、各種市販品も使用できる。なお、ゴムラテックスとしては、ゴム固形分が30〜80質量%のものを使用することが好ましい。より好ましくは40〜70質量%である。
上記工程では、本発明におけるゴム組成物において前述の含有量となるように各成分を配合することが好ましい。これにより、本発明の効果が充分に得られる。また、各種材料の歩留まりや作業性も良好となる。
上記工程により、上記ミクロフィブリルセルロースがゴムマトリックス中に均一に分散したマスターバッチを調製できる。なお、上記工程で得られた混合物がスラリー状態である場合は、上記混合物を公知の方法で凝固、乾燥した後、バンバリーミキサー等で混練りすることにより、マスターバッチを調製できる。また、上記工程においてゴム成分としてゴムラテックスを用いた場合は、ゴムラテックスと上記ミクロフィブリルセルロースとの混合物をホモジナイザー等で撹拌し分散液とした後、公知の方法で凝固、乾燥することで、マスターバッチを調製できる。このマスターバッチをその他の配合剤と混練することにより、本発明におけるゴム組成物を得ることができる。
なお、該マスターバッチは、本発明の効果を阻害しない範囲で、ゴム成分、上記ミクロフィブリルセルロース以外の他の成分を含んでもよい。
<インナーライナー>
本発明におけるゴム組成物は、タイヤ内腔面をなすように形成されるインナーライナーに使用されるもので、この部材により、空気透過量を低減して、タイヤ内圧を保持することができる。具体的には、特開2008−291091号公報の図1、特開2007−160980号公報の図1〜2などに示される部材に使用される。
上記インナーライナーのゲージ(未加硫時のインナーライナーの厚み)は、特に限定されず、タイヤで通常採用されるゲージ(厚み)とすることができるが、本発明においては、インナーライナーに加硫後の状態で上記所定の空気透過係数を有する空気透過性の低いゴムを用いることから、タイヤとしての空気保持性を維持したまま、インナーライナーの厚さを薄くすることが可能であり、これにより、インナーライナー自体の発熱量が大幅に低減され、更には隣接するゴム層(例えば、サイドウォール補強ゴム層)の発熱も抑制されるため、タイヤの低燃費性を改善することができ、更には耐久性(ランフラットタイヤの場合にはランフラット耐久性)も向上させることができることから、インナーライナーの厚さが薄いほど本発明の効果がより顕著に発揮される。この観点から、上記インナーライナーのゲージは、3.0mm以下が好ましく、2.0mm以下がより好ましく、1.0mm以下が更に好ましい。また、該インナーライナーのゲージの下限としては、例えば、0.2mm以上が好ましく、0.4mm以上がより好ましく、0.6mm以上が更に好ましい。
ここで、本明細書において、インナーライナーのゲージとは、タイヤ赤道面におけるインナーライナーの厚み(タイヤ半径方向の長さ)を意味する。
<タイヤ>
本発明のタイヤは、上記ゴム組成物を用いて通常の方法により製造される。すなわち、上記各種成分を配合したゴム組成物を、未加硫の段階でインナーライナーの形状に合わせて押出し加工し、タイヤ成形機上にて通常の方法にて成形し、他のタイヤ部材とともに貼り合わせ、未加硫タイヤを形成する。この未加硫タイヤを加硫機中で加熱加圧して、本発明のタイヤを得ることができる。
本発明のタイヤは、空気入りタイヤ、ランフラットタイヤ、エアレス(ソリッド)タイヤいずれであってもよいが、空気入りタイヤ、ランフラットタイヤであることが好ましい。このように、本発明のタイヤが、空気入りタイヤであることもまた、本発明の好適な実施形態の1つであるし、本発明のタイヤが、ランフラットタイヤであることもまた、本発明の好適な実施形態の1つである。
また、本発明のタイヤは、乗用車用タイヤ、トラック・バス用タイヤ、二輪車用タイヤ、競技用タイヤ等として好適に用いられ、特に乗用車用タイヤとして好適に用いられる。
実施例に基づいて、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。
以下の調製例で調製されたミクロフィブリルセルロースの物性を次の測定方法で測定した。
[平均繊維径、平均繊維長]
ミクロフィブリルセルロースの0.001質量%水分散液を調製した。この希釈分散液をマイカ製試料台に薄く延ばし、50℃で加熱乾燥させて観察用試料を作成した。原子間力顕微鏡(AFM、株式会社日立ハイテクサイエンス製、製品名「走査型プローブ顕微鏡 SPI3800N」)にて試料を観察し、形状像の断面高さを計測することにより、平均繊維径、平均繊維長を算出した。
[アセチル置換度]
アセチル化ミクロフィブリルセルロースのアセチル置換度は、ASTM D817−96に準じて公知の方法により測定した。
[ミクロフィブリルセルロースの調製]
(調製例1)
水を含んだ針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP、日本製紙(株)製)に、超純水を加えて、固形分濃度30質量%に調整し、得られた含水パルプを400rpm、0℃の操業条件の二軸混練押出機で処理することで、ミクロフィブリルセルロース1を調製した。
上記方法にて平均繊維径、平均繊維長を算出したところ、平均繊維径は25.7nm、平均繊維長は0.91μmであった。
(調製例2)
容積2000mlの容器へ水を含んだ針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP、日本製紙(株)製)250.00g(固形分:50.00g)とN-メチルピロリドン200.00gを仕込み、水分を留去して溶媒置換NBKPを得た。そこへ溶媒として酢酸を200g及びトルエンを200g、触媒として0.1Nの硫酸を10ml、アセチル化剤として無水酢酸を200g投入して3時間、100℃で反応させた。反応物をメタノールで洗浄した後、水で溶媒置換し、固形分量30質量%の水を含浸させた変性パルプを得た。得られた含水変性パルプを400rpm、0℃の操業条件の二軸混練押出機で処理することで、ミクロフィブリルセルロース2(アセチル化ミクロフィブリルセルロース)を調製した。
上記方法にて平均繊維径、平均繊維長を算出したところ、平均繊維径は24.5nm、平均繊維長は0.88μmであった。また、上記方法にてアセチル置換度を算出したところ、アセチル置換度は1.7であった。
[マスターバッチの調製]
(製造例1〜2)
表1の配合に従い、高速ホモジナイザー(IKA社製のバッチ式ホモジナイザーT65Dウルトラタラックス(Ultraturrax T25))を用いて、24,000rpmの条件でミクロフィブリルセルロース1(固形分:10質量%)を水中で1時間撹拌分散させ、ついで天然ゴムラテックス(HYTEX HA(Golden Hope Plantations(ゴールデン・ホープ・プランテーションズ)社製の天然ゴムラテックス、固形分:60質量%、平均粒径:1μm))を添加し、更に30分撹拌分散させた。得られた混合液を5質量%ギ酸水溶液で凝固し、水洗後、40℃の加熱オーブン中で乾燥させることでマスターバッチ1〜2(MB1〜2)を得た。
(製造例3〜4)
表1の配合に従い、高速ホモジナイザー(IKA社製のバッチ式ホモジナイザーT65Dウルトラタラックス(Ultraturrax T25))を用いて、24,000rpmの条件でミクロフィブリルセルロース2(固形分:10質量%)を水中で1時間撹拌分散させ、ついで天然ゴムラテックス(HYTEX HA(Golden Hope Plantations(ゴールデン・ホープ・プランテーションズ)社製の天然ゴムラテックス、固形分:60質量%、平均粒径:1μm))を添加し、更に30分撹拌分散させた。得られた混合液を5質量%ギ酸水溶液で凝固し、水洗後、40℃の加熱オーブン中で乾燥させることでマスターバッチ3〜4(MB3〜4)を得た。
(製造例5)
表1の配合に従い、天然ゴムラテックスをそのまま5質量%ギ酸水溶液で凝固し、水洗後、40℃の加熱オーブン中で乾燥させることでマスターバッチ5(MB5)を得た。
Figure 2018178007
(実施例及び比較例)
以下、実施例及び比較例で使用した各種薬品について、まとめて説明する。
NR:RSS#3
ブチル系ゴム:エクソンモービル社製のクロロブチル 1068
MB1〜5:上記製造例1〜5で調製したマスターバッチ1〜5
カーボンブラック:東海カーボン(株)製のシーストV(N660、NSA:27m/g)
オイル:出光興産(株)製のダイアナプロセスPA32
ステアリン酸:日油(株)製のビーズステアリン酸つばき
酸化亜鉛:三井金属鉱業(株)製の酸化亜鉛2種
硫黄:鶴見化学工業(株)製の粉末硫黄
加硫促進剤:大内新興化学工業(株)製のノクセラーDM(ジ−2−ベンゾチアゾリルジスルフィド)
<加硫ゴム組成物の調製>
表2に示す配合処方に従い、(株)神戸製鋼所製の1.7Lバンバリーミキサーを用いて、硫黄及び加硫促進剤以外の薬品を混練りした。次に、オープンロールを用いて、得られた混練り物に硫黄及び加硫促進剤を添加して練り込み、未加硫ゴム組成物を得た。得られた未加硫ゴム組成物をプレス加硫し、加硫ゴム組成物を得た。また、得られた未加硫ゴム組成物をインナーライナーの形状に成形し(インナーライナーのゲージを表2に示す通りにして成形)、タイヤ成型機上で他のタイヤ部材と共に貼り合わせて未加硫タイヤを形成し加硫して、試験用タイヤ(サイズ:215/45R17;乗用車用ランフラットタイヤ)を製造した。
得られた加硫ゴム組成物、試験用タイヤについて下記の評価を行った。結果を表2に示す。
(空気透過係数)
得られた加硫ゴム組成物からなるゴム試験片(直径90mmおよび厚さ1mm)を作製し、ASTM D−1434−75Mにしたがって、30℃における空気透過係数〔cc・cm/(cm・sec・mmHg)〕を算出した。空気透過係数が小さいほど、ゴム物性として、空気を透過しにくく、耐空気透過性(空気保持性)に優れることを示す。
(耐空気透過性<エアリーク試験>)
試験用タイヤをJIS規格リム15×6JJに組み付け、初期空気圧300kPaを封入し、90日間室温で放置し、空気圧の低下率を測定した。そして比較例1の低下率を100として、下記計算式により指数表示した。指数が大きいほど、空気を透過しにくく、耐空気透過性(空気保持性)に優れることを示す。なお、表2においては、指数値が80以上であれば耐空気透過性が良好であると判断した。
(耐空気透過性指数)=(比較例1の低下率)/(各例の低下率)×100
(転がり抵抗)
転がり抵抗試験機を用い、各試験用タイヤを、リム(15×6JJ)、内圧(230kPa)、荷重(3.43kN)、速度(80km/h)で走行させたときの転がり抵抗を測定し、比較例1の転がり抵抗を100として、下記計算式により指数表示した。転がり抵抗指数が小さいほど、転がり抵抗が低減され、低燃費性に優れることを示す。
(転がり抵抗指数)=(各例の転がり抵抗)/(比較例1の転がり抵抗)×100
(ランフラット走行距離〔ランフラット耐久性〕)
試験用タイヤを空気内圧0kPaにてドラム上を80km/hの速度で走行させ、試験用タイヤが破壊するまでの走行距離を測定し、比較例1の走行距離を100とし、下記計算式により指数表示した。ランフラット走行距離指数が大きいほど、空気内圧0kPaで走行できる距離がより長くなり、ランフラット耐久性に優れることを示す。
(ランフラット走行距離指数)=(各例の走行距離)/(比較例1の走行距離)×100
Figure 2018178007
表2の結果から、ゴム成分及び所定の平均繊維径を有するミクロフィブリルセルロースを含み、加硫後の状態で、30℃における空気透過係数が所定の範囲を満たすゴム組成物をインナーライナーに適用した実施例のタイヤは、低燃費性を維持又は改善しつつ、耐空気透過性、耐久性(ランフラット耐久性)に優れていることが明らかとなった。

Claims (5)

  1. ゴム組成物を用いて作製したインナーライナーを有するタイヤであって、
    該ゴム組成物が、ゴム成分及びミクロフィブリルセルロースを含み、
    該ミクロフィブリルセルロースの平均繊維径が、1〜1000nmであり、
    該ゴム組成物の加硫後のゴム物性が、30℃における空気透過係数が200×10−12cc・cm/(cm・sec・mmHg)以下であることを特徴とするタイヤ。
  2. 前記ミクロフィブリルセルロースが、化学変性ミクロフィブリルセルロースであり、
    該化学変性ミクロフィブリルセルロースにおける化学変性が、アセチル化、アルキルエステル化、複合エステル化、β−ケトエステル化、アルキルカルバメート化、及び、アリールカルバメート化からなる群より選択される少なくとも1種である請求項1記載のタイヤ。
  3. 前記ミクロフィブリルセルロースの含有量が、ゴム成分100質量部に対して、1〜30質量部である請求項1又は2記載のタイヤ。
  4. 前記タイヤが、ランフラットタイヤである請求項1〜3のいずれかに記載のタイヤ。
  5. 前記タイヤが、空気入りタイヤである請求項1〜3のいずれかに記載のタイヤ。
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