JP2023090825A - タイヤ用ゴム組成物及びタイヤ - Google Patents

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Abstract

【課題】ミクロフィブリル化植物繊維の分散性に優れ、引張特性、低燃費性を改善できるタイヤ用ゴム組成物等を提供する。【解決手段】ゴム成分、ミクロフィブリル化植物繊維、及び前記ミクロフィブリル化植物繊維と共有結合可能な修飾剤を含むタイヤ用ゴム組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、タイヤ用ゴム組成物、その製造方法、及び該ゴム組成物で構成されたタイヤ部材を有するタイヤに関する。
セルロース繊維等のミクロフィブリル化植物繊維を充填剤としてゴム組成物に配合することで、ゴム組成物を補強し、モジュラス(複素弾性率)を向上できることが知られているが、ミクロフィブリル化植物繊維は、自己凝集力が強く、ゴム成分との相溶性も悪い。
これに対し、ミクロフィブリル化植物繊維を化学変性することで、ゴム成分とミクロフィブリル化植物繊維との相溶性を改善する方法が開示されている(例えば、特許文献1参照)。また、平均繊維径1~200nmのカルボキシル基を有するセルロース繊維や、平均繊維径0.1~200nmのカルボキシル基を有する微細セルロース繊維を炭化水素基を有する疎水変性処理剤で処理して得られる微細変性セルロース繊維を、ゴムに配合することで、セルロース繊維のゴム中での分散性を改善する方法が開示されている(例えば、特許文献2、3参照)。
このように、ミクロフィブリル化植物繊維に対して変性を施すことで、ゴムとの親和性を改善する技術は提案されているが、修飾剤による改善技術は未だ開示されていない。
特許第4581116号明細書 特開2013-18918号公報 特開2014-125607号公報
本発明は、前記課題を解決し、ミクロフィブリル化植物繊維の分散性に優れ、引張特性、低燃費性を改善できるタイヤ用ゴム組成物等を提供することを目的とする。
本発明は、ゴム成分、ミクロフィブリル化植物繊維、及び前記ミクロフィブリル化植物繊維と共有結合可能な修飾剤を含むタイヤ用ゴム組成物に関する。
前記ゴム成分100質量部に対する前記ミクロフィブリル化植物繊維の含有量が1~50質量部、前記修飾剤の含有量が1~20質量部であることが好ましい。
前記修飾剤は、液状ポリマーであることが好ましい。
前記液状ポリマーは、不飽和カルボン酸及び/又はその誘導体で変性した変性液状ポリマーであることが好ましい。
前記修飾剤は、ジエン系ゴムとの反応点を有することが好ましい。
本発明は、ゴム成分、ミクロフィブリル化植物繊維、及び前記ミクロフィブリル化植物繊維と共有結合可能な修飾剤を混練して、前記ミクロフィブリル化植物繊維及び前記修飾剤の間で共有結合が形成された混練物を作製する工程と、加硫する工程とを含むタイヤ用ゴム組成物の製造方法に関する。
本発明はまた、前記ゴム組成物で構成されたタイヤ部材を有するタイヤに関する。
本発明によれば、ゴム成分、ミクロフィブリル化植物繊維、及び前記ミクロフィブリル化植物繊維と共有結合可能な修飾剤を含むタイヤ用ゴム組成物であるので、ミクロフィブリル化植物繊維の分散性に優れ、引張特性、低燃費性を改善できる。
本発明のタイヤ用ゴム組成物は、ゴム成分、ミクロフィブリル化植物繊維、及び前記ミクロフィブリル化植物繊維と共有結合可能な修飾剤を含む。該ゴム組成物は、ミクロフィブリル化植物繊維の分散性に優れ、引張特性(引張強度、破断時伸び)、低燃費性が顕著に改善される。また、良好な加工性、硬度も得られる。
このような作用効果が得られる理由は明らかではないが、以下のように推察される。
先ず、ミクロフィブリル化植物繊維と、それと共有結合可能な修飾剤とを用いると、これら材料の混練中等に該植物繊維及び修飾剤間に共有結合が形成された材料が得られ、この材料中の修飾剤により、ゴム成分中のミクロフィブリル化植物繊維の分散性が向上すると考えられる。更に、この共有結合が形成された材料、加硫剤(硫黄等)等を混練、加硫すると、ミクロフィブリル化植物繊維と共有結合している修飾剤が、更に加硫剤(硫黄等)を介してゴム成分と架橋すると考えられる。従って、前記植物繊維-前記修飾剤-加硫剤(硫黄等)-ゴム成分と結合した材料が形成され、引張特性、低燃費性が改善されると考えられる。以上により、ミクロフィブリル化植物繊維の分散性に優れ、引張特性、低燃費性が顕著に改善されるものと推察される。また、良好な加工性、硬度も得られるものと推察される。
ゴム成分としては、ゴム工業において用いられる一般的なゴムを使用できる。例えば、天然ゴム(NR)、エポキシ化天然ゴム(ENR)、水素化天然ゴム、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、スチレンイソプレンブタジエンゴム(SIBR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)等のジエン系ゴム(ジエン系ポリマー)が好ましい。また、ゴム成分としては、ハロゲン化ブチルゴム(X-IIR)、ブチルゴム(IIR)などのブチル系ゴム等も挙げられる。これらゴム成分は、1種を用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。なかでも、イソプレン系ゴム(NR、ENR、水素化天然ゴム、IR等)、SBR、BR、が好ましい。
SBR、BRは、非変性ジエン系ゴムでもよいし、変性ジエン系ゴムでもよい。
変性ジエン系ゴムとしては、シリカ等の充填剤と相互作用する官能基を有するジエン系ゴムであればよく、例えば、ジエン系ゴムの少なくとも一方の末端を、上記官能基を有する化合物(変性剤)で変性された末端変性ジエン系ゴム(末端に上記官能基を有する末端変性ジエン系ゴム)や、主鎖に上記官能基を有する主鎖変性ジエン系ゴムや、主鎖及び末端に上記官能基を有する主鎖末端変性ジエン系ゴム(例えば、主鎖に上記官能基を有し、少なくとも一方の末端を上記変性剤で変性された主鎖末端変性ジエン系ゴム)や、分子中に2個以上のエポキシ基を有する多官能化合物により変性(カップリング)され、水酸基やエポキシ基が導入された末端変性ジエン系ゴム等が挙げられる。
上記官能基としては、例えば、アミノ基、アミド基、シリル基、アルコキシシリル基、イソシアネート基、イミノ基、イミダゾール基、ウレア基、エーテル基、カルボニル基、オキシカルボニル基、メルカプト基、スルフィド基、ジスルフィド基、スルホニル基、スルフィニル基、チオカルボニル基、アンモニウム基、イミド基、ヒドラゾ基、アゾ基、ジアゾ基、カルボキシル基、ニトリル基、ピリジル基、アルコキシ基、水酸基、オキシ基、エポキシ基等が挙げられる。なお、これらの官能基は、置換基を有していてもよい。なかでも、アミノ基(好ましくはアミノ基が有する水素原子が炭素数1~6のアルキル基に置換されたアミノ基)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1~6のアルコキシ基)、アルコキシシリル基(好ましくは炭素数1~6のアルコキシシリル基)が好ましい。
SBRとしては特に限定されず、例えば、乳化重合スチレンブタジエンゴム(E-SBR)、溶液重合スチレンブタジエンゴム(S-SBR)等を使用できる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
BRは特に限定されず、例えば、高シス含量のハイシスBR、シンジオタクチックポリブタジエン結晶を含有するBR、希土類系触媒を用いて合成したBR(希土類BR)等を使用できる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、耐摩耗性が向上するという理由から、シス含量が90質量%以上のハイシスBRが好ましい。
上記ゴム成分の供給源として、ゴムラテックス(この場合、ゴムラテックス中に含まれるゴム固形分がゴム成分に該当)も好適に使用できる。ゴムラテックスとしては、例えば、天然ゴムラテックス、改質天然ゴムラテックス(ケン化天然ゴムラテックス、エポキシ化天然ゴムラテックスなど)、合成ジエン系ゴムラテックス(ブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、スチレンイソプレンブタジエンゴム(SIBR)、イソプレンゴム(IR)、アクリロニトリルブタジエンゴム、エチレン酢酸ビニルゴム、クロロプレンゴム、ビニルピリジンゴム、ブチルゴムなどのラテックス)などのジエン系ゴムラテックスが好適に使用できる。これらゴムラテックスは、単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。なかでも、天然ゴムラテックス、SBRラテックス、BRラテックス、IRラテックスを供給源として用いた天然ゴム、SBR、BR、IRを用いることが好適である。
上記ゴムラテックスのpHは、好ましくは8.5以上、より好ましくは9.5以上である。該pHが8.5以上であると、ゴムラテックスが不安定になりにくく、凝固しにくい傾向がある。上記ゴムラテックスのpHは、好ましくは12以下、より好ましくは11以下である。該pHが12以下であると、ゴムラテックスが劣化しにくい傾向がある。
上記ゴムラテックスは、従来公知の製法で調製でき、各種市販品も使用できる。なお、ゴムラテックスとしては、ゴム固形分が10~80質量%のものを使用することが好ましい。より好ましくは20質量%以上、60質量%以下である。
天然ゴムラテックスはヘベア樹等の天然ゴムの樹木の樹液として採取され、ゴム成分のほか水、タンパク質、脂質、無機塩類等を含み、ゴム中のゲル分は種々の不純物の複合的な存在に基づくものと考えられている。本発明では、天然ゴムラテックスとして、ヘベア樹をタッピングして出てくる生ラテックス(フィールドラテックス)、遠心分離法やクリーミング法によって濃縮した濃縮ラテックス(精製ラテックス、常法によりアンモニアを添加したハイアンモニアラテックス、亜鉛華とTMTDとアンモニアによって安定化させたLATZラテックス等)等を使用できる。
SBRラテックスとしては、乳化重合スチレンブタジエンゴムラテックス(E-SBRラテックス)、BRラテックスとしては、乳化重合ブタジエンゴムラテックス(E-BRラテックス)、IRラテックスとしては、乳化重合イソプレンゴムラテックス(E-IRラテックス)を使用できる。E-SBRラテックス、E-SBRラテックス、E-IRラテックスは、従来公知の製法で調製でき、各種市販品も使用できる。
前記ゴム組成物において、前記のとおり、イソプレン系ゴム、BR、SBRの少なくとも1種を用いることが好ましいが、引張特性、低燃費性、加工性、硬度の観点から、ゴム成分100質量%中のイソプレン系ゴム、BR及びSBRの合計含有量は、80質量%以上が好ましく、90質量%以上がより好ましく、95質量%以上が更に好ましく、100質量%でもよい。
前記ゴム組成物をサイドウォールに適用する場合、良好な耐屈曲亀裂成長性が得られるという点から、ゴム成分としてはイソプレン系ゴム、BRを用いることが好ましい。
前記ゴム組成物をサイドウォールに適用する場合、ゴム成分100質量%中のイソプレン系ゴムの含有量は、好ましくは20質量%以上、より好ましくは40質量%以上、更に好ましくは60質量%以上である。下限以上にすることで、優れた低燃費性が得られる傾向がある。また、該含有量は、好ましくは80質量%以下、より好ましくは70質量%以下、更に好ましくは65質量%以下である。上限以下にすることで、良好な耐屈曲亀裂成長性が得られる傾向がある。
前記ゴム組成物をサイドウォールに適用する場合、ゴム成分100質量%中のBRの含有量は、必要な低燃費性や耐屈曲亀裂成長性を発揮させる観点から、好ましくは20質量%以上、より好ましくは30質量%以上、更に好ましくは35質量%以上である。また、該含有量は、加工性の観点から、好ましくは90質量%以下、より好ましくは70質量%以下、更に好ましくは55質量%以下である。
前記ゴム組成物を乗用車用タイヤのトレッドに適用する場合、SBR、BRを用いることが好ましい。
前記ゴム組成物を乗用車用タイヤのトレッドに適用する場合、ゴム成分100質量%中のSBRの含有量は、好ましくは40質量%以上、より好ましくは50質量%以上、更に好ましくは60質量%以上である。下限以上にすることで、充分なグリップ性能が得られる傾向がある。上記SBRの含有量は、好ましくは90質量%以下、より好ましくは80質量%以下である。上限以下にすることで、良好な低燃費性が得られる傾向がある。
前記ゴム組成物を乗用車用タイヤのトレッドに適用する場合、ゴム成分100質量%中のBRの含有量は、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは20質量%以上である。下限以上にすることで、優れた低燃費性が得られる傾向がある。また、該含有量は、好ましくは80質量%以下、より好ましくは60質量%以下、更に好ましくは40質量%以下である。上限以下にすることで、良好なグリップ性能が得られる傾向がある。
前記ゴム組成物を重荷重用タイヤのトレッドに適用する場合、イソプレン系ゴムを用いることが好ましい。
前記ゴム組成物を重荷重用タイヤのトレッドに適用する場合、耐摩耗性、耐久性等の観点から、ゴム成分100質量%中のイソプレン系ゴムの含有量は、好ましくは50質量%以上、より好ましくは75質量%以上、更に好ましくは90質量%以上で、100質量%でもよい。
上記ミクロフィブリル化植物繊維としては、良好な補強性が得られるという点から、セルロースミクロフィブリルが好ましい。セルロースミクロフィブリルとしては、天然物由来のものであれば特に制限されず、例えば、果実、穀物、根菜などの資源バイオマス、木材、竹、麻、ジュート、ケナフ、及びこれらを原料として得られるパルプや紙、布、農作物残廃物、食品廃棄物や下水汚泥などの廃棄バイオマス、稲わら、麦わら、間伐材などの未使用バイオマスの他、ホヤ、酢酸菌等の生産するセルロースなどに由来するものが挙げられる。これらミクロフィブリル化植物繊維は、1種を用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
なお、本明細書において、セルロースミクロフィブリルとは、典型的には、平均繊維径が10μm以下の範囲内であるセルロース繊維、より典型的には、セルロース分子の集合により形成されている平均繊維径500nm以下の微小構造を有するセルロース繊維を意味する。なお、典型的なセルロースミクロフィブリルは、例えば、上記のような平均繊維径を有するセルロース繊維の集合体として形成されていることができる。
上記ミクロフィブリル化植物繊維の製造方法としては特に限定されないが、例えば、上記セルロースミクロフィブリルの原料を必要に応じて水酸化ナトリウム等のアルカリで化学処理した後、リファイナー、二軸混練機(二軸押出機)、二軸混練押出機、高圧ホモジナイザー、媒体撹拌ミル、石臼、グラインダー、振動ミル、サンドグラインダー等により機械的に磨砕ないし叩解する方法が挙げられる。これらの方法では、化学処理によって原料からリグニンが分離されるため、リグニンを実質的に含有しないミクロフィブリル化植物繊維が得られる。また、その他の方法として、上記セルロースミクロフィブリルの原料を超高圧処理する方法なども挙げられる。
上記ミクロフィブリル化植物繊維としては、例えば、(株)スギノマシン等の製品を使用できる。
なお、ミクロフィブリル化植物繊維としては、上記製造方法により得られたものに更に酸化処理や種々の化学変性処理などを施したものや、上記セルロースミクロフィブリルの由来となり得る天然物(例えば、木材、パルプ、竹、麻、ジュート、ケナフ、農作物残廃物、布、紙、ホヤセルロース等)をセルロース原料として、酸化処理や種々の化学変性処理などを行い、その後に必要に応じて解繊処理を行ったもの、ミクロフィブリル化植物繊維分散液の状態で更に酸化処理や種々の化学変性処理などを施したもの、も用いることができる(化学変性ミクロフィブリル化植物繊維)。
ミクロフィブリル化植物繊維の化学変性の態様としては、例えば、エステル化処理、エーテル化処理、アセタール化処理等が例示される。より具体的には、アセチル化等のアシル化、シアノエチル化、アミノ化、スルホンエステル化、リン酸エステル化、アルキルエステル化、アルキルエーテル化、複合エステル化、β-ケトエステル化、ブチル化等のアルキル化、塩素化、等が好ましく例示される。更には、アルキルカルバメート化、アリールカルバメート化も例示できる。化学変性処理はいずれも、ミクロフィブリル化植物繊維を疎水化する処理であり、ミクロフィブリル化植物繊維としてこのような化学変性処理を施したものを用いることによって、ミクロフィブリル化植物繊維の分散性が向上する。
上記化学変性ミクロフィブリル化植物繊維は、置換度が0.2~2.5の範囲内となるように化学変性されていることが好ましい。ここで置換度とは、セルロースの水酸基のうち化学変性によって他の官能基に置換された水酸基のグルコース環単位当りの平均個数を意味し、理論上最大値は3である。該置換度が0.2以上である場合、化学変性ミクロフィブリル化植物繊維の分散性が特に良好となり、また、2.5以下である場合に、化学変性ミクロフィブリル化植物繊維が分散性に特に優れかつ柔軟性に特に優れ、前述の効果が好適に得られる。該置換度は、0.3~2.5の範囲内であることがより好ましく、0.4~2.3の範囲内であることが更に好ましく、0.4~2.0の範囲内であることが特に好ましい。
なお、上記化学変性ミクロフィブリル化植物繊維が2種以上の組み合わせからなる場合、上記置換度は、化学変性ミクロフィブリル化植物繊維全体での平均として算出される。
上記化学変性ミクロフィブリル化植物繊維における該置換度は、例えば、0.5N-NaOHと0.2N-HClとを用いる滴定法やNMR、赤外吸収スペクトル等の測定によって確認できる。
上記化学変性ミクロフィブリル化植物繊維がアセチル化ミクロフィブリル化植物繊維である場合には置換度が0.3~2.5、アミノ化ミクロフィブリル化植物繊維である場合には置換度が0.3~2.5、スルホンエステル化ミクロフィブリル化植物繊維である場合には置換度が0.3~1.8、アルキルエステル化ミクロフィブリルセルロースである場合には置換度が0.3~1.8、複合エステル化ミクロフィブリルセルロースである場合には置換度が0.4~1.8、β-ケトエステル化ミクロフィブリルセルロースである場合には置換度が0.3~1.8、アルキルカルバメート化ミクロフィブリルセルロースである場合には置換度が0.3~1.8、アリールカルバメート化ミクロフィブリルセルロースである場合には置換度が0.3~1.8の範囲内であることが好ましい。
上記アセチル化は、例えば、ミクロフィブリル化植物繊維に、酢酸、濃硫酸、無水酢酸を加えて反応させる方法等で行なうことができる。より具体的には、例えば、酢酸とトルエンとの混合溶媒中、硫酸触媒存在下で、ミクロフィブリル化植物繊維と無水酢酸とを反応させてアセチル化反応を進行させ、その後、溶媒を水に置き換える方法等、従来公知の方法で行なうことができる。
上記アミノ化は、例えば、トシルエステル化した後にアルコール中でアルキルアミンと反応させ、親核置換反応させる方法など公知の方法により行なうことができる。
上記スルホンエステル化は、例えば、ミクロフィブリル化植物繊維を硫酸に溶解して、水中に投入するのみの簡単な操作で行なうことができる。他にも、無水硫酸ガス処理、クロルスルホン酸とピリジンによって処理する方法等で行なうことができる。
上記リン酸エステル化は、例えば、ジメチルアミン処理等を施したミクロフィブリル化植物繊維をリン酸と尿素とで処理する方法により行なうことができる。
上記アルキルエステル化は、例えば、ミクロフィブリル化植物繊維を塩基性条件下でカルボン酸クロライドを用いて反応させるSchotten-Baumann法(ショッテン・バウマン法)で行うことができ、また、上記アルキルエーテル化は、ミクロフィブリル化植物繊維を塩基性条件下でハロゲン化アルキルを用いて反応させるWilliamson法等で行なうことができる。
上記塩素化は、例えば、DMF(ジメチルホルムアミド)中で塩化チオニルを加えて加熱する方法で行なうことができる。
上記複合エステル化は、例えば、ミクロフィブリル化植物繊維に2種類以上のカルボン酸無水物またはカルボン酸クロライドを塩基性条件下で反応させる方法で行なうことができる。
上記β-ケトエステル化は、例えば、ミクロフィブリル化植物繊維にジケテンやアルキルケテンダイマーを反応させる方法、もしくはミクロフィブリル化植物繊維とアルキルアセトアセテートのようなβ-ケトエステル化合物のエステル交換反応により行なうことができる。
上記アルキルカルバメート化は、例えば、ミクロフィブリル化植物繊維にアルキルイソシアナートを塩基性触媒またはスズ触媒存在下で反応させる方法で行なうことができる。
上記アリールカルバメート化は、例えば、ミクロフィブリル化植物繊維にアリールイソシアナートを塩基性触媒またはスズ触媒存在下で反応させる方法で行なうことができる。
上記ミクロフィブリル化植物繊維の酸化処理の態様としては、例えば、N-オキシル化合物を用いた酸化処理などが例示される。上記N-オキシル化合物を用いた酸化処理は、例えば、水中においてN-オキシル化合物を酸化触媒とし、ミクロフィブリル化植物繊維に共酸化剤を作用させる方法で行うことができる。
上記N-オキシル化合物としては、例えば、2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシル(TEMPO)およびその誘導体などが挙げられる。
上記共酸化剤としては、例えば、次亜塩素酸ナトリウムなどが挙げられる。
上記ミクロフィブリル化植物繊維の平均繊維径は、4~100nmであることが好ましい。上記範囲であることにより、ミクロフィブリル化植物繊維の分散性を十分良好なものとすることができ、前述の効果が得られる。また、加工中のミクロフィブリル化植物繊維の破損も抑えられる。当該平均繊維径としては、前述の効果の観点から、90nm以下が好ましく、50nm以下がより好ましい。また、ミクロフィブリル化植物繊維の絡まりがほどけにくく、分散し難いという理由から、10nm以上であることが好ましく、20nm以上がより好ましい。
上記ミクロフィブリル化植物繊維の平均繊維長は、100nm以上であることが好ましい。より好ましくは300nm以上、更に好ましくは500nm以上である。また、5mm以下が好ましく、1mm以下がより好ましく、50μm以下がより更に好ましく、3μm以下が特に好ましく、2μm以下が最も好ましい。平均繊維長が下限以上、上限以下の場合は、前述の平均繊維径と同様の傾向がある。
なお、上記ミクロフィブリル化植物繊維が2種以上の組み合わせからなる場合、上記平均繊維径、上記平均繊維長は、ミクロフィブリル化植物繊維全体での平均として算出される。
本明細書において、上記ミクロフィブリル化植物繊維の平均繊維径及び平均繊維長は、走査型電子顕微鏡写真による画像解析、透過型電子顕微鏡写真による画像解析、原子間力顕微鏡写真による画像解析、X線散乱データの解析、細孔電気抵抗法(コールター原理法)等によって測定できる。
上記ゴム組成物において、ミクロフィブリル化植物繊維の含有量(固形分)は、ゴム成分100質量部に対して、1質量部以上が好ましく、5質量部以上がより好ましく、10質量部以上が更に好ましい。また、50質量部以下が好ましく、40質量部以下がより好ましく、30質量部以下が更に好ましい。前記範囲であると、前記効果が好適に得られる。
上記ゴム組成物内におけるミクロフィブリル化植物繊維の平均繊維径は、4~100nmであることが好ましい。上記範囲であることにより、ゴム組成物中でのミクロフィブリル化植物繊維の分散性が良好になり、前述の効果が得られる傾向がある。また、加工中のミクロフィブリル化植物繊維の破損も抑えられる傾向がある。当該平均繊維径としては、該効果が好適に得られるという点から、90nm以下が好ましい。また、ミクロフィブリル化植物繊維の絡まりがほどけにくく、分散し難いという理由から、10nm以上であることが好ましく、20nm以上がより好ましい。
上記ゴム組成物内におけるミクロフィブリル化植物繊維の平均繊維長は、100nm以上であることが好ましい。より好ましくは300nm以上、更に好ましくは500nm以上である。また、5mm以下が好ましく、1mm以下がより好ましく、50μm以下がより更に好ましく、3μm以下が特に好ましく、2μm以下が最も好ましい。平均繊維長が下限以上、上限以下の場合、前述の平均繊維径と同様の傾向がある。
上記ゴム組成物内におけるミクロフィブリル化植物繊維の繊維径の最頻値は、10~70nmであることが好ましい。上記範囲であることにより、ゴム組成物中でのミクロフィブリル化植物繊維の分散性が良好になり、前述の効果が得られる傾向がある。当該繊維径の最頻値としては、該効果がより好適に得られるという点から、15nm以上が好ましく、18nm以上がより好ましい。また、65nm以下が好ましく、60nm以下がより好ましい。
本明細書において、上記ミクロフィブリル化植物繊維の繊維径の最頻値とは、透過型電子顕微鏡で観察して画像をとり、100本の繊維の径を測定して得られる分布から求められる値である。
前記ゴム組成物は、ミクロフィブリル化植物繊維と共有結合可能な修飾剤を含む。該修飾剤は、ミクロフィブリル化植物繊維と共有結合を形成することが可能な化合物である。
前記ゴム組成物において、前記修飾剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、1質量部以上が好ましく、2質量部以上がより好ましく、3質量部以上が更に好ましい。また、20質量部以下が好ましく、18質量部以下がより好ましく、16質量部以下が更に好ましい。前記範囲であると、前記効果が好適に得られる。
前記修飾剤としては、例えば、ミクロフィブリル化植物繊維をゴム中に良好に分散できる観点から、液状ポリマーを好適に使用できる。
液状ポリマーの数平均分子量(Mn)は、ゴム組成物の力学物性の観点から、1000以上が好ましく、5000以上が好ましく、10000以上がより好ましい。加工性の観点から、該Mnは、70000以下が好ましく、50000以下がより好ましい。
なお、本明細書において、Mw、Mnは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)(東ソー(株)製GPC-8000シリーズ、検出器:示差屈折計、カラム:東ソー(株)製のTSKGEL SUPERMULTIPORE HZ-M)による測定値を基に標準ポリスチレン換算により求めることができる。
液状ポリマーとしては、未変性液状ポリマー、変性液状ポリマーが挙げられる。なかでも、変性液状ポリマーが好ましく、未変性液状ポリマーを不飽和カルボン酸及び/又はその誘導体で変性した変性液状ポリマーを用いることが特に好ましい。
未変性液状ポリマーは、主に1,3-ブタジエン、イソプレン、1,3-ペンタジエン、2,3-ジメチル-1,3-ブタジエン、2-メチル-1,3-ペンタジエン、1,3-ヘキサジエン、2-メチル-1,3-ペンタジエン、4,5-ジエチル-1,3-オクタジエン、3-ブチル-1,3-オクタジエンなどの共役ジエンを含む単量体を重合して得られる未変性の液状重合体(液状ジエン系重合体)である。未変性液状ポリマーとしては、例えば、液状ポリブタジエン、液状ポリイソプレン、液状スチレン-ブタジエンランダム共重合体、液状スチレン-ブタジエンブロック共重合体、液状ブタジエン-イソプレンランダム共重合体、液状ブタジエン-イソプレンブロック共重合体、液状スチレン-ブタジエン-イソプレンランダム共重合体、液状スチレン-ブタジエン-イソプレンブロック共重合体などの液状ジエン系重合体などが挙げられる。これらは1種を単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。なかでも、前述の効果の観点から、液状ポリイソプレンが好ましい。
上記不飽和カルボン酸としては、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、(メタ)アクリル酸等が挙げられる。上記不飽和カルボン酸誘導体としては、無水マレイン酸、無水イタコン酸などの不飽和カルボン酸無水物;マレイン酸エステル、フマル酸エステル、イタコン酸エステル、グリシジル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートなどの不飽和カルボン酸エステル;マレイン酸アミド、フマル酸アミド、イタコン酸アミドなどの不飽和カルボン酸アミド、マレイン酸イミド、イタコン酸イミドなどの不飽和カルボン酸イミド;などが挙げられる。不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸誘導体1種で変性されていてもよく、2種以上で変性されていてもよい。
変性液状ポリマーは、原料となる未変性液状ポリマーを不飽和カルボン酸及び/又はその誘導体で変性することにより製造できる。変性する方法は特に限定されず、例えば、原料となる未変性液状ポリマーに不飽和カルボン酸及び/又はその誘導体を付加させる方法等、公知の方法で製造できる。変性液状ポリマーは、1種のみを用いても、2種以上を混合して用いてもよい。
これらの中でも、経済的な観点、引張特性、低燃費性等の前述の効果の観点から、無水マレイン酸変性液状ポリマーが好ましく、無水マレイン酸変性液状ジエン系重合体がより好ましく、無水マレイン酸変性液状ポリイソプレンが更に好ましい。
ミクロフィブリル化植物繊維と共有結合可能な修飾剤は、ジエン系ゴムとの反応点を有するものであることが好ましい。ジエン系ゴムとの反応点を有する修飾剤を用いた場合、例えば、加硫の段階で、該修飾剤が加硫剤(硫黄等)を介してジエン系ゴムと結合し、強度が向上する。従って、ミクロフィブリル化植物繊維の分散性が向上すると共に、引張特性(引張強度、破断時伸び)、低燃費性が顕著に改善される。
ジエン系ゴム(ジエン系ポリマー)との反応点は、ジエン系ゴムと反応可能な箇所(部位)であり、必要に応じて加硫剤(硫黄等)を介してジエン系ゴムとの反応する箇所(部位)でもよい。ジエン系ゴムの反応点としては、例えば、前記共役ジエンの二重結合部位等が挙げられる。この場合、修飾剤の二重結合がジエン系ゴムと反応するケース、修飾剤の二重結合が硫黄を介してジエン系ゴムを反応するケースが考えられる。
なお、上記液状ポリマーとしては、例えば、(株)クラレ、クレイバレー社等の製品を使用できる。
前記ゴム組成物は、カーボンブラックを含むことが好ましい。カーボンブラックを配合することにより補強効果が得られる。
カーボンブラックとしては、特に限定されず、GPF、FEF、HAF、ISAF、SAFなどが挙げられる。これらのカーボンブラックは、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
前記ゴム組成物において、カーボンブラックの窒素吸着比表面積(NSA)は、好ましくは20m/g以上、より好ましくは25m/g以上である。また該NSAは、好ましくは200m/g以下、より好ましくは150m/g以下、更に好ましくは120m/g以下である。下限以上にすることで、充分な補強効果が得られる傾向がある。上限以下にすることで、優れた低燃費性が得られる傾向がある。
なお、本明細書において、カーボンブラックの窒素吸着比表面積は、JIS K6217のA法によって求められる。
前記ゴム組成物において、カーボンブラックの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、前述の効果の観点から、1~200質量部が好ましく、3~100質量部がより好ましい。
前記ゴム組成物をサイドウォールに適用する場合、カーボンブラックの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは5質量部以上、より好ましくは15質量部以上、更に好ましくは20質量部以上である。該含有量は、好ましくは100質量部以下、より好ましくは70質量部以下、更に好ましくは50質量部以下である。上記範囲内であると、良好な低燃費性及び耐屈曲亀裂成長性が得られる傾向がある。
前記ゴム組成物をサイドウォールに適用する場合、カーボンブラックの窒素吸着比表面積(NSA)は、好ましくは20m/g以上、より好ましくは30m/g以上である。また該NSAは、好ましくは200m/g以下、より好ましくは150m/g以下である。下限以上にすることで、充分な補強効果が得られる傾向がある。上限以下にすることで、優れた低燃費性が得られる傾向がある。
前記ゴム組成物を乗用車用タイヤのトレッドに適用する場合、カーボンブラックの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは2質量部以上である。該含有量は、好ましくは50質量部以下、より好ましくは30質量部以下、更に好ましくは10質量部以下である。上記範囲内であると、良好な低燃費性が得られる傾向がある。
前記ゴム組成物を乗用車用タイヤのトレッドに適用する場合、カーボンブラックの窒素吸着比表面積(NSA)は、好ましくは50m/g以上、より好ましくは80m/g以上、更に好ましくは100m/g以上、である。また該NSAは、好ましくは200m/g以下、より好ましくは150m/g以下である。下限以上にすることで、充分な補強効果が得られる傾向がある。上限以下にすることで、優れた低燃費性が得られる傾向がある。
前記ゴム組成物を重荷重用タイヤのトレッドに適用する場合、カーボンブラックの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは10質量部以上、より好ましくは30質量部以上、更に好ましくは40質量部以上である。該含有量は、好ましくは150質量部以下、より好ましくは100質量部以下、更に好ましくは80質量部以下である。上記範囲内であると、良好な低燃費性が得られる傾向がある。
前記ゴム組成物を重荷重用タイヤのトレッドに適用する場合、カーボンブラックの窒素吸着比表面積(NSA)は、好ましくは50m/g以上、より好ましくは80m/g以上、更に好ましくは100m/g以上、である。また該NSAは、好ましくは200m/g以下、より好ましくは150m/g以下である。下限以上にすることで、充分な補強効果が得られる傾向がある。上限以下にすることで、優れた低燃費性が得られる傾向がある。
前記ゴム組成物は、シリカを含んでもよい。シリカを配合することにより、良好なウェットグリップ性能、耐摩耗性等が得られる。
シリカとしては特に限定されず、例えば、乾式法シリカ(無水ケイ酸)、湿式法シリカ(含水ケイ酸)等が挙げられるが、シラノール基が多いという理由から、湿式法シリカが好ましい。
前記ゴム組成物において、シリカの窒素吸着比表面積(NSA)は、40m/g以上が好ましく、50m/g以上がより好ましい。下限以上にすることで、良好な破壊強度が得られる傾向がある。また、シリカのNSAは、300m/g以下が好ましく、250m/g以下がより好ましい。上限以下にすることで、良好な低発熱性、ゴムの加工性が得られる傾向がある。
なお、本明細書において、シリカの窒素吸着比表面積は、ASTM D3037-93に準じてBET法で測定される値である。
前記ゴム組成物がシリカを含有する場合、その含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは10質量部以上、より好ましくは20質量部以上である。また、該含有量は、好ましくは150質量部以下、より好ましくは100質量部以下である。上記範囲内であると、良好な低燃費性等が得られる傾向がある。
前記ゴム組成物を乗用車用タイヤのトレッドに適用する場合、シリカの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは10質量部以上、より好ましくは30質量部以上、更に好ましくは50質量部以上である。また、該含有量は、好ましくは150質量部以下、より好ましくは120質量部以下、更に好ましくは100質量部以下である。上記範囲内であると、良好な低燃費性等が得られる傾向がある。
前記ゴム組成物を乗用車用タイヤのトレッドに適用する場合、シリカの窒素吸着比表面積(NSA)は、100m/g以上が好ましく、150m/g以上がより好ましい。下限以上にすることで、良好な破壊強度が得られる傾向がある。また、シリカのNSAは、300m/g以下が好ましく、250m/g以下がより好ましい。上限以下にすることで、良好な低発熱性、ゴムの加工性が得られる傾向がある。
前記ゴム組成物がシリカを含む場合、更にシランカップリング剤を含むことが好ましい。
シランカップリング剤としては、特に限定されず、例えば、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2-トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(4-トリエトキシシリルブチル)テトラスルフィド、ビス(3-トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2-トリメトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(2-トリエトキシシリルエチル)トリスルフィド、ビス(4-トリメトキシシリルブチル)トリスルフィド、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2-トリエトキシシリルエチル)ジスルフィド、ビス(4-トリエトキシシリルブチル)ジスルフィド、ビス(3-トリメトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2-トリメトキシシリルエチル)ジスルフィド、ビス(4-トリメトキシシリルブチル)ジスルフィド、3-トリメトキシシリルプロピル-N,N-ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、2-トリエトキシシリルエチル-N,N-ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3-トリエトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィド、などのスルフィド系、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、2-メルカプトエチルトリエトキシシラン、Momentive社製のNXT、NXT-Zなどのメルカプト系、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシランなどのビニル系、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシランなどのアミノ系、γ-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、などのグリシドキシ系、3-ニトロプロピルトリメトキシシラン、3-ニトロプロピルトリエトキシシランなどのニトロ系、3-クロロプロピルトリメトキシシラン、3-クロロプロピルトリエトキシシランなどのクロロ系などがあげられる。市販品としては、デグッサ社、Momentive社、信越シリコーン(株)、東京化成工業(株)、アヅマックス(株)、東レ・ダウコーニング(株)等の製品を使用できる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
シランカップリング剤の含有量は、シリカ100質量部に対して、3質量部以上が好ましく、6質量部以上がより好ましい。3質量部以上であると、良好な破壊強度等が得られる傾向がある。また、上記含有量は、20質量部以下が好ましく、15質量部以下がより好ましい。20質量部以下であると、配合量に見合った効果が得られる傾向がある。
上記ゴム組成物は、シリカ、カーボンブラック以外の他の充填剤を配合してもよい。他の充填剤としては、特に限定されないが、炭酸カルシウム、タルク、アルミナ、クレー、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、マイカなどが挙げられる。
上記ゴム組成物は、オイルを含んでもよい。オイルは、1種を用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
オイルとしては、特に限定されず、パラフィン系プロセスオイル、アロマ系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイルなどのプロセスオイル、TDAE、MES等の低PCA(多環式芳香族)プロセスオイル、植物油脂、及びこれらの混合物等、従来公知のオイルを使用できる。なかでも、耐摩耗性及び破壊特性の点では、アロマ系プロセスオイルが好ましい。上記アロマ系プロセスオイルとしては、具体的には、出光興産(株)製のダイアナプロセスオイルAHシリーズ等が挙げられる。
オイルを含む場合、その含有量は、ゴム成分100質量部に対して、3質量部以上が好ましく、6質量部以上がより好ましい。また、上記含有量は、20質量部以下が好ましく、15質量部以下がより好ましい。
前記ゴム組成物には、固体樹脂(常温(25℃)で固体状態のポリマー)を配合してもよい。
固体樹脂を含有する場合、その含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは3質量部以上、更に好ましくは5質量部以上である。また、上記含有量は、好ましくは50質量部以下、より好ましくは30質量部以下、更に好ましくは20質量部以下である。
固体樹脂としては、特に限定されないが、例えば、固体状のスチレン系樹脂、クマロンインデン樹脂、テルペン系樹脂、p-t-ブチルフェノールアセチレン樹脂、アクリル系樹脂、ジシクロペンタジエン系樹脂(DCPD系樹脂)、C5系石油樹脂、C9系石油樹脂、C5C9系石油樹脂等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
固体状のスチレン系樹脂は、スチレン系単量体を構成モノマーとして用いた固体状ポリマーであり、スチレン系単量体を主成分(50質量%以上)として重合させたポリマー等が挙げられる。具体的には、スチレン系単量体(スチレン、o-メチルスチレン、m-メチルスチレン、p-メチルスチレン、α-メチルスチレン、p-メトキシスチレン、p-tert-ブチルスチレン、p-フェニルスチレン、o-クロロスチレン、m-クロロスチレン、p-クロロスチレン等)をそれぞれ単独で重合した単独重合体、2種以上のスチレン系単量体を共重合した共重合体の他、スチレン系単量体及びこれと共重合し得る他の単量体のコポリマーも挙げられる。
上記他の単量体としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのアクリロニトリル類、アクリル類、メタクリル酸などの不飽和カルボン酸類、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチルなどの不飽和カルボン酸エステル類、クロロプレン、ブタジエンイソプレンなどのジエン類、1-ブテン、1-ペンテンのようなオレフィン類;無水マレイン酸等のα,β-不飽和カルボン酸又はその酸無水物;等が例示できる。
なかでも、固体状のα-メチルスチレン系樹脂(α-メチルスチレン単独重合体、α-メチルスチレンとスチレンとの共重合体等)が好ましい。
固体状のクマロンインデン樹脂としては、前述の液状状態のクマロンインデン樹脂と同様の構成単位を有する固体樹脂が挙げられる。
固体状のテルペン系樹脂としては、ポリテルペン、テルペンフェノール、芳香族変性テルペン樹脂などが挙げられる。
ポリテルペンは、テルペン化合物を重合して得られる樹脂及びそれらの水素添加物である。テルペン化合物は、(Cの組成で表される炭化水素及びその含酸素誘導体で、モノテルペン(C1016)、セスキテルペン(C1524)、ジテルペン(C2032)などに分類されるテルペンを基本骨格とする化合物であり、例えば、α-ピネン、β-ピネン、ジペンテン、リモネン、ミルセン、アロオシメン、オシメン、α-フェランドレン、α-テルピネン、γ-テルピネン、テルピノレン、1,8-シネオール、1,4-シネオール、α-テルピネオール、β-テルピネオール、γ-テルピネオールなどが挙げられる。
固体状のポリテルペンとしては、上述したテルペン化合物を原料とするα-ピネン樹脂、β-ピネン樹脂、リモネン樹脂、ジペンテン樹脂、β-ピネン/リモネン樹脂などのテルペン樹脂の他、該テルペン樹脂に水素添加処理した水素添加テルペン樹脂等の固体樹脂も挙げられる。
固体状のテルペンフェノールとしては、上記テルペン化合物とフェノール系化合物とを共重合した固体樹脂、及び該樹脂に水素添加処理した固体樹脂が挙げられ、具体的には、上記テルペン化合物、フェノール系化合物及びホルマリンを縮合させた固体樹脂が挙げられる。なお、フェノール系化合物としては、例えば、フェノール、ビスフェノールA、クレゾール、キシレノールなどが挙げられる。
固体状の芳香族変性テルペン樹脂としては、テルペン樹脂を芳香族化合物で変性して得られる固体樹脂、及び該樹脂に水素添加処理した固体樹脂が挙げられる。なお、芳香族化合物としては、芳香環を有する化合物であれば特に限定されないが、例えば、フェノール、アルキルフェノール、アルコキシフェノール、不飽和炭化水素基含有フェノールなどのフェノール化合物;ナフトール、アルキルナフトール、アルコキシナフトール、不飽和炭化水素基含有ナフトールなどのナフトール化合物;スチレン、アルキルスチレン、アルコキシスチレン、不飽和炭化水素基含有スチレンなどのスチレン誘導体;クマロン、インデンなどが挙げられる。
固体状のp-t-ブチルフェノールアセチレン樹脂としては、p-t-ブチルフェノールとアセチレンとを縮合反応させて得られる固体樹脂が挙げられる。
固体状のアクリル系樹脂としては特に限定されないが、不純物が少なく、分子量分布がシャープな樹脂が得られるという点から、無溶剤型アクリル系固体樹脂を好適に使用できる。
固体状の無溶剤型アクリル樹脂は、副原料となる重合開始剤、連鎖移動剤、有機溶媒などを極力使用せずに、高温連続重合法(高温連続塊重合法)(米国特許第4,414,370号明細書、特開昭59-6207号公報、特公平5-58005号公報、特開平1-313522号公報、米国特許第5,010,166号明細書、東亜合成研究年報TREND2000第3号p42-45等に記載の方法)により合成された(メタ)アクリル系樹脂(重合体)が挙げられる。なお、本明細書において、(メタ)アクリルは、メタクリル及びアクリルを意味する。
固体状のアクリル系樹脂は、実質的に副原料となる重合開始剤、連鎖移動剤、有機溶媒などを含まないことが好ましい。また、上記アクリル系樹脂は、連続重合により得られる組成分布や分子量分布が比較的狭いものが好ましい。
上述のように、固体状のアクリル系樹脂としては、実質的に副原料となる重合開始剤、連鎖移動剤、有機溶媒などを含まないもの、すなわち、純度が高いものが好ましい。固体状のアクリル系樹脂の純度(該樹脂中に含まれる樹脂の割合)は、好ましくは95質量%以上、より好ましくは97質量%以上である。
固体状のアクリル系樹脂を構成するモノマー成分としては、例えば、(メタ)アクリル酸や、(メタ)アクリル酸エステル(アルキルエステル、アリールエステル、アラルキルエステルなど)、(メタ)アクリルアミド、及び(メタ)アクリルアミド誘導体などの(メタ)アクリル酸誘導体が挙げられる。
また、固体状のアクリル系樹脂を構成するモノマー成分として、(メタ)アクリル酸や(メタ)アクリル酸誘導体と共に、スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルナフタレン、ジビニルベンゼン、トリビニルベンゼン、ジビニルナフタレンなどの芳香族ビニルを使用してもよい。
固体状のアクリル系樹脂は、(メタ)アクリル成分のみで構成される樹脂であっても、(メタ)アクリル成分以外の成分をも構成要素とする樹脂であっても良い。
また、固体状のアクリル系樹脂は、水酸基、カルボキシル基、シラノール基等を有していてよい。
固体樹脂としては、例えば、丸善石油化学(株)、住友ベークライト(株)、ヤスハラケミカル(株)、東ソー(株)、Rutgers Chemicals社、BASF社、アリゾナケミカル社、日塗化学(株)、(株)日本触媒、JXエネルギー(株)、荒川化学工業(株)、田岡化学工業(株)等の製品を使用できる。
上記ゴム組成物は、耐クラック性、耐オゾン性等の観点から、老化防止剤を含有することが好ましい。
老化防止剤としては特に限定されないが、フェニル-α-ナフチルアミン等のナフチルアミン系老化防止剤;オクチル化ジフェニルアミン、4,4′-ビス(α,α′-ジメチルベンジル)ジフェニルアミン等のジフェニルアミン系老化防止剤;N-イソプロピル-N′-フェニル-p-フェニレンジアミン、N-(1,3-ジメチルブチル)-N′-フェニル-p-フェニレンジアミン、N,N′-ジ-2-ナフチル-p-フェニレンジアミン等のp-フェニレンジアミン系老化防止剤;2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリンの重合物等のキノリン系老化防止剤;2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール、スチレン化フェノール等のモノフェノール系老化防止剤;テトラキス-[メチレン-3-(3′,5′-ジ-t-ブチル-4′-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン等のビス、トリス、ポリフェノール系老化防止剤などが挙げられる。なかでも、p-フェニレンジアミン系老化防止剤、キノリン系老化防止剤が好ましく、N-(1,3-ジメチルブチル)-N′-フェニル-p-フェニレンジアミン、2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリンの重合物がより好ましい。市販品としては、例えば、精工化学(株)、住友化学(株)、大内新興化学工業(株)、フレクシス社等の製品を使用できる。
老化防止剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.2質量部以上、より好ましくは0.5質量部以上である。下限以上にすることで、充分な耐オゾン性が得られる傾向がある。該含有量は、好ましくは7.0質量部以下、より好ましくは4.0質量部以下である。上限以下にすることで、良好な外観が得られる傾向がある。
上記ゴム組成物は、ステアリン酸を含むことが好ましい。ステアリン酸の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.5~10質量部以上、より好ましくは0.5~5質量部である。
なお、ステアリン酸としては、従来公知のものを使用でき、例えば、日油(株)、NOF社、花王(株)、富士フイルム和光純薬(株)、千葉脂肪酸(株)等の製品を使用できる。
上記ゴム組成物は、酸化亜鉛を含むことが好ましい。酸化亜鉛の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.5~10質量部、より好ましくは1~5質量部である。
なお、酸化亜鉛としては、従来公知のものを使用でき、例えば、三井金属鉱業(株)、東邦亜鉛(株)、ハクスイテック(株)、正同化学工業(株)、堺化学工業(株)等の製品を使用できる。
上記ゴム組成物には、ワックスを配合してもよい。ワックスの含有量は、前記性能バランスの観点から、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.5~10質量部、より好ましくは0.5~5質量部である。
ワックスとしては特に限定されず、石油系ワックス、天然系ワックスなどが挙げられ、また、複数のワックスを精製又は化学処理した合成ワックスも使用可能である。これらのワックスは、単独で使用しても、2種類以上を併用してもよい。
石油系ワックスとしては、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス等が挙げられる。天然系ワックスとしては、石油外資源由来のワックスであれば特に限定されず、例えば、キャンデリラワックス、カルナバワックス、木ろう、ライスワックス、ホホバろうなどの植物系ワックス;ミツロウ、ラノリン、鯨ろうなどの動物系ワックス;オゾケライト、セレシン、ペトロラクタムなどの鉱物系ワックス;及びこれらの精製物などが挙げられる。市販品としては、例えば、大内新興化学工業(株)、日本精蝋(株)、精工化学(株)等の製品を使用できる。なお、ワックスの含有量は、耐オゾン性、コストの点から、適宜設定すれば良い。
上記ゴム組成物には、ポリマー鎖に適度な架橋鎖を形成し、良好な性能を付与するという点で、硫黄を配合することが好ましい。
硫黄の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは0.5質量部以上、更に好ましくは0.7質量部以上である。該含有量は、好ましくは6.0質量部以下、より好ましくは4.0質量部以下、更に好ましくは3.0質量部以下である。
硫黄としては、ゴム工業において一般的に用いられる粉末硫黄、沈降硫黄、コロイド硫黄、不溶性硫黄、高分散性硫黄、可溶性硫黄などが挙げられる。市販品としては、鶴見化学工業(株)、軽井沢硫黄(株)、四国化成工業(株)、フレクシス社、日本乾溜工業(株)、細井化学工業(株)等の製品を使用できる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記ゴム組成物は、加硫促進剤を含むことが好ましい。
加硫促進剤の含有量は特に制限はなく、要望する加硫速度や架橋密度に合わせて自由に決定すれば良いが、ゴム成分100質量部に対して、通常、0.3~10質量部、好ましくは0.5~7質量部である。
加硫促進剤の種類は特に制限はなく、通常用いられているものを使用可能である。加硫促進剤としては、2-メルカプトベンゾチアゾール、ジ-2-ベンゾチアゾリルジスルフィド、N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアジルスルフェンアミド等のチアゾール系加硫促進剤;テトラメチルチウラムジスルフィド(TMTD)、テトラベンジルチウラムジスルフィド(TBzTD)、テトラキス(2-エチルヘキシル)チウラムジスルフィド(TOT-N)等のチウラム系加硫促進剤;N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N-t-ブチル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N-オキシエチレン-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N-オキシエチレン-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N,N’-ジイソプロピル-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド等のスルフェンアミド系加硫促進剤;ジフェニルグアニジン、ジオルトトリルグアニジン、オルトトリルビグアニジン等のグアニジン系加硫促進剤を挙げることができる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、前記性能バランスの観点から、スルフェンアミド系加硫促進剤、グアニジン系加硫促進剤が好ましい。
上記ゴム組成物には、上記成分以外にも、離型剤や顔料等の応用分野に従って、それらの使用に使われる通常の添加物を適宜配合してもよい。
上記ゴム組成物の製造方法としては、公知の方法を用いることができ、例えば、上記各成分をオープンロール、バンバリーミキサーなどのゴム混練装置を用いて混練し、その後加硫する方法などにより製造できる。例えば、ゴム成分、ミクロフィブリル化植物繊維、及び前記ミクロフィブリル化植物繊維と共有結合可能な修飾剤を混練し、前記ミクロフィブリル化植物繊維及び前記修飾剤の間で共有結合が形成された混練物を作製する工程と、加硫する工程とを含む製造方法により製造できる。
なかでも、ミクロフィブリル化植物繊維の分散性や、引張特性、低燃費性等の前記特性の観点から、ミクロフィブリル化植物繊維及びこれと共有結合可能な修飾剤の混合前に、予め、ゴム成分とミクロフィブリル化植物繊維との混合物(マスターバッチ)を製造することが好ましい。具体的には、陰イオン性界面活性剤と、ミクロフィブリル化植物繊維分散液とを混合し混合液を作製する工程(工程(1))、及び、該混合液とゴム成分とを混合する工程(工程(2))を含む製法により、先ずミクロフィブリル化植物繊維・ゴム複合体(マスターバッチ)を作製することが好ましい。そして更に、得られたマスターバッチ、前記修飾剤等の成分を混練し、該ミクロフィブリル化植物繊維及び該修飾剤の間で共有結合が形成された混練物を作製する工程(工程(3))、未加硫ゴム組成物を加硫する工程(工程(4))を行うことにより、ゴム組成物(加硫済)を製造することが好ましい。なお、該製造方法は、上記工程を含む限り、その他の工程を含んでいてもよく、また、上記工程をそれぞれ、1回行ってもよいし、複数回繰り返し行ってもよい。
(工程(1))
先ず、陰イオン性界面活性剤と、ミクロフィブリル化植物繊維分散液とを混合し混合液を作製する工程(工程(1))が行われる。
上記陰イオン性界面活性剤は、疎水性基及び親水性基を有するものである。このような界面活性剤を用いることにより、疎水性基とゴムの疎水基とが疎水-疎水結合を形成して親和性を示し、また、親水性基とミクロフィブリル化植物繊維の有する水酸基とが水素結合で吸着して親和性を示すために、ミクロフィブリル化植物繊維の分散性を高め、ゴム中でミクロフィブリル化植物繊維が凝集するのを抑制し、凝集塊が発生するのを抑えることができると推察される。陰イオン性界面活性剤としては、1種を用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記疎水性基は、疎水性の官能基であればよいが、なかでも、炭化水素基であることが好ましい。該炭化水素基としては、直鎖状、分岐状、環状のいずれであってもよく、脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基などが挙げられる。なかでも、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基が好ましい。上記炭化水素基の炭素数は、好ましくは4~20、より好ましくは4~15、更に好ましくは4~12である。
上記脂肪族炭化水素基としては、炭素数1~20のものが好ましく、1~10のものがより好ましく、1~6のものが更に好ましい。好ましい例として、上記炭素数のアルキル基が挙げられ、具体的には、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、へキシル基、へプチル基、2-エチルヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、オクタデシル基等が挙げられる。また、上記炭素数のアルケニル基、アルキニル基も挙げられ、一例としては、ビニル基、アリル基、1-プロペニル基、1-メチルエテニル基、イソブチレン基等のアルケニル基、エチニル基、プロパギル基等のアルキニル基が挙げられる。なかでも、イソブチレン基が好ましい。
上記脂環式炭化水素基としては、炭素数3~8のものが好ましく、具体的には、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロプロペニル基、シクロブテニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基、シクロヘプテニル基、シクロオクテニル基等が挙げられる。
上記芳香族炭化水素基としては、炭素数6~12のものが好ましく、具体的には、フェニル基、ベンジル基、フェネチル基、トリル(tolyl)基、キシリル(xylyl)基、ナフチル基等が挙げられる。なかでも、フェニル基、ベンジル基、フェネチル基が好ましく、フェニル基、ベンジル基がより好ましく、フェニル基が特に好ましい。なお、トリル基及びキシリル基におけるベンゼン環上のメチル基の置換位置は、オルト位、メタ位、パラ位のいずれの位置でもよい。
上記親水性基は、カルボキシル基、スルホン酸基、硫酸基、及びリン酸基からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。なかでも、カルボキシル基が特に好ましい。
上記陰イオン性界面活性剤のなかでも、疎水性基としてフェニル基又はイソブチレン基を有し、親水性基としてカルボキシル基を有する陰イオン性界面活性剤が特に好ましい。
上記陰イオン性界面活性剤としては、上述のような官能基を有するものが好ましい形態として挙げられるが、具体的には、カルボン酸系、スルホン酸系、硫酸エステル系、リン酸エステル系などの界面活性剤に分類できる。
上記カルボン酸系界面活性剤としては、例えば、炭素数が6~30の脂肪酸塩、多価カルボン酸塩、ロジン酸塩、ダイマー酸塩、ポリマー酸塩、トール油脂肪酸塩や、ポリカルボン酸型高分子界面活性剤等が挙げられ、好ましくは炭素数10~20のカルボン酸塩、ポリカルボン酸塩、ポリカルボン酸型高分子界面活性剤であり、特に好ましくはポリカルボン酸型高分子界面活性剤である。
上記スルホン酸系界面活性剤としては、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸塩、ジフェニルエ-テルスルホン酸塩等が挙げられる。
上記硫酸エステル系界面活性剤としては、例えば、アルキル硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルキル硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエ-テル硫酸塩、トリスチレン化フェノ-ル硫酸エステル塩、ジスチレン化フェノール硫酸エステル塩、α-オレフィン硫酸エステル塩、アルキルコハク酸硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレントリスチレン化フェノール硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレンジスチレン化フェノ-ル硫酸エステル塩等が挙げられる。
上記リン酸エステル系界面活性剤としては、例えば、アルキルリン酸エステル塩、ポリオキシアルキレンリン酸エステル塩等が挙げられる。
これらの化合物の塩としては、金属塩(Na,k,Ca,Mg,Zn等)、アンモニウム塩、アミン塩(トリエタノールアミン塩等)などが挙げられる。
なお、上記界面活性剤におけるアルキル基としては、炭素数4~30のアルキル基が挙げられる。また、ポリオキシアルキレン基としては、炭素数2~4のアルキレン基を有するものが挙げられ、例えば酸化エチレンの付加モル数が1~50モル程度のものが使用可能である。
上記陰イオン性界面活性剤は、重量平均分子量(Mw)が500以上であることが好ましく、1000以上であることがより好ましい。また、50000以下であることが好ましく、30000以下であることがより好ましい。
上記陰イオン性界面活性剤としては、例えば、エレメンティス社、花王(株)、第一工業製薬(株)、三洋化成工業(株)等の製品を使用できる。
上記ミクロフィブリル化植物繊維分散液は、ミクロフィブリル化植物繊維が溶媒中に分散した分散液(スラリー)であり、該溶媒としては特に限定されず、水等が挙げられる。
上記ミクロフィブリル化植物繊維分散液は、公知の方法で製造でき、その製造方法は特に限定されず、例えば、高速ホモジナイザー、超音波ホモジナイザー、コロイドミル、ブレンダ―ミルなどを用いてミクロフィブリル化植物繊維を水等の溶媒に分散させることで調製できる。調製の際の温度や時間も、ミクロフィブリル化植物繊維が水等の溶媒中に十分分散するよう、通常行われる範囲で適宜設定することができる。
上記ミクロフィブリル化植物繊維分散液中のミクロフィブリル化植物繊維の含有量(固形分)は、特に限定されないが、好ましくは0.2~20質量%、より好ましくは0.5~10質量%、更に好ましくは0.5~3質量%である。
上記工程(1)において、陰イオン性界面活性剤とミクロフィブリル化植物繊維分散液とを混合し混合液を作製する方法としては、例えば、高速ホモジナイザー、超音波ホモジナイザー、コロイドミル、ブレンダ―ミルなどの公知の撹拌装置を用いて、陰イオン性界面活性剤とミクロフィブリル化植物繊維分散液とを混合する方法などが挙げられ、十分分散するまで十分に撹拌することにより、陰イオン性界面活性剤とミクロフィブリル化植物繊維分散液との混合液を得ることができる。当該混合液を作製する際の温度や時間は、陰イオン性界面活性剤とミクロフィブリル化植物繊維分散液とが十分に分散するまで、通常行われる範囲で適宜設定することができるが、例えば、10~40℃で3~120分が好ましく、15~30℃で5~90分がより好ましい。
上記工程(1)において、上記陰イオン性界面活性剤の添加量は、ミクロフィブリル化植物繊維分散液に含まれるミクロフィブリル化植物繊維(固形分)100質量部に対して、8~50質量部であることが好ましい。該添加量は、9質量部以上がより好ましく、10質量部以上が更に好ましい。また、25質量部以下がより好ましく、20質量部以下が更に好ましい。
(工程(2))
次に、工程(1)で得られた混合液とゴム成分とを混合する工程(工程(2))が行われる。ゴム成分の供給源としては、ミクロフィブリル化植物繊維の分散性等の観点から、前記ゴムラテックスを好適に使用できる。
上記工程(2)において、工程(1)で得られた混合液とゴム成分(ゴムラテックス等)とを混合する方法としては、例えば、高速ホモジナイザー、超音波ホモジナイザー、コロイドミル、ブレンダ―ミルなどの公知の撹拌装置にゴムを入れ、撹拌しながら、工程(1)で得られた混合液を滴下する方法や、工程(1)で得られた混合液を撹拌しながら、これにゴム成分を滴下する方法などが挙げられ、十分分散するまで十分に撹拌することにより、工程(1)で得られた混合液とゴム成分との混合物(配合ラテックス等)を得ることができる。当該混合物を作製する際の温度や時間は、工程(1)で得られた混合液とゴム成分とが十分に分散するまで、通常行われる範囲で適宜設定することができるが、例えば、10~40℃で3~120分が好ましく、15~30℃で5~90分がより好ましい。
上記工程(2)で得られた混合物(配合ラテックス等)のpHは、9.0以上が好ましく、9.5以上がより好ましい。また、12以下が好ましく、11.5以下がより好ましい。上記工程(1)で得られた混合液とゴム成分との混合物(配合ラテックス等)のpHがこのような範囲であると、劣化を抑え、安定したものとすることができる。
上記工程(2)においては、ゴムの固形分100質量部に対して、ミクロフィブリル化植物繊維(固形分)が2~45質量部となるように工程(1)で得られた混合液を混合することが好ましい。上記範囲であることにより、前述の効果が好適に得られる傾向がある。該ミクロフィブリル化植物繊維(固形分)の含有量は、5質量部以上がより好ましく、10質量部以上が更に好ましい。また、40質量部以下がより好ましく、35質量部以下が更に好ましい。
上記工程(2)で得られた混合物(配合ラテックス等)を必要に応じて凝固させ、該凝固物(凝集ゴム及びミクロフィブリル化植物繊維を含む凝集物)を公知の方法でろ過、乾燥させ、更に乾燥後、2軸ロール、バンバリーなどでゴム練りを行うと、ミクロフィブリル化植物繊維がゴムマトリックスに十分に分散した複合体(ミクロフィブリル化植物繊維・ゴム複合体)を得ることができる。該ミクロフィブリル化植物繊維・ゴム複合体は、他の成分を含んでもよい。
上記凝固は、上記工程(2)で得られた混合物(配合ラテックス等)に通常酸を添加することで行われる。凝固させるための酸としては、硫酸、塩酸、ギ酸、酢酸などが挙げられる。凝固させる際の温度としては、10~40℃が好ましい。
上記凝固の際、上記工程(2)で得られた混合物(配合ラテックス等)のpHを3~5に調整するのが好ましく、3~4に調整するのがより好ましい。
また、凝固の状態(凝固した凝集粒子の大きさ)を制御する目的で、凝集剤を添加しても良い。凝集剤として、カチオン性高分子などを用いることができる。
工程(1)、(2)により得られるミクロフィブリル化植物繊維・ゴム複合体は、マスターバッチとして使用できる。上記ミクロフィブリル化植物繊維・ゴム複合体はゴム中にミクロフィブリル化植物繊維が十分に分散しており、他の成分と混合したゴム組成物においてもミクロフィブリル化植物繊維を十分に分散できる。そのため、ミクロフィブリル化植物繊維の分散性に優れ、良好な引張特性(引張強度、破断時伸び)、低燃費性が得られる。
(工程(3))
工程(2)で得られたミクロフィブリル化植物繊維・ゴム複合体(マスターバッチ)、前記修飾剤、必要に応じて配合する該複合体中のゴム以外の他のゴム成分、カーボンブラック、シリカ等の各成分を、公知の方法で混練する。混練により、ミクロフィブリル化植物繊維・ゴム複合体中のミクロフィブリル化植物繊維と、前記修飾剤との間に共有結合が形成された混練物が作製される。
混練条件としては、加硫剤及び加硫促進剤以外の添加剤を混練する工程(ベース練り工程)では、混練温度は、通常50~200℃、好ましくは80~190℃であり、混練時間は、通常30秒~30分、好ましくは1分~30分である。
(工程(4))
工程(3)で得られた混練物、加硫剤、加硫促進剤を混練し、未加硫ゴム組成物を作製し、次いで、工程(4)の加硫する工程が行われ、ゴム組成物(加硫後)が製造される。加硫剤、加硫促進剤を混練する工程(仕上げ練り工程)では、混練温度は、通常100℃以下、好ましくは室温~80℃である。また、加硫剤、加硫促進剤を混練した組成物をプレス加硫などの加硫処理が施される際(工程(4)の加硫工程)の加硫温度は、通常120~200℃、好ましくは140~180℃である。
前記ゴム組成物を適用できる部材としては、サイドウォール、ベーストレッド、ビードエイペックス、クリンチエイペックス、インナーライナー、アンダートレッド、ブレーカートッピング、プライトッピング、トレッド等、空気入りタイヤの各部材に好適に使用できる。空気入りタイヤとしては、乗用車用タイヤ、トラック、バス等に用いる重荷重用タイヤ等に好適に使用できる。
上記ゴム組成物はタイヤに好適に使用できる。上記タイヤは、上記ゴム組成物を用いて通常の方法により製造される。すなわち、必要に応じて各種材料を配合したゴム組成物を、未加硫の段階でタイヤ部材の形状に合わせて押し出し加工し、他のタイヤ部材とともに、タイヤ成型機上にて通常の方法で成形することにより、未加硫タイヤを形成した後、加硫機中で加熱加圧してタイヤ(空気入りタイヤ、スタッドレスタイヤ、ランフラットタイヤ等)を製造できる。
実施例に基づいて、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。
(SBRラテックスの調製)
表1の仕込み組成に従い、撹拌機付き耐圧反応器に水、乳化剤(1)、乳化剤(2)、電解質、スチレン、ブタジエン及び分子量調整剤を仕込んだ。反応器温度を5℃とし、ラジカル開始剤及びSFSを溶解した水溶液と、EDTA及び触媒を溶解した水溶液とを反応器に添加して重合を開始した。重合開始から5時間後、重合停止剤を添加して反応を停止させ、SBRラテックスを得た。
なお、使用した薬品を以下に示す。
水:蒸留水
乳化剤(1):ハリマ化成(株)製のロジン酸石鹸
乳化剤(2):富士フイルム和光純薬(株)製の脂肪酸石鹸
電解質:富士フイルム和光純薬(株)製のリン酸ナトリウム
スチレン:富士フイルム和光純薬(株)製のスチレン
ブタジエン:高千穂化学工業(株)製の1,3-ブタジエン
分子量調整剤:富士フイルム和光純薬(株)製のtert-ドデシルメルカプタン
ラジカル開始剤:日油(株)製のパラメンタンヒドロペルオキシド
SFS:富士フイルム和光純薬(株)製のソディウム・ホルムアルデヒド・スルホキシレート
EDTA:富士フイルム和光純薬(株)製のエチレンジアミン四酢酸ナトリウム
触媒:富士フイルム和光純薬(株)製の硫酸第二鉄
重合停止剤:富士フイルム和光純薬(株)製のN,N’-ジメチルジチオカルバメート
Figure 2023090825000001
以下のミクロフィブリル化植物繊維分散液の調製、ミクロフィブリル化植物繊維・ゴム複合体の調製で使用した各種薬品を説明する。
天然ゴムラテックス:Muhibbah LATEKS社から入手したフィールドラテックスを使用
SBRラテックス:上記にて調製
ミクロフィブリル化植物繊維:(株)スギノマシン製のバイオマスナノファイバー(製品名「BiNFi-s セルロース」、平均繊維長:約2μm、平均繊維径:約0.02μm、固形分:2質量%)
界面活性剤:エレメンティス社製のNUOSPERSE FX 600(陰イオン性界面活性剤、ポリカルボン酸アミン塩(疎水性基としてフェニル基、親水性基としてカルボキシル基を含有)、Mw:2000)
(ミクロフィブリル化植物繊維分散液の調製)
ミクロフィブリル化植物繊維(2重量%)50gに純水150gを添加し、ミクロフィブリル化植物繊維0.5質量%(固形分濃度)懸濁液を作製し、これを撹拌、及び超音波処理を10分間行い、ミクロフィブリル化植物繊維分散液を得た。
(ミクロフィブリル化植物繊維・ゴム複合体の調製)
調製したミクロフィブリル化植物繊維分散液に、表2の配合処方に従って界面活性剤を所定量添加し、高速ホモジナイザーを用いて室温(20~30℃)で5分間攪拌して、ミクロフィブリル化植物繊維分散液及び界面活性剤の混合物(混合液)を得た。得られた混合物を表2の配合処方に従って所定量のゴムラテックスに添加し、高速ホモジナイザーを用いて室温で5分攪拌し、pH10.2の配合ラテックスを得た。次いで、室温下で2質量%ギ酸水溶液を加え、pH3~4に調整し、凝固物を得た。得られた凝固物をろ過し、乾燥してミクロフィブリル化植物繊維・ゴム複合体(MB1、MB2)を得た。
Figure 2023090825000002
以下、実施例及び比較例で使用した各種薬品について、まとめて説明する。
ミクロフィブリル化植物繊維・ゴム複合体(MB1~MB3):上記にて調製
NR:TSR20
BR:ハイシスBR(シス含量97質量%、Mw40万)
SBR:ジェイエスアール(株)製のSBR1502(スチレン単位量23.5質量%)
カーボンブラック:キャボットジャパン(株)製のショウブラックN220(NSA111m/g)
シリカ:デグッサ社製のUltrasil VN3(NSA175m/g)
シランカップリング剤:エボニックデグッサ社製のSi69(ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド)
液状ポリイソプレン(未変性):クラレ社製LIR-30(Mn=28000)
変性液状ポリイソプレン:クラレ社製LIR-403(無水マレイン酸変性液状ポリイソプレン、Mn=34000)
ワックス:日本精蝋(株)製のオゾエース0355
老化防止剤:精工化学(株)製のオゾノン6C(N-(1,3-ジメチルブチル)-N’-フェニル-p-フェニレンジアミン)
ステアリン酸:日油(株)製のステアリン酸「椿」
酸化亜鉛:三井金属鉱業(株)製の亜鉛華1号
オイル:ジャパンエナジー(株)製のプロセスX140
硫黄:鶴見化学(株)製の粉末硫黄
加硫促進剤1:大内新興化学工業(株)製のノクセラーNS(N-tert-ブチル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド)
加硫促進剤2:大内新興化学工業(株)製のノクセラーD(ジフェニルグアニジン)
<実施例及び比較例>
表3~5に示す配合に従って、1.7Lバンバリーミキサーを用いて、硫黄及び加硫促進剤以外の薬品を130℃で4分間混練りした。次に、ロールを用いて、得られた混練り物に硫黄及び加硫促進剤を添加して80℃で4分間練り込み、未加硫ゴム組成物を得た。得られた未加硫ゴム組成物を170℃で12分間プレス加硫して加硫物を得た。
得られた加硫物、未加硫ゴム組成物を下記により評価し、結果を表3~5に示した。なお、表3、4、5の基準比較例は、それぞれ比較例1-1、2-1、3-1である。
(ミクロフィブリル化植物繊維の繊維径の最頻値)
得られた加硫物を透過型電子顕微鏡で観察して画像をとり、ミクロフィブリル化植物繊維100本の繊維の径を測定して得られる分布から繊維径の最頻値を求めた。
(ミクロフィブリル化植物繊維の平均繊維径)
得られた加硫物を透過型電子顕微鏡で観察して画像をとり、ミクロフィブリル化植物繊維100本の繊維の径を測定して得られる分布から繊維径の平均値(平均繊維径)を求めた。
(加工性)
各未加硫ゴム組成物について、JIS K 6300-1の「未加硫ゴム-物理特性-第1部:ムーニー粘度計による粘度及びスコーチタイムの求め方」に準じたムーニー粘度の測定方法に従い、130℃の温度条件にて、ムーニー粘度(ML1+4)を測定した。基準比較例のムーニー粘度を100として指数表示した(加工性指数)。指数が大きいほどムーニー粘度が低く、加工性に優れることを示す。
(硬度)
JIS K6253の「加硫ゴム及び熱可塑性ゴムの硬さ試験方法」に従って、タイプAデュロメーターにより、加硫物の硬度を測定した。測定は、25℃で行った。基準比較例の結果を100として指数表示した(硬度指数)。指数が大きいほど、良好な硬度を有することを示す。
(引張試験)
加硫物を用いて3号ダンベル型ゴム試験片を作製し、JIS K6251「加硫ゴム及び熱可塑性ゴム-引張特性の求め方」に準じて引張試験を行い、破断強度(TB)及び破断時伸び(EB)(%)を測定した。基準比較例のゴム試験片のTB、EBをそれぞれ100とし、各配合のTB、EBを指数表示した(破断強度指数、破断時伸び指数)。TB指数、EB指数が大きいほど破壊強度に優れることを示す。
(低燃費性)
粘弾性スペクトロメーターVES((株)岩本製作所製)を用いて、温度50℃、初期歪み10%、動歪み2%、周波数10Hzの条件下で各配合(加硫物)のtanδを測定し、基準比較例のゴム試験片のtanδを100として、指数表示した(低燃費性指数)。指数が大きいほど、低燃費性が優れる。
(分散性(ΔG*))
上記未加硫ゴム組成物のせん断弾性率G*を、αテクノロジー社製RPA2000を用いて測定した。測定温度は100℃とした。歪み4%~64%の範囲で測定を実施し、ΔG*=G*(4%)-G*(64%)を算出した。基準比較例のゴム試験片のΔG*を100として、指数表示した(分散性指数)。指数が大きいほど、ゴム組成物中のミクロフィブリル化植物繊維が良好に分散していることを示す。
Figure 2023090825000003
Figure 2023090825000004
Figure 2023090825000005
表3~5より、ゴム成分、ミクロフィブリル化植物繊維、及び該ミクロフィブリル化植物繊維と共有結合可能な修飾剤を含む実施例は、ミクロフィブリル化植物繊維の分散性が良好で、破断強度、破断時伸び、低燃費性にも優れていた。一方、該修飾剤を含まない比較例は、破断強度、破断時伸び、低燃費性が劣っていた。実施例では、加工性、硬度も良好であった。

Claims (9)

  1. ゴム成分、ミクロフィブリル化植物繊維、及び前記ミクロフィブリル化植物繊維と共有結合可能な修飾剤を含み、
    ゴム組成物内における前記ミクロフィブリル化植物繊維の平均繊維径が、4~100nmであるタイヤ用ゴム組成物。
  2. ゴム成分、ミクロフィブリル化植物繊維、及び前記ミクロフィブリル化植物繊維と共有結合可能な修飾剤を含み、
    ゴム組成物内における前記ミクロフィブリル化植物繊維の平均繊維長が、100nm以上であるタイヤ用ゴム組成物。
  3. ゴム成分、ミクロフィブリル化植物繊維、及び前記ミクロフィブリル化植物繊維と共有結合可能な修飾剤を含み、
    ゴム組成物内における前記ミクロフィブリル化植物繊維の繊維径の最頻値が、10~70nmであるタイヤ用ゴム組成物。
  4. 前記修飾剤は、液状ジエン系重合体である請求項1~3のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物。
  5. 前記ゴム組成物が加硫ゴム組成物である請求項1~4のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物。
  6. 前記ゴム成分100質量部に対する前記ミクロフィブリル化植物繊維の含有量が1~50質量部、前記修飾剤の含有量が1~20質量部である請求項1~5のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物。
  7. 前記液状ジエン系重合体は、不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸無水物、不飽和カルボン酸エステル、不飽和カルボン酸アミド、及び、不飽和カルボン酸イミドからなる群より選択される少なくとも1種で変性した液状ジエン系重合体である請求項1~6のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物。
  8. ゴム成分、ミクロフィブリル化植物繊維、及び前記ミクロフィブリル化植物繊維と共有結合可能な修飾剤を混練して、前記ミクロフィブリル化植物繊維及び前記修飾剤の間で共有結合が形成された混練物を作製する工程と、加硫する工程とを含む請求項1~7のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物の製造方法。
  9. 請求項1~7のいずれかに記載のゴム組成物で構成されたタイヤ部材を有するタイヤ。
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