JP7443912B2 - タイヤ用ゴム組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、ゴム組成物および該ゴム組成物で構成されたタイヤ部材を有するタイヤに関する。
タイヤの低燃費性とウェットグリップ性能とをバランス良く改善する方法としては、例えば、シリカとシランカップリング剤を配合する方法等が知られている(特許文献1)。
特開2004-59599号公報
しかしながら、シリカはその粒子表面に存在するシラノール基による水素結合の形成のため自己凝集性が強く、またカーボンブラックに比べ、ゴム成分との親和性が低いため、ゴム組成物中の分散が不十分となりやすい。
本発明は、シリカの分散性を向上させ、ウェットグリップ性能を改善したタイヤ用ゴム組成物を提供することを目的とする。
本発明者は、鋭意検討の結果、シリカを含有するゴム組成物に、特定の酸無水物を添加することで、上記課題を解決できること見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、
〔1〕ゴム成分100質量部に対し、シリカを5~80質量部、および炭素数が9以上の酸無水物を2.0~15質量部含有するタイヤ用ゴム組成物、
〔2〕前記酸無水物が分枝状または環状構造を有する、〔1〕記載のタイヤ用ゴム組成物、
〔3〕前記酸無水物が2以上の酸無水物基を有する、〔1〕または〔2〕記載のタイヤ用ゴム組成物、
〔4〕前記ゴム成分が、ケイ素、窒素および酸素からなる群から選択される少なくとも一つの元素を含む官能基によって変性されたブタジエンゴムを含む、〔1〕~〔3〕のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物、
〔5〕シリカ100質量部に対し、シランカップリング剤を0.1~20質量部含有する、〔1〕~〔4〕のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物、
〔6〕前記ゴム組成物のガラス転移温度が-50℃~-20℃である、〔1〕~〔5〕のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物、
〔7〕加硫後の前記ゴム組成物のアセトン抽出量が10質量%以上である、〔1〕~〔6〕のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物、
〔8〕前記ゴム成分中に、変性ジエン系ゴムを50質量%以上含む、〔1〕~〔7〕のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物、
〔9〕〔1〕~〔8〕のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物により構成されたタイヤ部材を有するタイヤ、に関する。
本発明に係るタイヤ用ゴム組成物は、良好なシリカ分散性を有し、ウェットグリップ性能が向上する。
本開示の一実施形態であるタイヤ用ゴム組成物は、ゴム成分100質量部に対し、シリカを5~80質量部、および炭素数が9以上の酸無水物を2.0~15質量部含有するタイヤ用ゴム組成物である。
理論に拘束されることは意図しないが、本開示において、シリカの分散性が向上し、ウェットグリップ性能を改善させ得るメカニズムとしては、以下が考えられる。すなわち、前記酸無水物の加水分解により生じたカルボン酸がシリカ表面のシラノール基に吸着するため、該カルボン酸とシリカが高い親和性を有するとともに、シリカの自己凝集を抑制することができる。また、前記酸無水物ないしそれより生じたカルボン酸化合物の疎水部が、ゴム成分との間で高い親和性を有することから、ゴム組成物の粘度を低下させることができる。このように、前記酸無水物ないしそれより生じたカルボン酸化合物がシリカおよびゴム成分とそれぞれ相互作用することにより、シリカのゴム中への分散を促進させることができると考えられる。そして、シリカの分散が促進されることで、ウェットグリップ性能が向上すると考えられる。
前記酸無水物は、分枝状または環状構造を有することが好ましい。生成するカルボン酸が嵩高い構造であるため、シリカ同士が隣接することが抑制されるので、シリカの分散性が向上し、より良好なウェットグリップ性能が得られると考えられる。
前記酸無水物は、2以上の酸無水物基を有することが好ましい。加水分解によって複数のカルボン酸が生成し、そのカルボニル基が別々のシリカと相互作用を起こすことによってシリカ同士が隣接することが抑制されるので、シリカの分散性が向上し、より良好なウェットグリップ性能が得られると考えられる。
前記ゴム成分が、ケイ素、窒素および酸素からなる群から選択される少なくとも一つの元素を含む官能基によって変性されたブタジエンゴムを含むことが好ましい。シリカのカップリング反応を促進するには、かかる変性ブタジエンゴムを配合することが有効である。
前記タイヤ用ゴム組成物は、シリカ100質量部に対し、シランカップリング剤を0.1~20質量部含有することが好ましい。シランカップリング剤を前記の範囲で配合することにより、シリカとゴム成分とのカップリング反応が促進され、シリカの分散効果が向上する。
前記ゴム組成物のガラス転移温度は、ウェットグリップ性能の観点から、-50℃~-20℃であることが好ましい。
加硫後の前記ゴム組成物のアセトン抽出量は、十分なシリカ分散の向上効果を得る観点から、10質量%以上であることが好ましい。
前記ゴム成分は、変性ジエン系ゴムを50質量%以上含むことが好ましい。
本開示の他の態様は、前記タイヤ用ゴム組成物により構成されたタイヤ部材を有するタイヤである。
なお、本明細書において、「~」を用いて数値範囲を示す場合、その両端の数値を含むものとする。
<ゴム成分>
本実施態様において使用されるゴム成分としては、イソプレン系ゴム、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)等のジエン系ゴムが好適に用いられる。ゴム成分は、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、およびイソプレン系ゴムからなる群から選ばれる少なくとも1種を含有することが好ましく、イソプレン系ゴムおよびSBRを含有することがより好ましい。またゴム成分は、イソプレン系ゴム、SBR、およびBRのみからなるゴム成分としてもよい。
(イソプレン系ゴム)
イソプレン系ゴムとしては、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、改質NR、変性NR、変性IR等が挙げられる。NRとしては、例えば、SIR20、RSS♯3、TSR20等、タイヤ工業において一般的なものを使用できる。IRとしては、特に限定されず、例えば、IR2200等、タイヤ工業において一般的なものを使用できる。改質NRとしては脱タンパク質天然ゴム(DPNR)、高純度天然ゴム等を、変性NRとしてはエポキシ化天然ゴム(ENR)、水素添加天然ゴム(HNR)、グラフト化天然ゴム等を、変性IRとしてはエポキシ化イソプレンゴム、水素添加イソプレンゴム、グラフト化イソプレンゴム等を挙げることができる。これらのイソプレン系ゴムは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
イソプレン系ゴムを含む場合のゴム成分中の含有量は、本開示の効果の観点から、10質量%以上が好ましく、20質量%以上がより好ましく、30質量%以上がさらに好ましく、40質量%以上が特に好ましい。一方、イソプレン系ゴムの含有量の上限は特に制限されず、例えば、90質量%以下、85質量%以下、80質量%以下、75質量%以下とすることができ、イソプレン系ゴムのみからなるゴム成分としてもよい。
(SBR)
SBRとしては特に限定されず、溶液重合SBR(S-SBR)、乳化重合SBR(E-SBR)、これらの変性SBR(変性S-SBR、変性E-SBR)等が挙げられる。変性SBRとしては、末端および/または主鎖が変性されたSBR、スズ、ケイ素化合物等でカップリングされた変性SBR(縮合物、分岐構造を有するもの等)等が挙げられる。さらに、これらSBRの水素添加物(水素添加SBR)等も使用することができる。なかでもS-SBRが好ましく、変性S-SBRがより好ましい。
変性SBRとしては、通常この分野で使用される官能基が導入された変性SBRが挙げられる。上記官能基としては、例えば、アミノ基(好ましくはアミノ基が有する水素原子が炭素数1~6のアルキル基に置換されたアミノ基)、アミド基、シリル基、アルコキシシリル基(好ましくは炭素数1~6のアルコキシシリル基)、イソシアネート基、イミノ基、イミダゾール基、ウレア基、エーテル基、カルボニル基、オキシカルボニル基、メルカプト基、スルフィド基、ジスルフィド基、スルホニル基、スルフィニル基、チオカルボニル基、アンモニウム基、イミド基、ヒドラゾ基、アゾ基、ジアゾ基、カルボキシル基、ニトリル基、ピリジル基、アルコキシ基(好ましくは炭素数1~6のアルコキシ基)、水酸基、オキシ基、エポキシ基等が挙げられる。なお、これらの官能基は、置換基を有していてもよい。置換基としては、例えば、アミノ基、アミド基、アルコキシシリル基、カルボキシル基、水酸基等の官能基が挙げられる。また、変性SBRとしては、水素添加されたもの、エポキシ化されたもの、スズ変性されたもの等を挙げることができる。
SBRとしては油展SBRを用いることもできるし、非油展SBRを用いることもできる。油展SBRを用いる場合、SBRの油展量、すなわち、SBRに含まれる油展オイルの含有量は、SBRのゴム固形分100質量部に対して、10~50質量部であることが好ましい。
前記で列挙されたSBRは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。前記で列挙されたSBRとしては、例えば、住友化学(株)、JSR(株)、旭化成(株)、日本ゼオン(株)、ZSエラストマー(株)等により製造・販売されているSBRを使用することができる。
SBRのスチレン含量は、本開示の効果がより好適に得られるという理由から、10質量%以上が好ましく、15質量%以上がより好ましく、20質量%以上がさらに好ましい。また、該スチレン含量は、60質量%以下が好ましく、50質量%以下がより好ましく、45質量%以下がさらに好ましく、40質量%以下が特に好ましい。なお、本明細書において、SBRのスチレン含有量は、1H-NMR測定により算出される。
SBRのビニル結合量は、本開示の効果がより好適に得られるという理由から、10モル%以上が好ましく、15モル%以上がより好ましく、20モル%以上がさらに好ましい。また、該ビニル結合量は、80モル%以下が好ましく、75モル%以下がより好ましく、70モル%以下がさらに好ましい。なお、本明細書において、ビニル結合量(1,2-結合ブタジエン単位量)は、赤外吸収スペクトル分析法によって測定される。
SBRの重量平均分子量(Mw)は、本開示の効果がより好適に得られるという理由から、20万以上が好ましく、25万以上がより好ましく、30万以上がさらに好ましい。また、該Mwは、200万以下が好ましく、180万以下がより好ましい。なお、本明細書において、重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)(東ソー(株)製のGPC-8000シリーズ、検出器:示差屈折計、カラム:東ソー(株)製のTSKGEL SUPERMALTPORE HZ-M)による測定値を基に標準ポリスチレン換算により求めることができる。
SBRを含有する場合のゴム成分中の含有量は、本開示の効果の観点から、10質量%以上が好ましく、20質量%以上がより好ましく、30質量%以上がさらに好ましく、40質量%以上が特に好ましい。一方、SBRの含有量の上限は特に制限されず、例えば、90質量%以下、85質量%以下、80質量%以下、75質量%以下とすることができ、SBRのみからなるゴム成分としてもよい。なお、SBRとして油展SBRを用いる場合は、当該油展SBR中に含まれるゴム固形分としてのSBR自体の含有量をゴム成分中のSBRの含有量とする。
(BR)
BRとしては特に限定されず、例えば、シス1,4結合含有率(シス含量)が90%以上のBR(ハイシスBR)、希土類元素系触媒を用いて合成された希土類系ブタジエンゴム(希土類系BR)、シンジオタクチックポリブタジエン結晶を含有するBR(SPB含有BR)、変性BR(ハイシス変性BR、ローシス変性BR)等タイヤ工業において一般的なものを使用することができる。変性BRとしては、上記SBRで説明したのと同様の官能基等で変性されたBRが挙げられる。
ハイシスBRとしては、例えば、日本ゼオン(株)製のもの、宇部興産(株)製のもの、JSR(株)製のもの等が挙げられる。ハイシスBRを含有することで低温特性および耐摩耗性能を向上させることができる。シス含量は、好ましくは、95%以上、より好ましくは96%以上、さらに好ましくは97%以上である。シス含量は98%以上でも好ましい。なお、本明細書において、シス含量は、赤外吸収スペクトル分析により算出される値である。
希土類系BRとしては、希土類元素系触媒を用いて合成され、ビニル結合量(1,2結合ブタジエン単位量)が好ましくは1.8モル%以下、より好ましくは1.0モル%以下、さらに好ましくは0.8%モル以下であり、シス含量(シス-1,4結合含有率)が好ましくは95モル%以上、より好ましくは96%モル以上、さらに好ましくは97%以上である。希土類系BRとしては、例えば、ランクセス(株)製のものなどを用いることができる。
SPB含有BRは、1,2-シンジオタクチックポリブタジエン結晶が、単にBR中に結晶を分散させたものではなく、BRと化学結合したうえで分散しているものが挙げられる。このようなSPB含有BRとしては、宇部興産(株)製のものなどを用いることができる。
変性BRとしては、末端および/または主鎖がケイ素、窒素および酸素からなる群から選択される少なくとも一つの元素を含む官能基によって変性された変性ブタジエンゴム(変性BR)が好適に用いられる。
上記官能基としては、特に限定されず、例えば、シリル基、R1(R2O)2シリル基、(R122Oシリル基、(R2O)3シリル基、アミノ基、アミド基、イソシアネート基、イミノ基、イミダゾール基、ウレア基、エーテル基、カルボニル基、オキシカルボニル基、スルホニル基、スルフィニル基、チオカルボニル基、アンモニウム基、イミド基、ヒドラゾ基、アゾ基、ジアゾ基、ニトリル基、ピリジル基、アルコキシ基、水酸基、オキシ基、カルボキシル基、エポキシ基、(メタ)アクリル基等が挙げられる。ここで、シリル基の置換基を構成するR1とR2は、それぞれ、独立に、炭素数1~10のアルキル基または炭素数6~10のアリール基を表す。炭素数1~10のアルキル基としては、直鎖状、環状、分枝状のいずれでもよく、その具体例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、s-ブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、n-ノニル基、n-デシル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基等が挙げられる。なかでも、本開示の効果の観点から、直鎖状のアルキル基が好ましく、メチル基またはエチル基がより好ましい。炭素数6~10のアリール基の具体例としては、フェニル基、α-ナフチル基)、β-ナフチル基等が挙げられる。
官能基としては、本開示の効果の観点から、R1(R2O)2シリル基、(R122Oシリル基、(R2O)3シリル基等のケイ素および酸素からなる群から選択される少なくとも一つの元素を含む官能基が好ましく、なかでも、トリアルコキシシリル基がより好ましい。さらに、トリアルコキシシリル基としては、例えば、トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基等が挙げられる。
その他の変性BRとしては、リチウム開始剤により1,3-ブタジエンの重合を行ったのち、スズ化合物を添加することにより得られ、さらに変性BR分子の末端がスズ-炭素結合で結合されているもの(スズ変性BR)等が挙げられる。また、変性BRは、水素添加されていないもの、水素添加されているもののいずれであってもよい。
前記で列挙されたBRは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
BRを含有する場合のゴム成分中の含有量は、5質量%以上が好ましく、10質量%以上がより好ましい。一方、本開示の効果の観点からは、50質量%以下が好ましく、40質量%以下がより好ましく、30質量%以下がさらに好ましい。
変性ジエン系ゴム(好ましくは変性SBRおよび変性BR)を含有する場合のゴム成分中の含有量は、20質量%以上が好ましく、30質量%以上がより好ましく、40質量%以上がさらに好ましく、50質量%以上が特に好ましい。一方、本開示の効果の観点からは、90質量%以下が好ましく、85質量%以下がより好ましく、80質量%以下がさらに好ましい。
(他のゴム成分)
ゴム成分は、本開示の効果に影響を与えない範囲で、前記のSBR、BRおよびイソプレン系ゴム以外の他のゴム成分を含有してもよい。他のゴム成分としては、タイヤ工業で一般的に用いられる架橋可能なゴム成分を用いることができ、例えば、スチレン-イソプレン-ブタジエン共重合ゴム(SIBR)、スチレン-イソブチレン-スチレンブロック共重合体(SIBS)、クロロプレンゴム(CR)、アクリロニトリル-ブタジエンゴム(NBR)、水素化ニトリルゴム(HNBR)、ブチルゴム(IIR)、エチレンプロピレンゴム、ポリノルボルネンゴム、シリコーンゴム、塩化ポリエチレンゴム、フッ素ゴム(FKM)、アクリルゴム(ACM)、ヒドリンゴム等が挙げられる。これら他のゴム成分は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
<充填剤>
本開示に係る充填剤は、シリカを必須の成分として含有し、シリカ以外の充填剤を含んでいてもよい。シリカ以外の充填剤としては、タイヤ工業で一般的に使用される充填剤をいずれも使用することができ、例えば、カーボンブラック、水酸化アルミニウム、アルミナ(酸化アルミニウム)、クレー、炭酸カルシウム、マイカ等を挙げることができ、カーボンブラックが好ましい。また、充填剤はシリカおよびカーボンブラックを含む充填剤としてもよく、シリカおよびカーボンブラックのみからなる充填剤としてもよい。
(シリカ)
シリカとしては、特に限定されず、例えば、乾式法により調製されたシリカ(無水シリカ)、湿式法により調製されたシリカ(含水シリカ)等、タイヤ工業において一般的なものを使用することができる。なかでもシラノール基が多いという理由から、湿式法により調製された含水シリカが好ましい。シリカとしては、例えば、エボニックデグサ社、ソルベイ社、東ソー・シリカ(株)、(株)トクヤマ等によって製造販売されるものなどを用いることができる。これらのシリカは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本開示で使用されるシリカの平均一次粒子径は22nm以下であり、20nm以下が好ましく、18nm以下がより好ましく、16nm以下がさらに好ましい。該平均一次粒子径の下限は特に限定されないが、1nm以上が好ましく、3nm以上がより好ましく、5nm以上がさらに好ましい。シリカの平均一次粒子径が前期の範囲であることによって、シリカの分散性をより改善でき、補強性、ウェットグリップ性能、耐摩耗性能をさらに改善できる。なお、シリカの平均一次粒子径は、透過型または走査型電子顕微鏡により観察し、視野内に観察されたシリカの一次粒子を400個以上測定し、その平均により求めることができる。
シリカの窒素吸着比表面積(N2SA)は、低燃費性能および耐摩耗性能の観点から、140m2/g以上が好ましく、160m2/g以上がより好ましく、170m2/g以上がさらに好ましい。また、低燃費性能および加工性の観点からは、350m2/g以下が好ましく、300m2/g以下がより好ましく、250m2/g以下がさらに好ましい。なお、本明細書におけるシリカのN2SAは、ASTM D3037-93に準じてBET法で測定される値である。
シリカのゴム成分100質量部に対する含有量は、ウェットグリップ性能の観点から、5質量部以上であり、10質量部以上が好ましく、20質量部以上がより好ましく、25質量部以上がさらに好ましく、30質量部以上が特に好ましい。また、耐摩耗性能の観点からは、80質量部以下であり、75質量部以下が好ましく、70質量部以下がより好ましく、65質量部以下がさらに好ましく、60質量部以下が特に好ましい。
(シランカップリング剤)
シリカは、シランカップリング剤と併用することが好ましい。シランカップリング剤としては、特に限定されず、タイヤ工業において、従来からシリカと併用される任意のシランカップリング剤を使用することができる。そのようなシランカップリング剤としては、例えば、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド等のスルフィド系シランカップリング剤;3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、モメンティブ社製のNXT-Z100、NXT-Z45、NXT等のメルカプト基系シランカップリング剤;ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン等のビニル系シランカップリング剤;3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-(2-アミノエチル)アミノプロピルトリエトキシシラン等のアミノ基系シランカップリング剤;γ-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等のグリシドキシ系のシランカップリング剤;3-ニトロプロピルトリメトキシシラン、3-ニトロプロピルトリエトキシシラン等のニトロ系のシランカップリング剤;3-クロロプロピルトリメトキシシラン、3-クロロプロピルトリエトキシシラン等のクロロ系のシランカップリング剤;等が挙げられる。これらのシランカップリング剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
シランカップリング剤を含有する場合のシリカ100質量部に対する含有量は、0.1質量部以上が好ましく、1質量部以上がより好ましく、3質量部以上がさらに好ましく、5質量部以上が特に好ましい。また、該含有量は、シリカ100質量部に対して、20質量部以下が好ましく、18質量部以下がより好ましい。
シランカップリング剤を含有する場合のゴム成分100質量部に対する含有量は、0.1質量部以上が好ましく、1質量部以上がより好ましく、2質量部以上がさらに好ましく、3質量部以上が特に好ましい。また、該含有量は、ゴム成分100質量部に対して、20質量部以下が好ましく、15質量部以下がより好ましく、12質量部以下がさらに好ましい。
(カーボンブラック)
カーボンブラックとしては、タイヤ工業において一般的なものを適宜利用することができる、例えば、GPF、FEF、HAF、ISAF、SAF等を挙げることができ、あるいは、N110、N115、N120、N125、N134、N135、N219、N220、N231、N234、N293、N299、N326、N330、N339、N343、N347、N351、N356、N358、N375、N539、N550、N582、N630、N642、N650、N660、N683、N754、N762、N765、N772、N774、N787、N907、N908、N990、N991等を挙げることができる。これらカーボンブラックとしては、例えば、旭カーボン(株)、キャボットジャパン(株)、東海カーボン(株)、三菱ケミカル(株)、ライオン(株)、日鉄カーボン(株)、コロンビアカーボン社等によって製造販売されるものなどを用いることができる。これらのカーボンブラックは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
カーボンブラックの窒素吸着比表面積(N2SA)は、50m2/g以上が好ましく、80m2/g以上がより好ましく、100m2/g以上がさらに好ましい。下限以上にすることで、良好な耐摩耗性、グリップ性能が得られる傾向がある。また、上記N2SAは、200m2/g以下が好ましく、160m2/g以下がより好ましく、150m2/g以下がさらに好ましい。上限以下にすることで、カーボンブラックの良好な分散が得られる傾向がある。なお、カーボンブラックのN2SAは、JIS K 6217-2:2001によって求められる。
カーボンブラックの含有量は、補強性の観点から、ゴム成分100質量部に対して、1質量部以上が好ましく、3質量部以上がより好ましく、5質量部以上がさらに好ましい。また、加工性や低燃費性能の観点からは、100質量部以下が好ましく、50質量部以下より好ましく、30質量部以下さらに好ましく、15質量部以下が特に好ましい。
充填剤全体のゴム成分100質量部に対する含有量は、ウェットグリップ性能の観点から、10質量部以上が好ましく、25質量部以上がより好ましく、40質量部以上がさらに好ましく、50質量部以上が特に好ましい。また、耐摩耗性能の観点からは、120質量部以下が好ましく、100質量部以下がより好ましく、95質量部以下がさらに好ましく、90質量部以下が特に好ましい。
充填剤中におけるシリカの含有量は、ウェットグリップ性能の観点から、50質量%以上が好ましく、60質量%以上がより好ましく、70質量%以上がさらに好ましい。また、対候性や補強性の観点からは、99質量%以下が好ましく、95質量%以下がより好ましい。
<酸無水物>
本開示に係る酸無水物は、炭素数が9以上であれば特に制限されず、直鎖状構造を有する酸無水物、分枝状構造を有する酸無水物、環状構造を有する酸無水物のいずれであってもよい。また、前記環状構造を構成する環は、芳香族炭化水素環(例えば、ベンゼン環、ナフタレン環等)、芳香族ヘテロ環(例えば、ピリジン環、キノリン環、チアゾール環等)、飽和または一部不飽和の炭化水素環(例えば、シクロヘキサン環、ノルボルネン環等)、飽和または一部不飽和のヘテロ環(例えば、ピペリジン環、テトラヒドロピラン環等)、もしくはこれらが縮環したもののいずれであってもよいが、芳香族炭化水素環、もしくは、飽和または一部不飽和の炭化水素環が好ましい。
酸無水物の炭素数は、直鎖状構造を有する酸無水物の場合は10~60が好ましく、16~60がより好ましく、20~52がさらに好ましく、24~44が特に好ましい。分枝状または環状構造を有する酸無水物の場合は9~30が好ましく、10~28がより好ましく、11~26がさらに好ましく、12~24が特に好ましい。
前記酸無水物は、分枝状または環状構造を有することが好ましい。生成するカルボン酸化合物が嵩高い構造であるため、シリカ同士が隣接することが抑制されるので、シリカの分散性が向上し、より良好なウェットグリップ性能が得られる傾向がある。
前記酸無水物は、2以上の酸無水物基を有することが好ましい。加水分解によって複数のカルボン酸が生成し、そのカルボニル基が別々のシリカと相互作用を起こすことによってシリカ同士が隣接することが抑制されるので、シリカの分散性が向上し、より良好なウェットグリップ性能が得られる傾向がある。
直鎖状構造を有する酸無水物の具体例としては、例えば、オレイン酸無水物、ステアリン酸無水物、ミリスチン酸無水物、パルミチン酸無水物、リノール酸無水物、アラキジン酸無水物等が挙げられる。
分枝状構造を有する酸無水物の具体例としては、例えば、ビス(2,2,3,3-テトラメチル-1-シクロプロパンカルボン酸)無水物等が挙げられる。
環状構造を有する酸無水物の具体例としては、ノルボルネンジカルボン酸無水物、メチルシクロヘキサンジカルボン酸無水物、メチルシクロヘキセンジカルボン酸無水物、ナフタル酸無水物、フェニルグルタル酸無水物、シクロヘキサン二酢酸無水物、アントラセンジカルボン酸無水物等の1つの酸無水物基を有する酸無水物;シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、ベンゼンテトラカルボン酸二無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、ペリレンテトラカルボン酸二無水物、4,4’-(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸二無水物等の2以上(好ましくは2つ)の酸無水物基を有する酸無水物が挙げられる。
上記の酸無水物のなかでも、炭素数が9以上の環状構造を有する酸二無水物がより好ましい。生成するカルボン酸化合物が嵩高い構造であるため、シリカの凝集が抑制されることに加え、加水分解によって1分子中に複数のカルボン酸が生成し、そのカルボニル基が別々のシリカと相互作用を起こすことによってもシリカの凝集が抑制されるので、シリカの分散性がより向上する。
前記酸無水物のゴム成分100質量部に対する含有量は、シリカ分散性向上の観点から、2.0質量部以上であり、3.0質量部以上がより好ましく、4.0質量部以上がさらに好ましい。また、該含有量は、ゴム成分100質量部に対して15質量部以下であり、11質量部以下が好ましく、8質量部以下がより好ましい。
前記酸無水物のシリカ100質量部に対する含有量は、シリカ分散性向上の観点から、2.0質量部以上が好ましく、4.0質量部以上がより好ましく、6.0質量部以上がさらに好ましい。また、該含有量は、シリカ100質量部に対して、20質量部以下が好ましく、15質量部以下がより好ましく、12質量部以下がさらに好ましい。
<軟化剤>
前記第一層を構成するゴム組成物は、ウェットグリップ性能を向上させるために、軟化剤を配合することが好ましい。軟化剤としては、例えば、樹脂成分、オイル、液状ゴム等が挙げられる。
本開示に係るゴム組成物は、樹脂成分を含有してもよい。樹脂成分としては、特に限定されないが、タイヤ工業で慣用される石油樹脂、テルペン系樹脂、ロジン系樹脂、フェノール系樹脂等が挙げられる。これらの樹脂成分は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本明細書において「C5系石油樹脂」とは、C5留分を重合することにより得られる樹脂をいう。C5留分としては、例えば、シクロペンタジエン、ペンテン、ペンタジエン、イソプレン等の炭素数4~5個相当の石油留分が挙げられる。C5系石油樹脂しては、ジシクロペンタジエン樹脂(DCPD樹脂)が好適に用いられる。
本明細書において「芳香族系石油樹脂」とは、C9留分を重合することにより得られる樹脂をいい、それらを水素添加したものや変性したものであってもよい。C9留分としては、例えば、ビニルトルエン、アルキルスチレン、インデン、メチルインデン等の炭素数8~10個相当の石油留分が挙げられる。芳香族系石油樹脂の具体例としては、例えば、クマロンインデン樹脂、クマロン樹脂、インデン樹脂、および芳香族ビニル系樹脂が好適に用いられる。芳香族ビニル系樹脂としては、経済的で、加工しやすく、発熱性に優れているという理由から、α-メチルスチレンもしくはスチレンの単独重合体またはα-メチルスチレンとスチレンとの共重合体が好ましく、α-メチルスチレンとスチレンとの共重合体がより好ましい。芳香族ビニル系樹脂としては、例えば、アリゾナケミカル社、イーストマンケミカル社等より市販されているものを使用することができる。
本明細書において「C5C9系石油樹脂」とは、前記C5留分と前記C9留分を共重合することにより得られる樹脂をいい、それらを水素添加したものや変性したものであってもよい。C5留分およびC9留分としては、前記の石油留分が挙げられる。C5C9系石油樹脂としては、例えば、東ソー(株)、LUHUA社等より市販されているものを使用することができる。
テルペン系樹脂としては、α-ピネン、β-ピネン、リモネン、ジペンテン等のテルペン化合物から選ばれる少なくとも1種からなるポリテルペン樹脂;前記テルペン化合物と芳香族化合物とを原料とする芳香族変性テルペン樹脂;テルペン化合物とフェノール系化合物とを原料とするテルペンフェノール樹脂;並びにこれらのテルペン系樹脂に水素添加処理を行ったもの(水素添加されたテルペン系樹脂)が挙げられる。芳香族変性テルペン樹脂の原料となる芳香族化合物としては、例えば、スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン、ジビニルトルエン等が挙げられる。テルペンフェノール樹脂の原料となるフェノール系化合物としては、例えば、フェノール、ビスフェノールA、クレゾール、キシレノール等が挙げられる。
ロジン系樹脂としては、特に限定されないが、例えば天然樹脂ロジン、それを水素添加、不均化、二量化、エステル化等で変性したロジン変性樹脂等が挙げられる。
フェノール系樹脂としては、特に限定されないが、フェノールホルムアルデヒド樹脂、アルキルフェノールホルムアルデヒド樹脂、アルキルフェノールアセチレン樹脂、オイル変性フェノールホルムアルデヒド樹脂等が挙げられる。
樹脂成分の軟化点は、グリップ性能の観点から、60℃以上が好ましく、65℃以上がより好ましい。また、加工性、ゴム成分とフィラーとの分散性向上という観点からは、150℃以下が好ましく、140℃以下がより好ましく、130℃以下がさらに好ましい。なお、本明細書において、軟化点は、JIS K 6220-1:2001に規定される軟化点を環球式軟化点測定装置で測定し、球が降下した温度として定義され得る。
樹脂成分を含有する場合のゴム成分100質量部に対する含有量は、ウェットグリップ性能の観点から、2.0質量部以上が好ましく、4.0質量部以上がより好ましく、9.0質量部以上がさらに好ましい。また、発熱性抑制の観点からは、39質量部以下が好ましく、29質量部以下がより好ましく、24質量部以下がさらに好ましい。
オイルとしては、例えば、プロセスオイル、植物油脂、動物油脂等が挙げられる。前記プロセスオイルとしてはパラフィン系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイル、芳香族系プロセスオイル等が挙げられる。また、環境対策で多環式芳香族(polycyclic aromatic compound:PCA)化合物の含量の低いプロセスオイルを使用することもできる。前記低PCA含量プロセスオイルとしては、軽度抽出溶媒和物(MES)、処理留出物芳香族系抽出物(TDAE)、重ナフテン系オイル等が挙げられる。
オイルを含有する場合のゴム成分100質量部に対する含有量は、加工性の観点から、5質量部以上が好ましく、10質量部以上がより好ましく、15質量部以上がさらに好ましい。また、耐摩耗性能の観点からは、100質量部以下が好ましく、80質量部以下がより好ましく、60質量部以下がさらに好ましい。なお、本明細書において、オイルの含有量には、油展ゴムに含まれるオイル量も含まれる。
液状ゴムは、常温(25℃)で液体状態のポリマーであれば特に限定されないが、例えば、液状ブタジエンゴム(液状BR)、液状スチレンブタジエンゴム(液状SBR)、液状イソプレンゴム(液状IR)、液状スチレンイソプレンゴム(液状SIR)、液状ファルネセンゴム等が挙げられる。これらの液状ゴムは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
液状ゴムを含有する場合のゴム成分100質量部に対する含有量は、1質量部以上が好ましく、2質量部以上がより好ましく、3質量部以上がさらに好ましく、5質量部以上が特に好ましい。また、液状ゴムの含有量は、50質量部以下が好ましく、40質量部以下がより好ましく、20質量部以下がさらに好ましい。
軟化剤を含有する場合のゴム成分100質量部に対する含有量(複数の軟化剤を併用する場合は全ての合計量)は、ウェットグリップ性能の観点から、6質量部以上が好ましく、11質量部以上がより好ましく、16質量部以上がさらに好ましい。また、加工性の観点からは、39質量部以下が好ましく、29質量部以下がより好ましく、24質量部以下がさらに好ましい。
<その他の配合剤>
本開示に係るゴム組成物には、前記成分以外にも、従来タイヤ工業で一般に使用される配合剤、例えば、ワックス、加工助剤、老化防止剤、ステアリン酸、酸化亜鉛、硫黄等の加硫剤、加硫促進剤等を適宜含有することができる。
ワックスとしては、特に限定されず、タイヤ工業において通常使用されるものをいずれも好適に用いることができ、例えば、石油系ワックス、鉱物系ワックス、合成ワックスなどが挙げられる。なかでも、石油系ワックスが好ましい。石油系ワックスとしては、例えば、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス等が挙げられる。ワックスは、例えば、大内新興化学工業(株)製のもの、日本精蝋(株)製のもの、パラメルト社製のものなどを用いることができる。これらのワックスは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ワックスを含有する場合のゴム成分100質量部に対する含有量は、ゴムの耐候性の観点から、0.5質量部以上が好ましく、1質量部以上がより好ましい。また、ブルームによるタイヤの白色化の観点からは、10質量部以下が好ましく、5質量部以下がより好ましい。
加工助剤としては、例えば、脂肪酸金属塩、脂肪酸アミド、アミドエステル、シリカ表面活性剤、脂肪酸エステル、脂肪酸金属塩とアミドエステルとの混合物、脂肪酸金属塩と脂肪酸アミドとの混合物等が挙げられる。これらの加工助剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、脂肪酸金属塩、アミドエステル、脂肪酸金属塩とアミドエステル若しくは脂肪酸アミドとの混合物が好ましく、脂肪酸金属塩と脂肪酸アミドとの混合物がより好ましい。加工助剤は、例えば、Schill&Seilacher社製の脂肪酸石鹸系加工助剤を用いることができる。
加工助剤を含有する場合のゴム成分100質量部に対する含有量は、加工性の改善効果を発揮させる観点から、0.5質量部以上が好ましく、1質量部以上がより好ましい。また、耐摩耗性および破壊強度の観点からは、10質量部以下が好ましく、8質量部以下がより好ましい。
老化防止剤としては、特に限定されず、例えば、アミン系、キノリン系、キノン系、フェノール系、イミダゾール系の各化合物や、カルバミン酸金属塩等の老化防止剤が挙げられ、N-(1,3-ジメチルブチル)-N’-フェニル-p-フェニレンジアミン、N-イソプロピル-N’-フェニル-p-フェニレンジアミン、N,N’-ジフェニル-p-フェニレンジアミン、N,N’-ジ-2-ナフチル-p-フェニレンジアミン、N-シクロヘキシル-N’-フェニル-p-フェニレンジアミン、N,N’-ビス(1-メチルヘプチル)-p-フェニレンジアミン、N,N’-ビス(1,4-ジメチルペンチル)-p-フェニレンジアミン、N,N’-ビス(1-エチル-3-メチルペンチル)-p-フェニレンジアミン、N-4-メチル-2-ペンチル-N’-フェニル-p-フェニレンジアミン、N,N’-ジアリール-p-フェニレンジアミン、ヒンダードジアリール-p-フェニレンジアミン、フェニルヘキシル-p-フェニレンジアミン、フェニルオクチル-p-フェニレンジアミン等のフェニレンジアミン系老化防止剤、および2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリン重合体、6-エトキシ-2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリン等のキノリン系老化防止剤が好ましい。これらの老化防止剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
老化防止剤を含有する場合のゴム成分100質量部に対する含有量は、ゴムの耐オゾンクラック性の観点から、0.5質量部以上が好ましく、1質量部以上がより好ましい。また、耐摩耗性能やウェットグリップ性能の観点からは、10質量部以下が好ましく、5質量部以下がより好ましい。
ステアリン酸を含有する場合のゴム成分100質量部に対する含有量は、加工性の観点から、0.5質量部以上が好ましく、1質量部以上がより好ましい。また、加硫速度の観点からは、10質量部以下が好ましく、5質量部以下がより好ましい。
酸化亜鉛を含有する場合のゴム成分100質量部に対する含有量は、加工性の観点から、0.5質量部以上が好ましく、1質量部以上がより好ましい。また、耐摩耗性能の観点からは、10質量部以下が好ましく、5質量部以下がより好ましい。
加硫剤としては硫黄が好適に用いられる。硫黄としては、粉末硫黄、油処理硫黄、沈降硫黄、コロイド硫黄、不溶性硫黄、高分散性硫黄等を用いることができる。
加硫剤として硫黄を含有する場合のゴム成分100質量部に対する含有量は、十分な加硫反応を確保する観点から、0.1質量部以上が好ましく、0.3質量部以上がより好ましく、0.5質量部以上がさらに好ましい。また、劣化防止の観点からは、5.0質量部以下が好ましく、4.0質量部以下がより好ましく、3.0質量部以下がさらに好ましい。なお、加硫剤として、オイル含有硫黄を使用する場合の加硫剤の含有量は、オイル含有硫黄に含まれる純硫黄分の合計含有量とする。
硫黄以外の加硫剤としては、例えば、アルキルフェノール・塩化硫黄縮合物、1,6-ヘキサメチレン-ジチオ硫酸ナトリウム・二水和物、1,6-ビス(N,N’-ジベンジルチオカルバモイルジチオ)ヘキサン)等が挙げられる。これらの硫黄以外の加硫剤は、田岡化学工業(株)、ランクセス(株)、フレキシス社等より市販されているものを使用することができる。
加硫促進剤としては、例えば、スルフェンアミド系、チアゾール系、チウラム系、チオウレア系、グアニジン系、ジチオカルバミン酸系、アルデヒド-アミン系若しくはアルデヒド-アンモニア系、イミダゾリン系、またはキサンテート系加硫促進剤等が挙げられる。これら加硫促進剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、スルフェンアミド系、グアニジン系、およびチアゾール系加硫促進剤が好ましく、スルフェンアミド系加硫促進剤およびグアニジン系加硫促進剤を併用することがより好ましい。
スルフェンアミド系加硫促進剤としては、例えば、N-tert-ブチル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(TBBS)、N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(CBS)、N,N-ジシクロヘキシル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(DCBS)等が挙げられる。なかでも、N-tert-ブチル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(TBBS)が好ましい。
グアニジン系加硫促進剤としては、例えば、1,3-ジフェニルグアニジン(DPG)、1,3-ジ-o-トリルグアニジン、1-o-トリルビグアニド、ジカテコールボレートのジ-o-トリルグアニジン塩、1,3-ジ-o-クメニルグアニジン、1,3-ジ-o-ビフェニルグアニジン、1,3-ジ-o-クメニル-2-プロピオニルグアニジン等が挙げられる。なかでも、1,3-ジフェニルグアニジン(DPG)が好ましい。
チアゾール系加硫促進剤としては、例えば、2-メルカプトベンゾチアゾール、2-メルカプトベンゾチアゾールのシクロヘキシルアミン塩、ジ-2-ベンゾチアゾリルジスルフィド等が挙げられる。なかでも、2-メルカプトベンゾチアゾールが好ましい。
加硫促進剤を含有する場合のゴム成分100質量部に対する含有量は、1質量部以上が好ましく、2質量部以上がより好ましい。また、加硫促進剤のゴム成分100質量部に対する含有量は、8質量部以下が好ましく、7質量部以下がより好ましく、6質量部以下がさらに好ましい。加硫促進剤の含有量を上記範囲内とすることにより、破壊強度および伸びが確保できる傾向がある。
本開示に係る加硫後のゴム組成物のアセトン抽出量(AE量)は、8質量%以上が好ましく、10質量%以上が好ましく、12質量%以上がさらに好ましい。また、該アセトン抽出量の上限は特に制限されないが、37質量%以下が好ましく、34質量%以下がより好ましく、29質量%以下がさらに好ましい。加硫後のゴム組成物のアセトン抽出量が上記の範囲であることにより、シリカの分散性がより向上する。なお、該アセトン抽出量は、上記加硫ゴム組成物に含有される軟化剤中の有機低分子化合物の濃度の指標となるものである。アセトン抽出量は、各加硫ゴム試験片を24時間アセトンに浸漬して可溶成分を抽出し、抽出前後の各試験片の質量を測定し、下記式により求めることができる。
アセトン抽出量(%)={(抽出前のゴム試験片の質量-抽出後のゴム試験片の質量)/(抽出前のゴム試験片の質量)}×100
本開示に係る加硫後のゴム組成物のガラス転移温度は、ウェットグリップ性能の観点から、-55℃以上が好ましく、-50℃以上がより好ましく、-48℃以上がさらに好ましい。また、加硫後のゴム組成物のガラス転移温度は、-20℃以下が好ましく、-25℃以下がより好ましく、-30℃以下がさらに好ましい。なお、加硫後のゴム組成物のガラス転移温度(Tg)は、GABO社製のイプレクサーシリーズを用い、周波数10Hz、初期歪10%、振幅±0.5%、昇温速度2℃/minの条件下で、tanδの温度分布曲線を測定し、測定した温度分布曲線における最も大きいtanδ値に対応する温度(tanδピーク温度)として求めることができる。
<ゴム組成物およびタイヤの製造>
本実施形態に係るゴム組成物は、公知の方法により製造することができる。例えば、上記の各成分をオープンロール、バンバリーミキサー、密閉式混練機等のゴム混練装置を用いて混練りし、その後加硫する方法等により製造できる。
ここで、各成分を混練りする混練り工程は、例えば、加硫剤および加硫促進剤以外の配合剤および添加剤をバンバリーミキサーやニーダー、オープンロールなどの混練機で混練りするベース練り工程と、ベース練り工程で得られた混練物に加硫剤や加硫促進剤を添加して混練りするファイナル練り(F練り)工程からなる混練り工程とすることができる。より効率的にシリカ表面の親水基と前記酸無水物とを結合させる観点から、前記ベース練り工程を、シリカおよび前記酸無水物を含むマスターバッチを製造するX練り工程、および前記マスターバッチに加硫剤および加硫促進剤以外の残りの配合剤および添加剤を添加して混練するY練り工程とに分けることが好ましい。
前記X練り工程におけるシリカの投入量は、本発明の効果がより発揮できるという観点から、全シリカの50質量%以上が好ましく、75質量%以上がより好ましく、100質量%がさらに好ましい。
前記X練り工程における前記酸無水物の投入量は、本発明の効果がより発揮できるという観点から、全酸無水物の1~100質量%が好ましく、5~95質量%がより好ましく、15~85質量%がさらに好ましく、25~75質量%が特に好ましい。
前記マスターバッチは、シリカおよび前記酸無水物以外に、シランカップリング剤やオイルなどを適宜含有することができる。シランカップリング剤を配合する場合のマスターバッチ中のシリカに対する含有量は、前述のシリカに対する含有量と同様である。
前記X練り工程における排出温度は、シリカおよび酸無水物との結合を十分に促進することができるという理由から、140~170℃が好ましく、145~165℃がより好ましい。
前記X練り工程における混練時間は特に限定されないが、シリカが良好に分散した混練物を効率良く得られるという理由から、2.0~10.0分間が好ましく、2.5~8.0分間がより好ましく、3.0~7.0分間がさらに好ましい。
前記混練時間は、混練開始から混練温度が排出温度に到達するまでの時間であるが、前記X練り工程では、排出温度に到達した後、排出温度を維持したまま1~5分間混練することが、シリカおよび前記両親媒性化合物との結合をより促進することができるという理由から好ましい。
前記Y練り工程およびF練り工程における混練温度や混練時間は特に限定されず、従来のベース練り工程の条件などで行うことができる。例えば、Y練り工程では、排出温度150~170℃で3~10分間混練りし、F練り工程では、70~110℃で1~5分間混練りする方法が挙げられる。加硫条件としては、特に限定されるものではなく、例えば、150~200℃で10~30分間加硫する方法が挙げられる。
本開示のタイヤ用ゴム組成物は、各種タイヤ部材(例えば、トレッド、サイドウォール、カーカス被覆ゴム、クリンチ、チェーファー、ビード、ブレーカークッション、インナーライナーなど)に好適に使用することができ、その特性から、特にタイヤのトレッドとして好適に使用することができる。
本実施形態に係るタイヤは、上記ゴム組成物を用いて、通常の方法により製造することができる。すなわち、上記の各成分を混練して得られた未加硫ゴム組成物をトレッド等のタイヤ部材の形状にあわせて押出し加工した部材をタイヤ成形機上で他のタイヤ部材とともに貼り合わせ、通常の方法にて成形することにより、未加硫タイヤを形成し、この未加硫タイヤを加硫機中で加熱加圧することにより製造することができる。
本開示のタイヤは、空気入りタイヤ、非空気入りタイヤを問わない。また、競技用タイヤ、乗用車用タイヤ、大型乗用車用タイヤ、大型SUV用タイヤ、モーターサイクル用タイヤ等に好適であり、それぞれのサマータイヤ、ウインタータイヤ、スタッドレスタイヤとして使用可能である。
本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明は、実施例にのみ限定されるものではない。
<評価>
以下に示す各種薬品を用いて、表1に従って配合を変化させたゴム組成物からなるトレッドを、タイヤサイズが195/65R15のタイヤのトレッドに用いることを想定し、前記ゴム組成物のガラス転移温度(Tg)およびアセトン抽出量(AE量)、並びに前記タイヤのウェットグリップ性能を計算した。結果を表1の評価の欄に記載した。
以下、実施例および比較例において用いる各種薬品をまとめて示す。
NR:TSR20
SBR1:Vesalis社製のC2525(非変性S-SBR、スチレン含量:26質量%、ビニル結合量:24モル%)
SBR2:後述の製造例1で製造した変性S-SBR(スチレン含量:30質量%、ビニル結合量:52モル%、Mw:25万、非油展品)
BR1:宇部興産(株)製のUBEPOL BR150B(ハイシスBR、Mw:44万、シス含量:96%)
BR2:旭化成ケミカルズ(株)製のN103(テトラグリシジル-1,3-ビスアミノメチルシクロヘキサンと、そのオリゴマー成分との混合物により末端が変性された変性BR、Mw:55万、シス含量:38質量%)
シリカ:エボニックデグサ社製のウルトラシル9100GR(N2SA:230m2/g、平均一次粒子径:15nm)
カーボンブラック:キャボットジャパン(株)製のショウブラックN220(N2SA:111m2/g)
シランカップリング剤:エボニックデグサ社製のSi266(ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド)
酸無水物1:オレイン酸無水物
酸無水物2:ビス(2,2,3,3-テトラメチル-1-シクロプロパンカルボン酸)無水物
酸無水物3:ナフタレン-1,4,5,8-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物
酸無水物4:4,4’-(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸二無水物
酸無水物5:コハク酸無水物
オイル:出光興産(株)製のダイアナプロセスNH-70S
テルペン系樹脂:ヤスハラケミカル(株)製のYSレジン TO125(テルペン-スチレン樹脂、軟化点:125℃)
酸化亜鉛:東邦亜鉛(株)製の「銀嶺R」
老化防止剤:住友化学(株)製のアンチゲン6C(N-(1,3-ジメチルブチル)-N’-フェニル-p-フェニレンジアミン)
ステアリン酸:日油(株)製のビーズステアリン酸つばき
硫黄:細井化学工業(株)製のHK-200-5(5%オイル含有粉末硫黄)
加硫促進剤1:大内新興化学工業(株)製のノクセラーD(N,N’-ジフェニルグアニジン)
加硫促進剤2:大内新興化学工業(株)製のノクセラーCZ-G(N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド)
製造例1:SBR2の合成
窒素置換されたオートクレーブ反応器に、シクロヘキサン、テトラヒドロフラン、スチレン、および1,3-ブタジエンを仕込んだ。反応器の内容物の温度を20℃に調整し、n-ブチルリチウムを添加して重合を開始する。断熱条件で重合し、最高温度は85℃に達する。重合転化率が99%に達した時点で1,3-ブタジエンを追加し、さらに5分間重合させた後、N,N-ビス(トリメチルシリル)-3-アミノプロピルトリメトキシシランを変性剤として加えて反応を行う。重合反応終了後、2,6-ジ-tert-ブチル-p-クレゾールを添加する。次いで、スチームストリッピングにより脱溶媒を行い、110℃に調温された熱ロールにより乾燥し、SBR2を得る。
(試験用タイヤの製造方法)
表1に示す配合処方に従い、1.7Lのバンバリーミキサーを用いて、硫黄および加硫促進剤以外の薬品を、排出温度150℃で5分間混練りする。次に、得られた混練り物に硫黄および加硫促進剤を添加し、オープンロールで4分間、105℃になるまで練り込み、未加硫ゴム組成物を得る。得られる未加硫ゴム組成物を、トレッドの形状に成形し、他のタイヤ部材とともに貼り合わせて未加硫タイヤを作製し、170℃で12分間プレス加硫して試験用タイヤを得る。
<ガラス転移温度(Tg)の測定>
加硫後の各ゴム試験片につき、ガラス転移温度(Tg)は、GABO社製のイプレクサーシリーズを用い、周波数10Hz、初期歪10%、振幅±0.5%、昇温速度2℃/minの条件下で、tanδの温度分布曲線を測定し、測定した温度分布曲線における最も大きいtanδ値に対応する温度(tanδピーク温度)を求め、これを、加硫後のゴム組成物のガラス転移温度(Tg)とする。
<アセトン抽出量(AE量)の測定>
JIS K 6229-3:2015に準拠して、加硫後の各ゴム試験片を24時間アセトンに浸漬し、可溶成分を抽出する。抽出前後の各試験片の質量を測定する。そして、下記計算式によりアセトン抽出量を求める。
アセトン抽出量(%)={(抽出前のゴム試験片の質量-抽出後のゴム試験片の質量)/(抽出前のゴム試験片の質量)}×100
<ウェットグリップ性能>
各試験用タイヤを車両(国産FF2000cc)の全輪に装着し、湿潤アスファルト路面にて、初速度100km/hで走行中にブレーキを踏み、制動距離を測定する。そして、下記計算式により測定結果を指数表示する。指数が大きいほど、ウェットグリップ性能に優れることを示す。
(ウェットグリップ性能指数)=
(各配合の制動距離)/(比較例1の制動距離)×100
表1の配合内容に基づいて上記各試験を行うことで各指数またはそれに近い値が得られる。
Figure 0007443912000001
表1の結果より、シリカおよび特定の酸無水物を含有する本開示のタイヤ用ゴム組成物は、シリカの分散性が改善され、ウェットグリップ性能が向上していることがわかる。

Claims (11)

  1. ゴム成分100質量部に対し、シリカを5~80質量部、およびオレイン酸無水物、ステアリン酸無水物、ミリスチン酸無水物、パルミチン酸無水物、リノール酸無水物、アラキジン酸無水物、ビス(2,2,3,3-テトラメチル-1-シクロプロパンカルボン酸)無水物、ノルボルネンジカルボン酸無水物、メチルシクロヘキサンジカルボン酸無水物、メチルシクロヘキセンジカルボン酸無水物、ナフタル酸無水物、フェニルグルタル酸無水物、シクロヘキサン二酢酸無水物、アントラセンジカルボン酸無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、ベンゼンテトラカルボン酸二無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、ペリレンテトラカルボン酸二無水物、4,4’-(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸二無水物からなる群より選ばれる1以上の酸無水物を2.0~15質量部含有するタイヤ用ゴム組成物。
  2. 前記酸無水物が分枝状または環状構造を有する、請求項1記載のタイヤ用ゴム組成物。
  3. 前記酸無水物が2以上の酸無水物基を有する、請求項1または2記載のタイヤ用ゴム組成物。
  4. 前記ゴム成分が、ケイ素、窒素および酸素からなる群から選択される少なくとも一つの元素を含む官能基によって変性されたブタジエンゴムを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載のタイヤ用ゴム組成物。
  5. シリカ100質量部に対し、シランカップリング剤を0.1~20質量部含有する、請求項1~4のいずれか一項に記載のタイヤ用ゴム組成物。
  6. 前記ゴム組成物のガラス転移温度が-50℃~-20℃である、請求項1~5のいずれか一項に記載のタイヤ用ゴム組成物。
  7. 加硫後の前記ゴム組成物のアセトン抽出量が10質量%以上である、請求項1~6のいずれか一項に記載のタイヤ用ゴム組成物。
  8. 前記ゴム成分中に、変性ジエン系ゴムを50質量%以上含む、請求項1~7のいずれか一項に記載のタイヤ用ゴム組成物。
  9. 前記ゴム成分中に、イソプレン系ゴムを10~90質量%、スチレンブタジエンゴムを10~90質量%含む、請求項1~8のいずれか一項に記載のタイヤ用ゴム組成物。
  10. 前記ゴム成分中に、イソプレン系ゴムを10~85質量%、スチレンブタジエンゴムを10~85質量%、ブタジエンゴムを5~50質量%含む、請求項1~9のいずれか一項に記載のタイヤ用ゴム組成物。
  11. 請求項1~10のいずれか一項に記載のタイヤ用ゴム組成物により構成されたタイヤ部材を有するタイヤ。
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