JP7028267B2 - タイヤ用ゴム組成物、トレッドおよびタイヤ - Google Patents

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Description

本発明は、タイヤ用ゴム組成物、該タイヤ用ゴム組成物からなるトレッドおよび該トレッドを含んでなるタイヤに関する。
近年、燃料費の高騰や環境規制による経費の増大から、低燃費性に優れるタイヤが望まれている。低燃費性の向上を目的として充填剤にシリカが用いられるが、シリカは凝集力が強く、ゴム組成物中で均一に分散させることが困難である。このため、シリカを含む配合においては分散性向上のための種々の工夫がなされており、例えば、特許文献1では、ゴムに特定の極性基を付加することによりシリカと親和性を持たせて、シリカを分散させる方法が提案されている。
特開2001-114939号公報
アンモニウムイオン含有液体可塑剤は、シリカ配合において、シリカの分散性向上に寄与し得るが、この液体可塑剤はイオン性のため凝集しやすいという問題があり、特に、芳香族ビニル成分を含有するポリマーに混ぜると、凝集が起こり易い。
本発明は、シリカを含む低燃費性が向上したタイヤ用ゴム組成物、該タイヤ用ゴム組成物からなるトレッドおよび該トレッドを含んでなるタイヤを提供することを目的とする。
本発明者は、鋭意検討した結果、芳香族ビニル成分含有ポリマーを含むゴム成分にシリカを配合する場合において、アンモニウムイオン含有液体可塑剤と芳香環含有樹脂とを用いれば、上記課題を解決できることを見出し、さらに検討を重ねて、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、
[1]芳香族ビニル成分含有ポリマーを含むゴム成分、
シリカ、
アンモニウムイオン含有液体可塑剤、および、
芳香環含有樹脂
を含むタイヤ用ゴム組成物;
[2]シリカが粒径25nm以下、好ましくは22nm以下、より好ましくは22nm以下、さらに好ましくは20nm以下のシリカを含むものであり、かつ、アンモニウムイオン含有液体可塑剤に対する、粒径が上記範囲を満たすシリカの質量比が以下の式(1)を満たす、ここで、式(1)の右辺の値は好ましくは190、より好ましくは185、さらに好ましくは184である、上記[1]記載のタイヤ用ゴム組成物
B/A≦200 (1)
(ここで、Bはゴム成分100質量部に対する粒径が上記範囲を満たすシリカの質量部を表し、Aはゴム成分100質量部に対するアンモニウムイオン含有液体可塑剤の質量部を表す。);
[3]アミン系老化防止剤をさらに含み、かつ、アンモニウムイオン含有液体可塑剤に対する、アミン系老化防止剤の質量比が以下の式(2)を満たす、ここで、式(2)の右辺の値は、好ましくは9.0、より好ましくは8.0である、上記[1]または[2]記載のタイヤ用ゴム組成物
C/A≦10.0 (2)
(ここで、Cはゴム成分100質量部に対するアミン系老化防止剤の質量部を表し、Aはゴム成分100質量部に対するアンモニウムイオン含有液体可塑剤の質量部を表す。);
[4]ステアリン酸をさらに含み、かつ、アンモニウムイオン含有液体可塑剤に対する、ステアリン酸の質量比が以下の式(3)を満たす、ここで、式(3)の右辺の値は、好ましくは3.5、より好ましくは4.0である、上記[1]~[3]のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物
D/A≧3.0 (3)
(ここで、Dはゴム成分100質量部に対するステアリン酸の質量部を表し、Aはゴム成分100質量部に対するアンモニウムイオン含有液体可塑剤の質量部を表す。);
[5]芳香族ビニル成分含有ポリマーが、シラノール変性スチレンブタジエンゴムを含むものである、上記[1]~[4]のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物;
[6]アンモニウムイオン含有液体可塑剤に対する、芳香環含有樹脂の質量比が以下の式(4)を満たす、ここで、式(4)の右辺の値は、好ましくは15.0、より好ましくは20.0、さらに好ましくは25.0、さらに好ましくは30.0である、上記[1]~[5]のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物
E/A≧10.0 (4)
(ここで、Eはゴム成分100質量部に対する芳香環含有樹脂の質量部を表し、Aはゴム成分100質量部に対するアンモニウムイオン含有液体可塑剤の質量部を表す。);
[7]ゴム成分中の芳香族ビニル成分の含有量が20質量%以上、好ましくは21質量%以上、より好ましくは22質量%以上である、上記[1]~[6]のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物;
[8]上記[1]~[7]のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物からなるトレッド;
[9]上記[8]記載のトレッドを含んでなるタイヤ
に関する。
本発明によれば、低燃費性を向上せしめたタイヤ用ゴム組成物、トレッドおよびタイヤを提供することができる。
タイヤの断面図の一例である。
本開示の一の態様は、芳香族ビニル成分含有ポリマーを含むゴム成分、シリカ、アンモニウムイオン含有液体可塑剤、および、芳香環含有樹脂を含むタイヤ用ゴム組成物である。
理論に拘束されることは意図しないが、本開示において、低燃費性を向上させるメカニズムとしては、以下が考えられる。すなわち、芳香族ビニル成分含有ポリマーはその極性が低いために、これに単にアンモニウムイオン含有液体可塑剤を混ぜただけでは、イオン性である該液体可塑剤が凝集してしまう。そこで、ポリマーの芳香族ビニル成分と相互作用可能な芳香環含有樹脂をも混合せしめることとし、混練り時に通常以上のせん断力がかかる状態とする。これにより、混練り時にシリカと該液体可塑剤とがより接近することが可能となり、その結果、該液体可塑剤本来の働きによってシリカ分散性が向上するものと考えらえる。
前記シリカは粒径25nm以下のシリカを含むものであり、かつ、前記アンモニウムイオン含有液体可塑剤に対する、粒径が上記範囲を満たすシリカの質量比は以下の式(1)を満たすことが好ましい。分散しにくい小粒径のシリカに対して十分な量の液体可塑剤を確保できることがその理由として考えられる。式(1)の右辺の値は、190がより好ましく、185がさらに好ましく、184がさらに好ましい。
B/A≦200 (1)
(ここで、記号は前記と同一意味を有する。)
前記タイヤ用ゴム組成物はアミン系老化防止剤をさらに含み、かつ、前記アンモニウムイオン含有液体可塑剤に対する、該アミン系老化防止剤の質量比は以下の式(2)を満たすことが好ましい。ゴムのpHを酸性に偏らせることで、アンモニウムイオン含有液体可塑剤のアンモニウムイオンが電離しやすくなり、よりシリカと結合しやすくなることがその理由として考えられる。式(2)の右辺の値は、9.0がより好ましく、8.0がさらに好ましい。
C/A≦10.0 (2)
(ここで、記号は前記と同一意味を有する。)
前記タイヤ用ゴム組成物はステアリン酸をさらに含み、かつ、前記アンモニウムイオン含有液体可塑剤に対する、該ステアリン酸の質量比は以下の式(3)を満たすことが好ましい。ゴムのpHを酸性に偏らせることで、アンモニウムイオン含有液体可塑剤のアンモニウムイオンが電離しやすくなり、よりシリカと結合しやすくなることがその理由として考えられる。式(3)の右辺の値は、3.5がより好ましく、4.0がさらに好ましい。
D/A≧3.0 (3)
(ここで、記号は前記と同一意味を有する。)
前記芳香族ビニル成分含有ポリマーはシラノール変性スチレンブタジエンゴムを含むものであることが好ましい。極性が大きいシラノール基の存在によって前記アンモニウムイオン含有液体可塑剤がより分散しやすくなることがその理由として考えられる。
前記アンモニウムイオン含有液体可塑剤に対する、前記芳香環含有樹脂の質量比は以下の式(4)を満たすことが好ましい。前記芳香環含有樹脂の前記アンモニウムイオン含有液体可塑剤に対する量をより多くすることで、せん断力をかける効果が大きくなることがその理由として考えられる。式(4)の右辺の値は、15.0がより好ましく、20.0がさらに好ましく、25.0がさらに好ましく、30.0がさらに好ましい。
E/A≧10.0 (4)
(ここで、記号は前記と同一意味を有する。)
前記ゴム成分中の芳香族ビニル成分の含有量は20質量%以上であることが好ましい。ゴム成分中の芳香族ビニル成分の含有量が増えることで、前記芳香環含有樹脂との相互作用が増えてせん断力が発生しやすくなることがその理由として考えられる。該含有量は21質量%以上であることがより好ましく、22質量%以上であることがさらに好ましい。該含有量の上限は、用いるゴム成分の種類により変動し得るが、ゴム成分として芳香族ビニル成分を含むゴム(例えば、SBR等)のみを用いるとしても、通常60質量%以下である。ゴム成分としてSBRのみを用いる場合の該含有量は、後述するSBRにおけるスチレン含量に一致する。
本開示の他の態様は、前記タイヤ用ゴム組成物からなるトレッドである。
本開示の他の態様は、前記トレッドを含んでなるタイヤである。
以下、本開示について、詳細に説明する。
<ゴム成分>
ゴム成分は、芳香族ビニル成分含有ポリマーを含むものである。
(芳香族ビニル成分含有ポリマー)
芳香族ビニル成分含有ポリマーとは、芳香族ビニルモノマーを少なくとも一つのモノマー成分として重合することにより得られる、ゴムとしての特性を有するポリマーを意味する。芳香族ビニル成分含有ポリマーとしては、例えば、芳香族ビニル-共役ジエンポリマー等が挙げられる。芳香族ビニル成分含有ポリマーは1種または2種以上を用いることができる。
≪芳香族ビニル-共役ジエンポリマー≫
芳香族ビニル-共役ジエンポリマーとは、芳香族ビニルモノマーと共役ジエンモノマーとを共重合させることにより得られる、ゴムとしての特性を有するポリマーである。芳香族ビニル-共役ジエンポリマーにおいて、芳香族ビニルモノマーの含有量は、本開示の効果の観点から、5質量%以上が好ましく、10質量%以上がより好ましく、15質量%以上がさらに好ましく、20質量%以上がさらに好ましく、25質量%以上がさらに好ましく、29質量%以上がさらに好ましい。一方、該含有量は、耐摩耗性等の観点から、60質量%以下が好ましく、50質量%以下がより好ましく、45質量%以下がさらに好ましい。芳香族ビニルモノマーの含有量は、1H-NMR測定により算出される。
芳香族ビニル-共役ジエンポリマーにおいて、共役ジエンモノマーのビニル結合量は、グリップ性能の観点から、10モル%以上が好ましく、15モル%以上がより好ましく、20モル%以上がさらに好ましい。また、該ビニル結合量は、耐摩耗性の観点から、80モル%以下が好ましく、75モル%以下がより好ましく、70モル%以下がさらに好ましい。なお、本明細書において、ビニル結合量(1,2-結合ブタジエン単位量)は、赤外吸収スペクトル分析法によって測定される。
芳香族ビニル-共役ジエンポリマーにおいて、芳香族ビニルモノマーとしては、例えば、スチレン、α-メチルスチレン、1-ビニルナフタレン、3-ビニルトルエン、エチルビニルベンゼン、ジビニルベンゼン、4-シクロヘキシルスチレン、2,4-トリメチルスチレンなどがあげられる。これらは一種単独で用いても、二種以上を混合してもよい。なかでもスチレンが好ましい。
芳香族ビニル-共役ジエンポリマーにおいて、共役ジエンモノマーとしては、例えば、1,3-ブタジエン、イソプレン、1,3-ペンタジエン、2,3-ジメチルブタジエン、2-フェニル-1,3-ブタジエン、ミルセン、ファルネセンなどがあげられる。これらは一種単独で用いても、二種以上を混合してもよい。なかでも1,3-ブタジエンが好ましい。
芳香族ビニル-共役ジエンポリマーとしては、非変性のもの(非変性体)でもよいし、変性されたもの(変性体)でもよい。変性体としては、通常この分野で使用される官能基が導入されたものが挙げられる。上記官能基としては、例えば、アミノ基(好ましくはアミノ基が有する水素原子が炭素数1~6のアルキル基に置換されたアミノ基)、アミド基、シリル基、アルコキシシリル基(好ましくは炭素数1~6のアルコキシシリル基)、シラノール基、イソシアネート基、イミノ基、イミダゾール基、ウレア基、エーテル基、カルボニル基、オキシカルボニル基、メルカプト基、スルフィド基、ジスルフィド基、スルホニル基、スルフィニル基、チオカルボニル基、アンモニウム基、イミド基、ヒドラゾ基、アゾ基、ジアゾ基、カルボキシル基、ニトリル基、ピリジル基、アルコキシ基(好ましくは炭素数1~6のアルコキシ基)、水酸基、オキシ基、エポキシ基等が挙げられる。なお、これらの官能基は、置換基を有していてもよい。置換基としては、例えば、アミノ基、アミド基、アルキル基、アルコキシシリル基、カルボキシル基、水酸基等の官能基が挙げられる。また、変性体としては、水素添加されたもの、エポキシ化されたもの、スズ変性されたもの等も挙げることができる。変性体としては、シラノール基で変性されたものが好ましい。
芳香族ビニル-共役ジエンポリマーとしては油展されたもの(油展体)を用いることもできるし、非油展のもの(非油展体)を用いることもできる。油展体を用いる場合、油展オイルの含有量は、該ポリマーの固形分100質量部に対して、10~50質量部であることが好ましい。
ゴム成分100質量%中の芳香族ビニル-共役ジエンポリマーの含有量は、本開示の効果の観点から、50質量%以上であることが好ましく、より好ましくは50質量%超であり、さらに好ましくは55質量%以上であり、さらに好ましくは60質量%以上であり、さらに好ましくは65質量%以上であり、さらに好ましくは70質量%以上であり、さらに好ましくは75質量%以上である。一方、該含有量は、本開示の効果の観点から、90質量%以下であることが好ましく、より好ましくは85質量%以下であり、さらに好ましくは80質量%以下である。なお、芳香族ビニル-共役ジエンポリマーとして油展体を用いる場合は、当該油展体中に含まれるゴム固形分としての芳香族ビニル-共役ジエンポリマー自体の含有量をゴム成分中の芳香族ビニル-共役ジエンポリマーの含有量とする。
芳香族ビニル-共役ジエンポリマーとしては、例えば、スチレン-ブタジエンポリマー(SBR)、スチレン-イソプレンポリマー(SIR)、スチレン-イソプレン-ブタジエンポリマー(SIBR)、スチレン-ミルセンポリマー、スチレン-ファルネセンポリマーなどが挙げられる。なかでも、汎用性の高さの観点から、SBRが好ましい。
芳香族ビニル-共役ジエンポリマーとしては1種または2種以上を用いることができる。
≪SBR≫
SBRとしては特に限定されず、例えば、乳化重合SBR(E-SBR)、溶液重合SBR(S-SBR)等、タイヤ工業において一般的なものを使用できる。
SBRとしては、例えば、住友化学(株)、JSR(株)、旭化成(株)、日本ゼオン(株)、ZSエラストマー(株)等により製造・販売されているSBRを使用することができる。
SBRとしては、非変性SBRでもよいし、変性SBRでもよい。変性SBRは、芳香族ビニル-共役ジエンポリマーの場合と同じく、通常この分野で使用される官能基が導入されたものであり、該官能基としては、上記芳香族ビニル-共役ジエンポリマーの官能基と同じものを、同様に使用することができる。
SBRとしては油展SBRを用いることもできるし、非油展SBRを用いることもできる。油展SBRを用いる場合、SBRの油展量、すなわち、SBRに含まれる油展オイルの含有量は、SBRのゴム固形分100質量部に対して、10~50質量部であることが好ましい。
SBRのスチレン含量は、本開示の効果の観点から、5質量%以上が好ましく、10質量%以上がより好ましく、15質量%以上がさらに好ましく、20質量%以上がさらに好ましく、25質量%以上がさらに好ましく、29質量%以上がさらに好ましい。一方、該含有量は、耐摩耗性等の観点から、60質量%以下が好ましく、50質量%以下がより好ましく、45質量%以下がさらに好ましい。なお、本明細書において、SBRのスチレン含有量は、1H-NMR測定により算出される。
SBRのビニル結合量は、グリップ性能の観点から、10モル%以上が好ましく、15モル%以上がより好ましく、20モル%以上がさらに好ましい。また、該ビニル結合量は、耐摩耗性の観点から、80モル%以下が好ましく、75モル%以下がより好ましく、70モル%以下がさらに好ましい。なお、本明細書において、ビニル結合量(1,2-結合ブタジエン単位量)は、赤外吸収スペクトル分析法によって測定される。
SBRのガラス転移温度(Tg)は、本開示の効果がより好適に得られるという理由から、好ましくは-90℃以上、より好ましくは-50℃以上である。また、該Tgは、好ましくは0℃以下、より好ましくは-10℃以下である。なお、本明細書において、ガラス転移温度は、JIS K 7121に従い、ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン(株)製の示差走査熱量計(Q200)を用いて、昇温速度10℃/分の条件で測定される値である。
SBRの重量平均分子量(Mw)は、本開示の効果がより好適に得られるという理由から、20万以上が好ましく、25万以上がより好ましく、30万以上がさらに好ましい。また、該Mwは、200万以下が好ましく、180万以下がより好ましい。なお、本明細書において、重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)(東ソー(株)製GPC-8000シリーズ、検出器:示差屈折計、カラム:東ソー(株)製のTSKGEL SUPERMALTPORE HZ-M)による測定値を基に標準ポリスチレン換算により求めることができる。
SBRを用いる場合のゴム成分100質量%中の含有量は、上記した芳香族ビニル-共役ジエンポリマーについてのゴム成分100質量%中の含有量と同じである。
SBRとしては1種または2種以上を用いることができる。
(BR)
ゴム成分は、ブタジエンゴム(BR)を含むことができる。
BRとしては特に限定されるものではなく、例えば、シス1,4結合含有率(シス含量)が90%以上のBR(ハイシスBR)、希土類元素系触媒を用いて合成された希土類系ブタジエンゴム(希土類系BR)、シンジオタクチックポリブタジエン結晶を含有するBR(SPB含有BR)、変性BR(ハイシス変性BR、ローシス変性BR)等タイヤ工業において一般的なものを使用することができる。変性BRとしては、上記SBRで説明したのと同様の官能基等で変性されたBRが挙げられる。BRは1種または2種以上を用いることができる。
ハイシスBRとしては、例えば、日本ゼオン(株)製のもの、宇部興産(株)製のもの、JSR(株)製のもの等が挙げられる。ハイシスBRを含有することで低温特性および耐摩耗性能を向上させることができる。シス含量は、好ましくは、95%以上、より好ましくは96%以上、さらに好ましくは97%以上である。シス含量は98%以上でも好ましい。なお、本明細書において、シス含量は、赤外吸収スペクトル分析により算出される値である。
希土類系BRとしては、希土類元素系触媒を用いて合成され、ビニル結合量(1,2結合ブタジエン単位量)が好ましくは1.8モル%以下、より好ましくは1.0モル%以下、さらに好ましくは0.8%モル以下であり、シス含量(シス-1,4結合含有率)が好ましくは95モル%以上、より好ましくは96%モル以上、より好ましくは97%以上である。希土類系BRとしては、例えば、ランクセス社製のものなどを用いることができる。
SPB含有BRは、1,2-シンジオタクチックポリブタジエン結晶が、単にBR中に結晶を分散させたものではなく、BRと化学結合したうえで分散しているものが挙げられる。このようなSPB含有BRとしては、宇部興産(株)製のものなどを用いることができる。
変性BRとしては、リチウム開始剤により1,3-ブタジエンの重合を行ったのち、スズ化合物を添加することにより得られ、さらに変性BR分子の末端がスズ-炭素結合で結合されているもの(スズ変性BR)や、ブタジエンゴムの活性末端に縮合アルコキシシラン化合物を有するブタジエンゴム(シリカ用変性BR)等が挙げられる。このような変性BRとしては、例えば、ZSエラストマー(株)製のものなどを用いることができる。
ゴム成分がBRを含む場合のBRの含有量は、本開示の効果の観点から、50質量%以下が好ましく、50質量%未満がより好ましく、40質量%以下がさらに好ましく、30質量%以下がさらに好ましく、25質量%以下がさらに好ましい。一方、BRの含有量は、本開示の効果の観点から、10質量%以上が好ましく、15質量%以上がより好ましく、20質量%以上がさらに好ましい。
(他のゴム成分)
ゴム成分は、本開示の効果に影響を与えない範囲で、前記の芳香族ビニル-共役ジエンポリマーおよびBR以外の他のゴム成分を含有してもよい。他のゴム成分としては、ゴム工業で一般的に用いられるゴム成分を用いることができ、そのようなゴム成分としては、ジエン系ゴムの他、非ジエン系ゴムが挙げられる。ジエン系ゴムとしては、例えば、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、改質NR、変性NR、変性IR等のイソプレン系ゴム、クロロプレンゴム(CR)、アクリロニトリル-ブタジエンゴム(NBR)、ポリノルボルネンゴム等が挙げられる。非ジエン系ゴムとしては、例えば、ブチルゴム(IIR)、水素化ニトリルゴム(HNBR)、エチレンプロピレンゴム、シリコーンゴム、塩化ポリエチレンゴム、フッ素ゴム(FKM)、アクリルゴム(ACM)、ヒドリンゴム等が挙げられる。ジエン系ゴムは1種または2種以上を用いることができ、非ジエン系ゴムも1種または2種以上を用いることができる。
(ゴム成分の例)
ゴム成分としては、芳香族ビニル成分含有ポリマーとBRを含むものが好ましく、あるいは、芳香族ビニル成分含有ポリマーとBRとからなるものが好ましい。
<充填剤>
本開示のゴム組成物は、充填剤としてのシリカを含むものである。シリカは1種または2種以上を使用することができる。また、本開示のゴム組成物は、シリカ以外の充填剤を含んでいてもよい。そのような充填剤としては、ゴム工業で一般的に使用される充填剤をいずれも使用することができ、例えば、カーボンブラック、水酸化アルミニウム、アルミナ(酸化アルミニウム)、クレー、炭酸カルシウム、マイカ等を挙げることができる。シリカ以外の充填剤は1種または2種以上を用いることができる。シリカ以外の充填剤としては、カーボンブラックが好ましい。したがって、カーボンブラックとシリカは充填剤の好ましい組合せの一つである。
(シリカ)
シリカとしては、特に限定されず、例えば、乾式法により調製されたシリカ(無水シリカ)、湿式法により調製されたシリカ(含水シリカ)等、ゴム工業において一般的なものを使用することができる。なかでもシラノール基が多いという理由から、湿式法により調製された含水シリカが好ましい。シリカとしては、例えば、エボニックデグサ社、ソルベイ社、東ソー・シリカ(株)、(株)トクヤマ等によって製造販売されるものなどを用いることができる。シリカは、1種または2種以上を用いることができる。
シリカの窒素吸着比表面積(N2SA)は、低燃費性能および耐摩耗性能の観点から、20m2/g以上が好ましく、40m2/g以上がより好ましく、50m2/g以上がさらに好ましい。あるいは、該N2SAは、90m2/g以上が好ましく、100m2/g以上がより好ましく、110m2/g以上がさらに好ましく、115m2/g以上がさらに好ましい。一方、該N2SAは、低燃費性能および加工性の観点からは、350m2/g以下が好ましく、300m2/g以下がより好ましく、250m2/g以下がさらに好ましい。なお、本明細書におけるシリカのN2SAは、ASTM D3037-93に準じてBET法で測定される値である。
シリカは、本開示の効果の観点から、平均一次粒子径が25nm以下のシリカを含むものであることが好ましく、または、平均一次粒子径が25nm以下のシリカのみからなるものであることが好ましい。平均一次粒子径が25nm以下のシリカを使用することにより、本開示の効果をより一層発揮することに資する。該シリカの平均一次粒子径は、23nm以下が好ましく、22nm以下がより好ましく、20nm以下がさらに好ましい。該平均一次粒子径の下限は特に限定されないが、1nm以上が好ましく、3nm以上がより好ましく、5nm以上がさらに好ましい。なお、シリカの平均一次粒子径は、透過型または走査型電子顕微鏡により観察し、視野内に観察されたシリカの一次粒子を400個以上測定し、その平均により求めることができる。
シリカのゴム成分100質量部に対する含有量は、ウェットグリップ性能の観点から、5質量部以上が好ましく、10質量部以上がより好ましく、20質量部以上がさらに好ましく、50質量部以上がさらに好ましく、80質量部以上がさらに好ましい。また、耐摩耗性能の観点からは、200質量部以下が好ましく、170質量部以下がより好ましく、150質量部以下がさらに好ましく、130質量部以下がさらに好ましく、110質量部以下がさらに好ましい。
(カーボンブラック)
カーボンブラックとしては、ゴム工業において一般的なものを適宜利用することができる。例えば、GPF、FEF、HAF、ISAF、SAF等を挙げることができ、あるいは、N110、N115、N120、N125、N134、N135、N219、N220、N231、N234、N293、N299、N326、N330、N339、N343、N347、N351、N356、N358、N375、N539、N550、N582、N630、N642、N650、N660、N683、N754、N762、N765、N772、N774、N787、N907、N908、N990、N991等を挙げることができる。これらカーボンブラックとしては、例えば、旭カーボン(株)、キャボットジャパン(株)、東海カーボン(株)、三菱ケミカル(株)、ライオン(株)、日鉄カーボン(株)、コロンビアカーボン社等によって製造販売されるものなどを用いることができる。これらのカーボンブラックは、1種または2種以上を用いることができる。
カーボンブラックの窒素吸着比表面積(N2SA)は、50m2/g以上が好ましく、80m2/g以上がより好ましく、100m2/g以上がさらに好ましい。下限以上にすることで、良好な耐摩耗性、グリップ性能が得られる傾向がある。また、該N2SAは、200m2/g以下が好ましく、160m2/g以下がより好ましく、150m2/g以下がさらに好ましい。上限以下にすることで、カーボンブラックの良好な分散が得られる傾向がある。なお、カーボンブラックのN2SAは、JIS K 6217-2:2001によって求められる。
カーボンブラックのジブチルフタレート吸油量(DBP)は、十分な補強性の観点から、50mL/100g以上が好ましく、100mL/100g以上がより好ましい。また、カーボンブラックのDBPは、ウェットグリップ性能の観点から、200mL/100g以下が好ましく、150mL/100g以下がより好ましい。なお、カーボンブラックのDBPは、JIS K 6217-4:2001に準拠して測定される。
カーボンブラックの含有量は、良好な紫外線クラック性能、良好な耐摩耗性の観点から、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは5質量部以上、さらに好ましくは10質量部以上である。また、該含有量は、加工性や発熱性の観点から、好ましくは150質量部以下、より好ましくは100質量部以下、さらに好ましくは50質量部以下である。
(充填剤の含有量)
充填剤の合計含有量は、ゴム成分100質量部に対して、充分な補強性の観点から、好ましくは50質量部以上、より好ましくは70質量部以上である。一方、該含有量は、ウェットグリップ性能の観点から、好ましくは250質量部以下、より好ましくは180質量部以下、さらに好ましくは150質量部以下、さらに好ましくは120質量部以下である。
<シランカップリング剤>
ゴム組成物は、シランカップリング剤を使用することが好ましい。シランカップリング剤としては、特に限定されず、ゴム工業において、従来から使用される任意のシランカップリング剤を用いることができる。シランカップリング剤の具体例としては、例えば、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド等のスルフィド基を有するシランカップリング剤;3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリエトキシシラン、2-メルカプトエチルトリメトキシシラン、2-メルカプトエチルトリエトキシシラン等のメルカプト基を有するシランカップリング剤;3-オクタノイルチオ-1-プロピルトリエトキシシラン、3-ヘキサノイルチオ-1-プロピルトリエトキシシラン、3-オクタノイルチオ-1-プロピルトリメトキシシラン等のチオエステル基を有するシランカップリング剤;ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン等のビニル基を有するシランカップリング剤;3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-(2-アミノエチル)アミノプロピルトリエトキシシラン等のアミノ基を有するシランカップリング剤;γ-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等のグリシドキシ系のシランカップリング剤;3-ニトロプロピルトリメトキシシラン、3-ニトロプロピルトリエトキシシラン等のニトロ系のシランカップリング剤;3-クロロプロピルトリメトキシシラン、3-クロロプロピルトリエトキシシラン等のクロロ系のシランカップリング剤等が挙げられる。なかでも、スルフィド基を有するシランカップリング剤、メルカプト基を有するシランカップリング剤、およびチオエステル基を有するシランカップリング剤が好ましく、スルフィド基を有するシランカップリング剤がより好ましい。シランカップリング剤としては、モメンティブ社や、エボニックデグサ社によって製造販売されるものなどを用いることができる。これらのシランカップリング剤は、1種または2種以上を用いることができる。
シランカップリング剤の含有量は、充分な耐チッピング性能の観点から、シリカ100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは2質量部以上、さらに好ましくは5質量部以上である。また、シランカップリング剤の含有量は、含有量に見合った配合効果の観点から、シリカ100質量部に対し、好ましくは20質量部以下、より好ましくは15質量部以下、さらに好ましくは12質量部以下である。
<芳香環含有樹脂>
芳香環含有樹脂としては、この分野で使用される樹脂であって、芳香環を含有する樹脂であれば特に限定されない。そのような樹脂としては、例えば、C9系石油樹脂、C5C9系石油樹脂、フェノール系樹脂、クマロン系樹脂等が挙げられる。なかでも、C9系石油樹脂が好ましい。芳香環含有樹脂は1種または2種以上を使用することができる。
(C9系石油樹脂)
C9系石油樹脂としては、炭素数8~10個相当の石油留分(C9留分)であるビニルトルエン、アルキルスチレン、インデンなどのモノマーをカチオン重合することにより得られる樹脂が挙げられる。C9系石油樹脂の具体例としては、スチレン系樹脂が挙げられる。スチレン系樹脂としては特に限定されないが、α-メチルスチレン系樹脂(AMS)が好適に用いられる。α-メチルスチレン系樹脂としては、α-メチルスチレンのホモポリマー(ポリ-α-メチルスチレン)、α-メチルスチレンと芳香族化合物やフェノール系化合物を含む他の化合物とのコポリマーが挙げられる。このコポリマーを構成し得る他の化合物としては、スチレン、メトキシスチレン、ジビニルベンゼンなどが挙げられる。α-メチルスチレン系樹脂としては、アリゾナケミカル社製のものなどが好適に用いられる。C9系石油樹脂は1種または2種以上を使用することができる。
(C5C9系石油樹脂)
C5C9系石油樹脂とは、C5留分とC9留分を共重合することにより得られる樹脂であり、脂肪族/芳香族共重合系石油樹脂ともいう。また、前記の石油樹脂を水素添加したものを使用してもよい。C5C9系石油樹脂としては、例えば、LUHUA社製のもの、Qilong社製のもの、東ソー(株)製のもの等の市販品を好適に用いることができる。C5C9系石油樹脂は1種または2種以上を使用することができる。
(フェノール系樹脂)
フェノール系樹脂は、その構造にフェノール骨格を含む樹脂であり、例えば、フェノールホルムアルデヒド樹脂、アルキルフェノールホルムアルデヒド樹脂、アルキルフェノールアセチレン樹脂、オイル変性フェノールホルムアルデヒド樹脂等が挙げられる。フェノール系樹脂は1種または2種以上を使用することができる。
(クマロン系樹脂)
クマロン系樹脂は、クマロンを主成分する樹脂であり、例えば、クマロン樹脂、クマロンインデン樹脂、クマロンとインデンとスチレンを主成分とする共重合樹脂等が挙げられる。クマロン系樹脂は1種または2種以上を使用することができる。
(芳香環含有樹脂のMw)
芳香環含有樹脂の重量平均分子量(Mw)は、揮発しにくく、グリップ性能が良好である点から、300以上が好ましく、400以上がより好ましく、500以上がさらに好ましい。また、該Mwは、15000以下が好ましく、10000以下がより好ましく、8000以下がさらに好ましい。
(芳香環含有樹脂の軟化点)
芳香環含有樹脂の軟化点は、グリップ性能の観点から、160℃以下が好ましく、145℃以下がより好ましく、130℃以下がさらに好ましい。また、該軟化点は、グリップ性能の観点から、20℃以上が好ましく、35℃以上がより好ましく、50℃以上がさらに好ましく、70℃以上がさらに好ましく、80℃以上がさらに好ましく、85℃以上がさらに好ましい。なお、本開示において、軟化点は、JIS K 6220-1:2001に規定される軟化点を環球式軟化点測定装置で測定し、球が降下した温度である。
(芳香環含有樹脂の含有量)
樹脂成分のゴム成分100質量部に対する含有量は、接着性能およびグリップ性能の観点から、1質量部以上が好ましく、2質量部以上がより好ましく、3質量部以上がさらに好ましく、4質量部以上が特に好ましい。また、耐摩耗性能およびグリップ性能の観点からは、50質量部以下が好ましく、40質量部以下がより好ましく、30質量部以下がさらに好ましく、20質量部以下がさらに好ましく、15質量部以下がさらに好ましい。
<液体可塑剤>
アンモニウムイオン含有液体可塑剤は、液状の、4級アンモニウム塩を含有するイオン性化合物からなる可塑剤である。ここで「液状」とは、常温(25℃)で液体状態にあることをいう。より具体的には、そのような化合物のなかでも、アミド結合(-NR-CO-(Rは水素原子または置換基を表す。ここで、置換基とは炭化水素基などをいい、炭化水素基はメチル基、エチル基などのアルキル基が好ましい。))またはカルボン酸エステル結合(-O-CO-)を有する4級アンモニウム塩であることが好ましい。この場合において、4級アンモニウムと対をなす陰イオンとしては特に限定されないが、なかでも、フッ化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン等のハロゲン化物イオンであることが好ましい。上記4級アンモニウム塩が有するアミド結合またはカルボン酸エステル結合の数は、シリカの吸着およびシリカの分散性の観点から、いずれも、2個以上、4個以下であることが好ましい。アンモニウムイオン含有液体可塑剤は1種または2種以上を用いることができる。
(アミド結合またはエステル結合を有する液状4級アンモニウム塩)
アミド結合またはエステル結合を有する液状4級アンモニウム塩としては、以下の一般式(I)または一般式(II)で表される化合物が挙げられる。

(R113-m-N+(R13)-(R12m- (I)

(ここで、R11はC1-8の炭化水素基またはR14-[OCH(R15)CH2n-(ここで、R14は水素原子またはアシル基を表し、R15は水素原子またはメチル基を表し、nは1~3の数を表す。)で示される基を表し、R12はアシルアミノアルキル基を表し、R13はメチル基、エチル基またはベンジル基を表し、Xはハロゲン原子を表し、mは1~3の数を表す。)

(R213-p-N+(R23)-(R22p- (II)

(ここで、ここで、R21はC1-8の炭化水素基を表し、R22はアシルオキシアルキル基を表し、R23はメチル基、エチル基またはベンジル基を表し、Yはハロゲン原子を表し、pは1~3の数を表す。)
一般式(I)において、R11のC1-8の炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、2級ブチル基、t-ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、2級ペンチル基、t-ペンチル基、ヘキシル基、2級ヘキシル基、ヘプチル基、2級ヘプチル基、オクチル基、2級オクチル基、2-メチルペンチル基、2-エチルヘキシル基、ビニル基、アリル基、プロペニル基、ブテニル基、イソブテニル基、ペンテニル基、イソペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、シクロヘキシル基、フェニル基、メチルフェニル基、ベンジル基等が挙げられる。
14のアシル基は一価カルボン酸からOHを除いた残基であり、このようなカルボン酸としては、酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、ペンタン酸、イソペンタン酸、カプロン酸(ヘキサン酸)、ヘプタン酸、カプリル酸(オクタン酸)、ノナン酸、カプリン酸(デカン酸)、ラウリン酸(ウンデカン酸)、ミリスチン酸(テトラデカン酸)、パルミチン酸(ヘキサデカン酸)、ステアリン酸(オクタデカン酸)、アラキジン酸(エイコサン酸)、ベヘン酸(ドコサン酸)、テトラコサン酸、ヘキサコサン酸等の飽和脂肪酸;オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、エライジン酸、エルカ酸等の不飽和脂肪酸;リシノレイン酸、ヒドロキシステアリン酸のヒドロキシ脂肪酸等が挙げられる。
11としては、シリカへの吸着性の観点から、メチル基、エチル基が好ましく、メチル基がより好ましい。R15としては、シリカへの吸着性の観点から、水素原子が好ましい。nとしては、1~3の整数が好ましく、なかでも、シリカへの吸着性の観点から、1が好ましい。
12のアシル部分を構成するアシル基は一価カルボン酸からOHを除いた残基であり、このようなカルボン酸としては、R14で例示したカルボン酸が挙げられる。なかでも、シリカへの吸着性およびシリカの分散性の点から、炭素数8~22の脂肪酸が好ましく、炭素数10~18の脂肪酸がより好ましく、炭素数10の脂肪酸がさらに好ましく、炭素数10の飽和脂肪酸がさらに好ましく、とりわけ、カプリン酸が好ましい。R12のアルキル部分を構成するアルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ヘキサメチレン基、オクタメチレン基等が挙げられる。なかでも、シリカへの吸着性および原料の工業的入手の容易性の観点から、エチレン基、プロピレン基が好ましい。このうち、プロピレン基がより好ましい。
12としては、シリカへの吸着性および原料の工業的入手の容易性の観点から、デカノイルアミノプロピル基が好ましい。
13としては、シリカへの吸着性の点から、メチル基が好ましい。
Xとしては、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。なかでも、シリカへの吸着性の観点から、塩素原子が好ましい。
mとしては1~3の整数が好ましい。なかでも、シリカへの吸着性およびシリカの分散性の観点から、2が好ましい。
一般式(I)で示される化合物としては、(CH32+[(CH23-NH-R122Cl-(ここで、R12は、デカン酸由来のアシル基を表す。)が好ましい。
一般式(II)において、R21としては、R11で例示したC1-8の炭化水素基が挙げられる。R21は、シリカへの吸着性の観点から、メチル基、エチル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
22のアシル部分を構成するアシル基は一価カルボン酸からOHを除いた残基であり、このようなカルボン酸としては、R14で例示したカルボン酸が挙げられる。なかでも、シリカへの吸着性およびシリカの分散性の観点から、炭素数8~22の脂肪酸が好ましく、炭素数10~18の脂肪酸がより好ましく、炭素数10~18の直鎖脂肪酸がさらに好ましく、炭素数10の直鎖脂肪酸と炭素数18の直鎖脂肪酸の混合脂肪酸であることがさらに好ましく、ラウリン酸とオレイン酸の混合脂肪酸であることがさらに好ましい。当該混合脂肪酸におけるラウリン酸:オレイン酸の質量比は、1:1~3:1の範囲内であることが好ましく、1.5:1~2.5:1の範囲内であることがより好ましく、約2:1であることがさらに好ましい。ここで、「約」とは、オレイン酸に対するラウリン酸の質量比が±10%範囲内で、好ましくは±5%範囲内で、さらに好ましくは±3%範囲内で、さらに好ましくは±1%の範囲内で変動することを許容する意味である。R22のアルキル部分を構成するアルキレン基としては、R12で例示したアルキレン基が挙げられる。なかでも、シリカへの吸着性および原料の工業的入手の容易性の観点から、エチレン基、プロピレン基が好ましい。このうち、エチレン基がより好ましい。
22としては、シリカへの吸着性および原料の工業的入手の容易性の観点から、アシルオキシエチル基(当該アシル基は、ラウロイル基とオレオイル基の混合物であって、ラウロイル基:オレオイル基の質量比が約2:1である。)が好ましい。
23としては、シリカへの吸着性の点から、メチル基が好ましい。
Yとしては、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。なかでも、シリカへの吸着性の観点から、塩素原子が好ましい。
pとしては1~3の整数が好ましい。なかでも、シリカへの吸着性およびシリカの分散性の観点から、2が好ましい。
一般式(II)で示される化合物としては、(CH32+[(CH22-O-R222Cl-(ここで、R22は、混合脂肪酸(ラウリン酸:オレイン酸=約2:1(質量比))由来のアシル基を表す。)が好ましい。
アミド結合またはエステル結合を有する液状4級アンモニウム塩は、1種または2種以上を使用することができる。
(含有量)
アンモニウムイオン含有液体可塑剤の含有量は、ジエン系ゴム100質量部に対して、0.05~10質量部であることが好ましく、0.1~5質量部であることがより好ましい。
<その他の可塑剤>
ゴム組成物は、本開示の効果を損なわない範囲で、その他の可塑剤を含むことができる。そのような可塑剤としては、オイル、液状ポリマーや、上記芳香環含有樹脂以外の樹脂成分等が挙げられる。これらその他の可塑剤は1種または2種以上を使用することができる。
(オイル)
オイルとしては特に限定されず、ゴム工業で通常使用するものを使用することができるが、具体例としては、例えば、プロセスオイル、植物油脂、またはその混合物が挙げられる。プロセスオイルとしては、例えば、パラフィン系プロセスオイル、アロマ系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイルなどを用いることができる。なかでも、良好なスノー性能が得られるという点から、パラフィン系プロセスオイル、アロマ系プロセスオイルが好ましい。オイルは、1種または2種以上を使用することができる。
オイルの含有量は、本開示の観点から、ゴム成分100質量部に対して、5質量部以上が好ましく、10質量部以上がより好ましい。該含有量は、操縦安定性の観点から、80質量部以下が好ましく、60質量部以下がより好ましく、50質量部以下がさらに好ましく、40質量部以下がさらに好ましい。なお、本明細書において、オイルの含有量には、ゴム成分の油展に使用されたオイル量も含まれる。
(液状ポリマー)
液状ポリマーとしては特に限定されず、ゴム工業で通常使用するものを使用することができるが、具体例としては、例えば、液状ブタジエン重合体(液状BR)、液状スチレンブタジエン共重合体(液状SBR)、液状イソプレン重合体(液状IR)、液状スチレンイソプレン共重合体(液状SIR)等の液状ジエン系重合体が挙げられる。液状ポリマーは、1種または2種以上を使用することができる。
(樹脂成分)
上記芳香環含有樹脂以外の樹脂成分としては、例えば、脂肪族系石油樹脂(例えば、C5系石油樹脂)、テルペン系樹脂、ロジン系樹脂等が挙げられ、これらは1種または2種以上を用いることができる。
(その他の可塑剤の含有量)
その他の可塑剤の含有量は、本開示の観点から、ゴム成分100質量部に対して、5質量部以上が好ましく、7質量部以上がより好ましく、10質量部以上がさらに好ましく、12質量部以上がさらに好ましくい。該含有量は、操縦安定性の観点から、90質量部以下が好ましく、80質量部以下がより好ましく、70質量部以下がさらに好ましく、60質量部以下がさらに好ましく、50質量部以下がさらに好ましく、40質量部以下がさらに好ましい。
<その他の配合剤>
本開示に係るゴム組成物には、前記成分以外にも、従来タイヤ工業で一般に使用される配合剤、例えば、ワックス、加工助剤、老化防止剤、ステアリン酸、酸化亜鉛、硫黄等の加硫剤、加硫促進剤等を適宜含有することができる。
(ワックス)
ワックスとしては、特に限定されず、ゴム工業において通常使用されるものをいずれも好適に用いることができ、例えば、石油系ワックス、鉱物系ワックス、合成ワックスなどが挙げられる。なかでも、石油系ワックスが好ましい。石油系ワックスとしては、例えば、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス等が挙げられる。ワックスは、例えば、大内新興化学工業(株)製のもの、日本精蝋(株)製のもの、パラメルト社製のものなどを用いることができる。ワックスは、1種または2種以上を用いることができる。
ワックスを含有する場合のゴム成分100質量部に対する含有量は、ゴムの耐候性の観点から、0.5質量部以上が好ましく、1質量部以上がより好ましい。また、ブルームによるタイヤの白色化を防ぐ観点からは、10質量部以下が好ましく、5質量部以下がより好ましい。
(加工助剤)
加工助剤としては、例えば、脂肪酸金属塩、脂肪酸アミド、アミドエステル、シリカ表面活性剤、脂肪酸エステル、脂肪酸金属塩とアミドエステルとの混合物、脂肪酸金属塩と脂肪酸アミドとの混合物等が挙げられる。これらは、1種または2種以上を用いることができる。なかでも、脂肪酸金属塩、アミドエステル、脂肪酸金属塩とアミドエステル若しくは脂肪酸アミドとの混合物が好ましく、脂肪酸金属塩と脂肪酸アミドとの混合物がより好ましい。加工助剤は、例えば、Schill&Seilacher社製の脂肪酸石鹸系加工助剤を用いることができる。
加工助剤を含有する場合のゴム成分100質量部に対する含有量は、加工性の改善効果を発揮させる観点から、0.5質量部以上が好ましく、1質量部以上がより好ましい。また、耐摩耗性および破壊強度の観点からは、10質量部以下が好ましく、8質量部以下がより好ましい。
(老化防止剤)
老化防止剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、アミン系、キノリン系、キノン系、フェノール系、イミダゾール系の各化合物や、カルバミン酸金属塩等の老化防止剤が挙げられ、なかでも、アミン系が好ましく、例えば、N-(1,3-ジメチルブチル)-N’-フェニル-p-フェニレンジアミン、N-イソプロピル-N’-フェニル-p-フェニレンジアミン、N,N’-ジフェニル-p-フェニレンジアミン、N,N’-ジ-2-ナフチル-p-フェニレンジアミン、N-シクロヘキシル-N’-フェニル-p-フェニレンジアミン、N,N’-ビス(1-メチルヘプチル)-p-フェニレンジアミン、N,N’-ビス(1,4-ジメチルペンチル)-p-フェニレンジアミン、N,N’-ビス(1-エチル-3-メチルペンチル)-p-フェニレンジアミン、N-4-メチル-2-ペンチル-N’-フェニル-p-フェニレンジアミン、N,N’-ジアリール-p-フェニレンジアミン、ヒンダードジアリール-p-フェニレンジアミン、フェニルヘキシル-p-フェニレンジアミン、フェニルオクチル-p-フェニレンジアミン等のフェニレンジアミン系老化防止剤が好ましい。老化防止剤は、1種または2種以上を用いることができる。
老化防止剤を含有する場合のゴム成分100質量部に対する含有量は、ゴムの耐オゾンクラック性の観点から、0.5質量部以上が好ましく、1質量部以上がより好ましい。また、耐摩耗性能やウェットグリップ性能の観点からは、10質量部以下が好ましく、5質量部以下がより好ましい。
(ステアリン酸)
ステアリン酸を含有する場合のゴム成分100質量部に対する含有量は、加工性の観点から、0.5質量部以上が好ましく、1質量部以上がより好ましく、2質量部以上がさらに好ましく、3質量部以上がさらに好ましい。また、加硫速度の観点からは、10質量部以下が好ましく、8質量部以下がより好ましく、7質量部以下がさらに好ましい。
(酸化亜鉛)
酸化亜鉛を含有する場合のゴム成分100質量部に対する含有量は、加工性の観点から、0.5質量部以上が好ましく、1質量部以上がより好ましい。また、耐摩耗性能の観点からは、10質量部以下が好ましく、5質量部以下がより好ましい。
(加硫剤)
加硫剤としては硫黄が好適に用いられる。硫黄としては、粉末硫黄、油処理硫黄、沈降硫黄、コロイド硫黄、不溶性硫黄、高分散性硫黄等を用いることができる。
加硫剤として硫黄を含有する場合のゴム成分100質量部に対する含有量は、十分な加硫反応を確保し、良好なグリップ性能および耐摩耗性能を得るという観点から、0.5質量部以上が好ましく、0.7質量部以上がより好ましく、1.0質量部以上がさらに好ましい。また、劣化を抑制する観点からは、5.0質量部以下が好ましく、4.0質量部以下がより好ましく、3.0質量部以下がさらに好ましい。
硫黄以外の加硫剤としては、例えば、1,6-ヘキサメチレン-ジチオ硫酸ナトリウム・二水和物、1,6-ビス(N,N’-ジベンジルチオカルバモイルジチオ)ヘキサン等の硫黄原子を含む加硫剤や、ジクミルパーオキサイド等の有機過酸化物等が挙げられる。硫黄以外の加硫剤としては、例えば、田岡化学工業(株)製のもの、フレキシス社製のもの、ランクセス社製のものなどを用いることができる。
(加硫促進剤)
加硫促進剤としては、例えば、スルフェンアミド系、チアゾール系、チウラム系、チオウレア系、グアニジン系、ジチオカルバミン酸系、アルデヒド-アミン系若しくはアルデヒド-アンモニア系、イミダゾリン系、またはキサンテート系加硫促進剤等が挙げられる。これら加硫促進剤は、1種または2種以上を用いることができる。なかでも、スルフェンアミド系、グアニジン系、およびチアゾール系が好ましく、スルフェンアミド系、グアニジン系を併用することがより好ましい。
スルフェンアミド系加硫促進剤としては、例えば、N-tert-ブチル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(TBBS)、N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(CBS)、N,N-ジシクロヘキシル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(DCBS)等が挙げられる。なかでも、CBSが好ましい。
グアニジン系加硫促進剤としては、例えば、1,3-ジフェニルグアニジン(DPG)、1,3-ジ-o-トリルグアニジン、1-o-トリルビグアニド、ジカテコールボレートのジ-o-トリルグアニジン塩、1,3-ジ-o-クメニルグアニジン、1,3-ジ-o-ビフェニルグアニジン、1,3-ジ-o-クメニル-2-プロピオニルグアニジン等が挙げられる。なかでも、DPGが好ましい。
チアゾール系加硫促進剤としては、例えば、2-メルカプトベンゾチアゾール、2-メルカプトベンゾチアゾールのシクロヘキシルアミン塩、ジ-2-ベンゾチアゾリルジスルフィド等が挙げられる。なかでも、2-メルカプトベンゾチアゾールが好ましい。
加硫促進剤として、スルフェンアミド系とグアニジン系を併用する場合の好ましい具体的組み合わせとしては、CBSとDPGの組合せが挙げられる。
加硫促進剤を含有する場合のゴム成分100質量部に対する含有量は、1質量部以上が好ましく、2質量部以上がより好ましく、3質量部以上がさらに好ましい。また、加硫促進剤のゴム成分100質量部に対する含有量は、8質量部以下が好ましく、7質量部以下がより好ましく、6質量部以下がさらに好ましい。加硫促進剤の含有量を上記範囲内とすることにより、破壊強度および伸びが確保できる傾向がある。
<ゴム組成物>
ゴム組成物は、公知の方法により製造することができる。例えば、前記の各成分をオープンロール、密閉式混練機(バンバリーミキサー、ニーダー等)等のゴム混練装置を用いて混練りすることにより製造できる。
混練り工程は、例えば、加硫剤および加硫促進剤以外の配合剤および添加剤を混練りするベース練り工程と、ベース練り工程で得られた混練物に加硫剤および加硫促進剤を添加して混練りするファイナル練り(F練り)工程とを含んでなるものである。さらに、前記ベース練り工程は、所望により、複数の工程に分けることもできる。
<タイヤ>
上記成分を配合したゴム組成物は、未加硫の段階で所定のタイヤ部材(例えば、トレッド、サイドウォール、ブレーカー等)の形状にあわせて押出し加工し、他のタイヤ部材とともに、タイヤ成型機上にて通常の方法で成形することにより、未加硫タイヤとすることができる。この未加硫タイヤを加硫機中で加熱加圧することによりタイヤを得ることができる。タイヤ部材としては、トレッドが好ましい。
混練条件としては特に限定されるものではないが、例えば、ベース練り工程では、排出温度150~170℃で3~10分間混練りし、ファイナル練り工程では、70~110℃で1~5分間混練りする方法が挙げられる。加硫条件としては、特に限定されるものではなく、例えば、150~200℃で10~30分間加硫する方法が挙げられる。
本開示のタイヤ用ゴム組成物は、各種タイヤ部材(例えば、トレッド、サイドウォール、カーカス被覆ゴム、クリンチ、チェーファー、ビード、ブレーカークッション、インナーライナーなど)に好適に使用することができるが、特に、タイヤのトレッドとして好適に使用することができる。また、本開示のタイヤは、乗用車、バス、トラック、二輪車、冬用(スタッドレス)、ランフラット等のタイヤとして好適に使用することができる。さらに、本開示のタイヤは、空気入りタイヤとして、または、ソリッドタイヤとして好適に使用することができる。
以下、実施例に基づいて本開示を具体的に説明するが、本開示はこれらのみに限定されるものではない。
<評価>
評価結果は、以下に示す各種薬品を用いて表1に従って配合を変化させて得られるゴム組成物からなるトレッドを有するタイヤ(図1に示すような構造のタイヤサイズ(195/65R15))を想定して、下記評価方法に基づいて計算したものである。結果を表1に示す。
(各種薬品)
芳香族ビニル成分含有ポリマー1(SBR):下記製造例1で合成したスチレンブタジエンゴム(スチレン含量(styr):10質量%、非油展)
芳香族ビニル成分含有ポリマー2(変性SBR):下記製造2で合成したシラノール変性スチレンブタジエンゴム(スチレン含量(styr):29.9質量%、油展量:18phr)
BR:ブタジエンゴム(BR150B、Tg:-114℃、シス含量:97モル%、宇部興産(株)から入手可能)
シリカ1:ZEOSIL115Gr(N2SA:115m2/g、平均一次粒子径:20nm、ローディアジャパン(株)から入手可能)
シリカ2:Ultrasil360(N2SA:50m2/g、平均一次粒子径:38nm、エボニックデグサ社から入手可能)
芳香環含有樹脂1:SYLVATRAXX4401(α-メチルスチレン系樹脂、軟化点:85℃、SP値:9.1、アリゾナケミカル社から入手可能)
芳香環含有樹脂2:マルカレッツT100AS(C5C9系石油樹脂、軟化点:100℃、SP値:8.7、丸善石油化学(株)から入手可能)
芳香環含有樹脂3:Koresin(アルキルフェノールアセチレン樹脂(p-t-ブチルフェノールとアセチレンの縮合樹脂)、軟化点145℃、SP値:10.8、BASF社から入手可能)
芳香環含有樹脂4:C120(クマロンインデン樹脂、軟化点:120℃、SP値:9.0、Ruetgers Chemicals社から入手可能)
液体可塑剤1(アンモニウムイオン含有液体可塑剤):(CH32+[(CH23-NH-R122Cl-(ここで、R12は、デカン酸由来のアシル基を表す。)
液体可塑剤2(アンモニウムイオン含有液体可塑剤):(CH32+[(CH22-O-R222Cl-(ここで、R22は、混合脂肪酸(ラウリン酸:オレイン酸=約2:1(質量比))由来のアシル基を表す。)
シランカップリング剤:Si266(ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、エボニックデグサ社から入手可能)
オイル:プロセスオイルP-200(JXTGエネルギー(株)から入手可能)
ワックス:Ozoace0355(日本精蝋(株)から入手可能)
老化防止剤:アンチゲン6C(N-(1,3-ジメチルブチル)-N’-フェニル-p-フェニレンジアミン、住友化学(株)から入手可能)
ステアリン酸:ステアリン酸「つばき」(日油(株)から入手可能)
酸化亜鉛:亜鉛華1号(三井金属鉱業(株)から入手可能)
硫黄:粉末硫黄(鶴見化学工業(株)から入手可能)
加硫促進剤1:ノクセラーCZ-G(N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(CBS)、大内新興化学工業(株)から入手可能)
加硫促進剤2:ノクセラーD(1,3-ジフェニルグアニジン(DPG)、大内新興化学工業(株)から入手可能)
(製造例1)
窒素置換されたオートクレーブ反応器に、シクロヘキサン、テトラヒドロフラン、スチレン、および1,3-ブタジエンを仕込んだ。反応器の内容物の温度を20℃に調整した後、n-ブチルリチウムを添加して重合を開始した。断熱条件で重合し、最高温度は85℃に達した。重合転化率が99%に達した時点で1,3-ブタジエンを追加し、更に5分重合させた。重合反応終了後、2,6-ジ-tert-ブチル-p-クレゾールを添加した。次いで、スチームストリッピングにより脱溶媒を行い、110℃に調温された熱ロールにより乾燥した後、芳香族ビニル成分含有ポリマー1(SBR)を得た。スチレン量は10質量%、ビニル量は40%、Tgは-63℃、重量平均分子量(Mw)は18.8万であった。
(製造例2)
窒素置換されたオートクレーブ反応器に、シクロヘキサン、テトラヒドロフラン、スチレン、および1,3-ブタジエンを仕込んだ。反応器の内容物の温度を20℃に調整した後、n-ブチルリチウムを添加して重合を開始した。断熱条件で重合し、最高温度は85℃に達した。重合転化率が99%に達した時点で1,3-ブタジエンを追加し、更に5分重合させた後、[3-(ジメチルアミノ)プロピル]トリメトキシシランを変性剤として加えて反応を行った。重合反応終了後、2,6-ジ-tert-ブチル-p-クレゾールを添加した。次いで、重合体100質量部に対し伸展油を18質量部加えた後、スチームストリッピングにより脱溶媒を行い、110℃に調温された熱ロールにより乾燥した後、芳香族ビニル成分含有ポリマー2(変性SBR)を得た。スチレン量は29.9質量%、ビニル量は35%、Tgは-43℃、重量平均分子量(Mw)は75.0万であった。
(試験用タイヤ)
表1に示す配合処方にしたがい、(株)神戸製鋼所製1.7Lバンバリーミキサーを用いて、硫黄および加硫促進剤以外の薬品を、排出温度150℃で5分間混練りする。次に、得られた混練り物に硫黄および加硫促進剤を添加し、オープンロールで4分間、105℃になるまで練り込み、未加硫ゴム組成物を得る。
得られる未加硫ゴム組成物を、トレッドの形状に成形し、他のタイヤ部材とともに貼り合わせて未加硫タイヤを作製し、170℃で12分間プレス加硫して試験用タイヤを得る。
(低燃費性)
転がり抵抗試験機を用い、各試験用タイヤを、リム(15×6JJ)、内圧(230kPa)、荷重(3.43kN)、速度(80km/h)で走行させるときの転がり抵抗を測定し、比較例2を100とした時の指数で表示する(低燃費性指数)。指数が大きいほど、低燃費性に優れることを示す。
Figure 0007028267000001
上記結果より、本開示のタイヤ用ゴム組成物では、低燃費性が向上することがわかる。
10 スタッドレスタイヤ
11 トレッド部
12 サイドウォール部
13 ビード部
14 ビードコア
15 カーカス
16 スチールベルト
18 縦溝
30 リム

Claims (9)

  1. 芳香族ビニル成分含有ポリマーを含むゴム成分、
    シリカ、
    アンモニウムイオン含有液体可塑剤、および、
    芳香環含有樹脂
    を含むタイヤ用ゴム組成物であって、
    シリカが平均一次粒子径25nm以下のシリカを含むものであり、かつ、アンモニウムイオン含有液体可塑剤に対する、平均一次粒子径が上記範囲を満たすシリカの質量比が以下の式(1)を満たし、
    アミン系老化防止剤をさらに含み、かつ、アンモニウムイオン含有液体可塑剤に対する、アミン系老化防止剤の質量比が以下の式(2)を満たし、
    ステアリン酸をさらに含み、かつ、アンモニウムイオン含有液体可塑剤に対する、ステアリン酸の質量比が以下の式(3)を満たす、タイヤ用ゴム組成物。
    B/A≦200 (1)
    (ここで、Bはゴム成分100質量部に対する平均一次粒子径が上記範囲を満たすシリカの質量部を表し、Aはゴム成分100質量部に対するアンモニウムイオン含有液体可塑剤の質量部を表す。)
    C/A≦10.0 (2)
    (ここで、Cはゴム成分100質量部に対するアミン系老化防止剤の質量部を表し、Aはゴム成分100質量部に対するアンモニウムイオン含有液体可塑剤の質量部を表す。)
    D/A≧3.0 (3)
    (ここで、Dはゴム成分100質量部に対するステアリン酸の質量部を表し、Aはゴム成分100質量部に対するアンモニウムイオン含有液体可塑剤の質量部を表す。)
  2. 前記式(1)の右辺が、190である、請求項1記載のタイヤ用ゴム組成物。
  3. 前記式(2)の右辺が、9.0である、請求項1または2記載のタイヤ用ゴム組成物。
  4. 前記式(3)の右辺が、3.5である、請求項1~3のいずれか1項に記載のタイヤ用ゴム組成物。
  5. 芳香族ビニル成分含有ポリマーが、シラノール変性スチレンブタジエンゴムを含むものである、請求項1~4のいずれか1項に記載のタイヤ用ゴム組成物。
  6. アンモニウムイオン含有液体可塑剤に対する、芳香環含有樹脂の質量比が以下の式(4)を満たす、請求項1~5のいずれか1項に記載のタイヤ用ゴム組成物。
    E/A≧10.0 (4)
    (ここで、Eはゴム成分100質量部に対する芳香環含有樹脂の質量部を表し、Aはゴム成分100質量部に対するアンモニウムイオン含有液体可塑剤の質量部を表す。)
  7. ゴム成分中の芳香族ビニル成分の含有量が20質量%以上である、請求項1~6のいずれか1項に記載のタイヤ用ゴム組成物。
  8. 請求項1~7のいずれか1項に記載のタイヤ用ゴム組成物からなるトレッド。
  9. 請求項8記載のトレッドを含んでなるタイヤ。
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