JP2023160596A - ゴム組成物及びタイヤ - Google Patents

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Abstract

【課題】高速走行時の操縦安定性に優れたゴム組成物及びタイヤを提供する。【解決手段】ゴム成分及びシリカを含むゴム組成物であって、電子顕微鏡で観察される前記シリカの各粒子の最大径の変動係数(CV値)が、下記式(1)を満たすゴム組成物に関する。(1)CV値≦75%【選択図】なし

Description

本開示は、ゴム組成物及びこれを用いたタイヤに関する。
シリカ配合のゴム組成物を用いて種々の性能を付与するタイヤが提案されているが、近年、高速走行が増え、高速走行時の操縦安定性の向上が望まれている。
本開示は、前記課題を解決し、高速走行時の操縦安定性に優れたゴム組成物及びタイヤを提供することを目的とする。
本開示は、ゴム成分及びシリカを含むゴム組成物であって、
電子顕微鏡で観察される前記シリカの各粒子の最大径の変動係数(CV値)が、下記式(1)を満たすゴム組成物に関する。
(1)CV値≦75%
本開示は、ゴム成分及びシリカを含むゴム組成物であって、電子顕微鏡で観察される前記シリカの各粒子の最大径の変動係数(CV値)が前記式(1)を満たすゴム組成物であるので、高速走行時の操縦安定性に優れたゴム組成物及びタイヤを提供できる。
空気入りタイヤの一部が示された断面図である。 図1のトレッド4付近の拡大図である。
<ゴム組成物>
本開示は、ゴム成分及びシリカを含むゴム組成物であって、電子顕微鏡で観察される前記シリカの各粒子の最大径の変動係数(CV値)が前記式(1)を満たすゴム組成物である。
前述の作用効果が得られる理由は必ずしも明らかではないが、以下のメカニズムにより奏するものと推察される。
ゴム成分はゴム組成物中のシリカにより補強されることで、剛性を得ることができると同時に、シリカによりポリマーが補強されたネットワークが形成されることで、反力を発生させることができると考えられる。
高速走行時においては、剛性を担保しつつ、反力を効率よく発生させることが必要になると考えられるが、本開示では、ゴム組成物中のシリカ粒子の最大径のCV値を75%以下としている。これにより、ゴム組成物内でシリカにより補強されるポリマーの距離、量が均一化されやすくなり、ゴム中で力の伝達が行われやすくなる為、従来よりも高速での操縦安定性を向上させることが可能になると考えられる。
よって、高速走行時の操縦安定性が向上すると推察される。
このように、電子顕微鏡で観察される前記シリカの各粒子の最大径の変動係数(CV値)が式(1)「CV値≦75%」を満たすゴム組成物の構成にすることにより、高速走行時の操縦安定性を向上するという課題(目的)を解決するものである。すなわち、式(1)「CV値≦75%」のパラメーターは課題(目的)を規定したものではなく、本願の課題は、高速走行時の操縦安定性を向上することであり、そのための解決手段として当該パラメーターを満たすような構成にしたものである。
前記ゴム組成物は、電子顕微鏡で観察されるシリカの各粒子の最大径の変動係数(CV値)が、下記式(1)を満たす。
(1)CV値≦75%
CV値は、71%以下が好ましく、60%以下がより好ましく、55%以下が更に好ましく、52%以下が特に好ましい。CV値が小さいほど、ゴム組成物内でシリカにより補強されるポリマーの距離、量が均一化され、ゴム中で力の伝達が行われやすくなる為、高速での操縦安定性を向上させることが可能になると考えられることから、CV値は小さいほど望ましく、下限は特に限定されない。
ゴム組成物は、電子顕微鏡で観察されるシリカの各粒子の最大径の平均Dが下記式を満たすことが望ましい。
D≦0.100μm
Dは、好ましくは0.092μm以下、より好ましくは0.070μm以下、更に好ましくは0.064μm以下、特に好ましくは0.061μm以下である。下限は、好ましくは0.030μm以上、より好ましくは0.040μm以上、更に好ましくは0.050μm以上である。上記範囲内であると、効果が好適に得られる。
なお、変動係数(CV値)は、ゴム組成物中に存在するシリカの各粒子の最大径の平均及び標準偏差を用いて、以下の式から算出される。
変動係数(%)=[シリカの各粒子の最大径の標準偏差(μm)]/[シリカの各粒子の最大径の平均(μm)]×100
ゴム組成物中に存在するシリカの各粒子の最大径は、電子顕微鏡を用いた観察により測定される。
具体的には、SEM、TEM等の電子顕微鏡でゴム組成物を観察し、次いで、得られた画像について、Image J等の画像解析ソフトを用いて画像を二値化し、シリカの各粒子の最大径を算出でき、具体的には、後述の実施例に記載の方法で測定できる。
なお、本開示において、前記変動係数(CV値)は、加硫後のゴム組成物中に存在するシリカの各粒子の最大径の変動係数である。
前記変動係数(CV値)は、ゴム中のシリカの分散性を向上する(平均粒子径のバラツキが小さくなる)ことが可能な各種方法を用いることにより、値を小さくすることができる。
例えば、水と、シリカと、脂肪酸アミド化合物などの分散剤との混合物(マスターバッチ)を使用する方法、などにより、CV値を小さくできる。
前記シリカの各粒子の最大径Dは、ゴム中のシリカの分散性を向上する(平均粒子径のバラツキが小さくなる)各種方法を用いることで、値を小さくすることができる。
例えば、シリカ、脂肪酸アミド化合物などの分散剤を含む(マスターバッチ)を使用する方法、などにより、最大径Dを小さくできる。
(ゴム成分)
ゴム組成物は、ゴム成分を含む。
ゴム組成物において、ゴム成分は、架橋に寄与する成分であり、一般的に、重量平均分子量(Mw)が1万以上のポリマーで、アセトンにより抽出されないポリマー成分がゴム成分に該当する。前記ゴム成分は、常温(25℃)で固体状態である。
ゴム成分の重量平均分子量は、好ましくは5万以上、より好ましくは15万以上、更に好ましくは20万以上であり、また、好ましくは200万以下、より好ましくは150万以下、更に好ましくは100万以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
なお、本明細書において、重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)(東ソー(株)製GPC-8000シリーズ、検出器:示差屈折計、カラム:東ソー(株)製のTSKGEL SUPERMULTIPORE HZ-M)による測定値を基に標準ポリスチレン換算により求めることができる。
ゴム組成物に使用可能なゴム成分としては、例えば、ジエン系ゴムを使用できる。ジエン系ゴムとしては、イソプレン系ゴム、ブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、スチレンイソプレンブタジエンゴム(SIBR)、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、クロロプレンゴム(CR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)などが挙げられる。また、ブチル系ゴム、フッ素ゴムなども挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、効果がより得られる観点から、イソプレン系ゴム、BR、SBR、が好ましく、イソプレン系ゴムがより好ましい。また、これらのゴム成分は後述の変性処理、水素添加処理が行われていても良く、オイル、樹脂、液状ゴム成分などにより伸展された、伸展ゴムを用いても良い。
イソプレン系ゴムを用いることで、前述の作用効果が顕著に得られる理由は必ずしも明らかではないが、イソプレン系ゴムは分子量が高い為、ネットワークを形成させやすく、反力を発生、伝達させやすくなると考えられる。よって、高速走行時の操縦安定性が顕著に向上すると推察される。
上記ジエン系ゴムは、非変性ジエン系ゴムでもよいし、変性ジエン系ゴムでもよい。
変性ジエン系ゴムとしては、シリカ等の充填剤と相互作用する官能基を有するジエン系ゴムであればよく、例えば、ジエン系ゴムの少なくとも一方の末端を、上記官能基を有する化合物(変性剤)で変性された末端変性ジエン系ゴム(末端に上記官能基を有する末端変性ジエン系ゴム)や、主鎖に上記官能基を有する主鎖変性ジエン系ゴムや、主鎖及び末端に上記官能基を有する主鎖末端変性ジエン系ゴム(例えば、主鎖に上記官能基を有し、少なくとも一方の末端を上記変性剤で変性された主鎖末端変性ジエン系ゴム)や、分子中に2個以上のエポキシ基を有する多官能化合物により変性(カップリング)され、水酸基やエポキシ基が導入された末端変性ジエン系ゴム等が挙げられる。
上記官能基としては、例えば、アミノ基、アミド基、シリル基、アルコキシシリル基、イソシアネート基、イミノ基、イミダゾール基、ウレア基、エーテル基、カルボニル基、オキシカルボニル基、メルカプト基、スルフィド基、ジスルフィド基、スルホニル基、スルフィニル基、チオカルボニル基、アンモニウム基、イミド基、ヒドラゾ基、アゾ基、ジアゾ基、カルボキシル基、ニトリル基、ピリジル基、アルコキシ基、水酸基、オキシ基、エポキシ基等が挙げられる。なお、これらの官能基は、置換基を有していてもよい。なかでも、アミノ基(好ましくはアミノ基が有する水素原子が炭素数1~6のアルキル基に置換されたアミノ基)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1~6のアルコキシ基)、アルコキシシリル基(好ましくは炭素数1~6のアルコキシシリル基)が好ましい。
イソプレン系ゴムとしては、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、改質NR、変性NR、変性IR等が挙げられる。NRとしては、例えば、SIR20、RSS♯3、TSR20等、ゴム工業において一般的なものを使用できる。IRとしては、特に限定されず、例えば、IR2200等、ゴム工業において一般的なものを使用できる。改質NRとしては、脱タンパク質天然ゴム(DPNR)、高純度天然ゴム(UPNR)等、変性NRとしては、エポキシ化天然ゴム(ENR)、水素添加天然ゴム(HNR)、グラフト化天然ゴム等、変性IRとしては、エポキシ化イソプレンゴム、水素添加イソプレンゴム、グラフト化イソプレンゴム等、が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ゴム組成物において、ゴム成分100質量%中のイソプレン系ゴムの含有量は、好ましくは5質量%以上、より好ましくは50質量%以上、更に好ましくは75質量%以上、特に好ましくは85質量%以上であり、100質量%でもよい。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。なお、トレッド用ゴム組成物、ベルト層用ゴム組成物の場合も同様の範囲が望ましい。
BRは特に限定されず、例えば、高シス含量のハイシスBR、シンジオタクチックポリブタジエン結晶を含有するBR、希土類系触媒を用いて合成したBR(希土類BR)等を使用できる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、BRは、シス含量が90質量%以上のハイシスBRを含むことが好ましい。該シス含量は、95質量%以上がより好ましい。なお、シス含量は、赤外吸収スペクトル分析法によって測定できる。
また、BRは、非変性BR、変性BRのいずれも使用可能である。変性BRとしては、変性ジエン系ゴムと同様の官能基が導入された変性BRが挙げられる。また、BRは、水素添加ブタジエン重合体(水添BR)も使用可能である。
BRとしては、例えば、宇部興産(株)、JSR(株)、旭化成(株)、日本ゼオン(株)等の製品を使用できる。
ゴム組成物がBRを含む場合、ゴム成分100質量%中のBRの含有量は、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは15質量%以上である。上限は、好ましくは50質量%以下、より好ましくは30質量%以下、更に好ましくは20質量%以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。なお、トレッド用ゴム組成物、ベルト層用ゴム組成物の場合も同様の範囲が望ましい。
SBRとしては特に限定されず、例えば、乳化重合スチレンブタジエンゴム(E-SBR)、溶液重合スチレンブタジエンゴム(S-SBR)等を使用できる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
SBRのスチレン含有量は、好ましくは5質量%以上、より好ましくは20質量%以上、更に好ましくは25質量%以上である。該スチレン含有量は、好ましくは45質量%以下、より好ましくは40質量%以下、更に好ましくは35質量%以下である。上記範囲内にすることで、高速走行時の操縦安定性が改善される傾向がある。
なお、本明細書において、スチレン含有量は、H-NMR測定によって測定できる。
SBRのビニル結合量は、好ましくは3質量%以上、より好ましくは5質量%以上、更に好ましくは7質量%以上である。該ビニル結合量は、好ましくは25質量%以下、より好ましくは15質量%以下、更に好ましくは13質量%以下である。上記範囲内にすることで、高速走行時の操縦安定性が改善される傾向がある。
なお、本明細書において、ビニル結合量(1,2-結合ブタジエン単位量)は、赤外吸収スペクトル分析法によって測定できる。
SBRは、非変性SBR、変性SBRのいずれも使用可能である。変性SBRとしては、変性ジエン系ゴムと同様の官能基が導入された変性SBRが挙げられる。また、SBRとして、水素添加スチレン-ブタジエン共重合体(水添SBR)も使用可能である。
SBRとしては、例えば、住友化学(株)、JSR(株)、旭化成(株)、日本ゼオン(株)等により製造・販売されているSBRを使用できる。
ゴム組成物がSBRを含む場合、ゴム成分100質量%中のSBRの含有量は、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは15質量%以上である。上限は、好ましくは50質量%以下、より好ましくは30質量%以下、更に好ましくは20質量%以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。なお、トレッド用ゴム組成物、ベルト層用ゴム組成物の場合も同様の範囲が望ましい。
(フィラー)
ゴム組成物は、シリカを含む。
使用可能なシリカとしては、乾式法シリカ(無水シリカ)、湿式法シリカ(含水シリカ)などが挙げられる。なかでも、シラノール基が多いという理由から、湿式法シリカが好ましい。市販品としては、デグッサ社、ローディア社、東ソー・シリカ(株)、ソルベイジャパン(株)、(株)トクヤマ等の製品を使用できる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらのシリカのほか、もみ殻などのバイオマス材料を原料としたシリカを用いても良い。
シリカの窒素吸着比表面積(NSA)は、好ましくは50m/g以上、より好ましくは100m/g以上、更に好ましくは150m/g以上、特に好ましくは180m/g以上、最も好ましくは190m/g以上である。また、シリカのNSAの上限は特に限定されないが、好ましくは350m/g以下、より好ましくは300m/g以下、更に好ましくは250m/g以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
なお、シリカのNSAは、ASTM D3037-93に準じてBET法で測定される値である。
ゴム組成物において、シリカの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは5質量部以上、より好ましくは30質量部以上、更に好ましくは40質量部以上、特に好ましくは50質量部以上である。該含有量の上限は、好ましくは200質量部以下、より好ましくは150質量部以下、更に好ましくは100質量部以下、特に好ましくは80質量部以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。なお、トレッド用ゴム組成物、ベルト層用ゴム組成物の場合も同様の範囲が望ましい。
多量のシリカ、特にシリカを30質量部以上配合することで、前述の作用効果が顕著に得られる理由は必ずしも明らかではないが、シリカによる補強効果で剛性が向上すると同時に、シリカとポリマーで形成されるネットワークによる反力の発生がより大きくなると考えられる。よって、高速走行時の操縦安定性が顕著に向上すると推察される。
ゴム組成物がシリカを含む場合、更にシランカップリング剤を含むことが好ましい。
シランカップリング剤としては、特に限定されず、ゴム分野で公知のものが使用可能であり、例えば、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2-トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(4-トリエトキシシリルブチル)テトラスルフィド、ビス(3-トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2-トリメトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(2-トリエトキシシリルエチル)トリスルフィド、ビス(4-トリメトキシシリルブチル)トリスルフィド、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2-トリエトキシシリルエチル)ジスルフィド、ビス(4-トリエトキシシリルブチル)ジスルフィド、ビス(3-トリメトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2-トリメトキシシリルエチル)ジスルフィド、ビス(4-トリメトキシシリルブチル)ジスルフィド、3-トリメトキシシリルプロピル-N,N-ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、2-トリエトキシシリルエチル-N,N-ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3-トリエトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィド、などのスルフィド系、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、2-メルカプトエチルトリエトキシシラン、Momentive社製のNXT、NXT-Zなどのメルカプト系、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシランなどのビニル系、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシランなどのアミノ系、γ-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、などのグリシドキシ系、3-ニトロプロピルトリメトキシシラン、3-ニトロプロピルトリエトキシシランなどのニトロ系、3-クロロプロピルトリメトキシシラン、3-クロロプロピルトリエトキシシランなどのクロロ系などがあげられる。市販品としては、デグッサ社、Momentive社、信越シリコーン(株)、東京化成工業(株)、アヅマックス(株)、東レ・ダウコーニング(株)等の製品を使用できる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ゴム組成物において、シランカップリング剤の含有量は、シリカ100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは3質量部以上、更に好ましくは5質量部以上、特に好ましくは7質量部以上である。該含有量の上限は、好ましくは50質量部、より好ましくは20質量部以下、更に好ましくは15質量部以下、特に好ましくは10質量部以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
ゴム組成物は、シリカ以外のフィラーを含んでもよい。
ゴム組成物において、フィラーの合計含有量(シリカ、カーボンブラックなどのフィラーの総量)は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは10質量部以上、より好ましくは35質量部以上、更に好ましくは45質量部以上、特に好ましくは55質量部以上である。該含有量の上限は、好ましくは200質量部以下、より好ましくは150質量部以下、更に好ましくは100質量部以下、特に好ましくは80質量部以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。なお、トレッド用ゴム組成物、ベルト層用ゴム組成物の場合も同様の範囲が望ましい。
シリカ以外に使用可能なフィラー(充填材)としては特に限定されず、ゴム分野で公知の材料を使用でき、例えば、カーボンブラック、炭酸カルシウム、タルク、アルミナ、クレイ、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、マイカなどの無機フィラー;難分散性フィラー等が挙げられる。なかでも、カーボンブラックなどの炭素由来フィラー(炭素含有フィラー)が好ましい。
ゴム組成物に使用可能なカーボンブラックとしては、特に限定されないが、N134、N110、N220、N234、N219、N339、N330、N326、N351、N550、N762等が挙げられる。市販品としては、旭カーボン(株)、キャボットジャパン(株)、東海カーボン(株)、三菱化学(株)、ライオン(株)、新日化カーボン(株)、コロンビアカーボン社等の製品を使用できる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、従来の鉱物油などを原料としたカーボンブラックのほか、リグニンなどのバイオマス材料を原料としたカーボンブラックを用いても良い。
カーボンブラックの窒素吸着比表面積(NSA)は、30m/g以上が好ましく、50m/g以上がより好ましく、70m/g以上が更に好ましい。また、上記NSAは、200m/g以下が好ましく、150m/g以下がより好ましく、130m/g以下が更に好ましく、120m/g以下が更に好ましい。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
ゴム組成物において、カーボンブラックの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは3質量部以上である。該含有量の上限は、好ましくは50質量部以下、より好ましくは20質量部以下、更に好ましくは10質量部以下、特に好ましくは5質量部以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。なお、トレッド用ゴム組成物、ベルト層用ゴム組成物の場合も同様の範囲が望ましい。
難分散性フィラーとしては、例えば、ミクロフィブリル化植物繊維、短繊維状セルロース、ゲル状化合物等が挙げられる。なかでも、ミクロフィブリル化植物繊維が好ましい。
上記ミクロフィブリル化植物繊維としては、良好な補強性が得られるという点から、セルロースミクロフィブリルが好ましい。セルロースミクロフィブリルとしては、天然物由来のものであれば特に制限されず、例えば、果実、穀物、根菜などの資源バイオマス、木材、竹、麻、ジュート、ケナフ、及びこれらを原料として得られるパルプや紙、布、農作物残廃物、食品廃棄物や下水汚泥などの廃棄バイオマス、稲わら、麦わら、間伐材などの未使用バイオマスの他、ホヤ、酢酸菌等の生産するセルロースなどに由来するものが挙げられる。これらのミクロフィブリル化植物繊維は、1種を用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
なお、本明細書において、セルロースミクロフィブリルとは、典型的には、平均繊維径が10μm以下の範囲内であるセルロース繊維、より典型的には、セルロース分子の集合により形成されている平均繊維径500nm以下の微小構造を有するセルロース繊維を意味する。典型的なセルロースミクロフィブリルは、例えば、上記のような平均繊維径を有するセルロース繊維の集合体として形成されている。
ゴム組成物において、難分散性フィラーの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは3質量部以上、更に好ましくは5質量部以上である。該含有量の上限は、好ましくは50質量部以下、より好ましくは30質量部以下、更に好ましくは20質量部以下、特に好ましくは10質量部以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
(分散剤)
ゴム組成物は、効果がより良好に得られる観点から、分散剤を含むことが望ましい。
分散剤は、例えば、シリカを分散する作用を有する化合物であれば使用可能であるが、なかでも、脂肪酸アミド化合物が望ましい。
分散剤、特に脂肪酸アミド化合物を用いることで、前述の作用効果が顕著に得られる理由は必ずしも明らかではないが、脂肪酸アミド化合物を含むことにより、シリカの平均粒子径を細かくさせやすくなると考えられる。よって、高速走行時の操縦安定性が顕著に向上すると推察される。
ゴム組成物において、分散剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは5質量部以上、更に好ましくは8質量部以上、特に好ましくは10質量部以上である。該含有量の上限は、好ましくは60質量部以下、より好ましくは50質量部以下、更に好ましくは40質量部以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。なお、トレッド用ゴム組成物、ベルト層用ゴム組成物の場合も同様の範囲が望ましい。また、脂肪酸アミド化合物の含有量も同様の範囲が望ましい。
ゴム組成物において、シリカと分散剤との含有比〔シリカ量(質量部)/分散剤量(質量部)〕は、10/90~90/10が好ましく、20/80~80/20がより好ましく、30/70~70/30が更に好ましく、40/60~60/40が特に好ましい。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。なお、トレッド用ゴム組成物、ベルト層用ゴム組成物の場合も同様の範囲が望ましい。また、脂肪酸アミド化合物の含有量も同様の範囲が望ましい。
脂肪酸アミド化合物を構成する脂肪族炭化水素基は、直鎖、分岐、環状構造を有する飽和または不飽和の脂肪族炭化水素基などが挙げられ、例えば、アルキル基、アルケニル基、アルケンジイル基、シクロアルキル基などが例示される。該脂肪族炭化水素基の炭素数は、例えば、10~25が望ましい。
脂肪酸アミド化合物としては、モノアミド、置換アミド、ビスアミド、メチロールアミド、エステルアミド等が挙げられる。
モノアミドとしては、下記式で表される化合物などが挙げられる。
-CONH
(式中、Rは、炭素数10~25の脂肪族炭化水素基を表す。)
モノアミドの具体例としては、例えば、ラウリン酸アミド、パルミチン酸アミド、ステアリン酸アミド、ベヘン酸アミド、ヒドロキシステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド等が挙げられる。
置換アミドとしては、下記式で表される化合物などが挙げられる。
-CONH-R
(式中、RおよびRは、炭素数10~25の脂肪族炭化水素基を表し、同一でも異なっていても良い。)
置換アミドの具体例としては、例えば、N-オレイルパルミチン酸アミド、N-ステアリルステアリン酸アミド、N-ステアリルオレイン酸アミド、N-オレイルステアリン酸アミド、N-ステアリルエルカ酸アミド等が挙げられる。
ビスアミドとしては、下記2式で表される化合物などが挙げられる。
-CONH-R-HNCO-R
-NHCO-R-CONH-R
(式中、R、R、R、およびRは、炭素数10~25の脂肪族炭化水素基を表し、同一でも異なっていても良く、RおよびRは、アルキレン基またはアリーレン基を表す。)
ビスアミドの具体例としては、例えば、メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスヒドロキシステアリン酸アミド、エチレンビスベヘン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミド、ヘキサメチレンビスベヘン酸アミド、ヘキサメチレンヒドロキシステアリン酸アミド、エチレンビスオレイン酸アミド、エチレンビスエルカ酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N’-ジステアリルアジピン酸アミド、N,N’-ジステアリルセバシン酸アミド、N,N’-ジオレイルアジピン酸アミド、N,N’-ジオレイルセバシン酸アミド等が挙げられる。
前記脂肪酸アミド化合物の具体例としては、ジエタノールオレイン酸アミド、パルミトイルエタノールアミド、オレイルエタノールアミドなども挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(可塑剤)
ゴム組成物には、可塑剤を配合してもよい。
可塑剤とは、ゴム成分に可塑性を付与する材料であり、例えば、液体可塑剤(常温(25℃)で液体状態の可塑剤)、樹脂(常温(25℃)で固体状態の樹脂)等が挙げられる。
ゴム組成物において、可塑剤の含有量(可塑剤の総量)は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは100質量部以下、より好ましくは30質量部以下、更に好ましくは10質量部以下、特に好ましくは5質量部以下であり、0質量部でもよい。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。なお、前述の伸展ゴムを用いる場合、その伸展ゴムに用いられた伸展成分量は可塑剤の含有量に含まれる。
ゴム組成物に使用可能な液体可塑剤(常温(25℃)で液体状態の可塑剤)としては特に限定されず、オイル、液状ポリマー(液状樹脂、液状ジエン系ポリマーなど)などが挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ゴム組成物において、液体可塑剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは100質量部以下、より好ましくは30質量部以下、更に好ましくは10質量部以下、特に好ましくは5質量部以下であり、0質量部でもよい。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。なお、オイルの含有量も同様の範囲が好適である。
オイルとしては、例えば、プロセスオイル、植物油、又はその混合物が挙げられる。プロセスオイルとしては、例えば、MES(Mild Extract Solvated)、DAE(Distillate Aromatic Extract)、TDAE(Treated Distillate Aromatic Extract)、TRAE(Treated Residual Aromatic Extract)、RAE(Residual Aromatic Extract)などのパラフィン系プロセスオイル、アロマ系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイルなどを用いることができる。植物油としては、ひまし油、綿実油、あまに油、なたね油、大豆油、パーム油、やし油、落花生油、ロジン、パインオイル、パインタール、トール油、コーン油、こめ油、べに花油、ごま油、オリーブ油、ひまわり油、パーム核油、椿油、ホホバ油、マカデミアナッツ油、桐油等が挙げられる。市販品としては、出光興産(株)、三共油化工業(株)、(株)ジャパンエナジー、オリソイ社、H&R社、豊国製油(株)、昭和シェル石油(株)、富士興産(株)、日清オイリオグループ(株)等の製品を使用できる。なかでも、プロセスオイル(パラフィン系プロセスオイル、アロマ系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイル等)、植物油が好ましい。またライフサイクルアセスメントの観点から上記したオイルとして、ゴム混合機やエンジンなどで用いられた潤滑油や調理店で使用された廃食用油を精製したものを用いても良い。
液状樹脂としては、テルペン系樹脂(テルペンフェノール樹脂、芳香族変性テルペン樹脂を含む)、ロジン樹脂、スチレン系樹脂、C5系樹脂、C9系樹脂、C5/C9系樹脂、ジシクロペンタジエン(DCPD)樹脂、クマロンインデン系樹脂(クマロン、インデン単体樹脂を含む)、フェノール樹脂、オレフィン系樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂等が挙げられる。また、これらの水素添加物も使用可能である。
液状ジエン系ポリマーとしては、25℃で液体状態の液状スチレンブタジエン共重合体(液状SBR)、液状ブタジエン重合体(液状BR)、液状イソプレン重合体(液状IR)、液状スチレンイソプレン共重合体(液状SIR)、液状スチレンブタジエンスチレンブロック共重合体(液状SBSブロックポリマー)、液状スチレンイソプレンスチレンブロック共重合体(液状SISブロックポリマー)、液状ファルネセン重合体、液状ファルネセンブタジエン共重合体等が挙げられる。これらは、末端や主鎖が極性基で変性されていても構わない。また、これらの水素添加物も使用可能である。
ゴム組成物に使用可能な上記樹脂(常温(25℃)で固体状態の樹脂)としては、例えば、常温(25℃)で固体状態の芳香族ビニル重合体、クマロンインデン樹脂、クマロン樹脂、インデン樹脂、フェノール樹脂、ロジン樹脂、石油樹脂、テルペン系樹脂、アクリル系樹脂などが挙げられる。また、樹脂は、水添されていてもよい。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。なかでも、芳香族ビニル重合体、石油樹脂、テルペン系樹脂が好ましい。
ゴム組成物が上記樹脂を含有する場合、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは100質量部以下、より好ましくは30質量部以下、更に好ましくは10質量部以下、特に好ましくは5質量部以下であり、0質量部でもよい。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
上記樹脂の軟化点は、60℃以上が好ましく、70℃以上がより好ましく、80℃以上が更に好ましい。上限は、160℃以下が好ましく、130℃以下がより好ましく、115℃以下が更に好ましい。上記範囲内にすることで、高速走行時の操縦安定性が改善される傾向がある。
なお、上記樹脂の軟化点は、JIS K6220-1:2001に規定される軟化点を環球式軟化点測定装置で測定し、球が降下した温度である。前記した樹脂の軟化点は通常、樹脂のガラス転移温度より50℃±5℃高い値となる。
上記芳香族ビニル重合体は、芳香族ビニルモノマーを構成単位として含むポリマーである。例えば、α-メチルスチレン及び/又はスチレンを重合して得られる樹脂が挙げられ、具体的には、スチレンの単独重合体(スチレン樹脂)、α-メチルスチレンの単独重合体(α-メチルスチレン樹脂)、α-メチルスチレンとスチレンとの共重合体、スチレンと他のモノマーの共重合体などが挙げられる。
上記クマロンインデン樹脂は、樹脂の骨格(主鎖)を構成する主なモノマー成分として、クマロン及びインデンを含む樹脂である。クマロン、インデン以外に骨格に含まれるモノマー成分としては、スチレン、α-メチルスチレン、メチルインデン、ビニルトルエンなどが挙げられる。
上記クマロン樹脂は、樹脂の骨格(主鎖)を構成する主なモノマー成分として、クマロンを含む樹脂である。
上記インデン樹脂は、樹脂の骨格(主鎖)を構成する主なモノマー成分として、インデンを含む樹脂である。
上記フェノール樹脂としては、例えば、フェノールと、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、フルフラールなどのアルデヒド類とを酸又はアルカリ触媒で反応させることにより得られるポリマー等の公知のものを使用できる。なかでも、酸触媒で反応させることにより得られるもの(ノボラック型フェノール樹脂など)が好ましい。
上記ロジン樹脂としては、天然ロジン、重合ロジン、変性ロジン、これらのエステル化合物、これらの水素添加物に代表されるロジン系樹脂等が挙げられる。
上記石油樹脂としては、C5系樹脂、C9系樹脂、C5/C9系樹脂、ジシクロペンタジエン(DCPD)樹脂、これらの水素添加物などが挙げられる。なかでも、DCPD樹脂、水添DCPD樹脂が好ましい。
上記テルペン系樹脂は、テルペンを構成単位として含むポリマーであり。例えば、テルペン化合物を重合して得られるポリテルペン樹脂、テルペン化合物と芳香族化合物とを重合して得られる芳香族変性テルペン樹脂などが挙げられる。また、これらの水素添加物も使用できる。
上記ポリテルペン樹脂は、テルペン化合物を重合して得られる樹脂である。該テルペン化合物は、(Cの組成で表される炭化水素及びその含酸素誘導体で、モノテルペン(C1016)、セスキテルペン(C1524)、ジテルペン(C2032)などに分類されるテルペンを基本骨格とする化合物であり、例えば、α-ピネン、β-ピネン、ジペンテン、リモネン、ミルセン、アロオシメン、オシメン、α-フェランドレン、α-テルピネン、γ-テルピネン、テルピノレン、1,8-シネオール、1,4-シネオール、α-テルピネオール、β-テルピネオール、γ-テルピネオールなどが挙げられる。
上記ポリテルペン樹脂としては、上述したテルペン化合物を原料とするピネン樹脂、リモネン樹脂、ジペンテン樹脂、ピネン/リモネン樹脂などが挙げられる。なかでも、ピネン樹脂が好ましい。ピネン樹脂は、通常、異性体の関係にあるα-ピネン及びβ-ピネンの両方を含んでいるが、含有する成分の違いにより、β-ピネンを主成分とするβ-ピネン樹脂と、α-ピネンを主成分とするα-ピネン樹脂とに分類される。
上記芳香族変性テルペン樹脂としては、上記テルペン化合物及びフェノール系化合物を原料とするテルペンフェノール樹脂や、上記テルペン化合物及びスチレン系化合物を原料とするテルペンスチレン樹脂などが挙げられる。また、上記テルペン化合物、フェノール系化合物及びスチレン系化合物を原料とするテルペンフェノールスチレン樹脂も使用できる。なお、フェノール系化合物としては、例えば、フェノール、ビスフェノールA、クレゾール、キシレノールなどが挙げられる。また、スチレン系化合物としては、スチレン、α-メチルスチレンなどが挙げられる。
上記アクリル系樹脂は、アクリル系モノマーを構成単位として含むポリマーである。例えば、カルボキシル基を有し、芳香族ビニルモノマー成分とアクリル系モノマー成分とを共重合して得られる、スチレンアクリル樹脂等のスチレンアクリル系樹脂などが挙げられる。なかでも、無溶剤型カルボキシル基含有スチレンアクリル系樹脂を好適に使用できる。
上記無溶剤型カルボキシル基含有スチレンアクリル系樹脂とは、副原料となる重合開始剤、連鎖移動剤、有機溶媒などを極力使用せずに、高温連続重合法(高温連続塊重合法)(米国特許第4,414,370号明細書、特開昭59-6207号公報、特公平5-58005号公報、特開平1-313522号公報、米国特許第5,010,166号明細書、東亜合成研究年報TREND2000第3号p42-45等に記載の方法)により合成された(メタ)アクリル系樹脂(重合体)である。なお、本明細書において、(メタ)アクリルは、メタクリル及びアクリルを意味する。
上記アクリル系樹脂を構成するアクリル系モノマー成分としては、例えば、(メタ)アクリル酸や、(メタ)アクリル酸エステル(2エチルヘキシルアクリレート等のアルキルエステル、アリールエステル、アラルキルエステルなど)、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリルアミド誘導体などの(メタ)アクリル酸誘導体が挙げられる。なお、(メタ)アクリル酸は、アクリル酸及びメタクリル酸の総称である。
上記アクリル系樹脂を構成する芳香族ビニルモノマー成分としては、例えば、スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルナフタレン、ジビニルベンゼン、トリビニルベンゼン、ジビニルナフタレンなどの芳香族ビニルが挙げられる。
また、上記アクリル系樹脂を構成するモノマー成分として、(メタ)アクリル酸や(メタ)アクリル酸誘導体、芳香族ビニルと共に、他のモノマー成分を使用してもよい。
上記可塑剤としては、例えば、丸善石油化学(株)、住友ベークライト(株)、ヤスハラケミカル(株)、東ソー(株)、Rutgers Chemicals社、BASF社、アリゾナケミカル社、日塗化学(株)、(株)日本触媒、ENEOS(株)、荒川化学工業(株)、田岡化学工業等の製品を使用できる。
(他の材料)
前記ゴム組成物は、耐クラック性、耐オゾン性等の観点から、老化防止剤を含有することが好ましい。
老化防止剤としては特に限定されないが、フェニル-α-ナフチルアミン等のナフチルアミン系老化防止剤;オクチル化ジフェニルアミン、4,4’-ビス(α,α’-ジメチルベンジル)ジフェニルアミン等のジフェニルアミン系老化防止剤;N-イソプロピル-N’-フェニル-p-フェニレンジアミン、N-(1,3-ジメチルブチル)-N’-フェニル-p-フェニレンジアミン、N,N’-ジ-2-ナフチル-p-フェニレンジアミン等のp-フェニレンジアミン系老化防止剤;2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリンの重合物等のキノリン系老化防止剤;2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール、スチレン化フェノール等のモノフェノール系老化防止剤;テトラキス-[メチレン-3-(3’,5’-ジ-t-ブチル-4’-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン等のビス、トリス、ポリフェノール系老化防止剤などが挙げられる。なかでも、p-フェニレンジアミン系老化防止剤、キノリン系老化防止剤が好ましく、N-(1,3-ジメチルブチル)-N’-フェニル-p-フェニレンジアミン、2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリンの重合物がより好ましい。市販品としては、例えば、精工化学(株)、住友化学(株)、大内新興化学工業(株)、フレクシス社等の製品を使用できる。
ゴム組成物において、老化防止剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.2質量部以上、より好ましくは0.5質量部以上、更に好ましくは2.0質量部以上である。該含有量は、好ましくは7.0質量部以下、より好ましくは4.0質量部以下である。
ゴム組成物は、ステアリン酸を含むことが好ましい。ゴム組成物において、ステアリン酸の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.5~10質量部、より好ましくは0.5~4質量部である。
なお、ステアリン酸としては、従来公知のものを使用でき、例えば、日油(株)、花王(株)、富士フイルム和光純薬(株)、千葉脂肪酸(株)等の製品を使用できる。
ゴム組成物は、酸化亜鉛を含むことが好ましい。ゴム組成物において、酸化亜鉛の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.5~10質量部、より好ましくは1~3質量部である。
なお、酸化亜鉛としては、従来公知のものを使用でき、例えば、三井金属鉱業(株)、東邦亜鉛(株)、ハクスイテック(株)、正同化学工業(株)、堺化学工業(株)等の製品を使用できる。
ゴム組成物には、ワックスを配合してもよい。ゴム組成物において、ワックスの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.5~10質量部、より好ましくは1~5質量部である。
ワックスとしては特に限定されず、石油系ワックス、天然系ワックスなどが挙げられ、また、複数のワックスを精製又は化学処理した合成ワックスも使用可能である。これらのワックスは、単独で使用しても、2種類以上を併用してもよい。
石油系ワックスとしては、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス等が挙げられる。天然系ワックスとしては、石油外資源由来のワックスであれば特に限定されず、例えば、キャンデリラワックス、カルナバワックス、木ろう、ライスワックス、ホホバろうなどの植物系ワックス;ミツロウ、ラノリン、鯨ろうなどの動物系ワックス;オゾケライト、セレシン、ペトロラクタムなどの鉱物系ワックス;及びこれらの精製物などが挙げられる。市販品としては、例えば、大内新興化学工業(株)、日本精蝋(株)、精工化学(株)等の製品を使用できる。
ゴム組成物には、ポリマー鎖に適度な架橋鎖を形成し、良好な性能を付与するという点で、硫黄を配合することが好ましい。
ゴム組成物において、硫黄の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは1.0質量部以上、更に好ましくは1.7質量部以上である。該含有量は、好ましくは5.0質量部以下、より好ましくは3.0質量部以下、更に好ましくは2.0質量部以下である。
硫黄としては、ゴム工業において一般的に用いられる粉末硫黄、沈降硫黄、コロイド硫黄、不溶性硫黄、高分散性硫黄、可溶性硫黄などが挙げられる。市販品としては、鶴見化学工業(株)、軽井沢硫黄(株)、四国化成工業(株)、フレクシス社、日本乾溜工業(株)、細井化学工業(株)等の製品を使用できる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ゴム組成物は、加硫促進剤を含むことが好ましい。
ゴム組成物において、加硫促進剤の含有量は特に制限はなく、要望する加硫速度や架橋密度に合わせて自由に決定すれば良いが、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは2.0質量部以上、更に好ましくは2.7質量部以上である。上限は、好ましくは8.0質量部以下、より好ましくは6.0質量部以下、更に好ましくは5.0質量部以下である。
加硫促進剤の種類は特に制限はなく、通常用いられているものを使用可能である。加硫促進剤としては、2-メルカプトベンゾチアゾール、ジ-2-ベンゾチアゾリルジスルフィド、N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアジルスルフェンアミド等のチアゾール系加硫促進剤;テトラメチルチウラムジスルフィド(TMTD)、テトラベンジルチウラムジスルフィド(TBzTD)、テトラキス(2-エチルヘキシル)チウラムジスルフィド(TOT-N)等のチウラム系加硫促進剤;N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N-t-ブチル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N-オキシエチレン-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N,N’-ジイソプロピル-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド等のスルフェンアミド系加硫促進剤;ジフェニルグアニジン、ジオルトトリルグアニジン、オルトトリルビグアニジン等のグアニジン系加硫促進剤を挙げることができる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、スルフェンアミド系、グアニジン系、ベンゾチアゾール系加硫促進剤が好ましい。
ゴム組成物には、前記成分以外にも、タイヤ工業において一般的に用いられている配合剤、例えば、離型剤等の材料を適宜配合してもよい。
ゴム組成物の製造方法としては、公知の方法を用いることができ、例えば、前記各成分をオープンロール、バンバリーミキサーなどのゴム混練装置を用いて混練し、その後加硫する方法などにより製造できる。
なかでも、効果がより良好に得られる観点から、ゴム組成物は、前記シリカ及び前記分散剤(好ましくは前記脂肪酸アミド化合物)を含むシリカ分散液を作製する工程(1)と、該シリカ分散液及びゴムラテックスを含むシリカ・ゴム混合物(配合ラテックス)を作製する工程(2)とを含む製造方法により製造することが望ましい。
(工程(1))
工程(1)で作製するシリカ分散液は、シリカ、分散剤が溶媒中に分散した分散液(スラリー)である。溶媒としては特に限定されず、水、アルコール等の有機溶媒等が挙げられ、なかでも、水が好ましい。
上記シリカ分散液中のシリカの含有量(固形分)は、特に限定されないが、好ましくは0.2~20.0質量%、より好ましくは0.5~10.0質量%、更に好ましくは0.5~7.0質量%である。
上記工程(1)において、シリカと分散剤と溶媒とを混合しシリカ分散液を作製する方法としては、例えば、高速ホモジナイザー、超音波ホモジナイザー、コロイドミル、ブレンダ―ミルなどの公知の撹拌装置を用いて、シリカと分散剤と溶媒とを混合する方法などが挙げられ、十分分散するまで十分に撹拌することにより、シリカと分散剤を含むシリカ分散液を得ることができる。当該シリカ分散液を作製する際の温度や時間は、シリカと分散剤とが十分に分散するまで、通常行われる範囲で適宜設定でき、例えば、10~40℃で3~120分が好ましく、15~30℃で5~90分がより好ましい。
工程(1)において、シリカと分散剤との混合比〔シリカ量(質量部)/分散剤量(質量部)〕は、10/90~90/10が好ましく、20/80~80/20がより好ましく、30/70~70/30が更に好ましく、40/60~60/40が特に好ましい。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。なお、シリカと脂肪酸アミド化合物との含有比も同様の範囲が望ましい。
なお、工程(1)において、前記シリカ及び前記分散剤を含むシリカ分散液を作製する際、更に前述のミクロフィブリル化植物繊維を含むシリカ分散液を作製することが望ましい。この場合、前記ミクロフィブリル化植物繊維は、通常、シリカの沈降防止剤として機能する。そして、ミクロフィブリル化植物繊維を添加することで、シリカの沈降・凝集を防止してゴムラテックスと混合し、凝固する時に均一に凝固することが可能となる。
工程(1)において、更に前記ミクロフィブリル化植物繊維を含むシリカ分散液を作製する場合、上記シリカ分散液中の前記ミクロフィブリル化植物繊維の含有量(固形分)は、好ましくは0.1~10.0質量%、より好ましくは0.5~5.0質量%、更に好ましくは1.0~3.0質量%である。また、上記シリカ分散液において、前記ミクロフィブリル化植物繊維の含有量(固形分)は、シリカ分散液に含まれるシリカ100質量部に対して、好ましくは0.01~1.00質量%、より好ましくは0.05~0.50質量%、更に好ましくは0.10~0.30質量%である。
(工程(2))
次に、工程(1)で得られたシリカ分散液とゴムラテックスとを含むシリカ・ゴム混合物(配合ラテックス)を作製する工程(2)が行われる。
ゴムラテックスとしては、例えば、天然ゴムラテックス、改質天然ゴムラテックス(ケン化天然ゴムラテックス、エポキシ化天然ゴムラテックスなど)、合成ジエン系ゴムラテックス(ブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、スチレンイソプレンブタジエンゴム(SIBR)、イソプレンゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム、エチレン酢酸ビニルゴム、クロロプレンゴム、ビニルピリジンゴム、ブチルゴムなどのラテックス)などのジエン系ゴムラテックスが好適に使用できる。これらゴムラテックスとしては、単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。なかでも、天然ゴムラテックス、イソプレンゴムラテックス等のイソプレン系ゴムラテックス、SBRラテックス、BRラテックスが好ましく、イソプレン系ゴムラテックスがより好ましい。
天然ゴムラテックスはヘベア樹等の天然ゴムの樹木の樹液として採取され、ゴム成分のほか水、タンパク質、脂質、無機塩類等を含み、ゴム中のゲル分は種々の不純物の複合的な存在に基づくものと考えられている。本開示では、天然ゴムラテックスとして、ヘベア樹をタッピングして出てくる生ラテックス(フィールドラテックス)、遠心分離法やクリーミング法によって濃縮した濃縮ラテックス(精製ラテックス、常法によりアンモニアを添加したハイアンモニアラテックス、亜鉛華とTMTDとアンモニアによって安定化させたLATZラテックス等)等を使用できる。
ゴムラテックスのpHは、好ましくは8.5以上、より好ましくは9.5以上である。該pHが8.5以上であると、ゴムラテックスが不安定になりにくく、凝固しにくい傾向がある。上記ゴムラテックスのpHは、好ましくは12.0以下、より好ましくは11.0以下である。該pHが12.0以下であると、ゴムラテックスが劣化しにくい傾向がある。
ゴムラテックスは、従来公知の製法で調製でき、各種市販品も使用できる。なお、ゴムラテックスとしては、ゴム固形分が10~80質量%のものを使用することが好ましい。より好ましくは20質量%以上、65質量%以下である。
上記工程(2)において、工程(1)で得られたシリカ分散液とゴムラテックスとを混合する方法としては、例えば、高速ホモジナイザー、超音波ホモジナイザー、コロイドミル、ブレンダ―ミルなどの公知の撹拌装置にゴムを入れ、撹拌しながら、工程(1)で得られたシリカ分散液を滴下する方法や、工程(1)で得られたシリカ分散液を撹拌しながら、これにゴムラテックスを滴下する方法などが挙げられ、十分分散するまで十分に撹拌することにより、工程(1)で得られたシリカ分散液とゴムとの混合物(シリカ・ゴム混合物、配合ラテックス)を得ることができる。当該混合物を作製する際の温度や時間は、工程(1)で得られたシリカ分散液とゴムとが十分に分散するまで、通常行われる範囲で適宜設定することができるが、例えば、10~40℃で3~120分が好ましく、15~30℃で5~90分がより好ましい。
上記工程(2)で得られたシリカ・ゴム混合物(配合ラテックス)のpHは、9.0以上が好ましく、9.5以上がより好ましい。また、12.0以下が好ましく、11.5以下がより好ましい。上記工程(1)で得られたシリカ分散液とゴムラテックスとの混合物(配合ラテックス)のpHがこのような範囲であると、劣化を抑え、安定したものとすることができる。
上記工程(2)で得られたシリカ・ゴム混合物(配合ラテックス)を必要に応じて凝固させ、該凝固物(凝集ゴム及びフィラーを含む凝集物)を公知の方法でろ過、乾燥させ、更に乾燥後、2軸ロール、バンバリーなどでゴム練りを行うと、シリカがゴムマトリックスに十分に分散した複合体(ゴム・シリカ複合体)を得ることができる。該ゴム・シリカ複合体(ウェットマスターバッチ)は、効果を阻害しない範囲で他の成分を含んでもよい。
上記凝固は、上記工程(2)で得られたシリカ・ゴム混合物(配合ラテックス)に通常酸を添加することで行われる。凝固させるための酸としては、硫酸、塩酸、ギ酸、酢酸などが挙げられる。凝固させる際の温度としては、10~40℃が好ましい。
上記凝固の際、上記工程(2)で得られたシリカ・ゴム混合物(配合ラテックス)のpHを3~5に調整することが好ましく、3~4に調整することがより好ましい。
また、凝固の状態(凝固した凝集粒子の大きさ)を制御する目的で、凝集剤を添加しても良い。凝集剤として、カチオン性高分子などを用いることができる。
前述の製法等により、ゴム・シリカ複合体(マスターバッチ)が作製され、例えば、該ゴム・シリカ複合体及び他の成分をオープンロール、バンバリーミキサーなどのゴム混練装置を用いて混練し、その後加硫する方法などにより、ゴム組成物を製造できる。
混練条件としては、加硫剤及び加硫促進剤以外の添加剤を混練するベース練り工程では、混練温度は、通常50~200℃、好ましくは80~190℃であり、混練時間は、通常30秒~30分、好ましくは1分~30分である。加硫剤、加硫促進剤を混練する仕上げ練り工程では、混練温度は、通常100℃以下、好ましくは室温~80℃である。また、加硫剤、加硫促進剤を混練した組成物は、通常、プレス加硫などの加硫処理が施される。加硫温度としては、通常120~200℃、好ましくは140~180℃である。
上記ゴム組成物は、例えば、タイヤ部材に(タイヤ用ゴム組成物として)使用できる。
タイヤ部材としては特に限定されず、トレッド(キャップトレッド、ベーストレッド)、ベルト層、サイドウォール、ビードエイペックス、クリンチエイペックス、インナーライナー、アンダートレッド、ブレーカートッピング、プライトッピング等、任意のタイヤの各部材が挙げられる。なかでも、トレッド、ベルト層に使用することが望ましい。
上記ゴム組成物を適用するタイヤとしては、空気入りタイヤ、非空気入りタイヤなどが挙げられるが、なかでも、空気入りタイヤが好ましい。特に、夏用タイヤ(サマータイヤ)、冬用タイヤ(スタッドレスタイヤ、スノータイヤ、スタッドタイヤなど)として好適に使用できる。タイヤは、乗用車用タイヤ、大型乗用車用、大型SUV用タイヤ、トラック、バスなどの重荷重用タイヤ、ライトトラック用タイヤ、二輪自動車用タイヤ、レース用タイヤ(高性能タイヤ)などに使用可能である。
タイヤは、ゴム組成物を用いて通常の方法により製造される。例えば、各種材料を配合したゴム組成物を、未加硫の段階でトレッド、ベルト層の形状に合わせて押し出し加工し、他のタイヤ部材とともに、タイヤ成型機上にて通常の方法で成形することにより、未加硫タイヤを形成する。この未加硫タイヤを加硫機中で加熱加圧することによりタイヤを得る。
<タイヤ>
本開示のタイヤは、効果がより良好に得られる観点から、前記ゴム組成物(加硫後)で構成されるトレッドを有し、かつ、電子顕微鏡で観察される該トレッド中のシリカの各粒子の最大径の平均D1(μm)(トレッドを構成するゴム組成物中に含まれるシリカの各粒子の最大径の平均D1)と、該トレッドの厚みL1(mm)とが、下記式を満たすことが望ましい。
D1×L1≦2.5
D1×L1は、好ましくは2.3以下、より好ましくは1.6以下、更に好ましくは1.5以下、特に好ましくは1.4以下である。下限は、好ましくは1.0以上、より好ましくは1.1以上、更に好ましくは1.2以上である。上記範囲内であると、効果が好適に得られる。
前述の作用効果が得られる理由は必ずしも明らかではないが、以下のメカニズムにより奏するものと推察される。
シリカ粒子径のCV値を小さくすることに加えて、さらに、シリカの各粒子の最大径の平均も小さくすることで、ネットワークを細かくし、ゴム中部で力の伝達と反力を発生させやすくすることが可能になると考えられる。また、トレッド層の厚みが薄い方が内部に反力を伝えやすくなり、操縦安定性を向上させやすくなると考えられる。従って、これらの積を所定の値以下とすることにより、ゴム内部でのネットワークと力の伝達性が担保され、高速走行時の操縦安定性が顕著に向上すると推察される。
トレッドの厚みL1は、効果が好適に得られる観点から、下記式を満たすことが望ましい。
L1≦35mm
L1は、好ましくは30mm以下、より好ましくは27mm以下、更に好ましくは25mm以下である。下限は、好ましくは10mm以上、より好ましくは13mm以上、更に好ましくは15mm以上である。上記範囲内であると、効果が好適に得られる。
本開示のタイヤは、効果がより良好に得られる観点から、前記ゴム組成物(加硫後)で構成されるベルト層を有し、かつ、電子顕微鏡で観察される該ベルト層中のシリカの各粒子の最大径の平均D2(μm)(ベルト層を構成するゴム組成物中に含まれるシリカの各粒子の最大径の平均D2)と、該ベルト層のタイヤ半径方向外側表面からトレッド表面までの距離L2(mm)とが、下記式を満たすことが望ましい。
D2×L2≦2.7
D2×L2は、好ましくは2.5以下、より好ましくは1.7以下、更に好ましくは1.6以下、特に好ましくは1.5以下である。下限は、好ましくは1.0以上、より好ましくは1.1以上、更に好ましくは1.2以上である。上記範囲内であると、効果が好適に得られる。
前述の作用効果が得られる理由は必ずしも明らかではないが、以下のメカニズムにより奏するものと推察される。
シリカ粒子径のCV値を小さくすることに加えて、さらに、シリカの各粒子の最大径の平均を小さくすることで、ネットワークを細かくし、ゴム中部で力の伝達と反力を発生させやすくすることが可能になると考えられる。また、トレッド表面までの距離を小さくするようにすることで、反力を瞬時に発生させやすくなり、操縦安定性を向上させやすくなると考えられる。これらの積を所定の値以下とすることによって、高速走行時の操縦安定性が顕著に向上すると推察される。
ベルト層のタイヤ半径方向外側表面からトレッド表面までの距離L2は、効果が好適に得られる観点から、下記式を満たすことが望ましい。
L2≦42mm
L2は、好ましくは32mm以下、より好ましくは29mm以下、更に好ましくは27mm以下である。下限は、好ましくは12mm以上、より好ましくは15mm以上、更に好ましくは17mm以上である。上記範囲内であると、効果が好適に得られる。
トレッドの厚みL1は、タイヤの半径方向断面におけるタイヤ赤道面上でのトレッドの厚みを意味する。トレッドの厚みL1は、タイヤ赤道面点におけるトレッド表面の法線に沿って計測される値であり、トレッド表面からベルト層、カーカス層、ベルト補強層などのスチール、テキスタイルなど他の繊維材料を含む補強層のタイヤ最表面側の界面までの距離である。また、タイヤ赤道面上に溝を有する場合は、該溝のタイヤ半径方向最表面側の端部間を繋いだ直線で形成される面からの直線距離である。
ベルト層のタイヤ半径方向外側表面からトレッド表面までの距離L2は、タイヤの半径方向断面におけるタイヤ赤道面上でのベルト層のタイヤ半径方向外側表面からトレッド表面までの距離を意味する。ベルト層のタイヤ半径方向外側表面からトレッド表面までの距離は、タイヤ赤道面上におけるベルト層のタイヤ半径方向外側表面の法線に沿って計測される値である。また、タイヤ赤道面上に溝を有する場合は、該溝のタイヤ半径方向最表面側の端部間を繋いだ直線で形成される面までの直線距離である。
なお、本明細書において、タイヤの各寸法(トレッドの厚みL1、ベルト層のタイヤ半径方向外側表面からトレッド表面までの距離L2などの寸法)及び角度は、特に言及がない限り、タイヤを半径方向に切り出した断面セクションで測定され、測定の際、タイヤのビード部間の幅を正規リム幅に合わせて固定した状態で測定される。なお、後述のベルト層中のコードがタイヤ周方向となす角度などを測定する際は、該断面セクションのトレッド部を剥離させ、タイヤの半径方向から観察することにより、確認することが可能である。
正規リムとは、タイヤが依拠する規格において定められたリムを意味する。JATMA規格における「標準リム」、TRA規格における「Design Rim」、及びETRTO規格における「Measuring Rim」は、正規リムである。
前記ゴム組成物を用いたタイヤの一例を、図1を用いて説明する。
図1において、上下方向がタイヤ2の半径方向であり、左右方向がタイヤ2の軸方向であり、紙面との垂直方向がタイヤ2の周方向である。トレッド4は、キャップ層30及びベース層28を備えている。
なお、図1では、キャップ層30及びベース層28からなる2層構造トレッド4の例が示されているが、単層構造トレッド、3層以上の構造を有するトレッドでもよい。
タイヤ2において、それぞれのサイドウォール6は、トレッド4の端から半径方向略内向きに延びている。このサイドウォール6の半径方向外側部分は、トレッド4と接合されている。このサイドウォール6の半径方向内側部分は、クリンチ10と接合されている。このサイドウォール6は、カーカス14の損傷を防止できる。
図1のそれぞれのウィング8は、トレッド4とサイドウォール6との間に位置している。ウィング8は、トレッド4及びサイドウォール6のそれぞれと接合している。
それぞれのクリンチ10は、サイドウォール6の半径方向略内側に位置している。クリンチ10は、軸方向において、ビード12及びカーカス14よりも外側に位置している。
それぞれのビード12は、クリンチ10の軸方向内側に位置している。ビード12は、コア32と、このコア32から半径方向外向きに延びるエイペックス34とを備えている。コア32はリング状であり、巻回された非伸縮性ワイヤーを含むことが望ましい。エイペックス34は、半径方向外向きに先細りである。
カーカス14は、カーカスプライ36を備えている。このタイヤ2では、カーカス14は1枚のカーカスプライ36からなるが、2枚以上で構成されてもよい。
このタイヤ2では、カーカスプライ36は、両側のビード12の間に架け渡されており、トレッド4及びサイドウォール6に沿っている。カーカスプライ36は、それぞれのコア32の周りにて、軸方向内側から外側に向かって折り返されている。この折り返しにより、カーカスプライ36には、主部36aと一対の折り返し部36bとが形成されている。すなわち、カーカスプライ36は、主部36aと一対の折り返し部36bとを備えている。
図示されていないが、カーカスプライ36は、並列された多数のコードとトッピングゴムとからなることが望ましい。それぞれのコードが赤道面に対してなす角度の絶対値は、75°から90°が好適である。換言すれば、このカーカス14はラジアル構造を有することが好ましい。
図1のベルト層16は、トレッド4の半径方向内側に位置している。ベルト層16は、カーカス14と積層されている。ベルト層16は、カーカス14を補強する。ベルト層16は、内側層38及び外側層40からなる。図1から明らかなように、軸方向において、内側層38の幅は外側層40の幅よりも若干大きいことが望ましい。このタイヤ2では、ベルト層16の軸方向幅はタイヤ2の断面幅(JATMA参照)の0.6倍以上が好ましく、0.9倍以下が好ましい。
図示されていないが、内側層38及び外側層40のそれぞれは、並列された多数のコードとトッピングゴムとからなることが望ましい。言い換えれば、ベルト層16は並列された多数のコードを含んでいる。それぞれのコードは、赤道面に対して傾斜している。傾斜角度の一般的な絶対値は、10°以上35°以下である。内側層38のコードの赤道面に対する傾斜方向は、外側層40のコードの赤道面に対する傾斜方向とは逆である。
タイヤ2は、トレッド4及び/又はベルト層16が、前記式(1)「CV値≦75%」を満たす前記ゴム組成物で構成されている。また、該ゴム組成物は、前記式「D≦0.100μm」を満たすことが望ましく、該ゴム組成物を用いたタイヤ2は、「D1×L1≦1.5」、「D2×L2≦1.6」、「L1≦35mm」、「L2≦42mm」を満たすことが望ましい。
図1のバンド18は、ベルト層16の半径方向外側に位置している。軸方向において、バンド18はベルト層16の幅と同等の幅を有している。このバンド18が、このベルト層16の幅よりも大きな幅を有していてもよい。
図示されていないが、バンド18は、コードとトッピングゴムとからなることが望ましい。コードは、螺旋状に巻かれている。このバンド18は、いわゆるジョイントレス構造を有する。コードは、実質的に周方向に延びている。周方向に対するコードの角度は、5°以下、さらには2°以下であることが好ましい。このコードによりベルト層16が拘束されるので、ベルト層16のリフティングが抑制される。
図1のベルト層16及びバンド18は、補強層を構成している。ベルト層16のみから、補強層が構成されてもよい。
図2は、図1のトレッド4付近の拡大図である。
図2のL1は、トレッド表面24上のタイヤの半径方向断面におけるタイヤ赤道面上でのトレッドの厚みを示しており、タイヤ赤道面上におけるトレッド表面24の法線に沿って計測される値であり、トレッド表面24からバンド18のタイヤ最表面側の界面までの距離である。
図2のL2は、ベルト層16の外側層40のタイヤ半径方向外側表面からトレッド表面24までの距離を示しており、タイヤの半径方向断面におけるタイヤ赤道面上での外側層40のタイヤ半径方向外側表面からトレッド表面24までの距離を意味する。当該距離は、タイヤ赤道面上における外側層40のタイヤ半径方向外側表面の法線に沿って計測される値である。
インナーライナー20は、カーカス14の内側に位置している。インナーライナー20は、カーカス14の内面に接合されている。インナーライナー20の典型的な基材ゴムは、ブチルゴム又はハロゲン化ブチルゴムである。インナーライナー20は、タイヤ2の内圧を保持する。
それぞれのチェーファー22は、ビード12の近傍に位置している。この実施形態では、チェーファー22は布とこの布に含浸したゴムとからなることが望ましい。このチェーファー22が、クリンチ10と一体とされてもよい。
このタイヤ2では、トレッド4は溝26として主溝42を備えている。図1に示されているように、このトレッド4には、複数本、詳細には、3本の主溝42が刻まれている。これらの主溝42は、軸方向に間隔をあけて配置されている。このトレッド4には、3本の主溝42が刻まれることにより、周方向に延在する4本のリブ44が形成されている。つまり、リブ44とリブ44との間が主溝42である。
それぞれの主溝42は、周方向に延在している。主溝42は、周方向に途切れることなく連続している。主溝42は、例えば雨天時において、路面とタイヤ2との間に存在する水の排水を促す。このため、路面が濡れていても、タイヤ2は路面と十分に接触することができる。
以下では、実施をする際に好ましいと考えられる例(実施例)を示すが、本開示の範囲は実施例に限られない。
以下、実施例及び比較例で使用する各種薬品について、まとめて説明する。
NR:TSR20
天然ゴムラテックス:Muhibbah LATEKS社から入手したフィールドラテックスを使用
SBRラテックス:日本ゼオン(株)製のLX110(E-SBR、ビニル含量18質量%、スチレン含量:37.5質量%、ゴムラテックス中のゴム成分の濃度40.5質量%)
変性SBR:JSR(株)製のHPR355(3-アミノプロピルトリメトキシシラン変性、スチレン含有量:27質量%)
BR:宇部興産(株)製のBR150B(シス含量97質量%)
シリカ1:Solvay社製Premium SW(NSA275m/g)
シリカ2:Rhodia社製Zeosil 1165MP(NSA160m/g)
シリカ3:Rhodia社製Zeosil Premium 200MP(NSA220m/g)
シリカ4:Rhodia社製Zeosil 1115MP(NSA115m/g)
脂肪酸アミド化合物1:ジエタノールオレイン酸アミド(富士フイルム和光純薬(株)製)
脂肪酸アミド化合物2:パルミトイルエタノールアミド(東京化成工業(株)製)
脂肪酸アミド化合物3:オレイルエタノールアミド(富士フイルム和光純薬(株)製)
ミクロフィブリル化植物繊維:(株)スギノマシン製のバイオマスナノファイバー(製品名「BiNFi-s セルロース」、固形分2質量%、水分98質量%、平均繊維径20nm、平均繊維長2000nm)
老化防止剤:大内新興化学工業(株)製のノクラック6C(N-フェニル-N’-(1,3-ジメチルブチル)-p-フェニレンジアミン)(6PPD)
酸化亜鉛:三井金属鉱業(株)製の亜鉛華2種
ステアリン酸:日油(株)製の椿
カーボンブラック:三菱化学製N220(NSA114m/g)
シランカップリング剤:エボニックデグッサ社製のSi266(ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド)
硫黄:鶴見化学工業(株)製の粉末硫黄
加硫促進剤1:大内新興化学工業(株)製のノクセラーNS(N-tert-ブチル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド)
加硫促進剤2:大内新興化学工業(株)製のノクセラーD(N,N’-ジフェニルグアニジン)
(シリカ分散液の作製)
表1の配合処方に従い、各シリカ、各脂肪酸アミド化合物、ミクロフィブリル化植物繊維、水を添加し、高速ホモジナイザーを用いて室温(20~30℃)で5分間攪拌し、シリカ及び脂肪酸アミド化合物を含むシリカ分散液を作製する。
Figure 2023160596000001
(ゴム・シリカ複合体(ウェットマスターバッチ(WMB)の調製)
表2の配合処方に従って、各ゴム・フィラー複合体(各WMB)を製造した。
具体的には、作製されるシリカ分散液を、天然ゴムラテックス又はSBRラテックスに添加し、高速ホモジナイザーを用いて室温で5分攪拌し、pH10.2の配合ラテックスを得る。
次いで、室温下で2質量%ギ酸水溶液を加え、pH3~4に調整し、凝固物を得る。
得られる凝固物をろ過し、乾燥してゴム・シリカ複合体(WMB)を作製する。
Figure 2023160596000002
(ゴム・シリカ複合体(ドライマスターバッチ(DMB)の調製)
表3の配合処方に従って、各ゴム・フィラー複合体(各DMB)を製造した。
具体的には、シリカ、ゴムを、1.7Lバンバリーミキサーを用いて混練りし、ゴム・シリカ複合体(DMB)を作製する。
する。
Figure 2023160596000003
<試験用タイヤの作製>
表4~19の配合処方に従い、1.7Lバンバリーミキサーを用いて、硫黄及び加硫促進剤以外の薬品を混練りする。
次に、ロールを用いて、得られた混練り物に硫黄及び加硫促進剤を添加して練り込み、未加硫ゴム組成物を得る。
得られる未加硫ゴム組成物をトレッド又はベルト層の形状に成形し、タイヤ成型機上で他のタイヤ部材とともに貼り合わせて未加硫タイヤを形成し、次いで、170℃で12分間加硫し、試験用タイヤ(サイズ:195/65R15、仕様:各表)を製造する。
各表に従って配合を変化させた組成物により得られる試験用タイヤを想定して、下記評価方法に基づいて算出した結果を各表に示す。表4~19の配合には、ミクロフィブリル化植物繊維が微量となるため、記載していないが、表1、2に記載のとおり、ウェットマスターバッチ(WMB)を含む各配合は、WMB作製時にシリカ100質量部に対してミクロフィブリル化植物繊維が1質量部配合されている。
なお、基準比較例は、以下のとおりとする。
表4:比較例1-1b
表5:比較例1-2
表6:比較例1-3
表7:比較例1-4
表8:比較例1-5
表9:比較例1-6
表10:比較例2-1b
表11:比較例2-2
表12:比較例2-3
表13:比較例2-4
表14:比較例2-5
表15:比較例2-6
表16:比較例3-1
表17:比較例3-2
表18:比較例4-1
表19:比較例4-2
(シリカの各粒子の最大径の平均D、標準偏差の測定、CV値の算出)
試験用タイヤのトレッド又はベルト層から採取する加硫ゴムについて、FIB-SEM(集束イオンビーム、FEI社製「Helios」)を用いて、シリカの各粒子を観察する。
得られる40000倍の画像をimageJのFiji-「Trainable Weka Segmentation」で二値化する。
シリカ粒径の「最大値Major」の数値データから平均値と標準偏差を計算する。
平均値と標準偏差からCV値を計算する。
(CV値(%)=[シリカの各粒子の最大径の標準偏差(μm)]/[シリカの各粒子の最大径の平均(μm)]×100)
なお、FIB-SEMを用いる測定において、観察視野の大きさは「3×2μm」で、視野を変えて5か所測定した結果から、粒子径の値等を求める。
(高速走行時の操縦安定性)
試験用タイヤを国産FF2000ccの全輪に装着してテストコースを時速100km/hで走行し、蛇行運転をした際のドライバーの官能評価により操縦安定性を評価する。
10人のドライバーのフィーリングに基づいて、それぞれ10段階で評価する。
その評価の合計値を評点として求め、基準比較例を100とし、指数化する。指数が大きいほど、高速走行時の操縦安定性に優れている。
Figure 2023160596000004
Figure 2023160596000005
Figure 2023160596000006
Figure 2023160596000007
Figure 2023160596000008
Figure 2023160596000009
Figure 2023160596000010
Figure 2023160596000011
Figure 2023160596000012
Figure 2023160596000013
Figure 2023160596000014
Figure 2023160596000015
Figure 2023160596000016
Figure 2023160596000017
Figure 2023160596000018
Figure 2023160596000019
本開示(1)はゴム成分及びシリカを含むゴム組成物であって、
電子顕微鏡で観察される前記シリカの各粒子の最大径の変動係数(CV値)が、下記式(1)を満たすゴム組成物である。
(1)CV値≦75%
本開示(2)はゴム成分がイソプレン系ゴムを含む本開示(1)記載のゴム組成物である。
本開示(3)は脂肪酸アミド化合物を含む本開示(1)又は(2)記載のゴム組成物である。
本開示(4)はゴム成分100質量部に対するシリカの含有量が30質量部以上である本開示(1)~(3)のいずれかに記載のゴム組成物である。
本開示(5)は電子顕微鏡で観察されるシリカの各粒子の最大径Dが下記式を満たす本開示(1)~(4)のいずれかに記載のゴム組成物である。
D≦0.070μm以下
本開示(6)は本開示(1)~(5)のいずれかに記載のゴム組成物を用いたタイヤである。
本開示(7)は本開示(1)~(5)のいずれかに記載のゴム組成物で構成されるトレッド及び/又はベルト層を有するタイヤである。
本開示(8)は本開示(1)~(5)のいずれかに記載のゴム組成物で構成されるトレッドを有するタイヤであって、
電子顕微鏡で観察される前記トレッド中のシリカの各粒子の最大径の平均D1(μm)と、前記トレッドの厚みL1(mm)とが、下記式を満たすタイヤである。
D1×L1≦1.5
本開示(9)はトレッドの厚みL1が下記式を満たす本開示(8)記載のタイヤである。
L1≦25mm
本開示(10)は本開示(1)~(5)のいずれかに記載のゴム組成物で構成されるベルト層を有するタイヤであって、
電子顕微鏡で観察される前記ベルト層中のシリカの各粒子の最大径の平均D2(μm)と、前記ベルト層のタイヤ半径方向外側表面からトレッド表面までの距離L2(mm)とが、下記式を満たすタイヤである。
D2×L2≦1.6
本開示(11)はベルト層のタイヤ半径方向外側表面からトレッド表面までの距離L2が下記式を満たす本開示(10)記載のタイヤである。
L2≦27mm以下
2 タイヤ
4 トレッド
6 サイドウォール
8 ウィング
10 クリンチ
12 ビード
14 カーカス
16 ベルト層
18 バンド
20 インナーライナー
22 チェーファー
24 トレッド表面
26 溝
28 ベース層
30 キャップ層
32 コア
34 エイペックス
36 カーカスプライ
36a 主部
36b 折り返し部
38 内側層
40 外側層
42 主溝
44 リブ
CL タイヤ2の赤道面
L1 トレッド表面24上の所定の点におけるトレッドの厚み
L2 ベルト層16の外側層40の外側表面上の所定の点からトレッド表面24までの距離

Claims (11)

  1. ゴム成分及びシリカを含むゴム組成物であって、
    電子顕微鏡で観察される前記シリカの各粒子の最大径の変動係数(CV値)が、下記式(1)を満たすゴム組成物。
    (1)CV値≦75%
  2. ゴム成分がイソプレン系ゴムを含む請求項1記載のゴム組成物。
  3. 脂肪酸アミド化合物を含む請求項1又は2記載のゴム組成物。
  4. ゴム成分100質量部に対するシリカの含有量が30質量部以上である請求項1記載のゴム組成物。
  5. 電子顕微鏡で観察されるシリカの各粒子の最大径の平均Dが下記式を満たす請求項1記載のゴム組成物。
    D≦0.070μm以下
  6. 請求項1記載のゴム組成物を用いたタイヤ。
  7. 請求項1記載のゴム組成物で構成されるトレッド及び/又はベルト層を有するタイヤ。
  8. 請求項1記載のゴム組成物で構成されるトレッドを有するタイヤであって、
    電子顕微鏡で観察される前記トレッド中のシリカの各粒子の最大径の平均D1(μm)と、前記トレッドの厚みL1(mm)とが、下記式を満たすタイヤ。
    D1×L1≦1.5
  9. トレッドの厚みL1が下記式を満たす請求項8記載のタイヤ。
    L1≦25mm
  10. 請求項1記載のゴム組成物で構成されるベルト層を有するタイヤであって、
    電子顕微鏡で観察される前記ベルト層中のシリカの各粒子の最大径の平均D2(μm)と、前記ベルト層のタイヤ半径方向外側表面からトレッド表面までの距離L2(mm)とが、下記式を満たすタイヤ。
    D2×L2≦1.6
  11. ベルト層のタイヤ半径方向外側表面からトレッド表面までの距離L2が下記式を満たす請求項10記載のタイヤ。
    L2≦27mm以下
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