JP2024061257A - ゴム組成物及びタイヤ - Google Patents

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Abstract

【課題】氷雪路面上におけるグリップ性能及び耐摩耗性能の総合性能の向上を図る。【解決手段】ゴム成分と、30℃における平均体積Vb(mm3)に対する-5℃における平均体積Va(mm3)の比(Va/Vb)が1超であり、かつ25℃で固体状態の負熱膨張材料と、カーボンブラックとを含むゴム組成物に関する。【選択図】なし

Description

本発明は、ゴム組成物及びタイヤに関する。
従来からゴム組成物中にセルロースなどの材料を含有させ、ゴム表面の粗さを粗くすることにより、氷雪路面上におけるグリップ性能を確保する技術が用いられている。
特開2022-121848号公報
一方、そのようなゴム表面の粗さを粗くする材料を使用する場合、氷雪路面上におけるグリップ性能は向上するものの、アスファルトなど乾燥路面を走行した際に、これらの材料が路面に引っ掛かり、微細な破壊起点となることで、耐摩耗性が低下すると考えられる。
本発明は、前記課題を解決し、氷雪路面上におけるグリップ性能及び耐摩耗性能の総合性能の向上を図ることを目的とする。
本発明は、ゴム成分と、30℃における平均体積Vb(mm)に対する-5℃における平均体積Va(mm)の比(Va/Vb)が1超であり、かつ25℃で固体状態の負熱膨張材料と、カーボンブラックとを含むゴム組成物に関する。
本発明は、ゴム成分と、30℃における平均体積Vb(mm)に対する-5℃における平均体積Va(mm)の比(Va/Vb)が1超であり、かつ25℃で固体状態の負熱膨張材料と、カーボンブラックとを含むゴム組成物であるので、氷雪上性能及び耐摩耗性能の総合性能の向上を図ることができる。
空気入りタイヤの一部が示された断面図である。 図1のタイヤ2のトレッド4の近辺が示された拡大断面図である。
本発明は、ゴム成分と、30℃における平均体積Vb(mm)に対する-5℃における平均体積Va(mm)の比(Va/Vb)が1超であり、かつ25℃で固体状態の負熱膨張材料と、カーボンブラックとを含むゴム組成物である。
前述の作用効果が得られる理由は必ずしも明らかではないが、以下のメカニズムにより奏するものと推察される。
ポリマー成分(ゴム成分)中に、30℃における平均体積Vb(mm)に対する-5℃における平均体積Va(mm)の比(Va/Vb)が1超であり、かつ25℃で固体状態の負熱膨張材料を含むことで、低温時には負熱膨張材料が周囲のポリマー鎖を押しのけるように大きくなる。そのため、ゴム中において、硬い負熱膨張材料の体積が大きくなりつつ、負熱膨張材料周辺のポリマー密度が増加した状態となり、ゴム中に硬いドメインが発現することとなる。そのため、低温ではこれらの硬いドメインがスパイクのように働き、氷雪路面上でのグリップ性能が向上すると考えられる。
一方、常温以上では、この負熱膨張材料が周囲のポリマー鎖を引き連れて体積が収縮することで、ゴム中から抜け出すことなく、ゴム中に占める硬い金属部位の体積が減少し、周囲のポリマー鎖の密状態も解除されるため、路面に対するスパイク効果が解消される。そのため、路面に対する引っ掛かりが生じにくくなり、耐摩耗性が向上する。また、負熱膨張材料とポリマー鎖が相互作用することにより、補強性も得られるため、耐摩耗性が向上すると考えられる。
さらに、カーボンブラックは、熱伝導性に優れるため、負熱膨張材料と同時に内包することで、路面や外気からの熱が伝わりやすくなり、相転移を起こしやすくなり、効果を発揮しやすくなると考えられる。
以上により、氷雪路面上でのグリップ性能及び耐摩耗性能の総合性能が向上すると推察される。
前記ゴム組成物は、ゴム成分を含む。
ゴム成分は、架橋に寄与する成分であり、一般的に、重量平均分子量(Mw)が1万以上のポリマーで、アセトンにより抽出されないポリマー成分がゴム成分に該当する。前記ゴム成分は、常温(25℃)で固体状態である。
ゴム成分の重量平均分子量は、好ましくは5万以上、より好ましくは15万以上、更に好ましくは20万以上であり、また、好ましくは200万以下、より好ましくは150万以下、更に好ましくは100万以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
なお、本明細書において、重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)(東ソー(株)製GPC-8000シリーズ、検出器:示差屈折計、カラム:東ソー(株)製のTSKGEL SUPERMULTIPORE HZ-M)による測定値を基に標準ポリスチレン換算により求めることができる。
前記ゴム組成物に使用可能なゴム成分としては、例えば、ジエン系ゴムを使用できる。ジエン系ゴムとしては、イソプレン系ゴム、ブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、スチレンイソプレンブタジエンゴム(SIBR)、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、クロロプレンゴム(CR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)などが挙げられる。また、ブチル系ゴム、フッ素ゴムなども挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、効果がより得られる観点から、イソプレン系ゴム、BR、SBRが好ましい。また、これらのゴム成分は後述の変性処理、水素添加処理が行われていても良く、オイル、樹脂、液状ゴム成分などにより伸展された、伸展ゴムを用いても良い。
上記ジエン系ゴムは、非変性ジエン系ゴムでもよいし、変性ジエン系ゴムでもよい。
変性ジエン系ゴムとしては、シリカ等の充填剤と相互作用する官能基を有するジエン系ゴムであればよく、例えば、ジエン系ゴムの少なくとも一方の末端を、上記官能基を有する化合物(変性剤)で変性された末端変性ジエン系ゴム(末端に上記官能基を有する末端変性ジエン系ゴム)や、主鎖に上記官能基を有する主鎖変性ジエン系ゴムや、主鎖及び末端に上記官能基を有する主鎖末端変性ジエン系ゴム(例えば、主鎖に上記官能基を有し、少なくとも一方の末端を上記変性剤で変性された主鎖末端変性ジエン系ゴム)や、分子中に2個以上のエポキシ基を有する多官能化合物により変性(カップリング)され、水酸基やエポキシ基が導入された末端変性ジエン系ゴム等が挙げられる。
上記官能基としては、例えば、アミノ基、アミド基、シリル基、アルコキシシリル基、イソシアネート基、イミノ基、イミダゾール基、ウレア基、エーテル基、カルボニル基、オキシカルボニル基、メルカプト基、スルフィド基、ジスルフィド基、スルホニル基、スルフィニル基、チオカルボニル基、アンモニウム基、イミド基、ヒドラゾ基、アゾ基、ジアゾ基、カルボキシル基、ニトリル基、ピリジル基、アルコキシ基、水酸基、オキシ基、エポキシ基等が挙げられる。なお、これらの官能基は、置換基を有していてもよい。なかでも、アミノ基(好ましくはアミノ基が有する水素原子が炭素数1~6のアルキル基に置換されたアミノ基)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1~6のアルコキシ基)、アルコキシシリル基(好ましくは炭素数1~6のアルコキシシリル基)が好ましい。
イソプレン系ゴムとしては、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、改質NR、変性NR、変性IR等が挙げられる。NRとしては、例えば、SIR20、RSS♯3、TSR20等、ゴム工業において一般的なものを使用できる。IRとしては、特に限定されず、例えば、IR2200等、ゴム工業において一般的なものを使用できる。改質NRとしては、脱タンパク質天然ゴム(DPNR)、高純度天然ゴム(UPNR)等、変性NRとしては、エポキシ化天然ゴム(ENR)、水素添加天然ゴム(HNR)、グラフト化天然ゴム等、変性IRとしては、エポキシ化イソプレンゴム、水素添加イソプレンゴム、グラフト化イソプレンゴム等、が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
前記ゴム組成物がイソプレン系ゴムを含有する場合、ゴム成分100質量%中のイソプレン系ゴムの含有量は、好ましくは5質量%以上、より好ましくは20質量%以上、更に好ましくは30質量%以上、特に好ましくは40質量%以上であり、100質量%でもよい。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
BRは特に限定されず、例えば、高シス含量のハイシスBR、シンジオタクチックポリブタジエン結晶を含有するBR、希土類系触媒を用いて合成したBR(希土類BR)等を使用できる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、BRは、シス含量が90質量%以上のハイシスBRを含むことが好ましい。該シス含量は、95質量%以上がより好ましい。なお、シス含量は、赤外吸収スペクトル分析法によって測定できる。
また、BRは、非変性BR、変性BRのいずれも使用可能である。変性BRとしては、変性ジエン系ゴムと同様の官能基が導入された変性BRが挙げられる。また、BRは、水素添加ブタジエン重合体(水添BR)も使用可能である。
BRとしては、例えば、宇部興産(株)、JSR(株)、旭化成(株)、日本ゼオン(株)等の製品を使用できる。
前記ゴム組成物がBRを含有する場合、ゴム成分100質量%中のBRの含有量は、好ましくは5質量%以上、より好ましくは20質量%以上、更に好ましくは30質量%以上、特に好ましくは40質量%以上である。上限は特に限定されないが、80質量%以下が好ましく、75質量%以下がより好ましく、60質量%以下がさらに好ましく、50質量%以下が特に好ましい。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
SBRとしては特に限定されず、例えば、乳化重合スチレンブタジエンゴム(E-SBR)、溶液重合スチレンブタジエンゴム(S-SBR)等を使用できる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
SBRのスチレン含有量は、好ましくは5質量%以上、より好ましくは8質量%以上、更に好ましくは10質量%以上であり、また、好ましくは35質量%以下、より好ましくは30質量%以下、更に好ましくは27質量%以下、特に好ましくは25質量%以下である。上記範囲内にすることで、高速走行時の操縦安定性が改善される傾向がある。
なお、本明細書において、スチレン含有量は、H-NMR測定によって測定できる。
SBRのビニル結合量は、好ましくは3質量%以上、より好ましくは5質量%以上、更に好ましくは7質量%以上、特に好ましくは10質量%以上であり、また、好ましくは60質量%以下、より好ましくは50質量%以下、更に好ましくは45質量%以下、特に好ましくは30質量%以下である。上記範囲内にすることで、高速走行時の操縦安定性が改善される傾向がある。
なお、本明細書において、ビニル結合量(1,2-結合ブタジエン単位量)は、赤外吸収スペクトル分析法によって測定できる。
SBRは、非変性SBR、変性SBRのいずれも使用可能である。変性SBRとしては、変性ジエン系ゴムと同様の官能基が導入された変性SBRが挙げられる。また、SBRとして、水素添加スチレン-ブタジエン共重合体(水添SBR)も使用可能である。
SBRとしては、例えば、住友化学(株)、JSR(株)、旭化成(株)、日本ゼオン(株)等により製造・販売されているSBRを使用できる。
前記ゴム組成物がSBRを含有する場合、ゴム成分100質量%中のSBRの含有量は、好ましくは5質量%以上、より好ましくは20質量%以上、更に好ましくは30質量%以上、特に好ましくは40質量%以上であり、100質量%でもよい。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
前記ゴム組成物は、30℃における平均体積Vb(mm)に対する-5℃における平均体積Va(mm)の比(Va/Vb)が1超であり、かつ25℃で固体状態の負熱膨張材料と、カーボンブラックとを含む。
より効果が得られる観点から、Va/Vbは、好ましくは1.004以上、より好ましくは1.010以上、更に好ましくは1.020以上、特に好ましくは1.030以上である。Va/Vbの上限は特に限定されないが、好ましくは2.000以下、より好ましくは1.500以下、更に好ましくは1.300以下である。
ここで、負熱膨張材料の-5℃における平均体積、負熱膨張材料の30℃における平均体積とは、-5℃、30℃において、負熱膨張材料を構成する各材料の-5℃における平均の体積、30℃における平均の体積をそれぞれ意味する(各粒子の平均の体積など)。
25℃で固体状態とは、25℃の条件下で流動性がないことを意味する。
Va/Vbが1超を満たす限り、Vaは特に限定されず、例えば、Vaは、1mm以上、10000mm以下である。原材料の段階でのVa、Vbは取り出した負熱膨張材料の-5℃、30℃における体積を測定することで求めることが可能である。なお、ゴム組成物中における、負熱膨張材料の-5℃における平均体積Var、及び30℃における負熱膨張材料の平均体積Vbrは後述の方法により算出することができる。
前記負熱膨張材料は、より効果が得られる観点から、粒子状材料であることが望ましい。
前記負熱膨張材料が粒子状材料(負熱膨張粒子)である場合、前記ゴム組成物中の負熱膨張材料の30℃における平均粒子径は、好ましくは50.00μm以下、より好ましくは40.00μm以下、更に好ましくは35.00μm以下、特に好ましくは30.04μm以下である。下限は、好ましくは5.00μm以上、より好ましくは15.00μm以上、更に好ましくは20.00μm以上、特に好ましくは25.00μm以上である。上記範囲内であると、効果が好適に得られる傾向がある。
30℃における平均粒子径が50.00μm以下の負熱膨張材料を配合することで、より効果が得られるメカニズムは明らかではないが、乾燥路面を走行する際に、負熱膨張材料が路面にひっかかることを抑制しやすくすることが可能となり、それにより、耐摩耗性能などが向上すると推察される。
前記負熱膨張材料が粒子状材料(負熱膨張粒子)である場合、前記ゴム組成物中の負熱膨張材料の-5℃における平均粒子径は、好ましくは50.00μm以下、より好ましくは40.00μm以下、更に好ましくは35.00μm以下、特に好ましくは30.04μm以下である。下限は、好ましくは5.00μm以上、より好ましくは15.00μm以上、更に好ましくは20.00μm以上、特に好ましくは25.00μm以上である。上記範囲内であると、効果が好適に得られる傾向がある。
なお、本発明において、ゴム組成物中の-5℃、30℃における負熱膨張材料(粒子)の平均粒子径の測定には、原子間力顕微鏡(AFM)観察が用いられる。具体的には、-5℃、30℃のそれぞれにおいて、ゴム組成物中の負熱膨張材料粒子を原子間力顕微鏡で観察し、材料の形状が球状の場合には球の直径を粒子径とし、針状又は棒状の場合には短径を粒子径とし、不定型の場合には中心部からの平均粒子径を粒子径とし、微粒子100個の粒径の平均値を平均粒子径とする。
また、ゴム組成物中の負熱膨張材料の-5℃における平均体積Var、ゴム組成物中の25℃における平均体積Vbrについても、原子間力顕微鏡(AFM)観察が用いられ、観測された負熱膨張材料の平均面積の2分の3乗がVa、Vbに相当するものとして取り扱う。そして、上記の関係性から、ゴム組成物中からVa/Vbは以下のように算出することが可能である。
Va/Vb=Var/Vbr=(-5℃における負熱膨張材料の平均面積/30℃における負熱膨張材料の平均面積)3/2
前記負熱膨張材料のゴム組成物中での-5℃における平均体積Varは特に限定されないが、500μm以上であると好ましく、15000μm以上であるとより好ましく、65000μm以上であると更に好ましい。一方、上限としては特に限定されないが、900000μm以下であることが好ましく、700000μm以下であることがより好ましく、500000μm以下であることが更に好ましく、350000μm以下であることが特に好ましい。
また、前記負熱膨張材料のゴム組成物中での30℃における平均体積Vbrは特に限定されないが、65.00μm以下であると好ましく、35.00μm以下であるとより好ましく、25.00μm以下であると更に好ましく、15.00μm以下であると特に好ましい。一方、下限は特に限定されないが、0.01μm以上が好ましく、0.07μm以上がより好ましく、0.25μm以上が更に好ましく、0.50μm以上が特に好ましい。
前記負熱膨張材料としては、例えば、30℃における平均体積Vb(mm)に対する-5℃における平均体積Va(mm)の比(Va/Vb)が1超であり、かつ25℃で固体状態の粒子材料を使用でき、具体的には、ビスマスニッケル鉄酸化物(BiNi1-xFe(x<1):BNFO)、ビスマスランタンニッケル酸化物(Bi1-xLaNiO(x<1))、タングステン酸ジルコニウム(ZrW)、リン酸タングステン酸ジルコニウム(ZrWO(PO)、β-ユークリプタイト(β-LiAlSiO)、シリコン酸化物(LiO-Al-nSiO(1≦n≦25))、ペロブスカイト型複合酸化物であるルテニウム酸化物(CaRuO4-x(x<0.4)、CaRu1-xFe4-y(x、y<0.4))、ペロブスカイト型複合酸化物のうちAサイト秩序型ペロブスカイト型酸化物(LaCuFe12)、逆ペロブスカイト型マンガン窒化物および逆ペロブスカイト型マンガン窒化物の窒素の一部が炭素に置換されたもの(MnAN1-x(0≦x<0.2)、ただしAは亜鉛(Zn)、ガリウム(Ga)、ゲルマニウム(Ge)のいずれかである。)などが挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
なかでも、より効果が得られる観点から、ビスマスニッケル鉄酸化物(BiNi1-xFe(x<1):BNFO)、ビスマスランタンニッケル酸化物(Bi1-xLaNiO(x<1))、タングステン酸ジルコニウム(ZrW)、リン酸タングステン酸ジルコニウム(ZrWO(PO)、β-ユークリプタイト(β-LiAlSiO)、シリコン酸化物(LiO-Al-nSiO(1≦n≦25))が好ましく、ビスマスニッケル鉄酸化物(BiNi1-xFe(x<1):BNFO)がより好ましい。
前記ゴム組成物において、前記負熱膨張材料の含有量(ビスマスニッケル鉄酸化物、ビスマスランタンニッケル酸化物などの総量)は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは5質量部以上、より好ましくは15質量部以上、更に好ましくは25質量部以上、特に好ましくは30質量部以上である。該含有量の上限は特に限定されないが、好ましくは200質量部以下、より好ましくは150質量部以下、更に好ましくは100質量部以下、特に好ましくは80質量部以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
なお、ビスマスニッケル鉄酸化物(BiNi1-xFe(x<1):BNFO)の含有量も同様の範囲が望ましい。
前記ゴム組成物は、フィラー(充填材)を含んでもよい。
フィラー(充填材)としては特に限定されず、ゴム分野で公知の材料を使用でき、例えば、カーボンブラック、シリカ、炭酸カルシウム、タルク、アルミナ、クレイ、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、マイカなどの無機フィラー、バイオ炭(BIO CHAR);難分散性フィラー等が挙げられる。
なお、本発明において、前記負熱膨張材料は、フィラーに該当しないものとし、後述のフィラーの合計含有量には、前記負熱膨張材料の量は含まれない。
前記ゴム組成物において、フィラーの合計含有量(シリカ、カーボンブラックなどのフィラーの総量)は、ゴム成分100質量部に対して、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは5質量部以上、より好ましくは15質量部以上、更に好ましくは25質量部以上、特に好ましくは30質量部以上である。該含有量の上限は特に限定されないが、好ましくは200質量部以下、より好ましくは150質量部以下、更に好ましくは100質量部以下、特に好ましくは80質量部以下である。
フィラー(充填材)のなかでも、カーボンブラックなどの炭素由来フィラー(炭素含有フィラー)、シリカが好ましい。
前記ゴム組成物に使用可能なカーボンブラックとしては、特に限定されないが、N134、N110、N220、N234、N219、N339、N330、N326、N351、N550、N762等が挙げられる。市販品としては、旭カーボン(株)、キャボットジャパン(株)、東海カーボン(株)、三菱化学(株)、ライオン(株)、新日化カーボン(株)、コロンビアカーボン社等の製品を使用できる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、従来の鉱物油などを原料としたカーボンブラックのほか、リグニンなどのバイオマス材料を原料としたカーボンブラックを用いても良い。また、タイヤなどのカーボンブラックを含むゴム製品、プラスチック製品などを分解して得られたリサイクルカーボンブラックを適宜、上記カーボンブラックと等量置換して用いても良い。
前記ゴム組成物において、カーボンブラックの窒素吸着比表面積(NSA)は、10m/g以上が好ましく、30m/g以上がより好ましく、40m/g以上が更に好ましく、45m/g以上が特に好ましい。また、上記NSAの上限は限定されないが、好ましくは200質量部以下、より好ましくは150質量部以下、更に好ましくは120質量部以下、特に好ましくは100質量部以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
前記ゴム組成物において、カーボンブラックの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは5質量部以上、更に好ましくは15質量部以上、特に好ましくは25質量部以上である。該含有量の上限は特に限定されないが、好ましくは200質量部以下、より好ましくは150質量部以下、更に好ましくは100質量部以下、特に好ましくは80質量部以下である。
前記ゴム組成物において、使用可能なシリカとしては、乾式法シリカ(無水シリカ)、湿式法シリカ(含水シリカ)などが挙げられる。なかでも、シラノール基が多いという理由から、湿式法シリカが好ましい。市販品としては、デグッサ社、ローディア社、東ソー・シリカ(株)、ソルベイジャパン(株)、(株)トクヤマ等の製品を使用できる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらのシリカのほか、もみ殻などのバイオマス材料を原料としたシリカを用いても良い。
シリカの窒素吸着比表面積(NSA)は、好ましくは30m/g以上、より好ましくは50m/g以上、更に好ましくは80m/g以上、特に好ましくは100m/g以上である。また、シリカのNSAの上限は特に限定されないが、好ましくは350m/g以下、より好ましくは300m/g以下、更に好ましくは250m/g以下、特に好ましくは200m/g以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
なお、シリカのNSAは、ASTM D3037-93に準じてBET法で測定される値である。
前記ゴム組成物において、シリカの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは5質量部以上、より好ましくは30質量部以上、更に好ましくは50質量部以上、特に好ましくは60質量部以上である。該含有量の上限は特に限定されないが、好ましくは200質量部以下、より好ましくは150質量部以下、更に好ましくは120質量部以下、特に好ましくは100質量部以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
前記ゴム組成物がシリカを含む場合、更にシランカップリング剤を含むことが好ましい。
シランカップリング剤としては、特に限定されず、ゴム分野で公知のものが使用可能であり、例えば、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2-トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(4-トリエトキシシリルブチル)テトラスルフィド、ビス(3-トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2-トリメトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(2-トリエトキシシリルエチル)トリスルフィド、ビス(4-トリメトキシシリルブチル)トリスルフィド、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2-トリエトキシシリルエチル)ジスルフィド、ビス(4-トリエトキシシリルブチル)ジスルフィド、ビス(3-トリメトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2-トリメトキシシリルエチル)ジスルフィド、ビス(4-トリメトキシシリルブチル)ジスルフィド、3-トリメトキシシリルプロピル-N,N-ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、2-トリエトキシシリルエチル-N,N-ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3-トリエトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィド、などのスルフィド系、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、2-メルカプトエチルトリエトキシシラン、Momentive社製のNXT、NXT-Zなどのメルカプト系、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシランなどのビニル系、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシランなどのアミノ系、γ-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、などのグリシドキシ系、3-ニトロプロピルトリメトキシシラン、3-ニトロプロピルトリエトキシシランなどのニトロ系、3-クロロプロピルトリメトキシシラン、3-クロロプロピルトリエトキシシランなどのクロロ系などがあげられる。市販品としては、デグッサ社、Momentive社、信越シリコーン(株)、東京化成工業(株)、アヅマックス(株)、東レ・ダウコーニング(株)等の製品を使用できる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
前記ゴム組成物において、シランカップリング剤の含有量は、シリカ100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは3質量部以上、更に好ましくは5質量部以上、特に好ましくは7質量部以上である。該含有量の上限は、好ましくは50質量部以下、より好ましくは20質量部以下、更に好ましくは15質量部以下、特に好ましくは10質量部以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
難分散性フィラーとしては、例えば、ミクロフィブリル化植物繊維、短繊維状セルロース、ゲル状化合物等が挙げられる。なかでも、ミクロフィブリル化植物繊維が好ましい。
上記ミクロフィブリル化植物繊維としては、良好な補強性が得られるという点から、セルロースミクロフィブリルが好ましい。セルロースミクロフィブリルとしては、天然物由来のものであれば特に制限されず、例えば、果実、穀物、根菜などの資源バイオマス、木材、竹、麻、ジュート、ケナフ、及びこれらを原料として得られるパルプや紙、布、農作物残廃物、食品廃棄物や下水汚泥などの廃棄バイオマス、稲わら、麦わら、間伐材などの未使用バイオマスの他、ホヤ、酢酸菌等の生産するセルロースなどに由来するものが挙げられる。これらのミクロフィブリル化植物繊維は、1種を用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
なお、本明細書において、セルロースミクロフィブリルとは、典型的には、平均繊維径が10μm以下の範囲内であるセルロース繊維、より典型的には、セルロース分子の集合により形成されている平均繊維径500nm以下の微小構造を有するセルロース繊維を意味する。典型的なセルロースミクロフィブリルは、例えば、上記のような平均繊維径を有するセルロース繊維の集合体として形成されている。
前記ゴム組成物において、難分散性フィラーの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは3質量部以上、更に好ましくは5質量部以上である。該含有量の上限は、好ましくは50質量部以下、より好ましくは30質量部以下、更に好ましくは20質量部以下、特に好ましくは10質量部以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
前記ゴム組成物には、可塑剤を配合してもよい。
可塑剤とは、ゴム成分に可塑性を付与する材料であり、例えば、液体可塑剤(常温(25℃)で液体状態の可塑剤)、樹脂(常温(25℃)で固体状態の樹脂)等が挙げられる。
前記ゴム組成物において、可塑剤の含有量(可塑剤の総量)は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは3質量部以上、より好ましくは5質量部以上、更に好ましくは10質量部以上、特に好ましくは15質量部以上であり、また、好ましくは100質量部以下、より好ましくは70質量部以下、更に好ましくは50質量部以下、特に好ましくは30質量部以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。なお、前述の伸展ゴムを用いる場合、その伸展ゴムに用いられた伸展成分量は可塑剤の含有量に含まれる。
前記ゴム組成物に使用可能な液体可塑剤(常温(25℃)で液体状態の可塑剤)としては特に限定されず、オイル、液状ポリマー(液状樹脂、液状ジエン系ポリマーなど)などが挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
前記ゴム組成物において、液体可塑剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは3質量部以上、より好ましくは5質量部以上、更に好ましくは10質量部以上、特に好ましくは15質量部以上であり、また、好ましくは100質量部以下、より好ましくは70質量部以下、更に好ましくは50質量部以下、特に好ましくは30質量部以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。なお、オイルの含有量も同様の範囲が好適である。
オイルとしては、例えば、プロセスオイル、植物油、又はその混合物が挙げられる。プロセスオイルとしては、例えば、MES(Mild Extract Solvated)、DAE(Distillate Aromatic Extract)、TDAE(treated Distillate Aromatic Extract)、TRAE(treated Residual Aromatic Extract)、RAE(residual Aromatic Extract)などのパラフィン系プロセスオイル、アロマ系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイルなどを用いることができる。植物油としては、ひまし油、綿実油、あまに油、なたね油、大豆油、パーム油、やし油、落花生油、ロジン、パインオイル、パインタール、トール油、コーン油、こめ油、べに花油、ごま油、オリーブ油、ひまわり油、パーム核油、椿油、ホホバ油、マカデミアナッツ油、桐油等が挙げられる。市販品としては、出光興産(株)、三共油化工業(株)、(株)ジャパンエナジー、オリソイ社、H&R社、豊国製油(株)、昭和シェル石油(株)、富士興産(株)、日清オイリオグループ(株)等の製品を使用できる。なかでも、プロセスオイル(パラフィン系プロセスオイル、アロマ系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイル等)、植物油が好ましい。またライフサイクルアセスメントの観点から上記したオイルとして、ゴム混合機やエンジンなどで用いられた潤滑油や調理店で使用された廃食用油を精製したものを用いても良い。
液状樹脂としては、テルペン系樹脂(テルペンフェノール樹脂、芳香族変性テルペン樹脂を含む)、ロジン樹脂、スチレン系樹脂、C5系樹脂、C9系樹脂、C5/C9系樹脂、ジシクロペンタジエン(DCPD)樹脂、クマロンインデン系樹脂(クマロン、インデン単体樹脂を含む)、フェノール樹脂、オレフィン系樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂等が挙げられる。また、これらの水素添加物も使用可能である。
液状ジエン系ポリマーとしては、25℃で液体状態の液状スチレンブタジエン共重合体(液状SBR)、液状ブタジエン重合体(液状BR)、液状イソプレン重合体(液状IR)、液状スチレンイソプレン共重合体(液状SIR)、液状スチレンブタジエンスチレンブロック共重合体(液状SBSブロックポリマー)、液状スチレンイソプレンスチレンブロック共重合体(液状SISブロックポリマー)、液状ファルネセン重合体、液状ファルネセンブタジエン共重合体等が挙げられる。これらは、末端や主鎖が極性基で変性されていても構わない。また、これらの水素添加物も使用可能である。
前記ゴム組成物に使用可能な上記樹脂(常温(25℃)で固体状態の樹脂)としては、例えば、常温(25℃)で固体状態の芳香族ビニル重合体、クマロンインデン樹脂、クマロン樹脂、インデン樹脂、フェノール樹脂、ロジン樹脂、石油樹脂、テルペン系樹脂、アクリル系樹脂などが挙げられる。また、樹脂は、水添されていてもよい。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。なかでも、芳香族ビニル重合体、石油樹脂、テルペン系樹脂が好ましい。
前記ゴム組成物が上記樹脂を含有する場合、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは3質量部以上、より好ましくは5質量部以上、更に好ましくは10質量部以上、特に好ましくは15質量部以上であり、また、好ましくは100質量部以下、より好ましくは70質量部以下、更に好ましくは50質量部以下、特に好ましくは30質量部以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
上記樹脂の軟化点は、60℃以上が好ましく、70℃以上がより好ましく、80℃以上が更に好ましい。上限は、160℃以下が好ましく、130℃以下がより好ましく、115℃以下が更に好ましい。上記範囲内にすることで、高速走行時の操縦安定性が改善される傾向がある。
なお、上記樹脂の軟化点は、JIS K6220-1:2001に規定される軟化点を環球式軟化点測定装置で測定し、球が降下した温度である。前記した樹脂の軟化点は通常、樹脂のガラス転移温度より50℃±5℃高い値となる。
上記芳香族ビニル重合体は、芳香族ビニルモノマーを構成単位として含むポリマーである。例えば、α-メチルスチレン及び/又はスチレンを重合して得られる樹脂が挙げられ、具体的には、スチレンの単独重合体(スチレン樹脂)、α-メチルスチレンの単独重合体(α-メチルスチレン樹脂)、α-メチルスチレンとスチレンとの共重合体、スチレンと他のモノマーの共重合体などが挙げられる。
上記クマロンインデン樹脂は、樹脂の骨格(主鎖)を構成する主なモノマー成分として、クマロン及びインデンを含む樹脂である。クマロン、インデン以外に骨格に含まれるモノマー成分としては、スチレン、α-メチルスチレン、メチルインデン、ビニルトルエンなどが挙げられる。
上記クマロン樹脂は、樹脂の骨格(主鎖)を構成する主なモノマー成分として、クマロンを含む樹脂である。
上記インデン樹脂は、樹脂の骨格(主鎖)を構成する主なモノマー成分として、インデンを含む樹脂である。
上記フェノール樹脂としては、例えば、フェノールと、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、フルフラールなどのアルデヒド類とを酸又はアルカリ触媒で反応させることにより得られるポリマー等の公知のものを使用できる。なかでも、酸触媒で反応させることにより得られるもの(ノボラック型フェノール樹脂など)が好ましい。
上記ロジン樹脂としては、天然ロジン、重合ロジン、変性ロジン、これらのエステル化合物、これらの水素添加物に代表されるロジン系樹脂等が挙げられる。
上記石油樹脂としては、C5系樹脂、C9系樹脂、C5/C9系樹脂、ジシクロペンタジエン(DCPD)樹脂、これらの水素添加物などが挙げられる。なかでも、DCPD樹脂、水添DCPD樹脂が好ましい。
上記テルペン系樹脂は、テルペンを構成単位として含むポリマーであり。例えば、テルペン化合物を重合して得られるポリテルペン樹脂、テルペン化合物と芳香族化合物とを重合して得られる芳香族変性テルペン樹脂などが挙げられる。また、これらの水素添加物も使用できる。
上記ポリテルペン樹脂は、テルペン化合物を重合して得られる樹脂である。該テルペン化合物は、(Cの組成で表される炭化水素及びその含酸素誘導体で、モノテルペン(C1016)、セスキテルペン(C1524)、ジテルペン(C2032)などに分類されるテルペンを基本骨格とする化合物であり、例えば、α-ピネン、β-ピネン、ジペンテン、リモネン、ミルセン、アロオシメン、オシメン、α-フェランドレン、α-テルピネン、γ-テルピネン、テルピノレン、1,8-シネオール、1,4-シネオール、α-テルピネオール、β-テルピネオール、γ-テルピネオールなどが挙げられる。
上記ポリテルペン樹脂としては、上述したテルペン化合物を原料とするピネン樹脂、リモネン樹脂、ジペンテン樹脂、ピネン/リモネン樹脂などが挙げられる。なかでも、ピネン樹脂が好ましい。ピネン樹脂は、通常、異性体の関係にあるα-ピネン及びβ-ピネンの両方を含んでいるが、含有する成分の違いにより、β-ピネンを主成分とするβ-ピネン樹脂と、α-ピネンを主成分とするα-ピネン樹脂とに分類される。
上記芳香族変性テルペン樹脂としては、上記テルペン化合物及びフェノール系化合物を原料とするテルペンフェノール樹脂や、上記テルペン化合物及びスチレン系化合物を原料とするテルペンスチレン樹脂などが挙げられる。また、上記テルペン化合物、フェノール系化合物及びスチレン系化合物を原料とするテルペンフェノールスチレン樹脂も使用できる。なお、フェノール系化合物としては、例えば、フェノール、ビスフェノールA、クレゾール、キシレノールなどが挙げられる。また、スチレン系化合物としては、スチレン、α-メチルスチレンなどが挙げられる。
上記アクリル系樹脂は、アクリル系モノマーを構成単位として含むポリマーである。例えば、カルボキシル基を有し、芳香族ビニルモノマー成分とアクリル系モノマー成分とを共重合して得られる、スチレンアクリル樹脂等のスチレンアクリル系樹脂などが挙げられる。なかでも、無溶剤型カルボキシル基含有スチレンアクリル系樹脂を好適に使用できる。
上記無溶剤型カルボキシル基含有スチレンアクリル系樹脂とは、副原料となる重合開始剤、連鎖移動剤、有機溶媒などを極力使用せずに、高温連続重合法(高温連続塊重合法)(米国特許第4,414,370号明細書、特開昭59-6207号公報、特公平5-58005号公報、特開平1-313522号公報、米国特許第5,010,166号明細書、東亜合成研究年報TREND2000第3号p42-45等に記載の方法)により合成された(メタ)アクリル系樹脂(重合体)である。なお、本明細書において、(メタ)アクリルは、メタクリル及びアクリルを意味する。
上記アクリル系樹脂を構成するアクリル系モノマー成分としては、例えば、(メタ)アクリル酸や、(メタ)アクリル酸エステル(2エチルヘキシルアクリレート等のアルキルエステル、アリールエステル、アラルキルエステルなど)、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリルアミド誘導体などの(メタ)アクリル酸誘導体が挙げられる。なお、(メタ)アクリル酸は、アクリル酸及びメタクリル酸の総称である。
上記アクリル系樹脂を構成する芳香族ビニルモノマー成分としては、例えば、スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルナフタレン、ジビニルベンゼン、トリビニルベンゼン、ジビニルナフタレンなどの芳香族ビニルが挙げられる。
また、上記アクリル系樹脂を構成するモノマー成分として、(メタ)アクリル酸や(メタ)アクリル酸誘導体、芳香族ビニルと共に、他のモノマー成分を使用してもよい。
上記可塑剤としては、例えば、丸善石油化学(株)、住友ベークライト(株)、ヤスハラケミカル(株)、東ソー(株)、Rutgers Chemicals社、BASF社、アリゾナケミカル社、日塗化学(株)、(株)日本触媒、ENEOS(株)、荒川化学工業(株)、田岡化学工業等の製品を使用できる。
前記ゴム組成物は、耐クラック性、耐オゾン性等の観点から、老化防止剤を含有することが好ましい。
老化防止剤としては特に限定されないが、フェニル-α-ナフチルアミン等のナフチルアミン系老化防止剤;オクチル化ジフェニルアミン、4,4’-ビス(α,α’-ジメチルベンジル)ジフェニルアミン等のジフェニルアミン系老化防止剤;N-イソプロピル-N’-フェニル-p-フェニレンジアミン、N-(1,3-ジメチルブチル)-N’-フェニル-p-フェニレンジアミン、N,N’-ジ-2-ナフチル-p-フェニレンジアミン等のp-フェニレンジアミン系老化防止剤;2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリンの重合物等のキノリン系老化防止剤;2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール、スチレン化フェノール等のモノフェノール系老化防止剤;テトラキス-[メチレン-3-(3’,5’-ジ-t-ブチル-4’-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン等のビス、トリス、ポリフェノール系老化防止剤などが挙げられる。なかでも、p-フェニレンジアミン系老化防止剤、キノリン系老化防止剤が好ましく、N-(1,3-ジメチルブチル)-N’-フェニル-p-フェニレンジアミン、2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリンの重合物がより好ましい。市販品としては、例えば、精工化学(株)、住友化学(株)、大内新興化学工業(株)、フレクシス社等の製品を使用できる。
前記ゴム組成物において、老化防止剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは1.0質量部以上、更に好ましくは2.0質量部以上である。該含有量は、好ましくは7.0質量部以下、より好ましくは4.0質量部以下、更に好ましくは3.0質量部以下である。
前記ゴム組成物は、ステアリン酸を含むことが好ましい。
前記ゴム組成物において、ステアリン酸の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは1.0質量部以上、更に好ましくは2.0質量部以上である。該含有量は、好ましくは7.0質量部以下、より好ましくは4.0質量部以下、更に好ましくは3.0質量部以下である。
なお、ステアリン酸としては、従来公知のものを使用でき、例えば、日油(株)、花王(株)、富士フイルム和光純薬(株)、千葉脂肪酸(株)等の製品を使用できる。
前記ゴム組成物は、酸化亜鉛を含むことが好ましい。
前記ゴム組成物において、酸化亜鉛の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは1.0質量部以上、更に好ましくは2.0質量部以上である。該含有量は、好ましくは12.0質量部以下、より好ましくは11.0質量部以下、更に好ましくは10.0質量部以下である。
なお、酸化亜鉛としては、従来公知のものを使用でき、例えば、三井金属鉱業(株)、東邦亜鉛(株)、ハクスイテック(株)、正同化学工業(株)、堺化学工業(株)等の製品を使用できる。
前記ゴム組成物には、ワックスを配合してもよい。
前記ゴム組成物において、ワックスの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは1.0質量部以上、更に好ましくは2.0質量部以上である。該含有量は、好ましくは10.0質量部以下、より好ましくは7.0質量部以下、更に好ましくは5.0質量部以下である。
ワックスとしては特に限定されず、石油系ワックス、天然系ワックスなどが挙げられ、また、複数のワックスを精製又は化学処理した合成ワックスも使用可能である。これらのワックスは、単独で使用しても、2種類以上を併用してもよい。
石油系ワックスとしては、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス等が挙げられる。天然系ワックスとしては、石油外資源由来のワックスであれば特に限定されず、例えば、キャンデリラワックス、カルナバワックス、木ろう、ライスワックス、ホホバろうなどの植物系ワックス;ミツロウ、ラノリン、鯨ろうなどの動物系ワックス;オゾケライト、セレシン、ペトロラクタムなどの鉱物系ワックス;及びこれらの精製物などが挙げられる。市販品としては、例えば、大内新興化学工業(株)、日本精蝋(株)、精工化学(株)等の製品を使用できる。
前記ゴム組成物には、ポリマー鎖に適度な架橋鎖を形成し、良好な性能を付与するという点で、硫黄を配合することが好ましい。
前記ゴム組成物において、硫黄の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは1.0質量部以上、更に好ましくは1.7質量部以上である。該含有量は、好ましくは6.0質量部以下、より好ましくは5.0質量部以下、更に好ましくは4.0質量部以下である。
硫黄としては、ゴム工業において一般的に用いられる粉末硫黄、沈降硫黄、コロイド硫黄、不溶性硫黄、高分散性硫黄、可溶性硫黄などが挙げられる。市販品としては、鶴見化学工業(株)、軽井沢硫黄(株)、四国化成工業(株)、フレクシス社、日本乾溜工業(株)、細井化学工業(株)等の製品を使用できる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
前記ゴム組成物は、加硫促進剤を含むことが好ましい。
前記ゴム組成物において、加硫促進剤の含有量は特に制限はなく、要望する加硫速度や架橋密度に合わせて自由に決定すれば良いが、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは1.0質量部以上、更に好ましくは2.5質量部以上である。上限は、好ましくは8.0質量部以下、より好ましくは6.0質量部以下、更に好ましくは4.0質量部以下である。
加硫促進剤の種類は特に制限はなく、通常用いられているものを使用可能である。加硫促進剤としては、2-メルカプトベンゾチアゾール、ジ-2-ベンゾチアゾリルジスルフィド、N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアジルスルフェンアミド等のチアゾール系加硫促進剤;テトラメチルチウラムジスルフィド(TMTD)、テトラベンジルチウラムジスルフィド(TBzTD)、テトラキス(2-エチルヘキシル)チウラムジスルフィド(TOT-N)等のチウラム系加硫促進剤;N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N-t-ブチル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N-オキシエチレン-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N,N’-ジイソプロピル-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド等のスルフェンアミド系加硫促進剤;ジフェニルグアニジン、ジオルトトリルグアニジン、オルトトリルビグアニジン等のグアニジン系加硫促進剤を挙げることができる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、スルフェンアミド系、グアニジン系、ベンゾチアゾール系加硫促進剤が好ましい。
前記ゴム組成物には、前記成分以外にも、タイヤ工業において一般的に用いられている配合剤、例えば、離型剤等の材料を適宜配合してもよい。
前記ゴム組成物は、より効果が得られる観点から、ゴム成分100質量部に対するカーボンブラックの含有量Cc(質量部)に対する、ゴム成分100質量部に対する前記負熱膨張材料の含有量Mc(質量部)の比(Mc/Cc)は、1.0以下であることが好ましい。
より効果が得られる観点から、Mc/Ccは、好ましくは0.8以下、より好ましくは0.6以下、更に好ましくは0.5以下、特に好ましくは0.4以下である。Mc/Ccの下限は特に限定されないが、好ましくは0.1以上、より好ましくは0.2以上、更に好ましくは0.3以上である。
Mc/Ccが1.0以下であることで、より効果が得られるメカニズムは明らかではないが、負熱膨張材料に対するカーボンブラックの量を十分に多くすることでカーボンブラックの熱伝導により、負熱膨張材料が効率よく相転移を起こしやすくなると考えられ、それにより、氷雪路面上でのグリップ性能及び耐摩耗性能の総合性能が向上すると推察される。
前記ゴム組成物の製造方法としては、公知の方法を用いることができ、例えば、前記各成分をオープンロール、バンバリーミキサーなどのゴム混練装置を用いて混練し、その後加硫する方法などにより製造できる。
混練条件としては、加硫剤及び加硫促進剤以外の添加剤を混練するベース練り工程では、混練温度は、通常50~200℃、好ましくは80~190℃であり、混練時間は、通常30秒~30分、好ましくは1分~30分である。加硫剤、加硫促進剤を混練する仕上げ練り工程では、混練温度は、通常100℃以下、好ましくは室温~80℃である。また、加硫剤、加硫促進剤を混練した組成物は、通常、プレス加硫などの加硫処理が施される。加硫温度としては、通常120~200℃、好ましくは140~180℃である。
上記ゴム組成物は、例えば、タイヤ部材に(タイヤ用ゴム組成物として)使用できる。
タイヤ部材としては特に限定されず、トレッド(キャップトレッド、ベーストレッドなど)、ベルト層、サイドウォール、ビードエイペックス、クリンチエイペックス、インナーライナー、アンダートレッド、ブレーカートッピング、プライトッピング等、任意のタイヤの各部材が挙げられる。なかでも、トレッド、特にキャップトレッドに使用することが望ましい。
上記ゴム組成物を適用するタイヤとしては、空気入りタイヤ、非空気入りタイヤなどが挙げられるが、なかでも、空気入りタイヤが好ましい。特に、夏用タイヤ(サマータイヤ)、冬用タイヤ(スタッドレスタイヤ、スノータイヤ、スタッドタイヤなど)として好適に使用できる。タイヤは、乗用車用タイヤ、大型乗用車用、大型SUV用タイヤ、トラック、バスなどの重荷重用タイヤ、ライトトラック用タイヤ、二輪自動車用タイヤ、レース用タイヤ(高性能タイヤ)などに使用可能である。
タイヤは、ゴム組成物を用いて通常の方法により製造される。例えば、各種材料を配合したゴム組成物を、未加硫の段階でトレッドの形状に合わせて加工し、他のタイヤ部材とともに、タイヤ成型機上にて通常の方法で成形することにより、未加硫タイヤを形成する。この未加硫タイヤを加硫機中で加熱加圧することによりタイヤを得る。
<タイヤ>
本発明のタイヤは、ゴム成分と、30℃における平均体積Vb(mm)に対する-5℃における平均体積Va(mm)の比(Va/Vb)が1超であり、かつ25℃で固体状態の負熱膨張材料と、カーボンブラックとを含むゴム組成物で構成されるトレッドを備えたものであるが、効果がより良好に得られる観点から、該トレッドの厚みTt(mm)が5mm以上であることが望ましい。
トレッドの厚みTtは、好ましくは7mm以上、より好ましくは9mm以上、更に好ましくは10mm以上である。上限は、好ましくは15mm以下、より好ましくは14mm以下、更に好ましくは13mm以下である。上記範囲内であると、効果が好適に得られる傾向がある。
トレッドの厚みTtが所定以上、特に7mm以上である場合、より効果が得られるメカニズムは明らかではないが、トレッドゴムの厚みを増やすことで、トレッドゴムが厚み方向に変形しやすくなり、それにより、負熱膨張材料により形成されたドメイン部がひっかかりやすくなると考えられる。よって、氷雪路面上でのグリップ性能が向上し、耐摩耗性能との総合性能が向上すると推察される。
本開示において、トレッドの厚みTtは、タイヤ半径方向断面におけるタイヤ赤道面上のトレッドの厚みを意味する。そして、トレッドの厚みTtは、タイヤの半径方向断面において、トレッド部を構成するゴム層のうち、最表面を構成するゴム層(キャップトレッド)の厚みを指し、トレッド表面(キャップトレッドの表面)からキャップトレッドのタイヤ半径方向内側面までの直線距離である。
なお、タイヤ赤道面上のトレッドの厚みTtは、タイヤ赤道面上におけるトレッド最表面からタイヤ赤道面に沿って計測される値である。
タイヤ赤道面上に通電部材などが存在している場合には、通電部材により遮られた界面の端部を繋ぎ合わせた直線と、タイヤ表面との直線距離である。
タイヤ赤道面上に溝が存在している場合には、タイヤ赤道面に最も近い陸部のタイヤ幅方向中央部で測定した厚みで、トレッド表面の法線方向に測定した厚みである。
なお、本明細書において、トレッドの厚みTtの寸法は、タイヤのビード部を正規リム幅に合わせた状態で測定される。測定時には、タイヤをタイヤ半径方向に切り出し、該サンプルの両側のビード端部を正規リムの幅に合わせた状態で固定する。
本明細書において、「正規状態」とは、タイヤが正規リム(図示省略)にリム組みされ、かつ、正規内圧が充填された無負荷の状態である。
本明細書では、特に断りがない限り、タイヤの各部の寸法は、正規状態で測定された値である。
正規リムにタイヤを組んだ状態で測定できない場合、タイヤの子午線断面における各部の寸法及び角度は、回転軸を含む平面に沿ってタイヤを切断することにより得られる、タイヤの断面において、左右のビード間の距離を、正規リムに組んだタイヤにおけるビード間の距離に一致させて、測定される。
「正規リム」は、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、当該規格がタイヤ毎に定めているリムであり、例えばJATMA(日本自動車タイヤ協会)であれば「JATMA YEAR BOOK」に記載されている適用サイズにおける“標準リム”、ETRTO(The European Tyre and Rim Technical Organisation)であれば「STANDARDS MANUAL」に記載されている“Measuring Rim”、TRA(The Tire and Rim Association,Inc.)であれば「YEAR BOOK」に記載されている“Design Rim”を指し、JATMA、ETRTO、TRAの順に参照し、参照時に適用サイズがあればその規格に従う。そして規格に定められていないタイヤの場合には、リム組み可能であって、内圧が保持できるリム、即ちリム/タイヤ間からエア漏れを生じさせないリムの内、最もリム径が小さく、次いでリム幅が最も狭いものを指す。
「正規内圧」は、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、各規格がタイヤ毎に定めている空気圧であり、JATMAであれば“最高空気圧”、ETRTOであれば“INFLATION PRESSURE”、TRAであれば表“TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES”に記載の最大値を指し、「正規リム」の場合と同様にJATMA、ETRTO、TRAの順に参照し、その規格に従う。そして、規格に定められていないタイヤの場合、前記正規リムを標準リムとして記載されている別のタイヤサイズ(規格に定められているもの)の正規内圧(但し、250kPA以上)を指す。なお、250kPa以上の正規内圧が複数記載されている場合には、その中の最小値を指す。
また、本明細書において、「正規荷重」とは、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、各規格がタイヤ毎に定めている荷重であり、JATMAであれば最大負荷能力、ETRTOであれば“LOAD CAPACITY”、TRAであれば表“TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES”に記載の最大値を指し、前記した「正規リム」や「正規内圧」の場合と同様に、JATMA、ETRTO、TRAの順に参照し、その規格に従う。そして、規格に定められていないタイヤの場合は以下の計算により、正規荷重Wを求める。
V={(Dt/2)-(Dt/2-Ht)}×π×Wt
=0.000011×V+175
:正規荷重(kg)
V:タイヤの仮想体積(mm
Dt:タイヤ外径(mm)
Ht:タイヤの断面高さ(mm)
Wt:タイヤの断面幅(mm)
なお、「タイヤの断面幅Wt(mm)」はタイヤを正規リムに組付け、正規内圧を充填し、無負荷の状態における、タイヤ側面の模様や文字など全てを含むサイドウォール間の直線距離(タイヤの総幅)からタイヤの側面の模様、文字などを除いた幅である。また、簡易的にはタイヤを半径方向に切り出したのち、両側のビード間距離を正規リム幅に合わせた状態で測定することができる。
「タイヤ外径Dt(mm)」はタイヤを正規リムに組付け、正規内圧を充填し、無負荷の状態におけるタイヤの外径である。
「タイヤ断面高さHt(mm)」は、タイヤの半径方向断面における、タイヤ径方向の高さを指し、タイヤ外径Dt(mm)とそのタイヤの正規リム径R(mm)との差の半分の値((Dt-R)/2)となる。
本開示のタイヤは、トレッド部に形成された周方向溝の溝深さD(mm)は、トレッド部の外気との接触面積を増やし、負熱膨張材料の相転移を起こしやすくする観点から4.0mm以上であることが好ましい。トレッド部に形成された周方向溝深さは、4.5mm以上であることが好ましく、5.0mm以上であることがより好ましい。一方、トレッド部の剛性を担保し、耐摩耗性を向上させやすくする観点からは、12.0mm以下が好ましく、10.0mm以下がより好ましく、8.0mm以下がさらに好ましい。
なお、本明細書において、周方向溝の溝深さDとは、トレッド最表面の接地面を形成する面を延長した面の法線に沿って計測され、該接地面を形成する面を延長した面から最深の溝底までの距離を意味し、備えられた周方向溝の溝深さのうち、最大の距離を指す。
本発明のタイヤは、効果がより良好に得られる観点から、ゴム成分100質量部に対する前記負熱膨張材料の含有量Mc(質量部)と、トレッド厚みTt(mm)との積(Mc×Tt)は、200以上であることが望ましい。
Mc×Tt(質量部・mm)は、好ましくは250以上、より好ましくは280以上、更に好ましくは300以上である。一方、Mc×Tt(質量部・mm)の上限は特に限定されないが、好ましくは800以下、より好ましくは600以下、更に好ましくは500以下、特に好ましくは400以下である。上記範囲内であると、効果が好適に得られる傾向がある。
Mc×Ttが所定以上、特に200以上の場合、より効果が得られるメカニズムは明らかではないが、負熱膨張材料の量が少ない場合には、負熱膨張材料によるひっかき効果が減少すると考えられるが、トレッドゴムの厚みを増やすことで、トレッドゴムが厚み方向に変形しやすくなり、負熱膨張材料により形成されたドメイン部がひっかかりやすくなると考えられる。一方で、トレッドゴムの厚みが薄い場合には、トレッド部の厚み方向の変形が小さくなるため、負熱膨張材料の量を多くすることで、路面に対するひっかき効果を得やすくなると考えられる。そのため、氷雪路面上でのグリップ性能が向上し、耐摩耗性能との総合性能が向上すると推察される。
本発明のタイヤは、効果がより良好に得られる観点から、トレッド厚みTt(mm)に対する、ゴム成分100質量部に対するカーボンブラックの含有量Cc(質量部)の比(Cc/Tt)は、8.0以下であることが望ましい。
Cc/Tt(質量部/mm)は、好ましくは7.0以下、より好ましくは6.0以下、更に好ましくは5.5以下、特に好ましくは5.0以下である。Cc/Tt(質量部/mm)の下限は特に限定されないが、好ましくは1.0以上、より好ましくは1.5以上、更に好ましくは2.0以上、特に好ましくは2.5以上、最も好ましくは3.0以上である。上記範囲内であると、効果が好適に得られる傾向がある。
Cc/Ttが所定以下、特に8.0以下の場合、より効果が得られるメカニズムは明らかではないが、以下のように考えられる。
カーボンブラックが多いほど、負熱膨張材料の相転移を引き起こしやすくすることが可能であるが、一方で、カーボンブラックの補強性により、配合量が多くなると、トレッドゴム組成物全体が硬くなり、変形性が損なわれることとなる。そのため、低温化においても路面に追従しやすくなり、氷雪路面上でのグリップ性能を向上させやすくすることができると考えられる。また、常温においても、トレッドゴムが追従しやすくなることで、走行中の摩耗が抑制され、耐摩耗性も向上するものと考えられる。
本発明のタイヤは、効果がより良好に得られる観点から、トレッド中のゴム成分100質量部に対する負熱膨張材料の含有量Mc(質量部)と、トレッド部に形成された周方向溝の溝深さD(mm)との積(Mc×D)は、120以上であることが好ましい。
Mc×D(質量部・mm)は、好ましくは200以上、より好ましくは250以上、更に好ましくは285以上である。Mc×D(質量部・mm)の上限は特に限定されないが、好ましくは1000以下、より好ましくは760以下、更に好ましくは475以下、特に好ましくは400以下である。上記範囲内であると、効果が好適に得られる傾向がある。
本発明のタイヤは、効果がより良好に得られる観点から、トレッド部に形成された周方向溝の溝深さD(mm)に対する、トレッド中のゴム成分100質量部に対するカーボンブラックの含有量Cc(質量部)の比(Cc/D)は、9.0以下であることが望ましい。
Cc/D(質量部/mm)は、好ましくは8.0以下、より好ましくは7.5以下、更に好ましくは6.0以下、特に好ましくは5.3以下である。Cc/D(質量部/mm)の下限は特に限定されないが、好ましくは2.5以上、より好ましくは3.5以上、更に好ましくは4.0以上である。上記範囲内であると、効果が好適に得られる傾向がある。
前記ゴム組成物で構成されたトレッドを備えた本発明のタイヤの一例を、図1を用いて説明する。
図1において、上下方向がタイヤ2の半径方向であり、左右方向がタイヤ2の軸方向であり、紙面との垂直方向がタイヤ2の周方向である。トレッド4は、キャップ層30及びベース層28を備えている。
なお、図1では、キャップ層30(キャップトレッド)及びベース層28からなる2層構造トレッド4の例が示されているが、単層構造トレッド、3層以上の構造を有するトレッドでもよい。
タイヤ2において、それぞれのサイドウォール6は、トレッド4の端から半径方向略内向きに延びている。このサイドウォール6の半径方向外側部分は、トレッド4と接合されている。このサイドウォール6の半径方向内側部分は、クリンチ10と接合されている。このサイドウォール6は、カーカス14の損傷を防止できる。また、サイドウォール6とトレッド4の端部との接合において、サイドウォール6のタイヤ半径方向外側端部がトレッド部4のタイヤ半径方向外側に覆いかぶさる形で接合されていても良い。
図1のそれぞれのウィング8は、トレッド4とサイドウォール6との間に位置している。ウィング8は、トレッド4及びサイドウォール6のそれぞれと接合している。
それぞれのクリンチ10は、サイドウォール6の半径方向略内側に位置している。クリンチ10は、軸方向において、ビード12及びカーカス14よりも外側に位置している。
それぞれのビード12は、クリンチ10の軸方向内側に位置している。ビード12は、コア32と、このコア32から半径方向外向きに延びるエイペックス34とを備えている。コア32はリング状であり、巻回された非伸縮性ワイヤーを含むことが望ましい。エイペックス34は、半径方向外向きに先細りである。
カーカス14は、カーカスプライ36を備えている。このタイヤ2では、カーカス14は1枚のカーカスプライ36からなるが、2枚以上で構成されてもよい。
このタイヤ2では、カーカスプライ36は、両側のビード12の間に架け渡されており、トレッド4及びサイドウォール6に沿っている。カーカスプライ36は、それぞれのコア32の周りにて、軸方向内側から外側に向かって折り返されている。この折り返しにより、カーカスプライ36には、主部36aと一対の折り返し部36bとが形成されている。すなわち、カーカスプライ36は、主部36aと一対の折り返し部36bとを備えている。
図示されていないが、カーカスプライ36は、並列された多数のコードとトッピングゴムとからなることが望ましい。それぞれのコードが赤道面に対してなす角度の絶対値は、75°から90°が好適である。換言すれば、このカーカス14はラジアル構造を有することが好ましい。
図1のベルト層16は、トレッド4の半径方向内側に位置している。ベルト層16は、カーカス14と積層されている。ベルト層16は、カーカス14を補強する。ベルト層16は、内側層38及び外側層40からなる。図1から明らかなように、軸方向において、内側層38の幅は外側層40の幅よりも若干大きいことが望ましい。このタイヤ2では、ベルト層16の軸方向幅はタイヤ2の断面幅の0.6倍以上が好ましく、0.9倍以下が好ましい。
なお、「タイヤの断面幅」は、タイヤを正規リムに組付け、内圧を大気圧とした状態のタイヤにおいて、タイヤ側面の模様や文字など全てを含むサイドウォール間の直線距離(タイヤの総幅)からタイヤの側面の模様、文字などを除いた幅である。
図示されていないが、内側層38及び外側層40のそれぞれは、並列された多数のコードとトッピングゴムとからなることが望ましい。言い換えれば、ベルト層16は並列された多数のコードを含んでいる。それぞれのコードは、赤道面に対して傾斜している。傾斜角度の一般的な絶対値は、10°以上35°以下である。内側層38のコードの赤道面に対する傾斜方向は、外側層40のコードの赤道面に対する傾斜方向とは逆である。
図1のバンド18は、ベルト層16の半径方向外側に位置している。軸方向において、バンド18はベルト層16の幅と同等の幅を有している。このバンド18が、このベルト層16の幅よりも大きな幅を有していてもよい。
図示されていないが、バンド18は、コードとトッピングゴムとからなることが望ましい。コードは、螺旋状に巻かれている。このバンド18は、いわゆるジョイントレス構造を有する。コードは、実質的に周方向に延びている。周方向に対するコードの角度は、5°以下、さらには2°以下であることが好ましい。このコードによりベルト層16が拘束されるので、ベルト層16のリフティングが抑制される。
図1のベルト層16及びバンド18は、補強層を構成している。ベルト層16のみから、補強層が構成されてもよい。
図2は、図1のトレッド4付近の拡大図である。
図2のタイヤ2は、タイヤ赤道面上(CL上)に溝26を有する形態であるため、トレッドの厚みTt(キャップ層30の厚み)は、タイヤ赤道面に最も近い陸部のタイヤ幅方向中央部で測定した厚みTtを指す。そして、トレッド表面24の法線に沿って計測される値であり、トレッド表面24からキャップ層30の内側面までの直線距離である。
そして、タイヤ2は、このトレッド4の厚みTt(キャップ層の厚み)が7mm以上が望ましく、また、トレッド4の厚みTt(キャップ層の厚み)、トレッド中の負熱膨張材料の含有量Mc、カーボンブラックの含有量Ccについて、Mc×Ttが200以上、Cc/Ttが8.0以下を満たすことが望ましい。
インナーライナー20は、カーカス14の内側に位置している。インナーライナー20は、カーカス14の内面に接合されている。インナーライナー20の典型的な基材ゴムは、ブチルゴム又はハロゲン化ブチルゴムである。インナーライナー20は、タイヤ2の内圧を保持する。
それぞれのチェーファー22は、ビード12の近傍に位置している。この実施形態では、チェーファー22は布とこの布に含浸したゴムとからなることが望ましい。このチェーファー22が、クリンチ10と一体とされてもよい。
このタイヤ2では、トレッド4は溝26として主溝42を備えている。図1に示されているように、このトレッド4には、複数本、詳細には、3本の主溝42が刻まれている。これらの主溝42は、軸方向に間隔をあけて配置されている。このトレッド4には、3本の主溝42が刻まれることにより、周方向に延在する4本のリブ44が形成されている。つまり、リブ44とリブ44との間が主溝42である。
それぞれの主溝42は、周方向に延在している。主溝42は、周方向に途切れることなく連続している。主溝42は、例えば雨天時において、路面とタイヤ2との間に存在する水の排水を促す。このため、路面が濡れていても、タイヤ2は路面と十分に接触することができる。また、主溝42により表面積が増加し、トレッド部の外気との接触面積が増加することで、負熱膨張材料の相転移が起こりやすくなる。
図2のDは、トレッド部4に形成された周方向の主溝42の主溝深さを示している。そして、タイヤ2は、周方向溝の溝深さD、負熱膨張材料の含有量Mc、カーボンブラックの含有量Ccについて、Dが4.0mm以上、Mc×Dが120以上、Cc/Dが9.0以上を満たすことが望ましい。
以下では、実施をする際に好ましいと考えられる例(実施例)を示すが、本開示の範囲は実施例に限られない。
以下、実施例及び比較例で使用する各種薬品について、まとめて説明する。
SBR:住友化学(株)製のSE6701(S-SBR)
BR:宇部興産(株)製のBR150B
カーボンブラック:キャボットジャパン(株)製のショウブラックN220(NSA:114m/g)
シリカ:エボニックデグッサ社製のウルトラシルVN3(NSA:175m/g)
負熱膨張材料1:富士フイルム和光純薬(株)製のLiAlO(Va/Vb:1.03、-5℃におけるゴム組成物中での平均粒子径:30.30μm、30℃におけるゴム組成物中での平均粒子径:30.00μm、25℃で固体状態)
負熱膨張材料2:(株)高純度化学研究所製のMn-Sn-Zn(Va/Vb:1.006、-5℃におけるゴム組成物中での平均粒子径:30.06μm、30℃におけるゴム組成物中での平均粒子径:30.00μm、25℃で固体状態)
負熱膨張材料3:JX金属社製のZrW(Va/Vb:1.004、-5℃におけるゴム組成物中での平均粒子径:30.04μm、30℃におけるゴム組成物中での平均粒子径:30.00μm、25℃で固体状態)
負熱膨張材料4:日本材料技研(株)製のBNFO-15(Va/Vb:1.03、-5℃におけるゴム組成物中での平均粒子径:20.20μm、30℃におけるゴム組成物中での平均粒子径:20.00μm、25℃で固体状態)
シランカップリング剤:エボニックデグッサ社製のSi266(ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド)
ステアリン酸:日油(株)製の椿
酸化亜鉛:三井金属鉱業(株)製の亜鉛華2種
ワックス:大内新興化学工業(株)製のサンノックN
老化防止剤:大内新興化学工業(株)製のノクラック6C(N-フェニル-N’-(1,3-ジメチルブチル)-p-フェニレンジアミン)
オイル:出光興産(株)製のダイアナプロセスAH-24
硫黄:鶴見化学工業(株)製の粉末硫黄
加硫促進剤1:大内新興化学工業(株)製のノクセラーNS(N-tert-ブチル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド)
加硫促進剤2:大内新興化学工業(株)製のノクセラーD(1,3-ジフェニルグアニジン)
<試験用タイヤの製造>
表1の配合に従い、硫黄及び加硫促進剤以外の材料を混練し混練物を得る。
前記混練物に、表1の配合に従い、硫黄及び加硫促進剤を投入して70℃で8分間混練し、未加硫ゴム組成物を得る。
前記未加硫ゴム組成物をトレッド(キャップ層)の形状に押出し成形し、タイヤ成形機上で他のタイヤ部材とともに貼り合わせて未加硫タイヤを形成し、170℃の条件下で20分間プレス加硫し、図1、2に示す試験用タイヤ(サイズ195/65R15、仕様:表1)を得る。
各表に従って配合、仕様を変化させた組成物により得られる試験用タイヤを想定して、下記氷雪路面上でのグリップ性能、耐摩耗性能の評価方法に基づいて算出した総合性能を評価し、結果を表1に示す。
なお、基準比較例は、以下のとおりである。
氷雪路面上でのグリップ性能:比較例2
耐摩耗性能:比較例1
<氷雪路面上でのグリップ性能>
試験用タイヤを国産FF車に装着し、アイス路面のテストコースで実車走行を行なう。その際における制動距離の逆数について、基準比較例を100として指数表示する。指数が大きいほど制動距離が短く、氷上路面でのグリップ性能が良好である。
(氷雪路面でのグリップ性能指数)=(基準比較例の制動距離)/(各試験用タイヤの制動距離)×100
<耐摩耗性能>
試験用タイヤを国産FF車に装着し、走行距離8000km後のタイヤトレッド部の溝深さを測定し、タイヤ溝深さが1mm減るときの走行距離を算出し、次の式により指数化する。指数が大きいほど耐摩耗性が良好である。
(耐摩耗性指数)=(各試験用タイヤの1mm溝深さが減るときの走行距離)/(基準比較例のタイヤ溝が1mm減るときの走行距離)×100
<総合性能>
氷雪路面上でのグリップ性能の指数、耐摩耗性能の指数の和を総合性能として評価する。
Figure 2024061257000001
本開示(1)は、ゴム成分と、30℃における平均体積Vb(mm)に対する-5℃における平均体積Va(mm)の比(Va/Vb)が1超であり、かつ25℃で固体状態の負熱膨張材料と、カーボンブラックとを含むゴム組成物である。
本開示(2)は、ゴム組成物中の負熱膨張材料の30℃における平均粒子径が5.0μm以下である本開示(1)記載のゴム組成物である。
本開示(3)は、ゴム成分100質量部に対するカーボンブラックの含有量Cc(質量部)に対する、ゴム成分100質量部に対する前記負熱膨張材料の含有量Mc(質量部)の比(Mc/Cc)が、1.0以下である本開示(1)又は(2)記載のゴム組成物である。
本開示(4)は、負熱膨張材料は、ビスマスニッケル鉄酸化物(BiNi1-xFe(x<1):BNFO)、ビスマスランタンニッケル酸化物(Bi1-xLaNiO(x<1))、タングステン酸ジルコニウム(ZrW)、リン酸タングステン酸ジルコニウム(ZrWO(PO)、β-ユークリプタイト(β-LiAlSiO)、シリコン酸化物(LiO-Al-nSiO(1≦n≦25))、ペロブスカイト型複合酸化物であるルテニウム酸化物(CaRuO4-x(x<0.4)、CaRu1-xFe4-y(x、y<0.4))、ペロブスカイト型複合酸化物のうちAサイト秩序型ペロブスカイト型酸化物(LaCuFe12)、逆ペロブスカイト型マンガン窒化物および逆ペロブスカイト型マンガン窒化物の窒素の一部が炭素に置換されたもの(MnAN1-x(0≦x<0.2)、ただしAは亜鉛(Zn)、ガリウム(Ga)、ゲルマニウム(Ge)のいずれかである。)からなる群より選択される少なくとも1種である本開示(1)~(3)のいずれかとの任意の組合せのゴム組成物である。
本開示(5)は、本開示(1)~(4)のいずれかとの任意の組合せのゴム組成物からなるトレッドを備えたタイヤである。
本開示(6)は、トレッドの厚みTtが7mm以上である本開示(5)記載のタイヤである。
本開示(7)は、ゴム成分100質量部に対する負熱膨張材料の含有量Mc(質量部)と、トレッド厚みTt(mm)との積(Mc×Tt(質量部・mm))が、200以上である本開示(5)又は(6)記載のタイヤである。
本開示(8)は、トレッド厚みTt(mm)に対する、ゴム成分100質量部に対するカーボンブラックの含有量Cc(質量部)の比(Cc/Tt(質量部/mm))が、8.0以下である本開示(5)~(7)のいずれかとの任意の組合せのタイヤである。
本開示(9)は、トレッド中のゴム成分100質量部に対する負熱膨張材料の含有量Mc(質量部)と、トレッド部に形成された周方向溝の溝深さD(mm)との積(Mc×D(質量部・mm))が、120以上である本開示(5)~(8)のいずれかとの任意の組合せのタイヤである。
本開示(10)は、トレッド部に形成された周方向溝の溝深さD(mm)に対する、トレッド中のゴム成分100質量部に対するカーボンブラックの含有量Cc(質量部)の比(Cc/D(質量部/mm))が、9.0以下である本開示(5)~(9)のいずれかとの任意の組合せのタイヤである。
2 空気入りタイヤ
3 サイド部
4 トレッド
6 サイドウォール
8 ウィング
10 クリンチ
12 ビード
14 カーカス
16 ベルト層
18 バンド
20 インナーライナー
22 チェーファー
24 トレッド面
26 溝
28 ベース層
30 キャップ層
32 コア
34 エイペックス
36 カーカスプライ
36a 主部
36b 折り返し部
38 内側層
40 外側層
42 主溝
44 リブ
CL タイヤの赤道面
Tt トレッドの厚み
D トレッドに形成された周方向の主溝42の主溝深さ

Claims (10)

  1. ゴム成分と、30℃における平均体積Vb(mm)に対する-5℃における平均体積Va(mm)の比(Va/Vb)が1超であり、かつ25℃で固体状態の負熱膨張材料と、カーボンブラックとを含むゴム組成物。
  2. ゴム組成物中の負熱膨張材料の30℃における平均粒子径が50.00μm以下である請求項1記載のゴム組成物。
  3. ゴム成分100質量部に対するカーボンブラックの含有量Cc(質量部)に対する、ゴム成分100質量部に対する前記負熱膨張材料の含有量Mc(質量部)の比(Mc/Cc)が、1.0以下である請求項1記載のゴム組成物。
  4. 負熱膨張材料は、ビスマスニッケル鉄酸化物(BiNi1-xFe(x<1):BNFO)、ビスマスランタンニッケル酸化物(Bi1-xLaNiO(x<1))、タングステン酸ジルコニウム(ZrW)、リン酸タングステン酸ジルコニウム(ZrWO(PO)、β-ユークリプタイト(β-LiAlSiO)、シリコン酸化物(LiO-Al-nSiO(1≦n≦25))、ペロブスカイト型複合酸化物であるルテニウム酸化物(CaRuO4-x(x<0.4)、CaRu1-xFe4-y(x、y<0.4))、ペロブスカイト型複合酸化物のうちAサイト秩序型ペロブスカイト型酸化物(LaCuFe12)、逆ペロブスカイト型マンガン窒化物および逆ペロブスカイト型マンガン窒化物の窒素の一部が炭素に置換されたもの(MnAN1-x(0≦x<0.2)、ただしAは亜鉛(Zn)、ガリウム(Ga)、ゲルマニウム(Ge)のいずれかである。)からなる群より選択される少なくとも1種である請求項1記載のゴム組成物。
  5. 請求項1記載のゴム組成物からなるトレッドを備えたタイヤ。
  6. トレッドの厚みTtが7mm以上である請求項5記載のタイヤ。
  7. ゴム成分100質量部に対する負熱膨張材料の含有量Mc(質量部)と、トレッド厚みTt(mm)との積(Mc×Tt(質量部・mm))が、200以上である請求項5記載のタイヤ。
  8. トレッド厚みTt(mm)に対する、ゴム成分100質量部に対するカーボンブラックの含有量Cc(質量部)の比(Cc/Tt(質量部/mm))が、8.0以下である請求項5記載のタイヤ。
  9. トレッド中のゴム成分100質量部に対する負熱膨張材料の含有量Mc(質量部)と、トレッド部に形成された周方向溝の溝深さD(mm)との積(Mc×D(質量部・mm))が、120以上である請求項5記載のタイヤ。
  10. トレッド部に形成された周方向溝の溝深さD(mm)に対する、トレッド中のゴム成分100質量部に対するカーボンブラックの含有量Cc(質量部)の比(Cc/D(質量部/mm))が、9.0以下である請求項5記載のタイヤ。

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