JP2024037079A - タイヤ - Google Patents

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Abstract

【課題】操縦安定性能の向上を図ることができるタイヤを提供すること。【解決手段】トレッド部を有するタイヤであって、前記トレッド部は、トレッド面を構成する第一層と、前記第一層のタイヤ半径方向内側に隣接する第二層とを有し、前記第一層および前記第二層が、それぞれゴム成分および加硫ゴム粒子を含有するゴム組成物により構成され、前記第一層のトレッド面に平行な切断面において、該切断面全体の面積に対する加硫ゴム粒子由来のドメインの面積の比R1が0.05超0.50以下であり、前記第二層のトレッド面に平行な切断面において、該切断面全体の面積に対する加硫ゴム粒子由来のドメインの面積の比R2が0.05以上0.50未満であり、かつR1がR2よりも大きいタイヤ。【選択図】なし

Description

本発明は、タイヤに関する。
近年、タイヤ市場において、特に高速走行時の操縦安定性能が強く要求されている。特許文献1には、トレッド部を構成するベースゴムに、所定のキチン繊維および/またはキトサン繊維を配合することで、発熱性が軽減され、ゴムの剛性を高め操縦安定性を改善できることが開示されている。
特開2009-1672号公報
本発明は、操縦安定性能の向上を図ることができるタイヤを提供することを目的とする。
本発明は、トレッド部を有するタイヤであって、前記トレッド部は、トレッド面を構成する第一層と、前記第一層のタイヤ半径方向内側に隣接する第二層とを有し、前記第一層および前記第二層が、それぞれゴム成分および加硫ゴム粒子を含有するゴム組成物により構成され、前記第一層のトレッド面に平行な切断面において、該切断面全体の面積に対する加硫ゴム粒子由来のドメインの面積の比R1が0.05超0.50以下であり、前記第二層のトレッド面に平行な切断面において、該切断面全体の面積に対する加硫ゴム粒子由来のドメインの面積の比R2が0.05以上0.50未満であり、かつR1がR2よりも大きいタイヤに関する。
本発明によれば、タイヤの操縦安定性能の向上を図ることができる。
本発明の一実施形態に係るタイヤのトレッドの一部が示された拡大断面図である。
本発明の一実施形態であるタイヤは、トレッド部を有するタイヤであって、前記トレッド部は、トレッド面を構成する第一層と、前記第一層のタイヤ半径方向内側に隣接する第二層とを有し、前記第一層および前記第二層が、それぞれゴム成分および加硫ゴム粒子を含有するゴム組成物により構成され、前記第一層のトレッド面に平行な切断面において、該切断面全体の面積に対する加硫ゴム粒子由来のドメインの面積の比R1が0.05超0.50以下であり、前記第二層のトレッド面に平行な切断面において、該切断面全体の面積に対する加硫ゴム粒子由来のドメインの面積の比R2が0.05以上0.50未満であり、かつR1がR2よりも大きいタイヤである。
トレッド部に二層以上のゴム層を積層させ、かつトレッド面から二層目のトレッド切断面全体の面積に対する加硫ゴム粒子由来のドメインの面積を、最表層(第一層)の加硫ゴム粒子由来のドメインの面積比より小さくすることで、得られたタイヤは、操縦安定性能が顕著に改善される。その理由については、理論に拘束されることは意図しないが、以下のように考えられる。
トレッド部の第一層に加硫ゴム粒子を配合することで加硫ゴム粒子のドメインが形成され、加硫ゴム粒子とゴムマトリクスとの界面での摩擦により発熱が生じ、かつ加硫ゴム粒子による引っ掛かりの効果が得られるため、トレッド表面での路面に対する摩擦性が向上する。また、第二層に加硫ゴム粒子を配合することで、第一層と同様に加硫ゴム粒子とゴムマトリクスとの界面での摩擦により発熱を得ることができる。このように、トレッド部全体で発熱性を得るとともに、トレッド表面での引っ掛かりの効果が加わることで、グリップ性能を向上させることができると考えられる。
ここで、第二層は、トレッド表面での摩擦で生じた力(グリップ力)をタイヤ内部にまで伝える役割を果たす必要があるが、第二層の加硫ゴム粒子の配合量が多いと、発熱(位相差)が大きくなり、グリップ力をタイヤ内部にまで伝えにくくなる。そこで、第二層のトレッド切断面全体の面積に対する加硫ゴム粒子由来のドメインの面積比を、第一層のトレッド切断面全体の面積に対する加硫ゴム粒子由来のドメインの面積比より小さくすることにより、グリップ力をタイヤ内部にまで伝えやすくし、車両の向きを変える力を発生させやすくすることができると考えられる。そして、これらが協働することで、氷上グリップ性能が改善するという、特筆すべき効果が達成されると考えられる。
第二層の厚みt2(mm)に対する前記第一層の厚みt1(mm)の比(t1/t2)は、0.15超であることが好ましい。
t1/t2を前記の範囲とすることで、トレッド表面で摩擦を生じさせやすくし、大きな力を発生させやすくすることができると考えられる。
第二層の70℃におけるtanδ(70℃tanδ)は、0.02以上0.25以下であることが好ましい。
第二層の70℃tanδを前記の範囲とすることで、力を伝達する際の位相差が小さくなり、トレッド表面での摩擦で生じた力をよりタイヤ内部に伝えやすくすることができると考えられる。
第二層の厚みt2(mm)に対する前記第一層の厚みt1(mm)の比(t1/t2)とR1との積(R1×(t1/t2))は、0.015超であることが好ましい。
第一層中の加硫ゴム粒子により、前述の通り、第一層による摩擦を生じさせやすくすることができると考えられる。一方で、第一層の厚みの比率が小さい場合には、第一層で生じる力が小さくなると考えられる。このことから、第一層中で加硫ゴム粒子が占める面積比率R1と、第二層の厚みに対する第一層の厚みの比(t1/t2)との積(R1×(t1/t2))を前記の範囲とすることで、トレッド表面での摩擦力を担保しつつ、かつその力をタイヤ内部に伝えやすくすることができると考えられる。
第一層を構成するゴム成分は、スチレンブタジエンゴムを含有することが好ましい。また、第一層を構成するゴム成分中の総スチレン量は、10質量%以上20質量%以下であることが好ましい。
第一層を構成するゴム成分として、スチレンブタジエンゴムを含有することで、ゴム層内にスチレン部由来の微小なドメインを形成させ、これらと他の分子鎖との間での摩擦による発熱およびスチレン部由来のドメインの路面への引っ掛かりにより摩擦力を得やすくすることができると考えられる。また、第一層を構成するゴム成分中の総スチレン量を前記の範囲とすることで、系内にスチレン部由来のドメインが形成されやすくすることができると考えられる。
第一層を構成するゴム成分中のブタジエンゴムおよびスチレンブタジエンゴムの合計含有量は、75質量%以上であることが好ましい。
第一層を構成するゴム成分中のブタジエンゴムおよびスチレンブタジエンゴムの合計含有量を前記の範囲とすることで、系内にスチレン部由来のドメインを形成させやすくすることができると考えられる。
第一層を構成するゴム組成物中の、ゴム成分100質量部に対するシリカおよびカーボンブラックの合計含有量は、60質量部以下であることが好ましい。
第一層を構成するゴム組成物中のシリカおよびカーボンブラックの合計含有量を前記の範囲とすることで、ゴム層全体がシリカおよびカーボンブラックにより硬くなることが抑制され、ミクロな領域での硬さの分布を生じさせることができ、ゴム層内に生じたドメインが路面に対して引っ掛かりやすくすることができると考えられる。
前記第一層のガラス転移温度は-25℃以上であることが好ましい。
第一層のガラス転移温度を前記の範囲とすることで、通常走行時の転動時に発生した振動の周波数に対応するエネルギーロスを大きくすることができ、振動を吸収しやすくすることができると考えられる。
第二層のショア硬度(Hs)は50以上80以下であることが好ましい。
第二層のショア硬度(Hs)を前記の範囲とすることで、良好なマクロでの追従性が得やすくなると考えられる。
第二層の100%延伸時のモジュラスは、第一層の100%延伸時のモジュラスよりも大きいことが好ましい。
第二層の100%延伸時のモジュラスを第一層の100%延伸時のモジュラスよりも大きくすることにより、第二層で大きな力を発生させやすくすることができ、高速走行時の操縦安定性能が向上すると考えられる。また、第二層の100%延伸時のモジュラスは、本発明の効果の観点から、2.2MPa以上であることが好ましい。
トレッド部がタイヤ周方向に連続して延びる周方向溝を有し、前記周方向溝の最深部の溝深さHに対するt1の比(t1/H)が0.40~0.90であることが好ましい。
t1/Hを前記の範囲とすることで、第一層で力を生じやすくさせ、操縦安定性を向上させやすくすることができると考えられる。
<定義>
「トレッド部」は、タイヤの接地面を形成する部分であり、タイヤ半径方向断面において、ベルト層やベルト補強層、カーカス層などのスチールやテキスタイル材料によりタイヤ骨格を形成する部材を備える場合には、それらよりもタイヤ半径方向外側の部材である。
「正規リム」は、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、当該規格がタイヤ毎に定めるリムであり、JATMAであれば“標準リム”、ETRTOであれば“Measuring Rim”TRAであれば“Design Rim”であり、JATMA、ETRTO、TRAの順に参照し、参照時に適用サイズがあればその規格に従う。
「トレッド面に平行な切断面」とは、タイヤ中心線上でトレッド表面に接する面と平行な切断面を意味するものとする。
「周方向溝」は、タイヤ周方向に連続して延びる溝であり、少なくともトレッド表面での開口幅が2.0mmよりも大きい凹みを指すものとする。
「周方向溝の溝深さH」は、トレッド面と周方向溝の溝底の最深部との距離を指すものとする。なお、溝深さHは、周方向溝が複数ある場合、最も深い溝深さを有する周方向溝の溝深さを「周方向溝の溝深さH」として取り扱う。
「トレッド部を構成する各ゴム層の厚み」は、タイヤを、タイヤ回転軸を含む面で切断した断面において、タイヤ赤道面上における各ゴム層の厚みを指す。例えば、第一層の厚みは、タイヤ赤道面上における、トレッド最表面から第一層のタイヤ半径方向内側界面までのタイヤ半径方向の直線距離を指す。なお、タイヤ赤道面上に周方向溝を有する場合には、トレッド部を構成する各ゴム層の厚みは、タイヤ赤道面に最も近い陸部のタイヤ幅方向中央部における各ゴム層の厚みとする。「タイヤ赤道面に最も近い陸部」とは、タイヤ赤道面に存在する周方向溝の、タイヤ赤道面に最も近い溝縁を有する陸部を指すものとし、そのような陸部がタイヤ幅方向両横に存在する場合は、トレッド部を構成する各ゴム層の厚みは、当該2つの陸部のタイヤ幅方向中央部における各ゴム層の厚みの平均値とする。また、タイヤ赤道面上の陸部に通電部材などが存在し、界面が不明瞭である場合には、通電部材などにより遮られた界面を仮想的につなぎ合わせて測定するものとする。
「軟化剤」とは、ゴム成分に可塑性を付与する材料であり、ゴム組成物からアセトンを用いて抽出される成分である。軟化剤は、25℃で液体(液状)の軟化剤および25℃で固体の軟化剤を含む。ただし、通常タイヤ工業で使用されるワックスおよびステアリン酸は含まないものとする。
「軟化剤の含有量」は、予めオイル、樹脂成分、液状ゴム成分等の軟化剤により伸展された伸展ゴム成分中に含まれる軟化剤の量も含む。また、オイルの含有量、樹脂成分の含有量、液状ゴムの含有量についても同様であり、例えば、伸展成分がオイルである場合には伸展オイルはオイルの含有量に含まれる。
<測定方法>
「トレッド部を構成する各ゴム層のトレッド面に平行な切断面における加硫ゴム粒子由来のドメインの面積」は、例えば、トレッド部から切り出した加硫ゴム試験片を、走査電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope:SEM)等を用いて観察することにより求めることができる。具体的には、例えば、加硫後の各ゴム試験片を、タイヤのトレッド部から、タイヤ周方向が長辺となるように、長さ20mm×幅30mm×厚さ2mmで切り出して作製する。得られたゴム試験片を、トレッド面に並行な面が観察用断面となるように走査型電子顕微鏡(ThermoFishershasei Teneo)設置し、加速電圧15kVで撮像して、倍率50倍の電子顕微鏡画像を得る。そして、得られた画像の2.54mm×1.69mmの範囲において、加硫ゴム粒子由来のドメインの面積を算出し、切断面全体の面積に対して占める比率を算出する。これを、1サンプルにつき3視野行い、その平均値をゴム粉末の面積比率とする。
「トレッド部を構成する各ゴム層の厚み」は、タイヤを、タイヤ回転軸を含む面で切断し、ビード部の幅を正規リムの幅に合わせた状態で測定される。
「70℃tanδ」は、温度70℃、周波数10Hz、初期歪10%、動歪±1%、伸長モードの条件下で測定する損失正接である。70℃tanδ測定用サンプルは、長さ20mm×幅4mm×厚さ1mmの加硫ゴム組成物である。タイヤから切り出して作製する場合には、タイヤのトレッド部から、タイヤ周方向が長辺、タイヤ半径方向が厚さ方向となるように切り出す。
「ゴム層のガラス転移温度(Tg)」は、動的粘弾性測定装置(例えば、GABO社製のイプレクサーシリーズ)を用い、周波数10Hz、初期歪1%、振幅±0.1%、および昇温速度3℃/minの条件下で、-60℃から40℃の範囲におけるtanδの温度分布曲線を測定し、得られた温度分布曲線における最も大きいtanδ値に対応する温度(tanδピーク温度)をTgとして決定する。-60℃から40℃の範囲内において、tanδの最大値が2点存在した場合にはそのうちの温度が低い側をTgとする。また、-60℃から40℃の範囲において、温度上昇に伴いtanδが漸減する温度分布曲線が得られた場合には上述の定義から、Tgを-60℃とする。本測定用サンプルは、70℃tanδの場合と同様にして作製される。
「ショア硬度」は、JIS K 6253-3:2012に準拠し、デュロメータータイプAを用いて温度23℃の条件下で測定するショア硬度(Hs)である。ショア硬度測定用サンプルは、トレッド部から、タイヤ半径方向が厚さ方向となるように切りだして作製する。また、測定は、硬度測定用サンプルの接地面側から測定器具をサンプルに押し付けて行う。
「100%延伸時のモジュラス(M100)」は、JIS K 6251:2017に準拠し、23℃雰囲気下にて、引張速度3.3mm/秒の条件で測定される、列理方向(押出しまたはせん断処理によりゴムシートを形成する際の圧延方向)への伸び100%時の引張応力(MPa)である。M100測定用サンプルは、厚さ1mmのダンベル状7号形の加硫ゴム試験片である。タイヤから切り出して作製する場合には、タイヤのトレッド部から、タイヤ周方向が引張方向、タイヤ半径方向が厚さ方向となるように切り出す。
「スチレン含量」は、1H-NMR測定により算出される値であり、例えば、SBR等のスチレンに由来する繰り返し単位を有するゴム成分に適用される。
「ビニル含量(1,2-結合ブタジエン単位量)」は、JIS K 6239-2:2017に従い、赤外吸収スペクトル分析により算出される値であり、例えば、SBR、BR等のブタジエンに由来する繰り返し単位を有するゴム成分に適用される。
「シス含量(シス-1,4-結合ブタジエン単位量)」は、JIS K 6239-2:2017に従い、赤外吸収スペクトル分析により算出される値であり、例えば、BR等のブタジエンに由来する繰り返し単位を有するゴム成分に適用される。
「ゴム成分中の総スチレン量」とは、ゴム成分100質量%中に含まれるスチレン単位の合計含有量(質量%)であって、各ゴム成分について、それぞれ、スチレン含量(質量%)にゴム成分中の質量分率を乗じて得られる値を算出し、それら値を総和した値である。具体的にはΣ(各スチレン単位含有ゴムのスチレン含量(質量%)×各スチレン単位含有ゴムのゴム成分中の含有量(質量%)/100)により算出される。
「重量平均分子量(Mw)」は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)(例えば、東ソー(株)製のGPC-8000シリーズ、検出器:示差屈折計、カラム:東ソー(株)製のTSKGEL SUPERMALTIPORE HZ-M)による測定値を基に、標準ポリスチレン換算により求めることができる。例えば、SBR、BR等に適用される。
「カーボンブラックの窒素吸着比表面積(N2SA)」は、JIS K 6217-2:2017に準じて測定される。「シリカの窒素吸着比表面積(N2SA)」は、ASTM D3037-93に準じてBET法で測定される。
本発明の一実施形態であるタイヤの作製手順について、以下に詳細に説明する。但し、以下の記載は本発明を説明するための例示であり、本発明の技術的範囲をこの記載範囲にのみ限定する趣旨ではない。
[タイヤ]
以下、図面を参照し、本発明の一実施形態のタイヤを説明する。なお、以下に示す実施形態はあくまで一例であり、本発明のタイヤは、以下の実施形態に限定されるものではない。
図1は、タイヤのトレッドの一部が示された拡大断面図である。図1において、上下方向がタイヤ半径方向であり、左右方向がタイヤ幅方向であり、紙面に垂直な方向がタイヤ周方向である。
図示される通り、本実施形態に係るタイヤのトレッド部8は、第一層6および第二層7を備え、第一層6の外面がトレッド面3を構成し、第二層7が第一層6のタイヤ半径方向内側に隣接している。第一層6は、典型的にはキャップトレッドに相当する。第二層7は、典型的な形は決まっていないことから、ベーストレッドであってもよく、アンダートレッドであってもよい。また、本発明の目的が達成される限り、第二層7とベルト層との間に、さらに1以上のゴム層を有していてもよい。トレッド部8が3層以上となる場合は、キャップトレッドもしくは内側層(ベーストレッド)を2層以上で構成してもよい。例えば、キャップトレッドが2層である場合には、該キャップトレッドのうちタイヤ半径方向内側に存在するゴム層が本発明の第二層に相当し、ベーストレッドが2層の場合には、該ベーストレッドのうちタイヤ半径方向外側に存在するゴム層が本発明の第二層に相当する。
図1では、複数の周方向溝1のうち最も深い溝深さを有する周方向溝1の溝底の最深部は、その周方向溝に隣接する陸部2内の第二層7の最外部よりもタイヤ半径方向内側に位置するように形成されている。すなわち、複数の周方向溝1のうち最も深い溝深さを有する周方向溝1の溝底の最深部は、その周方向溝に隣接する陸部2内の第二層7の最外部の延長線よりもタイヤ半径方向内側に位置している。複数の周方向溝1のうち最も深い溝深さを有する周方向溝1の直下(タイヤ半径方向内側)では、その周方向溝に隣接する陸部2内の第二層7の最外部に対してタイヤ半径方向内側に凹んだ凹部を有し、第一層6の一部が第二層7の前記凹部内に所定の厚さで形成されている。
図1では、周方向溝1の溝幅は、タイヤ半径方向外側から内側に向かって一定であるが、このような態様に限定されるものではなく、タイヤ半径方向外側から内側に向かって変化していてもよい。また、周方向溝の溝壁5は、タイヤ半径方向外側から内側に向かって直線状に延びているが、このような態様に限定されるものではなく、例えば、曲線状や階段状に延びていてもよい。
本実施形態において、第一層6の厚みt1は特に限定されないが、操縦安定性能の観点から、0.8mm以上が好ましく、1.1mm以上がより好ましく、1.4mm以上がさらに好ましい。一方、発熱性の観点からは、第一層6の厚みt1は、6.0mm以下が好ましく、5.0mm以下がより好ましく、4.0mm以下がさらに好ましく、3.0mm以下が特に好ましい。
本実施形態において、第二層7の厚みt2は特に限定されないが、1.0mm以上が好ましく、2.0mm以上がより好ましく、3.0mm以上がさらに好ましく、4.0mm以上が特に好ましい。また、第二層7の厚みt2は、10.0mm以下が好ましく、9.0mm以下がより好ましく、8.5mm以下がさらに好ましく、8.0mm以下が特に好ましい。
第二層7の厚みt2に対する第一層6の厚みt1の比(t1/t2)は、0.10超が好ましく、0.12超がより好ましく、0.15超がさらに好ましく、0.17超がさらに好ましく、0.20超が特に好ましい。t1/t2を前記の範囲とすることで、トレッド表面での摩擦で生じた力をよりタイヤ内部に伝えやすくすることができると考えられる。また、t1/t2は、8.0未満が好ましく、6.0未満がより好ましく、4.0未満がさらに好ましく、2.0未満がさらに好ましく、1.0未満がさらに好ましく、0.80未満がさらに好ましく、0.60未満が特に好ましい。
周方向溝の最深部の溝深さH(mm)に対するt1の比(t1/H)は、0.10以上が好ましく、0.15以上がより好ましく、0.20以上がさらに好ましく、0.25以上が特に好ましい。一方、t1/Hは、0.90以下が好ましく、0.75以下がより好ましく、0.60以下がさらに好ましく、0.45以下が特に好ましい。t1/Hを前記の範囲とすることで、第一層で力を生じやすくさせ、操縦安定性を向上させやすくすることができると考えられる。
第一層6の70℃tanδは、0.25以下が好ましく、0.22以下がより好ましく、0.19以下がさらに好ましく、0.16以下が特に好ましい。第二層7の70℃tanδは、タイヤ内部へ力を伝えやすくする観点から、0.35以下が好ましく、0.30以下がより好ましく、0.28以下がさらに好ましく、0.25以下が特に好ましい。一方、第一層6および第二層7の70℃tanδは、操縦安定性能の観点から、0.02以上が好ましく、0.04以上がより好ましく、0.06以上がさらに好ましく、0.10以上が特に好ましい。
70℃tanδは、後記のゴム成分、フィラー、軟化剤、加硫剤、加硫促進剤等の種類や配合量により適宜調整することができる。例えば、ゴム成分中の総スチレン量を増加させると、70℃tanδの値は上昇する傾向がある。また、フィラー(特にカーボンブラック)や軟化剤(特にオイル)の配合量を多くすると、70℃tanδの値は上昇する傾向がある。
第一層6のTgは、-30℃以上が好ましく、-28℃以上がより好ましく。-26℃以上がさらに好ましい。第一層6のガラス転移温度を前記の範囲とすることにより、通常走行時の転動時に発生した振動の周波数に対応するエネルギーロスを大きくすることができ、振動を吸収しやすくすることができると考えられる。また、第二層7のTgは、-30℃以上が好ましく、-28℃以上がより好ましく。-26℃以上がさらに好ましい。なお、第一層6および第二層7のTgの上限値は特に制限されないが、20℃以下が好ましく、15℃以下がより好ましく、10℃以下がさらに好ましく、5℃以下が特に好ましい。なお、各ゴム層のTgは、後記のゴム成分等の種類や配合量により適宜調整することができる。
第一層6のショア硬度(Hs)は、80以下が好ましく、75以下がより好ましく、70以下がさらに好ましい。また、第二層7のショア硬度(Hs)は、80以下が好ましく、75以下がより好ましく、70以下がさらに好ましい。第一層6および第二層7のショア硬度(Hs)を前記の範囲とすることにより、路面に対する追従性を損なわず、反力が得られやすくなると考えられる。一方、第一層6および第二層7のショア硬度(Hs)は、タイヤのブロック剛性を保つという観点から、50以上が好ましく、55以上がより好ましい。なお、各ゴム層のゴム硬度は、後記のゴム成分、フィラー、軟化剤等の種類や配合量により適宜調整することができる。
第一層6の100%延伸時のモジュラス(M100)は、1.0MPa以上が好ましく、1.2MPa以上がより好ましく、1.4MPa以上がさらに好ましく、1.6MPa以上が特に好ましい。また、第二層7の100%延伸時のモジュラスは、1.3MPa以上が好ましく、1.6MPa以上がより好ましく、1.9MPa以上がさらに好ましく、2.2MPa以上が特に好ましい。なお、第一層6および第二層7の100%延伸時のモジュラスの上限値は特に制限されないが、通常4.0MPa以下であり、3.5MPa以下が好ましい。本実施形態では、第二層7の100%延伸時のモジュラスは、第一層6の100%延伸時のモジュラスよりも大きいことが好ましい。第二層7の100%延伸時のモジュラスを第一層6の100%延伸時のモジュラスよりも大きくすることにより、第二層7で大きな力を発生させやすくすることができ、高速走行時の操縦安定性能が向上すると考えられる。第二層7の100%延伸時のモジュラスと、第一層6の100%延伸時のモジュラスとの差は、0.1MPa以上が好ましく、0.2MPa以上がより好ましく、0.3MPa以上がさらに好ましい。なお、各ゴム層の100%延伸時のモジュラスは、後記のゴム成分、フィラー、軟化剤等の種類や配合量により適宜調整することができる。
第二層7の厚みt2(mm)に対する第一層6の厚みt1(mm)の比(t1/t2)とR1との積(R1×(t1/t2))は、0.007超が好ましく、0.010超がより好ましく、0.012超がさらに好ましく、0.014超がさらに好ましく、0.016超がさらに好ましく、0.017超が特に好ましい。R1×(t1/t2)を前記の範囲とすることにより、トレッド表面での摩擦力を担保しつつ、かつその力をタイヤ内部に伝えやすくすることができると考えられる。また、R1×(t1/t2)は、0.045未満が好ましく、0.040未満がより好ましく、0.035未満がさらに好ましく、0.030未満が特に好ましい。
[ゴム組成物]
本実施形態に係るトレッド部は二層以上のゴム層からなり、第一層および第二層を構成するゴム組成物がそれぞれ加硫ゴム粒子を含有することを特徴とする。トレッド部の各層を構成するゴム組成物は、いずれも以下に説明する原料を用いて、要求されるトレッド切断面全体の面積に対する加硫ゴム粒子由来のドメインの面積の比等に応じて製造することができる。以下、本実施形態に係るゴム組成物について説明するが、特に断りのない限り、本実施形態に係るトレッドの部いずれのゴム層にも適用可能なものとする。
<ゴム成分>
本実施形態に係るゴム組成物は、ゴム成分としてジエン系ゴムが好適に用いられ、イソプレン系ゴム、スチレンブタジエンゴム(SBR)およびブタジエンゴム(BR)からなる群から選ばれる少なくとも1種を含有することが好ましい。これらのゴム成分は、1種単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。また、これらのゴム成分は、カーボンブラックやシリカ等のフィラーと相互作用可能な変性基で処理された変性ゴムであってもよく、不飽和結合の一部を水素添加処理した水添ゴムであってもよい。なお、本実施形態に係るゴム成分には、後述する加硫ゴム粒子を含まないものとする。
第一層を構成するゴム成分は、BRを含むことが好ましく、BRとイソプレン系ゴムおよび/またはBRとを含むことがより好ましい。一方、第二層を構成するゴム成分は特に制限されないが、例えば、SBRを含むゴム成分、イソプレン系ゴムおよびBRを含むゴム成分、イソプレン系ゴムおよびSBRを含むゴム成分とすることができる。
(イソプレン系ゴム)
イソプレン系ゴムとしては、例えば、イソプレンゴム(IR)および天然ゴム等タイヤ工業において一般的なものを使用することができる。天然ゴムには、非改質天然ゴム(NR)の他に、エポキシ化天然ゴム(ENR)、水素化天然ゴム(HNR)、脱タンパク質天然ゴム(DPNR)、高純度天然ゴム、グラフト化天然ゴム等の改質天然ゴム等も含まれる。これらのイソプレン系ゴムは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
NRとしては、特に限定されず、タイヤ業界において一般的なものを用いることができ、例えば、SIR20、RSS#3、TSR20等が挙げられる。
第一層を構成するゴム成分中のイソプレン系ゴムの含有量は、本発明の効果の観点から、50質量%以下が好ましく、40質量%以下がより好ましく、30質量%以下がさらに好ましく、20質量%以下が特に好ましい。また、該含有量の下限値は特に制限されないが、例えば、1質量%以上、3質量%以上、5質量%以上、10質量%以上とすることができる。
第二層を構成するゴム成分中のイソプレン系ゴムの含有量は、本発明の効果の観点から、90質量%以下が好ましく、80質量%以下がより好ましく、70質量%以下がさらに好ましく、60質量%以下が特に好ましい。また、該含有量の下限値は特に制限されないが、例えば、1質量%以上、3質量%以上、5質量%以上、10質量%以上とすることができる。
(SBR)
SBRとしては特に限定はなく、未変性の溶液重合SBR(S-SBR)や乳化重合SBR(E-SBR)、これらの変性SBR(変性S-SBR、変性E-SBR)等が挙げられる。変性SBRとしては、末端および/または主鎖が変性されたSBR、スズ、ケイ素化合物等でカップリングされた変性SBR(縮合物、分岐構造を有するもの等)等が挙げられる。なかでもS-SBRおよび変性SBRが好ましい。さらに、これらSBRの水素添加物(水素添加されたSBR)等も使用することができる。これらのSBRは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
SBRとしては、伸展SBRを用いることもでき、非伸展SBRを用いることもできる。伸展SBRを用いる場合、SBRの伸展量、すなわち、SBRに含まれる伸展軟化剤の含有量は、SBRのゴム固形分100質量部に対して、10~50質量部であることが好ましい。
前記で列挙されたSBRは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。前記で列挙されたSBRとしては、例えば、住友化学(株)、JSR(株)、旭化成(株)、日本ゼオン(株)、ZSエラストマー(株)等より市販されているものを使用することができる。
SBRのスチレン含量は、ゴム成分中の総スチレン量が後述の範囲を満たすように適宜選択することができるが、40質量%以下が好ましく、36質量%以下がより好ましく、32質量%以下がさらに好ましく、28質量%以下が特に好ましい。また、SBRのスチレン含量は、5質量%以上が好ましく、7質量%以上がより好ましく、10質量%以上がさらに好ましく、13質量%以上がさらに好ましく、16質量%以上が特に好ましい。なお、SBRのスチレン含量は、前記測定方法により測定される。
SBRのビニル含量は、シリカとの反応性の担保、および耐摩耗性能の観点から、10モル%以上が好ましく、15モル%以上がより好ましく、20モル%以上がさらに好ましい。また、SBRのビニル含量は、破断伸び、および耐摩耗性能の観点から、70モル%以下が好ましく、65モル%以下がより好ましく、60モル%以下がさらに好ましい。なお、本明細書において、SBRのビニル含量は、前記測定方法により測定される。
SBRの重量平均分子量(Mw)は、操縦安定性能の観点から、20万以上が好ましく、25万以上がより好ましい。また、架橋均一性の観点から、重量平均分子量は200万以下が好ましく、180万以下がより好ましく、150万以下がさらに好ましい。なお、本明細書において、SBRの重量平均分子量は、前記測定方法により測定される。
第一層を構成するゴム成分中のSBRの含有量は、ゴム成分中の総スチレン量が後述の範囲を満たすように適宜選択することができるが、5質量%以上が好ましく、10質量%以上がより好ましく、20質量%以上がさらに好ましく、30質量%以上が特に好ましい。一方、該含有量は、80質量%以下が好ましく、75質量%以下がより好ましく、70質量%以下がさらに好ましく、65質量%以下が特に好ましい。
第二層を構成するゴム成分中のSBRの含有量は、本発明の効果の観点から、5質量%以上が好ましく、10質量%以上がより好ましく、15質量%以上がさらに好ましく、20質量%以上下が特に好ましい。一方、該含有量の上限値は特に制限されない。
(BR)
BRとしては特に限定されるものではなく、例えば、シス含量が50質量%未満のBR(ローシスBR)、シス含量が90質量%以上のBR(ハイシスBR)、希土類元素系触媒を用いて合成された希土類系ブタジエンゴム(希土類系BR)、シンジオタクチックポリブタジエン結晶を含有するBR(SPB含有BR)、変性BR(ハイシス変性BR、ローシス変性BR)等タイヤ工業において一般的なものを使用することができる。これらのBRは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ハイシスBRとしては、例えば、日本ゼオン(株)、宇部興産(株)、JSR(株)等より市販されているものを使用することができる。ハイシスBRを含有することで低温特性および耐摩耗性能を向上させることができる。ハイシスBRのシス含量は、95質量%以上が好ましく、96質量%以上より好ましく、97質量%以上さらに好ましい。なお、本明細書において、シス含量は、前記測定方法により測定される。
変性BRとしては、末端および/または主鎖がケイ素、窒素および酸素からなる群から選択される少なくとも一つの元素を含む官能基によって変性された変性ブタジエンゴム(変性BR)が好適に用いられる。
その他の変性BRとしては、リチウム開始剤により1,3-ブタジエンの重合を行ったのち、スズ化合物を添加することにより得られ、さらに変性BR分子の末端がスズ-炭素結合で結合されているもの(スズ変性BR)等が挙げられる。また、変性BRは、水素添加されていないもの、水素添加されているもののいずれであってもよい。
BRの重量平均分子量(Mw)は、耐摩耗性能の観点から、30万以上が好ましく、35万以上がより好ましく、40万以上がさらに好ましい。また、架橋均一性の観点からは、200万以下が好ましく、100万以下がより好ましい。なお、BRの重量平均分子量は、前記測定方法により測定される。
第一層を構成するゴム成分中のBRの含有量は、本発明の効果の観点から、5質量%以上が好ましく、10質量%以上がより好ましく、20質量%以上がさらに好ましく、30質量%以上が特に好ましい。一方、該含有量は、80質量%以下が好ましく、75質量%以下がより好ましく、70質量%以下がさらに好ましく、65質量%以下が特に好ましい。
第二層を構成するゴム成分中のBRの含有量は、本発明の効果の観点から、90質量%以下が好ましく、80質量%以下がより好ましく、70質量%以下がさらに好ましく、60質量%以下が特に好ましい。また、該含有量の下限値は特に制限されないが、例えば、1質量%以上、3質量%以上、5質量%以上、10質量%以上とすることができる。
第一層を構成するゴム成分中のBRおよびSBRの合計含有量は、60質量%以上が好ましく、65質量%以上がより好ましく、70質量%以上がさらに好ましく、75質量%以上がさらに好ましく、80質量%以上が特に好ましい。一方、第一層を構成するゴム成分中のBRおよびSBRの合計含有量の上限値は特に制限されない。
(その他のゴム成分)
本実施形態に係るゴム成分として、前記のイソプレン系ゴム、SBR、およびBR以外のゴム成分を含有してもよい。他のゴム成分としては、タイヤ工業で一般的に用いられる架橋可能なゴム成分を用いることができ、スチレンイソプレンゴム(SIR)、スチレンイソプレンブタジエンゴム(SIBR)、クロロプレンゴム(CR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)等のイソプレン系ゴム、SBR、およびBR以外のジエン系ゴム;ブチルゴム(IIR)、ハロゲン化ブチルゴム、エチレンプロピレンゴム、ポリノルボルネンゴム、シリコーンゴム、塩化ポリエチレンゴム、フッ素ゴム(FKM)、アクリルゴム(ACM)、ヒドリンゴム等のジエン系ゴム以外のゴム成分が挙げられる。これらその他のゴム成分は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。本実施形態に係るゴム成分は、ジエン系ゴムを80質量%以上含むことが好ましく、90質量%以上がより好ましく、95質量%以上がさらに好ましく、98質量%以上が特に好ましく、ジエン系ゴムのみからなるゴム成分としてもよい。また、上記のゴム成分の他に、公知の熱可塑性エラストマーを含有してもよく、含有しなくてもよい。
第一層を構成するゴム成分中のゴム成分中の総スチレン量は、本発明の効果の観点から、4質量%以上が好ましく、7質量%以上がより好ましく、10質量%以上がさらに好ましい。また、第一層を構成するゴム成分中の総スチレン量は、本発明の効果の観点から、25質量%以下が好ましく、20質量%以下がより好ましく、18質量%以下がさらに好ましく、16質量%以下が特に好ましい。
第二層を構成するゴム成分中の総スチレン量は、本発明の効果の観点から、35質量%以下が好ましく、30質量%以下がより好ましく、25質量%以下がさらに好ましい。一方、第二層を構成するゴム成分中のゴム成分中の総スチレン量の下限値は特に制限されないが、例えば、1質量%以上、2質量%以上、3質量%以上、4質量%以上とすることができる。
<加硫ゴム粒子>
「加硫ゴム粒子」とは、本実施形態に係るゴム組成物を構成するゴムマトリクスとは別の工程により得られたゴム組成物であり、SEMなどの画像解析により、本実施形態に係るゴム組成物を構成するゴムマトリクスとは区別されるドメインを形成するものである。一般的には後述の再生ゴムおよび粉ゴム等であるが、これに限らず用途に応じて、本実施形態に係るゴム組成物とは異なるゴム組成物を準備し、粉砕して得てもよい。加硫ゴム粒子は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
「再生ゴム」とは、JIS K 6313:2012に規定された自動車用タイヤ、チューブおよびその他のゴム製品の使用済みのゴムなどを再生したもの並びにこれと同等の性状を有するものである。なお、粉状のものは除く。また、再生ゴムは、脱硫処理が施される。
再生ゴムの種類は、チューブ再生ゴム、タイヤ再生ゴムおよびその他の再生ゴムのいずれでもよく、複数の種類を組み合わせることもできる。これらのなかでも、タイヤ再生ゴムが好ましい。
再生ゴムは、公知の製造方法で得たものを用いることができ、例えば最も一般的なパン法(オイル法)をはじめとして、バンバリーミキサー・2軸反応押出機による方法、マイクロ波による方法、超音波による方法、電子線照射による方法などが開発されているが、いかなる方法で製造したものであってもよい。また、市販の再生ゴムを用いてもよい。再生ゴムを製造するための具体例の一つとして、加硫ゴム粉末を密閉式混合機または押出機に投入し100~250℃に加熱下、機械的せん断力をかけながら5~50分処理して脱硫し、再生する方法が挙げられる。市販品としては、例えば、村岡ゴム工業(株)、アサヒ再生ゴム(株)等によって製造販売されるものなどを用いることができる。
再生ゴムは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
「粉ゴム」とは、廃ゴム製品をリサイクルした加硫粉ゴムである。粉ゴムの原料となる廃ゴムとしては、環境への配慮およびコストの観点から、中古タイヤのトレッドゴム粉砕、刈り取りのスピュー・バリ等(廃タイヤの粉砕物)を使用することが好ましい。また、廃ゴムのゴム種は特に限定されず、NR、SBR、BR、IRなどのジエン系ゴムなどがあげられる。なお、粉ゴムとしては、タイラーメッシュにおける30メッシュパス品や40メッシュパス品などを利用することができる。粉ゴムは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
粉ゴムの平均粒径は、70μm以上が好ましく、100μm以上がより好ましい。該平均粒径は、1mm以下が好ましく、750μm以下がより好ましい。なお、本明細書における粉ゴムの平均粒径は、JIS Z 8815:1994に準拠して測定される粒度分布から算出された質量基準の平均粒径である。
粉ゴムは、例えば、村岡ゴム工業(株)、アサヒ再生ゴム(株)、Lehigh Technologies社等によって製造販売されるものなどを用いることができる。
加硫ゴム粒子中のゴム成分は、天然ゴム含有比率が好ましくは40質量%以上、より好ましくは50質量%以上、さらに好ましくは60質量%以上である。天然ゴム含有比率が上記範囲内であると、優れた破断伸びが得られる傾向がある。天然ゴムの含有比率は、熱分解ガスクロマトグラフィー(PyGC)の測定により求められる。
第一層のトレッド面に平行な切断面において、該切断面全体の面積に対する加硫ゴム粒子由来のドメインの面積の比R1は、本発明の効果の観点から、0.05超であり、0.06超が好ましく、0.07以上がより好ましく、0.08以上がさらに好ましく、0.09以上が特に好ましい。また、R1は、本発明の効果の観点から、0.50以下であり、0.40以下が好ましく、0.35以下がより好ましく、0.30以下がさらに好ましく、0.25以下がさらに好ましく、0.20以下がさらに好ましく、0.15以下が特に好ましい。
第二層のトレッド面に平行な切断面において、該切断面全体の面積に対する加硫ゴム粒子由来のドメインの面積の比R2は、本発明の効果の観点から、0.05以上であり、0.06以上が好ましく、0.07以上がさらに好ましい。また、R2は、本発明の効果の観点から、0.50未満であり、0.40未満が好ましく、0.35未満がより好ましく、0.30未満がさらに好ましく、0.25未満がさらに好ましく、0.20未満がさらに好ましく、0.15未満が特に好ましい。
1およびR2は、加硫ゴム粒子の配合量や平均粒径等により適宜調整することができる。例えば、ゴム成分に対する加硫ゴム粒子の配合量を増加させると、R1およびR2の値は上昇する傾向がある。
第一層を構成するゴム組成物のゴム成分100質量部に対する加硫ゴム粒子の含有量は、R1が前記の範囲を満たすように適宜選択することができるが、5質量部以上が好ましく、6質量部以上がより好ましく、7質量部以上がさらに好ましく、8質量部以上が特に好ましい。一方、該含有量は、70質量部以下が好ましく、60質量部以下がより好ましく、50質量部以下がさらに好ましく、40質量部以下がさらに好ましく、30質量部以下が特に好ましい。
第二層を構成するゴム組成物のゴム成分100質量部に対する加硫ゴム粒子の含有量は、R2が前記の範囲を満たすように適宜選択することができるが、5質量部以上が好ましく、6質量部以上がより好ましく、7質量部以上がさらに好ましい。一方、該含有量は、70質量部以下が好ましく、60質量部以下がより好ましく、50質量部以下がさらに好ましく、40質量部以下がさらに好ましく、30質量部以下がさらに好ましく、20質量部以下が特に好ましい。
<フィラー>
本実施形態に係るゴム組成物は、カーボンブラックおよび/またはシリカを含むフィラーが好適に使用される。第一層を構成するゴム組成物は、フィラーとしてシリカを含むことが好ましく、カーボンブラックおよびシリカを含むことがより好ましい。第二層を構成するゴム組成物は、フィラーとしてカーボンブラックを含むことが好ましい。
(カーボンブラック)
カーボンブラックとしては特に限定されず、例えば、GPF、FEF、HAF、ISAF、SAF等タイヤ工業において一般的なものを使用することができる。なお、一般的な鉱油を燃焼させて生成されるカーボンブラック以外に、リグニン等のバイオマス材料を用いたカーボンブラックを用いてもよい。これらのカーボンブラックは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
カーボンブラックの窒素吸着比表面積(N2SA)は、補強性の観点から、10m2/g以上が好ましく、30m2/g以上がより好ましく、50m2/g以上がさらに好ましい。また、低燃費性能および加工性の観点からは、200m2/g以下が好ましく、150m2/g以下がより好ましく、120m2/g以下がさらに好ましい。なお、カーボンブラックのN2SAは、前記測定方法により測定される。
第一層を構成するゴム組成物のゴム成分100質量部に対するカーボンブラックの含有量は、耐摩耗性能およびウェットグリップ性能の観点から、1質量部以上が好ましく、5質量部以上がより好ましく、10質量部以上がさらに好ましく、15質量部以上が特に好ましい。また、低燃費性能の観点からは、60質量部以下が好ましく、50質量部以下がより好ましく、40質量部以下がさらに好ましく、30質量部以下が特に好ましい。
第二層を構成するゴム組成物のゴム成分100質量部に対するカーボンブラックの含有量は、20質量部以上が好ましく、25質量部以上がより好ましく、30質量部以上がさらに好ましい。また、該含有量は、100質量部以下が好ましく、80質量部以下がより好ましく、60質量部以下がさらに好ましい。
(シリカ)
シリカとしては、特に限定されず、例えば、乾式法により調製されたシリカ(無水シリカ)、湿式法により調製されたシリカ(含水シリカ)等、タイヤ工業において一般的なものを使用することができる。なかでもシラノール基が多いという理由から、湿式法により調製された含水シリカが好ましい。なお、上記のシリカの他に、もみ殻などのバイオマス材料を原料としたシリカを適宜用いてもよい。これらのシリカは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
シリカの窒素吸着比表面積(N2SA)は、低燃費性能および耐摩耗性能の観点から、120m2/g以上が好ましく、150m2/g以上がより好ましく、170m2/g以上がさらに好ましい。また、低燃費性能および加工性の観点からは、350m2/g以下が好ましく、300m2/g以下がより好ましく、250m2/g以下がさらに好ましい。なお、シリカのN2SAは、前記測定方法により測定される。
第一層を構成するゴム組成物のゴム成分100質量部に対するシリカの含有量は、ウェットグリップ性能の観点から、10質量部以上が好ましく、15質量部以上がより好ましく、20質量部以上がさらに好ましく、25質量部以上が特に好ましい。また、耐摩耗性能の観点からは、70質量部以下が好ましく、60質量部以下がより好ましく、50質量部以下がさらに好ましく、45質量部以下が特に好ましい。なお、第二層を構成するゴム組成物のゴム成分100質量部に対するシリカの含有量は、特に制限されない。
第一層を構成するゴム組成物のゴム成分100質量部に対するシリカとカーボンブラックの合計含有量は、耐摩耗性能の観点から、20質量部以上が好ましく、30質量部以上がより好ましく、35質量部以上がさらに好ましく、40質量部以上が特に好ましい。また、該含有量は、80質量部以下が好ましく、70質量部以下がより好ましく、65質量部以下がさらに好ましく、60質量部以下がさらに好ましく、55質量部以下が特に好ましい。第一層を構成するゴム組成物中のシリカおよびカーボンブラックの合計含有量を前記の範囲とすることで、ゴム層全体がシリカおよびカーボンブラックにより硬くなることが抑制され、ミクロな領域での硬さの分布を生じさせることができ、ゴム層内に生じたドメインが路面に対して引っ掛かりやすくすることができると考えられる。
第一層を構成するゴム組成物は、低燃費性能、ウェットグリップ性能、および耐摩耗性能のバランスの観点から、ゴム成分100質量部に対するシリカの含有量がカーボンブラックの含有量よりも多いことが好ましい。第一層を構成するゴム組成物におけるシリカとカーボンブラックの合計含有量に対するシリカの割合は、55質量%以上が好ましく、60質量%以上がより好ましい。なお、第二層を構成するゴム組成物におけるシリカとカーボンブラックの含有割合は特に制限されない。
(その他のフィラー)
フィラーとしては、カーボンブラック、シリカ以外に、さらにその他のフィラーを用いてもよい。そのようなフィラーとしては、特に限定されず、例えば、水酸化アルミニウム、アルミナ(酸化アルミニウム)、炭酸カルシウム、硫酸マグネシウム、タルク、クレー、バイオ炭(BIOCHAR)等、従来からタイヤ工業において一般的に用いられているものを配合することができる。これらその他のフィラーは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(シランカップリング剤)
シリカは、シランカップリング剤と併用することが好ましい。シランカップリング剤としては、特に限定されず、タイヤ工業において、従来からシリカと併用される任意のシランカップリング剤を使用することができるが、例えば、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリエトキシシラン、2-メルカプトエチルトリメトキシシラン、2-メルカプトエチルトリエトキシシラン等のメルカプト系シランカップリング剤;ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド等のスルフィド系シランカップリング剤;3-オクタノイルチオ-1-プロピルトリエトキシシラン、3-ヘキサノイルチオ-1-プロピルトリエトキシシラン、3-オクタノイルチオ-1-プロピルトリメトキシシラン等のチオエステル系シランカップリング剤;ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン等のビニル系シランカップリング剤;3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-(2-アミノエチル)アミノプロピルトリエトキシシラン等のアミノ系シランカップリング剤;γ-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等のグリシドキシ系シランカップリング剤;3-ニトロプロピルトリメトキシシラン、3-ニトロプロピルトリエトキシシラン等のニトロ系シランカップリング剤;3-クロロプロピルトリメトキシシラン、3-クロロプロピルトリエトキシシラン等のクロロ系シランカップリング剤;等が挙げられる。なかでも、スルフィド系シランカップリング剤および/またはメルカプト系シランカップリング剤を含有することが好ましい。シランカップリング剤としては、例えば、エボニックデグサ社、モメンティブ社等より市販されているものを使用することができる。これらのシランカップリング剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
シランカップリング剤のシリカ100質量部に対する含有量は、シリカの分散性を高める観点から、1.0質量部以上が好ましく、3.0質量部以上がより好ましく、5.0質量部以上がさらに好ましい。また、コストおよび加工性の観点からは、20質量部以下が好ましく、15質量部以下がより好ましく、12質量部以下がさらに好ましい。
<その他の配合剤>
本実施形態に係るゴム組成物には、前記成分以外にも、従来タイヤ工業で一般に使用される配合剤、例えば、軟化剤、ワックス、加工助剤、ステアリン酸、酸化亜鉛、老化防止剤、加硫剤、加硫促進剤等を適宜含有することができる。
(軟化剤)
本実施形態に係るゴム組成物は、軟化剤を含有することが好ましい。軟化剤としては、例えば、樹脂成分、オイル、液状ゴム、エステル系可塑剤等が挙げられる。
樹脂成分としては、特に限定されないが、タイヤ工業で慣用される石油樹脂、テルペン系樹脂、ロジン系樹脂、フェノール系樹脂等の炭化水素樹脂が挙げられる。
石油樹脂としては、C5系石油樹脂、芳香族系石油樹脂、C5C9系石油樹脂等が挙げられる。
本明細書において「C5系石油樹脂」とは、C5留分を重合することにより得られる樹脂をいい、それらを水素添加したものや変性したものであってもよい。C5留分としては、例えば、シクロペンタジエン、ペンテン、ペンタジエン、イソプレン等の炭素数4~5個相当の石油留分が挙げられる。C5系石油樹脂しては、ジシクロペンタジエン樹脂(DCPD樹脂)が好適に用いられる。
本明細書において「芳香族系石油樹脂」とは、C9留分を重合することにより得られる樹脂をいい、それらを水素添加したものや変性したものであってもよい。C9留分としては、例えば、ビニルトルエン、アルキルスチレン、インデン、メチルインデン等の炭素数8~10個相当の石油留分が挙げられる。芳香族系石油樹脂の具体例としては、例えば、クマロンインデン樹脂、クマロン樹脂、インデン樹脂、および芳香族ビニル系樹脂が好適に用いられる。芳香族ビニル系樹脂としては、経済的で、加工しやすく、発熱性に優れているという理由から、α-メチルスチレンもしくはスチレンの単独重合体またはα-メチルスチレンとスチレンとの共重合体が好ましく、α-メチルスチレンとスチレンとの共重合体がより好ましい。芳香族ビニル系樹脂としては、例えば、クレイトン社、イーストマンケミカル社等より市販されているものを使用することができる。
本明細書において「C5C9系石油樹脂」とは、前記C5留分と前記C9留分を共重合することにより得られる樹脂をいい、それらを水素添加したものや変性したものであってもよい。C5留分およびC9留分としては、前記の石油留分が挙げられる。C5C9系石油樹脂としては、例えば、東ソー(株)、LUHUA社等より市販されているものを使用することができる。
テルペン系樹脂としては、α-ピネン、β-ピネン、リモネン、ジペンテン等のテルペン化合物から選ばれる少なくとも1種からなるポリテルペン樹脂;前記テルペン化合物と芳香族化合物とを原料とする芳香族変性テルペン樹脂;前記テルペン化合物とフェノール系化合物とを原料とするテルペンフェノール樹脂;並びにこれらのテルペン系樹脂に水素添加処理を行ったもの(水素添加されたテルペン系樹脂)が挙げられる。芳香族変性テルペン樹脂の原料となる芳香族化合物としては、例えば、スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン、ジビニルトルエン等が挙げられる。テルペンフェノール樹脂の原料となるフェノール系化合物としては、例えば、フェノール、ビスフェノールA、クレゾール、キシレノール等が挙げられる。
テルペン系樹脂のなかでも、水素添加されたテルペン系樹脂が好ましく、100%に近い水素添加が可能であり、さらに耐久性にも優れるという理由から水素添加されたポリテルペン樹脂がより好ましい。テルペン系樹脂への水素添加処理は、公知の方法で行うことができ、また、本実施形態においては、市販の水素添加されたテルペン系樹脂を使用することもできる。
ロジン系樹脂としては、特に限定されないが、例えば天然樹脂ロジン、それを水素添加、不均化、二量化、エステル化等で変性したロジン変性樹脂等が挙げられる。
フェノール系樹脂としては、特に限定されないが、フェノールホルムアルデヒド樹脂、アルキルフェノールホルムアルデヒド樹脂、アルキルフェノールアセチレン樹脂、オイル変性フェノールホルムアルデヒド樹脂等が挙げられる。
樹脂成分(好ましくはテルペン系樹脂)の軟化点は、ウェットグリップ性能の観点から、60℃以上が好ましく、65℃以上がより好ましい。また、加工性、ゴム成分とフィラーとの分散性向上という観点からは、150℃以下が好ましく、140℃以下がより好ましく、130℃以下がさらに好ましい。なお、樹脂成分の軟化点は、前記測定方法により測定される。また、本実施形態において使用可能な樹脂成分のガラス転移温度は、前記軟化点のおよそ40~50℃低い温度となるものである。
樹脂成分(好ましくはテルペン系樹脂)を含有する場合のゴム成分100質量部に対する含有量は、1質量部以上が好ましく、3質量部以上がより好ましく、5質量部以上がさらに好ましい。また、樹脂成分の含有量は、60質量部以下が好ましく、50質量部以下がより好ましく、40質量部以下がさらに好ましく、30質量部以下が特に好ましい。
オイルとしては、例えば、プロセスオイル、植物油脂、動物油脂等が挙げられる。プロセスオイルとしては、パラフィン系プロセスオイル(ミネラルオイル)、ナフテン系プロセスオイル、芳香族系プロセスオイル等が挙げられる。プロセスオイルの具体例としては、例えば、MES(Mild Extract Solvated)、DAE(Distillate Aromatic Extract)、TDAE(Treated Distillate Aromatic Extract)、TRAE(Treated Residual Aromatic Extract)、RAE(Residual Aromatic Extract)等が挙げられる。また、環境対策で多環式芳香族(polycyclic aromatic compound:PCA)化合物の含量の低いプロセスオイルを使用することもできる。前記低PCA含量プロセスオイルとしては、MES、TDAE、重ナフテン系オイル等が挙げられる。また、ライフサイクルアセスメントの観点から、ゴム混合機やエンジンに用いられた後の廃油や、調理店で使用された廃食用油を精製したものを用いてもよい。
オイルを含有する場合のゴム成分100質量部に対する含有量は、加工性の観点から、1質量部以上が好ましく、3質量部以上がより好ましく、5質量部以上がさらに好ましくい。また、耐摩耗性能の観点からは、80質量部以下が好ましく、60質量部以下がより好ましく、40質量部以下がさらに好ましい。
液状ゴムは、常温(25℃)で液体状態のポリマーであれば特に限定されないが、例えば、液状ブタジエンゴム(液状BR)、液状スチレンブタジエンゴム(液状SBR)、液状イソプレンゴム(液状IR)、液状スチレンイソプレンゴム(液状SIR)、液状ファルネセンゴム等が挙げられる。これらの液状ゴムは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
液状ゴムを含有する場合のゴム成分100質量部に対する含有量は、1質量部以上が好ましく、2質量部以上がより好ましく、3質量部以上がさらに好ましく、5質量部以上が特に好ましい。また、液状ゴムの含有量は、50質量部以下が好ましく、40質量部以下がより好ましく、20質量部以下がさらに好ましい。
エステル系可塑剤としては、例えば、アジピン酸ジブチル(DBA)、アジピン酸ジイソブチル(DIBA)、アジピン酸ジオクチル(DOA)、アゼライン酸ジ2-エチルヘキシル(DOZ)、セバシン酸ジブチル(DBS)、アジピン酸ジイソノニル(DINA)、フタル酸ジエチル(DEP)、フタル酸ジオクチル(DOP)、フタル酸ジウンデシル(DUP)、フタル酸ジブチル(DBP)、セバシン酸ジオクチル(DOS)、リン酸トリブチル(TBP)、リン酸トリオクチル(TOP)、リン酸トリエチル(TEP)、リン酸トリメチル(TMP)、チミジントリリン酸(TTP)、リン酸トリクレシル(TCP)、リン酸トリキシレニル(TXP)等が挙げられる。これらのエステル系可塑剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
エステル系可塑剤を含有する場合のゴム成分100質量部に対する含有量は、1質量部以上が好ましく、2質量部以上がより好ましく、3質量部以上がさらに好ましく、5質量部以上が特に好ましい。また、エステル系可塑剤の含有量は、30質量部以下が好ましく、20質量部以下がより好ましく、15質量部以下がさらに好ましい。
軟化剤を含有する場合のゴム成分100質量部に対する含有量(複数の軟化剤を併用する場合は全ての合計量)は、1質量部以上が好ましく、3質量部以上がより好ましく、5質量部以上がさらに好ましく、7質量部以上が特に好ましい。また、軟化剤の含有量は、100質量部以下が好ましく、80質量部以下がより好ましく、60質量部以下がさらに好ましく、40質量部以下が特に好ましい。
ワックスとしては、特に限定されず、タイヤ工業において通常使用されるものをいずれも好適に用いることができ、例えば、石油系ワックス、鉱物系ワックス、合成ワックス等が挙げられ、石油系ワックスが好ましい。石油系ワックスとしては、例えば、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、これらの精選特殊ワックス等が挙げられ、パラフィンワックスが好ましい。なお、本実施形態に係るワックスは、ステアリン酸を含まないものとする。ワックスは、例えば、大内新興化学工業(株)、日本精蝋(株)、パラメルト社等より市販されているものを使用することができる。これらのワックスは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ワックスを含有する場合のゴム成分100質量部に対する含有量は、ゴムの耐候性の観点から、0.5質量部以上が好ましく、1.0質量部以上がより好ましく、1.5質量部以上がさらに好ましい。また、ブルームによるタイヤの白色化防止の観点からは、10質量部以下が好ましく、5.0質量部以下がより好ましい。
加工助剤としては、例えば、脂肪酸金属塩、脂肪酸アミド、アミドエステル、シリカ表面活性剤、脂肪酸エステル、脂肪酸金属塩とアミドエステルとの混合物、脂肪酸金属塩と脂肪酸アミドとの混合物等が挙げられる。これらの加工助剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。加工助剤としては、例えば、Schill+Seilacher社、パフォーマンスアディティブス社等より市販されているものを使用することができる。
加工助剤を含有する場合のゴム成分100質量部に対する含有量は、加工性の改善効果を発揮させる観点から、0.5質量部以上が好ましく、1.0質量部以上がより好ましく、1.5質量部以上がさらに好ましい。また、耐摩耗性および破壊強度の観点からは、10質量部以下が好ましく、8.0質量部以下がより好ましい。
老化防止剤としては、特に限定されないが、例えば、アミン系、キノリン系、キノン系、フェノール系、イミダゾール系の各化合物や、カルバミン酸金属塩等の老化防止剤が挙げられ、N-(1,3-ジメチルブチル)-N’-フェニル-p-フェニレンジアミン、N-イソプロピル-N’-フェニル-p-フェニレンジアミン、N,N’-ジフェニル-p-フェニレンジアミン、N,N’-ジ-2-ナフチル-p-フェニレンジアミン、N-シクロヘキシル-N’-フェニル-p-フェニレンジアミン等のフェニレンジアミン系老化防止剤、および2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリン重合体、6-エトキシ-2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリン等のキノリン系老化防止剤が好ましい。これらの老化防止剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
老化防止剤を含有する場合のゴム成分100質量部に対する含有量は、ゴムの耐オゾンクラック性の観点から、0.5質量部以上が好ましく、1.0質量部以上がより好ましく、1.5質量部以上がさらに好ましい。また、耐摩耗性能やウェットグリップ性能の観点からは、10質量部以下が好ましく、5.0質量部以下がより好ましい。
ステアリン酸を含有する場合のゴム成分100質量部に対する含有量は、加工性の観点から、0.5質量部以上が好ましく、1.0質量部以上がより好ましく、1.5質量部以上がさらに好ましい。また、加硫速度の観点からは、10質量部以下が好ましく、5.0質量部以下がより好ましい。
酸化亜鉛を含有する場合のゴム成分100質量部に対する含有量は、加工性の観点から、0.5質量部以上が好ましく、1.0質量部以上がより好ましく、1.5質量部以上がさらに好ましい。また、耐摩耗性能の観点からは、10質量部以下が好ましく、5.0質量部以下がより好ましい。
加硫剤としては硫黄が好適に用いられる。硫黄としては、粉末硫黄、油処理硫黄、沈降硫黄、コロイド硫黄、不溶性硫黄、高分散性硫黄等を用いることができる。
加硫剤として硫黄を含有する場合のゴム成分100質量部に対する含有量は、十分な加硫反応を確保する観点から、0.1質量部以上が好ましく、0.3質量部以上がより好ましく、0.5質量部以上がさらに好ましい。また、劣化防止の観点からは、5.0質量部以下が好ましく、4.0質量部以下がより好ましく、3.0質量部以下がさらに好ましく、2.5質量部以下が特に好ましい。なお、加硫剤として、オイル含有硫黄を使用する場合の加硫剤の含有量は、オイル含有硫黄に含まれる純硫黄分の合計含有量とする。
硫黄以外の加硫剤としては、例えば、アルキルフェノール・塩化硫黄縮合物、1,6-ヘキサメチレン-ジチオ硫酸ナトリウム・二水和物、1,6-ビス(N,N’-ジベンジルチオカルバモイルジチオ)ヘキサン等が挙げられる。これらの硫黄以外の加硫剤は、田岡化学工業(株)、ランクセス(株)、フレクシス社等より市販されているものを使用することができる。
加硫促進剤としては、例えば、スルフェンアミド系加硫促進剤、チアゾール系加硫促進剤、チウラム系加硫促進剤、グアニジン系加硫促進剤、ジチオカルバミン酸塩系加硫促進剤、カプロラクタムジスルフィド等が挙げられる。これら加硫促進剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、所望の効果がより好適に得られる点から、スルフェンアミド系加硫促進剤、チアゾール系加硫促進剤、およびグアニジン系加硫促進剤からなる群から選ばれる1以上の加硫促進剤が好ましい。
スルフェンアミド系加硫促進剤としては、例えば、N-tert-ブチル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(TBBS)、N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(CBS)、N,N-ジシクロヘキシル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(DCBS)等が挙げられる。なかでも、TBBSおよびCBSが好ましい。
チアゾール系加硫促進剤としては、例えば、2-メルカプトベンゾチアゾール(MBT)またはその塩、ジ-2-ベンゾチアゾリルジスルフィド(MBTS)、2-(2,4-ジニトロフェニル)メルカプトベンゾチアゾール、2-(2,6-ジエチル-4-モルホリノチオ)ベンゾチアゾール等が挙げられる。なかでも、MBTSおよびMBTが好ましい。
グアニジン系加硫促進剤としては、例えば、1,3-ジフェニルグアニジン(DPG)、1,3-ジ-o-トリルグアニジン、1-o-トリルビグアニド、ジカテコールボレートのジ-o-トリルグアニジン塩、1,3-ジ-o-クメニルグアニジン、1,3-ジ-o-ビフェニルグアニジン、1,3-ジ-o-クメニル-2-プロピオニルグアニジン等が挙げられる。なかでも、DPGが好ましい。
加硫促進剤を含有する場合のゴム成分100質量部に対する含有量(複数の加硫促進剤を併用する場合は全ての合計量)は、1.0質量部以上が好ましく、2.0質量部以上がより好ましく、2.5質量部以上がさらに好ましい。また、該含有量は、8.0質量部以下が好ましく、7.0質量部以下がより好ましく、6.0質量部以下がさらに好ましい。加硫促進剤の含有量を上記範囲内とすることにより、破壊強度および伸びが確保できる傾向がある。
[ゴム組成物およびタイヤの製造]
本実施形態に係るゴム組成物は、公知の方法により製造することができる。例えば、前記の各成分をオープンロール、密閉式混練機(バンバリーミキサー、ニーダー等)等のゴム混練装置を用いて混練りすることにより製造できる。
混練り工程は、例えば、加硫剤および加硫促進剤以外の配合剤および添加剤を混練りするベース練り工程と、ベース練り工程で得られた混練物に加硫剤および加硫促進剤を添加して混練りするファイナル練り(F練り)工程とを含んでなるものである。さらに、前記ベース練り工程は、所望により、複数の工程に分けることもできる。
混練条件としては特に限定されるものではないが、例えば、ベース練り工程では、排出温度150~170℃で3~10分間混練りし、ファイナル練り工程では、70~110℃で1~5分間混練りする方法が挙げられる。加硫条件としては、特に限定されるものではなく、例えば、150~200℃で10~30分間加硫する方法が挙げられる。
第一層6および第二層7を含むトレッドを備えたタイヤは、それぞれに対応するゴム組成物を用いて、通常の方法により製造できる。すなわち、前記の方法により得たそれぞれのゴム層に対応する未加硫のゴム組成物を、所定の形状の口金を備えた押し出し機で各ゴム層の形状に合わせて押し出し加工し、タイヤ成型機上で他のタイヤ部材とともに貼り合わせ、通常の方法にて成型することにより、未加硫タイヤを形成し、この未加硫タイヤを加硫機中で加熱加圧することにより、タイヤを製造することができる。加硫条件としては、特に限定されるものではなく、例えば、150~200℃で10~30分間加硫する方法が挙げられる。
[タイヤの用途]
本実施形態に係るタイヤは、乗用車用タイヤ、トラック・バス用タイヤ、二輪車用タイヤ、競技用タイヤに好適に用いることができ、中でも乗用車用タイヤに用いることが好ましい。なお、乗用車用タイヤとは、四輪で走行する自動車に装着されることを前提としたタイヤであり、その最大負荷能力が1000kg以下のものを指す。ここで、最大負荷能力とは、そのタイヤが基づいている規格を含む規格体系において、当該規格がタイヤ毎に定める最大負荷能力をいう。例えば、JATMAであれば、ロードインデックス(LI)に基づく「最大負荷能力」、ETRTOであれば“LOAD CAPACITY”、TRAであれば表“TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES”に記載の「最大値」を指し、JATMA、ETRTO、TRAの順に参照し、参照時に適用サイズがあればその規格に従う。また、本実施形態に係るタイヤは、全シーズン用タイヤ、夏用タイヤ、スタッドレスタイヤ等の冬用タイヤに使用可能である。
以下では、実施をする際に好ましいと考えられる例(実施例)を示すが、本発明の範囲は実施例に限られない。以下に示す各種薬品を用いて、表1および表2の配合に従って得られるトレッドの第一層および第二層を有するタイヤを検討して下記評価方法に基づいて算出した結果を表3、表4、および表5に示す。
<ゴム組成物およびタイヤの製造>
以下、実施例および比較例において用いる各種薬品をまとめて示す。
NR:TSR20
BR:宇部興産(株)製のUBEPOL BR(登録商標)150B(シス含量:97モル%、Mw:44万)
SBR:JSR(株)製のSBR1502(未変性E-SBR、スチレン含量:23.5質量%、ビニル含量:16モル%、Mw:50万、非油展)
カーボンブラック:キャボットジャパン(株)製ショウブラックN220(N2SA:111m2/g)
シリカ:エボニックデグサ社製のウルトラシルVN3(N2SA:175m2/g)
シランカップリング剤:エボニックデグサ社製のSi266(ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド)
加硫ゴム粒子:アサヒ再生ゴム(株)製の粉末ゴム粉W2-A(30meshの加硫ゴム紛)
オイル:出光興産(株)製のダイアナプロセスNH-705
酸化亜鉛:三井金属鉱業(株)製の亜鉛華1号
老化防止剤1:大内新興化学工業(株)製のノクラック6C(N-(1,3-ジメチルブチル)-N’-フェニル-p-フェニレンジアミン)
老化防止剤2:大内新興化学工業(株)製のノクラックFR(2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリン重合体)
ステアリン酸:日油(株)製のビーズステアリン酸つばき
ワックス:日本精蝋(株)のオゾエース0355
硫黄:鶴見化学工業(株)製の粉末硫黄(5%オイル含有粉末硫黄)
加硫促進剤1:大内新興化学工業(株)製のノクセラーD(1,3-ジフェニルグアニジン(DPG))
加硫促進剤2:大内新興化学工業(株)製のノクセラーCZ(N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(CBS))
(実施例および比較例)
表1、および表2に示す配合処方にしたがい、1.7Lの密閉型バンバリーミキサーを用いて、硫黄および加硫促進剤以外の薬品を排出温度150~160℃になるまで1~10分間混練りし、混練物を得る。次に、2軸オープンロールを用いて、該混練物に硫黄および加硫促進剤を添加し、4分間、105℃になるまで練り込み、未加硫ゴム組成物を得る。該未加硫ゴム組成物を用いて、トレッドの第一層および第二層の形状に合わせて成形し、他のタイヤ部材とともに貼り合わせて未加硫タイヤを作製し、170℃で加硫して、表3、表4、および表5に記載の各試験用タイヤを得る。
<ドメインのサイズおよび弾性率の測定>
加硫後の各ゴム試験片を、トレッド部の第一層および第二層から、タイヤ周方向が長辺、タイヤ半径方向が厚さ方向となるように、長さ20mm×幅30mm×厚さ2mmで切り出して作製する。該ゴム試験片を、トレッド面に並行な面が観察用断面となるように走査型電子顕微鏡(ThermoFishershasei Teneo)設置し、加速電圧15kVで撮像して、倍率50倍の電子顕微鏡画像を得る。そして、得られた画像の2.54mm×1.69mmの範囲において、加硫ゴム粒子由来のドメインの面積を算出し、切断面全体の面積に対して占める比率を算出する。これを、1サンプルにつき3視野行い、その平均値よりR1およびR2を求める。
<tanδおよびガラス転移温度(Tg)の測定>
各試験用タイヤのトレッド部の第一層および第二層内部から、タイヤ周方向が長辺、タイヤ半径方向が厚さ方向となるように、長さ20mm×幅4mm×厚さ1mmで切り出して作製される各加硫ゴム試験片について、動的粘弾性測定装置(GABO社製のイプレクサーシリーズ)を用い、温度70℃、周波数10Hz、初期歪10%、動歪±1%、伸長モードの条件下で70℃tanδを測定する。さらに、周波数10Hz、初期歪1%、振幅±0.1%、および昇温速度3℃/minの条件下でtanδの-60~40℃の温度分布曲線を測定し、得られる温度分布曲線における最も大きいtanδ値に対応する温度(tanδピーク温度)をガラス転移温度(Tg)とする。
<ゴム硬度(Hs)の測定>
各試験用タイヤのトレッド部の各ゴム層内部から、タイヤ半径方向が厚さ方向となるように切り出して作製される各加硫ゴム試験片について、JIS K6253-3:2012に準拠し、デュロメータータイプAを用いて、各ゴム試験片の温度23℃でのショア硬度(Hs)を測定する。
<引張試験>
各試験用タイヤのトレッド部の第一層および第二層内部から、タイヤ周方向が引張方向、タイヤ半径方向が厚さ方向となるように厚さ1mmで切り出されるダンベル状7号形の試験片について、JIS K 6251:2017に準じて、23℃雰囲気下にて、引張速度3.3mm/秒の条件で引張試験を実施し、100%延伸時のモジュラス(M100)(MPa)を測定する。
<操縦安定性能>
各試験用タイヤを、排気量2000ccのFF乗用車の四輪にそれぞれ装着し、ドライアスファルト路面のテストコースにて実車走行を行い、テストドライバーによる100km/hでの走行時の、直進、車線変更、加減速時の各々のフィーリングに基づいてハンドリング特性を評価する。評価は1点~5点の整数値で行い、評点が高いほどハンドリング特性に優れる評価基準のもと、テストドライバー20名の合計点を算出する。対照タイヤ(表3では比較例1、表4では比較例11、表5では比較例21)の合計点を基準値(100)に換算し、各試験用タイヤの評価結果を合計点に比例するように指数化して表示する。
Figure 2024037079000001
Figure 2024037079000002
Figure 2024037079000003
Figure 2024037079000004
Figure 2024037079000005
<実施形態>
本発明の実施形態の例を以下に示す。
〔1〕トレッド部を有するタイヤであって、前記トレッド部は、トレッド面を構成する第一層と、前記第一層のタイヤ半径方向内側に隣接する第二層とを有し、前記第一層および前記第二層が、それぞれゴム成分および加硫ゴム粒子を含有するゴム組成物により構成され、前記第一層のトレッド面に平行な切断面において、該切断面全体の面積に対する加硫ゴム粒子由来のドメインの面積の比R1が0.05超0.50以下であり、前記第二層のトレッド面に平行な切断面において、該切断面全体の面積に対する加硫ゴム粒子由来のドメインの面積の比R2が0.05以上0.50未満であり、かつR1がR2よりも大きいタイヤ。
〔2〕前記第二層の厚みt2(mm)に対する前記第一層の厚みt1(mm)の比(t1/t2)が0.15超である、上記〔1〕記載のタイヤ。
〔3〕前記第二層の70℃におけるtanδ(70℃tanδ)が0.02以上0.25以下である、上記〔1〕または〔2〕記載のタイヤ。
〔4〕前記第二層の厚みt2(mm)に対する前記第一層の厚みt1(mm)の比(t1/t2)とR1との積(R1×(t1/t2))が0.015超である、上記〔1〕~〔3〕のいずれかに記載のタイヤ。
〔5〕前記第一層を構成するゴム成分がスチレンブタジエンゴムを含有する、上記〔1〕~〔4〕のいずれかに記載のタイヤ。
〔6〕前記第一層を構成するゴム成分中の総スチレン量が10質量%以上20質量%以下である、上記〔1〕~〔5〕のいずれかに記載のタイヤ。
〔7〕前記第一層を構成するゴム成分中のブタジエンゴムおよびスチレンブタジエンゴムの合計含有量が75質量%以上である、上記〔1〕~〔6〕のいずれかに記載のタイヤ。
〔8〕前記第一層を構成するゴム組成物中の、ゴム成分100質量部に対するシリカおよびカーボンブラックの合計含有量が60質量部以下である、上記〔1〕~〔7〕のいずれかに記載のタイヤ。
〔9〕前記第一層のガラス転移温度が-30℃以上である、上記〔1〕~〔8〕のいずれかに記載のタイヤ。
〔10〕前記第二層のショア硬度(Hs)が50以上80以下である、上記〔1〕~〔9〕のいずれかに記載のタイヤ。
〔11〕前記第二層の100%延伸時のモジュラスが、前記第一層の100%延伸時のモジュラスよりも大きい、上記〔1〕~〔10〕のいずれかに記載のタイヤ。
〔12〕前記第二層の100%延伸時のモジュラスが2.2MPa以上である、上記〔1〕~〔11〕のいずれかに記載のタイヤ。
〔13〕前記トレッド部が、タイヤ周方向に連続して延びる周方向溝を有し、前記周方向溝の最深部の溝深さHに対するt1の比(t1/H)が0.10~0.90である、上記〔1〕~〔12〕のいずれかに記載のタイヤ。
1 周方向溝
2 陸部
3 トレッド面
5 溝壁
6 第一層
7 第二層
8 トレッド部
H 周方向溝の溝底さ
CL タイヤ赤道面

Claims (13)

  1. トレッド部を有するタイヤであって、
    前記トレッド部は、トレッド面を構成する第一層と、前記第一層のタイヤ半径方向内側に隣接する第二層とを有し、
    前記第一層および前記第二層が、それぞれゴム成分および加硫ゴム粒子を含有するゴム組成物により構成され、
    前記第一層のトレッド面に平行な切断面において、該切断面全体の面積に対する加硫ゴム粒子由来のドメインの面積の比R1が0.05超0.50以下であり、
    前記第二層のトレッド面に平行な切断面において、該切断面全体の面積に対する加硫ゴム粒子由来のドメインの面積の比R2が0.05以上0.50未満であり、かつ
    1がR2よりも大きいタイヤ。
  2. 前記第二層の厚みt2(mm)に対する前記第一層の厚みt1(mm)の比(t1/t2)が0.15超である、請求項1記載のタイヤ。
  3. 前記第二層の70℃におけるtanδ(70℃tanδ)が0.02以上0.25以下である、請求項1または2記載のタイヤ。
  4. 前記第二層の厚みt2(mm)に対する前記第一層の厚みt1(mm)の比(t1/t2)とR1との積(R1×(t1/t2))が0.015超である、請求項1~3のいずれか一項に記載のタイヤ。
  5. 前記第一層を構成するゴム成分がスチレンブタジエンゴムを含有する、請求項1~4のいずれか一項に記載のタイヤ。
  6. 前記第一層を構成するゴム成分中の総スチレン量が10質量%以上20質量%以下である、請求項1~5のいずれか一項に記載のタイヤ。
  7. 前記第一層を構成するゴム成分中のブタジエンゴムおよびスチレンブタジエンゴムの合計含有量が75質量%以上である、請求項1~6のいずれか一項に記載のタイヤ。
  8. 前記第一層を構成するゴム組成物中の、ゴム成分100質量部に対するシリカおよびカーボンブラックの合計含有量が60質量部以下である、請求項1~7のいずれか一項に記載のタイヤ。
  9. 前記第一層のガラス転移温度が-30℃以上である、請求項1~8のいずれか一項に記載のタイヤ。
  10. 前記第二層のショア硬度(Hs)が50以上80以下である、請求項1~9のいずれか一項に記載のタイヤ。
  11. 前記第二層の100%延伸時のモジュラスが、前記第一層の100%延伸時のモジュラスよりも大きい、請求項1~10のいずれか一項に記載のタイヤ。
  12. 前記第二層の100%延伸時のモジュラスが2.2MPa以上である、請求項1~11のいずれか一項に記載のタイヤ。
  13. 前記トレッド部が、タイヤ周方向に連続して延びる周方向溝を有し、
    前記周方向溝の最深部の溝深さHに対するt1の比(t1/H)が0.10~0.90である、請求項1~12のいずれか一項に記載のタイヤ。
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